1887

日本国土開発(1887)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

建設業 建設・資材

事業の概要

  • 土木事業
    ダムや道路などの社会基盤整備や震災復興工事、太陽光発電所建設など幅広い工事の施工管理を行っています。
  • 建築事業
    オフィスビル、マンション、公共施設などの建設に加え、設計からリニューアルまで多様なソリューションを提供しています。
  • 関連事業
    不動産開発・賃貸・販売、再生可能エネルギー(太陽光発電)、墓苑事業などを展開し、安定収益源として注力しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 土木事業
    売上360.42億円、営業損失45.5億円で、社会インフラ整備や震災復興工事などを手掛けています。
  • 建設事業
    売上745.83億円、営業利益25.82億円で、オフィスビルやマンションなどの建築工事が主力です。
  • 関連事業
    売上127.23億円、営業利益59.05億円で、不動産開発や再生可能エネルギー事業が収益の柱となっています。
2025-05 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Engineering 事業 360 -46 -12.6%
Construction 事業 746 26 3.5%
RelatedBusinessReportableSegment 地域 127 59 46.4%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,766 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社18社、関連会社2社で構成され、主な事業内容とその位置づけは次のとおりであります。(1) 土木事業当社の土木事業は日本国内と東南アジアを拠点に、総合建設会社として、ダム、河川、橋梁、トンネル、道路、上下水道、造成工事等の社会基盤整備及び震災関連復興工事から、太陽光発電所建設工事まで幅広い工事の施工管理を行っております。建設材料のリサイクルを実現する「ツイスター工法」、自然材料を利用した新しい処分場覆土技術「キャピラリーバリア」、ゴミの減容化に対応する「動圧密工法」等を当社で独自に開発し、実用化を図っております。また、技術提案型の企業として、幅広い分野で積み重ねてきた様々な実績と経験を生かし、社会や時代の要請に応える「オンリー・ワン技術」の開発に力を注いでおり、現在では、マシナリーの活用による生産性の向上にも力を入れ、特にスクレーパの導入による大規模造成工事における工期短縮・省力化は、当社の強みとなっております。さらに、国土交通省が推進するi-Construction(建設工事の測量、調査、設計、施工、検査、維持管理や更新などのプロセスにICTを導入して、建設産業の生産性を向上させる取り組みのこと)に積極的に取り組み、ICTを調査、測量から施工、維持管理まで効果的に活用した土工事(無人飛行体を用いた写真測量による現況地形の3次元化や建設機械の自動化技術等を単独もしくは連携させた技術による施工の自動化)をはじめ現場の生産性を向上させるための技術開発にも力を入れております。子会社の国土開発工業株式会社は主に土木工事の施工及び建設用機械の製造・販売・賃貸を行っており、福島エコクリート株式会社は主に石炭火力発電所より排出される石炭灰を主原料とする路盤材等の石炭灰混合材料(製品名ORクリート)の製造販売を行っております。また、海洋工業株式会社は主に動圧密工法、リフューズプレス工法(廃棄物層内に特殊なスクリューオーガーを回転・圧入して、廃棄物を横方向に圧縮させ、さらに上部から表層の廃棄物等を孔内に投入して廃棄物を再締固めして減容化を図る工法)等による地盤改良工事等を行っております。 ANION株式会社は主に塩害対策を目的に樹脂材料やコンクリート材料に添加して使用する硝酸型機能性吸着材(製品名ADOXパウダー)の製造販売を行っております。(2) 建築事業当社の建築事業は公共施設、競技場等の大型施設、オフィスビル・マンション等の建造物(超高層建築)、マルチテナント型物流施設等、多岐にわたる実績を有しています。工事の工程管理、出来形管理、品質管理等、発注者が要求する管理基準を満たす高い施工管理能力に基づく高品質な建物の提供、及び設計・施工が可能である当社の強みを活かした「建築デザイン計画ソリューション」「建築事業計画ソリューション(お客様の計画の推進と課題解決を総合的にサポートし、プロジェクトの円滑な実現のご提案)」「建物価値再生ソリューション リニューアル・リノベーション・コンバージョン(経年劣化による利便性・機能性の低下、あるいは災害に対する安全性・耐久性の問題などを克服するだけでなく、デザインや機能に新たな付加価値を設けることで、資産価値の向上と収益性確保への貢献、また、コストと収益性の正確な分析・把握を行い、全面改修による既存の機能、用途とは異なる新しい建物への転換・再生のご提案)」「RE100達成の支援(電力コストダウンや再エネ比率の向上に向けた幅広いトータルソリューションのご提案)」「食品工場エンジニアリング(衛生管理対策に加え、セキュリティ対策、人や物の動線計画などの最適なご提案)」「免震エンジニアリング(地域性、地盤状況、建物特性等から免震を導入する建物の地震リスク予測を綿密に行い、免震による効果を解析して、最適なプランのご提案)」等お客様のニーズに合わせたソリューションの提供を行っております。これらの役務の提供にあたっては、様々な技術を用いております。また、子会社のコクドビルエース株式会社は主にリニューアル工事を主体とした建築工事の施工等を行っております。(3) 関連事業当社の関連事業は不動産開発・投資・賃貸・販売事業、再生可能エネルギー事業、墓苑事業等の事業を展開しております。不動産事業においては、ユリ伏見合同会社を営業者とする匿名組合に出資を行いました。再生可能エネルギー事業の太陽光発電事業では、当社は宮古発電合同会社を営業者とする匿名組合、松島太陽光発電合同会社を営業者とする匿名組合、延岡太陽光発電合同会社を営業者とする匿名組合、合同会社地域共生発電所を営業者とする匿名組合並びに田老発電合同会社を営業者とする匿名組合に出資を行いました。また、営農型の太陽光発電所を運営するJDCグリーンエナジー合同会社を連結子会社としております。当社グループが運営する再生可能エネルギー事業の具体的な取り組みは下記のとおりであります。 名称セグメント所在地出力発電時期売電契約先AMBIXソーラー富里関連事業千葉県富里市2.68 MW2013年12月東京電力エナジーパートナー㈱AMBIXソーラー会津坂下関連事業福島県河沼郡会津坂下町2.69 MW2016年10月東北電力㈱AMBIXソーラー水戸関連事業茨城県水戸市0.28 MW2017年1月東京電力エナジーパートナー㈱AMBIXソーラー宇都宮2関連事業栃木県宇都宮市1.41 MW2017年10月東京電力エナジーパートナー㈱AMBIXソーラー浜田関連事業島根県浜田市1.33 MW2015年12月中国電力ネットワーク㈱AMBIXソーラー益田関連事業島根県益田市0.50 MW2023年3月中国電力ネットワーク㈱AMBIXソーラー雲仙1関連事業長崎県雲仙市1.51 MW2015年5月九州電力送配電㈱AMBIXソーラー雲仙2関連事業長崎県雲仙市1.45 MW2017年11月九州電力送配電㈱田老太陽光発電所関連事業岩手県宮古市2.36 MW2015年10月東北電力㈱津軽石太陽光発電所関連事業岩手県宮古市1.61 MW2015年9月宮古新電力㈱東北電力㈱つくば未来センター関連事業茨城県つくば市1.11 MW2019年6月東京電力パワーグリッド㈱松島どんぐり太陽光発電所関連事業宮城県宮城郡松島町50.40 MW2020年12月東北電力㈱延岡くじら池太陽光発電所関連事業宮崎県延岡市12.60 MW2023年4月九州電力送配電㈱パワープラント四日市北小松太陽光発電所関連事業三重県四日市市10.50 MW2024年8月中部電力ミライズ㈱ 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競合激化による受注価格下落リスク、労務単価・資材価格高騰を請負金額に反映できないリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
「ツイスター工法」「キャピラリーバリア」「動圧密工法」等の独自技術やICT施工技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:建設市場の動向と競争激化 / 建設技術者・技能労働者の人材確保 / 労務単価及び資材価格の高騰
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

日本国土開発は建設業であり、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、または独占的IPに依存するビジネスモデルではない。ゼネコンとしての一般的な技術力やノウハウは存在するが、それが競合他社と明確に差別化され、長期的な競争優位となるほどの無形資産とは評価できない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

建設プロジェクトにおいては、一度契約したゼネコンが途中で変更されることは、プロジェクトの遅延や追加コスト発生のリスクから稀である。しかし、発注者(顧客)側は、価格や実績に基づいて複数のゼネコンを比較検討するため、顧客側のスイッチング・コストは限定的と言える。ゼネコン側からの顧客維持努力は存在するが、強固なスイッチング・コストとは言えない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

建設業は、ユーザーが増えることでサービスの価値が増大するようなネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。プロジェクトの受注は、実績、価格、技術力、信頼性などに基づいて決定されるため、プラットフォーム型ビジネスのようなネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

建設業は一般的に、資材調達、重機、人件費などのコスト構造が類似しており、個社で突出したコスト優位性を確立することは難しい。日本国土開発が特定の調達網や効率的な生産プロセスを持っている可能性はあるが、それが業界平均を大きく下回るほどの構造的なコスト優位性を持つとは断定できない。規模の経済によるコスト削減効果は限定的。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

日本国土開発は、特定のインフラ開発や大規模建築プロジェクトにおいて、一定の規模と実績を持つゼネコンである。これにより、大規模プロジェクトの遂行に必要なリソース(資金、人材、機材)を確保しやすく、プロジェクトの実行能力において一定の優位性を持つ。しかし、業界内にはより巨大なスーパーゼネコンが存在するため、絶対的な規模の経済による寡占的な地位とは言えない。

  • 独自技術
    建設材料リサイクルや地盤改良など、独自開発の「オンリー・ワン技術」で差別化を図っています。
  • i-Construction推進
    ICTを活用した測量から施工までの自動化技術で、現場の生産性向上と省力化を進めています。
  • 多様なソリューション
    建築事業では、設計から免震、リノベーションまで顧客のニーズに合わせた総合的な提案が強みです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 日本国土開発グループの経営の基本方針 当社グループは経営理念として「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を掲げています。この理念は、1991年4月に創立40周年を機に策定したもので、当時は「社会が直面している問題の解決とより良い社会の構築、快適環境の創造を通じ、ゆとりある社会づくりを目指す」、この想いを経営理念に込めました。30年以上経った今もこの想いは変わらず、SDGs達成を目標に取り入れる等、当社グループは全てのステークホルダーに対して「豊かな社会づくり」とは何かを考えてきました。 2022年7月から当社グループは、2030年までの長期ビジョンとして「社会課題を解決する『先端の建設企業』」を目指すべき姿と位置づけ、立ち向かう社会課題として「気候変動問題」「2030年問題」を設定し、脱炭素社会の実現や人口減少による担い手不足などの諸問題に対して当社グループが持つノウハウや知見を生かし、社会課題の解決に貢献できるよう取り組んでいます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①「中期経営計画2024」の振り返り 2023年5月期からの3カ年経営計画である「中期経営計画2024」において、土木・建築事業が2024年5月期に大幅損失を計上し、2024年7月に中期経営計画の計数目標の見直し(最終年度ROE10%水準→5%水準、営業利益110億円→40億円に修正)を行いました。 最終年度である2025年5月期に、前年度の損失計上を受け、土木・建築事業で受注審査の厳格化、管理・施工体制強化などを実施しました。その成果もあり、建築事業が回復基調に転じ計画を超える利益を計上、関連事業の販売用不動産の一部売却によるフロー収益や太陽光発電を中心としたエネルギー事業のストック収益などが貢献し、黒字化を達成しました。 一方、土木事業は3期連続の大幅損失計上となり、回復が遅れています。その結果、前中期経営計画における見直し後の財務目標においても計画未達(ROE2.0%、営業利益23億円)となりました。 非財務目標については、脱炭素の取り組みにおいて2050年のカーボンニュートラルの目標であるSBTイニシアチブの「SBTネットゼロ」目標の認定取得したほか、健康経営では「健康経営銘柄2025」(通算4回目)に選定されるなど、先進的な取り組みを実施することができました。 ②外部環境認識 海外経済においては、米国政権による各国への通商政策は不確定要素であり、地政学的リスクなどによる原材料・エネルギー価格の高騰や金融・資本市場の変動などの影響は先行き不透明となっています。国内経済は、雇用・所得環境の改善もあり、回復傾向が続いていましたが、海外経済の減速により、国内企業の収益なども下押しされ、成長ペースは鈍化が見込まれます。 国内建設市場は堅調に推移しており、脱炭素化関連投資、国土強靭化計画による公共投資が見込まれるものの、資材・労務費の高騰、少子化に伴う住宅建設投資減などもあり、収益性の低下も考慮に入れる必要があります。また、担い手不足が深刻化しており、人財の確保・育成に関連する人的資本の活用が求められるほか、労働時間削減や生産性向上につながるAI(人工知能)やICT(情報通信技術)などのDX(Digital Transformation)は加速すると見込まれます。一方、南海トラフ地震、首都直下型地震などの発生確率が高まっており、被災地の復旧復興に貢献する建設業の果たす役割は大きいと認識しています。  以上の外部環境認識、前中期経営計画で果たせなかった目標に対する経営課題などに対応するため、2028年5月期を最終年度とする3カ年経営計画「中期経営計画2027」を策定しました。 ③日本国土開発の目指す姿 我々が目指す姿は、経営理念である「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現することです。そのため、「気候変動問題」「2030年問題」を立ち向かう社会課題に掲げ、それらを解決する『先端の建設企業』となることを長期ビジョンとしています。“豊かな社会づくり”への貢献を目指し、経済的価値と社会的価値の相互作用により、企業価値向上を図るサステナビリティ経営を推進するため、マテリアリティ(重要課題)の刷新を実施した上で、新中期経営計画を策定しました。 ④「中期経営計画2027」のミッション  「中期経営計画2027」では、ミッションとして「持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築し、『成長軌道への回帰』を実現する」を掲げました。これは前中期経営計画の財務目標が未達となり、我々が2030年までを見据えて計画していた“成長軌道”について、この3カ年で再び元の軌道に戻すため、持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築することを最大の目的とします。中期経営計画の最終年度における計数目標は、ROE(自己資本利益率)8.0%、営業利益90億円とし、3カ年で投資総額740億円を実施する方針です。 ⑤各事業の取り組み<土木事業> 土木事業は、適正利益を確保した受注活動と施工管理体制強化により、事業体質を改善し、強みを活かした事業に注力して「持続的な安定事業への回帰」を目指していきます。「インフラリニューアル」「防災減災」「復興」への取り組みに注力し、“インフラソリューション”で社会課題解決に貢献します。<建築事業> 建築事業は、エリア別に注力マーケットを確立し、適正利益を確保できる受注活動を展開、品質管理を中心とした現場管理を徹底し、「安定事業から成長事業への脱皮」を目指していきます。設計・施工の品質向上はもちろん、積算・購買力強化に努め、当社グループのみならずお客様の収益力向上を図るとともに、竣工引き渡し後の管理維持も手掛け、お客様に寄り添う“建物のトータルサポーター”を目指します。 <関連事業> 関連事業は、投資・回収のバランスを意識した堅実投資でストック収益を伸ばし、開発不動産の適時売却によるフロー収益を積み重ねることで利益の拡大を図っていきます。不動産事業は、優良収益不動産の取得やアセットタイプの拡充、土地区画整理事業などを進めていくほか、新分野への挑戦を進めていきます。エネルギー事業は、自社開発案件の累計発電容量を2030年までに現在の127MWから200MWへの拡大を進めていきます。既存案件のバリューアップや屋根置き太陽光発電に取り組むこと、新分野への挑戦として蓄電池事業への参入なども加えて、長期安定適格太陽光発電事業者の認定を目指していきます。<新規事業> 新規事業については、「地域課題解決パートナー」として、日本全国の地域経済・地域社会への貢献、地域再興資源の創出支援を推進し、社会課題であるインフラリニューアルへの参入、気候変動問題に対応する再生可能エネルギーの普及に貢献していきます。 ⑥DX戦略 前中期経営計画においては、企業活動のあらゆる業務のDXを目指し、経営・業務システム、AI・RPAの導入、ICTを活用した測量や自動化施工、BIM/CIMの活用などを推進してきました。今後、これらのシステムやツールを導入・活用し、生産性向上、省人化、提供価値の最大化を目指していきます。そのためにも全社員のDX活用人財化、全社のDX活用体制の構築を進めるべく、人財と組織の変革の両輪で建設DXを実践していきます。 ⑦財務戦略と投資計画 財務戦略として、財務健全性の観点から「中期経営計画2027」期間中は自己資本比率40%以上、D/Eレシオ0.7倍以下を堅持してく方針です。自己資本は2024年5月期の大幅損失前の水準(790億円程度)を念頭に、最終年度は720億円の確保を目指していきます。 投資計画については、前中期経営計画において、キャッシュ・フローの不足から投資計画が未達となったことも踏まえ、新中期経営計画では収益力強化と事業基盤拡充に向け、有利子負債を戦略的に活用し、成長分野である関連事業(不動産事業、エネルギー事業)を中心に積極的な投資を実施する方針です。3カ年で740億円の投資を計画しています。 ⑧株主還元 配当政策では、前中期経営計画において安定した株主還元を実施するために導入した「DOE(株主資本配当率)」を継続して採用します。収益力の回復を前提に「DOE2.5 ~ 3.5%」を配当方針とし、最終年度まで順次引き上げを目指します。 ⑨市場評価と資本収益性改善への取り組み ここ数年の営業利益率とROEの低下、業績悪化による株価の下落などから、当社のPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回って推移しています。2025年5月期から「市場評価と資本収益性の改善」に向けた取り組みとして、ROE改善と、PER(株価収益率)向上を目指し、安定性・収益性・将来性・関係性の観点から取り組みを実行しており、今後もPBRの向上に努めていきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 日本国土開発グループの経営の基本方針 当社グループは経営理念として「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を掲げています。この理念は、1991年4月に創立40周年を機に策定したもので、当時は「社会が直面している問題の解決とより良い社会の構築、快適環境の創造を通じ、ゆとりある社会づくりを目指す」、この想いを経営理念に込めました。30年以上経った今もこの想いは変わらず、SDGs達成を目標に取り入れる等、当社グループは全てのステークホルダーに対して「豊かな社会づくり」とは何かを考えてきました。 2022年7月から当社グループは、2030年までの長期ビジョンとして「社会課題を解決する『先端の建設企業』」を目指すべき姿と位置づけ、立ち向かう社会課題として「気候変動問題」「2030年問題」を設定し、脱炭素社会の実現や人口減少による担い手不足などの諸問題に対して当社グループが持つノウハウや知見を生かし、社会課題の解決に貢献できるよう取り組んでいます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①「中期経営計画2024」の振り返り 2023年5月期からの3カ年経営計画である「中期経営計画2024」において、土木・建築事業が2024年5月期に大幅損失を計上し、2024年7月に中期経営計画の計数目標の見直し(最終年度ROE10%水準→5%水準、営業利益110億円→40億円に修正)を行いました。 最終年度である2025年5月期に、前年度の損失計上を受け、土木・建築事業で受注審査の厳格化、管理・施工体制強化などを実施しました。その成果もあり、建築事業が回復基調に転じ計画を超える利益を計上、関連事業の販売用不動産の一部売却によるフロー収益や太陽光発電を中心としたエネルギー事業のストック収益などが貢献し、黒字化を達成しました。 一方、土木事業は3期連続の大幅損失計上となり、回復が遅れています。その結果、前中期経営計画における見直し後の財務目標においても計画未達(ROE2.0%、営業利益23億円)となりました。 非財務目標については、脱炭素の取り組みにおいて2050年のカーボンニュートラルの目標であるSBTイニシアチブの「SBTネットゼロ」目標の認定取得したほか、健康経営では「健康経営銘柄2025」(通算4回目)に選定されるなど、先進的な取り組みを実施することができました。 ②外部環境認識 海外経済においては、米国政権による各国への通商政策は不確定要素であり、地政学的リスクなどによる原材料・エネルギー価格の高騰や金融・資本市場の変動などの影響は先行き不透明となっています。国内経済は、雇用・所得環境の改善もあり、回復傾向が続いていましたが、海外経済の減速により、国内企業の収益なども下押しされ、成長ペースは鈍化が見込まれます。 国内建設市場は堅調に推移しており、脱炭素化関連投資、国土強靭化計画による公共投資が見込まれるものの、資材・労務費の高騰、少子化に伴う住宅建設投資減などもあり、収益性の低下も考慮に入れる必要があります。また、担い手不足が深刻化しており、人財の確保・育成に関連する人的資本の活用が求められるほか、労働時間削減や生産性向上につながるAI(人工知能)やICT(情報通信技術)などのDX(Digital Transformation)は加速すると見込まれます。一方、南海トラフ地震、首都直下型地震などの発生確率が高まっており、被災地の復旧復興に貢献する建設業の果たす役割は大きいと認識しています。  以上の外部環境認識、前中期経営計画で果たせなかった目標に対する経営課題などに対応するため、2028年5月期を最終年度とする3カ年経営計画「中期経営計画2027」を策定しました。 ③日本国土開発の目指す姿 我々が目指す姿は、経営理念である「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現することです。そのため、「気候変動問題」「2030年問題」を立ち向かう社会課題に掲げ、それらを解決する『先端の建設企業』となることを長期ビジョンとしています。“豊かな社会づくり”への貢献を目指し、経済的価値と社会的価値の相互作用により、企業価値向上を図るサステナビリティ経営を推進するため、マテリアリティ(重要課題)の刷新を実施した上で、新中期経営計画を策定しました。 ④「中期経営計画2027」のミッション  「中期経営計画2027」では、ミッションとして「持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築し、『成長軌道への回帰』を実現する」を掲げました。これは前中期経営計画の財務目標が未達となり、我々が2030年までを見据えて計画していた“成長軌道”について、この3カ年で再び元の軌道に戻すため、持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築することを最大の目的とします。中期経営計画の最終年度における計数目標は、ROE(自己資本利益率)8.0%、営業利益90億円とし、3カ年で投資総額740億円を実施する方針です。 ⑤各事業の取り組み<土木事業> 土木事業は、適正利益を確保した受注活動と施工管理体制強化により、事業体質を改善し、強みを活かした事業に注力して「持続的な安定事業への回帰」を目指していきます。「インフラリニューアル」「防災減災」「復興」への取り組みに注力し、“インフラソリューション”で社会課題解決に貢献します。<建築事業> 建築事業は、エリア別に注力マーケットを確立し、適正利益を確保できる受注活動を展開、品質管理を中心とした現場管理を徹底し、「安定事業から成長事業への脱皮」を目指していきます。設計・施工の品質向上はもちろん、積算・購買力強化に努め、当社グループのみならずお客様の収益力向上を図るとともに、竣工引き渡し後の管理維持も手掛け、お客様に寄り添う“建物のトータルサポーター”を目指します。 <関連事業> 関連事業は、投資・回収のバランスを意識した堅実投資でストック収益を伸ばし、開発不動産の適時売却によるフロー収益を積み重ねることで利益の拡大を図っていきます。不動産事業は、優良収益不動産の取得やアセットタイプの拡充、土地区画整理事業などを進めていくほか、新分野への挑戦を進めていきます。エネルギー事業は、自社開発案件の累計発電容量を2030年までに現在の127MWから200MWへの拡大を進めていきます。既存案件のバリューアップや屋根置き太陽光発電に取り組むこと、新分野への挑戦として蓄電池事業への参入なども加えて、長期安定適格太陽光発電事業者の認定を目指していきます。<新規事業> 新規事業については、「地域課題解決パートナー」として、日本全国の地域経済・地域社会への貢献、地域再興資源の創出支援を推進し、社会課題であるインフラリニューアルへの参入、気候変動問題に対応する再生可能エネルギーの普及に貢献していきます。 ⑥DX戦略 前中期経営計画においては、企業活動のあらゆる業務のDXを目指し、経営・業務システム、AI・RPAの導入、ICTを活用した測量や自動化施工、BIM/CIMの活用などを推進してきました。今後、これらのシステムやツールを導入・活用し、生産性向上、省人化、提供価値の最大化を目指していきます。そのためにも全社員のDX活用人財化、全社のDX活用体制の構築を進めるべく、人財と組織の変革の両輪で建設DXを実践していきます。 ⑦財務戦略と投資計画 財務戦略として、財務健全性の観点から「中期経営計画2027」期間中は自己資本比率40%以上、D/Eレシオ0.7倍以下を堅持してく方針です。自己資本は2024年5月期の大幅損失前の水準(790億円程度)を念頭に、最終年度は720億円の確保を目指していきます。 投資計画については、前中期経営計画において、キャッシュ・フローの不足から投資計画が未達となったことも踏まえ、新中期経営計画では収益力強化と事業基盤拡充に向け、有利子負債を戦略的に活用し、成長分野である関連事業(不動産事業、エネルギー事業)を中心に積極的な投資を実施する方針です。3カ年で740億円の投資を計画しています。 ⑧株主還元 配当政策では、前中期経営計画において安定した株主還元を実施するために導入した「DOE(株主資本配当率)」を継続して採用します。収益力の回復を前提に「DOE2.5 ~ 3.5%」を配当方針とし、最終年度まで順次引き上げを目指します。 ⑨市場評価と資本収益性改善への取り組み ここ数年の営業利益率とROEの低下、業績悪化による株価の下落などから、当社のPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回って推移しています。2025年5月期から「市場評価と資本収益性の改善」に向けた取り組みとして、ROE改善と、PER(株価収益率)向上を目指し、安定性・収益性・将来性・関係性の観点から取り組みを実行しており、今後もPBRの向上に努めていきます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善に加え、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方で、海外景気の下振れや、米国の今後の政策動向、金融資本市場の変動等、引き続き 状況を注視していく必要があります。 建設業界においては、公共投資の底堅い推移や、民間設備投資の持ち直しの動きにより、建設投資全体としては 堅調に推移しております。しかしながら、コスト面では建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫等により、厳し い事業環境が続いております。 このような状況の中、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度の経営成績については、売上高は123,349百万円(前連結会計年度比9.1%減)、売上総利益は12,193百万円(前連結会計年度は541百万円の売上総損失)、営業利益は2,318百万円(前連結会計年度は9,404百万円の営業損失)となりました。また、経常利益は1,945百万円(前連結会計年度は9,343百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,332百万円(前連結会計年度は7,191百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)(土木事業)土木事業においては、売上高は37,727百万円(前連結会計年度比7.1%減)となり、利益面では、工事代金の回収懸念に対する貸倒引当金を計上したこと、大型工事において突貫工事等による工事費の増加を見込んだこと、及び連結子会社における大型下請工事で追加契約協議の難航に伴い損失を計上したことにより、セグメント損失4,550百万円(前連結会計年度は6,294百万円のセグメント損失)となりました。 (建築事業)建築事業においては、売上高は74,628百万円(前連結会計年度比15.4%減)であり、利益面は、選別受注を進めてきたことに加えて、不採算現場が竣工したことで案件の入れ替えが進み利益率が改善したためセグメント利益2,582百万円(前連結会計年度は3,612百万円のセグメント損失)となりました。 (関連事業)関連事業においては、販売用不動産等の売却により、売上高は12,772百万円(前連結会計年度比82.2%増)、セグメント利益は5,905百万円(前連結会計年度比187.2%増)となりました。 地域ごとの業績は次のとおりであります。①日本日本国内での売上高は113,009百万円であり、営業利益は2,078百万円となりました。②アジアアジアにおける売上高は10,339百万円であり、営業利益は239百万円となりました。  生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難なため、「生産の状況」は記載しておりません。 ① 受注実績セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)当連結会計年度(自 2024年6月1日  至 2025年5月31日)土木事業42,459△15.5建築事業105,24351.0関連事業12,72682.9合計160,43026.4 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ② 売上実績セグメントの名称売上高(百万円)前年同期比(%)当連結会計年度(自 2024年6月1日  至 2025年5月31日)土木事業36,042△11.2建築事業74,583△15.4関連事業12,72382.8合計123,349△9.1 (注) 売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載しております。 なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。 提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況① 受注高、売上高、繰越高期別種類別前期繰越高(百万円)当期受注高(百万円)計(百万円)当期売上高(百万円)次期繰越高(百万円)前事業年度(自 2023年6月1日至 2024年5月31日)建設事業土木55,10839,34994,45728,03866,419建築103,25162,372165,62480,82784,796小計158,359101,722260,081108,866151,215開発事業等305,5305,5615,53129合計158,390107,252265,643114,398151,244当事業年度(自 2024年6月1日至 2025年5月31日)建設事業土木66,41932,89899,31724,79474,523建築84,79695,043179,83964,549115,290小計151,215127,941279,15789,343189,813開発事業等298,7918,8218,78040合計151,244136,733287,97898,123189,854 (注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。従って、当期売上高にも係る増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。2.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度15.7%、当事業年度9.9%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。 当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの 福樺建設股份有限公司福樺建設富貴莊園案住宅大樓新建工程 新家坡建設股份有限公司新家坡建設中壢區青平段新建工程 ② 受注工事高の受注方法別比率工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。期別区分特命(%)競争(%)計(%)前事業年度(自 2023年6月1日至 2024年5月31日)土木10.489.6100建築47.652.4100当事業年度(自 2024年6月1日至 2025年5月31日)土木24.375.7100建築33.166.9100 (注) 百分比は請負金額比であります。 ③ 売上高期別区分国内海外合計(B)(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)(A)(百万円)(A)/(B)(%)前事業年度(自 2023年6月1日至 2024年5月31日)建設事業土木11,59616,442--28,038建築1,29671,8037,7289.680,827小計12,89288,2457,7287.1108,866開発事業等-5,531--5,531計12,89293,7777,7286.8114,398当事業年度(自 2024年6月1日至 2025年5月31日)建設事業土木15,1279,65690.024,794建築2,30951,90910,32916.064,549小計17,43761,56610,33911.689,343開発事業等-8,780--8,780計17,43770,34710,33910.598,123 (注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。国名台湾バングラデシュ計前事業年度(%)100-100当事業年度(%)99.90.1100 2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの 中日本高速道路株式会社新東名高速道路 秦野インターチェンジ工事 アール・アイ・シー・マネジメント株式会社多度町小山土地区画整理事業造成工事 サンヨーホームズ株式会社、住友不動産株式会社(仮称)大国町駅前計画新築工事 サムティ株式会社(仮称)大田区羽田1丁目ホテル新築工事 東急不動産株式会社(仮称)柏沼南物流施設計画新築工事 当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの ソーラー・フィールド4合同会社小松沢太陽光発電所建設工事 国土交通省関東地方整備局R3多摩川左岸二子玉川築堤護岸工事 東急不動産株式会社、株式会社長谷工コーポレーション(仮称)札幌市中央区南三条西1丁目計画 新築工事 パルシステム生活協同組合連合会パルシステムつくばみらいセンター新築工事 MIRARTHホールディングス株式会社(仮称)レーベン桃山台新築工事 3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。前事業年度該当事項はありません。当事業年度該当事項はありません。 ④ 繰越高(2025年5月31日現在)区分国内海外合計(B)(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)(A)(百万円)(A)/(B)(%)建設事業土木46,42427,0351,0631.474,523建築2,23577,54135,51330.8115,290小計48,660104,57636,57619.3189,813開発事業等-40--40計48,660104,61636,57619.3189,854 繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの 野村不動産株式会社、総合地所株式会社(仮称)Landport柏II新築工事 大阪府寝屋川北部地下河川 鶴見調節池築造工事(R5本体工) 集順生活科技股份有限公司集順生僑安案新建工程之三期工程 株式会社西京銀行(仮称)SKプロジェクト 野田ロジスティクス合同会社/三ヶ尾物流開発合同会社(仮称)上三ヶ尾地区物流施設計画開発工事(Aゾーン/Bゾーン) (2) 財政状態①資産の部資産は、機械、運搬具及び工具器具備品10,524百万円、受取手形・完成工事未収入金等10,146百万円、現金預金3,810百万円などの減少要因が、販売用発電設備14,989百万円、販売用不動産6,436百万円などの増加要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比5,027百万円減の140,649百万円となりました。②負債の部負債は、長期借入金5,617百万円、支払手形・工事未払金等4,205百万円などの減少要因が、短期借入金5,809百万円、未成工事受入金2,869百万円などの増加要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比2,866百万円減の74,219百万円となりました。③純資産の部純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益1,332百万円の計上及び配当金1,815百万円の支払いなどの結果、前連結会計年度末比2,161百万円減の66,429百万円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.1ポイント増の47.1%となりました。 (3) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少10,157百万円、未成工事受入金の増加2,869百万円等の収入要因が、販売用不動産の増加6,344百万円、仕入債務の減少4,205百万円等の支出要因を上回り、3,793百万円の収入超過(前連結会計年度は1,263百万円の支出超過)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出4,087百万円等の支出要因が、投資有価証券の売却及び償還による収入277百万円等の収入要因を上回り、3,876百万円の支出超過(前連結会計年度は1,471百万円の収入超過)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出13,512百万円等の支出要因が、短期借入金の純増額7,869百万円等の収入要因を上回り、3,788百万円の支出超過(前連結会計年度は2,092百万円の支出超過)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、18,136百万円(前連結会計年度末は21,947百万円)となりました。  (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金は、自己資金及び金融機関等からの借入により調達しており、当連結会計年度において、短期借入金及び長期借入金13,704百万円を調達しております。当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、当連結会計年度末においては、8,900百万円の当座貸越契約、13,100百万円のコミットメントライン契約及び3,000百万円のリボルビング・クレジット・ファシリティ契約を締結しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち,重要なものは以下のとおりであります。 (一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識)詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 (固定資産の減損)当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますが、市況の変動などにより、これらの前提条件に変更が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

事業リスク

  • 建設市場の変動
    景気後退や公共投資削減、競争激化による受注価格下落が業績に影響を与える可能性があります。
  • 人材確保の困難
    建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、人員確保が困難になると受注機会の損失や納期遅延のリスクがあります。
  • 資材価格の高騰
    労務単価や工事用資材の価格高騰が請負金額に反映できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,525 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 事業環境について①建設市場の動向国内外の景気後退や国及び地方公共団体の公共投資予算の削減等により、建設市場が著しく縮小した場合や今後競合他社との競争が激化し、民間工事における受注価格が下落する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、建設事業においては、ICT施工やDX戦略による省力化技術の確立により、市場の縮小にも柔軟に対応できる事業体質の構築に取り組んでおります。不動産開発事業・再生可能エネルギー事業を主とする関連事業による安定収益の拡大にも引き続き注力しており、直近3ヵ年においては当社利益の中核となっております。また、今後のさらなる市況の変化に備え新規事業への投資も強化しており、持続的な成長を可能とする収益基盤の変革を推進してまいります。②人材確保に係るリスク建設業界においては、建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社グループでは、計画的な人員確保に向けて「採用」「定着」「育成」の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。このリスクに対応するため、特に技能労働者の地位向上への取り組みとしてキャリアアップシステムの推進、優良職長認定制度、褒章につながる国土交通省の建設マスターへの推薦を行っております。また、DX化や独自の機械力を活用したICT施工による省人化、省力化施工によって施工効率の向上に挑戦してまいります。さらに、成果に見合った報酬が得られる人事制度の構築や労働環境の改善等の「働き方改革」に加え、タレントマネジメントの実施やエンゲージメントの向上等の「働きがい改革」を推進しており、優秀な人財の確保を採用市場でアピールしてまいります。当社グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンの活動として、経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となり、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しています。この活動推進に対して、経済産業省及び東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に4度選定されています。健康経営銘柄は従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる上場企業を選定するもので、建設業では最多となっております。また、上場企業に限らず大規模法人のうち保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人として、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人~ホワイト500~」にも6年連続で選定されております。今後もさらに従業員の健康増進に向けた活動を推進してまいります。③労務単価及び資材価格の高騰建設工事の施工は長期間に及ぶものが多いことから、契約期間中に想定外に労務単価や工事用資材の価格が高騰する可能性があります。単価の高騰分について請負金額に反映できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。このリスクに対応するため、労務状況の常時確認や主要資材の市場価格調査を行い、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。また、特に大きな影響が及ぶ可能性のある建築事業では、予め物価スライドに関して契約条項に盛り込むことを原則とすることで、資材価格の急騰等に対応してまいります。(2) 取引先の信用リスクについて景気の減速や建設市場の縮小などにより、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、案件採択にあたっては、施主の信用調査を実施後、その内容について審査委員会で審議を行い、経営会議(大口のものについては取締役会)への結果報告を経て承認する手続きとしており、与信判定に応じた工事代金の受領・支払などの取引条件の確保に取り組んでおります。 (3) 施工物の瑕疵について継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、本支店の管理体制の大幅な見直しを行い、施工支援や技術指導を行う部署を新設し、業務プロセスの見直しや管理基準の平準化を図っています。さらに、重点管理現場を中心に工程進捗・原価進捗のモニタリングを強化しています。(4) 建設活動に伴う事故について建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。事業部門とは独立した社長直轄の安全衛生管理室が各現場へ安全パトロールを実施するとともに、過去事例や他社事例に基づき教育を行うなど、指導・監督の下、安全管理には十分に配慮された体制で施工を行っております。また、すべての工事において、建設工事保険、賠償責任保険等の付保によるリスクヘッジも行っております。(5) 資産保有リスクについて営業活動の必要性から、投資有価証券・事業用不動産等の資産を保有しておりますが、時価が著しく低下した場合、評価損や減損損失の計上等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、事業用資産については、案件毎に定期的に減損リスク等を把握し、投資有価証券については、個別銘柄ごとに、株式保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、保有意義を見直し、取締役会にて保有の適否を検証しております。(6) 関連事業に係るリスクについて①不動産開発当社グループは関連事業として主力事業である土木事業及び建築事業とは求められるノウハウが異なる不動産開発事業を展開しております。当該事業に係るプロジェクトは事業期間が長期間にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や開発が想定どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、不動産開発事業は、関係部署による事前協議を行った上で、決裁基準に応じて経営会議・取締役会で厳格に判断を下しており、計画段階から着手後にかけて、常に事業リスクや環境変化の兆候を把握することに努め、適時適切に事業計画の点検と見直しを実施しております。②太陽光発電太陽光パネルの発電効率低下のリスクについては、適切なメンテナンス、モニタリングを実施する対策を取っておりますが、自然災害や事故等の原因で、発電所修復のための休業中に発電量が予定より大幅に減少した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、自然災害や事故等の原因による施設等の被害に関しては、各種保険に加入することでリスクの軽減を図っております。(7) 海外事業に伴うリスクについて海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、進出国の的確な情勢把握に努めており、テロ紛争・伝染病等の対応については、「海外緊急事態対応マニュアル」に基づき、役職員及び家族の安全を第一に捉え、進出国のリスク状況に応じては本邦への緊急搬送サービスや現地での適切な医療体制の確保の充実を図るなど危機管理体制の一層の強化に努めております。また、為替変動リスクに対応するため、予測しがたい急激な為替の変動に備え、必要に応じ為替予約などを通じ外貨建資産に対しヘッジを実施するなど、可能な限りリスクの回避をしております。 (8) 法的規制について建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。当社グループの各社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可等を受けております。現時点において、当該許認可等の取消となる事由に抵触する事象は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取消され又はそれらの更新が認められない場合、もしくはこれらの法律等の改廃又は新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、常に建設業法をはじめとした各種関連法令の制定改廃動向を予め把握するとともに、役職員及び専門工事業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しております。(9) 大規模災害に関するリスクについて地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、ゼネコンとしての社会的使命を果たすため、「事業継続計画」を策定しております。R&D拠点であるつくば未来センターと社員寮を、本社機能の代替拠点に設定し、臨機応変に対応できる体制を整えております。また、基幹システムはクラウドサービスを利用しております。サーバー群は停電、耐震性に優れたデータセンターに設置されており、データ保全もサービス内で実施されております。なお、震災時の社員安否の確認には、「事業継続計画」に基づき「安否確認サービス」を利用し、状況を的確に把握した上で、災害時に迅速な事業活動が行えるよう準備をしております。今後さらに災害時の情報共有を簡便且つ的確に実施できる仕組み、サービスを導入すべく取り組んでまいります。(10) 情報セキュリティリスクについてサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティ基本方針」の定めに従い、「情報セキュリティ基本規程」を基に情報セキュリティ全般に関して、適切な情報管理を徹底するよう努めております。また、各要領・マニュアルに基づいた「社員教育」を徹底し、全社の推進レベルの向上を図ることで、浸透したテレワーク体制にも対応を図っております。(11) 訴訟等に関するリスクについて国内外の事業等に関連しての訴訟、紛争、その他法的手続きにおいて、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、訴訟等につきましては、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築しております。(12) 工事における一定の期間にわたり収益を認識する方法について当社グループは、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。工事進捗度の見積りは、見積総原価に対する発生原価の割合をもって行い、工事請負総額に工事進捗度を乗じて完成工事高を算出しております。工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、現場の予算を基に、徹底した原価管理を行い、適宜決算に反映するようにしております。(13) 気候変動リスクについて 気候変動により自然災害が激甚化傾向にあり、気候変動に伴う物理的リスクとして、施行中工事への被害や施工遅延、自社所有物件への被害等により、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。 また、脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税の導入や、工事施工に係る各種法規制の強化に伴う大幅な建設コストの増加により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、このような気候変動に伴う事業への影響を重要な経営課題の一つと捉え、2021年10月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しており、2030年度までのCO2排出削減目標(いずれも2020年度比でScope1,2:42%削減、Scope3:25%削減)を設定しているほか、2050年におけるCO2排出量の実質ゼロに向けたネットゼロエミッションの実現を目標に掲げています。気候変動問題への取組につきまして、「サステナビリティに関する考え方及び取組」に詳細を記載しておりますので、そちらをご確認ください。

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