経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け活動しています。 <クレハグループ企業理念およびクレハビジョンについて> <経営方針について>クレハビジョンの実現のため、2030年度に向けた『経営方針』として3つの目標と3つの最重要施策を定めています。 [目標]継続的な経済価値の向上・「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、クレハグループの経営資源を集中して経済価値の向上を目指す。・マーケットインの視点で既存商品の性能向上とバリューチェーンの拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化し、収益を拡大する。 社会課題解決への貢献・これまでも、3つの重点事業分野で社会貢献してきたクレハグループの商品を、自社による技術開発と外部技術の融合によりさらに進化させ、社会に提供する商品、技術、サービスを拡充する。 環境負荷低減への貢献・2050年度にカーボンニュートラルを目指す。・循環型生産にかなう生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減する。 [最重要施策]技術立社の再興(研究・技術開発力の強化)・新商品の研究開発と環境負荷低減に集中的に資源を投下し、差別化された商品の開発を加速する。・他社との協創・協業、M&A等を通じ自社保有技術と外部技術の融合を図り、新規事業を創出し拡大する。・成長事業の生産体制の構築を迅速に進めるとともに、環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力を強化する。 経営基盤の強化・サステナビリティ経営を推進する組織の強化と、執行体制の効率化、リスク・マネジメントの強化等を継続的に実施する。・クレハグループの経営資源を有効活用し、強固な連結事業基盤を構築する。・顧客・社会の潜在ニーズと研究開発、製造、営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営の高度化を実現するデジタル化戦略を推進する。 会社と社員の共生・社員の『働きがい』と『ミッション』を調和、融合し、社員と会社がともに成長を目指す。・会社と社員のコミュニケーションを充実するとともに、挑戦する社員を登用する。・社員の多様な価値観や立場を尊重し、働きやすい職場環境を整備するとともに、障がい者の就労機会を積極的に提供し自立を支援する。 (2)『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』の進捗当社グループは経営方針の中で掲げた目標の実現に向けて、2023年4月より中長期経営計画をスタートさせましたが、成長ドライバーと位置づけたリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂事業が、電気自動車市場の一時的な成長率の鈍化により停滞を余儀なくされました。このような状況を踏まえ、当社グループは、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』(以下ローリングプラン)を2024年4月に策定し、これまでの業績重視に加えて資本収益性も重視するバランス経営を実行していくこととしました。本ローリングプランでは、既存事業における成長施策および全社でのコスト削減策に基づいて2025年度の業績目標を修正し、併せて重要業績評価指標および資本政策における新たな目標設定を行いました。 [業績目標および重要業績評価指標(KPI)] (注)「2025年度計画」のROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 事業の進捗しかしながら、2024年度は欧州での景気後退により、欧州電気自動車市場の回復が想定より遅れ、フッ化ビニリデン樹脂事業が大幅計画未達となりました。2025年度も電気自動車向け需要の急回復は見込まれないものの、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)市場はAI関連のデータセンター増加、再生エネルギー利用の拡大から、当面は15~30%の割合で北米の市場が伸長すると見込まれ、当社フッ化ビニリデン樹脂も既に同用途への出荷が始まっています。また堅調な成長が続く中国の電気自動車向けについては、当社の日本および中国のR&D拠点を活用し、リチウムイオン二次電池メーカーとの共同開発、サンプル評価が進んでいます。工業用途についても更なる拡販を目指し、石油掘削時に用いられるパイプ、半導体製造装置などに使われる接手やパイプ、水処理膜用途向けにマーケティングを継続しており、特定の分野に偏らない拡販を目指しています。シェールオイル・ガス掘削向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、中高温鉱区で一定のシェアを確保しているものの、産出されるガスの価格が低迷し、2024年度の計画を下回りました。2025年度後半には、大型の液化施設が立ち上がり、需要の回復が見込まれます。市場の7割弱を占める低温鉱区向けに上市したプラグの本格販売を進めるとともに、トランプ政権下における貿易やエネルギー政策の変化をタイムリーかつ的確に捉え、事業採算の改善を図ります。化学製品事業では、農業・園芸用殺菌剤は顧客の在庫調整により、2024年度計画が未達となりました。2025年度以降は、顧客での在庫調整が完了し、メトコナゾールの欧州再登録の効果もあり、販売が回復する見込みです。また新規農業用殺菌剤については順調に開発が進んでおり、2030年ごろの上市を目指しています。樹脂製品事業では、ラップ市場は堅調に推移しており、今後も時短や効率を重視した調理スタイルの高まりにより微増を見込み、底堅い市場であると認識しています。クレラップは1960年に日本で初めて販売を開始した家庭用ラップとして評価されている強みを生かし事業拡大に向け、販売、商品、販促、広告宣伝、データ分析等あらゆるマーケティング施策の見直し、強化を進めています。 2025年度の定量計画は、以下のとおりです。2025年度はフッ化ビニリデン樹脂の市場回復の遅れ、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の拡販遅れにより、ローリングプランで掲げた目標に対して、大幅な未達計画となっています。前期比では営業利益が46億円増加し、2024年度を底に今後は業績が回復していくものとみています。 (注)「2025年度計画」の親会社の所有者に帰属する当期利益およびROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 資本政策ローリングプランで掲げた資本政策、目指す自己資本比率については変更ありません。自己株式の購入については、当初計画(2025年度150億円)に基づき2025年6月3日までに1,535,700株(取得価額の総額49億円)取得しておりましたが、ローリングプランで定めた自己資本比率目標に向けて、一層の株主還元の充実、更なる資本効率の向上および経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行として、新たに自己株式の取得枠を設定し、2025年6月4日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により自己株式1千万株を341億円で取得しました。利益の配分については、将来の事業展開に向けた積極投資に資する内部留保を充実させつつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、2025年度から配当基準として、DOE(連結株主資本配当率)を導入し、2025年度、2026年度の2年間DOE5%を目安とした配当を行います。遊休資産について、2024年度は、英国拠点の土地建屋を売却しました。2025年度も国内および海外の拠点の売却を予定しています。政策保有株式についても、2024年度に売却を進め、186億円まで圧縮しました。引き続き政策保有株式の売却を進め、政策保有株式の保有割合について、2030年度までに連結純資産比5%程度を目指します。 環境負荷低減ローリングプランで掲げた2030年度目標(CO2排出量を2013年度比で30%以上削減、2025年度廃棄物ゼロエミ率 1.5%)は変更ありません。 なお、2030年度の業績目標および重要業績評価指標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時にあらためて開示します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け活動しています。 <クレハグループ企業理念およびクレハビジョンについて> <経営方針について>クレハビジョンの実現のため、2030年度に向けた『経営方針』として3つの目標と3つの最重要施策を定めています。 [目標]継続的な経済価値の向上・「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、クレハグループの経営資源を集中して経済価値の向上を目指す。・マーケットインの視点で既存商品の性能向上とバリューチェーンの拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化し、収益を拡大する。 社会課題解決への貢献・これまでも、3つの重点事業分野で社会貢献してきたクレハグループの商品を、自社による技術開発と外部技術の融合によりさらに進化させ、社会に提供する商品、技術、サービスを拡充する。 環境負荷低減への貢献・2050年度にカーボンニュートラルを目指す。・循環型生産にかなう生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減する。 [最重要施策]技術立社の再興(研究・技術開発力の強化)・新商品の研究開発と環境負荷低減に集中的に資源を投下し、差別化された商品の開発を加速する。・他社との協創・協業、M&A等を通じ自社保有技術と外部技術の融合を図り、新規事業を創出し拡大する。・成長事業の生産体制の構築を迅速に進めるとともに、環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力を強化する。 経営基盤の強化・サステナビリティ経営を推進する組織の強化と、執行体制の効率化、リスク・マネジメントの強化等を継続的に実施する。・クレハグループの経営資源を有効活用し、強固な連結事業基盤を構築する。・顧客・社会の潜在ニーズと研究開発、製造、営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営の高度化を実現するデジタル化戦略を推進する。 会社と社員の共生・社員の『働きがい』と『ミッション』を調和、融合し、社員と会社がともに成長を目指す。・会社と社員のコミュニケーションを充実するとともに、挑戦する社員を登用する。・社員の多様な価値観や立場を尊重し、働きやすい職場環境を整備するとともに、障がい者の就労機会を積極的に提供し自立を支援する。 (2)『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』の進捗当社グループは経営方針の中で掲げた目標の実現に向けて、2023年4月より中長期経営計画をスタートさせましたが、成長ドライバーと位置づけたリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂事業が、電気自動車市場の一時的な成長率の鈍化により停滞を余儀なくされました。このような状況を踏まえ、当社グループは、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』(以下ローリングプラン)を2024年4月に策定し、これまでの業績重視に加えて資本収益性も重視するバランス経営を実行していくこととしました。本ローリングプランでは、既存事業における成長施策および全社でのコスト削減策に基づいて2025年度の業績目標を修正し、併せて重要業績評価指標および資本政策における新たな目標設定を行いました。 [業績目標および重要業績評価指標(KPI)] (注)「2025年度計画」のROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 事業の進捗しかしながら、2024年度は欧州での景気後退により、欧州電気自動車市場の回復が想定より遅れ、フッ化ビニリデン樹脂事業が大幅計画未達となりました。2025年度も電気自動車向け需要の急回復は見込まれないものの、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)市場はAI関連のデータセンター増加、再生エネルギー利用の拡大から、当面は15~30%の割合で北米の市場が伸長すると見込まれ、当社フッ化ビニリデン樹脂も既に同用途への出荷が始まっています。また堅調な成長が続く中国の電気自動車向けについては、当社の日本および中国のR&D拠点を活用し、リチウムイオン二次電池メーカーとの共同開発、サンプル評価が進んでいます。工業用途についても更なる拡販を目指し、石油掘削時に用いられるパイプ、半導体製造装置などに使われる接手やパイプ、水処理膜用途向けにマーケティングを継続しており、特定の分野に偏らない拡販を目指しています。シェールオイル・ガス掘削向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、中高温鉱区で一定のシェアを確保しているものの、産出されるガスの価格が低迷し、2024年度の計画を下回りました。2025年度後半には、大型の液化施設が立ち上がり、需要の回復が見込まれます。市場の7割弱を占める低温鉱区向けに上市したプラグの本格販売を進めるとともに、トランプ政権下における貿易やエネルギー政策の変化をタイムリーかつ的確に捉え、事業採算の改善を図ります。化学製品事業では、農業・園芸用殺菌剤は顧客の在庫調整により、2024年度計画が未達となりました。2025年度以降は、顧客での在庫調整が完了し、メトコナゾールの欧州再登録の効果もあり、販売が回復する見込みです。また新規農業用殺菌剤については順調に開発が進んでおり、2030年ごろの上市を目指しています。樹脂製品事業では、ラップ市場は堅調に推移しており、今後も時短や効率を重視した調理スタイルの高まりにより微増を見込み、底堅い市場であると認識しています。クレラップは1960年に日本で初めて販売を開始した家庭用ラップとして評価されている強みを生かし事業拡大に向け、販売、商品、販促、広告宣伝、データ分析等あらゆるマーケティング施策の見直し、強化を進めています。 2025年度の定量計画は、以下のとおりです。2025年度はフッ化ビニリデン樹脂の市場回復の遅れ、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の拡販遅れにより、ローリングプランで掲げた目標に対して、大幅な未達計画となっています。前期比では営業利益が46億円増加し、2024年度を底に今後は業績が回復していくものとみています。 (注)「2025年度計画」の親会社の所有者に帰属する当期利益およびROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 資本政策ローリングプランで掲げた資本政策、目指す自己資本比率については変更ありません。自己株式の購入については、当初計画(2025年度150億円)に基づき2025年6月3日までに1,535,700株(取得価額の総額49億円)取得しておりましたが、ローリングプランで定めた自己資本比率目標に向けて、一層の株主還元の充実、更なる資本効率の向上および経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行として、新たに自己株式の取得枠を設定し、2025年6月4日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により自己株式1千万株を341億円で取得しました。利益の配分については、将来の事業展開に向けた積極投資に資する内部留保を充実させつつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、2025年度から配当基準として、DOE(連結株主資本配当率)を導入し、2025年度、2026年度の2年間DOE5%を目安とした配当を行います。遊休資産について、2024年度は、英国拠点の土地建屋を売却しました。2025年度も国内および海外の拠点の売却を予定しています。政策保有株式についても、2024年度に売却を進め、186億円まで圧縮しました。引き続き政策保有株式の売却を進め、政策保有株式の保有割合について、2030年度までに連結純資産比5%程度を目指します。 環境負荷低減ローリングプランで掲げた2030年度目標(CO2排出量を2013年度比で30%以上削減、2025年度廃棄物ゼロエミ率 1.5%)は変更ありません。 なお、2030年度の業績目標および重要業績評価指標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時にあらためて開示します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態および経営成績の状況(経営成績の状況)当期のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が続くことが期待される一方、中国経済の停滞や中東およびウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締め、米国の通商政策動向に伴う影響等が懸念され、先行きが不透明な状況が続きました。このような状況のなか、当社グループは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」に加えて、事業環境の変化等を踏まえ、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を新たに策定し、取り組んでいます。当連結会計年度は、電気自動車の市況低迷に伴う需要停滞により機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上げが減少したことに加え、樹脂製品事業の業務用食品包装材分野において熱収縮多層フィルムの販売を上期で終了したことにより、売上げは前期比で減少しました。営業利益は、前期に計上したリストラクチャリング費用が減少し、また前期に計上した中国におけるフッ化ビニリデン樹脂製造設備の増強計画中止に伴う固定資産減損損失の計上が当期はないものの、フッ化ビニリデン樹脂の売上げ減少およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べて減少したことにより、前期比で減少しました。売上収益は前期比9.0%減の1,620億15百万円、営業利益は前期比26.3%減の94億28百万円、税引前利益は前期比26.6%減の102億18百万円、当期利益は前期比19.8%減の78億96百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比19.9%減の78億円となりました。 セグメントの業績は次のとおりです。(単位:百万円) 売 上 収 益営 業 損 益前期当期増減前期当期増減機能製品事業64,51057,372△7,1384,837△1,991△6,828化学製品事業33,94930,677△3,2711,655592△1,062樹脂製品事業47,32840,528△6,7998,1947,097△1,097建設関連事業13,94814,8428941,4801,393△87その他関連事業18,23718,5933562,4662,911445セグメント合計177,973162,015△15,95818,63410,002△8,631調整額 (注)---△5,834△5745,260連結合計177,973162,015△15,95812,8009,428△3,371 (注)営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれています。詳細は、連結財務諸表注記「26.その他の収益」および「27.その他の費用」に記載しています。 機能製品事業機能樹脂分野では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途のPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の売上げが減少したこと、およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べて減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。炭素製品分野では、球状活性炭の売上げは増加しましたが、高温炉用断熱材の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比11.1%減の573億72百万円となり、前期48億37百万円の営業利益から19億91百万円の営業損失となりました。 化学製品事業農薬・医薬分野では、農業・園芸用殺菌剤および慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。工業薬品分野では、無機および有機薬品類の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比9.6%減の306億77百万円となり、営業利益は前期比64.2%減の5億92百万円となりました。 樹脂製品事業コンシューマー・グッズ分野では、フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加しましたが、家庭用ラップ「NEWクレラップ」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムの販売を上期で終了したことにより、売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比14.4%減の405億28百万円となり、営業利益は前期比13.4%減の70億97百万円となりました。 建設関連事業公共工事および民間工事が増加したことにより、売上げは増加しましたが、売上構成の変化により営業利益は減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比6.4%増の148億42百万円となり、営業利益は前期比5.9%減の13億93百万円となりました。 その他関連事業環境事業では、廃棄物処理数量の増加により、売上げ、営業利益はともに増加しました。その他の事業では、売上げは前期並みとなりましたが、病院事業での病床稼働率の改善により営業利益は増加しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比2.0%増の185億93百万円となり、営業利益は前期比18.0%増の29億11百万円となりました。 (財政状態の状況)当期末の資産合計につきましては、前期末比146億68百万円増の3,452億98百万円となりました。流動資産は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産が減少したこと等により、前期末比151億26百万円減の1,047億74百万円となりました。非流動資産は、投資有価証券の売却によりその他の金融資産が減少したものの、主にフッ化ビニリデン樹脂生産設備増強工事に伴い有形固定資産が増加したこと等により、前期末比297億94百万円増の2,405億24百万円となりました。負債合計につきましては、前期末比266億77百万円増の1,341億59百万円となりました。これは、リストラクチャリング引当金等の引当金が減少した一方で、有利子負債が社債の発行や借入金の増加等により前期末比311億7百万円増の860億11百万円となったこと等によるものです。資本合計につきましては、前期末比120億9百万円減の2,111億39百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益を78億円計上した一方で、自己株式の取得を150億2百万円、剰余金の配当を46億60百万円実施したこと等によるものです。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは295億25百万円の収入となり、前期に比べ179億24百万円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少による収入が増加したこと、および法人所得税の支払額が減少したこと等によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは394億36百万円の支出となり、前期に比べ51億47百万円支出が増加しました。これは、投資有価証券の売却による収入が増加した一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が増加したこと等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは84億37百万円の収入となり、前期に比べ36億97百万円収入が減少しました。これは、自己株式の取得による支出が増加したこと等によるものです。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ16億30百万円減少し215億円となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)機能製品事業49,871△22.0化学製品事業17,571△6.4樹脂製品事業31,487△2.3合計98,930△13.9 (注)金額は平均販売単価によっています。 b. 受注実績当連結会計年度における土木・建築工事の施工請負等の受注実績は次のとおりです。なお、これ以外の製品については見込生産を行っています。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)建設関連事業17,775+25.810,915+36.7その他関連事業873△24.1596△20.2合計18,648+22.111,512+31.8 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)機能製品事業57,372△11.1化学製品事業30,677△9.6樹脂製品事業40,528△14.4建設関連事業14,842+6.4その他関連事業18,593+2.0合計162,015△9.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(経営成績)当社グループは、前連結会計年度において「中長期的な企業価値の向上」と、「持続可能な社会への貢献」を両立させるサステナビリティ経営を推進し当社グループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定しました。また、当連結会計年度において、2025年度までの計画を見直した『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を策定し、事業活動を推進しています。当連結会計年度は、欧州経済の減速に伴う電気自動車普及の鈍化により顧客生産活動が低迷し、リチウムイオン二次電池用バインダー向けフッ化ビニリデン樹脂の販売減少が当社グループ業績に大きく影響し、減収減益となりました。引き続き、米国第二次トランプ政権による大幅かつ急激な政策転換、世界的な金融引き締め、エネルギー価格を含む物価の高騰、中国および欧州経済の減速や中東およびウクライナ情勢等による影響が懸念され、先行きが不透明な状況ではありますが、各セグメントにおいて事業への影響を注意深くモニタリングし、適時適切な対応を図り、安定した事業運営を図ってまいります。なお、経営成績の分析については、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態および経営成績の状況」に、分析に基づく検討内容については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。 (経営成績に重要な影響を与える要因)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。 (セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)機能製品事業フッ化ビニリデン樹脂は、欧州経済の減速により電気自動車の普及に鈍化が見られ、リチウムイオン二次電池用バインダー向け販売が減少しました。また当面の需要予測の見直しに伴い、生産調整を行ったことにより棚卸資産評価減を計上し、利益は減少しました。一方で、中長期的には電気自動車の普及に加え、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)需要も増加が予想されており、本用途での需要は底堅く、競争力のある製品の安定供給が求められるものと判断し、日本における生産設備の増強を計画通り進めています。PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、当社が現在主力とする中高温地区で主に産出されるガスの価格が低迷し、掘削活動が停滞したことに加え、棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べ減少したことにより、売上げ・利益ともに減少しました。PPS樹脂は、国内および米国持分法適用会社ともに、増益となりました。 化学製品事業農薬は、ウクライナ情勢による穀物市場価格高騰の影響を見越した在庫確保の動きにより世界的に農薬の需要が旺盛であった状況から、在庫調整局面に入っています。当連結会計年度は、顧客での在庫調整により、販売数量は減少し、新剤の研究開発費等の増加もあり営業利益も減少しました。工業薬品は、苛性ソーダの販売数量減少等により減収減益となりました。 樹脂製品事業コンシューマー・グッズ分野では、前期、販売が好調であった家庭用ラップ「NEWクレラップ」の販売数量が減少し、営業利益も減少しました。フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」は、中国市場での販促活動の積極展開や新製品の販売等と合わせ、原材料価格も低下したことにより、前年比増収増益となりました。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムの事業撤退により、大きく売上げが減少したため、前年比で減収減益となりました。 建設関連事業建設事業では、公共・民間工事ともに売上げは増加したものの、売上げ構成の変化により利益は減少しました。 その他関連事業環境事業については、廃棄物の処理数量増加により、増収増益となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に関する情報(キャッシュ・フロー)「4. 経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 (資本の財源および資金の流動性)当社グループは、必要な資金を金融機関からの借入、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行により調達しています。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、コマーシャル・ペーパーの発行枠の確保、金融機関とのコミットメントライン契約、当座貸越契約等の活用により、流動性を確保できています。当社グループは、計画利益の確保と資産の効率化による営業キャッシュ・フローの最大化を図り、優先的に新規事業および既存事業拡大のための設備投資、投融資、研究開発投資、および株主への配当等に資金を配分することを基本方針としています。その上で、長期的な資金の確保を第一としながら、長短借入金のバランスについても考慮し、必要な資金調達を実施しています。重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源については、フッ化ビニリデン樹脂生産設備(当社)の増強をはじめとした機能製品事業を中心に設備投資を予定し、その資金調達は自己資金、社債及び借入金を考えています。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しています。