6【研究開発活動】(1) 研究開発戦略及び研究課題 当社グループの研究開発活動は、ユーグレナをはじめとする微細藻類及びその他バイオマスを多段階で活用する「バイオマスの5F」戦略の実現・推進に資することを基本的な方向性としております。この戦略は、Food(食品)、Fine Chemical(高機能原料)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の順に、付加価値の高い用途から低い用途、小さい市場から大きい市場へと段階的かつ多面的に展開する事業ポートフォリオを構築するものです。研究開発活動においても、「バイオマスの5F」戦略と連動して、①高付加価値の機能性素材としての拡販に向けた機能性研究や科学的エビデンスの強化、②新たな需要の創出に資する新規素材や用途の開発、ならびに③Feed・Fertilizer・Fuelといったコモディティ領域での事業展開を見据えた低コスト化及びスケールアップに向けた技術開発、等を主要な研究課題として位置付け、事業戦略と一体となった研究テーマに重点的に取り組んでおります。 具体的には、(1)ヘルスケア事業との関連では、既存の収益基盤であるFood領域における健康食品やサプリメント向け素材としての微細藻類粉末に関して、また、Fine Chemical領域における機能性食品・化粧品向け高機能素材としての微細藻類の含有物(パラミロン等)や抽出物(ユーグレナエキス等)に関して、機能性研究、素材開発及び生産技術開発を強化しております。(2)アグリ事業との関連では、短期的にはFeed領域・Fertilizer領域における機能性飼料・肥料原料としての研究開発を、中長期的には微細藻類を含む未利用資源の活用や藻油抽出後の脱脂藻体の活用など資源循環型農業の実現に資する技術開発を推進しております。(3)バイオ燃料事業との関連では、Fuel領域におけるバイオ燃料原料としての藻油の低コストかつ大規模な生産を目指して、屋内タンクによる従属栄養培養のスケールアップと生産性向上の技術開発と、低GHG負荷の糖源開発等に取り組んでおります。 これらを通じて、「人と地球を健康にする」のパーパスのもと、技術基盤の強化と事業化の加速を両立し、中長期的な事業成長と持続可能な社会への貢献を目指してまいります。 (2) 研究開発体制当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び微生物全般に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。 ① グループ内における研究体制当社グループの研究開発体制は、以下の3つの研究所から構成されております。研究と事業との連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管してきましたが、2026年3月より研究開発専任の執行役員を任命し、研究開発の体制強化と加速を図っております。また、株式会社サティス製薬などのグループ会社においても、各事業領域に関連する研究開発を推進しております。 ・中央研究所(神奈川県横浜市鶴見区)微細藻類ユーグレナをはじめとする各種微生物素材の基礎及び応用研究、ヘルスケア・食品・化粧品向け素材開発と機能性研究、バイオマスの高付加価値利用技術、未利用資源活用に向けた技術開発等を行っております。 ・生産技術研究所(沖縄県石垣市)石垣島ユーグレナをはじめとした当社の独自原料の安定生産及び培養コスト削減、特定成分の高含有化、品質管理技術の高度化のほか、バイオ燃料を含む各用途に適した培養プロセスの開発を進めております。 ・熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市)現地大学・企業との連携のもと、当社初の海外研究所としてR&Dの海外戦略を立案・遂行するとともに、藻類等の大規模生産技術の確立や、安価な糖源確保に向けた糖源開発など、将来の事業展開を見据えた研究開発を推進しております。 当社グループは、研究開発テーマについて、各研究所での計画立案を起点に、研究所長及び主管部門での合意、経営会議等でのレビューを経て承認するプロセスを整備し、進捗についても定期的に報告・管理する体制としております。研究開発内容に重大な変更がある場合や中止・凍結等についても所定の承認プロセスを設け、研究と事業の接続及び投資の規律を担保しております。② 外部との共同研究体制当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションを通じた研究成果の社会実装の加速を目指しております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託又は共同研究を実施し、独自の知見を活かした連携を推進することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。 (3) 研究主要課題及び研究成果研究主要課題及び研究成果は次のとおりです。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は675百万円となっております。 ① ヘルスケア領域における技術開発当社グループは、食品や化粧品等のヘルスケア用途を中心に、ユーグレナをはじめとする藻類及び微生物全般を活用した新規素材の開発と、既存・新規素材の機能性解明を進めることで、顧客に対する新たな価値提供を目指しております。当連結会計年度は、(i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市、(ii)腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展を主な成果としております。 (i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市当社は2017年に、ユーグレナ由来の多糖であるパラミロンを55%以上含有する「ユーグレナグラシリスEX55」を原料規格化し、ユーグレナ由来の多様な栄養素をバランスよく含む素材として健康食品市場で展開してまいりました。そして、当連結会計年度は、これまでに培った研究・製造技術や知見を活かして、パラミロンを80%以上の高濃度で抽出・精製した食品用原料「精製パラミロン」を開発し、国産最高濃度での規格化に成功しました。さらに、当連結会計年度において、パラミロンを従来品比で約1.7倍にあたる1,000mg配合した新商品「パラミロン1000」を開発し、発売しました。「パラミロン1000」は、「精製パラミロン」の開発により実現した独自の処方設計により、高濃度パラミロンを配合しながらも価格を従来品と同一水準に据え置くことを可能としたものであり、当社原料の研究開発成果を最終製品において具現化した事例です。パラミロンはユーグレナが生成する特徴的な多糖であり、当社はこれまでに睡眠の質の改善、作業時の一時的なストレス緩和、起床時の疲労感軽減を訴求する機能性表示食品を上市しております。さらに、これまでの当社の研究では、パラミロンが免疫バランスの維持やインフルエンザなどの感染症状の緩和、風邪の発症抑制に関与する可能性があることも報告しています。パラミロンは高い安定性を持ち、ユーグレナ粉末と比較して味や香りへの影響が少ないことから、今回開発した「精製パラミロン」により機能性訴求や処方設計の自由度が大きく向上し、様々な機能性を訴求できる機能性表示食品をはじめとしたヘルスケア用途での応用拡大が期待されます。また、素材ラインナップの拡充により、多様な栄養素を包括的に摂取したいというニーズには従来のユーグレナ粉末(石垣島ユーグレナ)や「ユーグレナグラシリスEX55」を、特定の機能性を高濃度で訴求したいというニーズには「精製パラミロン」を提供することで、お客様の目的に応じた原料の選択肢が大きく広がりました。各素材はいずれもパラミロンを含有しつつ、それぞれ異なる特長と用途を持っており、ヘルスケア市場における顧客企業の多様なニーズへの対応力向上と新たな需要創出に寄与しています。 (ii) 腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展当社は、慶應義塾大学及び北里大学との共同研究において、絶食時にユーグレナ由来パラミロンを摂取することで、腸内環境及び免疫機能を短期間で改善し得る可能性を確認しました。本研究では、絶食により腸内細菌叢のバランスが変化し、さらに絶食中のパラミロン摂取により、腸管免疫の成熟と安定化に重要な役割を果たしていることが知られるBacteroidesや、コレステロール低下に寄与することが知られている[Eubacterium]coprostanoligenesの相対占有率が有意に増加するとともに、糞便中の免疫グロブリンA(IgA)産生が向上することが、マウスを用いた実験で示されました。この研究成果は学術雑誌BMC Microbiologyにも掲載されており、ユーグレナ及びパラミロンの新たな健康機能性の解明と、今後のヘルスケア分野での応用可能性をさらに広げるものと期待されます。 また、当社は、「バイオマスの5F」戦略において高付加価値なFine Chemical(高機能原料)と位置付けるパラミロンについて、スキンケア分野での機能解明も進めています。当社が独自に開発した医薬部外品・化粧品原料「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」に関しては、新たに、花粉やPM2.5といった微粒子の肌への付着を抑制し、洗浄時の除去を助ける可能性を示した研究結果を発表しました。本研究では、パラミロン原末またはパラミロン原末を配合したゲルを塗布した皮膚に、花粉及びPM2.5を模した微粒子モデルを散布し、その付着量及び洗浄後の残存量を評価した結果、特にパラミロンを一定濃度以上配合した区分で、肌表面への微粒子付着量の低減及び洗浄後の残存量の低減傾向が確認されました。これは、パラミロン特有の結晶性粒子構造及び水・油に対する不溶性により、肌表面で物理的なバリアとして機能し、外部微粒子から肌を保護し得る可能性を示すものです。これらの成果により、パラミロンは、腸内環境及び免疫機能への作用を通じたインナーケアに加え、微粒子付着抑制などアウターケアにおいても有用性が示されており、当社のFine Chemical領域の中核素材として、食品・サプリメントから化粧品まで、ヘルスケア分野における応用可能性が一層広がるものと考えています。さらに、2026年2月に、グループ会社の株式会社サティス製薬と共同で、ユーグレナ、オーランチオキトリウム、クロレラの3種の微細藻類から、ヒト型を含む3種の超長鎖セラミドを世界で初めて発見し、特許を出願しました。これまで化粧品分野では、比較的短鎖な合成セラミド(C36)が主流でしたが、これはヒトの皮膚が本来もつ超長鎖セラミドとは構造的に異なるという課題がありました。また、植物や真菌由来の天然セラミドも活用されてきましたが、含まれる種類が限定的であり、ヒト皮膚セラミドの多様性を、天然素材のみで補うことは、これまで困難とされてきました。今回発見された微細藻類由来セラミドは、C44を主体とする超長鎖構造を有しており、ヒト皮膚セラミドと高い構造的親和性を示しています。ヒト皮膚セラミドの多様性を天然由来成分で補うアプローチにより、角層ラメラ構造の再構築、脂質秩序性向上、水分蒸散量低下、表皮細胞の分化促進、炎症抑制など、多層的な皮膚バリア改善効果が期待されます。今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。 ② アグリ領域における機能性研究・素材開発当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類を飼料・肥料の原料や付加価値を向上させる素材として活用する研究開発に取り組んでいます。当連結会計年度は、ユーグレナがもつニワトリに対する飼料価値に着目し、宮崎大学及びあすかアニマルヘルス株式会社との共同研究において、パラミロン配合飼料の給与によりニワトリの獲得免疫能が向上する可能性、ならびにユーグレナ配合飼料の給与によりニワトリの成長が促進される可能性を確認しました。具体的には、ニワトリへのパラミロン配合飼料の給与によりワクチン接種後の抗体価が上昇する傾向が認められたほか、ユーグレナ配合飼料の給与により体重増加や飼料要求率の改善といった成果が得られており、家禽分野における生産性向上及び健康維持に資する素材としてユーグレナ及びパラミロンのポテンシャルが示されています。これらの研究成果は、これまでヘルスケア領域で当社が培ってきたユーグレナ及びパラミロンの免疫・代謝に関する知見が動物用飼料分野においても活用可能であることを示すものであり、当社グループが推進する「バイオマスの5F」戦略におけるFeed(飼料)領域の事業化・ブランド化に直結しています。また、Fertilizer(肥料)分野においても、当社はこれまでに、微細藻類ユーグレナを肥料として利用した際の収穫量増加や収穫後の鮮度低下抑制の可能性などを報告しており、ユーグレナの添加が土壌及び作物に有用な影響を与え得ることを確認してきました。さらに、ユーグレナ粉末を土壌に添加する試験において、土壌中の善玉菌である放線菌数及びA/F値(※)が増加する結果が得られたことから、土壌微生物叢の改善を通じた収量・品質向上効果が期待されています。これらの研究成果をもとに、ユーグレナを用いた有機液肥や培養土の事業化に取り組みました。こうしたFeed(飼料)及びFertilizer(肥料)領域での研究成果を基盤として、当連結会計年度はアグリ領域初の自社ブランド『いきものたちにユーグレナ』から、ユーグレナを活用した100%有機肥料「ユーグレナ入りペレット肥料」3種及び「ユーグレナ入り有機培養土」1種の計4製品を発売しました。これらの製品は、厳選した有機素材にユーグレナを配合することで、土壌微生物の基質となる成分を供給し、放線菌をはじめとする土壌微生物叢を豊かにすることで、健全な土づくりと植物の健やかな成長を支援するよう設計されたものです。研究段階で得られたユーグレナの肥料・培養土としての有用性に関する知見が、製品設計及びブランド展開に直接結び付いており、当社の研究開発が、アグリ領域におけるソリューションとして結実した事例となっています。今後も当社グループは、飼料・肥料分野における機能性解明及び高付加価値製品の開発と、環境負荷低減に貢献する循環型農業モデルの実現を目指してまいります。※A/F値:放線菌と糸状菌の割合(放線菌/糸状菌)を数値化したもの。土壌分析の指標として広く使用される。 一般的にA/F値が高いほど放線菌が優勢で病害が少なく、低いと糸状菌が優勢で連作障害のリスクが高い傾向を示す。 ③ エネルギー領域における技術開発当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、微細藻類ユーグレナ等を活用した次世代バイオ燃料の研究開発を重点領域として推進しています。特に、持続可能なバイオジェット燃料(SAF)及びバイオディーゼル燃料(HVO)の製造に用いる原料としての藻油を、商業規模で生産するためのスケールアップと低コスト化に向けた培養技術の開発と高度化を国内外で推進しています。当連結会計年度には、当社が開発を進める従属栄養培養プロセスにおいて、商業生産用タンクでユーグレナの高密度培養のスケールアップ実証試験を行い、「当社の独立栄養培養比で約2,000倍相当となる土地面積あたりの生産量」及び「当社のヘルスケア向けユーグレナの光従属栄養培養比で最大約10倍の培養密度」を達成したことを発表しました。これは、藻油の供給量拡大と生産コスト削減に寄与する技術として、SAF・HVO製造商業プラントへの将来的な藻油供給実現に向けた重要な成果です。また、商業規模での従属栄養培養には、安価で低GHG負荷の非可食バイオマス糖源を大量に確保することが不可欠であり、既存の食品系糖類ではコスト・食料競合・GHG排出の観点から限界があります。そのため、新たな炭素源の研究開発が喫緊の課題となっています。この課題解決に向けて当社は、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されたプロジェクトとして、マレーシアに豊富に存在する未利用バイオマス資源であるパーム農業残渣(パーム古木及びパーム茎葉の搾汁液、及び木質繊維)を微細藻類培養の糖源として活用する可能性調査事業を開始しました。本事業では、パーム残渣の賦存量調査、搾汁液及び木質繊維の糖化プロセスの検討、糖組成が微細藻類の増殖・脂質生産に与える影響評価、ならびに糖化プロセス全体のLCA解析など、糖源開発に必要な基礎的かつ応用的研究を一貫して実施しています。これにより、商業規模での従属栄養培養に不可欠な低コスト・低環境負荷型の炭素源確立を目指しています。この取り組みは、Fuel領域を最終到達点とする「バイオマスの5F」戦略において、持続可能で大規模な燃料生産を可能にするための基盤を構築するものであり、未利用資源の有効利用と環境負荷低減を両立させる技術開発となります。当社は今後も、微細藻類を活用したバイオ燃料生産の高度化とコスト低減に向けた研究開発を継続し、持続可能なエネルギーシステムの実現に貢献してまいります。 ④ 全事業に共通する技術開発・基盤研究及び研究成果の展開 当社グループは、全社事業に共通する基盤技術の強化を目的として、藻類及び微生物を対象とした生産効率向上に資する継続的な技術開発に加えて、ゲノム編集を含む育種技術の精緻化と、それらを活用した新素材創出に向けた研究を推進しています。これらの基盤研究により、従来は実現が困難であった特性を持つ素材の創出や、新たな製品カテゴリーの形成に向けた可能性を拡大し、当社の多様な事業領域に横断的に貢献する技術的土台の強化を図っています。さらに、技術的な深化に留まらず、研究成果が社会に与えるインパクトの検証や国際的な連携強化を通じて、技術基盤の多角的な活用と事業化を加速させております。当連結会計年度は、 (i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化、(ii)「GENKIプログラム」のインパクト検証、(iii)研究成果の社会実装と国際連携の強化を重点として推進しました。 (i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化技術開発面では、ユーグレナのゲノム編集技術の高度化に直結する重要な成果として、ユーグレナのゲノム構造解明に成功しました。真核生物は一般に、遺伝子中にタンパク質合成に直接関与しないイントロンと呼ばれる非翻訳領域を持ちますが、ユーグレナには他の真核生物とは異なる特徴を持つ“非典型的イントロン”が存在することが知られていました。この特殊性は、対象遺伝子の構造理解やゲノム編集ツールの設計において一定の障壁となっており、ユーグレナの品種改良を効率的に進めるために理解・克服すべき課題でした。当社と理化学研究所との共同研究では、ユーグレナ全ゲノムの解読を通じて、この非典型的イントロンがゲノム全体でどの程度存在するのかを初めて明らかにしました。さらに、人工的に設計したイントロンをユーグレナ細胞内で動作させることによって、非典型イントロンの機能原理に関する新たな知見の獲得にも至りました。これらの成果は学術的価値が高いだけでなく、ユーグレナの任意の遺伝子に対してゲノム編集技術を適用する際の基盤情報として極めて重要であり、科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されました。また、ゲノム編集技術の選択肢を拡大し、ユーグレナの品種改良をより柔軟かつ産業利用しやすいものとするための取り組みも進展しました。当社は、過去の研究開発を通じて、主にCRISPR-Cas9及びCRISPR-Cas12aを利用したユーグレナのゲノム編集に成功してきました。これらは酵素試薬として広く販売されており、多様な研究に用いられています。しかし、これらのツールを用いて作製されたゲノム編集生物を産業利用する場合、海外企業によるライセンス管理の複雑さが課題となる可能性がありました。当社は国内企業であるC4U社との共同研究により、同社が単独でライセンス供与可能なCRISPR-Cas3をユーグレナに適用することに成功し、ユーグレナに利用可能なゲノム編集ツールの多様化を実現しました。これにより、目的に応じたライセンス選択が可能となり、品種改良の柔軟性向上とコスト低減が期待されます。 さらに研究過程では、パラミロン合成に関わる遺伝子や、難消化性のワックスエステル合成に関わる遺伝子を改変した株の作出にも成功しました。従来、ユーグレナのゲノム編集は主にバイオ燃料原料など化成品用途を目的として進めてきましたが、これらの株を活用することで、高タンパク食品素材の開発や、ワックスエステル生成を抑制した新たな製造プロセスの検討が可能となり、食品用途を含む幅広い事業展開に資する技術基盤が整いつつあります。ゲノム編集の過程で導入されるRNAが細胞内で速やかに分解され、外来の核酸が残存しないことも確認しており、遺伝子組換え体には該当せず、古典的育種による品種改良株と区別できない性質を持つ株として、食品素材開発においても革新的な技術として安全に活用できる可能性が広がっています。 (ii) 「GENKIプログラム」のインパクト検証当連結会計年度においては、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「GENKIプログラム」において、研究成果の社会実装とそのインパクト検証の一環として、11年間の取り組みを総括したインパクト評価レポートを初めて公表しました。本レポートの作成にあたっては、現地の声や生活の変化を丁寧に聞き取る定性的な調査に加え、GENKIプログラムに参加する子ども200人と参加していない子ども200人を対象として、身長・体重・握力の測定、尿検査、症状アンケートなどによる定量的・定性的な測定を実施しました。尿検査には、当社と株式会社ユーリアとの共同研究により開発された栄養コンディションチェッカーを用いました。本評価では、クッキー摂取群において学校の欠席率が非摂取群と比較して大幅に低下し、出席率向上への寄与が明確となりました。また、めまい・頭痛・動悸などの自覚症状発生率の低下、便秘傾向の改善、さらには尿検査における亜鉛充足度指標の優位性など、健康状態の改善が複数の項目で確認されています。加えて、集中力や生活活力の向上が報告され、教師・保護者からも行動面の変化が多く寄せられました。これらの結果から、ユーグレナクッキーの摂取及び食育による食の多様性の向上が、栄養状態や身体機能、生活活力を含む総合的な健康指標の改善に寄与している可能性が示唆されました。加えて、学校での配布による家庭の食費負担軽減や、衛生教育を通じた地域の健康意識向上など、副次的効果も見られています。今後は、本評価で得られた知見を基盤に、現地の学校給食制度への展開を進め、毎日100万食の提供体制構築を目指します。また、今回のインパクト評価でデータ収集や解析が不十分な点については追跡調査を実施し、定期的な評価を継続していくことで、本プログラムを発展させ、より多くの子どもたちへ笑顔と成長機会を届ける取り組みを進めてまいります。 (iii)国際連携の強化当社グループは、2023年に設立したマレーシア研究拠点を中心に、熱帯圏の地理的特性を活かした微細藻類研究を推進しています。同拠点の設立以降、当社は「Global Algae Summit(国際藻類学会)」を発起・開催しており、当連結会計年度に開催した同学会には、東南アジアを中心に10か国から223名の研究者が参加しました。本学会では、藻類業界の主要関心領域であるバイオ燃料に加え、医薬品、化粧品、食品、飼料、肥料など多様な用途に関する研究発表が行われ、培養・回収方法など産業応用に直結する技術も幅広く議論されました。当社にとっても新たな研究シーズの発見や国際的な研究交流の深化につながる重要な機会となっており、今後も東南アジアの藻類研究を牽引し、地域特性を活かした微細藻類の事業活用に向けた研究開発を継続してまいります。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外11件であり、また現在出願中の特許は国内37件、海外8件(特許協力条約による出願は含まない)であります。
FY2024|3,709 文字
6【研究開発活動】(1) 研究開発戦略及び研究課題 当社グループの研究開発活動は、付加価値の高い順に、Food(食品)、Fiber(繊維、化成品)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)と段階的に事業を展開していく「バイオマスの5F」の基本戦略のもと、「ユーグレナ等の藻類及び微生物全般の生産技術の向上及び品種改良」、「ユーグレナ等の藻類及び微生物全般を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・資源循環関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 また、「選択と集中」の観点から、多様な研究開発テーマを、既存事業あるいは今後事業化の目途が立っている分野へ貢献するテーマ(事業貢献型)と、研究者の自由な発想を活かして将来の事業シーズを創出するテーマ(未来型)の2種類に仕分けており、両利きの経営を支えつつ、長期的な当社事業領域の変化や拡大にも対応できる研究開発活動を推進しております。 (2) 研究体制当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び微生物全般に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。① グループ内における研究体制当社グループの研究開発体制は、以下の2つの科学研究所と3つの技術研究所から構成されております。また、研究開発の深化と研究・事業間の連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管されており、Co-CEOに対する諮問機関としてサイエンティフィック・アドバイザリー・ボードを設置しております。 先端科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)ヒト科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)資源サーキュラー技術研究所(神奈川県横浜市鶴見区) 生産技術研究所(沖縄県石垣市) 熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市) ② 外部との共同研究体制当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションを通じた研究成果の社会実装の加速を目指しております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託又は共同研究を実施し、独自の知見を活かした連携を推進することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。 (3) 研究主要課題及び研究成果研究主要課題及び研究成果は次のとおりです。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は843百万円となっております。 ① ユーグレナ等の藻類及び微生物全般の生産技術の向上及び品種改良(全事業共通)既存製品の製造原価を低減するとともに、コストや生産量が障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を目的として、藻類生産の低コスト化及びスケールアップに向けた生産技術の向上や、藻類及び微生物全般を用いた新素材の生産体制構築に取り組んでおります。当連結会計年度は、従属栄養培養による生産体制の構築や生産技術の高度化を推進し、オーランチオキトリウムの商業生産体制を構築したほか、商業生産で使用しているタンクを用いてユーグレナ高密度培養のスケールアップ実証を行い、光従属栄養培養によるヘルスケア向けユーグレナ培養比で最大約10倍の培養密度を達成しました。また、生産技術の向上に加えて、微細藻類株の改良を通した各種事業への貢献も目指しています。当連結会計年度は、日本電信電話株式会社との共同研究により、中性子線照射による遺伝子変異導入を用いた藻類の品種改良を世界で初めて実現しました。また、理化学研究所と当社の共同研究チームにおいてゲノム編集技術の拡張に成功し、CRISPR-Cas12aを用いた微細藻類ユーグレナの高効率ゲノム編集技術を確立したことで、さらに自在な品種改良を行うことができるようになりました。今後も、これらの研究開発成果を活用しながら、多様な藻類の生産技術の確立、生産コスト低減やスケールアップを推進するとともに、多様な用途を目的としたユーグレナ品種改良株の作製を継続してまいります。② ユーグレナ等の藻類及び微生物全般を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)食品や化粧品等のヘルスケア用途を中心に、ユーグレナ等の藻類及び微生物全般を活用した新規素材を開発し、また、既存・新規素材の機能性を解明することで、顧客に対する新たな価値提供を目指しております。当連結会計年度は、新たな医薬部外品・化粧品原料として「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」を独自に開発したほか、DHAを多く含み魚介風味が特徴である新素材「オーランチオキトリウム」の生産体制を構築し、食品原料販売及び受託培養・生産を開始しました。また、ヤエヤマクロレラについては、摂取によるカビ毒が増悪する皮膚アレルギー症状の軽減、及びモデル生物であるキイロショウジョウバエに対する給餌での寿命延伸、加齢に伴う運動機能低下の抑制、成長促進の効果を示した研究結果等を発表しました。今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。 ③ エネルギー・資源循環関連技術の開発(バイオ燃料事業・その他事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発を進めるとともに、藻類生産や未利用資源活用等を通じて地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、炭素鎖の長さがジェット燃料と同程度の12-16個であり、かつ分子構造上の酸素原子や二重結合が少ないため、低エネルギー・低水素使用量でのバイオジェット燃料(SAF)製造を可能とする原料として期待されていることから、当社ではバイオ燃料原料商業生産の実現に向けた研究開発を推進しております。当連結会計年度は、ユーグレナ由来脂質を原料の一部として製造したバイオジェット燃料(SAF)や次世代バイオディーゼル燃料(HVO)の供給先を拡大するとともに、マレーシアにおいてPETRONAS Research Sdn. Bhd.とバイオ燃料原料用微細藻類の大規模生産技術に関する共同研究を開始しました。また、従属栄養培養の高密度化やスケールアップの実証が進捗したほか、日本電信電話株式会社との共同研究において、野生株に比べて最大1.3倍の脂質生成量を示すユーグレナ株の取得に成功し、さらに、理化学研究所との共同研究においてゲノム編集技術を利用した燃料原料用途に最適化された株の作製と性能評価を進めるなど、品種改良による培養コストの低減に取り組みました。今後も、当社グループが有する独立栄養培養と従属栄養培養の両技術を活用しながら、ユーグレナ等の品種改良、培養・回収・加工関連の各要素技術の開発を継続し、独自性の高いバイオ燃料原料としての微細藻類商業生産を早期実現することを目指します。 b.飼料・肥料ユーグレナ等の微細藻類を、飼料・肥料の原料や付加価値向上素材として活用する研究開発を推進しております。また、バイオ燃料の研究開発を進める中で、発電所の排ガスに含まれるCO2、排水場等で不可避的に発生する窒素やリン、食品廃棄物等の多様な未利用資源を、微細藻類生産のための原料として利活用することを目指しております。さらに、未利用資源の収集・加工・活用技術に関する研究開発を通じて、資源をバイオ燃料・飼料・肥料等の原料として循環利用する技術の確立も目指しております。当連結会計年度は、国立大学法人鹿児島大学水産学部との共同研究において、ユーグレナ配合飼料の給餌がカンパチ稚魚の成長と自然免疫能を向上する可能性を確認し、宮崎大学及びあすかアニマルヘルス社との共同研究では、パラミロン配合飼料の給与によりニワトリの獲得免疫能が向上する可能性を確認しました。また、AGCディスプレイグラス米沢株式会社と化学強化廃棄塩を肥料原料としてリサイクルすることに日本で初めて成功し、リサイクルで製造された肥料の販売を開始しました。今後も、当社グループが有する技術及び独自の素材を活用しながら、飼料・肥料分野における事業拡大を目指します。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内75件、海外16件であり、また現在出願中の特許は国内38件、海外6件(特許協力条約による出願は含まない)であります。
FY2023|3,097 文字
6【研究開発活動】(1) 研究開発戦略及び研究課題 当社グループの研究開発活動は、付加価値の高い順に、Food(食品)、Fiber(繊維、化成品)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)と段階的に事業を展開していく「バイオマスの5F」の基本戦略のもと、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上」、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 また、「選択と集中」の観点から、多様な研究開発テーマを、既存あるいは今後事業化の目途が立っている事業へ貢献するテーマ(事業貢献型)と、研究者の自由な発想を活かして将来の事業シーズを創出するテーマ(未来型)の2種類に仕分けており、両利きの経営を支えつつ、長期的な当社事業領域の変化や拡大にも対応できる研究開発活動を推進しております。 (2) 研究体制当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び光合成生物に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。① グループ内における研究体制当社グループの研究開発体制は、以下の2つの科学研究所と3つの技術研究所から構成されております。5つの研究所体制で科学研究所は科学と技術の両面から社会実装を目的にした研究を行います。また、研究開発の深化と研究・事業間の連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管されており、Co-CEOに対する諮問機関としてサイエンティフィック・アドバイザリー・ボードを設置しております。 先端科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)ヒト科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)資源サーキュラー技術研究所(神奈川県横浜市鶴見区) 生産技術研究所(沖縄県石垣市) 熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市) ② 外部との共同研究体制当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションによる社会実装の加速を目指しております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託または共同研究を実施し、その知見を当社グループが活用することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。 (3) 研究主要課題及び研究成果研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,242百万円となっております。① ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上(全事業共通)「藻類生産の低コスト化」及び「生産技術の普遍化」を主な目的として、生産技術の継続的な向上に取り組んでおります。「藻類生産の低コスト化」に関しては、既存製品の製造原価を低減するとともに、コストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を可能とすることを目指しております。「生産技術の普遍化」に関しては、ユーグレナ粉末やクロレラ粉末等の生産を、現在の生産拠点である沖縄県の石垣島だけでなく、世界中のあらゆる場所で生産を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、コスト削減に向けた研究開発を継続するとともに、社外との共同研究により、宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発いたしました。 ② ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した新規素材開発、またそれらの機能性を解明することで、顧客に対する新たな価値提供を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、新たな化粧品原料として「ミドリ麹エキス」や医薬部外品対応も可能な「ユーグレナ発酵オイル」を開発したほか、ユーグレナ粉末抽出物によるインフルエンザウイルスや肺がんの増殖抑制効果に関するフォローアップ研究の成果、ならびに八重山クロレラの摂取がマイコトキシンの排出を促進することを示す研究結果等を発表しました。今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。 ③ エネルギー・資源循環関連技術の開発(バイオ燃料事業・その他事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発を進めるとともに、藻類生産や未利用資源活用等を通じて地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料光合成生物は大気中のCO2を吸収して増殖するため、光合成生物由来のバイオ燃料はカーボンニュートラルな代替燃料として期待されております。ユーグレナは、体内にて生成される脂質が炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでいることから、バイオジェット燃料に適した脂質生産が可能と期待されています。当連結会計年度においては、ユーグレナ由来脂質を原料の一部として製造したバイオジェット燃料や次世代バイオディーゼル燃料の供給先を拡大するとともに、バイオ燃料原料用途のバイオマスの生産・利用に関する研究を推進するために、マレーシアに熱帯バイオマス技術研究所を設立しました。今後も、当社グループが有する独立栄養培養と従属栄養培養の両技術を活用しながら、ユーグレナ等の品種改良、培養・回収・加工関連の各要素技術の開発を継続し、独自性の高いバイオ燃料原料としての大規模商業生産の早期実現を目指します。 b.飼料・肥料当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類を飼料・肥料の原料や付加価値向上素材として活用する研究開発を推進しております。また、バイオ燃料の研究開発を進める中で、発電所の排ガスに含まれるCO2、排水場等で不可避的に発生する窒素やリン、食品廃棄物等の多様な未利用資源を、微細藻類生産のための原料として利活用することを目指しております。さらに、未利用資源の収集・加工・活用技術に関する研究開発を通じて、資源をバイオ燃料・飼料・肥料等の原料として循環利用する技術の確立も目指しております。当連結会計年度においては、ユーグレナと海藻のカギケノリの混合飼料が反芻家畜のメタン排出を軽減する効果や、脱脂ユーグレナを飼料の一部に用いた水産養殖試験にて養魚用飼料の代替原料になる可能性を確認しました。また、サステナブルアグリテック事業部と連携し、ユーグレナ配合培養土を用いた個人向け栽培キットのテスト販売を実施したほか、当社グループとパートナーによる国内未利用資源である鶏ふん堆肥を用いたペレット肥料開発が農林水産省の「ペレット堆肥の広域流通促進モデル実証」に採択されました。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外19件であり、また現在出願中の特許は国内37件、海外10件(特許協力条約による出願は含まない)であります。
FY2022|2,923 文字
5【研究開発活動】(1) 研究開発戦略及び研究課題 当社グループの研究開発活動は、付加価値の高い順に、Food(食品)、Fiber(繊維、化成品)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)と段階的に事業を展開していく「バイオマスの5F」の基本戦略のもと、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上」、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 また、「選択と集中」の観点から、多様な研究開発テーマを、既存あるいは今後事業化の目途が立っている事業へ貢献するテーマ(事業貢献型)と、研究者の自由な発想を活かして将来の事業シーズを創出するテーマ(未来型)の2種類に仕分けており、両利きの経営を支えつつ、長期的な当社事業領域の変化や拡大にも対応できる研究開発活動を推進しております。 (2) 研究体制当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び光合成生物に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。① グループ内における研究体制当連結会計年度において、研究開発の体制刷新を行い、これまで事業部に散逸していた研究開発関連部門を集約し、各研究所の役割を整理した上で、2つの科学研究所と3つの技術研究所から構成される合計5つの研究所と、研究開発企画を実施するR&D企画室を発足しました。科学研究所は基礎的な研究を、技術研究所は社会実装を目的に開発研究を行います。従来の研究開発拠点は以下のように整理しております。 神奈川県横浜市鶴見区:先端科学研究所並びにヒト科学研究所 沖縄県石垣市:生産技術研究所 佐賀県佐賀市:資源サーキュラー技術研究所 三重県多気郡多気町:藻類エネルギー技術研究所 ② 外部との共同研究体制当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションによる社会実装の加速を目指しております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託または共同研究を実施し、その知見を当社グループが活用することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。 (3) 研究主要課題及び研究成果研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,480百万円となっております。① ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上(全事業共通)「藻類生産の低コスト化」及び「生産技術の普遍化」を主な目的として、生産技術の継続的な向上に取り組んでおります。「藻類生産の低コスト化」に関しては、既存製品の製造原価を低減するとともに、コストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を可能とすることを目指しております。「生産技術の普遍化」に関しては、ヘルスケア事業向けのユーグレナ粉末やクロレラ粉末等の生産を、現在の生産拠点である沖縄県の石垣島だけでなく、世界中のあらゆる場所で生産を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、原料費高騰に耐えうるコスト削減策を見出すとともに、食品用ユーグレナの味やにおいを改善する培養方法の安定化に成功いたしました。また、社外との共同研究により、新規の高効率なユーグレナ品種改良技術を2件確立いたしました。 ② ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の機能性を解明することで、顧客に対する新たな価値提供を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、ヒト臨床試験を通じて、ユーグレナの継続摂取により、免疫の維持や調整を介して感冒症状(かぜ様症状)の発生及び諸症状の重症化が抑制される効果を確認しました。今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(バイオ燃料事業・その他事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発を進めるとともに、藻類生産等を通じて地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料光合成生物は大気中の二酸化炭素を吸収して増殖するため、光合成生物由来のバイオ燃料はカーボンニュートラルな代替燃料として期待されております。ユーグレナは、体内にて生成される油脂が炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでいることから、バイオジェット燃料に適した油脂生産が可能と期待されています。当連結会計年度においては、ユーグレナ由来油脂を原料の一部として製造したバイオジェット燃料を使用したフライトを継続実施するとともに、次世代バイオディーゼル燃料の供給先も着実に拡大いたしました。また、2020年10月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて採択された「バイオジェット燃料製造の実証事業及び燃料用微細藻類の海外培養実証に関する研究開発」は、インドネシアにおいて準備を進めてきたユーグレナの大規模培養実証が、コロナ禍や現地パートナー事情により難航したため、一旦は国内を中心とした研究計画に変更しており、修正された計画が着実に進捗しております。今後も、ユーグレナ等の品種改良、培養・回収・加工関連の各要素技術の開発を継続し、独自性の高いバイオ燃料原料としての大規模商業生産の早期実現を目指します。 b.環境浄化・資源循環当社グループは、バイオ燃料の研究開発を進める中で、微細藻類生産のための原料として、多様な未利用資源の利活用を目指しております。例えば、発電所の排ガスに含まれる二酸化炭素、排水場等で不可避的に発生する窒素やリン、食品廃棄物等が該当します。また、未利用資源の収集・加工・活用技術に関する研究開発を通じて、資源を循環利用する技術の確立も目指しております。当連結会計年度においては、新設されたサステナブルアグリテック事業部と連携し、飼料・肥料といった事業領域における技術シーズを早期に社会実装すべく準備を進めております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外37件であり、また現在出願中の特許は国内46件、海外27件(特許協力条約による出願は含まない)であります。
FY2021|2,491 文字
5【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの経営戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 (2) 研究体制当社グループでは、外部との共同研究を活用しながら、ユーグレナを中心とした微細藻類等に関する機能性解明や培養技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を、生産技術開発活動に従事する専門部門として生産技術開発部を設置し、神奈川県横浜市鶴見区末広地区にある横浜バイオ産業センターリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めております。また、微細藻類培養技術の実証を佐賀県佐賀市と三重県多気郡多気町において行っております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社グループが集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は1,752,705千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄県の石垣島中心で実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ヒト臨床試験においてユーグレナの継続摂取によってストレスによる諸症状の抑制や睡眠の質の改善効果を確認しました。また、ユーグレナおよび特有成分パラミロンが免疫細胞や神経細胞に作用することを示唆する研究結果を確認しました。これまでに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当連結会計年度においては、ユーグレナ由来油脂を原料の一部として製造したバイオジェット燃料を使用した初フライトを実現するとともに、次世代バイオディーゼル燃料の供給先も着実に拡大いたしました。今後も当社グループは、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を継続し、バイオ燃料原料としてのユーグレナの大規模商業生産の実現を目指します。 b.二酸化炭素吸収当社グループは、火力発電所を有する民間企業との共同研究により、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素吸収能力の評価を行ってまいりました。また、経済産業省資源エネルギー庁「微細藻類燃料生産実証事業費補助金」を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して実証研究を継続しております。さらに2020年10月に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築、微細藻類基盤技術開発」に、当社が進めているバイオジェット燃料製造の実証事業及び燃料用微細藻類の海外培養実証に関する研究開発が採択され、インドネシアにおいて微細藻類ユーグレナの大規模培養実証の準備を進めてきました。同実証は、コロナ禍や現地パートナー事情により準備が難航した結果、一旦は国内を中心とした計画に変更したものの、引き続き早期の海外大規模実証・商業化を目指していきます。c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内47件、海外27件であり、また現在出願中の特許は国内36件、海外36件であります。
FY2020|2,484 文字
5【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの経営戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 (2) 研究体制当社グループでは、機能性解明を外部との共同研究により実現し、培養技術の向上、新製品開発、環境技術の開発等をグループ内にて研究する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を設置し、神奈川県横浜市鶴見区末広地区にあるリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めて、技術の実証を佐賀県佐賀市と三重県多気郡多気町において行っております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社グループが集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は1,194,719千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにはコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄県の石垣島中心で実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ヒト臨床試験においてユーグレナの継続摂取によってストレスによる諸症状の抑制や睡眠の質の改善効果を確認しました。また、ユーグレナおよび特有成分パラミロンが免疫細胞や神経細胞に作用することを示唆する研究結果を確認しました。これまでに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当社グループでは、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を行い、早期の実用化を目指しております。また、当社グループが開発した世界初の、ユーグレナから作られたバイオディーゼルを使用したいすゞ自動車株式会社の藤沢工場シャトルバスの定期運行については5年以上の運行を行い、継続的に問題がないことを確認しております。また、バイオジェット燃料及びバイオディーゼル燃料を実用化する計画において、2018年10月31日に実証プラントが竣工に至り、2020年3月に実証プラントを本格稼働させ、次世代バイオディーゼルの供給を開始しました。今後は、次世代バイオディーゼルの供給先の拡大と、早期にバイオジェット燃料による有償フライトを実現することを目指しております。b.二酸化炭素吸収当社グループは、火力発電所を有する民間企業との共同研究により、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素吸収能力の評価を行ってまいりました。また、経済産業省資源エネルギー庁「微細藻類燃料生産実証事業費補助金」を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して本補助事業における実証研究を進捗させております。また、伊藤忠商事株式会社と、火力発電所から排出される排ガスや排熱などを利用したバイオ燃料用・飼料用ユーグレナの海外培養実証事業を開始し、海外の培養実証の試験場所としてインドネシア共和国及びコロンビア共和国を選定いたしました。これらの取り組みを通じて、ユーグレナの二酸化炭素吸収技術を確立するとともに、低エネルギーで環境親和性の高い技術開発を継続しております。c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内47件、海外27件であり、また現在出願中の特許は国内36件、海外36件であります。
FY2019|2,551 文字
5【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの経営戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 (2) 研究体制当社グループでは、機能性解明を外部との共同研究により実現し、培養技術の向上、新製品開発、環境技術の開発等をグループ内にて研究する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を設置し、神奈川県横浜市鶴見区末広地区にあるリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めて、技術の実証を佐賀県佐賀市と三重県多気郡多気町において行っております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社グループが集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は7,425,211千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにはコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄県の石垣島中心で実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ヒト脂肪組織由来幹細胞を用いた実験で、ユーグレナが脂肪滴の蓄積を抑制する効果を見出し、肥満予防に関与している可能性を示唆する内容の論文を公開いたしました。また、ユーグレナから加水分解により抽出したエキスが、皮膚の表皮細胞の増殖を促進し、皮膚のバリア機能を強化する可能性を見出しました。これまでに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当社グループでは、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を行い、早期の実用化を目指しております。また、当社グループが開発した世界初の、ユーグレナから作られたバイオディーゼルを使用したいすゞ自動車株式会社の藤沢工場シャトルバスの定期運行については4年以上の運行を行い、継続的に問題がないことを確認しております。また、2020年までにバイオジェット燃料及びバイオディーゼル燃料を実用化する計画に向けて、2018年10月31日にバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが竣工に至りました。今後は、実証プラントで、ユーグレナや廃食油を主原料としたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造を行い、2020年9月期中に次世代バイオディーゼルの供給開始、及び2020年までにバイオジェット燃料による有償フライトを実現することを目指しております。b.二酸化炭素吸収当社グループは、火力発電所を有する民間企業との共同研究により、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素吸収能力の評価を行ってまいりました。また、経済産業省資源エネルギー庁「微細藻類燃料生産実証事業費補助金」を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して本補助事業における実証研究を進捗させております。また、伊藤忠商事株式会社と、火力発電所から排出される排ガスや排熱などを利用したバイオ燃料用・飼料用ユーグレナの海外培養実証事業を開始し、最初の培養実証の試験場所としてインドネシア共和国を選定いたしました。これらの取り組みを通じて、ユーグレナの二酸化炭素吸収技術を確立するとともに、低エネルギーで環境親和性の高い技術開発を継続しております。c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内41件、海外24件であり、また現在出願中の特許は国内40件、海外38件であります。
FY2018|2,531 文字
5【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの経営戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 (2) 研究体制当社グループでは、機能性解明を外部との共同研究により実現し、培養技術の向上、新製品開発、環境技術の開発等をグループ内にて研究する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を設置し、鶴見区末広地区にあるリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めて、技術の実証を佐賀県佐賀市と三重県の多気町において行っております。また、奈良先端科学技術大学院大学発のベンチャー企業である株式会社植物ハイテック研究所においては、高等植物や遺伝子関連の技術を中心に研究を進めております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社が集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は624,480千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにはコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄の石垣島中心で実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ヒト脂肪組織由来幹細胞を用いた実験で、ユーグレナが脂肪滴の蓄積を抑制する効果を見出し、肥満予防に関与している可能性を示唆する内容の論文を公開いたしました。また、ユーグレナから加水分解により抽出したエキスが、皮膚の表皮細胞の増殖を促進し、皮膚のバリア機能を強化する可能性を見出しました。今までに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当社では、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を行い、早期の実用化を目指しております。また、当社が開発した世界初の微細藻類ユーグレナから作られたバイオディーゼルを使用したいすゞ自動車株式会社の藤沢工場シャトルバスの定期運行については4年以上の運行を行い、継続的に問題がないことを確認しております。また、平成32年迄にバイオジェット燃料及びバイオディーゼル燃料を実用化する計画に向けて、平成30年10月31日にバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが竣工に至りました。今後は、今回完成した実証プラントで、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)や廃食油を主原料としたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造を行い、平成31年夏から次世代バイオディーゼルの供給を開始するほか、平成32年までにバイオジェット燃料による有償フライトを実現する予定です。b.二酸化炭素固定化当社グループは、火力発電所を有する民間企業との共同研究により、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素固定化能力の評価を行ってまいりました。また、当連結会計年度においては、経済産業省資源エネルギー庁「微細藻類燃料生産実証事業費補助金」を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して本補助事業における実証研究を進捗させました。これらの取り組みを通じて、ユーグレナの二酸化炭素固定化技術を確立するとともに、低エネルギーで環境親和性の高い技術開発を継続しております。c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。現在保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内33件、海外28件であり、また現在出願中の特許は国内42件、海外42件であります。
FY2017|2,375 文字
6【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの経営戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。 (2) 研究体制当社グループでは、機能性解明を外部との共同研究により実現し、培養技術の向上、新製品開発、環境技術の開発等をグループ内にて研究する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を設置し、鶴見区末広地区にあるリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めて、技術の実証を佐賀県佐賀市と三重県の多気町において行っております。また、奈良先端科学技術大学院大学発のベンチャー企業である株式会社植物ハイテック研究所においては、高等植物や遺伝子関連の技術を中心に研究を進めております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社が集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は431,122千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにはコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄の石垣島中心で実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ユーグレナのロタウイルス増殖抑制効果をみいだし、特許の出願を行いました。また、Webサイト「ユーグレナ ヘルスケア・ラボ」を開設し、ユーグレナついての基礎知識や各種研究結果の掲載などを開始しました。今までに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当社では、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を行い、早期の実用化を目指しております。また、当社が開発した世界初の微細藻類ユーグレナから作られたバイオディーゼルを使用したいすゞ自動車株式会社の藤沢工場シャトルバスの定期運行については3年以上の運行を行い、継続的に問題がないことを確認しています。また、2020年に実用化する計画であるバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントについて、横浜市京浜臨海部の旭硝子株式会社京浜工場内に建設を予定しており、その計画を前期に引き続き進捗させています。 b.二酸化炭素固定化当社グループは、火力発電所を有する民間企業との共同研究により、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素固定化能力の評価を行ってきました。また、当連結会計年度においては、経済産業省資源エネルギー庁「平成28年度微細藻類燃料生産実証事業費補助金」(以下本補助金)を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して実証事業において実証研究を進捗させました。これらの取り組みを通じて、ユーグレナの二酸化炭素固定化技術を確立するとともに、低エネルギーで環境親和性の高い技術開発を継続しております。 c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。現在保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内23件、海外17件であり、また現在出願中の特許は国内40件、海外50件であります。
FY2016|2,641 文字
6【研究開発活動】(1) 商品開発戦略及び研究課題当社グループの商品開発戦略は「バイオマスの5F」という考えに基づきます。その戦略を果たすため、「ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上」、「ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。「バイオマスの5F」とは、重量単価(例:1kgあたりの値段)が高い順からFood(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の各分野へ展開することを指しております。現在はバイオマスの5Fのうち、一番価格が高いFood(食料)を主として食品及び化粧品を事業化しておりますが、今後は培養技術の更なる向上・開発により原料の低コスト化を図り、Feed(飼料)及びFuel(燃料)等の事業化を目指して参ります。また、ユーグレナ特有の成分であるパラミロンは、水・油に対する吸水性・吸油性を有する特殊な素材で、洗顔剤やフィルム等への応用も考えられるため、将来的には化粧品以外にも様々な化学工業製品等への利用可能性を模索して参ります。図 バイオマスの5F (2) 研究体制当社グループでは、機能性解明を外部との共同研究により実現し、培養技術の向上、新製品開発、環境技術の開発等をグループ内にて研究する体制を構築しております。① 社内における研究体制研究開発活動に従事する専門部門として研究開発部を設置し、鶴見区末広地区にあるリーディングベンチャープラザにある中央研究所と沖縄県石垣市の生産技術研究所にて研究を進めております。また、奈良先端科学技術大学院大学発のベンチャー企業である株式会社植物ハイテック研究所においては、高等植物や遺伝子関連の技術を中心に研究を進めております。 ② 社外との共同研究体制当社グループ内にて実施している技術開発に加え、社外の大学、企業との連携を進めております。a.公的研究機関との共同研究体制大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究分野は公的研究機関に研究を依頼し、その知見を当社が集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現しております。b.企業との共同研究体制事業化を実現するためにはバイオマスの原料生産や生産された原料の活用方法を独自で開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業と共同研究を実施することにより、出口を明確にした事業開発を目指しております。 (3) 当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果当連結会計年度における各セグメント別の研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費の総額は354,288千円となっております。① ユーグレナを中心とした藻類の培養技術の向上(共通)「生産藻類の低コスト化」及び「培養技術の普遍化」を主な目的として、培養技術の向上を目指しております。藻類を生産することのコストを低下させることにより、既存の製品における原価を低減し、さらにはコストが障壁となっていた新たな製品カテゴリへの参入を実現いたします。また、培養技術の普遍化を果たすことで現在では沖縄の石垣島のみで実施している生産を世界中のあらゆる場所で実現することを目指しております。 ② ユーグレナを中心とした藻類を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)ユーグレナを中心とした藻類の機能性を解明することにより、顧客へ新しい価値提供を実現することを目指しております。当連結会計年度においては、ユーグレナのロタウイルス増殖抑制効果をみいだし、特許の出願を行いました。今までに解明された知見と新規の機能性を解明し、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を継続することで、新たな市場参入の実現を目指しております。 ③ エネルギー・環境関連技術の開発(エネルギー・環境事業)当社グループでは、バイオ燃料の研究開発と藻類の培養過程において地球環境に貢献できる技術開発を進めております。a.バイオ燃料ユーグレナが体内にて生成される油脂の脂肪酸等は炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでおり、特にジェット燃料としての利用可能性を研究しております。光合成を行う藻類は大気中の二酸化炭素を炭素源として増殖するため、藻類由来バイオ燃料は、化石燃料の代替として期待されております。当社では、ユーグレナ株自体の品種改良、培養関連、回収・加工関連の各要素技術の開発を行い、早期の実用化を目指しております。また、当社が開発した世界初の微細藻類ユーグレナから作られたバイオディーゼルを使用したいすゞ自動車株式会社の藤沢工場シャトルバスの定期運行については2年以上の運行を行い、継続的に問題がないことを確認しています。また、2020年に実用化する計画であるバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントについて、横浜市京浜臨海部の旭硝子株式会社京浜工場内に建設を予定しており、その計画を前期に引き続き進捗させています。 b.二酸化炭素固定化当社グループは、住友共同電力株式会社との共同研究により、壬生川火力発電所に小規模培養槽を設置し、高濃度二酸化炭素を含む排出ガスを通気したユーグレナの二酸化炭素固定化能力の評価を行っております。また、当連結会計年度においては、経済産業省資源エネルギー庁「平成28年度微細藻類燃料生産実証事業費補助金」(以下本補助金)を活用し、燃料用微細藻類培養プールを多気クリスタルタウン(所在地:三重県多気郡多気町)に建設し、燃料用微細藻類の大規模、低コスト生産技術の確立を目指して実証事業をスタートさせました。これらの取り組みを通じて、ユーグレナの二酸化炭素固定化技術を確立するとともに、低エネルギーで環境親和性の高い技術開発を継続しております。 c.環境浄化当社グループは、佐賀市との共同研究等を通じて、水中の成分を取り込むユーグレナ等微細藻類の性質を活用した水を浄化する技術の確立を目指しております。 (4) 研究開発成果の特許化当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。現在保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内12件、海外11件であり、また現在出願中の特許は国内45件、海外53件であります。