事業の内容
新日本科学グループは、医薬品開発支援(CRO事業)、独自の技術を活用した新薬開発(トランスレーショナルリサーチ事業)、そして地熱発電や宿泊施設運営(メディポリス事業)の3つを主な柱としています。CRO事業では、新薬の安全性や効果を確認する非臨床試験(動物や細胞での試験)や臨床試験(人での治験)を受託し、製薬会社の新薬開発をサポートしています。特に、鼻から薬を投与する技術(経鼻投与基盤技術)を用いた新薬開発に注力しており、関連会社のスピンアウトも行っています。
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FY2025|11,877 文字|出典 docID: S100W81X
3【事業の内容】(1) 事業の内容について当社グループの企業集団は、当社、連結子会社27社及び関連会社5社の合計33社で構成されております。主な事業の内容は、1.製薬企業等から非臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化あるいは投資していくトランスレーショナルリサーチ(TR)事業、3.当社が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)等を行っております。具体的には、CRO事業では、安全性研究所、株式会社新日本科学イナリサーチセンターにおいて非臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて非臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。当社に直属するTR事業本部では、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART: Simple MucoAdhesive Release Technology、以下、SMART)の研究開発を実施しており、鼻粘膜からの全身吸収、鼻粘膜上での免疫、鼻から脳への薬物送達の3つの応用領域において創薬に注力しております。これまでに、TR事業として、独自のSMART技術を応用した、経鼻片頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及びパーキンソン病の治療薬を開発中の株式会社SNLDなどをスピンアウトさせた実績があり、TR事業本部としてこれらの開発会社の支援も行っています。Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)は当社技術に基づき開発され、2025年4月30日(米国時間)に米国FDAから販売承認を取得しました。さらに、経鼻ワクチンに関する事業については、2023年4月に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げ、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)を含めた製剤化やデバイスの最適化にも取り組んでおります。その他、現重要投資先で核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとした2つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を当社及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、当社の持分法適用関連会社である中国本土の安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(旧 肇慶創薬生物科技有限公司)及び当社子会社であるカンボジア王国のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA)LIMITEDでは、実験用NHPの繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注1)非臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の製造・販売承認を得るために実施する試験です。(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりです。 (3) セグメントについて 報告セグメントは、当社と連結子会社27社、持分法適用関連会社5社により、次のとおりCRO事業(非臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナルリサーチ事業・メディポリス事業・米国不動産事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容主な構成会社CRO事業(非臨床事業)製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)ヒトにおける有効性と安全性を確認するための試験実施に関する開発事業当社株式会社新日本科学イナリサーチセンター株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTSNBL U.S.A., Ltd.University Medicines International, LLC.新日本科学(亜州)有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDメディポリスNHP株式会社ANGKOR PRIMATES CENTER INC.株式会社新日本科学PPD(注1)安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(注1)トランスレーショナルリサーチ事業経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な非臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等当社SNBL U.S.A., Ltd.株式会社Gemsekiインベストメント株式会社SNLDNDP Pharmaceuticals,Inc.SGG Management Services,LLC.Ruika Therapeutics, Inc.Satsuma Pharmaceuticals, Inc.メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業等当社AMAFURU&Co.株式会社株式会社メディポリスエナジーGreen Hydrogen株式会社米国不動産事業(注3)米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業SNBL U.S.A., Ltd.その他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社メディポリスSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社トランクソリューション株式会社株式会社新日本総合建設FREESIA HD,INC.株式会社新日本科学Tasso(注1,2)株式会社JRMPC(注1)株式会社NANA(注1)(注1)持分法適用関連会社(注2)当連結会計年度中に連結子会社として設立されましたが、当連結会計年度末日に持分法適用の関連会社となったため、年度中の取引については連結子会社としての処理を行っております。(注3)米国不動産事業は、事業の重要性が高まったため、前連結会計年度から遡及し、報告セグメントとして 新たに区分表示しております。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。<セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。薬物代謝分析センター和歌山非臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業本部東京・鹿児島経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業株式会社新日本科学イナリサーチセンター長野非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemsekiインベストメント東京投資事業・ファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京TR事業本部のリソースを用い、経鼻製剤の開発を行っております。Satsuma Pharmaceuticals, Inc.米国 ノースカロライナ州経鼻製剤の開発を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 米国不動産事業SNBL U.S.A.,Ltd.米国 ワシントン州保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っております。 (4) 非臨床事業について非臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。非臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する非臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。非臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。依存性試験被験物質の薬物依存性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 非臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。非臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。・GLPの厳格な適用・専門知識と高い技術力を備えた人材の確保・清浄度の高い飼育施設の維持管理・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備・資料保管施設等が充分に整った環境・高品質の実験動物の確保多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設の諸設備の充実等を図っております。当社では、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから医薬品の安全性と有効性を調べるのに有用性が高いとされている実験用NHPを用いた試験の実施が可能です。実験用NHPを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。実験用NHPの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について非臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの非臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは非臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。当社CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。 業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援非臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業についてトランスレーショナルリサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いますが、当社では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。当社は、CRO事業において、非臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。当社TR事業本部は、当社CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。TR事業本部は、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART)の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及び感染防御を企図した鼻粘膜上の免疫に関する応用の、3応用領域において創薬を指向しております。その全体像を下図に示しました。これまでにTR事業本部から、経鼻片頭痛治療薬を米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.に、パーキンソン病の経鼻治療薬を国内株式会社SNLDにライセンスアウトしており、TR事業としてこれらの開発支援も行っています。2025年4月(米国時間)には、Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)が当社技術に基づき開発されFDA承認を受けた第1号となりました。また、ワクチン事業に関しては、免疫学のオピニオンリーダー常駐のもとに、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターにて遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しております。効果を高めるため至適抗原の選定/経鼻免疫に適したデバイス開発/アジュバントを加えた製剤化、などの各要素をシステムとして統合し、安全かつ有効なワクチンに仕上げる研究開発が進んでおります。TR事業本部とSNLDでは、臨床試験遂行のため、GCPに準拠した組織を構築しております。 (7) メディポリス事業についてメディポリス事業では、発電事業並びにホスピタリティ事業を運営しています。前者では、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、既存のホテル泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所が2025年4月10日に稼働を開始しております。ホスピタリティ事業では、Wellbeingをテーマとし、お客様の利用目的に応じてメディポリス指宿の自然を堪能できる2つのホテル、「別邸 天降る丘」とよび「HOTEL フリージア」を運営しております。「HOTEL フリージア」は、一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携し、医療とリゾートを融合させた新しい形のリゾートを提供しています。(8) 米国不動産事業について米国不動産事業は、米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っています。(9) その他事業について連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、社内コンビニでの業務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2024|11,222 文字|出典 docID: S100TS9X
3【事業の内容】(1) 事業の内容について当社グループの企業集団は、当社、連結子会社24社及び関連会社4社の合計29社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から非臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.当社が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)を行っております。具体的には、CRO事業では、安全性研究所、株式会社イナリサーチにおいて非臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて非臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。TR事業としては、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、鼻粘膜からの全身吸収、鼻粘膜上での免疫、鼻から脳への薬物送達の3つの応用領域において創薬を志しております。これまでに、TR事業は、独自の経鼻投与基盤技術を応用した、経鼻偏頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及びパーキンソン病の治療薬を開発中の株式会社SNLDなどをスピンアウトさせた実績があり、TR事業としてこれらの開発会社の支援も行っています。さらに、経鼻ワクチンに関する事業については、2023年4月に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げ、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)の製剤化やデバイスの最適化にも取り組んでおります。後述するように、本年3月、本案件について公的な研究開発資金を得ることができました。その他、現重要投資先で核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとした3つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を当社及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、当社の持分法適用関連会社である中国本土の安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(旧 肇慶創薬生物科技有限公司)及び当社子会社であるカンボジア王国のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA)LIMITEDでは、実験用NHPの繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注1)非臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりです。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社24社、持分法適用関連会社4社により、次のとおりCRO事業(非臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容主な構成会社CRO事業(非臨床事業)製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)ヒトにおける有効性と安全性を確認するための試験実施に関する開発事業当社株式会社イナリサーチ株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTSNBL U.S.A., Ltd.University Medicines International, LLC.新日本科学(亜州)有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDメディポリスNHP株式会社ANGKOR PRIMATES CENTER INC.株式会社新日本科学PPD(注)安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な非臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社Gemseki株式会社SNLDRuika Therapeutics, Inc.Satsuma Pharmaceuticals, Inc.メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業等当社AMAFURU&Co.株式会社株式会社メディポリスエナジーGreen Hydrogen株式会社その他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社メディポリスSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社トランクソリューション株式会社株式会社新日本総合建設FREESIA HD,INC.株式会社JRMPC(注)株式会社NANA(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。<セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。薬物代謝分析センター和歌山非臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TRカンパニー東京・鹿児島経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘、指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業株式会社イナリサーチ長野非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemseki東京知財仲介事業及びファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京経鼻製剤の開発を行っております。Satsuma Pharmaceuticals, Inc.米国 ノースカロライナ州経鼻製剤の開発を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 非臨床事業について非臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。非臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する非臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。非臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。依存性試験被験物質の薬物依存性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 非臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。非臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。・GLPの厳格な適用・専門知識と高い技術力を備えた人材の確保・清浄度の高い飼育施設の維持管理・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備・資料保管施設等が充分に整った環境・高品質の実験動物の確保多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設の諸設備の充実等を図っております。当社では、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから医薬品の安全性と有効性を調べるのに有用性が高いとされている実験用NHPを用いた試験の実施が可能です。実験用NHPを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。実験用NHPの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について非臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの非臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは非臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。当社CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。 業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援非臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業についてトランスレーショナル リサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いますが、当社では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。当社は、CRO事業において、非臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。当社TRカンパニーは、当社CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。TRカンパニーは、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及びより効果的な感染防御を企図した鼻粘膜上の免疫に関する応用の、3応用領域において創薬を企図しております。その全体像を下図に示しました。これまでにTRカンパニーから、経鼻偏頭痛治療薬を米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.に、パーキンソン病の経鼻治療薬を国内株式会社SNLDにライセンスアウトしており、TR事業としてこれらの開発支援も行っています。また、ワクチン事業に関しては、免疫学のオピニオンリーダー常駐のもとに、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターにて遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しております。効果を高めるため至適抗原の選定/経鼻免疫に適したデバイス開発/アジュバントを加えた製剤化、などの各要素をシステムとして統合し、安全かつ有効なワクチンに仕上げるに関する研究開発が進んでおります。今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指しております。(7) メディポリス事業についてメディポリス事業では、発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、メディポリス指宿敷地内の地熱資源の更なる有効活用のため、新たに温泉バイナリー発電所の建設計画も進行(2025年3月期第4四半期稼働開始予定)しております。また、Wellbeingをテーマとし、お客様の利用目的に応じてメディポリス指宿の自然を堪能できる3つのホテル、「別邸 天降る丘」、「指宿ベイヒルズ HOTEL&SPA」、「HOTEL フリージア」を運営しております。特に「HOTEL フリージア」は、一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携し、医療とリゾートを融合させた新しい形のリゾートを提供しています。(8) その他事業について連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2023|11,092 文字|出典 docID: S100R875
3【事業の内容】(1) 事業の内容について当社グループの企業集団は、当社、連結子会社23社及び関連会社4社の合計28社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から非臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.当社が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)を行っております。具体的には、CRO事業では、安全性研究所、株式会社イナリサーチにおいて非臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて非臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。TR事業としては、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及びより効果的な感染防御を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでに、TR事業は、独自の経鼻投与基盤技術を応用した、経鼻偏頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発中の国内株式会社SNLDをスピンアウトさせており、TR事業ではこれらの開発会社も支援しています。さらに、経鼻ワクチンに関する研究については、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)製剤に関する研究にも取り組んでおります。今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指しております。その他、核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Well-being)をメインコンセプトとした3つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を当社及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、当社の持分法適用関連会社である中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司及び当社子会社であるカンボジア王国のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA)LIMITEDでは、実験用NHPの繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注1)非臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりです。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社23社、持分法適用関連会社4社により、次のとおりCRO事業(非臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社CRO事業(非臨床事業)製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)ヒトにおける有効性と安全性を確認するための試験実施に関する開発事業当社株式会社イナリサーチ株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTSNBL U.S.A., Ltd.University Medicines International, LLC.新日本科学(亜州)有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDメディポリスNHP株式会社ANGKOR PRIMATES CENTER INC.株式会社新日本科学PPD(注)肇慶創薬生物科技有限公司(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な非臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社GemsekiGemseki投資事業有限責任組合株式会社SNLDRuika Therapeutics, Inc. メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業等当社AMAFURU&Co.株式会社株式会社メディポリスエナジーGreen Hydrogen株式会社その他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社イナリサーチ株式会社メディポリスSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社トランクソリューション株式会社有限会社白尾建設有限会社谷山無線サービスFREESIA HD,INC.JRMPC株式会社(注)株式会社NANA(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。<セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。薬物代謝分析センター和歌山非臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TRカンパニー東京・鹿児島経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘、指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業株式会社イナリサーチ長野非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemseki東京知財仲介事業及びファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京経鼻製剤の開発を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 非臨床事業について非臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。非臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する非臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。非臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。依存性試験被験物質の薬物依存性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 非臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。非臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。・GLPの厳格な適用・専門知識と高い技術力を備えた人材の確保・清浄度の高い飼育施設の維持管理・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備・資料保管施設等が充分に整った環境・高品質の実験動物の確保多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設の諸設備の充実等を図っております。当社では、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから医薬品の安全性と有効性を調べるのに有用性が高いとされている実験用NHPを用いた試験の実施が可能です。実験用NHPを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。実験用NHPの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について非臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの非臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは非臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。当社CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。 業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援非臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業についてトランスレーショナル リサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いますが、当社では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。当社は、CRO事業において、非臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。当社TRカンパニーは、当社CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。当社TRカンパニーは、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及びより効果的な感染防御を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでに、TR事業は、独自の経鼻投与基盤技術を応用した、経鼻偏頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発中の国内株式会社SNLDをスピンアウトさせており、TR事業ではこれらの開発会社も支援しています。また、経鼻ワクチンに関する研究については、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおります。今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指しております。 (7) メディポリス事業についてメディポリス事業では、発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、メディポリス指宿敷地内の地熱資源の更なる有効活用のため、新たに温泉バイナリー発電所の建設も計画(2023年稼働開始予定)しております。また、Wellbeingをテーマとし、お客様の利用目的に応じてメディポリス指宿の自然を堪能できる3つのホテル、「別邸 天降る丘」、「指宿ベイヒルズ HOTEL&SPA」、「HOTEL フリージア」を運営しております。特に「HOTEL フリージア」は、一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携し、医療とリゾートを融合させた新しい形のリゾートを提供しています。(8) その他事業について連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2022|11,136 文字|出典 docID: S100OK5K
3【事業の内容】(1) 事業の内容について当社グループの企業集団は、当社、連結子会社25社及び関連会社4社の合計30社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.当社が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)を行っております。具体的には、CRO事業では、安全性研究所において前臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。TR事業としては、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及びより効果的な感染防御を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでに、TR事業は、独自の経鼻投与基盤技術を応用した、経鼻偏頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発中の国内株式会社SNLDをスピンアウトさせており、TR事業ではこれらの開発会社も支援しています。さらに、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)製剤に関する研究に取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との連携強化を目指しております。その他、核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Well-being)をメインコンセプトとした3つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を当社及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、当社の持分法適用関連会社である中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司及び当社子会社であるカンボジア王国のTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。なお、提出日現在においてTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd. は当社子会社のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDと合併しており、連結子会社は24社となっています。 (注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりです。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社25社、持分法適用関連会社4社により、次のとおりCRO事業(前臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社CRO事業(前臨床事業)製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)ヒトにおける有効性と安全性を確認するための試験実施に関する開発事業当社株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTSNBL U.S.A., Ltd.University Medicines International, LLC.新日本科学(亜州)有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.株式会社新日本科学PPD(注)肇慶創薬生物科技有限公司(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社GemsekiGemseki投資事業有限責任組合AXIS株式会社株式会社SNLDRuika Therapeutics, Inc. メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業等当社AMAFURU&Co.株式会社株式会社メディポリスエナジーGreen Hydrogen株式会社その他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社メディポリスSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社トランクソリューション株式会社株式会社医光ヘルステクノロジーズ有限会社白尾建設有限会社谷山無線サービスFREESIA HD,INC.JRMPC株式会社(注)株式会社NANA(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。<セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TRカンパニー東京・鹿児島経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘、指宿ベイヒルズHOTEL&SPA,、ホテルフリージア鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemseki東京知財仲介事業及びファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京経鼻製剤の開発を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について前臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。前臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。・GLPの厳格な適用・技術力を備えた人材の確保・飼育施設の維持管理・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備・資料保存施設等が充分に整った環境・実験動物の確保 多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。当社は、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされている霊長類(サル)を用いた試験を実施しております。霊長類を用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。霊長類の取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。 (注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは前臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。当社CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。 業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業についてトランスレーショナル リサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いいますが、当社では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。当社は、CRO事業において、前臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。当社TRカンパニーは、当社CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。当社TRカンパニーは、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及びより効果的な感染防御を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでに、TR事業は、独自の経鼻投与基盤技術を応用した、経鼻偏頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発中の国内株式会社SNLDをスピンアウトさせており、TR事業ではこれらの開発会社も支援しています。また、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との連携強化を目指しております。 (7) メディポリス事業についてメディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、メディポリス指宿敷地内の地熱資源の更なる有効活用のため、新たに温泉バイナリー発電所の建設も計画(2022年稼働開始予定)しております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(2017年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更) を運営しております。また、ホテルの一部を改装・増築し、2020年12月よりヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」としても運営を開始いたしました。(8) その他事業について連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2021|10,635 文字|出典 docID: S100LVCO
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社22社及び関連会社3社の合計26社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO(Contract Research Organization)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CRO事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、薬物の鼻粘膜吸収性を高める独自の経鼻投与基盤技術やデバイス、及び薬物の脳移行性を高める独自の送達技術を研究開発し、これらを応用した創薬を行っております。当事業部よりスピンアウトした経鼻片頭痛治療薬の開発会社である米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.、及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬の開発会社である国内株式会社SNLDを支援しています。その他、核酸医薬品の開発を行う米国WAVE Life Sciences Ltd.は当事業部を起源としております。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びに一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設別邸天降る丘と指宿ベイヒルズHOTEL&SPAを運営しています。 香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。 (注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。(3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社22社、持分法適用関連会社3社により、次のとおりCRO事業(前臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社CRO事業(前臨床事業)製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業(臨床事業)治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.University Medicines International, LLC.株式会社CLINICAL STUDY SUPPORT株式会社新日本科学PPD(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社GemsekiGemseki投資事業有限責任組合AXIS株式会社Ruika Therapeutics, Inc.株式会社SNLDメディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社AMAFURU&Co.株式会社(旧 SNBL Nature 株式会社)株式会社メディポリスエナジーその他事業事務業務受託等当社株式会社新日本科学グループ株式会社メディポリスFREESIA HD,INC.SNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社トランクソリューション株式会社JRMPC株式会社(注)株式会社NANA(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。<セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社CRO事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TRカンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業別邸天降る丘鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。発電事業部鹿児島地熱発電事業等を行っております。主な連結子会社CRO事業肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業株式会社Gemseki東京知財仲介事業及びファンド運営を行っております。株式会社SNLD東京経鼻投与製剤の開発を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧 薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業には、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDにおいてCRO事業を行っております。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。 当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、2015年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号:株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬機法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR: Translational Research)とは、基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証し、付加価値を高めて事業化へつなげる研究開発です。元来CROである当社グループは、前臨床から臨床までの医薬品開発のプロセスを実施でき、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウを有するため、人材面・資金面・経営面で支援を行うこと、さらには独力で創薬を目指すことが可能です。当社TRカンパニーでは、デバイスを含む独自の経鼻投与基盤技術(NDS: Nasal Delivery System)及び薬物の脳移行性を高める独自の送達技術(Nose-to-Brain送達技術)を有しております。当社グループ内の医薬品研究開発機能を活用し、さらにアカデミアとの共同研究も実施しながら、基盤技術を深化させて開発医薬品に応用し、創薬をおこないつつあります。また、これらの基盤技術を応用し当カンパニーよりすでにスピンアウトした、経鼻片頭痛治療薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(カリフォルニア州)及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬の臨床開発をおこなう株式会社SNLD(日本国内)を支援しています。 (7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(2017年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更)を運営しております。また、ホテルの一部を改装・増築し、2020年12月よりヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」としても運営を開始いたしました。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2020|10,642 文字|出典 docID: S100J18H
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社20社及び関連会社3社の合計24社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO(Contract Research Organization)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CRO事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、偏頭痛薬、制吐剤、インフルエンザワクチン、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬などの経鼻製剤を自社開発しているほか、核酸医薬品の開発を行うWAVE Life Sciences Ltd.や経鼻製剤を応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社である Satsuma Pharmaceuticals, Inc.などを支援しています。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びに一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設指宿ベイヒルズHOTEL&SPAを運営しています。 米国においては、米国前臨床事業のSNBL U.S.A., Ltd.(米国 ワシントン州)は、中長期的な視点で米国事業の成長を加速するためにシナジー効果が期待できる海外CROとの提携がより効果的と考え、北米を拠点とする臨床CROであるAltasciencesグループ(カナダ ケベック州)に米国前臨床事業(研究施設など不動産を除く)を分社化したうえで、2018年9月に事業譲渡いたしました。香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。 SMO事業を担っておりました株式会社新日本科学SMO(以下「新日本科学SMO」)は、この数年、関東地域の事業基盤を確立しながら、グループ内のSMO事業を統合し、特にがん対象試験の強化を進めておりましたが、SMO業界として国内大手グループへの集約が進んでいることから、他社との提携を含めた事業再編を検討した結果、新たな成長が期待できるエムスリー株式会社(東京都港区)への事業売却が適当であると判断し、2018年10月に新日本科学SMOの全株式を譲渡いたしました。 (注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬事法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。(3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社20社、持分法適用関連会社3社により、次のとおり前臨床事業・臨床事業・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社前臨床事業製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.臨床事業治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業株式会社CLINICAL STUDY SUPPORT株式会社新日本科学グループUniversity Medicines International, LLC.株式会社新日本科学PPD(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社AXIS株式会社Ruika Therapeutics, Inc.メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社SNBL Nature 株式会社株式会社メディポリスエナジー株式会社メディポリスその他事業事務業務受託等SNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社株式会社Gemsekiトランクソリューション株式会社FREESIA HD,INC.JRMPC株式会社(注)株式会社NANA(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。 <セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社前臨床事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TRカンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。主な連結子会社前臨床事業肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITEDカンボジア王国プノンペン都実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬事法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬事法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬事法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業には、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。当社では、関連会社である株式会社新日本科学PPDにおいてCRO事業を行っております。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。 当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、2015年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号:株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)事業とは、基礎研究から派生してくる有望なシーズや新たな技術、新規物質を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行い、基礎理論を臨床の場で実証して付加価値を高めて事業化へつなげていくことです。当社グループは、前臨床から臨床に至る医薬品開発の全プロセスを実施できる機能を有しており、長年の経験と実績を通じて、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウをはじめ、人材面・資金面・経営面の支援を行うことができます。 当社では、経鼻投与技術を自社開発しており、この経鼻投与基盤技術を用いて、医薬品を経鼻的に投与できる製剤開発を行っております。具体的には、偏頭痛薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬、インフルエンザワクチンなどの経鼻製剤の研究を行っています。このほか、坑うつ剤で作用発現時間を早める新薬の開発、慢性関節炎の抗体治療薬の開発、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)なども研究中です。(7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(2017年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更)を運営しております。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2019|10,463 文字|出典 docID: S100GB9C
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社20社及び関連会社1社の合計22社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCR(Contract Research)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ(TR)事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CR事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、偏頭痛薬、制吐剤、インフルエンザワクチン、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬などの経鼻製剤を自社開発しているほか、核酸医薬品の開発を行うWAVE Life Sciences Ltd.や経鼻製剤を応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社である Satsuma Pharmaceuticals, Inc.などを支援しています。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びに一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設指宿ベイヒルズHOTEL&SPAを運営しています。 米国においては、米国前臨床事業のSNBL USA, Ltd.(米国 ワシントン州;以下「SNBL USA」)は、中長期的な視点で米国事業の成長を加速するためにシナジー効果が期待できる海外CROとの提携がより効果的と考え、北米を拠点とする臨床CROであるAltasciencesグループ(カナダ ケベック州)に米国前臨床事業(研究施設など不動産を除く)を分社化したうえで、2018年9月に事業譲渡いたしました。香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。 SMO事業を担っておりました株式会社新日本科学SMO(以下「新日本科学SMO」)は、この数年、関東地域の事業基盤を確立しながら、グループ内のSMO事業を統合し、特にがん対象試験の強化を進めておりましたが、SMO業界として国内大手グループへの集約が進んでいることから、他社との提携を含めた事業再編を検討した結果、新たな成長が期待できるエムスリー株式会社(東京都港区)への事業売却が適当であると判断し、昨年10月に新日本科学SMOの全株式を譲渡いたしました。 (注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬事法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社20社、持分法適用関連会社1社により、次のとおり前臨床事業・臨床事業・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社前臨床事業製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.臨床事業治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業株式会社CLINICAL STUDY SUPPORT株式会社新日本科学ファシリティーズUniversity Medicines International, LLC.株式会社新日本科学PPD(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社AXIS株式会社Ruika Therapeutics, Inc.メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社SNBL Nature 株式会社株式会社メディポリスエナジー株式会社メディポリスその他事業事務業務受託等SNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社株式会社GEMSEKIトランクソリューション株式会社FREESIA HD,INC. (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。 <セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社前臨床事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業カンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。主な連結子会社前臨床事業肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬事法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬事法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。当社及びSNBL U.S.A., Ltd.共に、試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬事法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業とは、製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。① CROについて 当社は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、2015年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号;株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。 (6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)事業とは、基礎研究から派生してくる有望なシーズや新たな技術、新規物質を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行い、基礎理論を臨床の場で実証して付加価値を高めて事業化へつなげていくことです。当社グループは、前臨床から臨床に至る医薬品開発の全プロセスを実施できる機能を有しており、長年の経験と実績を通じて、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウをはじめ、人材面・資金面・経営面の支援を行うことができます。 当社では、経鼻投与技術を自社開発しており、この経鼻投与基盤技術を用いて、医薬品を経鼻的に投与できる製剤開発を行っております。具体的には、偏頭痛薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬、インフルエンザワクチンなどの経鼻製剤の研究を行っています。このほか、坑うつ剤で作用発現時間を早める新薬の開発、慢性関節炎の抗体治療薬の開発なども研究中です。(7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(2017年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更)を運営しております。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2018|11,374 文字|出典 docID: S100DH9X
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社20社及び関連会社2社の合計23社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCR(Contract Research)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CR事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、偏頭痛薬、制吐剤、インフルエンザワクチン、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬などの経鼻製剤を自社開発しているほか、核酸医薬品の開発を行うバイオベンチャー(WAVE Life Sciences Ltd.)などを支援しています。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びに一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設指宿ベイヒルズHOTEL&SPAを運営しています。 連結子会社となる株式会社新日本科学SMO(注5)では、医療機関における臨床試験の実施支援(SMO事業)を行っております。米国においては、連結子会社のSNBL U.S.A., Ltd.では前臨床試験を行っております。香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のANGKOR PRIMATES CENTER INC.及びTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。(注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(注5)株式会社新日本科学臨床薬理研究所とアルメック株式会社が、関東での事業基盤確立を目的として平成29年4月1日をもって経営統合いたしました。これに伴いまして、株式会社新日本科学臨床薬理研究所はSMO事業を会社分割により、アルメック株式会社に承継しております。また、同日、株式会社新日本科学臨床薬理研究所は株式会社新日本科学ファシリティーズに、アルメック株式会社は株式会社新日本科学SMOに、それぞれ商号変更しております。また平成30年1月にはグループ内の連携強化及び業務効率化の一環として、株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTのSMO事業を株式会社新日本科学SMOへ集約しております。 (2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬事法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社20社、持分法適用関連会社2社により、次のとおりに前臨床事業・臨床事業・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社前臨床事業製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.臨床事業治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業株式会社新日本科学SMO株式会社CLINICAL STUDY SUPPORT株式会社新日本科学ファシリティーズUniversity Medicines International, LLC.株式会社新日本科学PPD(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社AXIS株式会社Ruika Therapeutics, Inc.メディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社SNBL Nature 株式会社株式会社メディポリスエナジー株式会社メディポリスその他事業事務業務受託等SNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社株式会社GEMSEKIFREESIA HD,INC.福澤科技(嘉興)有限公司(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。 <セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社前臨床事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業カンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。主な連結子会社前臨床事業SNBL U.S.A., Ltd.米国ワシントン州前臨床試験を行っております。肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。臨床事業株式会社新日本科学SMO鹿児島・大阪・福岡・宮崎・東京・岐阜・名古屋SMOとして臨床試験を支援しております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬事法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬事法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。当社及びSNBL U.S.A., Ltd.共に、試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。昭和54年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、昭和58年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では平成8年の薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、平成9年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬事法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業とは、製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO及びSMO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROとSMOは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。① CROについて 当社は、平成11年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、平成27年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号;株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 ② SMOについて 当社グループでは、連結子会社である株式会社新日本科学SMO(分割継承前:株式会社新日本科学臨床薬理研究所)において、平成12年1月にSMO事業を開始しております。現在、治験実施の提携施設として100以上の医療機関と提携しており、治験実施医療機関の職員に対するGCP教育やGCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書の作成支援等を行っております。また、適切な治験を適切な医療機関で適切な時期に実施・終了できるように、看護師や薬剤師等の資格を持つ正社員を育成して提携医療機関に常駐させるよう、取り組んでおります。治験領域としては、呼吸器系疾患、消化器疾患等のいわゆる生活習慣病の慢性疾患への治験支援が比較的多くなっておりますが、今後はがん治療、急性期疾患等の治験支援にも積極的に取り組む方針であります。 株式会社新日本科学SMOにおける支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容GCP教育治験実施医療機関の職員(医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、医療事務員等)にGCP教育を行っております。CRC業務の受託教育研修を行った看護師、薬剤師及び臨床検査技師のCRCが、治験を担当する医師が行う業務を支援し、治験業務の効率化及び治験の品質向上について支援しております。標準業務手順書(SOP)の整備新GCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書(SOP)作成について支援しております。治験審査委員会(IRB)の整備治験実施医療機関に既に治験審査委員会(IRB)が設置されている場合は、構成条件等が適切であるかを調査し、必要に応じて支援しております。治験事務局の支援治験実施医療機関に治験事務局がある場合は、その治験事務局との協議により治験業務をスムーズに進めるよう支援しております。また、治験に必要な契約書、症例報告書、原資料等の整備・保管・管理を支援し、治験依頼者からのモニター訪問時に治験事務局の対応を支援しております。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。平成元年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌平成2年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、平成9年3月に厚生省令として制定、平成10年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。(6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)事業とは、基礎研究から派生してくる有望なシーズや新たな技術、新規物質を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行い、基礎理論を臨床の場で実証して付加価値を高めて事業化へつなげていくことです。当社グループは、前臨床から臨床に至る医薬品開発の全プロセスを実施できる機能を有しており、長年の経験と実績を通じて、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウをはじめ、人材面・資金面・経営面の支援を行うことができます。 当社では、経鼻投与技術を自社開発しており、この経鼻投与基盤技術を用いて、医薬品を経鼻的に投与できる製剤開発を行っております。具体的には、偏頭痛薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬、インフルエンザワクチンなどの経鼻製剤の研究を行っています。このほか、坑うつ剤で作用発現時間を早める新薬の開発、慢性関節炎の抗体治療薬の開発なども研究中です。(7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(平成29年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更)を運営しております。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2017|11,631 文字|出典 docID: S100AS8C
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社22社及び関連会社3社の合計26社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCR(Contract Research)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CR事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、偏頭痛薬、制吐剤、インフルエンザワクチン、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬などの経鼻製剤を自社開発しているほか、核酸医薬品の開発を行うバイオベンチャー(WAVE Life Sciences Ltd.)などを支援しています。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びに一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設指宿ベイヒルズHOTEL&SPA(注5)を運営しています。 連結子会社となる株式会社新日本科学SMO(注6)では、医療機関における臨床試験の実施支援(SMO事業)を行っております。米国においては、連結子会社のSNBL U.S.A., Ltd.では前臨床試験を、持分法適用会社のPharmaron CPC Inc.(注7)では臨床(フェーズⅠ)試験をそれぞれ行っております。香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のANGKOR PRIMATES CENTER INC.及びTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。(注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(注5)ご愛顧いただいております当社宿泊施設指宿ベイテラスHOTEL&SPAは、平成29年7月1日付けで指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更を行う予定となっております。(注6)株式会社新日本科学臨床薬理研究所とアルメック株式会社が、関東での事業基盤確立を目的として平成29年4月1日をもって経営統合いたしました。これに伴いまして、株式会社新日本科学臨床薬理研究所はSMO事業を会社分割により、アルメック株式会社に承継しております。また、同日、株式会社新日本科学臨床薬理研究所は株式会社新日本科学ファシリティーズに、アルメック株式会社は株式会社新日本科学SMOに、それぞれ商号変更しております。(注7)持分法適用会社のSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.は、平成29年5月15日付けでPharmaron CPC Inc.へ商号変更しております。(2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬事法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。 (3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社22社、持分法適用関連会社3社により、次のとおりに前臨床事業・臨床事業・トランスレーショナル リサーチ事業・メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社前臨床事業製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.臨床事業治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業株式会社新日本科学SMO株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTUniversity Medicines International, LLC.株式会社新日本科学PPD(注)Pharmaron CPC Inc.(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社グリフィンバイオテックAXIS株式会社Translational Research USA, Inc.Ruika Therapeutics, Inc.Shin Nippon Biomedical LaboratoriesIndia Private Limitedメディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社SNBL Nature 株式会社株式会社メディポリスエナジーその他事業事務業務受託等株式会社新日本科学ファシリティーズSNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社株式会社メディポリスFREESIA HD,INC.福澤科技(嘉興)有限公司(注) (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。 <セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社前臨床事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業カンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業指宿ベイヒルズHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。主な連結子会社前臨床事業SNBL U.S.A., Ltd.米国ワシントン州前臨床試験を行っております。肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。臨床事業株式会社新日本科学SMO鹿児島・大阪・福岡・宮崎・東京・岐阜SMOとして臨床試験を支援しております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬事法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬事法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。当社及びSNBL U.S.A., Ltd.共に、試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。昭和54年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、昭和58年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では平成8年の薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、平成9年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬事法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業とは、製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO及びSMO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROとSMOは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。① CROについて 当社は、平成11年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、平成27年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号;株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 ② SMOについて 当社グループでは、連結子会社である株式会社新日本科学SMO(分割継承前:株式会社新日本科学臨床薬理研究所)において、平成12年1月にSMO事業を開始しております。現在、治験実施の提携施設として100以上の医療機関と提携しており、治験実施医療機関の職員に対するGCP教育やGCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書の作成支援等を行っております。また、適切な治験を適切な医療機関で適切な時期に実施・終了できるように、看護師や薬剤師等の資格を持つ正社員を育成して提携医療機関に常駐させるよう、取り組んでおります。治験領域としては、呼吸器系疾患、消化器疾患等のいわゆる生活習慣病の慢性疾患への治験支援が比較的多くなっておりますが、今後はがん治療、急性期疾患等の治験支援にも積極的に取り組む方針であります。 株式会社新日本科学SMOにおける支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容GCP教育治験実施医療機関の職員(医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、医療事務員等)にGCP教育を行っております。CRC業務の受託教育研修を行った看護師、薬剤師及び臨床検査技師のCRCが、治験を担当する医師が行う業務を支援し、治験業務の効率化及び治験の品質向上について支援しております。標準業務手順書(SOP)の整備新GCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書(SOP)作成について支援しております。治験審査委員会(IRB)の整備治験実施医療機関に既に治験審査委員会(IRB)が設置されている場合は、構成条件等が適切であるかを調査し、必要に応じて支援しております。治験事務局の支援治験実施医療機関に治験事務局がある場合は、その治験事務局との協議により治験業務をスムーズに進めるよう支援しております。また、治験に必要な契約書、症例報告書、原資料等の整備・保管・管理を支援し、治験依頼者からのモニター訪問時に治験事務局の対応を支援しております。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。平成元年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌平成2年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、平成9年3月に厚生省令として制定、平成10年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。(6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)事業とは、基礎研究から派生してくる有望なシーズや新たな技術、新規物質を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行い、基礎理論を臨床の場で実証して付加価値を高めて事業化へつなげていくことです。当社グループは、前臨床から臨床に至る医薬品開発の全プロセスを実施できる機能を有しており、長年の経験と実績を通じて、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウをはじめ、人材面・資金面・経営面の支援を行うことができます。 当社では、経鼻投与技術を自社開発しており、この経鼻投与基盤技術を用いて、医薬品を経鼻的に投与できる製剤開発を行っております。具体的には、偏頭痛薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬、インフルエンザワクチンなどの経鼻製剤の研究を行っています。このほか、坑うつ剤で作用発現時間を早める新薬の開発、慢性関節炎の抗体治療薬の開発なども研究中です。(7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設された一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPA(平成29年7月1日より指宿ベイヒルズHOTEL&SPAに名称変更)を運営しております。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、農業、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。
FY2016|11,450 文字|出典 docID: S10083H4
3【事業の内容】(1) 事業の内容について 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社21社及び関連会社2社の合計24社で構成されております。事業の内容は、1.製薬企業等から前臨床試験(注1)、臨床試験(治験)(注2)(注3)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCR(Contract Research)事業、2.当社が独自に開発した経鼻投与製剤(注4)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化していくトランスレーショナル リサーチ事業、3.メディポリス指宿において地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業を行っております。 具体的には、CR事業では、安全性研究所において前臨床試験を、薬物代謝分析センターにおいて前臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床試験をそれぞれ受託しております。TR事業としては、偏頭痛薬、制吐剤、インフルエンザワクチン、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬などの経鼻製剤を自社開発しているほか、核酸医薬品の開発を行うバイオベンチャー(WAVE Life Sciences Ltd.)などを支援しています。メディポリス事業では、環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―地熱発電事業並びにメディポリス医学研究財団メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、宿泊施設指宿ベイテラスHotel&SPAを運営しています。 連結子会社となる株式会社新日本科学臨床薬理研究所では、医療機関における臨床試験の実施支援(SMO事業)を行っております。米国の連結子会社は、SNBL U.S.A., Ltd.では前臨床試験を、SNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.では臨床(フェーズⅠ)試験をそれぞれ行っております。香港の新日本科学(亜州)有限公司は、アジアにおける事業を統括し、中国本土の肇慶創薬生物科技有限公司、カンボジア王国のANGKOR PRIMATES CENTER INC.及びTIAN HU(CAMBODIA)ANIMAL BREEDING CENTER Ltd.では、実験動物の繁殖育成と検疫輸出を行っています。(注1)前臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて医薬品等の化学物質の有効性と安全性を確認する試験です。(注2)臨床試験:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するために、医療機関で実施する試験です。(注3)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の承認を得るために実施する試験です。(注4)経鼻投与製剤:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことであります。(2) 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域について 製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬事法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行うに際しては、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。 医薬品開発のプロセスにおける当社グループの事業領域については、次のとおりであります。(3) セグメントについて セグメントは、当社と連結子会社21社、持分法適用関連会社2社により、次のとおりに前臨床事業・臨床事業・トランスレーショナル リサーチ事業、メディポリス事業及びその他事業に区分されております。セグメント主な事業の内容構成会社前臨床事業製薬企業等の委託者により創製された被験物質について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業当社SNBL U.S.A., Ltd.新日本科学(亜州)有限公司肇慶創薬生物科技有限公司SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA) LIMITEDANGKOR PRIMATES CENTER INC.TIAN HU(CAMBODIA) ANIMAL BREEDING RESEARCH CENTER Ltd.臨床事業治験薬のヒトでの有効性と安全性を確認する事業株式会社新日本科学臨床薬理研究所株式会社CLINICAL STUDY SUPPORTUniversity Medicines International, LLC.SNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.株式会社新日本科学PPD(注)トランスレーショナル リサーチ事業経鼻投与製剤等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行いながら、基礎理論を臨床の場で実証することにより、付加価値を高めて事業化する事業等当社株式会社グリフィンバイオテックAXIS株式会社Translational Research USA, Inc.Ruika Therapeutics, Inc.Shin Nippon Biomedical LaboratoriesIndia Private Limitedメディポリス事業宿泊施設運営及び地熱発電事業当社SNBL Nature 株式会社株式会社メディポリスエナジーその他事業事務業務受託等SNBLアセットマネジメント株式会社ふれあい・ささえあい株式会社Bhutan Fortune株式会社福澤科技(嘉興)有限公司(注)Koufuku International Private Limited (注)持分法適用関連会社であります。 当社及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。 <セグメント系統図><会社別事業内容> セグメント当社(事業部)及び主な連結子会社所在地事業内容当社前臨床事業安全性研究所鹿児島前臨床試験を行っております。薬物代謝分析センター和歌山前臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。トランスレーショナルリサーチ事業TR事業カンパニー東京・鹿児島経鼻投与製剤等の開発を行っております。また、大学等との共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。メディポリス事業指宿ベイテラスHOTEL&SPA鹿児島ホテル宿泊施設を運営しております。主な連結子会社前臨床事業SNBL U.S.A., Ltd.米国ワシントン州前臨床試験を行っております。肇慶創薬生物科技有限公司中国広東省実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。臨床事業SNBL Clinical PharmacologyCenter, Inc.米国メリーランド州臨床(フェーズⅠ~フェーズⅢ)試験を行っております。㈱新日本科学臨床薬理研究所鹿児島・大阪・福岡・宮崎・東京・岐阜SMOとして臨床試験を支援しております。メディポリス事業株式会社メディポリスエナジー鹿児島地熱発電事業を行っております。 (4) 前臨床事業について 前臨床試験とは、製薬企業等により開発された被験物質(注1)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。実験動物を用いる前臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬事法等で定められております。当社グループで実施する前臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。前臨床試験の種類説明安全性試験単回投与毒性試験被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。反復投与毒性試験被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。生殖発生毒性試験被験物質の生体への適用が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。抗原性試験薬物がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。皮膚(光)感作性試験皮膚外用剤として用いる医薬品の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。遺伝毒性試験細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。がん原性試験被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。局所刺激性試験被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。吸入毒性試験吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。TK試験被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。特性試験被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。安定性試験被験物質の安定性を調べる試験です。薬理試験安全性薬理試験薬物の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。薬効試験薬物の有効性を評価することを目的として行われる試験です。薬物動態試験被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。 前臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬事法の下、GLP(注2)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注3)が指名した試験責任者(注4)の指揮監督の下で、試験計画書(注5)及び標準操作手順書(SOP)(注6)に従って適切に実施し、その成績を最終報告書(注7)として作成し、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注8)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。 委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。 前臨床試験を実施するにあたっては、GLPの厳格な適用並びに技術力を備えた人材の確保に加えて、飼育施設、試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器、資料保存施設等が充分に整った環境及び実験動物の確保が必要不可欠となります。当社及びSNBL U.S.A., Ltd.共に、試験の種類に応じた実験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設における諸設備の充実等を図っております。 当社グループの前臨床試験においては、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから実験動物の中で最も優位性が高いとされているサルを用いた試験を実施しております。サルを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。当社では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ採取が可能で、信頼性の高い試験が実施できます。サルの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、当社敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。(注1)被験物質:試験において安全性の評価の対象となる医薬品又は化学的物質、生物学的物質もしくはその製剤をいいます。(注2)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。昭和54年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、昭和58年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では平成8年の薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、平成9年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。(注3)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。(注4)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって各試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。(注5)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。(注6)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。(注7)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。(注8)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。(5) 臨床事業について 前臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、被験物質のヒトでの有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。 実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの前臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2)に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3)を得た上で、GCP(注4)、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5)及び薬事法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。 臨床事業とは、製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)並びに治験コーディネーターを派遣して現場での臨床試験を支援する事業(SMO事業)の二つがあります。 医療機関における臨床試験(治験)とCRO及びSMOの流れは、次のとおりであります。 医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO及びSMO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。当社グループのCROとSMOは共に前臨床事業で築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。① CROについて 当社は、平成11年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設して臨床試験の受託に注力しておりました。近年、臨床試験のCRO市場は、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」)や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中、グローバル試験を受注するには、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であるところから、いわゆる世界に網羅的に事業所を有するグローバルCRO(注9)とのアライアンスの締結が重要な鍵となっておりました。 こうした背景を踏まえて、当社の臨床事業部門は、グローバル試験のうち日本で実施される試験を受託すべく組織体制の国際化を進め、同時にグローバルCROとの提携を模索していたところ、Pharmaceutical Product Development, LLC.(以下「PPD」)から国内での合弁会社設立の提案を受けました。この提案を受ける形で、当社は、平成27年4月1日を効力発生日として当社臨床事業とPPDとの合弁事業会社を設立しました。具体的には、当社(臨床事業)を分割会社とし、PPDの日本子会社ピー・ピー・ディー・ジャパン株式会社を分割承継法人(分割後の商号;株式会社新日本科学PPD)とする会社分割を行いました。両社の日本における臨床事業を統合することで、当社は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、当社の持分法適用会社であります。 CROにおける治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容治験薬概要書の作成支援前臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確な治験薬概要書の作成を支援しております。治験実施計画書の作成支援治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書の作成を支援しております。同意説明文書の作成支援被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援しております。治験責任医師の選定治験実施医療機関の選定治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。治験薬割付治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示します。治験の依頼・契約医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。モニタリング治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。品質管理治験の品質管理を目的として行う点検業務です。データマネジメント(DM:DataManagement)治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。統計解析業務データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。総括報告書の作成支援治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の作成を支援しております。電子申請支援各種申請を支援しております。官公庁への申請書類提出支援官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。薬事コンサルティング新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティング業務です。 ② SMOについて 当社グループでは、連結子会社である株式会社新日本科学臨床薬理研究所において、平成12年1月にSMO事業を開始しております。現在、治験実施の提携施設として100以上の医療機関と提携しており、治験実施医療機関の職員に対するGCP教育やGCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書の作成支援等を行っております。また、適切な治験を適切な医療機関で適切な時期に実施・終了できるように、看護師や薬剤師等の資格を持つ正社員を育成して提携医療機関に常駐させるよう、取り組んでおります。治験領域としては、呼吸器系疾患、消化器疾患等のいわゆる生活習慣病の慢性疾患への治験支援が比較的多くなっておりますが、今後はがん治療、急性期疾患等の治験支援にも積極的に取り組む方針であります。 株式会社新日本科学臨床薬理研究所における支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりであります。業務の種類業務の内容GCP教育治験実施医療機関の職員(医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、医療事務員等)にGCP教育を行っております。CRC業務の受託教育研修を行った看護師、薬剤師及び臨床検査技師のCRCが、治験を担当する医師が行う業務を支援し、治験業務の効率化及び治験の品質向上について支援しております。標準業務手順書(SOP)の整備新GCPを遵守した治験実施医療機関用の標準業務手順書(SOP)作成について支援しております。治験審査委員会(IRB)の整備治験実施医療機関に既に治験審査委員会(IRB)が設置されている場合は、構成条件等が適切であるかを調査し、必要に応じて支援しております。治験事務局の支援治験実施医療機関に治験事務局がある場合は、その治験事務局との協議により治験業務をスムーズに進めるよう支援しております。また、治験に必要な契約書、症例報告書、原資料等の整備・保管・管理を支援し、治験依頼者からのモニター訪問時に治験事務局の対応を支援しております。 (注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印(又は署名)と日付が記入された同意書をもって証明されます。(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。平成元年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌平成2年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、平成9年3月に厚生省令として制定、平成10年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。(注5)標準業務手順書(SOP:Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。(注8)CRA:Clinical Research Associateの略語で、一般的には「モニター」と称します。治験依頼者により指名されたモニターが治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準に従って、実施、記録及び報告されることを保証するモニタリング業務を行います。(注9)世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。(6) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業について トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)事業とは、基礎研究から派生してくる有望なシーズや新たな技術、新規物質を発掘して、医薬品としての評価・承認に必要な前臨床試験や臨床試験を行い、基礎理論を臨床の場で実証して付加価値を高めて事業化へつなげていくことです。当社グループは、前臨床から臨床に至る医薬品開発の全プロセスを実施できる機能を有しており、長年の経験と実績を通じて、新規技術や物質の評価・事業化するノウハウをはじめ、人材面・資金面・経営面の支援を行うことができます。 当社では、経鼻投与技術を自社開発しており、この経鼻投与基盤技術を用いて、医薬品を経鼻的に投与できる製剤開発を行っております。具体的には、偏頭痛薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗アナフィラキシー薬、インフルエンザワクチンなどの経鼻製剤の研究を行っています。このほか、坑うつ剤で作用発現時間を早める新薬の開発、慢性関節炎の抗体治療薬の開発なども研究中です。(7) メディポリス事業について メディポリス事業では、地熱発電事業並びにホテル宿泊施設を運営しています。純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮した完全閉鎖式バイナリ―型地熱発電所(1500kw級)を建設し、売電事業を行っております。また、敷地内に建設されたメディポリス医学研究財団メディポリス国際陽子線治療センターと連携して、自然と健康をテーマにした指宿ベイテラスHOTEL&SPAを運営しております。(8) その他事業について 連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、農業、事務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。また、ブータン王国政府との合弁会社、Koufuku Internationalでは、ブータンの幼児死亡率を改善するために現地にチーズやヨーグルトを生産する工場を建設し、そこで生産されたチーズを日本のBhutan Fortune株式会社(連結子会社)で販売して得られた資金をもとに、ブータンの子供たちにヨーグルトを食べてもらうというコンセプトで事業を実施しております。