研究開発活動(本文)
FY2025|5,912 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、無線・通信事業において、ソリューションを通じて人びとの安心・安全を提供し、社会に貢献する「無線通信トータルエンジニアリングカンパニー」を目指し、研究開発活動に取り組んでいます。マテリアル事業においては「Sustainable Smart Materials」を新コンセプトとして、従来の繊維・化学・摩擦材などの基盤技術を活かしつつ、脱炭素や電動化、通信、再生可能エネルギーなど成長分野に直結するエレクトロニクス向けの機能性素材へ軸足を移します。当連結会計年度の研究開発費は23,262百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信日本無線グループでは、コア技術であるセンシング、通信ネットワーク、データ分析にAIを融合し、DXやIoTに寄与すべく、各分野のソリューション技術に関する研究開発に注力してきました。船舶分野においては、船舶の自動運航に関する研究開発において、公益財団日本財団の無人運行船プロジェクトMEGURI2040に引き続き参画し、陸上から複数船舶を遠隔で航行支援する移動型FOC(Fleet Operating Center)の構築や、船舶側の自動運行システムを搭載し、社会実装に向けた実証実験に取り組みました。また、大型商船におけるパラメトリックロール発生リスクの可視化・回避を支援し、事故リスクの低減と運航効率の最大化を実現するアンチ・パラメトリック・ローリング・システム(APRS)を開発し、市場提供を開始しました。陸上においては、鉄道・建設機械等の安全性・効率性向上に寄与すべく、DXシステムおよびその共通基盤(プラットフォーム)の開発を進めています。防災・減災や社会の安全確保に関連する取組みとして、ドローンシミュレータ、気象レーダ、入川者検知システムや、災害時における通信インフラの確保等の研究開発を進めています。ドローンシミュレータでは、国家資格(一等無人航空機操縦士)取得と操縦スキル習得を支援するため、実機の風や慣性まで再現した高精度シミュレーションソフトウェアを開発しました。気象レーダでは、積乱雲の発達初期に気象レーダで観測できる「ゲリラ豪雨のタマゴ」の検出処理を開発しました。今後、長野県内の自治体にゲリラ豪雨警報予測システムを実験的に設置し、意見集約と評価を実施していきます。入川者検知システムでは、ドローン搭載用小型エッジPCに物体検知AIモデルを実装し、河川上空映像からリアルタイムに「人」を検知する機能を開発しました。災害時における通信インフラの確保では、重要インフラの維持管理を支援するため、多拠点を常時監視する設備間使用衛星通信システムを開発しました。さらに、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)委託の「Beyond 5Gにおける衛星-地上統合技術」の開発により、静止・低軌道衛星×5Gネットワークにおける柔軟な経路選択等を活用した実証実験に成功し、広域地震災害等における高機能通信手段として有効な成果を上げました。また、医療・ヘルスケア関連分野では、超音波センシング技術に関する研究開発を進めています。血管内超音波装置では、血管分岐部を効率的に検出する技術、血管内腔を検出する技術を開発しました。また、排尿ケアプローブや携帯型超音波診断プローブでは、用途特化型の画像処理技術を開発しました。 国際電気グループでは、コア技術である「センシング」「伝送」「AI解析」を活用して、各分野における現場で働く人を支援するための無線通信・映像ソリューションや、ソリューションを支える標準化されたプロダクトやソリューションを迅速提供するための共通プラットフォームに係る研究開発に注力してきました。鉄道分野においては、鉄道事業者を支える列車無線の高度化や、映像や3DセンサとAIを組み合わせた監視システムの高度化に重点を置いた研究開発を行い、ワンマン化に向けた運転支援の取組みを推進しています。また、防災・減災や社会の安全確保に資する取組みとして、災害に関わる情報を収集、一元管理して災害対応時の自治体職員の業務を支援する防災業務支援サービスの高度化や、生成AIを用いて映像解析や状況報告を行い、巡視業務を効率化するマルチモーダルAIの研究開発に取り組むとともに、複数のネットワーク監視カメラと組み合わせてAI画像認識を行う複数カメラ対応型AIエッジコントローラを開発し、重要施設等の広域エリアのセキュリティ向上に寄与する取組みを推進しています。 製造業のスマート化に向けては、現場データを収集・蓄積・分析して、現場管理者をDXで支援するSaaS型現場最適化ソリューションのラインナップ化に取り組み、製造現場の作業スペース管理を支援するスペーシングマネジメントを開発し、提供を開始しました。通信インフラのインフラシェアリング普及に向けては事業者共用向けのアンテナ分散型システムの新製品として設置場所の柔軟性を高める高出力子機を開発し、提供を開始しました。放送のDX化に向けては、新技術を搭載したFPU(映像伝送装置)の研究開発や放送カメラの撮影用途に応じたコンテンツ制作支援機能の開発に取り組みました。当セグメントに係る研究開発費は9,894百万円です。 (2)マイクロデバイスマイクロデバイス事業では、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。車載用途においては、車載カメラモジュールに最適なPMIC(Power Management Integrated Circuit 電源管理用集積回路)の量産を開始しました。車載カメラモジュールは多様な用途で活用され、搭載スペースの都合から小型・薄型化が強く求められています。本製品は4つのレギュレータを集約、スタンドアロンでのシーケンス設定とパワーグッド機能(リセットIC不要)を備えることで、周辺部品の削減と基板の省スペース化を実現します。産業用センサ向けには、一次電源に最適な昇圧用DCDCコンバータの量産を開始しました。一次電池で駆動するセンサは低消費電力が求められ、特にスリープ時の消費電流が課題となっています。さらに、データ通信時には転送エラーを防ぐためのノイズ低減も求められます。本製品は業界トップクラスの超低消費電流Iq=70nA(当社従来品比1/4に低減)を実現し、ノイズ低減のために「低リップルモード」を搭載しており、センサの長時間動作、安定動作に貢献します。本製品はこれらの技術が評価され、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「“超”モノづくり部品大賞」において「電気・電子部品賞」を受賞しました。海上やルーラルエリア(非都市圏)等、有線による通信インフラ構築が難しい地域・環境でニーズの高い衛星通信分野では、屋外設置送受信機の高周波化・高出力化を進め、高速化・大容量化といった社会の需要に対応しています。また、ウエアラブル機器やヒアラブル機器向けに、1セルリチウムイオン電池保護ICの量産を開始しました。昨今のリチウムイオン電池保護回路は電池セルの多様化やホストとの通信性からハイサイドにFETを配置した保護回路を採用する機器が増えつつあります。日清紡マイクロデバイスグループではこれらの市場のニーズに向け、ハイサイドFET駆動及び、従来構成向けのローサイドFET駆動の2タイプの保護ICをリリースします。さらに、マイクロ波・ミリ波センサでは引き続き水洗便座用センサユニットをより多くのラインアップや便座以外の用途に展開するための活動を継続しています。その他介護・見守りやセキュリティ・環境モニター用途など幅広い用途向けの開発も進めています。当セグメントに係る研究開発費は7,009百万円です。※2024年9月26日 日清紡マイクロデバイス㈱調べ (3)ブレーキブレーキ事業では、摩擦材に関する技術を極め、自動車の安全・快適・経済性・環境性能に貢献する製品・ソリューションを、グローバルに提供し続ける事を使命に開発に取り組んでいます。R&D機能では、重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEV化で静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動事象の撲滅、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性、④高温・高負荷時にも高い摩擦係数を維持する等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。 開発シーンでは、従来のモノづくりと評価を主軸としたPDCAサイクルに加え、CAEによる摩擦のシミュレーションや、分子シミュレーション、データマイニングを主体としたデータ駆動型研究開発を加えることにより、開発期間の短縮化、開発品の高性能化、省力化及び開発費の最小化=開発効率の最大化を目指しています。その実現を支えるため、RAGの構築、生成AIの活用、データプラットフォームを始めとした開発環境の整備に加え、デジタル人財育成を目指し教育プログラムを実行しています。加えて、2050年にCO2排出量ゼロに向けて独自の目標を掲げ、材質および製造工程の研究開発への取り組みも実行しています。また、当社グループ内のコラボレーションにより車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関するマーケティングと研究を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は3,611百万円です。 (4)精密機器精密機器事業では、新製品開発と上市の加速を重点取組みテーマと位置づけ開発活動を行っています。射出成形技術とエレクトロニクス技術をベースとした配線機能一体型成形品(IM-E:In Mold -Electronics)の開発を進めています。また、医療分野では、優れた生体適合性等の高機能を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めます。家電・住設分野においては、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファン等の開発に取り組んでいます。さらに、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等持続可能な社会に向けた製品の開発を進めており、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は197百万円です。 (5)化学品化学品事業では、既存の研究開発に加え、2025年1月及び4月に当社で実施していた開発の一部を日清紡ケミカル㈱へ移管し、環境問題解決やGXに貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。燃料電池向けには、カーボンセパレータの量産化に向けた開発、ならびに同用途の触媒関連製品の研究開発を進めています。また、次世代エネルギーの輸送及び貯蔵施設等、インフラの構築に貢献する高性能ウレタン断熱材の開発を進めています。さらに、揮発性有機化合物や有害化学物質の使用削減に寄与する樹脂添加剤の開発を推進しています。プラスチックによる環境汚染の拡大防止に向けて、土壌及び海洋環境で生分解性プラスチックの分解スピードを促進・制御する添加剤の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は858百万円です。 (6)繊維繊維事業では、「環境」と「健康」への貢献を重点テーマに掲げ、グループ内外の幅広いパートナーと連携しながら研究開発を進めています。当連結会計年度は、ノーアイロンシャツで知られる「アポロコット」シリーズのラインアップを拡充するとともに、防汚、冷感、ノンホルマリンなど、環境に配慮した次世代型の高機能素材の開発に注力しました。さらに、防透、抗菌防臭、抗ウイルス、綿100%のストレッチ素材など、安心・安全と快適性の向上を両立する製品の拡充も進めています。また、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、廃棄されたシャツを再び繊維化して新たなシャツへ生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」を推進しています。当連結会計年度には、国内繊維メーカー5社とバイオ関連研究機関1社と共同で、NEDO「バイオものづくり革命推進事業」に採択されました。これまで培ってきた当社グループの技術や知見に加え、各社のノウハウを結集することで、廃棄衣料を繊維として再利用する“繊維 to 繊維”の資源循環システムの構築と、その社会実装に向けた研究開発・実証を進めています。当セグメントに係る研究開発費は701百万円です。 (7)全社共通日本無線グループおよび当社の研究組織を整理・統合し、研究開発体制を刷新することで、エレクトロニクス分野におけるビジネスイノベーションの創出と事業R&Dの推進を目的として、2025年4月1日付で「フューチャー・イノベーション本部(FI本部)」を発足しました。FI本部では、各事業の未来社会におけるポジションや強みを明確化するとともに、データドリブン型の事業開発を通じて、新たな事業創出に取り組んでいます。また、2025年11月には新宿に新たな拠点を開設し、マーケティングおよび戦略企画部門を移転しました。これにより、社外との連携を含むオープンイノベーションを加速させ、事業創出に向けた取り組みを一層推進しています。さらに、マテリアルセグメントの事業価値向上につながる研究開発テーマの創出を目的として、経営戦略室内に「ケミカル素材開発グループ」を新設しました。エレクトロニクス分野においても課題となっているエネルギー問題に対応し、大幅な特性向上が期待できる新規電子部品用材料や、市場ニーズに紐づいた半導体関連部材の開発など、エレクトロニクス事業の発展に寄与する新素材開発に取り組んでいます。なお、2025年3月まで実施していた研究開発項目については、以下のとおり整理しました。水素社会実現に向けた取り組みとして進めてきた燃料電池用触媒および、当社グループの超音波技術を活用した水素ガスセンサについては、事業化を加速するため事業会社へ移管しました。地球環境問題への対応として取り組んできた海洋生分解性プラスチックの開発についても、事業会社に移管し、事業化を推進しています。一方、「完全閉鎖型植物工場」については、研究開発を終了するとともに、関連事業もすべて終了しました。全社共通に係る研究開発費は990百万円です。
FY2024|6,283 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は25,330百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信日本無線グループでは、コア技術であるセンシング、通信ネットワーク、データ分析にAI、DX、IoT等の技術を加え、各種ソリューション技術の研究開発に注力してきました。モビリティ分野に関しては、船舶の自動運航に関する研究開発において、公益財団法人日本財団の無人運航船プロジェクトMEGURI2040の第2ステージに引き続き参画し、災害時等の緊急事態にも場所を問わず継続して船舶の安全運航を支援することができるよう、車両を使った移動型FOC(Fleet Operating Center)の構築を進めています。さらにこの移動型FOCの利便性向上を目的に航海計画立案から入出港までのモニタリング、状況予測を考慮した運航支援機能等のアプリケーション開発に取り組んでいます。陸上においては自動運転やロボット化が進む建機・農機の安全機能向上を目指し、障害物の位置を正確に特定できるように3次元で分解能を高めたレーダの開発に取り組んでいます。また、遠隔通信技術では世界のどこでもつながるモビリティに向けて、LTE、5G、Wi-Fi、衛星等の多様な通信方式に対応する通信端末や小型アンテナを開発しています。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、入川者検知システム、気象レーダ、災害時における通信インフラの確保等の研究開発を進めています。入川者検知システムでは、ドローンで撮影した映像をAI解析して河川に居る人を検出することで、放流前の河川のパトロール業務を支援する機能を開発し実証実験を開始しました。気象レーダでは、世界初となる二偏波気象レーダを用いた南極昭和基地での観測のため、寒冷地に対応したXバンド気象レーダの開発を行いました。また、台風や線状降水帯による大規模気象災害の減災に向けてC帯二偏波フェーズドアレイ気象レーダを開発し、実験無線局を富山県に設置し、気象観測の実証実験を開始しました。災害時の通信路の確保に関しては、Ka帯の静止衛星可搬局向け平面アンテナを開発し、可搬且つ高速化した通信を提供できる点から災害の初期対応用として注目されています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、超音波センシング技術の高度化に関する研究開発を進めています。血管内超音波装置では、血管分岐部を効率的に検出する機能を実現して経皮的冠動脈形成術の時間を短縮する技術を開発しました。また、排尿ケアプローブや携帯型超音波診断プローブでは、診断部位を鮮明に描写する画像処理技術を開発しました。国際電気グループでは、コア技術である「センシング」「伝送」「AI解析」を活用して、各分野における現場で働く人を支援するための映像・無線ソリューションや、ソリューションを支える標準化されたプロダクトを提供するための研究開発に注力してきました。モビリティ分野に関しては、鉄道事業者を支える列車無線の高度化や、映像や3DセンサとAIを組み合わせた監視システムの高度化に重点を置いた研究開発を行いました。ネットワーク監視カメラと組み合わせてAI画像認識を行うAIエッジコントローラに、支援が必要な方や危険行為などを検知するアプリケーションを搭載したモデルを開発し、ワンマン化に向けた運転支援の取組みを推進しています。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、防災減災に向けて、災害に関わる情報を収集、一元管理して災害対応時の自治体職員の業務を支援する防災業務支援サービスや、バッテリーと無線伝送機能を搭載し電源やケーブルが浸水しても稼働可能な防災監視カメラを開発しました。製造業のスマート化に向けては、位置情報を活用して現場のリソース管理を行うSaaS型現場最適化ソリューションを開発しました。通信インフラの5G普及に向けては、キャリア5Gとローカル5G両方に対応したアンテナ共用機を開発し、シェアリング事業者向けに提供を開始しました。放送のDX化に向けては、新技術を搭載した双方向FPU(映像伝送装置)の研究開発やコンテンツ制作を効率化する放送カメラ向けのIPによる遠隔制作支援機能の開発に取組みました。当セグメントに係る研究開発費は10,113百万円です。 (2)マイクロデバイスマイクロデバイス事業では、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。モビリティ分野に関しては、沖電気工業㈱と共同し自動運転や高度運転支援システム(ADAS)機器の小型化に貢献する3次元集約技術の開発に成功しました。近年、AI、自動運転や高度運転支援システム(ADAS)において、センシング技術の進化が重要な役割を果たすと同時に、搭載されるアナログICも小型化、高性能化の要求が高まっています。これに対し、両社の技術を融合させ、アナログICの性能を維持したまま、積層により小型化を図る画期的な技術を開発しました。今後、両社は本技術による新たな付加価値をもつ製品開発を進め、パートナーリングやライセンシングも視野に2026年の量産化を目指します。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、業界トップレベル※のアイソレーションを実現した5G基地局に最適なSPDTスイッチの量産を開始しました。5G基地局には多くのアンテナがあり、それぞれが強い電波を送信します。電波の相互干渉を防ぐために送信アンプには、非常に高いアイソレーションを有するスイッチが必要です。本製品は長年蓄積したRFデバイス技術により、5Gで使用しているsub-6帯域で60dB以上の高アイソレーションを実現し、隣接する素子間の干渉を低減させる事が可能です。海上やルーラルエリア(非都市圏)等、有線による通信インフラ構築が難しい地域・環境でニーズの高い衛星通信分野では、屋外設置送受信機の高周波化・高出力化を進め、高速化・大容量化といった社会の需要に対応しています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、ハイエンドオーディオ機器に最適な「MUSES」シリーズのLDOレギュレータの量産を開始しました。本製品は高音質オーディオデバイス「MUSES」シリーズで初となるレギュレータ製品です。これまで「MUSES」シリーズは高音質オペアンプとオーディオ電子ボリュームをご提供しており、お客様から高い評価を得てきましたが、LDOレギュレータが加わることで、さらなる”真実の音”がご提供可能になります。また、マイクロ波・ミリ波センサでは引き続き水洗便座用センサユニットをより多くのラインアップや便座以外の用途に展開するための活動を継続しています。また危機管理型水位計向け60GHzセンサターミナルは、一部顧客向けに量産品供給がスタートしました。今後、他社への展開を進めていきます。その他介護・見守りやセキュリティ・環境モニター用途など幅広い用途向けの開発も進めています。当セグメントに係る研究開発費は8,174百万円です。※2024年9月26日 日清紡マイクロデバイス㈱調べ (3)ブレーキブレーキ事業では、モビリティ分野においてコスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。R&D機能では、重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEV化で静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動事象の撲滅、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。開発シーンでは、従来のモノづくりと評価を主軸としたPDCAサイクルに加え、CAEによる摩擦のシミュレーションや、分子シミュレーション、データマイニングを主体としたデータ駆動型研究開発を加えることにより、開発期間の短縮化、開発品の高性能化、省力化及び開発費の最小化=開発効率の最大化を目指しています。その実現を支えるためにDX専任部署を立ち上げ、データプラットフォームを始めとした開発環境の整備に加え、デジタル人財育成を目指し教育プログラムを実行しています。加えて、2050年にCO2排出量ゼロに向けて独自の目標を掲げ、材質および製造工程の研究開発への取り組みも実行しています。また、当社グループ内のコラボレーションにより車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関するマーケティングと研究を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は3,728百万円です。 (4)精密機器精密機器事業では、新製品開発と上市の加速を重点取組みテーマと位置づけ開発活動を行っています。モビリティ分野に関しては、射出成形技術、エレクトロニクス技術をベースとした配線機能一体型成形品(IM-E:In Mold -Electronics)の開発を加速していきます。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、医療分野において、優れた生体適合性等の高機能を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めます。家電・住設分野においては、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファン等の開発に取り組んでいます。なお、インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等持続可能な社会に向けた製品の開発を進めており、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は182百万円です。 (5)化学品化学品事業では、地球環境問題の解決に貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。モビリティ分野に関しては、燃料電池事業において、モビリティ用燃料電池に使用されるカーボンセパレータの新生産方法や性能向上を重点に活動しており、新生産方法での量産化に向け開発を進めています。機能化学品事業では、カーボンニュートラルへの貢献を目的とし、自動車塗装工程の低温化を実現する水性架橋剤の開発を進めています。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、断熱事業において、安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの実用化を進めています。カーボン事業および機能化学品事業では、次世代・先端半導体向けの製品・添加剤の開発を進めています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、機能化学品事業において、マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋環境で生分解性プラスチックの分解を促進する添加剤の開発を進めています。断熱事業では、次世代エネルギーである液化水素の輸送及び貯蔵施設向けの高性能断熱材の開発を進めています。2025年1月及び4月に、当社の新規事業開発本部で実施している開発の一部を日清紡ケミカル㈱へ移管し、近年の環境規制を背景とした市場拡大の潮流を捉えた早期製品化を実現するべく、機動的な体制の構築及び経営・意思決定のスピードアップを図ります。当セグメントに係る研究開発費は377百万円です。 (6)繊維繊維事業では、ライフ&ヘルスケア分野において、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、グループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。当連結会計年度はノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品を拡充し、環境配慮型の次世代商品として、防汚、冷感、ノンホルマリンなどの機能加工商品の開発にも注力しています。また、安心・安全を提供できる防透、抗菌防臭、抗ウイルス、綿100%のストレッチ生地などの健康快適商品の充実を図り、さらに、当社グループ内のマイクロデバイス事業と連携し、胎児見守り腹帯や騒音職場通信デバイスなどのスマートテキスタイルの開発も取り組んでいます。「サーキュラーエコノミー」の実現を目指した、廃棄シャツから再繊維化し新たなシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」については、当連結会計年度にNEDO※先導研究プログラムが完了し、綿から再生セルロース繊維をつくる基礎技術に目途が付きました。また、当連結会計年度に経産省の資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業において、綿・ポリエステルなど複合素材からセルロース成分の分離・抽出の基礎技術に関する研究開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は733百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発においては、各事業セグメントを超えた連携によるシナジーにより、地球環境問題・社会課題の解決に貢献する新たな事業の創出に取り組んでいます。・水素社会実現のための取組みレアメタルを使用しない燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、燃料電池活用のためのシステム開発に取組んでいます。これら取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。当社グループの持つ超音波技術を活用した水素ガスセンサの開発は、携帯型水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL」の試験販売に加え、定置型漏れ検知器や水素濃度測定器など顧客ニーズに合わせた製品開発を進めました。・地球環境問題への取組みマイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取組んでいます。本取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。また、開発した微粒子はプラスチック微粒子代替材料として、ユーザーでの評価が進んでいます。・安心・安全への取組み食の安心安全・安定供給に向けて、「完全閉鎖型植物工場」「環境センサネットワークによる制御」「画像AIとロボットによる省力化」など、プラントファクトリーのスマート化に取組んでいます。大容量化するデジタルコンテンツ情報をストレスなく送受信するための高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送する「ミリ波通信システム」や、センサ及び通信技術を活用した「見守り機器・システム」などの開発、更にはこれらシステムを活用した「データ活用ビジネス」といったサービスへの取組みを強化しています。なお、研究開発成果の早期製品化に向けて事業会社との連携を強化するとともに、研究開発テーマポートフォリオの見直しを行い、エレクトロニクス関連へのシフトを進めています。さらには、エレクトロニクス分野におけるビジネスイノベーションの創出と事業R&Dの推進を目的として、2025年4月1日付で「フューチャー・イノベーション本部」を発足させます。全社共通に係る研究開発費は2,019百万円です。※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
FY2023|4,901 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、“環境・エネルギー”を軸とし、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は27,301百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信無線・通信事業では、コア技術である無線技術、通信ネットワーク技術、センシング技術を基盤にAI、IoT、クラウド、ローカル5G等の技術を加え、各分野のソリューション技術の研究開発に注力してきました。モビリティ分野に関しては、船舶の自動運航及び陸上交通の安全に重点を置いた研究開発を行いました。船舶の自動運航に関しては、公益財団法人日本財団(以下、日本財団)が推進する無人運航船プロジェクトMEGURI2040の第2ステージに参加し、本格的な実用化に向けて船上システム・陸上システム・船陸間通信システムの開発に取り組んでいます。2023年10月には、船上システム単独機能で構成する自動運航システムの海上実証実験を既存RORO貨物船の営業航路となる日立港と釧路港間往復約1,600kmで実施し、営業運航の中で成功しました。陸上交通に関しては鉄道の安全運行に貢献する目的で、鉄道車両が屋内外の様々な環境で高精度な位置特定を実現するために、GNSS、ジャイロセンサ、レーダ速度計等を統合した測位アルゴリズムの研究開発を行いました。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、防災減災を目的に高精細に観測が可能な気象レーダ、汎用性とコストに優れた水河川監視システム、セキュリティの強化と高効率な運用が可能な公共業務向けKu帯衛星通信システム等を開発しました。社会の安全とスマート化に向けては、空港内の航空機の位置を高頻度で把握し且つコストに優れたADS-B受信システム、遠隔監視が可能なテレビ中継放送機等を開発しました。また、ローカル5Gの活用拡大として課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証に、首都高速道路株式会社を代表機関とするコンソーシアムメンバーとして参加し、線状エリアに対応する狭帯域アンテナの開発及びフィールド評価を行いました。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、超音波センシング技術の高度化を進めています。血管内超音波装置では更なる高速スキャン及び高速プルバックを実現して経皮的冠動脈形成術の時間を短縮する技術を開発しました。また、排尿ケアに特化したワイヤレスプローブ、内視鏡用超音波振動子の微細加工と次世代振動子の実用化に向けた研究開発にも取り組んできました。当セグメントに係る研究開発費は6,354百万円です。 (2)マイクロデバイスマイクロデバイス事業では、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。モビリティ分野に関しては、車両の状況に応じて省電力モードで動作する同期整流型スイッチングコントローラと、機器の状態を幅広い温度範囲で高精度かつ低消費でモニターするボルテージトラッカーの量産を開始しました。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、様々な用途への搭載が進む小型モータ制御向けに、幅広い駆動電圧に対応し使いやすい三相DCブラシレスモータコントロールICの量産を開始しました。また、リアルタイムでの超音波モニタリングによって、生産設備の故障予兆検知を簡便に可能とする防水接触型アコースティックセンサーの量産を開始しました。これにより保全コスト削減や稼働停止回避に貢献します。海上やルーラルエリア(非都市圏)等、有線による通信インフラ構築が難しい地域・環境でニーズの高い衛星通信分野では、屋外設置送受信機の高周波化・高出力化を進め、高速化•大容量化といった社会の需要に対応しています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、高音質を追求したデバイスのブランドである“MUSES(ミューズ)“の高音質化技術をベースに、性能とコストのバランスを最適化した高音質2回路入りオーディオ用オペアンプの量産を開始しました。また、マイクロ波・ミリ波センサでは引き続き水洗便座用センサユニットをより多くのラインアップや便座以外の用途に展開するための活動を継続しています。総務省のSCOPE案件に認定された、システム開発企業・大学との3者協業による危機管理型水位計プロジェクトは、2024年の製品化に向けて河川でのフィールドテストを実施しています。その他介護•見守りやセキュリティ・環境モニタ用途など幅広い用途向けの開発も進めています。当セグメントに係る研究開発費は9,347百万円です。 (3)ブレーキブレーキ事業では、モビリティ分野においてコスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。R&D機能では、重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEV化で静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動事象の撲滅、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。開発シーンでは、従来のモノづくりと評価を主軸としたPDCAサイクルに加え、CAEによる摩擦のシミュレーションと、データマイニングを主体としたデータ駆動型研究開発を加えることにより、開発期間の短縮化、開発品の高性能化、省力化及び開発費の最小化=開発効率の最大化を目指しています。その実現を支えるためにデータサイエンティストを頂点とするデジタル人財の育成も重視し教育プログラムを実行しています。加えて、2050年にCO2排出量ゼロに向けて独自の目標を掲げ、材質および製造工程の研究開発への取り組みも開始しています。また、当社グループ内のコラボレーションにより車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関するマーケティングと研究を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は8,447百万円です。 (4)精密機器精密機器事業では、新製品開発と上市の加速を重点取組みテーマと位置づけ開発活動を行っています。モビリティ分野に関しては、射出成形技術、エレクトロニクス技術をベースにIMPC®(In-Mold Printed Circuit:立体配線成形技術)を合わせた配線機能一体型成形品の開発や、自動運転などの実現に貢献するセンサ関連の新製品開発を加速していきます。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、医療分野において、優れた生体適合性等の高機能を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めます。家電・住設分野においては、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファンや高気密・高断熱窓枠等の開発に取り組んでいます。なお、インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等持続可能な社会に向けた製品の開発を進めており、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は144百万円です。 (5)化学品化学品事業では、地球環境問題の解決に貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。モビリティ分野に関しては、燃料電池事業において、モビリティ用燃料電池に使用されるカーボンセパレータの新生産方法や性能向上を重点に活動しており、新生産方法での量産化に向け開発を進めています。機能化学品事業では、カーボンニュートラルへの貢献を目的とし、自動車塗装工程の低温化を実現する水性架橋剤の開発を進めています。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、断熱事業において、鉄道軌道用防振材の開発のほか、安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの実用化を進めています。カーボン事業および機能化学品事業では、次世代・先端半導体向けの製品・添加剤の開発を進めています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、機能化学品事業において、マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋環境で生分解性プラスチックの分解を促進する添加剤の開発を進めています。断熱事業では、次世代エネルギーである液化水素の輸送及び貯蔵施設向けの高性能断熱材の開発、きれいな水を守るための高性能水処理担体の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は354百万円です。 (6)繊維繊維事業では、ライフ&ヘルスケア分野において、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、グループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。当連結会計年度はノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品を拡充し、環境配慮型の次世代商品として、防汚、冷感、ノンホルマリンなどの機能加工商品の開発にも注力しています。また、安心・安全を提供できる防透、抗菌防臭、抗ウイルス、綿100%のストレッチ生地などの健康快適商品の充実を図り、さらに、当社グループ内のマイクロデバイス事業と連携し、胎児見守り腹帯や騒音職場通信デバイスなどのスマートテキスタイルの開発も取り組んでいます。「サーキュラーエコノミー」の実現を目指した、廃棄シャツから再繊維化し新たなシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」については、当連結会計年度にNEDO※先導研究プログラムにおいて信州大学と共同で基礎技術の確立に向けた研究開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は694百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発においては、各事業セグメントを超えた連携によるシナジーにより、環境・エネルギーカンパニーとして地球環境問題・社会課題の解決に貢献する新たな事業の創出に取り組んでいます。・水素社会実現のための取組みレアメタルを使用しない燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、燃料電池活用のためのシステム開発に取組んでいます。これら取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。当社グループの持つ超音波技術を活用した水素ガスセンサの開発は、携帯型水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL®」の試験販売に加え、定置型漏れ検知器や水素濃度測定器など顧客ニーズに合わせた製品開発を進めました。・地球環境問題への取組みマイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取組んでいます。本取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。また、開発した微粒子はプラスチック微粒子代替材料として、ユーザーでの評価が進んでいます。・安心・安全への取組み食の安心安全・安定供給に向けて、「完全閉鎖型植物工場」「環境センサネットワークによる制御」「画像AIとロボットによる省力化」など、プラントファクトリーのスマート化に取組んでいます。大容量化するデジタルコンテンツ情報をストレスなく送受信するための高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送する「ミリ波通信システム」や、センサ及び通信技術を活用した「見守り機器・システム」などの開発、更にはこれらシステムを活用した「データ活用ビジネス」といったサービスへの取組みを強化しています。全社共通に係る研究開発費は1,958百万円です。※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
FY2022|5,107 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、“環境・エネルギー”を軸とし、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は25,864百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信無線・通信事業では、遠隔操船、自律航行、交通の運航管理等のモビリティの高度化に貢献すること、自然災害に対する防災減災、インフラストラクチャー管理の効率化等の社会の安全と社会基盤の高度化に貢献すること及びライフ&ヘルスケアの高度化に貢献することを目的にAI、IoT、クラウド等を用いた予測、分析、情報サービスに関する技術及びローカル5Gを使用した各種ソリューション技術を中心とした研究開発に注力してきました。モビリティ分野に関しては、船舶の衝突を回避するための避航ルート生成技術の研究開発を進めています。他の船舶の衝突リスクを事前に知らせる衝突危険領域表示する機能(Safety Zone Viewer)を船舶レーダのオプションとして提供を開始しました。海上情報サービスについてはJ-Marine Cloudが革新的な取り組みとして日本海事協会の「イノベーションエンドースメント」認証を取得しました。今後もサービス内容を充実し運航の安全と効率化に貢献していきます。さらに陸上においては工事現場、農場、倉庫等で使用する作業車両の周囲をミリ波レーダとカメラからの情報からAIで判別することで監視する装置の開発を完了し提供を開始しました。この装置は小型で低消費電力ながら高速信号処理が可能になっています。航空においてはヘリコプターに搭載するテレビ画像伝送用の通信機器を開発しました。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、道路の維持管理の効率化、通信設備のリモート故障診断と故障予測、通信システムの高度化等のインフラストラクチャー関連、及び防災減災、防犯等のセーフティー関連に対するソリューションをAI、センシング、通信等の技術を使用して研究開発を行っています。例えば路面の劣化状況を走行しながらカメラ映像をAIで自動診断する技術、山間部に設置されたテレビ送信機の運用状態や故障情報をセンサーからクラウド経由で把握するシステム、インターフェースの多様化と保守運用性が向上したマイクロ波帯の新型公共業務用多重無線装置、河川の映像から水位と危険状態をAIで判定する技術、水防災向け各種情報を安価かつ低消費電力で伝送できるLPWA(Low Power Wide Area)対応通信機等を開発しました。ローカル5G関係では、有効電波領域が高速道路に沿った範囲に限定する通信サービスシステムを首都高速道路株式会社と共同で開発を行っています。また、スタンドアロン(SA)構成のローカル5Gの無線局を自社の事業所に設置し利用技術とアプリケーションの研究と開発を進めています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、介護者の負担軽減を目的とした要介護者見守りシステムの開発を完了し提供を開始しました。また、ポータブル超音波診断装置においては画質の鮮鋭化と尿量自動計測等の技術開発を進め、非接触バイタルセンシングでは患者や医療スタッフの負荷を軽減するために技術の高度化を進めています。当セグメントに係る研究開発費は6,457百万円です。 (2)マイクロデバイスマイクロデバイス事業では、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。モビリティ分野に関しては、先進運転支援システム(ADAS)カメラ用パワーマネージメントICや、高精度測位システムを高感度に実現するGNSS(衛星測位システム)、マルチバンド対応RFフロンドエンドモジュール(FEM)などの量産を開始しました。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、各種センサと信号処理を含んだカスタムセンサモジュール製品の開発を進めています。2022年は感染症対策や衛生面の向上に貢献可能な、ボタンをタッチレス化する光学式反射型センサ「Optton™」シリーズの量産を開始しました。海上やルーラルエリア(非都市圏)等、有線による通信インフラ構築が難しい地域・環境でニーズの高い衛星通信分野では、屋外設置送受信機の高周波化・高出力化を進め、高速化・大容量化といった社会の需要に対応しています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、オーディオファンに"真実の音"を提供することを目的としたオーディオ専用デバイス「MUSES」シリーズにおいて、オペアンプMUSES05の一般販売を開始し、シリーズ初となる高音質電源ICの開発も進めています。また、マイクロ波・ミリ波センサでは水洗便座用センサユニットの新製品の量産を開始しました。更に介護・見守りやセキュリティ・環境モニタ用途など幅広い用途向けの開発も進めています。当セグメントに係る研究開発費は8,302百万円です。 (3)ブレーキブレーキ事業では、モビリティ分野においてコスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。R&D機能では、社会環境の変化とその要請にスピード感のある対応の実行を目的に、より効率的な運営と的確で有効なマネジメントを構想し、組織を適合開発部、ソリューション開発部、サステナブル開発部の3部体制に再編しました。重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEV化で静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動事象の撲滅、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。開発シーンでは、シミュレーションやデジタル化の更なる進化と、AIを活用したデータ駆動型研究開発という新たなPDCAサイクルを開発に取り入れる事によって、更なる製品の性能向上や効率化を図っています。その実現を支えるためにデータサイエンティストを頂点とするデジタル人財の育成も重視し教育プログラムをスタートしました。加えて、2050年にCO2排出量ゼロに向けて独自の目標を掲げ、材質および製造工程の研究開発への取り組みも開始しています。また、当社グループ内のコラボレーションにより車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関する研究を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は8,163百万円です。 (4)精密機器精密機器事業では、新製品開発と上市の加速を重点取組みテーマと位置づけ開発活動を行っています。モビリティ分野に関しては、射出成形技術、エレクトロニクス技術をベースにIMPC®(In-Mold Printed Circuit:立体配線成形技術)を合わせた配線機能一体型成形品の開発や、自動運転などの実現に貢献するセンサ関連の新製品開発を加速していきます。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、医療分野において、優れた生体適合性等の高機能を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めます。家電・住設分野においては、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファンや高気密・高断熱窓枠等の開発に取り組んでいます。なお、インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等持続可能な社会に向けた製品の開発を進めており、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は122百万円です。 (5)化学品化学品事業では、地球環境問題の解決に貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。モビリティ分野に関しては、燃料電池事業において、モビリティ用燃料電池に使用されるカーボンセパレータの新生産方法や性能向上を重点に活動しており、新生産方法での量産化に向け開発を進めています。機能化学品事業では、カーボンニュートラルへの貢献を目的とし、自動車塗装工程の低温化を実現する水性架橋剤の開発を進めています。インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、断熱事業において、鉄道軌道用防振材の開発のほか、安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの実用化を進めています。カーボン事業および機能化学品事業では、次世代・先端半導体向けの製品・添加剤の開発を進めています。ライフ&ヘルスケア分野に関しては、機能化学品事業において、マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋環境で生分解性プラスチックの分解を促進する添加剤の開発を進めています。断熱事業では、次世代エネルギーである液化水素の輸送及び貯蔵施設向けの高性能断熱材の開発、きれいな水を守るための高性能水処理担体の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は379百万円です。 (6)繊維繊維事業では、ライフ&ヘルスケア分野において「サステナブルな繊維事業への転換」を目指し、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、グループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。当連結会計年度はノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品を拡充し、環境配慮型の次世代商品として、防汚、冷感、ノンホルマリンなどの機能加工商品の開発にも注力しています。また、安心・安全を提供できる防透、抗菌防臭、抗ウイルスなどの健康快適商品の充実を図り、さらに、当社グループ内のマイクロデバイス事業と連携し、胎児見守り腹帯や騒音職場通信デバイスなどのスマートテキスタイルの開発も取り組んでいます。「サーキュラーエコノミー」の実現を目指した、廃棄シャツから再繊維化し新たなシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」については、当連結会計年度にNEDO※先導研究プログラムに採択され、信州大学と共同で基礎技術の確立に向けた研究開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は679百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発においては、各事業セグメントを超えた連携によるシナジーにより、環境・エネルギーカンパニーとして地球環境問題・社会課題の解決に貢献する新たな事業の創出に取り組んでいます。・水素社会実現のための取組みレアメタルを使用しない燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、燃料電池活用のためのシステム開発に取組んでいます。これら取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。当社グループの持つ超音波技術を活用した水素ガスセンサの開発は、携帯型水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL®」の試験販売に加え、定置型漏れ検知器や水素濃度測定器など顧客ニーズに合わせた製品開発を進めています。・地球環境問題への取組みマイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取組んでいます。本取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。また、開発した微粒子はプラスチック微粒子代替材料として、ユーザーでの評価が進んでいます。・安心・安全への取組み食の安心安全・安定供給に向けて、「完全閉鎖型植物工場」「環境センサネットワークによる制御」「画像AIとロボットによる省力化」など、プラントファクトリーのスマート化に取組んでいます。大容量化するデジタルコンテンツ情報をストレスなく送受信するための高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送する「ミリ波通信システム」や、センサ及び通信技術を活用した「見守り機器・システム」などの開発、更にはこれらシステムを活用した「データ活用ビジネス」といったサービスへの取組みを強化しています。全社共通に係る研究開発費は1,759百万円です。※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
FY2021|5,224 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、“環境・エネルギー”を軸とし、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は23,719百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信無線・通信事業では、自然災害に対する防災減災、道路管理の効率化等社会の安全と社会基盤の高度化に貢献すること、遠隔操船、自律航行、交通の運航管理等のモビリティの高度化に貢献すること及びライフ&ヘルスケアの高度化へ貢献することを目的に、無線技術、通信技術、センシング技術の高度化及びAI、IoT等を用いたデジタル変革技術を中心とした研究開発に取り組んできました。社会の安全と社会基盤の高度化に関しては、県防災移動系回線制御装置の高機能化、衛星通信システムの高機能化と大容量化、防災用戸別受信機の高機能化、雨量の精度向上を目的とした次世代型気象レーダ、河川堤防の越水・破堤検知を目的としたAI搭載の河川管理システム等の社会の安全に関連する研究開発を行いました。社会基盤の高度化では道路の維持管理の効率化を目的として、路面の損傷度合をAIで自動判断するクラウド型路面劣化診断システム等の研究開発を行いました。また、スタンドアロン(SA)構成のローカル5Gの無線局を自社の事業所に設置し、地域の活性化、産業の効率化のソリューションに役立つアプリケーションとシステムの研究開発を進めています。モビリティの高度化に関しては、日本無線グループでは、公益財団法人日本財団(以下、日本財団)が実施する無人運航船プロジェクトMEGURI2040に参加し、船舶情報と陸上情報を基に遠隔での無人運航の達成を補完するフリート支援システムの開発を行いました。また、航海の安全を支援する船舶周囲の情報統合認識技術、船舶の衝突を回避するための避航ルート生成技術等の研究開発も進めています。空のモビリティとしては、10kgクラスの小型無人航空機(ドローン)に搭載可能な小型化、低消費電力化されたレーダを国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の助成により開発しました。また、NEDOの委託のもと、このレーダを搭載した小型無人航空機と有人ヘリコプタとの自律的な衝突回避試験を実運用速度域である相対速度200km/hで実施し、世界で初めて成功しました。これは小型無人航空機を社会実装するための目途立てとして、大きな前進となるものです。また、JRCモビリティ㈱では、工事現場や農場、倉庫内の作業車両等に搭載する周辺監視装置を開発しています。高性能なミリ波レーダとカメラの独自信号処理によるセンサフュージョンで、人物や構造物を精度高く識別することが可能です。当連結会計年度は、量産化を見据えた客先実証試験を進めました。また、AI処理による人物判定・動線追跡・衝突予測も視野に入れて開発を推進しています。ライフ&ヘルスケアの高度化に関しては、センサ及び無線技術を活用したポータブル超音波診断装置(コンベックス)や要介護者見守りシステムを開発しました。当セグメントに係る研究開発費は6,196百万円です。 (2)マイクロデバイス新日本無線グループは、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。主力の「電子デバイス製品」では、各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。車載市場向けでは自動運転(ADAS)や環境配慮に向けた製品開発を進めており、産業機器市場向けでは各種センサと信号処理を含んだモジュール製品の開発を進めています。通信デバイス市場向けでは、5G、Wi-Fi、IoTなどに対応した製品開発等に取り組み5G基地局向け製品やWiFi6E向け製品を市場投入しました。また、脱炭素社会に向けた次世代半導体パワーデバイス、ニューノーマル時代に向けたMEMSマイクセンサ、非接触スイッチを実現するタッチレスセンサの開発を完了し市場投入しました。「マイクロ波製品」では、マイクロ波帯からミリ波帯までの衛星通信、センサ、高出力電子管等幅広い分野で開発・製造を行っています。リコー電子デバイス㈱では、民生(IoT含む)、車載、産機市場に向けてCMOSアナログ技術をコアコンピタンスとした小型、低消費、高効率、高精度、高信頼性の製品開発を進めています。民生、産機市場向けには、複雑な配線引き回しが必要なく、置くだけ簡単・コンパクトな基板設計が可能となるインダクタ内蔵・降圧DC/DCモジュール「RM590シリーズ」を発売しました。また、アモルファスシリコン太陽電池や色素増感太陽電池などあらゆる1セル太陽電池からの蓄電を可能とした光発電素子に特化した蓄電用の昇圧DC/DCコンバータ「R1810シリーズ」を発売しました。モバイル機器向けには業界トップクラスの超高精度充電・放電過電流保護/超高精度過充電電圧保護を有する1セルリチウムイオン電池向け保護IC「R5617シリーズ」など多数の製品をリリースしました。車載市場向けには48Vマイルドハイブリッドシステムや商用車の24Vバッテリー、マイクロモビリティの動力源であるリチウムイオン電池など高電圧からマイコン・SoC・センサ等のデバイスの電源電圧に直接降圧が可能な「R1260シリーズ」を発売しました。また高耐圧且つ優れた電磁ノイズ耐性(EMS、ノイズイミュニティ)を有するレギュレータIC「R1526シリーズ」を発売しました。なお、2022年1月に新日本無線㈱とリコー電子デバイス㈱が経営統合し、日清紡マイクロデバイス㈱としてスタートして双方のリソースを活用しながら、研究開発面でのシナジー創出を図ります。当セグメントに係る研究開発費は7,404百万円です。 (3)ブレーキブレーキ事業では、コスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEVとなり静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動の抑制、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。更に、将来の社会・技術動向の調査より開発ロードマップを策定し、これからの材料づくりに必要となる各種要素技術の研究を進めています。また、シミュレーションやデータ駆動型研究開発という新たなPDCAサイクルを開発に取り入れる事によって、更なる製品の性能向上や効率化を図って行きます。加えて、日清紡グループ内のコラボレーションによりMEMSマイクロフォンを活用した新たな品質管理手法、車両の自動化を見据えた足廻りのセンシングに関する研究を推進しています。TMDグループでは、デジタル技術を活用した補修部品の新たな販売・サービスビジネスを開始し、展開を進めています。当セグメントに係る研究開発費は7,315百万円です。 (4)精密機器成形品事業では、空調機器用ファンや自動車部品をはじめ、住宅設備や医療向けなど広い分野に向けた製品の機能性や金型技術の向上に加え、持続可能な社会に向けたインフラ分野向け製品の開発など、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。この他、IMPC™(※)技術を保有するエレファンテック㈱と車載向け立体配線成形部品の共同開発についての基本合意に基づき、主に自動車向け配線一体型成形部品の量産に向けた新製品開発を進め、さらに家電・医療・住設分野等への用途展開を図ります。※IMPC™(In-Mold Printed Circuit:立体配線成形技術)精密部品事業では、次世代の自動車用EBSに用いられる新規バルブブロックの加工・検査技術の検討、設備導入、立上げを行っており、低コスト化を実現するための高精度加工、高品質の開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は117百万円です。 (5)化学品化学品事業では、地球環境問題の解決に貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。燃料電池事業では、燃料電池車の本格普及に向け、車載用燃料電池に使用されるカーボンセパレータの新規生産方法や性能向上を重点に活動しています。新規生産方法を用いたセパレータは、お客様よりご好評を頂いており、量産化に向け開発を進めています。機能化学品事業では、環境配慮型製品の普及や脱炭素社会に貢献することを目的とし、高反応で可使時間の長い水性架橋剤や加工時のガス発生を抑制した安全性の高い樹脂改質剤などの開発を進めています。また、近年注目されているマイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋環境で生分解性プラスチックの分解を促進する添加剤の開発に取り組んでいます。断熱事業では、地球環境に優しい低温暖化係数発泡剤への切替推進と安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの開発と実用化、きれいな水を守るための高性能水処理担体の開発を進めています。カーボン事業では、データセンター関連など持続的な成長が見込まれる半導体市場において、高性能な先端半導体の製造装置及び製造プロセスで要求される性能を満たすことを目的にカーボン製品の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は328百万円です。 (6)繊維繊維事業では、「サステナブルな繊維事業への転換」を目指し、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、その実現に向けてグループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。当連結会計年度は、ノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品構成を拡充し、新たにストレッチ性能を付与した新商品を開発・販売しました。さらに、環境配慮型次世代アポロコットに向けて、防汚加工、冷感加工、ノンホルマリン加工などの商品開発に取り組んでいます。また、安心・安全を提供できる抗菌防臭加工、防汚加工、抗ウイルス加工など健康快適商品群の充実を図りました。当社グループ内に無線・通信セグメント及びマイクロデバイスセグメントがある強みを生かしたスマートテキスタイルの開発を進めており、当連結会計年度は、当社グループ会社であるニッシントーア・岩尾㈱と連携を図り、ヒーターを組み込んだヒーターウェアを開発しました。さらに、「サーキュラーエコノミー」の実現に向けて、廃棄するシャツを回収・再繊維化して新たなシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」を、信州大学と共同でスタートしました。当セグメントに係る研究開発費は659百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発は、各事業セグメントを超えた連携によるシナジーにより、環境・エネルギーカンパニーとして地球環境問題・社会課題の解決に貢献する新たな事業の創出に取り組んでいます。・水素社会実現のための取組み レアメタルを使用しない燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、超音波技術を活用した水素ガスセンサの開発、更には燃料電池活用のためのシステム開発に取り組んでいます。 燃料電池用触媒はユーザーでの評価を進めながら、更なる改良を進めています。水素ガスセンサは水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL®」の試験販売に加え、水素が使われる機器における専用モジュールの開発を進めています。 ・地球環境問題への取組み マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取り組んでいます。特に、プラスチック微粒子代替材料として、天然高分子を用いた微粒子の開発を進め、ユーザーでの評価を進めながら更なる改良を進めています。 ・安心・安全への取組み 高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送するミリ波通信システムや、センサ及び通信技術を活用した見守り機器・システムなどの開発、更にはこれらシステムを活用したデータ活用ビジネスといったサービスへの取り組みを強化し、安心・安全な社会の実現を目指しています。全社共通に係る研究開発費は1,697百万円です。
FY2020|4,800 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、“環境・エネルギー”を軸とし、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は23,377百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信無線・通信事業では無線技術、ネットワーク技術およびセンサー技術の高度化を中心とした研究開発を行い、航海の安全・交通の安全・防災減災など社会の安全に貢献すること、自律航行・自動運転・遠隔制御などスマート社会に貢献すること、ライフ&ヘルスケア分野へ貢献することを目的に基礎技術、機器、サービスの開発に取り組んできました。社会の安全に関しては、高速衛星データ通信と船内ネットワークを活用した船員の遠隔健康管理システム、クラウドで集積した船舶の航行情報をベースとした小型船の安全システム、通信回線の故障にも対処する安全性を向上させた鉄道保守用の安全システム、急激且つ局地的な気象変化にも高速で観測可能な次世代2偏波フェーズドアレイ気象レーダ、防災向け可搬型衛星通信装置、AIによる雨量/水位予想が可能な防災システムなどに必要な技術を開発しました。スマート社会に関しては、航海の効率化に貢献する船陸間データ通信の高速化と安定化を目的に船上大型衛星通信装置を開発しました。交通の高度化では位置測定用の全球測位衛星システム(GNSS)信号受信機の高精度化、道路上の人と車の状況をレーダとカメラを融合して識別する技術、歩行作業員の安全及びLTE網でのリモートメンテナンスに対応した次期新幹線保守車両安全システム、GNSS信号が受信不可能なエリアでの測位を可能とする自律航法(デッドレコニング)機能を搭載したロケーション機器等を開発しました。また、遠隔制御と遠隔監視に必要な自営LTEの通信セキュリティ向上、ネットワークを通信断にさせない強靭化を図る為の技術を開発しました。この技術はローカル5Gにも反映して行きます。 ライフ&ヘルスケア分野に関しては、センサー技術を基盤とした小型で高画質のポータブル超音波診断装置を開発しました。当セグメントに係る研究開発費は5,714百万円です。 (2)マイクロデバイス新日本無線グループは、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。主力の「電子デバイス製品」を中心に、車載向けや産業機器市場向け、スマートフォン等の通信デバイス向け等、各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。また、スマートフォンやAIスピーカー向けにMEMSセンサーを用いたマイクモジュール向けの次世代製品、ウェアラブル端末や健康機器応用製品向け光センサー等の次世代製品の開発を進めています。さらに自社開発のデルタシグマ・アナログデジタルコンバーターをコアにしたセンサー市場向けのアナログフロントエンドICの量産を開始し、高精度化を目指して開発中です。「マイクロ波製品」では、マイクロ波帯からミリ波帯までの衛星通信、センサーおよび高出力電子管等幅広い分野で開発・製造を行っています。リコー電子デバイス㈱では、民生(IoT含む)、車載、産機市場に向けてCMOSアナログ技術をコアコンピタンスとした小型、低消費、高効率、高精度、高信頼性の製品開発を進めています。IoT市場に向けては超低消費+バッテリーモニター機能を搭載した昇降圧DC/DCコンバーター、エナジーハーベスト用降圧DC/DCコンバーターなどIoTエッジ端末で要求される自立発電・電池の長寿命化・高精度を実現し、お客様のIoTエッジ端末開発の容易化および工期短縮に貢献できる製品を開発しています。IoT機器の普及によりSDGsターゲット11.3:持続可能な都市化の推進、ターゲット11.b:災害リスク管理などへ貢献していきます。車載市場向けにはSDGsターゲット3.6:交通事故死亡者の減少を実現する機能安全システムの構築に貢献が可能なウィンドウタイプのボルテージディテクタ(リセットIC)やウォッチドッグタイマー機能を持ったシステム電源ICなどの研究開発を行っています。当期はSoC等のコア電圧の低電圧化への対応とマイコンを使ってIC自体の故障有無を診断できる機能を追加し、更なる安全性の向上を実現したR3514シリーズを量産化しました。また自動運転化に必要なCMOSイメージセンサーの性能を最大限に引き出す、機能安全対応、超低ノイズの複合電源IC RN5T5611の開発を進めています。本製品はISO26262の規格に準拠しシステムのASIL対応に貢献していきます。当セグメントに係る研究開発費は7,337百万円です。 (3)ブレーキブレーキ事業では、コスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①電動化し静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動の抑制、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。更に、将来の社会・技術動向の調査より開発ロードマップを策定し、これからの材料づくりに必要となる各種要素技術の研究を進めています。また、日清紡グループ内のコラボレーションによりセンシング技術を活用した新たな品質管理手法、車両の自動化を見据えるブレーキ廻りの状態計測方法の研究を推進しています。TMDグループでは、デジタル技術を活用した補修部品の新たな販売・サービスビジネスを開始し、展開を進めています。当セグメントに係る研究開発費は7,032百万円です。 (4)精密機器成形品事業では、空調機器用ファンや自動車部品をはじめ、住宅設備や医療向けなど広い分野に向けた製品の機能性や金型技術の向上に加え、持続可能な社会に向けたインフラ分野向け製品の開発など、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。この他、当連結会計年度にはIMPC™(※)技術を保有するエレファンテック㈱と車載向け立体配線成形部品の共同開発につき基本合意を締結しました。既にADAS搭載車向け配線一体型成形部品のプロトタイプは完成しており、今後は量産に向けた開発を進め、2023年の量産開始を目指すとともに、家電・医療・住設分野等への用途展開を図ります。※IMPC™(In-Mold Printed Circuit:立体配線成形技術)精密部品事業では、次世代の自動車用EBSに用いられる新規バルブブロックの加工・検査技術の検討、設備導入、立上げを行っており、低コスト化を実現するための高精度加工、高品質の開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は32百万円です。 (5)化学品機能化学品事業では、環境配慮型製品の普及や脱炭素社会に貢献することを目的とし、高反応で可使時間の長い水性架橋剤や加工時のガス発生を抑制した安全性の高い樹脂改質剤などの開発を進めています。また、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究である先導研究プログラムに採択され、「海洋環境を利用する新しい海洋生分解性プラスチックの創出」の研究開発に取り組んでいます。断熱事業では、基盤製品である発泡ウレタンの収益向上を目的とし、地球環境に優しい低温暖化係数発泡剤への切替推進と安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの開発と実用化、きれいな水を守るための高性能水処理担体の開発を進めています。土木用ウレタンは、日刊工業新聞社主催「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」において経済産業大臣賞を受賞しました。カーボン事業では、データセンター関連など持続的な成長が見込まれる半導体市場において、高性能な先端半導体の製造装置及び製造プロセスで要求される性能を満たすことを目的にカーボン製品の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費は159百万円です。 (6)繊維繊維事業では、「環境・エネルギーカンパニー」グループとして地球環境問題解決を具現化するために、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、その実現に向けてグループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。当連結会計年度は、ノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品構成を拡充し、新たにストレッチ性能を付与した新商品を開発しました。また、シャツおよびユニフォーム分野においてストレッチ素材「アスタリスク」の新たな展開を進めています。SDGsの達成に貢献できるような商品開発を加速し、抗菌防臭加工、防汚加工など健康快適商品群の充実を図っていきます。さらに、当社グループ内に無線・通信セグメント及びマイクロデバイスセグメントがある強みを生かし、作業員や妊婦の健康を見守る「見守りサービス」、騒音職場でのスムーズな意思疎通を可能とする「労働環境の改善」などに対応するスマートテキスタイルの開発を進め、製品からサービスまで一貫したソリューションの提供を目指しています。当連結会計年度は、当社グループ会社であるニッシントーア・岩尾㈱と連携を図り、スポーツアパレル向けにヒーターを組み込んだヒーターウェアを開発しました。当セグメントに係る研究開発費は599百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発においては、各事業を超えた連携とシナジーにより、環境・エネルギーカンパニーとして社会に貢献する新たな事業の創出と拡大に向けた取組みを行っており、特に地球環境問題・社会課題解決に向けた取組みを強化しています。・水素社会の普及実現のための取組み燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、超音波技術を活用した水素ガスセンサーの開発、更には燃料電池活用のためのシステム開発に取り組んでいます。燃料電池用触媒はユーザーでの評価が進んでおり、水素ガスセンサーは水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL®」の試験販売を開始しました。・地球環境問題への取組みマイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取り組んでいます。特に天然高分子をベースとした微粒子の開発及び用途開拓を進めています。・安心・安全への取組み高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送する非接触ゲートシステムやセンサー、通信技術を活用した見守り機器・システムなどの開発、更にはこれらシステムを活用したデータ活用ビジネスといったサービスへの取り組みを強化し、安心・安全な社会の実現を目指しています。・車載向け燃料電池セパレータ燃料電池車の本格普及に向け、車載向け燃料電池セパレータの開発に取り組んでいます。なお、2021年1月には、車載向け開発のさらなる加速を目的に、これまで新規事業開発本部内にあった研究開発部門を日清紡ケミカル㈱燃料電池事業部と統合し、車載向け量産工程の確立と、生産性・品質の向上を図っていきます。全社共通に係る研究開発費は2,502百万円です。
FY2019|3,968 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、“環境・エネルギー”を軸とし、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。当連結会計年度の研究開発費は22,400百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)無線・通信日本無線グループはマリンシステム、モビリティ、社会インフラ、医療機器などの分野において安全安心、環境、エネルギー及びスマート社会に貢献すべき中長期の視野に立ち、基礎研究から事業活動に直結した新製品の開発まで、総合的な研究開発活動を行っています。マリンシステム分野においては、自律航行に向けてレーダおよび船舶自動識別装置(AIS)情報に基づく衝突危険領域の算出と避航ルート策定の研究を進めました。操船の利便性向上に向けては電子海図情報表示装置(ECDIS)上で動作する国際VHF無線電話装置のリモート操作機能および航海ルートにおける衛星通信が遮断される位置の表示機能を開発しました。船舶運航の効率向上に向けては航海情報記録装置(VDR)および電子チャートテーブル(J-Marine NeCST)と陸上システムを通信で連携させ船舶運航状況を把握できる機能を開発しました。モビリティ分野においては、新型超音波センサーと超音波センサーを使用した障害物検知システム、ミリ波レーダと単眼カメラを活用した3D認識技術および1台で複数のシステムに対応可能な車載用マルチバンド無線機を開発しました。社会インフラの分野においては、安全安心な社会に向けてオールインワンの新型Cバンド気象レーダ、災害現場で迅速にネットワーク回線を構築できる無線アクセスシステム、IoTとAIを用いた水位予測システムなどの開発を行いました。スマート社会に向けては物流と工場の効率化を目的に屋内位置管理システムを開発しました。通信の高度化に向けてはLTE自営通信システムに関して、公共安全安心分野に特化した機能、災害時等に即時に開設可能な可搬型基地局のさらなる小型化および高度なサイバーセキュリティ機能を開発しました。医療機器分野では医療現場の利便性ニーズに対応するため、医用ワイヤレス製品を開発しました。当セグメントに係る研究開発費は5,209百万円です。 (2)マイクロデバイス新日本無線グループは電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。主力の「電子デバイス製品」を中心に、車載向けや産業機器市場向け、スマートフォン等の通信デバイス向け等、各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。またスマートフォンやAIスピーカー向けにMEMSセンサを用いたマイクモジュール向けの次世代製品、ウェアラブル端末や健康機器応用製品向け光センサ等の次世代製品の開発を進めています。さらに、自社開発のデルタシグマ・アナログデジタルコンバーターをコアにしたセンサ市場向けのアナログフロントエンドICの量産を開始し、高精度化を目指して開発中です。「マイクロ波製品」では衛星通信、センサおよび高出力電子管等幅広い分野で開発・製造を行っています。リコー電子デバイス㈱では、主力製品の電源IC において、CMOSアナログ技術をコアとして小型、低消費、高効率、高精度、高信頼性の製品開発を進めています。車載市場向けには、次世代パワートレイン機器向けの高耐圧・大電流・高品質なICに加えて、自動運転の機運の高まりにより要求が増えているADAS機器向けに機能安全への対応、センサーの精度を向上させる低ノイズ、対ノイズ性能を向上させたICの開発を進めています。IOT市場向けには、ウエアラブル機器、ワイヤレスセンサーネットワーク機器、産業機械のM2Mプラットフォームをターゲットに、小型・低消費電流・低ノイズのIC開発を進めています。リチウムイオン電池用保護ICでは、スマートフォン向けの高精度、補聴器向けの超小型の1セル保護IC、パワーツール、E-Bike等に向けた多セル保護ICとアナログフロントエンドIC、ノートPC、パワーツール等に向けたセカンドプロテクションICと多様な製品開発を進めています。Mixed-Signal ICでは、画像用ICや通信用ICで培ってきた独自技術を応用したアナログ・デジタル混載の製品開発を行っており、ヘッドアップディスプレイ機器向けのLaser Diode Driver(LDD) ICを量産しました。当セグメントに係る研究開発費は6,484百万円です。 (3)ブレーキ今期は①安全第一(SafetyFirst)の徹底 ②法令遵守と事業リスクへの確実な対応 ③品質保証の強化 ④コスト競争力のある差別化商品の提供 ⑤キャッシュフロー経営・利益率重視の経営 ⑥グローカル事業戦略の推進 ⑦技術力の強化 ⑧組織文化・風土改革を品質目標に掲げ、競争力ある製品・技術の開発に取り組んでいます。摩擦材の開発では、重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減した製品の開発、音・振動などのお客様ニーズへの対応等に重点をおいて活動しています。新規に開発された銅規制対応摩擦材は、お客様にご評価を頂き、数多くのプロジェクトの量産化を進めています。また、海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っています。さらに、将来の技術動向調査を進め、お客様や大学・公的機関・日清紡グループ各社と共同での研究も行い次世代技術の開発に努めています。当セグメントに係る研究開発費は7,730百万円です。 (4)精密機器プラスチック製品事業においては、空調機器用ファンや自動車部品をはじめ、住宅設備や医療向け製品など広い分野で成形・金型技術を活かした製品の研究開発に取り組んでいます。金型技術の向上や生産設備の改善、原材料の開発による品質向上や低コスト化を推進しつつ、環境に配慮した製品・技術開発を進めています。精密部品事業においては、次世代の自動車用EBSに用いられるバルブブロックの加工・検査技術について、従来品と同様の高精度加工、高品質を低コストで実現するための開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は82百万円です。 (5)化学品機能化学品事業では、環境配慮型製品の普及に役立つ架橋剤、改質剤の開発及び電子材料用添加剤の開発を進めています。また、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究である先導研究プログラムに採択され、当期より「海洋環境を利用する新しい海洋生分解性プラスチックの創出」の研究開発に取り組んでいます。断熱事業では、環境に優しい低温暖化係数断熱材の実用化、今後のエネルギー政策に大きくかかわるLNG等超低温分野の断熱技術の開発や、排水処理用微生物固定化担体、安全安心な住宅に寄与する不燃断熱材等の開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は157百万円です。 (6)繊維日清紡テキスタイルグループは「環境・健康社会への貢献」「超スマート社会への貢献」をキーワードに、グループ内外の研究開発機関と幅広く連携し、商品開発を進めています。「環境・健康社会への貢献」では、ノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズにネクタイ、ニットビジネスシャツを加えるなど関連商品を拡充するとともに、「次世代エコ漂白技術」「無水染色技術」等のSDGsに貢献する将来技術の探査を開始しています。「超スマート社会への貢献」では、当社グループ内に無線・通信セグメント及びマイクロデバイスセグメントがある強みを活かし、作業員や妊婦の健康を見守る「見守りサービス」、騒音職場でのスムーズな意思疎通を可能とする「労働環境の改善」などに対応するスマートテキスタイルの開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費は418百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発において横断的な取組みを行うことで、シナジー発揮に向けて保有技術の融合を推進しています。・カーボンアロイ触媒ポータブル型燃料電池(PEFC)への実用化に続き、フォークリフト向けなどの高出力PEFCスタックに向けた触媒開発を進めています。また、カーボンアロイ触媒に少量の白金を担持させたハイブリッド触媒を新たに開発しました。本触媒は、従来の白金触媒より大幅に耐久性に優れており、現在市場での評価が開始されています。今後も高性能化、希少資源の代替を推進し、本格的な水素社会の到来を加速させていきます。・車載向け燃料電池セパレータ燃料電池車の本格普及に向け、車載向け燃料電池セパレータの開発に、グループ全体で取り組んでいます。・ガスセンサ「携帯型ヘリウムガスリークディテクター」を開発、マーケティング活動を行っています。また、「携帯型水素ガスリークディテクター」並びに燃料電池車用水素ガスセンサの開発も推進しています。・高速大容量伝送システムミリ波帯の高速無線通信技術を開発しています。ゲートを通過するだけで動画の様な大容量のデータを瞬時に確実に伝送するシステムを目指しています。全社共通に係る研究開発費は2,317百万円です。
FY2018|3,099 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、社会的重要性が一層高まりつつある「環境・エネルギー」分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新規事業の創出に取り組んでいます。また、日本無線グループ各社が有するエレクトロニクス技術と、メカトロニクス、ケミカル、新規事業開発などの各部門が持つコア技術を融合させることで「環境・エネルギーカンパニー」グループとしてさらなる飛躍を目指します。当連結会計年度の研究開発費は22,836百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)エレクトロニクス日本無線グループではマリンシステム、高度道路交通システム(ITS)、防災システムなどの分野において安全・安心、環境・エネルギー及びスマート社会に貢献すべき中長期の視野に立った基礎研究から事業活動に直結した新製品の開発まで、総合的な研究開発活動を行っています。マリンシステム分野においては、船舶の安全運航と高効率運航を行うため、電子チャートテーブル(J-Marine NeCST)の高機能化を進める開発を行いました。また、遠隔操船、自動操船に関する技術の研究を進めました。高度道路交通システム(ITS)分野においては、交通の安全と高度化に貢献することをキーワードに、センチメートル級の位置測定が可能な高精度GNSSチップ(JG11)の開発、ミリ波広帯域レーダの開発、安全運転支援システム(DSSS)の開発を行いました。防災システム分野においては、導入コスト低減が期待できる新型の市町村向けデジタル防災行政無線システムの開発に加え、気象レーダ、テレメータ、ダム制御などの河川情報機器とのインターフェースを持つAIを活用した流出予測システムの開発を行いました。また、防災にも利用される航空機搭載円偏波合成開口レーダの開発を千葉大学と共同で行い、世界で初めて地形などの画像取得に成功しました。新日本無線グループは、エレクトロニクス業界にあって、電子デバイス製品やマイクロ波関連製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。その内容は、主力の「電子デバイス製品」を中心に、車載向けやスマートフォン等の通信デバイス向け等、各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。新規事業分野としては、MEMSセンサを用いたスマートフォンのマイクモジュール向けの次世代製品及び、ウェアラブル端末や健康機器応用製品向けに光センサの次世代製品の開発を進めています。また、自社開発のデルタシグマ・アナログデジタルコンバーターをコアにしたセンサ市場向けのアナログフロントエンドICの量産を開始しました。引き続き、高精度化を目指して開発を進めていきます。また、開発を進めていましたスーパージャンクションMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)も量産を開始しました。当セグメントに係る研究開発費は11,146百万円です。 (2)ブレーキ今期は①安全第一(Safety First)の徹底 ②法令遵守と事業リスクへの確実な対応 ③コスト競争力のある差別化商品の提供 ④KPIを通じたキャッシュフロー経営の加速 ⑤品質保証の強化 ⑥グローカル事業戦略の推進 ⑦人材育成、を品質目標に掲げ、競争力ある製品・技術の開発に取り組んでいます。摩擦材においては、重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発、音・振動などのお客様ニーズへの対応等に重点をおいて活動しています。また、海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っています。さらに、TMD社と共同で地域や機能ごとのニーズに応える製品の開発を進めていきます。当セグメントに係る研究開発費は9,596百万円です。 (3)精密機器プラスチック製品事業においては、空調機器用ファンや自動車部品をはじめ、広い分野で成形・金型技術を活かした製品の研究開発に取り組んでいます。金型技術の向上や生産設備の改善、原材料の開発による品質向上や低コスト化を推進しつつ、環境に配慮した製品・技術開発を進めます。システム機(メカトロニクス)事業においては、太陽電池関連分野では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した太陽熱・光ハイブリッド太陽電池モジュール技術及び太陽光発電モジュール寿命予測技術の普及に取り組んでいます。また各種専用機分野では、長年培った基礎・基盤技術を活かし様々な産業分野に貢献するとともに、機能の向上とコスト低減に向けた研究開発活動に継続的に取り組み、新分野への展開を進めます。当セグメントに係る研究開発費は165百万円です。 (4)化学品機能化学品部門では、環境関連商品の普及に役立つ添加剤、改質剤の開発及び電子材料の開発を進めています。燃料電池部門では、カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいます。断熱事業部門では、環境に優しい低温暖化係数発泡剤の実用化、今後のエネルギー政策に大きくかかわるLNG等超低温分野の断熱技術の開発や、排水処理用微生物固定化担体等の開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は224百万円です。 (5)繊維日清紡テキスタイルグループは「環境・健康社会への貢献」「超スマート社会への貢献」をキーワードに、シーズの探索と市場ニーズの把握の両面からグループ会社や内外の研究開発機関と幅広く連携し、商品開発を進めています。「環境・健康社会への貢献」においては、業界トップの形態安定性がある「アポロコット」はノーアイロンシャツに続き、ハンカチ、コットンビジネスパンツ、シーツなど、関連商品の拡充と販路を拡大させるとともに、さらに機能を高めた次世代アポロコットシャツの開発を目指します。また、環境負荷を低減し、人々の快適、健康に貢献できる商品の開発にも積極的に取り組んでいます。「超スマート社会への貢献」では、グループ内にエレクトロニクスセグメントがある強みを生かし「見守りサービス」「職場環境の改善」などに対応するスマートテキスタイルの開発を進め、製品からサービスまで一貫したソリューションを提供することで、社会のさまざまなニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられる超スマート社会の実現に貢献していきます。当セグメントに係る研究開発費は218百万円です。 (6)全社共通グループ内の研究開発において横断的な取組みを行うことで、シナジー発揮に向けて保有技術の融合を推進しています。・カーボンアロイ触媒30Wポータブル型燃料電池(PEFC)への実用化に続き、フォークリフト向けの開発を本格化しました。これにより、カーボンアロイ触媒は、高出力PEFCスタックへの採用に向け新たな開発ステージに入ります。今後も希少資源の代替を推進することで、本格的な水素社会の到来を加速させていきます。・車載向け燃料電池セパレータ燃料電池車の本格普及に向け、車載向け燃料電池セパレータの開発に、グループ全体で取組んでいます。・スマートファクトリーグループの技術を融合させたスマートファクトリーは完全密閉型植物工場としてイチゴの量産栽培を行い、エネルギーマネジメントシステムやセンサーネットワークシステムの実証実験に取組んでいます。全社共通に係る研究開発費は1,486百万円です。
FY2017|3,298 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、社会的重要性が一層高まりつつある「環境・エネルギー」分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注ぎ、新規事業の創出に取り組んでいます。また、日本無線グループ各社が有するエレクトロニクス技術と、メカトロニクス、ケミカル、新規事業開発などの各部門が持つコア技術を融合させることで「環境・エネルギーカンパニー」グループとしてさらなる飛躍を目指します。当連結会計年度の研究開発費は22,226百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1)エレクトロニクス日本無線グループではマリンシステム、通信機器、ソリューション・特機などの各事業セグメントにおいて中長期の視野に立った基礎研究から事業活動に直結した新製品の開発まで、総合的な研究開発活動を行っています。海上機器事業においては、中小型船市場拡大を目的に中型レーダーを開発しました。本レーダーは耐風速性能の向上、省電力化、探知処理性能の向上を実現しました。商船市場向けには船舶運航の最適化に寄与する目的で電子チャートテーブルを開発しました。本装置は紙海図の利便性である手書きメモ機能を電子化することで航海のICT化を推進し安全安心に貢献することが期待されます。通信機器事業においては、交通の安全と高度化に貢献することをキーワードに、交差点の安全に貢献するITS路側機、交通量を高精度で計測するレーダー方式トラフィックカウンターを開発しました。ソリューション・特機事業においては社会が必要する各種のインフラに高度な技術で対応できるよう研究開発を進めています。TV放送分野では受信ダイバーシティおよび無瞬断で予備機への切替えが可能な信頼性の高いマイクロ波中継装置を開発しました。気象レーダー分野では各機器をオールインワン化し、現地での設置を容易にしたCバンド2偏波レーダーを海外市場向けに開発しました。新日本無線グループは、エレクトロニクス業界にあって、電子デバイス製品やマイクロ波関連製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。 その内容は、主力の「電子デバイス製品」を中心に、車載向けやスマートフォン等の通信デバイス向け等、各種デバイスの実用化に向けた開発等に注力しています。 新規事業分野としては、MEMSセンサーを用いたスマートフォンのマイクモジュール向けの次世代品および、ウェアラブル端末や健康機器応用製品向けに光センサーの次世代製品開発を進めています。また、自社開発のデルタシグマ・アナログデジタルコンバーターをコアにしたセンサー市場向けのアナログフロントエンドICの量産を開始しました。引き続き、高精度化を目指して開発を進めていきます。また、開発を進めていたスーパージャンクションMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)も量産を開始しました。当セグメントに係る研究開発費は11,386百万円です。 (2)ブレーキ今期は①安全第一(Safety First)の徹底 ②法令遵守と事業リスクへの確実な対応 ③コスト競争力のある差別化商品の提供 ④KPIを通じたキャッシュフロー経営の加速 ⑤品質保証の強化 ⑥グローカル事業戦略の推進 ⑦人材育成、を品質目標に掲げ、競争力ある製品・技術の開発に取り組んでいます。摩擦材においては、重要保安部品としての高い信頼性の堅持、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発、音・振動などのお客様ニーズへの対応等に重点をおいて活動しています。また海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っています。さらにTMD FRICTION GROUP S.A.の買収によるシナジー効果の早期発揮を目指し、グローバルニーズに応える製品の開発を進めていきます。ブレーキアッセンブリー等においては、グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進してきました。併せて、軽量化製品の開発など環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力しています。また部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により低コストを追求し、競争力強化を図っています。当セグメントに係る研究開発費は8,762百万円です。 (3)精密機器プラスチック製品事業においては、空調機器用ファンや自動車部品をはじめ、広い分野で成形・金型技術を活かした製品の研究開発に取り組んでいます。金型技術の向上や生産設備の改善、原材料の開発による品質向上や低コスト化を推進しつつ、環境に配慮した製品・技術開発を進めます。システム機(メカトロニクス)事業においては、太陽電池関連分野では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同し温水機能を有したハイブリッド太陽電池の開発に加え、発電コスト低減のために発電劣化メカニズム及び太陽光発電モジュール寿命予測技術の確立に取り組んでいます。また各種専用機分野では、長年培った基礎・基盤技術を活かし様々な産業分野に貢献するとともに、機能の向上とコスト低減に向けた研究開発活動に継続的に取り組み、新分野への展開を進めます。当セグメントに係る研究開発費は213百万円です。 (4)化学品機能化学品部門では、環境関連商品の普及に役立つ添加剤、改質剤の開発及び電子材料の開発を進めています。燃料電池部門では、カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいます。断熱事業部門では、環境に優しい低温暖化係数発泡剤の実用化、今後のエネルギー政策に大きくかかわるLNG等超低温分野の断熱技術の開発や、排水処理用微生物固定化担体等の開発に取り組んでいます。当セグメントに係る研究開発費は341百万円です。 (5)繊維商品開発拠点である吉野川事業所を中心に、加工子会社である日清紡インドネシアにも開発スタッフを配置して連携を強化し、スピーディな開発を推進しています。国内のマザー機能を高め、技術やノウハウを国内外の生産拠点で展開し、他社との協業も含めたグローバルネットワークでの競争力強化を図っていきます。業界トップの形態安定性がある「アポロコット」は、ノーアイロンシャツに続き、ハンカチ、コットンビジネスパンツ、シーツ、カバーなどバリエーションを拡げ、皆様から高い評価をいただいています。薄地アポロコットシャツの開発を進め、「アポロコット」のシリーズ化による商品のさらなる拡充と販路の拡大を目指します。また、防しわ性を従来に比べ格段に向上させたCVC(チーフバリューコットン・綿50%以上)シャツ「スパーノ」、不織布では化粧雑貨メーカー向けに差別化原綿品、スパンデックス糸ではレッグ・インナーメーカー向けに熱融着技術を応用した新商品素材などを次々市場に投入するとともに、日本無線グループとの連携を更に強化し、スマートテキスタイルへの展開を急ぎ、超スマート社会・環境エネルギー社会へ貢献する次世代商品の開発を急いでいます。当セグメントに係る研究開発費は271百万円です。 (6)紙製品当セグメントに係る研究開発費は50百万円です。 (7)全社共通グループ内の研究開発において横断的な取組みを行うことで、シナジー発揮に向けて保有技術の融合を推進しています。 ・カーボンアロイ触媒 燃料電池用の白金触媒の代替としてカーボンアロイ触媒の研究開発を進めています。希少資源の代替を推進することで、本格的な水素社会の到来を加速させて行きます。 ・スマートファクトリー グループの技術を融合させたスマートファクトリーは完全密閉型植物工場としてイチゴの量産栽培を行い、エネルギーマネジメントシステムやセンサーネットワークシステムの実証実験に取組んでいます。全社共通に係る研究開発費は1,199百万円です。