研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 1,129 |
| 2024-12 | - | 1,020 |
| 2023-12 | - | 966 |
| 2022-12 | - | 1,071 |
| 2021-12 | - | 786 |
研究開発活動(本文)
FY2025|5,687 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」へと変革することを目指し、技術の染み出しによるイノベーションの実現、事業本部を横断する技術開発の牽引、社会を変える長期R&Dの推進、という3つのミッションを掲げ、私たちの強み(コアコンピタンス)である、「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の技術共鳴(レゾナンス)によるシナジー創出を図りながら、最短かつ確実に社会課題にお応えできるよう、研究開発活動に取り組んでおります。またオープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社内外から積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力しております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、46,458百万円であります。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。 (半導体・電子材料)半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進しております。一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(電子材料用高純度ガス、半導体回路平坦化用研磨材料(CMPスラリー))、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(HDメディア、SiCエピタキシャルウェハー(以下、「SiCエピウェハー」といいます。))等の付加価値を高める開発をしました。半導体前工程では、当社グループは各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料、CMP、洗浄剤、さらには超高純度溶剤といった半導体製造プロセス材料の開発と市場展開を進めてまいりました。今後も、低環境負荷かつ高性能化に資する材料技術の研究開発を継続し、持続可能な半導体産業の発展に貢献してまいります。一方、半導体後工程では、AI半導体をはじめとした高性能デバイス向けに、パッケージ基板用積層材料(MCL)の供給確保、絶縁接着フィルム(NCF)及び放熱シート(TIM)の生産能力を増強し、市場での競争力を一層強化してまいります。先端半導体パッケージ製造向けに、高解像度の感光性フィルムを新たに開発し、有機インターポーザーにおける線幅・配線間隔1.5マイクロメートルの微細銅配線形成を実現しております。この高解像度技術は、計算情報科学研究センター、先端融合研究所、感光性材料開発部、パッケージングソリューションセンターの4部門が連携し、新規ポリマー樹脂を創出することで達成したものであり、当社グループの総合的な材料開発力を象徴する成果です。次世代半導体パッケージでは、従来より進めてきた日本・米国の企業を中心とした共創コンソーシアム「JOINT2」「US-JOINT」の取り組みを発展させ、日本、米国、シンガポールなどの材料・装置・設計企業27社による新たな共創型評価プラットフォーム「JOINT3」を設立いたしました。下館事業所(南結城)内に活動拠点を開設し、2026年中の稼働開始に向けて準備を進めております。当社グループは、前工程から後工程まで一貫した材料技術と共創ネットワークを強みに、急速に進化する半導体産業のニーズに応える先端パッケージ技術の確立と、持続可能な産業発展への貢献をこれからも続けてまいります。HDメディアでは、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しております。世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式の高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスク向け高密度記録方式であるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクに関して米国シーゲイト・テクノロジー社と共同開発を進めております。シングルド記録方式では、アルミ基板を用いて当社グループの最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最高の記録容量となる1枚あたり3.1テラバイトの製品を出荷しております。SiCでは、パワー半導体向けSiCエピウェハーの世界最大級の外販メーカーとして、電動車(以下、「xEV」といいます。)、交通インフラ、産業機器などに用いられるSiCパワーデバイスの高性能化・高信頼性化に貢献しております。独自のエピタキシャル成長技術により、低欠陥化と高均質化を高水準で両立させ、6インチ(150mm)に加え8インチ(200mm)SiCエピウェハーの量産対応を進めております。2026年稼働予定の山形新建屋建設をはじめ、国内複数拠点において生産体制を強化し、急拡大する市場需要に対して安定供給を実現しております。第2世代ハイグレードエピは欠陥密度を大幅に低減し、高級車や鉄道用途などで要求される高電流デバイスの信頼性向上に寄与しております。これらの技術成果は高く評価され、第24回GSC賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、SiCパワーデバイス用エピウェハーの更なる普及を進めるとともに、東北大学との共同研究により、CO2及びシリコンスラッジを活用したSiC原料化技術の開発を推進し、更なるCO2排出削減にも取り組んでおります。当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、22,747百万円であります。 (モビリティ)モビリティ分野では、「走る・曲がる・止まる」というモビリティの基本性能の向上を目指し、材料技術や加工技術、シミュレーション技術を活用してモビリティのイノベーションに貢献します。また、顧客との共創を推進し、持続的な成長を実現します。環境規制強化やカーボンニュートラルに向けた社会的要請の高まりを事業機会と捉え、有機・無機・金属材料及びその組合せ技術を活かした分野で成長を目指します。特筆すべき技術開発の代表例として、EV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発中で、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーへサンプル提供を進めております。このブレーキパッドは高い制動力と耐摩耗性を持ち、環境負荷が低く、静粛性にも優れております。また、カーボンニュートラル実現に向けた取り組み例として、計算科学を活用しリサイクル材の高含有を実現したアルミニウム合金を開発しております。当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、3,930百万円であります。 (イノベーション材料)イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、エネルギー領域、インフラケミカルズ、高機能ゲル、及びセラミックスの研究開発を推進しております。テレビなどの大型液晶ディスプレイ、スマートフォン端末などの有機ELに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けております。市場が中国シフトする中で2020年6月に増設を完了した上海においても生産・供給を開始し、現地需要の取り込みに向けお客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入しております。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズMOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリルFAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続しております。特に「ファンクリルFA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱性及び高信頼性の特徴を生かし、電子部品材料用途への横展開を行い、事業拡大を図っております。エネルギー領域では、電力モーターの高性能化に伴う高電圧・耐サージ性に対応できる、xEV向け高耐熱絶縁ワニスの技術開発を継続して進めております。また、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾールLBシリーズ」につきましては、その低抵抗性や優れた温度特性などが評価され、急速充電対応が求められるHEV用途への国内納入を開始いたしました。今後は、市場動向を注視しつつ、xEV向けリチウムイオン電池全般への展開を推進してまいります。インフラケミカルズでは、耐用年数が寿命を迎えた下水道管補修用不飽和ポリエステル樹脂「リゴラック」の光硬化タイプに注力しております。下水道管補修市場においては、熱硬化タイプから環境負荷が小さく、短時間施工が可能な光硬化タイプへの転換が進んでおり、この変化に対し樹脂技術で貢献してまいります。高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックスカラム」では、グループ会社の㈱レゾナック・テクノサービスで販売している「Gelpack」を2026年1月より「Shodex」ブランドに統合することを決定いたしました。より統一された製品戦略のもと、分離材事業のさらなる強化を推進してまいります。環境関連では国際的に規制強化が進むPFASやハロゲン酸化物の高感度分析を可能とする各種カラムの市場展開を推進しております。今後もバイオ・医薬分野、迅速・省溶媒、高感度・高分離に重点を置いたゲル(充填剤)やカラムの研究開発を促進してまいります。セラミックス関連では、電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素等)の開発を行っております。また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の更なる小型化・高容量化に貢献すべく、酸化チタンの微粒子化に向けた課題をお客様との共創により解決し、量産化を実現しました。当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、2,815百万円であります。 (ケミカル)ケミカル分野では、基礎化学品でさまざまな産業の起点・インフラとなる製品、機能性素材を提供するとともに、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでおります。機能性素材では、接着用途やコーティング用途でラテックス素材の新設計による機能付与を進めており、お客様での作業性改善等の期待が高くなっております。化粧品原料では、新製品の開発に加えて、既存の製品での新たな価値を見出しており、お客様での新規化粧品企画の重要成分としての評価・利用が進んでおります。カーボンニュートラルの取り組みとして、社会的な強いニーズを受けてプラスチックリサイクルの処理能力強化、派生製品への展開を進めてまいります。長期R&Dの取り組みとして、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、岐阜大学、三菱化工機㈱とともに、アンモニア燃焼器用改質器ユニット及び燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働し、アンモニア分解技術を活用した化学品事業のビジネスモデルの創出を目指します。また、日本製鉄㈱、日鉄エンジニアリング㈱、富山大学の4者で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」といいます。)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」において、「CO2由来メタノール経由青酸、グリシン製造の研究開発」に取り組んでおります。当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,781百万円であります。 (クラサスケミカル)クラサスケミカル分野では、オレフィン事業、有機化学品事業、合成樹脂事業の3事業を営んでおり、主要な誘導品事業であるアセチル製品群の更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を目的とした触媒性能の向上、運転条件の最適化に取り組んでおります。コア技術である触媒技術を活用し、最先端の技術開発を完成させ、事業強化に貢献します。また、人々の暮らしに欠かすことができない石油化学産業で、カーボンニュートラルと循環型社会の構築をリードし、サステナブルな社会の実現に貢献することを基本方針としております。そのため、研究開発は当社グループにとって重要課題の一つであると認識しており、十分な人員、資金を配することで新たな競争力の源泉を確立し、地域・社会と共生する共創型グリーンコンビナートを目指していきたいと考えております。長期的な取り組みとして、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、日本製鉄㈱とともに、低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発、及び回収したCO2を原料に化学品を製造する技術検証に取り組んでおります。当連結会計年度におけるクラサスケミカルセグメントの研究開発費は、1,516百万円であります。 (その他)計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでまいりました。材料検査において、ディープラーニングを活用した画像解析技術を導入し、検査精度の向上と自動化による検査時間の短縮を推進し、AI画像解析で精度を約4割改善しました。共創の舞台では、宇宙空間での高機能半導体材料の研究・開発・製造に関して、微小重力及び低軌道の真空条件下で、半導体や半導体パッケージング向けの次世代半導体材料製造の可能性を探ります。また、宇宙線に起因する電子機器の誤動作(ソフトエラー)を低減する半導体封止材の評価実験を国際宇宙ステーション(ISS)で開始しました。当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め13,669百万円であります。
FY2024|6,414 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、「世界No.1技術・製品を生み出し続ける」と言うビジョンのもと、技術の染み出しによるイノベーションの実現、事業本部を横断する技術開発の牽引、社会を変える長期R&Dの推進、という3つのミッションを掲げ、私たちの強み(コアコンピタンス)である、「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の技術共鳴(レゾナンス)によるシナジー創出を図りながら、最短かつ確実に社会課題にお応えできるよう、研究開発活動に取り組んでおります。またオープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社内外から積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力しております。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、44,806百万円であります。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。 (半導体・電子材料) 半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進しております。 一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(情報電子化学品(電子材料用高純度ガス・機能性薬品)、半導体回路平坦化用研磨材料)、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(ハードディスク、SiCエピタキシャルウェハー(以下、「SiCエピウェハー」といいます。)、化合物半導体(LED))等の付加価値を高める開発をしました。 半導体前工程分野では、半導体製造プロセス材料として各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、超高純度溶剤の開発を進め、市場展開しております。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進めます。 半導体後工程分野では、AI半導体などの高性能半導体向け材料として絶縁接着フィルム「NCF」、及び放熱シート「TIM」の生産能力を従来の3.5~5倍に拡大することを決定し、市場での競争力を一層強化してまいります。さらには、先端半導体の製造に使用する高解像度の感光性フィルムを新たに開発し、先端パッケージの有機インターポーザーにおいて、線幅と配線間隔が各1.5マイクロメートルという微細な銅回路形成を実現します。この高解像度を達成するために、計算情報科学研究センター、高分子研究所、感光性材料開発部、パッケージングソリューションセンターの4つの部門が共創し、新規ポリマー樹脂を開発しました。また、外部との更なる共創活動として、半導体製造の後工程の自動化を目的とする「半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)」に参画しました。半導体材料メーカーとして、先端パッケージと後工程の研究開発で培った知識・経験を活用して、SATASの組立工程と検査工程を対象としたプロセス開発に貢献してまいります。次世代半導体パッケージ分野において、半導体の製造装置・材料メーカーの枠を超えて日本で進めてきた半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「JOINT」、及び「JOINT2」の取り組みに加え、日米の材料・装置等の企業12社によるコンソーシアム「US-JOINT」を米シリコンバレーに設立することを発表し、2025年稼働に向けてクリーンルームや装置導入等の準備を進めております。 ハードディスクについては、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しております。世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式の高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスク向け高密度記録方式であるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクに関して米シーゲイト・テクノロジー社と共同開発を進めております。シングルド記録方式では、アルミ基板を用いて当社の最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最高の記録容量となる1枚あたり2.8テラバイトの製品を出荷しております。 SiCエピウェハーについては、世界最大の外販メーカーとして、最高水準の品質の製品を提供し、国内外のデバイスメーカーから高い評価を得ております。SiCエピ膜製造に関しては、(一財)電力中央研究所、㈱デンソー、㈱ニューフレアテクノロジーと共同で、研究開発テーマ「高品質SiC単結晶膜の高速製造技術の開発と応用」について「第50回(2023年度)岩谷直治記念賞」を受賞しました。2022年に開始した内製基板を用いた8インチSiCエピウェハーのサンプル出荷を進めるとともに、さらなる品質向上に向けて、(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」といいます。)の「グリーンイノベーション基金事業」において研究開発を進めております。ここでは、より高速でエピウェハーを製造する高速昇華法技術の開発にも取り組んでおります。なお、先駆的な技術開発の成果により取得した特許群は、2024年米LexisNexis社PatentSight+の特許データベースを用いた有効特許に対する総特許価値でグローバルトップです。仏KnowMade社による特許分析においても高く評価されております。さらに当社は先進的な半導体基板材料を製造する仏ソイテック社と、パワー半導体に使用される8インチのSiCエピウェハーの材料となる8インチSiC貼り合わせ基板の共同開発契約を締結しました。SiCエピウェハービジネスでのサプライチェーンの多様化を目指します。今後も高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献します。 化合物半導体を用いた発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力しております。成長する車載センサーや高性能フォトカプラなどの赤外領域の発光デバイスを主ターゲットに業界トップの品質とカスタマイズ力によりお客様の要望に応える製品を提供しております。 当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、20,899百万円であります。(モビリティ) モビリティ分野では、自動運転化、電動化、軽量化、電装化、冷却性、安全性といった市場ニーズに幅広い材料ソリューションで応えるとともに、企業の社会的責任としてカーボンニュートラルへの取り組みを一層進めております。具体的には、製品や工場端材のリサイクルやバイオプラスチックの開発を推進しております。 現在、上市中の樹脂ギヤ、樹脂バックドア、負極材、ブレーキパッド、粉末冶金などの製品については、変化する市場動向に迅速に適応するため、開発を継続しております。それらに加えて、自動運転化のためのセンサー対応技術として「ミリ波透過コーティング」、車載デバイスの軽量化と冷却性を両立させた新コンセプトの冷却ユニット「樹脂ウォータージャケット」など、その他の製品技術の開発も進めております。 また、主要な自動車メーカーやTier1サプライヤーにおいて既に主流となっているモデルベース開発(MBD)を継続的に推進しております。MBDでは、自動車システム全体から末端部品の機能や必要性能をモデル上でシミュレーションを実施します。これにより、開発初期段階において3Dモデルと計算科学を活用し、仮想試作や仮想評価を行うことで、自社や顧客の開発時間を大幅に短縮することが可能です。さらに、これまでにない新システムに必要な解析手法や評価方法は、社内の計算情報科学研究センターや大学と共同で開発中です。加えて、2050年のカーボンニュートラルに向けた長期R&Dテーマとして、資源循環型材料の開発を大学との共同研究で進めており、外部機関が主催するコンソーシアムにも参加しております。 先端電池材料については、リチウムイオン電池向け導電助剤である気相法炭素繊維「VGCF-H」の新プラントを川崎事業所内に建設し生産能力を年産300トンから400トンに引き上げました。 アルミニウムでは、市場から要望されている材料、部品及び製品の開発を進めるとともに、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力しております。自動車メーカーと共創しリサイクル材適用増加の検討や次世代冷却器の開発などに取り組んでおります。 当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、6,380百万円であります。 (イノベーション材料) イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、エネルギー領域、インフラケミカルズ、高機能ゲル、化粧品原料、及びセラミックスの研究開発を推進しております。 テレビなどの大型液晶ディスプレイ、スマートフォン端末などの有機ELに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けております。市場が中国シフトする中で2020年6月に増設を完了した上海においても生産・供給を開始し、現地需要の取り込みに向けお客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入しております。また電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズMOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリルFAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続しております。特に「ファンクリルFA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱性及び高信頼性の特徴を生かし、電子部品材料用途への横展開を行い、事業拡大を図っております。 エネルギー領域におきまして、電力モーターの高性能化に伴う高電圧・耐サージ性に対応できる、xEV向け高耐熱絶縁ワニスの技術開発を継続して進めております。また、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾールLBシリーズ」につきましては、その低抵抗性や優れた温度特性などが評価され、急速充電対応が求められるHEV用途への国内納入を開始いたしました。今後は、市場動向を注視しつつ、xEV向けリチウムイオン電池全般への展開を推進してまいります。 インフラケミカルズでは、耐用年数が寿命を迎えた下水道管補修用不飽和ポリエステル樹脂「リゴラック」の光硬化タイプに注力しております。下水道管補修市場においては、熱硬化タイプから環境負荷の小さい光硬化タイプへの転換が進んでおり、この変化に対し樹脂技術で貢献してまいります。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックスカラム」では、新製品として単糖の分離性能を改善した糖分析カラム、次世代医薬品バイオナノパーティクル精製を目的としたゲルろ過カラムの販売を開始し、新市場の獲得を進めております。環境関連では国際的に規制強化が進むPFASやハロゲン酸化物の高感度分析を可能とする各種カラムの市場展開を推進しております。今後もバイオ・医薬分野、迅速・省溶媒、高感度・高分離に重点を置いたゲル(充填剤)やカラムの研究開発を促進します。 化粧品原料では、オンリーワン製品であるビタミンC誘導体「アプレシエ」及びビタミンE誘導体「TPNa」を中心に、市場ニーズの高いアンチエイジング、保湿、アイケア、ヘアケアの分野で新機能を見出し、お客様の製品企画のきっかけを作ることで市場の拡大を図っております。 セラミックス関連では、電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム)の開発を行っております。また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の更なる小型化・高容量化に貢献すべく、酸化チタンの微粒子化に向けた課題をお客さまとの共創により解決し、量産化を実現しました。 当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、2,754百万円であります。 (ケミカル) ケミカル分野では、石油化学・基礎化学で、さまざまな産業の起点・インフラとなる製品を提供するとともに、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでおります。 石油化学においては、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進しております。主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めております。大分コンビナートの酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸アリルのプラントは、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求しております。 長期R&Dの取組みとして、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、日本製鉄㈱とともに、低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発及び、回収したCO2を原料に化学品を製造する技術検証に取り組み、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。また、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、岐阜大学、三菱化工機㈱とともに、アンモニア燃焼器用改質器ユニット及び燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働し、アンモニア分解技術を活用した化学品事業のビジネスモデルの創出を目指します。 当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,942百万円であります。 (その他) 計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでまいりました。 半導体パッケージ用レジストの感光性樹脂の原料となるポリマー探索でも、AIを活用し、材料の最適な組成を従来の5分の1の時間で探索できる独自技術を確立し、さらに、材料探索の汎用ツールとして本技術の社内展開を開始しております。 材料開発のためのシミュレーションとして一般的に用いられる計算手法「第一原理計算」と、AIを融合した新しいシミュレーション技術「ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)技術」を、CMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムのシミュレーションに初めて導入し、解明しました。NNP技術は、これまで難しかった化学反応のシミュレーションを、第一原理計算と同程度の精度を維持しながら、10万倍以上の速度で実施できる技術です。当社は、本技術により複雑な半導体製造プロセスで起きている材料の挙動を解明し、迅速な新材料創出に繋げます。 過去蓄積してきたデータや文書を、生成AIにより対話形式で活用できる社内システムChat Resonacを構築しました。技術文書だけにとどまらずガイドライン統合業務効率化など全社での活用が進んでおります。 共創の舞台では、長期R&Dテーマとして、循環型ケミカルリサイクルを目指し、カーボンリサイクルテーマを推進しております。また6G向け半導体の新材料開発テーマとして、次世代高速通信材料テーマにも取り組んでおります。 当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め12,830百万円であります。
FY2023|6,834 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、2023年1月に昭和電工㈱と昭和電工マテリアルズ㈱が統合してレゾナックとなり、「統合新会社の長期ビジョン」に基づき、当社グループの成長の中心となる事業に研究開発資源を集中し、シナジーの顕現に繋がる新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めています。 「世界No.1技術・製品を生み出し続ける」と言うビジョンのもと、技術の染み出しによるイノベーションの実現、事業本部を横断する技術開発の牽引、社会を変える長期R&Dの推進、という3つのミッションを掲げ、私たちの強み(コアコンピタンス)である、「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の技術共鳴(レゾナンス)によるシナジー創出を図りながら、最短かつ確実に社会課題にお応えできるよう、研究開発活動に取り組んでいます。またオープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力しています。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、42,697百万円であります。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。(半導体・電子材料) 半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進しています。 一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(情報電子化学品(電子材料用高純度ガス・機能薬品)、半導体回路平坦化用研磨材料)、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(ハードディスク、SiCエピタキシャルウェハー(以下、SiCエピウェハー)、化合物半導体(LED))等の付加価値を高める開発をしました。 半導体前工程分野では、半導体製造プロセス材料として各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開しています。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進めます。 半導体後工程分野では、プリント配線板用高機能積層材料に関し、低そり性や高耐熱特性を実現する高い技術力が評価された結果、一般社団法人日本化学工業協会より表彰されました。今後の半導体デバイスの微細化、大面積化に対応する優れた半導体パッケージ材料の開発を推進します。また、オープンイノベーションの活動として、当社が中心となり設立した国内の材料・装置メーカー13社で共同研究を進める次世代半導体パッケージ実装技術開発のコンソーシアムにおける研究開発の成果を発表しました。さらには、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージング及び材料の研究開発センターの開設を予定し、導入設備などの調査、準備を開始しました。 ハードディスクについては、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd.と熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクの共同開発を継続実施しています。世界最大の記録容量である第10世代として、シングルド記録方式に対応し、アルミ基板を用いて当社の最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最大となる1枚あたり2.6テラバイトハードディスクの出荷をしています。 SiCエピウェハーについては、世界最大の外販メーカーとして、最高水準の品質の製品を提供し、国内外のデバイスメーカーから高い評価を得ています。当社製品は、㈱デンソー製のインバーターの駆動素子に採用されました。同インバーターはトヨタ自動車㈱が発表したLEXUS初のバッテリーEV(BEV)専用モデル、新型「RZ」に搭載されています。インバーターの駆動素子へのSiCエピウェハーの採用はLEXUSとして初となります。また、Infineon Technologies AG と新たな複数年の供給・協力契約を締結し、共同開発を含む提携関係を強化するなどの取り組みを継続的に行っています。また、現在量産中の第2世代製品の品質をさらに高めた第3世代ハイグレードSiCエピウェハーを開発し、量産を開始しました。本製品は、第29回半導体・オブ・ザ・イヤー2023において半導体用電子材料部門の優秀賞を受賞しました。さらに、SiCエピウェハーを構成する6インチのSiC基板の量産について、2022年日経優秀製品・サービス賞の最優秀賞を受賞しました。2022年に開始した、当社製基板を用いた8インチSiCエピウェハーのサンプル出荷を進めるとともに、さらなる品質向上に向けて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」において研究開発を進めています。今後も高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献します。 化合物半導体を用いた発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力しており、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発しました。成長する車載センサーや高性能フォトカプラなどの赤外領域の発光デバイスを主ターゲットに業界トップの品質とカスタマイズ力によりお客様の要望に応える製品を提供しています。 当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、18,508百万円であります。(モビリティ) モビリティ分野では、CASEの進展などに伴う自動運転化、電動化、軽量化、電装化、冷却性、安全性に関係する市場ニーズに幅広い材料ソリューション力で応えるとともに、企業の社会的責任としてカーボンニュートラルへの取り組みをより一層進めるため、リサイクル性、バイオプラスチックの適用検討を開発に取り込み推進しています。 現在上市中の樹脂ギヤ、樹脂バックドア、負極材、ブレーキパッド、粉末冶金等の製品は変化する市場動向にいち早く適応するべく開発を継続推進中ですが、それらに加えて新たに自動運転化のためのセンサー対応技術として「ミリ波透過コーティング」、車載デバイスの軽量化と冷却性を両立、向上させた新コンセプト冷却ユニットの「樹脂ウォータージャケット」、その他の製品技術の開発及び資源循環型材料の開発を進めています。 また、顧客である主要カーメーカーやTier1において既に主流である、自動車システム全体から末端部品の機能や必要性能をモデル上でシミュレートするモデルベース開発手法(MBD)の導入を継続推進しています。開発初期段階において3Dモデルと計算科学を用いて仮想試作・仮想評価をすることで、自社や顧客での開発時間を大幅に短縮できます。また、これまでにない新システムに必要となる解析手法や評価方法は、社内の計算情報科学研究センターや大学と開発中です。また、2050年のカーボンニュートラルに向けた長期R&Dテーマとして、資源循環型材料の開発も大学との共同研究中です。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、導電助剤である気相法炭素繊維「VGCF-H」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めています。 当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、5,659百万円であります。(イノベーション材料) イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、高機能ゲル、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連、アルミニウム及びセラミックスの研究開発を推進しています。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けています。市場が中国シフトする中で2020年6月に増設を完了した上海においても生産・供給を開始し、現地需要の取り込みに向けお客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入しています。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズMOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリルFAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続しています。特に「ファンクリルFA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱性及び高信頼性の特徴を生かし、車載用途への横展開を行い、事業拡大を図っています。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックスカラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めています。次世代医薬品に位置付けられている核酸医薬品の高感度分析を従来よりも簡易な条件で行うことが可能な内径1mmのHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラムを製品化し、アプリケーションで有用性を示しながら市場浸透を図っています。環境関連では国際的に規制強化が進むPFASやハロゲン酸化物の高感度分析を可能とする各種カラムの市場展開を推進しています。今後も特にバイオ・医薬分野、迅速・省溶媒、高感度・高分離に重点を置いたゲル(充填剤)やカラムの研究開発を促進します。 化粧品原料では、オンリーワン製品であるビタミンC誘導体「アプレシエ」及びビタミンE誘導体「TPNa」を中心に、未知の機能の探索・検証に注力し、市場ニーズの高いアンチエイジング、保湿、アイケア、ヘアケアの分野で新機能を見出しています。それらのエビデンスデータをお客様にご提供し、お客様の製品企画のきっかけを作ることで市場の拡大を図っています。 インフラケミカルズでは、耐用年数が寿命を迎えた下水道管の補修用不飽和ポリエステル樹脂「リゴラック」の光硬化タイプに注力し、技術開発を継続しています。 エネルギー関連では、電力モーターの高性能化による高電圧・耐サージ性に応じられる、xEV向け高耐熱絶縁ワニスの技術開発を継続しています。 リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾールLBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性などが認められ、急速充電対応を求められる車載用途に国内で納入が開始されました。またリチウムイオン電池の最大需要地である中国での生産体制を構築し、一部供給を開始しました。今後もさらに市場ニーズを見据えつつ研究開発を加速し、車載用途への拡大を推進していきます。リチウムイオン電池用セパレーターのセラミック耐熱層用バインダーとして最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「PNVA」は、電池の安定性向上に寄与し、市場展開を継続しています。 アルミニウムでは、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めるとともに、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力しています。素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれています。また、カーボンニュートラル対応プロセス技術の量産適用、シミュレーションを活用した機械的特性の予測などにも取り組んでいます。冷却器関連では、パワーデバイス向けモジュール提案に向けた熱マネジメントシステムの開発・評価を強化し、次世代冷却器の開発に取り組んでいます。 確実な成長が見込まれる半導体市場において、セラミックス関連では、半導体の研磨プロセスに使用されるセラミックス砥粒や、半導体用封止材の誘電率を制御するためのフィラーの研究開発に注力しています。当社グループの基盤技術である分子設計から原料を「作る技術」と、原料を配合し機能を設計する「混ぜる技術」の融合により、次世代の顧客ニーズに合致した性能を有する複合材料の提供を目指します。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム)の開発を行っています。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めています。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいます。 当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、3,451百万円であります。(ケミカル) ケミカル分野では、石油化学・基礎化学で、さまざまな産業の起点・インフラとなる製品を提供するとともに、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでいます。 石油化学においては、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進しています。主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めています。大分コンビナートの酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸アリルのプラントは、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求しています。 長期R&Dの取組みとして、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、日本製鉄㈱とともに、低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発及び、回収したCO2を原料に化学品を製造する技術検証に取り組み、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。また、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、岐阜大学、三菱化工機㈱とともに、アンモニア燃焼器用改質器ユニット及び燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働し、アンモニア分解技術を活用した化学品事業のビジネスモデルの創出を目指します。 当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,867百万円であります。(その他) 計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んできました。半導体前工程材料のCMPスラリーの研磨機構を、ニューラルネットワークポテンシャルを用いた分子動力学計算を実施して計算結果を仮想現実技術で解析することで解明しました。 Enthought Inc.とのマテリアルズ・インフォマティクス(MI)推進プログラムを開始して、MI解析ツール開発、プラットフォーム開発、MLOps(機械学習オペレーション)に長けた人材育成をより強化しました。 ディープラーニング技術を用いたAIの進化と膨大な蓄積データを用いるケモインフォマティクスアプリを自社開発し、運用を開始しました。情報科学による予測技術を活用することで、新しい化合物の開発における物性計算などの時間が大幅に短縮することが可能となりました。 世の中のニーズや社会の声を聴き、社会課題を解決するため、当社グループのR&Dの中核となるオープンイノベーションの拠点「共創の舞台」(神奈川県横浜市)を設立しました。当社グループの強みである「計算情報科学」「材料解析」「量産化技術・設備管理」「化学品安全管理・評価」の機能を持つ組織が集積し活動しています。「共創の舞台」で活動を行っている、「次世代高速通信材料」テーマでは、2023年より6G向け半導体の新材料開発を開始しました。 当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め13,213百万円であります。
FY2022|6,623 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、昭和電工マテリアルズ㈱との統合に向けた「統合新会社の長期ビジョン」に基づき、コア成長事業・次世代事業・安定収益事業・基盤事業の4つの事業群の中で、特に中長期的に当社グループの成長の中心となる事業に研究開発資源を集中し、シナジーの顕現に繋がる新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。 従来当社グループが保有する川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、両社の評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の技術の融合によって、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化すると共に、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、47,135百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(半導体・電子材料) 半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進している。 一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(情報電子化学品(電子材料用高純度ガス・機能薬品)、半導体回路平坦化用研磨材料)、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(ハードディスク、SiCエピタキシャルウェハー、化合物半導体(LED))等の付加価値を高める開発をした。 半導体前工程分野では、半導体製造プロセス材料として各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 半導体後工程分野では、プリント配線板用高機能積層材料に関し、低そり性や高耐熱特性を実現する高い技術力が評価された結果、一般社団法人日本電子回路工業会より表彰された。 記録材料については、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd.と熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクの共同開発を継続実施した。世界最大の記録容量である第10世代として、シングルド記録方式に対応し、アルミ基板を用いて当社の最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最大となる1枚あたり2.6テラバイトハードディスクの出荷をしている。 世界最大のSiCエピウェハー(以後、SiCエピ)外販メーカーとして、最高水準の品質のSiCエピを提供し、国内外のデバイスメーカーから高い評価を得ている。更なる品質向上や安定供給体制構築の一環として、SiCエピの製造に不可欠なSiCウェハー(以後、SiC基板)の自社生産を検討、複数のお客様の採用を受け、2022年3月に自社製6インチSiC基板を用いたSiCエピの量産を発表した。さらに、市場ニーズの高まりを受け、2021年より200mm基板の開発を本格化させている。2022年9月には自社製の200mmSiC基板を用いたSiCエピのサンプル出荷を発表した。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に造成されたグリーンイノベーション基金事業の次世代デジタルインフラの構築プロジェクトの研究開発項目の一つである「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」に採択され、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」として研究開発を始めた。この中で、SiCバルク単結晶の高速成長技術開発においては国立研究開発法人産業技術総合研究所と協力して研究開発を実施中である。今後も高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献する。 化合物半導体を用いた発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力しているが、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発した。成長する車載センサーや高性能フォトカプラなどの赤外領域の発光デバイスを主ターゲットに業界トップの品質とカスタマイズ力によりお客様の要望に応える製品を提供している。 当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、25,032百万円であった。(モビリティ) モビリティ分野では、CASEの進展などに伴う自動運転化、電動化、軽量化、電装化、冷却性、安全性に関係する市場ニーズに幅広い材料ソリューション力で応えると共に、企業の社会的責任としてカーボンニュートラルへの取り組みをより一層進めるため、リサイクル性、バイオプラの適用検討を開発に取り込み推進している。 現在上市中の樹脂ギヤ、樹脂バックドア、負極材、ブレーキパッド、粉末冶金等の製品は変化する市場動向にいち早く適応するべく開発を継続推進中であるが、それらに加えて新たに自動運転化のためのセンサー対応技術として「ミリ波透過コーティング」、車載デバイスの軽量化と冷却性を両立、向上させた新コンセプト冷却ユニット、「樹脂ウォータージャケット」及び「ラミクーラー」他の開発及び資源循環型材料の開発を進めている。また、顧客である主要カーメーカーやTier1において、自動車システム全体から末端部品の機能や必要性能をモデル上でシミュレートするモデルベース開発手法(MBD)の導入が一般的になっていることから、これに対応するため、社内蓄積のものづくりノウハウを体系的にデータ化、整理、応用し、当社独自のMBDの開発スタイルを構築している。このように一層のDX化を積極的に進め、新たな高効率開発スタイルへ変革中である。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、導電助剤である気相法炭素繊維「VGCF®-H」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、5,914百万円であった。(イノベーション材料) イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、高機能ゲル、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連、アルミニウム及びセラミックスの研究開発を推進している。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けている。2020年6月に増設を完了した中国においても生産・供給を開始し、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズ®MOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリル®FAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。特に「ファンクリル®FA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱透明性の特徴を生かし、車載用光学粘着剤に採用され、事業拡大を図っている。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない高速分析と省溶媒を実現した有機溶媒系SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能な水系SEC用充填カラム、水道水や環境水中の陰イオンの高感度分析を実現したIC(イオンクロマトグラフィー)用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 化粧品原料では、保湿効果及び抗大気汚染物質効果に加え、新たに見出した抗ウィルス効果を持つ糖誘導体「モイストール®」を開発した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、肌荒れ防止に加え、アイケア用途でも注目され出荷も継続して行っている。 インフラケミカルズでは、水力発電向け補修材の試験施工を積極的に実施した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。 エネルギー関連では、xEV向け高耐熱絶縁ワニスは、電力モーターの高性能化による高電圧・耐サージ性に応じられる製品の技術開発を継続している。 リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性などが認められ、急速充電対応を求められる車載用途に国内外で採用された。またリチウムイオン電池の最大需要地である中国での生産体制を構築し、一部供給を開始した。今後もさらに市場ニーズを見据えつつ研究開発を加速し、車載用途への拡大を推進していく。リチウムイオン電池用セパレーターのセラミック耐熱層用バインダーとして最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「PNVA®」は、電池の安定性向上に寄与し、市場展開を継続している。 アルミニウムでは、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。また、カーボンニュートラル対応のプロセス技術の量産適用にも取り組んでいる。冷却器関連では、パワーデバイス向けモジュール提案に向けた熱マネジメントシステムの開発・評価を強化し、次世代冷却器の開発に取り組んでいる。 確実な成長が見込まれる半導体市場において、セラミックス関連では、半導体の研磨プロセスに使用されるセラミックス砥粒や、半導体用封止材の誘電率を制御するためのフィラーの研究開発に注力している。昭和電工の分子設計から原料を作る技術と昭和電工マテリアルズの原料を配合し機能を設計する混ぜる技術の融合により、次世代の顧客ニーズに合致した性能を有する複合材料の提供を目指す。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム)の開発を行っている。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。 当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、4,708百万円であった。(ケミカル) ケミカル分野では、石油化学・基礎化学で、さまざまな産業の起点・インフラとなる製品を提供すると共に、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでいる。 石油化学においては、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。当社技術を用いた大分の酢酸エチルプラントは、2014年の稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,830百万円であった。(その他) 計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでおり、半導体材料の最適な配合探索にかかる時間を、量子コンピューティング技術を活用し、従来の数十年以上から数十秒に大幅に高速化可能であることを富士通㈱と協力し実証した。 人工知能(AI)を用いた材料開発においては、機械学習モデルを効率的に運用する仕組みであるMLOps(機械学習オペレーション)を他社に先行して構築し、活用を開始した。これにより、機械学習モデルの開発からシステムの運用までの一連の流れに要する時間を短縮することが可能となり、また常に最新のデータを基に材料の特性予測を行えることで、材料開発の迅速化を実現した。 従来難しかった「配位結合を有する化学物質」を含め、物質の特性を解明するための鍵を握る「最安定構造」の特定を自動で行うことができる新システムをQuantum Simulation Technologies, Inc. と共同で開発した。 電子実験ノートの活用も進めており、実験の生データを入力する電子実験ノートから、データを活用するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)ウェブアプリまでを一気通貫で接続し、MIウェブアプリからAIモデル構築に使用された生データへ容易にアクセスできる機能を実装したデータパイプラインを他社に先駆けて構築した。 長期R&Dの取り組みとして、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」に対し、日本製鉄㈱と共に「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」を提案し、採択された。本プロジェクトは2030年までの9年間を想定しており、工場排ガスなどに含まれている低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発及び、回収したCO2を原料に使用した化学品を製造する技術検証に取り組む。これにより、CO2分離回収プラント事業及び分離剤事業の創出・拡大に加え、化石由来資源に依存しない、CO2を活用した化学品事業のビジネスモデルを創出し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。 2018年度に横浜市が実施した京浜臨海部守屋・恵比須地区研究開発拠点施設整備・運営等事業による公募において、当該地区で整備を進めていた研究開発複合施設「共創の舞台」を2022年5月に開所した。「共創の舞台」では、社内外の多様な人々と連携しながら、持続可能な社会実現に貢献する長期の研究開発テーマ「次世代高速通信材料」「プラスチックリサイクル」の研究開発を推進すると共にR&D活動を支援・強化するプラットフォーム、現業も含めた研究開発支援を担う4センター(材料科学解析、計算科学・情報、プロセスソリューション、化学品管理・評価)も活動を行っている。 当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め9,652百万円であった。
FY2021|5,327 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、昭和電工マテリアルズ㈱との統合に向けた「統合新会社の長期ビジョン」に基づき、コア成長事業・次世代事業・安定収益事業・基盤事業の4つの事業群の中で、特に中長期的に当社グループの成長の中心となる事業に研究開発資源を集中し、シナジーの顕現に繋がる新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。 従来当社グループが保有する川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、両社の評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の技術の融合によって、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化するとともに、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力している。 さらに両社の多様な技術領域を融合し、ESGの観点から新たな研究開発テーマの創出・推進を実現するため、グローバル研究開発拠点「融合の舞台」(横浜市神奈川区)の竣工を2022年春頃に予定している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、46,750百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。2014年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、1,183百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連などの研究開発を推進している。 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、さらにお客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。リチウムイオン電池のセパレーターのセラミック耐熱層用バインダーに最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「GE191シリーズ」の展開を継続している。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、保湿効果及び新たに見出した抗大気汚染物質効果をもつ糖誘導体「モイストール®」を開発した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷も継続して行っている。 インフラケミカルズでは水力発電向け補修材の試験施工を積極的に実施した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。 エネルギー関連では、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後もさらに研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化へ寄与していく。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、2,737百万円であった。 (エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd.と熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクメディアを共同開発する契約を締結した。また、㈱東芝 研究開発センターと東芝デバイス&ストレージ㈱の提唱する新記録原理に基づいた次世代記録技術強磁性共鳴効果マイクロ波アシスト磁気記録に対応したハードディスクドライブ用のハードディスクを開発した。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクの出荷をしている。 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ(HGE)」が良好な評価を得ており、さらに高品質な「HGE-2G」も開発し、㈱デンソー製の燃料電池自動車向け次期型昇圧用パワーモジュールに採用され、Infineon Technologies AGと長期販売及び共同開発に関する契約を締結、ローム㈱、東芝デバイス&ストレージ㈱とも長期供給契約を締結するなど、積極的に市場展開している。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、カーボンナノファイバー「VGCF®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、5,686百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。アルミナや窒化ホウ素に加えて、高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを新たに開発した。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、571百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。2018年2月喜多方事業所(福島県)内に開所した研究施設「アルミ製品評価センター」における評価・解析技術に加え、人工知能(AI)を活用することでアルミ合金の開発を強化するとともに、冷却器関連では、パワーデバイス向けモジュール提案に向けた熱マネジメントシステムの開発・評価を強化している。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、1,107百万円であった。(昭和電工マテリアルズ) 昭和電工マテリアルズ分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進している。 機能材料では、主要製品である電子材料、配線板材料に関する研究開発を進めている。一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体回路平坦化用研磨材料、5G対応プリント配線板用積層材料等の付加価値を高める開発をした。 先端部品・システムでは、主要製品であるモビリティ部材、ライフサイエンス関連製品に関する研究開発を進めている。一例としては、銅含有量を極めて少量に抑えたディスクブレーキパッド等の付加価値を高める開発をした。 当連結会計年度における昭和電工マテリアルズセグメントの研究開発費は、28,517百万円であった。(その他) プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においては高純度フラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 研究開発における人工知能(AI)活用も積極的に取り組んでいる。内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMS、東京大学とともに、AIの一種であるニューラルネットワークを活用し、材料開発を加速し、さらにより広範囲での最適な合金設計条件の探索を可能とするシステムの開発を進めた。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)分野に関してはLux Research Inc.の調査でMI活用の世界トップ10大企業に選ばれた。手書き 文字を含む技術文書をAIで高精度自動読み取りし電子テキスト化する機能と、利便性の高い検索機能を併せ持つ技術文書活用データベースシステムを開発した。さらに、日本IBMと共同で、AIを用いて特許情報の効率的なスクリーニングを支援する特許読解支援システムを開発し全社で運用を開始している。 接合分野では、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick®」を開発し、6月からサンプル提供を開始した。軽量性、耐熱性、強度などの単一素材では解決できない高度なニーズに対し、簡便かつ効果的な接合ソリューションを提案し、お客様のコスト低減や製造プロセスの効率化による二酸化炭素の排出量削減貢献を推進していく。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、6,949百万円であった。
FY2020|5,246 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、連結中期経営計画「The TOP 2021」に基づき、「移動・輸送」「エネルギー」「ライフスタイル」「情報電子」「建設・インフラ」「産業機器」「ライフサイエンス&ヘルスケア」という7つの事業領域に対応した「マルチマテリアル」「異種材料接合」「次世代半導体プロセス」など10の技術領域に研究開発資源を集中し、新たな個性派事業創出に繋がる次世代の新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。 日立化成㈱及びその子会社を連結の範囲に含めたことに伴い、従来当社グループが保有する川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下アプリケーション技術、両社の評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の技術の融合によって、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化するとともに、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現に注力している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、34,379百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。2014年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、1,193百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連などの研究開発を推進している。 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、さらにお客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。リチウムイオン電池のセパレーターのセラミック耐熱層用バインダーに最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「GE191シリーズ」の展開を本格化した。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。上記を含む当社の高機能性イソシアネートモノマーが粘接着剤・塗料業界における樹脂のデザイン・機能の向上を実現し、業界に貢献したことが評価され2020年度第42回日本接着学会技術賞を受賞した。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、保湿効果及び新たに見出した抗大気汚染物質効果をもつ糖誘導体モイストール®を開発した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷も継続して行っている。 インフラケミカルズでは水力発電向け補修材の試験施工を積極的に実施した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。 エネルギー関連では、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後もさらに研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化へ寄与していく。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、2,916百万円であった。 (エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っている。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクの出荷をしている。 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ(HGE)」が良好な評価を得ており、さらに高品質な「HGE-2G」も開発し、㈱デンソー製の燃料電池自動車向け次期型昇圧用パワーモジュールに採用されるなど、積極的に市場展開している。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、カーボンナノファイバー「VGCF®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。「SPALF®」については、車載等の大型用途向け新グレードを開発し、量産設備の導入を決定した。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、5,530百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。アルミナや窒化ホウ素に加えて、高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを新たに開発した。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、617百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めるとともに、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。2018年2月喜多方事業所(福島県)内に開所した研究施設「アルミ製品評価センター」における評価・解析技術に加え、人工知能(AI)を活用することでアルミ合金の開発を強化している。 圧延素材関連では、高熱伝導・高強度アルミニウム板材「ST60」の新グレード「ST60-HSM®」の開発・販売を引き続き進めている。本製品は純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)を持ちながら、アルミニウム合金A6061に匹敵する高強度を実現したものであり、各種筐体ディスプレイ用シャーシなどの放熱部材や軽量高強度・高導電性の特長を活かしてバスバーなど導体部材等への採用拡大を目指している。 アルミ缶では、グラビア印刷と同等の写真やグラデーションなど、諧調のあるデザインの再現性を向上できるインクジェット方式の印刷技術を開発し、市場開拓を進めている。新方式は製版・刷版工程が不要なことから、データ入稿から納品までの期間を大幅に短縮でき、小さなロットサイズでも生産可能なことから新たなニーズが期待できる。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、1,587百万円であった。(昭和電工マテリアルズ) 昭和電工マテリアルズ分野では、技術革新に対応した新製品の創出と新規市場の開拓等を目的として、次世代事業のコア技術となる「基盤技術開発」を担う部門と各事業部門の「新製品開発」に注力する部門がグループ会社の研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を進めている。 機能材料では、主要製品である電子材料、配線板材料、電子部品に関する研究開発を進めている。一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体回路平坦化用研磨材料、5G対応プリント配線板用積層材料等を開発した。 先端部品・システムでは、主要製品であるモビリティ部材、蓄電デバイス・システム、ライフサイエンス関連製品に関する研究開発を進めている。一例としては、銅含有量を極めて少量に抑えたディスクブレーキパッド等を開発した。 当連結会計年度における昭和電工マテリアルズセグメントの研究開発費は、15,101百万円であった。(その他) プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においては高純度フラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むとともに、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 研究開発における人工知能(AI)活用も積極的に取り組んでいる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」の委託事業に参画し、要求特性を満たすポリマーを設計する際の試行回数を大幅に低減できることを見いだしている。また、過去数十年にわたり蓄積してきた技術文書の貴重な知見を有効活用するために、手書き文字を含む技術文書をAIで高精度自動読み取りし電子テキスト化する機能と、利便性の高い検索機能を併せ持つ技術文書活用データベースシステムを開発した。さらに、日本IBMと共同で、AIを用いて特許情報の効率的なスクリーニングを支援する特許読解支援システムを開発し全社で運用を開始したほか、BLUE TAG㈱と共同で、AIを用いた球状アルミナの画像解析システムを開発した。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、7,434百万円であった。
FY2019|4,911 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、連結中期経営計画「The TOP 2021」に基づき、「移動・輸送」「エネルギー」「ライフスタイル」「情報電子」「建設・インフラ」「産業機器」「ライフサイエンス&ヘルスケア」という7つの事業領域に対応した「マルチマテリアル」「異種材料接合」「次世代半導体プロセス」など10の技術領域に研究開発資源を集中し、新たな個性派事業創出に繋がる次世代の新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。 当社グループの現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化するとともに、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現に注力している。「The TOP 2021」の始動にあたり、融合製品開発研究所の再編により機能を拡大し、技術の深化・融合を加速させている。さらに、対面業界に捉われない自由な発想・視点に基づく次世代テーマや先端技術の探索機能として先端技術ラボを新設した。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、20,605百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。2014年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、1,314百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連などの研究開発を推進している。 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、さらにお客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。半導体や電子部品の放熱性を高めるカーボンコート箔テープ「HSシリーズ」に柔軟性を高めた新シリーズを拡充し、サンプル出荷を開始した。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、保湿効果が知られるイノシトールにオリゴ糖を付加した糖誘導体Moistol®を開発し、販売を開始した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷も継続して行っている。 インフラケミカルズでは、インフラ構造物の延命、補修に注目し、岩手県遠野市及び同市内の施工会社の協力を得て、本開発品の橋梁補修における有効性を確認する実証実験を開始した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。 エネルギー関連では、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後もさらに研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化へ寄与していく。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、3,063百万円であった。 (エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っている。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクの出荷をしている。 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ(HGE)」が良好な評価を得ており、月産9,000枚に設備増強を行った。さらに高品質な「HGE-2G」も開発し、積極的に市場展開している。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、寿命、入出力、低抵抗性、容量を満たす、黒鉛負極材「SCMG®」、高容量Si黒鉛負極材、カーボンナノファイバー「VGCF®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、6,334百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、597百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。2018年2月喜多方事業所(福島県)内に開所した研究施設「アルミ製品評価センター」における評価・解析技術に加え、人工知能(AI)を活用することでアルミ合金の開発を強化している。 圧延素材関連では、高熱伝導・高強度アルミニウム板材「ST60」の新グレード「ST60-HSM®」の開発・販売を引き続き進めている。本製品は純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)を持ちながら、アルミニウム合金A6061に匹敵する高強度を実現したものであり、各種筐体ディスプレイ用シャーシなどの放熱部材や軽量高強度・高導電性の特長を活かして導体部材などへの採用拡大を目指している。 アルミ缶では、グラビア印刷と同等の写真やグラデーションなど、諧調のあるデザインの再現性を向上できるインクジェット方式の印刷技術を開発し、市場開拓を進めている。新方式は製版・刷版工程が不要なことから、データ入稿から納品までの期間を大幅に短縮でき、小さなロットサイズでも生産可能なことから新たなニーズが期待できる。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、1,971百万円であった。(その他) 当社独自技術である高輝度LED照明等の植物工場向け製品については、継続した研究活動により高速栽培技術「S法」の適用範囲を広げ、市場開拓に取り組んでいる。特許庁の「事業戦略対応まとめ審査」制度を活用して取得した特許権を軸に、栽培面積1平方メートルあたり日産500グラムのレタスを収穫する高速栽培技術「S500」(従来技術の2.5倍以上)と高い野菜の清浄度を維持できる栽培環境技術をアピールし、実証設備、大型工場の受注活動を進めている。 プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においては高純度フラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 研究開発における人工知能(AI)活用も積極的に取り組んでいる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」の委託事業に参画し、要求特性を満たすポリマーを設計する際の試行回数を大幅に低減できることを見いだしている。また、過去数十年にわたり蓄積してきた技術文書の貴重な知見を有効活用するために、手書き文字を含む技術文書をAIで高精度自動読み取りし電子テキスト化する機能と、利便性の高い検索機能を併せ持つ技術文書活用データベースシステムを開発した。さらに、日本IBMと共同で、AIを用いて特許情報の効率的なスクリーニングを支援する特許読解支援システムを開発し、全社で運用を開始した。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、7,326百万円であった。
FY2018|5,724 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、連結中期経営計画「Project 2020+」に基づき、「インフラケミカルズ」、「エネルギー」、「移動・輸送」、「生活環境」、「情報電子」という5つの領域における社会課題の解決、新たな価値創造のために、当社が保有する多様な事業領域と、競争優位性のある要素技術である「中核技術」、当社が培ってきた世界トップレベルの技術である「戦略技術」を深化・融合させ、当社独自の特徴ある研究開発を推進してきた。 当社グループは、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化すると共に、オープンイノベーションやM&Aを活用し、当社グループの次世代を担う事業の創出に取り組んでいる。特に、電池材料やSiCエピウェハーなど当社の将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現に注力している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、197億35百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。平成26年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 また、耐熱透明フィルム「ショウレイアル®」は、モバイルディスプレイ材料などの分野に向けて精力的に市場開拓を進めており、ガラスに匹敵する光学特性と手触り感が評価され、国内外で採用されている。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、14億14百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、ソルダーレジスト、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギーなどの研究開発を推進している。 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、更に、お客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。特に、屈曲性に優れたチップ・オン・フィルム(COF)用ソルダーレジストは市場要求に合致し、販売を拡大している。また、半導体や電子部品の放熱性を高めるカーボンコート箔テープ「HSシリーズ」に柔軟性を高めた新シリーズを拡充し、サンプル提供を行っている。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷を開始するなど、高機能ビタミンC誘導体「アプレシエ®」に続き、複数の化合物において市場投入に向けた進展が見られた。 インフラケミカルズでは、インフラ構造物の延命、補修に注目し、光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発に注力している。また新規に開発中のインフラ補修材は橋脚や水利用施設補修の試験施工を実施している。 エネルギーでは、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化への寄与が期待できる。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、27億3百万円であった。 (エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っている。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクを出荷している。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。 希土類磁石合金では、既に採用が進んでいる希少金属の1つであるDy(ジスプロシウム)を使用せずに従来品と同様の性能を持つネオジム磁石用合金を製造する技術をベースに、より高濃度のDy添加が必要な用途においてもDyフリーを達成すべく、更なる技術開発に取り組んでいる。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、寿命、入出力、低抵抗性、容量を満たす、黒鉛負極材「SCMG®」、高容量Si黒鉛負極材、カーボンナノファイバー「VGCF®」、カーボンコートアルミ箔「SDX®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、51億57百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、5億86百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、当社が開発した気体加圧式ホットトップ連続鋳造法及び気体加圧式水平完全連続鋳造法を基軸とし、鍛造技術と合わせて、アルミ加工製品の開発を進めている。昨今、自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。アルミ合金の開発強化のため、平成30年2月事業開発センター融合製品開発研究所の傘下組織として、喜多方事業所(福島県)内に研究施設「アルミ製品評価センター」を開所した。評価・解析技術を強化し、押出、鍛造及び引抜の金型技術、並びに加工、接合の各プロセス技術、各種製品に適した合金の開発、塑性加工及び熱伝導のシミュレーション技術を深化させている。 圧延素材関連では、高熱伝導・高強度アルミニウム板材「ST60」の新グレード「ST60-HSM®」の開発・販売を引き続き進めている。本製品は純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)を持ちながら、アルミニウム合金A6061に匹敵する高強度を実現したものであり、各種筐体や液晶バックライトシャーシなどの放熱部材としての採用拡大を目指している。 アルミ缶では、グラビア印刷と同等の写真やグラデーションなど、諧調のあるデザインの再現性を向上できるインクジェット方式の印刷技術を開発し、市場開拓を進めている。新方式は製版・刷版工程が不要なことから、データ入稿から納品までの期間を大幅に短縮でき、小さなロットサイズでも生産可能なことから新たなニーズが期待できる。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、18億60百万円であった。(その他) 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピウェハーについては、平成27年に上市した市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ」について良好な評価を得ており、月産7,000枚に設備増強して積極的に市場展開している。 当社独自技術である高輝度LED照明等の植物工場向け製品については、継続した研究活動により高速栽培技術「S法」の適用範囲を広げ、市場開拓に取り組んでいる。特許庁の「事業戦略対応まとめ審査」制度を活用して取得した特許権を軸に、栽培面積1平方メートルあたり日産500グラムのレタスを収穫する高速栽培技術「S500」(従来技術の2.5倍以上)と高い野菜の清浄度を維持できる栽培環境技術をアピールし、実証設備、大型工場の受注活動を進めている。 プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。 燃料電池触媒については、長期的戦略のもと、非白金化を目指す新規複合金属酸化物の開発を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においては高純度フラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 研究開発におけるAI活用も積極的に取り組んでおり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」の委託事業に参画し、人工知能(AI)の活用により、要求特性を満たすポリマーを設計する際の試行回数を大幅に低減できることを見いだしている。また、過去数十年にわたり蓄積してきた技術文書の貴重な知見を有効活用し、新たな価値創造の源泉としていくために、手書き文字を含む技術文書をAIで高精度自動読み取りし電子テキスト化する機能と、利便性の高い検索機能を併せ持つ、技術文書活用を目的としたデータベースシステムの開発に取り組んでいる。 平成28年初に、有機と無機・アルミの更なる融合を目指して、応用化学品研究所を母体に融合製品開発研究所を組織し、アルミ・無機分野の技術者の一部を事業開発センターに集約して、研究所(融合製品開発研究所、先端技術開発研究所)、共通支援センター(分析物性センター、安全性試験センター、計算化学・情報センター)、及び事業化プロジェクトの体制で研究開発を推進してきている。融合製品開発研究所は、事業部や事業所と連携し、現行事業や製品の付加価値を高める開発、その周辺の成長分野を開拓する開発、及び製品に関する高度な技術サポートによる事業強化を行い、先端技術開発研究所は、当社グループが保有する広範な技術・材料の中でも、将来にわたって強みを発揮できるコア技術・コア材料を軸とした次世代事業テーマの創出してきている。 平成31年からは、新中期経営計画「The TOP 2021」に基づき、融合製品開発研究所の拡大、先端技術ラボの新設などにより、一層の研究成果顕現を目指した体制とする。また横浜市が公募する研究開発拠点施設整備・運営等事業の優先交渉権を取得し、3年後に研究開発拠点施設の供用開始を行う予定である。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、80億15百万円であった。
FY2017|5,405 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、連結中期経営計画「Project 2020+」に基づき、「インフラケミカルズ」、「エネルギー」、「移動・輸送」、「生活環境」、「情報電子」という5つの領域における社会課題の解決、新たな価値創造のために、当社が保有する多様な事業領域と、競争優位性のある要素技術である「中核技術」、当社が培ってきた世界トップレベルの技術である「戦略技術」を深化・融合させ、当社独自の特徴ある研究開発を推進している。 平成28年から平成30年までの3年間は、当社の現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化すると共に、オープンイノベーションやM&Aを活用し、当社グループの次世代を担う事業の創出に取り組んでいる。特に、電池材料やSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウェハーなど当社の将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現に注力している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、185億39百万円である。 また、当連結会計年度より、リチウムイオン電池材料事業について、セグメントを「その他」から「エレクトロニクス」に変更した。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。平成26年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしているが、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 また、耐熱透明フィルム「ショウレイアル®」は、モバイルディスプレイ材料などの分野に向けて精力的に市場開拓を進めており、ガラスに匹敵する光学特性と手触り感が評価され、国内外で採用されている。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、12億45百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、ソルダーレジスト、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギーなどの研究開発を推進している。 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、更に、お客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。特に、屈曲性に優れたチップ・オン・フィルム(COF)用ソルダーレジストは市場要求に合致し、販売を拡大している。また、半導体や電子部品の放熱性を高めるカーボンコート箔テープ「HSシリーズ」に柔軟性を高めた新シリーズを拡充し、サンプル提供を行っている。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷を開始するなど、高機能ビタミンC誘導体「アプレシエ®」に続き、複数の化合物において市場投入に向けた進展が見られた。 インフラケミカルズでは、インフラ構造物の延命、補修に注目し、ビル地下排水槽や下水道施設などの腐食環境からコンクリート面を保護する防水・防食工事に適した、水系のビニルエステル樹脂を開発し、試験施工を実施した。 エネルギーでは、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化への寄与が期待できる。 また、来るべき低炭素水素社会に向けた取り組みも進めている。環境省の実証事業として、都内の水素ステーションへ川崎事業所で使用済みプラスチックから製造した低炭素水素の供給を開始した。更に、アンモニアを水素キャリアとすべく、科学技術振興機構のプロジェクトに参画し、アンモニア分解による水素製造システムの開発でも一定の成果を上げた。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、24億78百万円であった。 (エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っている。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクの出荷を開始した。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。 希土類磁石合金では、既に採用が進んでいる希少金属の1つであるDy(ジスプロシウム)を使用せずに従来品と同様の性能を持つネオジム磁石用合金を製造する技術をベースに、より高濃度のDy添加が必要な用途においてもDyフリーを達成すべく、更なる技術開発に取り組んでいる。 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、寿命、入出力、低抵抗性、容量を満たす、黒鉛負極材「SCMG®」、高容量Si黒鉛負極材、カーボンナノファイバー「VGCF®」、カーボンコートアルミ箔「SDX®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、53億35百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。 平成19年から平成24年に参加した国家プロジェクトにて進めてきた、室内の可視光でも優れた抗菌・抗ウィルス性を示す光触媒材料の開発はほぼ終了した。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、3億22百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、当社が開発した気体加圧式ホットトップ連続鋳造法及び気体加圧式水平完全連続鋳造法を基軸とし、鍛造技術と合わせて、アルミ加工製品の開発を進めている。今後、自動車市場のアジアでの需要増加が見込まれることにより、更に機能性を高めたアルミニウム合金及び加工品の開発を進めており、評価・解析技術を強化し、押出、鍛造及び引抜の金型技術、並びに加工、接合の各プロセス技術、各種製品に適した合金の開発、塑性加工及び熱伝導のシミュレーション技術を深化させている。 圧延素材関連では、高熱伝導・高強度アルミニウム板材「ST60」の新グレード「ST60-HSM®」の開発・販売を引き続き進めている。本製品は純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)を持ちながら、アルミニウム合金A6061に匹敵する高強度を実現したものであり、各種筐体や液晶バックライトシャーシなどの放熱部材としての採用拡大を目指している。 アルミ缶では、グラビア印刷と同等の写真やグラデーションなど、諧調のあるデザインの再現性を向上できるインクジェット方式の印刷技術を開発し、市場開拓を進めている。新方式は製版・刷版工程が不要なことから、データ入稿から納品までの期間を大幅に短縮でき、小さなロットサイズでも生産可能なことから新たなニーズが期待できる。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、17億37百万円であった。(その他) 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、平成27年に上市した市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ」について良好な評価を得ており、月産5,000枚に設備増強して積極的に市場展開している。 当社独自技術である高輝度LED照明等の植物工場向け製品については、継続した研究活動により高速栽培技術「S法」の適用範囲を広げ、市場開拓に取り組んでいる。特許庁の「事業戦略対応まとめ審査」制度を活用して取得した特許権を軸に、栽培面積1平方メートルあたり日産500グラムのレタスを収穫する高速栽培技術「S500」(従来技術の2.5倍以上)と高い野菜の清浄度を維持できる栽培環境技術をアピールし、実証設備、大型工場の受注活動を進めている。 プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。 燃料電池触媒については、長期的戦略のもと、非白金化を目指す新規複合金属酸化物の開発を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においてはフラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 平成28年初に、有機と無機・アルミの更なる融合を目指して、応用化学品研究所を母体に融合製品開発研究所を組織し、アルミ・無機分野の技術者の一部を事業開発センターに集約して、研究所(融合製品開発研究所、先端技術開発研究所)、共通支援センター(分析物性センター、安全性試験センター、計算化学・情報センター)、及び事業化プロジェクトの体制で研究開発を推進してきている。融合製品開発研究所は、事業部や事業所と連携し、現行事業や製品の付加価値を高める開発、その周辺の成長分野を開拓する開発、及び製品に関する高度な技術サポートによる事業強化を行い、先端技術開発研究所は、当社グループが保有する広範な技術・材料の中でも、将来にわたって強みを発揮できるコア技術・コア材料を軸とした次世代事業テーマの創出を推進した。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、74億22百万円であった。
FY2016|4,920 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、連結中期経営計画「Project 2020+」に基づき、「インフラケミカルズ」、「エネルギー」、「移動・輸送」、「生活環境」、「情報電子」という5つの領域における社会課題の解決、新たな価値創造のために、当社が保有する多様な事業領域と、競争優位性のある要素技術である「中核技術」、当社が培ってきた世界トップレベルの技術である「戦略技術」を深化・融合させ、当社独自の特徴ある研究開発を推進している。 特に、電池材料やSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウェハーなど当社の将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現に注力している。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、173億13百万円である。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。(石油化学) 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。平成26年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしているが、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。 また、耐熱透明フィルム「ショウレイアル®」は、モバイルディスプレイ材料などの分野に向けて精力的に市場開拓を進めており、ガラスに匹敵する光学特性と手触り感が評価され、国内外で採用されている。 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、7億75百万円であった。(化学品) 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、ソルダーレジスト、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギーなどの研究開発を推進している。 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、更に、お客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。屈曲性に優れたチップ・オン・フィルム(COF)用ソルダーレジストや、半導体や電子部品の放熱性を高めるカーボンコート箔テープ「HSシリーズ」に柔軟性を高めた新シリーズを拡充し、サンプル提供を開始した。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。40年間の日米欧で培った営業ノウハウに基づき、市場ニーズに適した情報(分析ノウハウ・技術サービス)を的確、迅速に提供しており、従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、及び医薬分野、バイオエネルギー分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラムの販売を平成28年9月より開始した。高機能ゲルの研究体制を強化し、近年急進するバイオ医薬品精製事業分野への販売拡大に取り組んでいる。 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷を開始するなど、高機能ビタミンC誘導体「アプレシエ®」に続き、複数の化合物において市場投入に向けた進展が見られた。 インフラケミカルズでは、インフラ構造物の延命、補修に注目し、ビル地下排水槽や下水道施設などの腐食環境からコンクリート面を保護する防水・防食工事に適した、水系のビニルエステル樹脂を開発し、平成28年10月よりサンプル出荷を開始した。 エネルギーでは、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」において、更に高性能化を目指し研究開発を継続している。当製品は、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性を持ち、リチウムイオン電池の長寿命化、高容量化への寄与が期待される。 また、半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、23億79百万円であった。(エレクトロニクス) エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っている。3.5インチサイズにおいて、10テラバイトのヘリウム充填型ハードディスクドライブに当社製品が採用されている。 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。4元系赤色LEDでは、植物育成に最適な660ナノメートルの波長光の発光層を独自技術で開発し、植物工場及び様々な栽培モデル施設の光源として採用されている。 希土類磁石合金では、平成25年度に発表した希少金属の1つであるDy(ジスプロシウム)を使用せずに従来品と同様の性能を持つネオジム磁石用合金を製造する技術をベースに、より高濃度のDy添加が必要な用途においてもDyフリーを達成すべく、更なる技術開発に取り組んでいる。 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、35億3百万円であった。(無機) 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。 平成19年から平成24年に参加した国家プロジェクトにて進めてきた、室内の可視光でも優れた抗菌・抗ウィルス性を示す光触媒材料の開発はほぼ終了し、最終製品(住宅・公共施設・植物工場等)への用途展開を進めている。 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、2億53百万円であった。(アルミニウム) アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。 素形材関連では、当社が開発した気体加圧式ホットトップ連続鋳造法及び気体加圧式水平完全連続鋳造法を基軸とし、鍛造技術と合わせて、アルミ加工製品の開発を進めている。今後、自動車市場のアジアでの需要増加が見込まれることにより、更に機能性を高めたアルミニウム合金及び加工品の開発を進めており、押出、鍛造及び引抜の金型技術、並びに加工、接合の各プロセス技術、各種製品に適した合金の開発、塑性加工及び熱伝導のシミュレーション技術を深化させている。 圧延素材関連では、高熱伝導・高強度アルミニウム板材「ST60」の新グレード「ST60-HSM®」を開発し、量産販売を開始した。本製品は純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)を持ちながら、アルミニウム合金A6061に匹敵する高強度を実現したものであり、スマートフォンやタブレットなどの筐体としての採用拡大を目指している。 アルミニウム缶では、グラビア印刷と同等の写真やグラデーションなど、諧調のあるデザインの再現性を向上できるインクジェット方式の印刷技術を開発した。新方式は製版・刷版工程が不要なことから、データ入稿から納品までの期間を大幅に短縮でき、小さなロットサイズでも生産可能なことから新たなニーズが期待できる。 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、18億43百万円であった。(その他) 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、寿命、入出力、低抵抗性、容量を満たす、黒鉛負極材「SCMG®」、高容量Si黒鉛負極材、カーボンナノファイバー「VGCF®」、カーボンコートアルミ箔「SDX®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、平成27年に上市した市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ」について良好な評価を得ており、月産3,000枚に設備増強して積極的に市場展開している。 当社独自技術である高輝度LED照明等の植物工場向け製品については、継続した研究活動により(大)山口大学と共同で開発した高速栽培技術「SHIGYO®法」の適用範囲を広げ、市場開拓に取り組んでいる。特許庁の「事業戦略対応まとめ審査」制度を活用して取得した特許権を軸に、従来技術の2倍以上の生産性と清潔な環境で栽培された品質をアピールし、実証設備、大型工場の受注活動を進めている。 プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電膜用の試作品を作成し、市場開拓を進めている。また薄膜印刷に対応したスクリーン印刷用銀インクの開発も進めている。 燃料電池触媒については、(大)横浜国立大学などとの協働にて非白金化を目指す研究を開始した。長期的戦略のもと、新規複合金属酸化物の合成と評価を進めている。 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においてはフラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、用途拡大に必須な分散技術開発にも注力し、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。 平成28年初に、有機と無機・アルミの更なる融合を目指して、応用化学品研究所を母体に融合製品開発研究所を組織し、アルミ・無機分野の技術者の一部を事業開発センターに集約して、研究所(融合製品開発研究所、先端技術開発研究所)、共通支援センター(分析物性センター、安全性試験センター、計算化学・情報センター)、及び事業化プロジェクトの体制で研究開発を推進してきている。融合製品開発研究所は、事業部や事業所と連携し、現行事業や製品の付加価値を高める開発、その周辺の成長分野を開拓する開発、及び製品に関する高度な技術サポートによる事業強化を行い、先端技術開発研究所は、当社グループが保有する広範な技術・材料の中でも、将来にわたって強みを発揮できるコア技術・コア材料を軸とした次世代事業テーマの創出を推進した。 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、85億59百万円であった。