3401

帝人(3401)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

繊維製品 素材・化学

事業の概要

  • 主力は多角的な事業展開
    帝人グループは、高機能材料、繊維製品、医薬品・医療機器・在宅医療サービスという3つの主要事業領域を中心に収益を上げています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した事業運営を目指しています。
  • マテリアル事業の製品群
    アラミド繊維、炭素繊維、樹脂などの高機能材料や、自動車部品などに使われる複合成形材料の製造・販売が中心です。これらは、自動車、航空機、電子部品など幅広い産業で活用されています。
  • ヘルスケア事業の貢献
    医薬品や医療機器の製造・販売に加え、在宅医療サービスも提供しており、高齢化社会における医療ニーズに応えています。この事業は安定した収益源となる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • マテリアル事業
    売上高4396.9億円、営業利益-61.63億円。アラミド繊維、樹脂、炭素繊維などの高機能材料や、自動車部品などに使われる複合成形材料の製造・販売が中心です。現状は赤字ですが、将来的な成長が期待される分野です。
  • 繊維・製品事業
    売上高3214.7億円、営業利益121.32億円。ポリエステル繊維や織物などの繊維製品の製造・販売を手掛けています。安定した収益を上げており、グループの主要な稼ぎ頭の一つです。
  • ヘルスケア事業
    売上高1447億円、営業利益73.27億円。医薬品、医療機器の製造・販売、在宅医療サービスを提供しています。高齢化社会の進展に伴い、今後も安定的な成長が見込まれる事業領域です。
2024-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Material 事業 4,397 -62 -1.4%
FibersProducts 事業 3,215 121 3.8%
Healthcare 事業 1,447 73 5.1%
IT 事業 721 95 13.2%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,146 文字
3【事業の内容】帝人グループは当社、子会社129社及び関連会社等24社で構成されています。その事業は高機能材料、複合成形材料の製造・販売等を行うマテリアル事業領域と、繊維製品等の製造・販売を行う繊維・製品事業と、医薬品と医療機器の製造・販売及び在宅医療サービス等を行うヘルスケア事業領域を中心とし、その他に電池部材及びメンブレンの製造・販売、再生医療等製品及び埋込医療機器等の開発・製造・販売等を展開しています。 帝人グループでは、「マテリアル」「繊維・製品」「ヘルスケア」の3つを報告セグメントとしています。 当連結会計年度より、システムの運用・開発・メンテナンス及び電子コミック配信サービス等を行う「IT」を非継続事業に分類しており、「IT」を除く継続事業を表示しています。 各セグメントにおける、主要な事業内容ならびに主な会社は次のとおりであり、注記「6.事業セグメント」に記載のセグメントと一致しています。 セグメント事業内容構成会社マテリアル高機能材料事業アラミド繊維、樹脂、炭素繊維等の製造・販売当社Teijin Aramid B.V.Teijin Polycarbonate China Ltd.Teijin Corporation (Thailand) Limited等 子会社28社、関連会社等4社複合成形材料事業複合成形材料の製造・販売 当社Teijin Automotive Technologies NA Holdings Corp.Teijin Automotive Technologies Portugal, S.A.等 子会社24社繊維・製品 繊維製品等の製造・販売、ポリエステル繊維及び織物の製造・販売等帝人フロンティア(株)南通帝人有限公司Teijin Polyester (Thailand) LimitedJ.H. Ziegler GmbH等 子会社41社、関連会社等6社ヘルスケア医薬品及び医療機器の製造・販売、 在宅医療サービス、その他ヘルスケア関連製品の製造・販売当社帝人ファーマ(株)帝人ヘルスケア(株)等 子会社12社、関連会社等4社その他 電池部材及びメンブレンの製造・販売当社Teijin Lielsort Korea. Co., Ltd.子会社1社 再生医療等製品及び埋込医療機器等の開発・製造・販売当社(株)ジャパン・ティッシュエンジニアリング帝人ナカシマメディカル(株)等 子会社5社 その他帝人エージェンシー(株)等 子会社18社、関連会社等10社(注) 関連会社等には、共同支配企業を含んでいます。 以上に述べた「事業の内容」を概要図で示すと次のとおりです。 (注)連結対象会社は、連結子会社94社と持分法適用会社が57社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
アラミド繊維、樹脂、炭素繊維等の高機能材料、医薬品、医療機器の開発・製造技術。
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:大規模自然災害(首都圏直下型地震、南海トラフ地震、富士山噴火) / 情報セキュリティ(サイバー攻撃、DX/AIDX人財枯渇) / 地政学(サプライチェーン寸断、技術情報流出、為替激変・エネルギーコスト高騰)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
  • 高機能材料の技術力
    アラミド繊維や炭素繊維といった高機能材料は、軽量性、高強度、耐熱性などの優れた特性を持ち、高い技術力が求められます。帝人はこれらの分野で長年の研究開発実績とノウハウを蓄積しており、競争優位性を持っています。
  • 多角化によるリスク分散
    マテリアル、繊維・製品、ヘルスケアという異なる特性を持つ事業領域を展開することで、特定の市場や景気変動の影響を緩和しています。例えば、景気変動に左右されやすいマテリアル事業が不振でも、ヘルスケア事業が安定収益を上げることでグループ全体の業績を支えることができます。
  • グローバルな事業展開
    帝人グループは多数の子会社や関連会社を国内外に持ち、製品やサービスを世界中で提供しています。これにより、特定の地域市場に依存することなく、多様な顧客ニーズに対応し、事業機会を拡大しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において帝人グループが判断したものです。 (1) 帝人グループが目指す姿帝人グループは、2024年4月に、帝人グループのパーパス(存在意義)を明確化し、実行力を高めることを目的に、帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」を策定しました。このパーパスは、帝人グループの過去や現在、未来について全社を挙げて議論を重ねた結果洗い出された、帝人グループが大切にしてきた価値観そのものであり、美しい地球に人々がいつまでも暮らし続けるためのソリューションの提供に挑戦する会社でありたいという社員の想いが強く反映されています。 [パーパスに込めた想い]Pioneering帝人グループが100年以上の歴史の中で常にパイオニアであり続け、行動的で、先見性があり、イノベーションを生んできたことを誇りに思い、今後もそのアントレプレナーシップを引き継いでいきたいという想いが込められています。Solutions市場のニーズを満たす製品やサービスだけでなく、帝人の持つ科学の力を使って、社会課題に対する解決策(=ソリューション)も提供するという意気込みが表現されています。Together互いの違いや多様性を尊重して社員が力を合わせ、社外のパートナーと協力し、顧客を含む社外のさまざまなステークホルダーから共感され続ける存在でありたいという想いが込められています。Healthy Planet地球環境と、そこに住む人々やあらゆる生命に寄り添い、その健康や安全を願う想いが込められています。 帝人グループでは、このパーパスに併せて、3つのバリュー「①すべての挑戦をリスペクトします、②多様な仲間と専門性を活かして成長します、③地球とあらゆる生命に寄り添い、守ります」を設定しています。パーパスを軸に、バリューを重視することで、帝人グループの長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」(モビリティ、インフラ&インダストリアル領域:「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」、ヘルスケア領域:「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」)を目指していきます。 (2) 中期経営計画 当社は、2024年5月に「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を公表し、当社の対処すべき課題として、①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復、②事業ポートフォリオ変革、③グローバル経営基盤の強化、の3つを掲げ、成長軌道に回帰するため、これらの課題に対して強い決意を持って取り組んでいます。 ①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復 2024年度は、2023年度から進める収益性改善の完遂による基礎収益力の回復に向けて、以下の施策に重点的に取り組み、複合成形材料の北米事業における労働生産性の改善や価格改定効果の発現、アラミド事業における安定供給体制の確立やヘルスケア事業における固定費削減効果の前倒し発現、国内での「ネクストキャリア支援制度」(早期退職優遇制度)を含む固定費削減の実行等、一定の成果を上げました。一方、欧州や中国を中心としたグローバルでの景気減速による需要低迷や市場競争環境の激化影響を受けたアラミド事業や炭素繊維事業に加え、薬価改定や後発品の浸透加速の影響を受けたヘルスケア事業は基礎収益力を十分に回復することができず、その収益力改善が2025年度の新たな課題として残りました。  [主な施策と進捗状況]2024-2025年度 主な施策進捗状況(複合成形材料事業)■生産安定化を含む更なる改善■労働生産性の改善や価格改定による収益性改善■高採算新規プログラムの安定立上げに伴う販売増■北米事業の業績大幅改善と事業売却の決定(アラミド事業) ■確立した安定供給体制によりマーケットシェアを奪回 ■設備・運転・保全面でのコーポレート支援継続■安定供給体制の確立 ■光ファイバー用途では競合影響を受けるも、タイヤ用途・防弾防護用途では高いシェアを維持■サステナビリティ施策は順調に推進中■コーポレート支援による設備管理体制の強化(ヘルスケア事業) ■希少疾患3製品の国内早期上市に向けた準備 ■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成■希少疾患3製品の開発は何れも着実に進捗 ■在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした成長戦略「希少疾患治療+在宅医療」に最適な組織への転換を推進 ■固定費削減は前倒しで進捗・発現しており、2025年度に効果がフル発現し、効果は目標の50億円を上回る見通し(固定費削減) ■国内での「ネクストキャリア支援制度(早期退職優遇制度:150人)」を含む固定費削減目標(2025年度:40億円)の確実な達成 ■国内での「ネクストキャリア支援制度」を実行。2025年度に削減効果がフル発現し、40億円の目標を達成する見通し  [対処すべき課題]収益性改善のための施策(アラミド事業) ■欧州、中国を中心とする景気低迷や光ファイバー用途での厳しい競争環境により一時的に低迷。厳しい環境下でも十分に「稼ぐ」力を発揮できる最適生産体制への移行及びコスト削減(炭素繊維事業)■航空機用途以外での厳しい競争環境を前提とした最適生産体制への移行及びコスト削減■収益性を軸としたビジネスの取捨選択を徹底(ヘルスケア事業)■KPI徹底による主要4製品(HOT、CPAP、糖尿病治療剤、「オスタバロ」)の収益極大化■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成と更なる削減の追求 ②事業ポートフォリオ変革 2026年度以降の次期中期経営計画期間において、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現していくために、今中期経営計画においては、不採算事業・非注力事業の戦略的オプションを実行し、運営する事業を絞るとともに、重要産業セクターとして設定したモビリティ、インフラ&インダストリアル、ヘルスケアの領域での成長に向けた取り組みを推進しています。具体的には、素材や製品単体を提供する事業から、繊維・製品事業が持つ先端素材開発から生産・販売まで垂直統合した強固なサプライチェーンや在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした顧客に寄り添った提供価値主体の事業へと変革を進めています。2024年度は、不採算事業や非注力事業の事業売却等を強力に推進しました。2024年10月には電子コミックを手掛けるインフォコム株式会社の売却を完了させるとともに、近年業績が低迷していた複合成形材料の北米事業に関しても、2025年3月にTeijin Automotive Technologies NA Holdings Corp.の株式譲渡契約を締結し、譲渡完了に向けた対応を進めています。加えて、コーポレート新事業でもビオリエ・ニュートラシューティカルビジネスからの撤退や帝人ナカシマメディカル株式会社の株式譲渡を決定し、事業の絞り込みを進めています。また、持続的に成長戦略を推進するためにはそれを支える既存事業の収益力の維持・拡大が必要であり、他社との提携を含む様々な選択肢を検討しています。2025年度は、2026年度以降に大きく羽ばたくための準備期間として、絞り込んだ事業を中心に今後、どの様に成長していくかの具体的な方策を追求していきます。  [対処すべき課題]成長戦略の具現化のための施策 ■既存事業における収益拡大を目指し、業界再編や川中・川下領域への展開を含む他社との提携を模索。また、スペシャリティ製品の競争優位性を確保しつつ、製品がコモディティ化しても勝てる事業にもなるべく事業構造の転換を模索 ■マテリアル事業領域や繊維・製品事業を中心とした事業間シナジーを追求し、価値提供を軸とする事業展開を模索■重要産業セクターにおけるM&Aの具体化に向けた検討 ③グローバル経営基盤の強化 事業ポートフォリオ変革に併せて、グローバル経営基盤を強化し、パーパスを軸とした実行力の向上を目指すため、今中期経営計画においては特に、ガバナンス面で「グローバル企業・多角化企業に最適化されたガバナンス体制の確立」、生産・製造技術面で「国内外の知見・技術の融合による設備・運転・保全レベルの進化」、人的資本の面で「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」の課題に取り組んでいます。2024年度は、パーパスやバリューをただの標語とせず、社員一人ひとりの具体的な行動に落とし込む「マイアクション」活動を推進しました。全社員へ浸透させることで、パーパスやバリューを確実に体現する体制や組織風土を醸成し、帝人グループならではの価値を社会に提供していきます。ガバナンス体制の強化策としては、意思決定の迅速化や取締役会における経営上の重要課題の議論の一層の充実化を目的に、監査等委員会設置会社への移行を決定しました。また、技術戦略管掌やデジタル・情報システム管掌を新規に設置するなど、経営課題に対応した管掌機能を再編することで、グローバル経営体制の強化を図っています。人的資本戦略としては、グローバルでの「適所適材」の実現のため、海外拠点への異動も可能とする社内公募制度「グローバルジョブポスティング制度」の導入や職務に基づく処遇を実現するため、経営管理職に対するジョブ型制度を導入するなど、計画した施策を着実に実行しました。そのほか、生産・製造技術の向上やサステナビリティへの取り組みも順調に進めております。2025年度は、2024年度に実施した戦略的オプションや次期中期計画を踏まえた組織体制の最適化をより一層、進めていきます。  [対処すべき課題]グローバル経営基盤の強化に向けた施策 ■2024年度に実施した戦略的オプションや、次期中期経営計画を踏まえた最適な組織体制の検討(グループ横断的な横串機能の最適化等)  2024年度は複数の戦略的オプションの実行による事業ポートフォリオ変革や機関設計の変更決定などを力強く推し進め、将来の成長に向けた基盤を整備した1年となりました。2025年度も引き続き、マテリアル事業領域では、アラミド事業や炭素繊維事業などで最適生産体制の整備を進め、状況の変化にレジリエントに対応していくとともに、構造改革を進めます。また、ヘルスケア事業では、在宅医療事業の基盤を活かした成長戦略の中で、2023年11月に導入した希少疾患製品(ホルモン治療薬 3剤)を、早期に市場投入できるよう着実に準備を進めます。 2025年度の業績予想は、事業利益350億円、税後事業利益ROIC3%、ROE3% (IFRSベース)となる見込みです。今中期経営計画の目標である2025年度ROE6%以上を下回りますが、2026年度から始まる次期中期経営計画期間における成長、発展のための1年と位置付け、成長基盤整備および施策の完遂を目指します。また、2025年度は、次期中期経営計画を策定する年となります。基礎収益力の拡大を図るのは自明のこととして、先端素材など、スペシャリティ製品の「品質」を武器に勝負するメーカーから、顧客の課題を深く理解した価値やサービスの提供ができる、「素材やヘルスケア製品の枠を超えた課題解決のパートナー」にもなるべく成長を図り、どの様な製品でも「稼ぐ力」を備える会社へと移行するための計画を策定する予定です。また、我々帝人グループには変革に対するスピードが必要であることを認識しています。計画策定途上であっても我々の目的に合致した戦略については、慎重な判断のもとスピード感を持って実行していきます。帝人グループは、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えられる持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、早期にROE10%以上、PBR1倍以上の達成を目指していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において帝人グループが判断したものです。 (1) 帝人グループが目指す姿帝人グループは、2024年4月に、帝人グループのパーパス(存在意義)を明確化し、実行力を高めることを目的に、帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」を策定しました。このパーパスは、帝人グループの過去や現在、未来について全社を挙げて議論を重ねた結果洗い出された、帝人グループが大切にしてきた価値観そのものであり、美しい地球に人々がいつまでも暮らし続けるためのソリューションの提供に挑戦する会社でありたいという社員の想いが強く反映されています。 [パーパスに込めた想い]Pioneering帝人グループが100年以上の歴史の中で常にパイオニアであり続け、行動的で、先見性があり、イノベーションを生んできたことを誇りに思い、今後もそのアントレプレナーシップを引き継いでいきたいという想いが込められています。Solutions市場のニーズを満たす製品やサービスだけでなく、帝人の持つ科学の力を使って、社会課題に対する解決策(=ソリューション)も提供するという意気込みが表現されています。Together互いの違いや多様性を尊重して社員が力を合わせ、社外のパートナーと協力し、顧客を含む社外のさまざまなステークホルダーから共感され続ける存在でありたいという想いが込められています。Healthy Planet地球環境と、そこに住む人々やあらゆる生命に寄り添い、その健康や安全を願う想いが込められています。 帝人グループでは、このパーパスに併せて、3つのバリュー「①すべての挑戦をリスペクトします、②多様な仲間と専門性を活かして成長します、③地球とあらゆる生命に寄り添い、守ります」を設定しています。パーパスを軸に、バリューを重視することで、帝人グループの長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」(モビリティ、インフラ&インダストリアル領域:「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」、ヘルスケア領域:「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」)を目指していきます。 (2) 中期経営計画 当社は、2024年5月に「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を公表し、当社の対処すべき課題として、①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復、②事業ポートフォリオ変革、③グローバル経営基盤の強化、の3つを掲げ、成長軌道に回帰するため、これらの課題に対して強い決意を持って取り組んでいます。 ①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復 2024年度は、2023年度から進める収益性改善の完遂による基礎収益力の回復に向けて、以下の施策に重点的に取り組み、複合成形材料の北米事業における労働生産性の改善や価格改定効果の発現、アラミド事業における安定供給体制の確立やヘルスケア事業における固定費削減効果の前倒し発現、国内での「ネクストキャリア支援制度」(早期退職優遇制度)を含む固定費削減の実行等、一定の成果を上げました。一方、欧州や中国を中心としたグローバルでの景気減速による需要低迷や市場競争環境の激化影響を受けたアラミド事業や炭素繊維事業に加え、薬価改定や後発品の浸透加速の影響を受けたヘルスケア事業は基礎収益力を十分に回復することができず、その収益力改善が2025年度の新たな課題として残りました。  [主な施策と進捗状況]2024-2025年度 主な施策進捗状況(複合成形材料事業)■生産安定化を含む更なる改善■労働生産性の改善や価格改定による収益性改善■高採算新規プログラムの安定立上げに伴う販売増■北米事業の業績大幅改善と事業売却の決定(アラミド事業) ■確立した安定供給体制によりマーケットシェアを奪回 ■設備・運転・保全面でのコーポレート支援継続■安定供給体制の確立 ■光ファイバー用途では競合影響を受けるも、タイヤ用途・防弾防護用途では高いシェアを維持■サステナビリティ施策は順調に推進中■コーポレート支援による設備管理体制の強化(ヘルスケア事業) ■希少疾患3製品の国内早期上市に向けた準備 ■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成■希少疾患3製品の開発は何れも着実に進捗 ■在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした成長戦略「希少疾患治療+在宅医療」に最適な組織への転換を推進 ■固定費削減は前倒しで進捗・発現しており、2025年度に効果がフル発現し、効果は目標の50億円を上回る見通し(固定費削減) ■国内での「ネクストキャリア支援制度(早期退職優遇制度:150人)」を含む固定費削減目標(2025年度:40億円)の確実な達成 ■国内での「ネクストキャリア支援制度」を実行。2025年度に削減効果がフル発現し、40億円の目標を達成する見通し  [対処すべき課題]収益性改善のための施策(アラミド事業) ■欧州、中国を中心とする景気低迷や光ファイバー用途での厳しい競争環境により一時的に低迷。厳しい環境下でも十分に「稼ぐ」力を発揮できる最適生産体制への移行及びコスト削減(炭素繊維事業)■航空機用途以外での厳しい競争環境を前提とした最適生産体制への移行及びコスト削減■収益性を軸としたビジネスの取捨選択を徹底(ヘルスケア事業)■KPI徹底による主要4製品(HOT、CPAP、糖尿病治療剤、「オスタバロ」)の収益極大化■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成と更なる削減の追求 ②事業ポートフォリオ変革 2026年度以降の次期中期経営計画期間において、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現していくために、今中期経営計画においては、不採算事業・非注力事業の戦略的オプションを実行し、運営する事業を絞るとともに、重要産業セクターとして設定したモビリティ、インフラ&インダストリアル、ヘルスケアの領域での成長に向けた取り組みを推進しています。具体的には、素材や製品単体を提供する事業から、繊維・製品事業が持つ先端素材開発から生産・販売まで垂直統合した強固なサプライチェーンや在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした顧客に寄り添った提供価値主体の事業へと変革を進めています。2024年度は、不採算事業や非注力事業の事業売却等を強力に推進しました。2024年10月には電子コミックを手掛けるインフォコム株式会社の売却を完了させるとともに、近年業績が低迷していた複合成形材料の北米事業に関しても、2025年3月にTeijin Automotive Technologies NA Holdings Corp.の株式譲渡契約を締結し、譲渡完了に向けた対応を進めています。加えて、コーポレート新事業でもビオリエ・ニュートラシューティカルビジネスからの撤退や帝人ナカシマメディカル株式会社の株式譲渡を決定し、事業の絞り込みを進めています。また、持続的に成長戦略を推進するためにはそれを支える既存事業の収益力の維持・拡大が必要であり、他社との提携を含む様々な選択肢を検討しています。2025年度は、2026年度以降に大きく羽ばたくための準備期間として、絞り込んだ事業を中心に今後、どの様に成長していくかの具体的な方策を追求していきます。  [対処すべき課題]成長戦略の具現化のための施策 ■既存事業における収益拡大を目指し、業界再編や川中・川下領域への展開を含む他社との提携を模索。また、スペシャリティ製品の競争優位性を確保しつつ、製品がコモディティ化しても勝てる事業にもなるべく事業構造の転換を模索 ■マテリアル事業領域や繊維・製品事業を中心とした事業間シナジーを追求し、価値提供を軸とする事業展開を模索■重要産業セクターにおけるM&Aの具体化に向けた検討 ③グローバル経営基盤の強化 事業ポートフォリオ変革に併せて、グローバル経営基盤を強化し、パーパスを軸とした実行力の向上を目指すため、今中期経営計画においては特に、ガバナンス面で「グローバル企業・多角化企業に最適化されたガバナンス体制の確立」、生産・製造技術面で「国内外の知見・技術の融合による設備・運転・保全レベルの進化」、人的資本の面で「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」の課題に取り組んでいます。2024年度は、パーパスやバリューをただの標語とせず、社員一人ひとりの具体的な行動に落とし込む「マイアクション」活動を推進しました。全社員へ浸透させることで、パーパスやバリューを確実に体現する体制や組織風土を醸成し、帝人グループならではの価値を社会に提供していきます。ガバナンス体制の強化策としては、意思決定の迅速化や取締役会における経営上の重要課題の議論の一層の充実化を目的に、監査等委員会設置会社への移行を決定しました。また、技術戦略管掌やデジタル・情報システム管掌を新規に設置するなど、経営課題に対応した管掌機能を再編することで、グローバル経営体制の強化を図っています。人的資本戦略としては、グローバルでの「適所適材」の実現のため、海外拠点への異動も可能とする社内公募制度「グローバルジョブポスティング制度」の導入や職務に基づく処遇を実現するため、経営管理職に対するジョブ型制度を導入するなど、計画した施策を着実に実行しました。そのほか、生産・製造技術の向上やサステナビリティへの取り組みも順調に進めております。2025年度は、2024年度に実施した戦略的オプションや次期中期計画を踏まえた組織体制の最適化をより一層、進めていきます。  [対処すべき課題]グローバル経営基盤の強化に向けた施策 ■2024年度に実施した戦略的オプションや、次期中期経営計画を踏まえた最適な組織体制の検討(グループ横断的な横串機能の最適化等)  2024年度は複数の戦略的オプションの実行による事業ポートフォリオ変革や機関設計の変更決定などを力強く推し進め、将来の成長に向けた基盤を整備した1年となりました。2025年度も引き続き、マテリアル事業領域では、アラミド事業や炭素繊維事業などで最適生産体制の整備を進め、状況の変化にレジリエントに対応していくとともに、構造改革を進めます。また、ヘルスケア事業では、在宅医療事業の基盤を活かした成長戦略の中で、2023年11月に導入した希少疾患製品(ホルモン治療薬 3剤)を、早期に市場投入できるよう着実に準備を進めます。 2025年度の業績予想は、事業利益350億円、税後事業利益ROIC3%、ROE3% (IFRSベース)となる見込みです。今中期経営計画の目標である2025年度ROE6%以上を下回りますが、2026年度から始まる次期中期経営計画期間における成長、発展のための1年と位置付け、成長基盤整備および施策の完遂を目指します。また、2025年度は、次期中期経営計画を策定する年となります。基礎収益力の拡大を図るのは自明のこととして、先端素材など、スペシャリティ製品の「品質」を武器に勝負するメーカーから、顧客の課題を深く理解した価値やサービスの提供ができる、「素材やヘルスケア製品の枠を超えた課題解決のパートナー」にもなるべく成長を図り、どの様な製品でも「稼ぐ力」を備える会社へと移行するための計画を策定する予定です。また、我々帝人グループには変革に対するスピードが必要であることを認識しています。計画策定途上であっても我々の目的に合致した戦略については、慎重な判断のもとスピード感を持って実行していきます。帝人グループは、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えられる持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、早期にROE10%以上、PBR1倍以上の達成を目指していきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】帝人グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しています。また、前連結会計年度の数値についても、IFRSに組替えて比較分析を行っています。なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記「40.初度適用」」をご覧ください。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況2024年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や、イスラエルおよび周辺国における紛争の勃発により不安定となる中、個人消費が底堅い米国を除き、世界的に景気は低調に推移しました。特に中国の不動産市況低迷に起因する景気減速や、インフレや高金利、外需不振に伴う欧州製造業の不調に加え、2025年1月の米国の政権交代に伴う通商政策見直しの動きが影響し、先行き不透明な状況が継続しました。 帝人グループは、2024年5月に中期経営計画2024-2025を公表し、「収益性改善の完遂による基礎収益力の回復」と「事業ポートフォリオ変革」を主要課題に掲げ、各種施策を推進しています。2024年度は収益性改善の施策を概ね計画通り達成するとともに、戦略的オプションの実行による事業の絞り込みに目途を付けました。一方、景気減速の影響により、マテリアル事業領域の需要が伸び悩むなど、新たな課題に直面しました。中期経営計画で掲げた中長期的な方針に変更はありませんが、成長軌道への回帰に向けて、短期的には足元の厳しい市場環境に適応すべく、生産体制の見直しを含むコスト削減に取り組むなどレジリエントな対応を進めております。 1)経営成績帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上収益1兆55億円(前期比4.7%増)、営業損失△718億円、事業利益276億円(同25.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益283億円(前期 親会社の所有者に帰属する当期損失117億円)となりました。                                           (単位:億円) 158期(2024年3月期)159期(2025年3月期)増減額増減率売上収益9,60510,0554504.7%営業損失(△)△49△718△669-事業利益2202765625.7%親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)△117283401- 報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。なお、当連結会計年度より、システムの運用・開発・メンテナンス及び電子コミック配信サービス等を行う「IT」事業を非継続事業に分類しています。 (単位:億円) 158期(2024年3月期)159期(2025年3月期)増減額増減率売上収益マテリアル4,3924,5932014.6%繊維・製品3,2173,5193029.4%ヘルスケア1,4471,370△77△5.3%その他548573244.4%合計9,60510,0554504.7%事業利益マテリアル△176078-繊維・製品1301784937.5%ヘルスケア18257△125△68.7%その他117160554.0%消去又は全社△86△90△5-合計2202765625.7% 2)財政状態当期末の資産合計は、前期末に比べ1,653億円減少し、10,613億円となりました。現金及び現金同等物や営業債権及びその他の債権等が減少したほか、償却ならびに減損により有形固定資産や無形資産が減少しました。負債合計は、主に借入金の返済により前期末に比べて1,671億円減少し、6,227億円となりました。資本合計(非支配持分を含む)は、多額の減損損失を計上する一方で、インフォコム株式の譲渡による関係会社株式売却益を計上することで前期末に比べて18億円増加し、4,385億円となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.9倍、親会社所有者帰属持分比率は40.6%となりました。(前期末 D/Eレシオ1.26倍、親会社所有者帰属持分比率33.%)なお、当期末のBS換算レートは、150円/米ドル、162円/ユーロ、1.08米ドル/ユーロ(前期末151円/米ドル、163円/ユーロ、1.08米ドル/ユーロ)となっています。 ② キャッシュ・フローの状況当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失や減価償却費及び償却費等の非資金費用を除いた利益等により、合計で698億円の収入(前期は806億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等の支出があった一方、関係会社株式の売却による収入等により、525億円の収入(前期は566億円の支出)となりました。この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは1,224億円の収入(前期は240億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や社債の償還による支出、配当の支払により、1,345億円の支出(前期は438億円の支出)となりました。これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、当期における最終的な現金及び現金同等物の減少額は157億円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 1)経営成績」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定帝人グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方針に関する記載」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 1) 経営成績等a. 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容帝人グループの当期の経営成績は、売上収益が前期比で4.7%増の1兆55億円となり、事業利益(注)は同25.7%増の276億円となりました。また、複合成形材料の北米事業の減損損失の計上等により営業損失は718億円(前期は49億円の営業損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は283億円(前期は117億円の当期損失)となりました。事業利益に関して、マテリアル事業領域では、収益性改善策の効果の追加発現や、アラミド事業および樹脂事業を中心とした複数の用途での販売量増加により増益となりました。また繊維・製品事業は、販売が好調に推移し増益となりました。ヘルスケア事業においては、薬価改定影響および在宅医療機器の新機台投入によるコスト増などにより減益となりました。 その結果、収益性を示すROEは6.7%、ROICは2.6%となり、キャッシュ創出力を示すEBITDAについては982億円となりました。 (注)事業利益は、営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な損益(持分法による投資損益のうち金融損益や減損損失等の非経常的な損益を含む)を除いて算出しています。 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりです。なお、当連結会計年度より、システムの運用・開発・メンテナンス及び電子コミック配信サービス等を行うIT事業を非継続事業に分類しています。 マテリアル事業領域:[売上収益 4,593億円(前期比 4.6%増)、事業利益 60億円(前期 事業損失17億円)、EBITDA 325億円(同 1.2%減)]複合成形材料事業での収益性改善効果の発現と減損処理等に伴う償却費減少影響やアラミド事業および樹脂事業での販売量増加などが収益に貢献しました。一方、アラミド事業や炭素繊維事業での競争激化による販売価格の低下影響およびアラミド事業での前期に計上した保険金収入剥落の影響を受けました。 売上収益は4,593億円と前期比201億円の増収(4.6%増)、事業利益は60億円と前期比78億円の増益となりました。EBITDAは前期比4億円減の325億円となり、ROICは1%となりました。 アラミド事業では、原燃料価格の低下や競争激化の影響で一部の用途において販売価格が低下したほか、前期に計上した火災保険金収入分が剥落したことなどが減益要因となりました。一方、自動車用途や防弾・防護用途での販売量の増加や原燃料価格低下によるコスト減などで一部相殺した結果、前期比減収・減益となりました。 樹脂事業では、主力のポリカーボネート樹脂において、中国での低調な景気継続等により全般的に需要が低迷したものの、一部用途においてサプライチェーン上での在庫調整が緩和し販売量が増加しました。一方、競争激化の影響から販売価格が低下し、スプレッドも若干低下しました。結果、前期比増収・増益となりました。 炭素繊維事業では、汎用品を中心とした競争の激化により産業用途等で販売量が減少し、販売価格も低下しました。一方、航空機向け用途は、サプライチェーン上での調達制約の影響を受けながらも、堅調な旅客需要を背景としてビルドレートが上昇し、販売量は増加しました。結果、前期比減収・減益となりました。 複合成形材料事業では、販売価格改定、コスト削減等の収益性改善施策の発現、固定資産の減損処理に伴う償却費減等により、前期比増収・増益となりました。 マテリアル事業領域の事業利益の増減分析(前期比)は以下のとおりです。 繊維・製品事業: [売上収益 3,519億円(前期比 9.4%増)、事業利益 178億円(同 37.5%増)、EBITDA 255億円(同 22.9%増)]売上収益は3,519億円と前期比302億円の増収(9.4%増)、事業利益は178億円と前期比49億円の増益(37.5%増)となりました。EBITDAは前期比47億円増の255億円となり、ROICは8%となりました。 衣料繊維分野は、北米や中国向けのテキスタイル・衣料品の販売が好調に推移し、国内向けも衣料品の販売好調が継続しました。産業資材分野では、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維、人工皮革、テレビ通販での生活雑貨の販売が好調に推移しました。拡販に伴う経費増や円安による仕入れコスト増がありましたが、販売価格改定や生産性の改善を進めました。 繊維・製品事業の事業利益の増減分析(前期比)は以下のとおりです。 ヘルスケア事業:[売上収益 1,370億円(前期比 5.3%減)、事業利益 57億円(同 68.7%減)、EBITDA 347億円(同 23.6%減)]医薬品の薬価改定および在宅医療機器の新機台投入によるコスト増が収益に影響しました。一方で、在宅医療機器のレンタルは堅調に推移し、医薬品「ソマチュリン」、「ゼオマイン」、「オスタバロ」も順調に販売量を拡大しました。 売上収益は1,370億円と前期比77億円の減収(5.3%減)、事業利益は57億円と前期比125億円の減益(68.7%減)となりました。EBITDAは前期比107億円減の347億円となり、ROICは2%となりました。 医薬品分野では、長期収載品を中心とした2024年4月の薬価改定および後発品浸透の加速が収益に影響しました。一方で、「オスタバロ」、「ソマチュリン*1」、「ゼオマイン*2」が順調に販売量を拡大しました。*1 先端巨大症・下垂体性巨人症/甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍/膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。*2 上肢・下肢痙縮治療剤 ゼオマイン®/Xeomin®は、Merz Pharma GmbH &Co, KGaA(独)の登録商標です。 在宅医療機器分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において、検査数の増加に伴い新規処方件数の拡大が継続し、レンタル台数は順調に増加(前期末比約7%増)しました。一方、新機台の投入台数や消耗品の使用量の増加に伴うコスト負担が増大しました。また、在宅酸素療法(HOT)市場では、全体としてはレンタル台数が微減となりましたが、2023年7月に上市した携帯型酸素濃縮装置新機種「ハイサンソポータブルαⅢ」のレンタル台数が順調に増加しました。 ヘルスケア事業の事業利益の増減分析(前期比)は以下のとおりです。 その他: [売上収益 573億円(前期比 4.4%増)、事業利益 71億円(同 554.0%増)]売上収益は573億円と前期比24億円の増収(4.4%増)、事業利益は71億円と前期比60億円の増益(554.0%増)となりました。 電池部材・メンブレン分野は、販売好調により収益が伸長しました。 人工関節・吸収性骨接合材等の埋込医療機器分野では、帝人メディカルテクノロジー(株)が2024年6月に発売した心・血管修復パッチ「シンフォリウム」の使用が順調に拡大しています。 再生医療分野では、帝人リジェネット(株)の岩国ファクトリーが再生医療等製品の製造業許可を、柏の葉ファシリティーが特定細胞培養加工施設許可をそれぞれ取得するなど、CDMO*事業の立ち上げが順調に進捗しました。* Contract Development and Manufacturing Organization 製品の開発・製造を受託する機関 その他の事業利益の増減分析(前期比)は以下のとおりです。 b. 財政状態及びキャッシュ・フローの状況当連結会計年度の財政状態、キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 2)財政状態、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 (帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の投資があります。これらに必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債発行等により資金調達を行っているほか、複数の金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越枠を含む十分な借入枠を有しています。このように、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しており、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しています。また、帝人グループではグループ内余剰資金を活用するため、日米欧中の各拠点におけるキャッシュ・マネジメント・システムおよび日米欧間のグローバル・キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。資金調達にあたっては、D/Eレシオ0.9を目安に財務体質の健全性を維持しながら、資金需要の見通しや金融情勢に応じて最適な手段を選択しています。なお、資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については長期調達するとともに、過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。 2) 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2024年度は、2023年度から進める収益性改善の完遂による基礎収益力の回復に向けて、複合成形材料の北米事業における労働生産性の改善や価格改定効果の発現、アラミド事業における安定供給体制の確立やヘルスケア事業における固定費削減効果の前倒し発現、国内での「ネクストキャリア支援制度」(早期退職優遇制度)を含む固定費削減の実行等、一定の成果を上げました。一方、欧州や中国を中心としたグローバルでの景気減速による需要低迷や市場競争環境の激化影響を受けたアラミド事業や炭素繊維事業に加え、薬価改定や後発品の浸透加速の影響を受けたヘルスケア事業は基礎収益力を十分に回復することができず、その収益力改善が2025年度の新たな課題として残りました。2024年度のROEは6.7%、事業利益ROICは2.6%、事業利益は276億円となり、このような状況を背景とし、当社経営に対する市場評価の一つであるPBR(Price Book-value Ratio: 株価純資産倍率)が1倍割れの状況にあります。 また、各種指標の実績と目標は以下のとおりです。 第159期(2025年3月期)見通し(2026年3月期)目標(中期経営計画2024-2025)ROE(%)6.73≧6ROIC(%)2.63≧4事業利益(億円)276350500(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。・ROE:親会社の所有者に帰属する当期利益/期首・期末平均親会社の所有者に帰属する持分・ROIC:税引後事業利益/期首・期末平均投下資本※投下資本・・・資本+有利子負債・事業利益:営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な損益(持分法による投資損益のうち金融損益や減損損失等の非経常的な損益を含む)を除いて算出しています。 2025年度も引き続き、マテリアル事業では、アラミド事業や炭素繊維事業などで最適生産体制の整備を進め、状況の変化にレジリエントに対応していくとともに、構造改革を進めます。また、ヘルスケア事業では、在宅医療事業の基盤を活かした成長戦略の中で、2023年11月に導入した希少疾患製品(ホルモン治療薬 3剤)を、早期に市場投入できるよう着実に準備を進めます。2025年度は、ROEは3%、事業利益ROICは3%、事業利益は350億円を予想しており、今中期経営計画の目標である2025年度ROE6%以上を下回りますが、2026年度から始まる次期中期経営計画期間における成長、発展のための1年と位置付け、成長基盤整備および施策の完遂を目指します。 (3)並行開示情報連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりです。なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。 ① 要約連結貸借対照表(日本基準) (単位:百万円) 前連結会計年度(2024年3月31日)当連結会計年度(2025年3月31日)資産の部 流動資産623,504581,399固定資産 有形固定資産370,029279,727無形固定資産145,287114,401投資その他の資産112,20290,932固定資産合計627,517485,060資産合計1,251,0211,066,459 負債の部 流動負債424,682302,111固定負債344,406303,600負債合計769,088605,711 純資産の部 株主資本382,332393,576その他の包括利益累計額71,77859,847新株予約権474162非支配株主持分27,3487,164純資産合計481,933460,748負債純資産合計1,251,0211,066,459 ② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)要約連結損益計算書 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月 1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月 1日至 2025年3月31日)売上高1,032,7731,049,676売上原価757,000787,921売上総利益275,774261,755販売費及び一般管理費262,232240,280営業利益13,54221,475営業外収益21,6748,155営業外費用19,65217,256経常利益15,56412,375特別利益28,153124,987特別損失15,307117,365税金等調整前当期純利益28,41119,996法人税等合計14,79510,154当期純利益13,6159,842非支配株主に帰属する当期純利益3,0171,963親会社株主に帰属する当期純利益10,5997,879 要約連結包括利益計算書 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月 1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月 1日至 2025年3月31日)当期純利益13,6159,842その他の包括利益合計23,320△8,487包括利益36,9361,355(内訳) 親会社株主に係る包括利益34,011△601非支配株主に係る包括利益2,9241,956 ③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高376,61748,36568225,420451,084当期変動額5,71523,412△2071,92830,849当期末残高382,33271,77847427,348481,933 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高382,33271,77847427,348481,933当期変動額11,244△11,931△312△20,184△21,185当期末残高393,57659,8471627,164460,748 ④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準) (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月 1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月 1日至 2025年3月31日)営業活動によるキャッシュ・フロー69,45160,750投資活動によるキャッシュ・フロー△46,05252,517財務活動によるキャッシュ・フロー△43,159△125,366現金及び現金同等物に係る換算差額3,015△2,126現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△16,745△14,225現金及び現金同等物の期首残高140,307123,562現金及び現金同等物の期末残高123,562109,337 ⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(連結の範囲の変更) 増加3社(取得、設立等) 減少3社(株式譲渡等) (持分法適用の範囲の変更) 増加1社(取得) 減少3社(株式譲渡等) (会計方針の変更) 該当事項はありません。 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(連結の範囲の変更) 減少4社(株式譲渡、清算等) (持分法適用の範囲の変更) 増加6社(取得、設立等) 減少12社(株式譲渡、清算等) (会計方針の変更) 該当事項はありません。 (4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記「40.初度適用」」に記載のとおりです。 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(非継続事業への振替) 日本基準では、継続事業・非継続事業の区分がないため、IT事業に関連する損益をその機能別に区分していますが、IFRSにおいては、IT事業に関連する損益106,058百万円を「非継続事業からの当期利益」に区分し、表示しています。 (費用に関する表示) 日本基準では、固定資産除売却損、減損損失等の非経常的に発生する費用・損失を特別損失等に含めていますが、IFRSにおいては、「売上原価」「販売費及び一般管理費」として表示しています。この影響により、IFRSでは、「売上原価」「販売費及び一般管理費」が合計で94,802百万円増加しています。 (のれんの償却) 日本基準では、のれんをその投資効果の及ぶ期間で償却していますが、IFRSにおいては、移行日以降の償却を停止しています。この影響により、IFRSでは、「販売費及び一般管理費」が1,617百万円減少しています。 (仕掛研究開発の資産化) 日本基準では、他社から仕掛中の研究開発投資を取得した際の支出を発生時に費用化しますが、IFRSにおいては、無形資産の定義を満たすものについては資産計上し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。この影響により、IFRSでは、「無形資産」が12,302百万円、「販売費及び一般管理費」が123百万円増加しています。 (資本性金融商品の売却) 日本基準では投資有価証券売却損益を特別損益等に含めていますが、IFRSにおいては資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、売却損益を純損益として認識していません。この影響により、日本基準と比較しIFRSでは、「税引前利益」が9,713百万円減少しています。 (非金融資産の減損) 日本基準では、固定資産の減損は、割引前将来キャッシュ・フローを用いた認識と回収可能価額を用いた測定の2段階となっています。IFRSにおいては、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産を除く非金融資産の減損については、回収可能価額を用いた測定の1段階のみで実施します。 そのため、IFRSでは日本基準よりも、早期に減損損失を認識しています。IFRSでは移行日及び前連結会計年度に減損損失を計上しており、当連結会計年度の減損損失が減少した結果、「売上原価」「販売費及び一般管理費」が合計で42,016百万円減少しています。また、IFRSでは当連結会計年度に減損損失の計上した影響により、「販売費及び一般管理費」が28,000百万円増加しています。

事業リスク

  • 大規模自然災害のリスク
    首都圏直下型地震や南海トラフ地震、富士山噴火など、日本国内での大規模自然災害が発生した場合、主要事業所が被災し、製造や供給が停止する可能性があります。これにより、顧客への製品供給が滞り、売上減少や事業継続に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
  • 情報セキュリティリスク
    サイバー攻撃による重要情報の流出やシステムダウンは、業務停止や顧客からの信頼失墜、損害賠償請求につながる可能性があります。特にDX推進に伴い、情報システムへの依存度が高まる中で、このリスクは増大しています。
  • サプライチェーン寸断リスク
    地政学的な問題や経済安全保障上の理由により、主要原材料の供給が停止する可能性があります。これにより、製品の製造が困難になり、生産計画の遅延やコスト増加、ひいては顧客喪失につながる恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,841 文字
3【事業等のリスク】(1) トータル・リスクマネジメント(TRM)の基本原則 リスクマネジメントは、コンプライアンスとともに、内部統制を支える要と位置づけ、帝人グループの経営全般をカバーする総合的な体制としてトータル・リスクマネジメント(TRM)体制を構築しています。当社は、その株主価値を高め、さらに株主を始めとするステークホルダーが満足できる事業活動を継続する使命があり、その実現を脅かすあらゆるリスク(不確実性)に対処する必要があるとの認識のもと、グループ全体が晒されるかかるリスクを統合的かつ効率的に把握・評価・管理し、グループ経営に活かすための組織的・体系的アプローチを行うこととしています。 当社取締役会は、帝人グループ全体のリスクマネジメントを監督し、経営戦略・経営計画策定、戦略的なアクション、個別投資プロジェクトの決定等に伴う「経営戦略リスク」と、会社に悪影響をもたらす様々な有害事象である「業務運営リスク」のアセスメントを、意思決定を行うに際しての重要な判断材料として位置付けています。また、当社は、グループ会社とその役員に対し、上記の原則を充分理解し、会社活動を脅かすあらゆるリスクに対処するよう求めています。 上記の基本原則に則り、TRM推進のため、経営戦略リスクと業務運営リスクについて、以下の体制を整備しています。[経営戦略リスク]CEOが議長を務め、業務執行に関する重要事項を審議する「グループ経営戦略会議」において、取り組みの推進を行います。当面の具体的なリスクとして、米国大統領交代に伴う通商政策の影響、欧州の炭素繊維規制のほかPFAS規制の動向など、個々の案件に関連付けた分析と議論を行っています。また、同意なき買収、個別事業ダイベストメントのグループ全体への影響、AI等のテクノロジーの進化による業界構造の変化、国際情勢・秩序の流動化によるグローバルな経済枠組みの変化なども念頭におき、経営戦略上のリスクに適切に対処していきます。[業務運営リスク]人事・総務/サステナビリティ管掌が担当するものとし、CEOの下に設置する「リスクマネジメント・コミティー」において、業務運営リスクマネジメントに関する方針の検討、この方針に基づく取り組みの推進・進捗管理を行います。リスクマネジメント・コミティーの委員長はCEOとし、その他の委員は、人事・総務/サステナビリティ管掌及びCEOが指名した者とします。業務運営リスクの詳細については、下記「(2)2025年度TRM基本計画」をご参照ください。  なお、以下の文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において帝人グループが判断したものです。当社グループは、下記リスクのほか、本有価証券報告書中の他の箇所に記載されているリスクに直面しておりますが、これらのリスクの影響により、実際の業績が、将来見通しに基づく記述が想定しているものとは異なってくる可能性があります。 (2) 2025年度TRM基本計画 2025年度においては、取締役会の審議を経て、下記のとおり対応方針を設定しています。■リスクマネジメント・コミティーは「発現すると経営への影響が大きい」業務運営リスクに対応する。■各リスクの対策については、リスクマネジメントオーナー(担当役員)、リスクマネジメントオーナーをサポートする組織・会議体を明確化して、実効性の高い運用に取り組む。■グループ重大リスクの中でもグループ最重要課題とする重大リスクAを特定して優先的な対策対象とする。  2025年度は、上記方針に基づき、リスク領域を9領域(大規模自然災害、情報、地政学(経済安全保障)、品質、コンプライアンス、経営管理(人財)、安全、環境、社会)に整理し、各領域のリスクについて、①影響度、②発生確率、③発生時期から評価を行い、次の表の主要なリスクから重大リスクを特定し、リスクマネジメントオーナー(担当役員)を任命して、その責任と範囲を明確化したうえで、リスクの管理に取り組んでいます。リスクマネジメントの実効性を高めるため、重大リスクの中でも特に重点管理する重大リスクAを絞り込んでいます。 リスク領域主要リスクリスク内容対応方針影響度発生確率発生時期評価※大規模自然災害首都圏直下型地震都内で最大規模の被害が想定される「都心南部直下地震」の発生経営中枢機能BCPを中心とした計画の見直し及び訓練実施大中短~長期A南海トラフ地震M9クラスの地震発生により中四国、関西エリアにある事業所等が被災帝人グループの被災想定を最新化、各所BCP対策の確認・見直し検討大低短~長期B富士山噴火三島事業所に溶岩流が到達し全壊三島事業所全壊のBCPを事業で検討大低中~長期C情報情報セキュリティサイバー攻撃による重要情報流出。システムダウンによる業務停止グループ全体のセキュリティレベル把握・是正の促進支援大高短期ADX/AIDXを推進する人財がグループ内で枯渇し、グループ全体の競争力低下・情報系人財の教育プログラムの整備・グループ内DX人財育成プログラムの継続的提供中中中期C地政学(経済安全保障)サプライチェーン寸断サプライチェーンの寸断による主要原材料の供給停止事業と連携し複数サプライヤーの確保等の対策を検討・実行大高短期A技術情報流出管理の脆弱部分が狙われ重要技術情報等の流出が発生管理状態の把握、事業所の管理強化検討中高短期B為替激変・エネルギーコスト高騰軍事衝突、経済的対立等によりエネルギーコストが高騰事業損益管理の中での対応継続中中短~中期C品質重大品質不正・偽装製造・検査プロセスにおける法令非準拠等の発生コーポレートによる品質コンプライアンス監査及び是正対応等中高短期Bコンプライアンス重大不祥事初動対応遅れ等によりマスコミ報道加熱、レピュテーション低下事案発生時の即応体制を整備中高短期B経営管理(人財)人財流出・採用人財流出や採用困難状態の持続による経営基盤の弱体化・労働環境の改善推進(ジョブ型・キャリア自律支援)・主要会社の離職率水準の定期的確認中中中~長期C安全火災・爆発事業所での火災・爆発の発生により、製造や供給停止が長期化し、顧客喪失や訴訟が発生漏洩・火災など重大な防災事故の事前防止のための各所の対応検証・診断と防災マネジメント見直し中中短期C環境気候変動(移行リスク)環境規制や情報開示義務への対応、顧客からのCO2削減要請への対応遅れにより、顧客喪失、投資家離れが発生グローバルの規制動向モニターの継続と、遅延ない対応小中中~長期C社会サプライチェーン人権規制強化への対応不備や人権侵害発覚により、レピュテーション低下、顧客喪失、訴訟、人財流出が発生外部リスクアセスメント(サーベイ)に基づくハイリスク事業の課題対応とモニタリング中低中期C※評価: A=重大リスクA B=重大リスクB C=その他リスク

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