事業等のリスク
J.フロント リテイリングは、既存事業における業界構造の変容を最重要リスクと認識しています。具体的には、ECの台頭や消費者の行動変化による競争激化、市場縮小、固定費増加などが収益を圧迫する可能性があります。また、労働力人口の減少や人財の流動性向上による人財獲得競争の激化も大きなリスクです。さらに、テクノロジー革新の加速や環境課題の重要性の高まりも、経営に大きな影響を与える要因として挙げられています。
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FY2026|10,774 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2026年5月26日)において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメントの考え方と体制・リスクマネジメント当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。そして、当社にとって重要度の高いリスクに対し、「リスクテイクし事業機会と捉えて推進していく戦略・施策」、「リスクを脅威と捉えてコントロールしていく戦略・施策」を検討し、リスクを戦略の起点と位置づけて対応を進めています。 ・リスクマネジメント体制当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、メンバーを当社執行役及び、主な事業会社の社長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。 なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支援・指導・モニタリングを行う。・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリスク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。 第2ラインによる支援とモニタリング、第3ラインによる独立した監査によって、第1ライン(業務執行部門)は、遅滞なく、また適正な手続きで、リスク対応を主体的に遂行していきます。 (2)リスク抽出とモニタリングのプロセス当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。 リスクの抽出については、外部・内部環境分析や、取締役、経営層や外部有識者および実務部門の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。 その中でも、中長期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「JFRグループ重要リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「JFRグループ重要リスク」は策定後、事業会社に共有します。各事業会社はグループのリスクを参考としつつ、個社特有のリスクを抽出し、事業会社ごとに「重要リスク」を策定しています。 JFR、各事業会社は、ともにリスク対応策を年度で策定し、半期ごとに対応状況をモニタリングしています。併せて、リスク自体も再評価し、重要リスクを見直して次年度戦略に繋げています。 「リスクの抽出方法とPDCA」(3)JFRのグループ重要リスク当社は、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクとして13項目の「JFRグループ重要リスク」を特定しています。2025年度に実施した重要リスクの見直しにおいては、コンプライアンス違反が及ぼす経営への影響を鑑み「コンプライアンスの重要性増大」を新たに追加しました。また、重要リスクとして特定していた「環境課題の重要性の高まり」と「人権尊重の重要性の高まり」については、自然、気候、人権の課題が複雑に絡み合う中で統合的なアプローチが求められる現状を踏まえ、「サステナビリティ課題の複雑化」としました。 その中でも、「既存事業における業界構造の変容」「人財獲得競争の激化」「テクノロジー革新の加速」「サステナビリティ課題の複雑化」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいとの認識に立ち、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。 「グループ重要リスクの全体像」 *は、影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク JFRグループ「グループ重要リスク」一覧 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策戦 略 既存事業における業界構造の変容非常に大・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発・将来像を踏まえたM&AやCVCによる出資人財獲得競争の激化非常に大・人財獲得競争での劣後、優秀人財の流出・従業員のモチベーション低下・事業戦略の推進、イノベーションの創出・従業員のエンゲージメント、組織力の向上・専門人財の採用、グループ人財交流、育成・従業員のWell Being Life実現につながる人財投資テクノロジー革新の加速非常に大・グループ全体の成長の停滞・テクノロジー活用遅延による競争力の低下・テクノロジー活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化・AIの活用による業務効率化・グループベースでのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)への取組み・デジタル人財/IT人財の育成サステナビリティ課題の複雑化非常に大・自然災害の激甚化や気候変動の影響による売上、収益の減少・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上・温室効果ガス排出量削減・環境配慮型商品・サービスの取り扱い拡大・シェアリング、アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大・人権デューデリジェンスの実施・顧客、取引先、地域社会等とのエンゲージメント強化 少子高齢化と所得格差の拡大大・国内市場規模の縮小・従来ターゲットのボリューム層の減少・ターゲットへの対応による新規マーケット拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者へのアプローチ・上記ターゲットへリーチするための顧客基盤・事業基盤の拡大生活者の価値観や行動の多様化大・売上、収益の減少・新規マーケットの拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者の価値観に沿った施策の推進(サブスクリプション事業、エンタテイメント、POPカルチャーなど)海外消費者の存在感の上昇大・インバウンドの取り込みの遅れ・インバウンドの急減・インバウンド売上の拡大・国内外顧客から支持の高い商品カテゴリーの継続強化・海外顧客の会員化・継続した国内顧客基盤拡大の取り組み都市間の格差拡大大・地方における消費パイの縮小・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開・グループ重要拠点において自治体などと連携した街づくり参画(商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなど) 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策ファイナンス経済動向の変動による消費行動やコスト構造の変化大・収益機会損失・資金調達コスト上昇・成長戦略推進、事業ポートフォリオ変革の推進・資金調達コストの引き下げ・固定金利での長期調達・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択・常に変動を注視し、必要に応じた計画・方針の見直しハザ|ド自然災害や疫病の発生や流行非常に大・お客様、従業員の人命損傷・事業継続の危機・事業の安定運営・実践的なBCP訓練の継続実施・事業継続計画の定期的な見直し・新たなパンデミックへの備えの強化地政学・地経学危機の顕在化大・海外赴任(出張者)従業員の危険や生活困難・海外事業の安定運営・従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境、実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と推進・当社事業(特に海外事業)における影響注視情報セキュリティ脅威の増大大・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜・業務の遅延・停滞・業務やシステムの安定稼動・業務の効率化、リモートワークの推進・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進・監視体制の強化や脆弱性管理対象範囲の拡大による、情報漏洩やインシデントの未然防止・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上オペレ|ションコンプライアンスの重要性増大大・事業継続の危機・社会的信用失墜・ステークホルダーの離反、企業価値の低下・企業価値の向上・当社グループ従業員のエンゲージメント向上や企業風土の変革・「JFR行動原則」の継続的周知浸透の取組み・グループ企業の経営層を対象とした意識醸成のための施策実施・内部通報制度の設置 :影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスクリスクの分類については、複数の分野にまたがる場合は、当社グループの戦略に影響や関連性が最も高い分野で記載した影響度:中期経営計画期間中の、当社グループへの経済的なインパクト、ブランド価値へのインパクトを考慮したもの見通し:中期経営計画期間中のリスクの増減を、当社グループへの影響度を考慮して見通したもの :非常に拡大 :拡大 :継続して重要 (4)各リスクについて①戦略上のリスク ●既存事業における業界構造の変容 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)<リスク認識>業界内での競争激化、ECをはじめとした他社・他業態の参入、取引先との関係の変化、消費マーケット自体の縮小や消費者の行動変容の進展、さらに固定費の増加・変動など、事業運営を行う上でベースとなる業界構造や収益構造は変容しています。当社グループの主要事業である百貨店事業の業界動向は長期的な縮小傾向にあり、従来のビジネスモデルの継続のみでは収益の維持や拡大は困難な状況です。構造変化に応じた新たな事業モデルの再構築や、事業ポートフォリオの組み換えが収益拡大のチャンスとなる一方、適切に対応できない場合には、業績が悪化し、固定資産の減損が必要となるなど、会計・税務上のリスクが生じる恐れがあります。<対応策>当社グループは、本中期経営計画期間を長期的成長に向けた変革期と位置づけ、主力のリテール事業の深化により利益成長を図るとともに、2030年を見据えた先行投資、成長戦略投資を強化します。既存事業の変革(海外・デジタルなどビジネス領域の拡大、コンテンツ・サービスの保有、開発を推進)する他、ポートフォリオの組み換えを図るべく、将来像を踏まえたM&Aや事業継承ファンドやCVCによる出資先と協同でのオープンイノベーションの推進を実施していきます。 ●人財獲得競争の激化 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)<リスク認識>労働力人口の減少による働き手の不足、および人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争は熾烈を極めています。持続可能な経営の必須条件は人財の継続的な確保であり、また、事業ポートフォリオ変革には、これと連動した動的な人財ポートフォリオの実現が不可欠です。人財の質と量の継続的な確保に向けて、適切な投資・教育を行い、新たな人財獲得(採用)と既存人財のリカレント、リスキリングによる社内流動性の向上が求められています。<対応策>“価値共創リテーラー”への変革実現に向け、人と組織の持続的成長を図る新たなグループ人財戦略を、グループ一体となり強化推進します。女性活躍やグループ内交流など多彩な人財の活用機会の拡大に加え、想像と挑戦を促す組織文化の醸成に向けたマネジメント力の向上、評価・報酬など人事制度改革に取組みます。 ●テクノロジー革新の加速 (影響度:非常に大、見通し:非常に拡大)<リスク認識>ビジネスに大きなインパクトを持つテクノロジー革新の中でも、生成AIは特に活用範囲が広く、業務のあり方を変えつつあります。また、新たなデジタル技術やサービスは、生活者のライフスタイルや価値観・コミュニケーションを変化させ、新たに主要な市場へ成長する可能性があるとともに、既存ビジネスモデルにも影響します。技術を活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、変化する消費者行動に適応し、収益向上に寄与できる一方、適切な対応ができない場合には、事業の変革対応の遅れや、ビジネス機会の喪失・業務効率の低下などの可能性があります。<対応策>デジタルの活用等を通じた生産性をより一層高めるため、グループベースでのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)に取組みます。また、IT投資に係る承認プロセスの高度化など 、グループITガバナンスを強化します。また、百貨店・パルコ各店舗でのXR・VRを活用したイベント実施やアバター販売など、リアルとデジタルを融合した新たな体験価値創出のビジネスモデルにトライしています。 ●サステナビリティ課題の複雑化 (影響度:非常に大、見通し:拡大)<リスク認識>地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の喪失など地球環境問題の深刻化、サプライチェーン上の人権問題など、サステナビリティをめぐる問題は相互に絡み合い、これまで以上に複雑化・深刻化しています。企業単独での対応には限界があるため、ステークホルダーとの連携やサプライチェーン全体での取り組みが求められています。更には、気候変動と生物多様性あるいは環境と人権等のトレードオフを考慮しながら取り組むことも必要です。<対応策> 当社の環境・人権関連課題を含むサステナビリティに関する考え方及び対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ●少子高齢化と所得格差の拡大 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>人口減少により日本の消費人口は縮小しており、また、中長期的には、消費の中心はミレニアム世代、Z世代(以下、MZ世代)へと交代が進展していきますが、MZ世代の価値観、行動様式は従前の世代とは大きく異なる面を持っています。また、世界的に所得格差は拡大、日本においても二極化が進展しており、ターゲットとする顧客に適切に対応することが求められます。<対応策>消費の多様化が進み、求められる商品やサービスが画一的ではなくなった今、当社グループは、属性に関わらず自身のこだわりや価値観に合う付加価値には高額でも対価を払う高質高揚消費層(特にMZ世代、富裕層、インバウンド等が顕著)に、新たな価値を提供していきます。また、当社の強みでもある富裕層ビジネス分野での競争優位性を確立するため、各エリアにおいて、顧客開拓、催事・体験企画の充実などに取り組んでいます。 ●生活者の価値観や行動の多様化 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>生活者の価値観の変化は、消費の主役の世代交代の進展とともに一層顕著となっていきます。消費トレンドは、所有から利用へ、便利で役立つものから情緒的で物語性のあるもの、今この瞬間しか味わえない体験(トキ消費)、競争から共創など多様化しています。また、「持続可能な経済活動(エシカル消費)」も求められています。消費行動プロセスも多様化しており、消費やサービスをオンライン上で完結したい消費者も増加しています。このような消費行動・ニーズの変容に適切に対応することができれば、当社の企業価値の向上や収益拡大のチャンスともなります。<対応策>上記のようなマーケットや次世代顧客に対応するため、目利き力や調達力、ネットワークなど組織力を融合した自社コンテンツの開発に取り組み、百貨店では共同開発や共同出資による、複数の次世代スイーツブランドをオープンしました。また、PARCOでは、ゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」では3作品の発売を開始しました。加えて、サーキュラー・エコノミーに貢献できる事業として、コメ兵社と「(株)JFR &KOMEHYO PARTNERS」を設立し、ブランド買取専門店「MEGRUS(めぐらす)」を百貨店、PARCOの店舗内に順次出店しています。 ●海外消費者の存在感の上昇 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>低成長が続く日本とは対照的に、アジアを中心とする新興国は高成長を続けています。また、アジアにおいても富裕層は増加しており、中間層も人数や所得が急増しているなど、消費の牽引役としてアジアの重要性が高まっています。日本政府も2030年を見据えて大きなインバウンド対策目標を掲げており、海外消費者マーケットは今後も拡大していくと見られます。 このような中、海外消費者は当社グループにとって大きなターゲットと考えられるため、この市場に目を向けて適切に対応することが大きなチャンスとなります。一方、海外政治情勢等の理由からインバウンドが大きく落ち込むことも想定し、国内顧客への対応も継続して注力していく必要があります。 <対応策>百貨店事業においては、主にアジアからの訪日観光客を対象に、顧客会員化の促進や再来店の促進など、海外顧客とのコミュニケーション、提案力の強化を図り、海外情勢等にも影響を受けにくい基盤を目指します。PARCOにおいては、インバウンド取扱高を伸長させるべく、ポップカルチャーなど体験価値の提供を更に強化します。 ●都市間の格差拡大 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>日本の人口減少、少子高齢化が進む中、三大都市圏や主要都市には人口が流入し、雇用の機会やマーケットも拡大、他都市との労働人口や経済の格差が拡大しています。各都市において、自治体その他ステークホルダーなどとも連携し、街づくりや地域課題の解決に参画していくことが出来れば、地域の発展とJFRグループの収益拡大という両面を実現することができます。<対応策>当社グループでは、2026年初夏、「ザ・ランドマーク名古屋栄」に、百貨店とPARCOの融合による商業施設「HAERA(ハエラ)」を開業し、近隣の松坂屋名古屋店、名古屋PARCOと合わせ、栄エリアでの圧倒的なプレゼンスを確立します。その他、大阪心斎橋エリアや福岡天神エリアでの再開発計画、神戸エリアでの旧居留地25番館への出資を契機として街の回遊性向上や地域連携によるイベントの充実など、エリアの更なる魅力向上に取り組みます。 ②ファイナンス上のリスク ●経済動向の変動による消費行動やコスト構造の変化 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>国内景気は米国をはじめとするグローバルな経済状況や政策に左右され、国内外ともに、景気や為替、金利、株価などの不確実性は高くなっています。特に、金利は、デベロッパー事業に大きく影響、また為替はインバウンド消費にも影響する可能性があります。不確実性の高い経営環境の中、JFRグループとして、各種施策を検討・実施する過程において、複数のシナリオを策定し、機動的に対応することが重要です。適切な対応により収益機会の拡大やリスク低減に繋がる一方、その対応を誤ると、収益機会損失や資金調達コストの上昇などマイナスの影響を及ぼす可能性があります。<対応策>資金調達に関しては、当社では、従来から事業特性を勘案して、固定金利での長期調達比率を高くしており、金利の上昇によって急激に支払い利息が増加するなど、短期的に大きな影響を受けることのない仕組みを導入しています。一方で、成長戦略の推進に伴う大型投資においては、支払い利息が増加していく可能性があると見ています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。事業視点では、常に経済動向の変動とその影響を確認し、必要に応じて、中期経営計画の見直し、次年度方針に反映をしていきます。 ③ハザードリスク ●自然災害や疫病の発生や流行 (影響度:非常に大、見通し:継続して重要)<リスク認識>南海トラフ地震や首都圏直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また、巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。また、疫病の発生などパンデミック(世界的な大流行)の可能性もあります。このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する場合を想定し、事前に適切な対策や訓練を実施することが必要です。 <対応策>事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備、定期的な訓練の実施等により体制を強化していきます。また、新型コロナウイルス感染症の対応分析をふまえ、今後新たな感染症が発生した際にも、人命の安全確保や、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応し、事業への影響を極小化していきます。 ●地政学・地経学危機の顕在化 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識>各地で地政学リスクが顕在化しています。こうした中で、資源や食料、先端技術などの自国への囲い込みが進み、物価やサプライチェーン、消費者動向にも影響を与えます。世界の不確実性が高まっていく中で、その動向を注視し、各種状況を想定したプランの策定や事前の訓練は、海外従業員の安全・安心を確保し、被害を最小限に抑える上でも不可避な取り組みです。リスクが顕在化した場合でも適時・適切な対応が可能となるよう、事前に有事を想定して準備をしておくことが重要です。<対応策>従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境・実態を踏まえた海外危機管理体制を構築していきます。海外での危機事象発生時における行動指針を定めた「海外安全対策マニュアル」に基づき対応能力を継続して強化していくほか、海外拠点、駐在員のおかれている事業会社での事業継続計画の見直しを実施していきます。 また、戦略視点でも、常に不安定要素と事業への影響を確認し、必要に応じて、次年度方針への反映や、施策の柔軟な変更を実施していきます。 ●情報セキュリティ脅威の増大 (影響度:大、見通し:拡大)<リスク認識> リモートワークの定着やクラウド、モバイルの利活用拡大など、事業活動を取り巻くIT環境が高度化・多様化する一方で、サイバー攻撃や不正アクセス等の情報セキュリティ上の脅威は多様化・高度化しています。 このような環境下において、当社グループは顧客情報や個人情報を含む重要な情報資産を多数保有しており、外部からの攻撃、人為的なミス、委託先における管理不備等により、情報漏洩やシステム障害、サービスの停止等が発生するリスクを有しています。 これらの事象が発生した場合には、社会的信用の失墜に加え、被害の規模や内容によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。<対応策> 具体的には、グループ共通のシステムインフラの整備・高度化を進めるとともに、多要素認証導入拡大などの認証・アクセス管理の強化を図っています。また、外部監視サービスを含めた監視体制の強化、脆弱性管理対象範囲の拡大等により、情報漏洩やインシデントの未然防止に努めています。 あわせて、グループセキュリティガイドラインの改訂やインシデント対応体制の強化を進めるとともに、インシデント対応訓練、情報セキュリティeラーニングや標的型攻撃メール訓練を継続的に実施し、従業員のセキュリティ意識およびリテラシーの向上を図っています。さらに、当社に情報セキュリティに関する専門組織(JFR-CSIRT)を設置するとともに、各事業会社に情報セキュリティ責任者を任命するなど、グループ全体での情報セキュリティ管理体制の強化を行っています。 これらの施策により情報セキュリティリスクの低減に努めておりますが、今後も新たな脅威の出現や攻撃手法の高度化が進む可能性があることから、継続的な対策の見直しと強化が必要であると考えています。 ●コンプライアンスの重要性増大 (影響度:大、見通し:継続して重要)<リスク認識>反社会勢力との取引、法令(中小受託取引適正化法、独占禁止法、消費者関連法、各業法等)違反や規制当局からのガイドライン(マネー・ローンダリング等)への未対応、不正行為等があった場合のレピュテーション上のインパクトは増大しています。特に、業法に基づいた適正な手続き、業務運営が実施されなければ、行政指導などにより事業継続に大きな影響が発生する可能性があります。また、上記の行為等が発生した場合、当社に対する社会的信用の失墜やステークホルダーの離反、企業価値の低下が生じる可能性があります。 <対応策>当社は、当社及びグループ会社にコンプライアンス担当部門または担当者を設置し、従業員への法令教育や業務運用状況の監督を継続的に実施するとともに、グループ全体において適切な経営判断がなされるよう、グループ会社の経営層の意識醸成を目的とした各種施策を実施しています。また、JFRグループの全役員・従業員が、社是・グループビジョンの実現に向け社会的責任を果たすために、自らの役割と責任を認識し、高い倫理感を持って行動するという観点から、日々守るべき基本的な行動として「JFR行動原則」を定め、周知を行っています。さらに、全役員・従業員および当社グループで勤務する全ての者(アルバイト・お取引先派遣者を含む)が、JFRグループ内におけるコンプライアンス上の問題について通知し、その是正を求めることができる内部通報制度を設置しています。
FY2025|14,132 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2025年5月30日)において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメントの考え方と体制・リスクマネジメント当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。そして、当社にとって重要度の高いリスクに対し、「リスクテイクし事業機会と捉えて推進していく戦略・施策」、「リスクを脅威と捉えてコントロールしていく戦略・施策」を検討し、リスクを戦略の起点と位置づけて対応を進めています。 ・リスクマネジメント体制当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、メンバーを当社執行役及び、主な事業会社の社長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。 なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支援・指導・モニタリングを行う。・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリスク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。 第2ラインによる支援とモニタリング、第3ラインによる独立した監査によって、第1ライン(業務執行部門)は、遅滞なく、また適正な手続きで、リスク対応を主体的に遂行していきます。 (2)プロセスとリスク抽出方法当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層や外部有識者および実務部門の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。 中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「JFRグループ重要リスク(以下 グループ重要リスクと呼ぶ)」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「グループ重要リスク」を年度視点に分解・詳細化したもの、および当該年度で個別対応が必要なリスク(主にオペレーションリスクや制度対応など)を合わせて「JFRグループ年度リスク(以下 グループ年度リスクと呼ぶ)」とし、優先度をつけて対応策を実行しています。 「グループ重要リスク」「グループ年度リスク」は、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。 「リスクの抽出方法とPDCA」 当社では、「グループ重要リスク」、「グループ年度リスク」を策定した後、事業会社に共有しています。各事業会社ではグループのリスクを参考としつつ、個社特有のリスクを抽出し、事業会社ごとに「重要リスク」、「年度リスク」を策定しています。 なお、JFR、各事業会社は、ともにリスク対応策を年度で策定し、半期ごとに進捗状況をモニタリングしています。併せて、リスク自体も再評価し、重要リスクの見直し、次年度リスク策定に繋げています。 下表は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「グループ重要リスク」です。その中でも、「既存事業における業界構造の変容」「人財獲得競争の激化」「テクノロジー革新の加速」「環境課題の重要性の高まり」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。 また、本中期経営計画期間(2024~2026年度)においては、当初12のグループ重要リスクを設定していましたが、中期経営計画がスタートして半年経過後、モニタリングや環境変化を捉えリスク評価を実施した結果、影響度を鑑みて、「グループ年度リスク」としていた「人権尊重の重要性の高まり」のリスクを「グループ重要リスク」として追加し、13のリスクに対応していきます。 「グループ重要リスクの全体像」 *は、影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク (3)リスクについて①戦略上のリスク 既存事業における業界構造の変容影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識業界内での競争激化、ECをはじめとした他社・他業態の参入、取引先との関係の変化、消費マーケット自体の縮小や消費者の行動変容の進展、さらに固定費の増加・変動など、事業運営を行う上でベースとなる業界構造や収益構造は変容しています。当社グループの主要事業である百貨店事業の業界動向は長期的な縮小傾向にあり、従来のビジネスモデルの継続のみでは収益の維持や拡大は困難な状況です。構造変化に応じた新たな事業モデルの再構築や、事業ポートフォリオの組み換えが収益拡大のチャンスとなります。一方、適切に対応できない場合には、業績が悪化し、固定資産の減損が必要となるなど、会計・税務上のリスクが生じる恐れがあります。対応策当社グループは、本中期経営計画期間を長期的成長に向けた変革期と位置づけ、主力のリテール事業の進化により利益成長を図るとともに、2030年を見据え、主力事業に加えてデベロッパー事業への先行投資、成長戦略投資を強化します。成長戦略投資では、既存事業の変革(海外・デジタルなどビジネス領域の拡大、コンテンツ・サービスの保有、開発を推進)する他、ポートフォリオの組み換えを図るべく、将来像を踏まえたM&Aや事業継承ファンドやCVCによる出資先と協同でのオープンイノベーションの推進を実施していきます。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例次世代マーケットニーズを捉えた名古屋店改装https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/79077e86e38e6b07e80154733ad41499ffda626c.pdf事業継承ファンド「Pride Fund」を設立https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/08fd225bc61344364d26a814fadef8008d1f00f4.pdf人財獲得競争の激化影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識労働力人口の減少による働き手の不足、および人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争は熾烈を極めています。持続可能な経営の必須条件は人財の継続的な確保であり、また、事業ポートフォリオ変革には、これと連動した動的な人財ポートフォリオの実現が不可欠です。人財の質と量の継続的な確保に向けて、適切な投資・教育を行い、新たな人財獲得(採用)と既存人財のリカレント、リスキリングによる社内流動性の向上が求められています。対応策当社グループは、経営戦略と一体となった新たなグループ人財戦略の推進に向け、新たにグループ共通の「人財マネジメントポリシー」を制定しました。これに基づき、特に価値創造力や部下育成力の向上、専門人財の採用強化、女性活躍の推進などに積極的に取り組みます。グループ内の人財交流を活発化し、多様な人財の活躍機会の拡大、人的ネットワークやノウハウの融合を図っていきます。<これまでの具体的な取り組み事例>専門人財採用 2024年 207人、2023年 218人、2022年161人女性管理職比率 2024年 26.2%、2023年 22.5%、2022年22.2%※人的資本に対する当社の考え方の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方および取組 (4)人的資本に対する考え方」をご参照ください。 テクノロジー革新の加速影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識ビジネスに大きなインパクトを持つテクノロジー革新の中でも、生成AIは特に活用範囲が広く、業務のあり方を変えつつあります。また、新たなデジタル技術やサービスは、生活者のライフスタイルや価値観・コミュニケーションを変化させ、新たに主要な市場へ成長する可能性があるとともに、既存ビジネスモデルにも影響します。技術を活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、変化する消費者行動に適応し、収益向上に寄与できる一方、適切な対応ができない場合には、事業の変革対応の遅れや、ビジネス機会の喪失・業務効率の低下などの可能性があります。対応策当社グループでは、2024年春、オリジナル生成AIチャットを導入し、業務の効率化や効果性向上を図っています。また、百貨店・パルコ各店舗でのXR・VRを活用したイベント実施やアバター販売の開始など、リアルとデジタルを融合した新たな体験価値創出のビジネスモデルにトライしています。また、当社グループは、「グループシステムフィロソフィー」を新たに制定し、フィロソフィーに沿ったシステムアーキテクチャに転換することで新たなテクノロジーを効率的に取り込めるシステム環境作りに取り組んでいます。<これまでの具体的な取り組み事例>大丸東京店で無人店舗の試験運営https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20250129poc.pdfNFTチケット売買プラットフォーム「チケミー」に出資https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/fe1f42803e9d5b116d9b753e7d6f3d3813013423.pdf環境課題の重要性の高まり影響度:非常に大将来の見通し:(拡大)リスク地球温暖化や海洋汚染、また、生物多様性の喪失など地球環境を取り巻く環境問題は深刻化しており、長期間にわたり企業の事業活動に影響を与えると認識しています。企業には、これらの問題への対処だけではなく、課題解決を起点としたビジネスの創出など、持続可能な環境・社会づくりに向けた積極的な役割・貢献が求められています。対応策当社は、2050年ネットゼロ実現に向けて、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」に取り組んでいます。省エネの徹底や再生可能エネルギー(再エネ)切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減、3R(リデュース、リユース、リサイクル)強化やサーキュラー型ビジネスの拡大等を通じた資源循環を推進しています。また、当社は2019年より店舗の再エネ切り替えを順次拡大しています。計画を上回る形で推移しており、2030年目標を75%(現60%)に見直すとともに、新たに2040年目標90%を掲げました。<これまでの具体的な取り組み事例>株式会社コメ兵と合弁会社「株式会社 JFR & KOMEHYO PARTNERS」を設立し、リユース事業を立ち上げhttps://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/8caa4fcdaf9c80745a8e7c99d636eb8e38f4dbcc.pdf食廃油から国産SAF製造を目指す「Fry to Fly Project」参加https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/fry_to_fly_project_2.pdf不要な衣料品等を回収し、再資源化・再利用する取り組み「エコフ」 https://dmdepart.jp/ecoff/about/ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」 https://www.anotheraddress.jp/※環境問題への対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動課題への対応(TCFD情報開示)及び(3)自然関連課題への対応(TNFD情報開示)」をご参照ください。 人権尊重の重要性の高まり影響度:非常に大将来の見通し:(拡大)リスク認識欧州を中心に人権デューデリジェンスに関する法整備が進む中、日本企業においても、自社従業員や取引先、消費者、地域住民など、事業に関わるすべてのステークホルダーが人権侵害を受けるリスクを認識し、人権尊重に取り組むことが求められています。強制労働や児童労働、ハラスメント、長時間労働や、賃金の未払い、劣悪な労働環境などの人権リスクを予防・軽減し対処することは経営のリスク低減につながる一方で、対応を怠るとレピュテーションの低下や不買運動などを引き起こし、企業価値を喪失する恐れがあります。企業は、人権尊重に積極的に取り組むことで、ビジネス機会の創出やステークホルダーの支持を獲得し、企業価値向上に繋げていくことができます。対応策当社は、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、あらゆる事業活動の土台に人権尊重を据え、「人権方針」のもと、人権デューデリジェンス*を継続的に実施しています。*バリューチェーン上における人権への負の影響を特定・防止・軽減し、取り組みの実効性を評価し、その対処について情報開示していく一連の取り組み<これまで具体的な取り組み>・人権リスクについて定期的な見直し・人権方針を含む「JFR行動原則」「JFRお取引先様行動原則」の策定および従業員やお取引先様への理解浸透・お取引先様の人権尊重の取り組み状況を確認するアセスメントの実施と対話・従業員へのビジネスと人権に関する知識と理解を深める取り組みを継続実施※人権尊重への対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 人権尊重への対応をご参照ください。少子高齢化と所得格差の拡大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識人口減少により日本の消費人口は縮小しており、また中長期的には、消費の中心は団塊ジュニアを核とする世代からミレニアム世代、Z世代(以下、MZ世代)へと交代が進展していきますが、MZ世代の価値観、行動様式は他の世代とは大きく異なる面を持っています。また、長寿命化の中、アクティブシニア市場が拡大すると見られ、従前の高齢者とは異なるライフスタイルを嗜好するシニア層にも適した事業運営が求められています。そして、世界的に所得格差は拡大、日本においても二極化が進展しており、ターゲットとする顧客に適切に対応するスピードと戦略性が求められます。対応策消費の多様化が進み、求める商品やサービスが画一的ではなくなった今、当社グループは、属性に関わらず自身のこだわりや価値観に合う付加価値には高額でも対価を払う高質高揚消費層(特にMZ世代、富裕層、インバウンド等が顕著)に、新たな価値を提供していきます。そのため、当社の強みである優良な顧客基盤の深耕に加え、海外顧客、消費を牽引していくMZ世代など新たな顧客との繋がりを拡大していきます。当社が事業基盤を持つ7つの重点エリア*において、グループシナジーの発揮による顧客基盤の拡大、地域価値の最大化のため、百貨店、SC事業を中心に、デベロッパー事業の推進、決済・金融事業の基盤拡大を図っていきます。*札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡<これまでの具体的な取り組み>顧客基盤拡大に向けたグループ内カード(大丸松坂屋、GINZA SIX、パルコなど)の集約eスポーツチーム“SCARZ”運営の㈱XENOZ買収、店舗で共同イベントの実施 https://www.scarz.net/news/24041901/ 生活者の価値観や行動の多様化影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識生活者の価値観の変化は、消費の主役の世代交代の進展とともに一層顕著となっていきます。消費トレンドは、所有から利用へ、便利で役立つものから情緒的で物語性のあるもの、今この瞬間しか味わえない体験(トキ消費)、競争から共創など多様化しています。また、「持続可能な経済活動」も求められています。消費行動プロセスも多様化しており、消費やサービスをオンライン上で完結したい消費者も現れています。合わせて足許の物価高やエネルギー価格の変動は、お客様の消費意欲にも影響しています。このような消費行動・ニーズの変容に適切に対応することができれば、当社ブランド力の向上や収益拡大のチャンスともなります。対応策上記のようなマーケット変化や次世代顧客に対応するため、国内外顧客から支持の高いラグジュアリーブランドの継続強化に加え、ライフスタイル提案、美や健康などの改装投資を実施し、各地域での店舗競争力を図ります。松坂屋名古屋店ではラグジュアリーをはじめ新たなファッションやライフスタイルを提案する大型改装を実施し、PARCOにおいては、渋谷・心斎橋での大型改装や、名古屋店でのエンタテイメント、POPカルチャーゾーンの導入などを予定しています。また、PARCOでは、韓国の現代(ヒュンダイ)百貨店と戦略協業に関する基本合意を締結しました。韓国ファッション、コンテンツやカルチャー展開の他、将来的に東京カルチャーや日本発コンテンツの韓国展開を検討していきます。加えて、サーキュラー・エコノミーに貢献できる事業として、コメ兵社と「(株)JFR &KOMEHYO PARTNERS」を設立して、リユース事業に参入しました。<これまでの具体的な取り組み事例>PARCO 韓国「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業https://www.parco.co.jp/pdf/jp/store/storage/cname_20240412143244.pdfPARCO ゲーム開発が本格始動 https://www.parco.co.jp/pdf/jp/store/storage/cname_20240925163912.pdf海外消費者の存在感の上昇影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識低成長が続く日本とは対照的に、アジアを中心とする新興国は高成長を続けています。アジアの成熟都市には大型商業施設が多くあり、成長都市には国の成長に伴い都市開発、複合開発プロジェクトなどが増加しています。また、アジアにおいても富裕層は増加しており、中間層も人数や所得が急増しているなど、消費の牽引役としてアジアの重要性が高まっています。日本政府も2030年を見据えて大きなインバウンド対策目標を掲げており、海外消費者マーケットは今後も拡大していくと見られます。このような中、海外消費者は当社グループにとって大きなターゲットと考えられるため、この市場に目を向けて適切に対応することが大きなチャンスとなります。一方、政治情勢等の理由からインバウンドが大きく落ち込むことも想定し、国内顧客への対応も継続して注力していく必要があります。対応策海外の消費マーケットの獲得は、将来の成長に欠かせない重要課題であり、海外プレミアム層へのリーチと顧客定着推進を推進するため、インバウンドCRM(CustomerRelationshipManagement)の本格活用を通じて、インバウンド顧客の情報を一元管理するとともに、顧客ニーズに応じた情報発信の強化、再来店の促進に取り組んでいきます。また、海外富裕層を顧客に持つ国内外企業との提携を通じた店舗への送客、同一エリア内での百貨店・パルコの枠を超えたアテンド体制など、グループ一体となって対応を強化してきます。<これまでの具体的な取り組み事例>海外富裕層へのアプローチ強化 WealthParkとの業務提携https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/7bf3b433bca8fb939f2f086f494d305128d9d56a.pdf 都市間の格差拡大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識日本の人口減少、少子高齢化が進む中、三大都市圏や主要都市には人口流入が続き、雇用の機会やマーケットも拡大し、他都市との労働人口や経済格差が拡大しています。都市においては、自然災害やインフラの老朽化に対して防災・減災、BCPなど都市の安全性強化に向けたインフラ整備が求められている一方、環境に配慮した快適な住居環境や文化との共存も求められています。当社グループが都市の自治体やNPOなどとも連携し、街づくりや地域課題の解決に参画していくことが出来れば、地域の発展とJFRグループの収益拡大という両面を実現することができます。対応策当社グループでは、2023年春に会社分割し、J.フロント都市開発株式会社としてデベロッパー事業推進体制を推進していますが、さらに、内装事業とビルマネジメント事業の再編強化に向け、2026年3月を目途にJ.フロント建装とパルコスペースシステムズの合併を予定しています。また、博多天神、名古屋栄地区での地域共創を目指し、専門の組織を設置しました。これら事業再編や専門組織設置を通じた、これまでの取り組み、および今後の取り組み予定は以下の通りです。・内装事業、ビルマネジメント事業の強化に向け、新会社「㈱J.フロントプライムスペース」設立 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20250212JFRONTPRIMESPACE.pdf・2026年夏オープン予定「ザ・ランドマーク名古屋栄」 https://www.parco.co.jp/news/detail/?id=2573・2026年竣工予定「(仮称)心斎橋プロジェクト」 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20220510shinsaibashi_p.pdf・御堂筋を中心としたまちづくりの新たなプロジェクトに参画 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20250131shinsaibashibiru_FF.pdf ②ファイナンス上のリスク経済動向の不安定さ影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識国内景気は米国をはじめとするグローバルな経済状況や政策に左右され、国内外ともに景気や、為替、金利、株価などの不確実性は高くなっています。特に、金利は、J.フロント都市開発が担うデベロッパー事業に大きく影響、また為替はインバウンド消費にも影響する可能性があります。不確実性の高い経営環境の中、JFRグループとして、各種施策を検討・実施する過程において、複数のシナリオを策定し、機動的に対応することが重要です。適切な対応により収益機会の拡大やリスク低減に繋がる一方、その対応を誤ると、収益機会損失や資金調達コストの上昇などマイナスの影響を及ぼす可能性があります。また、新規投資資金、既存有利子負債の借換え資金、運転資金などを想定通りに調達できない場合、事業ポートフォリオ改革の遅れや企業活動の縮小に繋がる可能性があります。対応策当社では、従来から事業特性を勘案して、固定金利でも長期調達比率を高くしており、金利の上昇によって急激に支払い利息が増加するなど、短期的に大きな影響を受けることのない仕組みを導入しています。一方で、成長戦略の推進に伴う大型投資においては、資金需要の面からも支払い利息が増加していく可能性があると見ています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。また、戦略視点でも、常に変動とその影響を確認し、必要に応じて、中期経営計画の見直し、次年度方針に反映をしていきます。 ③ハザードリスク自然災害や疫病の発生や流行影響度:非常に大将来の見通し:(継続して重要)リスク認識南海トラフ地震や首都圏直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。また、コロナ感染症は収束したものの、今後、新たな疫病の発生など類似のパンデミック(世界的な大流行)の可能性もあります。このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する場合を想定し、事前に適切な対策や訓練を実施することが必要です。対応策事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備、定期的な訓練の実施等により体制を強化していきます。新型コロナウイルス感染症の対応分析をふまえ、今後新たな感染症が発生した際にも、人命の安全確保や、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応し、事業への影響を極小化していきます。地政学・地経学危機の顕在化影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識ウクライナでの紛争の他、地政学リスクが顕在化しています。これらは、資源や食料、先端技術などの自国への囲い込みが進み、物価やサプライチェーン、消費者動向にも影響を与えます。世界の不確実性が高まっていく中で、その動向を注視し、各種状況を想定したプランの策定や事前の訓練は、海外従業員の安全・安心を確保し、被害を最小限に抑える上でも不可避な取り組みです。リスクが顕在化した場合でも適時・適切な対応が可能となるよう、事前に有事を想定して準備をしておくことが重要です。対応策従業員の海外赴任先や出張者の出張先のリスク環境・実態を踏まえた海外危機管理体制を構築していきます。具体的には、海外での危機事象発生時における行動指針を定めた「海外安全対策マニュアル」に基づき対応能力を継続して強化していくほか、海外拠点、駐在員のおかれている事業会社(大丸松坂屋、大丸興業、パルコ等)での事業継続計画の見直しを実施していきます。また、戦略視点でも、常に不安定要素とその当社事業への影響を確認し、必要に応じて、海外政策における次年度方針への反映や、施策の柔軟な変更を実施していきます。 情報セキュリティ脅威の増大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識リモートワークの定着、クラウドやモバイル利用などの業務が拡大していく一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手法の多様化、高度化が急速に進展しており、当社グループを取り巻くサイバーリスクは一層深刻化しています。また、当社グループは顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管、取り扱いについてより堅牢な仕組みの導入やシステムセキュリティ対策が必須となっています。外部からの攻撃や人為的なミス、委託先の管理不備等により重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、社会的信用の失墜のほか被害の規模によっては当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。情報セキュリティ管理の整備・高度化を推進していくと同時に従業員が正しい知識を持ち、適切に行動することが必要です。対応策当社グループでは、システムをはじめとした技術的対策、物理的対策、および運用ルールや社員教育などの人的対策を組み合わせて情報セキュリティの対策に以下のように取り組んでいます。・当社グループ共通のシステムインフラの整備・高度化、情報システムの安全稼動及び堅牢性の高いセキュリティの構築を継続して推進・セキュリティ型ネットワークの構築や新認証基盤(多要素認証)の拡大などグループ共通のシステムインフラの整備を推進・新ソリューションや外部監視サービスを活用した監視体制の強化、脆弱性に関する管理対象範囲の拡大、対応品質の向上による情報漏洩等の未然防止などセキュリティ運用の高度化を推進・グループセキュリティガイドラインの改訂、セキュリティインシデント対応体制の強化などリスクの最小化に向けた取り組みを推進・従業員が正しい知識を持ち、適切に行動できるよう、IT担当者を対象としたインシデント対応訓練の実施、全従業員を対象とした情報セキュリティe-ラーニングや標的型攻撃メール訓練の継続的実施などにより、従業員のセキュリティ意識とリテラシーの向上・JFRにセキュリティに関する専門組織(JFR-CSIRT)を設置するとともに、事業会社に情報セキュリティ責任者を任命し、情報セキュリティに対する組織体制を強化 JFRグループ「グループ重要リスク」一覧 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策戦 略 既存事業における業界構造の変容非常に大・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発・将来像を踏まえたM&AやCVCによる出資人財獲得競争の激化非常に大・人財獲得競争での劣後、優秀人財の流出・従業員のモチベーション低下・事業戦略の推進、イノベーションの創出・従業員のエンゲージメント、組織力の向上・専門人財の採用、グループ人財交流、育成・従業員のWell Being Life実現につながる人財投資テクノロジー革新の加速非常に大・グループ全体の成長の停滞・テクノロジー活用遅延による競争力の低下・テクノロジー活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化・グループデータベース活用・AIの活用による業務効率化・XR・VR、NFTなど新たな市場でのビジネスモデルの構築・デジタル人財/IT人財の育成環境課題の重要性の高まり非常に大・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上・温室効果ガス排出量削減・環境配慮型商品・サービスの取り扱い拡大・リサイクル事業の推進・シェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大人権尊重の重要性の高まり非常に大・レピュテーションの低下や不買運動・従業員の働きやすい環境の阻害・従業員を含めたステークホルダーの支持向上と企業価値の向上・人権に関するサプライチェーン全体のマネジメントの取り組み・カスタマーハラスメントへの対応方針の策定と社内外への周知少子高齢化と所得格差の拡大大・国内市場規模の縮小・従来ターゲットのボリューム層の減少・ターゲットへの対応による新規マーケット拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者へのアプローチ・上記ターゲットへリーチするための顧客基盤・事業基盤の拡大生活者の価値観や行動の多様化大・売上、収益の減少・新規マーケットの拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者の価値観に沿った施策の推進(サブスクリプション事業、エンタテイメント、POPカルチャーなど)海外消費者の存在感の上昇大・インバウンドの取り込みの遅れ・インバウンドの急減・インバウンド売上の拡大・ECなどの展開による外需獲得・国内外顧客から支持の高い商品カテゴリーの継続強化・海外でのデジタル領域での展開を可能とするコンテンツ開発・保有の推進・継続した国内顧客基盤拡大の取り組み都市間の格差拡大大・都心立地の商業施設の集客力低下・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開・グループ重要拠点において自治体などと連携した街づくり参画(商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなど) 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策ファイナンス経済動向の不安定さ大・収益機会損失・資金調達コスト上昇・成長戦略推進、事業ポートフォリオ変革の推進・資金調達コストの引き下げ・固定金利での長期調達・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択ハザ|ド自然災害や疫病の発生や流行非常に大・お客様、従業員の人命損傷・事業継続の危機・事業の安定運営・実践的なBCP訓練の継続実施・事業継続計画の定期的な見直し・新たなパンデミックへの備えの強化地政学・地経学危機の顕在化大・海外赴任(出張者)従業員の危険や生活困難・海外事業の安定運営・従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境、実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と推進・当社事業(特に海外事業)における影響注視情報セキュリティ脅威の増大大・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜・業務の遅延・停滞・業務やシステムの安定稼動・業務の効率化、リモートワークの推進・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進・セキュリティ運用の高度化推進と対応体制の強化・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上 影響度:中期経営計画期間中の、当社グループへの経済的なインパクト、ブランド価値へのインパクトを考慮したもの見通し:中期経営計画期間中のリスクの増減を、当社グループへの影響度を考慮して見通したもの :影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスクリスクの分類については、複数の分野にまたがる場合は、当社グループの戦略に影響や関連性が最も高い分野で記載した
FY2024|12,583 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2024年5月29日)において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメントの考え方と体制・リスクマネジメントの考え方当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。 ・リスクマネジメント体制当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、メンバーを当社執行役及び、主な事業会社の社長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。 なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支援・指導・モニタリングを行う。・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリスク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。 第2ラインによる支援とモニタリング、第3ラインによる独立した監査によって、第1ライン(業務執行部門)は、遅滞なく、また適正な手続きで、リスク対応を主体的に遂行していきます。 (2)プロセスとリスク抽出方法当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層や外部有識者及び実務部門の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。 リスクを戦略の起点と位置づけていることから、本中期経営計画の前提として、当社にとって重要度の高いリスクとその抽出方法の見直しを行いました。中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「JFRグループ重要リスク(以下 グループ重要リスクと呼ぶ)」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「グループ重要リスク」を年度視点に分解・詳細化したもの、及び当該年度で個別対応が必要なリスク(主にオペレーションリスクや制度対応など)を合わせて「JFRグループ年度リスク(以下 グループ年度リスクと呼ぶ)」とし、優先度をつけて対応策を実行しています。「グループ年度リスク」は、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。 「リスクの抽出方法とPDCA」 下図は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「グループ重要リスク」です。その中でも、「既存の事業における業界構造の変容」「人財獲得競争の激化」「テクノロジー革新の加速」「環境課題の重要性の高まり」の4つのリスクは、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。 「グループ重要リスクの全体像」 *は、影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク なお、2023年度までの旧グループ重要リスクと、現在のグループ重要リスクの相関は以下の通りです。従来から取り組んできたリスクを網羅しつつ、環境変化に合わせてリスクを見直しています。 (3)リスクについて①戦略上のリスク 既存事業における業界構造の変容影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識業界内での競争激化、ECをはじめとした他社・他業態の参入、取引先との関係の変化、消費マーケット自体の縮小や消費者の行動変容の進展、さらに固定費の増加・変動など、事業運営を行う上でベースとなる業界構造や収益構造は変容しています。当社グループの主要事業である百貨店事業の業界動向は長期的な縮小傾向にあり、従来のビジネスモデルの継続のみでは収益の維持や拡大は困難な状況です。構造変化に応じた新たな事業モデルの再構築や、事業ポートフォリオの組み換えが収益拡大のチャンスとなります。一方、適切に対応できない場合には、業績が悪化し、固定資産の減損が必要となるなど、会計・税務上のリスクが生じるおそれがあります。対応策当社グループは、本中期経営計画期間を2030年の飛躍的成長に向けた変革期と位置づけ、主力のリテール事業の深化により利益成長を図るとともに、「顧客」「エリア」「コンテンツ」の3つの領域でグループシナジーを追求し、飛躍的な成長を目指します。また、2030年を見据え、リテール事業に加えてデベロッパー事業や決済・金融事業の成長戦略を推進します。成長戦略投資では、リテール事業の新たな成長に向けて、国内のみならず、海外・デジタル領域での事業展開を見据えた自社コンテンツ、サービスなどの開発、保有を推進する他、将来像を踏まえたM&Aや新規事業開発の推進、CVCによる出資先と協同でのオープンイノベーションを推進していきます。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)始動 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/221011_CVC.pdf・「事業継承ファンド」設立 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20240118jigyousyoukei.pdf人財獲得競争の激化影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識労働力人口の減少による働き手の不足、及び人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争は熾烈を極めています。持続可能な経営の必須条件は人財の継続的な確保であり、また、事業ポートフォリオ変革には、これと連動した動的な人財ポートフォリオの実現が不可欠です。人財の質と量の継続的な確保に向けて、適切な投資・教育を行い、新たな人財獲得(採用)と既存人財のキャリア形成やリスキリングなどによる社内流動性の向上が求められています。対応策当社独自の「人財力主義」に基づき、戦略遂行に必要な人財ポートフォリオ実現に向けた効果的な人財投資を実施していきます。イノベーション人財や高度専門人財の採用強化、公募を活用したグループ人財交流の推進、キャリア開発・リスキリングなどの育成に積極投資を行います。特にデジタル人財については、経営層を含む社員を対象に社内教育を実施し、「デジタルコア人財」育成を継続実施しています。併せて、市場競争力のある賃金水準・処遇の実現や、世代・性別などによらない多様な人財が活躍する職場環境づくりに継続して取り組みます。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・専門人財採用 2023年218人、2022年161人、2021年103人・女性管理職比率 2023年22.5%、2022年22.2%、2021年21.3%※人的資本に対する当社の考え方の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本に対する考え方」をご参照ください。 テクノロジー革新の加速影響度:非常に大将来の見通し:(非常に拡大)リスク認識ビジネスに大きなインパクトを持つテクノロジー革新の中でも、生成AIは特に活用範囲が広く、業務のあり方を変えつつあります。また、Web3.0、XR、NFTなどの新たなデジタル技術やサービスは、生活者のライフスタイルや価値観・コミュニケーションを変化させ、新たに主要な市場へ成長する可能性があるとともに、既存ビジネスモデルにも影響します。技術を活用して新たなビジネスモデルを構築することにより、変化する消費者行動に適応し、収益向上に寄与できる一方、適切な対応ができない場合には、事業の変革対応の遅れやビジネス機会の喪失、業務効率の低下などの恐れがあります。対応策当社グループでは、当社独自環境で使用する対話型生成AIを導入し、業務の効率化や効果性向上を図っています。また、百貨店・パルコ各店舗でのXRを活用したイベント実施やアバター販売の開始など、リアルとデジタルを融合した新たな体験価値の創出に取り組んでいます。その他、様々な取り組みを通じて、デジタル技術による社会変革に対してDX推進の準備が整っていることを認める「DX認定(経済産業省認定)」を受けています。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・経済産業省「DX認定事業者」に認定 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/202305010dx.pdf・大丸松坂屋 アバター販売開始 https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/3d_12_22.pdf・パルコデジタルマーケティングXRメディア開設 *店舗でのイベント記事掲載 https://xr.parco-digital.co.jp/環境課題の重要性の高まり影響度:非常に大将来の見通し:(拡大)リスク地球温暖化や海洋汚染、また生物多様性の喪失など、地球環境を取り巻く環境問題は深刻化しており、長期間にわたり企業の事業活動に影響を与えると認識しています。企業には、これらの問題への対処だけではなく、課題解決を起点としたビジネスの創出など、持続可能な環境・社会づくりに向けた積極的な役割・貢献が求められています。対応策当社は、気候変動をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけ、2050年までのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ※1を目指しています。具体的には、ネットゼロ実現に向けて、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組んでいます。※1 温室効果ガスの排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・温室効果ガス排出量削減Scope1・2削減(再生可能エネルギー切り替え拡大、店舗照明のLED化、営業用車両のEV化など)Scope3削減(説明会の実施などお取引先様への働きかけ)・サーキュラー・エコノミーの推進食廃油から国産SAF製造を目指す「Fry to Fly Project」参加 https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/saf.pdf・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」 https://www.anotheraddress.jp/・不要な衣料品等を回収し、再資源化・再利用する取り組み「エコフ」https://dmdepart.jp/ecoff/about/※環境問題への対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動課題への対応(TCFD 情報開示)及び(3)自然関連課題への対応(TNFD 情報開示)」をご参照ください。 少子高齢化と所得格差の拡大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識人口減少により日本の消費人口は縮小し、また中長期的には、消費の中心は団塊ジュニアを核とする世代からミレニアム世代、Z世代(以下、MZ世代)へと交代が進展していきますが、MZ世代の価値観、行動様式は他の世代とは大きく異なる面を持っています。また、長寿命化の中、アクティブシニア市場が拡大すると見られ、従前の高齢者とは異なるライフスタイルを嗜好するシニア層にも適した事業運営が求められています。世界的に所得格差は拡大、日本においても二極化が進展しており、ターゲットとする顧客に適切に対応するスピードと戦略性が求められます。対応策消費の多様化が進み、求める商品やサービスが画一的ではなくなった今、当社グループは、自身のこだわりや価値観を重視し、高質で、心が高揚する消費や体験を嗜好する全ての生活者(特にMZ世代、富裕層、インバウンド等)に、新たな価値を提供していきます。そのため、当社の強みである優良な顧客基盤の深耕に加え、海外顧客、消費を牽引していくMZ世代など新たな顧客とのつながりを拡大していきます。当社が事業基盤を持つ7つの重点エリア*を中心に、グループシナジーの発揮による顧客基盤の拡大、地域価値の最大化のため、百貨店、SC事業を軸に、デベロッパー事業、決済・金融事業を強化推進します。さらに、新規事業の取り組みとして、MZ世代に人気のeスポーツ事業にも、(株)XENOZの買収を通じて参入し、パルコを中心とした連携を強化しています。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・大丸松坂屋、GINZA SIX自社カードの統合による顧客基盤拡大、地域価値の最大化 https://www.jfr-card.co.jp/corporate/news/20231006.pdf・(株)XENOZの株式取得 https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20221027esports.pdf*札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡 生活者の価値観や行動の多様化影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識生活者の価値観の変化は、消費の主役の世代交代の進展とともに一層顕著となっていきます。消費トレンドは、所有から利用へ、便利で役立つものから情緒的で物語性のあるもの、今この瞬間しか味わえない体験(トキ消費)、競争から共創など多様化しています。また、「持続可能な経済活動」も求められています。消費行動プロセスも多様化しており、消費やサービスをオンライン上で完結したい消費者も現れています。合わせて足許の物価高やエネルギー資源の高騰は、お客様の消費意欲にも影響しています。このような消費行動・ニーズの変容に適切に対応することができれば、当社ブランド力の向上や収益拡大のチャンスになります。対応策上記のようなマーケット変化や次世代顧客に対応するため、国内外顧客から支持の高いラグジュアリーブランドの継続強化に加え、ライフスタイル提案、美や健康などの改装投資を実施し、各地域での店舗競争力強化を図ります。松坂屋名古屋店ではラグジュアリーをはじめ新たなファッションやライフスタイルを提案する大型改装を、PARCOにおいても、渋谷店・心斎橋店での初の大型改装や、名古屋店でのエンタテイメント、POPカルチャーゾーンの導入などを予定しています。また、大丸松坂屋百貨店のサブスクリプション事業は、従来のファッションに加えて、アート、冷凍グルメなどカテゴリーを拡大しています。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・冷凍グルメ宅配のサブスクリプションサービス「ラクリッチ」スタート https://www.daimaru-matsuzakaya.com/assets/news/5_16.pdf・パルコゲーム事業スタート https://www.parco.co.jp/pdf/jp/store/storage/cname_20230907152708.pdf 海外消費者の存在感の上昇影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識低成長が続く日本とは対照的に、アジアを中心とする新興国は高成長を続けています。アジアの成熟都市には大型商業施設が多くあり、成長都市には国の成長に伴い都市開発、複合開発プロジェクトなどが増加しています。また、アジアにおいても富裕層は増加しており、中間層も人数や所得が急増しているなど、消費の牽引役としてのアジアの重要性が高まっています。世界的なコロナ禍の収束を機に、海外消費者のマーケットは拡大していくと見られます。このような中、海外消費者は当社グループにとって大きなターゲットと考えられるため、この市場に目を向けて適切に対応することがチャンスとなります。一方、政治情勢等の理由からインバウンドが大きく落ち込むことも想定し、国内顧客への対応も継続して注力していく必要があります。対応策海外消費者のマーケット獲得は、将来の成長に欠かせない重要課題であり、顧客定着を推進するため、当社に海外事業担当の専門部署を新設しました。また、拡大していくインバウンド需要を着実に捉えるべく、国内外顧客から支持の高いラグジュアリーブランドなどの強化に加え、海外・デジタル領域でのビジネス展開を可能とするコンテンツ・サービスの開発・保有を推進していきます。その一方で、国内顧客基盤の拡大にも引き続き、取り組んでいきます。<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・他社提携による海外富裕層へのアプローチを強化https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/7bf3b433bca8fb939f2f086f494d305128d9d56a.pdf都市間の格差拡大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識日本の人口減少、少子高齢化が進む中、三大都市圏や主要都市には人口流入が続き、雇用の機会やマーケットも拡大し、他都市との労働人口や経済の格差が拡大しています。都市部においては、自然災害やインフラの老朽化に対して防災・減災、BCPなど都市の安全性強化に向けたインフラ整備が求められる一方、環境に配慮した快適な住居環境や文化との共存も求められています。当社グループが都市の自治体やNPOなどとも連携し、街づくりや地域課題の解決に参画していくことが出来れば、地域の発展とJFRグループの収益拡大という両面を実現することができます。対応策当社グループでは、デベロッパー事業の強化に向けて、2023年3月にJ.フロント都市開発株式会社を設立し、以下のような取り組みを推進しています。・グループ拠点のある主要7都市において都市の魅力をアップデートする開発の推進(名古屋栄「錦三丁目」エリア、大阪心斎橋エリアでの大型複合施設開発など、ともに2026年竣工予定)・「地域社会との共栄」を目指し、商業だけでなく、オフィス、ホテル、レジデンスなどを組み込んだ複合施設の開発・「環境との共生」に向けて、今後の新たな施設開発においては環境認証の取得に積極的に取り組む<ご参考>これまでの具体的な取り組み事例・名古屋「(仮称)錦三丁目25番街計画」 https://www.parco.co.jp/news/detail/?id=2573・心斎橋プロジェクト https://www.j-front-retailing.com/_data_json/news/_upload/20220510shinsaibashi_p.pdf ②ファイナンス上のリスク経済動向の不安定さ影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識国内景気はグローバルな経済状況に左右され、為替、金利、株価などの不確実性は高く、特に、金利は、J.フロント都市開発が担うデベロッパー事業に大きく影響します。不確実性の高い経営環境の中、JFRグループとして、各種施策を検討・実施する過程において、複数のシナリオを策定し、機動的に対応することが重要です。適切な対応により収益機会の拡大やリスク低減に繋がる一方、その対応を誤ると、収益機会損失や資金コストの上昇などマイナスの影響を及ぼす可能性があります。また、新規投資資金、既存有利子負債の借換え資金、運転資金などを想定通りに調達できない場合、事業ポートフォリオ改革の遅れや企業活動の縮小に繋がる可能性があります。対応策当社では、従来から事業特性を勘案して、主として長期かつ固定金利での資金調達を行っているため、短期的には、金利の上昇によって急激に支払利息が増加するなどの大きな影響を受けることはありません。一方で、今後の成長戦略に向けた投資資金の確保や既存有利子負債の借換えに際しては、金利上昇の影響を受け、支払利息が増加するとみています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することなどにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。 また、戦略視点でも、常に変動とその影響を確認し、必要に応じて、中期経営計画の見直し、次年度方針に反映していきます。 ③ハザードリスク自然災害や疫病の発生や流行影響度:非常に大将来の見通し:(継続して重要)リスク認識南海トラフ地震や首都圏直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。コロナ感染症は、収束が見通されるものの、新たな疫病の発生など類似のパンデミック(世界的な大流行)の可能性があります。このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性があります。リスクが顕在化する場合を想定し、事前に適切な対策や訓練を実施することが必要です。対応策事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備するとともに、富士山噴火対応マニュアルの制定など事業継続計画内容の拡充、各事業会社における定期的なBCP訓練の実施等により、幅広い危機事象への対応能力や実効性の向上を図っております。また感染症などに対しては、人命の安全確保や事業への影響の極小化、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応していきます。 地政学・地経学危機の顕在化影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識ウクライナでの紛争の他、地政学リスクが顕在化しています。これらは、資源や食料、先端技術などの自国への囲い込みが進み、物価やサプライチェーン、消費者動向にも影響を与えます。 世界の不確実性が高まっていく中で、その動向を注視し、様々な状況を想定したプランの策定や事前の訓練は、海外従業員の安全・安心を確保する上でも不可避な取り組みです。リスクが顕在化した場合でも適時・適切な対応が可能となるよう、事前に有事を想定して準備をしておくことが重要です。対応策従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境・実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と対応能力の強化を推進していきます。また、海外拠点、駐在員を置く事業会社(大丸松坂屋、大丸興業、パルコ等)での事業継続計画の見直しを実施します。なかでも、当社グループが拠点を有する東アジア有事への対応を定めた行動指針を新たに制定し、海外安全対策マニュアルを改訂するなど海外従業員の安全確保をはじめとした対応策を継続して強化していきます。また、戦略視点でも、常に不安定要素と事業への影響を確認し、必要に応じて、海外戦略における次年度方針への反映や、施策の柔軟な変更を実施していきます。情報セキュリティ脅威の増大影響度:大将来の見通し:(拡大)リスク認識リモートワークの定着、クラウドやモバイル利用などの業務が拡大していく一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手法の多様化、高度化が急速に進展しており、当社グループを取り巻くサイバーリスクは一層深刻化しています。また、当社グループは顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管、取り扱いについてより堅牢な仕組みの導入やシステムセキュリティ対策が必須となっています。外部からの攻撃や人為的なミス、委託先の管理不備等により重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、社会的信用の失墜のほか被害の規模によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。情報セキュリティ管理の整備・高度化を推進していくと同時に従業員が正しい知識を持ち、適切に行動することが必要です。対応策当社グループでは、情報セキュリティを確保するため、以下のような方向で取り組みを進めています。・情報セキュリティの専門組織設置。グループ内IT組織の一元化と組織機能を発揮しやすいシステム環境整備・グループインフラの一元化と整備・高度化、情報システムの安全稼動及び堅牢性の高いセキュリティの構築・セキュリティ強化した館内Wi-Fi環境への切替により、従業員の不正な持ち込み機器による社内ネットワークへの侵入対策・新ソリューションや外部監視サービスを活用した監視体制の強化、脆弱性に関する管理対象範囲の拡大、対応品質の向上による情報漏洩等の未然防止などセキュリティ運用の高度化を推進・外部に委託するシステムに関する管理体制の強化・システム投資関連の運用の改善、IT資産管理関連の新運用の定着、IT事業継続計画の検討などITガバナンスの適正運用の推進・グループセキュリティガイドライン改訂、セキュリティインシデント対応体制の強化・IT担当者を対象としたインシデント対応訓練の実施、全従業員対象の情報セキュリティe-ラーニングや標的型攻撃メール訓練の継続的実施などにより、従業員のセキュリティ意識とリテラシーの向上 JFRグループ「グループ重要リスク」一覧 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策戦 略 既存事業における業界構造の変容非常に大・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発・将来像を踏まえたM&AやCVCによる出資人財獲得競争の激化非常に大・人財獲得競争での劣後、優秀人財の流出・従業員のモチベーション低下・事業戦略の推進、イノベーションの創出・従業員のエンゲージメント、組織力の向上・専門人財の採用、グループ人財交流、育成・従業員のWell Being Life実現につながる人財投資テクノロジー革新の加速非常に大・グループ全体の成長の停滞・テクノロジー活用遅延による競争力の低下・テクノロジー活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化・グループデータベース活用・AIの活用による業務効率化・Web3.0、XR、NFTなど新たな市場でのビジネスモデルの構築・デジタル人財の育成環境課題の重要性の高まり非常に大・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上・温室効果ガス排出量削減・環境配慮型商品・サービスの取り扱い拡大・シェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大少子高齢化と所得格差の拡大大・国内市場規模の縮小・従来ターゲットのボリューム層の減少・ターゲットへの対応による新規マーケット拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者へのアプローチ・上記ターゲットへリーチするための顧客基盤・事業基盤の拡大生活者の価値観や行動の多様化大・売上、収益の減少・新規マーケットの拡大・自身のこだわりや価値観を満たす、高質で心が高揚する消費や体験を嗜好する生活者の価値観に沿った施策の推進(サブスクリプション事業、宅配事業、エンタテイメント、POPカルチャーなど)海外消費者の存在感の上昇大・インバウンドの取り込みの遅れ・インバウンドの急減・インバウンド売上の拡大・ECなどの展開による外需獲得・国内外顧客から支持の高い商品カテゴリーの継続強化・海外でのデジタル領域での展開を可能とするコンテンツ開発・保有の推進・継続した国内顧客基盤拡大の取り組み都市間の格差拡大大・都心立地の商業施設の集客力低下・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開・グループ重要拠点において自治体などと連携した街づくり参画(商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなど)ファイナンス経済動向の不安定さ大・収益機会損失・資金コスト上昇・成長戦略推進、事業ポートフォリオ変化の推進・資金コストの引き下げ・固定金利での長期調達・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択 分類項目影響度将来の見通しマイナス面プラス面対応策ハザ|ド自然災害や疫病の発生や流行非常に大・お客様、従業員の人命損傷・事業継続の危機・事業の安定運営・実践的なBCP訓練の継続実施・事業継続計画の定期的な見直し・新たなパンデミックへの備えの強化地政学・地経学危機の顕在化大・海外赴任(出張者)従業員の危険や生活困難・海外事業の安定運営・従業員の海外赴任先や出張先のリスク環境、実態を踏まえた海外危機管理体制の構築と推進・当社事業(特に海外事業)における影響注視情報セキュリティ脅威の増大大・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜・業務の遅延・停滞・業務やシステムの安定稼動・業務の効率化、リモートワークの推進・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進・セキュリティ運用の高度化推進と対応体制の強化・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上 影響度:中期経営計画期間中の、当社グループへの経済的なインパクト、ブランド価値へのインパクトを考慮したもの見通し:中期経営計画期間中のリスクの増減を、当社グループへの影響度を考慮して見通したもの :影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスクリスクの分類については、複数の分野にまたがる場合は、当社グループの戦略に影響や関連性が最も高い分野で記載した
FY2023|27,589 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2023年5月26日)において当社グループが判断したものであります。 (1)リスクマネジメントの考え方と体制・リスクマネジメント当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。 ・リスクマネジメント体制当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支 援・指導・モニタリングを行う。・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリ スク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。 リスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントプロセス当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層および実務責任者の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「企業リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「企業リスク」を受けて識別した年度リスクを「JFRグループリスク一覧」にまとめ、「リスクマップ」を用いて評価を行い、優先度をつけて対応策を実行しています。「企業リスク」「JFRグループリスク一覧」は、半年に一度の頻度で、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。 下図は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「企業リスク」です。その中でも「1.サステナビリティ経営の高度化」「2.既存の事業モデルの衰退」「3.加速度を増すデジタル化への対応」「4.ポストコロナにおける消費行動の変化」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。 影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク 上記リスク以外の「企業リスク」 (3)直近の環境変化とリスク認識当社グループの経営にとって未曾有の打撃をもたらしてきた新型コロナウイルス感染症の影響は、政府がコロナ対策と経済正常化の両立に舵を切ったことに伴い、徐々に小さくなっています。2023年度に入り、感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、外国人渡航者に対する水際対策も撤廃されるなど、コロナ禍による経済社会活動への制約は段階的に解消され、景気が感染状況に左右されないアフターコロナ期に着実に移行しています。その一方で、国際社会は世界的な物価高に直面しており、米欧を中心に政策金利の引き上げが行われてきました。その効果もあり、物価上昇は鈍化しましたが、他方で複数の金融機関が経営危機に陥るなど、金利引き上げの悪影響も顕在化しつつあります。また、ウクライナ情勢や米中対立の激化など地政学リスクも高まっており、当面不安定かつ不透明な情勢が継続していくと認識しております。一方、我が国に目を転じますと、景気の本格回復に向け金融緩和を継続しており、これが一因となり昨年度は急激な円安が進展しました。この円安は物価高に拍車をかけ、消費者心理を確実に冷やしました。足許、円安自体は終息する方向にありますが、物価は引続き高止まっており、この傾向が続く場合には、個人消費が想定通りに回復しない可能性があります。さらに、諸外国が景気後退に陥り、株価をはじめとする資産価格が暴落する場合には、我が国もその影響を受け、より一層の消費停滞につながっていくなど、当社グループの業績にも大きな影響を与える可能性があります。このように、本年度も先行き不透明、かつ極めて厳しい経営環境の中で事業活動を強いられる ことになります。この3年間にわたる新型コロナウイルス感染症の影響は、消費者の価値観や消費行動、小売業に求めるものなどの変化を加速させてきました。人々の価値観、生活スタイルや消費行動、さらには都市のあり方も大きく変わってきており、当社グループも新しい事業モデルへの進化が不可避な状況です。その対応策として、中期経営計画(2021‐2023年度)に基づき、コロナ危機からの「完全復活」と2024年度以降の「再成長」に向けた重点戦略(リアル×デジタル戦略、プライムライフ戦略、デベロッパー戦略)と経営構造改革の推進、中長期の成長を支える経営基盤強化を進めてきました。さらに「早期の収益力回復」に向けた重点戦略と、経営構造改革を加速させるとともに、事業ポートフォリオの変革に向け、グループ将来像を定め、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長への道筋」の明確化、中長期の成長実現に向けた経営基盤の強化に取り組んでまいります。また、コロナ禍によって、持続可能な社会への意識が高まっており、多くの企業も改めて自社の存在意義を再定義しようとしています。幸いにも、当社グループは、300年、400年前から続いている、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という、サステナビリティ経営につながる社是を有しており、今後も持続的な成長に向けて着実に歩みを進めてまいります。上記の環境変化を踏まえて更新した「企業リスク」は、有価証券報告書提出日現在において、皆様の投資等の判断に影響を与える可能性があるリスクと認識しており、当社グループのリスク定義(企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある)に則し、リスク認識および対応策を次頁以降に記載いたします。 1サステナビリティ経営の高度化影響度非常に大将来の見通し(*)当社のリスク認識地球温暖化や海洋汚染など地球環境問題の深刻化、生物多様性の喪失、サプライチェーン上の人権問題など、企業を取り巻く環境への不確実性が高まる中、サステナビリティ経営への要請は、当社にとって重要性が高く、最上位に位置づけるリスクです。ステークホルダーの期待は、当社が持続可能な社会の実現に企業としていかに貢献するかであり、その期待に応える取り組みなしには当社自体の持続的な成長も望めないと考えています。マイナス面 プラス面・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下 ・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上対応策 当社グループが掲げるサステナビリティ経営は、事業を通じて社会課題解決と企業の利益を両立する、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)を実践することです。当社グループでは、ステークホルダーの「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」の実現に向けて7つのマテリアリティ(※重要課題)を特定し、対応を図っています。 ※「脱炭素社会の実現」「サーキュラー・エコノミーの推進」「サプライチェーン全体のマネジメント」「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」 「地域社会との共生」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」 「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」 環境問題や人権問題などについては企業の基本姿勢としてそれらの解決に向けて積極的に取り組む必要があります。一方でこういった問題の解決も含め、上記マテリアリティの中にビジネスチャンスを見出すことで、社会的価値と経済的価値の両方を同時に生み出すことも可能です。当社グループは、事業を通じて出会う多くの顧客、地域社会、お取引先様など重要なステークホルダーと連携し、社会課題を解決し付加価値を生み出す潜在的ニーズを発掘することで、CSVを実践しています。サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の伸長を見通して、ファッションサブスクリプション事業(定額制のファッションレンタルサービス)を拡大しました。また、地域社会との共生の一環として、地域コミュニティやパートナーと協働した地域開発、地産地消の推進等を通じた賑わいのある街づくり、地域の魅力向上に取り組みました。今後もグループ将来像を見据えた新たな価値創造に取り組み、ステークホルダーのWell-Being Lifeを実現していきます。 (*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。 2既存の事業モデルの衰退影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識当社グループの各事業は、対面型のビジネスモデルが中心です。対面ビジネスは新型コロナウイルス感染症で大きな制約を受けましたが、この間に生じたお客様、お取引先様などの変化は、既存の事業モデルを取り巻く環境に非常に大きな影響を及ぼしました。この影響を回避するためには、事業モデルの変革と、主力事業へ過度に依存しない事業ポートフォリオへの転換が不可欠です。マイナス面 プラス面・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下 ・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長対応策 既存事業モデルを取り巻く環境変化に対し、当社グループでは以下の方向で取り組みを進めています。一つ目は顧客接点のデジタル化です。アプリ会員の拡大によりカード顧客に限定しない顧客づくりを行い、お客様一人ひとりに最適化された情報を提供します。場所・時間の制約のないデジタルにおいて顧客と販売員がつながり店舗と同様の付加価値サービスを提供することにより、従来の対面型ビジネスの弱みの克服に取り組んでいます。また、デジタルでの接点を通じて得られる行動データを分析することにより、マーケティングの精度向上につなげています。さらに、好きな時に買い物がしたいという顧客ニーズに応えるため、オンラインストアをリニューアルするなど、UX(体験価値)向上、OMO(リアル店舗とオンラインの融合)を強化しています。二つ目は、店舗の役割の見直しです。都市の店舗において、物を販売する以外にリアルな体験や新たな物との出会い、人とのつながりなど様々な価値を提供することが可能です。当期はアミューズメント要素の導入や、オリジナルの動員催事を開催し多くのお客様に来店いただくことができました。好立地な場所の強みを活かして様々な情報を発信するメディア機能、価値の高いモノ・コトを紹介するギャラリー機能、エンタテインメント機能、ソリューション機能なども継続して強化しており、店舗の魅力化と収益の多元化の実現に努めています。三つ目は、百貨店・SC事業に依存しない事業ポートフォリオへの転換に向け、デベロッパー事業や決済・金融事業の強化、新規事業開発を進めていきます。新設のCVC「JFR MIRAI CREATORS FUND」やM&Aを活用した他社提携、協働による事業開発に取組みます。これらの変革をスピーディに推進することで、当社事業の完全復活、再成長への道筋を確かなものとしていきます。 3加速度を増すデジタル化への対応影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識EC化の進展などデジタルシフトによる消費行動の変化は、従来のリアル店舗に依存したビジネスからの変革や新たな事業領域でのビジネスモデル構築の必要性を高めました。デジタル化への対応方法やスピードと、それを支える人財の育成は、当社グループ全体の成長を左右する重要なものであり、また同時に業務の生産性向上においても極めて重要なものであると考えています。マイナス面 プラス面 ・グループ全体の成長の停滞・デジタル化の遅延による競争力の低下 ・デジタルの活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化、ペーパーレス化対応策 デジタル化への対応策として、マーケティングの高度化に向けた統合データベースの活用や、テクノロジー活用による新ビジネスモデル構築を推進しました。さらにメタバース・WEB3.0関連企業への出資やパルコでのNFTでの取り組み等も積極的に進めており、今後はグループの既存事業の対応と新規事業の創出、両方につなげていきたいと考えています。業務の生産性向上の視点としては、事務所移転を行い、リモート会議に適したブースの設置、インターネット接続環境の改善などにより、リモートワーク勤務においてもコミュニケーションの質と量を向上させるためのオフィス環境の整備を行いました。デジタル人財育成の観点では、JFRグループデジタル戦略で掲げている、カスタマーデータドリブン経営の実践による3つの戦略への寄与を目的として、その実現を支えるために必要となる「データ活用」と「ビジネスデザイン」の強化のため、「データアナリスト」「デジタルデザイナー」の育成を始めています。 (*1)メタバース:「メタ(超)」「ユニバース(宇宙)」の造語。仮想空間やそこでコミュニケーションを行えるサービスプロダクト全般WEB3.0:主にブロックチェーン技術によって実現されようとしている、新しい分散型のウェブ世界NFT:Non-Fungible-Token(ノン・ファンジャブル・トークン)。唯一無二性をブロックチェーン技術を利用して証明する技術 4ポストコロナにおける消費行動の変化影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識 2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に変更されることになり、経済社会活動への制約が解消に向い、景気への影響は徐々に小さくなっていくと考えます。コロナ禍を契機として、「自分がどうありたいか」を重視する価値観への変化や社会的価値に重きを置いた消費行動が進み、生活者のサステナビリティ志向が拡大し、シェアリングエコノミー市場も広がりを見せています。多岐に渡るモノ・サービスを扱う事業を展開する当社グループでは、ポストコロナの消費の行方に目配りをし、どう適応していくのかを見極めて事業を展開していくことが重要です。消費行動・ニーズの変容に適応できないなど、リスクが顕在化し、業績が急速に悪化することで、固定資産の減損や、繰延税金資産の減額が必要となる場合には、経営成績や財政状態等に更に悪影響を及ぼす会計・税務上のリスクも存在しています。 マイナス面 プラス面・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反 ・新規マーケットの創造対応策 当社グループでは、「自分がどうありたいか」を重視する価値観の台頭に対応するビジネスを検討しています。一例として、化粧品OMOショッピングサイト「DEPACO」がECとメディア機能が融合した「メディアコマース」としてリニューアルオープンしました。メディアでお客様は有益な情報を得ながら、同じサイト内を回遊して便利にお買い物ができる構造になっています。お客様の購買体験の魅力化や利便性向上に資するOMOについては今後も進めていきます。また、ラグジュアリー、時計、アートなど、商品そのものが持つ価値やその背景が豊かな生活につながるような商品はお客様に支持され、順調に売上を拡大しています。社会的価値に貢献することに重きを置いた消費行動に応えるものとしては、サステナブルをキーワードとした商品・サービスの開発に力を入れています。サーキュラーエコノミーの取り組みとして、ファッションサブスクリプションのアナザーアドレスはメンズラインを2023年3月よりスタートし、さらに促進していきます。また、地域社会への貢献として地域のステークホルダーとの共創、中小企業との連携による地域魅力発信なども推進しています。会計・税務上のリスクである固定資産の減損は、将来キャッシュ・フローの見積りについて、また繰延税金資産の回収可能性の評価は、将来課税所得の見積りについて、事業計画を基礎としており、適正な計画を維持すべく適時に見直しを行っています。 ■戦略リスク 都市の分散化(都市と地方のリバランス)5影響度:大将来の見通し リスク認識・当社グループが保有する不動産は全国に点在しているため、それぞれの立地の特性や動向は、事業を展開していく上で常に注視すべき重要なリスクと捉えています。・多くの都市がインフラ更新の時期を迎えており、また、将来の人口減を見据え、魅力的な街づくりを模索している中、その都市の特徴を捉え、都市開発に貢献していくことができれば、地域の発展とJFRグループ収益の拡大という両面を実現できると考えています。対応策・2022年10月にデベロッパー事業の組織再編として、デベロッパー新会社「J.フロント都市開発株式会社」をJFR直下に設置することを発表、2023年3月から稼働を開始しました。・また、グループ各社が保有する不動産の戦略的活用を迅速かつ円滑に進めるため、2023年3月よりJFRに「CRE戦略統括部」を新設し、経営戦略統括部の配下にあった「CRE企画部」の機能を移管しました。・上記組織再編を通じ、従来以上にグループの全体最適、かつ中長期の視点から機動的かつ迅速な意思決定を可能とし、地域との共生や魅力的な街づくりを推進しています。 加速する所得の二極化6影響度:大将来の見通し リスク認識・ロシアのウクライナ侵攻に起因する物価高は、中間層に打撃を与えています。消費行動はシビアになっており、需要の取込が一層難しくなっています。・一方で、富裕層は世界的に増加しており、日本においても増加しています。その中には、若年層やパワーカップルも含まれており、高い購買力を有しております。・お客様一人ひとりのニーズを捉え、いかに対応できるかが重要な課題となっています。対応策・マスマーケットの商品・サービスは、適正規模に見直し、細分化を図っています。・一方で、拡大する富裕層マーケットにおいては、ラグジュアリー、アート、時計など需要の高いカテゴリーを強化し、富裕層のニーズに対応しています。・戦略的に改装投資を行い、対象商品を充実させるとともに、現代アートにおける当社プレゼンスを高め、ギャラリーとの協業による希少性の高い商品の提供も実施しています。 顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化7影響度:大将来の見通し リスク認識・コロナ禍で婚姻数も低下し、2022年度は出生者数が統計史上最低を更新しました。・岸田政権では、抜本的な少子化対策を検討していますが、その成果が表れ消費の担い手となるまでには相応の期間が必要となります。・当面は、人口減が継続し、高齢化が進展する社会を前提に、当社グループの戦略を検討していく必要があると認識しています。対応策・少子化、所得の二極化と呼応して子ども市場も二極化している中、当社グループは、上質な子供服・用品市場や教育事業へ重点的に対応しています。英語教育を特徴とする保育事業に参入しているのもその一環です。・一方、「ライフシフト(人生100年時代への移行)」が進み、経済力があり生活を楽しむシニア層が増加しています。シニア層の外商顧客に対して、係員が寄り添いオンラインでの商品紹介・販売を通じて利便性を高めています。 ■戦略リスク 外国人マーケットの不透明さ8影響度:大将来の見通し リスク認識・2023年度に入り、外国人渡航者に対する水際対策が撤廃されました。今後は、中国人渡航者の増加や諸外国との定期便の増加が予想され、近い将来インバウンド消費はコロナ前の水準まで回復する見込みです。・更に、日本政府は、2030年の訪日外国人旅行者数6,000万人、同消費額15兆円を目標としており、中長期的にインバウンド消費は拡大していくと予想しています。対応策・大丸心斎橋店では、インバウンド顧客専用のVIPラウンジを設置し対応を強化しました。・また、「越境EC」において、日本の優れたビューティーケア商品の紹介・販売を通じた新たなインバウンドでの売れ筋商品の育成・発掘に取組んでいます。・また、現状の物販だけにとどまらず、旅行サロンを運営しているラグジュアリーツアーの提供など、新たなコンテンツを開発、提供出来るよう検討しています。 業際を超えた再編、M&Aの加速9影響度:大将来の見通し リスク認識・上場企業における事業の選択と集中の必要性の高まり、非上場企業における経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズの増加、継続する金融緩和による良好な資金調達環境等を背景に、M&Aニーズは高まっており、今後M&Aは一段と増加すると考えています。・ステークホルダーの価値観が大きく変わっていく中、M&Aは、確実に必要性・重要性が高まっており、攻めと守りの両方の観点から、注力すべき領域と認識しています。対応策・攻めの観点では、JFRグループのCVCを設立し、スタートアップ企業との資本・業務提携によるR&D強化を実践しています。・また、eスポーツチーム「SCARZ」を運営する「株式会社XENOZ」を買収し子会社化することにより、今後成長が期待されるeスポーツ事業に本格的に参入するとともに、パルコや百貨店など既存事業とのシナジー創出、新たな価値創造に取り組んでいます。・守りの観点では、グループ事業の選別と経営資源配分の最適化を進め、成長性や資本効率性を高めることにより、企業価値を向上させていきます。 ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展14影響度:大将来の見通し リスク認識・労働力人口の減少、雇用の流動化進展を背景に、専門人財をはじめとする獲得競争が激化する中、企業成長を支える、人財の獲得と人財の質向上は、企業の主要な課題です。・企業には人財を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す投資を続けることにより企業価値を向上させていくことが求められます。人財が十分に力を発揮できる組織の構築も重要であり、人財・組織改革の進展は今後の企業経営に深く関わるリスクです。対応策・当社の人財価値基準である「人財力主義」に基づき人的資本を可視化し、戦略遂行に必要な人財ビジョン実現に向けた効果的な人財投資をすることを通じて、グループビジョンの実現を後押しし、従業員を含むステークホルダーのWell-being Lifeの実現に努めます。・人財確保・育成に向けて、高度専門人財の採用強化や公募を活用したグループ人財交流を進めていますが、今後はリスキリングを含む人財育成・教育の強化に重点的に資源投下を行っていきます。 ■ハザードリスク 頻発する自然災害・疫病10影響度:非常に大将来の見通し リスク認識・南海トラフ地震や首都直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。・新型コロナウイルス感染症については、感染状況の収束、社会活動の正常化が見通されるものの、新たな変異株の感染再拡大や新たな疫病の発生など類似のパンデミック(世界的な大流行)の可能性があります。・このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。対応策・事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備し、定期的な訓練の実施等により体制を強化していきます。・新型コロナウイルス感染症の対応分析をふまえ、今後新たな感染症が発生した際にも、人命の安全確保や事業への影響の極小化、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応していきます。また、感染症の動向を注視し、流行の予兆が見られる場合には、複数のシナリオによる影響分析を行い能動的に対応していきます。 情報セキュリティの重要性向上11影響度:大将来の見通し リスク認識・リモートワークの定着、クラウドやモバイル利用などの業務が拡大していく一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手法の多様化、高度化が急速に進展しており、当社グループを取り巻くサイバーリスクは一層深刻化しています。また、当社グループは顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管、取り扱いについてより堅牢な仕組みの導入やシステムセキュリティ対策が必須となっています。・当社グループにおいては、情報セキュリティについて重要性が増しており対応の優先度が高いリスクの一つと位置づけています。しかしながら、外部からの攻撃や人為的なミス、委託先の管理不備等により重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、被害の規模によっては当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。対応策・当社グループ共通のシステムインフラの整備・高度化、情報システムの安全稼動及び堅牢性の高いセキュリティの構築を継続して推進していきます。サイバーインシデントは年々多様化・複雑化してきており、ハード・ソフト両面での一層の取り組みが必要であると考えています。・セキュリティ型ネットワークの構築や新認証基盤(多要素認証)の拡大などグループ共通のシステムインフラの整備を推進していくとともに、新ソリューションや外部監視サービスを活用した監視体制の強化、脆弱性に関する管理対象範囲の拡大、対応品質の向上による情報漏洩等の未然防止などセキュリティ運用の高度化を推進していきます。また、グループセキュリティガイドラインの改訂、セキュリティインシデント対応体制の強化などリスクの最小化に向けた取り組みを推進していきます。同時に、IT担当者を対象としたインシデント対応訓練の実施、全従業員を対象とした情報セキュリティe-ラーニングや標的型攻撃メール訓練の継続的実施などにより、セキュリティ意識とリテラシーの向上を図っていきます。 ■ファイナンスリスク 資金調達マネジメントの重要性の向上12影響度:大将来の見通し リスク認識・日本銀行総裁の交代により、今後の金融政策の変更、及び資金調達環境の変化を注視していく必要があります。・新型コロナウイルス感染症の事業に対する影響は沈静化傾向にあるとみており、緊急に資金を調達する必要性は低下してきていますが、資金調達マネジメントは、グループ全体の成長を支える経営基盤構築のためにも引き続き影響度が大きなリスクです。対応策・当社は、従来から事業特性を勘案して、固定金利での長期調達比率を高くしており、金利上昇によって急激に支払利息が増加するなど、短期的に大きな影響を受けることのない仕組みを導入しております。・一方で、今後は成長戦略の推進に伴う大型投資を想定しており、資金需要の面からも支払利息が増加していく可能性があるとみています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。 環境変化に対応できるコスト構造の必要性13影響度:非常に大将来の見通し リスク認識・ウクライナ侵攻に端を発する原材料・物価高、世界経済の減速など当社グループの業績に打撃を与える環境変化が起こっていますが、今後も社会情勢の変化による企業影響の先行きは不透明です。・このような状況下で、損益分岐点を引き下げ、環境変化に対応できる体制への変革は、事業基盤を強固にし、再成長に向かうため、対応への成否が問われる非常に重要なリスクです。対応策・コスト削減策として、働き方の見直しを伴う事務所再編、業務委託など経費構造改革や要員構成見直し、グループ横断で経費を管理する体制を強化などに取り組んできました。・今後は、固定費を中心とした構造改革の推進に加えて、エネルギー価格の高騰などを踏まえて、変動費を中心とした管理可能経費の削減にも注力し、利益確保につながる経費対策を実施していきます。 JFRグループ「企業リスク」一覧 分類番号項目影響度将来の見通し(*)マイナス面プラス面対応策戦略リスク1サステナビリティ経営の高度化非常に大・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上・社会的価値と経済的価値を両立するCSV実践・マテリアリティへの対応2既存の事業モデルの衰退非常に大・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・顧客接点のデジタル化・店舗の役割の見直し・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発3加速度を増すデジタル化への対応非常に大・グループ全体の成長の停滞・デジタル化の遅延による競争力の低下・デジタル活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化、ペーパーレス化・統合データベース活用・メタバースなど新たな市場でのビジネスモデルの構築・デジタル人財の育成4ポストコロナにおける消費行動の変化非常に大・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反・新規マーケットの創造・購買体験の魅力化や利便性向上に資するOMO促進・サステナブルな商品・サービス開発・事業計画の適正な適時見直しの実施5都市の分散化(都市と地方のリバランス)大・都心立地の従来型商業施設の集客力低下・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開・グループ不動産の戦略的活用を迅速かつ円滑に進めるため、組織を再編・エリアとの共生、多様な都市生活提案と複合再開発による魅力的な街づくりの推進6加速する所得の二極化大・マスマーケットの縮小による売上減少・新たな中間層需要の掘り起こし・新富裕層マーケットの開拓・マスマーケットの商品・サービスの適正規模への見直し、細分化・ラグジュアリー、アート、時計など需要の高いカテゴリーの強化、希少性の高い商品の提供7顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化大・国内市場規模の縮小・シニアマーケットの拡大・上質な子供服用品、教育事業への重点対応・シニア顧客の買い物の利便性向上やウェルネスなど関心の高いカテゴリーの強化8外国人マーケットの不透明さ大・インバウンド売上回復の遅延・インバウンド売上の回復、拡大・ECやライブコマースの展開による外需獲得・インバウンド顧客専用ラウンジ設置・越境ECによるインバウンドでの売れ筋商品の育成・発掘・ラグジュアリーツアーの提供など、新たなコンテンツの開発、提供準備9業際を超えた再編、M&Aの加速大・当社グループの敵対的買収・事業ポートフォリオの組み換え・M&A活用による新規事業への参入、既存ビジネスとのシナジー・既存事業の選別、経営資源配分の最適化・スタートアップ企業との資本・業務提携によるR&D強化・eスポーツ事業に本格的に参入14ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展大・優秀人財の流出、人財獲得競争での劣後・従業員のモチベーション低下・従業員のエンゲージメント、組織力の向上・事業戦略の推進、イノベーションの創出・「人財力主義」に基づく人財投資を通じた従業員のWell₋Being Life実現・専門人財の採用環境整備、グループ人財交流、人財教育 分類番号項目影響度将来の見通し(*)マイナス面プラス面対応策ハザ|ドリスク10頻発する自然災害・疫病非常に大・お客様・従業員の人命損傷・事業継続の危機・事業の安定運営・実践的なBCP訓練の継続的な実施・事業継続計画の定期的な見直しの実施・新たな感染症への備えの強化11情報セキュリティの重要性向上大・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜・業務の遅延・停滞・業務やシステムの安定稼動・業務の効率化、リモートワークの推進・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進・セキュリティ運用の高度化推進と対応体制の強化・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上ファイナンスリスク12資金調達マネジメントの重要性の向上大・資金コストの高止まり・資金コストの引下げ・成長戦略推進のサポート・固定金利での長期調達・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択13環境変化に対応できるコスト構造の必要性非常に大・収益性の低下・投資の抑制・事業ポートフォリオの変革・事業基盤の強化・オフィス再編、要員構成の見直しなどによるコスト削減・グループ横断での経費管理体制の強化(*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。 :影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク (4)TCFD提言に沿った情報開示①JFRグループが目指すサステナビリティ経営当社グループは300年、400年という歴史の中で数々の危機に遭遇してきました。そうした状況に直面するたびに、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是に立ち返り、お客様や社会の変化を機敏に捉えながら事業活動を愚直に実践してきたことが、今日の経営につながっています。社会との共存なくして企業の発展はありません。いま経営には、一層の長期視点により、社会に存在意義を放つ将来のあるべき企業像を描くことが不可欠となっています。環境や社会、人権などの課題から目を背けて企業活動を行うことができないのは明らかです。そのような課題の解決に向けたサステナビリティの概念を企業戦略や事業戦略に組み込むことにより、将来の成長に向けた持続可能な経営の枠組みを獲得できるものと考えています。このような考えのもと、当社は、2021年度からスタートした中期経営計画において、社是を基軸にサステナビリティを経営の中核に据え、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組むことを明確にしました。特定した7つのマテリアリティそれぞれについて、リスクと機会の両面を捉え、ビジネスチャンスを創出することで、社会価値と経済価値を両立するCSV(共通価値の創造)を実践するとともに、お客様、従業員、お取引先様などすべてのステークホルダーの「Well-Being Life」を実現していきます。(図1・表1) 図1 サステナビリティ経営の全体像 表1 JFRグループが取り組む7つのマテリアリティマテリアリティ2030年度目標JFRグループの持続可能な社会の実現に向けたコミットメント脱炭素社会の実現脱炭素社会をリードし次世代へつなぐ地球環境の創造私たちは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐため、再生可能エネルギーの調達拡大や、省エネルギーの徹底等に全社一丸となって取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。サーキュラー・エコノミーの推進サーキュラー・エコノミーの推進による未来に向けたサステナブルな地球環境と企業成長の実現私たちは、お取引先様やお客様との協働により、新たな環境価値を生み出すための革新的なビジネスモデルを創造し、サーキュラー・エコノミーにおける競争優位性を獲得します。サプライチェーン全体のマネジメント お取引先様とともに創造するサステナブルなサプライチェーンの実現私たちは、お取引先様とサステナビリティに対する考え方を共有し、共に社会的責任を果たすことを通じて、サプライチェーン全体で持続可能な未来の社会づくりに貢献します。お取引先様とともに創造するサプライチェーン全体での脱炭素化の実現私たちは、お取引先様とともに、環境に配慮した製品やサービスの調達等に取り組むと同時に、再生可能エネルギー化、省エネルギー化に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素社会の実現に貢献します。お取引先様とともにサプライチェーンで働く人々の人権と健康を守るWell-Beingの実現私たちは、お取引先様とともに、サプライチェーンで働く人々の人権が守られ、健康に働き続けることができる職場環境づくりを実現します。地域社会との共生地域の皆様とともに店舗を基点とした人々が集う豊かな未来に向けた街づくりの実現私たちは、地域のコミュニティ、行政、NGO・NPOとともに、店舗を基点として、地域資産をいかした持続可能な街づくりに貢献します。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人々にワクワクするあたらしい体験を提供します。お客様の健康・安全・安心なくらしの実現未来に向けたお客様の心と身体を満たすWell-Beingなくらしの実現私たちは、お客様の心身ともに健康なくらし、安心なくらしに寄り添う高質で心地よい商品やサービスを提供することにより、お客様それぞれの自分らしいWell-Beingと心豊かなワクワクする未来を提案します。未来を見据え安全・安心でレジリエントな店づくりの実現私たちは、防災や感染症リスク、BCP(事業継続)に対応し、店舗のレジリエンスを高めます。また、それと同時にデジタルを活用したオペレーションを構築することで、安全・安心に配慮した新しい顧客接点を創造し、社会の期待に応える店づくりを推進します。ダイバーシティ&インクルージョンの推進すべての人々がより互いの多様性を認め個性を柔軟に発揮できるダイバーシティに富んだ社会の実現私たちは、多様性と柔軟性をキーワードにステークホルダーすべての人がダイバーシティの本質である異なる個性や視点を大切にし、多様な能力を発揮できる企業をつくります。また、多様な個性や能力が相互に影響し、機能し合うこと(インクルージョン)により、イノベーションを生み出し、多様なお客様の期待に応え事業の成長を目指します。ワーク・ライフ・インテグレーションの実現多様性と柔軟性を実現する未来に向けた新しい働き方による従業員とその家族のWell-Beingの実現私たちは、ニューノーマル時代の新しい働き方として、多様性と柔軟性をキーワードにした働き方を促進し、同時に心身の健康を保ちます。これにより、従業員と家族のWell-Beingを実現し、組織の生産性向上につなげます。 ②「JFRグループ 2050年ネットゼロ」実現に向けた対応策昨今、気候変動が極めて深刻なレベルまで進行し、将来世代はもちろんのこと、現世代の私たちを含め人類がその危機に晒されています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2018年、「1.5℃特別報告書」において、「1.5℃目標の達成には2050年までのネットゼロ※1 が必要である」との科学的指標を示し、また、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※2 が、2021年、科学的知見に基づいた「企業ネットゼロ基準」を公表しました。今や、遅くとも2050年までの1.5℃目標達成に向けたネットゼロの必要性は、企業にとって看過できない状況となっています。以上の社会情勢を踏まえ、当社グループは、気候変動をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけており、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、対策に取り組んでいます。当社グループは、2019年に、Scope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標において、SBTイニシアチブによる認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2温室効果ガス排出量削減目標を、従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、SBTイニシアチブが定める「1.5℃目標」として認定を再取得しました。また、2023年2月には、Scope1・2・3温室効果ガス排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。当社グループは、マテリアリティ(表1)に掲げている「脱炭素社会の実現」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組み、バリューチェーン全体で2050年までのネットゼロを目指します。具体的には、省エネの徹底や店舗の再生可能エネルギー切り替え拡大等によるScope1・2温室効果ガス排出量削減、お取引先様やお客様との協働によるScope3温室効果ガス排出量削減に取り組むとともに、3R強化やサーキュラー型ビジネスの拡大等の取り組みを推進していきます。 ※1 温室効果ガスの排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による 除去量を差し引いて実質ゼロにすること※2 企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、 国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で設立 ③TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示当社グループは、2019年、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。TCFD提言は、世界共通の比較可能な気候関連情報開示の枠組みであり、企業に対し、4つの項目「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に沿って開示することを推奨しています。(表2)当社グループは、TCFD提言を気候変動対応の適切さを検証するガイドラインとして活用するとともに、機関投資家等との積極的な対話を実施し、効果的な情報開示を行っていきます。 表2 TCFD提言が企業に求める4つの開示推奨項目開示項目具体的な開示内容ガバナンス(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象(b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法リスク管理(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細(b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況戦略(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス指標と目標(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績出典:気候関連財務情報開示タスクフォース「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」(2017年) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境課題に関する具体的な取り組みについて、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で協議・決議しています。また、年2回以上開催されるサステナビリティ委員会において、グループ経営会議で協議・決議された環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。取締役会は、グループ経営会議およびサステナビリティ委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を行っています。(図2)なお、当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性および経験等についてスキルマトリックスで明確にしており、その項目の一つに「環境」を掲げています。事業活動を通じた環境課題の解決に向けた中長期目標を含む環境計画に対し、具体的な行動計画や定期的なレビュー、継続的改善の取り組み状況を適切に監督できる取締役を選任することで、環境課題に対する取り組みの実効性を高めています。 (b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法代表執行役社長は、グループ経営会議の長を担うと同時に、直轄の諮問委員会であるリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。グループ経営会議およびサステナビリティ委員会で協議・決議された内容は、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表3・表4) 図2 JFRグループ 環境マネジメント体制 表3 JFRグループの環境マネジメントにおける会議体および実行主体と役割会議体および実行主体役割会議体取締役会業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組みの進捗を監督する。毎月開催。グループ経営会議業務執行の最高意思決定機関として、全社的な経営に係る方針や施策について協議・決議する。リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会で論議された環境課題を含む包括的なリスク・機会に対する全社的な経営方針等についても協議・決議を行い、決議した事項は取締役会へ報告される。毎週開催。リスクマネジメント委員会環境課題を含む包括的なリスク・機会の特定、評価および対応策等について協議を行うとともに、事業会社のリスク対応のモニタリングを実施する。委員会での協議内容は取締役会へ報告される。年3回開催。サステナビリティ委員会グループ経営会議で協議・決議された環境課題を含むサステナビリティに係るより詳細な課題への具体的な対応策を協議する。気候関連についてはリスク・機会を踏まえたグループ長期計画とKGI/KPIに基づく各事業会社の進捗状況のモニタリング等を実施する。また、気候関連に精通した有識者との対話も行う。協議内容は取締役会へ報告される。年2回以上開催。実行主体代表執行役社長グループ経営会議の長を担うと同時に、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長を担う。気候関連のリスク・機会の特定・評価・対応、環境課題解決に向けたグループ全体の取り組み推進など、環境課題に係る経営判断の最終責任を負う。事業会社経営会議での決議事項、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会での協議内容を受け、各事業会社における環境課題への具体的施策を計画・実行するとともに、その進捗状況をJFRグループのリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会へ報告する。サステナビリティ推進部サステナビリティ経営を推進するためのグループ方針等について立案・提案を行う。気候関連については、リスクおよび機会に関する情報を収集するとともに、中・長期的な取り組みの方向性等を立案し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会へ報告する。 表4 サステナビリティ委員会における気候変動に関する主な議題 2021年度4月・Scope3温室効果ガス削減に向けたお取引先様との取り組み・2021年度サステナビリティ実行計画・2021年度お取引先様アセスメント(環境含む)実施概要・サステナビリティ方針の改定・グループ全体の2020年度KPI進捗状況9月・外部講師講演「ESG情報開示の重要性」・お取引先様アセスメント(環境含む)実施・グループ全体の2021年度上期KPI進捗状況2022年度4月・外部講師講演「ESG・サステナビリティ経営」・2022年度サステナビリティ実行計画・2021年度お取引先様アセスメント(環境含む)結果・グループ全体の2021年度KPI進捗状況9月・グループ全体の2022年度上期KPI進捗状況 <リスク管理>(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。当社グループは、気候関連リスク・機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候関連リスク・機会を特定し、その重要性を評価しています。(図3)はじめに、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目である「商品調達」「輸送・配送」「店舗販売」「商品、サービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候関連リスク・機会を網羅的に抽出します。次に、網羅的に抽出した気候関連リスク・機会の中から、当社にとって重要な気候関連リスク・機会を特定します。最後に、特定した気候関連リスク・機会について、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの評価基準に基づき評価しています。 (b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細当社グループは、環境課題に係るリスクについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表5) (c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、リスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会では、毎年実施する環境分析をもとに、リスクが顕在化する可能性の程度・時期や事業への影響の観点で、気候関連を含む包括的なリスク・機会を特定し、対応策を審議しています。また、中期的に当社グループ経営において極めて重要度が高いものは「企業リスク」として中期経営計画に反映し、対応しています。リスクマネジメント委員会での協議内容は、グループ経営会議に報告されるとともに、サステナビリティ委員会に共有されます。なお、上記一連のプロセスにおけるリスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での協議内容、グループ経営会議での決議事項については、それぞれ適時取締役会に報告しており、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。(※全社リスク管理の仕組みは15-17ページ参照) 図3 JFRグループ リスク管理プロセス表5 JFRグループ リスク管理体制 リスク管理プロセス担当する会議体および実行主体リスクの識別・評価・絞り込み・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)リスク対応・事業会社モニタリング・報告・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象) <戦略>(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細当社グループは、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の実行期間である2023年度までを短期、SBTにおける目標達成年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。(表6)当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、当社グループの戦略を策定し、対応しています。 表6 JFRグループにおける気候関連リスクと機会の検討期間の定義気候関連リスク・機会の検討期間JFRグループの定義短期2023年度まで中期経営計画の実行期間中期2030年度までSBTにおける目標達成年度までの期間長期2050年度までSBTネットゼロ目標年度までの期間 (b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度当社グループは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および、新たな気候関連政策・規制は導入されない世界を想定した4℃シナリオの2つの世界を想定しています。(表7)この2つのシナリオを踏まえ、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。(表8) 表7 参照した既存シナリオ想定される世界既存シナリオ1.5℃/2℃未満シナリオ「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2022年)「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)4℃シナリオ「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2022年)「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年) 表8 JFRグループにおける気候関連リスク・機会の概要気候関連リスク・機会の種類発現時期JFRグループの気候関連リスク・機会の概要短期中期長期リスク移行リスク政策規制●● ・炭素税等の導入に伴うコストの増加・地政学的リスクに伴うエネルギー調達コストの増加技術●●●・再エネ調達の分散化と創エネ(PPAなど)によるコストの増加・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加市場●● ・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加・環境配慮型商品の需要増等、マーケット変化への対応遅れによる成長機会の喪失評判●● ・環境課題への対応遅れや、消費行動多様化への対応遅れによるレピュテーションの低下・投資家からの環境情報開示要求への対応不備による資金調達への悪影響・レピュテーション低下による人財採用および従業員エンゲージメントへの悪影響物理リスク急性●● ・自然災害による物流ルートの断絶・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少慢性 ●●・降雨量等気象パターンの変化に伴う農畜水産物の収量・品質の不安定化による調達コストの増加・気候変動に起因する感染症リスクによる従業員の健康被害の増加機会資源効率●● ・省エネルギー施策の強化によるエネルギー調達コストの減少・環境価値の高い店舗への転換によるエネルギー調達コストの減少エネルギー源●●●・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少・創エネルギー導入によるエネルギー調達コストの減少・再エネに係る新たな政策・制度の進展による再エネ調達コストの減少製品およびサービス●● ・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるサプライチェーン全体の脱炭素化および収益の拡大市場●●●・グリーンボンド等による資金調達先の拡大・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大・小売業の枠を超えた事業ポートフォリオの再構築と、環境配慮型商品市場への参入・拡大による収益力の向上・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大レジリエンス ●●・再エネ・省エネ・創エネ推進および調達先の多様化に伴うエネルギーレジリエンスの向上 (c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス当社グループは、網羅的に抽出・特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。(表9)なお、定性的財務影響については、矢印の傾きによって3段階で表示しています。 表9 JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および2030年度の財務影響:JFRグループの事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される:JFRグループの事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される:JFRグループの事業および財務への影響が軽微であることが想定される JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会財務影響対応策1.5℃/2℃未満シナリオ4℃シナリオリスク・炭素税等の導入に伴うコストの増加約14億円※1約9億円※1●2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加●グリーンボンド等を活用した資金調達●コスト効率的な設備導入・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加●インターナルカーボンプライシングの導入検討●コスト効率的かつ計画的な投資の検討・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加約7億円※2約3億円※2●再エネ調達手法の分散化による再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減●自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少約52億円※3約103億円※3●BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化●店舗の防災性能の向上機会・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少約5億円※4●高効率省エネルギー機器への適切なタイミングでの更新・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大●シェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるサプライチェーン全体の脱炭素化および収益の拡大●環境配慮型包装資材への切り替え等、環境配慮型製品・サービスの取扱い拡大●廃棄物削減のためのAI需要予測サービスの導入等、お取引先様との協働による脱炭素に向けた取り組み・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大●M&AやCVC※投資を有効活用したサーキュラー型ビジネスの立ち上げ●中期経営計画で策定した「リアル&デジタル戦略」の推進による販売チャネルの多様化・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大約10億円※5―●新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等)●RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進※CVC(Corporate Venture Capital):将来性のあるスタートアップ企業への投資を通じて、事業共創を効率的・効果的に推進する仕組み。当社は、2022年度、「JFR MIRAI CREATORS Fund」を設立し、オープンイノベーションを推進。 (2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2温室効果ガス排出量に1t-CO2あたりの炭素 価格を乗じて試算※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの 再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に洪水発生頻度を乗じて試算※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料変動率を 乗じて試算 当社グループは、マテリアリティ「脱炭素社会の実現」に向け、当社グループの事業活動について、上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンス(強靭性)を検証しています。 ・JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画当社グループは、2050年ネットゼロの実現に向け、1.5℃/2℃未満シナリオおよび4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点から戦略レジリエンスを強化していく必要があると考えています。そのため、当社グループは、2050年ネットゼロ実現に向けた移行計画を策定しました。(図4)同計画では、事業戦略において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指すため、短期・中期・長期的視点から、具体的取り組みを明確化しています。 図4 2050年ネットゼロ移行計画※ <指標と目標>(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。また、役員報酬では、業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、Scope1・2温室効果ガス排出量削減率目標を設定し、気候変動問題に対する執行役の責任を明確化しています。(※役員報酬と非財務指標は86ページ参照) (b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)当社グループは、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2022年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約11万t-CO2(2017年度比43.5%削減)、Scope3温室効果ガス排出量は、約277万t-CO2(2017年度比5.5%削減)を見込んでいます。また、再エネ比率は33.6%となる見通しです。(表10・図5・6・7)なお、2022年度のScope1・2・3温室効果ガス排出量および再エネ電力使用量は、第三者保証を取得する見込みです。 表10 JFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量実績および見通し(単位:t-CO2) 2017年度2021年度2022年度見通し実績※1実績※1見通し2017年度比(基準年度比)Scope1・2排出量 合計194,154122,812109,792▲43.5%内訳Scope1排出量16,05214,00413,715▲14.6%Scope2排出量178,102108,80896,077▲46.1%Scope3排出量※2 合計2,927,3202,420,4922,766,700▲5.5%再エネ比率(%)-20.333.6-※1 LRQAによる第三者保証を取得。2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインver3.3(2023年3月 環境省 経済産業省)」・IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)に基づき算出 (c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績当社グループは、世界全体の1.5℃目標達成のため、2018年に長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年にScope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標について「SBTイニシアチブ」による認定を取得しました。2021年には、マテリアリティの進化に伴い、2030年のScope1・2温室効果ガス排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、SBTイニシアチブが定める「1.5℃目標」として認定を再取得しました。また、2023年2月には、Scope1・2・3温室効果ガス排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。(表11)これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再生可能エネルギー由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100※」に加盟し、2050年までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率100%を目指します。また、その中間目標として、2030年までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率60%を目指します。今後も、2050年までのネットゼロの実現に向け、再生可能エネルギー由来電力の調達拡大に取り組みます。 ※事業活動で使用する電力を2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的イニシアチブ 表11 JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標 指標目標年度目標内容温室効果ガス排出量2050年Scope1・2・3温室効果ガス排出量ネットゼロ2030年Scope1・2温室効果ガス排出量60%削減(2017年度比)※1Scope3温室効果ガス排出量40%削減(2017年度比)※1事業活動で使用する電力に占める再エネ比率2050年事業活動で使用する電力に占める再エネ比率100%※22030年事業活動で使用する電力に占める再エネ比率60% ※1 SBT認定取得 ※2 2020年 RE100に加盟 図5 Scope1・2排出量図6 Scope3排出量図7 再エネ比率 今後も、当社グループは、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進め、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案・実行等、全社的な取り組みを進めていきます。
FY2022|28,649 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年5月27日)において当社グループが判断したものであります。 (1)リスクマネジメントの考え方と体制・リスクマネジメント当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。 ・リスクマネジメント体制当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支 援・指導・モニタリングを行う。・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリ スク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。 リスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントプロセス当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層および実務責任者の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「企業リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「企業リスク」を受けて識別した年度リスクを「JFRグループリスク一覧」にまとめ、「リスクマップ」を用いて評価を行い、優先度をつけて対応策を実行しています。「企業リスク」「JFRグループリスク一覧」は、半年に一度の頻度で、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。 下図は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「企業リスク」です。その中でも「1.サステナビリティ経営の高度化」「2.既存の事業モデルの衰退」「3.加速度を増すデジタル化への対応」「4.ポストコロナにおける消費行動の変化」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。 影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク 上記リスク以外の「企業リスク」 (3)直近の環境変化とリスク認識当社グループの経営にとって未曾有の打撃をもたらしている新型コロナウイルス感染症は、足許ではオミクロン株亜種への置き換わりが進み、新規感染者数は依然として高い水準を維持しています。今後も断続的に拡大する蓋然性は高く、予断を許さない状況です。ただし、これまでの感染対策の経験や、3回目のワクチン接種の進展、および経口治療薬の普及等により、感染拡大の影響は徐々に小さくなっていくと考えております。その一方で、ロシアのウクライナ侵攻は、当社グループに様々な影響を与えています。この侵攻を起因とした燃料価格や穀物価格の高騰が、その他の商品にも波及し、世界的な物価高をひき起こしています。この物価高への対応として、米国では既に政策金利の引上げを開始しており、欧州でも金利引上げに向けて準備を進めていますが、金利の引上げ幅やスピード次第で、景気後退や株価下落を招く可能性を有しています。一方、我が国では、景気回復に向け低金利を継続しており、これが急激な円安の一因となっています。この円安は物価高に拍車をかけ、消費者心理を確実に冷やしていき、さらに世界的な株安となった場合には、我が国の株価も追随し、より一層の消費停滞につながっていくなど、当社グループの業績にも大きな影響を与えます。また、上記以外にも、鉱物資源や半導体不足による納品遅延や価格の高騰、ロシア上空の航路迂回に伴う輸送費の引上げや入荷日の遅延など、様々な面で影響を受けています。このように、本年度も先行き不透明、かつ極めて厳しい経営環境の中で事業活動を強いられることになります。新型コロナウイルス感染症の影響は、消費者の価値観や消費行動、小売業に求めるものなどの変化をさらに加速させています。リモートワークの定着や人々の生活スタイル、さらには都市のあり方も大きく変わってきており、当社グループの中核事業である百貨店事業・SC事業は、新しい事業モデルへの進化が不可避な状況です。その対応策の一つとして、「リアル×デジタル戦略」を推進しています。リアルではラグジュアリーやアート、時計などの領域に重点投資しつつ、デジタルではオンライン活用ビジネスの拡大を進めることでリアルと融合した多様なチャネルを整備し、真に価値のある商品を適時・適切に提供していきます。また、コロナ禍で改めて認識したのは、サステナブルな取り組みでなければ支持されないということです。コロナ禍によって、生活者の「持続可能な地域や社会」への意識が高まっており、多くの企業もそれに合わせる形で自社の存在意義を再定義しようとしています。幸いにも、当社グループは、300年、400年前から続いている、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という、サステナビリティ経営につながる社是を有しており、今後も持続的な成長に向けて着実に歩みを進めてまいります。上記の環境変化を踏まえて更新した「企業リスク」は、有価証券報告書提出日現在において、皆様の投資等の判断に影響を与える可能性があるリスクと認識しており、当社グループのリスク定義(企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある)に則し、リスク認識および対応策を次頁以降に記載いたします。 1サステナビリティ経営の高度化影響度非常に大将来の見通し(*)当社のリスク認識地球温暖化や海洋汚染、新型コロナウイルス感染症の長期化、またサプライチェーン上の人権をめぐる問題など、企業を取り巻く環境への不確実性が高まる中、サステナビリティ経営への取り組みは、益々重要性を増しており、最上位に位置づけるリスクです。ステークホルダーの期待は、当社が持続可能な社会の実現に企業としていかに貢献するかであり、その期待に応える取り組みなしには当社自体の持続的な成長も望めないと考えています。マイナス面 プラス面・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下 ・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上対応策 当社グループでは、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”のゴールの姿をステークホルダーの「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」と位置づけています。その実現に向けて7つのマテリアリティ(※重要課題)を特定し、対応を図っています。 ※「脱炭素社会の実現」「サーキュラーエコノミーの推進」「サプライチェーン全体のマネジメント」「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」 「地域社会との共生」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」 「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」 言うまでもなく、環境問題や人権問題などについては企業の基本姿勢としてそれらの解決に向けて積極的に取り組む必要があります。一方でこういった問題の解決も含め、上記マテリアリティの中にビジネスチャンスを見出すことで、社会的価値と経済的価値の両方を同時に生み出すことも可能です。このようなCSVにおける価値創造ストーリーを明確にした取り組みが重要となっています。当期は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)モデルであるファッションサブスクリプション事業(定額制のファッションレンタルサービス)を立ち上げ、また、お客様の健康・安全・安心なくらしの実現の一環として、医療から物販・サービスをシームレスに提供する新しいコンセプトの医療ウェルネスモールの開発などを進めました。今後も当社グループの事業を通じて出会う多くの顧客、地域社会、お取引先様など重要なステークホルダーと連携し、社会課題を解決し付加価値を生み出す潜在的ニーズを発掘していきます。今後も当社らしい価値創造ストーリーを模索し、ステークホルダーのWell-Being Lifeを実現していきます。 (*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。 2既存の事業モデルの衰退影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識当社グループの各事業は、対面型のビジネスモデルが中心です。対面型のビジネスはコロナ禍で大きな制約を受けました。新型コロナウイルス感染症は見えない脅威から共生するものへと変化していますが、この間に生じた消費者、お取引先様などの変化はニューノーマル(新常態)となるものも多く、従来の事業モデルのままでは既存事業の衰退は避けられません。特に当社グループの主力である小売店舗の場の価値や役割は加速度を増して変化しており、事業モデルの変革が欠かせないと考えています。マイナス面 プラス面・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下 ・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長対応策 既存事業モデルの衰退につながる環境変化に対し、当社グループでは2つの方向で取り組みを進めています。一つは顧客接点のデジタル化です。場所・時間の制約のないデジタルにおいて顧客と販売員がつながり店舗と同様の付加価値サービスを提供することにより、従来の対面型ビジネスの弱みの克服に努めています。また、デジタルでの接点を通じて得られる購買にとどまらない行動データを分析することにより、マーケティングの精度向上につなげています。さらに、自由な時に自由に買い物がしたいという顧客ニーズに応えるため、オンラインでのUX(体験価値)を向上させ、OMO(リアル店舗とオンラインの融合)を強化しています。もう一つは、店舗の役割の見直しです。都心・準都心の大型店舗では、 物を販売する以外にリアルな体験や新たな物との出会い、人とのつながりなど様々な価値を提供することが可能です。当期は、D2C(クリエイター・生産者と消費者の直接取引)ブランドを集積した売場を開発しました。好立地な場所の強みを活かして様々な情報を発信するメディア機能、価値の高いモノ・コトを紹介するギャラリー機能、エンタテインメント機能、ソリューション機能なども継続して強化しており、店舗の魅力化と収益の多元化の実現に努めています。中心となる小売機能においてもマーケットの細分化が進む中、お取引先様と提携し、多様な消費者ニーズを満たす新たな売場開発に取り組んでいます。これらの変革を環境変化に劣らないスピードで推進することで、既存事業の再成長への道筋を確かなものとしていきます。 3加速度を増すデジタル化への対応影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識EC化の進展などデジタルシフトによる消費行動の変化は、従来のリアル店舗に依存したビジネスからの変革や新たな事業領域でのビジネスモデル構築の必要性を高めました。デジタル化への対応方法やスピードは、当社グループ全体の成長を左右する重要なものであり、また同時に業務の生産性向上においても極めて重要なものであると考えています。マイナス面 プラス面 ・グループ全体の成長の停滞・デジタル化の遅延による競争力の低下 ・デジタルの活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化、ペーパーレス化対応策 デジタル化への対応は、成長に不可避なものであり、ビジネスモデルの変革および業務変革の両面から進めています。ビジネスモデルの変革においては、百貨店のバーチャルマーケット出店やOMOによる顧客体験価値の最大化、決済手段の多様化、CRMの高度化に取り組みました。今後は、WEB3.0、メタバース、NFT(*1)等が消費者のライフスタイルを大きく変化させていく可能性が見込まれます。当社では、当年度より「グループデジタル統括部」と「グループシステム統括部」を新設しました。前者は、デジタル活用による収益拡大と統合データベースの環境整備、新ビジネスモデル構築の検討など、攻めのデジタル戦略を進めていきます。後者はシステムインフラの整備・高度化に取り組み、スピーディなビジネス展開、情報システムの安定稼働と堅牢なセキュリティの実現などを進めます。組織再編に伴い、デジタル人材の確保・育成も一層強化します。こういった取り組みの中には、テレワークやオンライン会議の拡大、ビジネス書類や印鑑などの電子化なども含まれていますが、これらは生産性、働き方の柔軟性を向上し、「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」にもつながっています。 (*1)WEB3.0:主にブロックチェーン技術によって実現されようとしている、新しい分散型の ウェブ世界 メタバース:「メタ(超)」「ユニバース(宇宙)」の造語。仮想空間やそこでコミュニ ケーションを行えるサービスプロダクト全般 NFT:Non-Fungible-Token(ノン・ファンジャブル・トークン)。唯一無二性をブロック チェーン技術を利用して証明する技術 4ポストコロナにおける消費行動の変化影響度非常に大将来の見通し当社のリスク認識消費者の価値観や消費行動は時代とともに変化するものですが、新型コロナウイルス感染症を契機として生じた変化の多くは、ポストコロナにおいても定着していくと想定しています。中でも他人の目よりも「自分がどうありたいか」を重視する価値観や、社会的価値に貢献することに重きを置いた消費行動は、今後も大きな潮流となっていくと考えます。多岐に渡るモノ・サービスを扱う事業を展開する当社グループでは、ポストコロナの消費の行方に目配りをし、どう適応していくのかを見極めて事業を展開していくことが重要です。マイナス面 プラス面・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反 ・新規マーケットの創造対応策当社グループでは、「自分がどうありたいか」を重視する価値観の台頭に対応するビジネスを検討しています。一例として、内外両面から豊かさや幸せを生み出すアートやコスメに着目し、当社グループの財産である「人」の力との掛け合わせで付加価値を高め、店舗とオンラインの二軸で提供しています。社会的価値に貢献することに重きを置いた消費行動に応えるものとしては、サステナブルをキーワードとした商品・サービスの開発に力を入れています。具体的には、環境への配慮としてサーキュラーエコノミーモデルの事業の立ち上げやリサイクルキャンペーン、廃棄物削減などを、地域社会への貢献として地域のモノ・コトの発掘・紹介やクラウドファンディングによる地元企業の応援などを推進しています。差別化が難しく価格や買いやすさを重視して消費行動が行われるコモディティ商品については圧縮を図り、新たな付加価値を提供するコンテンツへと入れ替えを進めています。現状の取り組みにとどまることなく、社内データの活用などにより絶えず消費行動の変化を捉え、新規マーケットを創造していきます。 都市の分散化(都市と地方のリバランス)5影響度:大将来の見通し リスク認識・リモートワークや職住近接などライフスタイルの変化が定着してきており、消費の場とし ての都心の優位性は相対的に低下し、その一方で地方都市や郊外が活性化してきていま す。・ただし、都心立地のオフィスや商業の期待利回りは直近でも安定しており、オフィスの賃 料も長期的に回復傾向にあるなど、都心の不動産需要は引続き底堅いと分析しています。・当社グループが保有する不動産は全国に点在しているため、都市と地方のリバランスにつ いては、事業を展開していく上で常に注視すべき重要なリスクと捉えています。対応策・当社グループは、2022年3月に「CRE(企業不動産)企画部」を新設し、グループ全体の不 動産開発や保有不動産に関する戦略の立案、および所有不動産価値の最大化を図っていま す。具体的には、グループ各社の保有不動産の取得、処分、売却に関する計画の立案や新 たな物件開発スキームの構築などを行い、当社グループのデベロッパー戦略を実現してい きます。・東京・名古屋・大阪・神戸・京都・福岡・札幌といった国内主要大都市のプライム立地の 店舗不動産については、既に大型商業施設の開発を中心に一定の成果をあげていますが、 その中でも、百貨店とパルコが隣接する心斎橋、名古屋、福岡地区を重点エリアと位置づ け、エリアとの共生、多様な都市生活提案と魅力的な街づくりを目指し、複合再開発を推 進しています。 加速する所得の二極化6影響度:大将来の見通し リスク認識・所得の二極化は確実に進んでおり、新型コロナウイルス感染症や、ロシアのウクライナ侵 攻に起因する物価高の影響は、中間層に打撃を与えています。・一方で富裕層の潜在的な購買力は引き続き高い水準を維持しています。今後も富裕層の資 産価値は増加が見込まれ、政策による格差是正がなされない限り、二極化はさらに進むと 認識しています。対応策・中間層の消費行動はシビアになっており、需要の取り込みが一層難しくなっています。そ こで、大量生産されるマスマーケットの商品・サービスは適正規模に見直し、細分化を図 ることで競争力のある商品を提供していきます。・一方で拡大する富裕層マーケットを見据え、プライムライフ戦略の目指す「こころ豊か で、サステナブルなライフスタイルを楽しむ生活者」への提案強化に取り組んでいます。 具体的には、百貨店の店舗においてラグジュアリー、アートをはじめ需要の高いカテゴリ ーの強化や専用ラウンジの設置などを、オンラインにおいて特別な顧客体験の提供やコン シェルジュサービス、希少性の高い商品の拡充などに力を注いでいます。・さらに、保険・金融商品、高級レジデンスなど小売領域にとどまらないコンテンツの提供 により、新たな富裕層の開拓を進めています。 顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化7影響度:大将来の見通し リスク認識・2021年は出生者数が統計史上最低を更新し、少子高齢化が継続しています。コロナ禍で婚 姻数も低下していることから、少子化は続くと見込まれます。 一方、医療技術の進歩や健康意識の高まりにより、長寿命化はさらに進み健康寿命も延び ることが想定されます。・このような人口動態は消費と関わりが深く、当社グループの戦略上、常に重要なリスクで す。対応策・少子化、所得の二極化と呼応して子ども市場も二極化している中、当社グループは、上質 な子供服・用品市場や教育事業へ重点的に対応しています。英語教育を特徴とする保育事 業に参入しているのもその一環です。・一方、「ライフシフト(人生100年時代への移行)」が進み、経済力があり生活を楽しむシ ニア層が増加しています。シニア層の外商顧客に対して、係員が寄り添いオンラインでの 商品紹介・販売を通じて利便性を高めています。・加えて、アートやカルチャー、ウェルネスなどシニア層の関心が高いカテゴリーの強化、 三世代で楽しむことができる図書館や水族館の導入など、モノ・コト両面でリアル店舗へ 足を運ぶ機会を提供しています。シニア顧客は当社グループの強みであり、今後も「Well- Being Life」の実現をサポートしていきたいと考えています。 外国人マーケットの不透明さ8影響度:大将来の見通し リスク認識・入国制限の緩和は緩やかであり、インバウンドは年度末まで見える変化がないことが危惧 されます。中国では厳格な感染症対策が敷かれ、経済の減速も顕著なほか、東アジア諸国 も経済成長の伸びが鈍化しています。・一方、外国人の日本への観光や日本製品に対する需要は底堅く、人の往来、経済の回復と ともに、外国人マーケットは以前の水準に戻ってくると見ています。対応策・インバウンド消費の回復には、まだ相当の期間を要します。消費スタイルの変化で化粧品 などの大量購入は少なくなることも予想されます。・一方、日本製品の品質・ブランドへの信頼は厚く、円安も追い風となることから、ニーズ に的確に対応し消費を喚起することは可能と考えています。人の往来の回復時に遅滞なく アプローチできるよう、情報収集するとともに、取引先連携や販売促進策の準備を進めて います。・また、ECやライブコマースをアジア圏において強化するなど、日本コンテンツの展開にも 取り組んでいます。 業際を超えた再編、M&Aの加速9影響度:大将来の見通し リスク認識・我が国におけるM&Aは件数・金額とも増加し、小売業界においても業際を超えたM&Aが活発 化しています。この要因として、上場企業における事業の選択と集中の必要性の高まり、 非上場企業における経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズの増加、金融緩和による良好な 資金調達環境が挙げられます。・今後、新型コロナウイルス感染症の経済影響が減少に向かえば、M&Aは一段と増加すると考 えています。・お客様の行動や価値観が大きく変わっていく中、M&Aは、確実に必要性・重要性が高まって おり、攻めと守りの両方の観点から、注力すべき領域と認識しています。対応策・グループ全体において、成長性や資本効率性の観点から、事業の選別と経営資源配分の最 適化を進めています。このことが、各事業の競争力や資本効率、ひいてはグループ全体の 企業価値を高め、敵対的買収への備えになると考えています。・他方、攻めの施策としては、「事業ポートフォリオ変革推進部」を新設し、リテール、デ ベロッパー、金融に次ぐ柱となる新規事業の検討・探索を行うと共に、それを担う事業会 社の事業創出・育成を支援します。・M&Aは、グループ事業ポートフォリオの最適化や経営の自由度を高めるための重要な選択肢 の一つであり、対象企業への出資や業務提携も含め、最適な形態を幅広く検討していきま す。 頻発する自然災害・疫病10影響度:非常に大将来の見通し リスク認識・経済のグローバル化により、国をまたぐ人の流れが常態化し、新型コロナウイルス感染症 と類似のパンデミック(世界的な大流行)が、近い将来また起こり得ると考えます。・2022年1月には南海トラフの地震発生確率が引き上げられるなど、地震リスクは高まって います。地球温暖化の影響もあり、台風・豪雨などがもたらす自然災害は、年を追うごと に発生頻度、被害規模ともに増大しています。・このようなリスクが顕在化し、業績が急速に悪化することで、固定資産の減損や、繰延税 金資産の減額が必要となる場合には、経営成績や財政状態等に更に悪影響を及ぼす会計・ 税務上のリスクも存在しています。対応策・新型コロナウイルス感染症での対応分析を踏まえ、今後新たな感染症が発生した際に、人 命の安全確保や事業への影響を極小化する緊急時対応と、平時における体制整備に関する 事項を定めた「新型感染症対応マニュアル」を刷新しました。・また、感染症の動向を注視し、流行の予兆が見られる場合には、複数のシナリオによる影 響分析を行い、能動的に対応していきます。・事業継続を脅かす自然災害に対する備えとしては、重要業務(資金、支払業務)の継続、 重要インフラ(システム等)確保の観点から体制を強化しています。また、被災からの迅 速な復旧・営業再開のためのBCP訓練を継続的に実施しています。・会計・税務上のリスクである固定資産の減損は、将来キャッシュ・フローの見積りについ て、また繰延税金資産の回収可能性の評価は、将来課税所得の見積りについて、事業計画 を基礎としていますので、適正な計画を維持すべく適時に見直しを行っています。 情報セキュリティの重要性向上11影響度:大将来の見通し リスク認識・リモートワークやクラウド利用拡大に伴い、企業の重要情報を狙ったサイバー攻撃やシス テムへの不正アクセスなどが世界的に増加しており、攻撃手口も巧妙化してきています。 また、プライバシー保護に対する意識も高まっており、顧客データの活用においては、よ り堅牢な仕組みの導入や、システムセキュリティの対策が必須となっています。・当社グループでは、情報セキュリティについては、重要性が増しており対応の優先度が高 いリスクの一つと位置づけています。対応策・2022年3月に、当社グループ全体のシステムインフラの整備・高度化や情報システムの安 全稼動と堅牢性の高いセキュリティの実現等を目的に、「グループシステム統括部」を新 設しました。昨今のインシデントは年々多様化・複雑化してきており、ハード・ソフト両 面での一層の取り組みが必要であると考えています。・ハード面では、端末の不審な挙動の検知や事故発生時に迅速に対応できるセキュリティ製 品および監視サービスを順次導入します。また、システム接続時の多要素認証により接続 可能なデバイスを限定し、パスワード漏洩時の不正ログインを防ぎます。・ソフト面では、近年のIT利用環境の変化を踏まえ、グループセキュリティガイドラインを 刷新します。また、最新のインシデントに関する情報に基づいた全従業員対象のeラーニン グや標的型攻撃メール訓練などを行い、リテラシーの向上を図っています。 資金調達マネジメントの重要性の向上12影響度:大将来の見通し リスク認識・日本銀行による新型コロナウイルス感染症の金融政策のうち、大企業向けの政策は終了 し、調達金利の上昇が懸念されます。また、ウクライナ危機に起因する物価高も中長期的 には金利上昇につながっていくなど、資金調達環境には変化が生じてきています。・新型コロナウイルス感染症の不確定さは徐々に解消しており、突発的に資金を調達する必 要性は低下してきていますが、資金調達マネジメントは、グループ全体の成長を支える基 盤構築のためにも影響度がなお大きいリスクです。対応策・新型コロナウイルス感染症の対応として、手許資金を平時に比べ厚く保有してきました が、その必要性は低下してきています。金利も上昇することが想定されることから手許資 金及び有利子負債は、感染症の動向など安全性に十分注意を払いながら適正化を図りま す。それに加えて、サステナビリティボンドなどのESG債、ESGローンでの調達を検討する など資金調達を多様化することで、サステナビリティ経営の推進をサポートしていきま す。・さらに、不動産やクレジット債権など当社グループが保有する資産を活用したアセットフ ァイナンスの強化も検討し、成長戦略の推進を側面から支えていきます。 環境変化に対応できるコスト構造の必要性13影響度:非常に大将来の見通し リスク認識・行政の休業要請等で店舗が営業制約を受ける可能性は後退しているものの、ウクライナ危 機による原材料・物価高、世界経済の減速など当社グループの業績に打撃を与える新たな 環境変化が起こっています。・損益分岐点を引き下げ、環境変化に対応できる体制への変革は、事業基盤を強固にし、再 成長に向かうため、対応への成否が問われる非常に重要なリスクです。対応策・当社グループでは、専門部署を設置して「ビジネスモデル改革によるコスト削減」「事業 基盤の絞り込み」の2つを柱に構造改革を推進してきました。2022年3月からは、業務を 所管する各部門が専門性を発揮し、スピードを高めて改革を推進しています。・コスト削減については、オフィス再編、各事業での業務設計や要員構成の見直し、グルー プ横断で経費を管理する体制を強化するなどに取り組んでいます。・事業基盤の絞り込みについては、非事業用資産の売却やグループシナジーの低減が見込ま れる連結子会社の株式譲渡などを進めてきましたが、2022年3月に「事業ポートフォリオ 変革推進部」を新設し、M&Aでの買収や提携を通じた当該事業の強化も視野に入れ、事業ポ ートフォリオの最適化を推進していきます。 ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展14影響度:大将来の見通し リスク認識・当社グループの経営戦略の遂行の成否は、戦略に適合した人財の確保が鍵となります。人 財確保においては、テレワークと出社のハイブリッドな働き方、家族や自分時間のプラ イオリティの向上などコロナ禍で加速した変化への対応が欠かせません。・さらに、人財が十分に力を発揮できる組織の構築も重要であり、人財・組織改革の進展は 今後の企業運営に深く関わるリスクです。対応策・事業戦略の変更に適応するため、当社の人財価値基準である「人財力主義」に基づき人財 ポートフォリオの可視化を進めています。それをもとに、リカレント(生涯を通じて学ぶ 意識の醸成)およびリスキリング(業務に必要なスキルの習得)プログラムによる人財開 発を進めるとともに、専門性の高い領域では、キャリア採用を積極的に行い人的資本の強 化に努めていきます。・人財の確保に際しては、生産性の向上に重きを置き、ワークライフバランスを重視する価 値観やライフステージの変化に柔軟に対応できる人事施策を実行します。・組織改革としては、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性を受け入れ活かし合うこ と)を柱とし、女性活躍を推進する社長直轄のプロジェクトを立ち上げ、女性管理職比率 の向上を重点指標に置き活動を開始しています。若手人財についても社長との対話機会の 設定や、成長戦略の一翼を担うプロジェクトへの参加などを通じ育成を図っています。 JFRグループ「企業リスク」一覧 分類番号項目影響度将来の見通し(*)マイナス面プラス面対応策戦略リスク1サステナビリティ経営の高度化非常に大・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上・社会的価値と経済的価値の両方を同時に生み出す価値創造ストーリーの明確化・ステークホルダーの「Well-Being Life」の実現2既存の事業モデルの衰退非常に大・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・顧客接点のデジタル化 ~店舗同様の付加価値の提供とマーケティングの精度向上・店舗の役割の見直し ~体験、出会い、人との繋がりの場の提供3加速度を増すデジタル化への対応非常に大・グループ全体の成長の停滞・テクノロジー活用遅延による競争力の低下・デジタル活用によるビジネスモデルの変革・業務の効率化、ペーパーレス化・顧客体験価値の最大化などビジネスモデルの変革・メタバースなど新たな市場でのビジネスモデルの構築・業務システムの標準化・効率化4ポストコロナにおける消費行動の変化非常に大・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反・新規マーケットの創造・消費行動の変化内容の分析・サステナブルな商品・サービスなど新規マーケットの創造5都市の分散化(都市と地方のリバランス)大・都心立地の従来型商業施設の集客力低下・都市の分散化に対応した事業展開・グループ全体の不動産開発や保有不動産に関する戦略立案、所有不動産価値の最大化・エリアとの共生、多様な都市生活提案と複合再開発による魅力的な街づくりの推進6加速する所得の二極化大・マスマーケットの縮小による売上減少・新たな中間層需要の掘り起こし・新富裕層マーケットの開拓・マスマーケットの商品・サービスの適正規模への見直し、細分化・リアル、デジタル両面での富裕層マーケットの深耕7顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化大・国内市場規模の縮小・シニアマーケットの拡大・上質な子供服用品、教育事業への重点対応・シニア顧客の買い物の利便性向上やウェルネスなど関心の高いカテゴリーの強化8外国人マーケットの不透明さ大・インバウンド売上低迷の長期化・インバウンド売上の段階的回復・ECやライブコマースの展開による外需獲得・インバウンドマーケット回復を見据えた販促策の準備・ECやライブコマースの展開強化9業際を超えた再編、M&Aの加速大・当社グループの敵対的買収・事業ポートフォリオの変革・M&A活用による企業成長・既存事業の選別、経営資源配分の最適化・新規事業の検討・探索と、それを担う事業子会社の開発促進や事業育成14ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展大・優秀人財の流出、人財獲得競争での劣後・従業員のモチベーション低下・従業員のエンゲージメント、組織力の向上・事業戦略の推進、イノベーションの創出・「人財力主義」に基づいた人的資本の強化・働き方の柔軟性を高める施策の実行・多様性を尊重した組織改革・様々な機会を通じた若手人財の育成 分類番号項目影響度将来の見通し(*)マイナス面プラス面対応策ハザ|ドリスク10頻発する自然災害・疫病非常に大・お客様・従業員の人命損傷・事業継続の危機・事業の安定運営・新型コロナウイルス感染症の対応分析による新たな感染症への備えの強化・複数のシナリオ策定と事業への影響分析・実践的なBCP訓練の継続的な実施・事業計画の適正な適時見直しの実施11情報セキュリティの重要性向上大・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜・業務の遅延・停滞・業務やシステムの安定稼動・業務の効率化、リモートワークの推進・インシデントの予防・検知を向上させる新たなセキュリティ対策の実施・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のリテラシーの向上ファイナンスリスク12資金調達マネジメントの重要性の向上大・資金コストの高止まり・資金コストの引下げ・成長戦略推進のサポート・手許資金及び有利子負債の適正化・サステナビリティボンドなど調達手段の多様化13環境変化に対応できるコスト構造の必要性非常に大・収益性の低下・投資の抑制・事業ポートフォリオの変革・事業基盤の強化・ビジネスモデル改革やオフィス再編、要員構成の見直しなどによるコスト削減・事業ポートフォリオ最適化の推進(*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。 :影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク (4)TCFD提言に沿った情報開示①JFRグループが目指すサステナビリティ経営JFRグループは、2021年度からスタートした中期経営計画において、サステナビリティ経営の考え方を明確にし、グループビジョンである“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”ことのゴールとして「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」を掲げました。新型コロナウイルスの感染拡大により世界が一変し、社会構造や消費構造が変わろうとしており、小売業に求める価値も変化しつつあります。不透明感が増す中、サステナビリティへの取り組みを推進し、グループビジョンを実現していくために、私たちは、コロナ禍を経たこれからの新しい豊かさ、安心、幸福につながるモデルについて、熟慮し、論議を重ねました。その結果、私たちが目指すべきグループビジョンのゴールは、すべての人の「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」の実現との結論に至りました。(図1)当社グループが考える「Well-Being Life」とは、従来の物質的豊かさ、経済的豊かさに加え、精神的豊かさ(知的、文化的豊かさ)、身体的豊かさ、社会的豊かさ、そしてそれらを取り巻く環境の豊かさを実現した「心身ともに豊かなくらし」です。JFRグループは、世界中、日本中の文化に根差すモノ・コトと消費者をつなぎ、「美」「健康」「高質」「カルチャー」「信頼」と「持続可能性」「つくる人とつかう人をつなぐ能力」を掛け合わせた視点で提案することで、ステークホルダーの皆様の「Well-Being Life」を実現していきます。 図1 サステナビリティ経営の全体像 サステナビリティ経営とは、社会課題の解決と企業成長を両立する経営です。当社グループのサステナビリティ経営は、価値創造ストーリー=「社会的課題の解決と同時に、経済価値と社会価値をどう両立させるのか」を突き詰めて、CSVを実現していくフェーズに入りました。当社グループが取り組む重要課題である7つのマテリアリティ(表1)をベースにした価値創造ストーリーを描き、実践し、お客様、従業員、お取引先様などすべてのステークホルダーの「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」を実現していきます。当社グループは、今後もサステナビリティへの取り組みを推進し、日本政府の掲げる「脱炭素社会の実現」に企業として貢献するとともに、事業の成長を通してひとつでも多くの社会課題を解決することに取り組んでいきます。 表1 JFRグループが取り組む7つのマテリアリティマテリアリティ2030年度KGIJFRグループの持続可能な社会の実現に向けたコミットメント脱炭素社会の実現脱炭素社会をリードし次世代へつなぐ地球環境の創造私たちは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐため、再生可能エネルギーの調達拡大や、省エネルギーの徹底等に全社一丸となって取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。サーキュラー・ エコノミーの推進サーキュラー・エコノミーの推進による未来に向けたサステナブルな地球環境と企業成長の実現私たちは、お取引先様やお客様との協働により、新たな環境価値を生み出すための革新的なビジネスモデルを創造し、サーキュラー・エコノミーにおける競争優位性を獲得します。サプライチェーン全体のマネジメント お取引先様とともに創造するサステナブルなサプライチェーンの実現私たちは、お取引先様とサステナビリティに対する考え方を共有し、共に社会的責任を果たすことを通じて、サプライチェーン全体で持続可能な未来の社会づくりに貢献します。お取引先様とともに創造するサプライチェーン全体での脱炭素化の実現私たちは、お取引先様とともに、環境に配慮した製品やサービスの調達等に取り組むと同時に、再生可能エネルギー化、省エネルギー化に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素社会の実現に貢献します。お取引先様とともにサプライチェーンで働く人々の人権と健康を守るWell-Beingの実現私たちは、お取引先様とともに、サプライチェーンで働く人々の人権が守られ、健康に働き続けることができる職場環境づくりを実現します。地域社会との共生地域の皆様とともに店舗を基点とした人々が集う豊かな未来に向けた街づくりの実現私たちは、地域のコミュニティ、行政、NGO・NPOとともに、店舗を基点として、地域資産をいかした持続可能な街づくりに貢献します。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人々にワクワクするあたらしい体験を提供します。お客様の健康・安全・安心なくらしの実現未来に向けたお客様の心と身体を満たすWell-Beingなくらしの実現私たちは、お客様の心身ともに健康なくらし、安心なくらしに寄り添う高質で心地よい商品やサービスを提供することにより、お客様それぞれの自分らしいWell-Beingと心豊かなワクワクする未来を提案します。未来を見据え安全・安心でレジリエントな店づくりの実現私たちは、防災や感染症リスク、BCP(事業継続)に対応し、店舗のレジリエンスを高めます。また、それと同時にデジタルを活用したオペレーションを構築することで、安全・安心に配慮した新しい顧客接点を創造し、社会の期待に応える店づくりを推進します。ダイバーシティ&インクルージョンの推進すべての人々がより互いの多様性を認め個性を柔軟に発揮できるダイバーシティに富んだ社会の実現私たちは、多様性と柔軟性をキーワードにステークホルダーすべての人がダイバーシティの本質である異なる個性や視点を大切にし、多様な能力を発揮できる企業をつくります。また、多様な個性や能力が相互に影響し、機能し合うこと(インクルージョン)により、イノベーションを生み出し、多様なお客様の期待に応え事業の成長を目指します。ワーク・ライフ・インテグレーションの実現多様性と柔軟性を実現する未来に向けた新しい働き方による従業員とその家族のWell-Beingの実現私たちは、ニューノーマル時代の新しい働き方として、多様性と柔軟性をキーワードにした働き方を促進し、同時に心身の健康を保ちます。これにより、従業員と家族のWell-Beingを実現し、組織の生産性向上につなげます。 ②「JFRグループ 2050年度ネットゼロ」実現に向けた対応策昨今、気候変動が極めて深刻なレベルまで進行し、将来世代はもちろんのこと、現世代の私たちを含め人類がその危機に晒されています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2018年、「1.5℃特別報告書」において、「1.5℃目標の達成には2050年度までのネットゼロ※1 が必要である」との科学的指標を示し、また、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※2 が、2021年、科学的知見に基づいた「企業のネットゼロ基準」を新たに公表しました。今や、遅くとも2050年度までの1.5℃目標達成に向けたネットゼロの必要性は、企業にとって看過できない状況となっています。以上の社会情勢を踏まえ、JFRグループは、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題と位置づけており、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、対策に取り組んでいます。当社グループは、2019年度に、Scope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標において、SBTイニシアチブによる認定を取得しました。また、2021年度には、マテリアリティの進化に伴い、Scope1・2温室効果ガス排出量削減目標を、2017年度(基準年度)比で、従来の40%から60%に引き上げ、SBTイニシアチブが定める新基準となる「1.5℃目標」の認定を再取得しました。今後は、SBTイニシアチブの「企業のネットゼロ基準」に基づき、Scope1・2・3温室効果ガス排出量の範囲において、「2050年度ネットゼロ」を目指します。当社グループが目指す「2050年度ネットゼロ」とは、7つのマテリアリティのうち、「脱炭素社会の実現」「サプライチェーン全体のマネジメント」「サーキュラー・エコノミーの推進」の3つを組み合わせて取り組むことで、サプライチェーン全体の脱炭素化と当社グループの企業成長を同時に実現することです。今後、当社グループは、サプライヤーであるお取引先様や、消費者であるお客様と協働し、Scope1・2・3温室効果ガス排出量削減等に取り組むと同時に、3R強化およびサーキュラー型ビジネスモデルの拡大に取り組み、ビジネスリスク低減とビジネス機会獲得の両立を目指します。 ※1 温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理等による吸収量や、温室効果ガスの回収・地中への貯留等による 除去量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること※2 産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるため、科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標達成 を推進することを目的として、2014年、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世 界自然保護基金)の4団体が共同で設立 ③TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示JFRグループは、2019年、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。TCFD提言は、世界共通の比較可能な気候関連情報開示の枠組みであり、すべての企業に対し、4つの開示推奨項目である「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に沿って開示することを推奨しています。(表2)当社グループは、TCFD提言を気候変動対応の適切さを検証するガイドラインとして活用するとともに、機関投資家等との積極的な対話を実施し、効果的な情報開示を行っていきます。 表2 TCFD提言が企業に求める4つの開示推奨項目開示項目具体的な開示内容ガバナンス(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象(b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法リスク管理(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法(b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況戦略(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス指標と目標(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績出典:気候関連財務情報開示タスクフォース「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」(2017年) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象JFRグループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境課題に関する具体的な取り組み施策について、業務執行の最高意思決定機関である「グループ経営会議」で協議・決議しています。また、半期に一度開催される「サステナビリティ委員会」において、「グループ経営会議」で協議・決議された環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。取締役会は、「グループ経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を行っています。(図2) (b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法代表執行役社長は、「グループ経営会議」の長を担うと同時に、直轄の諮問委員会である「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。「グループ経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・決議された内容は、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表3) 図2 JFRグループ 環境マネジメント体制 表3 JFRグループの環境マネジメントにおける会議体および実行主体と役割会議体および実行主体役割会議体取締役会業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組み施策の進捗を監督する。毎月開催。グループ経営会議環境課題に対する具体的な取り組み施策を含む全社的な経営に係る施策について協議・決議する。決議事項は取締役会へ報告される。毎週開催。リスクマネジメント委員会環境課題を含む包括的なリスクを抽出し、対策を協議・決議する。事業子会社の進捗状況のモニタリングなどを実施し、決議事項は取締役会へ報告される。都度開催。サステナビリティ委員会グループ経営会議で協議された環境課題への対応方針を協議・決議する。環境課題に関する長期計画とKGI/KPIの策定、各事業子会社の進捗状況のモニタリングなどを実施し、決議事項は取締役会へ報告される。半期に一度開催。実行主体代表執行役社長 「グループ経営会議」の長を担うと同時に、「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」の委員長を担う。環境課題に係る経営判断の最終責任を負う。事業子会社(経営会議、リスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会等)JFRグループのリスクマネジメント委員会やサステナビリティ委員会で協議・決議された環境課題への対応方針に基づき、事業子会社として環境課題への取り組み策を計画・実行する。また、進捗状況をJFRグループのリスクマネジメント委員会やサステナビリティ委員会へ報告する。サステナビリティ推進部全社的な環境課題への対応を推進する。環境関連情報を収集し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会へ報告する。 <リスク管理>(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法JFRグループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。当社グループは、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業子会社と共有化を図っています。各事業子会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業子会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、「グループ経営会議」や「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表4) (b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法JFRグループは、気候関連リスク・機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候関連リスク・機会を特定し、その重要性を評価しました。はじめに、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目である「商品調達」「輸送・顧客の移動」「店舗販売」「商品、サービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候関連リスク・機会を網羅的に抽出しました。次に、網羅的に抽出した気候関連リスク・機会の中から、当社にとって重要な気候関連リスク・機会を特定しました。最後に、特定した気候関連リスク・機会について、「自社にとっての影響度および発生可能性」と、「ステークホルダーにとっての影響度」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。当社グループは、上記のプロセスを経て、特に重要と評価された気候関連リスク・機会について、取締役会による監督体制の下、当社における企業リスクの一つとして当社グループの戦略に反映し、対応しています。 (c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況JFRグループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、「リスクマネジメント委員会」を設置しています。「リスクマネジメント委員会」では、外部環境分析をもとに、環境課題に係るリスクを含めた企業リスクを識別・評価し、優先的に対応すべき企業リスクの絞り込みを行い、進捗のモニタリングを行っています。(図3)「リスクマネジメント委員会」で論議・承認された内容は、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。 図3 JFRグループ リスク管理プロセス表4 JFRグループ リスク管理体制 リスク管理プロセス担当する会議体および実行主体リスクの識別・評価・絞り込み・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)リスク対応・事業子会社(経営会議、リスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会等)モニタリング・報告・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象) <戦略>(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細JFRグループは、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の実行期間である2023年度までを短期、Scope1・2・3温室効果ガス排出量のSBT設定年度である2030年度までを中期、Scope1・2・3温室効果ガス排出量のSBTネットゼロ目標設定年度である2050年度までを長期と位置づけました。(表5)当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年度を見据えたバックキャスティングにより、当社グループの戦略を策定し、対応しています。 表5 JFRグループにおける気候関連リスクと機会の検討期間の定義気候関連リスク・機会の検討期間JFRグループの定義短期2023年度まで中期経営計画の実行期間中期2030年度までScope1・2・3温室効果ガス排出量のSBT設定年度までの期間長期2050年度までScope1・2・3温室効果ガス排出量のSBTネットゼロ目標設定年度までの期間 (b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度JFRグループは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることを努力目標とすること」を想定したシナリオ(1.5℃/2℃未満シナリオ)※、および新たな政策・制度が導入されず、世界の温室効果ガス排出量が、現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界を想定しています。(表6)この2つのシナリオを踏まえ、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。(表7) 表6 参照した既存シナリオ想定される世界既存シナリオ1.5℃/2℃未満シナリオ「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2021年)「Sustainable Development Scenario(SDS)」(IEA、2021年)「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)4℃シナリオ「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2021年)「Representative Concentration Pathways (RCP6.0、8.5)」(IPCC、2014年) 表7 JFRグループにおける気候関連リスク・機会の概要気候関連リスク・機会の種類発現時期JFRグループの気候関連リスク・機会の概要リスク移行リスク政策規制短・中期・炭素税等、温室効果ガス排出を抑制する政策導入・規制強化によるエネルギーコストの増加・グリーン電力証書の購入等による温室効果ガス排出削減コストの増加・地政学的リスクに伴う再生可能エネルギー需要増によるエネルギー調達コストの増加技術短・長期・高効率な省エネルギー機器への対応によるオペレーションコストの増加・水素やアンモニア等、新たな脱炭素エネルギーの普及によるエネルギー調達コストの増加・CCUS(CO2回収・転換・貯留技術)の活用や植林活動等によるオペレーションコストの増加市場短・中期・再生可能エネルギー由来電力使用量の増加による再生可能エネルギー調達コストの増加・低炭素製品の需要増等、マーケット変化への対応遅れによる成長機会の喪失・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加への対応の遅れによる成長機会の喪失評判短・中期・環境課題に対する対応の遅れや、消費行動の多様化への対応遅れによるレピュテーションの低下・投資家からの環境情報開示要求への対応不備によるレピュテーションの低下・ステークホルダーからのレピュテーション低下による新規採用および従業員エンゲージメントへの悪影響物理リスク急性短・中期・気候変動に起因する自然災害による物流ルート断絶に伴う、製品・サービスの販売機会の喪失・気候変動に起因する自然災害による店舗・事業所の損害、休業による収益の減少・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加による店舗での販売機会の喪失慢性中・長期・降雨量増加や気象パターンの変化に伴う農業生産の不安定化による調達コストの増加・気候変動に起因する感染症 (新型コロナウイルス感染症等)による従業員の健康被害の増加機会資源効率短・中期・省エネルギー施策の強化によるエネルギー調達コストの減少・環境価値の高い店舗や事業所への転換によるエネルギー調達コストの減少エネルギー源短・長期・最新のエネルギー高効率機器導入によるエネルギー調達コストの減少・創エネルギー導入によるエネルギー調達コストの減少・再生可能エネルギーに係る新たな政策・制度の進展による再生可能エネルギー調達コストの減少製品およびサービス短・中期・お取引先様との協働によるシェアリング、アップサイクル製品の需要増への対応による収益の拡大・リユース製品・リサイクル製品等、お客様からの環境配慮型製品・サービスの需要増への対応による収益の拡大市場短・長期・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大・小売業の枠を超えた事業ポートフォリオの再構築と、低炭素製品市場への参入・拡大による収益力の向上・環境価値の高い店舗や事業所への転換に伴う環境意識の高いテナントの出店による収益の拡大・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加への対応による新たな成長機会の獲得レジリエンス中期・再生可能エネルギー・省エネルギー推進に伴うエネルギーレジリエンスの向上 (c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンスJFRグループは、網羅的に抽出・特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての影響度および発生可能性」と、「ステークホルダーにとっての影響度」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。また、当社グループは、特に重要性が高いと評価した気候関連リスク・機会について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から試算し、それぞれの対応策を策定しました。(表8)なお、定性的財務影響については、矢印の傾きによって3段階で表示しています。 表8 JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および財務影響:JFRグループの事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される:JFRグループの事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される:JFRグループの事業および財務への影響が軽微であることが想定される JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会財務影響対応策1.5℃/2℃未満シナリオ4℃シナリオリスク・炭素税等、温室効果ガス排出を抑制する 政策導入・規制強化によるエネルギーコ ストの増加約11億円※1のコスト増約6億円※1のコスト増・店舗・事業所における省エネルギー や再生可能エネルギーへの切り換え によるScope1・2温室効果ガス排出 量削減・グリーン電力証書の購入等による温室効 果ガス排出削減コストの増加・店舗・事業所における最新の高効率 機器の導入によるエネルギー使用量 の削減・再生可能エネルギー由来電力使用量の増 加による再生可能エネルギー調達コスト の増加約7億円※2のコスト増約2億円※2のコスト増・自社施設への再生可能エネルギー設 備投資等、創エネルギーシステムの 導入による再生可能エネルギーの自 家消費・気候変動に起因する自然災害による店 舗・事業所の損害、休業による収益の減 少約52億円※3の減収約103億円※3の減収・BCP整備による店舗・事業所のレジ リエンス強化・気候変動に起因する感染症リスク(新型 コロナウイルス感染症等)の増加による 店舗での販売機会の喪失・中期経営計画で策定した「リアル& デジタル戦略」の推進による販売チ ャネルの多様化機会・最新のエネルギー高効率機器導入による エネルギー調達コストの減少・店舗・事業所における最新の高効率 機器の導入によるエネルギー使用量 の削減・環境価値の高い店舗や事業所への転換に 伴う環境意識の高いテナントの出店によ る収益の拡大約10億円※4の増収―・省エネや再生可能エネルギーへの切 り換えによる、店舗・事業所の環境 認証取得・お取引先様との協働によるシェアリン グ、アップサイクル製品の需要増への対 応による収益の拡大・お取引先様との協働によるシェアリ ング、アップサイクル等のサーキュ ラー型ビジネスモデルへの転換・リユース製品・リサイクル製品等、お客 様からの環境配慮型製品・サービスの需 要増への対応による収益の拡大・お取引先様やお客様との協働による 3Rの高度化や、環境配慮製品・サ ービスの取扱い拡大・気候変動に起因する感染症リスク(新型 コロナウイルス感染症等)の増加への対 応による新たな成長機会の獲得・中期経営計画で策定した「リアル& デジタル戦略」の推進による販売チ ャネルの多様化 (2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2温室効果ガス排出量に対して、1t-CO2あたりの炭素税価格を乗じて試 算※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に対し、通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再生可能エネルギー 由来電気料金の価格高を乗じて試算※3 過去の自然災害に伴う休業等による売上損失額に対して、洪水発生頻度を乗じて試算※4 2030年度時点のJFRグループの不動産収入利益に対して、環境認証取得ビルの新規成約賃料変動率を乗じて試算 当社グループは、最重要マテリアリティである「脱炭素社会の実現」に向け、当社グループの事業活動について、上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンス(強靭性)を検証しています。そのため、事業戦略や中期経営計画において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指します。 ・JFRグループ 2050年度ネットゼロ移行計画JFRグループは、2050年度ネットゼロの実現に向けて、1.5℃/2℃未満シナリオおよび4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点から高い戦略レジリエンスを強化していく必要があると考えています。そのため、当社グループは、2050年度ネットゼロ実現に向けた移行計画を策定しました。(図4)同計画では、事業戦略において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指すため、短期・中期・長期的視点から、具体的取り組みを明確化しています。 図4 2050年度 ネットゼロ移行計画※ ※ 2022年5月末時点の計画であり、今後の事業戦略に応じて修正する可能性があります。 <指標と目標>(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標JFRグループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。また、2021年4月に改訂した役員報酬ポリシーでは、業績連動報酬を決定する指標として、Scope1・2温室効果ガス排出量削減目標を設定し、気候変動問題に対する執行役の責任を明確化しています。 (b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)JFRグループは、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2021年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約13万t-CO2(2020年度比1.6%削減、2017年度比33.0%削減)を見込んでいます。また、2021年度Scope3温室効果ガス排出量は、約285万t-CO2(2020年度比15.4%増加、2017年度比2.6%削減)を見込んでいます。(表9)なお、2021年度のScope1・2・3温室効果ガス排出量は、第三者保証を取得する見込みです。 表9 JFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量実績および見通し(単位:t-CO2、%) 温室効果ガス排出量 実績温室効果ガス排出量 見通し2017年度(基準年度)2020年度2021年度2020年度比2017年度比(基準年度比)Scope1・2排出量 合計194,154※1132,106※1130,000▲1.6▲33.0内訳Scope1排出量16,052※111,983※114,500+21.0▲9.7Scope2排出量178,102※1120,123※1115,500▲3.8▲35.1Scope3排出量※2 合計2,927,3202,470,411※12,850,000+15.4▲2.6※1 LRQAによる第三者保証を取得。2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン ver2.4(2022年3月 環境省 経済産業省)」に基づき、カテゴリ別の「活動量×排出原単位」という算定式を用いて算出 (c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績JFRグループは、世界全体の2℃未満目標達成のため、2018年度から、長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年度に、Scope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標において、「SBTイニシアチブ」による認定を取得しました。2021年度には、マテリアリティの進化に伴い、Scope1・2温室効果ガス排出量削減目標を、2017年度(基準年度)比で、従来の40%から60%に引き上げ、SBTが定める新基準となる「1.5℃目標」の認定を再取得しました。また、SBTイニシアチブの「企業のネットゼロ基準」に基づき、Scope1・2・3温室効果ガス排出量の範囲において、「2050年度ネットゼロ」という目標を設定しました。これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再生可能エネルギー由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100※」に加盟し、2050年度までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率100%を目指します。また、その中間目標として、2030年度までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率60%を目指します。今後も、2050年度ネットゼロの実現に向け、再生可能エネルギー由来電力の調達拡大に取り組みます。 ※事業活動で使用する電力を、2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的イニシアチブ 表10 JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標 指標目標年度目標内容温室効果ガス排出量2050年Scope1・2・3温室効果ガス排出量ネットゼロ2030年Scope1・2温室効果ガス排出量60%削減(2017年度比)※1Scope3温室効果ガス排出量40%削減(2017年度比)※1事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率2050年事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率100%※22030年事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率60% ※1 SBTイニシアチブにより認定 ※2 2020年 RE100に加盟 今後も、当社グループは、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進め、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案等、全社的な取り組みを進めていきます。
FY2021|25,838 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2021年5月28日)において当社グループが判断したものであります。 (1)リスクの定義と管理体制・リスクの定義当社グループでは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につながると考えています。 ・リスクマネジメント体制代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。 (2)リスクマネジメントプロセス当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役を含む経営層および実務責任者の認識をもとに、当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。中期的に当社グループ経営において極めて重要度が高いものは、「企業リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。また、「企業リスク」を受けて識別した年度リスクを「JFRグループリスク一覧」にまとめ、「リスクマップ」を用いて評価を行い、優先度をつけて対応策を実行しています。 (3)「企業リスク」 ※当社グループ経営において重要性が高く、戦略の起点となるリスク2020年度は、「2021-23年度グループ中期経営計画」の起点となる「企業リスク」を更新しました。その際には、短期的な思考に陥ることがないよう、2030年に向けた長期メガトレンド予測を起点とし、新型コロナウイルス感染症による影響を加味した上で、バックキャスティングにより検討を行っています。 ・2030年に向けた長期メガトレンド最もインパクトがあるのは、「DXの加速」などテクノロジーと、「地球温暖化」など環境問題です。テクノロジーにより10年で生活・ビジネスは激変し、環境問題は、今後の世界的な取り組みの成否が問われます。「ステークホルダー資本主義」は、今後10年間で確実に浸透していくと想定されます。 地政学・米中の覇権争い、リーダー不在・国家資本主義国の台頭・パンデミックの発生増経済・グローバル化の進展・世界経済のアジアシフト・ステークホルダー資本主義の定着社会・新興国の人口増加・高齢化の進行・貧富・階層の格差拡大テクノロジー・6GによるDX加速・自動運転実用化・デジタル経済圏形成環境・地球温暖化・再エネ転換加速・資源枯渇 ・新型コロナウイルス感染症による影響今回の新型コロナウイルス感染症は、長期メガトレンドに大きな影響を与え、今後もその影響は継続するものと思われます。なかでも個人の価値観・消費行動における「ニューノーマル(新常態)」化は、当社グループのビジネスへのインパクトが大きいと考えています。 経済・企業短期・コロナ禍長期化による景気低迷・失業・インフレ懸念の増大・需要・供給の蒸発長期・緩和政策継続の反動による金融危機の発生・持続可能性を重視した経営に対する要請の高まり・テクノロジーの加速度的進化・グローバルサプライチェーンの再構築・都市化(アーバナイゼーション)の変容・組織・働き方のパラダイムチェンジ社会・個人短期・失業の増加・所得の減少・将来不安・3密(密閉・密集・密接)回避・コロナを契機とした消費トレンド (巣ごもり消費、近隣消費)長期・持続可能な社会実現への意識の高まり・ヘルスケア・保険など安全・安心への投資・地方の重要性の向上・バーチャル消費・バーチャルコミュニケーションの拡大・フィジカル(人的つながり・場)の重要性の向上・疫病・災害のニューノーマル(新常態)化 前述の分析を経て抽出したのが、以下の「企業リスク」です。中でも「6.既存の事業モデルの衰退」「1.サステナビリティ経営の高度化」「2.加速度を増すデジタル化への対応」は、当社グループの経営に及ぼすインパクトが極めて大きなリスクとして、中期経営計画の策定においても、上位概念に位置づけています。 (4)直近の環境変化とリスク認識当社グループの経営にとって未曾有の影響をもたらしている新型コロナウイルス感染症は、変異型ウイルスにより再拡大しています。直近では、3度目の緊急事態宣言が発令され大幅な人流抑制のために対象地域の商業施設をはじめ集客施設に休業が要請されるなど、極めて厳しい経営環境が続いております。本年も引き続き、先行き不透明な中での事業活動を強いられることは確実です。1度目の緊急事態宣言時、長期間に渡り顧客との繋がりが断たれたことから、オンラインを通じた顧客接点の確保などに努めてきておりますが、今後は次元の異なる変革が必要との強い危機意識を持っております。これまでもリーマンショックや東日本大震災など、当社グループのビジネスにインパクトのある危機を乗り越えてきましたが、新型コロナウイルス感染症は、影響の及ぶ範囲や対象が比較にならないほど広く深く、まさに当社グループは、存続の危機に直面しております。新型コロナウイルス感染症を契機とする人々の消費に対する価値観や消費行動の変容、小売業に求める価値の変化は、想定以上のスピードで進んでいます。リモートワークなどにより働き方や人々の生活スタイル、さらには都市のあり方も大きく変わっています。このように環境が激変する中、中核事業の百貨店をはじめ既存の事業モデルは、大きな影響を受けており、抜本的な変革の必要に迫られております。変革に際しては、当社グループとして変えてはならないもの、変えていかなくてはならないものがあります。変えてはならないものは、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是、「くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。」というグループビジョンです。一方、変えていくべきものは、既存の事業モデルの変革およびサステナビリティ経営への転換です。今後、変えてはならないもの、変えていかなくてはならないものの軸をぶらすことなく、持続的な成長へと歩みを進めてまいります。 このような環境変化を踏まえて抽出した「企業リスク」を有価証券報告書提出日現在において投資家の皆さまの判断に影響を与える可能性があるリスクと認識しており、当社グループのリスク定義(企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある)に則し、リスク認識および対応策を以下に記載いたします。 6既存の事業モデルの衰退影響度非常に大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍の緊急事態宣言下、当社グループの中核である大型店舗型小売業では、顧客との接点を絶たれ、店舗と関わりが深い他の事業も含め大きな打撃を受けました。当社グループのリアルな大型店への依存は以前から課題でしたが、インバウンドの追い風もあり業績が堅調であったことから、事業モデルの改革は遅れていました。今までの事業モデルの継続は大きなリスクですが、この機会を変革のチャンスと捉え取り組むことで再成長につなげることが可能となるとの認識を持っています。マイナス面 プラス面・中核事業の業績低迷によるグループ全体の活力低下 ・中核事業の事業モデルの抜本的な変革による再成長対応策大型店舗型小売業の事業モデルの継続はリスクである一方、都心の大型店舗は当社グループにとって重要な資産です。この重要な資産である都心の大型店舗の魅力化に最優先で取り組みます。そのために、コンテンツの魅力向上、店舗とデジタルの融合、店舗の環境価値の向上を推進します。コンテンツの魅力向上では、既存の売場で顧客支持が低下しているゾーンを圧縮し、顧客ニーズに適応した新たなカテゴリーの商品・サービスを開発・導入します。具体的には、既存の小売機能だけではなく、様々な情報を発信するメディア機能、価値の高いモノコトを紹介するギャラリー機能、エンタテインメント機能、ソリューション機能などを強化し、既存の小売り機能との相乗的な魅力向上をはかります。店舗とデジタルの融合では、店舗の販売スタッフがお客様とオンラインでつながり、お客様が店舗でお買物をする時と変らないコミュニケーションを楽しんで商品を購入できるOMO(オンラインとオフラインの融合)ショッピングの仕組みをスタートします。店舗の環境価値の向上では、サステナビリティ経営の一環として引き続き店舗の環境配慮化を推進します。店舗の環境価値の向上は、その価値に共感いただけるお客様の集客および環境意識の高い優良なお取引先様の出店につながると考えています。 当社グループの完全復活は、中核事業の事業モデルの変革なくしては成り立ちません。これらの取り組みにより、既存の事業モデルを変革し、都心の大型店舗という資産の価値を最大限に高めていきます。 1サステナビリティ経営の高度化影響度非常に大次年度の見通し当社のリスク認識世界的ビジネスの潮流は、従来の株主資本主義からステークホルダー資本主義へ移行しており、その流れは、新型コロナウイルスの影響により加速しています。今後は経営において短期的な収益よりサステナビリティ(持続可能性)を備えているか、企業の存在意義と将来の成長に対する明確なビジョンを持っているかが問われることから、最上位に位置づけるべきリスクであると認識しています。マイナス面 プラス面・対応の遅れによる投資家・株主の離反、格付けの低下 ・着実な対応による持続的な成長対応策当社のサステナビリティ経営が目指すゴールは、「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」の実現です。その実現に向け、従来の「脱炭素社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」「地域社会との共生」「サプライチェーン全体のマネジメント」の5つに、新たに「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」「サーキュラーエコノミーの推進」の2つを加え、7つのマテリアリティ(重要課題)のもと、グループ各社で事業を通じた社会課題の解決、つまりCSV(共通価値の創造)を追求しています。 中でも最重要に位置づけているのが「脱炭素社会の実現」であり、当社グループ内での取り組みだけでなく、ステークホルダーの協力も得て、目標数値の達成を目指します。新たなマテリアリティである「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」では、エシカル消費への対応やウェルネス事業、防災・防疫に力を入れた店舗環境づくりに、同様にマテリアリティに追加した「サーキュラーエコノミーの推進」では、廃棄物削減、「ECOFF」(使用済製品のリサイクル)の拡大、ファッションのサブスクリプション事業に取り組みます。これら全体を通じて「Well-Being Life」を実現していきます。 2加速度を増すデジタル化への対応影響度非常に大次年度の見通し当社のリスク認識すでに大きなものとなりつつあったデジタル化の波は、コロナ禍で外出などの制約が生じる中、我々の想定をはるかに超える速度で拡大しています。当社においてもビジネスや業務のあり方を抜本的に見直す必要に迫られており、今後も加速を続けるであろうデジタル化への対応スピード・方法は、当社グループ全体の成長を左右するリスクであると認識しています。マイナス面 プラス面 ・グループ全体の成長の停滞・競争力の低下 ・既存事業のビジネスモデルの変革・リアルな人との繋がりの再認識対応策デジタル化への対応は、成長に欠かせないものであり、ビジネスモデルの変革、業務の変革の両面から進めています。 ビジネスモデルの変革については、デジタル化はあくまでも手段であり目的ではないとの考えのもと、当社の強みを活かし付加価値を創出するために、デジタルの活用を進めています。各事業において中心に据えるのは顧客であり、「OMO(オンラインとオフラインの融合)」による顧客体験価値の最大化、決済手段の多様化などに取り組んでいます。デジタル化が進行する一方、人との繋がりの価値が高まることから、対面での接客も重視し、リアルとデジタル両輪で、コミュニケーションの高度化を図ります。今までの当社グループのデジタル化への対応は十分とは言えませんでしたが、デジタル活用によるビジネスモデルの変革は、復活から持続的な成長への転換の鍵になることから、組織体制も強化し、実行のスピードを上げていきます。 業務の変革については、テレワークやオンライン会議の拡大、認証や申請業務の電子化などを進め、業務の生産性と同時に働き方の柔軟性を高め、当社の7つのマテリアリティ(重要課題)の1つ、「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」にもつなげています。 3都市の分散化(都市と地方のリバランス)影響度大次年度の見通し当社のリスク認識前年までは「都市回帰と地方・郊外の縮小」として認識していたリスクですが、コロナ禍によりその流れが反転したことから、認識を新たにしました。都心で人口流出が続いており、コロナ禍以降も、この流れは緩やかに継続すると想定されます。事業環境分析から、都心立地の不動産価値は底堅いと見ていますが、働き方や消費行動は変容し、都市のあり方にも変化が生じてきています。これまで衰退傾向にあった地方都市・郊外では、人口流出が止まり、活性化が期待されます。当社が保有する不動産は全国に点在しており、都市と地方のリバランスを注視しながら、各事業を展開することが肝要と考えています。マイナス面 プラス面・都心立地の従来型商業施設の集客力低下 ・都市の分散化に対応した事業展開対応策都心立地の商業施設の集客力低下の背景には、感染への懸念があることから、都心店舗では、防疫を強化するとともに、決済をはじめ非接触によるサービスを強化しています。 これまで不動産の有効利用は、都心の大型商業施設の開発を中心に一定の成果をあげてきていますが、今後は都市の変化にも対応し、都心のみならず準都心エリアにおいて、商業のみならず多様な用途の開発に取り組んでいきます。 中でも、百貨店とパルコが隣接する心斎橋、名古屋、福岡地区を重点エリアと位置づけ、エリアとの共生、多様な都市生活提案と魅力的な街づくりを目指し、複合再開発を推進します。 4ポストコロナにおける消費行動の変化影響度大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍を契機に、消費者の価値観や消費行動には、大きな変化が見られます。感染予防の意識から、オンライン購入比率が格段に高まり、所得の減少を受け、節約志向も鮮明になっています。一方で、自分のこだわりを満たす、あるいは環境や社会課題の解決に役立つモノ・サービスへの消費は、着実に伸びています。多岐に渡るモノ・サービスを扱う事業を展開する当社グループでは、消費行動の変化は、機会にも脅威にもなり得る影響の大きなリスクであり、常に敏感である必要があります。マイナス面 プラス面・消費者ニーズとのアンマッチによる業績の低迷 ・新規マーケットの開拓対応策利便性からオンライン購入比率の高まっているコモディティ商品(価格・買いやすさを主に選択が行われる汎用品)の展開は、適正規模に見直しています。当社グループにおけるECシェアは決して高くありませんが、コロナ禍で伸長しており、強化する方向です。 ただし、競合環境が激化しており、当社グループでは、単にECを強化するのではなく、顧客接点の「OMO(オンラインとオフラインの融合)」強化により、消費行動の変化に対応していきます。先駆けとなるのが化粧品であり、ライブ配信、オンラインカウンセリングなど非接触による新たな販売手法と、店頭接客の両方で、ストレスフリーで満足度の高い購買体験を提供していきます。 また、こだわりを満たすという視点でアートやカルチャーの拡充、環境・社会課題の解決という視点でエシカル商品やウェルネス事業の展開など伸長が見込まれるマーケットを強化します。 今後も、社内外のデータ分析により、消費者ニーズとのアンマッチを解消し、常に消費者の価値観や消費行動の変化を捉えた新たなコンテンツを開発・提供していくことにより、顧客満足度を向上させていきたいと考えています。 5業際を超えた再編、M&Aの加速影響度大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍を契機に、生き残りをかけた業界再編や事業再構築の機運が高まり、法整備や金融環境も追い風となり、M&Aは増加傾向にあります。本格的に加速するのはこれからですが、企業経営におけるM&Aは、確実に必要性・重要性が高まっています。M&Aの加速については、攻めと守りの両方の観点から、注視していくべきリスクであると認識しています。マイナス面 プラス面 ・当社グループの敵対的買収 ・事業ポートフォリオの見直し・M&A活用による企業成長対応策当社グループでは、景気感応度の高い事業と景気に左右されにくい事業の最適化を図り、ポートフォリオのレジリエンス(強靭性)を高めることにより企業価値を保ち、敵対的買収への備えを強化しています。 一方、攻めの対応策として、グループ共通の資産である顧客データや経営資源を活用し、主力事業周辺での新規事業の創出に力を入れています。新規事業の創出は、自社単独で行うよりスピードや経済合理性で勝るオープン・イノベーションを採用すべきと考えています。そのため、自社の事業分野とシナジーを生み出せそうな企業のM&Aや他企業との業務提携などの検討を進めています。 7資金調達マネジメントの重要性の向上影響度大次年度の見通し当社のリスク認識資金調達については、良好な調達環境が継続し、資金調達枠の確保など十分な備えもできていると認識していましたが、コロナ禍によりさらに資金対策を講じる必要が生じ、当社グループにおける、リスクの位置づけを高めています。グループ全体の成長を支える基盤構築のためにも、資金調達マネジメントの重要性は今後も高くあり続けると認識しています。マイナス面 プラス面・資金不足による経営破綻・不利な条件での資金調達による成長の停滞 ・成長分野への投資資金確保による事業育成対応策資金調達については、グループ子会社において金融機関からの資金調達を行わず、CMS(キャッシュ・マネジメントシステム)を利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しています。 コロナ禍においては、手許流動性および安全性確保の観点から、手許資金を積み増すための資金調達や、コミットメントラインなどの資金調達枠の増額を行いました。今後は、コロナ禍の収束状況に応じて、安全性に十分な留意を払いながら有利子負債の圧縮を図るとともに、コミットメントラインについても段階的に適正化を図ります。 また、サステナビリティボンドの発行をはじめとするESG調達や、アセットファイナンスの実践など、資金調達手段を多様化し、サステナビリティ経営および成長戦略の推進をサポートします。 8環境変化に対応できるコスト構造の必要性影響度非常に大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍以降、中核事業が軒並み大打撃を受け、極めて厳しい業績が継続しており、この事業環境の厳しさは、当面続くと想定しています。クライシス発生時に大きく影響を受ける収益構造を改善し、高い損益分岐点を引き下げ環境変化に対応できる体制を構築することは、当社グループが完全復活を果たし再成長へと舵をきるために必須であり、短期的に最優先すべきリスクであると認識しています。マイナス面 プラス面 ・事業存続の危機・業績回復の遅れ ・事業ポートフォリオの組み替え・成長事業への投資対応策当社では、グループ全体の固定費削減を推進し、事業基盤を強固なものとするため、2020年10月に「構造改革推進部」を新設しています。 経営構造改革は、「ビジネスモデル改革によるコスト削減」「事業基盤の絞り込み」を2つの柱としています。「ビジネスモデル改革によるコスト削減」については、オフィス再編やグループ共同購買などによる経費構造改革に加え、業務運営の見直しに伴う要員構造改革を推進します。「事業基盤の絞り込み」については、非事業用資産の売却、不振事業の再生・撤退の検討を行い、事業ポートフォリオの組み替えを推進します。 目指すところは、損益分岐点を引き下げ、将来の勝ち残りに向けた体質改善を図ることであり、レジリエンス(強靭性)を備え、先の再成長につなげるために、取り組みを加速していきます。 9頻発する自然災害・疫病影響度非常に大次年度の見通し当社のリスク認識新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック(世界的な大流行)は、100年に一度とも言われていますが、地球環境や経済のグローバル化を考えると、近い将来にまた起こり得ることを前提としなければならないと考えています。台風・豪雨・地震などの自然災害も年を追うごとに発生頻度、被害規模ともに増大しており、頻発する自然災害・疫病のリスクは、今後も企業の存続を危うくする非常に重大なリスクであり続けると認識しています。マイナス面 プラス面・顧客・従業員の人命損傷・事業継続の危機 ・地域社会の安全・安心確保への貢献対応策当社グループでは、近年、災害の発生を想定したBCP(事業継続計画)強化に取り組むなど、リスク認識が高まっている自然災害への対応に注力しています。防疫に関しても、コロナ禍を機に、疫病への対応策の抜本的な見直しに着手しています。 事業継続を脅かす自然災害に対する備えとしては、「事業継続マニュアル」を整備するとともに、重要業務(資金業務、システム維持)の継続や、被災からの迅速な復旧・営業再開のためのBCP訓練を継続的に実施しています。 新型コロナウイルス感染症に対しては、早期に緊急対策本部を立ち上げ、組織的な感染防止対策の徹底を継続していますが、並行して、これまでの対応策の検証、将来の新たなパンデミックに備えるための「感染症対応マニュアル」の整備を進めています。 今後は、防災レジリエンス(強靭性)の高い事業活動を実現するとともに、地域社会の安全・安心確保への貢献もしていきたいと考えています。 10ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展影響度大次年度の見通し当社のリスク認識緊急事態宣言を機に、在宅勤務が一気に拡大しましたが、コロナ収束後のニューノーマル時代においても、在宅勤務と出社のハイブリッドによる働き方は定着していくと思われます。副業や中途採用などによる人財の流動化、異なる企業文化を持つ人財を活用した企業変革も活発化しています。当社グループにおいても大胆にビジネスを変革していく必要性が生じており、今後、より位置づけが高まっていくリスクであると認識しています。マイナス面 プラス面・優秀人財の流出・人財獲得競争での劣後 ・企業文化の変革によるイノベーションの創出対応策人財については、「マザー採用(専門性の高い仕事と育児を両立させたいと願う女性の中途採用)」や、デジタルなど戦略遂行に必要な専門人財の中途採用を強化しています。働き方についても、オフィス・自宅以外での勤務を認めるテレワークを拡充するなど、多様な働き方を可能にしています。 加えて、育児休暇や有給休暇などの取得を促進し、ライフステージに対応した柔軟な働き方ができる体制も整備しています。これらの取り組みにより、激化する人財獲得競争に備えています。 サステナビリティ(持続可能性)のある組織構築に向けては、「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性を受け入れ活かし合うこと)」「ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事と個人の生活を高い次元で統合すること)」の視点から、採用・育成・評価・登用の見直しを進めています。組織改革により、保守的な企業文化から脱し、イノベーションの創出につなげていくことを目指しています。 11加速する所得の二極化影響度大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍により、以前から進んでいた所得の二極化は、加速しています。中流層が減る一方、株価上昇などが追い風となり、富裕層の購買力は高まっています。今後も緩和的な金融政策が継続されることから、富裕層の資産は増加し続けると見込まれ、政策による格差是正がなされない限り、所得の二極化はさらに進むと認識しています。マイナス面 プラス面・ボリュームマーケットの縮小による業績低迷 ・新たな富裕層マーケットの出現対応策所得の二極化が加速する中で、ファッションを中心にマーケットの縮小が顕著なボリューム価格帯の商品・サービスについては、適正規模への展開の見直しを継続しています。 一方、拡大する富裕層マーケットについては、各事業において、商品・サービスを拡充しています。当社グループの富裕層顧客へは、従来、外商係員による対面での対応が主でしたが、コロナ禍において、外商顧客向けWebサイトを通じた商品紹介や、ライブショッピングの展開など、デジタル活用による顧客とのリレーションを強化しています。また、LTV(顧客生涯価値)を向上させるため、今後、資産形成など富裕層向けソリューションサービスを展開していきます。 さらに、マーケットの強化には、新規顧客開拓も欠かせないため、富裕層を顧客に持つ組織との連携を強化し、若い富裕層の獲得にも努めています。 12顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化影響度大次年度の見通し当社のリスク認識2020年は出生者数が統計史上最低となり、少子高齢化は想定以上に加速しています。コロナ影響を受け婚姻数も低下していることから、少子化は続くと見込まれます。一方、衛生意識が高まったことにより、死亡者数は減少しています。デジタル化により医療も進化を遂げていることから、長寿命化はさらに進み、健康寿命も延びると想定されます。人口動態は消費と関わりが深く、当社グループの戦略上、常に重要なリスクです。マイナス面 プラス面・国内市場の縮小 ・シニアマーケットの拡大対応策少子化により子供の数は減少する一方、祖父母からの援助もあり、子供一人当たりに対する消費額は増加しています。高級子供服・用品市場や幼児教育・保育市場は堅調さを保っており、当社グループにおいても、上質な子供服・用品に力を入れるとともに、数年前から英語教育を特徴とする保育事業に参入しています。今後もマーケット分析に基づき、将来顧客の開拓につながる対応を強化していきます。 一方で、「ライフシフト(人生100年時代への移行)」が現実のものとなりつつある中、定年は延長され、経済力のあるシニア層が増加しています。シニア市場への対応は、今後も店舗が主となると考えており、防疫・防災に優れた環境の整備、事前の来店・コンサルティング接客予約など、安心して買物ができる店舗づくりに力を入れています。また、アートやカルチャー、ウェルネスなどシニア層の関心が高いカテゴリーを強化し、モノだけでなくサービスの提供にも力を入れ、シニア層の「Well-Being Life」の実現をサポートしたいと考えています。 13外国人マーケットの不透明さ影響度大次年度の見通し当社のリスク認識コロナ禍により、百貨店事業の売上を牽引していたインバウンド消費は、大打撃を受けています。ただし、未だ不透明ではあるものの、今後コロナ禍への対応が進むことによる入国制限の緩和に伴い、インバウンド消費は、徐々に回復すると見込んでいます。一方、マーケット分析から外国人の日本製品に対する需要は底堅いことが窺え、不透明さを増す外国人マーケットにいかに対応するかは、当社グループの業績を左右する大きなリスクです。マイナス面 プラス面・インバウンド売上大幅減少の長期化 ・新たなアプローチによる外需の獲得対応策インバウンド消費の回復には、まだ相当の期間を要しますが、中長期的には市場は拡大すると見込んでいます。当社グループの外国人マーケットの中心がインバウンドであることに変わりはなく、人の往来の回復の見通しについて情報収集をするとともに、訪日機運が高まってきたタイミングに遅滞なくアプローチできるよう、新たな販促策の準備を進めています。 また、誘致に力を入れる国やインバウンド対応を強化する店舗、提案商品に偏りがあったとの反省のもと、その偏りをなくすべく、戦略の見直しを行っています。 さらに、今回のコロナ禍による経験を生かし、地理的・時間的制約を受けずにマーケット開拓ができる手段として、越境ECやライブコマースの展開をアジア圏において強化していく方向であり、取り扱い商品の拡大を進めています。 14情報セキュリティの重要性向上影響度大次年度の見通し当社のリスク認識ビジネス・業務のデジタル化やリモートワークの拡大に伴い、不正アクセスなどによる機密情報の流出、個人情報漏洩などのインシデントが増加しています。また、消費者のプライバシー保護に対する意識も高まっており、顧客データの活用においては、より堅牢な仕組みの導入や、システムセキュリティの対策が必要になっています。情報活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)はビジネスの成長に欠かせませんが、ビジネスの成長と情報セキュリティのリスクは、切っても切り離せないものであると認識しています。マイナス面 プラス面・重要情報流出による社会的信用失墜・営業損失・業務の遅延・停滞・セキュリティ対策のコスト増 ・円滑なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進対応策情報セキュリティは、最優先課題として継続的に強化をしていますが、インシデントは年々多様化・複雑化してきており、ハード・ソフト両面での一層の取り組みが必要であると考えています。 ハード面では、「情報セキュリティポリシー」や「ITガバナンス方針」などを整備し、新システム導入時などのチェック体制を強化するとともに、脆弱性診断を実施しています。また、既存システムの老朽化やリモートワークの拡大などにより生じ得るリスクを低減するためにも、システムのクラウド移行を推進しています。 ソフト面では、最新のインシデントに関する情報をもとに、全従業員を対象にeラーニングによる啓蒙を図り、標的型攻撃メール訓練などを実施し、情報リテラシーの向上に努めています。強固な情報セキュリティは、グループ統合顧客データベースを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるうえで欠かせないものであり、DXと両輪で強化を図っていきます。 ・JFRグループ「企業リスク」一覧 分類項目影響度次年度の見通しマイナス面プラス面対応策戦略リスク既存の事業モデルの衰退非常に大・中核事業の業績低迷によるグループ全体の活力低下・中核事業の事業モデルの抜本的な変革による再成長・コンテンツの魅力向上、デジタルとの融合、環境価値の向上による店舗の魅力化および都心の大型店舗の資産価値向上サステナビリティ経営の高度化非常に大・対応の遅れによる投資家・株主の離反、格付けの低下・着実な対応による持続的な成長・「脱炭素社会の実現」をはじめとする7つのマテリアリティ(重要課題)の推進による「Well-Being Life」の実現加速度を増すデジタル化への対応非常に大・グループ全体の成長の停滞・競争力の低下・既存事業のビジネスモデルの変革・リアルな人との繋がりの再認識・「OMO(オンラインとオフラインの融合)」によるビジネスモデルの変革・リアルとデジタル両輪でのコミュニケーションの高度化・デジタル化による業務の変革都市の分散化(都市と地方のリバランス)大・都心立地の従来型商業施設の集客力低下・都市の分散化に対応した事業展開・都心店舗での防疫、非接触サービスの強化・都心や準都心での商業だけでなく多様な用途での不動産開発ポストコロナにおける消費行動の変化大・消費ニーズとのアンマッチによる業績の低迷・新規マーケットの開拓・コモディティ(汎用)商品の適正規模への見直し・「OMO(オンラインとオフラインの融合)」による顧客満足向上・アート・カルチャー・エシカル商品の強化業際を超えた再編、M&Aの加速大・当社グループの敵対的買収・事業ポートフォリオの見直し・M&Aの活用による企業成長・事業ポートフォリオのレジリエンス(強靭性)向上・他企業のM&A、他企業との業務提携による新規事業創出ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展大・優秀人財の流出・人財獲得競争での劣後・企業文化の変革によるイノベーションの創出・中途採用の強化・働き方の柔軟性の向上・サステナビリティ(持続可能性)のある組織への変革加速する所得の二極化大・ボリュームマーケットの縮小による業績低迷・新たな富裕層マーケットの出現・ボリューム価格帯の商品・サービスの適正規模への見直し・多様なアプローチによる富裕層マーケットの深耕顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化大・国内市場の縮小・シニアマーケットの拡大・上質な子供マーケットの深耕・安全・安心な店舗環境の整備・アート・カルチャー・ウェルネスの強化外国人マーケットの不透明さ大・インバウンド売上大幅減少の長期化・新たなアプローチによる外需の獲得・インバウンド戦略の見直し・越境ECやライブコマースの強化ファイナンスリスク資金調達マネジメントの重要性の向上大・資金不足による経営破綻・不利な条件での資金調達による成長の停滞・成長分野への投資資金確保による事業育成・グループ資金調達の一元化と資金効率化・資金調達手段の多様化環境変化に対応できるコスト構造の必要性非常に大・事業存続の危機・業績回復の遅れ・事業ポートフォリオの組み替え・成長事業への投資・ビジネスモデル改革によるコスト削減・事業基盤の絞り込みハザ|ドリスク頻発する自然災害・疫病非常に大・顧客・従業員の人命損傷・事業継続の危機・地域社会の安全・安心確保への貢献・「事業継続」「感染症対応」マニュアルの整備・BCP訓練の継続的な実施情報セキュリティの重要性向上大・重要情報流出による社会的信用失墜・営業損失・業務の遅延・停滞・円滑なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進・「情報セキュリティポリシー」「ITガバナンス方針」の整備・システムのクラウド移行の推進・教育・訓練による情報リテラシーの向上 (5)TCFD提言に沿った情報開示①JFRグループが目指すサステナビリティ経営昨今、企業を取り巻く環境はより一層不透明さを増しています。また、ウィズコロナによりニューノーマル化した社会では、企業は社会的価値を理解し、サステナビリティ経営の傘のもと、経営を実行しなければならない時代となっています。JFRグループは、サステナビリティの概念を企業戦略および事業戦略に組み込むことで、将来の成長に向けた「持続可能な経営の枠組み」を獲得できると考えています。当社グループの強み(コアコンピタンス)は、「つくる人」と「つかう人」をつなぐ(発見・発掘、編集)能力です。当社グループは、「持続可能性」と、JFRらしさである「美」「健康」「高質」「カルチャー」「信頼」と、当社グループの強みである「つくる人とつかう人をつなぐ能力」を掛け合わせた視点のもと、独自の新しい豊かさを「Well-Being Life」と位置づけました。「Well-Being Life」は、サステナビリティの視点で再構築した当社のグループビジョンのゴールであり、環境および社会課題の解決のための取り組みとして、ステークホルダーの皆様に対して発信していきます。 ・サステナビリティ経営の全体像 ②新中期経営計画におけるマテリアリティの強化JFRグループは、企業の確実な成長のため、持続的成長に有効なマテリアリティを特定し、企業経営の中核となるビジョン、経営計画にそれらを組み込み、実行していかなければならないと考えています。当社グループは、環境問題、コロナ禍等に伴う外部環境の変化、既存のマテリアリティのバランス、さらに2030年をゴールとした国際的な持続可能な開発目標であるSDGsへの貢献に向け、2030年からバックキャスティングし検討した結果、新中期経営計画3ヵ年で取り組むべきマテリアリティに、新たに「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」「サーキュラー・エコノミーの推進」を追加しました。また、既存のマテリアリティである「低炭素社会への貢献」「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」については、それぞれ取り組み内容の進化に伴い「脱炭素社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」に名称を改めました。当社グループは、新たに特定した7つのマテリアリティについて、KGIおよび2023年度および2030年度のKPIを設定し、2030年度までに当社グループが目指す姿を明確にしました。これらの達成に向け、全社一丸となって取り組んでまいります。・JFRグループが新たに特定した7つのマテリアリティ マテリアリティ2030年度KGIJFRグループの持続可能な社会の実現に向けたコミットメント脱炭素社会の実現脱炭素社会をリードし次世代へつなぐ地球環境の創造私たちは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐため、再生可能エネルギーの調達拡大や、省エネルギーの徹底等に全社一丸となって取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。サーキュラー・エコノミーの推進サーキュラー・エコノミーの推進による未来に向けたサステナブルな地球環境と企業成長の実現私たちは、お取引先様やお客様との協働により、新たな環境価値を生み出すための革新的なビジネスモデルを創造し、サーキュラー・エコノミーにおける競争優位性を獲得します。サプライチェーン全体のマネジメントお取引先様とともに創造するサステナブルなサプライチェーンの実現私たちは、お取引先様とサステナビリティに対する考え方を共有し、共に社会的責任を果たすことを通じて、サプライチェーン全体で持続可能な未来の社会づくりに貢献します。お取引先様とともに創造するサプライチェーン全体での脱炭素化の実現私たちは、お取引先様とともに、環境に配慮した製品やサービスの調達等に取り組むと同時に、再生可能エネルギー化、省エネルギー化に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素社会の実現に貢献します。お取引先様とともにサプライチェーンで働く人々の人権と健康を守るWell-Beingの実現私たちは、お取引先様とともに、サプライチェーンで働く人々の人権が守られ、健康に働き続けることができる職場環境づくりを実現します。地域社会との共生地域の皆様とともに店舗を基点とした人々が集う豊かな未来に向けた街づくりの実現私たちは、地域のコミュニティ、行政、NGO・NPOとともに、店舗を基点として、地域資産をいかした持続可能な街づくりに貢献します。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人々にワクワクするあたらしい体験を提供します。お客様の健康・安全・安心なくらしの実現未来に向けたお客様の心と身体を満たすWell-Beingなくらしの実現私たちは、お客様の心身ともに健康なくらし、安心なくらしに寄り添う高質で心地よい商品やサービスを提供することにより、お客様それぞれの自分らしいWell-Beingと心豊かなワクワクする未来を提案します。未来を見据え安全・安心でレジリエントな店づくりの実現私たちは、防災や感染症リスク、BCP(事業継続)に対応し、店舗のレジリエンスを高めます。また、それと同時にデジタルを活用したオペレーションを構築することで、安全・安心に配慮した新しい顧客接点を創造し、社会の期待に応える店づくりを推進します。ダイバーシティ&インクルージョンの推進すべての人々がより互いの多様性を認め個性を柔軟に発揮できるダイバーシティに富んだ社会の実現私たちは、多様性と柔軟性をキーワードにステークホルダーすべての人がダイバーシティの本質である異なる個性や視点を大切にし、多様な能力を発揮できる企業をつくります。また、多様な個性や能力が相互に影響し、機能し合うこと(インクルージョン)により、イノベーションを生み出し、多様なお客様の期待に応え事業の成長を目指します。ワーク・ライフ・インテグレーションの実現多様性と柔軟性を実現する未来に向けた新しい働き方による従業員とその家族のWell-Beingの実現私たちは、ニューノーマル時代の新しい働き方として、多様性と柔軟性をキーワードにした働き方を促進し、同時に心身の健康を保ちます。これにより、従業員と家族のWell-Beingを実現し、組織の生産性向上につなげます。 ③気候変動への対応昨今、世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発するなど大きな影響をもたらし、今や気候変動は企業にとって看過できない状況となっています。このような中、JFRグループは、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しています。当社グループは、2021年度に新たに特定した7つのマテリアリティのうち、「脱炭素社会の実現」を最も重要なマテリアリティと位置づけ、再生可能エネルギー由来電力の導入や、エネルギー消費量の削減等、Scope1・2温室効果ガス排出量の削減に積極的に取り組んでいます。さらに今回、環境課題の解決に向け、新たに「サーキュラー・エコノミーの推進」をマテリアリティに追加しました。一方、当社グループは小売業を中核とする企業グループであり、サプライヤーであるお取引先様や、消費者であるお客様と協働したScope3排出量削減の取り組みも非常に重要な課題であると認識し、マテリアリティの一つである「サプライチェーン全体のマネジメント」において取り組んでいます。 ④TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、気候関連情報を開示致します。 開示項目具体的な開示内容ガバナンス(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象(b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法リスク管理(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法(b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況戦略(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス指標と目標(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績出典:気候関連財務情報開示タスクフォース「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」(2017年) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、 監視対象JFRグループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境課題に関する具体的な取り組み施策について、業務執行の最高意思決定機関である「グループ経営会議」で協議・決議しています。また、半期に一度開催される「サステナビリティ委員会」において、「グループ経営会議」で協議・決議された環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。取締役会は、「グループ経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を行っています。 (b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法代表執行役社長は、「グループ経営会議」の長を担うと同時に、直轄の諮問委員会である「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。「グループ経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・決議された内容は、最終的に取締役会へ報告を行っています。 ・JFRグループ 環境マネジメント体制図 ・環境マネジメント体制における会議体と役割会議体および体制役割①取締役会業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組み施策の進捗を監督する。毎月開催。②グループ経営会議環境課題に対する具体的な取り組み施策を含む全社的な経営に係る施策について協議・決議する。決議事項は取締役会へ報告される。毎週開催。③リスクマネジメント委員会環境課題を含む包括的なリスクを抽出し、対策を協議・決議する。各事業会社の進捗状況のモニタリングなどを実施し、決議事項は取締役会へ報告される。都度開催。④サステナビリティ委員会グループ経営会議で協議された環境課題への対応方針を協議・決議する。環境課題に関する長期計画とKGI/KPIの策定、各事業会社の進捗状況のモニタリングなどを実施し、決議事項は取締役会へ報告される。半期に一度開催。⑤ESG推進部全社的な環境課題への対応を推進する。環境関連情報を収集し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会へ報告する。 <リスク管理>(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法JFRグループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。当社グループは、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、「グループ経営会議」や「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。 (b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法JFRグループは、気候変動に伴うリスクと機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定し、その重要性を評価しました。はじめに、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目である「商品調達」「輸送・顧客の移動」「店舗販売」「商品や、サービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候変動に伴うリスクと機会を網羅的に抽出しました。次に、網羅的に抽出した気候変動に伴うリスクと機会の中から、当社にとって重要な気候変動に伴うリスクと機会を特定しました。最後に、特定した気候変動に伴うリスクと機会について、「自社にとっての影響度および発生可能性」と、「ステークホルダーにとっての影響度」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。当社グループは、上記のプロセスを経て、特に重要と評価された気候変動に伴うリスクと機会について、取締役会による監督体制の下、当社における企業リスクの一つとして当社グループの戦略に反映し、対応しています。 (c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況JFRグループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、「リスクマネジメント委員会」を設置しています。「リスクマネジメント委員会」では、外部環境分析をもとに、環境課題に係るリスクを含めた企業リスクを識別・評価し、優先的に対応すべき企業リスクの絞り込みを行い、進捗のモニタリングを行っています。「リスクマネジメント委員会」で論議・承認された内容は、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。 ・リスク管理プロセス・リスク管理体制 リスク管理プロセス担当する会議体・リスクの識別・評価・絞り込み・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)・リスク対応・各事業会社・モニタリング・報告・取締役会・グループ経営会議・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象) <戦略>(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細JFRグループは、環境課題に係るリスクは長期間にわたり、自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。当社グループは、中期経営計画の実行フェーズである2021~2023年度、SBT目標設定年度である2030年度を見据え、気候変動がもたらす異常気象等の物理リスク、政府による政策規制の導入、および市場ニーズの変化等の移行リスクの検討※を行い、検討の結果特定したリスク・機会は、当社グループの戦略に反映し、対応しています。※(b)の表「JFRグループのリスク・機会の概要と事業および財務への影響」に記載。 ・JFRグループにおける気候関連リスクと機会の検討期間の定義 期間定義中期2021~2023年度まで2021~2023年度の中期経営計画の実行期間長期2030年度までJFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量のSBT目標設定年度までの期間 (b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度JFRグループは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑える」ことを想定したシナリオ(2℃未満シナリオ)、および新たな政策・制度が導入されず、公表済の政策・規制が達成されることを想定した世界の温室効果ガス排出量が、現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界を想定しました。最重要マテリアリティである「脱炭素社会の実現」に向け、当社グループの事業活動について、上記シナリオを前提に、気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンス(強靭性)を検証しています。 ・参照した既存シナリオ想定される世界既存シナリオ2℃未満シナリオ「Sustainable Development Scenario(SDS)」(IEA、2019、2020年)「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)4℃シナリオ「Stated Policy Scenario(STEPS)」 (IEA、2019、2020年)「Representative Concentration Pathways (RCP6.0、8.5)」(IPCC、2014年) ・2030年時点を想定した2℃未満シナリオおよび4℃シナリオにおけるJFRグループの事業および財務への影響2つのシナリオにおけるJFRグループのリスク・機会とそれらに伴う事業および財務への影響の概観は下記の通りです。なお、事業および財務への影響の大きさは表中の矢印の傾きを3段階で定性的に表示しています。 ・JFRグループのリスク・機会の概要と事業および財務への影響 リスク・機会の種類JFRグループのリスク・機会の概要事業および財務への影響2℃未満シナリオ4℃シナリオリスク移行リスク政策規制・炭素税(カーボンプライシング)等、温室効果ガス排出を抑制する政策導入・規制強化に伴う、オペレーションコストの増加・温室効果ガス排出に関する情報開示義務の拡大と、その対応不備による罰金リスク市場・環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う、低炭素(カーボンニュートラル)製品の需要増等のマーケット変化への対応遅れによる、成長機会の喪失・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウィルス感染症等)への対応の遅れによる、成長機会の喪失物理リスク急性・気候変動に起因する自然災害による調達・物流ルート断絶に伴う、製品・サービスの販売機会の喪失・気候変動に起因する自然災害による店舗・事業所の損害、営業停止・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加に伴う、店舗での販売機会の喪失機会エネルギー源・再エネに係る新たな政策・制度の進展とその利用に伴うエネルギー調達コストの減少・再エネ拡大、省エネ強化、創エネ導入に伴うエネルギー調達リスクの回避製品およびサービス・リユース製品・リサイクル製品の需要増による、売上収益拡大・リユース製品・リサイクル製品の取扱い拡大による、Scope3排出量の削減市場・シェアリングビジネスやアップサイクルビジネスへの新規参入による、新たな成長機会の拡大・環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う、小売業の枠を超えた事業ポートフォリオの再構築と、低炭素(カーボンニュートラル)製品市場への参入・拡大による収益力の向上・気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加への対応による、新たな成長機会の拡大 :JFRグループの事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される。:JFRグループの事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される。:JFRグループの事業および財務への影響が軽微であることが想定される。 (c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンスJFRグループの温室効果ガス排出量の約90%は、電気の使用に由来しており、当社グループの温室効果ガス排出量削減の取り組みは、再生可能エネルギー由来電力の調達に重点を置くことが重要であると考えています。この現状を踏まえ、当社グループは、2030年時点を想定した2つのシナリオにおける事業および財務への影響のうち、特に日本国内における炭素税※の導入および再生可能エネルギー由来の電気料金の変動が、重要なパラメータ(指標)になると考えています。そのため、2℃未満シナリオおよび4℃シナリオにおける2つのパラメータについて、当社グループの財務への影響を定量的に試算しています。※気候変動の主な原因である二酸化炭素の排出に課される税。 ・2030年時点を想定したJFRグループへの財務影響重要なパラメータ(指標)2030年時点を想定したJFRグループへの財務影響項目2℃未満シナリオ4℃シナリオ炭素税・炭素税価格(千円/t-CO2)103.3・炭素税課税に伴うコスト増(百万円)770254再エネ由来の電気料金・再エネ由来の電気料金の価格増(円/kWh)1~4・再エネ由来の電気の調達コスト増(百万円)196~784(2030年時点に想定される前提条件)・炭素税価格※1:$100/t-CO2(2℃未満シナリオ)、$33/t-CO2(4℃シナリオ )※2※1 「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2019)を参照。※2 2030年時点では日本国内でも炭素税が導入されることを想定し、4℃シナリオにおけるEUの炭素税価格で試算。・JFRグループ温室効果ガス排出量:約77,000t-CO2(対2017年度比60%削減)・再エネ由来の電気料金:1~4円/kWhの価格高(再エネ以外の電気料金との比較)・JFRグループ再エネ由来の電気使用量:196,000MWh(再エネ比率60%) 当社グループは、2℃未満シナリオおよび4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点から高い戦略レジリエンスを強化していきます。そのため、事業戦略や中期経営計画において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指してまいります。 <指標と目標>(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標JFRグループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。 (b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)JFRグループは、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2020年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約13.6万t-CO2(対2019年度16.3%削減)を見込んでいます。また、2020年度Scope3温室効果ガス排出量は、約283万t-CO2(対2019年度比25.2%削減)を見込んでいます。当社グループは、2017年度から、温室効果ガス排出量の第三者保証を取得しており、2020年度の温室効果ガス排出量についても、第三者保証を取得する見込みです。 ・JFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量実績および見通し(単位:t-CO2、%) 温室効果ガス排出量 実績温室効果ガス排出量 見通し2017年度2018年度2019年度2020年度対2019年度増減Scope1・2排出量 合計194,154※182,565※162,508※136,000▲16.3内訳Scope1排出量16,052※15,960※15,214※13,000▲14.6Scope2排出量178,102※166,605※147,294※123,000▲16.5Scope3排出量 合計3,075,1303,123,2383,782,555※2,830,000▲25.2※ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドによる第三者保証を取得。 (c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績JFRグループは、世界全体の2℃未満目標達成のため、2018年度から、長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定しています。「2030年までにScope1・2およびScope3温室効果ガス排出量を40%削減する(2017年度比)」という目標を設定し、「SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※1」の認定を取得しています。当社グループは、これまでの取り組み内容の進化に伴い、Scope1・2について「2030年までにScope1・2温室効果ガス排出量を60%削減する(2017年度比)」という、より野心的な目標に改めました。また、「2050年までにScope1・2温室効果ガス排出量をゼロにする」という目標を設定し、カーボンニュートラルの実現を目指します。これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再生可能エネルギー由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100※2」に加盟しました。今後も、カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー由来電力の調達拡大に取り組みます。※1 産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるため、科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標達成を推進することを目的として、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が2015年に共同で設立。※2 事業活動で使用する電力を、2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的イニシアチブ。 ・JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標 指標目標年度目標内容温室効果ガス排出量2050年Scope1・2温室効果ガス排出量ゼロ2030年Scope1・2温室効果ガス排出量を60%※1削減する(2017年度比)Scope3温室効果ガス排出量40%削減を目指す(2017年度比)※2※1 SBTイニシアチブにより認定を受けている削減率は40%※2 SBTイニシアチブにより認定事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率2050年事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率100%※3※3 2020年 RE100に加盟2030年事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率60% ⑤今後の取り組み昨今、天然資源や製品が一度きりの使い捨ての形で使用されることが前提となる、従来型の「リニア・エコノミー」は、大量採取による天然資源の枯渇、温室効果ガス排出による地球温暖化、大量の廃棄物による海洋汚染等、深刻な気候変動をもたらしています。JFRグループは、小売業を中核とする企業グループである強みをいかし、これらの気候変動に伴うリスクと機会に対応していくことが重要であると考え、・気候変動に伴う物理リスクへの対応策の強化による強靭なサプライチェーンの実現・店舗を核とするCSVへの取り組みを通したサステナブルな店づくりの実現による 地域社会への貢献・「サーキュラー・エコノミー」の推進による新しいビジネス機会の実現・消費者の消費行動の変化に対応した低炭素製品・サービスへの積極的対応等に取り組んでいきます。今後も、当社グループは、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進め、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案等、全社的な取り組みを進めていきます。
FY2020|16,208 文字
2【事業等のリスク】「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。 (1)経営に重要な影響を及ぼすと想定されるリスク<リスクの定義及び管理体制>・リスクの定義当社グループでは、リスクを「環境変化の中で組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、適切な対応により、企業の持続的な成長につながると考えています。 ・リスク管理体制代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会には事務局を置き、リスク管理担当役員を事務局長とします。事務局は、リスクマネジメント委員会で決定した方針や重要な決定事項を事業会社に共有し、グループ全体のリスクマネジメントを推進します。当社グループでは、経営が、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることで、リスク管理を企業価値向上につなげる取り組みの一つとして推進しています。 <リスクマネジメント委員会の具体的な活動>当社グループでは、リスクマネジメント委員会において、環境分析をもとに、リスク(不確実性)を識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、「JFRグループリスク一覧表」として、グループ全体でリスク認識を共有しています。また、極めて重要度の高いリスクは、「企業リスク」としてリスクマネジメント委員会が対応方針を審議・決定し、「グループ戦略」に反映して対応しています。 <はじめに>米中覇権争いをはじめとする地政学的緊張、甚大な被害を及ぼすようになった自然災害は前年から引き続き大きなリスクです。加えて、消費増税の消費への打撃、瞬く間に世界的な大流行となった新型コロナウイルス感染症が「ブラックスワン(予測不能で起きたときの衝撃が大きい事象)」として発現したことで、当社グループは、存続が危ぶまれるほど重大な危機に直面しています。新型コロナウイルス感染症の影響は、当初の我々の想定をはるかに超え、当社グループの中核事業である小売事業の実店舗は、長期に渡り営業休止を余儀なくされています。現段階で新型コロナウイルス感染症が収束するまでに要する期間は見通せず、その間多くの顧客との繋がりが断たれていることに、非常に危機感を抱いています。このような環境の下、まずは、企業の存続の基盤を確固たるものとし、顧客や取引先企業からの派遣者を含む現場スタッフの安全・安心の確保、取引先企業との連携強化に努めています。また、新型コロナウイルス感染症は、あらゆる側面で大きな転機になると捉えています。人々の消費に対する価値観や消費行動は変容し、それに伴い、小売業に求める価値も変化すると考えられます。また、急速に広まったリモートワークなどにより、将来に渡り働き方や生活が大きく変化していくと、企業としての雇用のあり方も見直す必要が生じると想定されます。商取引においては、サプライチェーンの寸断を受け、中国を始めとする特定地域への過度な依存からの脱却、強靭なサプライチェーンの再構築が求められます。さらに、人の流れが変わることにより、当社グループの実店舗と地域社会とのつながりにも、変化が生じてくるものと思われます。このような様々な環境変化から、多数の顧客を店舗に集客し、対面で販売するという従来の実店舗型小売業は、あり方の見直しを問われることとなり、ビジネスモデルの変革のスピードが増すと想定されます。 当社グループでは、このような状況をニューノーマル(新常態)として捉え、企業存続に向け、新型コロナウイルス感染症収束までの期間や影響などの違いによる複数のシナリオをもとに、従来の常識に捕らわれず、将来も顧客との繋がりが維持できる取り組みに着手しています。変化を先読みし、顧客の気持ちに寄り添い顧客との生涯に渡る繋がりを大事にするというビジネスの根幹は変えることなく、各事業において、既存のビジネスモデルの変革を進め、グループ全体の事業構造の見直しにもスピードを上げて取り組んでいきます。当社グループでは、以下、13項目を有価証券報告書提出日現在において、投資家の皆さまの判断に影響を与える可能性がある主要なリスクとして、リスク認識及び対応策を記載いたします。 ①感染症・リスクの発現度合い・影響度・変化しばらく影を潜めていた感染症のリスクは、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行として顕在化し、多くの人命が失われています。さらに、人やモノの流れの分断により実体経済が過去最大の打撃を受けるとともに、金融市場も混乱するなど、未曾有の危機に直面しています。感染症は、地球温暖化や生態系の変化との関連が示唆されており、持続可能な環境を取り戻さない限り、今後も頻度、影響度ともに引き続き増大し続けると見込まれます。B to Cが事業の中核である当社グループにおいて、その影響は極めて大きく、事業の存続を左右するほどのインパクトをもっています。 ・マイナス面感染症は、最も事態が深刻な場合、当社グループが有する顧客・従業員の人命損失につながります。また、今回の新型コロナウイルス感染症のように収束が遅れた場合には、長期間に渡り人やモノの流れが分断し、店舗の営業休止や営業時間短縮を余儀なくされるだけでなく、グループ各社の事業活動や従業員の働き方についても、平時からの抜本的な見直しが必要となります。さらに、長期間の外出自粛は、将来に渡り、消費者の価値観や消費行動を変容させる可能性があります。 ・対応策当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大において、顧客や従業員の安全確保のため、営業休止や、営業時間の変更にいち早く取り組んでいます。これは、平時より、災害や感染症の発生に備えて、顧客や従業員の安全確保に向け、被害を極小化するための体制を整えていることが背景にあります。店舗閉鎖については、営業再開に向けた取引先企業との緊密な連携体制の構築や、代替のサプライチェーンの確保に努めています。また、消費者の価値観や消費行動の変容に備え、顧客との接点の持ち方など、ビジネスモデルの変革にも着手しています。 ②災害・リスクの発現度合い・影響度・変化地球温暖化がもたらす気候変動の影響による台風・豪雨や、地震などの自然災害は、頻度、損害の規模ともに数年前から急速に増大しています。また、火災・停電などの事故も、顧客や従業員の人命を危機にさらし、事業の基盤であるインフラを脅かすという点で、当社グループの事業活動全体に、非常に大きな影響があります。 ・マイナス面自然災害は、最も事態が深刻な場合、当社グループが有する顧客・従業員の人命損傷につながります。また、電気・ガス・交通機関などインフラの寸断により事業活動が停止を余儀なくされ、復旧が長引くと、店舗の集客力が低下するなどの影響も生じます。火災・停電などの事故は、人命損傷や事業活動の一時停止につながる可能性があり、施設の改修などに多額の費用が生じます。 ・対応策当社グループでは、自然災害や火災・事故の発生に備え、平時より、老朽化したインフラへの投資、施設の定期的な点検、防災教育などを行っています。また緊急時に備え、具体的な行動レベルまで落とし込まれた事業継続計画を常備し、模擬訓練を行うとともに、災害備蓄品の整備などを進めています。システム停止への備えとしては、データのクラウドへの移行、決済を中心とする重要データを処理するバックアップセンターの設置などにより、店舗の営業に差支えが生じないよう努めています。③テクノロジーの進化・リスクの発現度合い・影響度・変化5Gの商用開始、ビッグデータの利活用の拡大、AIの解析精度向上など、テクノロジーの世界は目覚ましいスピードで進化しています。この進化により、業界の垣根を破壊するディスラプターが相次いで登場し、消費者のライフスタイルや消費行動も大きく変化しつつあります。新型コロナウイルス感染症の長期に渡る流行は、この流れを加速させると思われ、今後数年の間に小売りをはじめとする当社グループの既存事業にますます大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面IT専門人財の不足や組織体制の未整備により、テクノロジーを活用することができなければ、マーケティングの高度化や生産性の向上が遅れます。加えて、新型コロナウイルス感染症のように外出自粛が長引く事態が発生した場合には、消費行動がオンラインショッピングにシフトするなど、既存事業の競争力が低下します。一方で、ビッグデータやAIを利活用できれば、新たな顧客サービスの提供や業務変革が可能となります。 ・対応策当社グループでは、複数の事業の顧客データを統合したデータベースを構築し、スマートフォンアプリを通した顧客との新たなコミュニケーション、マーケティング、販売の高度化に着手しています。今後はそれをさらに推進するとともに、リニューアルした「渋谷PARCO」で展開しているXR(VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)の総称)技術など最新テクノロジーを活用した、新たな顧客体験の提供にも力を入れ、リアル店舗の魅力を高めていきます。業務変革については、定型業務へのRPA導入、テレワーク、Web会議の拡大など、順次、生産性向上につながる取り組みを推進しています。 ④シェアリングエコノミーの進展・リスクの発現度合い・影響度・変化消費者の所有から利用へのシフトは、欧州に端を発したサーキュラーエコノミーという大きなうねりを受け、緩やかに、しかしながら、確実に進んでいます。日本においても、新型コロナウイルス感染症を機に、環境への配慮から、使い捨て文化への見直しが進むと思われます。今後、ますます大きくなるシェアリングエコノミーの波は、当社グループの中核である小売事業に、中期的に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面新興企業によるシェアリング市場の領域拡大や、C to C(企業を介さない消費者同士のモノやサービスなどの取引)の台頭は、従来の購買行動に加え、購買を前提としない多様な消費行動の拡大を促進します。一方で、消費者の変化を機会と捉え、当社グループ自らがシェアリングを切り口とした事業への参入を図ったり、既存事業において3R(リユース、リデュース、リサイクル)を進め循環型社会の実現を目指すことで、新たな需要を創造することが可能となります。 ・対応策複数の事業を展開する当社グループは、優良な顧客基盤、購買情報をはじめとするビッグデータを有しており、これらを活用して、マルチサービスリテイラー(既存の小売業の枠を超え、サービスも含め顧客の幅広いニーズに対応することを目指す)戦略を推進しています。シェアリングについても複数の新規事業の創出を検討しており、所有から利用へとシフトする顧客ニーズに柔軟に対応しようと取り組んでいます。また、パルコ事業において、クラウドファンディングの取り組みを強化し、地域活性化につながるサービスの創出を支援しています。加えて、小売店舗では、不要な衣料品の回収およびリサイクルや、フードロス削減を推進し、循環型社会に貢献しています。 ⑤ESGの重要性向上・リスクの発現度合い・影響度・変化ガバナンス・環境・社会の3つの課題への対応は、今や必須のものとして、その重要性も急速に増しており、ESGの取り組みにより企業がステークホルダーから峻別される時代となっています。新型コロナウイルス感染症を機に、持続可能な社会への取り組みが進展すると見込まれており、ESGは、中長期的に当社グループの企業価値やレピュテーション、資金調達に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面ESGの取り組みは、今まで以上に社会的価値と経済価値を両立するCSV(共通価値の創造)の実現度合いで評価されるようになっています。ESGの推進には長い期間やコストがかかるため、CSVが思うように実現できなければ、ステークホルダーから評価されない可能性があります。一方で、消費者の持続可能な社会への関心の高まりに訴求する新たな商品やサービスを提供できれば、売上やレピュテーションが向上し、資金調達面でもプラスの効果をもたらします。 ・対応策当社グループでは、設定した5つのマテリアリティ(※)をもとに、CSVの実現に向け、様々な取り組みを推進しています。E(環境)については、全社で再生可能エネルギーへの切り替えを精力的に進め、不要な衣料品の引き取りや環境に配慮した包装資材への変更、フードロス削減など、顧客及び地球への負担の低減に努めています。E(環境)S(社会)両方に関連する取り組みとしては、当社グループの姿勢を示した「お取引先様行動原則」「JFR行動原則」を制定し、取引先企業への説明会、社内サイトでの従業員への周知を行い、ステークホルダーとともに、環境や人権に配慮した営業活動や店舗を核とした地域社会への貢献を推進しています。これらの取り組みを支えるコーポレートガバナンスについては、指名委員会等設置会社として、複数の独立社外取締役を選任して経営監督機能を強化し、透明性の高い経営を実現しています。これら一連の取り組みは、「サステナビリティレポート」に集約し、社外に開示するとともに、社内浸透の強化を図っています。※「低炭素社会への貢献」「サプライチェーン全体のマネジメント」「地域社会との共生」「ダイバーシティの推進」「ワークライフバランスの実現」 ⑥既存事業の成熟から衰退への移行・リスクの発現度合い・影響度・変化当社グループの中核事業である小売事業を中心とする既存事業の成熟は、デジタル化による消費者のライフスタイルや消費行動の変化により、そのスピードが加速しています。テクノロジーの進化、新型コロナウイルス感染症の長期化により、ここ数年でさらに既存事業の成熟から衰退への移行が進むと見込んでおり、小売事業をはじめ当社グループ全体の業績に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面新型コロナウイルス感染症で加速する消費者のライフスタイルや消費行動の変化への対応が遅れると、既存事業のビジネスモデルの陳腐化から、顧客離れを招きます。一方で、ECでは得られない実店舗ならではの購買や接客体験を見直す機運が高まりつつあることを踏まえ、当社グループが有する都心の実店舗の変革を加速することにより、既存顧客の満足度が向上するとともに、新規顧客の獲得による持続的な成長が望めます。 ・対応策当社グループでは、順次、既存店舗のリニューアルを進めており、11月には、「大丸心斎橋店本館」「渋谷PARCO」をリニューアルオープンしました。「大丸心斎橋店本館」では、収益分析をもとに、従来の売仕契約と定期借家契約の最適化を図った新たなビジネスモデル(革新的ハイブリッド型ビジネスモデル)に取り組んでいます。「渋谷PARCO」では、EC併設のオムニチャネル型売場、バーチャル(仮想)展示など、最新テクノロジーを活用した新たな店舗づくりに挑戦しています。今後も商圏や顧客の特性を踏まえ、既存店舗のビジネスモデルの変革に取り組むとともに、当社グループの金融事業と連携し、キャッシュレス決済など消費行動の変化にも対応していく予定です。 ⑦取引先の転換・リスクの発現度合い・影響度・変化当社グループの中核事業である小売事業では、テクノロジーの進展を背景に、従来の優良取引先企業のECシフト、実店舗からの撤退が進んでいます。また、少子高齢化に伴う国内市場の縮小を背景に、倒産・廃業も増加しています。新型コロナウイルス感染症の発生による営業休止を受け、買取・売仕など従来の百貨店型取引形態である取引先企業の業績は大幅に悪化しています。加えて、業績が悪化した定期借家契約の取引先企業からは賃料の減額要請を受けています。このような状況から、撤退や倒産・廃業の波は、今後数年の間に急速に増大し、小売事業の業績に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面優良取引先企業の撤退・倒産・廃業は、当社グループの小売店舗の品揃え、魅力の低下につながります。一方で、これを取引先政策転換の契機と捉え、顧客データの分析などにより既存取引先企業の営業施策を支援したり、新たな取引先企業の開拓による品揃えの向上につなげることができれば、既存事業の持続的な成長が可能となります。 ・対応策当社グループでは、既存取引先と共同で、最新テクノロジーを活用した次世代型店舗や、物販とサービスの複合店の開発を進めています。また、消費行動の変化を踏まえ、ライフスタイル全般において新規事業の創造を行っている企業を新たな重点取引先企業と位置づけ、開拓を強化しています。さらに、社会との共生を切り口とした施設・サービスの導入や、店舗を核とした周辺エリアの活性化に寄与するイベントの開催を行い、幅広い顧客層の集客に努めています。 >新型コロナウイルス感染症の拡大は、「深刻さ」と「長期化」の両面で景気を後退させ、経済は重大な危機に直面しています。この経済危機が実体経済を支える金融システムにも影響を与えることになれば、「コロナショック」は「金融危機」へと変異拡大するリスクを秘めています。最新の「国際金融安定性報告書(GFSR)」によると、金融システムはすでに一定の影響を受けているとされていますが、実体経済の落ち込みが長期化した場合には、金融面の本格的な調整が起き、「経済危機⇒資金流出⇒信用収縮⇒流動性低下」という「負の連鎖」を生じ、経済活動の萎縮を増幅する致命的な状況を産み出すことになります。「コロナショック」による実体経済の影響は、過去に日本を襲った4つの危機、「世界恐慌」「オイルショック」「バブル崩壊」「リーマンショック」に匹敵、あるいは上回るものですが、危機管理の観点では、1997年に起きた「アジア通貨危機」を想起させます。金融市場においては、為替、金利、株式の各市場が乱高下を続け、混迷を深める状況が発生しています。さらに、原油価格の下落に伴い、産油国が発行する長期債の価格が大きく下落しています。さらに、コマーシャル・ペーパーなど短期資金調達市場の逼迫、金融資産価格の変動性の急上昇、企業の信用スプレッドの急拡大が表出し始めています。現在までに、各国中央銀行が融資や資産買入れを始めとする流動性供給の拡大計画を発表したことから、一部の市場に見られた緊張は多少和らぎ、資産価格も回復傾向にあります。しかし、市場のマインドは引き続き脆弱であり、世界の金融市場は年初に比べて大幅に縮小したままです。景気後退が深刻化し長引くことになれば、世界の金融環境は一層悪化することになります。その結果、近年の超低金利環境において蓄積された金融脆弱性が露呈することとなり、「コロナショック」は「金融危機」を通じて、小売・サービス事業、その取引先である製造事業の業績悪化に拍車をかけることになると想定されます。 ⑧資金調達・リスクの発現度合い・影響度・変化当社グループは、出店・改装などの設備投資、M&Aなどに要する資金を、金融機関からの借入に加え、社債、コマーシャル・ペーパーなど金融市場から、直接調達しています。新型コロナウイルス感染症の影響から、多数の企業が財務の安定性を確保するために、従来とは次元の異なる規模で資金調達を実施しようとしています。その結果、金融市場は急激に不安定さが増しています。このような環境下において、当社グループにおいても、的確な資金調達により、事業の安定性、継続性を担保することが当面の最重要課題であり、ひいては将来の成長に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面金融機関による貸付枠や信用供与枠などの条件変更や当社グループの信用格付の大幅な引き下げ、あるいは、投資家の投資意欲の減退や市場環境の悪化が生じた場合、適時に適切な条件で必要な資金を調達できない可能性があります。一方で、効率的・効果的な資金調達ができると、積極的な事業投資により、当社グループの持続的な成長が可能となります。 ・対応策当社グループでは、事業年度毎に資金調達方針を定め、間接金融と直接金融、並びに短期調達と長期調達の適正なポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、適切な金利水準による資金調達を実施するために、市場動向の把握や最適な調達手段の選択を行い、支払利息の削減につなげています。急激な金融市場の変動への備えとしては、日頃から金融機関、格付機関、債券投資家と良好な関係を築き、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行を計画的に行うとともに、コミットメントラインなどの資金調達枠を十分に確保することにより、不透明な調達環境下でも、適切に資金調達ができる体制を整えています。さらに、ESGを重視した経営を行うことで、効率的・効果的な資金調達に努めています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に対しては、資金確保が最重要課題であるとの認識の下、リスクシナリオを設定し、その対応を迅速かつ的確に実践していきます。 ⑨為替の変動・リスクの発現度合い・影響度・変化新型コロナウイルス感染症の全世界的な流行を機に、安定していた為替相場は、急速に変動幅が大きくなっています。為替の変動は、当社グループの中核事業である小売事業におけるインバウンド売上、並びに一部事業での原材料や商品調達を左右し、当社グループの収益性に大きな影響を与えます。 ・マイナス面・プラス面円高が進行した場合、中国をはじめとする訪日客数が減少し消費意欲も減退する一方、一部事業での原材料や商品の仕入れコストが低下します。逆に円安が進行した場合、訪日客数が増加し高額消費が活発化する一方、一部事業での原材料や商品の仕入れコストが増加します。 ・対応策当社グループでは、為替の変動に備え、インバウンドについては商圏拡大という発想で、中国依存からの脱却(幅広いアジア圏のマーケット開拓)や、外国人富裕層の固定客化を推進し、円高による外国人マーケットの落ち込みを低減しています。また、原材料や商品の調達の一部については、実需に基づく為替予約取引の活用や、海外の商品調達先を分散するなどの対策を講じています。 ⑩株式相場の変動・リスクの発現度合い・影響度・変化米中貿易戦争の長期化に加え、新型コロナウイルス感染症が世界経済に大打撃を与えており、将来に対する見通しが立たない環境下において、株式相場は乱高下しています。株式相場の急激な変動は、株式を保有する当社グループの中核事業である百貨店顧客および当社グループの財務状況に大きな影響を与えます。 ・マイナス面・プラス面株式相場が下落すると、百貨店顧客の名目的な資産減少から消費マインドの低下を招きます。また、当社グループも株式を保有していることから、親会社の所有者に帰属する持分、年金資産が減少します。一方で、株式相場が上昇すると、百貨店顧客の高額消費が活発となり、業績の向上につながるとともに、親会社の所有者に帰属する持分、年金資産が増加します。 ・対応策当社グループでは、株価下落時でも急激に顧客の消費が落ち込まないよう、常日頃から、テクノロジーを活用したコミュニケーションツールや手厚い人的サービスなど、顧客特性に応じた方法で顧客との絆を強め、需要を喚起する対策を講じています。また、自己株式の取得による株価の維持、資産全体に占める株式の割合を適正に保つことにより、財務の安定化を図っています。さらに、当社グループが保有する国内企業の株式などの有価証券については、保有合理性のあるもの以外を削減することにより、株式相場の変動による資産価値の変動を低減しています。 ⑪減損・リスクの発現度合い・影響度・変化事業活動上、当社グループが保有または賃借している、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産は、財政状態計算書に計上しています。競合などの環境変化による事業用固定資産の収益性の低下や、地価の下落などの不確実性は常に大きく、これらに直面した場合、減損を認識しなければなりません。新型コロナウイルス感染症の影響が長引いた場合、店舗収益の悪化や、事業用固定資産の市場価格の大幅な下落により減損リスクが高まっていくと認識しており、当社グループの財務状況に非常に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面・プラス面減損損失の計上は、当社グループの財務状況の悪化ばかりでなく、顧客や地域社会をはじめとするステークホルダーからの評価の低下、ひいては、当社グループのブランド力低下につながります。一方で、収益性と資産価値の整合が取れ、事業の評価が適正化されることにより、将来の事業ポートフォリオの検討、変革へ結びつけることができます。 ・対応策当社グループでは、減損すると影響が大きい一定金額以上の投資案件について、投資計画検討委員会において、損益計画の妥当性、投資回収の実現性を審査しています。具体的には、案件特有のリスクを反映したプランを含む複数のプランを検証し、投資判断に誤りが生じないよう努めています。また、不測の事態を避けるため、再生計画検討委員会において、減損の生じる可能性について定期的に検証し、再生計画に基づき、業績の回復に努めています。 ⑫情報管理・リスクの発現度合い・影響度・変化テクノロジーの進化と並行して、サイバー攻撃の手法は、数年前から急速に高度化しています。また、スマートフォンの進化と利用拡大により、顧客情報を狙った不正アクセスなども急増しており、扱う情報量に比例して情報管理のリスクは高まっています。リスクが発現した場合、当社の信頼性や企業イメージへの大きな影響が想定されます。 ・マイナス面当社グループが有する多数の顧客情報および営業機密、並びに他企業から受け取る機密情報が、不正または過失により外部に流出した場合、当社グループの社会的な信用が失墜するとともに、損害賠償など多額の費用負担が発生します。 ・対応策当社グループでは、基本方針・基本規程・ガイドラインなどからなる「JFRグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、ハード・ソフト両面からセキュリティ強化に取り組んでいます。サイバー攻撃の高度化、多発に備えて、本年度は、情報システムセキュリティ強化や、全従業員対象の訓練や教育の増強など、専門部署によるグループ各社への支援をより一層強化しています。知的財産については、専門部署による管理を徹底し、財産の保護に努めています。 ⑬法規制及び法改正・リスクの発現度合い・影響度・変化マルチサービスリテイラー戦略に基づき複数の事業を展開する当社グループは、常に様々な法規制・法改正に注意を払い、適切に対応することが求められています。特に近年は、当社グループの各事業活動で制限や対応の義務が生じうる働き方改革、個人情報関連などでの法改正が増えており、引き続き当社グループの事業の安定運営、信用に大きな影響を与えると想定されます。 ・マイナス面法規制により事業活動が制限を受ける場合、ビジネスの転換や縮小を招きます。また、法規制・法改正への対応には、常に新たなコストが発生します。さらに、当社グループが十分に注意を払っているにも関わらず法違反が生じた場合、処罰を受けるとともに、企業の信用低下につながります。 ・対応策当社グループでは、第一に担当部署が中心となり、適宜外部の専門家を活用しながら、専門部署がサポートすることで、法を遵守しています。法改正に関する動向については、専門部署が網羅的に情報収集を行い、当社グループと関わりの深いものについては、経営層並びに各事業会社へ情報を共有しています。また、経営層および全従業員を対象としたコンプライアンス研修や内部通報制度の強化により、コンプライアンス風土の醸成や、法違反の未然防止に努めています。 <主要リスク一覧> (2)気候変動への対応とTCFD提言に沿った情報開示JFRグループでは、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しています。当社グループは、2018年、優先して取り組むべき5つのマテリアリティを特定し、その一つである「低炭素社会への貢献」を最重要課題と位置づけ、コーポレートガバナンス機能の継続的な強化を通じて中長期の目標達成に向けた実行計画の立案等、全社的な取り組みを進めています。また、当社グループは2019年5月、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD, Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。当社グループは、「低炭素社会への貢献」に向けてエネルギー消費量の削減、使用効率化、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組むとともに、TCFD提言に沿った情報開示のさらなる拡充を図ってまいります。 <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>JFRグループでは、気候変動への対応を含む「低炭素社会への貢献」をサステナビリティ経営上の最重要課題と認識し、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、2019年度に「サステナビリティ委員会」を設置しました。「サステナビリティ委員会」では、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っており、取締役会ではサステナビリティ委員会で論議・承認された内容の報告を受け、環境課題に関する長期目標や取り組み施策の決議および進捗についての論議・監督を行っています。また当社グループでは、環境課題に関する具体的な取り組み施策について、業務執行の最高意思決定機関である「グループ経営会議」で協議しており、決議事項は取締役会へ報告されます。「グループ経営会議」の長を担う代表執行役社長は、直轄の諮問委員会である「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」の委員長も担うことにより、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進めています。 ・環境マネジメント体制図 ①取締役会:業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組み施策の進捗を監督。毎月開催。②グループ経営会議:環境課題に対する具体的な取り組み施策を含む全社的な経営に係る施策について協議。決議事項は取締役会へ報告。毎週開催。③リスクマネジメント委員会:経営の観点から環境課題を含む包括的なリスクを抽出し、対策を検討。決議事項は取締役会へ報告。都度開催。④サステナビリティ委員会:グループ全体のサステナビリティ経営を推進するため、グループ経営会議で協議された環境課題へのグループ対応方針を決議、共有。環境課題に関する長期計画とKGI/KPIの策定、各事業会社の進捗状況のモニタリングなどを実施。決議事項は取締役会へ報告。半期に一度開催。⑤ESG推進部:全社的な環境課題への対応を推進。気候変動を中心とする環境関連情報を収集し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会へ報告。 <リスク管理>JFRグループでは、リスク(不確実性)を戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。リスク管理を企業価値向上につなげる取り組みの一つとして、代表執行役社長直轄の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」を設置しています。「リスクマネジメント委員会」では外部環境分析をもとに、リスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループでリスク認識を共有し「グループ戦略」に反映して対応しています。また、2019年度に設置された「サステナビリティ委員会」では、リスクマネジメント委員会で特定したリスクのうち、環境課題に係るリスクについて、より詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、当社グループの業務執行の最高意思決定機関と位置づける「グループ経営会議」や代表執行役社長直轄の諮問会議である「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。 ・リスク管理プロセス・リスク管理体制 <戦略>JFRグループでは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスとさらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上(※)、パリ協定の目標である「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を1.5~2℃未満に抑える」ことを想定したシナリオおよび国別約束草案(NDC, Nationally Determined Contribution)を含む各国の気候関連の政策目標がすべて達成されることを想定したシナリオ(3℃シナリオ)の2つの世界を想定しました。最重要マテリアリティである「低炭素社会への貢献」の実現に向け、当社グループの事業活動について上記シナリオを前提に、気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンス(強靭性)を検証しています。※参照した既存シナリオについて(1.5~2℃未満シナリオ)・「Below 2 Degree Scenario(B2DS)」(IEA、2017年)・「Sustainable Development Scenario(SDS)」(IEA、2019年)・「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)(3℃シナリオ)・「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2019年)・「Representative Concentration Pathways (RCP6.0)」(IPCC、2014年)各シナリオにおける当社グループのリスク・機会とそれらに伴う事業/財務影響の概観は下記の通りです。なお、事業/財務への影響の大きさは表中の矢印の傾きを3段階で定性的に表示しています。:当社グループの事業/財務への影響が非常に大きくなることが想定される:当社グループの事業/財務への影響がやや大きくなることが想定される:当社グループの事業/財務への影響は軽微であることが想定される ・2030年時点を想定した1.5~2℃未満シナリオおよび3℃シナリオにおける当社グループの事業/財務への影響 当社グループでは、2030年時点を想定した財務への影響のうち、特に日本国内における炭素税(※)の導入および再生可能エネルギー由来の電気料金の変動が、重要なパラメータ(指標)になると考えています。そのため、この2つのパラメータについて、1.5~2℃未満シナリオおよび3℃シナリオにおける当社グループへの財務影響を定量的に試算しています。※気候変動の主な原因である二酸化炭素(CO2)の排出に課される税(前提条件)・2030年時点のJFRグループ温室効果ガス排出量は、削減目標の基準年である2017年度比で削減率40%を達成した結果、116,492t-CO2と想定。(参考:2017年度実績:194,154t-CO2)・IEAの既存シナリオに基づき、2030年時点における先進国の炭素税価格は、1.5~2℃未満シナリオでは$100/t-CO2、3℃シナリオでは$33/t-CO2と想定。(参考:$1=100円換算)・2030年時点のJFRグループ再生可能エネルギー由来の電気使用量は、総電気使用量に占める再生可能エネルギー比率50%を達成した結果、164,450MWhと想定。なお、2030年時点の総電気使用量は、2018年度実績と同量と想定。(参考:2018年度総電気使用量実績:328,900MWh)・再生可能エネルギー由来電気の実勢価格および2030年時点の社会・制度動向の予測をふまえ、再生可能エネルギー由来の電気料金は、それ以外の電気料金と比較して1~4円/kWhの価格高と想定。(参考:2019年度当社グループ再生可能エネルギー由来電気の購入実績:関西エリア+2円/kWh、関東エリア+4円/kWh) 上記をふまえ、当社グループでは、下記の取り組みを軸とした活動を強化・推進していきます。 ・1.5~2℃未満シナリオの実現に向けた、事業活動に伴う温室効果ガス排出量(Scope1,2 排出量※)の削減・1.5~2℃未満シナリオの実現に向けた、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの活用の推進・1.5~2℃未満シナリオの実現に向けた、サプライチェーン・プロセスにおける温室効果ガス排出量(Scope3 排出量※)の削減※Scope1 排出量:事業活動からの直接排出量(燃料使用に伴う直接排出量) Scope2 排出量:事業活動からの間接排出量(電気・熱の使用に伴う間接排出量) Scope3 排出量:その他当グループが影響を及ぼす間接排出量(サプライチェーンにおける排出量)・気候変動に伴う物理リスクへの対応策の強化による強靭なサプライチェーンの実現・店舗を核としたCSVへの取り組みを通したサステナブルな店作りの実現による地域社会への貢献・サーキュラーエコノミーへの取り組みによる新しいビジネス機会の実現・消費者の消費行動の変化に対応した低炭素製品・サービスへの積極的対応 <指標と目標>JFRグループでは、1.5~2℃未満シナリオの実現に向けた上記戦略に基づき、中長期温室効果ガス排出削減目標を設定しています。また、当社グループの中期温室効果ガス排出削減目標は、SBT(Science Based Targets)の認定を受けています。 当社グループでは、上記目標の達成のために各年度目標を設定するとともに、その達成のための施策ミックス(省エネルギー、再生可能エネルギー由来電気の調達、省エネ設備の導入など)を計画し、温室効果ガス排出量削減を推進していきます。また、投資家をはじめとするステークホルダーの皆様に対し、当社グループの温室効果ガス排出量の正確性・透明性を確保するため、「Scope1,2 温室効果ガス排出量算定・集計ルール」を策定し、2017、2018年度Scope1,2 エネルギー使用量および温室効果ガス排出量について第三者保証を取得しています。今後は、第三者保証取得の範囲をScope3 に拡大し、サプライチェーン全体においても、温室効果ガス排出量の着実な削減に向けて取り組んでまいります。
FY2019|9,653 文字
2【事業等のリスク】当社グループはリスクを環境変化の中での「不確実性」と定義し、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があるとしています。従って、マイナス面のリスク(不確実性)に対し適切にリスクヘッジする一方、マーケットの変化を見極め、プラス面のリスク(不確実性)に対して積極的なリスクテイクができれば、今後の企業の持続的成長につながると考えています。当社グループでは、リスク管理経営に係る執行役社長の諮問機関として、執行役社長を委員長とし、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しています。委員会では、外部・内部環境分析をもとに定期的にリスク(不確実性)について論議し、リスク(不確実性)の洗い出し及び評価を行い、対応策のモニタリングを行っています。本年度は当社グループを取り巻くリスク(不確実性)として、「戦略」「ファイナンス」「オペレーション」「ハザード」の4つのカテゴリーから137項目のリスク(不確実性)を認識しました。認識した個々のリスクについては分析・評価を行い、当社グループの業績及び財務状況への影響が非常に大きいと考えるリスクは、戦略に反映させて優先的に取組んでいます。 当社グループを取り巻く環境は想定を大幅に上回るスピードで変化しており、「シェアリングエコノミーの進展に係るリスク」「テクノロジーの進化に係るリスク」は小売業を中核とする当社グループに非常に大きな影響を与えています。将来的には「サーキュラーエコノミー」というさらに大きなリスクへの進展が見込まれる「シェアリングエコノミー」の波はとりわけ大きく、欧米においては既存のマーケットや産業を破壊するデジタル・ディスラプターが出てきており、日本でもその波が大きくなるのは近いと考えられます。さらに「ESG(環境・社会・ガバナンス)の重要性向上に係るリスク」は、投資家のみならず社会全体で関心が高まっており、その視点で企業が峻別されることが当たり前となっていることから、企業の対応が必須となりつつあります。また、近年、異常気象や台風・豪雨など地球温暖化に起因すると思われる災害が頻発していることを受け、「災害に係るリスク」に対しては、認識の強化をしております。以上、4項目の最も重要と考えるリスクに加え、世界の政情不安や経済の減速を鑑み、その影響が高いと考えられるファイナンスに係る5項目、その他主要なリスク5項目とあわせ、計14項目を有価証券報告書提出日現在において投資家の皆さまの判断に影響を与える可能性がある主要なリスクと捉え、以下にリスク認識および対策を記載しています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスク(不確実性)はこれらに限られるものではありません。 ①シェアリングエコノミーの進展に係るリスク所有から共有へという消費者の価値観の変化を伴った「シェアリングエコノミー」の波は大きさを増しており、欧米においては、既存のマーケットを破壊するデジタル・ディスラプターが出現しています。この流れは日本においても急速に顕在化してきており、テクノロジーの革新スピードを勘案すると、日本においてこのリスクが中期的に拡大する可能性が非常に高いと想定されます。このリスクが顕在化した場合、当社グループにとって小売事業を中核とするグループ全体が衰退するという非常に大きな影響が想定されます。一方で、消費者の価値観の変化を潜在需要掘り起こしの機会と捉え、既存の当社グループのリソースと組み合わせるなどシェアリングを切り口とした新たなビジネスを創出できれば、既存顧客の需要拡大や新規顧客の獲得につながり、将来的には中核の小売事業の次の柱となる新たな事業へと育成することが可能となります。当社グループでは、その実現に向けて国内外の市場調査などを踏まえたうえで、モノやスキルなどの新たなシェアリングサービス事業の検討をスタートさせており、中期的にはマルチサービスリテイラーの一翼を担う新規事業の創出につなげていきたいと考えています。また、すでにクラウド・ファンディングにより新しいエンタテインメントや地域活性化につながるサービスの開発を行う取組みをスタートしています。 ②テクノロジーの進化に係るリスクテクノロジーの進化およびその進化がもたらすビジネスの変革のスピードは加速度的に増し、すでに顕在化している「テクノロジーの進化に係るリスク」は、業界の垣根を破壊するデジタル・ディスラプターの攻勢や、消費者と商品・サービスを直接つなげるスマートフォンを活用したサービスの飛躍的な進歩により、リアル店舗の小売事業を中核とする当社グループに中期的に非常に大きな影響を与えると想定されます。また、ビッグデータなどの活用の遅れ、情報システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃などについても、当社グループの業務運営への支障、生産性向上の妨げとなる可能性があります。一方で、5Gのサービス開始に伴い、スマートフォンを活用してリアル店舗と連携したサービスの構築や情報提供ができれば、既存顧客の潜在需要の掘り起こし、新規顧客の獲得につながります。また、ブロックチェーンやVR(仮想現実)・AR(拡張現実)、AI(人工知能)などのテクノロジーを適切に活用することができれば、業務の自動化による人手不足の解消、業務の効率化が可能となります。当社グループでは、顧客の統合データベースの基盤を構築し、スマートフォンの活用による顧客生涯価値の最大化に向けたサービスの取組みを進めており、中期的には、購買データを活用しマネタイズするビジネスモデルの構築や、キャッシュレス社会に対応した新たな決済手段の導入による顧客利便性の向上の実現を目指しております。また、リアル店舗においては、VR・ARを活用した新たな顧客体験の提供、人的サービスをテクノロジーに置き換えることによる省力化と利便性向上など、既存のビジネスとテクノロジーを融合した新たなサービスを創出しています。情報システムの安全性の確保については、重要システムの脆弱性診断やネットワーク通信調査などにより早期に問題を発見し、対策を講じる仕組みを確立しています。 ③ESGの重要性向上に係るリスクESGに対する取組みの重要性が今後益々高まることは避けられず、環境、社会、ガバナンスの3つの課題への対応は必須となり、今すぐ対応が求められる喫緊のリスクに加えて将来に向けて今から取組みを始めるリスクまで、長期的にリスクが顕在化する可能性があります。なかでも気候変動など環境問題は対応を誤ると大きなレピュテーション低下につながるリスクと考えています。また、ダイベストメントが世界的な潮流になる中、日本の環境問題への認識は諸外国と比較して低いと指摘されていることもあり、企業としては決して避けては通れない課題となっています。「ESGの重要性向上に係るリスク」が顕在化した場合、消費者離れ、地域社会との関係悪化や投資の対象から外れるなどの事態が生じ、グループ全体が衰退するという非常に大きな影響が想定されます。一方で、従来型CSRの範疇に留まらず「CSV(共通価値の創造)」の発想へ転換し、事業活動を通じた社会課題の解決ができれば、売上の拡大や集客力の向上に加え顧客および投資家に対するレピュテーションの向上につながり、当社グループの持続的成長が可能となります。「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」を社是として常に広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す当社グループでは、ESGの取組みについて、2018年度にステークホルダーの意見も取り入れたうえで、「低炭素社会への貢献」「サプライチェーン全体のマネジメント」「地域社会との共生」「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」という5つのマテリアリティ(重要課題)を決定しました。それぞれについて2050年の目標を設定し、その達成を目指し、CSVの考えのもと事業活動を通じて社会課題の解決を図っています。なかでも「低炭素社会への貢献」は最重要課題と位置づけ、新しく建替える大丸心斎橋店本館をモデル店舗に再生可能エネルギーへの切替えによるCO2削減をスタートさせるとともに、環境、社会に優しい活動を通じてお客様および地球への負担を低減する取組みを強化しています。環境、社会双方に係る「サプライチェーン全体のマネジメント」については「お取引先様行動原則」を定め、今後当社グループと取引のある多数のお取引先様とともに、環境や人権などに配慮した調達を進めていく予定です。「地域社会との共生」については、小売店舗を核にエリア全体の魅力化に取組み、地域とともに成長するビジネスモデルを創るという当社グループ独自の取組みを推進しています。「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」は、小売事業を中核とする当社グループにとって生産性向上のために重要な課題であると認識しており、なかでも女性活躍推進については具体的な数値目標を定めて取組んでいます。また、シニア、障がい者の活用も積極的に行っています。「ワーク・ライフ・バランスの実現」については、在宅勤務制度の導入や男性の育児休職有給休暇取得の推進などにより、働きやすい環境づくりに努めています。これらの取組みを支えるコーポレートガバナンスについては、指名委員会等設置会社へ機関変更するとともに、複数の社外取締役を選任して経営監督機能を強化し、透明性の高い経営を進めています。これらESGの取組みについては、「ESG説明会」などを通じて社外に対し積極的に情報を開示しています。 ④災害などに係るリスク異常気象や自然災害をはじめ「災害などに係るリスク」は年々高まり、中期的にも継続するとともに規模の拡大が見込まれます。台風、地震などの自然災害、火災・停電などの事故が発生し、インフラの休止により事業活動が停止した場合や施設の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合など、当社グループの業績および財務状況への非常に大きな影響が想定されます。加えて、システム障害が発生した場合、売上の逸失や重要データの消失につながる可能性があります。当社グループでは拡大する災害に備え、取締役会、経営会議において過去の経験も踏まえながらソフト・ハード両面から対応策の優先順位について論議・共有をしたうえで、行動レベルまで落とし込まれたBCP計画を再構築しました。それをもとに、対策本部の設置、訓練の強化、災害備蓄品の整備を進めるとともに、積極的な設備更新を行っています。また、決済を中心とする重要なデータを処理する関西のデータセンターのバックアップセンターを関東に設け、想定外の災害が起こった場合であっても被災地区以外の店舗の営業に差支えがないように備えています。これら事前の対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績および財務状況への影響の低減に努めています。さらに、早期に事業を復旧することにより、社会的インフラとしての役割を果たす取組みを進めています。 ⑤消費税増税、五輪後の不況発生に係るリスク間近に迫った消費増税、五輪後の反動などにより、増税後すぐのタイミングから数年に渡り複合的な消費不況が起こる可能性は高く、増税前の駆け込み需要の取り込みや、五輪後の消費の落ち込みへの対応策などを構築できなければ、当社グループの業績及び財務状況への大きな影響が想定されます。一方で、消費増税に左右されない外国人富裕層への対応を強化するとともに、教育の無償化や住宅ローン減税の延長、プレミアム商品券の発行など消費増税後の手厚い政策を踏まえ対応策を講じることで、新たな消費を生み出すことが可能となります。当社グループでは、富裕層に向けた高額品の新規催事を開催するなど百貨店を中心に消費増税前の駆け込み需要を取り込むための施策を講じております。また、増税後についても増税の影響を受けにくい最寄品の強化などに加え、外国人富裕層については、旅行者のみならず商圏拡大という発想で固定客化に向けた取組みを推進しています。 ⑥顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化に係るリスクすでに顕在化している「顧客の変化、特に少子高齢化、長寿命化に係るリスク」は、数年後にボリュームの大きい団塊世代が75歳に突入することから、より深刻になると見込まれます。この大きな変化への対応は不可欠であり、かつ競合との競争激化が必至であることから、対応が後手に回れば当社グループの業績及び財務状況への大きな影響が想定されます。一方で、近い将来に到来する「人生100年時代」は、従来は一直線であったライフステージを複数の人生の節目や転機を伴うマルチステージへと変化させます。それに伴い暮らし方の新たなマーケットが生まれるため、こうした変化に対応していくことができれば、当社グループの新たな成長機会が拡大します。当社グループでは、少子高齢化や家族構成など家族のあり方の変化に伴う暮らし方や楽しみ方の多様化に対応するため、グループの顧客データを統合したデータベースの活用により新たな商品・サービスを生み出し、生涯価値の最大化を図ります。その第一弾として2018年度、子育て世代の不安・不満を解消し教育の充実と長時間保育を両立させる保育園を設立し、2019年度より運営を開始しています。 ⑦所得の二極化に係るリスクすでに顕在化している「所得の二極化に係るリスク」は、各種統計から判断すると今後もさらに進展が見込まれ、当社グループの既存事業を支えてきた従来の中間層の減少は避けられません。これにより中間価格帯の商材の落ち込みがさらに深まり、当社グループの業績及び財務状況への非常に大きな影響が想定されます。一方で、当社グループが得意としている富裕層マーケットは拡大しており、フローリッチと言われる従来の富裕層とは異なるライフスタイルや嗜好を持つ富裕層、アジア圏からの外国人富裕層が増加しています。これら新たな富裕層へのニーズに的確に応えることができれば、新しい成長の機会が拡大します。当社グループでは、富裕層の多様化する興味・関心に対応する資産価値のある商品・サービスを開発しています。また、富裕層のニーズに合わせて、従来の人的対応にICTを活用した支援システムを組み合わせお得意様営業活動を高度化しています。顧客アプローチについてもWEBマガジン、自社サイト、リアル店舗を融合させた新たな対応を行っております。一方で、外国人富裕層については、アプリを活用して固定客化を促進しています。当社グループの中核事業である小売事業の中間層マーケット衰退への対策として、消費性向にかげりが見られる婦人服ボリュームゾーンなど従来型のカテゴリーを圧縮し、消費性向に勢いがあるウェルネス、ビューティ、フーズ、サービスなど新たな消費ニーズを捉えたカテゴリーに主軸を移すことで、再成長へとつなげる取組みを進めています。 ⑧減損に係るリスク当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有または賃借しています。新会計基準IFRS16号の適用を機に、資産の賃借についても保有資産と同様に使用権資産として財政状態計算書に計上が必要となり、2019年度以降、「減損に係るリスク」が顕在化した場合、減損規模が大きくなる可能性が高まります。したがって、当社グループが保有および賃借する資産が経済、競合などの外部環境変化や既存店舗モデルの陳腐化などによる収益性の低下、地価の下落などに直面した場合、減損を認識しなければならず、当社グループの財務状況への非常に大きな影響が想定されます。当社グループでは、事前の対策として、グループへの影響が高いと思われる一定金額以上の投資案件について投資計画検討委員会において損益計画の妥当性、投資回収の実現性を審査しています。スタンダードプランに加え案件特有のリスクを反映したプランについても検証し、投資判断に誤りが生じないよう努めています。また、不測の事態を招かぬよう、事後の対策として、再生計画検討委員会において減損の有無について判断し早期に対策を講じることで、財務状況への影響を最小化しています。加えて、減損リスクを意識することで、資産収益性を高める取組みを加速させ、キャッシュフロー創出力および企業価値の向上を促進していきます。 ⑨資金調達に係るリスク世界的な景気減速懸念から金融市場は大きく変動する傾向があり、中期的に「資金調達に係るリスク」が顕在化する可能性は高まると考えられます。当社グループは、出店、改装、M&Aなどに関する資金を金融機関からの借入および、社債、コマーシャル・ペーパーの発行などにより金融市場から調達しており、金融機関による貸付枠や信用供与枠などの条件変更、当社グループの信用格付の大幅な引下げ、投資家の投資意欲の減退が生じた場合、適時に適切な条件で必要な資金を調達できず、当社グループの財務状況への非常に大きな影響が想定されます。当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資などで必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。資金調達については、事業年度毎に資金調達方針を定め、資金調達手段を多様化することや、金融機関からの借入などの間接金融と社債の発行などの直接金融、並びに短期調達と長期調達の適正なポートフォリオの構築に取り組んでおります。また、急激な金融市場の変動に備えるため、金融機関、格付機関、債券投資家と日常的に意思疎通を密にすることにより、調達環境が不透明な状況にあっても適切に調達できる環境を整えています。加えて、ESGを重視した経営を行うことで、効率的・効果的な資金調達を行う環境を整えています。さらに、コミットメントラインの設定によって不測の事態への備えも実施しています。 ⑩金利の変動に係るリスク景気の減速、金融緩和政策などにより長期間、低金利が継続しているものの、中期的には「金利の変動に係るリスク」が顕在化する可能性はやや高まると想定されます。当社グループは、金融債権や有利子負債を保有しており、金利の大幅な変動は、調達手段、支払利息額や受取利息額、金融資産・負債の評価を変容させ、業績および財務状況にも影響が想定されます。当社グループは、自己資本に加え金融市場の動向を把握した上で戦略的な資金調達を行っております。具体的には、適切な金利水準による資金調達を実施するために、市場動向の把握、損益の視点を加えた調達手段の選択など、調達・運用の両面でポートフォリオを的確に行うことにより、支払利息の削減や受取利息の増加、金融資産の適正化につなげています。また、低金利での安定的な資金を戦略的に確保することで、複数の事業における新たな投資やM&Aを促進し、グループ全体の業績の向上につなげています。 ⑪株式相場の変動に係るリスクEUの政情不安や米中貿易摩擦などにより景気減速の兆候が見られ、中期的に「株式相場の変動に係るリスク」はやや高まると想定されます。株式相場が下落すると、当社グループの中核事業である百貨店顧客の名目的な資産減少から消費マインドの低下を招き、業績および財務状況への非常に大きな影響が想定されます。また、当社グループの株価が下落すると、新株発行により調達できる資金の減少につながります。さらに、当社グループは金融資産の一部として国内企業の株式などの有価証券を保有していることから、株価下落などの株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分や年金資産が少なからず減少する可能性があります。当社グループでは、株価変動を支える対策として顧客とのつながりを強化するため、グループの顧客情報を統合した顧客基盤を構築し、顧客のニーズに柔軟に応えることで需要を喚起する対策を講じています。また、自己株式の取得により株価を適正水準に保つことや、資産全体や年金資産に占める株式の割合を適正に保つことにより、財務の安定化を図っています。国内企業の株式などの有価証券については、保有合理性のある株式以外を削減することにより、株式相場の変動による資産価値の変動を防いでいます。 ⑫為替の変動に係るリスク米国の金融政策の変更、EUの政情不安などファンダメンタルズに変化が見られるものの為替相場は安定傾向にありますが、中期的には「為替の変動に係るリスク」はやや高まると想定されます。当社グループの中核事業である小売事業に占めるインバウンド売上のシェアは年々上がっており、過度に円高が進行した場合、中国をはじめとする一般訪日外国人の来店客数及び購入金額が減少し、当社グループの業績に大きな影響を与えます。一方、当社グループは一部の商品や原材料を海外から調達しており、長期にわたり円安が継続した場合には、商品、原材料の仕入れ価格や店頭の商品価格に少なからず影響を受けます。当社グループでは、インバウンドについては受け身の対応ではなく商圏拡大という発想で外国人富裕層の固定客化を進め、円高によるインバウンドの落ち込みを防いでいます。また、一部の商品や原材料の調達については実需に基づく為替予約取引の活用や、海外の商品調達先を分散するなどの対策を講じ、リスクの低減に努めています。 ⑬情報管理に係るリスクSNSの進展などの背景もあり、すでに顕在化している「情報管理に係るリスク」は今後もさらに高まっていくことが想定されます。当社グループは多数のお客様からお預かりしている個人情報および営業機密を有しており、他企業から機密情報を受け取ることもあります。これらの情報が不正または過失により外部に流出した場合、当社グループの信頼性や企業イメージが著しく低下するとともに、損害賠償など対応のための多額の費用負担が発生し、当社グループの業績および財務状況への大きな影響が想定されます。当社グループでは、不正または過失による個人情報や営業機密の流出などが生じないよう、基本方針・基本規程・ガイドラインなどからなる「情報セキュリティポリシー」を整備したうえで、全従業員に対して教育を実施し、個人情報保護を厳格に行っています。また、業務監査を通じて継続的なモニタリングも行っています。知的財産については法務部門による管理を徹底し、リスクの低減に努めています。 ⑭法規制及び法改正に係るリスク小売事業を中核として複数の事業を展開する当社グループは、様々な法規制の適用を受けています。マルチサービスリテイラー戦略に基づき事業領域を拡大していることから対応すべき法規制も増える傾向にあり、すでに顕在化している「法規制および法改正に係るリスク」は、今後もさらに高まっていくことが想定されます。法規制や法改正への対応には新たな対応コストが発生することに加え、事業活動が制限を受ける場合、ビジネスの転換や縮小を招き、当社グループの業績および財務状況への大きな影響が想定されます。当社グループでは、第一に担当部署が中心となり、適宜外部の専門家を活用しながら法務部門がサポートすることで法を遵守しています。あわせて、法務部門から法改正に関する動向を経営層へ発信・周知することにより、法改正への対応を推進・強化しています。
FY2018|5,202 文字
4【事業等のリスク】当社グループはリスクを環境変化の中での「不確実性」と定義し、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があるとしています。従って、マイナス面のリスク(不確実性)に対して適切にリスクヘッジする一方、マーケットの変化を見極め、プラス面のリスク(不確実性)に対して積極的なリスクテイクができれば今後の企業の持続的成長につながると考えています。当社グループは、リスクマネジメント委員会を開催し、定期的にリスク(不確実性)について論議し、リスク(不確実性)の洗い出し及び評価を行い、優先順位をつけて戦略に反映すると共に、個別の対応策の立案・実施・モニタリングを行っています。リスクマネジメント委員会において当社を取り巻くリスク(不確実性)として、「戦略リスク」「ファイナンスリスク」「オペレーションリスク」「ハザードリスク」の4つのカテゴリーから138項目のリスク(不確実性)を当社グループにおけるリスク(不確実性)として認識しました。今回、138項目のリスク(不確実性)の中で、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク(不確実性)を22項目記載しています。今回記載している22項目のリスク(不確実性)のうち、当社グループへの影響が特に大きいと考える15項目は「企業リスク」として抽出して優先的に取り組んでいます。 以下、前段では15項目の「企業リスク」の中で最重要と考える6項目の「企業リスク」の内容を記載しています。後段では22項目のリスク(不確実性)の中から「企業リスク」以外のリスク(不確実性)について記載しています。また、前段で記載している6項目以外の「企業リスク」である「既存事業の成熟に係るリスク」「人材・要員構造に係るリスク」「モノ消費からコト消費への移行に係るリスク」「都市回帰と地方・郊外の縮小に係るリスク」「新規参入による競合に係るリスク」「取引先の転換に係るリスク」「外国人の拡大に係るリスク」「不祥事に係るリスク」等があり、今回記載していませんが、6項目のリスク(不確実性)同様に戦略課題として取り組んでいます。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスク(不確実性)はこれらに限られるものではありません。 (1)企業リスク(最重要リスク) ①消費増税、五輪後の不況発生に係るリスク 2019年の消費増税による消費不況や、オリンピック開催後の反動不況など、直近に複合的な不況が起こる可能性は高く、駆け込み需要や買い控え対策などへの対応策を早期に構築することが出来なければ脅威となります。 一方で、政策変更や法的規制の施行及び緩和・撤廃は視点を変えれば機会となります。例えば消費税増税による教育費の無償化は、教育費から一般消費への出費の振替など、若年層夫婦世帯の消費拡大につながる可能性があります。このようにリスクを捉える視点を変え、発想を転換することで当社グループの新たな消費者獲得の機会に転換することが可能となります。 ②顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化に係るリスク 少子高齢化、長寿命化は今後確実に実現する最大の環境変化であり、近い将来「人生100年時代」となることは確実です。この大きな変化への対応は不可欠であり、かつ競合との競争激化が必至であることから対応が後手に回れば脅威となります。 一方で、少子高齢化・長寿命化に伴う高齢者市場のマーケット規模の拡大は確実です。この大きなマーケットの変化に対応するために、当社グループとして、早期にテクノロジーを活用した新しい顧客情報基盤の構築・活用により、ライフスタイルの変化に適応した品揃えやサービスの拡大ができれば成長の機会が拡大します。 ③所得の二極化に係るリスク 一億総中流幻想は消滅し、所得が二極化することにより、既存事業を支えてきた従来の中間層の減少は避けられず、ビジネスモデルの転換をはかることが出来なければ脅威となります。 一方で、当社グループが得意としている富裕層マーケットのポテンシャルを再定義し、外商部門の活動範囲を量的・質的に拡大することと、物販だけではなくハイエンドなサービスまで提供できれば新しい成長の機会が拡大します。苦戦している中間層マーケットは、従来型のボリューム売場を圧縮し、中間層マーケットのニーズに対応する新しい商材・サービスを導入することができれば再成長の機会が拡大します。同時に、一人の消費者が様々な消費行動を行うという「一人二極化消費」への対応も重要となります。こうした消費の変化を的確に捉えるために、過去の消費の延長線上の顧客セグメントから脱し、新たな顧客が持つ新しい消費行動に対応できる商材、サービス、販売方法などが構築できれば成長の機会が拡大します。 ④シェアリングエコノミーの進展に係るリスク シェアリングエコノミーの進展に伴い、所有資産の共有化と活用に伴う資産価値の向上は大きな消費の流れであり、今後さらに拡大していくことは確実です。それに伴い、当社グループの中核事業である物販に関わるマーケットを侵食され大きな脅威となる可能性があります。 一方で、既存の物販に加えて、商品のシェアリングへの取り組みや、当社グループが所有する都心立地の活用に向け、オフィス、ショールーム、エンターテイメント施設、公共施設利用など、さまざまな潜在需要を掘り起こすことができれば当社グループの資産の使用価値が向上し成長の機会が拡大します。 また、シェアリングエコノミーが雇用に与える影響も大きく、プロフェッショナル人材などをはじめとした雇用を前提としない人事制度に対応できる体制を構築することで働き方改革につなげることが可能となります。 ⑤テクノロジーの進化に係るリスク テクノロジーの進化のスピードは加速度的に上がっており、サイバーテロなどの懸念すべき事案が多発していることもありテクノロジーの進化に合わせたデジタルセキュリティに対する取り組みを確実に強化しなければ脅威となります。またテクノロジーの進化によるRPA(Robotic Process Automation)などの活用による生産性の向上に乗り遅れれば脅威となります。 一方で、テクノロジーを既存のビジネスと組み合わせ、新たなビジネスモデルへと転換できれば成功につながる機会が拡大します。デジタルを活用した顧客基盤の構築による顧客生涯価値の最大化や、顧客IDに紐付く支払等のデータを活用し、新たな価値を生み出すことでマネタイズするビジネスモデルの構築、店頭の決済機能の進化への対応による利便性の向上などによる店頭売上の拡大が実現できれば成長に向けた機会が拡大します。 ⑥CSRの重要性アップに係るリスク 企業価値の主要な要素としてESG視点のCSRへの取り組みの重要性は今後益々高まることは避けられず、環境、社会、ガバナンスの3つの課題への対応は必須となります。なかでも環境問題への対応は企業としては決して避けては通れない課題であり、グループとしての推進が遅延することになれば大きな脅威となります。 一方で、従来型CSRの考え方の範疇に留まらず「CSV(Creating Shared Value)共通価値の創造」の発想へ転換し、企業活動を通じた社会的課題の解決が出来れば、売上の拡大に加え、顧客及び投資家に対するレピュテーションの向上に結びつけることができ当社グループの持続的成長に向けた機会が拡大します。 (2)その他重要リスク 以下、リスクマネジメント委員会で認識された138項目のリスク(不確実性)の中から、前述の6項目以外のリスクについて記載しています。 ①減損に係るリスク 当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有しています。これらの資産につき経済状況の悪化や競合状況の激化などにより収益性の低下や地価の下落が発生した場合、減損を認識しなければならず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、事業活動を推進するに当たり減損リスクを意識することで、資産収益性を高める取組みを加速し、結果としてキャッシュフロー創出力を高めることにつながる可能性があります。 ②資金調達に係るリスク 当社グループは、出店、改装、M&A等に関する資金を金融機関からの借入及び社債・コマーシャルペーパーの発行などにより金融市場からの直接調達しています。金融市場の変化やその他の要因により、金融機関が貸付枠や信用供与枠額などの条件を変更した場合や、当社グループの財政状態が悪化し格付機関が信用格付を大幅に引き下げた場合、経済不況により投資家の意欲が減退した場合などには、当社グループが必要な資金を必要な時期に適切と考える条件で調達できず、資金調達が制限されると共に資金調達コストが増加する可能性があります。 一方で、資金管理を的確に行うとともに金融機関からの借入や金融市場からの直接調達のポートフォリオを適切に組むことで効率的・効果的な資金調達を実現することが可能となります。 ③金利の変動に係るリスク 当社グループは金融債権や有利子負債を保有しており、それらの金利の変動は、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響し、当社グループの業績および財務状況が悪化する可能性があります。 一方で、長期金融や有利子負債のポートフォリオマネジメントを適切に行うことにより支払い利息の削減や受取利息の増加、金融資産の拡大につなげることに取り組んでいます。 ④株式相場の変動に係るリスク 当社グループは金融資産の一部として国内企業等の株式を保有していますが、株価下落などの株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する部分が減少する可能性があります。また当社グループのお得意様営業の中核である富裕層の資産減少にもつながる事からお得意様営業関連の売上が減少する可能性があります。 一方で、保有株式のポートフォリオマネジメントを適切に行うことで、株式価値の変動影響額を最小限に押さえることが可能となります。 ⑤為替の変動に係るリスク 当社グループの取引先には、為替変動の影響を受ける海外ブランドが多数あります。したがって、為替相場の動向により店頭の商品価格が変動し、業績が悪化する可能性があります。また、中国をはじめとする訪日外国人の来店客数及び購入金額は為替相場の変動に影響を受け店舗の売上が減少する可能性があります。 一方で海外ブランドの取引先を分散することや、海外ブランドと国内ブランドの適切な店頭展開のバランスを取ること、インバウンド向け品揃え、サービスを拡充することで店頭の魅力化とそれに伴う業績の向上につなげることが可能となります。 ⑥情報管理に係るリスク 当社グループはお客様からお預かりしている個人情報を取り扱っており、また他企業等の機密情報を受け取ることがありますが、これらの情報が不正または過失により外部に流出する可能性があります。 また当社グループの営業機密が不正または過失により流出する危険もあり、その結果当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦法規制及び法改正に係るリスク 当社グループは大規模小売店舗の出店、独占禁止、下請取引、消費者保護、各種規制、環境リサイクル関連等において法規制の適用を受けています。 こうした法律、規制、政策、会計基準等の新たな施行、変更およびその影響を予測することは困難であり、これらの法規制や法改正により、事業活動が制限を受ける場合、費用の増加や売上収益の減少を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧災害等に係るリスク 当社グループの本社および主要な店舗等は国内にあり、地震、津波等の自然災害、火災、停電等の事故、テロ行為等の違法行為等により事業活動の停止や施設の改修に多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 加えて、ソフトウエア・ハードウエアの欠陥、コンピュータウィルスやネットワークへの不正侵入などによりシステム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたすことにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 一方、過去の経験に根ざしたグループにおけるBCP計画の確立や自然災害に対応できる店舗作り、グループ全体でのデジタルセキュリティ対策の構築を進めることができれば影響を最小化することが可能となり、同時に次の災害に対する備えを高度化することができます。
FY2017|2,080 文字
4【事業等のリスク】当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 ① 事業環境におけるリスク当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、景気動向・消費動向・金融動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競合や交通アクセスの変化等により大きな影響を受けます。これらの事業環境の要因が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 法規制及び法改正におけるリスク当社グループは、大規模小売店舗の出店、独占禁止、下請取引、消費者保護、各種税制、環境・リサイクル関連等において法規制の適用を受けております。また、将来の税制改正に伴う消費税率の引き上げ等により個人消費の悪化につながる場合があります。従って、これらの法規制及び法改正により事業活動が制限されたり、費用の増加や売上高の減少を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 自然環境の変化・事故等におけるリスク地震・洪水・台風等の自然災害、不測の事故や新型インフルエンザ発生等により、営業機会を喪失したり、業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、暖冬・冷夏等の異常気象により、主力商品である衣料品、食料品等の売上の減少につながることもあり、自然環境の変化・事故等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 商品取引におけるリスク当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、消費者と商品取引を行っております。提供する商品については、適正な商品であることや安全性等に十分留意しておりますが、万一欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に当社グループに対する信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、百貨店事業の外商部門をはじめとして、法人向け等の掛売取引を行っております。これらの取引については与信管理を十分に行っておりますが、取引先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報管理におけるリスク当社グループが保有する個人情報や機密情報の管理・保護については、社内体制を整備し厳重に行っておりますが、不測の事故又は事件により情報が漏洩した場合には、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ システムリスク当社グループが事業を展開するための各種システムは、主に外部委託先のデータ・センターで集中管理しております。当該データ・センターは、耐震設計、電源・通信回線の二重化、自家発電装置、不正侵入防止などの安全対策を講じております。しかしながら、想定を越える自然災害や事故によって、設備の損壊やシステムの停止、各事業所との通信障害が起きた場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 保有固定資産に関するリスク当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有しておりますが、事業収益・キャッシュ・フローの悪化や地価の下落に伴う減損損失の発生などにより、当社グループの業績や財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 海外での事業活動におけるリスク当社グループは、主に卸売事業セグメントを中心に、海外での事業活動を行っております。この海外での事業活動において、予期しえない自然災害や景気変動、通貨価格の変動、テロ・戦争・内乱等による政治的・社会的混乱、並びに法規制や租税制度の変更等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 重要な訴訟等のリスク当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等はありませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 事業提携・資本提携・企業買収等のリスク当社グループは、事業の拡大や競争力強化のため、他社との事業提携・資本提携及び他社の買収等を行うことがあります。これらの意思決定に際しては、必要かつ十分な検討をしておりますが、経済環境の変化等の影響により、期待した収益や成果を充分に得られず、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|2,080 文字
4【事業等のリスク】当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 ① 事業環境におけるリスク当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、景気動向・消費動向・金融動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競合や交通アクセスの変化等により大きな影響を受けます。これらの事業環境の要因が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 法規制及び法改正におけるリスク当社グループは、大規模小売店舗の出店、独占禁止、下請取引、消費者保護、各種税制、環境・リサイクル関連等において法規制の適用を受けております。また、将来の税制改正に伴う消費税率の引き上げ等により個人消費の悪化につながる場合があります。従って、これらの法規制及び法改正により事業活動が制限されたり、費用の増加や売上高の減少を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 自然環境の変化・事故等におけるリスク地震・洪水・台風等の自然災害、不測の事故や新型インフルエンザ発生等により、営業機会を喪失したり、業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、暖冬・冷夏等の異常気象により、主力商品である衣料品、食料品等の売上の減少につながることもあり、自然環境の変化・事故等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 商品取引におけるリスク当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、消費者と商品取引を行っております。提供する商品については、適正な商品であることや安全性等に十分留意しておりますが、万一欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に当社グループに対する信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、百貨店事業の外商部門をはじめとして、法人向け等の掛売取引を行っております。これらの取引については与信管理を十分に行っておりますが、取引先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報管理におけるリスク当社グループが保有する個人情報や機密情報の管理・保護については、社内体制を整備し厳重に行っておりますが、不測の事故又は事件により情報が漏洩した場合には、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ システムリスク当社グループが事業を展開するための各種システムは、主に外部委託先のデータ・センターで集中管理しております。当該データ・センターは、耐震設計、電源・通信回線の二重化、自家発電装置、不正侵入防止などの安全対策を講じております。しかしながら、想定を越える自然災害や事故によって、設備の損壊やシステムの停止、各事業所との通信障害が起きた場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 保有固定資産に関するリスク当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有しておりますが、事業収益・キャッシュ・フローの悪化や地価の下落に伴う減損損失の発生などにより、当社グループの業績や財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 海外での事業活動におけるリスク当社グループは、主に卸売事業セグメントを中心に、海外での事業活動を行っております。この海外での事業活動において、予期しえない自然災害や景気変動、通貨価格の変動、テロ・戦争・内乱等による政治的・社会的混乱、並びに法規制や租税制度の変更等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 重要な訴訟等のリスク当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等はありませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 事業提携・資本提携・企業買収等のリスク当社グループは、事業の拡大や競争力強化のため、他社との事業提携・資本提携及び他社の買収等を行うことがあります。これらの意思決定に際しては、必要かつ十分な検討をしておりますが、経済環境の変化等の影響により、期待した収益や成果を充分に得られず、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。