研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 209 |
| 2024-03 | - | 234 |
| 2023-03 | - | 354 |
| 2022-03 | - | 265 |
| 2021-03 | - | 309 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,506 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅におけるフローとストックの両分野に軸足を置き、長谷工版BIMをはじめとするデジタル技術を積極的に採用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに受注の拡大や利益の向上、及び、将来的な事業分野の拡大に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、当社の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発、②ストック開発、③環境技術開発、④そのために必要な基礎的な研究開発、以上の4つに重点を置きながら、特に工業化対応、木質化や省CO2材料等の環境対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、4,209百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりであります。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層の集合住宅等を対象に、生産性向上や品質向上を目的とした工業化・ICT活用等の技術開発を推進しております。特に、単純作業など、ロボット等に置き換えることが可能な作業について、機械による施工補助の検討を行っております。また、気候変動に対応した脱炭素に関する技術開発にも注力しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIMの導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工まで一貫した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。各種施工図の自動作成、根伐土量算出、コンクリート数量算出、仮設足場材自動拾いなどを実現しております。また、BIM連携による鉄筋、型枠加工図の効率化、各種製作図の効率化を行っております。CO2の排出量を削減する長谷工式環境配慮型コンクリートの「H-BAコンクリート」では、国土交通大臣による特別評価方法認定を取得することで住宅性能表示を適用するマンションをはじめ広く採用をしています。また、長期優良住宅法に適用するための第三者機関での証明を取得いたしました。物流倉庫への採用を見据えた膨張材の使用など適用を拡大しております。採用実績として、「大阪・関西万博パビリオン」、「ブランシエスタ目黒区中央町」(東京都目黒区、地上7階、101戸、下層RC造+上層4階木造・RC造のハイブリッド構造)、「ザ・パークハウスひばりが丘」(東京都西東京市、地上15階、140戸、他社事業で初の全面採用)等が竣工しており、累計施工量は10万㎥を超えました。商品開発分野として、住宅としての基本的で本質的な性能確保といった根幹は踏襲しつつ、住まいを最適な空間に“Fit”させることが可能な「Be-Fit」を、「ルネ松戸みのり台」(千葉県松戸市、地上12階、173戸)、「ブランシエラ川崎大島」(川崎市川崎区、地上6階、104戸)の2物件に先行して導入いたしました。② 超高層RC造集合住宅:超高層RC造集合住宅建築に関する更なる技術のレベルアップとして、Fc150級プレキャスト部材や鋼繊維補強高強度コンクリート(SFRC)の活用研究、超高層に対応したパーティション等の各種外装部材の開発に取り組んでおります。(2) 非住宅を対象とした技術の開発競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」などに継続参画し、物流・データセンター等の鉄骨構造関連技術の開発に取り組んでおります。施工実績として、連結子会社である不二建設と共同で施工した大阪・関西万博のパビリオンを竣工・引渡しました。 (3) 研究開発の新分野への展開木造関連技術に関しては、当社研究施設「長谷工テクニカルセンター」の敷地内に建設した音響実験棟において、木造の界壁・外壁の遮音性能試験、並びに、軸組床の床衝撃音試験等を実施し、性能を満たす仕様を開発しました。開発した技術を「ブランシエスタ目黒区中央町」(東京都目黒区、地上7階、101戸、下層RC造+上層4階木造・RC造のハイブリッド構造)で採用しました。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。当社作業所から発生した木質系廃棄物をバイオマス燃料として再利用し、発電施設で発電された再生可能エネルギーを作業所の仮設電力として使用する取り組みを進めております。今後も、更に環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、顔認証システム、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。2025年3月末までに新築賃貸マンション10物件、シニア施設2物件、リノベーション賃貸マンション1物件にICTを導入、稼働しております。加えて、既存分譲マンション「サウスオールシティ」(堺市西区、地上19階、791戸、2009年竣工)においては大規模修繕工事のICT化に伴い居住者向けICTサービス導入を既築マンションで初導入しております。ご入居者様のご利用状況・ご意見等を参考にしながら改善を図り、集合住宅の提供価値向上を継続検討いたします。その他、シニア施設スタッフの業務改善を目的としたICT導入によるグループ企業の支援や、コンピューターOSの権威であられる東洋大学INIADの坂村学部長と共創した実験住戸の制作など、外部機関・企業との協業も含め多岐にわたる取組みを行っております。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」、「騒音・振動を低減する工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレードアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。また、今後増加が見込まれる大規模修繕工事適齢期超高層案件において、居住者の負担を軽減するため、工期を短縮する工法などの検討を進めております。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発マンションにおける暮らしの付加価値向上を目指して、マンション住棟内のセンシング情報の見える化をICT導入により実現する取組みのほか、隣接する大型商業施設とのWebサービスによる情報連携の取組みを、サウスオールシティ(堺市西区、地上19階、791戸)で行なっております。また、「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」でのテーマとして、自主管理マンションを対象とした管理組合向けの新たな運営サービスの社会実証を行なったほか、生活質向上に向けてマンション入居者向けに立地周辺のサービス事業者との連携を促すWebサービス実現のための開発と社会実証に取り組みました。 また、当社グループ内の各種システムやデータを横断的に連携・分析・外部連携するための「グループ情報連携基盤」について、機能拡張を含めた各種開発に取り組み、運用を開始しました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、シニア関連事業における生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
FY2024|4,030 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅におけるフローとストックの両分野に軸足を置き、長谷工版BIMをはじめとするデジタル技術を積極的に採用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに受注の拡大や利益の向上、及び、将来的な事業分野の拡大に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発、②商品開発、③気候変動対応、④そのために必要な基礎的な研究開発、以上の4つに重点を置きながら、特に工業化対応、木質化や省CO2材料等の環境対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、3,820百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりであります。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と労働者不足、2024年問題の懸念に対し、中高層及び超高層の集合住宅等を対象に、生産性向上や品質向上を目的とした工業化・ICT活用等の技術開発を推進しております。特に、単純作業など、ロボット等に置き換えることが可能な作業について、機械化施工の検討を行っています。具体的には“集合住宅に特化した清掃ロボット”を開発しました。この清掃ロボットは、複数台を用いての実運用を見据えた現場実証を行い、他社へのリースも見据えた本格運用に向けて準備中です。また、気候変動に対応した脱炭素に関する技術開発にも注力しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIMの導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工まで一貫した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しています。各種施工図の自動作成、根伐土量算出、コンクリート数量算出、仮設足場材自動拾いなどを実現しております。また、BIM連携による鉄筋、型枠加工図の効率化、各種製作図の効率化を行っております。CO2の排出量を抑制する長谷工式環境配慮型コンクリートの「H-BAコンクリート」では、国土交通大臣による特別評価方法認定を取得することで住宅性能表示を適用するマンションをはじめ広く採用をしています。また、H-BAコンクリートの考え方は日本産業規格(JIS)に取り入れられ、先導する気候変動対応技術として位置づけられています。 東京では「ザ・ケンジントンレジデンス上池台」(東京都大田区、地上5階、42戸)、関西では「ルネ江坂 江の木町」(大阪府吹田市、地上11階、149戸)において主要構造部を含む全てのコンクリート(上池台は、基礎部分を除く)に採用しました。また、再生可能エネルギーに関しては、「サステナブランシェ本行徳」(千葉県市川市、地上5階、36戸)において、集合住宅の屋上部分のみならず壁面や手摺等に設置可能な太陽光発電システムの検証を行い、更に、水素を燃料とする純水素型燃料電池利用の実証実験を行ってまいります。商品開発分野として、住宅としての基本的で本質的な性能確保といった根幹は踏襲しつつ、住まいを最適な空間に“Fit”させることが可能な「Be-Fit」を、「ルネ松戸みのり台」(千葉県松戸市、地上12階、173戸)、「ブランシエラ川崎大島」(川崎市川崎区、地上6階、104戸)の2物件に先行して導入いたします。 ② 超高層RC造集合住宅:現在、「ドレッセタワー武蔵小杉」(川崎市中原区、地上23階、免振、160戸)、「(仮称)港区港南3丁目計画」(東京都港区、地上28階/地下1階、耐震、458戸)、「グランドメゾンThe池下ガーデンタワー」(名古屋市千種区、地上39階/地下1階、制振、200戸)、「シティタワー千住大橋」(東京都足立区、地上42階、制振、462戸)、他5物件を建設中であります。また、2024年3月期は、「NAGOYA the TOWER」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、435戸)、「エクセレント ザ タワー」(千葉市中央区、地上31階、制振、397戸)、「Brillia Tower 浜離宮」(東京都港区、地上32階/地下1階、免振、420戸)、「ローレルタワー堺筋本町」(大阪市中央区、地上44階/地下1階、制振、511戸)が竣工いたしました。更なる技術のレベルアップとして、Fc150級プレキャスト部材や鋼繊維補強高強度コンクリートの活用研究、超高層に対応したパーティション等の各種外装部材の開発に取り組んでおります。(2) 非住宅を対象とした技術の開発競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」などに継続参画し、物流・データセンター等の鉄骨構造関連技術の開発に取り組んでおります。現在、「(仮称)羽村市緑ヶ丘物流施設」(東京都羽村市、地上4階)、「LOGIBASE柏」(物流施設、千葉県柏市、地上4階)等を建設中です。また、2024年3月期は、「CBRE IM 千葉北Ⅳ」(物流施設、千葉市稲毛区、地上4階)等が竣工いたしました。(3) 研究開発の新分野への展開木造関連技術に関しては、当社研究施設「長谷工テクニカルセンター」の敷地内に建設した音響実験棟において、現在建設中の「(仮称)目黒区中央町一丁目計画」(東京都目黒区、地上7階、101戸、下層RC造+上層4階木造構造)で採用予定である木造の界壁・外壁の遮音性能試験、並びに、軸組床の衝撃音性能試験等を実施し、遮音性能を満足する仕様を開発しました。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。当社作業所から発生した木質系廃棄物をバイオマス燃料として再利用し、発電施設で発電された再生可能エネルギーを作業所の仮設電力として使用する取り組みを進めております。今後も、更に環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、顔認証システム、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。2024年3月末までに新築賃貸マンション8物件、シニア施設2物件、リノベーション賃貸マンション1物件にICTを導入、稼働しております。加えて、既存分譲マンション「サウスオールシティ」(堺市西区、総戸数791戸、2009年竣工)における大規模修繕時のICT化を進めながら、同時に分譲マンションでははじめて居住者向けICT導入を行っております。ご入居者様のご利用状況・ご意見等を参考にしながら改善を図り、集合住宅の提供価値向上を継続検討いたします。その他、コンピューターOSの権威であられる東洋大学INIADの坂村学部長と共創した実験住戸の制作や、シニア施設に導入しているオリジナル健康増進アプリの有効性を東京大学との共同研究成果として学会発表するなど、外部機関・企業との協業も含め多岐にわたる取組みを行っております。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」、「騒音・振動を低減する工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレードアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。また、今後増加が見込まれる大規模修繕工事適齢期超高層案件において、居住者の負担を軽減するため、工期を短縮する工法などの検討を進めております。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」において、初期検討顧客層の新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」では、提案される物件のAIレコメンド機能の向上を行いました。この他、マンション管理における管理組合向けの新たな運営サービスの社会実証を開始したほか、マンション入居者向けに立地周辺のサービス事業者との連携を促すWebサービス実現のための開発と社会実証に取り組みました。 また、当社グループ内の各種システムやデータを横断的に連携・分析・外部連携するための「グループ情報連携基盤」について、機能拡張を含めた各種開発に取り組み、運用を開始しました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
FY2023|4,290 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅におけるフローとストックの両分野に軸足を置き、長谷工版BIMをはじめとするデジタル技術を積極的に採用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに受注の拡大や利益の向上、及び、将来的な事業分野の拡大に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発、②商品開発、③気候変動対応、④そのために必要な基礎的な研究開発、以上の4つに重点を置きながら、特に工業化対応、木質化や省CO2材料等の環境対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、3,309百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりであります。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層の集合住宅等を対象に、生産性向上や品質向上を目的とした工業化・ICT活用等の技術開発を推進しております。また、気候変動に対応した脱炭素に関する技術開発にも注力しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIMの導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工まで一貫した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しており、根伐図の自動作成、根伐土量自動算出、基礎・基準階コンクリート数量算出、仮設足場材自動積算などを実現しております。また、BIM連携による鉄筋、型枠加工図の効率化、サッシ製作図の効率化を行っております。気候変動対応技術として、長谷工式環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」が新たに住宅性能表示「特別評価方法認定」を取得したことにより、住宅性能表示を行うマンションへの展開が可能となりました。また、再生可能エネルギーに関しては、余剰電力の最適な活用に向けた「自己消費型太陽光発電システム」に関する基礎研究や、集合住宅の屋上部分のみならず壁面や手摺等に設置可能な太陽光発電システムの検証を行い、更に、水素を燃料とする純水素型燃料電池利用の実証実験を行ってまいります。商品開発分野として、住宅としての基本的で本質的な性能確保といった根幹は踏襲しつつ、住まいを最適な空間に“Fit”させることが可能な「Be-Fit」の開発を完了いたしました。本商品は、家族構成の多様化、ニューノーマルといった環境変化に対応する新たなマンション企画に位置づけております。② 超高層RC造集合住宅:現在、「NAGOYA the TOWER」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、435戸)、「エクセレント ザ タワー」(千葉市中央区、地上31階、制振、397戸)、「ローレルタワー堺筋本町」(大阪市中央区、地上44階/地下1階、制振、511戸)、「Brillia Tower 浜離宮」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、420戸)、「ドレッセタワー武蔵小杉」(川崎市中原区、地上23階、免震、160戸)、「シティタワーズ板橋大山サウスタワー」(東京都板橋区、地上26階/地下1階、制振、239戸)、「(仮称)港区港南3丁目計画」(東京都港区、地上28階/地下1階、耐震、458戸)、「シティタワー千住大橋」(東京都足立区、地上42階、制振、462戸)、「(仮称)グランドメゾン池下ザ・タワーⅡ」(名古屋市千種区、地上39階/地下1階、制振、204戸)を建設中であります。また、2023年3月期は、「シエリアタワー大阪天満橋」(大阪市北区、地上30階/地下1階、制振、172戸)、「プレミストタワー靱本町」(大阪市西区、地上36階/地下1階、制振、353戸)、「白金ザ・スカイ」(東京都港区、地上45階/地下1階、制振、1,247戸)が竣工いたしました。更なる技術のレベルアップとして、Fc150級プレキャスト部材や鋼繊維補強高強度コンクリートの活用研究、超高層に対応したパーティションなどの開発に取り組んでおります。 (2) 非住宅を対象とした技術の開発競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」などに継続参画し、物流・データセンター等の鉄骨構造関連技術の開発に取り組んでおります。現在、「(仮称)千葉稲毛物流センター」(千葉市稲毛区、地上4階)、「(仮称)柏インター西物流施設」(千葉県柏市、地上5階)等を建設中です。また、2023年3月期は、「MCUD野田Ⅰ」(物流施設、千葉県野田市、地上3階)等が竣工いたしました。(3) 研究開発の新分野への展開脱炭素関連技術として開発した環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」については、現在施工中の「(仮称)大田区上池台5丁目計画」(東京都大田区、地上5階、42戸)において主要構造部を含む全てのコンクリート(基礎部分を除く)に採用する計画としております。木造関連技術に関しては、最上階を木質化した「ブランシエスタ浦安」(千葉県浦安市、地上7階、208戸)が、2023年3月期に竣工いたしました。また、当社研究施設「長谷工テクニカルセンター」の敷地内に建設しておりました音響実験棟が2022年12月に竣工し、現在計画中の「(仮称)目黒区中央町一丁目計画」(東京都目黒区、地上7階、101戸、下層RC造+上層4階木造構造)で採用予定である木造の界壁・外壁の遮音性能試験、並びに、軸組床の衝撃音性能試験等を行っております。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。当社新築工事作業所から発生した廃棄物をバイオマス燃料として再利用し、発電施設で発電された再生可能エネルギーを作業所の仮設電力として使用する取り組みを進めております。今後も、更に環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。「Feel G Residence」(㈱長谷工不動産所有賃貸マンション、神戸市西区、RC11階建、120戸)、「ブランシエスタ浦安」(当社所有賃貸マンション、千葉県浦安市、RC一部木造7階建、208戸)、「WORVE東京木場」(㈱長谷工不動産所有賃貸マンション、東京都江東区、RC12階建、128戸+店舗)、「WORVE大阪本町」(㈱長谷工不動産所有賃貸マンション、大阪市西区、RC14階建、181戸)、「ブランシエール蔵前」(㈱長谷工シニアウェルデザイン運営の介護付き有料老人ホーム、東京都台東区、RC23階建、151戸)の5物件が新たに稼働を開始しております。加えて、「ブランシエール蔵前」においては、運動習慣・食習慣の改善をサポートするオリジナル開発のアプリケーションを導入しました。ご入居者様のご利用状況・ご意見等を参考にしながら改善を図り、集合住宅の提供価値向上を継続検討いたします。 その他、大規模修繕工事の省人化などを目的にMR(Mixed Reality:複合現実)技術を用いて開発したタイル打診検査記録システムについては活用領域の拡充など、開発技術の更なる展開も図っております。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発 拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレードアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 当社グループの優位性のアピールを目的として、塗装の簡易劣化測定システムを開発いたしました。② 今後増加傾向にある排水管改修工事において、作業削減効果、CO2削減効果が期待できる排水管改修新工法を開発いたしました。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」において、初期検討顧客層の新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」では、提案される物件のレコメンド機能の向上を行うと共に、長谷工アーベスト販売提携物件以外などの提案物件数を増やしました。第三者管理方式の管理組合運営を実現するコミュニケーションツール「smooth-e(スムージー)」では、既存管理物件に加えて新築販売物件における更なる導入受注を図るべく、管理者業務遂行の迅速化を目的とした追加機能開発を行いました。この他、マンション管理やマンション立地周辺に関する様々な顧客へ向けたWebサービス実現のための開発に取り組みました。 また、当社グループ内の各種システムやデータを横断的に連携・分析・外部連携するための「グループ情報連携基盤」について、機能拡張を含めた各種開発に取り組みました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
FY2022|4,526 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅におけるフローとストックの両分野に軸足をおき、DXを見据えたデジタル技術等を積極的に活用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに受注の拡大、利益の向上、新たな事業モデルの創出、将来の事業改革に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発、②商品開発、③気候変動対応、④そのために必要な基礎的な研究開発、以上の4つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、3,923百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりであります。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層および超高層の集合住宅等を対象に、生産性向上や品質向上を目的とした工業化・ICT活用等、技術開発を推進しております。また、新たに気候変動に対応した脱炭素に関する技術開発にも注力していきます。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工まで一貫した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。音声入力検査システム、図面共有システム、搬出入管理システムによる現場管理業務の省力化、BIMモデル閲覧、超高層PCa梁分割システム、掘削工事にBIM座標データを連動した建機のマシンガイダンスといった様々なシステムとの情報連携が可能となります。今後、施工中や竣工後に得られる実データを引渡し後の管理や修繕に連携する仕組みなども構築していきます。基礎的研究として、木質化住宅の遮音性や耐風圧性能の向上、実大モデルによる耐地震性能の検証、150N級超高強度コンクリートの開発を行っております。また、気候変動対応技術として、長谷工式環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」を普及・促進すべく準備を進めているほか、運送時の建設資材の長距離輸送を鉄道に置き換えるモーダルシフトを試行しております。再生可能エネルギーに関しては、余剰電力の最適な活用に向けた「自己消費型太陽光発電システム」に関する基礎研究を行い、更に、集合住宅の屋上部分のみならず、壁面・手摺等設置面積の拡大に向けた検証を行っております。商品開発分野として、省エネ性と快適性に加え、空気洗浄機能を搭載した「全館空調システム」の開発を完了しました。本システムは、コロナ禍の在宅時間の長時間化に伴い、快適なテレワーク環境への貢献面でも強力な商品価値があると考えております。② 超高層RC造集合住宅:現在、「白金ザ・スカイ」(東京都港区、地上45階/地下1階、制振、1,247戸)、「プレミストタワー靱本町」(大阪市西区、地上36階/地下1階、制振、353戸)、「シエリアタワー大阪天満橋」(大阪市北区、地上30階/地下1階、制振、172戸)、「NAGOYA the TOWER」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、435戸)、「エクセレント ザ タワー」(千葉市中央区、地上31階、制振、397戸)、「ローレルタワー堺筋本町」(大阪市中央区、地上44階/地下1階、制振、511戸)、「ブリリアタワー浜離宮」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、420戸)、「ドレッセタワー武蔵小杉」(川崎市中原区、地上23階、免震、160戸)、「シティタワーズ板橋大山サウスタワー」(東京都板橋区、地上26階/地下1階、制振、239戸)、「(仮称)港区港南3丁目計画」(東京都港区、地上28階/地下1階、耐震、458戸)、「シティタワー千住大橋」(東京都足立区、地上42階、制振、466戸)を建設中であります。 また、2022年3月期は「ブランズタワー芝浦」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、482戸)、「プラウドタワー名古屋錦」(名古屋市中区、地上30階/地下1階、制振、360戸)、「シエリア大阪上町台パークタワー」(大阪市中央区、地上29階/地下1階、制振、112戸)、「パークシティ柏の葉キャンパス サウスマークタワー」(千葉県柏市、地上29階、制振、364戸)が竣工しました。更なる技術のレベルアップとして、鋼繊維補強高強度コンクリートの活用研究やFc36N/mm2を超える場所打ち杭に使用するコンクリートの充填性などの開発に取り組んでおります。(2) 非住宅を対象とした技術の開発競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」などに継続参画し、物流・データセンター等の鉄骨構造関連技術の開発に取り組んでおります。現在、「(仮称)千葉稲毛物流センター」(千葉市稲毛区、地上4階)、「(仮称)野田物流施設」(千葉県野田市、地上3階)等を建設中です。また、2022年3月期は、「京成リッチモンドホテル東京錦糸町」(東京都墨田区、地上12階)、「Spark SHIBUYA」(東京都渋谷区、地上10階)等が竣工しました。(3) 研究開発の新分野への展開脱炭素関連技術として開発した環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」については、現在施工中の「(仮称)西区学園東町計画」(神戸市西区、地上10階、120戸)において主要構造部を含む全てのコンクリートに採用する計画としております。木造関連技術に関しては、現在施工中である「(仮称)浦安市当代島計画」(千葉県浦安市、地上7階、208戸)の最上階を木質化する計画としております。また、当社研究施設「多摩テクニカルセンター」の敷地内に音響実験棟を建設しています。木造集合住宅の遮音性能確保に対して、効率的な技術開発を行っていきます。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。作業で発生した木くずをバイオマス燃料として再利用し、発電施設で発電された再生可能エネルギーを作業所の仮設電力として使用する取り組みを進めており、2023年4月までに切り替えが全て完了する予定です。今後も、更に環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用 「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。第1号物件「Feel I Residence」(㈱長谷工不動産所有の学生向け賃貸マンション、東京都板橋区、地上7階、72戸、2020年3月竣工)を皮切りに、第2号物件「ルネフラッツ谷町四丁目」(総合地所㈱所有の賃貸マンション、大阪市中央区、地上12階、131戸、2021年11月竣工)、第3号物件「コムレジ赤羽」(当社所有の学生・社会人・一般向け複合賃貸マンション、東京都北区、地上8階、340戸、2022年3月竣工)が稼働を開始しております。入居者の皆様のご利用状況・ご意見等を参考にしながら改善を図り、集合住宅の提供価値向上を継続検討いたします。その他にも、RFID(電子タグ)を活用した排水管通球試験システムによる検査業務効率化や、ロボットコンシェルジュを用いたコミュニケーションプラットフォームサービスの提供、MR(Mixed Reality:複合現実)技術を用いたタイル打診検査記録システムによる大規模修繕工事の省人化などを推進しています。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレードアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 生産技術開発分野として、外壁タイル診断において、効率、安全性、正確性を確保した壁昇降ロボットを用いた外壁タイル診断システムの開発を推進しております。② 建物の延命化として、作業環境が悪く、洗浄後の確認が困難とされる排水管洗浄において、定期的かつ確実に実施するべく、排水管を自動で洗浄する「エアジェットシステム」の開発を推進しております。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」において、リリース第1号サービスである、初期検討顧客層の新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」では、提案物件数を増やすことでレコメンド機能の向上を行いました。リリース第2号サービスである、Web上での一問一答形式のコミュニケーションで最適なマンションを提案する「ミナイエ」では、流通仲介物件に加え新築・賃貸物件までを含めたトータルなレコメンド機能を追加開発しました。リリース第3号サービスである、賃貸マンションオーナー向けのコミュニケーションツール「HOLiY(ホーリー)」では、追加機能開発として、首都圏・関西圏のオーナー様向けのマンスリーレポートのWeb化を実現しました。第4号サービスとして開発を進めていた、第三者管理方式の管理組合運営を実現するコミュニケーションツール「smooth-e(スムージー)」の一次開発が2021年7月に完了し、長谷工コミュニティ管理受託物件へのサービス導入を開始しました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
FY2021|4,078 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術を積極活用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取組むとともに、受注の拡大、利益の向上、新たな事業モデルの創出、将来の事業改革に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、3,905百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層物件を対象とした生産性向上、品質向上を目的とした工業化・ICT活用等、技術開発を推進してまいります。また、新たな価値を付与すべく商品開発を積極的に行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工まで一貫した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。当該BIMを2021年3月期より全設計・施工着工案件で採用しており、3Dデータを活用した施工技術の開発、及び体制構築を強化すると共に、建物管理段階においても設計・施工まで一貫したデータを活用していく所存です。外装関連では、生産性の低い部位を対象にPCa化を推進しており、その中のひとつとして、建築設備と一体化したメーターボックス床部PCa化の開発を完了しました。また、激甚化する自然災害に対応した新型パーティションを開発し、更にその発展形として意匠性を向上させたパーティションの開発を推進しております。内装関連では、「長谷工版BIM」との連携によるスラブ重量床衝撃音自動計算プログラムを開発し、鉄道等の外部騒音に対する高遮音対策仕様を策定しました。更に多様化するニーズに応えるべく壁掛けテレビ対応防振壁の開発を完了しました。商品開発分野として、個別宅配ボックスを全戸に標準採用し、共用部に落ち着いて仕事や勉強ができるプライベート空間を併設した「ルネ横浜戸塚」(横浜市戸塚区、地上7階、439戸)を竣工しました。② 超高層RC造集合住宅:現在、「ブランズタワー芝浦」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、482戸)、「プラウドタワー名古屋錦」(名古屋市中区、地上30階/地下1階、制振、360戸)、「シエリア大阪上町台パークタワー」(大阪市中央区、地上29階/地下1階、制振、112戸)、「パークシティ柏の葉キャンパス サウスマークタワー」(千葉県柏市、地上29階、免震、364戸)、「白金ザ・スカイ」(東京都港区、地上45階/地下1階、制振、1,247戸)、「プレミストタワー靱本町」(大阪市西区、地上36階/地下1階、制振、353戸)、「シエリアタワー大阪天満橋」(大阪市北区、地上30階/地下1階、制振、172戸)、「NAGOYA the TOWER 」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、435戸)、「(仮称)千葉市中央区中央2丁目計画」(千葉市中央区、地上31階、制振、397戸)、「ローレルタワー堺筋本町」(大阪市中央区、地上44階/地下1階、制振、511戸)、「ブリリアタワー浜離宮」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、420戸)を建設中です。 また、2021年3月期は「ローレルタワー御堂筋本町」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、241戸)が竣工しました。更なる技術のレベルアップとして、設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建ての超高層RC造集合住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでおります。(2) 非住宅を対象とした技術の開発競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」などに継続参画し、物流・データセンター等の鉄骨構造関連技術の開発に取り組んでおります。現在、「(仮称)京成錦糸町ビル計画」(東京都墨田区、地上12階)、「(仮称)渋谷区宇田川町オフィス」(東京都渋谷区、地上10階)等を建設中です。(3) 研究開発の新分野への展開脱炭素関連技術に関しては、二酸化炭素の排出量を削減する環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」を開発し、初めて建築物に採用しました。脱炭素社会の実現に向けた方策の一つとして普及展開を目指してまいります。木造関連技術に関しては、「ASUKAYAMA RESIDENCE」(東京都北区、地上5階、129戸)の共用棟において、木造遮音床仕様を開発しました。また、新たな中高層木造構造を可能とする架構形態の研究開発も推進しております。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。2020年11月より、作業で発生した木くずをバイオマス燃料として再利用し、発電施設で発電された再生可能エネルギーを作業所の仮設電力として使用する取り組みを開始しました。今後も、更に環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用 「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。開発技術の実用化も始まり、顔認証技術・各種センシング技術等を導入した次世代型集合住宅「Feel I Residence(フィールアイレジデンス)」(㈱長谷工不動産所有の学生向け賃貸マンション、東京都板橋区、地上7階、72戸)が2020年3月に竣工し、現在2号・3号物件への導入も進んでおります。その他にも、RFID(電子タグ)を活用した排水管通球試験システムによる検査業務効率化や、ロボットコンシェルジュを用いたコミュニケーションプラットフォームサービスの提供、MR(Mixed Reality:複合現実)技術を用いたタイル打診検査記録システムによる大規模修繕工事の省人化などを推進しております。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレ-ドアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 生産技術開発分野として、外壁タイル診断において、効率、安全性を確保した壁昇降ロボットを用いた外壁タイル診断システムの開発を推進しています。② 商品開発分野として、長谷工ノンブレース補強フレーム工法を開発しました。入居者が住みながら耐震補強工事が可能となるため、今後、管理組合へ積極的に提案してまいります。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発当社グループ全体のサービス関連事業における顧客獲得増大を目指し、ICTを活用した各種Webマーケティング施策、コールセンター機能の高度化・業務効率化等への投資を行いました。また、将来収益となる新たなビジネスモデル創出を目指し、サービスシステムの実証並びに開発を進めました。「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」による開発リリース第1号サービスである、新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」の物件レコメンド機能や、リリース第2号サービスである、Web上での一問一答形式のコミュニケーションで最適なマンションを提案する「ミナイエ」において、それぞれ簡易AI機能を搭載するなど、サービス提供における精度向上を実現しました。また、リリース第3号サービスである、賃貸マンションオーナー向けのコミュニケーションツール「HOLiY(ホーリー)」について個人オーナー等への利用提案を開始しました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。 「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。
FY2020|4,148 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術を積極的に活用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに、受注の拡大、利益の向上、新たな事業モデルの創出、将来の事業改革に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、3,034百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層物件を対象とした生産性向上、品質向上を目的とした工業化・ICT活用等、技術開発を推進してまいります。また、新たな価値を付与すべく商品開発を積極的に行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工及びグループ企業と緊密に連携した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」採用の実施設計案件は7割を超えており、2020年3月末には全案件で採用する体制構築を完了しました。今後は、マンション設計における普及・展開を図るとともに、BIMデータを活用した施工技術の開発、及び体制構築を推進してまいります。 外装関連では、生産性の低い部位を対象にPCa化・新部材開発を推進しており、ALC無溶接工法の玄関袖壁への適用拡大を行いました。また、従来の鋳鉄製雨水ドレンの錆び汚れといった課題から、樹脂製ドレン・ストレーナーを開発しました。内装関連では、間口の小さい住戸プランの採用が増える中、薄型下足入れ「Shoes Gallery」に対応した袖窓付玄関SD(スチールドア)を改良しました。また、生産性向上を目的に新型洗濯水栓を開発しました。商品開発分野として、名鉄不動産㈱と共同開発し、デンマークの住まいを意識したライブラリーラウンジや開放的なウッドデッキを企画した「エムズシティ新安城ブランシエラ」(愛知県安城市、地上15階、163戸)、及びスマートフォンやタブレットと連動して安全性を高めた戸別宅配BOX等を導入した「ルネ横浜戸塚」(横浜市戸塚区、地上7階、439戸)の販売が開始されました。また、外装デザインの意匠性向上を目的にアルミ手摺の新型デザインを開発しました。② 超高層RC造集合住宅:現在、「ローレルタワー御堂筋本町」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、241戸)、「ブランズタワー芝浦」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、482戸)、「錦二丁目7番第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事(A工区)」(名古屋市中区、地上30階/地下1階、制振、402戸)、「シエリア大阪上町台パークタワー」(大阪市中央区、地上29階/地下1階、制振、112戸)、「パークシティ柏の葉キャンパス サウスマークタワー」(千葉県柏市、地上29階、免震、364戸)、「(仮称)西区靱本町計画」(大阪市西区、地上36階/地下1階、制振、353戸)、「シエリアタワー大阪天満橋」(大阪市北区、地上30階/地下1階、制振、172戸)、「(仮称)名駅南二丁目計画」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、441戸)を建設中です。 また、当期は「ローレルタワー ルネ浜松町」(東京都港区、地上23階/地下1階、耐震、227戸)、「都営住宅28CS-101東(港区北青山三丁目・港区施設)工事」(東京都港区、地上20階、耐震、302戸)が竣工しました。超高層案件ではPCa部材を用いることが多く、BIMデータと連動させることで、構造・仮設計画に配慮した適正な梁PCa分割位置を生成するツール開発を行いました。これにより施工計画検討業務の大幅な削減が見込まれます。更なる技術のレベルアップとして、設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建ての超高層RC造集合住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでおります。(2) 生産技術・商品開発に必要な基礎的な研究音環境関連技術に関しては、超高層タワーパーキングにおける騒音対策仕様を策定しました。また、循環型社会を目指し、集合住宅における木造採用の促進を目的に、木造共用棟の企画設計マニュアルの整備を行いました。集合ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に向け、企画設計段階でZEH-M仕様の要件を満たす仕様組み合わせ及び概算コストを算出する支援ツールを開発しました。自然エネルギー利用技術に関する研究開発では、長谷工テクニカルセンターにおいて、地中熱を利用した集合住宅用輻射空調システムの開発、太陽熱を利用した新たな省エネ型給湯システムの開発等を推進しております。近年増加している自然災害対策に関する研究開発では、建物の安全性に加え、震災後の生活維持を目的としたハード・ソフト面の提案を盛り込んだ、災害に強いマンション提案仕様を整備しました。また、兵庫耐震工学研究センターの実大試験体において、国立研究開発法人防災科学技術研究所と共同で震動台実験を実施し、当社の基本的な仕様の内外装及び設備関連部材の安全性、耐久性の確認をしました。(3) 共同研究参画競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。 具体内容として、ドローンやAR・VR、RFIDタグなどを活用し、作業所における施工管理、建設資材管理の効率化・高度化に向け、実案件での検証を進めています。また顔認証技術・音声認識技術等の活用により、次世代型集合住宅に向けた「IoTマンション」の具体案件での採用に向けて開発に取り組んでおります。顔認証技術・地震センサー等の活用による、次世代型集合住宅「IoTマンション」第一号物件となる、「Feel I Residence(フィールアイレジデンス)」(㈱長谷工不動産所有の学生向け賃貸マンション、東京都板橋区、地上7階、72戸)が竣工し、稼働しました。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレ-ドアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 生産技術開発分野として、大規模修繕工事において、レール式ゴンドラ足場から躯体に乗り移る際の昇降ステップを改良し、作業安全性を向上させました。② 商品開発分野として、大規模修繕工事の周期を延長することを目的に、劣化試験等により外壁塗装材料及び鉄部塗装材料の選定を行い、保証期間を延長できる提案ツールを整備しました。今後、管理組合へ積極的に提案してまいります。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発当社グループ全体のサービス関連事業における顧客獲得増大を目指し、ICTを活用した各種Webマーケティング施策、カスタマーセンター機能の高度化等への投資を行いました。また、将来収益となる新たなビジネスモデル創出を目指し、サービスシステムの実証ならびに開発を進めました。「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」による開発リリース第一号となる、新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」を開始しました。 この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。 「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。
FY2019|3,910 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術を積極的に活用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに、受注の拡大、利益の向上、新たな事業モデルの創出、将来の事業改革に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,850百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 中高層及び超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層物件を対象とした生産性向上、品質向上を目的とした工業化・ICT活用等、技術開発を推進してまいります。また、新たな価値を付与すべく商品開発を積極的に行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① 中高層RC造集合住宅:生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工及びグループ企業と緊密に連携した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」採用の実施設計案件は5割を超えており、2020年3月末には全案件で採用する体制を構築する予定です。今後は、マンション設計における普及・展開を図るとともに、BIMデータを活用した施工技術の開発、及び体制構築を推進してまいります。外装関連では、生産性の低い部位を対象にPCa化を推進しており、その中のひとつとして屋上パラペットのPCa化が完了しました。また、2019年3月期に開発が完了したセットバックルーフの横走り通気管の固定型支持脚については、実案件での検証を経て施工方法の改良を行いました。 内装関連では、建築物のエネルギー消費性能基準(省エネ基準)、及び住宅性能表示制度に適合した「タイガー断熱フローHC(特許出願済)」の一般財団法人日本建築センターの評定を取得しました。また、内装天井における打込みアンカーの後施工を可能とする天井アンカープレート接着工法の開発を完了し、実案件での採用を図ってまいります。商品開発分野として、全住戸がコンセプトルームからなる賃貸マンション「ブランシエスタ白山」(東京都文京区、地上14階、63戸)を竣工させました。また、お客様の声を商品企画に反映した長谷工提案仕様「U's-style」に関し、新たなニーズを汲み取りアイテムの新規追加、改良を行いました。また、既に開発済みの、清掃しやすく傷や汚れに強いトイレユニットにおいては、ロータンクと手洗いカウンターを一体とした新たなバリエーションの開発や、将来的な上張り施工を可能とする新素材の開発が完了しました。また、国(経済産業省 資源エネルギー庁)が進める集合ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)向けに、ヒートポンプを内蔵した室外ユニットにエアコンと床暖房を組み合わせた「集合住宅用エアコン付ヒートポンプ床暖房」を商品化しました。② 超高層RC造集合住宅:現在、超高層タワー「ローレルタワー ルネ浜松町」(東京都港区、地上23階/地下1階、耐震、227戸)、「都営住宅28CS-101東(港区北青山三丁目・港区施設)工事」(東京都港区、地上20階、耐震、302戸)、「ローレルタワー御堂筋本町」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、241戸)、「ブランズタワー芝浦」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、482戸)、「錦二丁目7番第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事(A工区)」(名古屋市中区、地上30階/地下1階、制振、402戸)を建設中です。 また、2019年3月期は「品川イーストシティタワー」(東京都品川区、地上26階/地下1階、免震、363戸)、「プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー」(東京都品川区、地上29階/地下1階、免震、817戸)が竣工しました。更なる技術のレベルアップとして、設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建ての超高層RC造集合住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでいます。(2) 生産技術・商品開発に必要な基礎的な研究集合住宅の省エネ性能に関しては、建物省エネ性能を予測可能とする「省エネ計算設計支援ツール」の開発が完了しました。また、集合ZEH普及に向けた仕様の策定と性能と施工検証が完了しました。自然エネルギー利用技術に関する研究開発では、長谷工テクニカルセンターにおいて、地中熱を利用した集合住宅用輻射空調システムの開発、太陽熱を利用した新たな省エネ型給湯システムの開発等を推進しております。(3) 共同研究参画競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。(4) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(5) ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術の積極活用「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。 具体内容として、ドローンやAR・VR、RFIDタグなどを活用し、作業所における施工管理、建設資材管理の効率化・高度化に向け、実案件での検証を進めています。また顔認証技術・音声認識技術等の活用により、次世代型集合住宅に向けた「IoTマンション」の具体案件での採用に向けて開発に取り組んでおります。 (サービス関連事業)(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレ-ドアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 生産技術開発分野として、大規模修繕工事において、床からのアンカー固定が不要となる新型ブラケット足場を開発しました。これにより、居住者の動線確保が有利となり、アンカー施工時の騒音に伴う居住者負担の軽減や工期短縮が見込まれるため、管理組合に積極的に提案してまいります。② 商品開発分野として、コンクリートの中性化の進行から建物の劣化を予測する中性化余寿命推定プログラムを運用してきましたが、沿岸建物で問題になる塩害を劣化要因とした余寿命推定機能を新たに整備して、適用範囲の拡大を図りました。このプログラムを活用することで大規模修繕工事の適切な実施時期や、修繕工事による建物の延命効果を定量的に示すことができることから、他社設計施工案件を中心に大規模修繕工事の受注に向け有効活用していく予定です。③ その他基礎的な研究として、大規模修繕工事において、外壁タイルを張り替える際、既存のタイルとの色違いが問題となる場合があります。今回、タイルの色の不一致に繋がる要因を調査・整理したうえで、色差測定技術を確立して運用ルールを整備しました。今後は大規模修繕工事の営業ツールとして活用してまいります。(2) ICT技術を活用した顧客サービス開発当社グループ全体のサービス関連事業における顧客獲得増大を目指し、ICTを活用した各種Webマーケティング施策、カスタマーセンター機能の高度化等への投資を行いました。また、将来収益となる新たなビジネスモデル創出を目指し、サービスシステム開発の試行検証を進めました。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。 「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。
FY2018|4,258 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、これまで継続してきた安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むと共に、受注の拡大、利益の向上に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、埼玉県越谷市(平成30年4月に東京都多摩市へ移転)の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,343百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 次世代マンション企画の開発・提案次世代マンション企画“Beシリーズ”については、高層化への対応、妻側住戸のリビングルームの開放性向上、整形で広い室内空間の実現を目指した企画開発を進めてまいりました。今後も当社の提案力の強化を図るべく、時代やニーズに対応した次世代マンション企画の更なるブラッシュアップに取り組み、当社設計・施工案件へ積極的に提案を進め、採用促進を図ってまいります。(2) 中高層集合住宅を対象とした技術の開発大規模・高層物件等を主な対象として、建設技能労働者の不足及び高齢化への対応と、生産性と多様性を両立させ且つ品質向上等の更なる推進のため、構造躯体の工業化・PC化、低生産性部位の整理と更なる省力化、長谷工オリジナルの新商品開発及び設計・施工情報のIT化等の積極的な推進展開を行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① サポート関連:働き方改革や技能労働者不足に対応するため、労務効率の向上を目指した工業化工法の開発を行うとともに、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を利用した設計段階から生産技術を考慮する生産システムの構築などに取り組んでいます。また、場所打ちコンクリート杭の杭中間部に拡径部を設けることで支持力及び引抜き抵抗力を増大させコンクリートや掘削土量等を削減して経済的で環境にも優しい新工法「HND-NB工法」を開発し、高層集合住宅への適用を進め水平展開を図っております。② クラディング関連:屋上工業化工法として、平成29年度に基本仕様化を完了した塩化ビニル系シート防水にも対応できる、屋上設備基礎の新型打込み型枠(角型枠・丸型枠)の開発を完了しました。また、セットバックルーフの横走り通気管の固定型支持脚の開発も完了し、平成30年度より実案件への採用を行ってまいります。その他、更なる工業化工法の推進を目的として、フルPCa階段の飾り壁の乾式化工法を確立し、案件を選定し採用推進していく予定です。③ インフィル関連:環境対応技術として、パッシブデザインを向上する住戸内通風システムを構築し、自然の風を住戸内に流す住戸内通風建具の開発を完了しました。また、野村不動産㈱と共同で、女性の視点を活かした商品づくりとして女性ならではの+αの考え方(おせっかい)を提案する『おせっかいアイテム集』として整備しました。内装工業化として推進中のトイレユニットについては、新たなバリエーションを開発中です。④ 設備関連:平成30年末より放送が開始される4K・8K放送に対応した新テレビ共聴システムの構築及び実案件での施工検証と受信レベルの確認が完了し、4K・8K放送が受信できることを確認しましたので、今後の設計・施工に活用してまいります。また、その他、技術開発として、省エネ性に優れた集合住宅用ヒートポンプ式床暖房の開発に着手しております。メーカーと共同で開発を進めておりますが、床温度上昇性能やランニングコストの算出等技術的な検証を終え、商品化に向けて最終調整中です。今後も労務省力化による生産システムの向上を図るとともに、品質確保や魅力ある商品づくりに取組んでまいります。 ⑤ 設計・施工情報のIT化関連:業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIMの導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工及びグループ企業と緊密に連携した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」採用の実施設計案件は着実に増加しており、更なる普及・展開へと取り組むとともに、販売シーンにおける活用の為BIMモデルからVR(バーチャルリアリティ)コンテンツを作成する「長谷工オリジナルBIMビューワー」システムを開発いたしました。第一号案件として「ルネ八王子トレーシア」(東京都八王子市、地上15階、86戸)にて採用しております。(3) 超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発現在、4件の超高層タワー「プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー」(東京都品川区、地上29階/地下1階、免震、817戸)、「品川イーストシティタワー」(東京都品川区、地上26階/地下1階、免震、363戸)、「ローレルタワー ルネ浜松町」(東京都港区、地上23階/地下1階、耐震、227戸)、「都営住宅28CS-101東(港区北青山三丁目・港区施設)」(東京都港区、地上20階、耐震、302戸)を建設中です。また、平成29年12月には、関西で「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、202戸)が竣工しました。各プロジェクトとも当社がこれまで実績を重ねてきた超高層技術の改良・改善を図りながら建設を進めるとともに、更なる技術のレベルアップとして,設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建の超高層RC住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでいます。(4) 省エネ・CO2削減など環境対応技術の開発自然エネルギーに関して、寒冷地における地中熱利用に引き続き、都市部での効率的な地中熱利用方法と効果に関する研究を進め、当社独自の「二重採熱管方式(特許出願済)」を開発しました。また、長谷工テクニカルセンターにおいて、集合住宅用輻射空調システムの開発、あらたな省エネ型給湯システムの開発に着手いたしました。 一方、集合住宅の省エネ性能に関しては、企画段階(設計初期段階)で性能評価を行う予測プログラムの開発とともに、国(経済産業省 資源エネルギー庁)が進める集合ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に対し、「集合ZEH-M Oriented」適合に向けた仕様の性能と施工検証を進めています。(5) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(6) 共同研究参画競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。 (サービス関連事業)ストック・リフォーム技術拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「住みながらの改修を可能にする、居住者の負担を軽減するための工法」の開発等、専有部では「住まいとしての機能の維持やグレードアップ提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 耐震改修に対応する技術:耐震改修におけるスリット工法用に小径コアを2孔同時に切削できる「マルチコアドリル」と、スリット側面の凹凸部を削って整形する「バリ取りビット」を開発しました。これらにより、作業時間が大幅に短縮することとなりました。今後、当社の耐震改修技術のメニューとして管理組合への提案を予定しています。② 大規模修繕に対応する技術:㈱長谷工リフォームが施工する改修工事の長期保証を可能とする技術開発に取り組んでいますが、塩化ビニル系シート防水工事に引続き、シーリング工事の保証期間を延長できる工法を検討しました。本工法は、新しいタイプのシーリング材を採用することで、シーリングの痩せや汚れ、防水性能の低下を防止できることから、保証期間の延長が可能な工法としての目途付けができました。今後、管理組合へ積極的に提案し改修工事の受注拡大を図ってまいります。③ その他改修に対応する技術:コンクリートの中性化の進行から建物の劣化を予測する中性化余寿命推定プログラムを運用してきましたが、沿岸建物で問題になる塩害を劣化要因とした余寿命推定機能を新たに整備して、適用範囲の拡大を図りました。このプログラムを活用することで大規模修繕工事の適切な実施時期や、修繕工事による建物の延命効果を定量的に示すことができることから、大規模修繕工事の受注に向け有効活用していく予定です。④ 専用部に対応する技術:断熱リフォームのニーズに対応するためにコンクリート躯体の内側に断熱材を張り付ける「後張り断熱工法」を開発しました。今後、断熱改修工事の受注に向け、本工法の採用を積極的に提案していく予定です。なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。 「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。
FY2017|4,295 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、これまで継続してきた安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むと共に、受注の拡大、利益の向上に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、埼玉県越谷市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,172百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 次世代マンション企画の開発・提案「基本性能の充実」、「可変性」、「環境+防災」という3つのコンセプトで開発した次世代マンション企画“Beシリーズ”については、さらに、高層化への対応、妻側住戸のリビングルームの開放性向上、整形で広い室内空間の実現を目指した企画開発を進めてまいりました。今後も当社の提案力の強化を図るべく、時代やニーズに対応した次世代マンション企画の更なるブラッシュアップに取り組み、当社設計・施工案件へ積極的に提案を進め、採用促進を図ってまいります。(2) 中高層集合住宅を対象とした技術の開発大規模・高層物件等を主な対象として、建設技能労働者の不足及び高齢化への対応と、生産性と多様性を両立させ且つ品質向上等の更なる推進のため、構造躯体の工業化・PC化、低生産性部位の整理と更なる省力化、長谷工オリジナルの新商品開発及び設計・施工情報のIT化等の積極的な推進展開を行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① サポート関連:技能労働者不足に対応するため、労務効率の向上を目指した工業化工法の開発を行うとともに、設計段階から生産技術を考慮する生産システムの構築に取り組んでいます。また、当社の保有技術である場所打ちコンクリート杭工法「HND工法」については、拡径部の支持力及び引抜き抵抗力を評価できる工法への改良に取り組んでいます。このほか、平成28年度にゼネコン5社で共同開発を行った免震構造の省力化、工期短縮が図れる「拡頭杭免震構法」を、現在建設中である長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に設けられる「住宅実験棟」に採用しました。② クラディング関連:屋上の防水仕様として15年保証に対応した塩化ビニル系シート防水(DNシート防水)について東西で基本仕様化が完了しました。また、ルーフバルコニーの躯体立上り部施工の省力化と型枠廃材削減を目的としたアルミ水切金物は、実地検証のうえ、基本仕様化が完了しました。その他、バルコニーのパーテーション(隔て板)において、デザイン性に配慮した床から天井までの「SHパーテーション」を開発しました。今後、当社設計施工の対象案件への採用を薦めてまいります。③ インフィル関連:内装関連付加価値商品として、移動可能な2つの収納ユニットにより家族構成やライフスタイルの変化に合わせて居室と収納の位置や広さを変えられる「UGOCLO(ウゴクロ)」を開発しました。今後、当社設計施工案件に可変性の高い間取りとして提案してまいります。また、建築物省エネ法に対応した断熱補強に用いる新しい断熱材として、「高流動湿式床用断熱材」を開発し、断熱補強部の施工性を向上しました。その他、平成28年度に開発した「樹脂一体型カーテンBOX」については新たな開発によりコーナー部への対応も可能となりました。 ④ 設備関連:水廻りレイアウトの自由度向上が図れる「サイホン排水システム」の開発については、キッチンディスポーザでの開発に続き、ユニットバス、洗面化粧台、洗濯機防水パンでの実用化に向けた技術検証と開発が完了しました。また、「2016年度グッドデザイン賞」及び「第15回環境・設備デザイン賞」を受賞しました。今後、さらに実地検証を行うとともに、適用部位拡大に向けた検討を進めてまいります。その他、技術開発として、共用給水管の工場プレハブ化・樹脂化及び排水縦管の樹脂化を行い、標準化したほか、従来単独配線にて施工していた住戸内のエアコン回路を、現在使用している電灯回路ユニットケーブル内に組み込む配線方式を開発しました。今後も労務の省力化による生産システムの向上を図るとともに、品質確保に取り組んでまいります。⑤ 設計・施工情報のIT化関連:業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用の為、建設BIM推進部を設置し、設計・施工及びグループ企業の現業部門と緊密に連携した「長谷工版BIM」のツール開発や環境整備等を強力に推進しております。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」採用の実施設計案件は着実に増加しており、更なる普及・展開へと取り組むとともに、既築施工案件でのBIMデータ整備によるリフォームでの活用や、BIMモデルからのVR(バーチャルリアリティ)コンテンツ作成による販売活用といったシステム開発にも着手しました。(3) 超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発現在、3件の超高層タワー「プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー」(東京都品川区、地上29階/地下1階、免震、817戸)、「品川イーストシティタワー」(東京都品川区、地上26階/地下1階、免震、363戸)、「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、202戸)を建設中です。各プロジェクトとも免震構造又は制振構造を採用しているほか、当社がこれまで実績を重ねてきた超高層技術の改良・改善を図りながら建設を進めています。また、「異種強度コンクリートを打ち分けた鉄筋コンクリート梁工法」(VERJON工法)等、新たな技術の採用にも積極的に取組み、更なる超高層の設計及び施工技術のレベルアップに努めております。(4) 省エネ・CO2削減など環境対応技術の開発集合住宅共用部における年間エネルギー消費量の把握を目的とした実測調査を当社設計・施工物件において行うとともに、自然エネルギーを利用した共用部の給湯・空調システム開発等、各種検証に向けた取り組みを進めました。 また、地球温暖化対策として、JISで規格化されたHFO断熱ウレタンの施工検証による確認を実施し、基本仕様化を完了しました。(5) 建設産業廃棄物削減対応 これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(6) 共同研究参画競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。 (サービス関連事業)ストック・リフォーム技術拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「住みながらの改修を可能にする、居住者の負担を軽減するための工法」の開発等、専有部では「住まいとしての機能の維持やグレードアップ提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 耐震改修に対応する技術:平成23年に一般財団法人日本建築防災協会の技術評価を取得した「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」は住みながらできる耐震改修工法として数多くの物件で採用されていますが、より広範な建物に適用できるよう技術改良を進めてまいりました。この結果、腰壁及び垂れ壁付き柱に限定されていた認定範囲を、袖壁付き柱や水平スリット等にも拡大して技術評価を更新した上で、㈱長谷工リフォームによる耐震改修工事に採用しました。② 大規模修繕に対応する技術:今後、免震建物の大規模修繕工事の増加が見込まれる中、大規模修繕工事中に地震が発生した場合に、足場脚部が滑動し、免震建物と外部足場が同調して動く工法を㈱長谷工リフォームによる大規模修繕工事にて採用しました。今後も、免震建物大規模修繕工事において本工法を提案し、採用を進めてまいります。また、屋上の防水改修においては、㈱長谷工リフォームが提案する防水改修技術として、一定の条件を満たした集合住宅において従来以上の長期保証を可能とする塩化ビニル系シート防水の採用目処付けが完了しました。今後は管理組合等へ対して積極的に提案し、大規模修繕ならびに改修工事の受注拡大を図ってまいります。③ その他改修に対応する技術:排水管の改修技術として、排水管の漏水部分を塩化ビニル形状記憶樹脂にてピンポイントで補修する「HJ インコア工法」について一般財団法人日本建築センターの建設技術審査証明を取得しました。本工法は、経年劣化で最も傷みやすい横引管との合流部のみを再生する工法として数多くの物件で採用されていますが、本性能証明取得を機に、他社との差別化技術として営業展開を図り、受注を強化してまいります。④ 専用部に対応する技術:換気口やエアコンの新設、追い炊き機能付き給湯器への更新等に伴う、既存集合住宅の非耐力壁へスリーブを新設する際に、ひび割れを抑制する補強工法を開発しました。今後、積極的に採用を提案してまいります。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
FY2016|3,928 文字
6【研究開発活動】当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、これまで継続してきた安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むと共に、受注の拡大、利益の向上に寄与する研究・技術開発を目指しております。活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、埼玉県越谷市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,020百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。 (建設関連事業)(1) 次世代マンション企画“Beシリーズ”の開発・提案「基本性能の充実」、「可変性」、「環境+防災」という3つのコンセプトで開発したマンション“Be-Next”、高層化を実現させた“Be-Next II”、妻側住戸のリビングルームの開放性をさらに向上させた“Be-Next L”に続き、更なる開放性を実現する「免震20階建・バルコニー側の柱梁型なし架構」“Be-Next M”の開発を進めました。“Beシリーズ”については、当社設計・施工案件へ積極的に提案を進めており、今後も当社の提案力の強化を図るべく、時代やニーズに対応した次世代マンション企画の更なるブラッシュアップに取り組んでまいります。(2)中高層集合住宅を対象とした技術の開発大規模・高層物件等を主な対象として、建設技能労働者の不足及び高齢化への対応と、生産性と多様性を両立させ且つ品質向上等の更なる推進のため、構造躯体の工業化・PC化、低生産性部位の整理と更なる省力化、長谷工オリジナルの新商品開発及び設計・施工情報のIT化等の積極的な推進展開を行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。① サポート関連:免震部材と杭を直接接合することで免震建物の基礎構造を簡略化でき、免震性能を発揮しながらも基礎工事の省力化・工期短縮が可能となる「拡頭杭免震構法」を、ゼネコン5社による共同開発にて行い、日本ERI㈱の構造性能評価を取得いたしました。本構法は、共同住宅をはじめ多くの建物用途に採用することが可能な技術であり、今後は当社設計・施工案件への採用促進を図ってまいります。このほか、当社の保有技術である杭工法「HND工法」に改良を加えることで、支持力及び引抜き抵抗力を更に向上できる場所打ちコンクリート杭工法の開発に取り組みました。② クラディング関連:屋上部分の防水立上り(パラペット)における躯体工事省力化並びに型枠廃材の削減を目的として、防水仕上げ端部を保護する、新たなアルミ水切り金物を開発いたしました。今後は当社設計・施工案件での施工検証を経て、基本採用化を進めてまいります。また、外壁ALC部材取付けにおいて、無溶接で取付け工事可能な、新たなALC取付け金物をALCメーカーと共同開発いたしました。③ インフィル関連:内装関連工事において、将来予想される熟練工の不足及び高齢化を見据え、内装部位の簡素化・ユニット化を目的として、「樹脂製一体型カーテンBOX」、「トイレユニット」を開発し、導入を進めました。今後は、当社設計・施工案件への標準採用化へ向けて導入を図ってまいります。④ 設備関連:従来の重力式排水方式と異なり、サイホン力を利用することにより、配管口径の縮小化、無勾配化及び水廻りレイアウトの自由度向上が図れる技術である「サイホン排水システム」を、野村不動産㈱、㈱ブリヂストン、㈱長谷工コーポレーションの3社で共同開発いたしました。第1段階として、キッチンディスポーザの排水に関する開発が完了いたしました。引き続き、ユニットバス、洗面化粧台、洗濯機防水パン等の水廻りに関する技術検証を行っており、実案件の採用へ向けた詳細検討を推進しております。また、基礎ピット内の共用給水管について、従来から採用している一般配管用ステンレス鋼管に比較して、工業化工法による労務省力化が可能なポリエチレン管の工場プレハブ加工方式の開発を行いました。⑤ 設計・施工情報のIT化関連:業務プロセス・生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用を推進する体制及び各種ツールを整備・開発を進めると共に、BIMモデルデータから積算数量を自動的に算出するプログラムの開発を進めました。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」の実施設計案件は、首都圏・近畿圏・東海圏において着実に増やしており、今後も「長谷工版BIM」を当社設計・施工の全物件に導入、展開するべく取り組んでまいります。(3) 超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発これまで開発した成果を反映させた当社設計・施工で、制振構造と工業化工法を採用した超高層RC造集合住宅「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス(タワー棟)」(東京都北区、地上29階、230戸)が完成いたしました。引き続き、設計技術及び施工条件に即した最適な構工法技術の確立などを図りながら、超高層対応技術のレベルアップに努めてまいります。(4) 省エネ・CO2削減など環境対応技術の開発都市部の集合住宅における更なる省エネルギー化を目指すため、地中熱等の自然エネルギー利用技術の効果検証を推進することを目的として、当社所有用地に実証実験装置を設置いたしました。(5) 建設産業廃棄物削減対応これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。(6) 共同研究参画競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」の活動に継続参画しております。 (サービス関連事業)ストック・リフォーム技術拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「住みながらの改修を可能にする、居住者の負担を軽減するための工法」の開発等、専有部では「住まいとしての機能の維持やグレ-ドアップ提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。① 耐震改修に対応する技術:平成23年に一般財団法人日本建築防災協会の技術評価を取得した「後施工部分スリット工法」について、平成28年に技術評価の有効期限を迎えるにあたり、より広範な建物へ適用できるように技術改良を進めました。② 大規模修繕に対応する技術:今後に増加が見込まれる、高強度コンクリートを採用した建物の改修工事への対応として、コンクリート強度を確保しつつ耐火性に優れた、新たなポリマーセメント補修材料を補修材メーカーと共同開発いたしました。今後は、超高層物件等の大規模修繕及び改修工事の受注時に提案を行い、採用を進めてまいります。また、マンションの大規模修繕工事において、車路や自転車置場、ピロティー等地盤面から仮設足場がかけにくい箇所を改善するための技術として、共用廊下等のコンクリート製手摺壁からの支持により仮設足場を設置できる「枠組足代対応型SKT金物」を仮設材メーカーと共同開発いたしました。今後は幅広く大規模修繕及び改修工事において提案を行い、導入を図ってまいります。③ その他改修に対応する技術:国土交通省による平成24年度住宅・建築物省CO2先導事業に採択され、平成26年3月に竣工した「エステート鶴牧4・5住宅」(東京都多摩市、356戸、29棟)の消費エネルギー実態調査を実施いたしました。この結果、㈱長谷工リフォームによる断熱改修工事後には、工事前の予測を上回る省エネ効果が得られていることを確認いたしました。今後は、この調査で得られたデータやノウハウを基に提案を行い、断熱改修工事の受注を強化してまいります。④ 専用部に対応する技術:換気口や排気ダクト、給気シャッター等の換気設備の経年劣化・性能低下を改善するための技術として、経過年数に応じた調査手法の確立と併せて、効率的な清掃・メンテナンス方法を開発いたしました。更に、機能保全ならびにグレードアップメニューの開発を行い、㈱長谷工コミュニティによる住まいのサービスメニューとして提案したことで、㈱長谷工コミュニティにおける清掃・メンテナンス工事の受注に繋がりました。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。