研究開発活動(本文)
FY2025|4,993 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換と基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出、パッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル・新素材事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、紙・板紙事業の収益力向上に貢献する研究開発を進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、国内外の企業・研究機関やグループ企業との連携を密にすることでオープンイノベーションを推進します。また、マテリアルインフォマティックス(MI)や人工知能(AI)の活用により、研究開発そのものの効率化を進め、研究成果の最大化を図ります。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,272百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題への対峙、国内での炭素賦課金の導入を見据えて、基盤技術研究所、富士革新素材研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,125百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。更なる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、こうした当社の独自技術を活用し、他社と戦略的パートナーシップ契約を締結し、インドネシアの植林事業会社の植林木の生産性向上に取り組んでいます。一方、国内においては、CO₂吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つエリートツリーの苗木生産事業を全国で展開しています。2016年の熊本県に続き、2022年には静岡県、広島県、鳥取県、大分県、2023年には秋田県において「特定増殖事業者」の認定を受け、エリートツリーの苗生産に必要な種子や穂木を生産するため、採種園・採穂園の造成を行いました。2023年10月には原材料本部内にエリートツリー推進室を設置し、苗生産事業の推進体制強化を図り、全国各地で苗木の生産、出荷を進めています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、生産現場とより密接に連携を図りながら製造工程の操業性改善、品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発等 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー(以下、「CNF」といいます。)、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー「ミネルパ®」の事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮蔽(造影)」等の各機能を持つミネルパ®の採用拡大を目指して、事業分野の探索とサンプルワークを進めており、システムトイレ用猫砂と高機能吸湿剤で「消臭抗菌」の機能を持つミネルパ®が採用となりました。 木材を原料とする養牛用飼料「元気森森®」(高消化性セルロース)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。2021年度からは、パルプを牧草と同様に「ロールベール形態」へ加工する装置を岩沼工場に設置し、牧場側で扱いやすい形態でのサンプル提供体制を整え、有償サンプルワークの展開を加速しています。 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、当社の塗工技術を活用し、紙にバリア性を付与した紙製バリア素材「シールドプラス®」、プラスチックフィルムを貼合することなく “紙だけでパッケージができる”ヒートシール紙「ラミナ®」の開発を推進しています。シールドプラス®は2020年度に耐屈曲性を向上したリニューアル品を上市、これに伴いスタンドパウチなど新たな形態での採用も増えています。当社グループの十條サーマル社においては印刷美粧性を高めるコート紙タイプとラミネートを使用せずリサイクル性を向上させたヒートシール塗工タイプを上市し、サンプルワークを進めています。ラミナ®についても2020年の販売開始以降、脱プラスチックを可能とする素材としてバリア性を必要としない食品、化粧品、日用雑貨等の二次包装材として採用が進んでいます。また、更なる環境配慮型素材として、他社と共同開発したバイオマス由来で生分解性に優れるヒートシール紙が2022年11月に菓子製品の外装に採用され、2023年日本パッケージコンテストの菓子包装部門賞を受賞しています。その他にも紙製ブリスターパック用途の開発も進めるなど、環境素材、パッケージの提案を加速しています。最近では産業分野から包材や基材としての引き合いがあるなど、使用の幅を拡げつつあります。また、防水性、防湿性、耐油性を有し、かつ通常の段ボールと同様に古紙回収可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。防水ライナを用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送や、耐油性を活かした機械部品などの輸送を可能にしました。現在、各段ボールメーカー、代理店と協力し、魚箱用途をはじめとしたユーザーへの展開を図るとともに、ユーザーでの加工効率向上に向けた生産体制拡充を進めています。 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合した「トレファイドバイオコンポジット」を開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、GHG削減にも寄与します。また、セルロースパウダーと樹脂を複合化した「セルロースバイオコンポジット」も開発しました。当社が培ってきたセルロースパウダー技術を活用し、従来の製品よりも強度や成形性に優れています。今後は、他社と開発を連携することで日用品、容器、建材、家電製品、自動車部材など、幅広い分野への展開を目指し、製品開発と早期の市場投入を計画しています。 CNF「セレンピア®」については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じた製造技術と本格的な供給体制を確立し、市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えており、2023年度は化粧品向けに新規に開発した高透明品の採用が決まり、2025年度は量産設備(江津)でのフル生産を予定しています。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いた抗ウイルス・消臭・抗菌性を有する衛生薄葉紙、不織布、印刷用紙等、様々な製品開発を行っています。さらに、銅イオンをプラスした変性セルロース「Cu-TOP(シーユートップ)」を配合した紙糸を開発し、新たな用途展開を行っています。また、CNF派生製品であるミクロフィブリルセルロース(MFC)「セレンピア®ミュー」についてモルタル養生材用途で共同開発先と技術を確立し、2024年10月に国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録しました。今後、本技術による施工を開始します。また、GHG排出削減に有効な蓄電デバイスを、持続可能な資源から製造する取り組みとして、CNFを用いた次世代蓄電デバイスの開発を進め、2025年6月に大阪・関西万博で試作品展示を行いました。 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂「セレンピア®プラス」は、実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車をはじめとするモビリティ部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を進めています。その研究活動を通じて、2023年8月、共同研究先が発売した水上オートバイのエンジン部材として採用されました。本部材の採用はCNF強化樹脂を用いた輸送機器部品の量産化として世界初の事例となります。 また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクトに参画し、CNF強化樹脂の大量製造技術と本格的な供給体制の確立に向け検討を進め、この助成金を活用して富士工場に導入した混練機を中心とする実証生産設備では、年間50トン以上のCNF強化樹脂を製造することができます。また2021年度に採択された環境省補助金事業を通じて3Dプリンターを導入し、成型樹脂材料の開発を進めています。 今後は安定して大量生産する製造技術の確立、品質向上、さらなるコストダウンを目指し、モビリティ部品を始めとする幅広い産業への用途開発の加速、CNF強化樹脂の製造量の拡大を進めていきます。 また、当社はバイオリファイナリーで様々な製品・市場に展開することを目指しています。引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、セルロースは土木分野への利用、リグニンのアスファルト利用は将来的な公道での普及に向けて複数箇所での試験施工を進めています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,091百万円です。 液体用紙容器の分野については、2020年末に採用されたストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」の全国展開を推進しており、採用エリアは24都道府県300以上の市区町村に拡大しています。日本国内の紙容器の学校給食牛乳は年間、約15億本が使用されており、School POP®は既に全体の約40%をカバーし、ストローレス紙容器の代名詞として、他の追随を許さず急速に普及しています。また、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の初号機が客先に搬入され、2025年3月末より生産が開始されました。非飲料分野向けについては、2024年10月に韓国メーカーと差し替え式紙容器「SPOPS®」の開発と販売に関する契約を締結しました。韓国市場への進出をきっかけにグローバルに広く展開していきます。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、接着剤等の機能性コーティング樹脂の新製品開発・製品化を進めています。また、リグニン製品の農業分野への拡販支援、新規リグニン誘導体の開発・用途開拓、飼料用酵母の免疫機能向上データ拡充、ステビア甘味料の健康食品向け拡販支援等を行っています。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレイ用途や車載ディスプレイ用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組んでいます。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用及び当事業のGHG削減についても検討しています。当事業に係る研究開発費は44百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2024|4,787 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換と基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出、パッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル・新素材事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、紙・板紙事業の収益力向上に貢献する研究開発を進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にすることでオープンイノベーション等を推進し、更なる研究開発を進めていきます。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,557百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題への対峙、国内での炭素賦課金の導入を見据えて、基盤技術研究所、富士革新素材研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,508百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。更なる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、こうした当社の独自技術を活用し、他社と戦略的パートナーシップ契約を締結し、インドネシアの植林事業会社の植林木の生産性向上に取組んでいます。一方、国内においては、CO₂吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つエリートツリーの苗木生産事業を全国で展開しています。2016年の熊本県に続き、2022年には静岡県、広島県、鳥取県、大分県、2023年には秋田県において「特定増殖事業者」の認定を受け、エリートツリーの苗生産に必要な種子や穂木を生産するため、採種園・採穂園の造成を行いました。2023年10月には原材料本部内にエリートツリー推進室を新設し、今後各地で苗木の生産、出荷を進めていきます。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、生産現場とより密接に連携を図りながら製造工程の操業性改善、品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発等 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー(以下、「CNF」といいます。)、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー「ミネルパ®」の事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮蔽(造影)」等の各機能を持つミネルパ®の採用拡大を目指して、事業分野の探索とサンプルワークを進めており、システムトイレ用猫砂と高機能吸湿剤で「消臭抗菌」の機能を持つミネルパ®が採用となりました。 木材を原料とする養牛用飼料「元気森森®」、「にんじん森森®」(高消化性セルロース)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。2021年度からは、パルプを牧草と同様に「ロールベール形態」へ加工する装置を岩沼工場に設置し、牧場側で扱いやすい形態でのサンプル提供体制を整え、有償サンプルワークの展開を加速しています。 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、当社の塗工技術を活用し、紙にバリア性を付与した紙製バリア素材「シールドプラス®」、プラスチックフィルムを貼合することなく “紙だけでパッケージができる”ヒートシール紙「ラミナ®」の開発を推進しています。シールドプラス®は2020年度に耐屈曲性を向上したリニューアル品を上市、これに伴いスタンドパウチなど新たな形態での採用も増えています。ラミナ®についても2020年の販売開始以降、脱プラスチックを可能とする素材としてバリア性を必要としない食品、化粧品、日用雑貨等の二次包装材として採用が進んでいます。また、更なる環境配慮型素材として、他社と共同開発した生分解性に優れるヒートシール紙が2022年11月に菓子製品の外装に採用されました。当社グループの拠点があるフィンランドにおいても同様の開発、生産を行っており、環境対応が求められる包装市場における新たな環境配慮型包材として、国内外への提案を進めています。最近では産業分野から包材や基材としての引き合いがあるなど、使用の幅を拡げつつあります。また、防水性、防湿性、耐油性を有し、かつリサイクルが可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。防水ライナを用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送や、耐油性を活かした機械部品などの輸送を可能にしました。現在、各段ボールメーカー、代理店と協力し、魚箱用途をはじめとしたユーザーへの展開を図るとともに、ユーザーでの加工効率向上に向けた生産体制拡充を進めています。 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合した「トレファイドバイオコンポジット」を開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、GHG削減にも寄与します。また、セルロースパウダーと樹脂を複合化した「セルロースバイオコンポジット」も開発しました。当社が培ってきたセルロースパウダー技術を活用し、従来の製品よりも強度や成形性に優れています。今後は、他社と開発を連携することで日用品、容器、建材、家電製品、自動車部材など、幅広い分野への展開を目指し、製品開発と早期の市場投入を計画しています。 CNF「セレンピア®」については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じた製造技術と本格的な供給体制を確立し、市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えており、2023年度は化粧品向けに新規に開発した高透明品の採用が決まり、2024年度は量産設備(江津)にて更なる増産を予定しています。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いた抗ウイルス・消臭・抗菌性を有する衛生薄葉紙、不織布、印刷用紙、段原紙等、様々な製品開発を行っています。さらに、銅イオンをプラスした変性セルロース「Cu-TOP(シーユートップ)」を配合した紙糸を開発し、新たな用途展開を行っています。また、GHG排出削減に有効な蓄電デバイスを、持続可能な資源から製造する取り組みとして、CNFを用いた次世代蓄電デバイスの開発を進め、2025年の大阪・関西万博での試作品展示を目指しています。 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂「セレンピアプラス®」は、実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車をはじめとするモビリティ部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を進めています。その研究活動を通じて、2023年8月、共同研究先が発売した水上オートバイのエンジン部材として採用されました。本部材の採用はCNF強化樹脂を用いた輸送機器部品の量産化として世界初の事例となります。 現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクトに参画し、CNF強化樹脂の大量製造技術と本格的な供給体制の確立に向け検討を進めています。2021年9月に、この助成金を活用して富士工場に建設した混練を中心とする拡張された実証生産設備は、年間50トン以上のCNF強化樹脂を製造することができます。また2021年度に採択された環境省補助金事業を通じて3Dプリンターを導入し、成型樹脂材料の開発を進めています。 今後は安定して大量生産する製造技術の確立、品質向上、さらなるコストダウンを目指し、モビリティ部品を始めとする幅広い産業への用途開発の加速、CNF強化樹脂の製造量の拡大を進めていきます。 バイオリファイナリーについては、引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、セルロースは土木分野への利用、クラフトリグニンのアスファルト利用は将来的な公道での普及に向けて複数箇所での試験施工を進めています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,972百万円です。 液体用紙容器の分野については2020年末に採用されたストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」の全国展開を推進しており、採用エリアは21都道府県に拡大しています。日本国内の紙容器の学校給食牛乳は年間、約15億本が使用されており、School POP®は既に全体の約30%をカバーし、ストローレス紙容器の代名詞として、他の追随を許さず急速に普及しています。また、2017年に屋根型容器NP-PAK向けに上市した軽量口栓についても確実に採用が増えており、2023年度新たに植物由来の樹脂から出来た口栓が採用されました。固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」はグループ会社内のテクニカルセンターで実際に客先向け実液充填を行い、採用に向けて保存テストを実施中です。非飲料分野向けについては差し替え式紙容器「SPOPS®」及び消毒剤用特別仕様「SPOPS® Hygiene」に対応する高速充填機「UP-MX20」を委託充填メーカーに設置済で、既にブランドオーナー数社の製品を充填、販売開始しており、更なる拡販を推進しています。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、接着剤等の機能性コーティング樹脂の新製品開発・製品化を進めています。また、合成系水溶性高分子の用途拡大やリグニン製品の農業分野への拡販支援、飼料用酵母の免疫機能向上データ拡充等を行っています。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレイ用途や車載ディスプレイ用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組んでいます。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用及び当事業のGHG削減についても検討しています。当事業に係る研究開発費は64百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2023|4,481 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換と基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出、パッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル・新素材事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、紙・板紙事業の収益力向上に貢献する研究開発を進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にすることでオープンイノベーション等を推進し、更なる研究開発を進めていきます。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,760百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、富士革新素材研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,573百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。更なる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、こうした当社の独自技術を活用し、他社と戦略的パートナーシップ契約を締結し、インドネシアの植林事業会社の植林木の生産性向上に取組んでいます。一方、国内においては、CO₂吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つエリートツリーの苗木生産事業を全国で展開しています。2016年の熊本県に続き、2022年に静岡県、広島県、鳥取県、大分県の4県において「特定増殖事業者」の認定を受け、エリートツリーの苗生産に必要な種子や穂木を生産するため、採種園・採穂園の造成を行いました。今後は2024年から各地で苗木生産を開始し、同年秋以降の苗木出荷を予定しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発等 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)の事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。2022年度は「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮蔽(造影)」等の各機能を持つミネルパの採用拡大を目指して、事業分野の探索とサンプルワークを進めており、システムトイレ用猫砂と高機能吸湿剤で「消臭抗菌」の機能を持つミネルパが採用となりました。 木材を原料とする養牛用飼料の元気森森®、にんじん森森®(高消化性セルロース)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。2021年度からは、パルプを牧草と同様に「ロールベール形態」へ加工する装置を岩沼工場に設置し、牧場側で扱いやすい形態でのサンプル提供体制を整え、有償サンプルワークの展開を加速しています。 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、当社の塗工技術を活用し、紙にバリア性を付与した紙製バリア素材「シールドプラス®」、プラスチックフィルムを貼合することなく “紙だけでパッケージができる”ヒートシール紙「ラミナ®」の開発を推進しています。「シールドプラス®」は2020年度に耐屈曲性を向上したリニューアル品を上市、これに伴いスタンドパウチなど新たな形態での採用も増えています。「ラミナ®」についても2020年の販売開始以降、脱プラスチックを可能とする素材としてバリア性を必要としない食品、化粧品、日用雑貨等の二次包装材として採用が進んでいます。また、更なる環境配慮型素材として、他社と共同開発した生分解性に優れるヒートシール紙が2022年11月に菓子製品の外装に採用されました。当社グループの拠点があるフィンランドにおいても同様の開発、生産を行っており、環境対応が求められる包装市場における新たな環境配慮型包材として、国内外への提案を進めています。また、防水性、防湿性、耐油性を有し、かつリサイクルが可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。「防水ライナ」を用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送や、耐油性を活かした機械部品などの輸送を可能にしました。現在、各段ボールメーカー、代理店と協力し、魚箱用途をはじめとしたユーザーへの展開を図るとともに、ユーザーでの加工効率向上に向けた生産体制拡充を進めています。 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合したトレファイドバイオコンポジットを開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、GHG削減にも寄与します。また、セルロースパウダーと樹脂を複合化したセルロースバイオコンポジットも開発しました。当社が培ってきたセルロースパウダー技術を活用し、従来の製品よりも強度や成形性に優れています。今後は、他社と開発を連携することで日用品、容器、建材、家電製品、自動車部材など、幅広い分野への展開を目指し、製品開発と早期の市場投入を計画しています。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を確立し、CNFの市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えており、2021年度に立ち上げた他社とのコラボレーションによる「セレンピア®」配合のエシカルスキンケアブランド「BIOFEAT.」は、順調に発売1周年を迎えました。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いて抗ウイルス性を有した不織布や印刷用紙、段原紙等の製品開発を行っています。2021年度に銅イオンをプラスした変性セルロースを使用した機能性シート(抗ウイルス・抗菌・消臭・抗アレルゲン)を用いた医療用マスク 「Cu-TOP(シー・ユー・トップ)サージカルマスク」の販売を開始しました。Cu-TOPについてはその後、大学との共同研究で新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果が高いことを見出しました。 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂(セレンピアプラス®)は、実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を進めており、2022年11月に共同検討中のモビリティメーカーの水上オートバイの部品への採用が決まりました。 NEDOプロジェクトへの参画も積極的に展開しています。CNF強化樹脂開発の案件で2020年度から実施している助成事業を2024年度まで継続することが採択されました。また、2021年度に採択された環境省補助金事業「革新的な省CO₂実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速事業」については、3Dプリンターを導入して成型樹脂材料の開発を進めています。バイオリファイナリーについては、引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、共同開発を進めている「クラフトリグニンのアスファルト利用に関する研究」がNEDO戦略的省エネルギー革新プロジェクトに採択されています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,041百万円です。 液体用紙容器の分野については2020年末に採用されたストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」の全国展開を推進しています。固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」はグループ会社内にある試験用の飲料殺菌ラインを更新して、実際に客先向け実液充填を行い、採用に向けて保存テストを実施中です。また、大型レンガ型紙容器としては国内最速となる無菌充填機(UP-FUJI-LA82)が完成しており、初号機は既に客先に設置し、生産を開始しています。2号機については新たに開発した高性能、高速口栓装着機と合わせてグループ会社内に設置済で、今後拡販向けにデモンストレーションを実施していきます。非飲料分野向けについては差し替え式紙容器「SPOPS®」及び消毒剤用特別仕様「SPOPS® Hygiene」に対応する高速充填機(UP-MX20)を委託充填メーカーに設置済で、既にブランドオーナー数社の製品を充填、販売開始しており、更なる拡販を推進しています。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、接着剤等の機能性コーティング樹脂の新製品開発・製品化を進めています。また、合成系水溶性高分子の用途拡大やリグニン製品の農業分野への拡販支援、飼料用酵母の免疫機能向上データ拡充等を行っています。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレー用途や車載ディスプレー用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組んでいます。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用及び当事業のGHG削減についても検討しています。当事業に係る研究開発費は120百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2022|3,985 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出とパッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル・新素材事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発のスピードアップを図りながら進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にしてオープンイノベーション等を推進して研究開発を進めていきます。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,672百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、富士革新素材研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,612百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。さらなる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、こうした当社の独自技術を活用し、他社と戦略的パートナーシップ契約を締結し、インドネシアの植林事業会社の植林木の生産性向上に取組むこととしました。一方、国内においては、CO₂吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つエリートツリーの苗木生産事業を全国で展開しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発等 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を2018年10月に設置した実証生産設備(富士)による事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、さらなる用途開発を推進し、商品化を進めています。2020年度に「消臭抗菌」の機能を持つミネルパが採用となりましたが、2021年度は「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮蔽」等の各機能を持つミネルパの採用拡大を目指して、サンプルワークを加速しています。 木材を原料とする養牛向けの高消化性セルロース(元気森森®、にんじん森森®)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。2021年度は、パルプを牧草と同様に「ロールベール形態(ロールケーキ姿)」へ加工する装置を岩沼工場に設置し、牧場側で扱いやすい形態でのサンプル提供体制を整え、有償サンプルワークの展開を進めています。 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、当社の塗工技術を活用し、紙にバリア性を付与した紙製バリア素材「シールドプラス®」、プラスチックフィルムを貼合することなく “紙だけでパッケージができる”ヒートシール紙「ラミナ®」の開発を推進しています。「シールドプラス®」は2020年度に耐屈曲性を向上したリニューアル品を上市、これに伴いスタンドパウチなど新たな形態での採用も増えています。さらにシールドプラスと、生分解性樹脂を組み合わせた包装材についても採用が決定しています。「ラミナ®」についても2020年の販売開始以降、脱プラスチックを可能とする素材としてバリア性を必要としない食品、化粧品、日用雑貨等の二次包装材として採用が進んでいます。当社グループの拠点があるフィンランドにおいても開発を行い、2021年9月より3グレートの販売を開始し、環境対応が求められる包装市場における新たな環境配慮型包装材として、国内外への提案を進めています。また、防水性、防湿性、防油性を有し、かつリサイクルが可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。「防水ライナ」を用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送を可能にしました。現在、各段ボールメーカー、代理店と協力し、魚箱用途をはじめとしたユーザーへの展開を図るとともに、ユーザーでの加工効率向上に向けた生産体制拡充を進めています。 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合したトレファイドバイオコンポジットを開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、温室効果ガス削減にも寄与します。建材や食品容器等の様々な分野への利用が期待できます。また、セルロースパウダーと樹脂を複合化したセルロースバイオコンポジットも開発しました。当社が培ってきたセルロースパウダー技術を活用し、従来の製品よりも強度や成形性に優れています。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を確立し、CNFの市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えています。2021年度は他社とのコラボレーションによる「セレンピア®」配合のエシカルスキンケアブランド「BIOFEAT.」を立ち上げました。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いて抗ウイルス性を有した不織布や印刷用紙等の製品開発を行っています。2021年度は銅イオンをプラスした変性セルロースを使用した機能性シート(抗ウイルス・抗菌・消臭・抗アレルゲン)を用いた医療用マスク 「Cu-TOP(シー・ユー・トップ)サージカルマスク」が販売開始となりました。 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂(セレンピアプラス®)は、実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を実施中です。「セレンピアプラス®」は、2021年度に富士市CNFブランド認定を取得しました。 NEDOプロジェクトへの参画も積極的に展開し、CNF配合タイヤの開発とCNF強化樹脂開発の案件で助成事業に採択され、研究開発のさらなる加速を目指します。また、2021年度には環境省補助金事業「革新的な省CO₂実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速事業」申請が採択され、3Dプリンターを導入して成型樹脂材料の開発を進めています。 バイオリファイナリーについては、引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、共同開発を進めている「クラフトリグニンのアスファルト利用に関する研究」がNEDO戦略的省エネルギー革新プロジェクトに採択されています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,026百万円です。 液体用紙容器の分野については2020年末に採用されたストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」の全国展開を推進しています。さらに、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を終え、拡販に向けデモンストレーション運転が可能となりました。非飲料分野向けの差し替え式紙容器「SPOPS®」及び消毒剤用特別仕様「SPOPS® Hygiene」に対応する高速充填機(UP-MX20)を開発し、委託充填メーカーに設置済で、ブランドオーナーへの拡販を推進しています。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子、飼料用酵母等の機能性化成品の新製品開発を行い、製品化しました。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレー用途や車載ディスプレー用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用も検討しています。さらに、当事業のCO₂削減も検討しています。当事業に係る研究開発費は7百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2021|3,402 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出とパッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発のスピードアップを図りながら進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にしてオープンイノベーション等を推進して研究開発を進めていきます。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,217百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は4,117百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。さらなる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗生産を開始しました。特定母樹の苗木生産の取組みは全国展開を推進しています。国内外における森林資源の充実は大気中のCO₂固定量増加に対しても貢献しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発等 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を2018年10月に設置した実証生産設備(富士)による事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、さらなる用途開発を推進し、商品化を進めています。2020年度は「消臭抗菌」の機能にて、他社からの採用を得られました。 木材を原料とする養牛向けの高消化性セルロース(元気森森®、にんじん森森®)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。現在、牧場への有償サンプルワークを展開しています。 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」が規格袋や食品用包装、カップ等に採用されています。2020年度にはグラビア印刷に適した銘柄の追加やバリアの耐屈曲性を向上したリニューアル品「シールドプラスⅡ」の販売も開始し、さらなる用途展開を図っていきます。また、環境配慮型包材として、シールドプラスと生分解性樹脂を組み合わせた包装材を共同開発し、高バイオマス・高生分解性を実現しました。さらに、「シールドプラス®」を基材とし、最新フレキソ印刷機による高品質な印刷とヒートシール塗工を1パス加工することで実現したバリアヒートシール塗工紙「フレパックONE」を共同開発しました。環境対応が求められる包装市場における新たな環境配慮型包装材として、食品包装を中心に国内外への提案を進めています。また、防水性、防湿性、防油性を有し、かつリサイクルが可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。「防水ライナ」を用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送を可能にしました。現在、ユーザーへの展開を進めています。 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合したトレファイドバイオコンポジットを開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、温室効果ガス削減にも寄与します。建材や食品容器等の様々な分野への利用が期待できます。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を確立し、CNFの市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えています。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いて抗ウイルス性を有した不織布や印刷用紙等の製品開発を行っています。 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂は実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を実施中です。 NEDOプロジェクトへの参画も積極的に展開し、CNF配合タイヤの開発とCNF強化樹脂開発の案件で助成事業に採択され、研究開発のさらなる加速を目指します。 バイオリファイナリーについては、引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、共同開発を進めている「クラフトリグニンのアスファルト利用に関する研究」がNEDO戦略的省エネルギー革新プロジェクトに採択されました。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,028百万円です。 液体用紙容器の分野については、NPパックではライセンス製品である「Pure-Pak® Sense」カートンに大型口栓を付与した新容器を大手乳業、飲料メーカーに販売開始しました。また、ストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」が採用されました。さらに、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を終え、客先への充填機導入を推進しています。非飲料分野の取り組みとして、2019年に開発した差し替え式の紙容器「SPOPS®」の消毒剤用特別仕様「SPOPS® Hygiene」を開発しました。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子等の機能性化成品の新製品開発を行い、製品化しました。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレー用途や車載ディスプレー用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用も検討しています。さらに、当事業のCO₂削減も検討しています。当事業に係る研究開発費は45百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2020|2,606 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出とパッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。研究開発体制については、新規事業の開発に関わる研究企画室を基盤技術研究所から本部付きに変更しました。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にしてオープンイノベーション等を推進して研究開発を進めていきます。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,051百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,939百万円です。① 植林事業に関する技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、DNAマーカー解析技術を利用した精英樹の開発に注力しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗生産を開始しました。特定母樹の苗木生産の取組みは全国展開を推進しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発などの独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発など 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮断」、「抗ウイルス」などの機能を有しています。2018年10月に設置した実証生産設備(富士)による事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。また、木材を原料とし、乳牛の乳量増加効果が得られた養牛用「高消化性セルロース」を開発しました。 パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」が規格袋や食品用カップ等に採用されており、更なる用途展開を図っていきます。「シールドプラス®」より高い水蒸気バリア性を付与した「シールドプラス®プレミア」のサンプル供給を2019年4月より開始しています。また、脱プラスチックから紙化へのニーズに対応するため、紙ストロー「シルフィール®」を迅速に開発し、2019年4月に販売を開始しました。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、CNFの市場創出の技術開発を推進しています。化粧品、食品用途の他、新たにタイヤや包装用途に採用されています。また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社が主体的に産官学連携で取り組んでいます。 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を行い、特にリグニンの利活用を推進しています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,947百万円です。 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、2020年4月に新製品「Pure-Pak® Sense」を大手乳業、飲料メーカーに販売開始しました。また、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を進めており、2020年度中に上市予定です。さらに非飲料分野の取り組みとして、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、「差し替え式」の紙容器「SPOPS®」用充填機を開発、化粧品製造会社に導入し、2019年度下期に新製品を発売しました。 化成品の分野につきましては、機能性セルロース製品、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子の開発等を行いました。 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの開発を行いました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイの実証生産設備での知見を基に事業化に向けて取り組みを進めています。当事業に係る研究開発費は147百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2019|2,501 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出と、パッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,694百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。 (1) 紙・板紙事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、原材料の需給逼迫と価格高騰、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は4,598百万円です。① 植林事業についての技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、精英樹の開発として優良クローン選抜技術の開発、成長性と土壌要因の関連調査、迅速なバイオマス量測定技術の開発による林業技術の改良などの取り組みを推進しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗を本格的に生産するため、大規模な採穂園の造成、早期増殖の取り組みを開始しました。特定母樹の取り組みは全国展開を推進しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続し、また製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら、品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発など独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発など 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発や、セルロースナノファイバー、バイオリファイナリー、エネルギーに関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮断」、「抗ウイルス」などの機能を有しています。2018年10月に実証生産設備(富士)が立ち上がり、事業化に向けた本格的なサンプル供給体制が整い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。 パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」について、より高い水蒸気バリア性を付与した新製品「シールドプラス®プレミア」を開発し、2019年4月よりサンプル供給を開始しています。 また、脱プラスチックから紙化へのニーズに対応するため、紙ストローを迅速に開発し、2019年4月より販売を開始しています。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、CNFの市場創出の技術開発を推進しています。化粧品、食品用途に新たに採用されています。 また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社が主体的に産官学連携で取り組んでいます。 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を行い、特にリグニンの利活用を推進しています。 (2) 生活関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,801百万円です。 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、さらに高衛生化した新型充填機を2019年度中に大手乳業メーカーに導入予定です。また、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を進めており、2019年度上期中にシステム完成予定です。さらに非飲料分野の取り組みとして、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、「差し替え式」の紙容器「SPOPS®」用充填機を開発し、2019年度中に販売予定です。 化成品の分野につきましては、機能性セルロース製品、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子の開発等を行いました。 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの開発を行いました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。 (3) エネルギー事業 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイの実証生産設備での知見を基に事業化に向けて取り組みを進めています。当事業に係る研究開発費は277百万円です。 (4) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (5) その他金額が僅少であるため、記載を省略しています。
FY2018|2,569 文字
5 【研究開発活動】 当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出と、パッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。研究開発体制については、当社グループの競争力向上につながる技術開発を迅速に進めていく観点から体制を再編し、王子地区(東京都北区)にある研究開発本部の基盤技術研究所(平成29年6月にアグリ・バイオ研究所と総合研究所とを統合)の洋紙・板紙の研究開発機能と、CNF研究所を平成29年9月に富士工場に移転しました。更に、段ボールの需要の拡大傾向に併せて平成29年10月に基盤技術研究所に段ボール研究室を設置しました。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、イノベーションを推進して研究開発のスピードアップを進めていきます。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,013百万円(人件費含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりです。 (1) 紙・パルプ事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、原材料の需給逼迫と価格高騰、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は4,332百万円です。① 植林事業についての技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルなどにおいては、精英樹の開発として優良クローン選抜技術の開発、成長性と土壌要因の関連調査、迅速なバイオマス量測定技術の開発による林業技術の改良などの取り組みを推進しています。また、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗を本格的に生産するため、大規模な採穂園の造成、早期増殖の取り組みを開始しました。特定母樹の取組みは全国に展開する予定です。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続し、また製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図ながら、品質向上とコスダウンの技術開発を迅速に進めていきます。 軽量でありながら嵩高で印刷適性の優れている紙が求められています。原紙や塗工処方を工夫し、当社独自技術を活かすことにより、低坪量でありながら、嵩高で軟らかいめくり感をもち、印刷再現性を向上させた「b7ライト」を開発し、販売を開始しました。 収益改善に資する技術開発として、低級古紙の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発など独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発など 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発や、セルロースナノファイバー、バイオリファイナリー、エネルギーに関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮断」、「抗ウイルス」などの機能を有しています。今後は、平成30年10月に実証生産設備(富士)を立ち上げ、事業化に向けた本格的なサンプル供給体制を整え、更なる用途開発を推進し、商品化を進めていきます。 パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料「シールドプラス®」を開発し、販売を開始しました。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、平成29年度に量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、CNFの市場創出の技術開発を推進します。 また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社が主体的に産官学連携で取り組んでいます。 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を行い、特にリグニンの利活用を推進しています。 さらに、エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイに実証生産設備を設置し、一貫製造技術開発を進めています。 (2) 紙関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,680百万円です。 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、付加価値向上とユーザビリティー性向上を目指し、環境に配慮した口栓付き紙容器が充填できる新型充填機を4台導入し、平成30年3月より順次製品化しています。また、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、「差し替え式」の紙パック容器の開発を推進しています。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用水系及び溶剤系プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂、及び合成系水溶性高分子の開発等を行いました。 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの開発を行いました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。 (3) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (4) その他該当事項はありません。
FY2017|2,430 文字
6 【研究開発活動】 当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出と、パッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。研究開発体制については、王子地区(東京都北区)に研究開発本部を置き、研究開発機能を集中させることで効率的な研究開発を行ってきましたが、今後、当社グループの競争力向上につながる技術開発を迅速に進めていく観点から体制を再編し、平成29年度から、洋紙・板紙の研究開発機能の一部を富士工場(静岡県富士市)の敷地内に移転します。また、平成28年10月に発足したCNF研究所も富士工場に移転します。更に、伸長著しい介護用品市場、衛生用品市場における商品開発力を強化するため、平成29年4月に王子地区に設立した日本製紙クレシア㈱の「ヘルスケア研究所」との連携によりグループ研究資産を最大限活用する体制を確立します。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,622百万円(人件費含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。 (1) 紙・パルプ事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、原材料の需給逼迫と価格高騰、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、アグリ・バイオ研究所、総合研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,737百万円です。① 植林事業についての技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルなどにおいては、精英樹の開発として優良クローン選抜技術の開発、成長性と土壌要因の関連調査、迅速なバイオマス量測定技術の開発による林業技術の改良などの取り組みを推進しています。また、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区における社有林の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗を本格的に生産するため、大規模な採穂園の造成、早期増殖の取り組みを開始しました。② 品質とコストの更なる改善 前年に販売を開始した、インキ乾燥性の向上と印刷再現性の向上、この相反する2つの目標を同時にクリアし、従来品を上回る印刷再現性も実現し、優れた速乾A2塗工紙である「ユーライトDRY®」に続き、当社の西日本地区向けコート紙の代表銘柄である「シルバーダイヤS」をベースとし、インキの油成分が紙内部に浸透しやすくすることで業界トップクラスのインキ乾燥性を実現した新製品「シルバーライトDRY®」を開発し、販売を開始しました。 収益改善に資する技術開発として、難利用古紙の利用技術の開発など独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発など 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発や、セルロースナノファイバー、バイオリファイナリー、エネルギーに関する研究開発に取り組んでいます。 新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。今後は難燃性のある壁紙やパーティションボード、消臭・抗菌機能があるペーパータオル、放射線遮蔽効果のある建材など、様々な分野で用途開発を図り、商品化を進めていきます。 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、平成29年度に量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)を立上げます。 また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社は産官学連携の中で積極的に取り組んでいます。 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を推進しています。 さらに、エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイに実証生産設備を設置し、一貫製造技術開発を進めています。 (2) 紙関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び㈱フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,884百万円です。 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、更なる環境負荷低減を目標に、日本ダイナウェーブパッケージング社と共同で軽量化原紙の開発に取り組みました。また、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、紙パック容器としては世界初(当社調べ)の「差し替え式」の容器を開発し、大手トイレタリメーカーと上市に向け、包材生産技術の確立、充填機の開発に取り組んでいます。 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用水系及び溶剤系プライマー、インキ添加剤、リグニン製品及びポリカルボン酸系コンクリート分散剤の収益力強化等を行いました。また、セルロース製品及び発酵・ステビア製品の基盤強化を図りました。 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルム、既存品の品質安定化や薄型ハードコートフィルムの開発に努めました。さらに、精密塗工、ハードコート技術を発底とした新製品開発を行いました。 (3) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (4) その他該当事項はありません。
FY2016|2,558 文字
6 【研究開発活動】 当社グループでは、木質資源を豊富に保有する強みを活かし、原材料から製品まで一貫した研究を行い、洋紙・板紙事業の収益力強化を図ると同時に、パッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野にも注力し、「総合バイオマス企業」としての研究開発活動を行っています。研究開発体制についても、各事業部門や工場との密接な連携、及び国内外の外部研究機関との連携により総合的な開発力の向上と競争力の強化に努めています。また、新たに「パッケージング研究所」を開設し、同時に企画本部内に設置したマーケティング・提案機能を備えた「パッケージング・コミュニケーションセンター」と連携して、将来も含めた市場ニーズに応じた、木質バイオマスをベースとするパッケージの素材、技術開発を推進します。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、5,555百万円(人件費含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。 (1) 紙・パルプ事業 国内市場の成熟化と海外市場の成長、原材料の需給逼迫と価格高騰、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、アグリ・バイオ研究所、総合研究所及びCNF事業推進室が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は3,520百万円です。① 植林事業についての技術開発 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルなどにおいては、精英樹の開発として優良クローン選抜技術の開発、成長性と土壌要因の関連調査、迅速なバイオマス量測定技術の開発による林業技術の改良などの取り組みを推進しています。② 品質とコストの更なる改善 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続し、また製造工程の操業性改善に努めています。印刷会社では、小ロット・短納期の仕事が増加しており、またユーザーからの印刷再現性に関する要求も年々高くなっており、これらに対応するため、インキを素早く乾燥させる紙が求められています。 当社のコート紙の代表銘柄である「ユーライト®」をベースに、紙の表面に塗工する最適な材料の選定と配合割合を見直して当社独自技術を活かすことにより、インキ乾燥性の向上と印刷再現性の向上、この相反する2つの目標を同時にクリアし、従来品を上回る印刷再現性も実現した優れた新製品「ユーライトDRY®」を開発し、販売を開始しました。 また収益改善に資する技術開発として、難利用古紙の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発など独自技術開発も推進しています。③ 将来に資する技術開発など アグリ事業に係る技術開発として、植林技術を応用した茶苗「サンルージュ®」の生産と健康食品としての機能性解析(血糖値上昇抑制効果、認知症抑制効果等)を進めています。また挿し木増殖が難しいとされている薬用植物に、当社独自の発根技術を応用した増殖技術を開発し、薬用植物の国内自給と新たな販路拡大を狙っています。 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした素材、パッケージなどのプラスティック代替新規紙材料の開発や、セルロースナノファイバー・バイオリファイナリー・エネルギーに関する研究開発に取り組んでいます。 セルロースナノファイバー(以下、「CNF」)については、CNF事業推進室が中心となって実証生産設備を用いて、量産化技術やサンプル供給による用途開発を推進しています。具体的には、化学処理により得られたCNFを用いて、触媒、消臭、抗菌などさまざまな性能を有する機能性シートの実用化に成功しました。製品化第1弾として、当社グループの日本製紙クレシア株式会社において、CNFを配合した高い消臭機能を持つシートを大人用紙おむつの新ブランド「肌ケア アクティ®」シリーズに採用し、機能性CNFの世界初の実用化商品として全国で販売を開始しました。 また、ナノセルロースの導入促進を目的として、バイオマス分野では初の産官学連携コンソーシアムである「ナノセルロースフォーラム」においても、当社は主体的に関与し、早期の事業化を推進しています。 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料の一貫製造プロセスに関する研究開発を行っています。 さらに、エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料の実用化開発を進めています。 (2) 紙関連事業 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,034百万円です。 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。フジパック(レンガ型容器)用原紙は主に海外から輸入していましたが、原紙国産化の開発に取り組み、切替えを開始しました。NPパックでは、更なる環境負荷低減を目標に、原紙の軽量化を進めています。また、新コンセプト紙容器の開発として、新たに機械メーカーとの秘密保持契約を結び、パーソナルユースをターゲットにした口栓付アセプティック容器の開発を開始しました。 化成品の分野につきましては、自動車プラスティック部材用水系及び溶剤系プライマー、インキ添加剤、リグニン製品及びポリカルボン酸系コンクリート分散剤の収益力強化等を行いました。また、セルロース製品及び発酵製品の基盤強化を図ると同時に、新製品を上市しました。 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの品質安定化や、薄型フラットディスプレーに対応した、各種新規ハードコートフィルムの開発に努めました。さらに、精密塗工、ハードコート技術を発底とした新製品開発を行いました。 (3) 木材・建材・土木建設関連事業該当事項はありません。 (4) その他該当事項はありません。