研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 225 |
| 2024-12 | - | 452 |
| 2023-12 | - | 481 |
| 2022-12 | - | 256 |
| 2021-12 | - | 267 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,536 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを行い、お客様が求める価値を継続的に提供するとともに、新たなカテゴリーや市場を開拓することを目指しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は23億円です。 セグメント別の状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発についてサッポロビール㈱は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D戦略部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約94名(うち22名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。2025年8月に開催されたBrewing Summit(※1)2025年度大会では、ビールの品質を損なう微生物の判定技術、酵母発酵による物質変換、ビールのろ過性を予測する小型ろ過システムの開発、小麦ビールのろ過性改善、パパっとパピエコBOX(※2)や、サステナビリティに貢献できる製麦工程に関して合計7件の発表を行いました。その発表の件数、テーマの広範さで、ビール研究分野では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。2025年4月に限定発売された「サッポロ クラシック 春の薫り」には昨年に続き、サッポロビール㈱が独自開発した熟成ホップの技術(※3)が活用されました。これは、ホップを熟成(常温、長期間の保存)させた時に苦味成分が酸化で分解されて増える「分岐鎖脂肪酸」と言われる成分を隠し味として使うことで、香り付けに用いている自社育成ホップ「フラノマジカル」の香りを強めることができるという技術です。また、米国を中心にクラフトビール業界でも人気を博したサッポロビール㈱の開発品種「ソラチエース」の香り成分や、ホップのもたらす冷涼感に関する研究成果でも、農業食品化学分野で権威ある学会誌に査読付き論文を発表しました(※4)。また、サッポロビール㈱が開発したLOXレス大麦品種(※5)「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等の同社商品で採用しております。サステナビリティ視点の研究では、「麦芽製造における焙燥工程での自然乾燥技術」について2025年3月に開催された日本農芸化学会の2025年度大会(※6)で、「製麦工程における二酸化炭素排出量削減」について上記のBrewing Summitにて2025年8月に発表しました。気候変動への対応策として、2025年9月にはビール大麦の北海道での越冬性に関して日本育種学会で発表しております(※7)。これらの研究成果を活用し、「旨さ長持ち」特性(Stable-care)と気候変動対応特性(Sustainable-care)を併せ持つ「Dual-S大麦」の育成を目指します。「Dual-S大麦」をはじめとし、「気候変動に適応するための大麦・ホップの新品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指しております。これらの研究成果を商品技術開発に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案していきます。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでいきます。「R&D戦略部」では、経営・マーケティング・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり、IPランドスケープを活用した知財戦略活動の推進、及び研究員のキャリアステージに合わせた研修の実施などの人財育成活動等を行っております。また、サッポロビール㈱のR&D活動の全体像が一目でわかるコア技術マップをホームページに公開しております(※8)。これは研究方針策定や、ステークホルダーへの情報発信、採用活動等に寄与できるものと考えております。 ※1 Brewing Summitは、ASBC(The American Society of Brewing Chemists)とMBAA(Master Brewers Association of the Americas)が共催する合同大会で世界的な権威のある国際学会のひとつとされております。2025年の大会(会場:カリフォルニア州パームデザート)は8月13日~15日に開催されました。https://www.brewingsummit.org/Pages/default.aspx※2 パパっとパピエコBOXは、2023年1月から開始している次世代容器包装開発の「ecoフレンドリー」プロジェクトの第4弾です。https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000016561/※3 サッポロビール㈱が独自開発した熟成ホップの技術を「サッポロ クラシック 夏の爽快」に活用。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002302.000012361.html※4 掲載誌のJournal of Agricultural and Food Chemistryはアメリカ化学会(American Chemical Society)の発行する農業食品化学分野の学会誌です。(ソラチエース研究の掲載論文:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.4c09167ホップがもたらす冷涼感の掲載論文:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.5c10218)※5 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。※6 (公社)日本農芸化学会は、1924年に設立されたバイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される学術団体であり、国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの研究者によって構成・運営されております。日本農芸化学会2025年度大会の会期は3月4日~8日(会場:札幌市・札幌コンベンションセンター)。日本農芸化学会2025年度大会ホームページ:https://www.jsbba.or.jp/2025/※7 (一社)日本育種学会第148回講演会(会場:北海道大学。会期:2025年9月10-11日。https://jsbreeding.jp/activity/symposium/)※8 サッポロビール㈱のコア技術マップ。https://www.sapporoholdings.jp/research/topics/sb_core_technology/ 2.商品開発について酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール㈱の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってきました。生ビールのおいしさを追求する「サッポロ生ビール黒ラベル」は、ブランドの世界観を拡張させるべく「サッポロ生ビール エクストラムーブ」「サッポロ生ビール エクストラシンク」を限定発売しました。ヱビスブランドでは、YEBISU BREWERY TOKYOでの経験から開発され、これまでの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していくためYEBISU CREATIVE BREWから「ヱビス クリエイティブブリュー 薫満つ」「ヱビス クリエイティブブリュー マリアージュブラン」「ヱビス クリエイティブブリュー 和奏」「ヱビス クリエイティブブリュー JAZZY」といった限定商品を展開しました。歴史を持つヱビスだからこそできる、独創的で個性ある新しい味わいのビールを提案しました。また、サッポロビール㈱直営の新しい"お酒"を体験できるオンラインストア、「シュパーク」は、2025年6月に開始して以来、世代を超えて、お酒の楽しさ・未来を分かち合う“場”をつくるため、クラフトブルワリーや他企業と共創した個性豊かなビールやノンアルコール飲料を皆さまにお届けしてきました。RTD(※1)では、主力ブランドである「濃いめのレモンサワー」のお客様支持が拡大し、また、「濃い搾り ノンアルコールブランド」が好調に推移し、RTD事業としては、5年連続最高売上の1,170万ケース(※2)を販売しました。酒類事業の研究開発費の金額は15億円です。 ※1 RTD:Ready To Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料※2 350ml×24本換算 [食品飲料事業]1.研究開発について広島県大崎上島町において約5年間実施した国産レモン摂取に関する健康調査研究で得られた知見を基盤とし、当社の研究開発・生産拠点が所在する愛知県北名古屋市との連携による市民向け健康調査を2024年より開始しました。初年度は同市職員100名を対象に試験を実施し、血圧低減効果に加え、新たに睡眠の質向上に関するデータを確認しました。2025年度は北名古屋市民249名を対象としてレモン果汁摂取試験を行い、期待される健康効果に関して良好な結果が得られており、これらの成果は日本栄養・食糧学会第80回大会にて発表を予定しております。今後も健康調査を継続し、レモンの効果・効能に関する科学的根拠の蓄積を進めるとともに、市民の皆さまの健康増進への貢献を図ってまいります。 2.商品開発についてポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱の経営ビジョンにある「おいしい以上の価値」を基軸として、各ブランドの価値向上と需要拡大を目的とした開発活動を行いました。「ポッカレモン」ブランドでは、こだわりの果汁配合により品質価値を高めた「ポッカレモン100プレミアム有機レモン」を発売しました。「キレートレモン」ブランドでは、疲労感軽減の機能性表示食品「キレートレモンクエン酸」について、525ml PET、900ml PET、155g 缶へと容器ラインアップを拡大するとともに、レモン素材と研究知見を活かした新商品「キレートレモン PuLemon」を発売しました。スープカテゴリーでは、ビストロのような本格的な味わいを手軽に楽しめる「じっくりコトコト BISTRO仕立て デミグラススープ」や、家庭・オフィスでの常備に適した「じっくりコトコト こんがりパン袋」シリーズを発売しました。飲料カテゴリーでは、ロングセラーである「加賀棒ほうじ茶」のブランド価値向上を目的としたリニューアルを実施し、「ポッカコーヒー」ブランドでは新たに「ポッカコーヒー 黒糖ミルクコーヒー」を発売しました。食品飲料事業の研究開発費の金額は7億円です。
FY2024|5,898 文字
6【研究開発活動】当グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを行い、お客様が求める価値を継続的に提供するとともに、新たなカテゴリや市場を開拓することを目指しています。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は25億円です。 セグメント別の状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発についてサッポロビール社は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D戦略部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約92名(うち22名が女性)が研究開発に取り組んでいます(研究補助者は含みません)。3月24日~27日に開催された(公社)日本農芸化学会の2024年度大会(※1)において、サッポロビール社は「酵母の醸造特性・物質変換に着目したビールテイスト飲料の品質向上と商品開発」の研究テーマで「2024年度農芸化学技術賞」(※2)を受賞しました。この受賞は、ビール工場における酵母活用技術において、遺伝子解析や成分分析を駆使した研究や消費者の嗜好の多様化への対応とより良いビール品質を追求してきた当社の総合的な実績が評価されたことによるものです。2024年5月に開催された第39回ヨーロッパ醸造学会大会(※3)では、サーバーで注いだ生ビールの泡が飲むたびに再生する現象や、旨さ長持ち麦芽の低アルコールビールへの応用、大規模工場でのドライホッピング技術の実装に関する学会発表を合計3件、また、8月に開催された世界醸造大会 (※4)でも、ホップ球果の大きさの違いがホップやビールの香気成分・香味に及ぼす影響(選りすぐりホップ)、また、ホップを麦汁と別に煮沸することで苦味の収率を向上させる技術の計2件の発表を行いました。その発表の件数、テーマの広範さで、ビール研究分野では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ています。2024年2月に限定発売された「サッポロ クラシック 春の薫り」には昨年に続き、サッポロビール社が独自開発した熟成ホップの技術(※5)が活用されました。これは、ホップを熟成(常温、長期間の保存)させた時に苦味成分が酸化で分解されて増える「分岐鎖脂肪酸」と言われる成分を隠し味として使うことで、香り付けに用いている自社育成ホップ「フラノマジカル」の香りを強めることができるという技術です。その成果はビール醸造分野で権威ある学術誌のひとつBrewingScience誌に査読付き論文としても発表されました(※6)。また、(公社)日本化学会の主催するCSJ化学フェスタ(※7)での招待講演では、ホワイトベルグなどの当社商品に活用しているコリアンダーシードの香りの産地間差に関する研究を講演し、その研究内容は、食品化学分野で権威あるアメリカの学会誌に査読付き論文としても掲載され、「オクトーバーフェストにタイムリーな論文」としてアメリカ化学会のニュースリリースに取り上げられました(※8)。また、サッポロビール社が開発したLOXレス大麦品種(※9)「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等の同社商品で採用しています。サステナビリティ視点の研究では、「短日製麦を可能にする大麦のパーリング(精麦)加工技術」について2024年3月に開催された日本農芸化学会の2024年度大会(※1)で発表し、発表者はその継続的な取り組みが評価され、同学会より2024年度の企業研究者活動表彰を受けました(※10)。気候変動への対応策として、2024年には大麦の穂発芽耐性や赤カビ病に関して国内外の学会で発表しており(※11)、これらの研究成果も活用し、「気候変動に適応するための大麦・ホップの新品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指しています。これらの研究成果を商品技術開発に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案していきます。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでいきます。「R&D戦略部」では、経営・マーケティング・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくりや研究員のキャリアステージに合わせたきめ細かな研修の立案、実施など人財育成活動等を行っています。また、サッポロビール社のR&D活動の全体像が一目でわかるコア技術マップを作成し、ホームページに掲載しました(※12)。これは研究方針策定や、ステークホルダーへの情報発信、採用活動等に寄与できるものと考えています。 ※1 (公社)日本農芸化学会は、1924年に設立されたバイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される学術団体であり、国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの研究者によって構成・運営されています。日本農芸化学会2024年度大会の会期は3月24日~27日(会場:世田谷区・東京農業大学)。日本農芸化学会2024年度大会ホームページ:https://www.jsbba.or.jp/2024/※2 農芸化学技術賞は1968年から設置された歴史ある賞で、農芸化学分野において注目すべき技術的業績をあげた会員に授与される極めて権威ある賞です。授賞式は2024年3月24日に行われました。※3 European Brewery Conventionの主催で欧州にて2年に一度開かれる学会で、ビール醸造の分野で世界的権威のある国際学会のひとつとされています。第39回大会(会場:フランス、リール)は2024年5月26日~30日に開催されました。https://europeanbreweryconvention.eu/call-for-abstracts-39th-ebc-congress-brewers-forum-lille-2024/※4 World Brewing Congress(WBC)は、2000年の開始から4年に一度開催されているASBC(The American Society of Brewing Chemists)とMBAA(Master Brewrers Association of the Americas)の共催で、EBC(European Brewing convention)、IBD(Institute of Brewing and Distilling)および日本の国際技術委員会(Brewery Convention of Japan)が協賛する合同大会で世界的な権威のある国際学会のひとつとされています。2024年の大会(会場:ミネソタ州ミネアポリス)は8月17日~20日に開催されました。http://worldbrewingcongress.org/Pages/default.aspx※5 サッポロビールが独自開発した熟成ホップの技術を「サッポロ クラシック 夏の爽快」に活用。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002302.000012361.html※6 掲載誌のBrewingScienceはドイツで創刊から77年目となるビール醸造分野の学会誌(熟成ホップ研究の掲載論文:https://doi.org/10.23763/BrSc24-09tanigawa)。※7 (公社)日本化学会は1878年に結成された化学会を前身として、1921年に日本化学会と改称した歴史と権威のある学会で、会員に多くのノーベル化学賞受賞者を擁します。CSJ化学フェスタはその秋季事業で「産学官の交流深耕」と「化学の社会への発信」を目的とする大会です。(フェスタホームページ:https://festa.csj.jp/2024/)※8 掲載誌のACS Food Science and Technologyはアメリカ化学会(American Chemical Society)の発行する食品化学分野の学会誌(コリアンダーシードに関する研究を取り上げたアメリカ化学会からのニュースリリース:https://www.acs.org/pressroom/presspacs/2024/october/three-beer-related-discoveries-to-celebrate-oktoberfest.html)。※9 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。※10 日本農芸化学会企業研究者活動表彰。https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_coresearchers.html※11 (一社)日本育種学会第146回講演会(会場:広島大学。会期:2024年9月19-20日。https://jsbreeding.jp/activity/symposium/)および6th International Symposium on Fusarium Head Blight(会場:カナダ、オンタリオ州。会期:2024年10月21-24日。https://www.isfhb.com/)。※12 サッポロビールのコア技術マップ。https://www.sapporoholdings.jp/research/topics/sb_core_technology/ 2.商品開発について酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってきました。生ビールのおいしさを追求する「サッポロ生ビール黒ラベル」は、ブランドの世界観を拡張させるべく「サッポロ生ビール エクストラブリュー」「サッポロ生ビール エクストラモルト」を限定発売しました。ヱビスブランドでは、YEBISU BREWERY TOKYOでの経験から開発され、これまでの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していくためYEBISU CREATIVE BREW」から「ヱビス シトラスブラン」「ヱビス ジューシーエール」「ヱビス クリエイティブブリュー 燻」「ヱビス クリエイティブブリュー 焦香」といった限定商品を展開しました。歴史を持つヱビスだからこそできる、独創的で個性ある新しい味わいのビールを提案しました。また、お客様との共創によるビールづくりを展開する「HOPPIN' GARAGE」は、定期的に新作ビールが届く会員制サービスを2021年4月に開始して以来、多くの魅力的な方々と当社の醸造技術を掛け合わせた共創を行い、個性豊かなビールを皆さまにお届けしてきました。本年はクラフトブルワリーとの共創を一層進め、これまで以上に多種多様なビールをお届けしました。RTD(※1)では、主力ブランドである「濃いめのレモンサワー」「男梅サワー」のお客様支持が拡大しました。また、24年新商品として発売した「濃い搾り ノンアルコールブランド」が好調に推移し、RTD事業としては、4年連続最高売上の1,080万ケース(※2)を販売しました。酒類事業の研究開発費の金額は17億円です。 ※1 RTD:Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料※2 350ml×24本換算[食品飲料事業]1.研究開発について国産レモンの産地である広島県の大崎上島町での5年間に渡るレモン摂取の健康調査研究の知見を生かして、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社の創業の地である北名古屋市との連携において、市民の皆様にレモンの健康効果を体感していただく取り組みを開始しました。血圧の低減効果の他、新たに睡眠の質の向上に係るデータが得られています。日本調理科学会2024年度大会にて「レモン果汁への浸漬処理による鶏肉の軟らかさや保水性及び嗜好性に及ぼす影響」および第78回日本栄養食糧学会にて「日常的なレモン摂取による成人の生活習慣病関連指標に及ぼす影響〜広島県大崎上島町における長期介入研究〜」を発表いたしました。 2.商品開発についてポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営ビジョンにある「おいしい以上の価値」のもと開発活動を行いました。レモンでは、長年研究を重ねてきたレモン果汁摂取と血圧の関係の研究成果を活かし、基幹商品である「ポッカレモン100」瓶3品をおいしさや中身はそのままに『高めの血圧(収縮期血圧)を下げる』機能性表示食品としてリニューアルいたしました。また「キレートレモン」ブランドでは、ご好評いただいている「キレートレモンMUKUMI」のラインナップとして、スパウト付きパウチ入りゼリータイプの「キレートレモンMUKUMIゼリー」を開発、発売いたしました。そのほかキレートレモンに使用する瓶の軽量化を行い、環境への対応を強化いたしました。スープでは、カップ入りスープユーザーが求める「食事としての食べ応え」、「満足感」を追求し、当社独自のパン具材が従来の2倍量入った、食べ応え抜群でほどよくおなかを満たせる「じっくりコトコトこんがりパン 超盛」シリーズを開発、発売いたしました。飲料では、サッポログループの誇る資産であるホップを活かした他にはないほろにがな無糖炭酸水である「北海道富良野ホップ炭酸水」のリニューアルや、カフェインゼロの無糖茶でありながら素材由来の自然な甘香ばしさでご好評いただいている「北海道コーン茶」のデザインリニューアルと小型PET商品の開発、発売を行いました。また「ポッカコーヒー」ブランドは、ほどよい甘さや香りを活かした「ココロ癒されるコーヒー」としてシリーズ全体をリニューアルし、新たに「ポッカコーヒー ひとやすみプレッソ」「ポッカコーヒーアイス」を開発、発売いたしました。食品飲料事業の研究開発費の金額は9億円です。
FY2023|6,005 文字
6【研究開発活動】当グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを行い、お客様が求める価値を継続的に提供するとともに、新たなカテゴリや市場を開拓することを目指しています。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26億円です。 セグメント別の状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発についてサッポロビール社は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D企画推進部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約90名(うち約20名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。2023年6月に開催された米国のビール学会であるThe American Society of Brewing Chemists (ASBC)(※1)2023年度年次大会にて、ホップの香りに着目した加工方法、活用方法や、サステナビリティに貢献できる大麦育種に関する学会発表を合計4件、また、10月に開催されたMaster Brewers Association of the Americas (MBAA)(※2)の年次大会でも、ホップ産地の違いがホップやビールの香気成分・香味に及ぼす影響(ホップのテロワール)、ビールへのコリアンダーシードの活用、さらにはビールの口当たりの新たな評価方法に関する3件の発表を行いました。その発表の件数、テーマの広範さで、ビール研究分野では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。2023年4月、5月に限定発売された「サッポロ クラシック 春の薫り」、「サッポロ クラシック 夏の爽快」には本年のASBC年次大会で発表されたホップ加工技術のうち、サッポロビール社が独自開発した熟成ホップの技術(※3)が活用されました。これは、ホップを熟成(常温、長期間の保存)させた時に苦味成分が酸化で分解されて増える「分岐鎖脂肪酸(BCFA)」と言われる成分を隠し味として使うことで、香り付けに用いているホップの香りを強めることができるという技術です。また、米国を中心にクラフトビールが発展を遂げる中、米国醸造家の間で人気を博したサッポロビール社開発品種「ソラチエース」の香り成分に関する研究成果でも、食品化学分野で権威あるアメリカの学会誌に査読付き論文を発表しました(※4)。また、サッポロビール社が開発したLOXレス大麦品種(※5)「CDC PlatinumStar」「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等の同社商品で採用しております。また、豪州においても、新たに開発したLOXレス大麦品種の普及を計画しています。サステナビリティ視点の研究では、「短日製麦を可能にする大麦のパーリング(精麦)加工技術」について2023年3月に開催された日本農芸化学会2023年度大会(※6)で、「短日製麦の可能な大麦の育種」について上記の米国ビール学会ASBCにて2023年6月に発表しました。気候変動への対応策として、これらの研究成果も活用し、「気候変動に適応するための大麦・ホップの新品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指してまいります。これらの研究成果を商品技術開発に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案してまいります。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでまいります。「R&D企画推進部」では、経営・マーケティング・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくりや研究員のキャリアステージに合わせたきめ細かな研修の立案、実施などの人財育成活動等を行っております。また、サッポロビール社のR&D活動の全体像が一目でわかるコア技術マップを作成し、ホームページに掲載しました(※7)。これは研究方針策定や、ステークホルダーへの情報発信、採用活動等に寄与できるものと考えております。 ※1 The American Society of Brewing Chemists (ASBC)は、1934年に設立された米国におけるビール醸造化学分野の学会です。2023年の年次大会は6月4日~6日(会場:ペンシルヴァニア州ピッツバーグ)。The American Society of Brewing Chemistsホームページ:https://www.asbcnet.org/Pages/default.aspx※2 Master Brewers Association of the Americas (MBAA)は、1887年に設立された米国におけるビール醸造、製麦、関連技術に関わる総合的な学会です。2023年の年次大会は10月6日~8日(会場:ワシントン州シアトル)。Master Brewers Association of the Americasホームページ:https://www.mbaa.com/Pages/default.aspx※3 サッポロビールが独自開発した熟成ホップの技術を本年の「サッポロ クラシック 夏の爽快」に活用。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002302.000012361.html※4 掲載誌のJournal of Agricultural and Food Chemistryはアメリカ化学会(American Chemical Society)の発行する食品化学分野の学会誌(ソラチエース研究の掲載論文:https://doi.org/10.1021/acs.jafc.3c04740)。※5 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。※6 「日本農芸化学会」は、1924年に設立されたバイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される学術団体であり、国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの研究者によって構成・運営されている。2023年度大会は3月14日~17日(会場:広島市・広島大学・オンライン開催)。(公社)日本農芸化学会ホームページ:https://www.jsbba.or.jp/※7 サッポロビールのコア技術マップ。https://www.sapporoholdings.jp/research/topics/sb_core_technology/ 2.商品開発について酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってまいりました。「サッポロ生ビール黒ラベル」は、2023年12月製造分より順次リニューアルを実施しております。生ビールのおいしさを追求するべく、製造工程の改善を積み重ね「味や香りを鮮明に保つクリーミーな泡」に磨きをかけパッケージデザインと合わせてクオリティアップを行い、お客様の満足度向上に取り組みました。ヱビスブランドでは、これまでの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していく新ライン「ヱビス「CREATIVE BREW」をたちあげ、「ヱビス ニューオリジン」「ヱビス オランジェ」といった個性的な限定商品を展開、歴史を持つヱビスだからこそできる、ビールの多様なおいしさと楽しみ方を提案しました。「ヱビスビール」のホップと「サッポロ生ビール黒ラベル」の麦芽を一部使用し、サッポロビール社の技術と信念をつぎ込んだ「サッポロ GOLD STAR」(発泡酒②)は、2023年12月製造分より麦の味わいをアップさせ、さらに力強く飲み飽きないうまさに磨きをかけるリニューアルを実施しております。また2023年10月には日本初(※1)、糖質・プリン体70%オフの生ビール「サッポロ生ビール ナナマル」を発売するなど新たな取り組みも行ってまいりました。また、お客様との共創によるビールづくりを展開する「HOPPIN' GARAGE」は、定期的に新作ビールが届く会員制サービスを2021年4月に開始して以来、多くの魅力的な方々と当社の醸造技術を掛け合わせた共創を行い、個性豊かなビールを皆さまにお届けしてきました。本年はファッションビルなどでのPop-Upストアの展開を通じて、より多くの人に商品を手に取っていただく機会を設けるとともに、ECストアのリニューアルを行うことで、ストア会員数を倍増させ、売上も昨対比で114%まで成長しました。RTD(※2)では、主力ブランドである「濃いめのレモンサワー」「男梅サワー」のお客様支持が拡大しました。また、2023年新商品として発売した「ニッポンのシン・レモンサワー」「クラフトスパイスソーダ」が好調に推移し、RTD事業としては、3年連続最高売上の1,411万ケース(※3)を販売しました。酒類事業の研究開発費の金額は15億円です。 ※1 糖質・プリン体2つのオフを訴求する日本初のビール(Mintel GNPDを用いた当社調べ)※2 RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイ等のアルコール飲料※3 250ml×24本換算 [食品飲料事業]1.研究開発について「おいしさを探す」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社が、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、5年間にわたって地元自治体や大学と協働して進めました。同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。また、アルビレックス新潟のU-18の選手を対象として、レモンと牛乳の摂取が骨の健康維持に及ぼす影響についての食育活動の試験を進めました。日本食品科学工学会第70回大会で「レモン果汁摂取による唾液中のオキシトシンと心理状態への影響」「レモン果汁のマリネが牛肉の軟化およびin vitro胃消化性に及ぼす影響」および日本官能評価学会2023年大会で「レモンの嗜好性および心理的効果に関する研究」を発表しました。 2.商品開発についてポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営ビジョンにある「おいしい以上の価値」のもと開発活動を行いました。レモンでは、「キレートレモン」ブランドにて、「マスクを外した自分にも自信をもちたい」というニーズに着目し、レモン1個分の果汁(※1)、ビタミンC1,350mg、コラーゲン1,000mg、ヒアルロン酸10mgが入った“身だしなみケアドリンク”である「キレートレモンBECARE」と、レモンに含まれるクエン酸がカルシウムを溶けやすい形に変える「キレート作用」の研究を活かした商品として、1本で1日に不足しているカルシウムをおいしく補給できる、栄養機能食品「キレートレモンサプリカルシウム」を発売しました。また、株式会社ヤクルト本社との協業商品として、酸度が高く発酵させることが難しいレモン果汁を当社独自開発の製法で発酵させて作った「レモンビネガー」を用いた「発酵果実みかん&レモン」を数量限定で発売しました。スープでは、世の中の健康意識の高まりに応えたより健康感のあるスープをお届けするため、健康系オイルの中でも注目されているMCTオイル(中鎖脂肪酸油)が手軽に摂取できる「MCT SOUP完熟トマトポタージュ」「MCT SOUPほうれん草ポタージュ」を新発売しました。また、主力ブランド「じっくりコトコト」シリーズにおいては、フラッグシップとなる箱入りスープを8年ぶりにフルリニューアルしました。リニューアルでは、捨てられていた玉ねぎやキャベツの芯、規格外の人参など野菜の端材も一部活用した“特製野菜ブイヨン”や、特製野菜ブイヨンに真鯛の頭骨や中骨を加えた“特製野菜フィッシュブイヨン”を原料に採用し“素材のおいしさをまるごと楽しめる濃厚ポタージュ”として刷新しました。植物性食品では、「アーモンド・ブリーズ」ブランドにてアーモンドミルクをベースにオーツミルクやココナッツミルクをブレンドした無糖タイプで1日分のビタミンEや1食分のカルシウムが手軽に摂れる「アーモンドミルク&オーツミルク無糖 200ml」と「アーモンドミルク&ココナッツミルク無糖 200ml」を上市しました。また、エシカル消費を意識した岩手県産雑穀の3種(たかきび・はとむぎ・いなきび)をブレンドし、穀物の香ばしさを活かしながら、甘味料を使わずすっきりした甘さで飲みやすく仕上げた「雑穀ミルク~milletmilk~」を上市しました。飲料では、「ポッカコーヒー」ブランドより、深煎り豆を使用し、エスプレッソの香りが特徴でコーヒーのほろ苦さとコクをバランス良く仕上げた「ポッカコーヒーカフェラテ 260g ボトル缶」を発売しました。また茶の茎部分を使った棒茶を職人が伝統的な焙煎方法で仕上げた金沢発祥の「加賀棒ほうじ茶」から、環境負荷の軽減と、お客様のラベルを剥がす手間を削減することができる商品として、シュリンクラベルを巻かない「加賀棒ほうじ茶ラベルレス 525ml PET」を追加発売し、環境へのやさしさに配慮しました。神州一味噌社では主力ブランドである「み子ちゃん印」が発売60周年を迎え、3月よりデザインをリニューアルしました。今後とも更にお客様から愛されるブランドへと育ててまいります。即席みそ汁では「おいしいね‼ かにだし汁カップ」「おいしいね‼ 風味豊かなかにだし汁 3食」を9月より発売し、好調なスタートを切っております。フードロス削減に向けた取り組みとして2023年9月に生みそ・即席みそ汁合わせて9品の賞味期限延長を実施しました。今後も他商品での展開を継続してまいります。食品飲料事業の研究開発費の金額は10億円です。 ※1 レモン1個分=レモン果汁約30mlとして、1本当り1個分以上の果汁が含まれています。
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5【研究開発活動】 当グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを協働して行い、世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニーを目指します。また、サステナビリティ重点課題の解決に向けて設定した中長期目標の達成に取り組んでいます。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発について サッポロビール社は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D企画推進部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約80名(うち約20名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。 2022年8月に開催された2022年度日本味と匂学会第56回大会にて、サッポロビール社は日本味と匂学会(※1)から「ホップに由来する冷涼感寄与成分の探索:3成分の相互作用による新たな冷涼感形成メカニズムの発見」で「2022年度優秀発表賞」(※2)を受賞しました。近年、クラフトビールのブームに代表される多様なビールが求められる時代において、世界中で様々な香りのホップが育種、開発品種化されており、その中にはミントのような冷涼感をビールに与えることができる品種もあります。本発表は、このようなホップがメントール(※3)などの既知の冷涼感成分をほとんど含まず、単独の成分ではなく3つのホップの香り成分の相互作用によって冷涼感に寄与しているという新たなメカニズムを明らかにしたものです。同学会においてビール醸造技術をテーマとした発表の受賞は初めてであり、この受賞はビールの味わいの多様性につながる取り組みが評価されたものと考えています。 2022年4月、6月には「原料開発研究所」が育成し、2021年に品種登録したホップ品種「フラノマジカル」(商標名)の特長を活かした新商品「サッポロ クラシック 春の薫り」、「サッポロ セブンプレミアム上富良野大角さんのホップ畑から」がそれぞれ限定発売されました。「フラノマジカル」を含むホップの香り成分に着目した研究においても、2報の研究論文を発表しております(※4)。米国を中心にクラフトビールが発展を遂げる中、米国醸造家の間で人気を博したサッポロビール社開発品種「ソラチエース」やホップ香り成分の研究成果では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。 また、同研究所が開発したLOXレス大麦品種(※5)「CDC PlatinumStar」「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等のサッポロビール社商品で採用しております。また、豪州においても、新たに開発したLOXレス大麦品種の普及を計画しています。 サステナビリティ視点の研究では、「温暖化による降雨量増加への耐性とビールのおいしさを両立できる大麦の発見」について、2022年3月に開催された日本育種学会(※6)第141回講演会で発表しました。気候変動への対応策として、本研究成果も活用し、「気候変動に適応するための大麦・ホップ品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指してまいります。 これらの研究成果を商品開発技術に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案してまいります。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでまいります。 「R&D企画推進部」では、経営・商品開発・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり及びグループ内各社の研究開発を横断的に結合する活動を行っております。 ※1 「日本味と匂学会」は、1967年に始まった「味と匂のシンポジウム」を前身として、1991年に学会として設立された味と匂に関する科学の広汎な研究の進展を図ることを目的とする学会。国内の大学・研究所・企業・病院などに所属する多くの味覚・嗅覚研究者によって構成・運営されている。 日本味と匂学会ホームページ:http://jasts.com/※2 日本味と匂学会の年次大会でポスター発表された一般演題から内容の優れたものに授与される賞。※3 ミントの冷涼感のもととなっている成分。※4 「フラノマジカル」の特長的な香りに関する研究論文について。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001954.000012361.html※5 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。※6 「日本育種学会」は、1951年に設立された作物の育種に関する研究及び技術の進歩、研究者の交流と協力、および知識の普及をはかることを目的とする学会。国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの育種関連の研究者によって構成・運営されている。日本育種学会ホームページ:https://jsbreeding.jp/2.商品開発について 酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってまいりました。 「サッポロ生ビール黒ラベル」は“麦のうまみと爽快な後味の完璧なバランス”を目指し、「フレッシュキープ製法」「旨さ長持ち麦芽」「泡品質を向上させる継続的な取り組み」はそのままに、「生のうまさ」へのこだわりをより一層進化させたリニューアルを2022年2月製造分から実施するなど、お客様の満足度向上に取り組んでまいりました。 ヱビスブランドでは、2021年からの新コンセプト「Color Your Time!」のもと、「ヱビス プレミアムホワイト」「ヱビス プレミアムメルツェン」「ヱビス ホップテロワール」など個性的な限定商品も積極的に展開し、「ひとりひとりの彩りあるビール時間を創るブランド」としてヱビスならではの多様なビールの味わいをご提案してきました。 「サッポロ生ビール黒ラベル」の麦芽と「ヱビスビール」のホップを一部使用し、サッポロビール社の技術と信念をつぎ込んだ新ジャンル「サッポロ GOLD STAR」が、新ジャンルの市場が縮小傾向にある中、2年連続前年超えを果たしました。さらにお客様の新しいアルコールの選択肢として、アルコール度数0.7%の微アルコールビールテイスト飲料「サッポロ The DRAFTY」を2021年9月に発売し、新しい市場の創造にも挑戦しました。 また、お客様との共創によるビールづくりを展開する「HOPPIN' GARAGE」は、定期的に新作ビールが届く会員制サービスを2021年4月に開始して以来、多くの魅力的な方々と当社の醸造技術を掛け合わせた共創を行ない、個性豊かなビールを皆さまにお届けしてきました。ブランドの主力サービスである「ホッピンおじさんの新作定期便」の登録人数は約3,000名となり、一般購入も含めた売上数量は前年比約2.5倍まで成長しました。 RTD(※1)では「サッポロ 濃いめのレモンサワー」のお客様支持が拡大しました。またグレフルサワー専門ブランド「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」を発売するなど、RTD市場成長が鈍化する中、前年を超える当社史上最高1,219万ケース(※2)を販売しました。またRTS(※3)からは、レモンサワーの素に次ぐ濃いめブランドの新商品として「濃いめのグレフルサワーの素 500ml瓶」を発売し、好評をいただいています。 酒類事業の研究開発費の金額は15億円です。 ※1 RTD:Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料※2 250ml×24本換算※3 RTS:Ready to Serve の略。氷やソーダ等で割るだけで楽しめるお酒 [食品飲料事業]1.研究開発について 「おいしさを探す」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社が、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めています。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。また、アルビレックス新潟のU-18の選手を対象として、レモンと牛乳の摂取が骨の健康維持に及ぼす影響についての食育活動の試験を進めています。 さらに、レモン由来のモノグルコシルヘスペリジンの「むくみ」の改善効果を(一社)日本果汁協会主催の第63回果汁技術研究発表会にて発表を行い、本研究成果を具現化した機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」を発売しました。 2.商品開発について 食品飲料における商品開発については、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営ビジョン「おいしい以上の価値」のもと開発活動を行いました。 レモンでは、「キレートレモン」ブランドにて、レモン1個分の果汁(※1)、ビタミンC1,350mg、クエン酸1,350mgが入り、レモンの果皮から抽出されたレモン由来モノグルコシルヘスペリジンの働きで一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減することができる、機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」を上市し、多くのお客様からの支持を得て好調に推移しています。 スープでは、主力ブランド「じっくりコトコト」シリーズにおいて、従来の「冷製缶スープ」が野菜を補給したい時の食事の一品や、小腹がすいた時の間食としても利用されることが多いことから、より野菜を摂取したい気持ちや小腹を満たしたいシーンに寄り添う「やさいのじっくりコトコト」シリーズとしてリニューアルしました。また、カップ入りタイプでは、従来の「じっくりコトコトこんがりパン1食分の野菜」シリーズを、スープをサラダ感覚でお召しあがりいただけるよう「じっくりコトコトこんがりパン温サラダ」と名前を変更し、中身設計も見直しました。「温かいサラダ」をコンセプトに、刷新前と比べ、使用している野菜の種類を増やし、野菜の濃厚さと美味しさ・野菜の食感と素材がより感じられる味わいへと魅力を高めました。“ほうれん草チャウダー”“ミネストローネ”“オニオンチャウダー”の3種類のラインナップで、すべて「1食分の野菜」(※2)入りです。また、「おうちスープ」は、大容量タイプの袋入りスープとして、2021年に数量・期間限定で販売しましたが、2022年8月より、定番の「コーン」と「ポタージュ」の2種類で上市しました。 植物性食品では、豆乳ヨーグルト「SOYBIO」ブランドにて、植物性のプロテインである大豆プロテイン8g(※3)が入っており、乳酸菌やイソフラボンなどの成分と一緒に手軽にプロテインを摂ることができる「SOYBIO豆乳ヨーグルト SOYPROTEIN」を上市しました。また、シチリア産レモン果汁を使用したレモンソース(※4)で仕上げた爽やかなレモン味をおいしく楽しむことができる「ソヤファーム 豆乳で作ったヨーグルト シチリアレモン」を上市しました。 飲料では、コロナ禍においてテレワーク等の普及や、オフィス需要が減少するなかで、日本において紙製飲料容器「カートカン」からは初となる水「Green Pack Water」を新たに発売しました。また、“顔缶”の愛称で親しまれている「ポッカコーヒー」から、ブラジル最高等級豆である「ブラジルNo.2」を100%使用した、ほどよい苦みと芳醇なコクのプレミアムタイプ「ポッカコーヒープレミアム微糖」を新たに上市しました。 神州一味噌社は即席みそ汁主力ブランドの「おいしいね!!」において、2022年春からカップみそ汁フタ薄肉化および3食入り袋の材質構成見直しによりプラスチック原料を年間約6.7トン削減しました。 食品飲料事業の研究開発費の金額は11億円です。 ※1 レモン1個分は、レモン果汁約30mlとして1本当たり1個分以上の果汁が含まれています※2 1日の野菜摂取目標量は350g(厚生労働省「健康日本21(第2次)」より)。本品ではその1/3量を使用しています(生野菜換算、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)。加工した野菜と生野菜の栄養価は異なります。※3 大豆たんぱく質相当量(100g当たり)です。※4 レモンソース中にシチリア産ストレートレモン果汁を12%使用しております。
FY2021|4,783 文字
5【研究開発活動】 当グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを協働して行い、世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニーを目指します。また、サステナビリティ重点課題の解決に向けて設定した中長期目標の達成に取り組んでいます。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は24億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発について サッポロビール社は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D企画推進部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約90名(うち約20名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。 2021年3月18日の日本農芸化学会2021年度大会にて、サッポロビール社は(公社)日本農芸化学会から「ビール製造工程の微生物管理向上への一貫した取り組み」で「2021年度農芸化学技術賞(※1)」を受賞しました。この受賞は非熱処理の生ビールを安全・安心な状態でお客様のお手元までお届けするための、長年にわたるビール工場の微生物管理の精度を向上させてきた取り組み、具体的には「微生物のビール増殖性判定の簡便化」「ビール工場における微生物検出の迅速化」「管理対象微生物の拡充」に関する継続的、総合的な当社の実績が評価されたことによります。同学会におけるビール醸造技術テーマでの同賞受賞は、2000年、2015年、2018年に続き4回目となります(※2)。 2021年8月には「原料開発研究所」が育成した2品種のホップ、「フラノマジカル(商標名)」「フラノクイーン(商標名)」が国内で品種登録されました。米国を中心にクラフトビールが発展を遂げる中、米国醸造家の間で人気を博したサッポロビール社開発品種「ソラチエース」やホップ香り成分の研究成果では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。 また、同研究所が開発したLOXレス大麦品種(※3)「CDC PlatinumStar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等のサッポロビール社商品で採用しております。同じく多収量のLOXレス大麦品種「CDC Goldstar」も北米での本格的な普及を進めてまいります。 サステナビリティ視点の研究では、気候変動への対応策として、「気候変動に適応するための大麦・ホップ品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指してまいります。 これらの研究成果を商品開発技術に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案してまいります。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでまいります。 「R&D企画推進部」では、経営・商品開発・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり及びグループ内各社の研究開発を横断的に結合する活動を行っております。 ※1 1968年から設置された歴史ある賞。農芸化学分野において注目すべき技術的業績をあげた会員に授与される 極めて権威ある賞。(公社)日本農芸化学会ホームページ:https://www.jsbba.or.jp/※2 過去3回の当社受賞テーマは以下のとおり。 2000年 抗酸化製造法の展開-ビール品質劣化の理論的解明からその応用まで 2015年 ビール泡品質向上への一貫した取り組み 2018年 ホップ品質の多角的な解析とその応用※3 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦 2.商品開発について 酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってまいりました。 2021年、ビールテイストでは「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶商品が7年連続売上アップを、またヱビスブランドの缶商品が前年超えを実現する等、既存ビールブランドで着実な成長を果たしました。 「サッポロ生ビール黒ラベル」は“麦のうまみと爽快な後味の完璧なバランス”を目指し、「フレッシュキープ製法」「旨さ長持ち麦芽」「泡品質を向上させる継続的な取り組み」はそのままに、「生のうまさ」へのこだわりをより一層進化させ、2022年2月製造分より順次リニューアル発売をしております。 ヱビスブランドでは、2021年からの新コンセプト「Color Your Time」のもと、通年発売アイテムである「ヱビスビール」「ヱビス プレミアムブラック」「ヱビス プレミアムエール」をリニューアル発売、また多彩な個性を持つ限定商品も積極的に展開し、「ひとりひとりの彩りあるビール時間を創るブランド」としてヱビスならではの多様なビールの味わいをご提案してきました。 「サッポロ生ビール黒ラベル」の麦芽と「ヱビスビール」のホップを一部使用し、サッポロビール社の技術と信念をつぎ込んだ新ジャンル「サッポロ GOLD STAR」が、新ジャンルの市場が縮小傾向にある中、2年連続前年超えを果たしました。さらにお客様の新しいアルコールの選択肢として、アルコール度数0.7%の微アルコールビールテイスト飲料「サッポロ The DRAFTY」を発売し、新しい市場創造にも挑戦しました。 また、お客様との共創によるビールづくりを展開する「HOPPIN' GARAGE」が新たなステージに入りました。フラッグシップビール「ホッピンおじさんのビール」の通年発売や、定期的に新作ビールが届く会員制サービスがスタートしました。この新しいビールの楽しみ方をより多くのお客様にお届けするため、魅力的な人々の人生ストーリーと当社の醸造技術を掛け合わせてビールを生み出す製法を「ストーリーブリューイング」と名付け、新たな展開を開始しました。 RTD(※1)では「サッポロ 濃いめのレモンサワー」「サッポロ 男梅サワー」がお客様の支持を拡大させ、RTDカテゴリー合計では当社史上最高の 1,186万ケース(※2)を達成しました。「濃いめのレモンサワー」についてはRTS(※3)商品として500ml瓶に加えて1.8Lの大容量商品を発売し、ご家庭でもお店でもお楽しみいただけるようになりました。 酒類事業の研究開発費の金額は13億円です。 ※1 RTD:Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料※2 250ml×24本換算※3 RTS:Ready to Serve の略。氷やソーダ等で割るだけで楽しめるお酒 [食品飲料事業]1.研究開発について 「おいしさを探す」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社が、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めており、日本食品科学工学会第68回大会にて、成長期の児童におけるレモンとカルシウムの継続摂取が骨密度の増加に及ぼす影響について発表をいたしました。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。 また、アルビレックス新潟のU-18の選手を対象として、レモンと牛乳の摂取が骨の健康維持に及ぼす影響についての食育活動の試験を開始しました。さらに、豆乳ヨーグルトの価値向上として豆乳ヨーグルト(SOYBIO)に含まれる菌体外多糖(とろみ成分)は、乳のヨーグルトに比べ高い免疫活性があることを日本農芸化学会2021年度大会にて発表し、豆乳の日である10月12日に発表、プレスリリースを行い豆乳ヨーグルトの価値向上に貢献しました。 2.商品開発について 食品飲料における商品開発については、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営ビジョン「新しい「おいしい」を次々と生み出し続ける」のもと開発活動を行ってまいりました。 インスタントスープでは、主力ブランド「じっくりコトコト」シリーズにおいて、素材本来のおいしさを引き立てるため新たに「野菜ブイヨン」を独自開発し、特製クリームでクリーミーなポタージュに仕上げた“やさいがおいしいシリーズ”を上市しました。また、カップ入りタイプでは、減圧して低温でフライする「バキュームフライ」の技術により、風味を残し、そのままでもおいしく食べられる、北海道産じゃがいもの“フライドポテト具材”と“北海道産コーン具材”を使用した「北海道ららポテト」シリーズを展開しました。また、新たに採用したレンジ対応カップ容器と当社が培ってきた配合技術により、豆腐と水を入れてレンジで3分加熱するだけで、最適なとろみがつき、調理したての惣菜1品ができあがる「カップdeクッキング」シリーズを上市しました。 レモンでは、レモン1個分の果汁(※1)、クエン酸2,200mg、1日分のビタミンC(※2)、カルシウム350mgが入った、レモンのさわやかな酸味を味わいながら、カルシウムを日々の生活でおいしく補給することができる特定保健用食品「キレートレモン プラスカルシウムサプライ350mlPET」を上市しました。また、香り高いイタリア産のレモン果汁と、レモンペースト(果皮・果肉)(※3)が入り、1本で水や炭酸で割るだけで、自宅で手軽に自分好みにアレンジしたレモネードを約10杯分(※4)作ることができる希釈飲料「LEMONMADEレモネードベース350mlPET」を上市しました。 植物性食品では、「Plant Milkの魅力」を「発酵」で高め、自分らしくイキイキとした毎日を送りたいと思っている女性とその家族の健康と美容に貢献する新ブランド「GreenBio」を立ち上げ、健康意識が高いお客様のご期待に応える無糖タイプのヨーグルト「GreenBioアーモンドミルクヨーグルトプレーン無糖350gカップ」を上市しました。 飲料では、生産者と一緒に作った「TOCHIとCRAFT」シリーズからいろいろな飲み物と割ることができ、本格的なメニューアレンジができる希釈飲料「クラフトベース加賀棒ほうじ茶500mlPET」「クラフトベース熊本玉露入りお茶500mlPET」を上市しました。 神州一味噌社は生みその主力商品の一つである、「だし入りみ子ちゃん白850g」について、2021年春より環境にも配慮し、製品を構成する資材であるトップシールのプラスチック原料を、紙を主原料としたトップシールへ変更することにより、プラスチック原料を重量比47%(1.13t/年)削減いたしました。 食品飲料事業の研究開発費の金額は11億円です。 ※1 レモン1個分は、レモン果汁約30mlとして1本当たり1個分以上の果汁が含まれています※2 「栄養素等表示基準値」を目安に、1日分以上のビタミンCが含まれています※3 レモンペースト(果皮・果肉)はイタリア産ではありません※4 コップ1杯150ml換算です※5 スパイスは香辛料抽出物を使用しております
FY2020|3,824 文字
5【研究開発活動】 2020年3月、当社は、上場維持機能及び経営資源配分、事業支援機能に特化し、各事業会社がバリューチェーン全てを担い機動力を発揮できるシンプルでコンパクトな事業軸主体の組織構造へ再編する方針の下、R&D本部の「研究戦略推進部」「技術知財戦略部」「価値創造フロンティア研究所」「おいしさ技術研究所」をサッポロビール社、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社に移管いたしました。「食のメーカー」としての成長加速に引き続き貢献してまいります。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.研究開発について 2020年3月の組織改訂により、サッポロビール社生産技術本部内に同社「酒類研究所」と当社「価値創造フロンティア研究所」を統合し「価値創造フロンティア研究所」が、あわせて「R&D企画推進部」「情報科学研究室」が新設されました。また同社「バイオ研究開発部」は「原料開発研究所」に組織名が改称されました。 「原料開発研究所」が開発したLOXレス大麦(※)「CDC PlatinumStar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等のサッポロビール社商品に採用されております。 2020年には、多収量の農業特性を持つLOXレス大麦品種をオーストラリアで新たに品種登録出願をいたしました。カナダでは2021年から同じく多収量のLOXレス品種「CDC Goldstar」の本格的な普及を目指してまいります。 さらに、新たな製麦方法でビールの風味を劣化させる成分(脂質酸化酵素)を抑制した「新・旨さ長持ち麦芽」を開発し、「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」に一部使用されております。 ホップでは、同所が開発した品種「ふらのほのか」及び「リトルスター」が複数のサッポロビール社商品に採用されております。「SORACHI1984」に用いられている品種「ソラチエース」は生まれ故郷の北海道上富良野町で商業生産が開始されました。鮮烈なマンゴーの香りが特徴の「フラノマジカル」は、サッポロビール社育成のホップ品種として初めてEUで品種登録をいたしました。 米クラフトビール発展の起点となったサッポロビール社開発品種「ソラチエース」や新品種のホップ香り成分の研究成果では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。 また、国産ブドウ調達への技術支援にも取り組み、ホップ培養苗作出技術を応用してブドウ苗木の大量生産を可能とする技術の開発も進めております。 その他、気候変動への対応策として、2030年までに「気候変動に対応可能な特性を持つ大麦・ホップを開発する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指してまいります。 ビールは原料や醸造に由来する成分により、複雑な香りが形成されており、いまだ解明されていない点が多数残されている中、高田香料㈱との共同研究で「醸造工程中に失われる香りからビールらしさに寄与する香気成分」を見出し、日本農芸化学会2020年度大会において「2020年度大会トピックス演題」に選定されております。 また、ビールを長期間低温熟成することにより付与される熟成香に寄与する成分群を特定することに成功し、日本農芸化学会2020年度大会で発表するとともに「ヱビス 超長期熟成 7年目の刻」のおいしさの解明につなげております。 本格麦焼酎「和ら麦」の特徴的なフルーティーな香りに着目し、その香りに「4-Ethylguaiacol」という成分が大きく寄与していることを突き止めました。ミントを副原料に使用したビール開発では、ミント由来の成分が発酵工程において特徴的な香気成分に変化することを解明いたしました。 これらの研究成果を商品開発技術に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案してまいります。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでまいります。 「情報科学研究室」では、生産・マーケティング・物流等さまざまな部署と協働して、データ解析による社会課題の解決を目指し取り組んでおります。 「R&D企画推進部」では、経営・商品開発・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり及びグループ内各社の研究開発を横断的に結合する活動を行っております。 ※ ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦 2.商品開発について 酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の新たな経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってまいりました。 ビールテイストでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」の麦芽と「ヱビスビール」のホップを一部使用し、サッポロビール社の技術と信念をつぎ込んだ新ジャンル「サッポロ GOLD STAR」を通年新商品として2月に発売いたしました。「家飲み」の拡大による需要増も追い風となり、多くのお客様のご支持をいただいた結果、年間販売計画を大きく超える実績を残すことができました。 また5月にはサッポロビール社が育種、品種登録した「奇跡の麦」と称される大麦「きたのほし」の麦芽を使用したビール「サッポロ 北海道 奇跡の麦 きたのほし」を限定発売いたしました。 ビールテイスト飲料では、機能性表示食品のノンアルコールビールテイスト飲料である「サッポロ うまみ搾り」を6月に発売いたしました。この商品は尿酸値を下げる素材「アンセリン」を350ml当たり50㎎配合し、アルコール度数0.00%、プリン体0(※1)も実現した「世界で初めて(※2)アンセリンで尿酸値を下げる機能を持ったノンアルコールビールテイスト飲料」です。 基軸ブランドについては缶商品が6年連続売上アップを果たした「サッポロ生ビール黒ラベル」のおいしさの決め手の一つである、サッポロビール社独自開発の「旨さ長持ち麦芽」を100%使用した限定商品「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」を3月に、「同 エクストラモルト」を11月にそれぞれ発売いたしました。 RTDについては、2018年の発売以来ご支持をいただいている「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」やレモンにこだわったレモンサワー「サッポロ レモン・ザ・リッチ」をはじめとするブランドでリニューアルや限定商品の発売等を行いました。 特に「サッポロ 男梅サワー」についてはハイボールタイプの「男梅ハイボール」やレモンエキス等を使用した「男梅サワー 追いレモン」といった限定商品の発売も追い風となり、大きく実績を伸ばしたほか、自分の好みに合わせて楽しめるRTSカテゴリーでも「男梅サワーの素」を発売する等、ブランドを強化してまいりました。 酒類事業の研究開発費の金額は13億円です。 ※1 100ml当たりプリン体0.5mg未満※2 尿酸値低減を訴求するノンアルコールビールテイスト飲料において(サッポロビール社調べ2020年2月) [食品飲料事業] 「食品飲料」分野においては、「おいしさを探す」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社が、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めており、2021年には一部の成果の発表を予定しております。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。さらに、豆乳ヨーグルトの価値向上として豆乳ヨーグルトを摂取した時の効果として腸内菌叢の改善と機能性成分(エクオール)の増加を見出し、2020年5月の第74回日本栄養・食糧学会にて発表しました。 また、「食品」分野の領域拡大を実現するにあたり「おいしさをつくる」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社では、独自開発した柔らかい鶏ムネ肉具材がゴロっと入った、食べ応えがあり、食事の中で鶏ムネ肉由来のタンパク質をおいしく補給できるON系カップ入りスープ(※)「きちんとチキン」シリーズを、新たな食のスタイルに対応すべく、仕事や勉強の最中等一日3食以外に食べる“スナッキングフード”として、粉末にお湯を注いで練って食べる、味がしっかり濃いめのカップ入り軽食ポテト「じゃがネル」シリーズを上市しました。 神州一味噌社は主力商品のひとつである、即席みそ汁のお徳用(12食・20食)のリニューアルを2020年夏に行いました。調味みその出汁感を高めた他、環境にも配慮し、内容物をセットするための内包プラスチックトレイを廃止することで、プラスチック使用量を、リニューアル前後の重量比で約30%削減いたしました。 食品飲料事業の研究開発費の金額は11億円です。 ※ 特定の栄養成分を強化したスープ
FY2019|4,068 文字
5【研究開発活動】 グループ横断型研究開発体制「サッポロイノベーションラボ」ではグループR&Dの研究領域として、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさをつくる」、「おいしさを保証する」の4つを設定しており、「長期経営ビジョンSPEED150」に示された「異次元のスピード」を研究開発分野でも具体化するため、グループ内外を問わずに企業、大学、研究機関等との協働(オープンイノベーション)を進めております。 サッポログループではかねてよりビール原料である大麦に由来する「SBL88乳酸菌」の機能性研究を重ねてきました。中でも起床時の疲労感や眠気を軽減する睡眠の質改善機能について、大規模ヒト臨床試験でその効果を確認しました。2019年2月に新設したサッポロウエルネスラボ社にて本研究成果の商品化を進め、7月に機能性表示食品として消費者庁により受理され、商品名「スイッチ乳酸菌」にて2020年の上市を予定しております。 グループ基盤研究の中心である価値創造フロンティア研究所とおいしさ技術研究所では、研究領域に沿って次の研究を進めております。 「お客様を知る」感性・情報科学研究では、お客様の価値観や食習慣、嗜好を綿密に調査し、データを解析することによって、新商品の企画、中味開発に役立つ知見を提供しました。また、最先端のAI(人工知能)技術を活用し、いくつかの質問に答えるだけで、お客様個々の嗜好に合った商品を推奨するシステムを開発しました。 「おいしさを探す」素材・機能研究では、大麦、ホップ、レモン、大豆、乳酸菌等の素材の健康機能についての研究開発を行っております。「ポッカレモン100」からのクエン酸摂取による骨密度増加についての研究成果を発表し、レモンの健康機能に関する認知度を高めてきました。 「おいしさをつくる」発酵・微生物研究では、創業以来酒類の研究開発で培ってきたサッポログループのコア技術のひとつである「発酵」をさらに深化させて、酒類のほか食品・飲料の価値創造を目指しております。素材開発・加工技術開発・おいしさ分析研究では、レモン、大豆等が本来持つ良さを引き出した新素材の開発や、安全・安心でおいしい食品を製造できる加工技術の開発、様々な「酒」「食」「飲」のおいしさを機器分析等によって明らかにする研究開発を進めており、「豆乳ヨーグルト」、「和ら麦」のおいしさの見える化についての学会発表を行い、商品価値向上に寄与しております。 「おいしさを保証する」品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでおります。 これらの基盤研究に基づき、以下の各セグメントの研究開発を進め、「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョン、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現すべく、サッポログループは挑戦を続けて参ります。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は30億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [酒類事業]1.商品開発について 酒類の商品開発については、お客様の生活、嗜好の変化や、今後予定される酒税改定等の環境変化を見据え、新たな価値創造に取り組んできました。 ビールテイストでは、通年新商品として、2月に120年以上の歴史を誇る「ヱビス」ブランドから、「濃密な香り、コク、余韻」が特長の本格的なエールタイプのビールである「ヱビス プレミアムエール」を、4月には好調な新ジャンル市場に向けて高発酵・強炭酸を実現した「本格辛口」、並びに当社が開発登録した世界に誇れるホップである「ソラチエース」を使用した「SORACHI 1984」をそれぞれ発売しました。 基軸ブランドでは、3月に「サッポロ生ビール黒ラベル」をリニューアル発売しました。サッポロビール社ではビールの「泡の色」を測定する方法を開発、「鮮度が良いビールの泡はより白く美しい」ことを解明(※1)しましたが、原料・製法・品質管理への徹底した取り組みに加え、製造方法をさらに工夫し、その測定技術を活用することで、より「白く美しい泡」を実現しました。また8月には「麦とホップ」のリニューアルを実施しました。麦とホップだけ(※2)でつくる素材への徹底したこだわりや長期熟成に加え、当社の新ジャンルで初めてビールの伝統的な仕込方法である1回煮沸法(※3)を採用し、飲み飽きないビールらしいうまさを実現しました。 2020年に向けては、当社の2大ブランドである「サッポロ生ビール黒ラベル」と「ヱビスビール」に採用している麦芽とホップを一部使用し、「力強く、飲み飽きない旨さ」を実現した新ジャンル商品「サッポロ GOLD STAR(ゴールドスター)」を開発しました。 伸長の続くRTD市場では、外食市場でのレモンサワーの伸長等に着目し、レモンにこだわったレモンサワーとして、グループ企業であるポッカサッポロフード&ビバレッジ(株)が開発したレモン果汁を使用した「レモン・ザ・リッチ」を4月に発売しました。また既存ブランドについては、2018年の発売以来ご支持をいただいている「サッポロ チューハイ99.99〈フォーナイン〉」の積極的なフレーバー展開を行い、計画を上回る販売実績を達成しました。 またご家庭で好みの濃さ、飲み方で楽しめるRTSカテゴリーでは、「濃いめのレモンサワーの素」を10月に発売し、好調に推移しております。 ワインについては、2020年に向けて100mlあたり175mgのポリフェノールを含み、更に乳酸菌が入った「ポリフェノールでおいしさアップの赤ワイン〈乳酸菌プラス〉」を開発しました。 ※1 Brewing Summit(ブリューイングサミット:2018年8月12日~15日・米国サンディエゴ)にて報告※2 麦芽、大麦、大麦スピリッツを使用した麦100%の商品※3 仕込釜において、煮沸を1度行うことで麦のうまみを引き出す、ビールで用いられる伝統的な仕込方法 2.研究開発について 「酒」分野の研究開発を担うサッポロビール社酒類技術研究所では、「おいしさをつくる」と「おいしさを保証する」の一環として、ビールの泡の色の定量化に世界で初めて成功し、ビール品質との相関関係を明らかにしてきました。R&D部門で連携し、米クラフトビール発展の起点となった自社開発品種「ソラチエース」や新品種のホップ香り成分の研究成果で世界をリードし、国際的なビール学会でも好評価を得ております。酒類原料に含まれるアントシアニンが、醸造工程で生成するジアセチル濃度に影響を与えることを明らかにしました。他にも、芋焼酎の製造方法では、外部機関とも協働して、もろみを最適な条件で焦がすことで(焦がしもろみ製法)新たな風味を造り出す等、ビールテイスト以外でも様々な研究開発を進めております。 同じくバイオ研究開発部では、酒類の「おいしさをつくる」大麦・ホップの育種・開発を行っております。同部が開発したLOXレス大麦は、カナダ、オーストラリア、欧州及び北海道で品種開発が進められており、カナダ産の「CDC PlatinumStar」が「サッポロ生ビール黒ラベル」に「旨さ長持ち麦芽」として使われております。国産初のLOXレス大麦「きたのほし」(商標名)は、北海道産ビール大麦の主力品種として大規模生産されており、「サッポロ生ビール黒ラベルエクストラブリュー」にも採用となりました。また、2019年9月には、国内で札育5号を新たに品種登録出願しました。 一方、クラフトビールの伸長で注目されるホップでは、新品種の開発と生産が進んでおります。鮮烈なマンゴー香が特徴の「フラノマジカル」が北海道の契約生産者圃場で初めて収穫されたほか、2018年に品種登録申請した柑橘香が特徴的な次世代新品種「フラノクイーン」の試験圃場での生産も開始しました。同部が開発した「ソラチエース」「フラノブラン」「フラノローザ」等も「フラノマジカル」とともに、「SORACHI 1984」をはじめとする当社クラフト商品としてお客様に提供されております。また、国産ブドウ調達への技術支援にも取り組んでおり、ホップでウイルスフリー試験管苗を培養増殖する方法を応用して、ブドウ苗木の大量生産を可能とする技術の開発も進めております。 酒類事業の研究開発費の金額は12億円です。 [食品飲料事業] 「食品飲料」分野においては、「おいしさを探す」一環として、当社とポッカサッポロフード&ビバレッジ社が協働し、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めており、2020年には一部の成果の発表を予定しております。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。 また、「食品」分野の拡大加速のため、「おいしさをつくる」例として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社では「発酵」により豆乳に含まれるイソフラボンを吸収しやすく変化させ、群馬工場での大型豆乳ヨーグルトやストロー付き豆乳ヨーグルト(ドリンクタイプ)の上市に結び付けました。 一方、神州一味噌社からは2019年の新商品として、「パパッと味噌パウダー」を開発・発売しました。これは、だし入り味噌をそのままフリーズドライパウダー状にし、おみそ汁はもちろん、振りかけるだけで、べたつくことなく簡単に料理になじみ、これ1本で様々な料理の味がおいしくまとまる新しいタイプの味噌となっております。 食品飲料事業の研究開発費の金額は9億円です。
FY2018|3,539 文字
5【研究開発活動】 グループ横断型研究開発体制「サッポロイノベーションラボ」ではグループR&Dのコア技術として、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさを造る」、「おいしさを保証する」の4つを設定しております。「長期経営ビジョンSPEED150」に示された「異次元のスピード」を研究開発分野でも具体化するため、グループ内外を問わずに企業、大学、研究機関等との協働を進めております。 この研究開発体制の下、「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョン、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現するため、サッポログループは挑戦を続けて参ります。 グループ基盤研究の中心である価値創造フロンティア研究所では、コア技術に基づき次の研究を進めております。 「お客様を知る」感性・情報科学研究では、お客様の嗜好を綿密に調査し、データを解析することによって、新商品の企画、中味開発、パッケージ選定に役立つ知見を提供しました。また、最先端のAI(人工知能)技術を活用し、いくつかの質問に答えるだけで、お客様個々の嗜好に合った商品を推奨するシステムを開発中です。さらには、工場熟練者の視線の動きを分析し、技術の見える化と伝承に関する研究に取り組んでおります。 「おいしさを探す」素材・機能研究では、大麦、ホップ、レモン、大豆、乳酸菌等の素材の健康機能についての研究開発を行っております。レモンからのクエン酸摂取による骨密度増加についての研究成果を発表し、レモンの健康機能に関する認知度を高めてきました。また、腸内細菌研究では、これまで着目されてこなかった斬新な発想での腸管ラジカル研究成果に対して2018年11月に日本食品免疫学会からポスター賞を授与されました。 「おいしさを造る」発酵・微生物研究では、創業以来酒類の研究開発で培ってきたサッポログループのコア技術のひとつである「発酵」をさらに深化させ、酒類のほか食品・飲料の価値創造を目的に研究開発を進めております。また、グループ独自の「SBL88®乳酸菌」についても、睡眠の質の改善作用を明らかにしました。 「おいしさを保証する」品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでおります。おいしさ技術研究所では、「おいしさを造る」のコア技術を深化、発展させることを目的に、レモン、大豆等が本来持つ良さを引き出した素材の開発や、安全・安心でおいしい食品を製造できる加工技術の開発、様々な「酒」「食」「飲」のおいしさを機器分析等によって明らかにする取組みを進めております。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は29億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [国内酒類事業]1.商品開発について 酒類の商品開発については、変化をチャンスと捉え、現状の殻を破って「突き抜ける」存在となるべく、新たな価値創造に取り組んできました。 ビールテイスト酒類の商品開発については、変化をチャンスと捉え、現状の殻を破って「突き抜ける」存在となるべく、新たな価値創造に取り組んできました。 ビールテイストでは、通年新商品を上半期に3商品<①糖質、プリン体、人工甘味料の3つのゼロに加え、低カロリーNo.1(※1)を実現した機能系商品「極ZERO 爽快ゼロ」、②ノンアルユーザーの不満を「香りの良さ」で解決する自然な美味しさのノンアル「麦のくつろぎ」、③新ジャンル史上初(※2)アルコール9%「LEVEL9 贅沢ストロング」>を発売しました。基軸ブランドでは、3月に「麦とホップ The gold」を「麦とホップ」としてリニューアルを実施しました。発売以来こだわり続けた麦原料100%とホップだけでつくる品質に更にこだわり、一口目の満足感と後味の良さを追求しました。2019年発売商品として、ヱビスブランドから、新たなお客様の獲得を目指し、上面発酵による「濃密な香り、コク、余韻」が特長の「ヱビス プレミアムエール」を開発、新ジャンルでも、高発酵・強炭酸を実現した「サッポロ 本格辛口」を新ジャンル本格競争に向け準備、また、Innovative Brewerブランドより、当社開発登録ホップであり、世界に誇れる「ソラチエース」を100%使用したエールビール「SORACHI 1984」を開発しました。 伸長するRTD市場に対しては、8月に「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」を発売しました。本商品は、純度99.99%の高純度ウォッカ(※3)を使用した透明感のあるクリアな味わいで、飲み飽きないスムースな飲み口が特長の本格チューハイです。販売は好調に推移し、年間で239万ケース(250ml×24本換算)を達成し、販売目標の200万ケースを大きく上回りました。基軸ブランドの「男梅サワー」においては、10月にしょっぱい旨さをさらに進化させたリニューアルを行い、7月には「辛口男梅サワー」を限定発売しました。また、南日本酪農協同(株)とのコラボレーション商品「愛のスコールサワー」では、積極的なフレーバー展開を図ることで、販売数量は前年比204%と大きく伸長しました。「キレートレモンサワー」では、ヒアルロン酸やマルチビタミンなど、新たな機能価値を有する商品を発売することで、キレートサワーブランドの魅力を高めました。ワイン市場には、ポリフェノールを175mg/100ml含み、オークチップによる豊かで深みのある香りが特長の「ポリフェノールでおいしさアップの薫る赤ワイン」を限定発売しました。 ※1 国産大手メーカーより発売されている糖質0の商品において(当社調べ2017年10月現在)18kcal/100ml当たり※2 日本国内で発売されているビールテイストの「リキュール(発泡性)①」または「その他の醸造酒(発泡性)①」において。当社調べ2018年1月現在。※3 エタノール以外の有機物割合が0.01%未満のウォッカを純度99.99%と当社として規定 2.研究開発について 「酒」分野の研究開発を担う、サッポロビール社酒類技術研究所では、「おいしさを造る」と「おいしさを保証する」の一環として、ビールの泡の色の定量化に世界で初めて成功し、泡の白さとビールの液色との相関関係、さらには麦芽の種類やビールの鮮度によって泡の色が変化することを明らかにしました。 同じくバイオ研究開発部では、酒類の「おいしさを造る」大麦・ホップの育種・開発を行っており、同部が開発した旨さ長持ち麦芽の原料であるLOXレス大麦は、カナダ、オーストラリア、欧州及び北海道で商業栽培され、2018年8月には、カナダのサスカチュワン大学と共同で開発したCDC Goldstarが新たに品種登録されました。国産初のLOXレス品種「札育2号」は、北海道産ビール大麦の主力として生産量を拡大しております。一方、クラフトビールの伸長で注目されるホップでは、開発した新品種「フラノマジカル」の商業栽培が北海道で開始され、2018年9月には柑橘果実様の特有香を持つ「フラノ1501U号」を品種登録出願する等、ユニークな原料開発を行っております。 これまでの「ホップの栽培安定化へのグローバルな貢献」、「優良ホップ品種の継続的な育種開発」、「ホップ特有の成分に関する多角的解析」の3点からなる『ホップ品質の多角的な解析とその応用』に関する研究成果については、育種・栽培技術から商品開発までの一気通貫した取組みとして評価され、2018年度日本農芸化学会技術賞を受賞いたしました。 国内酒類事業の研究開発費の金額は12億円です。 [食品・飲料事業] 「食」・「飲」分野においては、「おいしさを探す」一環として、当社とポッカサッポロフード&ビバレッジ社が協働し、レモンの摂取による健康状態への効果を長期にわたって調査する観察研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて地元自治体や大学と協働して進めております。また、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、IoTを活用したレモン栽培の研究を開始しました。 さらに「食」分野の拡大加速のため、「おいしさを造る」例として、大豆と「発酵」技術の組合せによる「とろ~りまろやか」食感の実現や、「発酵」により豆乳に含まれるイソフラボンを吸収しやすく変化させ、「SOYBIO(ソイビオ)豆乳ヨーグルト」の開発に結び付けました。 食品・飲料事業の研究開発費の金額は10億円です。
FY2017|5,595 文字
6【研究開発活動】 平成29年3月、グループ横断型研究開発「サッポロイノベーションラボ」の取組の中で、食品加工技術、素材技術開発、おいしさ開発を強化するため、新たに「おいしさ技術研究所」を神奈川県横浜市に設立しました。 グループR&Dのコア技術としては、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさを造る」、「おいしさを保証する」の4つを設定しています。「長期経営ビジョンSPEED150」に示された「異次元のスピード」を研究開発分野でも具体化するため、グループ内外を問わずに企業、大学、研究機関等との協働を進めています。 「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョンを実現すべく、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現するため、この新たな研究開発体制の下、サッポログループは挑戦を続けてまいります。 新設のおいしさ技術研究所では、「おいしさを造る」の研究の一例として、最新鋭のプロトン移動反応質量分析計(PTR-MS)を導入し、ビールを飲み込んだ後に広がるレトロネーザルアロマ(口腔内から鼻腔に抜ける香り)を高感度かつリアルタイムに計測することに成功し、日本食品科学工学会第64回大会において発表しました。ほかにも、レモン、大豆等が持つ良さを活用した素材の開発や、安全・安心でおいしい食品を製造できる加工技術の開発、様々な食品のおいしさを機器分析によって明らかにする取り組みを進めています。 グループ基盤研究の中心である価値創造フロンティア研究所では、4つのコア技術に基づく次の研究を進めています。 「お客様を知る」感性・情報科学研究では、販売データから自販機の売れ筋を予測する研究や、視線の動きを分析し、新商品デザインの評価に活用する研究など、消費者の購買行動を明らかにする研究に取り組んでいます。また、レモン飲料に対する消費者個々の嗜好性の違いについて詳細に調査した研究では、電子情報通信学会の平成29年度ヒューマンコミュニケーション賞を受賞しました。 「おいしさを探す」素材・機能研究では、大麦、ホップ、レモン、大豆、乳酸菌などの素材の健康機能についての研究開発を行っています。ビールの原料であるホップに尿酸値を低下させる機能、アルコール代謝を促進する機能を新たに発見し、前者を平成29年7月の第12回トランスポーター研究会で発表し優秀発表賞を受賞、後者を平成29年8月の日本食品科学工学会第64回大会で発表しました。さらに、ユニークな機能を有する「SBL88®乳酸菌」などの長年の研究成果に対して平成29年11月、日本食品免疫学会から食品免疫産業賞を授与されました。 「おいしさを造る」発酵・微生物制御研究では、創業以来酒類の研究開発で培ってきたサッポログループのコア技術のひとつである「発酵」をさらに深化させ、酒類のほか食品・飲料の価値創造を目的に研究開発を進めています。「SBL88®乳酸菌」についても、さらに使いやすい素材とする研究に取り組んでいます。 「おいしさを保証する」品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでいます。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は27億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [国内酒類事業]1.商品開発について 酒類の商品開発については、変化をチャンスと捉え、現状の殻を破って「突き抜ける」存在となるべく、新たな価値創造に取り組んできました。 ビールテイストでは、3月にはヱビスビール初の上面酵母を使用したホワイトビール「ヱビス 華みやび」を発売しました。また、9月には、ロイヤルリーフホップを100%使用し、特別なボトルで提供する「ヱビス マイスター ザ・ロイヤルリーフ」を限定発売し、新たなお客様の支持を獲得できました。好調の黒ラベルからは、旨さ長持ち麦芽を高温で丁寧に焙燥した黒麦芽を使用した「サッポロ生ビール黒ラベル<黒>」を10月に発売しました。「麦とホップ」では、キャンペーン商品として無濾過ビールの「麦とホップ にごり」を開発するなど、ブランド価値向上に取り組みました。また、糖質、プリン体、人工甘味料の3つのゼロに加え、低カロリーNo.1※を実現した機能系新商品「極ZERO爽快ゼロ」を開発しました。 伸長するRTD市場に対しては、基軸ブランドの「男梅サワー」において、1月にしょっぱい旨さをさらに進化させたリニューアルを行い、3月には「超男梅サワー」の通年発売化、12月に新たな商品「はちみつ男梅サワー」を限定発売し、男梅ブランド計で前年比134%を達成しました。また、3月には「南日本酪農協同社」とのコラボレーション新商品「愛のスコールホワイトサワー」を西日本限定で発売、販売好調を受け9月には東日本にも展開した結果、販売計画比300%を達成しました。「ネクターサワー」では、8月に2つの桃のおいしさが楽しめる「ももももネクターサワー 黄金桃と白桃」を限定発売し、ネクターブランドの魅力を高めました。ワイン市場には、ポリフェノール成分を185mg/100ml含有し、凝縮感のあるふくよかな味わいが特長の「ポリフェノールでおいしさアップたっぷりサイズの濃い赤ワイン」を発売し、販売計画比124%を達成しました。※国産大手メーカーより発売されている糖質0の商品において(当社調べ平成29年10月現在)、18kcal/100ml当たり 2.研究開発について 酒類事業においては、酒類技術研究所、バイオ研究開発部、商品・技術イノベーション部、価値創造フロンティア研究所等が協働・協創のもと研究開発を行っており、お客様にオンリーワンの商品を次々とお届けし、感動を広げる活動を継続しています。 平成28~29年には、近年、ユニークな香りを作り出すとして、世界中のクラフトビールファンの間で注目を浴びている自社育成ホップ品種「ソラチエース」の特長香は「ゲラン酸」という成分がキーであることを解明しました。また、ソラチエースの香りは「ゲラン酸」とその他のホップの香気成分が組み合わさることで形成されること、さらにソラチエースと他の特長的な香りをもつホップ品種をブレンドして醸造することで、多様な香味を持つビールを創り出せることを示しました。 この研究については、日本農芸化学会2017年度大会(平成29年3月17~20日・京都)と第36回European Brewery Convention(ヨーロッパ醸造学会大会・平成29年5月14~18日・スロベニア)にて発表し、日本農芸化学会からは2017年度大会トピックス賞、European Brewery Conventionからはポスター部門の最高賞であるBest Poster賞をそれぞれ受賞しました。 European Brewery Conventionの大会は2年に一度開催され、ビール醸造技術に関する世界的に権威のある学会のひとつです。ヨーロッパのみならず、世界からビール醸造の研究者が集まり、口頭部門52題、ポスター部門102題の発表が行われました。各部門で最も優秀な発表各1件に対し、Best Paper賞、Best Poster賞の最高賞が選ばれます。「サッポロビール社」は国内で同賞の受賞歴がある唯一のビール会社であり、今回の受賞により、3大会連続の最高賞受賞というさらなる快挙となりました。 また、ビールの泡品質を良くするためのビール大麦品種の育成に関する新技術について、平成29年度の日本醸造協会技術賞を受賞しました。これは、ビールに含まれるタンパク質を網羅的に解析することで、ビールの泡品質に関与するタンパク質および遺伝子を同定し、さらに麦芽に加工する前の大麦の状態でビールの泡持ちが良いか否かを簡便に判別できる技術(遺伝子診断技術)です。これにより、従来は約10年を必要としたビール大麦育種での泡持ちの品質評価が、最短1年で評価・選抜することが可能になりました。平成28年に続いて2年連続の技術賞受賞となりました。 さらに、平成30年度の日本農芸化学会技術賞の受賞が平成29年12月に決定しました。対象の研究・開発テーマは『ホップ品質の多角的な解析とその応用』で、今回の受賞は「ホップの栽培安定化へのグローバルな貢献」「優良ホップ品種の継続的な育種開発」「ホップ特有の成分に関する多角的解析」の3点が、育種・栽培技術から商品開発までの一貫した取組みとして評価されました。同賞の受賞は平成12年、平成27年に続き、ビール醸造技術に関する3回目の受賞となります。 また、ビールを老化させる原因の一つであるリポキシゲナーゼを欠失した大麦(LOXレス大麦)の品種改良は、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ及び国内で進められており、“旨さ長持ち麦芽”として当社商品に使用されています。平成29年には、新品種「CDC Goldstar」をカナダで品種登録出願しました。 ホップの品種開発については、海外での高品質品種の安定生産を目指し、トロピカルフルーツの香りが華やかな新品種「フラノマジカルⓇ」を欧州と米国で品種登録出願しました。また、ホップのユニークな香りを一層引き出す栽培法の研究にも取り組んでおり、平成29年に開催された米国醸造化学会(American Society of Brewing Chemists)で研究成果を発表しています。 国内酒類事業の研究開発費の金額は12億円です。 [食品・飲料事業] 食品・飲料事業では、「おいしさ」や「健康価値」を訴求できる飲料及び食品の研究・商品開発活動に取り組んでいます。 飲料カテゴリーにおいては、強みが発揮できる「レモン飲料」「素材系」「食感系」「がぶ飲み」に注力しました。 「レモン飲料」では、主力の「キレートレモン」ブランドの一部商品において健康価値を訴求した栄養機能食品(ビタミンC)にリニューアルするなどブランド全体の健康価値訴求と活性化を図りました。 「素材系」では国産素材とその味わいが好評な「加賀棒ほうじ茶」にミルクを加えた日本品質のミルクティー「加賀棒ほうじ茶ラテ」を新たに開発し、ほうじ茶の香ばしさとミルクのコクが感じられる新しいおいしさを作り出しました。六条大麦を使用した新商品「にっぽん麦茶」や既存商品の「にっぽん烏龍」「知覧にっぽん紅茶 無糖」「富良野ラベンダーティー」などとともに国産素材系無糖茶シリーズとして展開し、好調に推移しました。 「食感系」では、まるで果実を食べているかのような果汁感と果肉の食感を楽しむ果汁飲料「ほおばる果実」シリーズとして、長年好評の「つぶたっぷり贅沢みかん」に「つぶたっぷり贅沢シトラスゆず&レモン」をラインナップし、さらに、新たにりんごフレーバーの「サクサク角切り贅沢りんご」を開発しました。りんごのしゃきしゃき感を体感できるよう、角切りりんごの大きさを数多く試行して決定し、また、こうした特長のある果肉を缶に充填する技術を新たに確立し上市しました。 「がぶ飲み」ブランドにおいては、「がぶ飲み レモンクリームソーダ」「がぶ飲み 白いコーラ」など、ユニークなフレーバー展開で話題化を図りました。 食品カテゴリーにおいては、春夏におけるスープ需要拡大に向けて、缶入りの冷製スープ「じっくりコトコト シャキシャキコーンの冷たいポタージュ」に加え、「じっくりコトコト 北海道産じゃがいもの冷たいヴィシソワーズ」を発売し、新たな需要を喚起しました。 さらにスープ分野では、お湯を注ぐだけのインスタントながら、手作りのリゾットと遜色のない風味になるよう、もちもちとした食感で食べ応えのある米具材「もちもち米」の開発に取り組みました。「もちもち米」は、お米を粉状にしてから澱粉などとブレンドし、圧縮してお米の形状に再成型したのちに加熱乾燥で仕上げた当社独自の米粉加工品で、スープ事業において得意としてきた「洋風」フレーバーの味作りの知見と組み合わせ、今までにない主食となるカップ入りリゾット「リゾランテ」を新ブランドとして発売・展開し、女性を中心に好評をいただきました。 レモン食品では、「ポッカレモン100」を中心に、調味料としても使えるレモン食品を長年発売してきた知見を活かし、料理を作りたくなるような簡単調味料の新たな提案として、調味料「塩とレモンとオリーブオイル」を開発・発売しました。レモン果汁と相性のよいオリーブオイルとシチリア産の岩塩をレモンが引き立つバランスに組み合わせ、さまざまな料理にあう味わいを実現しました。また長年のレモン成分の健康価値の研究を活かし、「クエン酸」を関与成分とした機能性表示食品「レモンの元気」を開発・発売し、引き続きレモンの魅力を訴求した商品の開発に取り組んでいます。 新規事業として注力する大豆・チルド事業においては、大麦から見つかったサッポログループ独自の「SBL88®乳酸菌」を配合した豆乳飲料「プラス乳酸菌豆乳飲料 甘酒」、「プラス乳酸菌豆乳飲料 プルーン」、「プラス乳酸菌豆乳飲料 ハトムギ」を発売しました。 また豆乳ヨーグルトにおいては、発売20周年を迎えた特定保健用食品「ソヤファーム豆乳で作ったヨーグルト」シリーズを10年ぶりに刷新し、ブランド強化を図りました。 今後もお客様のこれからの食生活に、新たな価値をご提供できるような独自の研究と商品開発を次々と進めていきます。 食品・飲料事業の研究開発費の金額は9億円です。
FY2016|6,218 文字
6【研究開発活動】 平成28年3月、グループ横断型研究開発をさらに進化させるため、「サッポロホールディングス社」にグループR&D本部、およびその中核をなす価値創造フロンティア研究所を設立しました。この組織改編は、新規事業開発につながる中長期視点での基盤研究の推進、グループシナジーを活かしたコア技術の深化と価値化の加速、分析機能の集約・高度化による品質保証力および知財対応力強化の3つを目的としております。 グループR&Dのコア技術については、「お客様を知る」、「おいしさを探す」、「おいしさを造る」、「おいしさを保証する」の4つを設定しております。 「お客様に食を通じた幸せをお届けするために、『創り』、『造り』続けます」という研究開発ビジョンを実現すべく、さらにはその先にあるお客様の笑顔を実現するため、この新たな研究開発体制の下、サッポログループは挑戦を続けてまいります。 価値創造フロンティア研究所では、上に掲げたコア技術に基づき研究ドメインを設定し、それぞれ、感性・情報科学研究、素材・機能探索研究、食品製造・加工技術研究、品質保証研究を担っております。 感性・情報科学研究では、レモン飲料ユーザーの大規模な嗜好調査から、嗜好性に影響する味覚因子と、嗜好特長と属性の関連性を明らかにし、第12回東北心理学会・北海道心理学会合同大会(東北心理学会第70回大会)において報告するとともに、レモン飲料やレモンテイストRTDの商品開発に貢献しました。このほか、炭酸飲料を飲んだ時のお客様の心理変化を、脳血流量計測から理解することに取り組み、研究成果を第6回NU-Brainシンポジウム及び第49回知覚コロキウムにおいて報告しました。さらに、脳科学を用いてお客様の心理を詳細に解明する目的で、平成28年4月より、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム」広島大学COI中核拠点のKANSEIコンソーシアムに加入し、産学連携のオープンイノベーションを推進しています。 素材・機能研究では、レモンに含まれるポリフェノールが抗老化作用を有することを新たに発見しました。この研究成果は「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」と「広島県立大学」の共同研究である「レモンとカルシウム摂取による骨密度改善」とともに、平成29年3月の日本薬学会および日本農芸化学会での発表につながりました。 食品製造・加工技術研究では、サッポログループの食品価値創造の柱となるべく、これまで各事業会社が培ってきた食品製造技術に新たな発想を加えて、レモン、大豆等を原料とした全く新しい食品・飲料製造技術開発に挑戦しております。 品質保証研究では、各事業会社が独自に行っていた分析機能を価値創造フロンティア研究所に集約いたしました。これによりさらなる専門化、高度化を図り、お客様の安全・安心志向や健康意識にこれまで以上にお応えするべく、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に取り組んでいます。 また、サッポログループでは、これまで酒類製造で培った発酵技術を応用した環境バイオエネルギー研究における実証試験を国内外で進めてきましたが、タイでのキャッサバパルプからのバイオエタノール生産技術実証(NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、からの受託事業)が平成27年11月に終了し、本実証成果を元にタイ国企業側から事業化の提案がなされました。当社は本事業においてバイオエタノール生産工場の設備設計、発酵技術、設備運転など各段階で技術支援という形で参画することで平成29年1月の契約締結に向けて準備を進めました。これまで廃棄するしかなかったキャッサバパルプからのエネルギー生産は、食糧需給の併存と廃棄物の削減、タイ国エネルギー問題の解決、さらには地球温暖化防止にも大きく貢献することが期待されます。なおこのバイオエタノール生産工場の規模は年産6万klで計画しており、二酸化炭素削減量は約12万トンと試算されます。この量はサッポロビール社酒類事業(製造・販売・事務などすべての業務)の1年間で排出する二酸化炭素量に匹敵します。 国内の水素・メタン発酵技術開発では、「タカキベーカリー社」、「広島大学」、「広島ガス社」と共同で実施した製パン工場廃棄物からのメタン製造の試験について、タカキベーカリー社千代田工場での試験を計画通りに完了いたしました。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は27億円です。 セグメントの状況は次のとおりです。 [国内酒類事業]1.商品開発について 酒類の商品開発については、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を実現すべく、サッポロビール社の強みである原料へのこだわりや、永年培ってきた商品開発力、技術開発力を活かして、引き続き、新たな価値創造に取り組んでまいりました。 ビールテイストについては、3月に「ヱビスビール」をクオリティアップ。より深いコクを実現し、また、パッケージも洗練されたデザインにリニューアルしました。5月にはヱビスの最高峰である「ヱビス マイスター」を発売。ヱビス計で前年比102%を達成しました。好調の黒ラベルからは、4月に初の全国型エクステンション商品「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」を発売しました。当社独自の「旨さ長持ち麦芽」を贅沢に100%使用し、喉ごしのうまさと爽快な後味を追求。黒ラベル計で前年比102.8%を達成しました。2月には「麦とホップ The gold」をリニューアル。麦とホップ史上最大の麦芽量による最高のコクを実現しました。また、5月には通年型エクステンション商品「麦とホップ Platinum Clear」を発売、キャンペーン商品として「麦とホップ Space Barley」を開発するなど、新たな価値提案により、麦とホップ計で前年比104.2%を達成しました。 伸長するRTD市場に対しては、基軸ブランドの「男梅サワー」、「キレートレモンサワー」の強化を図りました。「男梅サワー」では、1月にしょっぱい旨さをさらに進化させたリニューアルを行い、5月には超濃厚なしょっぱい旨さでアルコール9%が特長の「超男梅サワー」を限定発売。男梅ブランド計で前年比133%を達成しました。「キレートレモンサワー」では、6月にキレートブランドで初のエクステンションとなる「キレートレモンサワーソルティ」を限定発売。キレートブランド計で前年比126%と伸長しました。さらに、「ネクターサワー」では11月に桃果汁50%で濃厚な味わいが特長の「桃すごいネクターサワー特濃ピーチ」を限定発売し、ネクターブランドの魅力を高めました。また、ワイン市場に対しては、3月に日本初となる糖質ゼロワイン「ボンヌサンテ」を発売。オンリーワンの価値提案により新たなワイン需要を開拓しました。 2.研究開発について 酒類技術の研究においては、平成28年3月、サッポログループ基幹ドメインの一つである国内酒類事業をさらに大きく成長させるために、中長期視点での研究・開発組織として価値創造フロンティア研究所の醸造部門を酒類技術研究所、として分離・独立させました。 長年培った経験と先端技術とを駆使して、酒類基盤技術の研究とその応用、全ての生産拠点における課題解決を図る役割を担っております。 酒類事業においては、酒類技術研究所の他、バイオ研究開発部、価値創造フロンティア研究所、商品・技術イノベーション部等が協働・協創のもと研究開発を行っております。 平成28年には、個性的な香りから欧米のクラフトビールを中心に人気が高い稀少ホップ品種ソラチエースの特長を示す香り成分を発見し、その成果を8月米国コロラド州デンバーで開催された世界醸造大会「World Brewing Congress」にて発表しました。ソラチエースには他のホップと比べゲラン酸が多く含まれておりゲラン酸と別のホップの香気成分が共存することで、ビールの香りが、花のような香りやレモンのような柑橘的な香りに変化することが明らかになりました。 また、ブドウ果汁に含まれるポリフェノールの一種であり、ブドウの紫から赤色の色素でもあるアントシアニンが酵母に作用して、赤ワインの特長的なアロマ成分であるジアセチルの量を高めていることを明らかにし、その成果を平成28年度日本醸造学会大会にて発表しました。同じ赤ワインでもアントシアニンが多く含まれるブドウ果汁を用いてアロマ成分のジアセチルが高く、味のボディ感が増したワインを造れる可能性等が示唆されました。 カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ及び国内で品種開発を進めているLOXレス大麦については、栽培特性を改良した新品種「SakuraStar」をオーストラリアで品種登録出願しました。現在も国内外でLOXレス品種の開発を進めており、“旨さ長持ち麦芽”のより安定した供給を可能とし、ビールテイスト商品の一層の高品質化を目指して取り組んでいます。こうした一連の研究成果により日本育種学会賞を受賞しました。 ホップについても、海外での高品質品種の安定生産を目指し、ユニークな香りをもつ3品種をアメリカで植物特許出願(国内の品種登録出願に相当)しました。また、ホップ成分の活用技術に関する特許を国内で出願するなど、技術基盤の拡充にも努めています。 国内酒類事業の研究開発費の金額は13億円です。 [食品・飲料事業]1.商品開発について 「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」として、飲料カテゴリーにおいては、市場で注目を集めている特定保健用食品および機能性表示食品について上市しました。特定保健用食品は、缶入りさんぴん茶の元祖としておなじみの沖縄ポッカの「さんぴん茶」において、糖の吸収をおだやかにする食物繊維(難消化性デキストリン)を加えた「沖縄ポッカさんぴん茶(特製)500mlPET」を開発、また、後者は主力ブランド「キレートレモン」より、肌の潤いを守るのを助ける機能がある米由来のグルコシルセラミドが入った「キレートレモンMoisture(モイスチャー)」と、ストレス緩和素材GABAを使用したレモンティー「FREE Tea(フリーティー)」を開発し、それぞれ発売しました。 また、当社は近年、国産の希少素材にこだわった無糖茶の開発を進めており、前期に発売した「にっぽん烏龍」や「加賀棒ほうじ茶」は好評を得ました。これに続き、今期は北海道上富良野町との共同企画で「富良野ラベンダーティー」や、土づくりからこだわり、大分県産の有機栽培をしたオーガニック烏龍茶葉を100%使用した「有機にっぽん烏龍」、さらには東京都産茶葉を100%使用した東京都地域特産品認証食品「東京緑茶」などを開発しました。 さらに、全米No.1(※)アサイーブランド「SAMBAZON(サンバゾン)」と日本の飲料分野におけるライセンス製造・販売について契約を結び、昨今話題の“スーパーフード”の一つとして注目され、健康イメージのある素材アサイーを手軽においしく飲んでいただける飲料「サンバゾンアサイーアマゾンエナジー」「サンバゾンアサイーミックスビューティー100%」などを発売しました。 また、長年レモンにこだわった商品開発を行ってきた当社ならではの商品として、世界の様々な素材を組み合わせたおいしさと驚きのあるレモネードをお届けするブランド「ワールドレモネード」を新たに展開し、その第一弾として「ワールドレモネード 緑茶レモネード」を発売しました。 食品カテゴリーにおいては、主力ブランド「じっくりコトコト」が平成28年で20周年を迎え、新たに「UPGRADE YOUR LIFE」をブランドメッセージとして掲げ、「お客様の毎日をUPGRADEする濃厚とろ~りなコク深スープ」として、さらなるおいしさの追求を図りました。そのおいしさを追求した商品として、働く女性へのちょっと贅沢な夕食シーンを提供する電子レンジ対応パウチの「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」を新たに発売しました。簡便で時短もでき、素材感があり、濃厚な味わいをお楽しみいただけると好評をいただいています。 また、主力の洋風スープに加え、和風、中華風、エスニックなど、スープのバリエーションを広げており、たっぷりの具材にこだわった「素材屋スープ」や辛いおいしさを追及した「辛王(からおう)」の展開を図りました。 新規事業として参入した大豆・チルド事業の豆乳飲料においては、ポッカサッポロとして初の新商品「ソヤファーム おいしさスッキリずんだ豆乳飲料」をはじめ計3品を開発、発売し、ポッカサッポロの豆乳飲料ブランドとして市場の拡大を目指しました。※ SPINS社 Category Overview Report 2014/10/05-2015/10/04 FRUIT JUICES (NON-ORANGE),RF FUNCTIONAL JUICES & BEVERAGES, FROZEN FRUITS & VEGETABLES 調査結果より(上記カテゴリにおいてアサイーを含むドリンクおよび冷凍パックの売り上げ(金額)をNo.1としています。) 2.研究開発について 食品・飲料の技術開発を担う組織として、研究開発本部の傘下に「商品開発研究所」と「新規基盤開発研究所」の2つの研究所で研究活動に取り組んでおります。 商品開発研究所の飲料分野では、独自素材の活用や加工技術研究により、当社ならではの“おいしさ”や“健康価値”を訴求できる商品開発を進めております。また、平成28年はキレートレモンモイスチャー始めとして多種類の機能性表示食品を開発しました。 スープにつきましては、従来の粉末スープを中心とした商品開発から開発の領域を広げ、8月には当社として初めてレトルトスープの商品開発と上市をすることができました。 このように商品開発研究所では、飲料・レモン・スープを中心として新たなお客様価値を提供できるように独自の商品開発を次々と進めております。 「新規基盤開発研究所」では、「サッポロホールディングス社」のグループR&D本部とも協力しながら、将来に向けて新たなお客様価値を提供する素材の探索、加工技術、機能性研究など幅広い領域の研究活動に取り組みました。 特にレモンの研究には力を入れ、世界各地のレモン素材を探索しながら、当社ならではのレモンのおいしさを引き出す加工技術やレモンの機能研究を進めております。平成28年5月には、「レモンとカルシウム摂取による骨密度改善」の研究について、県立広島大学との共同研究、対外発表を行いました。また、9月には県立広島大学と共催で県立広島大学広島キャンパス内にてレモンシンポジウムを開催し、レモンの新たな価値をお客様にお伝えする取組みも行いました。 このように「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」の研究開発本部では、レモンを中心としてスープ、特定カテゴリーの飲料に研究資源を集中して研究開発活動を行っています。 食品・飲料事業の研究開発費の金額は10億円です。