研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 260 |
| 2024-03 | - | 192 |
| 2023-03 | - | 112 |
| 2022-03 | - | 138 |
| 2021-03 | - | 251 |
研究開発活動(本文)
FY2025|2,741 文字
6【研究開発活動】当社グループでは、競争力強化および新規事業創出、中長期の事業成長を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、3,079百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 政治的な緊張の高まりや世界経済の不透明化といった社会的な不安が高まる一方で、デジタル社会の実現に向けてAIや量子コンピューティングといった様々なテクノロジーが劇的な進化を遂げており、これらのテクノロジーに対する期待が日々メディアを賑わせています。弊社では、社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。(1) 先進的なソフトウェア生産技術の研究開発と現場適用(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する新規事業創出(3) 将来の事業の核となる技術の獲得による中長期の事業成長 (1) 先進的なソフトウェア生産技術の研究開発と現場適用ソフトウェア生産技術については、飛躍的な生産性向上を図るべく生成AI*1の活用に注力しております。当連結会計年度は、前年度に引き続きGitHub Copilot*2の社内利用を拡大し、約3割のプロジェクトに展開いたしました。単なる個人単位での生産性向上にとどまらず、オフショア開発における活用や、生成AIによるコードレビューを大幅に効率化するツールの開発・活用などにより、プロジェクトチーム単位で量的・質的効果の拡大を図っております。また、社内AIChat環境で共有されたプロンプトを利用した要件定義の支援や、設計書からテスト仕様書の自動生成など、システム開発工程全体に活用範囲を拡大しております。各種の取り組みはグループ社員10,000人名以上が参加する相互技術支援サイト「canal」で共有するなど、ノウハウの共有展開を図っております。 (2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する新規事業創出当社グループは、社会課題の解決を目指し、「社会DX」、「事業DX」、そして「内部DX」の三つの領域で総合的な取り組みを進めています。特に「金融包摂」、「都市への集中・地方の衰退」、「低脱炭素化」、「健康問題」の解決に重点を置き、さまざまな事業分野で新たな価値の創造を目指しています。医療・ヘルスケア分野では、PHR基盤サービス「ヘルスケアパスポート」を展開し、健康・医療情報の共有を通じた地域住民の健康管理を促進しています。千葉県君津市、宮崎県都農町、大阪府門真市など、複数の自治体でこのサービスを活用した健康情報管理の拡大が進んでいます。また、2025年4月13日から開催される大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」では、「大阪ヘルスケアパビリオン公式アプリ」の開発と「ヘルスケアプラットフォーム」の提供を行い、大阪ヘルスケアパビリオンでの体験をサポートしています。地域活性化の取り組みとして、会津地域でサービス提供している会津コインの商店街、学校等と連携した利用シーン拡大を通して、市民の利便性向上、決済額の拡大につながっています。また、阪南市とは持続可能なまちづくりに向けた包括連携協定を締結し、共創による新しい地域価値創出に参画する等、地域における活性化支援が拡大しています。 (3) 将来の事業の核となる技術の獲得による中長期の事業成長デジタル社会を実現するために期待されている多くの技術のうち、「様々な分野での活用ユースケースが想定でき」「システムインテグレーションやサービスに活用でき」「実用段階に至るまで中長期での取り組みが必要となる」技術として「量子コンピューティング」と「空間コンピューティング」を中長期の注力テーマとして整理しております。これらの注力テーマについて様々な大学や研究機関と連携し、中長期の事業成長を目指して今後の事業の核となる技術を獲得すべく研究開発を行っております。「量子コンピューティング」に関する研究開発では、ユースケースを想定した量子アルゴリズムの研究や量子アプリケーションを開発するための量子ソフトウェアの開発を行っております。量子アルゴリズム研究においては、大阪大学との共同研究により組合せ最適問題に対する新量子アルゴリズム「FQAOA」を開発し電力需要ポートフォリオ最適化問題に適用した結果、従来手法と比較して計算精度を約10倍改善することに成功したことを発表しました。また、量子ソフトウェア開発においては、量子プログラムの変換・最適化ソフトウェア「Tranqu」を大阪大学と共同開発し、大阪大学らと共に量子コンピュータ・クラウドサービス向けの世界最大規模の基本ソフトウェア群「OQTOPUS」としてオープンソースで公開・運用を開始しております。 「空間コンピューティング」に関する研究開発では、昨年まで行っていた「XR*3研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」をデジタルとリアルを統合する技術として発展させ、インタラクティブなコミュニケーションが可能なメタバースやデジタルツインの実現に向けた研究開発を行っております。空間コンピューティングにおけるデータ収集の一つとしてIoT・ウェアラブルデバイスの普及・利活用に向けて「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマット」を広島市立大学らと共にIEC*4に提案し、国際標準規格「IEC 63430」として発行されました。 *1 生成AI生成AIは、人工知能技術を用いてテキスト、画像、音楽など新しいコンテンツを自動生成するシステムである。大量のデータから学習し、特定の指示に基づいてユニークなアウトプットを作成することが可能であり、ビジネスシーンにおいては、広告コンテンツの生成、ユーザーインターフェースの改善、顧客サポートの自動化など、多岐にわたって活用されている。 *2 GitHub Copilot生成AI技術を活用したプログラミングに関わる様々な作業を支援するツール。 *3 XR(Extended Reality)VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称 *4 IEC(International Electrotechnical Commission)国際電気標準会議
FY2024|4,127 文字
6【研究開発活動】当社グループでは、新規事業創出および中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、2,958百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 中東や北朝鮮、中国など、世の中の情勢が不安定な中、また大規模地震や異常気象などによる環境問題など日々深刻になっている中、生成AIという言葉が、SNS上や新聞紙面上で見ない日はなく、AIなどの先端技術が着実に普段の生活の中に溶け込んできております。また、次世代計算機として、量子コンピュータの技術進化も顕著となってきており、2024年は量子コンピュータの性能向上が加速する年になると言われております。量子コンピュータの計算を担う「物理量子ビット」の増加や計算エラーを低減・修正する技術が日々報告されております。米国IBMやGoogleといった業界の大手企業だけでなく、欧米の量子スタートアップなども技術進化に大きく貢献する見通しとされています。このように、先端技術を用いたソリューションが求められる中、経営環境や技術競争環境は劇的に変化しています。弊社では、社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発(3) 先進的なソフトウエア生産技術 (1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発数多くある先端技術の中から、Gartnerなどの調査を基に研究テーマを集中・選択し、2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子及び古典コンピュータによる高性能計算の研究」を引き続き重点テーマとして研究開発を行っております。昨年まで行っていた「Data Labeling for AI」は、生成AIの研究開発として、短期の研究開発として継続して実施していきます。これらの要素技術を国内外の大学や研究機関との産学連携を活用して、今後の新規事業などにおける差別化技術として研究開発を行っております。「XR研究」では、メタバース空間を新しい経済空間ととらえ、この空間においてそれぞれのユーザが様々なコミュニケーションを行えるための要素技術について、東京大学および東京都市大学と共同研究を進めております。この共同研究などで得られた知見を用いて、実写観光メタバースアプリ「BURALIT」および決済完結型バーチャルショップを構築できる「XR Pay」をリリースしております。また、2023年より電子情報技術産業協会におけるメタバース対応Gにおいて、主査として他社と連携してこの分野を活性化する活動しております。「Multi-Level Edge Computing研究」では、将来の経済空間であるメタバース空間において相互的にコミュニケーションを行うことを考え、多人数がネットワーク上で画像などの大容量の通信が必要となってくることが想定されます。その際に必要な要素技術について、2021年より、電気通信大学において複数の研究分野の研究者とともに課題解決型共同研究を行っております。その結果、多人数大容量のネットワークインフラを作成することに成功し、さらに実運用を考慮して、低コストでのインフラについても考案しました。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、広島市立大学との産学連携により、次世代のIoTシステムにおける情報フォーマットを定義することで、ヘルスケア分野などにおいて貢献していきます。「量子及び古典コンピュータによる高性能計算の研究」では、近い将来の実用化に向けて、量子及び古典コンピューティング技術について、大阪大学、九州大学および産総研と共同研究を行っております。NISQ*2と呼ばれるエラーの多い中規模な量子コンピュータにおけるエラー抑制技術や、限定的な量子ビットの高効率な利用手法において成果を上げており、国際学会等で報告をしております。今後は、Early-FTQC*3に向けたアルゴリズム開発を検討しております。また、量子コンピュータを扱える人材の育成についても引き続き行っており、QuantAttack(クアントアタック)という量子コンピュータの理論を自然に学ぶことができるゲームなどを開発し、無料で公開しております。 (2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発当社グループでは、よりよい社会を実現していく「社会DX」、お客様の事業を革新していく「事業DX」そしてTISインテックグループ自身を進化させていく「内部DX」の3つの領域のDXと捉えて、総合的な視点で取り組みを進めております。4つの社会課題の解決、すなわち「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」「低脱炭素化」「健康問題」の社会課題の解決を重点に、取り組む事業分野を、金融、製造、物流、電子政府、エネルギー、医療・ヘルスケアなどとして、新たな価値創造を目指しております。2023年度は、TISの経費精算クラウドサービス「Spendia」のチェック機能拡張による不正検知・ガバナンス強化を実現しております。金融、電子政府分野等では、マイナンバー本人確認サービスを開始しており、金融包摂およびマイナンバー活用振興に貢献しております。金融包摂を念頭に、それらを活用した諸手続きの電子効率化などを通して生活者の利便性向上に貢献してゆきます。本サービスは、蒲郡市で採用されております。エネルギー分野では、2022年度に取り組んだ地域の森林資源の循環利用を活性化するプログラム「WOOD DREAM DECK」のアウトプットとしてサウナ「ocomoriサウナ」を完成させ、Web3.0*4技術やNFT*5を活用して地域の森林資源を活かした経済循環と環境保全を両立するエコシステムを支えております。医療・ヘルスケア分野では、地域医療情報連携サービス「ヘルスケアパスポート」がデジタル田園都市国家構想への参画を通して、社会実装に向けての活動を推進しています。また、当社グループが協賛する大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」では閉幕後のソフトレガシービジネスを社会実装と捉え検討を進めております。 (3) 先進的なソフトウエア生産技術ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、生成AI*6、アジャイル開発*7、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、生成AIを社内の様々な業務で活用できる環境整備を行うとともに、再利用可能なプロンプト*8を含む生成AI活用ガイドを整備し、グループ会社を含む1,000名以上が参加する生成AI活用コミュニティにて展開するなど、活用の普及に取り組みました。ソフトウエア開発の領域においてもGitHub Copilot*9の社内利用を加速するためのルール整備、育成活動などを行いました。また、昨年度に引き続き、モバイルアプリケーション開発のノウハウ整備やエンジニア育成活動、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化のためのガイド整備実践に注力しました。 *1 XR(Extended Reality)VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称 *2 NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer device)エラー訂正機能のない、ノイジーな中規模量子コンピュータのこと *3 Early-FTQC(Early Fault-Tolerant Quantum Computing)エラー訂正可能な誤り耐性量子コンピュータへ移行する初期段階の量子コンピュータのこと *4 Web3.0ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータを分散管理することで、特定の管理者を介さずデータやコンテンツなどのやり取りを可能にする、ボーダレスなサービスを展開できる分散型インターネットの概念 *5 NFT(Non-Fungible Token)暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される、偽造不可の鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ *6 生成AI生成AIは、人工知能技術を用いてテキスト、画像、音楽など新しいコンテンツを自動生成するシステムである。大量のデータから学習し、特定の指示に基づいてユニークなアウトプットを作成することが可能であり、ビジネスシーンにおいては、広告コンテンツの生成、ユーザーインターフェースの改善、顧客サポートの自動化など、多岐にわたって活用されている。 *7 アジャイル開発システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。 *8 プロンプトAIに対して行動や作成を指示するための命令や質問のこと。適切なプロンプトを用いることで、AIの能力を最大限引き出し、高品質な内容の生成が期待できる。 *9 GitHub Copilot生成AI技術を活用したプログラミングに関わる様々な作業を支援するツール。
FY2023|3,494 文字
6【研究開発活動】当社グループでは、新規事業創出および中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、3,104百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響が落ち着きを見せ始める中、2022年11月にOpenAI社が大規模言語モデルを応用したChatGPTをリリースしました。その後わずか2か月で、全世界で1億人ユーザーを突破し、テレビや新聞などで話題となる日々が続いております。このように、先端技術を用いたソリューションが求められる中、経営環境や技術競争環境は劇的に変化しています。社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。(1) 将来の新規事業の核となるコア技術を中心とした研究開発(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発 (1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」および「Data Labeling for AI」を引き続き重点テーマとして研究開発を行っております。それぞれ新規事業などにおける差別化技術として研究開発を行い、要素技術を国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。「XR研究」では、社会実装に向けた新しい遠隔コミュニケーション技術の具体化をテーマに、東京大学および東京都市大学と共同研究を進めており、この共同研究により得られた知見を用いて、実写観光メタバースアプリ「BURALIT」および決済完結型バーチャルショップを構築できる「XR Pay」をリリースしております。2022年度は、京都府京都市、福島県喜多方市、大阪府高槻市、滋賀県東近江市などにおいて実証実験を実施しました。「Multi-Level Edge Computing研究」では、テレワークが急激に普及する中、また、将来メタバース空間において相互的にコミュニケーションを行うことなどを考えると、ネットワーク上に画像等の大容量の通信が必要となってきます。その際に必要な要素技術について、電気通信大学の複数の研究者とともに課題解決型共同研究を行っております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、次世代のIoTシステムにおける情報フォーマットを定義することで、ヘルスケア分野などにおいて貢献していきます。「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」では、大阪大学および九州大学と共同研究を行い、新規アルゴリズムFQAOA*2を開発し、NISQ*3と呼ばれるエラーの多い小規模な量子コンピュータにおけるエラー抑制技術において成果を上げており、組み合わせ最適化問題に対する新たな計算手法を提案し、近い将来での量子コンピュータへの実装において貢献を行いました。また、量子コンピュータを扱える人材育成のためのカリキュラムについて検討しております。 (2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発当社グループでは、長期トレンドに基づき、解決に貢献する社会課題として「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」「低脱炭素化」「健康問題」と定め、中長期な中核事業化を目指し、積極的に取り組む事業分野として金融、製造、物流、電子政府、エネルギー、医療・ヘルスケアなどを特定し、新たな価値創出を目指しております。特に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)における要素技術の研究開発に取り組んでおります。2022年度には、本人確認業務の利便性を向上のため、「マイナンバーカード本人確認サービス」を提供開始しました。金融、電子政府分野等では、地域課題解決型デジタル地域通貨サービスを開始しており、金融包摂および地域活性化において貢献しております。また、スマートシティにおけるデータ連携基盤の整備をサポートし、地域の行政運営や市民への情報開示で貢献しております。エネルギー分野では、Web3.0*4技術やNFT*5を活用して地域の森林資源の循環利用を活性化するプログラム「WOOD DEAM DECK」をつくり、地域の森林資源を活かして経済循環と環境保全を両立するエコシステムの構築を目指しております。医療・ヘルスケア分野では、地域医療情報連携サービス「ヘルスケアパスポート」の機能を拡張し、臨床結果や服薬記録などを簡単に閲覧できるようになっております。また、PHR*6サービス産業の健全な発展を通じて国民の健康増進や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献することを目的とする「PHRサービス事業協会(仮称)」の設立検討に参画しております。 (3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発*7、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、昨年度に整備したクロスプラットフォーム*8に対応したフレームワークを活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)や、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化につながるノウハウ(ガイド)を用い、モバイルエンジニアの教育および実プロジェクト(モバイル開発、新規事業開発)での実践に注力しました。また、高い生産性、堅牢性を武器とするJavaアプリケーションフレームワークであるNablarch(ナブラーク)で培ったノウハウをSpring Frameworkでも活用できるよう、Nablarch向けの設計標準・サンプルをSpring Framework向けに整備、公開致しました。 *1 XR(Extended Reality)VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称 *2 FQAOA(Fermionic Quantum Approximate Optimization Algorithm)QAOAは、量子近似最適化アルゴリズムと呼ばれ、量子ゲート方式による組合せ最適化問題の解を求めるためのアルゴリズム。FQAOAは、QAOAをベースにした新規アルゴリズム *3 NISQ(Quantum Approximate Optimization Algorithm)エラー訂正機能のない、ノイジーな中規模量子コンピュータのこと *4 Web3.0ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータを分散管理することで、特定の管理者を介さずデータやコンテンツなどのやり取りを可能にする、ボーダレスなサービスを展開できる分散型インターネットの概念 *5 NFT(Non-Fungible Token)暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される、偽造不可の鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ *6 PHR(Personal Health Record)生涯にわたる個人の保健医療情報(健診(検診)情報、予防接種歴、薬剤情報、検査結果等診療関連情報及び個人が自ら日々測定するバイタル等) *7 アジャイル開発システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。 *8 クロスプラットフォームAndroid/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。
FY2022|2,213 文字
5【研究開発活動】当社グループでは、中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、2,784百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 長引く感染症の影響等により、経営環境、競争環境が劇的に変化する中で、新しい社会ニーズ、社会課題解決につながるテクノロジーをスピーディーにビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端の技術トレンドを幅広く分析しつつ、次に掲げる3つの領域の研究開発に特に注力しております。(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発 (1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1技術」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子コンピュータによる開発」および「Data Labeling for AI」を重点テーマとして研究開発を行っております。それぞれ新規事業における差別化技術として研究開発を行い、要素技術の研究開発を国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。「XR技術」では、社会実装に向けた新しい遠隔コミュニケーション技術の具体化をテーマに東京大学と共同研究を進めております。バーチャル空間における決済の評価も含めまして、2021年度は、東京都港区、大阪府池田市、福島県会津若松市などにおいて実証実験を実施しました。「Multi-Level Edge Computing研究」では、テレワークの普及などによりネットワーク上での画像等の大容量の通信について多拠点同時接続を可能とする要素技術の研究を行っております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、国際電気標準会議(IEC)において新業務項目(NP)として承認されるなど、国際規格の発行に向けた作業を加速するとともに、ヘルスケア分野のみならず、IoT分野での国際標準に貢献していきます。 (2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発当社グループとして注力する社会課題解決に向け、特に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)における要素技術の研究開発に取り組んでおります。金融、製造、流通分野等では、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスの「プラットフォーム事業者」として主務大臣認定を取得するなど、データ利活用によるDXソリューション開発に力を入れています。和歌山県白浜町においては、「自己主権型アイデンティティ」の実証実験を実施しました。また、一般社団法人ロボットデリバリー協会の設立発起人として活動し、生活支援向けロボットシェアリング型配送サービスなどを開発しております。エネルギー分野では、MaaS技術を用いたカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素社会を実現するソリューションや、ブロックチェーン技術を使った再エネ由来の電気が有する環境価値の移転管理システムを開発しております。医療・ヘルスケア分野では、「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」のスマートヘルスシティのコーディネータ企業として大阪府内の市町村の社会課題解決サポートや、京都市の医療・介護等の統合データ分析事業における生活習慣病に係る共同研究を実施しております。 (3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発*2、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、クロスプラットフォーム*3に対応したフレームワークを主に活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)や、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化につながるノウハウ(ガイド)の整備を実施しました。また、量子コンピュータによる開発に対応可能なエンジニアを将来的に確保するため、量子コンピュータのシミュレータ「Qni」を活用したチュートリアルを開発し、エンジニアの育成を開始しました。*1 XR(Extended Reality)VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称 *2 アジャイル開発システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。 *3 クロスプラットフォームAndroid/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。
FY2021|2,566 文字
5【研究開発活動】ニューノーマル環境下において、世界中で社会環境や生活様式が大きく変化し、あらゆる産業において、新たな技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する企業が登場するなど、ビジネスの従来の枠組み・ルールに劇的な変化が起きつつあります。各分野にてデジタル・トランスフォーメーション(DX)をスピーディーに進めていくことが求められており、当社グループとしても、新しい社会ニーズや最新技術トレンドに着目しながら研究開発し、事業成長戦略につなげていくことが重要と考えております。このような環境下、当社グループでは次に掲げる3つの領域の研究開発に特に注力しております。(1) 近未来の事業に必要となるコア技術を中心とした研究開発(コア技術戦略)(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発(3) 先進的なソフトウェア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、1,789百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 (1) 近未来の事業に必要となるコア技術を中心とした研究開発(コア技術戦略)政府が提供する未来技術予測などを参考に、今後10年後に必要な技術を見据えたテクノロジーポートフォリオを作成の上、「XR*1技術」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子コンピュータによる開発」および「最先端AI研究」を当社のコア技術戦略の重点テーマとして選定しております。それらのテーマについては、自社独自の研究・開発にとどまらず、国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。「XR技術」では、バーチャル空間でのコミュニケーションに関する研究を元に、観光システム「XR Campus ツアーサービス」、バーチャル展示会システム「XR Campusイベントサービス」の開発を実施し、今後、観光業・小売業等向けにサービス提供を検討しております。「Multi-Level Edge Computing研究」では、近未来のIoT技術として、ネットワーク、セキュリティなどの要素技術を含めて研究開発しており、「AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立」に中心企業として参画しております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、標準化という根本の部分から研究開発を実施しております。「量子コンピュータによる開発」においては、市場の想定よりも早く実用化される領域・技術も出てくると仮定し、量子コンピュータのシミュレータ「Qni」の開発を進めております。これにより、量子コンピュータの実機無しで、開発環境の準備ができ、開発人材の育成が可能となります。この分野の最大のスタートアップと共同開発に取り組んでおります。 (2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発当社グループは、金融・製造・公共・エネルギーを始め、幅広い業界・業種のお客様と取引があります。いずれのお客様においても、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用した業務革新・新規事業への取り組みが加速しており、当社グループもそれらのニーズに対応するための要素技術の研究開発に取り組んでおります。デジタル技術を活用した新規事業に向けて、ブロックチェーンベースの次世代決済ネットワークの実証実験や、業務用・産業用向けのIoT基盤を活用したデータ利活用、エネルギーマネージメントの高度化と再生可能エネルギー比率向上を目指したEV・蓄電池などの最適制御ソリューションの開発をお客様と共創型でプロジェクト推進しました。また、ネットワーク技術分野においては、モバイルエッジコンピューティング、5G、ローカル携帯網(ローカル5G/プライベートLTE)の領域で積極的な研究開発を進めております。さらに、各種データ取り扱いのためのセキュリティ認証技術、MaaS(Mobility as a Service)、ロボティクス関連についても継続して研究開発を実施しております。 (3) 事業競争力強化のためのソフトウェア生産技術開発ソフトウェア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発*2、DevOps*3、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当年度は、DevOpsが実現可能な開発・実行環境をクラウド上に素早く構築できるツールキットの開発や、クロスプラットフォーム*4に対応したフレームワークを主に活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)の整備を実施しました。また、これまで研究開発を進めてきた高い可用性とスループットをオープン環境で実現するソフトウェアスタックであるLernaについて、さらに高い可用性が求められるビジネス領域での概念実証を実施、性能や可用性の目標を達成しております。*1 XR(Extended Reality)VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称 *2 アジャイル開発システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。 *3 DevOpsソフトウエアの開発担当と導入・運用担当が密接に協力する体制を構築し、ソフトウエアの導入や更新を迅速に進めること。“Development”(開発)と“Operations”(運用)の略語を組み合わせた造語。 *4 クロスプラットフォームAndroid/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。
FY2020|2,769 文字
5【研究開発活動】情報サービス産業においては、新技術によるイノベーションが生まれる中、当社グループも市場のニーズや社会課題を捉え、最新の技術トレンドを追いかけながら研究開発し、事業成長戦略につなげていくことが大変重要と考えており、当社グループでは次に掲げる3つの領域の研究開発に特に注力しております。(1) 人工知能(AI)、ロボティクスの社会実装(2) Society5.0 に向けた先進技術への取り組み(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、1,702百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。 (1) 人工知能(AI)、ロボティクスの社会実装労働人口が減少し、働き方改革による生産性の向上が求められている中、エンタープライズシステムの将来の姿として、企業の意思決定支援としての人工知能(AI)と、人の代替としてのロボティクスがその中核になるものと考え、それぞれの技術開発を進めています。AI技術の社会実装に向けて、当年度は、自然言語処理で企業分析を行うためのデータセット「CoARiJ(Corpus of Annual Reports in Japan)」、および自然言語処理で企業名認識を行うための辞書「JCLdic」を無償公開し、これらのコードについてもオープンソースソフトウェア(OSS)として公開しました。これらの技術により、与信管理や企業分析業務において、財務・非財務両面の分析が可能となり、ESG投資の促進や、企業のSDGsの実現などにつなげられることを期待しています。また、AIシステムの実用化にむけて、金融業や製造業各社と協力して実証実験を実施しました。このように、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の活用についての研究と技術開発を実用化するためのノウハウを多く蓄積しております。ロボティクスについては、欧州の次世代インターネット官民連携プログラムで開発・実装された基盤ソフトウエア「FIWARE」の普及を推進するFIWARE Foundationにゴールドメンバーとして参加しており、FIWAREを活用して、複数のサービスロボットの統合的管理と、業務システムとロボットやセンサーなどの相互連携を実現するためのプラットフォーム「RoboticBase」の研究開発を行っています。当年度は会津大学との協力により、自律移動するロボットを活用した搬送業務自動化の実証実験を行うなど、本分野におけるイニシアチブを形成しつつあります。また、ビジネス化に向けたサービスロボットサービスのビジネスアーキテクチャ整理や法整備に向けた課題についての政府の議論にも参画しております。 (2) Society5.0 に向けた先進技術への取り組み政府が推進するSociety5.0 で実現する社会では、IoT(Internet of Things)ですべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、課題や困難を克服します。フィジカル空間のセンサーから膨大な情報がサイバー空間に集積され、サイバー空間では、このビッグデータをAIが解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされることでこれまでにできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされます。Society5.0の中核となるスマートシティ構想に向けた取り組みとして、当年度は、北海道桧山郡厚沢部町、福島県会津若松市、富山県富山市、沖縄県石垣島などで、ブロックチェーンで発行した地域通貨などのキャッシュレス、MaaS(Mobility as a Service)、再生エネルギーなどを中心としたエネルギーの地産地消などの実証実験を実施しました。富山市では「富山市センサーネットワーク」を活用した「公共施設環境の見える化による快適な施設利用やエネルギー効率」の実証実験を行いました。今後も、これらの技術を全国に展開していく予定です。また、これらのIoT技術は、電気通信大学とともに提案した東京都の大学研究者による事業提案制度に「AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立」として採択されました。VR、AR、MRなどのXR技術については、VR技術を用いたバーチャル空間での会議システム「RE:COLLAVO:Rooms」やVR、AR技術を用いた遠隔コミュニケーションサービス「TeleAttend」などの社会実装に向けた実証実験を行っています。当年度は、東近江市の観光地である近江商人屋敷において、全国で初の「XR技術」を活用した観光案内の実証実験を実施しました。また、東京大学、電気通信大学、東京都市大学とともに、バーチャル空間におけるコミュニケーションについての研究や今後のXR技術の応用について、広範なテーマで共同研究を実施しています。 (3) 先進的なソフトウエア生産技術およびインフラストラクチャー関連技術開発ソフトウエア生産技術については、取引先企業の事業変革に対応する業務設計やシステム開発である、いわゆるMode2への対応を拡大するため、スタートアップ企業とのアクセラレータプログラムの実施とアジャイル開発*1、DevOps*2などの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしています。当年度は、慶應義塾大学との包括契約により、エネルギー分野およびAIを用いた画像認識分野での共同研究を開始しました。インフラストラクチャ関連技術では、豊富なシステム運用データをAI・機械学習を用い活用することで、AIOps*3を目指した研究開発を行っています。 *1 アジャイル開発システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。 *2 DevOpsソフトウェアの開発担当と導入・運用担当が密接に協力する体制を構築し、ソフトウェアの導入や更新を迅速に進めること。“Development”(開発)と“Operations”(運用)の略語を組み合わせた造語。 *3 AIOpsビッグデータに人工知能や機械学習を適用して IT 業務を自動化、改善するIT の運用手法を指す。AI を利用することで、大量のネットワークデータやマシンデータを自動的に分析し、パターンを検出。既存の問題の原因を特定し、将来の問題を予測することが可能となる。
FY2019|1,871 文字
5【研究開発活動】当社グループでは、次に掲げる3つの領域について研究開発を行っております。(1) Society 5.0時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術(2) 働き方改革を実現する人工知能(AI)、ロボティクス、複合現実(MR)(3) 先進的なソフトウェア生産技術およびインフラストラクチャ関連技術研究開発体制としては、主としてTIS株式会社および株式会社インテックの専任担当組織が担ってきましたが、研究開発を強化するために2018年11月に拠点を統合しました。そのほか、各社各事業組織においても、それぞれ現事業強化のための研究開発を行っています。当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、1,003百万円です。 (1) Society 5.0時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術政府が推進するSociety 5.0では、これまで企業内・業界内で流通していたデータがあらゆる分野に流通し、利活用される社会システムが想定されています。これをうけて民間主導で設立された一般社団法人データ流通推進協議会および一般社団法人官民データ活用共通プラットフォーム協議会について、当社グループが中核企業として参画し、社会実装に向けた検証を担っています。Society 5.0を支えるネットワークインフラストラクチャとしては、携帯電話キャリアの5G化やLPWA(Low Power Wide Area)といった技術の発展に伴い、IoT機器に対するサイバー攻撃リスクを低減するために、脆弱性に対する自動診断、機器認証、情報の保護に関する研究を行っています。その他、地域向け仮想通貨を含むブロックチェーン技術、個人の所有する家電の情報をまとめて管理する技術、顔写真から脳波・血管年齢を算出しデータ化する技術などについて、技術開発と実証実験を行いました。また、Society 5.0時代において、社会、都市、企業が変革するためにICTが果たす役割について、東京大学、慶應義塾大学、電気通信大学、会津大学等とそれぞれ広範なテーマについて共同研究を行っています。 (2) 働き方改革を実現する人工知能(AI)、ロボティクス、複合現実(MR)労働人口が減少する過程において働き方改革による生産性の向上が求められる中、エンタープライズシステムの将来の姿として、人工知能(AI)がその中核において企業の意思決定支援を行うとともに、人に代替し、あるいは人ができないことを行うためのロボティクス、および、お互い遠隔地にいる人同士が連携することのできる複合現実(MR)が重要技術であると考えており、それぞれの技術開発を進めています。人工知能(AI)については、金融業や製造業などの企業と共同で、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の活用についての研究と技術開発を行っています。また、昨今、自然言語処理・機械学習における課題を克服するためのツールを開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。さらに、領収書、請求書等の様々なフォーマット帳票(非定型帳票)の文字を読み込む技術の開発を進めています。また、ダイバーシティが重視される社会に向けて、人工知能の一種である物体認識技術を活用して視覚障がい者の活動を支援するアプリケーションを開発しました。ロボティクスについては、企業におけるロボット活用市場の振興を企図し、技術開発の成果を広く公開するオープンソース・ソフトウェア戦略を採用しています。複数のロボットが連携して作業支援を行うためのプラットフォームソフトウェア、および、ロボット開発者向け開発・管理環境ユーティリティをそれぞれ開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。複合現実(MR)は、主にゴーグル型端末を用いて、現実の情報に仮想の情報を重ね合わせて表示する技術です。エンタープライズ分野での複合現実技術の活用に向けて、互いに遠隔にいる複数の人々が体験を共有できる技術を開発し、実証実験を行いました。 (3) 先進的なソフトウェア生産技術およびインフラストラクチャ関連技術ソフトウェア生産技術については、デザイン思考、プロトタイピング、アジャイル開発などの基本的な技術獲得を進めており、顧客企業との新規ビジネス共創に活用しています。インフラストラクチャ関連技術では、分散コンピューティングアーキテクチャーの学術研究を継続しているほか、ネットワーク構成を自動収集し可視化することにより運用の自動化を実現するための技術開発を行っています。
FY2018|2,440 文字
5【研究開発活動】当社グループの属する情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化への迅速な対応が競争力の維持・向上を図る上で重要な課題です。当社グループでは、次に掲げる3つの領域について研究開発を行っております。① 人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット関連技術の検証、開発と実証実験② 先進的なソフトウェア生産技術及びインフラストラクチャー関連技術の開発と適用③ デジタル時代の社会、都市、企業に向けた先進技術の適用検証、開発と実証実験 当社グループの研究開発は、主として当社及び株式会社インテックにおける専門組織が担っているほか、AIやFinTech、ネットワーク技術等、現事業と密接に関連する技術の研究開発については、産官学連携研究から技術開発、サービス開発、事業化に至るまで、各事業を担当する組織で対応しております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は996百万円です。 (1) 人工知能、ビッグデータ、ロボット関連技術当社グループでは、業務システムの近未来的なユーザインタフェースとして、自然言語を使った利用者とシステムとの豊かなコミュニケーションを実現するために、システムが業務知識を獲得するフレームワークを実現する要素技術の研究開発を行っております。当社ではこの要素技術に関して、北陸先端科学技術大学院大学及び京都工業繊維大学との共同研究を進めております。また、取引先である企業やその他の法人がさまざまな業務データを電子化して蓄積するとともに、社外にあるソーシャルデータやオープンデータを有効活用する時代を迎え、これらのビッグデータを分析し業務システムに組み込むための技術を開発しています。具体的には、工場における稼働率や歩留まりの改善、設備異常の兆候を検知することによる予兆保全といった領域です。特に予兆保全については、株式会社インテックにおいて、正常・異常の判断方法として広く使われているMT(マハラノビス・タグチ)法よりも高い精度で異常検知できる確率密度を使った独自の方法を開発しました。ロボット(ロボティクス)領域につきましては、サービスロボット分野のインテグレーション関連技術獲得を目指し、大きく2つのアプローチでの研究開発を行っております。まず、これまで取り組んできた自動走行台車ロボット等のサービスロボット開発での知見に基づき、今後の開発需要が見込めるものの技術者不足や技術者育成が間に合っていないサービスロボット開発を下支えする開発支援ツールの開発に着手しました。次に、複数のロボットベンダーが提供するロボットを連携させ制御するプラットフォーム技術の研究を進めており、2020年3月期には実証実験を行う予定です。 (2) ソフトウェア生産技術及びインフラストラクチャー関連技術ソフトウェア生産技術につきましては、取引先企業の事業変革に対応する業務設計やシステム開発である、いわゆるMode2への対応を拡大するため、お客様やスタートアップ企業と一体となり新規事業の創造に向けたアクセラレータプログラムの実施とアジャイル/DevOps環境の整備を実施しています。当社では、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を適用したスタートアップ企業や共同研究先の大学研究室とともに新規事業創出に向けた活動を推進しています。また、株式会社インテックでは、新規事業創造においてデザイン思考を取り入れることにより、属人的に行われてきた人間中心の考え方や機会探索型のアプローチを体系化し、AIやIoTといったデジタル技術を使用して実現性を仮説検証する取り組みを推進しています。インフラストラクチャー関連技術においては、株式会社インテックでは、日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット 第163委員会の地域間インタークラウド分科会に参加し、大阪大学をはじめとする全国の学術組織と共同で分散コンピュータアーキテクチャの研究を進めています。当社では、Infrastructure as Code(IaC)や仮想化技術を活用したIT基盤及び運用のテストを自動化するためのフレームワークの技術開発を進めるとともに、電気通信大学、ベトナムのホーチミン工科大学とともに分散協調キャッシュ技術に関する共同研究を開始しました。そのほか、キーボードに頼らない新たな入力デバイスに関する研究開発も行っております。当社では眼鏡型デバイス、株式会社インテックでは腕時計型デバイス(スマートウオッチ)による入力方法の確立に向けた技術開発と適用を進めております。また、株式会社インテックでは、視覚障害者を対象としたスマートフォンによる商品認識・読み上げ技術「音声読み上げスキャナ」を開発し、視覚障害者の買い物支援等の応用に向けた実証実験を行っています。当技術に関しては、一般社団法人テレコムサービス協会のICTビジネス研究会「Challenge IoT Award 2017」においてテレコムサービス協会会長賞を受賞しました。 (3) デジタル時代の社会、都市、企業に貢献する先進技術当社グループでは、中長期的なデジタル時代において、社会、都市、企業が変革するためにICTが果たす役割について、当社及び株式会社インテックでは、電気通信大学、慶應大学、東京大学、会津大学とそれぞれさまざまなテーマについて共同研究を行っています。また、当社では、将来的な決済基盤に関する研究開発の一環として、経済産業省「おもてなしプラットフォーム事業」に参画するとともに、株式会社デジタルガレージと共同設立した戦略技術開発会社DG Technologiesと連携してブロックチェーン技術の蓄積を進めています。一方、株式会社インテックでは、富山県内の企業や大学を対象とした「富山県ものづくり総合見本市」において、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨の実証実験を行いました。
FY2017|4,068 文字
6【研究開発活動】当社グループの属する情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化への迅速な対応が競争力の維持・向上を図る上で重要な課題です。当社グループでは、当社及び株式会社インテックが中心となり、下記領域における先端的な研究開発に取り組んでおります。なお、当社グループにおける研究開発活動は、その多くが個別の事業セグメントに特化するものではなく、事業横断的な技術を発掘するものです。 (1) ソフトウェア生産技術グループ全体のサービス品質と生産性の向上を目指し、グループ各社とも積極的かつ継続的に取り組んでおります。当社では、保守要員の確保が難しいCOBOLの大規模アプリケーションを、技術者の確保が容易なJavaに移行する際、COBOLからJavaへの変換を容易に実現できるソフトウェア「Xenlon~神龍 Migrator C2J」を開発し、運用コストの低減や運用継続性の担保を実現しました。株式会社インテックでは、世界最先端のアジャイル開発チームといわれるアメリカPivotal Labsのソフトウェア開発技術を習得し、社内普及のための準備を行いました。具体的には、特定プロジェクトを題材に、標準化ツールの検討/整備を行いました。 (2) クラウド技術クラウドサービスがコモディティー化する一方で、クラウドサービスを支える基盤技術が進化してきており、当社グループでも研究開発を行ってきました。当社では、SDx(Software Defined Anything)の技術を用いた研究開発に取り組んでおり、ネットワークの設定変更時や運用時において、人の介入を減らす仕組みの研究開発を実施し、莫大なネットワークリソースを保有しているお客様での実証実験も計画しています。また、電気通信大学との共同研究では、データ量の肥大化やネットワーク利用の増加に伴い、ネットワーク負荷の軽減を目的として、キャッシュの分散配置技術を活用したクラウド間の通信量の削減を実現するべく研究開発を実施しています。株式会社インテックでは、「日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット第163委員会」の「地域間インタークラウド分科会」に参加し、大阪大学・広島大学・金沢大学等と、異なる組織に散在するコンピュータ資源を利用したグローバルな広域分散計算環境の利活用を推進するための研究開発を行っています。また、産学連携の研究会である「トランスペアレントクラウドコンソーシアム」(Tクラウド研究会)の活動に参加し、デバイスとクラウドが透過的に連携することによる、新たなサービスモデルの実現を目指した研究開発を推進しています。本研究会での活動は、スマートシティやコネクテッドカーなどの新たな価値を生むクラウドソリューション開発に貢献しています。 (3) スマートフォン・タブレット端末関連技術モバイル環境についても、継続して研究開発に取り組んでいます。株式会社インテックでは、横浜国立大学地球環境未来都市研究会のメンバーとして、ESRIジャパン、日立製作所などと協力してi-LOP(位置情報統合プラットフォーム)を利用した来街者の屋内外シームレスな位置情報取得と、屋内3Dマッピングの実証実験を横浜みなとみらい地区で行いました。また製造業向けには、腕時計型デバイス(スマートウオッチ)を付けることで、手の動きを感知して、工場などタッチ入力の難しい現場で入力作業を行う「モーション認識技術」の確立を進めています。組み立て作業などのミスの即時検知など入力以外の応用検討も行っています。複数の検証希望を頂き、商品化にむけた共同研究や実証実験に取り組んでいます。 (4) ビッグデータ、IoT関連技術近年、IoTが脚光を浴び、あらゆる機器から送出される大量のデータを如何に効率的に処理するかが課題となっています。当社では、大阪大学サイバーメディアセンターと共同で、「IoT資源の共有プラットフォームに関する研究」を開始しました。この共通プラットフォームは、センサーや計算資源・サービスなどの様々なIoTリソースを保持・提供する「IoT資源の所有者」と、そのIoT資源を活用してサービスを企画する「サービス提供者」を結び付ける参加型プラットフォームです。この共通プラットフォームのプロトタイプの開発を実施し、あわせてサービス化の実現性、セキュリティや、ネットワーク要件が適合性も研究を通じて検証しています。株式会社インテックでは、生産現場で発生するさまざまなデータを収集・分析することで、稼働率や歩留まりの改善といった生産性向上に向けた支援や、設備異常の兆候の検知による予兆保全サービス実現に向けた支援に向け、ビッグデータ処理や機械学習の応用研究に取り組んでいます。また、多くの製造業が参加するIVI(Industrial Value chain Initiative)では、故障予知、生産性向上、品質管理などのテーマの実証実験に参加しデータ解析を行いました。 (5) 人工知能、ロボット関連技術ディープラーニングにより人工知能が大きく進化するとともに、人間型ロボットが普及し、ロボット用ソフトウェアがオープンソースで提供されるに至り、多くの企業がこの分野に参入しています。当者グループでは、ロボット技術そのものだけでなく、人工知能やIoT、クラウド技術と組み合わせた研究開発の取り組みを行っています。当社では、大阪大学石黒研究室とスタートアップ企業の株式会社エルブズと共同で、「AIと人の対話シナリオに関する研究」を実施しています。この研究では、「人間がロボットやエージェントと社会環境を含めどのように係わっていけるか」や「人間がロボットやエージェントとコミュニケーションを円滑に行えるか」の検証を行います。その検証結果をエルブズ社のコミュニケーションツール「社会性エージェント」に実装することで、ある自治体の協力の元、実証実験にて検証を行っています。対話サービス関連では、お客様との実証実験結果を踏まえエンタープライズ顧客向けに、自動応答できるチャットボットを簡単に構築でき、対応履歴データを使い応答の継続的な改善・学習ができるSaaS型のプラットフォーム「DialogPlay」のベータ版を開発・公開しました。また、ロボティクス関連では、自律移動型ロボット開発ベンチャーのSEQSENSE株式会社の自律移動型ロボットと当社のクラウド及びAIに関する技術を組み合せることで、社会課題を解決する新たなソリューションやサービスの研究開発を開始しました。更に、当社オリジナルの自律移動型ロボット(Jellibo)のプロトタイプを作成し、某レジャー施設で、「パブリックスペースでの人とロボットの付き合い方」を検証し評価しました。結果、ロボットと人間の共存する上での課題を洗い出し解決する策を検討しています。コミュニケーションロボット関連では、個性を学習するパートナーロボット「unibo(ユニボ)」を開発しているベンチャー企業のユニロボット株式会社と共同で、高齢者向けサービスや教育、店舗サービスなどの分野において、「unibo」をインターフェースとしたパーソナルAIエンジンと既存システムと連携させたソリューションの提供を目指す研究を実施しています。株式会社インテックでは、VR(Virtual Reality)と自動走行でリアルタイムに遠隔地の体験ができる台車ロボットシステムや、サービスロボット「Pepper」にスマートウォッチを用いたモーション認識技術を応用した自動プレゼンテーションシステムを開発し、Japan Robot Week 2016で公開しました。さらに、定形作業の業務処理自動化を行うRPA(Robotic Process Automation)分野で、非定型作業の自動化やチャットボット、サービスロボットとの連携などの付加価値をつける応用研究を始めました。 (6) ブロックチェーン技術金融業界を中心に、新しい台帳システム技術であるブロックチェーンが、国内外で注目されています。そのブロックチェーンを実際のビジネスで適用できないかの検証を進めています。当社では、東京大学大学院の次世代個人認証技術の大規模実証実験「MITHRA Project(ミスラ プロジェクト)」に参画し、本実証実験のデータ収集・管理に使用される実証実験サーバーに関して、ブロックチェーン技術を適用する独自の技術検証を行っています。また、株式会社デジタルガレージと共同で、FinTech関連事業の開発などに向けた戦略技術開発会社「DG Technologies」を設立し、ブロックチェーン技術を活用したFinTech関連の技術開発を実施しています。株式会社インテックでは、富山ブロックチェーン研究会を主催し、ブロックチェーン関係者との人的ネットワークを築きました。また、ブロックチェーンのオープンソースソフトウェアであるHyper ledger プロジェクト「Iroha(いろは)」に開発パートナーとして参画し、コミュニティへ貢献しています。 (7) MR(Mixed Reality)技術近年、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を組み合わせた複合現実(MR)の技術が話題になってきています。近い将来、このMRの技術がICTにおいて、ひとつのインターフェースとして成熟していくことが予測されています。当社では、エンタープライズシステムとMR技術を融合した新たなUI(User interface)やUX(User experience)の実現に関する検証を開始しました。これによりパソコンやタブレット、あるいはスマートフォンに代わる新しいデバイスとの親和性などを検証していきます。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,178百万円となっております。
FY2016|3,614 文字
6【研究開発活動】当社グループでは、TIS株式会社、株式会社インテックが中心となり、下記領域における先端的な研究開発に取り組んでおります。なお、当社グループにおける研究開発活動は、その多くが個別の事業セグメントに特化するものではなく、事業横断的な技術を発掘するものです。 (1) ソフトウエア生産技術グループ全体のサービス品質と生産性の向上を目指し、グループ各社とも積極的かつ継続的に取り組んでおります。TIS株式会社では、Javaベースのアプリケーションとは比較にならないほどのスケーラビリティと耐障害性をもたらすと言われる「リアクティブシステム」の有効性を検証しています。具体的には、リアクティブシステム構築のためのプラットフォームを提供する米国Lightbend社(旧Typesafe社)とパートナー契約を結び、先進的な取り組みを希望されるお客様を中心にリアクティブシステムのコンサルティングサービスの提供を開始しました。株式会社インテックでは、継続してテスト自動化基盤TaaS(Test as a Service)とテストスクリプトジェネレータの研究開発と社内活用を推進しました。特に、テストシナリオの生成を支援するツールと回帰テストを支援するツールの研究開発に注力しました。また、世界最先端のアジャイル開発チームと言われているアメリカPivotal Labsのアジャイル開発技術を活用するための取り組みを開始しました。上記の他、システム開発の要件が複雑化する中、BABOK等の知識体系をベースにした要件定義を高度化するフレームワークを、TIS株式会社と株式会社インテックが中心となり、主要グループ7社共同で構築しました。 (2) クラウド技術クラウドサービスがコモディティー化する一方で、クラウドサービスを支える基盤技術が進化してきており、当社グループでも研究開発を行ってきました。TIS株式会社では、2013年度より経済産業省の実証事業として進めているハイブリッド・クラウド・オーケストレーションソフトウェアCloudConductorの開発を継続するとともに、次世代のオーケストレーション技術に関して電気通信大学および大阪大学との共同研究を推進しています。自動化(docker、chef、ansible等)については、研究開発の段階から実プロジェクトへの適用検証の段階に移行し、大規模インフラをもつお客さまへの提案を始めました。第4四半期からは、次世代のクラウド関連技術として、クラウド運用管理における機械学習および人工知能の活用について調査研究を開始しました。株式会社インテックでは、大阪大学・広島大学・金沢大学・国立情報学研究所等による広域分散システム評価基盤“DESTCloud”(デストクラウド)の開発に協力しました。また、産学連携の研究会である「トランスペアレントクラウドコンソーシアム」(Tクラウド研究会)の活動に参加し、デバイスとクラウドが透過的に連携することによる、新たなサービスモデルの実現を目指した研究開発を推進しました。これらの成果を踏まえ、複数のクラウドサービスを連携させたデータ共有基盤の研究開発を開始しました。また、これまでの研究開発成果に基づきリリース済みの同期型ファイル共有サービス「SO-Sola」が、特定非営利活動法人「ASP・SaaS・クラウドコンソーシアム」が主催する「第9回 ASPIC クラウドアワード2015」のASP・SaaS部門「先進技術賞」を受賞しました。 (3) スマートフォン・タブレット端末関連技術モバイル環境についても、継続して研究開発に取り組んでいます。株式会社インテックでは、これまでの研究開発成果に基づき、クラウド型の統合位置情報プラットフォームサービス「i-LOP(アイロップ)」の正規版の提供を開始しました。これは、GPS・Wi-Fi・非可聴音(音波)・BLE(Bluetooth Low Energy)などの複数の位置測位技術をスマートフォンやWebアプリケーションから、簡単かつシームレスに扱えるようにするものです。i-LOPは、「第9回 ASPIC クラウドアワード2015」IaaS・PaaS部門「ベストイノベーション賞」を受賞しました。2015年12月に、「地域コミュニティーの活性化とO2Oアプリケーション」をテーマにしたイベント「商店街ハッカソンin 富山」を開催しました。今後はさらに、新測位技術、ウェアラブル端末との連携、イラストマッピング技術の高度化、動線分析技術との連携などの研究開発を進めます。さらに、タブレット端末における入力の課題を解決するために、スマートウォッチを用いたモーション認識技術の研究開発にも取り組んでいます。これは、スマートウォッチに搭載されている加速度センサーを用いて人間の手首の動作を検出し、各種の補正とノイズ除去を行うことでモーションを認識させる技術です。製造業・農畜産業・医療などの現場において、従来端末が使えない状況下でウェアラブル端末と連携させて活用されることを目指します。 (4) ビッグデータ、IoT関連技術2015年度は正にIoTが脚光を浴び、あらゆる機器から送出される大量のデータを如何に効率的に処理するかが課題となっています。株式会社インテックは、これまでの研究開発成果に基づき、「IoT向け共通プラットフォーム」のサービスを開始しました。これは、人・モノ・環境に関する膨大なデータを受付け、これらのデータからリアルタイムに外部世界の状態を検知し、状態に応じて必要とされる処理を実行できるオープン指向のPaaS(Platform as a Service)です。また、データが発生する現場近くで処理を行う「エッジコンピューティング」の一環としてM2Mゲートウエイの研究開発を進め、BLEデバイスが発する電波を用いた位置情報検知機能を実現しました。今後は製造業や流通業等での活用を目指します。 (5) 人工知能、ロボット関連技術ディープラーニングにより人工知能が大きく進化するとともに、人間型ロボットが普及し、ロボット用ソフトウエアがオープンソースで提供されるに至り、多くの企業がこの分野に参入しています。当社グループでは、ロボット技術そのものだけでなく、人工知能やIoT、クラウド技術と組み合わせた研究開発の取り組みを行っています。TIS株式会社では、過去5年にわたり取り組んできた人工知能およびロボット関連技術が大きく花開いた年となりました。この分野では、人間のように「気が利く」コンシェルジュを目指し、奈良先端科学技術大学院大学および明治大学との共同研究を開始しました。また、このコンシェルジュを実現するエージェント技術の獲得を目的に、株式会社エルブズに出資しました。お客さまとの実証も進めており、2015年9月にはショッピングセンターにおいて人型ロボットPepperを使った取り組みを行い、ロボットを業務利用する代表的事例となりました。また、IBM Watsonについても日本語版発表以前より取り組みを進めており、2015年12月にはIBM WatsonハッカソンにてSoftbank賞を獲得しました。こうした実績に基づき、2016年3月にはIBM Watsonエコシステム・テクノロジーパートナーおよびPepperロボアプリパートナーに認定されるとともに、2016年4月にはWatson/Pepperに関わるデリバリ体制として、ビジネスクリエーション事業部にAIビジネス推進室を設置いたしました。株式会社インテックでは、クラウドロボティクスに注力しています。具体的には、台車型ロボットを走行させて屋内の環境地図を作成しながら地磁気などの環境データを収集・保存するシステムや、遠隔地を接続してコミュニケーションを支援したり臨場感を体験させたりすることのできるテレプレゼンスロボットの研究開発を進めました。Pepperをロボット用OS(ROS)により制御する技術にも取り組みました。これらの成果を、2016年1月に富山県氷見市で開催されたTEDxHimi(テデックス・ヒミ)で公開しました。 (6) その他の研究開発活動TIS株式会社では、研究開発の取り組みを継続的にTech Sketch(技術者による情報発信サイト)で公開しています。株式会社インテックでは、研究開発活動成果について各種学会発表や外部講演を実施しているほか、INTEC Technical Journal誌に論文発表し、広報活動を行っています。その他、九州大学、慶応義塾大学、富山大学、富山県立大学等での特別講義を実施しています。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,086百万円となっております。