事業の概要
- 紙・板紙事業洋紙、板紙、特殊紙、パルプなどの製造販売が主力です。新聞や雑誌に使われる洋紙、食品や飲料のパッケージに使われる板紙、特殊な機能を持つ特殊紙など、幅広い紙製品を提供しています。これらの製品は、日本製紙グループの基盤となる収益源です。
- 生活関連事業家庭紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど)、紙加工品(紙容器、段ボールなど)、化成品などの製造販売を手掛けています。特に、日本製紙クレシアが家庭紙を、豪州のOpal社が紙器や段ボールを製造販売しており、日々の生活に密着した製品で収益を上げています。
- エネルギー事業自社発電設備の運転・管理や、電力の卸供給販売を行っています。紙・パルプ製造はエネルギーを大量に消費するため、自社で発電することでコストを抑えつつ、余剰電力を販売することで新たな収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 紙・板紙事業洋紙、板紙、特殊紙、パルプなどの製造販売が中心で、売上高5659.11億円、営業利益82.68億円と、グループの主要な収益源です。新聞用紙から段ボール原紙まで幅広い製品を扱い、日本製紙が製造販売、日本紙通商などが仕入販売を担っています。
- 生活関連事業家庭紙、雑種紙、紙加工品、段ボール、化成品などの製造販売を手掛け、売上高4578.8億円、営業利益-61.37億円です。日本製紙クレシアが家庭紙を、豪州のOpal社が紙器や段ボールを製造販売しており、日々の生活に密着した製品を提供していますが、営業利益は赤字となっています。
- エネルギー事業発電設備の運転・管理や電力の卸供給販売を行い、売上高482.95億円、営業利益35.59億円を計上しています。日本製紙石巻エネルギーセンターなどが電力供給を担っており、自社消費だけでなく外部への販売も行うことで、安定した収益を上げています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| PaperAndPaperboard | 事業 | 5,659 | 83 | 1.5% |
| Lifestyle | 事業 | 4,579 | -61 | -1.3% |
| EnergyProject | 事業 | 483 | 36 | 7.4% |
| WoodProductsAndConstructionRelated | 事業 | 788 | 96 | 12.2% |
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3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社121社及び関連会社32社で構成され、その主な事業内容と、主要な会社の当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりです。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分です。 [紙・板紙事業]洋紙、板紙、特殊紙、パルプ等の製造販売を行っています。・洋紙は、当社が製造販売、当社及び日本紙通商㈱他が仕入販売を行っています。十條サーマル社が欧州市場を中心に感熱紙等の製造販売を行っています。・板紙は、当社他が製造販売、日本東海インダストリアルペーパーサプライ㈱他が販売を行っています。・特殊紙は、日本製紙パピリア㈱他が製造販売を行っています。・パルプは、当社他が製造仕入、販売を行っています。 [生活関連事業]家庭紙、雑種紙、紙加工品、段ボール、化成品等の製造販売を行っています。・家庭紙は、日本製紙クレシア㈱他が製造販売を行っています。・紙加工品では、当社他が紙容器等の製造販売を行っています。Opal社が豪州市場を中心に紙器の製造販売を行っています。日本ダイナウェーブパッケージング社が北米市場を中心に液体用紙容器原紙の製造販売を行っています。リンテック㈱が粘着関連製品の製造販売を行っています。・段ボールは、Opal社及び日本トーカンパッケージ㈱が製造販売を行っています。・化成品は当社が製造し、㈱フローリック、日本紙通商㈱他が販売しています。 [エネルギー事業]当社が発電設備の運転・管理、日本製紙石巻エネルギーセンター㈱、勇払エネルギーセンター合同会社他が電力の卸供給販売を行っています。 [木材・建材・土木建設関連事業]日本製紙木材㈱他が木材の仕入販売、日本製紙木材㈱が建材の仕入販売、エヌ・アンド・イー㈱他が建材の製造販売を行っています。また、日本製紙ユニテック㈱他が土木建設事業を行っています。 [その他]日本製紙物流㈱他が物流事業、日本製紙総合開発㈱他がレジャーその他の事業を行っています。 事業系統図2025年3月31日付の事業系統図は、次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 原燃料の価格は国内外の市況に大きく影響を受け、価格変動が顕在化する可能性。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 エネルギー多消費型の紙・パルプを主要事業とし、高効率設備の導入や製造プロセスの最適化が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:人材確保のリスク / Opal社収益改善の遅延に関するリスク / 気候変動に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
日本製紙は長年の歴史を持つ企業であり、一部のブランド認知度は存在するものの、特許や規制ライセンスによる明確な独占的優位性は限定的。紙製品の多くは汎用品であり、無形資産による競争優位性は強くない。
スイッチングコスト★★☆☆☆
一部の産業用紙や特殊紙においては、顧客との長年の取引関係や仕様への適合性から、一定のスイッチング・コストが存在する可能性がある。しかし、汎用的な印刷用紙などでは乗り換えは比較的容易と考えられる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
パルプ・紙業界のビジネスモデルにおいて、ネットワーク効果は基本的に見られない。製品の価値は生産効率や品質に依存し、ユーザー数の増加が直接的な価値向上に繋がる構造ではない。
コスト優位★★★☆☆
日本製紙は、原燃料調達、生産プロセス、物流網において、長年の事業運営で培われた効率化努力や規模の経済を活かしたコスト競争力を持つ可能性がある。特に、国内での生産拠点やサプライチェーンの最適化は強みとなりうる。
規模の経済★★★★☆
日本製紙は国内有数の製紙メーカーであり、生産能力、販売網、研究開発力において業界内で確固たる地位を築いている。この規模は、効率的な生産や新製品開発、市場への影響力において優位性をもたらす。
- 多様な事業ポートフォリオ紙・板紙、生活関連、エネルギー、木材・建材など多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場変動リスクを分散しています。例えば、グラフィック用紙の需要減少を生活関連事業やバイオマス素材事業で補う戦略は、事業の安定性に寄与すると考えられます。
- グローバルな事業展開豪州のOpal社や北米の日本ダイナウェーブパッケージング社など、海外にも製造・販売拠点を持ち、国際的な市場で事業を展開しています。これにより、特定の地域市場に依存することなく、成長市場の機会を捉えることが可能です。
- 資源の有効活用と環境対応森林資源を基盤とし、パルプ製造から紙製品、さらにはバイオマス素材やエネルギー生成まで一貫したバリューチェーンを構築しています。また、2050年カーボンニュートラル達成を目指すなど、環境負荷低減への取り組みは、持続可能な事業運営と企業価値向上に繋がる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、2030年に目指す姿・目標として「2030ビジョン」を2021年に策定しました。『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として持続的な成長を遂げる』を目指す姿として“成長事業への経営資源のシフト”“GHG削減、環境課題等の社会情勢激変への対応”を基本方針としています。グラフィック用紙の需要減少に適切に対応しながら、経営資源を成長事業・新規事業にシフトし、同時に様々な社会的要請にも耐えうる、筋肉質の体質に変えていきます。今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、「2030ビジョン」の前半にあたる2021年4月から2026年3月までの5年間を「中期経営計画2025」の期間とし、『事業構造転換の加速』を基本戦略に、“生活関連事業の収益力強化”、“グラフィック用紙事業の基盤強化”、“GHG排出量削減の加速”、“財務体質の改善”の4つを重点課題に取り組んでいきます。中期経営計画2025の数値目標については、当社を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、今後の戦略・課題について議論を進めた結果、2023年に以下のとおり一部を見直しています。 <中期経営計画2025 - 見直し後の目標>・売上高 1兆2,000億円以上(2025年度)・営業利益 400億円以上(早期に)・EBITDA 1,000億円 (安定的に)・D/Eレシオ 1.7倍台 (2025年度)・ROE 5.0%以上 (2025年度) (3) 会社の対処すべき課題① 中期経営計画2025(2021年度~2025年度)の達成に向けて2024年度における当社グループを取り巻く経済環境は、物価の上昇は続いたものの、国内経済は全体として緩やかな回復が見られました。一方で、ウクライナ侵攻や中東情勢の長期化、中国経済の減速など、予断を許さない状況が続きました。2025年度は、これらに加えてアメリカの関税政策や、国内の物価上昇による消費マインドの悪化、人手不足による供給制約など、先行き不透明な状況が続くと懸念されます。(イ)事業構造転換の進展当社の主要事業であるグラフィック用紙の需要が減少する中、当社は事業構造転換を推し進め、成長事業である生活関連事業に経営資源をシフトしてきました。その結果、生活関連事業の売上比率は2020年度の32%から2025年度には41%に拡大し、営業利益は79億円から150億円に増加する見通しです。引き続き生活関連事業の拡大により、事業構造転換を進めていきます。(ロ)2024年度の取り組み2024年度については、コスト削減の徹底と価格修正、差別化製品の拡販などに取り組み、国内事業では収益力を維持し、中期経営計画2025を達成する軌道で推移しました。また、海外事業については、豪州Opal社の収益改善は当初計画に対して遅れが見られたものの、着実に改善が進んでいます。a.Opal社の立て直し喫緊の経営課題として豪州Opal社の立て直しに取り組んでいます。グラフィック用紙事業から撤退したビクトリア州のメアリーベール工場では、パルプ生産の最適化を含め、パッケージ原紙工場としての生産体制を確立しました。最適操業条件の確立に時間を要したことや、原紙輸出市況の悪化もあり、収益回復が遅れていますが、さらなる収益改善に向けて基盤強化を図っています。一方、2020年に買収したパッケージ事業については、2023年8月にビクトリア州で新段ボール工場が稼働したことに加え、2024年度には3工場の老朽化した加工機の更新を決定、順次実行しており、生産性が大きく改善しています。さらに、2024年8月にはクイーンズランド州の段ボール工場を閉鎖し、製袋事業や紙器事業の拠点を統廃合した他、全社的な要員合理化を行い、固定費削減を進めました。b.生活関連事業の拡大と収益力強化液体用紙容器事業では、アメリカの日本ダイナウェーブパッケージング社で、安定操業を強化するため2024年度上期に長期のメンテナンスを実施しました。これにより、下期からは生産が安定し、販売も堅調に推移しています。家庭紙・ヘルスケア事業では、2024年4月に石巻工場内の家庭紙製造設備の営業運転を開始しました。さらに、2024年8月には八代工場での家庭紙製造設備の新設も決定しました。家庭紙でもパルプからの一貫生産拠点を増やすことでコスト競争力の強化を進めます。ケミカル事業では、2025年3月にハンガリーのリチウムイオン電池用CMC(カルボキシメチルセルロース)製造工場が稼働を開始しました。将来的なEVの拡大を見据えて、グローバルに展開する顧客(バッテリーメーカー・自動車メーカー)に対して、日本とハンガリーの生産拠点から製品を供給していきます。c.グラフィック用紙事業の基盤強化2024年8月に、白老工場8号抄紙機と八代工場N2抄紙機の停機を決定しました。これによりグラフィック用紙の生産性向上と、継続的な原価改善による競争力強化を図ります。今後もGHG排出量削減と連動して生産体制再編成を進め、グラフィック用紙の需要が減少する中でも、基盤事業としての収益力を確保していきます。(ハ)2025年度の取り組み2025年度については、人件費や物流費の上昇、為替動向などの社会経済情勢が経営に与える影響を見極め、海外事業は収益力回復を進めるとともに、全社を挙げたコストダウンと投資効果の確実な発現、製品を安定供給するために適正な価格維持を図り、中期経営計画2025に掲げた目標達成に引き続き取り組みます。a.Opal社の収益改善メアリーベール工場においては、パッケージ原紙工場としての生産体制に対応した新たな労使協定に基本合意しており、これにより工場の構造改革と収益力強化を早期に実現します。パッケージ事業では、これまでに実施した設備投資の効果を最大限に発現させ、オセアニア地域を中心にパッケージ製品の販売を拡大していきます。これらと合わせて、グループの有する知見や技術、研究開発力、調達・販売ネットワークを最大限活用し、グループを挙げてOpal社事業の収益改善を図り、早期の黒字化を目指します。b.生活関連事業の拡大と収益力強化液体用紙容器事業では、これまで拡販を進めてきた環境配慮型製品に加えて、次世代型紙容器「NSATOM®」も初の製品採用が決まり、さらなる販売拡大を見込んでいます。海外では、グローバルにパッケージング事業を展開するノルウェーのElopak社、四国化工機株式会社と協業して一貫サービス体制構築による事業成長を進めます。家庭紙・ヘルスケア事業では、パルプからの一貫生産によるコスト競争力強化に加え、グローバルパートナーとの連携により海外展開の拡大を進めます。ケミカル事業では、機能性セルロースや機能性コーティング樹脂などで、これまで実施した設備投資の効果を最大化させ、収益拡大を進めます。c.紙・板紙事業の基盤強化グラフィック用紙の生産体制最適化と輸出の拡大により、稼働率及び生産性を向上し、競争力強化を図ります。生産設備を削減する中でも、安定操業とBCP体制を強化し、製品の安定供給を維持します。d.バイオマス素材製品新素材として開発を進めているセルロースナノファイバー(CNF)「セレンピア®」は、食品や化粧品用途での採用事例が順調に増加していることに加え、モビリティ関連部材の補強材用途でも採用されました。今後も自動車用途をはじめ幅広い産業分野での用途拡大を進めていきます。また、主として持続可能な航空燃料(SAF)の原料用途での事業化を検討している国産木材由来のバイオエタノールについては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「バイオものづくり革命推進事業」の助成及び委託を受けることになりました。当社は、持続可能な資源である木材から新たなバイオマス素材を生み出すことで、社会課題の解決に貢献する製品の開発とバイオマス素材事業の拡大を進めます。 ② サステナビリティ経営の強化当社は、社会や環境の持続可能性と企業の成長をともに追求するサステナビリティ経営を推進しています。(イ)温室効果ガス(GHG)排出量の削減気候変動問題に対する社会的要請の高まりや2026年度に開始される排出量取引制度などの政策導入を鑑み、GHG削減対策の柱である燃料転換、省エネや生産体制再編成を前倒しで進めており、2030ビジョン策定時に掲げた2030年度GHG排出削減目標45%(2013年度比)を54%に引き上げています。生産体制再編成によるGHG削減については、グラフィック用紙事業を中心に検討を進め、八代工場では抄紙機の停機と併せて石炭ボイラー1基を停機することで、当該工場での石炭使用量をゼロとし、大幅にGHG排出量を削減する計画としています。また、石巻工場では、GX経済移行債を活用した政府支援を受け、石炭から黒液への燃料転換により大幅にGHG排出量を削減します。これらの削減と並行して、パルプから新しいバイオマス素材を生み出し、低GHGなグリーン製品として社会への提供を進めていくことで、脱炭素・循環型社会において総合バイオマス企業として成長していきます。(ロ)グリーン戦略の展開森林の持つ価値の最大化と、木質資源を利用した製品の拡大によって、循環型社会構築と事業基盤強化の両立を図ります。海外植林地では、当社が長年培ってきた樹木の育種・増殖技術や植林技術を活用し、森林の生産性を向上させることで2030年度にCO₂固定効率の30%向上(2013年比)を目指します。また、東南アジア地域の既存植林事業に対して、技術支援などにより生産性を高めることで、当社向け資源の安定確保につなげていきます。国内においては、林業用エリートツリー苗1,000万本/年の生産体制を2030年度までに構築し、国内林業の活性化及び花粉症問題解決への貢献と、国産材サプライチェーン強化による事業成長の同時実現を目指します。また、国のカーボンクレジット制度である「J-クレジット制度」のもと、国内社有林で2027年度までに累計20万t-CO₂のプロジェクト登録を目指すとともに、地方自治体や他の森林保有企業と連携し、さらなる事業機会の獲得を図ります。(ハ)製品リサイクルの推進従来は廃棄・焼却されていた難利用古紙のリサイクルチェーン構築や技術・設備対応による再資源化の拡充を進めています。従来の技術では再利用に不向きとされていた剥離紙や、紙コップなどの食品・飲料用製品も操業の最適化や設備導入で再利用可能としました。外食・サービス産業などにおいて紙容器リサイクルを望むユーザーのニーズは高まりつつあります。今後、収集古紙の対象範囲を広げ、社会的要請に応えるとともに、賛同企業と協働した新たなスタイルのビジネスを構築していきます。(ニ)人的資本経営の強化当社は、中期経営計画2025における事業別の重点課題を踏まえ、人材戦略の基本方針を明確にし、採用・育成・定着・配置に取り組んでいます。グラフィック用紙事業の基盤強化に対しては「人材活用と適正配置の推進」を基本方針に、競争力の維持・強化と省人化を同時に実現することを目指しています。また、生活関連事業の拡大と収益力強化に対しては「新規分野、成長分野への人材投入」を基本方針に、スムーズな事業構造転換の実行につなげます。キャリア形成を目的とした階層別研修や育成コンテンツの拡充、転勤やキャリアコース転換を支援する制度の充実など、それぞれの事業に人材を適正配置できる体制を整えていきます。また、当社は事業戦略を支える人材確保の観点から、「従業員のエンゲージメント向上」を人材戦略全体の基本方針としています。各拠点でのコーチングスキル研修、経営層-従業員間の懇談機会提供など、社内コミュニケーションを活性化させ、エンゲージメントを向上していきます。さらに、導入済みの在宅勤務制度や時間単位年休制度に加え、地域限定総合職制度の導入を検討するなど、多様な働き方の実現に向けて社内環境を継続的に整備し、優れた人材の定着を図ります。これらのベースには、いかに人材を採用していくかが重要であり、昨今の労働市場における人手不足と流動化も踏まえて、キャリア採用、外国人人材採用の推進に加え、従業員からの紹介による採用(リファラル採用)や一度退職した従業員を再び採用する手法(アルムナイ採用)も含めた採用チャネルの複線化などに取り組んでいきます。 財務面については、不動産や政策保有株式など資産売却を積極的に進めながら、財務規律を十分に考慮した上で、事業構造転換の加速に必要な投資を厳選して実行していきます。2023年度末には7,235億円であった純有利子負債は2024年度末に6,949億円まで削減し、中期経営計画2025の目標値7,100億円以下となりました。また、株価や資本コストを意識した経営を推進すべく、2025年度より各事業のKPI設定を行い定期的な進捗確認を実施するなどして、PBR改善に向けた取り組みを一層進めていきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、2030年に目指す姿・目標として「2030ビジョン」を2021年に策定しました。『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として持続的な成長を遂げる』を目指す姿として“成長事業への経営資源のシフト”“GHG削減、環境課題等の社会情勢激変への対応”を基本方針としています。グラフィック用紙の需要減少に適切に対応しながら、経営資源を成長事業・新規事業にシフトし、同時に様々な社会的要請にも耐えうる、筋肉質の体質に変えていきます。今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、「2030ビジョン」の前半にあたる2021年4月から2026年3月までの5年間を「中期経営計画2025」の期間とし、『事業構造転換の加速』を基本戦略に、“生活関連事業の収益力強化”、“グラフィック用紙事業の基盤強化”、“GHG排出量削減の加速”、“財務体質の改善”の4つを重点課題に取り組んでいきます。中期経営計画2025の数値目標については、当社を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、今後の戦略・課題について議論を進めた結果、2023年に以下のとおり一部を見直しています。 <中期経営計画2025 - 見直し後の目標>・売上高 1兆2,000億円以上(2025年度)・営業利益 400億円以上(早期に)・EBITDA 1,000億円 (安定的に)・D/Eレシオ 1.7倍台 (2025年度)・ROE 5.0%以上 (2025年度) (3) 会社の対処すべき課題① 中期経営計画2025(2021年度~2025年度)の達成に向けて2024年度における当社グループを取り巻く経済環境は、物価の上昇は続いたものの、国内経済は全体として緩やかな回復が見られました。一方で、ウクライナ侵攻や中東情勢の長期化、中国経済の減速など、予断を許さない状況が続きました。2025年度は、これらに加えてアメリカの関税政策や、国内の物価上昇による消費マインドの悪化、人手不足による供給制約など、先行き不透明な状況が続くと懸念されます。(イ)事業構造転換の進展当社の主要事業であるグラフィック用紙の需要が減少する中、当社は事業構造転換を推し進め、成長事業である生活関連事業に経営資源をシフトしてきました。その結果、生活関連事業の売上比率は2020年度の32%から2025年度には41%に拡大し、営業利益は79億円から150億円に増加する見通しです。引き続き生活関連事業の拡大により、事業構造転換を進めていきます。(ロ)2024年度の取り組み2024年度については、コスト削減の徹底と価格修正、差別化製品の拡販などに取り組み、国内事業では収益力を維持し、中期経営計画2025を達成する軌道で推移しました。また、海外事業については、豪州Opal社の収益改善は当初計画に対して遅れが見られたものの、着実に改善が進んでいます。a.Opal社の立て直し喫緊の経営課題として豪州Opal社の立て直しに取り組んでいます。グラフィック用紙事業から撤退したビクトリア州のメアリーベール工場では、パルプ生産の最適化を含め、パッケージ原紙工場としての生産体制を確立しました。最適操業条件の確立に時間を要したことや、原紙輸出市況の悪化もあり、収益回復が遅れていますが、さらなる収益改善に向けて基盤強化を図っています。一方、2020年に買収したパッケージ事業については、2023年8月にビクトリア州で新段ボール工場が稼働したことに加え、2024年度には3工場の老朽化した加工機の更新を決定、順次実行しており、生産性が大きく改善しています。さらに、2024年8月にはクイーンズランド州の段ボール工場を閉鎖し、製袋事業や紙器事業の拠点を統廃合した他、全社的な要員合理化を行い、固定費削減を進めました。b.生活関連事業の拡大と収益力強化液体用紙容器事業では、アメリカの日本ダイナウェーブパッケージング社で、安定操業を強化するため2024年度上期に長期のメンテナンスを実施しました。これにより、下期からは生産が安定し、販売も堅調に推移しています。家庭紙・ヘルスケア事業では、2024年4月に石巻工場内の家庭紙製造設備の営業運転を開始しました。さらに、2024年8月には八代工場での家庭紙製造設備の新設も決定しました。家庭紙でもパルプからの一貫生産拠点を増やすことでコスト競争力の強化を進めます。ケミカル事業では、2025年3月にハンガリーのリチウムイオン電池用CMC(カルボキシメチルセルロース)製造工場が稼働を開始しました。将来的なEVの拡大を見据えて、グローバルに展開する顧客(バッテリーメーカー・自動車メーカー)に対して、日本とハンガリーの生産拠点から製品を供給していきます。c.グラフィック用紙事業の基盤強化2024年8月に、白老工場8号抄紙機と八代工場N2抄紙機の停機を決定しました。これによりグラフィック用紙の生産性向上と、継続的な原価改善による競争力強化を図ります。今後もGHG排出量削減と連動して生産体制再編成を進め、グラフィック用紙の需要が減少する中でも、基盤事業としての収益力を確保していきます。(ハ)2025年度の取り組み2025年度については、人件費や物流費の上昇、為替動向などの社会経済情勢が経営に与える影響を見極め、海外事業は収益力回復を進めるとともに、全社を挙げたコストダウンと投資効果の確実な発現、製品を安定供給するために適正な価格維持を図り、中期経営計画2025に掲げた目標達成に引き続き取り組みます。a.Opal社の収益改善メアリーベール工場においては、パッケージ原紙工場としての生産体制に対応した新たな労使協定に基本合意しており、これにより工場の構造改革と収益力強化を早期に実現します。パッケージ事業では、これまでに実施した設備投資の効果を最大限に発現させ、オセアニア地域を中心にパッケージ製品の販売を拡大していきます。これらと合わせて、グループの有する知見や技術、研究開発力、調達・販売ネットワークを最大限活用し、グループを挙げてOpal社事業の収益改善を図り、早期の黒字化を目指します。b.生活関連事業の拡大と収益力強化液体用紙容器事業では、これまで拡販を進めてきた環境配慮型製品に加えて、次世代型紙容器「NSATOM®」も初の製品採用が決まり、さらなる販売拡大を見込んでいます。海外では、グローバルにパッケージング事業を展開するノルウェーのElopak社、四国化工機株式会社と協業して一貫サービス体制構築による事業成長を進めます。家庭紙・ヘルスケア事業では、パルプからの一貫生産によるコスト競争力強化に加え、グローバルパートナーとの連携により海外展開の拡大を進めます。ケミカル事業では、機能性セルロースや機能性コーティング樹脂などで、これまで実施した設備投資の効果を最大化させ、収益拡大を進めます。c.紙・板紙事業の基盤強化グラフィック用紙の生産体制最適化と輸出の拡大により、稼働率及び生産性を向上し、競争力強化を図ります。生産設備を削減する中でも、安定操業とBCP体制を強化し、製品の安定供給を維持します。d.バイオマス素材製品新素材として開発を進めているセルロースナノファイバー(CNF)「セレンピア®」は、食品や化粧品用途での採用事例が順調に増加していることに加え、モビリティ関連部材の補強材用途でも採用されました。今後も自動車用途をはじめ幅広い産業分野での用途拡大を進めていきます。また、主として持続可能な航空燃料(SAF)の原料用途での事業化を検討している国産木材由来のバイオエタノールについては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「バイオものづくり革命推進事業」の助成及び委託を受けることになりました。当社は、持続可能な資源である木材から新たなバイオマス素材を生み出すことで、社会課題の解決に貢献する製品の開発とバイオマス素材事業の拡大を進めます。 ② サステナビリティ経営の強化当社は、社会や環境の持続可能性と企業の成長をともに追求するサステナビリティ経営を推進しています。(イ)温室効果ガス(GHG)排出量の削減気候変動問題に対する社会的要請の高まりや2026年度に開始される排出量取引制度などの政策導入を鑑み、GHG削減対策の柱である燃料転換、省エネや生産体制再編成を前倒しで進めており、2030ビジョン策定時に掲げた2030年度GHG排出削減目標45%(2013年度比)を54%に引き上げています。生産体制再編成によるGHG削減については、グラフィック用紙事業を中心に検討を進め、八代工場では抄紙機の停機と併せて石炭ボイラー1基を停機することで、当該工場での石炭使用量をゼロとし、大幅にGHG排出量を削減する計画としています。また、石巻工場では、GX経済移行債を活用した政府支援を受け、石炭から黒液への燃料転換により大幅にGHG排出量を削減します。これらの削減と並行して、パルプから新しいバイオマス素材を生み出し、低GHGなグリーン製品として社会への提供を進めていくことで、脱炭素・循環型社会において総合バイオマス企業として成長していきます。(ロ)グリーン戦略の展開森林の持つ価値の最大化と、木質資源を利用した製品の拡大によって、循環型社会構築と事業基盤強化の両立を図ります。海外植林地では、当社が長年培ってきた樹木の育種・増殖技術や植林技術を活用し、森林の生産性を向上させることで2030年度にCO₂固定効率の30%向上(2013年比)を目指します。また、東南アジア地域の既存植林事業に対して、技術支援などにより生産性を高めることで、当社向け資源の安定確保につなげていきます。国内においては、林業用エリートツリー苗1,000万本/年の生産体制を2030年度までに構築し、国内林業の活性化及び花粉症問題解決への貢献と、国産材サプライチェーン強化による事業成長の同時実現を目指します。また、国のカーボンクレジット制度である「J-クレジット制度」のもと、国内社有林で2027年度までに累計20万t-CO₂のプロジェクト登録を目指すとともに、地方自治体や他の森林保有企業と連携し、さらなる事業機会の獲得を図ります。(ハ)製品リサイクルの推進従来は廃棄・焼却されていた難利用古紙のリサイクルチェーン構築や技術・設備対応による再資源化の拡充を進めています。従来の技術では再利用に不向きとされていた剥離紙や、紙コップなどの食品・飲料用製品も操業の最適化や設備導入で再利用可能としました。外食・サービス産業などにおいて紙容器リサイクルを望むユーザーのニーズは高まりつつあります。今後、収集古紙の対象範囲を広げ、社会的要請に応えるとともに、賛同企業と協働した新たなスタイルのビジネスを構築していきます。(ニ)人的資本経営の強化当社は、中期経営計画2025における事業別の重点課題を踏まえ、人材戦略の基本方針を明確にし、採用・育成・定着・配置に取り組んでいます。グラフィック用紙事業の基盤強化に対しては「人材活用と適正配置の推進」を基本方針に、競争力の維持・強化と省人化を同時に実現することを目指しています。また、生活関連事業の拡大と収益力強化に対しては「新規分野、成長分野への人材投入」を基本方針に、スムーズな事業構造転換の実行につなげます。キャリア形成を目的とした階層別研修や育成コンテンツの拡充、転勤やキャリアコース転換を支援する制度の充実など、それぞれの事業に人材を適正配置できる体制を整えていきます。また、当社は事業戦略を支える人材確保の観点から、「従業員のエンゲージメント向上」を人材戦略全体の基本方針としています。各拠点でのコーチングスキル研修、経営層-従業員間の懇談機会提供など、社内コミュニケーションを活性化させ、エンゲージメントを向上していきます。さらに、導入済みの在宅勤務制度や時間単位年休制度に加え、地域限定総合職制度の導入を検討するなど、多様な働き方の実現に向けて社内環境を継続的に整備し、優れた人材の定着を図ります。これらのベースには、いかに人材を採用していくかが重要であり、昨今の労働市場における人手不足と流動化も踏まえて、キャリア採用、外国人人材採用の推進に加え、従業員からの紹介による採用(リファラル採用)や一度退職した従業員を再び採用する手法(アルムナイ採用)も含めた採用チャネルの複線化などに取り組んでいきます。 財務面については、不動産や政策保有株式など資産売却を積極的に進めながら、財務規律を十分に考慮した上で、事業構造転換の加速に必要な投資を厳選して実行していきます。2023年度末には7,235億円であった純有利子負債は2024年度末に6,949億円まで削減し、中期経営計画2025の目標値7,100億円以下となりました。また、株価や資本コストを意識した経営を推進すべく、2025年度より各事業のKPI設定を行い定期的な進捗確認を実施するなどして、PBR改善に向けた取り組みを一層進めていきます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績当期におけるわが国の経済は、物価の上昇による影響があるものの、インバウンド需要の増加や雇用・所得環境の改善により、緩やかに回復しています。先行きにつきましては、米国の通商政策や物価上昇の継続、金融資本市場の変動など、依然として不透明な状況が続いています。このような状況の中、当社グループは中期経営計画2025(2021年度~2025年度)において、「事業構造転換の加速」を基本戦略に、「生活関連事業の収益力強化」「グラフィック用紙事業の競争力強化」「GHG排出量削減の加速」「財務体質の改善」を重点課題として取り組んでいます。国内事業につきましては、グラフィック用紙事業の生産体制再編成及び事業構造転換を目的として、2024年度には白老工場と八代工場の一部生産設備の停機、及び八代工場において輸出を中心とした家庭紙事業を展開することを決定しました。あわせて石炭専焼ボイラーを停機することで八代工場での石炭使用量をゼロとし、GHG排出量を削減するなど、各種取り組みを着実に推し進めています。一方、海外事業につきましては、豪州Opal社でグラフィック用紙事業から撤退した、メアリーベール工場の生産体制の大幅見直しと大規模な人員合理化を進めています。2024年度にはOpal社の立て直しを最重要課題と認識し、さらなる全社的な人員合理化やパッケージ事業の構造改革を進めるなどグループを挙げて再建の取り組みを強化しています。連結業績につきまして、売上高は、紙・板紙事業の需要の減少やエネルギー事業の減収があったものの、各種製品の価格修正や円安による影響などにより、前期に比べ増収となりました。営業利益は、原燃料価格や人件費、物流費の上昇に加え、日本ダイナウェーブパッケージング社(NDP社)で例年に比べ大規模な製造設備のメンテナンス休転を実施した影響がありましたが、原価改善を推し進めたことや各種製品の価格修正などにより、前期に比べ増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、土地などの固定資産売却や政策保有株縮減による資産の売却益等を特別利益に計上した一方で、当社のグラフィック用紙事業の生産体制再編成等に伴う減損損失並びにOpal社の事業構造改善費用及び減損損失等を特別損失に計上したことにより、4,539百万円となりました。結果は以下のとおりです。 連結売上高1,182,431百万円(前期比 1.3%増)連結営業利益19,706百万円(前期比 14.1%増)連結経常利益15,505百万円(前期比 6.6%増)親会社株主に帰属する当期純利益4,539百万円(前期比 80.0%減) セグメントの状況は、以下のとおりです。 (紙・板紙事業)売上高565,911百万円(前期比 0.7%減)営業利益8,268百万円(前期比 29.2%減) 洋紙は、新聞用紙、印刷・情報用紙ともに需要の減少が継続し、国内販売数量は前期を下回りました。板紙は、物価高による個人消費の落ち込みもあり、全般的に需要が低調に推移し、国内販売数量は前期を下回りました。 (生活関連事業)売上高457,880百万円(前期比 4.8%増)営業損失6,137百万円(前期は営業損失8,062百万円) 家庭紙は、製品の価格修正が寄与したことや、インバウンド需要の増加等により業務用品の需要が回復したこと、ヘルスケア製品の需要が堅調に推移したことなどにより、売上高は前期を上回りました。液体用紙容器は、食品価格全般の値上がりによる生活防衛意識の高まりなどで依然として需要が減少し、販売数量は前期を下回りました。溶解パルプ(DP)は、市況が安定して推移したことや円安による影響などにより、売上高は前期を上回りました。海外事業は、Opal社における段ボールの販売数量増加や円安の影響などにより、売上高は前期を上回りました。 (エネルギー事業)売上高48,295百万円(前期比 10.1%減)営業利益3,559百万円(前期比 122.6%増) エネルギー事業は、メンテナンス休転日数の増加や石炭価格の下落に伴い販売電力価格も低下したことなどにより、売上高は前期を下回りました。 (木材・建材・土木建設関連事業)売上高78,760百万円(前期比 4.3%増)営業利益9,582百万円(前期比 2.2%減) 木材・建材は、持ち家を中心に新設住宅着工戸数の減少傾向が続いているものの、燃料チップの需要が増加したことなどにより、売上高は前期を上回りました。 (その他)売上高31,582百万円(前期比 1.4%増)営業利益3,002百万円(前期比 7.4%増) (2) 財政状態総資産は、前期末の1,731,245百万円から27,937百万円減少し、1,703,308百万円となりました。この主な要因は、減損損失の計上等により有形固定資産及び無形固定資産が減少したことによるものです。負債は、前期末の1,235,597百万円から42,724百万円減少し、1,192,873百万円となりました。この主な要因は、有利子負債の返済、並びに前連結会計年度末が金融機関の休日であったことにより支払手形及び買掛金が減少したことによるものです。純資産は、前期末の495,648百万円から14,786百万円増加し、510,435百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が増加したことや、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによるものです。 (3) キャッシュ・フローの状況当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、185,941百万円となり、前期末に比べ21,082百万円増加しました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得た資金は、前期に比べ17,492百万円減少し、72,790百万円となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益12,688百万円、減価償却費66,642百万円、運転資金の増減(売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入14,921百万円です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前期に比べ11,404百万円増加し、33,435百万円となりました。この主な内訳は、固定資産の取得による支出51,072百万円、固定資産の売却による収入8,446百万円、投資有価証券の売却による収入7,890百万円です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、前期に比べ28,292百万円減少し、18,274百万円となりました。この主な内訳は、有利子負債の返済による支出です。 (4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。 今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。 なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。 (6) 生産、受注及び販売の状況 ① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)紙・板紙事業金額(百万円)482,5132.9生活関連事業金額(百万円)414,6655.1エネルギー事業金額(百万円)48,295△10.1合計金額(百万円)945,4743.1 (注)1.木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。 2.当連結会計年度において、エネルギー事業における生産実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1) 経営成績」をご参照ください。 ② 受注実績 当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)紙・板紙事業金額(百万円)565,911△0.7生活関連事業金額(百万円)457,8804.8エネルギー事業金額(百万円)48,295△10.1木材・建材・土木建設関連事業金額(百万円)78,7604.3その他金額(百万円)31,5821.4合計金額(百万円)1,182,4311.3 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。3.当連結会計年度において、エネルギー事業における販売実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1) 経営成績」をご参照ください。
事業リスク
- 人材確保・育成のリスク少子高齢化による労働力人口減少が進む中、事業の持続的な成長と競争力維持に必要な人材の確保と育成が困難になる可能性があります。適切な人材が不足すると、事業構造転換の遅延や生産性低下に繋がり、経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。
- Opal社収益改善の遅延豪州の連結子会社Opal社は、パッケージ事業への転換を進めていますが、収益改善が計画通りに進まないリスクがあります。メアリーベール工場の生産体制最適化や固定費削減などの取り組みが遅れると、グループ全体の経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 気候変動に関するリスクエネルギー多消費型の事業構造を持つため、脱炭素化の動きが加速する中で、カーボンプライシング強化やGHG削減投資増大による財務リスク、顧客や投資家からの信頼低下によるレピュテーションリスクに直面する可能性があります。2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みが遅れると、財務状況に影響が出る恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外も存在し、それらのリスクが影響を与える可能性があります。また文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。 (リスク管理体制)当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長を責任者とするリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループの経営におけるリスク発生防止と実際にリスクが発生した場合の影響を最小限にとどめることを目的として、リスクマネジメント規程と危機対策規程を定め、平常時と緊急時の両面で対応することとしており、リスクマネジメント委員会では、当社グループのリスクを定期的に洗い出し、評価、防止対策及び発生時の対策を検討・審議し、取締役会に報告します。 <リスクマネジメント体制> (1) 経営戦略に関する重要なリスク① 人材確保のリスク当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開のために適切な人材の確保と育成に注力しています。適切な人材を十分に確保し、育成することができなければ、既存事業の持続的な成長と競争力の維持が困難になるだけでなく、スムーズな事業構造転換の実行が妨げられることになるため、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、従業員のエンゲージメント向上を目的として多様な背景を持つ人材の積極的な採用や育成、そして柔軟な働き方を支える職場環境の整備により、多様な人材が最大限能力を発揮できる組織づくりの推進により人材の確保に努めています。育成においては、「変化にチャレンジする人材づくり」に取り組み、社内副業制度の導入や工場・事業所の幹部候補育成を目的とした選抜型教育などにより、成長事業の収益拡大と基盤事業の競争力強化の源泉となる人材育成を進めています。職場環境においては、育児・介護などのライフイベントと仕事との両立支援制度の充実や一般職における定年年齢を60歳から65歳に延長するなど、より多様な働き方を後押しする社内制度の導入を図っています。加えて、少子高齢化の進展による労働力人口減少といった課題も顕在化していきます。このため、操業現場の自動化や省人化、物流分野におけるIoT技術の導入についても検討をしています。これらの取り組みにより、当社グループは適切な人材の確保と育成を推進し、持続的な成長に努めていきます。 ② Opal社収益改善の遅延に関するリスク当社グループの連結子会社である豪州のOpal社については、メアリーベール工場においてグラフィック用紙事業から撤退し、成長が期待できるパッケージ事業の一貫体制構築を推進しています。Opal社の立て直しは喫緊の経営課題と認識しており、現在、早期の黒字化に向けて同社の再建に取り組んでいます。しかしながら、これらの取り組みが予定通り進捗しない場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため当社グループでは、課題であるメアリーベール工場の収益改善を図るべく、パッケージ原紙工場としての生産体制最適化、グループの支援強化による操業安定化、人員合理化を中心とする固定費削減、原紙販売構成の改善等により、同工場の収益改善に向けた取り組みを加速しています。また、メアリーベール工場以外のパッケージ事業においては、生産拠点の統廃合などの合理化を進める一方で、段ボール新工場の建設や老朽化した加工機の順次更新などの設備投資を行い生産能力増強と生産性向上を図るとともに、営業体制の強化によりシェア拡大を推進するなど、Opal社全体としての収益基盤強化を進めています。 ③ 気候変動に関するリスクエネルギー多消費型の紙・パルプを主要事業とする当社グループは、気候変動への包括的な対応を、企業グループ理念の実現における重要な課題と位置づけ、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指し、温室効果ガス(GHG)排出量削減に積極的に取り組んでいます。脱炭素化への世界的な動きが加速する中、当社グループの対応が遅れた場合、カーボンプライシング政策の強化などの規制リスク、クレジット購入費用の発生やGHG削減投資の増大による財務リスク、さらに顧客や投資家からの信頼低下によるレピュテーションリスクに直面し、財務への影響が避けられない可能性があります。当社グループは、これらのリスクに関わる財務影響を適切に評価し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の推奨する枠組みに基づき、透明性の高い開示を行っています。またリスク低減のため、2030年度までに2013年度比でGHG排出量を54%削減する目標を掲げ、高効率設備の導入や製造プロセスの最適化による省エネルギー対策や再生可能・廃棄物エネルギーへの転換を進めていますが、さらなる削減を図るために、当社は、2028年度中に石巻工場において高効率な黒液回収ボイラー1基を新設し、あわせて既存の石炭ボイラー1基の運転を停止することでGHG排出量の削減の取り組みを一層加速していきます。当社グループは、物流時の排出についても、同業や異業種企業などステークホルダーとの連携を強化し、ラウンド輸送やモーダルシフト化、輸送距離の短縮等の協働を通じて、バリューチェーン全体での排出量削減に取り組んでいます。また、適切な森林管理による森林吸収やカーボンリサイクルなどの取り組みも積極的に行っており、多面的に脱炭素化を推進し、2050年カーボンニュートラル達成への取り組みを強化しています。気候変動問題への対応は、単なるリスク管理にとどまらず、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。当社は、幅広いステークホルダーとの連携をより一層強化しながら、サステナビリティを核としたイノベーションを推進し、環境と経済の両立を目指す持続可能な成長を実現していきます。 ④ グラフィック製品の需要減少に関するリスク当社グループの事業の1つであるグラフィック用紙事業は、デジタル化の進展や、新型コロナウイルス感染症を契機とした働き方や生活様式の変化を受けて市場縮小の傾向が続いています。そのため、当社は成長事業である生活関連事業への経営資源のシフトとともに、グラフィック用紙事業については生産体制の再編成を進め、生産能力削減と競争力の強化を図っています。しかしながら、これらの取り組みが予定通り進捗しない場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。当社グループは、グラフィック用紙事業の基盤強化として、操業安定化及び継続的なコストダウン、安定供給のための再生産可能な適正価格を確保し、また、顧客と連携した環境配慮型製品の開発・ラインアップ拡充による販売数量の維持・拡大、食品・工業向け製品における加工分野での協業を進めています。更に、包装分野を中心とした海外市場の調査を行う専門部署を設置し、グローバルな市場動向をリアルタイムに把握しながら、迅速な海外向け製品の開発と販売供給体制を強化することで海外市場を獲得し、輸出を拡大していきます。グラフィック用紙の生産体制再編成についても、GHG排出量削減と連動して進めることで競争力を高め、人材やパルプ、ユーティリティなどのグラフィック用紙事業の既存リソースは、家庭紙やケミカル、バイオマス素材などの成長分野の拡大に活用します。このように、リスク低減のために多数の対応手段を持つことで、市場の変化に対するレジリエンスを高め、引き続き安定した収益を確保していきます。 ⑤ バイオマス素材事業拡大の遅延に関するリスク当社グループは、木質資源から生み出すバイオマス素材・製品を様々な市場に展開するバイオマス素材事業を拡大し、「総合バイオマス企業」として持続的に成長することを目指しています。しかしながら、バイオマス素材事業の拡大が計画通り進捗しない場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。当社グループは、「2030ビジョン」と「中期経営計画2025」における成長戦略として、「森林価値の最大化」と「バイオマス素材・製品の拡大」を2つの柱とした「グリーン戦略」を策定しています。化石資源の枯渇、海洋プラスチック問題などを背景とした脱・減プラスチックの動きは、脱炭素、サーキュラーエコノミーと併せ、世界において主流化することが予想されます。当社グループは、持続可能な森林経営・管理で木質資源を生み出し、環境配慮性と優れた機能特性を併せ持つバイオマス素材・製品をモビリティ&インダストリアル、フード&アグリ、コンストラクション、パーソナルケア市場等、国内外の様々な製品市場に提供していきます。すでに、化石資源由来の素材の代替や機能性向上を目的とした容器包装用紙製品、セルロースナノファイバー、養牛用飼料等、セルロース製品の用途開発、販売を開始しており、それに加えて、国産材からのバイオエタノール生産に向けて、当社岩沼工場での実証試験にも着手しています。また、木材成分のひとつであるリグニンを原料とした、常温アスファルト混合物用乳剤に使用される「スターリグノ」など、工事施工時のGHG排出量を削減できる製品向けの販売も開始しています。環境配慮性など市場の要望をタイムリーに実現していくためには、技術力、販売力、ネットワークが必須です。当社は、これらの分野への投資や人材の再配置を積極的に進めることで、既存事業とのシナジーも生み出していますが、同時にオープンイノベーションを推進するための「産・官・学・金」のネットワーク構築にも取り組み、その研究成果を製品・サービスとして市場に提供することで、市場の変化に対応するレジリエンスを高めていきます。市場の変化に対応し、国内外で優位性を獲得・維持するためには、知的資本の価値を最大化する知財戦略が欠かせません。当社グループでは、研究・開発部門と知的財産部門が密接に連携し、定期的に研究成果を精査し、成長分野や新規事業分野への特許出願や権利化の強化を図ると同時に、海外事業の拡大を念頭においた外国特許出願にも力を入れています。当社グループは、バイオマス素材を通じて、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減やリサイクルによる資源循環・資源自律、国内森林の活用による林業の活性化などを実現することで、社会の持続可能性と当社の持続可能性を追求していきます。 ⑥ サプライチェーンマネジメントに関するリスク当社グループは、原燃料であるチップ、古紙、重油、石炭、薬品などを調達して、製品の製造・販売を行っています。原燃料の価格は、国内外の市況に大きく影響を受け、また脱化石燃料の気運や洋紙生産量減少に伴い、原燃料サプライヤーの事業縮小や事業撤退に起因した調達の不安定性、価格変動が顕在化する可能性があり、その価格変動は当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。港湾労働者・輸送力不足、地政学的緊張の高まりによるグローバルサプライチェーンにおける輸送網での遅延、気候変動対応による脱炭素政策を主要因とした原燃料価格上昇に起因する輸送費の上昇は今後も継続すると予想されます。特に国内の場合、いわゆる「物流2024年問題」が喫緊の課題であり、これらの問題も当社の経営成績及び財政状態等にさらなる影響を与える可能性があります。主な対策として、原料や燃料の一部について、リスクヘッジのため予約購入のスキームを設定・運用する等の施策を取っている他、特に製紙用木材チップについては、当社グループは国内外に16万haの森林資源を保有するとともに、国内外のチップサプライヤーとの長きにわたる取引実績に基づく信頼関係の強化や近距離での安価な資源の開発・採用により、原材料確保と購入価格の安定化を図っています。荷役時間の削減対策として、一部工場ではトラック受入予約システムを導入し、荷役待ち時間の短縮を図っています。また、安定調達のためサプライヤーや物流会社との良好な関係を強化するとともに、海外を含む複数地域、複数ソースからの調達、代替品への切り替え、グループ横連携強化による融通及び調達網拡大等や在庫水準の見直しなど、適正在庫の管理強化による財務状況の適正化も進めています。また、「物流2024年問題」に対しては、製品販売及び原燃料調達において社内横断でのプロジェクトチームを発足させ、規制への遵守とコストアップの最小化の両立に取り組んでいます。取引先とも協働し、計画的な納品依頼や輸送体制の変更、積載率の向上や消費地近隣に新たな在庫拠点を設置するなどの対策を実行しています。さらに、他社との海上共同輸送を実現し、トラック輸送と比べてGHG排出量の削減に取り組むとともに、人手不足への対応として物流DXの取り組みを促進していきます。 ⑦ 自然災害及び感染症等のリスク当社グループの生産及び販売拠点が位置する地域において、地震や台風、洪水、山火事といった大規模な自然災害が発生した場合、事業の継続性に大きな影響を及ぼす可能性があります。生産活動の停止、設備復旧のための費用増加、製品や原材料の損害などが発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため当社グループでは、危機対策規程に基づき、緊急時には危機対策本部を迅速に立ち上げ、従業員及び家族の安否確認、被災状況の把握、供給継続のための対策を実施します。また緊急事態への対応のためBCM(事業継続マネジメント)を強化し、複数工場での供給体制の構築や、災害想定に基づく避難訓練や安否確認訓練を定期的に行っています。なお、自然災害に対する保険を付保していますが、当社が負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分ではない可能性があります。また新型コロナウイルス感染症の流行によって、感染症が事業活動に与える影響の大きさが改めて認識されました。新型コロナウイルスを含む感染症のリスクは、従業員の健康及び事業の継続性に対する脅威となり得ます。当社グループでは、従業員の感染防止対策、在宅勤務制度の構築、オンライン会議システムの導入拡大など、感染症対策を継続的に強化しています。また、感染者の発生や事業活動への影響が懸念される場合には、迅速な情報共有と対策本部の立ち上げにより、事態の収束と事業の安定を図ります。これらの取り組みにより、自然災害や感染症といった予期せぬ事態にも柔軟に対応し、事業の継続性と従業員の安全を守る体制を構築・維持しています。今後も、リスク対策の継続的な見直しと強化を通じて、変化する社会情勢に対応していきます。 (2) 事業環境及び事業活動に関するリスク① 生産設備に関するリスク当社グループは、市場需要と既存設備の能力を考慮した計画生産を基本としています。しかし、設備の故障や火災、自然災害による設備事故などにより生産設備の稼働率が低下すると、製品の供給能力が不足し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対応するため、定期的な設備点検とメンテナンス、脆弱箇所を計画的に更新する老朽化対策工事等の実施、複数工場での供給体制の構築、在庫の適正化などを行っています。 ② コンプライアンスに関するリスク当社グループが展開する紙・板紙事業、生活関連事業、エネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業など、幅広い分野において、関連する法令や規制は常に変化しており、新たなコンプライアンスの課題が生じています。特に、デジタル化の進展、グローバル化の加速、環境保護や人権尊重への関心の高まりなど、社会情勢の変化に合わせた、コンプライアンス違反のリスクはさらに複雑化しています。その対策として、当社グループでは、社会情勢の変化に応じたコンプライアンス研修の実施や、コンプライアンスに関する意識調査を行い、従業員のコンプライアンス意識の向上に努めています。また、法令、社会規範、企業倫理、行動憲章、行動規範及びグループ各社の社内規則等に抵触するおそれのある行為などについて、日常の指示系統を離れて直接通報・相談できる「日本製紙グループヘルプライン」を設置し、コンプライアンス違反の懸念があるものについては事実調査を行っています。事案の重要性に鑑み、社内処分や注意・指導、教育等による従業員への意識啓発などの是正措置・再発防止策を実施しています。また、当社グループは取引先や、自社だけでは遂行が難しい業務を様々な委託協力会社の協力のもと事業活動を展開しているため、取引先や委託協力会社との関係においても、公正かつ健全な業務実施を重視しています。独占禁止法や下請法の遵守はもちろんのこと、社会的な価値観の変化を反映した公正な取引慣行を目指していますが、違反があった場合には、訴訟リスクや社会的信頼の喪失など、経営上の大きなリスクとなることが予想されます。これらに対応するため、「パートナーシップ構築宣言」に基づき、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組んでいます。また、2023年11月に公表された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえ、グループ全体でのリスク評価と対策の実施を進めています。これらの取り組みにより、社会情勢の変化にも柔軟に対応し、コンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えることを目指しています。 ③ 労働者の安全衛生に関するリスク当社グループは、全事業所で安全最優先での操業に努めていますが、労働災害の発生は、労働者の健康や人命が失われる重大なリスクです。災害内容によっては企業としての管理責任を問われ、設備停止となる可能性もあります。労働災害を防ぐため独自の労働安全衛生マネジメントシステムを運用し、事業所ごとに具体的、継続的かつ自主的な活動を安全衛生計画として組み込み、労働災害の防止と労働者の健康増進、快適な職場環境など安全衛生水準の向上に努めています。これらの取り組みにより、当社グループは労働災害の防止を推進し、安全な職場環境の確保に努めていきます。 ④ 製造物責任に基づくリスク当社グループは、製品について製造物責任に基づく損害賠償を請求される対象であり、現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的には直面する可能性があります。製造物責任にかかる保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社グループが負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分でない場合があります。当社グループではグループ製品リスク委員会を設置し、グループ各社の製品安全リスクの監督、支援を行っています。また、主要製造会社はそれぞれに製品リスク委員会を設置するとともに、製品リスク管理規程の整備を進め、製品事故の防止に努めています。 ⑤ 環境法令関連のリスク当社グループは、事業活動において、環境関連の法規制の適用を受けています。これらの規制の変更や改正により、生産活動が制限される、あるいは新たな対策のための費用が発生する可能性があり、これらは経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このリスクに対応するため、環境関連の法改正状況について定期的にモニタリングし、また社外から各種情報を収集することで、適切に法令改正に対応する体制を整えています。 ⑥ 情報システムに関するリスク当社グループは、情報システムに関するセキュリティを徹底・強化し、また急速に普及した在宅勤務環境においても十分な情報セキュリティ対策を講じています。しかし、今後コンピュータへの不正アクセスによる情報流出や犯罪行為による情報漏えい、業務遂行妨害等の問題が発生した場合には、損害賠償請求や当社グループの社会的信頼喪失、業務停止等により、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。情報セキュリティに関しては時流に合わせた防衛システムの導入や従業員教育を行い、個人情報については「個人情報取扱規則」を定め、全役員、全従業員及び関係取引先への周知を図ったり、セキュリティインシデントが発生した際の連絡ルートを整備したりするなど、管理体制を強化しています。また、定期的なセキュリティ監査や脆弱性評価を実施することにより、システムの脆弱性を発見・修正することで、セキュリティインシデントの予防に努めています。 ⑦ 知的財産紛争等のリスク当社グループは、製品や技術に関する知的財産権を保有しており、知的財産紛争や訴訟の発生があり得ます。これにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響が生じる可能性があります。具体的には、当社の製品や技術が他社の知的財産権を侵害していると主張される訴訟が提起される可能性があります。また、当社グループの知的財産権が他社によって無効審判請求の対象になる可能性や、第三者による知的財産権の侵害リスクも考えられます。当社グループは知的財産権の保護や従業員に対する教育に努めており、法的対策やリスク管理策を講じています。 ⑧ 為替レートの変動リスク当社グループは、輸出入取引等について為替変動リスクを負っています。輸出入の収支は、チップ、重油、石炭、薬品などの原燃料の輸入が、製品等の輸出を上回っており、主として米ドルに対して円安が生じた場合には経営成績にマイナスの影響を及ぼします。なお当社グループは、為替変動による経営成績への影響を軽減することを目的として、為替予約等を利用したリスクヘッジを実施しています。 (3) 財務・会計リスク① 株価の変動リスク当社グループは、取引先や関連会社等を中心に市場性のある株式を保有しており、株価の変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため保有株式の定期的な株価のモニタリングを行うことにより、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を注視しています。 ② 金利の変動リスク当社グループは、有利子負債などについて金利の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。当社では、長期借入金の固定金利借入の比率を一定水準以上に保っています。また、返済年限の分散化、調達の多様化に加えて金利スワップなどの金融商品を利用すること等により、金利変動リスクへの対応を行っています。 ③ 信用リスク当社グループは、与信管理規程に従い取引先の財務情報等を継続的に評価し、与信限度を設定するなど信用リスクに備えていますが、経営の悪化や破綻等により債権回収に支障をきたすなどの事象が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 ④ 固定資産の減損リスク当社グループは、生産設備や土地をはじめとする固定資産を保有しています。事業環境等の変化により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく減少した場合、減損損失が発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 ⑤ 退職給付債務に関するリスク当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率等の数理計算上の前提に基づいて算出していますが、数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合や株式市場の低迷等により年金資産が毀損した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため年金資産の運用については、外部コンサルタントの助言をもとに、リスク・リターン特性の異なる複数の資産クラス・運用スタイルへの分散投資を行っており、年金資産全体のリスク・リターンの分析を定期的に実施することで、分散効果の有効性について評価を実施しています。 ⑥ 繰延税金資産の取崩しリスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しています。しかし、事業環境等の変化による課税所得の減少や税制改正等により回収可能性を見直した結果、繰延税金資産の取崩しが発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。