4004

レゾナック・ホールディングス

化学 素材・化学

研究開発費(時系列)

年度R&D費用(億円)設備投資(億円)
2025-12 - 1,129
2024-12 - 1,020
2023-12 - 966
2022-12 - 1,071
2021-12 - 786

研究開発活動(本文)

FY2025|5,687 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」へと変革することを目指し、技術の染み出しによるイノベーションの実現、事業本部を横断する技術開発の牽引、社会を変える長期R&Dの推進、という3つのミッションを掲げ、私たちの強み(コアコンピタンス)である、「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の技術共鳴(レゾナンス)によるシナジー創出を図りながら、最短かつ確実に社会課題にお応えできるよう、研究開発活動に取り組んでおります。またオープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社内外から積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力しております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、46,458百万円であります。 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。 (半導体・電子材料)半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進しております。一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(電子材料用高純度ガス、半導体回路平坦化用研磨材料(CMPスラリー))、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(HDメディア、SiCエピタキシャルウェハー(以下、「SiCエピウェハー」といいます。))等の付加価値を高める開発をしました。半導体前工程では、当社グループは各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料、CMP、洗浄剤、さらには超高純度溶剤といった半導体製造プロセス材料の開発と市場展開を進めてまいりました。今後も、低環境負荷かつ高性能化に資する材料技術の研究開発を継続し、持続可能な半導体産業の発展に貢献してまいります。一方、半導体後工程では、AI半導体をはじめとした高性能デバイス向けに、パッケージ基板用積層材料(MCL)の供給確保、絶縁接着フィルム(NCF)及び放熱シート(TIM)の生産能力を増強し、市場での競争力を一層強化してまいります。先端半導体パッケージ製造向けに、高解像度の感光性フィルムを新たに開発し、有機インターポーザーにおける線幅・配線間隔1.5マイクロメートルの微細銅配線形成を実現しております。この高解像度技術は、計算情報科学研究センター、先端融合研究所、感光性材料開発部、パッケージングソリューションセンターの4部門が連携し、新規ポリマー樹脂を創出することで達成したものであり、当社グループの総合的な材料開発力を象徴する成果です。次世代半導体パッケージでは、従来より進めてきた日本・米国の企業を中心とした共創コンソーシアム「JOINT2」「US-JOINT」の取り組みを発展させ、日本、米国、シンガポールなどの材料・装置・設計企業27社による新たな共創型評価プラットフォーム「JOINT3」を設立いたしました。下館事業所(南結城)内に活動拠点を開設し、2026年中の稼働開始に向けて準備を進めております。当社グループは、前工程から後工程まで一貫した材料技術と共創ネットワークを強みに、急速に進化する半導体産業のニーズに応える先端パッケージ技術の確立と、持続可能な産業発展への貢献をこれからも続けてまいります。HDメディアでは、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しております。世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式の高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスク向け高密度記録方式であるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクに関して米国シーゲイト・テクノロジー社と共同開発を進めております。シングルド記録方式では、アルミ基板を用いて当社グループの最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最高の記録容量となる1枚あたり3.1テラバイトの製品を出荷しております。SiCでは、パワー半導体向けSiCエピウェハーの世界最大級の外販メーカーとして、電動車(以下、「xEV」といいます。)、交通インフラ、産業機器などに用いられるSiCパワーデバイスの高性能化・高信頼性化に貢献しております。独自のエピタキシャル成長技術により、低欠陥化と高均質化を高水準で両立させ、6インチ(150mm)に加え8インチ(200mm)SiCエピウェハーの量産対応を進めております。2026年稼働予定の山形新建屋建設をはじめ、国内複数拠点において生産体制を強化し、急拡大する市場需要に対して安定供給を実現しております。第2世代ハイグレードエピは欠陥密度を大幅に低減し、高級車や鉄道用途などで要求される高電流デバイスの信頼性向上に寄与しております。これらの技術成果は高く評価され、第24回GSC賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、SiCパワーデバイス用エピウェハーの更なる普及を進めるとともに、東北大学との共同研究により、CO2及びシリコンスラッジを活用したSiC原料化技術の開発を推進し、更なるCO2排出削減にも取り組んでおります。当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、22,747百万円であります。 (モビリティ)モビリティ分野では、「走る・曲がる・止まる」というモビリティの基本性能の向上を目指し、材料技術や加工技術、シミュレーション技術を活用してモビリティのイノベーションに貢献します。また、顧客との共創を推進し、持続的な成長を実現します。環境規制強化やカーボンニュートラルに向けた社会的要請の高まりを事業機会と捉え、有機・無機・金属材料及びその組合せ技術を活かした分野で成長を目指します。特筆すべき技術開発の代表例として、EV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発中で、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーへサンプル提供を進めております。このブレーキパッドは高い制動力と耐摩耗性を持ち、環境負荷が低く、静粛性にも優れております。また、カーボンニュートラル実現に向けた取り組み例として、計算科学を活用しリサイクル材の高含有を実現したアルミニウム合金を開発しております。当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、3,930百万円であります。 (イノベーション材料)イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、エネルギー領域、インフラケミカルズ、高機能ゲル、及びセラミックスの研究開発を推進しております。テレビなどの大型液晶ディスプレイ、スマートフォン端末などの有機ELに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けております。市場が中国シフトする中で2020年6月に増設を完了した上海においても生産・供給を開始し、現地需要の取り込みに向けお客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入しております。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズMOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリルFAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続しております。特に「ファンクリルFA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱性及び高信頼性の特徴を生かし、電子部品材料用途への横展開を行い、事業拡大を図っております。エネルギー領域では、電力モーターの高性能化に伴う高電圧・耐サージ性に対応できる、xEV向け高耐熱絶縁ワニスの技術開発を継続して進めております。また、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾールLBシリーズ」につきましては、その低抵抗性や優れた温度特性などが評価され、急速充電対応が求められるHEV用途への国内納入を開始いたしました。今後は、市場動向を注視しつつ、xEV向けリチウムイオン電池全般への展開を推進してまいります。インフラケミカルズでは、耐用年数が寿命を迎えた下水道管補修用不飽和ポリエステル樹脂「リゴラック」の光硬化タイプに注力しております。下水道管補修市場においては、熱硬化タイプから環境負荷が小さく、短時間施工が可能な光硬化タイプへの転換が進んでおり、この変化に対し樹脂技術で貢献してまいります。高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックスカラム」では、グループ会社の㈱レゾナック・テクノサービスで販売している「Gelpack」を2026年1月より「Shodex」ブランドに統合することを決定いたしました。より統一された製品戦略のもと、分離材事業のさらなる強化を推進してまいります。環境関連では国際的に規制強化が進むPFASやハロゲン酸化物の高感度分析を可能とする各種カラムの市場展開を推進しております。今後もバイオ・医薬分野、迅速・省溶媒、高感度・高分離に重点を置いたゲル(充填剤)やカラムの研究開発を促進してまいります。セラミックス関連では、電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素等)の開発を行っております。また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の更なる小型化・高容量化に貢献すべく、酸化チタンの微粒子化に向けた課題をお客様との共創により解決し、量産化を実現しました。当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、2,815百万円であります。 (ケミカル)ケミカル分野では、基礎化学品でさまざまな産業の起点・インフラとなる製品、機能性素材を提供するとともに、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでおります。機能性素材では、接着用途やコーティング用途でラテックス素材の新設計による機能付与を進めており、お客様での作業性改善等の期待が高くなっております。化粧品原料では、新製品の開発に加えて、既存の製品での新たな価値を見出しており、お客様での新規化粧品企画の重要成分としての評価・利用が進んでおります。カーボンニュートラルの取り組みとして、社会的な強いニーズを受けてプラスチックリサイクルの処理能力強化、派生製品への展開を進めてまいります。長期R&Dの取り組みとして、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、岐阜大学、三菱化工機㈱とともに、アンモニア燃焼器用改質器ユニット及び燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働し、アンモニア分解技術を活用した化学品事業のビジネスモデルの創出を目指します。また、日本製鉄㈱、日鉄エンジニアリング㈱、富山大学の4者で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」といいます。)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」において、「CO2由来メタノール経由青酸、グリシン製造の研究開発」に取り組んでおります。当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,781百万円であります。 (クラサスケミカル)クラサスケミカル分野では、オレフィン事業、有機化学品事業、合成樹脂事業の3事業を営んでおり、主要な誘導品事業であるアセチル製品群の更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を目的とした触媒性能の向上、運転条件の最適化に取り組んでおります。コア技術である触媒技術を活用し、最先端の技術開発を完成させ、事業強化に貢献します。また、人々の暮らしに欠かすことができない石油化学産業で、カーボンニュートラルと循環型社会の構築をリードし、サステナブルな社会の実現に貢献することを基本方針としております。そのため、研究開発は当社グループにとって重要課題の一つであると認識しており、十分な人員、資金を配することで新たな競争力の源泉を確立し、地域・社会と共生する共創型グリーンコンビナートを目指していきたいと考えております。長期的な取り組みとして、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、日本製鉄㈱とともに、低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発、及び回収したCO2を原料に化学品を製造する技術検証に取り組んでおります。当連結会計年度におけるクラサスケミカルセグメントの研究開発費は、1,516百万円であります。 (その他)計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでまいりました。材料検査において、ディープラーニングを活用した画像解析技術を導入し、検査精度の向上と自動化による検査時間の短縮を推進し、AI画像解析で精度を約4割改善しました。共創の舞台では、宇宙空間での高機能半導体材料の研究・開発・製造に関して、微小重力及び低軌道の真空条件下で、半導体や半導体パッケージング向けの次世代半導体材料製造の可能性を探ります。また、宇宙線に起因する電子機器の誤動作(ソフトエラー)を低減する半導体封止材の評価実験を国際宇宙ステーション(ISS)で開始しました。当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め13,669百万円であります。

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