2602

日清オイリオグループ(2602)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

食料品 食品

事業の概要

  • 多角的な食品関連事業
    日清オイリオグループは、食用油を核とする「油脂事業」に加え、MCT(中鎖脂肪酸)食品やドレッシングなどを手掛ける「加工食品・素材事業」、さらには化粧品原料や化学品を扱う「ファインケミカル事業」を展開しています。これにより、幅広い分野で収益源を確保し、事業ポートフォリオの安定化を図っています。
  • グローバルな事業展開
    油脂事業では、マレーシアや中国など海外にも生産・販売拠点を持ち、加工油脂製品の製造販売をグローバルに行っています。これにより、国内外の市場ニーズに対応し、事業規模の拡大とリスク分散を図っています。また、原材料の輸入から製品の物流まで、グループ内で一貫したサプライチェーンを構築しています。
  • 多様な関連事業
    主要3事業の他にも、情報システムの開発保守、食品の販売促進、損害保険代理、不動産賃貸など、多岐にわたる事業活動を展開しています。これらの事業は、グループ全体の運営を支えるとともに、新たな収益機会の創出にも貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 油脂事業
    食用油や飼料などに使われるミール製品の製造販売が中心です。売上高は4,289.62億円、営業利益は132.7億円と、グループ全体の収益の大部分を占める主力事業です。国内外に生産・販売拠点を持ち、特に海外では加工油脂製品の製造販売も手掛けています。
  • 加工食品・素材事業
    MCT(中鎖脂肪酸)関連食品、ドレッシング・マヨネーズ類、チョコレート関連製品などを製造販売しています。売上高は787.08億円、営業利益は47.74億円で、健康志向の高まりに対応した製品や、製菓・製パン向けの素材を提供しています。
  • ファインケミカル事業
    化粧品原料や化学品などの製造販売を行っています。売上高は208.3億円、営業利益は17.71億円です。この事業は、高度な技術力を活かして、高付加価値な製品を提供しており、グループの多様な事業展開の一翼を担っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
OilFatAndMealBusinessReportableSegment 地域 2,990 70 2.3%
ProcessedOilAndFatBusinessReportableSegment 地域 1,299 63 4.9%
OilAndFatBusinessReportableSegment 地域 4,290 133 3.1%
ProcessedFoodAndMaterialBusinessReportableSegment 地域 787 48 6.1%
FineChemicalBusiness 地域 208 18 8.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,572 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社25社、関連会社10社およびその他の関係会社1社で構成され、油脂事業、加工食品・素材事業、ファインケミカル事業を主な事業とし、さらに食品の販売促進および人材の派遣、情報システムの開発保守、損害保険代理、不動産賃貸等の事業活動を展開しております。当社グループの事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、その他の関係会社1社とは、下記のセグメントの内、主に油脂事業、加工食品・素材事業、ファインケミカル事業で原料、食品、油脂、ミール等の売買を行っております。 〔油脂事業〕(油脂・油糧)当社が、油脂製品およびミール製品の製造販売を行っております。販売においては、油脂製品およびミール製品の販売の一部を連結子会社である日清商事㈱、㈱日清商会、セッツ㈱および上海日清油脂有限公司、関連会社である幸商事㈱を通じて、それぞれ行っております。生産においては、製油パートナーズジャパン㈱が、搾油受託を行っております。また、物流においては、輸入原材料の入出庫に係る港湾荷役および製品物流を日清物流㈱が行っております。関連会社である中糧日清(大連)有限公司が油脂製品・ミール製品の製造販売を行っております。上記以外の会社で、油脂・油糧事業を営んでいる子会社は1社、関連会社は1社であります。 (加工油脂)当社および連結子会社であるIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.が加工油脂製品の製造販売を、Intercontinental Specialty Fats (Italy) S.r.l.が加工油脂製品の製造販売および精製受託を、Intercontinental Specialty Fats (Shanghai)Co., Ltd.が加工油脂製品の販売を、関連会社である統清股フン有限公司および張家港統清食品有限公司が加工油脂製品の製造販売を行っております。また、当社の製造において、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.より加工油脂製品の一部を輸入しております。上記以外の会社で、加工油脂事業を営んでいる子会社は1社であります。 〔加工食品・素材事業〕当社がMCT(中鎖脂肪酸)関連食品、醸造用ミール、高齢者・介護関連食品およびドレッシング・マヨネーズ類等の製造販売を行っております。 連結子会社である大東カカオ㈱、T.&C. Manufacturing Co.,Pte.Ltd.およびPT Indoagri Daitocacaoがチョコレート関連製品の製造販売を、㈱日清商会が食品大豆および醸造用ミールの販売を行っております。また、関連会社である㈱ピエトロはドレッシング等の食品製造販売および飲食店経営を、和弘食品㈱が麺類用スープ・天然エキス等の製造販売を行っております。上記以外の会社で、加工食品・素材事業を営んでいる子会社は3社、関連会社は1社であります。 〔ファインケミカル事業〕当社が化粧品原料、化学品等の製造販売を、連結子会社であるIndustrial Quimica Lasem,S.A.U.が化粧品原料等の製造販売を、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司が化粧品原料等の販売を行っております。また、セッツ㈱が化成品の製造販売を行っております。上記以外の会社で、ファインケミカル事業を営んでいる子会社は1社であります。 〔その他〕当社が不動産賃貸業を、連結子会社である㈱NSPが情報システムの開発保守を、㈱マーケティングフォースジャパンが食品の販売促進等を、日清ファイナンス㈱が損害保険代理業を行っております。上記以外の会社でその他事業を営んでいる子会社は3社、関連会社は1社であります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原材料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
長年の植物油脂研究で培った知見をベースに、油脂の栄養評価技術、おいしさに関する技術、油脂の製造および加工に関わる技術を強みとする。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:為替相場および原材料相場の変動 / 国内外の製品市況の変動 / 地震・津波、異常気象(風水害等)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

「日清オイリオ」ブランドは長年の歴史と信頼性を背景に、消費者の間で高い認知度と安心感を得ている。特に家庭用食用油市場において、このブランド力は他社製品との差別化要因となっている。また、機能性油脂や特殊油脂分野での研究開発力も無形資産として評価できる。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

家庭用食用油においては、ブランドロイヤルティや価格、入手しやすさからスイッチングコストは限定的。業務用においては、特定の機能を持つ油脂製品(例:製菓用マーガリン、パン用油脂)は、顧客の製造プロセスや製品の品質に影響するため、一定のスイッチングコストが発生する可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働く事業モデルではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

原料調達(パーム油、大豆油など)におけるスケールメリットや、長年の製造ノウハウによる効率化は一定のコスト優位性をもたらす可能性がある。しかし、国際的な商品市況の影響を受けやすく、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

食用油の精製・加工・販売において、国内有数の規模を持つ。これにより、原料調達や生産・物流における効率化が図られ、一定の競争優位性を確保している。特に家庭用市場におけるシェアは大きい。

  • 長年の油脂事業の経験とノウハウ
    日清オイリオグループは、長年にわたり油脂製品の製造販売を手掛けており、この分野における豊富な経験と技術的ノウハウを蓄積しています。これにより、高品質な製品の安定供給を可能にし、顧客からの信頼を獲得しています。
  • グローバルな生産・販売ネットワーク
    油脂事業では、海外に複数の生産・販売拠点を持ち、加工油脂製品の製造販売をグローバルに展開しています。これにより、特定の地域に依存しない安定した事業基盤を構築し、多様な市場ニーズに対応できる体制を確立しています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    油脂事業だけでなく、加工食品・素材事業やファインケミカル事業など、複数の事業領域を持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。これにより、安定した収益基盤を維持し、持続的な成長を目指せる体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社の経営理念は、次のとおりです。1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求3.社会の一員としての責任ある行動の徹底 ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。 また、「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり定めております。私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。 当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」のグループ内での浸透を図っています。 日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題近年、当社グループを取り巻く環境は、大きな変化の渦中にあります。地球規模での環境課題の累積や気候変動に伴う植物資源の収量不安定化、国際紛争などの発生によるサプライチェーンの混乱、国内における人手不足の深刻化、物流課題への対応、物価高による消費の冷え込み等、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような中、「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 日清オイリオグループビジョン2030当社グループは、2021年3月「日清オイリオグループ ビジョン2030」を策定しました。2030年の目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担うとともに、多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになることを掲げています。「これまでより“もっとお客さまの近く”でビジネスを展開することを基本方針とし、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けた取り組みを進めています。 〇生きるエネルギー生きるために必要な根源的なエネルギーおいしい食事で人を元気にするエネルギー栄養機能で人を健康にするエネルギー美を演出し活力を与えるエネルギー油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー 価値創造モデル当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、すなわち「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます。 また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。そして、2030年度に達成を目指す経営指標としてROE10%、ROIC7%を目標値として設定しており、持続的な利益成長と資本効率の改善を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。 2021年度~2024年度 中期経営計画「Value Up+」の振り返り「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向け、最初の4年間(2021年度から2024年度まで)を対象とした中期経営計画「Value Up+」をスタートしました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによる生活者の行動や意識の変化、異常気象の頻発や地政学リスクの顕在化等に伴う原料調達におけるリスクやコストの増大等、この4年間で当社グループの事業環境は大きく変化しました。そうした状況の中、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けて、売上拡大、収益性向上・効率化、基盤強化に取り組みました。 [売上拡大]低栄養・フレイルや過栄養、パーソナルな健康課題に貢献する商品や、「少量使い」、「酸化抑制」、「オイルで味つけ」といった、豊かな食卓を実現する商品等を多数上市し、油脂の活用シーンの拡大や価値向上につなげました。また、ユーザーベネフィット起点での機能性油脂・油剤の拡大や更なる油脂ソリューションを生み出す共創の場(インキュベーションスクエア)の開設等、BtoB領域での取り組みも加速させました。グローバルでは、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.におけるチョコレート用油脂生産設備の能力増強投資、北米での事業拠点や、ファインケミカル事業の東アジア・ASEAN地域での収益拡大に向けた上海テクニカルセンターの新設等、価値提供の更なる拡大に向けて多様な機能を拡充しました。 [収益性向上・効率化]原材料価格や社会的コストの高騰を受け、新たな価格の均衡点を模索し、適正な販売価格を形成しました。また、西日本の搾油機能の統合を目的に、株式会社J-オイルミルズとの合弁会社である製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、稼働を開始しました。 [基盤強化]国内生産拠点における生産性向上、働き方改革、技術力の獲得と伝承を同時に実現するスマートファクトリー化やサプライチェーン全体でのCO2削減への取り組み等、企業活動全体のサステナビリティ向上を推進しました。 変化の激しい事業環境をしっかりと捉え、対応力を高めるとともに、「Value Up+」で掲げた戦略を着実に実行してきた結果、2022年度および2023年度は過去最高益を達成するなど、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向け、更なる成長の足掛かりを築きました。 2025年度~2028年度 新中期経営計画「Value UpX」「ビジョン2030」で目指す姿の実現と、その先の次なる成長に向けて、2025年度~2028年度の4年間を対象期間とした、新中期経営計画「Value UpX」を策定しました。「Value UpX」では、「ビジョン2030」の基本方針として掲げた「“Marketing”דTechnology”דGlobalization”」を結実、深化させ、当社らしい“勝ち筋”(無形資産の循環的創造によるイノベーションの体質化)により、加速的な成長を実現してまいります。その実現に向けては、「将来の利益成長の柱となる成長戦略」、「Value UpXの成長ドライバーとなる基幹戦略」、「グループの安定的・持続的な成長を支える基盤戦略」の3階層からなる戦略を展開してまいります。また、それらの戦略を支える機能として「技術の深化・探索による価値創造」、「サプライチェーンの構築、強靭化」、「成長を加速させるデジタルイノベーション」、「地球環境・資源の保護・人権尊重」の取り組みを強化していきます。そして、これらの戦略を強固でレジリエントな人材基盤の構築によって推進するとともに、ROICマネジメントを通じて、利益率の向上と投下資本の効率化による「資本収益性向上」に取り組み、更なる「成長投資」につながる好循環を生み出していきます。これらの取り組みを通じた、油脂ソリューションの創出力の最大化と、展開領域・エリアの拡大により、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を果たし、最終年度の経営目標として、2028年度には、営業利益280億円(利益率5%以上)、ROE8%以上、ROIC6%以上の達成を目指してまいります。※中期経営計画「Value UpX」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。 図1:中期経営計画「Value UpX」の位置付け 図2:「Value UpX」における戦略の全体像 (3) 経営環境、課題及び対応世界経済については、米国の関税政策の導入に対する各国からの報復関税の決定や関税引き下げに向けた交渉等、貿易摩擦の更なる激化が懸念されています。こうした各国の政策運営等に起因する不安定さに加え、長期化するウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクによる影響も引き続き懸念される状況にあり、世界レベルでの景気後退リスクへの警戒感が高まっています。国内においては、2024年度の実質GDP(速報値)が4年連続でプラス成長になる等、緩やかな景気回復に向けた動きが見える一方で、生活必需品を中心とした物価上昇が消費マインドの冷え込みにつながっています。米国における通商政策の不透明感もあり、個人消費の減速による今後の景気動向については、下振れリスクが懸念されています。当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料については、世界的に旺盛な油脂需要に加えて、米国の通商政策に起因する市況の変動や、サプライチェーンの混乱などによる影響が懸念されます。また、天候不順による歴史的な収量減少となったオリーブオイルやカカオ豆などの価格高騰や、製造に関わるエネルギーコスト、物流費、包材・資材費の高騰など、当社を取り巻く事業環境は不透明かつ厳しい状況が継続しています。喫緊の課題としては、不透明な事業環境の中でも、ニーズを捉えた国内市場における機能訴求型の商品やソリューションの強化、グローバル市場でのスペシャリティファット(チョコレート油脂等)や化粧品油剤の販売拡大、また今後の成長に向けた投資や事業拡大・基盤強化などに関わる施策の着実な実行などが考えられます。そして、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けて、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じて持続的な成長を目指してまいります。 各事業の状況については、次のとおりです。 [油脂事業](油脂・油糧)国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。ホームユースにおいて、当社はキャノーラ油をはじめとしたクッキングオイルや、オリーブオイル、アマニ油などの健康価値の高い商品などにおいて高い市場シェアを有しています。一方、「味つけオイル」等の油脂の新しいカテゴリーの創出や、油脂の栄養・健康機能、手軽さ・簡便さなどの新たな価値の提案を通じて需要を喚起し、市場の拡大を牽引しています。業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っており、ユーザーベネフィットの追求を起点とした、機能性やソリューションを提供する商品の販売や提案を実施しています。2024年度には、新たな研究開発拠点として、横浜磯子事業場内にインキュベーションスクエアを開設し、お客さまとの共創を通じた価値創造力の強化に取り組んでいます。大豆、菜種、パームなどを主原料とする商品については、需給の動向や米国の通商政策に起因する市況の混乱などにより、不透明かつ厳しいコスト環境が継続することが予想されますが、原料調達先の複線化や生産技術・油脂加工技術の向上、生産・物流機能の最適化等により、強靭なサプライチェーンを構築し、持続的・安定的な供給に努めてまいります。また、ミールについては国内の需給などの影響もありますが、油脂・油糧事業における安定的な収益獲得を目的に、市況の動向に応じた適正価格での販売に取り組んでいます。中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化・効率化が必要と考えております。こうした環境が見込まれる中、2023年10月に株式会社J-オイルミルズとの共同出資により、製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指した取り組みを進めています。また、国内の生産拠点では、AIやIoTの活用によるスマートファクトリー化を進めており、先駆的な取り組みを進める名古屋工場に続き、今後は順次他拠点にも展開してまいります。そして、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、環境・社会課題への解決にも繋がる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進していきます。 (加工油脂)パーム油を活用したチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティファットをグローバルに販売するマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)と日本国内での製菓・製パン向けにショートニングやマーガリンなどを販売する事業から構成されます。ISF社とそのグループ会社は、パーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を求めるお客様を中心に付加価値品の拡販に努めています。チョコレート用油脂については、異常気象や病害の深刻化等による主要産地・西アフリカでのカカオ不足・収量の不安定化により、カカオ相場の高騰が続くものと予想されており、代替品としての需要拡大が見込まれます。一方で短期的には価格高騰等によるチョコレート市場の成長鈍化の影響を受ける可能性がありますが、中長期的にはチョコレートおよびチョコレート用油脂の需要は堅調に増加すると考えており、ISF社においてはチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティファットの生産能力や販売機能を強化する投資も積極的に実施しております。成長市場において、トレーサブルで高機能なチョコレート用油脂の提供を拡大することで、収益を拡大させていきます。 [加工食品・素材事業]チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。チョコレートについては、世界的なカカオ不足に伴う価格高騰による原料調達への懸念はありますが、原料調達国の複線化や希少カカオ豆の生産性向上等に取り組むことでサプライチェーンの強靭化を図っています。また、市場動向については、国内・グローバル共に価格高騰に伴う短期的なチョコレート消費量の低下リスクはありますが、中長期的にはチョコレートの需要は堅調に推移するものと考えており、特に、アジアでの中間所得層の増加による、市場の拡大を見込んでいます。調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康価値を訴求する油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開しています。機能素材・食品においては、MCTの脂肪燃焼やフレイル対策における栄養状態の改善など、健康機能の高さを引き続き啓発するとともに、マーケティングを強化し、売上拡大に向けた取り組みを進めています。大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、大豆たん白の供給にとどまらず、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供に力を入れています。 [ファインケミカル事業]化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、国内外の多くの化粧品メーカーと取引を行っております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの継続的な拡大が見込まれます。当社は、特に高付加価値なスペシャリティオイルを中核とする市場成長を取り込み、テクニカルサポート機能の発揮により、ソリューション提供を拡大することで、グローバル市場でのプレゼンスを更に高め、市場シェアを獲得するとともに利益率を高めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社の経営理念は、次のとおりです。1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求3.社会の一員としての責任ある行動の徹底 ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。 また、「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり定めております。私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。 当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」のグループ内での浸透を図っています。 日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題近年、当社グループを取り巻く環境は、大きな変化の渦中にあります。地球規模での環境課題の累積や気候変動に伴う植物資源の収量不安定化、国際紛争などの発生によるサプライチェーンの混乱、国内における人手不足の深刻化、物流課題への対応、物価高による消費の冷え込み等、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような中、「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 日清オイリオグループビジョン2030当社グループは、2021年3月「日清オイリオグループ ビジョン2030」を策定しました。2030年の目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担うとともに、多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになることを掲げています。「これまでより“もっとお客さまの近く”でビジネスを展開することを基本方針とし、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けた取り組みを進めています。 〇生きるエネルギー生きるために必要な根源的なエネルギーおいしい食事で人を元気にするエネルギー栄養機能で人を健康にするエネルギー美を演出し活力を与えるエネルギー油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー 価値創造モデル当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、すなわち「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます。 また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。そして、2030年度に達成を目指す経営指標としてROE10%、ROIC7%を目標値として設定しており、持続的な利益成長と資本効率の改善を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。 2021年度~2024年度 中期経営計画「Value Up+」の振り返り「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向け、最初の4年間(2021年度から2024年度まで)を対象とした中期経営計画「Value Up+」をスタートしました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによる生活者の行動や意識の変化、異常気象の頻発や地政学リスクの顕在化等に伴う原料調達におけるリスクやコストの増大等、この4年間で当社グループの事業環境は大きく変化しました。そうした状況の中、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けて、売上拡大、収益性向上・効率化、基盤強化に取り組みました。 [売上拡大]低栄養・フレイルや過栄養、パーソナルな健康課題に貢献する商品や、「少量使い」、「酸化抑制」、「オイルで味つけ」といった、豊かな食卓を実現する商品等を多数上市し、油脂の活用シーンの拡大や価値向上につなげました。また、ユーザーベネフィット起点での機能性油脂・油剤の拡大や更なる油脂ソリューションを生み出す共創の場(インキュベーションスクエア)の開設等、BtoB領域での取り組みも加速させました。グローバルでは、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.におけるチョコレート用油脂生産設備の能力増強投資、北米での事業拠点や、ファインケミカル事業の東アジア・ASEAN地域での収益拡大に向けた上海テクニカルセンターの新設等、価値提供の更なる拡大に向けて多様な機能を拡充しました。 [収益性向上・効率化]原材料価格や社会的コストの高騰を受け、新たな価格の均衡点を模索し、適正な販売価格を形成しました。また、西日本の搾油機能の統合を目的に、株式会社J-オイルミルズとの合弁会社である製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、稼働を開始しました。 [基盤強化]国内生産拠点における生産性向上、働き方改革、技術力の獲得と伝承を同時に実現するスマートファクトリー化やサプライチェーン全体でのCO2削減への取り組み等、企業活動全体のサステナビリティ向上を推進しました。 変化の激しい事業環境をしっかりと捉え、対応力を高めるとともに、「Value Up+」で掲げた戦略を着実に実行してきた結果、2022年度および2023年度は過去最高益を達成するなど、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向け、更なる成長の足掛かりを築きました。 2025年度~2028年度 新中期経営計画「Value UpX」「ビジョン2030」で目指す姿の実現と、その先の次なる成長に向けて、2025年度~2028年度の4年間を対象期間とした、新中期経営計画「Value UpX」を策定しました。「Value UpX」では、「ビジョン2030」の基本方針として掲げた「“Marketing”דTechnology”דGlobalization”」を結実、深化させ、当社らしい“勝ち筋”(無形資産の循環的創造によるイノベーションの体質化)により、加速的な成長を実現してまいります。その実現に向けては、「将来の利益成長の柱となる成長戦略」、「Value UpXの成長ドライバーとなる基幹戦略」、「グループの安定的・持続的な成長を支える基盤戦略」の3階層からなる戦略を展開してまいります。また、それらの戦略を支える機能として「技術の深化・探索による価値創造」、「サプライチェーンの構築、強靭化」、「成長を加速させるデジタルイノベーション」、「地球環境・資源の保護・人権尊重」の取り組みを強化していきます。そして、これらの戦略を強固でレジリエントな人材基盤の構築によって推進するとともに、ROICマネジメントを通じて、利益率の向上と投下資本の効率化による「資本収益性向上」に取り組み、更なる「成長投資」につながる好循環を生み出していきます。これらの取り組みを通じた、油脂ソリューションの創出力の最大化と、展開領域・エリアの拡大により、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を果たし、最終年度の経営目標として、2028年度には、営業利益280億円(利益率5%以上)、ROE8%以上、ROIC6%以上の達成を目指してまいります。※中期経営計画「Value UpX」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。 図1:中期経営計画「Value UpX」の位置付け 図2:「Value UpX」における戦略の全体像 (3) 経営環境、課題及び対応世界経済については、米国の関税政策の導入に対する各国からの報復関税の決定や関税引き下げに向けた交渉等、貿易摩擦の更なる激化が懸念されています。こうした各国の政策運営等に起因する不安定さに加え、長期化するウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクによる影響も引き続き懸念される状況にあり、世界レベルでの景気後退リスクへの警戒感が高まっています。国内においては、2024年度の実質GDP(速報値)が4年連続でプラス成長になる等、緩やかな景気回復に向けた動きが見える一方で、生活必需品を中心とした物価上昇が消費マインドの冷え込みにつながっています。米国における通商政策の不透明感もあり、個人消費の減速による今後の景気動向については、下振れリスクが懸念されています。当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料については、世界的に旺盛な油脂需要に加えて、米国の通商政策に起因する市況の変動や、サプライチェーンの混乱などによる影響が懸念されます。また、天候不順による歴史的な収量減少となったオリーブオイルやカカオ豆などの価格高騰や、製造に関わるエネルギーコスト、物流費、包材・資材費の高騰など、当社を取り巻く事業環境は不透明かつ厳しい状況が継続しています。喫緊の課題としては、不透明な事業環境の中でも、ニーズを捉えた国内市場における機能訴求型の商品やソリューションの強化、グローバル市場でのスペシャリティファット(チョコレート油脂等)や化粧品油剤の販売拡大、また今後の成長に向けた投資や事業拡大・基盤強化などに関わる施策の着実な実行などが考えられます。そして、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けて、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じて持続的な成長を目指してまいります。 各事業の状況については、次のとおりです。 [油脂事業](油脂・油糧)国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。ホームユースにおいて、当社はキャノーラ油をはじめとしたクッキングオイルや、オリーブオイル、アマニ油などの健康価値の高い商品などにおいて高い市場シェアを有しています。一方、「味つけオイル」等の油脂の新しいカテゴリーの創出や、油脂の栄養・健康機能、手軽さ・簡便さなどの新たな価値の提案を通じて需要を喚起し、市場の拡大を牽引しています。業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っており、ユーザーベネフィットの追求を起点とした、機能性やソリューションを提供する商品の販売や提案を実施しています。2024年度には、新たな研究開発拠点として、横浜磯子事業場内にインキュベーションスクエアを開設し、お客さまとの共創を通じた価値創造力の強化に取り組んでいます。大豆、菜種、パームなどを主原料とする商品については、需給の動向や米国の通商政策に起因する市況の混乱などにより、不透明かつ厳しいコスト環境が継続することが予想されますが、原料調達先の複線化や生産技術・油脂加工技術の向上、生産・物流機能の最適化等により、強靭なサプライチェーンを構築し、持続的・安定的な供給に努めてまいります。また、ミールについては国内の需給などの影響もありますが、油脂・油糧事業における安定的な収益獲得を目的に、市況の動向に応じた適正価格での販売に取り組んでいます。中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化・効率化が必要と考えております。こうした環境が見込まれる中、2023年10月に株式会社J-オイルミルズとの共同出資により、製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指した取り組みを進めています。また、国内の生産拠点では、AIやIoTの活用によるスマートファクトリー化を進めており、先駆的な取り組みを進める名古屋工場に続き、今後は順次他拠点にも展開してまいります。そして、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、環境・社会課題への解決にも繋がる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進していきます。 (加工油脂)パーム油を活用したチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティファットをグローバルに販売するマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)と日本国内での製菓・製パン向けにショートニングやマーガリンなどを販売する事業から構成されます。ISF社とそのグループ会社は、パーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を求めるお客様を中心に付加価値品の拡販に努めています。チョコレート用油脂については、異常気象や病害の深刻化等による主要産地・西アフリカでのカカオ不足・収量の不安定化により、カカオ相場の高騰が続くものと予想されており、代替品としての需要拡大が見込まれます。一方で短期的には価格高騰等によるチョコレート市場の成長鈍化の影響を受ける可能性がありますが、中長期的にはチョコレートおよびチョコレート用油脂の需要は堅調に増加すると考えており、ISF社においてはチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティファットの生産能力や販売機能を強化する投資も積極的に実施しております。成長市場において、トレーサブルで高機能なチョコレート用油脂の提供を拡大することで、収益を拡大させていきます。 [加工食品・素材事業]チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。チョコレートについては、世界的なカカオ不足に伴う価格高騰による原料調達への懸念はありますが、原料調達国の複線化や希少カカオ豆の生産性向上等に取り組むことでサプライチェーンの強靭化を図っています。また、市場動向については、国内・グローバル共に価格高騰に伴う短期的なチョコレート消費量の低下リスクはありますが、中長期的にはチョコレートの需要は堅調に推移するものと考えており、特に、アジアでの中間所得層の増加による、市場の拡大を見込んでいます。調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康価値を訴求する油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開しています。機能素材・食品においては、MCTの脂肪燃焼やフレイル対策における栄養状態の改善など、健康機能の高さを引き続き啓発するとともに、マーケティングを強化し、売上拡大に向けた取り組みを進めています。大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、大豆たん白の供給にとどまらず、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供に力を入れています。 [ファインケミカル事業]化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、国内外の多くの化粧品メーカーと取引を行っております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの継続的な拡大が見込まれます。当社は、特に高付加価値なスペシャリティオイルを中核とする市場成長を取り込み、テクニカルサポート機能の発揮により、ソリューション提供を拡大することで、グローバル市場でのプレゼンスを更に高め、市場シェアを獲得するとともに利益率を高めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】1.経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、金融緩和政策への転換を受けたインフレ圧力の緩和により各国の個人消費が持ち直す等、底堅い成長を維持しました。日本経済は、物価上昇の影響から食料品を中心とした消費に一部弱い動きが見られたものの、所得改善等による個人消費の持ち直しや円安を背景としたインバウンド需要の高まりもあり、緩やかに回復しました。このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでまいりました。当社グループは、「ビジョン2030」において6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しています。また、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標とし、2022年度からはROICを経営目標に加えて収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。2025年度より開始した新中期経営計画「Value UpX」(2025年度-2028年度)では、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上を2028年度の経営目標とし、取り組みを進めてまいります。当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比売上高513,541530,878+17,336103.4%営業利益20,84019,278△1,56192.5%経常利益20,03318,089△1,94490.3%親会社株主に帰属する当期純利益15,14812,850△2,29884.8%ROE8.8%7.0%-△1.8PROIC5.1%4.6%-△0.5P (注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]  ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ51億40百万円減少し、3,882億42百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が56億67百万円、有形固定資産が49億52百万円増加した一方で、現金及び預金が32億86百万円、売上債権が69億43百万円、投資有価証券が60億86百万円減少したことであります。負債は、前連結会計年度末に比べ106億64百万円減少し、1,901億56百万円となりました。主な要因は、仕入債務が11億75百万円、短期借入金が98億24百万円増加した一方で、1年内償還予定の社債が100億円、未払金が18億17百万円、未払費用が9億17百万円、未払法人税等が30億42百万円、長期借入金が60億8百万円減少したことであります。純資産は、前連結会計年度末に比べ55億23百万円増加し、1,980億86百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が67億52百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が22億52百万円減少したことであります。 前連結会計年度(百万円) 当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)資産合計393,382388,242△5,140負債合計200,820190,156△10,664純資産合計192,562198,086+5,523 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、211億66百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益198億55百万円、減価償却費104億63百万円、売上債権の減少75億20百万円、仕入債務の増加10億90百万円によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加50億1百万円、法人税等の支払79億21百万円によるキャッシュの減少であります。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、95億90百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出154億74百万円によるキャッシュの減少であります。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、138億85百万円の支出となりました。主な内訳は、短期借入金の純増43億90百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出9億99百万円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払64億88百万円によるキャッシュの減少であります。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー36,71521,166投資活動によるキャッシュ・フロー△16,083△9,590財務活動によるキャッシュ・フロー△14,586△13,885現金及び現金同等物の増減額(△減少)5,584△2,063現金及び現金同等物の期末残高16,48314,420 (3)生産、受注及び販売の実績 ① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比油脂事業油脂・油糧220,85396.1%加工油脂141,549124.6%小計362,402105.5%加工食品・素材事業54,594113.5%ファインケミカル事業17,706116.4%その他1,916102.7%合計436,619106.8% (注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。 ② 受注実績当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比油脂事業油脂・油糧299,04594.0%加工油脂129,917124.9%小計428,962101.7%加工食品・素材事業78,708112.2%ファインケミカル事業20,830110.3%その他2,37693.1%合計530,878103.4% 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営成績および財政状態の分析当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。 ② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において35億94百万円減少、加工食品・素材事業において19億12百万円増加、ファインケミカル事業において5億81百万円減少しました。セグメントの業績は次のとおりであります。 ・売上高 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比油脂事業油脂・油糧317,995299,045△18,95094.0%加工油脂103,978129,917+25,939124.9%小計421,973428,962+6,989101.7%加工食品・素材事業70,12978,708+8,578112.2%ファインケミカル事業18,88420,830+1,945110.3%その他2,5532,376△17693.1%合計513,541530,878+17,336103.4% ・〔参考〕売上高(単体) 前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減額(百万円)前期比油脂事業油脂・油糧287,479267,313△20,16693.0%業務用・加工用121,944115,968△5,97695.1%ホームユース70,83267,856△2,97695.8%油糧94,70283,489△11,21388.2%加工油脂14,76816,0221,254108.5%小計302,247283,336△18,91193.7%加工食品・素材事業21,34320,083△1,25994.1%ファインケミカル事業6,8587,9101,051115.3%その他406403△299.3%合計330,856311,733△19,12294.2% ・営業利益 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)前期比油脂事業油脂・油糧14,4786,968△7,51048.1%加工油脂4,5036,302+1,799139.9%小計18,98113,270△5,71069.9%加工食品・素材事業9904,774+3,784482.0%ファインケミカル事業1,2081,771+562146.6%その他534479△5489.8%セグメント間消去・調整△874△1,017△143-合計20,84019,278△1,56192.5% セグメント別の概況≪油脂事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高421,973428,962+6,989101.7%営業利益18,98113,270△5,71069.9% 油脂・油糧において、インバウンド需要の増加に加え、国内人流の回復による外食需要や観光需要の持ち直しにより、業務用および加工用の販売数量は増加しました。販売価格面においては、原料価格が前期比で低下するも、物流費上昇や円安ドル高等の厳しいコスト環境に加え、油脂コストが上昇基調となる中、価格改定を進めました。しかしながら、製品市況や生活防衛意識の高まりを受け価格改定は当初想定より遅れることになり、また、オリーブオイルの原価上昇の影響もあり減収減益となりました。加工油脂では増収増益となったものの、油脂事業セグメント全体では、増収減益となりました。 ◆油脂・油糧 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高317,995299,045△18,95094.0%営業利益14,4786,968△7,51048.1% [原料の調達環境]原料の調達面では、ドル円相場が前期に対して円安ドル高で推移したものの、大豆相場・菜種相場が前期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を下回りました。 <主要原料相場>大豆相場は、前期がブラジル産大豆生産量の下方修正を巡って高値で推移したのに対し、当期はアルゼンチン産大豆の減産懸念があったものの、ブラジル産大豆生産量が史上最高を更新する見通しとなったことで上値の重い取引が続きました。2024年は年明け以降、ブラジル産大豆減産懸念が後退したことで徐々に下落しました。ブラジル南部での大規模な洪水が報じられると一時12米ドル台まで上昇する局面もありましたが、米国の豊作期待が上値を抑えることで10米ドルを挟んで推移しました。10月以降は米国生産量の下方修正が相場を支えましたが、ブラジル産大豆の順調な生育を受けて上値も重く10米ドル前後での取引となりました。菜種相場は、前期同様に大豆等他市場との連動性を高めながらも世界菜種生産量が前期対比で減産となったことで底堅い取引が続きました。2024年はカナダ産菜種の生育が概ね順調に推移した一方で、欧州産、豪州産が減産見込みとなり、600カナダドル台での取引が続きました。大豆定期の下落や中国による反ダンピング調査、米国・中国による追加関税の報道を受けると600カナダドルを割る水準まで下落する局面もありましたが、カナダ産菜種の生産量見通しが下方修正され、世界需給のひっ迫感が意識されたことで調整は続かず、600カナダドルを回復して推移しました。 <為替相場>ドル円相場は米国の雇用、経済が堅調に推移したことやトランプ政権による景気対策への期待感から日米金利差縮小は限定的となり、前期比では円安ドル高となりました。2024年は7月まではほぼ一本調子で161円台まで円安ドル高が進行しました。政府、日銀による為替介入等から9月には一時140円割れとなる局面もありましたが、長くは続かず10月には150円台を回復、トランプ大統領の当選以降は米国株高、米ドル買いの動きが強まり158円台まで円安ドル高が進みました。年が明けると日銀による早期利上げ期待の高まりと共に徐々にトランプ政権による政策が米国景気後退懸念を高めたことで円高ドル安が進行しました。 [油脂の販売]業務用については、ニーズ協働発掘型営業により最終製品の品質向上、コスト抑制、生産性向上など、課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では、フライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、特に米の品質課題が顕著となる中、要望が高まっている炊飯油をはじめ、麺さばき油など付加価値型商品群の積極的な提案による拡販に努めました。販売面では、消費者の低価格志向、節約志向が強まる中、原材料価格上昇などによるメニュー単価上昇により一部で客数が前期割れのところもあった一方で、活発な国内移動とインバウンド需要増加により外食需要が堅調に推移したことから、販売数量は増加しました。売上高については、物流費やエネルギーコスト等が上昇する中、価格改定による適正な販売価格の形成に取り組みましたが、汎用品を中心に販売単価が前期比で低下したことから減収となりました。加工用については、物価高による消費マインド低下の影響が見られた一方、インバウンド需要などにより一部業界にて生産が回復傾向となった結果、販売数量は増加しました。売上高については、コスト上昇を背景に価格改定を進めましたが、前期比で販売単価が低下したことにより減収となりました。ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」に加え、食用油の酸化を抑えおいしさが長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売し、食用油の価値向上とクッキングオイルの構造改革に引き続き取り組みました。また、原材料価格高騰が続くオリーブオイル等の販売価格改定に加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかし、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりによる販売数量の減少に加え、価格改定に取り組むも難航し、大豆・菜種を原料とする主要品等の販売単価が前期比で低下したことから、減収となりました。利益面については、オリーブオイルにおける原価上昇および汎用品の粗利単価低下に加え、物流費の増加もあり国内油脂全体で減益となりました。 [ミールの販売]大豆ミールについては、前期比で搾油量が微減となりましたが、販売数量は前期並みとなりました。また、ドル円相場は円安ドル高で推移しましたが、シカゴ大豆粕相場が大きく下落したことで販売単価は低下し、減収となりました。菜種ミールについては、前期比で搾油量が増加したことを受け、適正価格を維持しながら販売拡大に努めた結果、販売数量は増加しました。しかし、大豆ミール価格低下の影響等により、販売単価は低下し、減収となりました。 ◆加工油脂 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高103,978129,917+25,939124.9%営業利益4,5036,302+1,799139.9% 海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州向けおよび国内地場取引先向けの好調な販売により販売数量が前期を上回ったことに加え、パーム油相場上昇を受けて販売単価が上昇したことにより増収となりました。また、利益面においても販売数量の増加に加え、パーム油時価評価益の影響もあり増益となりました。国内加工油脂については、厳しいマーケット環境が続く中、積極的な提案活動による採用増加とカカオ脂高騰に伴う代用脂需要増加等により販売数量が増加したことから増収となりました。また、利益面については、パーム油等の相場急騰や物流費上昇等の減益要因がありましたが、販売数量の増加および相場に応じた適正価格での販売に努めたことにより増益となりました。 ≪加工食品・素材事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高70,12978,708+8,578112.2%営業利益9904,774+3,784482.0% 加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレートおよび機能素材・食品の適正価格での販売により、増収増益となりました。 チョコレートについては、大東カカオ株式会社において原材料価格が高騰するなかコストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co.,Pte.Ltd.においては、調製品需要の低迷により既存顧客向け販売数量が前期を下回ったものの、販売価格上昇により増収増益となりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいても同様に、販売数量は主要顧客向け販売減少等の影響により前期を下回りましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。チョコレート全体では主に大東カカオ株式会社の業績が貢献し、増収増益となりました。機能素材・食品は、「日清MCTオイルHC」シリーズの「日常活動を脂肪燃焼タイムに変える」をコンセプトとしたTVCM、店頭プロモーション、PRと連動したマーケティングを展開するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の販売、またMCTオイルによるエネルギー強化の啓発を行いました。その結果、病院施設におけるMCTオイル市場が拡大し、少量高エネルギー食品の販売数量が増加しました。しかしながら、MCTの原価低下の影響を受けて販売単価が低下したこと等により減収となりました。一方、営業利益は適正価格での販売により増益となりました。 ≪ファインケミカル事業≫ (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額前期比売上高18,88420,830+1,945110.3%営業利益1,2081,771+562146.6% ファインケミカル事業セグメントでは、メイク向けを中心に化粧品原料の販売が好調に推移したことから、増収増益となりました。 ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を継続して進めました。また、メイク製品に加え、スキンケア製品も伸長しており、特にアジアおよび北米市場を中心に販売が好調に推移しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.においては、インフレの影響により原価を含めコストが増加しましたが、主力の化粧品油剤の販売が順調に推移しました。これらの結果、増収増益となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や売上債権の減少と仕入債務の増加によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加や法人税等の支払によるキャッシュの減少により211億66百万円の収入(前連結会計年度は367億15百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により95億90百万円の支出(前連結会計年度は160億83百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増によるキャッシュの増加および長期借入金の返済と社債の償還による支出や配当金の支払などによるキャッシュの減少により138億85百万円の支出(前連結会計年度は145億86百万円の支出)となりました。 当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。 当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。 設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。 今後の重要な資金の支出予定としては、国内の生産プロセス変革や生産体制再構築、北米のバリューチェーン構築等の投資を予定しております。 当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。当連結会計年度(2025年3月31日) 1年以内(百万円)1年超(百万円)短期借入金19,147-社債-15,000長期借入金5,99050,623リース債務5846,954合計25,72272,578 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。 ① 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。 ② 退職給付債務及び退職給付費用当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。 当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。

事業リスク

  • 為替相場および原材料相場の変動
    大豆、菜種、カカオなどの主要原材料は全量海外からの輸入に依存しており、為替相場の変動が原材料コストに直接影響を与えます。また、原油価格の高騰は輸送コストを押し上げ、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。為替予約や先物市場でのヘッジ取引、販売価格の適正化、コスト削減で対応しています。
  • 国内外の製品市況の変動
    油脂やミール製品の国内販売価格は国際市況に連動する傾向があり、海外からの製品輸入動向も国内価格に影響を与える可能性があります。製品市況の変動が顕在化した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。高付加価値商品の拡販や、コストに見合う適正価格での販売に努めています。
  • 原材料の調達におけるリスク
    大豆、菜種、カカオなどの主要原料やオリーブ油、パーム油といった原料油脂の調達環境が悪化した場合、十分な量の原材料を確保できないリスクがあります。世界の人口増加や異常気象、生産国の政策動向、地政学リスクにより供給が不安定化する可能性があります。生産国やサプライヤーの複線化、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保で安定供給に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,426 文字
3 【事業等のリスク】 (1) リスクマネジメントの考え方当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value UpX」で目指す姿の実現や当社が取り組む事業に対してネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義し、リスクコントロールを行っています。リスクマネジメントに対する主体的な取り組みを通じて、企業として安定した収益を上げるだけでなく、社会的責任を果たすことを通じて更なる企業価値の向上と発展を目指すことを目的としています。リスクマネジメント体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (b) リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。 (2) 当社グループにおける重要リスクについて以下は、リスクマップの中から、リスクマネジメント委員会で選定した当社グループの重要リスクを示しています。 (3) リスクマネジメント体制強化に向けた取り組み最近の事業を取り巻く環境変化を踏まえて、リスクマネジメント体制の強化に取り組んでいます。(取り組みの主なポイント)① 重要リスクへの対応に当たっては“業務部門”と“統括部門”が相互連携しながら取り組む体制に変更しました。業務部門:自部門の業務遂行に関連して、直接的に生じるリスクに対処する部門統括部門:組織全体または関連する複数部門において生じる専門領域のリスクを管理する部門② リスクの網羅的な把握・整理のため、リスクの4類型(縦軸)、バリューチェーン(横軸)の二軸によるマトリクス図を新たに作成しました。これをグループ全体に展開し、自部門におけるリスクの俯瞰的なチェックを改めて実施しております。 なお、法令遵守に関するリスクについては、重要リスクに準じるリスク項目として整理し、研修等の施策を通じてグループ全体の意識向上に取り組んでいます。本リスク項目は2025年度の当社グループの重要リスクに追加する予定です。 <リスクマトリクス図> 当社グループの重要リスクの内容と対応については次のとおりです。なお、文中においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 重要リスクの内容対応① 為替相場および原材料相場の変動 当社グループでは、油脂事業および加工食品・素材事業における原材料である大豆、菜種、カカオ等は全量海外から輸入しております。また、マレーシアをはじめ東南アジア、欧州等において海外事業展開を行っております。このため、当社グループは原材料コストや外貨建てでの販売、外貨での借入金残高などにかかる為替変動リスクを有しており、為替相場の変動により業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 原材料においては、原材料国際価格の相場変動リスクに加え、原油価格高騰などに伴う輸送コスト等の変動リスクを有しております。原材料価格は当社グループのコストにとって重要な部分を占めることから、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。  当社グループでは、「デリバティブ・商品先物取引等管理規程」等の規定に則った為替予約、先物市場を利用したヘッジ取引を機動的に行うことで当該リスクに対応しています。なお、ヘッジ取引の実施状況については、当社執行役員会にて四半期に一度、情報の共有化とモニタリングを実施しております。 さらに原料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施することにより価格変動による影響の抑制を図っております。② 国内外の製品市況の変動 特に油脂事業の販売におきましては、国内外の製品市況の変動による影響があります。油脂およびミール製品の国内販売価格は国際市況に概ね連動いたします。 また、海外からの製品輸入動向が国内販売価格への影響要因となる可能性もあります。これら国内外の製品市況の変動が顕在化した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。 当社グループでは、国内外の製品市況の変動に応じてコスト等に見合う適正な価格での販売に努めております。 また、高付加価値商品の拡販に取り組み、徐々にその構成比を上げています。売上原価と販売価格の変動にタイムラグが生じる等の場合もありますが、当該リスクの業績への影響の低減に努めております。 当社執行役員会では、毎月、経営計画の進捗管理を行っており、必要な施策の実施につなげております。 重要リスクの内容対応 ③ 地震・津波、異常気象(風水害等) 地震・津波に加え、近年異常気象による風水害等のリスクが年々高まっていると認識しております。このようなリスクにより、従業員の安全面をはじめ、生産拠点の製造設備、物流設備、インフラ等に被害が生じた場合、サプライチェーンの要所への影響から製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。  当社グループでは、地震・津波等の災害発生時対策として、従業員等の安否を確認する安否確認システムおよびBCP(事業継続計画)を構築し、随時見直しを行うことで、実効性を高めています。並行して、従業員等の安全および生産体制の基盤強化のため設備面で耐震補強を進めるとともに、護岸・電力調達における地震対策の強化も行っております。 また、総合防災訓練や教育を定期的に実施するとともに、近年の異常気象による風水害等のリスク軽減についても重要な課題とし、減災の取り組みも含め、推進しております。 これらの対策を超える甚大な影響のある事象についても継続して検証を行い、可能な限り被害を最小化するとともに、保険の付保を行い、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。④ 品質関連(食の安全性について) 食品の品質および安全性についての社会的関心の高まりから、より一層厳格な品質管理体制が求められております。品質問題が発生した場合は、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  当社執行役員会が設置する品質マネジメント委員会にてグループにおける品質保証に関する方針、施策の審議および実行の確認を行っており、国内の主要工場におきましては、ISO9001の認証および食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるFSSC22000の認証を取得し、一部の製造工程ではGMP認証を得るなど、厳しい品質保証体制を構築しております。 ⑤ 原材料の調達におけるリスク 当社グループの製品に必要な原材料のなかでも、特に油脂事業および加工食品・素材事業における大豆、菜種およびカカオなどの主要原料やオリーブ油およびパーム油をはじめとした原料油脂の調達環境が悪化し、十分な量の原材料が調達できない場合や、当社グループが求める品質・安全性を充たした原材料を確保できない場合には、製品の安定供給における多大なリスクが生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 世界の人口増加や各地で頻発する異常気象等による食糧需給の不透明感は年々高まりつつあり、また、原材料の生産国における政策動向、地政学リスクの高まり等によっては供給が不安定化するリスクもありますので、細心の注意を要します。  当社グループは、干ばつなど天候の影響、生産国での政策動向、地政学リスクの高まり等による原料の調達環境の変化にも対応できるよう、原料および原料油脂ともに生産国やサプライヤーの複線化により、安定的な調達に努めております。 特に調達環境の動向が見通しにくい状況下においては、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保に努めております。 なお、安全性が確保された原材料を調達するため、新規の産地・サプライヤーの原材料購買を行う場合には分析や現地視察などによる安全性評価を実施するとともに、既存の購買原材料についても定期的な安全性評価の実施や、原料産地の情報収集を行うことで、安全・安心な原材料の確保に努めております。 ⑥ 気候変動・環境に関するリスク 地球温暖化対策や海洋プラスチックごみ問題などが今日的な課題として注目を浴びており、これらの課題に対応できない場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は事業の持続性そのものと考え、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けて以下の取り組みを行いました。<気候変動対応>・2030年度のCO2排出量目標の引き上げに合わせて、脱炭素化ロードマップを更新・国内生産拠点にて新規に導入した設備投資の効果やISF社におけるグリーン電力購入の増加によりScope1、2における2024年度のCO2排出量を20.7%削減(速報値/2016年度比)・2030年1%水素混焼実現に向けた取り組みとして、横浜磯子工場のコージェネレーションシステム更新を実施<環境配慮への取り組み>・TNFD提言に基づく情報を開示<プラスチック容器・包装の削減>・キユーピー株式会社と協働で使用済み油付きPETボトル回収の実証実験を実施・フレッシュキープボトルをリニューアル(プラスチック使用量を約19%削減、キャップシールの剝がしやすさも向上)・プラスチックの使用量削減に向けて、一部商品でキャップシールを廃止、再生PET樹脂導入商品も拡大 重要リスクの内容対応⑦ 人権に関するリスク 当社グループおよび調達先による人権問題の発生や、人権上問題のある調達を行った場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2024年度は、人権リスクを踏まえ、優先度の高い主要原材料である大豆、菜種、パーム油などの調達先と、当社グループの製品供給にとって重要である物流関連の取引先を対象に、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを進めました。2025年度は、より対象範囲を拡げてSAQ調査、サプライヤーとの対話等に取り組むとともに、継続的に人権デュー・ディリジェンスを実施できるよう、体制構築に取り組んでまいります。 ⑧ 消費者ニーズの変化への対応 近年の消費者ニーズの変化は非常に早く、かつ多様化しており当社グループが認識する前に消費者のニーズが変化する可能性があります。また、認識しても対応できない可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 消費者ニーズの変化については、常に早期に把握するように努めておりますが、例えば、次のような対応を行いました。オリーブオイルの原料となるオリーブは主要産地である欧州で2022年、2023年と2年連続で高温や少雨により記録的な減産となり、オリーブオイルの価格は世界的に高騰しています。このような環境下でもオリーブオイルのおいしさと健康性を楽しんでいただくために小容量タイプの「日清さらっと軽~いオリーブオイル」を発売しました。また、近年の健康志向の高まりからこめ油マーケットが拡大していることを踏まえて、大容量タイプの「日清こめ油1300g」を発売しました。顧客接点強化の取り組みとしては、ファインケミカル事業における化粧品原料市場の開拓を目的に東南アジアのマーケティング拠点となる「バンコク駐在事務所」を開設しました。 ⑨ 海外拠点の運営に関するリスク 当社グループは、日本国内のみならず、東南アジア、欧州等の国および地域において事業を展開しております。以下のような事象は、特に海外事業展開においては、リスクとなります。ⅰ法律等の諸規制の予期せぬ制定または改廃ⅱ不測の政治的・経済的事象の発生ⅲテロ、紛争等による社会的混乱およびその他の地政学リスク これらの事象が発生した場合には当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  当社グループにおきましては、これらのリスクを最小限に留めるべく、各地のグループ会社と連携し、情報収集に努め、危機管理体制のなかで的確かつ迅速に対応してまいります。 ⑩ 伝染病、感染症等 伝染病、感染症等が流行し、従業員等の感染、外部委託先も含めた事業活動の制限、原材料の調達不足等によりサプライチェーンの要所に影響が生じることから製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、製品需要が大幅に変動した場合もこれらに影響を与える可能性があります。 新型コロナウイルス感染症発生時の会社対策(実績)をレビューするとともに、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」、「事業者・職場における新型インフルエンザ等対策ガイドライン」の内容を反映した感染症に係るBCP文書の改定案を作成しました。⑪ 情報セキュリティ 当社グループでは、生産管理、物流管理、販売管理および財務・会計をはじめとした業務の円滑かつ効率的な遂行のため情報システムを構築しております。また、事業上の重要情報、事業の過程で入手した機密情報および個人情報を保有しています。大規模な災害や停電、またはコンピュータウイルスやサイバー攻撃などにより、システム停止に伴う業務遅延や情報漏洩等が発生した場合、お客さまや市場の信頼が失われ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  当社グループは、情報システムの安定稼働、信頼性向上、情報漏洩防止のため、ツールによるセキュリティ対策を導入するとともに、従業員教育や訓練を実施し、リスクが顕在化しないように取り組んでおります。 また、セキュリティ事故発生に備え、対応マニュアルや連絡体制を整備しております。 情報セキュリティ会議では、情報セキュリティ対策について定期的な報告を受け、評価および見直しを実施しております。 重要リスクの内容対応⑫ 大規模な事故 火災・爆発などの大規模な事故を起こした場合は、製品の安定供給に支障が生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  当社では、全社的な安全・防災管理にかかわる統括責任を有する安全・防災担当役員を設置するとともに、安全・防災会議を中心とした全社防災体制、および事業場防災体制を構築しております。 また、緊急時体制を規定のうえ、総合防災訓練や教育を定期的に実施し、事故の発生防止に努めるとともに、万一の発生に備えております。 これらの取り組みおよび保険の付保により、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。 ⑬ 重要な外部委託先(物流委託先)の確保 お客さまからのご要望通りに商品をお届けするため、必要な物流機能を適正なコストで確保すべく努めておりますが、これができない場合にお客さまへの商品の供給が滞り、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 日本国内では、ローリー車を含めたトラック運転士の不足や高齢化が進むなか、国内での輸送可能量が先々減少していく可能性があり、物流需給ギャップが生じる懸念があります。さらには、食品業界特有の長時間待機や納品付帯作業などの物流諸課題の改善遅れにより、商品をお客さまにお届けできなくなるリスクがあります。 また、内航船に関しても同様に船員不足と高齢化が進んでおり、物流需給ギャップが生じる懸念があります。  当社グループでは、油脂事業におけるホームユース領域および業務用領域の商品においては、納品リードタイムの見直し、出荷拠点の見直しや増設、鉄道や船舶等の代替輸送手段の確保などの施策をとるとともに、ホワイト物流の取り組みや輸送料金の適正化を進め、当該リスクの低減に努めております。2024年度は、昨年度設定したCSV目標(共配函数比率の拡大、トラックドライバー拘束時間削減等)の達成に向けた取り組みに加え、需給管理システムやトラック拘束時間管理システムの導入も進めてきました。 また、食品メーカー5社が出資する物流会社を通じた共同配送や物流改善につながる取り組みを推進しております。 さらに、より消費地に近い工場で生産し、運ぶという、いわゆる地産地消を追求したサプライチェーン全体の最適化への取り組みをデジタル技術の活用を含め検討を進めております。 ⑭ 人材の獲得(育成)不足による競争力の低下および継続性のリスク 「日清オイリオグループビジョン2030」で目指す姿の実現に向けては、多様な価値観や専門性を有した人材が必要不可欠であり、不足すると競争力低下を招いてしまいます。 また、安全・安心な製品を安定的に提供していくためには、特に製造や物流現場の活動を担う人材が不足することは事業継続性の大きなリスクであると認識しています。 さらに、社員一人ひとりが、公私ともに充実し、当社グループで意欲的に能力を発揮し続けていくためには、自身の健康が最も大切な要素です。社員の健康リスクの発生は生産性などに影響が生じる可能性があります。  当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラム投資の拡充や、必要に応じた外部からの人材登用、女性活躍の推進、健康経営の推進など、イノベーションを生み出す活力に満ち溢れた組織づくりに注力することで、必要な人材の確保と強化に取り組んでおります。 安全・安心な製品を安定的に提供するにあたり、継続的な採用や教育、テレワークの積極的な活用、労働環境の最適化などにより人材の確保・定着に取り組むとともに、IoTやAI等の活用による作業の効率化や省力化を推進しております。 当社グループでは、経営トップを健康経営の最高責任者とした推進体制を構築し、社員の心身の健康、働きがい、生産性向上を目的とした健康経営の各種取り組みを推進しております。 2025年度のリスクマネジメントにおいては、引き続き、「日清オイリオグループビジョン2030」で示した6つの重点領域における機会とリスクのガバナンス強化に努めてまいります。

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