研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 0 |
| 2024-03 | - | 1 |
| 2023-03 | - | 0 |
| 2022-03 | - | 0 |
| 2021-03 | - | 0 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,382 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究室においては、研究開発分野としてソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取組んでおります。前年度に引き続き高品質ソフトウェアに関する基礎研究、ソフトウェア検証に関わるモデル検査技術の研究開発及び諸科学の発展に寄与するコンピューティング技術の開発と公開をテーマとして、一部公的研究費助成金(科研費)も獲得しながら進めています。ソフトウェア技術を核としたデジタルトランスフォーメーションを、専門家との共同研究や国内外の研究コミュニティとの協力を通して、産業、教育、学術といった社会の多様な側面で推進するべく、オープンソースソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を継続しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。株式会社SRAのプロダクト・サービス事業部は、自社製品・サービスの開発と販売を手掛けており、そのための技術開発や技術検証に取組んでおります。当社グループが今まで蓄積してきた技術や業務の知見を活用した新たなビジネス創出を目指して研究開発を進めております。また株式会社SRA OSSはオープンソースソフトウェアのサポートビジネスや製品ビジネスを手掛けており、オープンソースソフトウェアの研究開発を通じて新たな製品サービスの創出やコミュニティに対する貢献をしております。これらは、主に販売セグメントに係る研究開発であります。当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究室及びプロダクト・サービス事業部が中心に行っております。研究開発費の総額は254百万円であります。 (1) 高品質ソフトウェアに関する基礎研究先端技術研究室では、ソフトウェア開発研究の核として、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様はソフトウェアの仕様を数学的な道具を使って記述し、その特性を分析する技術で、AI時代においてもソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として期待されています。先端技術研究室は、形式仕様の中でも歴史が長いVDM(Vienna Development Method)の国際的な研究コミュニティと協力して、VDMの言語仕様の改訂などへの貢献を継続しています。また、当社独自の形式仕様研究として、信頼性や生産性に加えて操作性や有用性を高めることを目的に、UI技術やアジャイル開発技術、ライブプログラミング技術、プログラム自動生成技術などとの連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalk の開発を継続し、オープンソースソフトウェアとして公開して無償で提供しております。 (2) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究ソフトウェアの振る舞いを自動的に解析してその正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。先端技術研究室では、生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を利用した、AI技術を使った研究を進めています。本研究テーマは、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、2022年度から3年間の研究助成を受けており、当連結会計年度が最終年度となっております。2022年度から2年間かけて開発した複数の集団の存在を仮定した検査技術を発展させて、当連結会計年度では、これをさらに効率化する手法を新たに開発し、国際的な学術論文誌で発表しました。また、検査技術を評価するために必要な、ベンチマークと呼ばれる汎用的な問題を生成する方法を考案し、海外の学術会議で発表しました。ソフトウェア開発に適用しやすい技術を目指して、引き続き研究開発に取組んでまいります。 (3) 科学的コンピューティングのための技術開発先端技術研究室では、科学の諸分野にソフトウェア技術を通して貢献することを目指しております。様々な分野の学術研究者と協力して、研究を推進し研究成果を広く応用展開するための、プラットフォームとなるソフトウェアを開発しております。オープンソースソフトウェアとして開発を進めているマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc は、生物学や環境学での数理モデルの構築と検証に特化したもので、現在、食料問題などに関わる研究に利用されています。また、データサイエンス分野においては、OLAP(OnLine Analytical Processing)技術の応用を支援するための専用のデータ可視化ソフトウェア gOLAP を開発しております。これら科学的コンピューティングの技術開発について、re:Mobidycに関するものは2024年度から、gOLAP に関するものは2023年度から、いずれも独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、研究分担者としての助成を受けております。 (4) オープンソースソフトウェアオープンソースソフトウェアに関しては、継続的に情報収集と整備を進めております。このような活動から得た様々な知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることにより、ソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」などの自社製品を開発し、改良を続けております。グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソースソフトウェアのデータベースでグローバルに開発されている「PostgreSQL」においては、株式会社SRA OSSが継続的に新機能提案や改良開発を行っています。これにより、株式会社SRA OSSはPostgreSQLに貢献する企業として開発コミュニティが選出する Major Sponsor企業16社のうちの1社として認定されているほか、5名の貢献者が在籍しており、うち2名はコミッタと呼ばれるソースコードを直接変更できる権限を保有しています。さらに、PostgreSQLのエンタープライズ活用を目的とした開発も行っており、多機能なクラスタ機能を提供する「Pgpool-II」や、増分ビューメンテナンスの機能を提供する「pg_ivm」をオリジナルのオープンソースソフトウェアとして開発・公開しています。 (5) 新規製品・サービスビジネス当社グループではビジネスモデル変革の一つとして自社の製品・サービスビジネスに取組んでおります。株式会社SRAのプロダクト・サービス事業部では、自社製品・サービスビジネスを推進し、サービスを主体とするビジネスモデルへのシフト、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを積極的に進めております。当連結会計年度では、昨年度製品化したスマートグラスによる点検プロダクトの市場展開とフィードバックに対する機能拡張、FIDO2とWAFを連携させたプロダクトの製品の市場展開、ARKitのモーションキャプチャー機能を使った、スマートグラスでの拡張現実(AR)におけるコマンド操作の検証継続、大規模言語モデル(LLM)によるText生成の回答精度を向上させる検索拡張生成(RAG)ツールの機能拡張、そのRAGツールを使った大学向けのAIアバターの開発検証、次期文教システム(UniVision)開発のためのローコード開発ツールの機能拡張、ユーザーの現在位置で災害が起きた場合に管理サーバーから自動で安否を確認するシステム(安否確認システム)の開発を実施しました。社内で使用、検証し有効と判断したものを今後製品化する予定です。 これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2024|3,292 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究室においては、研究開発分野としてソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。前年度に引き続き高品質ソフトウェアに関する基礎研究、ソフトウェア検証に関わるモデル検査技術の研究開発及び諸科学の発展に寄与するコンピューティング技術の開発と公開をテーマとして、一部公的研究費助成金(科研費)も獲得しながら進めています。ソフトウェア技術を核としたデジタルトランスフォーメーションを、専門家との共同研究や国内外の研究コミュニティとの協力を通して、産業、教育、学術といった社会の多様な側面で推進するべく、オープンソースソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を継続しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。株式会社SRAのプロダクトサービス事業部は、自社製品・サービスの開発と販売を手掛けており、そのための技術開発や技術検証に取り組んでおります。当社グループが今まで蓄積してきた技術や業務の知見を活用した新たなビジネス創出を目指して研究開発を進めております。またSRA OSS合同会社はオープンソースソフトウェアのサポートビジネスや製品ビジネスを手掛けており、オープンソースソフトウェアの研究開発を通じて新たな製品サービスの創出やコミュニティに対する貢献をしております。これらは、主に販売セグメントに係る研究開発であります。当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究室及びプロダクトサービス事業部が中心に行っております。研究開発費の総額は270百万円であります。 (1) 高品質ソフトウェアに関する基礎研究先端技術研究室では、ソフトウェア開発研究の核として、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様はソフトウェアの仕様を数学的な道具を使って記述し、その特性を分析する技術で、AI時代においてもソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として期待されています。先端技術研究室は、形式仕様の中でも歴史が長いVDM(Vienna Development Method)の国際的な研究コミュニティと協力して、VDMの言語仕様の改訂などへの貢献を継続しています。また、当社独自の形式仕様研究として、信頼性や生産性に加えて操作性や有用性を高めることを目的に、UI技術やアジャイル開発技術、ライブプログラミング技術、プログラム自動生成技術などとの連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalk の開発を継続し、オープンソースソフトウェアとして公開して無償で提供しております。 (2) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究ソフトウェアの振る舞いを自動的に解析してその正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。先端技術研究室では、生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を利用する点を特徴とした研究を進めています。本研究テーマは、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、2022年度から3年間の研究助成を受けております。当連結会計年度では、2022年度に開発した複数の集団の存在を仮定した技術を繰り返し適用することで,検証の漏れを順次低減する技術を新たに開発しました。開発した技術の有効性を確認して,その成果を海外の学術会議で発表しました。引き続き、検査性能のさらなる向上とユーザにとって使いやすい技術の実現を目指し、研究開発に取り組みます。 (3) 科学的コンピューティングのための技術開発先端技術研究室では、科学の諸分野にソフトウェア技術を通して貢献することを目指しております。様々な分野の学術研究者と協力して、研究を推進し研究成果を広く応用展開するための、プラットフォームとなるソフトウェアを開発しております。オープンソースソフトウェアとして開発を進めているマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc は、生物学や環境学での数理モデルの構築と検証に特化したもので、現在、食料問題などに関わる研究に利用されています。また、データサイエンス分野においては、OLAP (OnLine Analytical Processing) 技術の応用を支援するための専用のデータ可視化ソフトウェア gOLAP を開発しております。量子化学の分野においても引き続き、膨大な量の化学反応経路のデータに対して、インタラクティブな探索や分子構造の類似性によるナビゲーションを提供するソフトウェアを開発しております。これら科学的コンピューティングの技術開発のうち、gOLAP に関するものは、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、2023年度から研究分担者としての助成を受けております。 (4) オープンソースソフトウェアオープンソースソフトウェアに関しては、継続的に情報収集と整備を進めております。このような活動から得た様々な知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることにより、ソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」などの自社製品を開発し、改良を続けております。グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソースソフトウェアのデータベースでグローバルに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS合同会社が開発に貢献しております。2名のエンジニアが開発貢献者として認定されており、日々、様々なPostgreSQLの開発に携わっております。また、SRA OSS合同会社はPostgreSQLに貢献する企業として開発コミュニティが選出するMajor Sponsor企業の16社のうちの1社としても認知されています。さらに、PostgreSQLのエンタープライズ活用を目的とした研究開発も行っており、多機能なクラスタ機能を提供する「Pgpool-II」や、増分ビューメンテナンスの機能を提供する「pg_ivm」をオリジナルのオープンソースソフトウェアとして開発・公開しています。 (5) 新規製品・サービスビジネス当社グループではビジネスモデル変革の一つとして自社の製品・サービスビジネスに取り組んでおります。株式会社SRAのプロダクトサービス事業部では、自社製品・サービスビジネスを推進し、サービスを主体とするビジネスモデルへのシフト、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを積極的に進めております。当連結会計年度では、昨年度検証したスマートグラスによる点検プロダクトの製品化、従来のパスワード認証よりも安全かつ使いやすい認証方法であるFIDO2とWAFを連携させたプロダクトの製品化、ARKitのモーションキャプチャー機能を使った、スマートグラスでの拡張現実(AR)におけるコマンド操作の検証、大規模言語モデル(LLM)によるText生成の回答精度を向上させる検索拡張生成(RAG)ツールの開発、次期文教システム(UniVision)開発のためのローコード開発ツール作成を実施しました。社内で使用、検証し有効と判断したものを今後製品化する予定です。 これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2023|3,094 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究室においては、研究開発分野としてソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。前年度に引き続き高品質ソフトウェアに関する基礎研究、ソフトウェア検証に関わるモデル検査技術の研究開発及び諸科学の発展に寄与するコンピューティング技術の開発と公開をテーマとして、一部公的研究費助成金(科研費)も獲得しながら進めています。ソフトウェア技術を核としたデジタルトランスフォーメーションを、専門家との共同研究や国内外の研究コミュニティとの醸成を通して、産業、教育、学術といった社会の多様な側面で推進するべく、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を継続しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。株式会社SRAのプロダクトサービス事業部は、自社製品・サービスの開発と販売を手掛けており、そのための技術開発や技術検証に取り組んでおります。当社グループが今まで蓄積してきた技術や業務の知見を活用した新たなビジネス創出を目指して研究開発を進めております。またSRA OSS合同会社はオープンソース・ソフトウェアのサポートビジネスや製品ビジネスを手掛けており、オープンソース・ソフトウェアの研究開発を通じて新たな製品サービスの創出やコミュニティに対する貢献をしております。これらは、主に販売セグメントに係る研究開発であります。当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究室及びプロダクトサービス事業部が中心に行っております。研究開発費の総額は275百万円であります。 (1) 高品質ソフトウェアに関する基礎研究先端技術研究室では、ソフトウェア開発研究の核として、ソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として注目されている、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様の中でも歴史が長いVDM(Vienna Development Method)の国際的な研究コミュニティである Overtureコミュニティに参加し、VDMの言語仕様の改訂などへの協力を継続しています。当社独自の形式仕様研究として、信頼性や生産性に加えて操作性や有用性を高めることを目的に、UI技術やアジャイル開発技術、ライブプログラミング技術、プログラム自動生成技術などとの連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalkを開発し、学術論文として報告するとともに、オープンソース・ソフトウェアとして公開しております。 (2) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究ソフトウェアの振る舞いを自動的に解析してその正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。先端技術研究室では、生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を利用する点を特徴とした研究を進めています。本研究テーマは、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、2022年度から3年間の研究助成が開始しております。当連結会計年度では、従来の一集団を使った検査技術に対して、複数の集団の存在を仮定した新しい技術を開発しました。従来よりも高い検査性能を確認し、その成果を海外の学術会議で発表しました。引き続き、検査性能のさらなる向上とユーザにとって使いやすい技術の実現を目指し、研究開発に取組みます。 (3) 科学的コンピューティングのための技術開発先端技術研究室では、科学の諸分野にソフトウェア技術を通して貢献することを目指しております。さまざまな分野の学術研究者と協力して、研究を推進し研究成果を広く応用展開するための、プラットフォームとなるソフトウェアを開発しております。開発を進めているマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc は、生物学や環境学での数理モデルの構築と検証に特化したもので、現在、オープンソース・ソフトウェアとして一般に公開しています。また、データサイエンス分野においては、OLAP技術の応用を支援するための専用のデータ可視化ソフトウェアを開発しています。量子化学の分野においても引き続き、膨大な量の化学反応経路のデータに対して、インタラクティブな探索や分子構造の類似性によるナビゲーションを提供するソフトウェアを開発しています。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、継続的に情報収集と整備を進めており、このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS合同会社が開発に貢献しており、PostgreSQLに貢献する企業として開発コミュニティが選出するMajor Sponsor企業の16社のうちの1社として、グローバルに認知されています。合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っており、PostgreSQLの機能を拡充するソフトウェアとして、多機能なクラスタ機能を提供する「Pgpool-II」や、大規模システムでの活用が期待される増分ビューメンテナンスの機能を提供する「pg_ivm」の開発・提供を行うとともに、国内外のカンファレンス等で講演等の活動を行いました。 (5) 新規製品・サービスビジネス当社グループではビジネスモデル変革の一つとして自社の製品・サービスビジネスに取り組んでおります。株式会社SRAのプロダクトサービス事業部では、自社製品・サービスビジネスを推進し、サービスを主体とするビジネスモデルへのシフト、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを積極的に進めております。当連結会計年度では、株式会社SRA東北と共同で、同社が保持するAI判定技術をスマートグラスと組み合わせた点検プロダクトの研究開発及び検証、従来のパスワード認証よりも安全かつ使いやすい認証方法であるFIDO2とWAFを連携させたプロダクトの研究開発及び検証、疑似触覚を利用したスマートフォンによるリハビリ用アプリの開発検証、既存ソリューションである文教システム(UniVision)の次期バージョンのアーキテクチャの開発及び検証、ヘルスケアサービスビジネスの検証を実施しました。検証結果として有効と判断したものにつきましては、今後製品化する予定です。 これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2022|2,515 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、ソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。高品質ソフトウェアに関する基礎研究、諸科学の発展に寄与するコンピューティング技術の開発と公開及びソフトウェア検証に関わるモデル検査技術の研究開発をテーマとして進めています。学術や産業、教育といった社会の多様な分野で、ソフトウェア技術を核としたデジタルトランスフォーメーションの推進を駆動するべく、専門家との共同研究や国内外の研究コミュニティの醸成を通して、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を継続しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は174百万円であります。(1) 高品質ソフトウェアに関する基礎研究ソフトウェア開発研究の核として、ソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として注目されている、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様の中でも歴史が長いVDM(Vienna Development Method)の国際的な研究コミュニティである Overtureコミュニティに参加し、VDMの言語仕様の改訂などへの協力を継続しています。当社独自の形式仕様研究として、信頼性や生産性に加えて操作性や有用性を高めることを目的に、形式仕様とUI技術やアジャイル開発技術との連携によって、創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalkを開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しております。ソフトウェア技術の研究に加えて、ソフトウェア技術を通して科学の諸分野に貢献することを目的に、量子化学の研究者が膨大な量の化学反応の経路をインタラクティブに探索するためのツール RMapViewer、生物学や環境学での数理モデルの構築及び検証に特化したマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc の開発を進め、オープンソース・ソフトウェアとして広く一般に公開しています。 (2) 科学的コンピューティングのための技術開発ソフトウェア技術を通して科学の諸分野に貢献することを目的に、さまざまな分野の学術研究者と協力して、研究を進めるための、または、研究成果を広く応用するための、プラットフォームとなるソフトウェアを開発しております。生物学や環境学での数理モデルの構築及び検証に特化したマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc の開発を進め、オープンソース・ソフトウェアとして一般に公開しています。データサイエンスの応用支援としては、データ分析技術の応用を支援するための専用のデータ可視化ソフトウェアを開発しています。さらに量子化学の分野では、膨大な量の化学反応のデータに対して、反応経路のインタラクティブな探索や、分子構造の類似性によるナビゲーションを提供するソフトウェアを開発しています。 (3) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究先端技術研究所では、プログラムの振る舞いを自動的に解析して、その正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。当連結会計年度では、多数の個体で構成される生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を利用した新しい検査技術を開発し、その成果を国内及び海外の学術会議で発表しました。加えて、国際的な学術雑誌に投稿した論文が採録されております。集団行動が生む創発的な性質を利用したモデル検査技術に関しては、更なる性能向上が期待できます。今後の研究推進のために、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究(C))に3年間の学術研究計画を申請したところ、審査の結果、研究の学術的な価値が認められ採択されました。効率性とユーザビリティの双方を、高いレベルで達成する検査技術の実現を目指して研究開発に取り組んでまいります。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が開発に貢献しており、合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っています。データベース分野では、PostgreSQLに「マテリアライズドビュー」の増分更新を高速化する技術開発、クラスタソフトウェアである「Pgpool-II」の継続開発、データベース関連学会や、国際カンファレンスで講演を行いました。これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2021|2,860 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、ソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。具体的には、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)、データの可視化(操作品質の高いオープンデータ活用環境を実現する技術)、及びモデル検査(プログラムの振る舞いの正しさを自動検査する技術)といった分野での技術開発研究に取り組んでいます。Society5.0を見据えた、オープンデータの有効活用及びサービス展開に加え、国内外の研究コミュニティとの連携によるソフトウェア技術を核としたデジタルイノベーションの推進、及び専門家との共同研究を通した科学計算ソフトウェア技術の研究開発とオープンソース化を行うなど、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は211百万円であります。(1) ソフトウェアに関する基礎研究ソフトウェア開発研究の核として、ソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として注目されている、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様の中でも歴史が長いVDMの国際的な研究コミュニティである Overtureコミュニティに参加し、COVID-19の状況下で国際学術ワークショップ第18回Overture Workshopのオンライン開催に協力しました。VDMの言語仕様の改訂などへの協力も継続しています。また、当社独自の形式仕様研究として、形式仕様とUI技術の連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalk 及び ViennaVM を開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しております。ソフトウェア技術の研究に加えて、ソフトウェア技術を通して科学の諸分野に貢献することを目的に、量子化学の研究者が膨大な量の化学反応の経路をインタラクティブに探索するためのツール RMapViewer、生物学や環境学での数理モデルの構築及び検証に特化したマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc の開発を進め、オープンソース・ソフトウェアとして広く一般に公開しています。 (2) データ可視化の活用とサービス展開へ向けた技術開発研究先端技術研究所では、ビッグデータを「見える化」して活用するための技術を研究・開発しています。国土交通省が推進するGTFS(General Transit Feed Specification)及びGTFS-JPフォーマットは、航空会社、鉄道、バスなどの公共交通機関の情報を記述するための共通フォーマットです。先端技術研究所では、GTFS形式やGTFS-JP形式で表現された運行情報から得られる時刻表や路線図に、観光情報や行政情報を組み合わせることで、観光情報や歴史的記録を地図上に可視化するインタラクティブな表現手法の開発を行っています。これらの技術は、MaaS (Mobility As A Service) を展開する基盤技術となるものです。また、行政統計情報の可視化にも着手しました。数十年間に渡る地域統計表をコンピュータで読めるデジタルデータに変換することで、人工知能を使って文化史や社会史の学習、教育など広く利用することができます。データを検索して参照できるようにすれば、広く一般に公開されるオープンデータとして活用でき、地域の文化や歴史に触れる機会の増大につながります。AR・MR技術を用いた高度なインタラクション技術を駆使し、地方自治体のオープンデータ活用への貢献を目指しています。 (3) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究先端技術研究所では、プログラムの振る舞いを自動的に解析して、その正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。当連結会計年度では、科学技術計算の分野で広く使われている計算技法を使ったモデル検査技術を開発し、国内の学術会議で発表しました。提案する検査技術は現状では検査速度に課題がありますが、近年発展が著しい科学技術計算領域での高速化技術を活用することで、その効率化を期待できるものとなっています。また、多数の個体で構成される生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を、モデル検査技術に応用するという新たな手法の構築にも着手しています。効率性とユーザビリティの双方を、高いレベルで達成する検査技術の実現を目指し、多角的な視点から取り組んでいるものです。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が積極的に寄与しており、合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っています。データベース分野では、PostgreSQLに「マテリアライズドビュー」の増分更新を高速化する技術開発や、クラスタソフトウェアである「Pgpool-II」の開発を行う傍ら、データベース関連学会や、国際カンファレンスで講演を行いました。またデータベース以外の分野では、コンテナプラットフォームの「Kubernetes」でPostgreSQLを運用するための技術調査等を実施しました。 これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2020|3,299 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)、モデル検査(プログラムの振る舞いの正しさを自動検査する技術)、及びインタラクション技術(操作品質の高い視覚的ユーザインタフェースを実現する技術)を融合した手法の構築に取り組んでおります。また、これまで取り組んできたビッグデータを対象とするインタラクティブな可視化技術研究を、MaaS(Mobility as a Service)領域でのサービス基盤として応用することに着手し、未来のモビリティを支えるソフトウェア基盤技術に関する研究への展開を行っております。さらに、専門家との共同研究を通して科学計算ソフトウェア技術の研究開発とオープンソース化を行うなど、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は38百万円であります。(1) ソフトウェアに関する基礎研究現代ではソフトウェア技術の進歩はめざましく、社会の隅々にコンピュータデバイスが浸透し、社会からのソフトウェアへの要請も刻々と変化しています。クラウドコンピューティング、IoT、AI、といった最先端のソフトウェア開発技術を取り入れるためには、常に変化するソフトウェア技術トレンドに追従するのみでなく、新しいソフトウェア技術を生み出すための基盤となる学術的な基礎研究が重要となると考えています。先端技術研究所は文部科学省から科学研究費補助金取扱規程第2条に規定する研究機関として認定されており、国内外の学術研究プロジェクトに参画し未来のソフトウェア技術を創り出すための活動を進めております。これまで先端技術研究所では、インタラクティビティ、形式仕様、モデル検査をコアとする基礎技術研究を推進しています。現代のコンピューティング環境では、人と人とのコミュニケーションにコンピュータが介在したり、ヒトをキーとしてシステム同士が連携するなど、複数のヒトやコンピュータが複雑に連携しながら全体としての機能を果たしています。インタラクティビティ実現技術研究は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、音声認識やチャットボット等も含め、ヒトとコンピュータの関係性の革新に着目するものです。形式仕様技術研究は、それぞれのコンピュータが果たすべき機能の仕様を、曖昧性を排除し明確に定めることの支援を目指すものです。モデル検査技術研究は、複数のコンピュータが連携して動作する際の振る舞いの自動分析を目指します。これらを融合させることで、ソフトウェア開発における創造性、生産性、品質を高いレベルで満たすことを目指し、基礎研究を遂行しております。 (2) ビッグデータ視覚化の活用とサービス展開へ向けた技術開発研究先端技術研究所ではこれまで、ビッグデータの視覚化による活用技術の研究開発を行っておりますが、当連結会計年度は、これを公共交通運行情報やジオデータ、行政情報のオープンデータの活用へと展開し、MaaSの実現へ向けての技術開発研究に着手しました。GTFS (General Transit Feed Specification) 及び国土交通省が推進するGTFS-JP形式は、航空・鉄道・バスなど公共交通運行情報の共通記述フォーマットであり、国内外の多くの事業者がこの形式で運行情報を公開し始めています。先端技術研究所は、GTFS及びGTFS-JP形式で表現された運行情報から得られる時刻表や路線図に、観光情報や行政情報を組み合わせることで、観光案内や歴史記録などを地図上に可視化する対話的な表現方法の開発を開始しました。将来的には、リアルタイム運行情報(GTFS-RT)や天気や災害情報とユーザーの状況に応じたインタラクティブ可視化技術により、突発的な遅延や運休などにも柔軟に対応して、移動を安心して行うための有益な情報を素早く入手することを可能とするサービス基盤技術となると考えられます。 (3) 科学計算ソフトウェアのオープン化当社グループは創業以来、国内外のソフトウェア技術研究コミュニティに参画、協力し、ソフトウェア企業としての社会貢献を目指してきました。先端技術研究所では、多様な応用領域の高度に専門的な実務者領域を支援するソフトウェア技術の研究開発を行い、その成果はオープンソースソフトウェアとして公開しております。これまでに、化学者が化学反応経路をインタラクティブに探索するためのRMapViewerや、生物学や環境学の研究を支援するためのマルチエージェントシミュレーション環境Re:Mobidycなどを開発、公開しております。また、開発者が創造的にシステムの仕様を策定することを支援するViennaTalk及びViennaVMや、インタラクティビティを重視した小売データ分析ツールの公開を準備しています。2019年度は、オブジェクト指向言語 Smalltalk 及び現代的なオブジェクト指向言語Pharoの国内外の技術コミュニティと協力して、Smalltalk Day Japan 2019を共催しました。形式手法VDMの国内外の研究コミュニティに参加し、形式手法VDMの言語委員会に参加して新たな言語仕様の改訂などに協力しています。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が積極的に寄与しており、合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っています。データベース分野では、PostgreSQLに「マテリアライズドビュー」の増分更新を高速化する技術開発や、クラスタソフトウェアである「Pgpool-II」の開発を行う傍ら、DEIMなどのデータベース関連学会や、PGCon, PGConf.ASIAといった PostgreSQLの国際カンファレンスで講演を行いました。また、当連結会計年度よりお茶の水女子大学名誉教授で日本データベース学会名誉会長の増永良文先生を技術顧問に迎え、研究開発を強化しました。データベース以外の分野では、メールソフト「Sylpheed」の開発、コンテナオーケストレーション「Kubernetes」の技術調査等を実施しております。 これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2019|3,012 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発およびその成果に基づくビジネス展開から構成されます。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)とインタラクションデザイン(操作品質の高いユーザインタフェースを構築する手法)を融合した手法の構築に引き続き取り組んでおります。また、「ビッグデータ駆動ソフトウェア工学」を中核とする、ビッグデータを対象とするインタラクティブな可視化技術の構築に関する研究も継続して進めております。ソフトウェア開発プロセスを支える情報技術に関わる研究成果は、自社IP製品への応用・展開と並行する形で進めています。また、オープンソース・ソフトウェアの潮流を踏まえた活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は30百万円であります。(1) ハードとソフトの境界が曖昧になる時代に向けた形式手法の展開先端技術研究所では、形式手法とインタラクションデザインの融合による革新的な開発支援アプローチに取り組んでいます。IoTやAI技術の進歩により、生活シーンの中で目に見える、あるいは目に見えない形で、多様な情報技術を搭載したデバイスが登場しています。これらのデバイスにおいては、ハードウェアとソフトウェアの機能が相互に影響し合い、これまでと比べものにならないレベルでその境界が不明瞭になりつつあります。世の中の要請に応え新しいデバイスを開発し生産していくためには、デバイスの物理的形状や機構とソフトウェアのどちらを先に設計し開発するということではなく、双方の開発を同時に進行させていく必要があると考えられます。形式手法は、数学的な手法によって高品質のソフトウェアを開発する手法です。従来は、数学的に厳密なソフトウェア仕様がまずは専門技術者によって丹念に作り上げられ、次にその仕様に基づきプログラムが開発されるものと捉えられてきました。しかしながら先端技術研究所では、これらを同時並行的に進める手法の構築を目指しています。これが、新たなデバイスに向けたソフトウェアを高品質かつタイムリーに開発するための技術としての、インタラクションデザインによるプロトタイピングに基づいた形式手法の研究です。形式仕様によるプロトタイプ作成を通じてユーザ体験をデザインしつつ、モデル検査など機能品質を獲得するための自動化された手法により、コンピュータ搭載デバイスの高品質かつタイムリーな開発を目指します。 (2) ビッグデータのインタラクティブな可視化技術に関する研究先端技術研究所では、ビッグデータをインタラクティブに扱うための可視化技術の研究開発にも取り組んでいます。当該年度からは、IoTデバイスなどを用いたユーザ行動によって生み出されるアクティビティの履歴データに着目して研究を進めています。人々の行為を、観察・記録・創出・伝達からなる一連の作業によって生み出されるアクティビティ履歴データとして捉え、多様な行動をサポートするためのデータの記録方式、表現形態、データの集約・分類・分析手法の開発、およびインタラクティブな可視化方法の研究開発を行っています。このような、ユーザが日々生成する時間情報を有するテキストや画像情報、動画像データを分節化し・再構成して可視化することで、ユーザ自身への気づきや触発をあたえることが可能になります。また、和歌山大学との共同研究では、ソフトウェア開発の中で生み出されるドキュメントに対してデータ分析を進めています。プロジェクトの中で用いられる言葉や技術の傾向を可視化することで、開発マネージメントに有益な情報を得ることが可能になります。 (3) ソフトウェア開発環境に関わる研究ソフトウェア開発プロセスを支える情報技術として、当社グループでは長年に渡り、機能性、利便性、文脈性のいずれにおいても拡張性の高いソフトウェア開発環境の実現に向けた研究に取り組んでおります。チーム開発のための統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」、プログラム理解・再利用を支援するソースコード検索システム「CodeDepot」などは、これらの研究開発成果であり、開発者視点を踏まえた開発プロセスの最適化、および開発スタイルの多様化に柔軟に対応するような、製品やサービスとして展開しております。また、開発情報を、開発過程における意思決定の来歴情報として活用することを念頭に、ソフトウェア開発プロセスにおいて交わされる議論やコメントと成果物ファイルを記録する環境の試作に着手しております。これらの応用展開が、今後成長していくことを期待しております。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの管理支援環境を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、構成管理等プロジェクト管理の基本機能に加えて、生産性や品質に関連する各種メトリクスの可視化等を実装し、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。また、オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が積極的に開発に参加しており、改良および機能追加の提案が取り込まれるなど成果をあげています。とりわけ昨年度までの「ビュー」技術の拡張に関する研究成果を活用し、今年度は実用性の高い「マテリアライズドビュー」の増分更新を高速化する技術の開発に取り組んでいます。SRA OSS, Inc. では、ワールドワイドなオープンソース・ソフトウェアの開発プロジェクトに参画するほか、自社がリーダーシップをもつスタイルのオープンソース・ソフトウェア開発にも取り組んでおり、PostgreSQL専用のクラスタソフトウェアである「pgpool-II」や、メールソフト「Sylpheed」、統合監視ツール「Zabbix」の監視テンプレート「pg_monz」などを開発しています。 これらはいずれも、ソフトウェアの開発作業で有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2018|2,883 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開となりました。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)とインタラクションデザイン(操作品質の高いユーザインタフェースを構築する手法)を融合した手法の構築に引き続き取り組んでおります。また、「ビッグデータ駆動ソフトウェア工学」を核とした、ビッグデータを対象とするインタラクティブな可視化技術の構築に関する研究も継続して進めております。展開中の自社IP製品と並行する形でソフトウェア開発環境に関する研究も進展しており、成果の一部はオープンソース化しました。また、オープンソース・ソフトウェアの潮流を踏まえた活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は35百万円であります。(1) 高度にインタラクティブな機器を対象とする形式手法の展開先端技術研究所では、これまでに引き続き「形式手法」と「インタラクションデザイン」を組み合わせた、他に類をみない極めて革新的なアプローチに取り組んでいます。形式手法は、数学的な手法によって高品質なソフトウェアを開発する技術です。従来は、高信頼システムの開発に特化した高度に専門化した技術者にしか扱えない技術と捉えられておりました。またインタラクションデザインは、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス、IoTデバイスなどの高度にインタラクティブな特性を生かしたソフトウェアの開発には欠かすことのできないデザイン技術です。先端技術研究所では、形式手法の成功事例における生産性の高さに注目し、高度にインタラクティブなソフトウェアシステムの開発への応用を目指して、技術開発に取り組んでいます。具体的には、形式手法による厳密な仕様記述を使ったプロトタイプを迅速に構築し、それを操作するユーザとの対話を経ながらソフトウェアの機能仕様を具体化し、各種デバイス向けのソフトウェアとして実現するために必要とされる技術要素を確立し、仕様の策定から実装まで開発全体をカバーするための一連のツール・チェインを実現することを目指しています。顧客と開発者の間の対話を支援することで、形式手法の利点であるソフトウェアの信頼性と、インタラクションデザインがもたらすユーザ体験の向上が得られることが期待されます。 (2) ビッグデータのインタラクティブな可視化技術に関する研究先端技術研究所では、ビッグデータをインタラクティブに扱うための可視化技術の研究開発に取り組んでいます。特に、ソフトウェアサービスの運用によって生み出される時空間的な大規模な履歴データに着目し、データの集約や分類、統計分析を通して、時空間的なデータを再構成し、それを新たなユーザ中心のインタラクティブなサービスへ発展・応用するための研究開発を行なっています。和歌山大学との共同研究としてソフトウェア開発の中で生み出されるデータに対してレポジトリマイニング技術による様々なデータ分析を進めており、インタラクティブなデータ分析と可視化の応用として、インタラクティブなソフトウェア開発のマネージメントに有益な情報を可視化することが可能になります。また、医療や健康維持などこれからの高齢化社会に向けた応用や、エンターテイメントなどへの応用での、履歴データのインタラクティブな分析と可視化によるフィードバックを用いた新たなサービスへの発展が期待されます。 (3) ソフトウェア開発環境に関わる研究当社グループでは従前より、ソフトウェア開発プロセスの、機能性、利便性、文脈性のいずれにおいても拡張性の高いソフトウェア開発環境を、容易、安全、低コストで実用化する研究に注力しております。これらの研究開発活動の成果の一部は、「ProjDepot」などの、開発者視点を踏まえた最適化と開発スタイルの多様化に柔軟に対応するような製品やサービスとして展開しております。昨年11月には、創立50周年を機にソースコード検索システムとして実績と定評のある「CodeDepot」の基本機能についてソースコードを公開いたしました。研究開発の成果をより多くの企業の皆様、技術者の皆様に活用していただけるよう、改良を重ねていくことでより良いソフトウェアへと成長していくことを期待しております。 (4) オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの管理支援環境を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、構成管理等プロジェクト管理の基本機能に加えて、生産性や品質に関連する各種メトリクスの可視化等を実装し、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。また、オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS, Inc. が積極的に開発に参加しており、改良及び機能追加の提案が取り込まれるなど成果をあげています。SRA OSS, Inc. では、ワールドワイドなオープンソース・ソフトウェアの開発プロジェクトに参画するほか、自社がリーダーシップをもつスタイルのオープンソース・ソフトウェア開発にも取り組んでおり、PostgreSQL専用のクラスタソフトウェアである「Pgpool-Ⅱ」や、メールソフト「Sylfeed」、統合監視ツール Zabbix の監視テンプレート「pg_monz」などを開発しています。より研究的な取り組みとしては、データベースの抽象的な取り扱いを可能にする「ビュー」技術の拡張に関する研究へ協力しており、理論を現実世界で利用可能であることの証明のためのプロトタイプ実装を担当しています。 これらはいずれも、ソフトウェアの開発作業で有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2017|3,149 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、引き続き研究開発およびその成果に基づくビジネス展開を継続しております。株式会社SRAの先端技術研究所においては、研究開発分野として、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)とインタラクションデザイン(操作品質の高いユーザインタフェースを構築する手法)を融合した極めて革新的な手法の構築に取り組んでおります。また、前連結会計年度より着手した「ビッグデータ駆動ソフトウェア工学」を核として、引き続きビッグデータを対象とするインタラクティブな可視化技術の構築に関する研究を進めております。展開中の自社IP製品と並行する形でソフトウェア開発環境に関する研究も着実に進展しております。また、オープンソース・ソフトウェアの潮流を踏まえた活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は36百万円であります。 (1) 高度にインタラクティブな機器を対象とする形式手法の展開先端技術研究所では、これまで取り組んできた「インタラクションデザイン」と「形式手法」を組み合わせて、機能面の品質だけでなく高い操作性や体験品質をもたらす仕様を構築していくという、革新的なアプローチに取り組んでいます。形式手法とは、高信頼性システム開発での有効性が認められながらも、高信頼性システムに特化した、高度に専門化した技術者にしか扱えない高コストな技術と捉えられてきているものです。モバイルデバイスやウェアラブルデバイス、IoTデバイス向けのインタラクティブなソフトウェアシステムの開発では、タッチ入力や各種センサーを使ったインタラクティビティとソフトウェアの機能が高いレベルで整合する必要があります。そのためには、プロトタイプを迅速に構築し、それを操作するユーザとの対話を経ながらソフトウェアの機能仕様を具体化していくことが求められております。本研究開発では、数学的に記述された厳密な仕様が定めるシステムの動作を、顧客がユーザインタフェースを介して体験することを可能にすることで、顧客が仕様自体を読むことなくその意味するところを理解し、顧客と開発者の間の対話をより効果的かつ正確に進めるための研究開発を進めております。これらの研究開発成果により、従来の形式手法の適用対象である高信頼性システムだけでなく、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス、IoTデバイス向けのソフトウェアを始めとする、これから増えることが予想される高度にインタラクティブなソフトウェアの開発で、形式手法の利点であるソフトウェアの信頼性と、インタラクションデザインがもたらすユーザ体験の向上が得られることが期待されます。 (2) ビッグデータのインタラクティブな可視化技術に関する研究当社グループでは、昨年度に引き続き、ソフトウェア開発やソフトウェアサービスに関わる諸活動の履歴データをビッグデータとして活用し、これまでの研究開発活動の強みを活かしてデータのインタラクティブな可視化技術の研究開発に取り組んでおります。また、これらのソフトウェア開発における履歴の活用技術を、新たなユーザ中心のサービスへ発展・応用する研究開発を行なっております。ソフトウェアの履歴やAIが解析したデータを、時間・場所・イベントに基づいて集約し、データ類似性・分類・相関等の時空間的な遷移をインタラクティブに探索するシステムの開発を進めています。様々なデバイスがインターネットにつながるIoTの時代では、日常生活の中のあらゆる活動が自動的に記録され、医療や健康維持、エンターテインメントなどへの応用が見込まれる一方で、履歴データは増大していくと考えられます。業務や日常生活の場で生成されるこれらの大量のデータをチェックし管理するための技術への発展が期待されます。 (3) ソフトウェア開発環境に関わる研究当社グループでは、ソフトウェア開発プロセスの、開発者視点を踏まえた最適化と、開発スタイルの多様化に柔軟に対応するような、機能性、利便性、文脈性のいずれにおいても拡張性の高いソフトウェア開発環境を、容易、安全、低コストで実用化する研究に注力しております。これら研究開発活動の成果の一部は、「ProjDepot」や「CodeDepot」といった製品やサービスとして展開しております。また、これらのソフトウェア開発環境に関わる環境を、ソフトウェア開発に関わる諸活動のビッグデータとして活用するための、ビッグデータ駆動ソフトウェア工学の基礎研究にも着手いたしました。上述いたしましたビッグデータの可視化環境との連携により、開発プロジェクトの管理者、開発者に負担をかけずに情報共有、開発効率向上に寄与できるような環境の展開へとつながるものであります。 (4)オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの管理支援環境を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、構成管理等プロジェクト管理の基本機能に加えて、生産性や品質に関連する各種メトリクスの可視化等を実装し、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。また、オープンソース・ソフトウェアのデータベースである「PostgreSQL」におきましては、当社グループが独自に開発したオープンソース・クラスタソフトウェア「Pgpool-Ⅱ」を中心に複数のデータベース・サーバを連携して使用する「レプリケーション/クラスタリング」技術の継続的な技術開発を行っています。また、新たにデータベースの抽象的な取り扱いを可能にする「ビュー」技術の拡張に関する研究を開始しており、ビューの使い勝手の大幅な向上を目指します。オープンソース・ソフトウェアは、ユーザの認知度向上や採用実績の増加により、大規模なシステムやミッションクリティカルなシステムでの採用が増加しています。SRA OSS, Inc. 日本支社が提供する「OSSプロフェッショナルサポートサービス」は、大規模なシステムでオープンソース・ソフトウェアを採用するユーザが採用しやすいサービスです。サーバ台数無制限で33以上のソフトウェアをサポート対象としており、近年契約数が増加しています。また、オープンソース・ソフトウェアの24時間365日のサポートサービスの契約も増加しており、オープンソース・ソフトウェアの採用は今後も拡大することが期待されます。 これらはいずれも、ソフトウェアの開発作業で有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。
FY2016|3,457 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、前連結会計年度までと同様に研究開発およびその成果に基づくビジネス展開を継続しております。株式会社SRAの先端技術研究所においては、開発環境を取り巻く技術状況と社会情勢の変化に対応する高い信頼性を維持した形で、当連結会計年度より新たに「ビッグデータ駆動ソフトウェア工学」と呼ぶアプローチの展開を開始いたしました。展開中の自社IP製品の発展と新規製品の展開、当社グループ内へのプロアクティブな技術提供と人材育成および卓越した技術研究とアカデミック研究の双方向アプローチにより、SRAグループのビジョン展開と底上げの両面からの貢献を目指しております。研究開発分野としては、世界に先駆けた研究分野である、形式手法(プログラムを数学的に正しく構築する技術)とインタラクションデザイン(操作品質の高いユーザインタフェースを構築する手法)を融合した技術を、開発プロセスおよび教育支援といった形で発展させております。また、オープンソース・ソフトウェアの潮流を踏まえた活用のための研究開発を引き続き実施しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。なお、当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究所を中心に行っております。研究開発費の総額は35百万円であります。 (1) インタラクティブなユーザインタフェースを考慮した形式手法の展開従来、形式手法は、ソフトウェア工学研究分野においてその有効性が認められながらも、高度な知識やスキルが求められ専門的技術者にしか扱えないものとされていました。このような課題に対し、先端技術研究所が取り組んできた、ソフトウェアの操作性や体験品質の向上に関わるインタラクションデザインを取り入れることで、より容易に形式手法を習得し活用することが出来るような手法の研究と開発ツールの開発に取り組んでいます。インタラクティブな対話を想定した上で、形式手法を用いた仕様を構築していくという全く新しい考え方を提唱するものであります。取り組みとして、インターネットのウェブサイト上でインタラクティブに形式手法を学習する仕組みを構築しております。また、モバイルアプリのようなインタラクティブなソフトウェアシステムは、プロトタイプを迅速に構築し、それを操作するユーザとの対話を経ながらその仕様を詳細化していくことが求められております。これに対して本研究開発では、顧客との対話をより効果的かつ正確に進めることを目的として、数学的な仕様を読むことなく、仕様の意味するところを顧客自身がユーザインタフェースを介して体験し理解を共有する仕組みを実現するための研究開発を進めております。これらの研究開発成果により、タッチ入力を基本とするモバイルデバイス向けのアプリケーションを始め、より多くのソフトウェア開発で形式手法の利点であるシステム仕様の品質向上とソフトウェアの信頼性の向上が得られることが期待されます。 (2) ビッグデータのインタラクティブな可視化技術に関する研究当社グループでは、前連結会計年度に引き続き、ビッグデータの活用へ向けて、これまでの研究開発活動の強みを活かした、データのインタラクティブな可視化技術の研究開発に取り組んでおります。これは、当社グループが長年先導しておりますソフトウェアプロセス分野における知見をベースとして、ソフトウェア開発やソフトウェアサービスに関わる諸活動の履歴データを活用するアプローチを主軸としております。ユーザの視点からデータを処理し可視化するというアプローチにおいては、先端技術研究所で取り組んでいるインタラクションデザインの手法を用いて、ユーザの興味の遷移に合わせて表示と絞り込み表示を行い、新たな課題の発見や事象の認識を効果的に行えるような可視化技術の構築に取り組んでおります。大量のテキストデータ、数値データ、ビデオデータを対象として、ウェブブラウザーで簡便にデータを閲覧できる環境のプロトタイピングを実施しております。 (3) ソフトウェア開発環境に関わる研究ソフトウェア開発環境の実用化研究においては、ソフトウェア開発プロセスの最適化と、開発スタイルの多様化に柔軟に呼応する形で、機能性、利便性、文脈性のいずれにおいても拡張性の高い環境の構築に注力しております。これら研究開発活動の成果の一部を展開する形で前年度に「ProjDepot」を製品化いたしました。これは、開発者中心設計を踏まえたインタラクションデザインの視点を取り入れたもので、多くのお客様からご好評を頂いております。また、オープンソースを利用する開発スタイルやアジャイルなプロセスの導入という潮流に応じて既存ソースコードの管理と活用の必要性が高まり、先端技術研究所が展開しているソースコードの高速構造検索を可能とする「CodeDepot」にもより一層のご注目を頂いております。これらのソフトウェア開発環境に関わる製品は、ソフトウェア開発に関わる活動データを開発活動に関する知見の宝庫として活用することにもつながります。上述のビッグデータの可視化環境との融合により、プロジェクト管理者、開発者の双方にとって、負荷をかけずに開発の効率向上に寄与できるような環境の展開へとつながるものであり、ビッグデータ駆動ソフトウェア工学の実践につながる技術であります。(4)オープンソース・ソフトウェアオープンソース・ソフトウェアに関しては、以前よりWebアプリケーション・システムの開発環境を 「GNU/Linux」、「PostgreSQL」を含むオープンソース・ツールキット群によって構築するための情報収集と整備を行っており、一般情報開示も行っております。このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの管理支援環境を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、構成管理等プロジェクト管理の基本機能に加えて、生産性や品質に関連する各種メトリクスの可視化等を実装し、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。また、オープンソース・ソフトウェアのデータベースである「PostgreSQL」におきましては、複数のデータベース・サーバを連携して使用する「レプリケーション/クラスタリング」技術の技術開発に引き続き力を入れています。中でも、当社グループが独自に開発したオープンソース・クラスタソフトウェア「pgpool-II」は、高い信頼性や性能が要求される大規模システム、基幹業務向けに利用が広まっています。2016年にリリースした最新版では、基幹系で広く使われているJavaアプリケーション利用時のスループットを大幅に高めるとともに、大規模システムでの性能向上を達成しています。オープンソース・ソフトウェアをミッションクリティカルな領域で使用するために不可欠なのが統合監視ソフトウェアです。当社グループはこの分野にも力を入れており、「Zabbix」というオープンソース・ソフトウェアの統合監視ソフトから、「PostgreSQL」、更に上記の「pgpool-II」を監視できるテンプレートをオープンソース・ソフトウェアとして開発、公開しております。従来、本格的なPostgreSQL用の監視テンブレートは存在していませんでしたが、「pg_monz」の登場によって、単体のPostgreSQLサーバのみならず、クラスタ構成の「PostgreSQL」や「pgpool-II」も監視できるようになり、オープンソース・ソフトウェア・データベースの、ミッションクリティカルな分野への適用が進むことが期待されます。これらはいずれも、ソフトウェアの開発作業で有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。