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FY2025|10,697 文字|出典 docID: S100XSL3
3【事業の内容】当社グループは、「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、微細藻類ユーグレナを中心とした独自の研究開発力を基盤に、ヘルスケア事業を収益の中核としつつ、バイオ燃料事業やアグリ事業等を次世代の成長ドライバーとして育成する事業ポートフォリオを構築しております。当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社15社及び関連会社2社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を起点としてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(アグリ(飼料・肥料)バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養設備を有し、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類の大量培養、乾燥粉末の製造等を行っております。 (1) 微細藻類ユーグレナをはじめとする当社独自素材の概要及び当社の技術①ユーグレナという生物 ユーグレナは、約5億年前に原始の地球で誕生した、体長約50μm~100μm、幅約10μm程度の微細藻類であり、世界中の様々な環境で生息しております。また、植物と動物の形質を兼ね備えている生物で、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のように自ら動き回ることができ、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。 ②ユーグレナの培養方法 ユーグレナは、植物のようにエネルギーを光から得て、炭素源としてCO2を用いる「独立栄養培養」(いわゆる光合成)、及び動物のように有機物を炭素源として利用する「従属栄養培養」、そして両培養方法の特徴を組み合わせた「光従属栄養培養」による培養が可能です。 「独立栄養培養」は、光合成によりCO2を吸収し、クロロフィル、ビタミン、フィトケミカル等、野菜寄りの栄養素が豊富に生成される特徴を有する一方、採光効率等の点から高密度化による生産性向上には限界があり、また、他の生物の混入もしやすいため、特に食品用途で求められる品質の安全性を確保しながら培養の安定化・大規模化・低コスト化を実現する難易度が高いという側面があります。「従属栄養培養」は、高密度培養や希少成分パラミロンの高含有化が可能であり、他の生物の混入も抑えやすく、新品種などの環境への拡散リスクを低減した培養も可能である一方、栄養素の多様性が低下する側面があります。「光従属栄養培養」は、食品用途の観点から重視される豊富な栄養素と高密度培養を両立させた培養方法となります。各培養方法それぞれに異なる特徴があり、全ての培養技術を有する当社は、事業目的に応じて各培養方法を使い分けております。 ③ユーグレナの培養等に関する当社技術 ユーグレナは研究対象生物として50年以上の歴史があり、その独自性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年、食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく、商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部における研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて、屋外培養プールを用いてユーグレナの食品用途大量培養に成功しました。その後、培養の安定化、大規模化、低コスト化に向けた技術改良を進め、現在は上部から採光可能な屋外培養タンクを用いた光従属栄養培養により食品用途ユーグレナの大量培養を行っております。 また当社は、バイオ燃料の原料用途でのユーグレナの大量培養に向けて、独立栄養培養に関する技術開発の知見を活かし、近年は従属栄養培養に関する技術開発に注力しております。 以下が当社グループの主たる技術です。A.ユーグレナの大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工及び用途開発の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術D.ユーグレナのゲノム編集技術 ④ユーグレナのヘルスケア素材としてのポテンシャル当社が生産する食品用途ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンやクロロフィルを産生するとともに、動物のようにバランスの良いアミノ酸組成を持ち、植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 ユーグレナ、植物細胞のイメージ図C.希少成分パラミロンを持つ 植物がデンプンに代表されるエネルギー貯蔵物質を産生するのと同様に、ユーグレナもパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。ユーグレナが産生するパラミロンは、食物繊維に分類される生物由来の希少成分で、酵母やキノコ等が産生するβ-1,3-(※2)グルカンの一種ですが、β-1,3-結合のみで直鎖状(※3)に結合されたグルコースから構成される高分子多糖(※4)の粒子という特異性を有しています。パラミロンは、ユーグレナがエネルギーを効率よく貯蔵するために役立っていると考えられるとともに、その特異な分子構造により不溶性・難消化性であり、機能性に関して様々な研究成果が報告されています。当社も様々な機能性に関する自社及び共同での研究開発を進めてきており、ユーグレナグラシリス由来パラミロンを関与成分として、「睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善する機能」「作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能」「起床時の疲労感を軽減する機能」に関する機能性表示食品を開発しております。当社は、希少成分パラミロンを55%以上含有するユーグレナである「ユーグレナグラシリスEX55」や、パラミロンを80%以上の高濃度で抽出・精製した食品用原料である「精製パラミロン」の製造方法を確立、規格化し、当社商品やOEM・原料供給等を通じて活用しております。また、医薬部外品・化粧品原料として「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」を独自に開発、規格化しております。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 ⑤ユーグレナのバイオ燃料原料としてのポテンシャル ユーグレナにはバイオ燃料原料として、以下の特徴があります。A.食糧生産との競合を回避独立栄養培養の場合は耕作不適地を活用することで、また、従属栄養培養の場合は食糧生産に伴う残渣・廃棄物を原料として活用することで、バイオ燃料の生産量拡大に際して懸念されている食糧生産との競合を回避することが可能です。 B.複数の培養方法にチャレンジ可能ユーグレナは、異なる特徴を持つ独立栄養培養と従属栄養培養の両方法により培養することが出来るため、大規模化と低コスト化の両立という難易度が高いバイオ燃料原料用途での商業生産に向けて、技術開発の成功確率を高めることが可能です。 C.細胞壁がない他の微細藻類は通常の植物と同じように細胞壁があり細胞内の脂質を抽出するためには細胞壁の破砕、溶解等の処理が必要となりますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、他の微細藻類と比べて低コスト、低エネルギーで脂質抽出が可能です。 D.バイオジェット燃料(SAF)製造に適した脂質の生成ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、一般的な植物油脂(トリグリセリド)と比べて、分子構造上の酸素原子や二重結合が少なく、炭素鎖の長さもジェット燃料と同程度の12-16個のため、低エネルギー、低水素使用量でSAF製造が可能です。 E.脱脂藻体の多様な用途ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、脂質抽出後の脱脂藻体を、飼料や肥料等の有価物として販売することで、バイオ燃料原料に配賦される製造コストの低減が可能です。 ⑥ユーグレナの多様な産業素材としてのポテンシャルユーグレナには、食品やバイオ燃料原料としての用途に加えて、機能性素材や化成品代替の原料として活用可能な特性があり、以下のような分野での展開が期待されます。A.化粧品原料としての可能性 ユーグレナは化粧品原料として活用することが可能であり、既にユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、ミドリ麹エキス、パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)を化粧品原料として規格化し、当社の化粧品に活用しています。 B.希少成分パラミロンの素材としての可能性 ユーグレナに含有される希少成分パラミロンは、特異な分子構造を有していることから、食品・化粧品用途に加えて、化成品分野における機能性素材としての応用が期待されます。具体的には、パラミロンを用いたバイオマスプラスチック「パラレジン」、創傷治癒促進効果が期待される「パラミロンフィルム」、レーヨンにパラミロンを練り込んだ「パラミロンレーヨン」等が挙げられます。これらの開発を通じ、既存の化成品原料の代替や新たな付加価値の創出を目指しております。 C.他素材との組み合わせの可能性 ユーグレナは、様々な微生物や発酵プロセスを活性化し、付加価値を高める可能性を有しております。当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発しました。また、ユーグレナエキスが乳酸菌の動きを活性化すること、ユーグレナの摂取が腸内で酪酸産生菌の割合を増やすことを確認しており、プレバイオティクスとしてのポテンシャルも期待されます。 D.飼料・肥料他素材としての可能性 ユーグレナやパラミロンを配合した飼料の給与により、カンパチ稚魚やニワトリの免疫能が向上する可能性を確認したほか、ユーグレナと海藻カギケノリの混合飼料の給餌により、牛等の反芻動物からのメタン排出量軽減に寄与する成果を確認しており、機能性飼料としてのポテンシャルが期待されます。 また、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで微生物が活性化するなど、植物の生育に有用な成果を確認しており、機能性肥料としてのポテンシャルも期待されます。 さらに、ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、バイオ燃料原料用に脂質を抽出した後の脱脂藻体を、代替飼料や代替肥料として活用することも期待されます。 ⑦その他の当社独自素材のポテンシャル当社は、ユーグレナを中核素材としつつ、その機能や用途を補完・拡張する観点から、以下のような独自素材の研究開発および展開を行っております。A.ヤエヤマクロレラ クロレラは世界中で食品素材や着色料として流通している微細藻類であり、当社の子会社である八重山殖産株式会社は、石垣島で約50年にわたるクロレラの培養実績を誇り、国産素材ヤエヤマクロレラとして国内外に展開しています。ヤエヤマクロレラは植物性プロテインを中心とする豊富な栄養素に加え、高含有のクロロフィルによる鮮やかな緑色を特徴としております。また、CGF(クロレラ・グロース・ファクター)やオートファジー活性因子であるスペルミジン等の特徴的な成分を含有している他、毒素を吸着して排出するデトックス効果等、様々な可能性を秘めております。さらに、ヤエヤマクロレラの熱水抽出液(クロレラエキス)を活用した「ジェファー液」は、麺の味やコシの向上、魚や肉の臭み低減といった観点で、製麺企業や冷凍食品メーカーで活用されております。 B.オーランチオキトリウム オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属し、葉緑体を持たないながらも微細藻類と呼ばれる生物です。不飽和脂肪酸の一種であるDHAを豊富に含有しており、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材や養殖用飼料としての活用が期待されております。また、発毛・育毛、血中脂質の低下、肥満予防等の機能性が報告されている希少成分「アシルステリルグルコシド」も含有しており、当社で物質特許を保有しております。 C.カラハリスイカ アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、過酷な環境下で生育するために、保水性に優れており、活性酸素の消去能力に優れた抗ストレス因子を蓄積するといった特徴から、当社のヘルスケア商品素材として活用しております。 D.ミドリ麹 当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発し、当社の健康食品に活用しております。 E.微細藻類由来の超長鎖セラミド 当社は、グループ会社の株式会社サティス製薬と共同で、ユーグレナ、オーランチオキトリウム、クロレラの3種の微細藻類から、ヒト型を含む3種の超長鎖セラミドを世界で初めて発見し、特許を出願しております。これまで化粧品分野では、比較的短鎖な合成セラミド(C36)が主流でしたが、今回発見された微細藻類由来セラミドは、C44を主体とする超長鎖構造を有しており、ヒト皮膚セラミドと高い構造的親和性を示します。これにより、角層ラメラ構造(※5)の再構築、脂質秩序性向上、水分蒸散量低下、表皮細胞の分化促進、炎症抑制など、多層的な皮膚バリア改善効果が期待されます。[用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。ヒトにおいて、具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.β-1,3-グルカンβ-1,3- グルコシド結合にて連なったグルコースを構成糖とする多糖のことです。※3.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。※5.角層ラメラ構造セラミドを主成分とし、コレステロールおよび遊離脂肪酸が規則的に配列した多層脂質構造で、角層細胞間隙を埋めることで形成され、水分保持能と外来刺激に対する皮膚バリア機能の中核を担っています。 (2) ヘルスケア事業当社グループのヘルスケア事業は、微細藻類ユーグレナをはじめとする独自素材に関する研究開発力と、健康食品・化粧品分野における商品企画力を基盤として展開しております。主として、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類やその他の機能性素材を活用した健康食品および化粧品の開発、製造、販売を行っております。当社グループは、素材研究から商品企画、製造、販売に至るまでのバリューチェーンを、グループ内外の機能を組み合わせることで構築しており、複数の販売チャネルを組み合わせた事業展開を行っています。研究開発においては、ユーグレナ培養に係る継続的な技術開発を行うとともに、βグルカンの一種であるユーグレナの希少成分パラミロンの活用可能性やその他の様々な微細藻類含有成分に関する研究を行っております。また、ユーグレナやクロレラ以外にも、食品素材(カラハリスイカ、オーランチオキトリウム、エルゴチオネイン等)や化粧品素材(ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)、微細藻類由来の超長鎖セラミド等)の開発、探索、規格化も推進しております。製造面においては、健康食品および化粧品に使用されるユーグレナ粉末やクロレラ粉末を、石垣島に所在する自社グループ拠点にて製造しております。最終製品の製造については、主に外部の製造委託先に委託しているほか、自社グループ会社の工場において一部製品の製造を行っております。ブランド展開としては、当社において健康食品ブランド「からだにユーグレナ」等、化粧品ブランド「one」「CONC」「akyrise」等を展開しております。また、連結子会社である株式会社エポラ、株式会社MEJ、キューサイ株式会社等においても、それぞれ健康食品および化粧品の開発・販売を行っており、当社グループ全体として多様なブランド群を展開しております。ヘルスケア事業における主な販売形態および事業内容は、以下のとおりであります。 A.直販 自社グループの健康食品や化粧品等を、自社ECサイトや電話等を通じて一般消費者に直接販売しております。主な取扱商品は、ユーグレナ、クロレラ、精製パラミロン等の独自素材やその他の機能性素材を配合した健康食品や、ユーグレナ由来成分等を活用したスキンケア化粧品等であります。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの健康食品や化粧品等を、ドラッグストア等の小売店舗、美容院や接骨院等の専門店舗、ならびに食品商社や美容商社等を通じて卸売しております。商品特性や販売先の特性に応じて、最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、当社グループにて製品を製造したうえで、取引先ブランドとして販売されるOEM製品の供給を行っております。健康食品および化粧品の両分野においてOEM供給を行っております。 D.原料販売 製薬会社、食品メーカー等に対して、ユーグレナ粉末、精製パラミロン、クロレラ粉末等の原料を販売しております。 E.海外展開 日本国外においても、アジアを中心に当社グループの健康食品・化粧品の販売を行っております。ユーグレナやクロレラについては、OEM供給や原料供給を通じて、グローバル市場での展開を進めております。 (3) バイオ燃料事業 当社グループのバイオ燃料は、実証プラントでの技術検証やバイオ燃料製造・供給実績の蓄積を経て、国内パートナー企業と連携しながら商業規模プラントの建設・稼働やサプライチェーンの確立を進める商業化フェーズへの移行段階にあります。また、将来的に枯渇することが懸念されるバイオ燃料原料領域におけるサプライヤーとしての独自のポジショニングの確立を目指して、ユーグレナ由来藻油の大規模・低コスト生産実現に向けた技術開発を推進しております。 A.バイオ燃料の実証製造・供給体制の構築当社は、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料(HVO)の供給先をバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として拡大するとともに、バイオジェット燃料(SAF)も2021年6月に初フライトを実現し、2022年9月には国内空港のハイドラントシステムへの導入を実現するなど、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2023年末で累計93件に達しました。これらの成果により建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、実証プラントは2024年1月末をもって稼働を終了しました。 B.バイオ燃料製造・供給の商業化当社グループは、これまで実証プラントでの運転を通じてバイオ燃料の製造・供給に関する知見を蓄積してきました。2018年10月に竣工した神奈川県横浜市鶴見区の実証プラントは、2024年1月末をもって稼働を終了しており、現在は商業化フェーズへの移行段階にあります。商業化に向けては、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad(PETRONAS)及びEnilive S.p.A.とともに、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラントを建設・運営するプロジェクトを進めております。本プロジェクトでは、2024年12月に合弁会社Pengerang Biorefinery Sdn. Bhd.(以下「本合弁会社」)を設立し、当社は連結子会社であるEuglena Sustainable Investment Limitedを通じて、本合弁会社に出資しております。当該商業プラントは、原料処理能力年間約65万トン、バイオ燃料製造能力最大日産12,500バレル(年産約72.5万KL相当)を見込んでおり、2028年下期の稼働開始を予定しております。また、商業生産開始後を見据え、当社グループは国内外のパートナーと連携し、バイオ燃料のトレーディング、物流、販売に関する体制構築を進めております。実証プラントの稼働終了後も、SAFおよびHVOを中心としたバイオ燃料の供給実績は継続しており、既存の知見やネットワークを活用した事業基盤の整備を行っております。 C.バイオ燃料原料用のユーグレナ由来藻油の大規模・低コスト生産に向けた研究開発前述の通り、ユーグレナは、バイオ燃料原料生産で求められる大規模化、低コスト化の観点から様々な優位性を有しております。また、ユーグレナは、独立栄養培養であれば大気中のCO2を直接固定することで、従属栄養培養であれば植物が固定したCO2を間接的に用いることで、カーボンニュートラルに貢献する可能性があります。当社グループは、これらのユーグレナのポテンシャルに着目し、高密度培養と工業的設備で高い生産効率を実現できる従属栄養培養を有力なアプローチと位置づけた上で、バイオ燃料原料用のユーグレナ由来藻油の商業生産に向けた研究開発を進めております。また、従属栄養培養の場合も脱炭素化への貢献がバイオ燃料原料としての必須要件であることから、低GHGの炭素源の開拓にも取り組んでおります。 (4)その他事業A.アグリ領域 当社グループは、肥料・飼料分野において、微細藻類ユーグレナを活用した研究開発および事業展開を行っております。アグリ領域は、「バイオマスの5F」を支える重要な用途分野の一つであり、環境負荷低減や生産効率向上に対する需要の高まりを背景に、中長期的な成長が見込まれる分野と位置づけております。 肥料分野では、有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を2021年に完全子会社化し、同社が有する製造ノウハウや現場対応力と、当社グループの研究開発機能を組み合わせることで、有機肥料の製造・販売を行っております。飼料分野では、既存代替飼料、環境負担低減飼料、機能性飼料の三つのテーマを中心に、微細藻類を活用した水産・畜産向け商品の研究開発および展開を進めております。 また、2025年には、アグリ領域における自社ブランドとして「いきものたちにユーグレナ」を立ち上げ、ユーグレナを活用した肥料・飼料商品の提供を開始しております。B.バイオインフォマティクス領域 2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。 C.ソーシャルビジネス領域 バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」や、現地農家との連携による農業事業等を推進し、現地政府関連機関や国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。今後、2024年に終了した緑豆栽培に代わる新たなソーシャルビジネスとして、これまでに培ってきた現地ネットワークを活用しながら、現地の富裕層・中間層向けヘルスケア商品の販売、日本向け輸出を企図したゴマ栽培の事業化や、日本で需要のある現地農作物のソーシャル調達等に取り組んでまいります。 [事業系統図]主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。 ① ヘルスケア事業 ② バイオ燃料事業 ③その他事業 その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。
FY2024|9,941 文字|出典 docID: S100VI3O
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社16社及び関連会社2社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を起点としてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(サステナブルアグリテック、バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養設備を有し、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類の大量培養、乾燥粉末の製造等を行っております。 (1) 微細藻類ユーグレナをはじめとする当社独自素材の概要及び当社の技術①ユーグレナという生物 ユーグレナは、5億年以上前に原始の地球で誕生した、体長約30μm~50μm、幅約10μm程度の微細藻類であり、世界中の様々な環境で生息しております。また、植物と動物の形質を兼ね備えている生物で、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のように自ら動き回ることができ、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。 ②ユーグレナの培養方法 ユーグレナは、植物のようにエネルギーを光から得て、炭素源としてCO2を用いる「独立栄養培養」(いわゆる光合成)、及び動物のように有機物を炭素源として利用する「従属栄養培養」、そして両培養方法の特徴を組み合わせた「光従属栄養培養」による培養が可能です。 「独立栄養培養」は、光合成によりCO2を吸収し、クロロフィル、ビタミン、フィトケミカル等、野菜寄りの栄養素が豊富に生成される特徴を有する一方、採光効率等の点から高密度化による生産性向上には限界があり、また、他の生物の混入もしやすいため、特に食品用途で求められる品質の安全性を確保しながら培養の安定化・大規模化・低コスト化を実現する難易度が高いという側面があります。「従属栄養培養」は、高密度培養や希少成分パラミロンの高含有化が可能であり、他の生物の混入も抑えやすく、新品種などの環境への拡散リスクを低減した培養も可能である一方、栄養素の多様性が低下する側面があります。「光従属栄養培養」は、食品用途の観点から重視される豊富な栄養素と高密度培養を両立させた培養方法となります。各培養方法それぞれに異なる特徴があり、全ての培養技術を有する当社は、事業目的に応じて各培養方法を使い分けております。 ③ユーグレナの培養等に関する当社技術 ユーグレナは研究対象生物として50年以上の歴史があり、その独自性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年、食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく、商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部における研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて、屋外培養プールを用いてユーグレナの食品用途大量培養に成功しました。その後、培養の安定化、大規模化、低コスト化に向けた技術改良を進め、現在は上部から採光可能な屋外培養タンクを用いた光従属栄養培養により食品用途ユーグレナの大量培養を行っております。 また当社は、バイオ燃料の原料用途でのユーグレナの大量培養に向けて、独立栄養培養に関する技術開発を進めており、近年は従属栄養培養に関する技術開発も並行して進めております。 以下が当社グループの主たる技術です。A.ユーグレナの大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工及び用途開発の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術D.ユーグレナのゲノム編集技術 ④ユーグレナのヘルスケア素材としてのポテンシャル当社が生産する食品用途ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンやクロロフィルを産生するとともに、動物のようにバランスの良いアミノ酸組成を持ち、植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 ユーグレナ、植物細胞のイメージ図C.希少成分パラミロンを持つ 植物がデンプンに代表されるエネルギー貯蔵物質を産生するのと同様に、ユーグレナもパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。独自の方法で産生されるパラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖(※4)の粒子であり、ユーグレナがエネルギーを効率よく貯蔵するために役立っていると考えられております。パラミロンは難消化性であり、食物繊維に分類される生物由来の希少成分で、機能性に関して様々な研究成果が報告されています。当社も様々な機能性に関する自社及び共同での研究開発を進めてきており、ユーグレナグラシリス由来パラミロンを関与成分として、「睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善する機能」「作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能」「起床時の疲労感を軽減する機能」に関する機能性表示食品を開発しております。また、当社は、希少成分パラミロンを55%以上含有するユーグレナの製造方法を確立、規格化し、ユーグレナグラシリスEX55として当社商品やOEM供給等を通じて活用しているほか、医薬部外品・化粧品原料としてパラミロン原末(ユーグレナ多糖体)を独自に開発、規格化しております。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 ⑤ユーグレナのバイオ燃料原料としてのポテンシャル ユーグレナにはバイオ燃料原料として、以下の特徴があります。A.食糧生産との競合を回避独立栄養培養の場合は耕作不適地を活用することで、また、従属栄養培養の場合は食糧生産に伴う残渣・廃棄物を原料として活用することで、バイオ燃料の生産量拡大に際して懸念されている食糧生産との競合を回避することが可能です。 B.複数の培養方法にチャレンジ可能ユーグレナは、異なる特徴を持つ独立栄養培養と従属栄養培養の両方法により培養することが出来るため、大規模化と低コスト化の両立という難易度が高いバイオ燃料原料用途での商業生産に向けて、技術開発の成功確率を高めることが可能です。 C.細胞壁がない他の微細藻類は通常の植物と同じように細胞壁があり細胞内の脂質を抽出するためには細胞壁の破砕、溶解等の処理が必要となりますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、他の微細藻類と比べて低コスト、低エネルギーで脂質抽出が可能です。 D.バイオジェット燃料(SAF)製造に適した脂質の生成ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、一般的な植物油脂(トリグリセリド)と比べて、分子構造上の酸素原子や二重結合が少なく、炭素鎖の長さもジェット燃料と同程度の12-16個のため、低エネルギー、低水素使用量でSAF製造が可能です。 E.脱脂藻体の多様な用途ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、脂質抽出後の脱脂藻体を、飼料や肥料等の有価物として販売することで、バイオ燃料原料に配賦される製造コストの低減が可能です。 ⑥ユーグレナの多様な産業素材としてのポテンシャルユーグレナには、食品やバイオ燃料原料以外の用途として、以下の特徴があります。A.化粧品原料としての可能性 ユーグレナは化粧品原料として活用することが可能であり、既にユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、ミドリ麹エキス、パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)を化粧品原料として規格化し、当社の化粧品に活用しています。 B.希少成分パラミロンの素材としての可能性 ユーグレナが含有する希少成分パラミロンは、食品以外にも活用することが可能で、パラミロンを使った新しいバイオマスプラスチックであるパラレジン、創傷治癒促進効果が期待されるパラミロンフィルムの他、セルロース由来の再生繊維であるレーヨンに練込むことで水膨潤性(吸水性)、染着度(色の染まりやすさ)、細菌に対する増殖阻害作用を高めたパラミロンレーヨン等の開発を進めております。 C.他素材との組み合わせの可能性 ユーグレナは、様々な微生物や発酵プロセスを活性化し、付加価値を高める可能性を有しております。当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発しました。また、ユーグレナエキスが乳酸菌の動きを活性化すること、ユーグレナの摂取が腸内で酪酸産生菌の割合を増やすことを確認しており、プレバイオティクスとしてのポテンシャルも期待されます。 D.飼料・肥料他素材としての可能性 ユーグレナやパラミロンを配合した飼料の給与により、カンパチ稚魚やニワトリの免疫能が向上する可能性を確認したほか、ユーグレナと海藻カギケノリの混合飼料の給餌により、牛等の反芻動物からのメタン排出量軽減に寄与する成果を確認しており、機能性飼料としてのポテンシャルが期待されます。 また、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで微生物が活性化するなど、植物の生育に有用な成果を確認しており、機能性肥料としてのポテンシャルも期待されます。 さらに、ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、バイオ燃料原料用に脂質を抽出した後の脱脂藻体を、代替飼料や代替肥料として活用することも期待されます。 ⑦その他の当社独自素材のポテンシャル当社はユーグレナ以外にも、以下のような独自素材を展開しております。A.ヤエヤマクロレラ クロレラは世界中で食品素材や着色料として流通している微細藻類であり、当社の子会社である八重山殖産株式会社は、石垣島で約50年にわたる培養実績を誇り、国産素材ヤエヤマクロレラとして国内外に展開しています。植物性プロテインを中心とする豊富な栄養素、CGF(クロレラ・グロース・ファクター)やオートファジー活性因子であるスペルミジン等の特徴的な成分を含有している他、毒素を吸着して排出するデトックス効果等の様々な可能性を秘めております。 B.オーランチオキトリウム オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属し、葉緑体を持たないながらも微細藻類と呼ばれる生物です。不飽和脂肪酸の一種であるDHAを豊富に含有しており、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材や養殖用飼料としての活用が期待されております。また、発毛・育毛、血中脂質の低下、肥満予防等の機能性が報告されている希少成分「アシルステリルグルコシド」も含有しており、当社で物質特許を保有しております。 C.カラハリスイカ アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、過酷な環境下で生育するために、保水性に優れており、活性酸素の消去能力に優れた抗ストレス因子を蓄積するといった特徴から、当社のヘルスケア商品素材として活用しております。 D.ミドリ麹 当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発し、当社の健康食品に活用しております。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。ヒトにおいて、具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカンβ-1,3- グルコシド結合にて連なったグルコースを構成糖とする多糖のことです。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。(2) ヘルスケア事業当事業では、健康食品や飲料等の開発・販売及び化粧品の開発・販売を行っております。食品及び化粧品に活用されているユーグレナ粉末やクロレラ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託しているほか、自社グループ会社工場にて一部製品の製造も行っております。販売については、自社グループ商品の直販に加え、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や原料粉末の卸売等を行っております。研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。また、近年、新規開発・探索・商品化された素材として、食品素材(オーランチオキトリウム、エルゴチオネイン等)、化粧品素材(ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)等)があります。 A.直販 自社グループの健康食品や化粧品等を、自社ECサイトや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、健康食品ではユーグレナを配合した食品ブランド「からだにユーグレナ」等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランドとして「one」「CONC」「akyrise」等を展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、キューサイ株式会社等のグループ会社においても、健康食品や化粧品等を展開しております。 また、投資効率をブランドと媒体毎にグループ横断で比較分析し、高効率ブランドと媒体へ機動的に広告投資を配分しております。オンライン広告とオフライン広告のバランスについても、市場トレンドや投資効率に応じて柔軟な広告運用を行っております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの健康食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接又は食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。ドラッグストア等の大手流通店舗、美容院や接骨院等の専門店舗、並びにその他の全国の取扱店舗向けに、「からだにユーグレナ」等の自社グループの様々な食品ブランドや化粧品ブランドを展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末やクロレラ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。また、クロレラについても、OEM供給や原料供給を通じてグローバル市場での販売を展開しております。 (3) バイオ燃料事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス資源のバイオ燃料原料としての利活用や、バイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発・製造・販売の商業展開に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料用のユーグレナ生産実用化に向けた研究開発前述の通り、ユーグレナは、バイオ燃料原料生産の生産で求められる大規模化、低コスト化の観点から様々な優位性を有しております。また、ユーグレナは、独立栄養培養であれば大気中のCO2を直接固定することで、従属栄養培養であれば植物が固定したCO2を間接的に用いることで、カーボンニュートラルに貢献する可能性があります。これらのユーグレナのポテンシャルに着目し、当社グループは、バイオ燃料原料用のユーグレナの商業生産に向けた研究開発を進めております。急拡大が見込まれるバイオ燃料市場において、バイオ燃料原料用のユーグレナ生産の実用化に向けて、独立/従属栄養培養の両アプローチにより大規模・低コスト培養技術を確立し、原料サプライヤーとしての競争優位性の確保を目指しております。 B.バイオ燃料の実証製造・供給体制の構築当社は、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料(HVO)の供給先をバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として拡大するとともに、バイオジェット燃料(SAF)も2021年6月に初フライトを実現し、2022年9月には国内空港のハイドラントシステムへの導入を実現するなど、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2023年末で累計93件に達しました。これらの成果により建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、実証プラントは2024年1月末をもって稼働を終了しました。今後は、商業化フェーズに向けた取り組みを推進します。 C.バイオ燃料製造・供給の商業化当社は、2022年12月に、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEnilive S.p.A.(以下、当社を含め「本合弁パートナー」)と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「商業プラント」)を建設・運営するプロジェクトを検討していることを発表し、以降、商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めてきました。そして、2024年7月に、本合弁パートナー各社において本プロジェクトへの最終投資決定を行い、2024年9月に、本合弁パートナー間で合弁会社の設立・運営等に関する株主間契約(以下「本株主間契約」)を締結しました。2024年12月には、Euglena Sustainable Investment Limited(以下「ESIL」)を通じて、新設された合弁会社Pengerang Biorefinery Sdn. Bhd.(以下「本合弁会社」)に対して総額約65百万ドルの出資及び貸付の実施、並びに今後の段階的な出資等の履行を担保するための銀行保証の提供(以下、合わせて「資金コミットメント」)を実行し、本合弁会社に対する5%の出資比率(ESILを通じた間接的な出資比率、以下同じ。)の獲得を完了しました。当社は、本株主間契約に基づき、本合弁会社に対する追加の資金コミットメントを拠出することで、15%の出資比率の獲得を目指していく方針です。なお、商業プラントの原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力は最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる見通しで、2028年下期迄に商業プラントの稼働を開始することを予定しています。 また、商業生産開始後を見据えて、バイオ燃料の供給体制を拡大し、継続的な供給配送を可能とすべく、国内外パートナーと連携しながらサプライチェーン構築に向けた取り組みを進めております。既述のとおり、2024年1月末に実証プラントの稼働は終了しましたが、製品の大規模・継続販売や原料調達網の構築に向けて、国内外パートナーと連携しながらバイオ燃料製品・原料の取引先開拓やトレーディングを推進しております。さらに2024年5月には、日本空港ビルデング株式会社との間で、羽田空港におけるエアラインに対するSAFの供給・販売の事業化に向けたサプライチェーン構築を共同で検討する基本合意書を締結しました。 (4)その他事業A.サステナブルアグリテック領域 肥料・飼料領域で微細藻類を活用した様々な研究開発を実施しております。また、藻類のみならず未利用資源も活用した研究を展開しております。第3の事業の柱として、飼料・肥料領域の展開を本格化していきます。 肥料領域では有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を2021年に完全子会社化し、ユーグレナグループの有機肥料の製造・販売事業展開を推進しております。同社は多種多様な原料を使いこなす現場力、作物や気候に応じたオーダーメイドでの肥料開発に強みがあり、当社の研究開発部門と連携しながら新たな原料の活用事例創出や商品開発を推進していきます。 飼料領域では、これまでの研究成果を踏まえ、既存代替飼料、環境負担低減飼料、機能性飼料の3テーマを中心に、微細藻類を活用した水産・畜産の商品開発を推進してまいります。 B.バイオインフォマティクス領域 2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。 C.ソーシャルビジネス領域 バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」や、現地農家との連携による農業事業等を推進し、現地政府関連機関や国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。今後、2024年に終了した緑豆栽培に代わる新たなソーシャルビジネスとして、これまでに培ってきた現地ネットワークを活用しながら、日本で需要のある現地農作物のソーシャル調達や、バイオジェット燃料原料用の使用済食用油回収・油糧作物栽培の事業化等に取り組んでまいります。 [事業系統図]主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。 ① ヘルスケア事業 ② バイオ燃料事業 ③その他事業 その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。
FY2023|8,757 文字|出典 docID: S100T31E
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社16社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を起点としてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(サステナブルアグリテック、バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養設備を有し、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類の大量培養、乾燥粉末の製造等を行っております。 (1) 微細藻類ユーグレナをはじめとする当社独自素材の概要および当社の技術①ユーグレナという生物 ユーグレナは、5億年以上前に原始の地球で誕生した、体長約30μm~50μm、幅約10μm程度の微細藻類であり、世界中の様々な環境で生息しております。また、植物と動物の形質を兼ね備えている生物で、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のように自ら動き回ることができ、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。 ②ユーグレナの培養方法 ユーグレナは、植物のようにエネルギーを光から得て、炭素源としてCO2を用いる「独立栄養培養」(いわゆる光合成)、および動物のように有機物を炭素源として利用する「従属栄養培養」、そして両培養方法の特徴を組み合わせた「光従属栄養培養」による培養が可能です。 「独立栄養培養」は、光合成によりCO2を吸収し、クロロフィル、ビタミン、フィトケミカル等、野菜寄りの栄養素が豊富に生成される特徴を有する一方、採光効率等の点から高密度化による生産性向上には限界があり、また、他の生物の混入もしやすいため、特に食品用途で求められる品質の安全性を確保しながら培養の安定化・大規模化・低コスト化を実現する難易度が高いという側面があります。「従属栄養培養」は、高密度培養や希少成分パラミロンの高含有化が可能であり、他の生物の混入も抑えやすく、新品種などの環境への拡散リスクを低減した培養も可能である一方、栄養素の多様性が低下する側面があります。「光従属栄養培養」は、食品用途の観点から重視される豊富な栄養素と高密度培養を両立させた培養方法となります。各培養方法それぞれに異なる特徴があり、全ての培養技術を有する当社は、事業目的に応じて各培養方法を使い分けております。 ③ユーグレナの培養等に関する当社技術 ユーグレナは研究対象生物として50年以上の歴史があり、その独自性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年、食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく、商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部における研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて、屋外培養プールを用いてユーグレナの食品用途大量培養に成功しました。その後、培養の安定化、大規模化、低コスト化に向けた技術改良を進め、現在は上部から採光可能な屋外培養タンクを用いた光従属栄養培養により食品用途ユーグレナの大量培養を行っております。 また当社は、バイオ燃料の原料用途でのユーグレナの大量培養に向けて、独立栄養培養に関する技術開発を進めており、近年は従属栄養培養に関する技術開発も並行して進めております。 以下が当社グループの主たる技術です。A.ユーグレナの大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工及び用途開発の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術D.ユーグレナのゲノム編集技術 ④ユーグレナのヘルスケア素材としてのポテンシャル当社が生産する食品用途ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンやクロロフィルを産生するとともに、動物のようにバランスの良いアミノ酸組成を持ち、植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 ユーグレナ、植物細胞のイメージ図C.希少成分パラミロンを持つ 植物がデンプンに代表されるエネルギー貯蔵物質を産生するのと同様に、ユーグレナもパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。独自の方法で産生されるパラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖(※4)の粒子であり、ユーグレナがエネルギーを効率よく貯蔵するために役立っていると考えられております。パラミロンは難消化性であり、食物繊維に分類される生物由来の希少成分で、機能性に関して様々な研究成果が報告されています。当社は、希少成分パラミロンを55%以上含有するユーグレナの製造方法を確立、規格化し、ユーグレナグラシリスEX55として当社商品やOEM供給等を通じて活用しています。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 ⑤ユーグレナのバイオ燃料原料としてのポテンシャル ユーグレナにはバイオ燃料原料として、以下の特徴があります。A.食糧生産との競合を回避独立栄養培養の場合は耕作不適地を活用することで、また、従属栄養培養の場合は食糧生産に伴う残渣・廃棄物を原料として活用することで、バイオ燃料の生産量拡大に際して懸念されている食糧生産との競合を回避することが可能です。 B.複数の培養方法にチャレンジ可能ユーグレナは、異なる特徴を持つ独立栄養培養と従属栄養培養の両方法により培養することが出来るため、大規模化と低コスト化の両立という難易度が高いバイオ燃料原料用途での商業生産に向けて、技術開発の成功確率を高めることが可能です。 C.細胞壁がない他の微細藻類は通常の植物と同じように細胞壁があり細胞内の脂質を抽出するためには細胞壁の破砕、溶解等の処理が必要となりますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、他の微細藻類と比べて低コスト、低エネルギーで脂質抽出が可能です。 D.バイオジェット燃料(SAF)製造に適した脂質の生成ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、一般的な植物油脂(トリグリセリド)と比べて、分子構造上の酸素原子や二重結合が少なく、炭素鎖の長さもジェット燃料と同程度の12-16個のため、低エネルギー、低水素使用量でSAF製造が可能です。 E.脱脂藻体の多様な用途ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、脂質抽出後の脱脂藻体を、飼料や肥料等の有価物として販売することで、バイオ燃料原料に配賦される製造コストの低減が可能です。 ⑥ユーグレナの多様な産業素材としてのポテンシャルユーグレナには、食品やバイオ燃料原料以外の用途として、以下の特徴があります。A.化粧品原料としての可能性 ユーグレナは化粧品原料として活用することが可能であり、既にユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、ミドリ麹エキスを化粧品原料として規格化し、当社の化粧品に活用しています。 B.パラミロンの素材としての可能性 ユーグレナが含有する希少成分パラミロンは、食品以外にも活用することが可能で、パラミロンを使った新しいバイオマスプラスチックであるパラレジン、創傷治癒促進効果が期待されるパラミロンフィルムの他、セルロース由来の再生繊維であるレーヨンに練込むことで水膨潤性(吸水性)、染着度(色の染まりやすさ)、細菌に対する増殖阻害作用を高めたパラミロンレーヨン等の開発を進めております。 C.微生物や発酵との組み合わせの可能性 ユーグレナは、様々な微生物や発酵プロセスを活性化し、付加価値を高める可能性を有しております。当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発しました。また、ユーグレナエキスが乳酸菌の動きを活性化すること、ユーグレナの摂取が腸内で酪酸産生菌の割合を増やすことを確認しており、プレバイオティクスとしてのポテンシャルも期待されます。さらに、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで微生物が活性化し、植物の生育に有用な成果を確認した他、ユーグレナと海藻カギケノリの混合飼料の給餌により、反芻動物(牛など)からのメタン排出量軽減に寄与する成果を確認しており、肥料や飼料としてのポテンシャルも期待されます。 ⑦その他の当社独自素材のポテンシャル当社はユーグレナ以外にも、以下のような独自素材を展開しております。A.ヤエヤマクロレラ クロレラは世界中で食品素材や着色料として流通している微細藻類であり、当社の子会社である八重山殖産株式会社は、石垣島で約50年にわたる培養実績を誇り、国産素材ヤエヤマクロレラとして国内外に展開しています。植物性プロテインを中心とする豊富な栄養素、CGF(クロレラ・グロース・ファクター)やオートファジー活性因子であるスペルミジン等の特徴的な成分を含有している他、毒素を吸着して排出するデトックス効果等の様々な可能性を秘めております。 B.オーランチオキトリウム オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属し、葉緑体を持たないながらも微細藻類と呼ばれる生物です。不飽和脂肪酸の一種であるDHAを豊富に含有しており、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材としての活用が期待されております。また、発毛・育毛、血中脂質の低下、肥満予防等の機能性が報告されている希少成分「アシルステリルグルコシド」も含有しており、当社で物質特許を保有しております。 C.カラハリスイカ アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、過酷な環境下で生育するために、保水性に優れており、活性酸素の消去能力に優れた抗ストレス因子を蓄積するといった特徴から、当社のヘルスケア商品素材として活用しております。 D.ミドリ麹 当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発し、当社の健康食品に活用しております。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。ヒトにおいて、具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカンβ-1,3- グルコシド結合にて連なったグルコースを構成糖とする多糖のことです。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます(2) ヘルスケア事業当事業では、健康食品や飲料等の開発・販売及び化粧品の開発・販売を行っております。食品及び化粧品に活用されているユーグレナ粉末やクロレラ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託しているほか、自社グループ会社工場にて一部製品の製造も行っております。販売については、自社グループ商品の直販に加え、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や原料粉末の卸売等を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。また、近年、新規開発・探索・商品化された素材として、食品素材(オーランチオキトリウム、エルゴチオネイン等)、化粧品素材(ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル等)があります。 A.直販 自社グループの健康食品や化粧品等を、自社ECサイトや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、健康食品ではユーグレナを配合した食品ブランド「からだにユーグレナ」等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランドとして「one」「NEcCO」「CONC」等を展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、株式会社LIGUNA、キューサイ株式会社等の自社グループ会社においても、健康食品や化粧品等を展開しております。 また、投資効率をブランドと媒体毎にグループ横断で比較分析し、高効率ブランドと媒体へ機動的に広告投資を配分しております。オンラインとオフライン広告のバランスについても、市場トレンドや投資効率に応じて柔軟な広告運用を行っております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの健康食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやドラッグストア等の大手流通店舗、美容院や接骨院等の専門店舗、並びにその他の全国の取扱店舗向けに、「からだにユーグレナ」等の自社グループの様々な食品ブランドや化粧品ブランドを展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末やクロレラ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。また、クロレラについても、OEM供給や原料供給を通じてグローバル市場での販売を展開しております。 (3) バイオ燃料事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス資源のバイオ燃料原料としての利活用や、バイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発・製造・販売の商業展開に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料用のユーグレナ生産実用化に向けた研究開発前述の通り、ユーグレナは、バイオ燃料原料生産の生産で求められる大規模化、低コスト化の観点から様々な優位性を有しております。また、ユーグレナは、独立栄養培養であれば大気中のCO2を直接固定することで、従属栄養培養であれば植物が固定したCO2を間接的に用いることで、カーボンニュートラルに貢献する可能性があります。これらのユーグレナのポテンシャルに着目し、当社グループは、バイオ燃料原料用のユーグレナの商業生産に向けた研究開発を進めております。急拡大が見込まれるバイオ燃料市場において、バイオ燃料原料用のユーグレナ生産の実用化に向けて、独立/従属栄養培養の両アプローチにより大規模・低コスト培養技術を確立し、原料サプライヤーとしての競争優位性の確保を目指しております。 B.バイオ燃料の実証製造・供給体制の構築当社グループは、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料の供給先をバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として拡大するとともに、バイオジェット燃料も2021年6月に初フライトを実現し、2022年9月には国内空港のハイドラントシステムへの導入を実現するなど、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2023年末で累計93件に達しました。これらの成果により建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、実証プラントは2024年1月末をもって稼働を終了しました。今後は、商業化フェーズに向けた取り組みを推進します。 C.バイオ燃料の商業化商業プラントの建設については、2022年12月にグローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」といいます。)の建設及び運転プロジェクトを検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表しました。本商業プラントの原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力は最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる見通しで、3社間で最終投資決定に向けた協議、検討を継続しております。 また、商業生産開始後を見据えて、バイオ燃料の供給体制を拡大し、継続的な供給配送を可能とすべく、国内外パートナーと連携しながらサプライチェーン構築に向けた更なる取り組みを進めていきます。 (4)その他事業A.サステナブルアグリテック領域 肥料・飼料領域で微細藻類を活用した様々な研究開発を実施しております。また、藻類のみならず未利用資源も活用した研究を展開しております。第3の事業の柱として、飼料・肥料領域の展開を本格化していきます。 肥料領域では有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を2021年に完全子会社化し、ユーグレナグループの有機肥料の製造・販売事業展開を推進しております。同社は多種多様な原料を使いこなす現場力、作物や気候に応じたオーダーメイドでの肥料開発に強みがあり、当社の研究開発部門と連携しながら新たな原料の活用事例創出や商品開発を推進していきます。 飼料領域では、これまでの研究成果を踏まえ、既存代替飼料、環境負担低減飼料、機能性飼料の3テーマを中心に、微細藻類を活用した水産・畜産の商品開発を推進してまいります。 B.バイオインフォマティクス領域 2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。 C.ソーシャルビジネス領域 バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、緑豆栽培等の農業事業や、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」等を推進し、国際連合世界食糧計画(WFP)等の国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。[事業系統図]主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。 ①ヘルスケア事業 ②バイオ燃料事業 ③その他事業 その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。
FY2022|6,145 文字|出典 docID: S100QG7X
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社15社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(サステナブルアグリテック、バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、微細藻類の大量培養を行い、ユーグレナ、クロレラ等の乾燥粉末を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞生物ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。以下が当社グループの主たる技術です。A.ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術D.ユーグレナのゲノム編集技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を11種類合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン類、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属等の無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、機能性食品や飲料等の開発・販売及び化粧品の開発・販売を行っております。食品及び化粧品に活用されているユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託しているほか、一部製品は自社グループ会社工場にて製造しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給やユーグレナ粉末の原料卸売、並びに中国等の海外向け展開等を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、機能性食品ではユーグレナを配合した食品ブランド「からだにユーグレナ」やサプリメント「メディカプラス」シリーズ等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランドとして「NEcCO」「CONC」「lavita ORGANICS」「one」等を展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、株式会社LIGUNA、キューサイ株式会社等の自社グループ会社においても、機能性食品や化粧品等を展開しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやドラッグストア等の大手流通店舗、並びに全国の取扱店舗向けには、「からだにユーグレナ」等の自社グループの様々な食品ブランドを展開しております。また、美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社グループの様々な化粧品ブランドを展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社(旧武田コンシューマーヘルスケア株式会社)向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じたユーグレナ原料等の販売を展開しているほか、越境ECを展開しております。 F.生産技術開発 当社は、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減及び品質の更なる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大に伴う需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。また、2018年8月にはユーグレナ等の微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設が完了しております。 (3) バイオ燃料事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス資源のバイオ燃料原料としての利活用や、バイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発・製造・販売の商業展開に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されております。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、また、その栄養の豊富さにより油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社グループはバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社グループは、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料及びバイオジェット燃料の製造・供給を開始しております。2021年6月には、国土交通省の保有する飛行検査機にて、当社のバイオジェット燃料を使用した初フライトが成功し、同月に民間航空機による初フライトも実施しました。次世代バイオディーゼル燃料の供給先もバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として着実に拡大しており、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2022年末で累計70件を突破しました。また、実証プラントの竣工を機に、2018年11月2日に、「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を発表し、2025年までにバイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラント(以下「商業プラント」)の建設を目指す方針を発表し、2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備を開始しました。2022年12月に、当社グループは、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.(以下、当社を含む3社を「本合弁パートナー」)と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」)の建設及び運転するプロジェクトを検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表しました。今後は、本合弁パートナー間で連携しながら、2023年中に3社間で最終投資決定を行い、本商業プラントを2025年中に完成させることを目指していきます。 (4)その他事業A.サステナブルアグリテック領域 2021年に有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を完全子会社化し、肥料分野への本格的な事業展開を開始しました。本領域では、同社の事業成長を目指すとともに、これまで当社として実施してきた藻類資材・未利用資源を肥料・飼料へ転用する研究開発を推進しております。 B.バイオインフォマティクス領域 2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。 C.ソーシャルビジネス領域 バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、緑豆栽培等の農業事業や、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」等を推進し、国際連合世界食糧計画(WFP)等の国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。 ①ヘルスケア事業 ②バイオ燃料事業 ③その他事業 その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。
FY2021|5,589 文字|出典 docID: S100NQH8
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社16社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナ等を活用したバイオ燃料開発・製造等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、微細藻類の大量培養を行い、ユーグレナ、クロレラ等の乾燥粉末を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社グループには、以下の技術があります。A.ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を11種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン類、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属等の無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及びユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託している他、一部製品は自社グループ会社工場にて製造しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給やユーグレナ粉末の原料卸売、並びに中国等の海外向け展開を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、機能性食品ではユーグレナを配合した飲料ブランド「からだにユーグレナ」やサプリメント「メディカプラス」シリーズ等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、株式会社LIGUNA、キューサイ株式会社等の自社グループ会社においても、機能性食品や化粧品等を展開しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア等の大手流通店舗、並びに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「からだにユーグレナ」等を展開しております。また、美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社(旧武田コンシューマーヘルスケア株式会社)向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ原料の販売を展開しております。 F.生産技術開発 当社は、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減及び品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。また、2018年8月にはユーグレナ等の微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設が完了しております。 G.遺伝子解析 当社は、ヘルスケア事業の新領域として、2017年10月にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、同社と連携して遺伝子解析等のパーソナルヘルスケア・サービスを提供する新ブランド「ユーグレナ・マイヘルス」を立ち上げております。 (3) エネルギー・環境事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料及び飼料原料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されております。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、また、その栄養の豊富さにより油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社グループはバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社は2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料及びバイオジェット燃料の製造・供給を開始しております。次世代バイオディーゼル燃料の供給先は順調に拡大しており、バス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象に、40以上の企業・団体において導入されております。2021年6月には、国土交通省の保有する飛行検査機にて、当社のバイオジェット燃料を使用した初フライトが成功し、同月に民間航空機による初フライトも実施しました。今後も、実証プラントの稼働を継続しながら、バイオジェット・ディーゼル燃料の供給先拡大を推進するとともに、バイオ燃料製造に係る知見・データを蓄積してまいります。また、実証プラントの竣工を機に、2018年11月2日に、「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を発表し、2025年までにバイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラント(以下「商業プラント」)の建設を目指す方針を発表いたしました。2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備を進めており、2021年10月には建設想定地における予備的基本設計を開始しました。今後さらに商業性評価や基本設計を進めることで、商業プラント建設に向けた計画を立案していく方針です。 C.飼料利用に関する研究開発ユーグレナは、栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣だけでなく藻体全体についても飼料として利用できる可能性があることから、当社グループは飼料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は、上記A. バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発と同様に大規模・低コスト生産技術の確立であり、中でも火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの藻体及び油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]①ヘルスケア事業 ②エネルギー・環境事業
FY2020|5,277 文字|出典 docID: S100KE3F
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社9社及び関連会社4社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、微細藻類の大量培養を行い、ユーグレナ、クロレラ等の乾燥粉末を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社グループには、以下の技術があります。A.ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を11種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン類、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属等の無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及びユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給やユーグレナ粉末の原料卸売、並びに中国等の海外向け展開を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した飲料ブランド「からだにユーグレナ」やサプリメント「メディカプラス」シリーズ等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア等の大手流通店舗、並びに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「からだにユーグレナ」等を展開しております。また、美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売、OEM供給及び原料販売を展開しております。 F.生産技術開発 当社は、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減及び品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。また、2018年8月にはユーグレナ等の微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設が完了しております。 G.遺伝子解析 当社は、ヘルスケア事業の新領域として、2017年10月にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、同社と連携して遺伝子解析等のパーソナルヘルスケア・サービスを提供する新ブランド「ユーグレナ・マイヘルス」を立ち上げております。 (3) エネルギー・環境事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料及び飼料原料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されております。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、また、その栄養の豊富さにより油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社グループはバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社は2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料の供給を開始しております。その後、2021年9月末までにバイオジェット燃料による有償フライトの実現を目指すとともに、実証プラントの稼働に係る知見・データを蓄積してまいります。また、実証プラントの竣工を機に、2018年11月2日に、「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を発表し、2025年までにバイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラント(以下「商業プラント」)の建設を目指す方針を発表いたしました。2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備に着手しており、今後さらにフィージビリティ・スタディを進めることで、商業プラント建設に向けた計画を立案していく方針です。 C.飼料利用に関する研究開発ユーグレナは、栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣だけでなく藻体全体についても飼料として利用できる可能性があることから、当社グループは飼料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は、上記A. バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発と同様に大規模・低コスト生産技術の確立であり、中でも火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの藻体及び油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]①ヘルスケア事業 ②エネルギー・環境事業
FY2019|5,288 文字|出典 docID: S100HMQP
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社12社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、微細藻類の大量培養を行い、ユーグレナ、クロレラ等の乾燥粉末を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社グループには、以下の技術があります。A.ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を11種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン類、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属等の無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及びユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給やユーグレナ粉末の原料卸売、並びに中国等の海外向け展開を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した粉末飲料「ユーグレナの緑汁」やサプリメント「メディカプラス」シリーズ等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア等の大手流通店舗、並びに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した粉末飲料「ユーグレナの緑汁」や飲料ブランド「飲むユーグレナ」等を展開しております。また、美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末等を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売、OEM供給及び原料販売を展開しております。 F.生産技術開発 当社は、2005年12月に世界で初めてユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減及び品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。また、2018年8月にはユーグレナ等の微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設が完了しております。 G.遺伝子解析 当社は、ヘルスケア事業の新領域として、2017年10月にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、同社と連携して遺伝子解析等のパーソナルヘルスケア・サービスを提供する新ブランド「ユーグレナ・マイヘルス」を立ち上げております。 (3) エネルギー・環境事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料及び飼料原料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されております。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、また、その栄養の豊富さにより油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社グループはバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社は2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2019年9月期を通して試運転を実施しており、本稼働後は次世代バイオディーゼル燃料の供給を開始し、2020年までにバイオジェット燃料による有償フライトの実現を目指すとともに、実証プラントの稼働に係る知見・データを蓄積してまいります。また、実証プラントの竣工を機に、2018年11月2日に、「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を発表し、2025年までにバイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラント(以下「商業プラント」)の建設を目指す方針を発表いたしました。2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備に着手しており、今後さらにフィージビリティ・スタディを進めることで、商業プラント建設に向けた計画を立案していく方針です。 C.飼料利用に関する研究開発ユーグレナは、栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣だけでなく藻体全体についても飼料として利用できる可能性があることから、当社グループは飼料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は、上記A. バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発と同様に大規模・低コスト生産技術の確立であり、中でも火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの藻体及び油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]①ヘルスケア事業 ②エネルギー・環境事業
FY2018|4,956 文字|出典 docID: S100EU4Y
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社12社及び関連会社1社により構成されており、微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、微細藻類の大量培養を行い、ユーグレナ、クロレラ等の乾燥粉末を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されていませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナだけを大量に培養することが困難だったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社には、以下の技術があります。A.当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.当社ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによる当社ユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類以上の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を11種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン類、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が検出されております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜などの植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属などの無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、当社ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及び当社ユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や当社ユーグレナ粉末の原料卸売、ならびに中国等の海外向け展開を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した粉末飲料・サプリメントとして「緑汁」「メディカプラス」シリーズを、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。当社グループの成長分野として位置付けており、平成30年9月末時点で自社グループ商品の定期購入顧客数は26万人を突破しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア等の大手流通店舗、ならびに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「飲むミドリムシ」や各種サプリメント等を展開しております。また美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」で、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等に当社ユーグレナ粉末を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売、OEM供給及び原料販売を展開しております。 F.生産技術開発 当社は、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減ならび品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。平成29年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。また、平成30年8月にはユーグレナなどの微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設が完了しました。 G.遺伝子解析 当社は、ヘルスケア事業の新領域として、平成29年10月にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、同社と連携して遺伝子解析等のパーソナルヘルスケア・サービスを提供する新ブランド「ユーグレナ・マイヘルス」を立ち上げております。 (3) エネルギー・環境事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されています。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、またその栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社はバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社は平成27年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、平成32年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、平成29年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「本実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、平成30年10月31日に同実証プラントは竣工に至りました。本実証プラントの本稼働は平成31年春を予定しており、本稼働後は次世代バイオディーゼル燃料の供給を開始し、平成32年までにバイオジェット燃料による有償フライトの実現を目指すとともに、本実証プラントの稼働に係る知見・データを蓄積してまいります。また、本実証プラントの竣工を機に、平成30年11月2日に、「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を発表し、バイオ燃料の利用やバイオマス原料の供給などを通じてバイオ燃料の実用化普及に取り組む協力企業・団体とのパートナーシップの構築を目指していきます。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいう。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれています。※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]①ヘルスケア事業 ②エネルギー・環境事業
FY2017|4,900 文字|出典 docID: S100C11N
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社10社及び関連会社1社により構成されており、微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナに関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナを活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、当社ユーグレナの大量培養を行い、当社ユーグレナの乾燥粉末(以下、「当社ユーグレナ粉末」といいます。)を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されていませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナだけを大量に培養することが困難だったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社には、以下の技術があります。A.当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.当社ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによる当社ユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類以上の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を13種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が検出されております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜などの植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属などの無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、当社ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及び当社ユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス「リジューナ(Rejuna)」等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や当社ユーグレナ粉末の原料卸売、ならびに中国等の海外向け展開を行っております。さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。 A.直販 自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した粉末飲料・サプリメントとして「緑汁」「メディカプラス」シリーズを、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。当社グループの成長分野として積極的な広告宣伝活動とM&Aを展開しており、平成29年9月末時点で自社グループ商品の定期購入顧客数は20万人を突破しております。 B.流通チャネルでの卸売 自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の大手流通店舗、ならびに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「飲むミドリムシ」や各種サプリメント等を展開しております。また美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。 C.OEM供給 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」で、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。 D.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等に当社ユーグレナ粉末を提供するビジネスモデルです。 E.海外展開 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売やOEM供給を展開しております。また、シンガポールにおいても、自社ブランド製品として初の海外向け専用製品となるユーグレナ配合サプリメント「Euglena P-3」の展開を開始しております。 F.生産技術開発 当社は、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減ならび品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。平成29年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。またパラミロンを55%以上含有するユーグレナ粉末「ユーグレナグラシリスEX55」を規格化し、平成29年9月にはユーグレナなどの微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設に着工いたしました。 (3) エネルギー・環境事業 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。 A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されています。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、またその栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社はバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用、等に関する研究開発を進めております。 B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築当社は平成27年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、平成32年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、平成29年2月に千代田化工建設株式会社との間でバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの設計・調達・建設に関する工事等請負契約を締結し、平成29年6月に神奈川県横浜市鶴見区において同実証プラントの建設を着工いたしました。同実証プラントの建設においては、平成27年6月に米国のChevron Lummus Global & Applied Research Associatesとの間で締結したライセンス契約およびエンジニアリング契約に基づきライセンス供与されたバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術を採用しております。当社はバイオ燃料の事業化を目指しており、同実証プラントの稼働と「国産バイオ燃料計画」の実現を経た上で、将来的には商業用プラントの建設計画も推進していく予定です。 [用語解説]※1.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいう。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれています。 ※2.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※3.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※4.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。 [事業系統図]①ヘルスケア事業 ②エネルギー・環境事業
FY2016|4,297 文字|出典 docID: S1009CJE
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社8社及び関連会社1社により構成されており、微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナに関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナを活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、当社ユーグレナの大量培養を行い、当社ユーグレナの乾燥粉末(以下、「当社ユーグレナ粉末」といいます。)を製造しております。 (1) ユーグレナの概要①ユーグレナという生物 ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。ユーグレナ属及び近縁の属の種は120余種が知られております。 ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。 ②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術 ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されていませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナだけを大量に培養することが困難だったことがあげられます。 当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。当社には、以下の技術があります。A.当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術B.当社ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術C.培養方法のコントロールによる当社ユーグレナの組成を調整する技術 ③ユーグレナの特徴当社ユーグレナには、以下の特徴があります。A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を13種合成でき、アミノ酸スコア(※1)が88と他の微細藻類と比較して高く、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※2)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が検出されております。 図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素 B.細胞壁がない野菜などの植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。 図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図 C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ 植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※3)のβ-1,3-グルカン(※4)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※5)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。 図 パラミロンの粒子構造と構造 ▲パラミロンの粒子構造 ▲パラミロンの構造 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 D.体内に油脂を生成する微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。 E.強い二酸化炭素耐性を持つユーグレナは強い二酸化炭素耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出二酸化炭素を利用した培養が可能です。 F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属などの無機物を栄養素として活発に増殖します。 (2) ヘルスケア事業当事業では、当社ユーグレナ粉末を活用した食品の製造販売及び当社ユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス「リジューナ(Rejuna)」を活用した化粧品の製造販売を行っております。食品及び化粧品の製造は外注先に委託しております。販売については、主に自社製品の販売を行っており、その他、OEM製品の販売、当社ユーグレナ粉末の販売を行っております。A.食品a.自社製品販売 自社製品の製造販売を行うビジネスモデルです。製品の販売チャネルは主に2通りあり、全国の取扱店を通じて消費者に販売する形態と、自社ブランド「ユーグレナ・ファーム」にて、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。b.OEM製品販売 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。c.原料販売 主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等に当社ユーグレナ粉末を提供するビジネスモデルです。 B.化粧品a.自社製品販売 自社製品の製造販売を行うビジネスモデルです。製品の販売チャネルは主に2通りあり、美容商社を通じて専門店に販売する形態と、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。b.OEM製品販売 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。(3) エネルギー・環境事業 当事業では、バイオ燃料の将来の事業化に向けての研究開発を行うとともに、バイオディーゼル燃料「DeuSEL」の販売及び研究受託、ユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンの活用可能性をテーマとする研究を行っております。 A.バイオ燃料米国のトウモロコシやブラジルのサトウキビなど農作物由来のバイオ燃料生産は「食糧との競合性」という課題を抱えています。さらに、温室効果ガスの排出削減が世界共通の話題となっているなか、航空運送分野においても二酸化炭素排出量の削減が求められており、その対策として再生可能エネルギー資源であるバイオジェット燃料の導入が期待されております。微細藻類がバイオ燃料として注目される理由及び当社がユーグレナをバイオ燃料として着目し研究開発している理由は、以下のとおりです。a.微細藻類は農業と競合しない既存作物の畑作地を非食用植物の農地に転用すると間接的に食糧生産に影響を与えますが、微細藻類は農耕に適さない土地での生産が可能ですので農業と競合しません。b.微細藻類は工業生産が可能微細藻類はバイオリアクター(※6)や培養プールでの大量培養が可能であり、効率的かつ安定的な工業生産が可能となります。c.微細藻類は単位面積当たりの生産性が高い微細藻類は単位面積当たりの生産性が高いため、他の作物と比べて所要面積が少なくなります。下図の「1.藻類」は、他の植物由来原料である「5.カメリナ(※7)」や「6.ジャトロファ(※8)」と比較して所要面積が少ないことが知られております。 図 世界中のジェット燃料をバイオ燃料で生産した場合に必要な面積比較 d.ユーグレナに含有する油脂は微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っているジェット燃料に使用される灯油の脂肪酸は炭素数9~15であります。多くの微細藻類の体内にて生成される油脂の脂肪酸は炭素数16以上に該当しますが、ユーグレナの体内にて生成される脂肪酸は炭素数14をピークとして12~16を多く含んでおります。 図 代表的な藻類の炭素分布 図 既存ジェット燃料の炭素分布 [用語解説]※1.アミノ酸スコア国際連合食糧農業機関及び世界保健機関が提示する国際基準に基づき、食品のアミノ酸の構成を比較して栄養価を判定した数値です。100に近いほどアミノ酸バランスが良質な食品とされます。※2.必須アミノ酸必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいう。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれています。※3.直鎖炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。※4.β-1,3-グルカングルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。※5.多糖単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。※6.バイオリアクター動植物細胞や微生物など生体の触媒を使って物質の合成や分解を行う反応器のことをいいます。※7.カメリナアブラナ科アマナズナ属。種子から精製した油は、植物性バイオ燃料として利用されております。※8.ジャトロファトウダイグサ科タイワンアブラギリ属。実から精製した油は、ジャトロファ燃料と呼ばれ、植物性バイオ燃料として利用されております。