研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
1 |
| 2024-03 |
- |
10 |
| 2023-03 |
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23 |
| 2022-03 |
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13 |
| 2021-03 |
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16 |
研究開発活動(本文)
FY2025|7,471 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、[TAISEI VISION 2030]達成計画の「経営の基本方針(3)技術開発」において、取り組むべき技術領域を4つの領域「社会・環境問題(カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブ・労働環境等)」、「社会基盤強化(自然災害、インフラ)」、「地方創生(まちづくり・インフラ)」、「フロンティア対応(ビジネスモデル)」に特定し、これらに取り組むための視点・アプローチとして、「個別プロジェクトへの対応」、「生産性向上・生産プロセス革新への対応」、「建設周辺・新規事業への対応」、「将来課題の探索と革新的な取り組み」を定め、経営資源を戦略的に投入しております。 当連結会計年度における研究開発費は195億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 建設重機・機械の自動化に関する技術開発を促進 施工の無人化・省力化による生産性及び安全性を向上させるべく、以下のような成果をあげております。・自動運転リジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」と施工管理支援システム「T-iDigital® Field」の連携により、自動運転リジッドダンプ2台と、遠隔操作油圧ショベル1台を対象に、オペレーター2名による自動運転と遠隔操縦を実現しました。また、建設機械の制御等の取得データをデジタルツイン技術に展開することで、バーチャル空間において自動化建設機械の協調運転を検証しました。・SLAM技術を活用した位置情報取得技術「T-iDraw Map®」をタイヤ式の工事用車両に装備し、実大のトンネル実験施設及びトンネル建設現場で検証した結果、GNSSを利用できない坑内や地下においても実用速度である時速20kmでの自動運転が可能であることを実証しました。 引き続き燃費改善や施工時CO2排出量削減による環境負荷低減を目指し、建設機械における自動運転技術の更なる進化を目指してまいります。 (2) 最小限の車線規制で作業が可能な道路床版取替技術を確立 車両進行方向となる橋軸方向の床版接合を効率化する施工法として開発した「Head-barジョイント®」を、橋軸直角方向においても使用できるようにしました。従来工法では、幅員方向の継ぎ目へのプレストレス(圧縮力)の導入に加え、接合部への重層な配筋が必要となる課題がありましたが、一車線ごとに効率よく短工期で床版を取り替えることが可能となりました。 引き続き道路インフラリニューアルとしての貢献性が高い床版取替技術の適用と進化を目指してまいります。 (3) 山岳トンネル工事の省人化・自動化に関する技術開発を推進 山岳トンネル工事を対象に、生産プロセスDXやICT活用による技術開発を進め、以下のような成果をあげております。・発破掘削を震源とする長距離地質探査法「T-BEP®(=Taisei Blast Excavation Prospecting)」の受振器とその設置方法や信号を送る通信方法を改良し、簡便かつ効率的な計測装置の設置・測定作業を実施可能としました。・トンネル坑内の掘削出来形3次元計測システム「T-ファストスキャン®」を開発しました。本システムの適用により、従来の3Dレーザースキャナーを用いた方法と比較し、計測時間を最大87%削減することが可能となりました。・3D-LiDARを用いてコンクリート吹付け厚を定量的に計測、可視化して一括管理するシステム「T-ショットマーカー® アーチ」を、これまでのトンネルの切羽の鏡面(トンネル正面)に加えて、アーチ面にも適用することが可能となりました。 引き続き山岳トンネルでの作業効率や安全性の向上に資する取り組みを進めてまいります。 (4) コンクリートダム施工に用いるコンクリート打継面評価技術を開発 コンクリート打設した表面の弱く薄い層を削り取った表面処理状況の確認方法として、タブレット端末のカメラで撮影した画像とAI技術を活用する評価技術を開発しました。本技術の適用により、構造物の施工品質を左右するコンクリート打継面の処理の度合いが、定量的かつリアルタイムにタブレット端末で確認でき、品質管理の高度化や省力化を図ることが可能となります。 引き続きダム工事における生産プロセス改革としてのDX化に関する取り組みを進めてまいります。 (5) 連結子会社における研究開発の主なもの ピーエス・コンストラクション㈱は、全国で進められている高速道路リニューアルプロジェクトにおける大規模修繕工事として、プレストレストコンクリート橋のグラウト充填不良の対策に以前から取り組んでおり、他社に先駆けてグラウト再注入工法であるリパッシブ工法を開発しております。本工法では非常に狭いシース内の空げきに対する注入方法を確立し、亜硝酸リチウム水溶液を使用した鋼材の腐食対策も可能としており、これまでに全国で多数の施工実績があります。これから本格化する大規模修繕工事に対する顧客ニーズに合わせ、更なる改良として2024年度には低コストタイプを開発しました。 また、塩害による劣化が進む西湘バイパス大規模修繕工事では、現在、同社独自の脱塩工法にて施工を行っております。今後も顧客ニーズに応えるべく、技術開発を進めてまいります。 (建築事業) (1) 屋内外ワイヤレス給電技術の実証を開始 建物内外を走行する汎用小型車両や自律走行ロボットに無線で電力を供給できるワイヤレス給電床「T-iPower® Floor」を当社技術センター内に設置し、技術実証を開始しました。本実証を2026年まで継続することで課題を抽出し、屋内外で稼働中の自律走行ロボットへのワイヤレス給電技術の実用化に向けた研究開発に取り組んでまいります。 (2) AIを用いた技術開発を推進 「生産プロセスのDX」、「サービス&ソリューションのDX」の一環として、AIを用いた建築分野の技術開発において、以下のような成果をあげております。・生成AIと検索システムを融合し、建築施工に関する専門的な質問に対して正確な回答を迅速に提供できる「建築施工技術探索システム」を開発しました。本システムでは、利用者が専用アプリを介して入力した質問事項に対し、生成AIがシステム上で回答するとともに、建築施工技術に関する質問と回答から得られる専門知識やノウハウをデータベース化します。蓄積されたデータを基に、関係者間で的確かつ効率的に情報・知識を共有し、施工技術の確実な継承を行います。・360度カメラと画像認識AIを用いて建設現場の施工状況や資機材の所在などを確認できる「工事進捗確認システム」を機能拡張し、建設現場での本格的な運用を開始しました。壁・天井・床の内装工事など16種類の工種の進捗状況及び24種類の資機材の所在をAIが判断して図面化でき、現場確認業務にかかる時間を削減するなど建設工事のDX推進及び生産性向上につながる様々な効果を実証しました。・現実空間を仮想空間上に再現するデジタルツイン技術を活用し、2つの空間内のあらゆる情報をリアルタイムに相互連携させることができるデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発しました。石見銀山地区(島根県大田市)をモデルに、生成AIを用いてどこからでも様々な情報を自由に登録・参照できるシステムを構築し、地方創生の取り組みとして産官学民の協働による実証実験を開始しました。 引き続き最新のAI技術を取り込みながら、生産性向上や地域創生に役立つ技術の開発を推進してまいります。 (3) 木質建築の取り組みを推進 木質建築における技術開発において、以下のような成果をあげております。・「木質建築」について、木材の使用量や構造の特徴、環境保全への貢献度などを独自指標でまとめ、6タイプ7種類からなるプロダクトマトリクスを構築の上、都市部向け木質建築の標準的な形態を分かりやすく示したコンセプトモデルを作成しました。木質建築に対する建築計画段階での関係者間認識の相違や捉え方のばらつきが解消され、カーボンニュートラルの実現やウェルビーイングの向上に資する木質建築の普及促進に繋がることが期待できます。・木質耐火技術「T-WOOD® TAIKA」の1時間耐火木質柱・梁として、一般的なものに比べ大幅に軽量化した耐火材を部分利用することを特徴とした方式を開発し、大臣認定を取得しました。軽量化のために巻付けロックウールを採用し、柱・梁本体に接着剤を使わずにビス等で固定することが特徴であり、施工時の作業負担を軽減することができ、解体・分別や木材リサイクルを容易に行うことが可能となります。・小径木材では困難であったロングスパン構造と、小径木材の交換を容易に行うことができる設計法の適用により構造合理化と長寿命化を実現した木造人道橋を、当社技術センターに建設しました。建築用建材として一般に流通する小径木材の用途を大きく拡大し、木構造の採用増加に繋がることから、森林資源の利用促進に貢献してまいります。・柔らかく自在に曲げ・ねじることができる新しい木質材料「やわらかい木」を用いて独創的なデザインの提供が可能な木質網代(あじろ)構法「T-WOOD® Goo-nyaize」を開発しました。これまで普及が道半ばであった「やわらかい木」の利用促進と価値向上につながり、木造化や内装木質化の推進に寄与することが期待できます。 また、森林資源の維持や再生にも積極的に取り組んでおり、企業やNPO法人等との自然環境保全活動等について積極的に連携しております。 引き続き木質建築の普及・促進に寄与する技術開発と木質資源の循環利用に関する取り組みを推進してまいります。 (4) 音対策の取り組みを推進 完成後の建築物で露呈することのある音の問題に関する技術開発において、以下のような成果をあげております。・建物の外壁面における強風時の風騒音リスクを可視化し、騒音対策が必要な領域を特定できる技術「TSounds®-Wind」を開発しました。外装付属部材について風洞実験で計測された騒音データと建物周辺の風速・風向などの風シミュレーションデータを連携させて、騒音発生リスク箇所を3Dモデル上に色分けして表示することが可能で、建物外装計画の最適化を実現しております。・部屋の壁などに用いる建築部材の遮音性能を、数値解析により低コストかつ短時間で高精度に予測するシステム「TSounds®-Lab」を開発しました。遮音性能が不明な新しい壁部材等の使用に際し、従来の実大実験による評価手法と比較してコストと時間を低減でき、部材や構造の選定に向けた設計検討の大幅な合理化が可能となります。 引き続き居住者、執務者等へ快適な建物空間を提供する音対策技術の開発を推進してまいります。 (5) ZEB関連技術の取り組みを推進 省エネやカーボンニュートラルへの貢献性が高いZEB関連の技術開発において、以下のような成果をあげております。・再生可能エネルギーの最適な利用計画の立案と最大限の活用を図ることができる再生可能エネルギー需給一体型管理システム「T-Green BEMS® RE Optimizer」を開発しました。大成ユーレック川越工場において、再エネで得られた電力の自家消費・蓄電・水素変換・電力自己託送を組み合わせた最適利用について実証を開始しました。・既存建築物改修後の省エネ性能を設計前の段階で評価し、リニューアルによるZEB化の可能性を短期間で診断できるツール「ZEBリノベ@診断」を開発し、建築物リニューアルの初期診断業務での運用を開始しました。個々の建築物の特性に応じた最適な省エネ改修項目を短期間で選定して改修後の省エネ性能を事前に把握し、改修工事によるランニングコストやCO2排出量の削減効果を迅速に推定してZEB化の可能性を判断することが可能となります。・埼玉県幸手市に建設中の当社グループ次世代技術研究所研究管理棟において、建築物省エネルギー性能表示制度(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)における最高位と『ZEB』認証を取得しました。建物運用時の一次エネルギー消費量が設計段階において実質ゼロであることを第三者認証により確認し、同施設において国内初となる「ゼロカーボンビル(ZCB)」の実現を目指してまいります。 引き続きZEB化に寄与する技術開発や有効性の実証、ZEB化計画の導入判断の支援に資する技術を開発してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) 環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」シリーズの技術開発を推進 当社の特化技術T-eConcrete®の実績や知見を活かした取り組みとして、以下のような成果をあげております。・地盤改良工事に用いる固化改良材に「T-eConcrete®」の技術を応用し、セメント使用量をゼロとし、CO2排出量を大幅に削減できる「T-eCon®/地盤改良材」を実用化しました。・構造物を安定させるために地盤内にアンカーを固定する際に用いるグラウト材に「T-eConcrete®」の技術を応用し、製造時のCO2排出量を大幅に削減できる「T-eCon®/アンカーグラウト」を開発しました。・シールド工事でインバート(歩床コンクリート)の一部に石炭ガス化スラグ細骨材を有効活用した「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型」を、国内で初めて採用しました。「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型」の材料の“砂として”石炭ガス化スラグ細骨材を利用するもので、コンクリート構成材料における再生資源の利用割合を増やしました。・ごみの処理過程で生成する溶融スラグと、アルミニウム製品製造時の副産物(水酸化アルミニウム)を積極的に活用した「T-eConcrete®」を開発し、従来のコンクリートと同等の強度と作業性を確保し、道路用建材のL型側溝を試作しました。 引き続きカーボンリサイクルに寄与する当社の注力技術として、T-eConcrete®の技術開発と応用展開を進めてまいります。 (2) エネルギー・水の利用に関する取り組み 自然災害に見舞われた際の避難施設運営やBCPに役立てられることが期待されるエネルギー・水利用技術に関して、以下のような取り組みを推進しました。・大成ユーレック川越工場で製造した再生可能エネルギー由来のグリーン水素を、当社技術センターへ搬送し、燃料電池を用いて電力に変換し、施設間においてエネルギーを融通するBCP対策の実証を行いました。・当社技術センターの「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」で使用する「水」について、1年間にわたり技術実証を行い、この度、国内初となる「LEED Zero Water」認証を取得しました。新築・既存建物での雨水利用・雑排水再利用により上水使用量削減を推進し、環境負荷を低減できる建物の提案に役立ててまいります。 引き続きエネルギー・水利用の削減・有効利用を図る技術を開発してまいります。 (3) 有機フッ素化合物(PFAS類)の対策技術を開発 有機フッ素化合物(PFAS類)に対応したバリア材を開発し、汚染物質を含む地下水を地中で浄化し拡散を防止できる透過性地下水浄化壁工法「マルチバリア®」に適用した効果を確認しました。本工法は揚水や水処理を必要とせず、PFAS類等で汚染された地下水を長期間にわたりメンテナンスフリーで拡散防止することができるため、低コストで飲料水源の保全や敷地外への汚染物質の拡散防止が可能となります。 今後、「マルチバリア®」の対象物質にPFAS類を加えるとともに、引き続き地下水環境の保全に貢献してまいります。 (4) リアルタイムに工事進捗を共有可能な歩掛記録アプリ「ワクロク®」を開発 建設工事全般に共通する「生産プロセスのDX」の一環として、施工管理業務支援システム「T-iDigital® Field」の機能を拡張し、ウェブ画面上でのボタン操作だけで、リアルタイムに工事進捗状況を共有できる歩掛記録アプリケーション「ワクロク®」を開発しました。目視での歩掛確認や手作業での記録・データ入力が削減され、日報、帳票作成が不要になり、情報共有のリアルタイム性、即時性が格段に向上しました。 引き続き「T-iDigital® Field」の基盤整備やアプリ開発を推進し、DX技術の導入による建設現場の変革を目指してまいります。 (5) 脱炭素社会・循環型社会実現に貢献する更なる取り組み 大阪・関西万博の会場整備参加サプライヤーとして、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を使用した床仕上げ材をシグネチャーパビリオン「EARTH MART」に提供しました。また、海洋プラスチックをアップサイクル利用した外装材をEXPOアリーナ「物販棟」に適用しました。来訪された方々に当社のゼロカーボンやサーキュラーエコノミーに向けた取り組みについて広く知っていただき、様々な技術やサービスの提供により、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 また、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と、「NIMS-大成建設 革新的環境材料開発センター」を設置しました。本センターでは、カーボンニュートラル及びサーキュラエコノミーを実現するために豊かな社会基盤を構築する革新的な機能性を持つ建設用材料を開発します。マテリアルズインフォマティクス※などを駆使して、脱炭素性、リサイクル性、リユース性に優れた新素材の基礎研究、基盤技術開発とその実用化に取り組みます。NIMSは、主として物質・材料に関する基礎研究と基盤技術開発を担い、当社は、主として材料の建築物への適用性検証と普及展開を担います。※マテリアルズインフォマティクス: データ科学と機械学習を駆使して、所望の新素材の探索と設計を加速することで様々な材料開発を促進させる手法。近年ではAI技術も駆使して、大量の材料データを解析し、材料の特性予測や設計最適化も行われている。
FY2024|7,171 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、中期経営計画のグループ基盤整備計画:技術開発において、「オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを重点課題として特定し、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。 具体的には「洋上風力産業」、「物流・人流・土木インフラ産業」、「カーボンリサイクル産業」、「住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業」、「ライフスタイル関連産業」、「水素産業」、「原子力産業」、「食料・農林水産業」、「資源循環関連産業」の各分野において新技術の開発や効率化、低コスト化を推進しております。 また、「大型プロジェクト対応の特殊技術」、「高付加価値化・高品質化に資する技術」の開発も進めております。 当連結会計年度における研究開発費は186億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 建設機械の自動化技術の開発を促進 施工の無人化・省力化による生産性及び安全性の向上と、燃費改善や施工時のCO2排出量削減による環境負荷低減を図るために、自動運転建設機械の制御技術の開発・高度化に加え、自動化施工の適用範囲拡大を積極的に進めており、以下のような成果をあげております。・自動運転建機「T-iROBO® Bulldozer」の機能を拡張し、土砂山の位置・大きさ・形状などを検出して最適な押土経路を自ら決定することで、土砂の押出し・敷均し作業を自律制御可能なブルドーザを開発しました。 ・自動運転リジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」を「成瀬ダム原石山採取工事」(秋田県東成瀬村)に導入し、積込機械(バックホウ)との協調運転による骨材原石運搬作業の自動化を実現しました。 引き続き建設機械における自動運転技術の更なる進化を目指してまいります。 (2) 発破掘削の装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット®」を開発 山岳トンネル工事の発破掘削における切羽(トンネル最先端の掘削面)での装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット®」を開発しました。従来の装薬方法では作業員が装薬孔に火薬類を人力で装填していたため、切羽から土砂や岩が剥がれ落ちる「肌落ち」による災害リスクの発生が懸念されておりました。また、トンネル断面が大きく地山が硬質になるほど使用する火薬量が多くなり、切羽直下での作業時間も長くなることから、短時間で安全に効率よく装薬可能な仕組みの導入が求められておりました。本装置を適用することにより、切羽から数m離れた場所より迅速な装薬が可能となり、切羽近傍での作業時間が短縮されるため安全性及び生産性の向上を図ることができます。今後、全国の山岳トンネル工事に展開し、装薬作業における安全性及び生産性の向上に努めてまいります。また、引き続き本装置の機能拡張にも着手し、将来的にはトンネル掘削サイクル全体の完全自動化を目指してまいります。 (3) シールドマシンのローラーカッター交換システムを開発 シールドマシンのカッタービット交換工法「THESEUS工法®」の機能を拡張し、シールド機内からロボットの遠隔操作によりローラーカッターを交換可能とするシステムを開発しました。本システムの適用により、1個当たりの重量が数百㎏と重量物であるローラーカッターを安全かつ迅速に交換することが可能となります。従来は、掘削対象地盤が硬質で切羽の安定が確保される場合は、シールド機外から人力でローラーカッターを交換しておりましたが、巨礫を含む礫地盤では切羽崩壊を防止するために交換用立坑の築造や地盤改良が別途必要となり、工費増大や工期延伸の要因となっておりました。今後、岩盤や巨礫を含む礫層の掘進に対して本システムの適用を進めるとともに、対象地盤に応じてカッター交換システムを使い分けることにより、本工法の適用範囲拡大を図ります。また、カッター交換作業の全自動化を目指して、更なる安全性及び生産性の向上に向けた技術開発に取り組んでまいります。 (4) 施工管理支援システム「T-iDigital® Field」の機能を拡張 「生産プロセスのDX」の一環として、施工時の膨大なデジタルデータを活用して施工管理業務を支援するシステム「T-iDigital® Field」において、山岳トンネルとダム関連に係る機能を拡張しました。・山岳トンネル関連では、切羽(トンネル最先端の掘削面)作業に特化した総合管理基盤及び施工時に建設機械等から発生するCO2排出量を可視化する仕組みを構築しました。これにより、建設機械毎の稼動状況を可視化するなど工事関係者間で稼働状況をリアルタイムに把握することで、効率的な施工管理が可能となります。また、CO2排出量を可視化し、排出量の推移を表示するなど改善対象となる建設機械を常時把握することで、現場に配慮した建設機械の選定や即時の対策が可能となります。・ダム関連では、コンクリート骨材やダム堤体材料の粒度を、連続撮影した画像からAI画像認識を駆使してリアルタイムかつ高精度に把握することができる粒度管理システム「T-iTsubumil」を開発しました。これにより、使用材料の粒度分布を高精度に測定できるとともに、計測結果はクラウド上に保存され、遠隔からも即時に確認可能となります。 引き続き土工事や橋梁工事など適用工種の拡大を図るとともに、建設現場での施工支援アプリケーションを追加開発し、現場での適用による蓄積データの検証・分析及び各種データに基づいた施工・安全に関する管理機能の拡張を行うことで、DX技術による建設現場の変革を推進してまいります。 (5) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱は、東洋建設㈱並びに㈱フェクトと協働し、陸上の鉄筋コンクリート構造物で施工実績のあるガラス質膜塗装を、港湾の鉄筋コンクリート構造物へ適合させた「港湾コンクリート構造物 高機能型塗装『ワンダーコーティングシステムW-MG(マリンガード)』」を開発しました。本塗料は、以下の特徴があります。・遮塩性、遮気性及び遮水性に優れており、被膜層をコンクリート表面に形成することで、塩害等の著しい腐食環境下にある港湾構造物を保護します。また、ひび割れ追従性と耐候性にも優れており、長期的な保護効果が期待できます。・無色透明かつ長期的に透明度を維持できるので、塗布後もコンクリート表面の劣化状況や変状の進行を早期に発見できます。・塗り重ね時間が短いことから、作業期間を大幅に短縮でき、雨天待機が生じる港湾工事特有の海象による作業工程への影響を、最小限にすることができます。 今後、本塗料を通じ、インフラの長寿命化に貢献し、サステナブルな社会の実現に寄与してまいります。 ㈱ピーエス三菱は、現在全国で進められている高速道路リニューアルプロジェクトの床版更新工事に対して、プレキャストPC床版設計の生産性向上を目的に、プレキャストPC床版の自動製図システムをJIPテクノサイエンス㈱と開発し、これまでの設計業務に使用し効果をあげてきました。床版更新工事の豊富な発注量を背景に、設計業務に対する生産性向上のニーズが高まっていることから、2023年5月から「PCaSlab-D」(プレキャストPC床版自動製図システム)としてJIPテクノサイエンス㈱より外部販売を開始しております。ソフトウェア開発に関する収益化の取り組みは同社として初めての試みとなります。今後も、成長分野に対する設計・施工のニーズを把握し技術開発を進めてまいります。 (建築事業) (1) AIを用いた設備機器の最適消音設計システム「T-Optimus® Noise」を開発 室外機や冷却塔など音を発する設備機器が多数設置される生産施設等の設計に際して、騒音を基準値以下に抑制するための最適な消音装置の組み合わせを、AIの一種である「進化計算」を用いて自動で選定するシステム「T-Optimus® Noise」を開発しました。本システムの適用により、設備機器の複合騒音を基準値以下に低減する消音装置の無数の組み合わせの中から、最小コストでの配置パターンを短時間で選定することができ、設備騒音の対策コストと設計時間の大幅な削減が可能となります。今後、生産施設やごみ処理施設等設備騒音が懸念される建物の新築・改修に際し、低コストで効果的な騒音低減対策の設計手法として、本システムを積極的に適用してまいります。 (2) コンクリート床仕上げロボット「T-iROBO® Slab Finisher」に新機能を搭載 2016年に開発したコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO® Slab Finisher」に新機能を搭載し、コンクリート床仕上げの様々な施工局面において利用できるよう性能を向上させました。本ロボットが有するコテの回転方向を制御する機能や回転数・角度の可変機能を新たに搭載することで、コンクリートの硬化具合に応じた仕上げ作業を可能とし、その結果、本ロボットによる、コンクリート床の凹凸をなくし、コンクリート表面を密な仕上がりとする「アマ出し」作業及び徐々に硬化するコンクリートの表面を数回にわたりコテで均す「仕上げ」作業を実施可能としました。今後、建設現場への導入を随時進め、コンクリート床仕上げ作業の更なる省力化・効率化を図るとともに、建設現場の脱炭素化や労働環境の改善による建設業界のイメージアップにも活用してまいります。 (3) 複数人が同時に災害体験可能なメタバースシステム「T-Meta JINRYU」を開発 災害発生時の施設内の状況をリアルに再現した3次元仮想空間内において、複数人が同時に避難行動などを体験可能な災害体験メタバースシステム「T-Meta JINRYU」を開発しました。従来のシステムはVRデバイスを装着した個人に限定された災害体験にとどまっており、複数の被災者が周囲とコミュニケーションを取りながら避難行動をとるといった実際の災害時に想定される状況を再現することは困難でした。本システムの適用により、臨場感のあるメタバース空間が再現でき、火災時の炎や煙の拡散、群集の動きなどのシミュレーション結果に基づく最適な避難計画や効果的な災害対策の検証だけでなく、平時の人流を考慮した施設計画の検討などに有効活用することが可能となります。今後、本システムを避難計画や動線計画の検討はもとより、様々な用途の施設での防災・減災対策をはじめ、施設自体の活性化にも役立ててまいります。将来的には多様な解析結果と連携させたメタバース空間を構築・活用することで、より安全性及び快適性に優れた魅力的な空間づくりを進めてまいります。 (4) 次世代の業務スタイルへの変革を推進する「建設承認メタバースTM」の開発に着手 「生産プロセスのDX」の一環として、「建設承認メタバース-CONSTRUCTION CONTRACT(略称 C2QUEST)-」の開発を開始しました。今回の開発では、建築物の意匠・構造・設備などのデジタルデータが統合されたBIMを基に、クラウド上に建築物のメタバースを構築します。このメタバース上に発注者等への説明から仕様の決定といった承認までの情報をはじめ、プロジェクト関係者(発注者・設計者・施工者等)間での合意形成に必要なデータや建設承認に至る議事録など、あらゆる情報を一元管理し、施工現場における業務の効率化や働き方改革に貢献することを目指します。今後、BIMやメタバースに基づき、生成AIやゲームエンジン等の先進技術を活用した本システムの更なる技術開発を進め、施工現場での生産プロセスのDXを通じた建設業における次世代の業務スタイルへの変革に積極的に取り組んでまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) カーボンニュートラルの実現に向けた技術開発を推進 2050年のカーボンニュートラル実現に向けた技術開発・実施適用を強化しており、主に以下のような成果をあげております。・建物で消費する年間のエネルギー収支がゼロとなるZEBを既に達成している「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」に、高効率な発電による余剰電力の貯蔵が可能な「蓄エネルギーシステム」を新たに導入しました。低圧貯蔵が可能な水素吸蔵合金を用いた一連の水素変換設備と蓄電池を国内で初めて組み合わせて構築しており、石油など化石燃料由来の排出量の実質ゼロを達成することが可能となります。・埼玉県幸手市に建設中の当社グループ次世代技術研究所において、2023年9月より国内初の「ゼロカーボンビル」となる研究管理棟の建設を開始しました。脱炭素化に向けた先進的な技術の導入などにより、設計レベルで建物のライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとするカーボン・ネガティブを実現しております。・工場から排出されるCO2を資源化して利用することでCO2排出量収支がマイナスとなるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を国内で初めて、建築物の構造部材として当社技術センターに建設した人道橋の基礎部に適用しました。・日本海側東北地方CCS事業構想が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の2023年度公募事業である「先進的CCS事業の実施に係る調査」に採択されました。素材産業をはじめとする電化及び水素化等のみでは脱炭素化の達成が困難と想定される産業等から排出されるCO2の分離回収・出荷・船舶輸送・貯留に係る共同事業化に向けたスタディを進めるとともに、国内におけるCO2貯留候補地の選定作業を実施してまいります。 (2) 「ネイチャーポジティブ評価手法」の開発に着手 活動がもたらす自然環境への影響を、自然によって生み出される資源のストックである「自然資本」への配慮や経済的要素などの観点から定量評価する「ネイチャーポジティブ(NP)評価手法」の開発に着手しました。建設事業に特化し客観的に実証された評価手法としての確立を目指しており、本評価手法により、事業におけるNP貢献度を可視化し、投資家をはじめとしたステークホルダーに対する情報開示を支援することで、投融資獲得につなげることが可能となります。また、建設事業全体が自然資本に与える影響を定量的に把握・評価することで、建設業におけるNP実現に向けた取り組みを強力に推進することが可能となります。今後、本評価手法を用いたNP評価の一部について一般公開を予定しており、建設事業による自然環境への影響評価のニーズがある顧客が利用できるツールとして提供し、持続可能な社会の構築に向けたNP実現及び顧客の経営基盤強化に貢献してまいります。 (3) 生成AIを用いた専門技術検索システムを開発 専門知識が必要な技術に関する質問に対して信頼性の高い情報を迅速に提供することができる「専門技術検索システム」を開発しました。本システムの適用により、膨大な社内書類の専門技術データ・資料の有効活用が実現し、大幅な業務効率化と生産性向上が可能となります。今後、様々な専門分野において社内書類の技術データ・資料を有効活用して本システムの適用領域を拡げ、更なる業務効率化と生産性向上に取り組んでまいります。 (4) 建設用3Dプリンティング技術の開発を促進 コンクリート構造物の新たな施工方法として建設用3Dプリンティング技術「T-3DP®(Taisei-3D Printing)」の開発を推進しており、主に以下のような成果をあげております。・平滑な水平面上での造形を前提としている従来の3Dプリンティング技術に対し、斜面や曲面、凹凸面など任意の形状に沿わせてコンクリート構造物を構築できる業界初の技術を開発しました。・多関節ロボットと建設用3Dプリンティング技術を融合した製造装置により、大型の鉄筋コンクリート部材の現場施工を可能にする移動式3Dプリンティング技術を開発しました。本技術の適用により、製作可能な部材の大型化が実現するとともに、プリント用ノズルの三次元的なアプローチによって適正な鉄筋かぶりでの造形が可能となり、建設工事の更なる生産性向上を図ることができます。 今後、本技術の建設現場での実証により、更なる生産性向上を図るとともに、3Dプリンティングで製作した構造体の力学特性や施工法などに関するノウハウを蓄積し、構造躯体への本格適用など本技術の実用化に向けた取り組みを進めてまいります。 (5) 自動運転社会の到来で変わる「まちづくり」をリード 自動運転の社会実装促進とまちの活性化を目指して、自動運転がもたらす「まちの付加価値向上」や「暮らしにおける新しい価値創出」に向けた取り組みを推進しております。当連結会計年度は、自動運転に必要なソフトウェア開発などに取り組むスタートアップに出資し、「西新宿エリアの魅力を高める新たなモビリティ」として、継続的な走行と自動運転サービス事業の持続可能性について検証する取り組みに参画しました。引き続き信号情報の連携、トンネル走行支援技術といった路車間連携技術を中心とした研究開発を推進し、建設と自動運転やまちづくりを手掛ける各社と協力しながら、自動運転社会の発展に貢献してまいります。
FY2023|5,703 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、中期経営計画のグループ基盤整備計画:技術開発において、「オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを重点課題として特定し、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。 具体的には「洋上風力産業」、「物流・人流・土木インフラ産業」、「カーボンリサイクル産業」、「住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業」、「ライフスタイル関連産業」、「水素産業」、「原子力産業」、「食料・農林水産業」、「資源循環関連産業」の各分野において新技術の開発や効率化、低コスト化を推進しております。 また、「大型プロジェクト対応の特殊技術」、「高付加価値化・高品質化に資する技術」の開発も進めております。 当連結会計年度における研究開発費は168億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 協調運転制御システム「T-iCraft®」を南摩ダム本体建設工事に導入 複数の自動運転建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft®」を、(独行)水資源機構発注の「南摩ダム本体建設工事」(栃木県鹿沼市)に導入しました。今回の導入では、大型ブルドーザ2台、振動ローラ2台の自動建機を用いて、「敷均し」、「転圧」の施工を制御し、ダム堤体盛り立てに係る一連の作業の協調運転を実用化しました。今後、本工事において、自動ダンプとの連携を実証するとともに、現場適用におけるユーザビリティ向上を目指すなど本システムの機能拡張を図り、施工現場における更なるDX戦略を推進してまいります。 (2) コンクリート吹付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO® Remote Shotcreting」の本格運用を開始 2019年に開発した山岳トンネル工事に使用しているコンクリート吹付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO® Remote Shotcreting」に改良を加え、本格運用を開始しました。吹付け位置に複数のカメラを増設することで、操作者は切羽から十分離れた操作席から切羽近くに居るような臨場感を持ちながら作業を行うことが可能となります。従来の山岳トンネル工事におけるコンクリート吹付作業では、切羽近傍で作業する操作者の安全性や粉塵等による健康被害が懸念されておりますが、この改良で、より安全で効率的な作業環境を実現することができます。今後、本技術を全国の山岳トンネル工事に展開し、吹付作業における更なる安全性向上と作業環境改善を進め、生産性の向上に努めてまいります。また、今後の更なる技術開発により省力化・遠隔化を図り、将来的にはトンネル掘削サイクル全体の完全自動化を目指してまいります。 (3) 遠隔操縦式水中作業機「T-iROBO® UW」の硬岩掘削用アタッチメントを開発 ダムのリニューアル工事に適用実績のある遠隔操縦式水中作業機「T-iROBO® UW」に装着する硬岩掘削用アタッチメントを新たに開発しました。今回開発した、連孔スロット穿孔アタッチメント「T-A Slot Driller®」と穿孔・割岩一体型アタッチメント「T-A Rock Splitter®」の2機種は、水中での硬岩掘削が可能であり、また、既存の機種と併用することで、軟質な堆積土から硬質な岩盤まで様々な水中掘削を遠隔操縦により施工可能となります。これにより、従来は仮設桟橋から重装備となる掘削装置にて実施していた作業を軽減又は排除でき、工事の安全性と作業効率の向上が図られます。今後、ダムのリニューアルをはじめとする各種水中掘削工事において、本作業機を提案・活用し、工期短縮、コスト縮減及び作業の安全性確保を推進してまいります。 (4) 環境DNA分析技術を用いて希少両生類の水中生息状況を把握 水や土壌に含まれる生物由来(生物の破片、排泄物等)のDNA分析技術を用いて、従来の目視調査では困難であった、建設現場周辺の保全対象地域に生息する希少両生類(サンショウウオ類)の産卵期以降の水中での生息状況を把握することに成功しました。今後、より多くの生物に対し、本技術の適用可能性について検証を進めるとともに、建設工事における希少生物が生息する地域のより確実な把握と保全を目指して本技術の適用を積極的に提案し、自然と共生する社会の構築により持続可能な環境配慮型社会の実現に貢献してまいります。 (5) 国土交通省の「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」における「月面適応のためのSLAM自動運転技術の開発」の採択 SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術を活用し、当社が独自に開発した自己位置推定技術「T-iDraw Map®」の更なる高度化に向けた技術開発を進めており、国土交通省の「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」の無人建設に係る技術に対して「月面適応のためのSLAM自動運転技術の開発」を提案し、採択されました。今後、各種シミュレーションに加え、SLAM技術の実現可能性や施工性などを検証するための月面を模した環境での実証実験などを通じて、建設機械位置情報の正確な取得による自動運転実現のための技術確立に向け、更なる研究開発を推進してまいります。 (6) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱において、高速道路で採用している床板防水用のグースアスファルトの新製品として、混合物基準を適合しながら、アスファルト材料製造時の骨材加熱温度を従来よりも60℃低減することにより化石燃料使用量を抑え、CO2排出量をおよそ20%削減する「TRストロング―ス」を開発しました。本製品により、改質グースに防水機能を持たせることで、床板防水工の施工時間を従来より1/4程度短縮することが可能となります。既に高速道路本線で本製品を導入しており、今後、更なる路線への展開を目指してまいります。 (建築事業) (1) 木質建築の技術開発を促進 現代の建築に求められる性能や経済性を満たし、新築工事からリニューアルまで幅広く対応できる木造・木質建築のための技術として「T-WOOD®」シリーズの技術開発を推進しており、主に以下のような成果をあげております。・壁や柱等の木材の表面に透明な塗料を塗布するだけで耐燃焼性を向上させて準不燃材料に変える「難燃WOOD塗るだけ®」を開発しました。木材に難燃薬剤を事前に含浸させる従来の方法に比べて、大幅にコスト、施工手間を軽減しつつ、木材の質感を損なわない意匠性を向上させております。・火災時に木材が炭化して断熱層を形成する知見に着目し、安価で施工性に優れた準耐火構造部材を開発しました。鋼管柱の周囲にスギ、ヒノキなどの木板を、接着剤を使用せずにビスだけで組み立てることが可能となり、木材利活用促進に寄与する技術を確立しました。・CLT(直交集成板)などの木質系材料と石こうボードを組み合わせて、建築基準法の耐火性能を満足し、かつ高い遮音性能と意匠性を兼ね備えた間仕切壁「T-WOOD® Silent Wall」を開発しました。住宅居室、ホテル客室等の空間に適用できる「一般仕様」と吹抜空間等の壁高さが高い「大空間仕様」の選択が可能となります。 引き続き木材の利活用促進に関わる技術開発と適用を推進し、脱炭素社会や循環型社会の実現に貢献してまいります。 (2) 「グリーン・リニューアルZEB」を推進する新技術を開発・適用 既存建物の窓の断熱性能を大幅に向上させる高断熱窓システム「T-Green® DI Window」と、天井面に施工可能で照明器具の光反射効果を併せ持つ薄型放射空調ダクト「T-Green® Radiant Duct」を開発・適用しました。今回開発した新技術は新築建物でのZEB化実現はもとより、既存建物を改修工事によりZEB化する「グリーン・リニューアルZEB」への貢献も大いに期待できます。当社では関西支店ビル及び横浜支店ビルの改修工事にこれらの技術を適用しております。引き続きZEBにつながる技術開発に積極的に取り組み、新築建物のZEB化及び既存建物における「グリーン・リニューアルZEB」の推進を図り、2050年の脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 (3) 建設用3Dプリンティング技術を環境配慮コンクリート向けに展開 CO2排出量を削減する環境配慮コンクリートの開発で培った材料や製造技術のノウハウを活用し、建設用3Dプリンティング技術「T-3DP®(Taisei-3D Printing)」に適用可能な環境配慮コンクリートを国内で初めて開発しました。本技術で製作した建設部材は、コンクリートとしての性能を確保しつつ、複雑で多彩なデザインと機能を持ちながらCO2排出量の削減が可能となります。今後、建設用3Dプリンティング技術に環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」を組み合わせることで、バリエーションの拡大やデザインの高度化を図った多彩な環境配慮建材を提供し、更なるCO2排出量の抑制と脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 (4) 布製ダクトによるクリーンルームシステム「T-Flexible Cleanroom® Membrane」を開発 除塵と空気吹出しの機能を兼ね備えた多孔質膜の布製ダクトに着目し、従来の高性能フィルタ相当の除塵効果を発揮する軽量クリーンルームシステムを開発しました。半導体や電子部品、精密機器などの工場に設けられたクリーンルームでは、一般にパネル型塵埃除去フィルタやFFU(ファンフィルタユニット)が導入されておりますが、吊荷重が大きいことが欠点でした。本システムのダクトは軽量であることから、ローコストなクリーンルームの構築が可能となり、送風時の抵抗が少ない特性から運用時の省エネにもつながります。今後、新築建物だけでなく既存建物でのクリーンルーム構築に対しても本システムを積極的に提案してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) 環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」の技術開発を推進 建設事業で最も利用頻度の高い材料の一つであるコンクリートについて、資源の有効利用や二酸化炭素の排出削減・固定化を図る技術開発を推進しております。セメントの使用量を抑制し、通常コンクリートと同等の強度及び施工性を保持しながら、目的や用途、条件に応じて選択可能な4タイプ(建築基準法対応型、フライアッシュ活用型、セメント・ゼロ型、Carbon-Recycle)を実用化しており、主に以下のような成果をあげております。・「T-eConcrete®/建築基準法対応型」を場所打ち杭工法「T-EAGLE®杭工法」に適用して現場実証実験を行い、技術認証を取得しました。・自社施設以外では初めて、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を生産工場の門塀に適用しました。・独自の方式でコンクリートの練混ぜ時にCO2を噴霧して固定させるとともに、硬化後も強アルカリ性を保持して鉄筋コンクリート構造物にも使用できる「T-Carbon Mixing」を開発しました。 引き続き環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」の技術開発と適用を推進し、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献します。 (2) 雨水浸透・貯留機能の高い植栽基盤を用いた外構創出技術「T-GI® rain garden」を開発 雨水浸透・貯留機能の高い植栽基盤材を用いた外構創出技術「T-GI® rain garden」を開発しました。多孔質な火山砂利を採用するとともに、土壌中の空隙を確保するために粒径の異なる火山砂利を適切に配合した素材を用いることにより、雨水の浸透性と貯留性に優れた植栽用基盤材を実現しております。本技術により、都市部における水害を抑制し、緑地創出による多様な機能を発揮するグリーンインフラの整備が可能となります。今後、主に都市部における各種施設の外構緑地に対して本技術を積極的に提案し、グリーンインフラを活用した防災・減災及び生物多様性の向上に貢献してまいります。 (3) 高速道路に実装可能な無線給電道路「T-iPower® Road」の実証を開始 走行中の電気自動車(EV)に連続かつ非接触状態で電力を給電できる道路「T-iPower® Road」に関する実証実験を開始しました。本実証実験により、高速道路への実装及び中型車両や商用車が走行できる10kW無線給電道路に関する技術開発を加速させ、EVの長距離・連続走行を可能とする実用化システムの確立を目指します。今後、将来のカーボンニュートラル社会を見据え、低炭素化に対応したインフラの発展に貢献できるよう、走行中のEVに連続して電力供給可能な無線給電道路の実用化に向けた技術開発を進めてまいります。 (4) 河川工事の出水警報システム「T-iAlert® River」の機能を拡張 河川工事において、施工現場やその周辺流域の急激な水位上昇を予測し,出水が懸念される際、警報を配信する出水警報システム「T-iAlert® River」に、雨雲画像を用いてAIにより24時間先までの河川水位を予測する機能を追加しました。従来のシステムでは、予測のために河川の水位観測所の水位データが必要でしたが、今回の機能追加により、水位観測所のない河川においても適用が可能となり、従来よりも早い段階から予測結果の配信が可能となります。今後、より安全に人員や建設機械・資材などを守るため、水位観測所データに基づく従来のシステムとの併用により予測精度を高めながら、土木・建築工事を問わず本システムを積極的に活用してまいります。
FY2022|4,888 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、中期経営計画のグループ基盤整備計画:技術開発において、「オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを重点課題として特定し、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。 具体的には「洋上風力産業」、「物流・人流・土木インフラ産業」、「カーボンリサイクル産業」、「住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業」、「ライフスタイル関連産業」、「水素産業」、「原子力産業」、「食料・農林水産業」、「資源循環関連産業」の各分野において新技術の開発や効率化、低コスト化を推進しております。 また、「大型プロジェクト対応の特殊技術」、「高付加価値化・高品質化に資する技術」の開発も進めております。 当連結会計年度における研究開発費は152億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」セメント・ゼロ型のシールドトンネル全線への大量適用 コンクリート材料製造時のCO2排出量を大幅に削減できる「T-eConcrete®」セメント・ゼロ型を、シールドトンネル工法により施工される地中送電洞道のプレキャストインバート及び歩床部材に適用しました。本製品の適用により従来のコンクリートに比べ、材料製造時のCO2排出量を8割程度削減しております。当社が開発した「T-eConcrete®」シリーズは、普通セメント(ポルトランドセメント)の代わりに産業副産物を混合して製造する環境に配慮したコンクリートで、4種類のラインアップを揃えており、目的用途に応じた使用が可能となります。今後、同シリーズを有効な環境対策技術として、様々な場面で適用することでCO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を推進し、脱炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。 (2) 「カーボンリサイクルCO2地熱発電技術」の開発 当社と地熱技術開発株式会社は共同で、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が公募した地熱発電技術研究開発事業に応募し、「カーボンリサイクルCO2地熱発電技術」が2021年7月に採択されました。本技術は、高温状態にあるものの熱水量が不足するため、従来の技術では地熱発電に適用できなかった地熱貯留層中にCO2を圧入し、高温になったCO2を回収することで地熱発電を可能とするものです。今後、本事業において、これまで培った技術を駆使し、CO2を用いた地熱発電の社会実装のための基礎技術を確立し、脱炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。 (3) 自動運転リジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」の開発 積込機械や敷均し機械と連携しながら、土砂の運搬・排土作業に至る全ての運搬作業を自動で行う、大型土工事対応のリジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」を開発しました。本リジッドダンプは、有人走行と遜色のない走行速度で土砂運搬作業を実施することができ、各種機器やセンサーの活用により人や障害物を検知した場合には自動走行を停止し、緊急時には監視者が手動で停止することが可能となります。また、連携する積込機械や敷均し機械の位置情報を座標として認識し、低速で精度の良い「接近走行」を行うことも可能となります。今後、実際の工事現場において検証を継続し、高度な自動化及び複数台での自動連携を視野にいれた技術開発を進め、自動化技術のさらなる進化を目指してまいります。 (4) 道路橋RC床版の高耐久補修工法「T-Sus Layer」の開発 高速道路や一般国道等の道路橋で劣化した鉄筋コンクリート製(RC)床版に超高性能繊維補強セメント系複合材料を用いて、床版上面を打ち替える高耐久な補修工法「T-Sus Layer」を開発しました。本工法により、RC床版上面に高強度で緻密な保護層を構築することで大幅な延命化を実現でき、再補修サイクルの延長を図れることから、補修工事の実施回数を削減し、それに伴う交通規制等の社会的影響の軽減、維持管理費用の低減が可能となります。将来的には、劣化が進行していない床版の予防保全も視野に入れて実際の構造物への適用を進め、既存インフラの長寿命化を通して国土強靭化に貢献してまいります。 (5) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱において、生産性向上・働き方改革に寄与する技術として「デジタル技術を利用した施工方法、品質管理、出来形管理に関する技術開発」、脱炭素社会と循環型社会の構築に寄与する技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」、「カーボンニュートラル・カーボンネガティブな舗装用素材及び舗装用材料の製造技術の開発」等、国土強靭化に資する技術として「路盤強化工法を用いた舗装の長寿命化技術に関する共同研究」、「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」、「道路橋床版の補強技術に関する研究」等を実施しております。 (建築事業) (1) 「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の建築物への国内初適用 CO2排出量収支がマイナスとなるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」で製造した壁部材を国内で初めて建築物に適用しました。通常のコンクリートで壁部材を製造する場合のCO2原単位274kg/m³が、本材料では△50kg/m³となり、壁材全体として1.1トン以上のCO2排出量を削減しております。今後、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」をCO2排出量収支マイナスとなる「ビヨンド・ゼロ」を具現化する建設材料として、積極的な技術開発を引き続き推進し、脱炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。 (2) 脱炭素に寄与するエネルギー生産型の下水処理技術の開発 下水から発電などに活用できるメタンを生成して脱炭素に寄与するエネルギー生産型の下水処理技術を開発しました。本技術により、短期間で安定したメタン生成が可能となるだけではなく、メタン生成量を増加させることで、下水処理における消費エネルギー削減と効率的・安定的なエネルギー創出も可能となるため、エネルギー収支の大幅な改善が見込めることとなります。今後は、下水処理場や食品工場等の有機性排水や廃棄物の処理への適用を目指し、新たな下水処理施設の設置を図ることで、脱炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。 (3) 大規模生産施設において国内初となる「ZEB」認証の取得 一次エネルギー収支ゼロを目指す工場「ZEF」の第一号プロジェクトとして始動した「OKI本庄工場H1棟」において、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で5段階評価の最高ランクを獲得すると同時に、大規模生産施設で国内初となる「ZEB」認証を取得しました。本工場では、建物の高断熱化とともに、室内のCO2濃度に応じた換気制御等を導入することで空調エネルギーを削減し、人感センサーによる照明制御等を採用することで照明エネルギーを削減しております。さらに屋根面積の約半分に太陽光発電設備を採用することで、エネルギー消費を大幅に上回る創エネルギーを実現しました。今後は、生産施設全般の顧客に対して、「ZEB」や「ZEF」に関する様々な提案を行い、普及・展開を図ることで、脱炭素社会の構築に貢献してまいります。 (4) タワークレーン一体型クライミングシステム「テコアップシステム」の開発 超高層建築物の環境配慮解体工法「テコレップ」に用いた仮設架構昇降技術を新築工事に応用し、タワークレーンを搭載した専用鉄骨フレームごと上昇させて施工する新システム「テコアップシステム」を開発し、国内の超高層RC造集合住宅に初めて適用しました。本システムでは、1フロア毎に上階へクレーンを移動させて躯体床と干渉せず効率的に工事を進めることで、従来の開口部を有する工法と比較し、工期短縮によるコスト低減とCO2排出量の削減が可能となります。今後、本システムを超高層建築物の自動化施工及び全天候型(全閉)施工が可能な工法として、さらなる技術開発を進めてまいります。 (5) RC造建築物の耐震性を向上させる技術「T-HR構法」の開発 鉄筋コンクリート造(RC造)建築物の柱と梁の接合部の耐震性能を大幅に向上させる技術「T-HR構法」を開発し、国内の超高層RC造集合住宅に初めて適用しました。本構法により、大地震時の揺れにより柱梁接合部に生じる損傷を防いで、耐震性能を10%程度向上させることが可能となります。さらに、プレキャスト化にも対応可能であるため、短工期で高品質なRC造建築物を提供できます。今後、適用範囲拡大を図るとともに、安全安心で耐震性に優れた高品質なRC造建築物を提供するべく本構法を積極的に提案してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) 透過性地下水浄化壁工法「マルチバリア®」の長期耐久性の検証 揮発性有機塩素化合物を対象とした汚染地下水拡散防止技術である透過性地下水浄化壁工法「マルチバリア®」について、設置から15年以上経過後も浄化効果が継続されていること、さらにこの先10年以上の浄化機能維持が見込めることを確認しました。今後は設置された「マルチバリア®」の実測データを増やし、耐久性予測精度の向上を図ります。また、既に開発済みの浄化機能を回復させるメンテナンス技術と併せて、本工法による汚染地下水拡散防止技術のさらなる信頼性向上に取り組んでまいります。 (2) 「T-iDigital Field」の機能拡張 施工中に得られる作業員や建設機械の位置などの膨大なデジタルデータを活用して工事関係者間で情報共有し、効率的な施工及び安全管理を支援するシステム「T-iDigital Field」の機能を拡張しました。本機能拡張により、デジタルツイン技術を用いて建設現場を仮想空間上に再現し、作業員や建設機械の位置を把握することで、現実空間での接触を防止することが可能となります。今後、現場適用により蓄積される建設機械の作業データを分析し、最適な施工方法の選定や環境に配慮した建設機械の燃費効率などの検証を行い、さらに有効な機能の開発と適用を進めてまいります。 (3) プロジェクションマッピングを利用した墨出し技術「T-iDigital MARKING」の開発 建設現場でプロジェクションマッピングを利用して設計図書等を床面へ高精度に投影した原寸大図面から墨出しを行う技術「T-iDigital MARKING」を開発しました。本技術により、床面に投影した墨出しに必要な情報を基に専門知識の有無に関わらず、必要最小限の人員で正確かつ迅速に作業を行えるため、現場作業の生産性を大幅に向上させることが可能となります。今後、土木・建築分野の全ての建設工事で必要となる墨出しにおいて、生産プロセスDX化による生産性向上に向けた取り組みの一環として、本技術を積極的に適用してまいります。 (4) 低騒音・低振動で地盤密度を増大させる液状化対策工法「TS-improver®」の開発 低騒音・低振動のボトムフィード方式と高周波の振動締固め手法を採用して、地盤の密度増大を効率的に行う液状化対策工法「TS-improver®」を開発しました。本工法により、改良杭の本数削減による低コスト化が実現でき、また低騒音・低振動の環境配慮型の施工が可能となります。今後、土木・建築分野を問わず、施工の効率化と工事域周辺の環境保全を両立する液状化対策工法として、積極的に提案してまいります。
FY2021|5,163 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「建設事業を核とした成長基盤を構築する」という基本方針のもと、「本業の強みを発揮できる注力分野(エネルギー・環境、都市開発・PPP、リニューアル、エンジニアリング)の高付加価値化」、「高付加価値化につながる技術の研究開発」、「省人化・省力化施工技術の開発」等を重点施策と位置づけ、建設生産システムの革新による生産性向上を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。 具体的には「環境関連の評価技術、土壌浄化技術による受注支援」、「老朽化インフラの大規模更新・修繕工事の受注推進」、「IoT・AI等を活用した省人化技術の差別化提案による受注拡大」、「差別化につながる施工技術の開発」、「計画技術の高度化」、「オープンイノベーションによる技術開発の推進」、「先端技術を取り入れた技術センター施設の更なる機能拡充」、「ICT活用による自律化機械、遠隔制御技術の開発」、「構工法の開発や3Dプリンタによる新しい形状部材の製作」等を推進しております。 当連結会計年度における研究開発費は142億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 建設機械の協調運転制御システム「T-iCraft®」の開発 複数の自動運転建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft®」を開発しました。本システムは、建設機械のメーカーを問わず自動運転・有人運転のいずれにも対応し、最大32台までの複数機種の建設機械の協調制御が可能となります。実際の造成現場において4機種の自動建機により「掘削・積込」、「運搬」、「敷均し」、「転圧」の施工を制御し、業界に先駆けて協調運転の実用性を確認しました。今後、本システムをダム本体建設工事に導入し施工データを蓄積することにより、施工エリア・運搬ルートを入力するだけで工程最適化を図ることができる機能及びデジタルツイン技術を利用したモニタリングシステムを追加・実装し、施工における「DX」の推進につなげてまいります。 (2) 津波浸水解析結果の可視化技術「T-Tsunami Viewer」の開発 津波の浸水解析結果を短時間かつ正確に3次元映像やVR映像に自動変換する可視化技術「T-Tsunami Viewer」を開発しました。従来の可視化手法では、津波や浸水を平面的に表現していたため直感的に理解することが困難でしたが、本技術により、広域から街区まで、様々なスケールで押し寄せる津波の挙動や浸水状況を3次元で分かりやすく可視化し、より効果的なBCPの策定が可能となります。今後、津波の来襲や浸水等が予想される沿岸域の自治体及び工場等の施設を保有する企業に対して、積極的に提案してまいります。 (3) コンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に対するAI自動検出機能の追加 開発済のコンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に、AIを用いたひび割れ自動検出機能を追加しました。本機能を用いたひび割れを特定する作業に関する実証の結果、一定の精度を保ちつつ作業時間の短縮と費用の削減を実現しました。今後、コンクリート構造物の維持管理業務をさらに正確かつ迅速、安価に実施できるよう、AIの活用拡大を進め、老朽化したインフラ構造物の長寿命化の実現に寄与してまいります。 (4) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱において、生産性向上・働き方改革に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」等を実施しております。また、舗装や道路構造物の耐久性向上・長寿命化を目指した技術や維持修繕・メンテナンス技術として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、「路盤強化工法を用いた舗装の長寿命化技術に関する共同研究」や「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を実施しております。 (建築事業) (1) 人流シミュレーションシステム「T-MultiAgent JINRYU」の開発 建物内における歩行者の属性を考慮し、緊急時・平常時の混雑や避難経路の制約等、周辺状況を踏まえて行動を予測・再現し、あらゆる状況下での歩行者の移動を定量的に評価するシステム「T-MultiAgent JINRYU」を開発しました。従来は、多様な歩行者の行動を詳細に再現し、幅広い用途に対して万能に機能する仕組みを構築することは困難でしたが、本システムによりあらゆる場面を想定して施設内の様々な歩行者の移動を予測することが可能となります。今後、多くの人々が集まる商業施設や劇場・ホール等の大規模集客施設を対象とするだけでなく、超高層オフィスビル、集合住宅、地下インフラ施設等からの避難や施設自体の活性化にも適用し、より安全性と快適性の高い、魅力的な空間づくりを進めてまいります。 (2) 意匠性に優れた木材利用耐震構法「T-WOOD® BRACE」の開発 集成材・CLT等の木質系材料と鋼板を組合せ、意匠性と構造性能を兼ね備えた耐震工法「T-WOOD® BRACE」を開発しました。従来の耐震構法は、耐震部材が意匠性に乏しく、見た目が画一的な印象になりがちでしたが、本耐震工法は、鋼板と木質系材料を組合せることで、従来と同等の構造性能を確保しながらデザインの自由度を高めることが可能となります。今後、本耐震構法をはじめとした独自の木材利用技術「T-WOOD®」シリーズの更なる普及・展開を通じ、国産木材の利用促進に貢献するとともに、安全・安心で利用者が親しみや温もりを感じられる建物を提供してまいります。 (3) 「T-EAGLE® 杭工法」における評定の取得 大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE® 杭工法」における、(-財)ベターリビングの評定(CBL FPO12-19号)を取得しました。本工法により、杭の引抜き抵抗力と鉛直支持力の増加・向上による敷地面積の有効活用と工期短縮、コスト削減が可能となります。また、本評定の取得により、従来は超高層建築物のみに使用されてきた本工法が、高さ40m程度の中層建築物にも適用することが可能となります。今後、都市部等で計画される中層から超高層までの幅広い建築物の基礎工事に対して、合理的な施工法として積極的に提案してまいります。 (4) 外壁・窓で発電する外装システム「T-Green® Multi Solar」の普及展開 建物の外装(壁面や窓)と太陽電池モジュールを一体化させた外装システム「T-Green® Multi Solar」を開発し、普及展開を進めております。本システムは、都市部の新築中高層ビルの垂直な外装を利用して発電するもので、太陽電池モジュールを外装パネル化した「ソリッドタイプ」と、窓ガラスに太陽電池をストライプ(縞)状に配置した「シースルータイプ」の2つのタイプがあり、これらを組み合わせることで様々な建物の外装に適用することが可能となります。「シースルータイプ」は、発電機能に加え、窓に必要な眺望・採光・遮熱・断熱の各機能を備えております。また、本システムは平常時の消費電力削減だけではなく、災害時には独立した非常用電源としても機能します。今後、都市型ZEBを実現する創エネルギー技術として、環境経営に積極的に取り組む企業、BCPを強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、LCPを強化したい集合住宅等に対し、積極的に提案してまいります。 (5) 深紫外線を利用した空間殺菌灯「T-LED DUV Light」と安全制御システムの開発 ウィルス等に強い殺菌力を有する深紫外線(DUV)を照射する空間殺菌灯「T-LED DUV Light」と、DUV照射を安全に制御するシステムを併せて開発しました。従来の蛍光灯ランプの殺菌灯は、寿命が短く、使用するランプに合わせ器具が大きくなるといった課題がありましたが、LEDを光源とすることで長寿命化と軽量化等を実現しました。本製品は一般的な天井高さの施設において、机上面へ2~3時間のDUV照射をすることにより一般的な細菌やウィルスを99%程度殺菌できます。また、本システムの設定により、人が不在の場合のみ室内全体にDUV照射を行うことで利用者の安全を確保します。今後、感染リスクが高い不特定多数の人が利用する学校、病院といった公共施設や、BCPを強化する企業等に対し、接触感染防止のための設備として、積極的に提案してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の開発 工場の排気ガス等より回収したCO2から製造する炭酸カルシウムを用いて、コンクリート製造過程で排出する量を上回るCO2を内部に固定することで、CO2収支をマイナスとすることが可能となるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を開発しました。今後、炭酸カルシウム等カーボンリサイクル材料の開発・市販の状況を踏まえ、現場打ちコンクリートや二次製品等の多様な建設資材に取り入れてまいります。また、利用者に広く提供できるよう、「T-eConcrete研究会」と連携し商品化に向けた更なる技術開発を進めてまいります。 (2) 映像・IoTデータを活用した現場管理システム「T-iDigital Field」の開発 カメラ映像やIoT機器から得られたデータを用いて建設現場の施工状況を可視化し、遠隔地からリアルタイムに工事関係者間で情報共有できるシステム「T-iDigital Field」を開発しました。本システムにより建設機械稼働状況やコンクリート性状、作業進捗等の施工情報を容易に閲覧することができ、関係者間の情報共有や生産性の向上を図ることが可能となります。また、クレーン衝突防止、建設機械と作業員の位置・動線管理のための機能を活用することで、的確な安全指導による災害防止や安全意識の向上による災害リスクの低減を図ることが可能となります。今後、デジタルデータを活用した統合的な現場管理システムを構築することにより、工事関係者間における的確な判断と施工・安全管理を支援し、更なる働き方改革、生産性の向上を目指してまいります。 (3) 塩素化エチレン類を無害化する細菌を用いた地下水浄化工程の効率化 有害な塩素化エチレン類を無害なエチレンまで完全に浄化できる「デハロコッコイデス属細菌UCH007株」を大量培養した状態で輸送し、汚染帯水層に注入する技術を独自に確立しました。本技術により、汚染された地下水の浄化工程の効率化を図ることが可能となります。今後、短期間での浄化が求められるような地下水汚染サイトに本技術を適用してまいります。 (4) 希少動植物の保全計画ツール「水辺コンシェルジュ」の開発 建設工事に際し、水辺に生息する希少動植物の保全を目的として、代償地の創出を検討する等、保全計画の迅速な立案を可能とするツール「水辺コンシェルジュ」を開発しました。本ツールを導入したタブレット端末を用いて保全計画策定に必要な情報をビジュアルでわかりやすく提示することで、関係者とのスムーズな合意形成及び情報共有を図り、適切な代償候補地の選定等早期に保全計画を立案することが可能となります。今後、本ツールを自然豊かな地域における建設事業へ適用することにより、希少動植物の保全に積極的に取り組み、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。 (5) 装置内での多様な試験が可能な「高出力・高精細X線CT試験装置」の運用を開始 建設工事で使用する材料の内部の様子を非破壊・3次元で可視化できる「高出力・高精細X線CT試験装置」を、国内の建設会社で初めて導入し、運用を開始しました。従来は、破壊試験や切断による内部の確認による評価が一般的でしたが、本装置により材料の内部に浸透する流体の動きや、材料の分布に基づいて生じる実際の現象を非破壊で観察できるため、精密な評価が可能となります。今後、建設材料の安全性や耐久性等の品質を可視化し、各種試験中における材料内部の状態を正確に理解することにより、新しい視点による研究開発を進め、新材料の開発、シミュレーション技術の高度化等の技術開発を推進し、更なる技術力の向上を目指してまいります。
FY2020|5,067 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「建設事業を核とした成長基盤を構築する」という基本方針のもと、「本業の強みを発揮できる注力分野(エネルギー・環境、都市開発・PPP、リニューアル、エンジニアリング)の高付加価値化」、「高付加価値化につながる技術の研究開発」、「省人化・省力化施工技術の開発」等を重点施策と位置づけ、建設生産システムの革新による生産性向上を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。 具体的には「環境関連の評価技術、土壌浄化技術による受注支援」、「老朽化インフラの大規模更新・修繕工事の受注推進」、「IoT・AI等を活用した省人化技術の差別化提案による受注拡大」、「差別化につながる施工技術の開発」、「計画技術の高度化」、「オープンイノベーションによる技術開発の推進」、「先端技術を取り入れた技術センター施設の更なる機能拡充」、「ICT活用による自律化機械、遠隔制御技術の開発」、「構工法の開発や3Dプリンタによる新しい形状部材の製作」等を推進しております。 当連結会計年度における研究開発費は135億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) 5G通信による次世代油圧ショベルの作業自動化及びダンプトラックとの連携作業の実証 遠隔操作と自律制御が可能な建設機械システム(T-iROBO®シリーズ)の開発に従来から取り組んでおりますが、独自開発に成功している「自律割岩システム」を電子制御が可能な次世代油圧ショベルに実装し、高精度の自律作業を実現しました。また、新たに5G通信(第5世代移動通信)を利用して、油圧ショベルの積込作業について、ダンプトラックとの連携動作を円滑に遂行できることが確認されました。今後、AI技術の有効活用を視野に入れて、各種建設機械の作業自動化及び自動連携の実現と、無人化施工技術の確立を目指してまいります。 (2) コンクリートひび割れ画像解析技術『t.WAVE®』に対するドローン撮影・画像解析機能の追加 開発済の「t.WAVE® (ティ・ドット・ウェーブ)」に対して、ドローンによる撮影・画像解析のための専用プログラムを組み込むことで、アクセス困難な高架橋等構造物点検に向けた実用性を向上しました。沖縄県内の長大海上橋における実証実験により、構造物のひび割れの撮影・画像処理・解析等の点検作業における省力化及びコスト低減への効果が確認されました。今後、コンクリート構造物の維持管理業務における更なる精度及び作業効率の向上と低コスト化を推進してまいります。また、本技術の普及を通じて、インフラ構造物の老朽化防止に寄与してまいります。 (3) 山岳トンネル工事における大変形・湧水対応型ロックボルト施工法「T-Flexible Bolt」の開発 掘削後の地山に著しい変形が予想される山岳トンネル工事でも使用可能となる、新たな鋼管膨張型摩擦式ロックボルトの施工法「T-Flexible Bolt」を開発しました。本施工法により、注水圧の段階的制御のもとロックボルトを地山に定着させることで、高い地盤圧力や脆弱な地盤条件により生じる地山の変形にも破断せず追従し、湧水が発生する条件下でも支保効果の維持が可能となります。今後、条件の異なる様々な現場での実証試験により、高地圧・脆弱地盤条件下での山岳トンネル工事における施工法の確立を目指してまいります。 (4) 山岳トンネル工事における強度レベル世界最高クラスの吹付コンクリート「T-HPSC 100」の開発 山岳トンネルの支保工において、世界最高クラスの強度を有する吹付コンクリート「T-HPSC 100」を開発しました。従来の2倍以上の強度を実現したことで、脆弱な地盤条件における二重支保工が削減されるとともに、施工時に生じる吹付コンクリートの粉塵濃度を従来の1/3程度まで低減したことで、効率的な施工と良好な作業環境が確保できます。今後、高地圧・脆弱地盤条件下での山岳トンネル工事における安全かつ効率的な施工の実現に向けて、積極的に提案してまいります。 (5) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱において、生産性向上・働き方改革に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」、夏季の歩行空間の快適性向上に関する技術として「自動給水型保水性ブロック舗装システムの開発」等の研究を実施しております。また、舗装の耐久性向上・長寿命化を目指した技術や維持修繕・メンテナンス技術として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、「路盤強化工法を用いた舗装の長寿命化技術に関する研究」や「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を実施しております。 (建築事業) (1) CLT(Cross Laminated Timber)パネルによる国内最大級の建築空間「T-WOOD® SPACE」の構築 近年、低炭素社会の実現や循環型建築材料である木材利用の活性化を目的として、国産木材の利用が注目されておりますが、国内で供給可能な国産スギのCLTパネルを用いて、幅9.5m×高さ9m×奥行42mの国内最大級の建築空間「T-WOOD® SPACE」を構築しました。現場における部材間の接合作業等が非常に簡便でありながら、木造架構をそのまま意匠に活かした大空間が実現されております。今後、本技術を短工期作業所の工事計画や意匠性が求められる空間設計に導入することで、国産木材の利用を推進するとともに、木質材料の特徴を活かした様々な建築物に対して積極的に提案してまいります。 (2) 地震直後に複数建物の構造健全性を評価するモニタリングシステムの開発 開発済の構造物健全性モニタリングシステム「T-iAlert® Structure」の拡張版として、中低層建物を対象に、複数建物の構造健全性を一括して評価し、建物の振動データや被災履歴等各種情報をクラウド上で一元管理できるモニタリングシステムを開発しました。また、本システムを当社の支店社屋等に試験導入し、データ計測及び構造健全性の評価精度、システムの安定性・操作性を検証する実証試験を開始しました。今後、実証結果を踏まえて本システムの改善を図るとともに、様々な顧客ニーズに合致するBCP支援ツールとして積極的に提案してまいります。 (3) 建物狭隘部におけるアスベスト除去工法「T-ジェット」の開発 アスベスト含有吹付材除去作業において、人の手が届かない外壁パネルと柱の間等の狭隘部に付着している吹付材を、少水量・超高圧で除去する「T-ジェット」工法を開発しました。先端が回転する特殊なノズルヘッドと曲り配管を合体させたハンドガンを開発したことで、建物内側から最小限の養生だけで狭隘部の安全な除去作業が可能となり、大幅な工期短縮とコスト低減を実現しました。今後、本工法を積極的に展開することで解体技術の安全性とコスト最適化を提案してまいります。また、本工法の改良を通じて、将来の無人化・機械化に向けた技術開発を進めてまいります。 (4) 炭素繊維補強樹脂を用いた防振浮床工法「T-Silent® CFRP Floor」の開発 騒音や振動低減が必要とされる施設で用いられる乾式防振浮床工法において、床材の下地に従来工法より軽量かつ長尺の炭素繊維補強樹脂(CFRP)製梁を用いた「T-Silent® CFRP Floor」を開発しました。従来の下地に用いる鉄骨梁より軽量であり、長尺の下地により防振ゴムの支点間隔を拡げることから、騒音・振動に対する優れた低減効果が発揮されます。今後、本工法の特性を活かし、これまで施工が困難であった騒音や振動低減が必要とされる新築・改築工事において積極的に提案してまいります。 (5) 「人と空間のラボ」としてのZEB実証棟リニューアル 2014年の竣工以来、ビル単体での年間エネルギー収支ゼロを5年間連続で達成したZEB実証棟について、次世代の執務環境の実現を目指して、ZEBとウエルネスの機能を同時に実証する「人と空間のラボ」としてリニューアルしました。本ラボは、より高効率な創エネ・省エネ技術とAI・IoTの導入により、執務者の多様な働き方をサポートします。リニューアルの結果、本ラボは建物・室内環境評価システムの最高位となる「WELL認証・プラチナ(新築/既存建物全体)」を世界で初めて取得しました。今後、ZEBとウエルネスの両面からの検証を更に進め、都市部におけるZEB普及とともに、AI・IoTを活用した新しい働き方の提案、ウエルネス・オフィスの普及拡大を目指してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) 複合汚染された地下水に対する分解菌N23株による浄化技術の検証 当社が独自に発見した分解菌N23株により、既に効果が確認されている1,4-ジオキサンの分解に加えて、新たに地下水環境基準に指定されている複数の汚染物質を同時に分解できることを明らかにしました。従来の浄化方法に比べて、複合汚染された地下水中の有機性化学物質を短期間・低コストで分解することができ、浄化に係るCO2排出等の環境負荷を低減することが可能となります。今後、実際の汚染水を対象とした適用性評価及び現地実証試験を通じて、本技術のシステム化を図り、地下水の浄化対策として導入してまいります。 (2) 建設用3Dプリンタによる国内初となるPC(プレストレストコンクリート)構造体の構築 開発済の建設用3Dプリンタ「T-3DPTM (Taisei-3D Printing)」で製作した個々の部材を一体化させたPC構造体を国内で初めて製作しました。一般的な建設用3Dでは、製作過程で鉄筋補強ができず、意匠部材やベンチなどのオブジェの製作に用途が限定されていたのに対して、本PC構造体では、部材にPC鋼材挿入用の孔を予め設け、各部材の接合後にPC鋼材の挿入・緊張によって一体化させることにより、鉄筋がなくても想定荷重に耐えられる仕様となっております。今後、T-3DPTMを用いて製作した構造体の力学特性や施工法のノウハウを蓄積し、柱・梁等構造躯体への導入を目指し、本技術の実用化に向けさらなる研究開発を進めてまいります。 (3) 当社技術センターにおける「オープンミーティングスペース」の開設 魅力ある新たな「働く空間」構築を目指し推進している「TAISEI Creative Hub」の第1弾として、技術交流を主体とした郊外型ワークプレイスとなるオープンミーティングスペースを当社技術センターに開設しました。超軽量な炭素繊維強化樹脂(CFRP)構造部材「T-CFRP Beam(FR)」を屋根梁に用い、施工の効率化と架構の大型化を実現しております。隣接する実験施設、カフェテリア等と連携させることで、様々な利用者が集い、コミュニケーション促進につながる新たな「働く空間」を形成します。今後、当社技術センターでは、社内外の人的交流推進からイノベ―ションを創出し、更なる研究開発を進めてまいります。また、当オープンミーティングスペースを新たな価値創造に繋がるワークプレイスとして、顧客に対しても積極的に提案してまいります。 (4) AI・IoTの活用による施設運用・保守事業(オペレーション&メンテナンス(O&M)ビジネス)の展開に向けた協業の開始 AI・IoTを活用した不動産価値の維持、利用者の満足度最大化並びに建物運営管理業務の効率化に向けて、日本マイクロソフト㈱と協業を開始しました。O&Mビジネスにおける建物や利用者の様々なデータをIoTセンサー等で収集、可視化、並びにAI分析した結果をもとに建物設備の自動制御等を行うクラウドサービス基盤を構築しました。現在、当サービス基盤構築を足掛かりにして、社内に「AI・IoTビジネス推進部」を立ち上げ、用途・機能別に複数ソリューションの検討を進めております。今後、O&Mビジネスの変革を目指し、建物の利用者、所有者、管理者はもとより、近隣地域関係者も含めた様々なニーズに対応する新たなソリューションを提供してまいります。
FY2019|4,801 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「建設事業本業の深耕」という基本方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進しております。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化への対応として、AIをはじめとしたIoT等の最先端分野に注力するとともに、投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究機関、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進しております。 当連結会計年度における研究開発費は124億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業) (1) UFC(Ultra Fiber Concrete;繊維補強コンクリート)の長期耐久性の性能検証と鉄道架替工事への導入 普通コンクリートに比べ約4倍の強度と優れた耐久性をもつUFCにより、国内で初めて施工されたPC歩道橋「酒田みらい橋(2002年竣工)」及びモノレール軌道桁「東京モノレール軌道桁(2007年竣工)」が、竣工から十数年経過した現在においても、構造物の優れた耐久性能が健全に維持されていることを経年調査により確認しました。また、当連結会計年度においては、国内で2例目となるUFCを用いた鉄道橋4橋の架替工事を京王井の頭線の下北沢駅付近で実施しました。今後、本技術を鉄道、高速道路、空港等交通インフラ施設へのより一層の導入を拡大してまいります。 (2) 山岳トンネル工事におけるIoT技術を利用した「切羽プロジェクションマッピング」の開発山岳トンネル工事における切羽(トンネル最先端の掘削面)をスクリーンにして、地盤情報を投影する装置「切羽プロジェクションマッピング」を㈱富士テクニカルリサーチ、マック㈱、古河ロックドリル㈱と共同で開発しました。吹付コンクリートで覆った切羽に、クラウドサーバー経由で実物大写真やスケッチ、地盤の硬軟等がわかるコンター図等を投影して、作業員が最新の地盤情報をリアルタイムで共有することが可能となるため、作業の安全性や効率性が向上します。今後、本技術を山岳トンネル工事だけでなく、様々なプロジェクトに活用し、作業の安全性と効率性の向上を推進してまいります。 (3) 気象・海象を考慮した作業船運航管理支援システム「T-iOperation船ナビ®」の開発 海洋工事において、現地の気象・海象を考慮して作業船を安全かつ効率的に運航するためのナビゲーションシステム「T-iOperation船ナビ®」を開発しました。複数の作業船により数百kmもの遠方から建設用資材等を輸送する場合等において、運航状況確認が一元化されるため、気象・海象の変化に合わせてきめ細やかな運航支援が可能となります。今後、国内外における海洋工事の設計・施工案件への導入を図るとともに、作業船以外の船舶への導入拡大についても検討を進めてまいります。 (4) ICTの活用により生産性向上への貢献が期待される「T-CIM®/Concrete打重ね管理システム」及び「T-CIM®/Dam」の構築 既に導入済の場所打ちコンクリート工事管理システム「T-CIM®/Concrete」の機能を拡張し、コンクリート打重ね状況をリアルタイムに把握できる管理手法「T-CIM®/Concrete打重ね管理システム」を開発しました。本システムによって、各々の施工計画に対して最適な打重ね打設手順の選定と、工事全体の打設状況の把握・管理が実現されるため、工事の更なる品質と生産性の向上を図ることが可能となりました。また、ダム工事の作業領域に応じたデータを自動収集し、ダム堤体3次元モデルに集約・紐づけて一元管理する「T-CIM®/Dam」を開発しまた。本システムにより、ダム工事現場の作業効率化、省人化・省力化、品質及び安全性の向上を図ることが可能となりました。今後も情報通信技術を活用した施工システムと、3次元モデルを統合した当社独自のCIMシステム「T-CIM®」シリーズの機能拡張を進めながら、対象となる現場において導入・運用してまいります。 (5) 建設用3Dプリンタ「T-3DPTM (Taisei-3DPrinting)」の開発 セメント系材料を使用する建設用3Dプリンタ「T-3DPTM(Taisei-3D Printing)」を㈱アクティオ、国立高等専門学校機構有明工業高等専門学校、太平洋セメント㈱と共同で開発しました。コンクリートの施工に必須であった型枠に頼ることなく、3Dデータから様々な形状の建設部材を迅速かつ高精度に自動製作することが可能となります。今後は、セメントを使用した建設部材の製作や、現場での大型構造物の施工を実現するため、補強方法や品質管理手法、構造的な評価技術の確立等の課題解決に取り組み、積極的に本技術の研究開発を推進してまいります。 (6) 連結子会社における研究開発の主なもの 大成ロテック㈱において、生産性向上に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、舗装の耐久性向上を目指した技術開発として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、維持修繕・メンテナンス技術として「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を行っております。また、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する舗装技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」、夏季の歩行空間の快適性向上に関する技術として「虫が寄りつきにくい舗装技術の開発」等の研究を行っております。 (建築事業) (1) 異業種との協業を推進するオープンラボを備えた次世代研究開発棟の運用開始 異業種との協業を推進するオープンラボを備え、材料・環境分野の研究・開発拠点となる「次世代研究 開発棟」を技術センターに完成させ、運用を開始しました。本施設は、既存躯体をリニューアルした施設でありながら、民間研究関連施設では国内初となる「Nearly ZEB(正味で75%以上の省エネルギー効果がある施設) 」の達成を目標としております。本施設には、実験室内の環境を最適に制御するシステム「T-Labo.® Next」を導入して、次世代型の実験室の環境制御に求められる要素EHS(Environment(環境)、Health(健康・衛生)、Safety(安全))を一体的に管理し、省エネルギーの実現と本施設で働く研究者の安全と健康の確保を両立しております。今後、新設・既設に問わず研究関連施設を対象として展開してまいります。 (2) 高性能振子式大型制振装置「T-Mダンパー®」の性能検証 当社と三菱重工機械システム㈱が共同で開発した屋上設置型の高性能振子式大型制振装置「T-Mダンパー ®」について、大型三軸振動台を使用した検証試験により解析結果と同等の制振効果が得られることを実証しました。検証試験にもとづく解析の結果、高さ200m(50階建て相当)の超高層建物の場合、長周期地震動で生じる建物の揺れを最大で30%低減できることを確認しました。今後、長周期地震対策の制振技術として、本装置を新築・改築問わず対象となる超高層建物に対して積極的に展開してまいります。 (3) 力触覚伝達型遠隔操作システムと第5世代移動通信システム(5G)及びAIとの連携 当社が開発した力触覚伝達型遠隔操作システム(ロボットアームが物を把持する際の力加減を操作者が感じながら遠隔操作するシステム)について、第5世代移動通信システム「5G」による動作をソフトバンク㈱と共同で実現しました。また、操作者の力触覚伝達遠隔操作データを蓄積しAIのディープラーニングにより、自律的にロボットアームが人間の操作に合わせて動作することを㈱エクサウィザーズと共同で実証しました。今後、製薬工場や食品工場など生産施設での実装に向け、遠隔操作データ利活用のIoTネットワークの開発を進めてまいります。 (4) AIを用いた建物周辺の風環境予測技術の開発 AIを活用し、複数の建物が林立する市街地を対象として、建物周辺で発生する複雑な風環境(風速・風向)について、簡易な操作によって高速で予測する技術を開発しました。本技術により、設計の初期段階から風環境を考慮した検討が可能となり、設計検討時の関係者間の打合せの合理化及び検証に関わるコストの削減が実現されます。今後、本技術を用いた風環境の予測精度を更に向上させるとともに、風環境を考慮した設計支援ツールとして構築し、積極的に展開してまいります。 (5) 大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工法」を開発 杭の中間部と底部の杭径を大幅に拡大した大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工 法」をシステム計測㈱と共同で開発しました。本工法により場所打ちコンクリート杭の中間部と底部の杭径を約2倍に拡大することで支持力の更なる強化を実現しました。本技術については、現場施工試験により本工法の施工手順及び施工管理手法を確立し、(一財)ベターリビングより建設技術審査証明(BL審査証明-043)を2019年1月に取得しました。今後、都市部で計画される高さ300m級の超高層建物の基礎工事に対して、積極的に展開してまいります。 (土木事業・建築事業共通) (1) 効率的分解菌を利用した1,4-ジオキサン汚染水浄化技術 1,4-ジオキサンは、化学産業での溶剤等として広く使われている化学物質ですが、人体や生態への影響が明らかとなり、現在では環境省が定める地下水の水質汚濁に係る環境基準や排水基準の規制対象となっております。しかし、分解が難しい物質であるため、複数の酸化剤を併用する促進酸化法等の化学的処理が従来は行われてきましたが、処理に要する環境負荷やコストが大きな課題でした。当社では、様々な環境から1,4-ジオキサン分解菌の探索を進め、極めて効率的に1,4-ジオキサンを分解できる新たな微生物を発見しました。既に、この分解菌を用いた水処理プロセスを構築し、汚染地下水や工場排水での検証を完了しております。今後、国内外の水環境保全に貢献するために、本技術を積極的に展開してまいります。 (2) 地域環境に適合した在来種植物を組み合せた「群集マット®」の開発 都市部の緑地創出や生物多様性への関心の高まりを受け、地域本来の生態系に配慮した在来種の植物を組み合せた「群集マット®」を、㈱グリーンエルムと共同で開発しました。あらかじめ多様な草を本マットで育成することにより、都市部の外構計画において、地域に適合した緑地を容易に創出することが可能となります。今後、本技術をさまざまなプロジェクトで積極的に展開し、地域に適合した緑地の創出を支援し、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。 (3) 建物内部の浸水リスク評価・診断システム「T-Flood® Analyzer」の高度化 2016年に開発した豪雨・洪水・津波等による建物内部の浸水リスクを短時間で可視化できる評価・診断システム「T-Flood® Analyzer」に、建物利用者の避難経路と避難に要する時間を算出する機能を追加しました。本技術により、建物の形状と浸水の深度に従って、歩行速度低下を考慮した避難時間算出等が可能となり、効果的な止水対策や浸水リスク対策の検証が可能となります。今後、浸水リスクが想定される地下街や建物地下階を対象に、積極的に活用してまいります。
FY2018|3,615 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進しております。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究機関、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスをオープンイノベーション活動も通じて積極的に推進しております。当連結会計年度における研究開発費は116億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業)(1) トンネル切羽落石監視システム「T-iAlert® Tunnel」の開発山岳トンネル工事における作業安全性を確保する目的で、高速画像認識技術を用いたトンネル切羽落石監視システム「T-iAlert® Tunnel」を開発し、実際の山岳トンネル工事現場において検証を行った結果、その性能を実証いたしました。本システムは、トンネル掘削面周辺で生じる落石やコンクリート片の剥落を0.1秒以内に捉え、瞬時にフラッシュ光とサイレン音で警報を発し、作業員に迅速な退避を促します。従来の監視員と機械の目による監視と併用することによって、より確実な作業員の安全確保を実現いたします。(2) ニューマチックケーソンの掘り残し土量の可視化技術「T-ケーソン スキャナSM」の開発地上であらかじめ構築した函体を所定の深さまで掘削・沈設するニューマチックケーソン工事において、掘削重機に搭載したレーザーセンサーを用いて施工時の掘り残し土量を可視化する技術「T-ケーソン スキャナSM」を開発いたしました。従来は、重機が混在する函体下部の作業室に作業員が入って測量により把握していた堀り残し土量について、本技術は、遠隔操作でリアルタイムに把握することが可能となるため、より安全で正確な施工管理が実現されます。今後、本技術を橋梁工事などに積極的に活用してまいります。(3) ダム施工管理システム「T-CIM®/Dam」の開発従来のダム建設工事においては、コンクリートの原料採取、練り混ぜ、運搬、打設及び使用材料の品質管理に至る様々な項目について管理・記録するために、膨大な時間と労力を費やしておりました。そこで、個別の管理システムの一元管理を可能とする統合システム「T-CIM®/Dam」を開発いたしました。本システムにより、工事関係者や顧客とのリアルタイムの情報共有が可能となり、また、3次元モデルを活用した作業の効率化、品質及び安全性の向上が可能となります。今後、本システムをダム建設工事に積極的に活用してまいります。(4) 自然由来砒素を含む汚染泥水の浄化技術の実証自然由来重金属の一つである砒素の対策技術として、泥水に鉄粉を混合した後、砒素を吸着した鉄粉を磁力選別機で分離する泥水浄化技術を開発いたしました。また、磁力選別機の小型化を図ると共に、浄化のコストダウンに向け、砒素を吸着した鉄粉の再生方法も確立いたしました。そして、自然由来の砒素を含む実際のシールドトンネル工事現場において一ヶ月にわたって本技術の性能検証を行った結果、安定的に基準値以下に浄化できることを実証いたしました。今後、本技術を砒素以外の自然由来重金属類にも対応した技術としてブラッシュアップするとともに、汚染泥水の浄化工事に積極的に活用してまいります。 (5)連結子会社における研究開発の主なもの大成ロテック㈱において、生産性向上に寄与する技術として「ICT技術の舗装分野への応用に関する研究」、維持修繕、メンテナンス技術として「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を行っております。また、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する舗装技術として「フォームドアスファルトを利用した中温化技術の再生アスファルト混合物への適用に関する研究」、夏季の歩行空間の暑熱環境の改善に関する技術として「保水性舗装・遮熱性舗装の機能向上に関する技術開発」等の研究を行っております。 (建築事業)(1) 構造物モニタリングシステム「T-iAlert® Structure」の開発高精度かつ信頼性の高いセンサーを用いて構造物の挙動を把握し、地震時の異常の有無を把握するシステム「T-iAlert® Structure」を(国研)新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)の委託事業として横河電機㈱、長野日本無線㈱、東京大学と共同で開発いたしました。本システムにより、観測データを分析し、センサーを設置していない部分の揺れを推定することで、センサーの数を従来の技術よりも大幅に減らすことが可能となるため、配線やメンテナンスの手間が飛躍的に減少されます。今後、既存建物やインフラ構造物を対象とした実証実験を重ね、本技術を提案・普及してまいります。(2) テコレップシステムの適用範囲を拡大した「テコレップ®-light」の開発解体する建物を完全に覆う閉鎖空間を構築し、環境に配慮した解体工事を行うテコレップシステムの適用範囲を拡大した「テコレップ®-light」を開発いたしました。既存建物を覆う屋根について、鉄骨造の軽量屋根により構成することで大幅な重量低減を実現し、従来のテコレップシステムでは対応が難しかった鉄筋コンクリート造への適用を可能としました。また、この軽量屋根とジャッキフレームを一体化することで、閉鎖空間の構築期間を大幅に短縮しました。今後、テコレップシステムを高さ60m以上の建物まで適用させることも視野に入れて提案・普及してまいります。(3) 生産施設の室内環境最適制御システム「T-Factory NextSM」の開発食品や医薬品、半導体工場など生産施設の照明・空調・換気を最適な状態で制御できるシステム「T-Factory NextSM」を開発いたしました。本システムは、人検知センサー、制御コントローラー、操作パネルなどで構成されており、生産装置の稼働状況や施設利用者の滞在状況などについてあらかじめエリアごとに設定しておくことで、照明・空調・換気の自動制御が可能となります。今後、本システムを省エネ化技術として各種生産施設に提案・普及してまいります。(4) 採光と遮光を同時に行う新型ブラインド「T-Light® Blind」の開発ブラインド上部に特殊形状のスラットによる採光部、下部に一般ブラインドの遮光部を配置することにより、窓際の眩しさを防ぎながら、電気的な制御を必要とせずに太陽光を安定的に室奥の天井面へ導くことが可能となる新型ブラインド「T-Light® Blind」を開発いたしました。新型ブラインドは窓面に簡単に設置することが可能となりますので、今後、オフィス空間に限らず、病院、学校、工場など様々な用途の建物の新築・リニューアル案件に提案・普及してまいります。(5) 芝生育成環境シミュレーションシステム「T-Heats® Turf」の機能拡張日射、風、気温、湿度といった芝生育成環境に関する総合的なシミュレーションシステム「T-Heats® Turf」を拡張いたしました。これにより、シミュレーション精度の向上及び検討期間の短縮に加え、スタジアムの形状を踏まえた芝生品質の向上に寄与する換気計画を立案することが可能となります。今後、スタジアムの計画段階から竣工後の維持管理に至るまで一貫した換気計画の立案を行い、芝生品質の向上及び維持管理業務の軽減に向けて、本システムを提案・普及してまいります。 (土木事業・建築事業共通)(1) 機械攪拌式地盤改良工法 「WinBLADE®工法」の改良建物の改修工事においては、既存建屋の解体をなるべく避けて、地盤の支持力を増強させる必要が生じる場合があります。その対応として、土木事業の地盤改良において使用されてきた「WinBLADE®工法」を小型の機械に活用できるよう改良し、建物内の狭隘なスペースにおける地盤改良を実現しました。今後、本工法を土木事業・建築事業を問わず積極的に活用してまいります。(2) 自律型鉄筋結束ロボット「T-iROBO® Rebar」の開発鉄筋工事のうち、交差する鉄筋同士を針金で結束して位置を固定する鉄筋結束作業について自動で行うことができるロボット「T-iROBO® Rebar」を千葉工業大学と共同で開発いたしました。本ロボットの活用により、作業所の生産性向上に寄与するとともに、技能労働者の身体的負担を軽減し、作業の省人化、効率化が可能となります。今後、本ロボットを工事現場へ積極的に活用してまいります。
FY2017|4,426 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本的方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進しております。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究開発、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進しております。当連結会計年度における研究開発費は111億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。 (土木事業)(1) T-CIM®システムの開発と現場への展開土木工事作業所での施工関連情報を管理・共有する目的で開発を進めてきたT-CIM®システムのうち、現場打ちコンクリート工事を対象とした「T-CIM®/Concrete」、シールド工事を対象とした「T-CIM®/Shield」、山岳トンネル工事を対象とした「T-CIM®/Tunnel」を開発し、建設現場への導入を開始いたしました。本システムの適用により、さまざまな工事関連情報を電子化・共有化し、一元管理できるため、生産性向上と品質向上を図ることが可能になります。当社は、国土交通省が推進する「i-Construction」の主旨に沿いながら、今後もT-CIM®システムを全国の現場に展開してまいります。(2) 土量やベルト傷の高精度計測・管理による工事の効率化シールドトンネル工事や山岳トンネル工事で使用する連続ベルトコンベアの搬送土量やベルト傷を非接触・高精度に計測・管理できるシステム「ベルコンスキャナ」を、㈱演算工房、タグチ工業㈱と共同で開発いたしました。土量管理は、一定区間のベルト形状と土の表面形状を読み取り、その部分に積載された土量を算出するもので、掘削の継続・中断の判断を迅速に行うことが可能となります。また、ベルト部分に発生した傷を管理する技術は、搬送ベルトの傷情報(傷の位置、大きさ、深さ)をリアルタイムに評価することが可能で、従来に比べ点検の手間が飛躍的に減少いたします。現在数ヵ所の建設現場で運用を開始しており、今後もトンネル工事への導入・普及を進めてまいります。(3) 坑内回収型上向きシールド工法の開発地下埋設物の影響を受けず、任意の場所に連絡立坑の築造が可能な「坑内回収型上向きシールド工法」を開発いたしました。従来の上向きシールド工法は、本線シールドから掘り上げてきた掘進機を地上からクレーンなどで回収するため、地下埋設物のない場所を選定する必要がありました。本工法では地上での回収を行わず、掘進機を本線シールドに戻すことが可能となるため、地下埋設物の影響を受けることなく連絡立坑の位置選定が可能となります。今後、地下埋設物が多く従来工法による施工が困難であった地点での立坑築造に適用を進めていく予定であります。(4) ダム原石採取工事管理システムの開発ダム建設で使用する原石採取工事において、岩石の発破作業管理から品質評価までの工程を、ICTを用いて一元管理するシステム「T-iBlast DAM」を開発いたしました。発破削孔位置や、発破削孔に要する削孔エネルギーを用いた岩質評価、原石採取可能量の可視化など、原石採取工事の施工状況をICT化することにより、発破での測量作業の縮減や基準を満たした原石を効率よく採取することができます。今後はダム骨材製造工事における合理化施工技術として1~2年後の実用化を目指してまいります。(5) 微生物を用いた地下水汚染浄化技術を実汚染サイトで実証経済産業省と環境省の指針で安全性が認定されている好気性細菌RHA1株を実際の汚染サイトに注入し、塩素化エチレン類で汚染された地下水を短期間で浄化できることを実証いたしました。当社は従前より、長岡技術科学大学、(独行)製品評価技術基盤機構(NITE)と共同でRHA1株の研究を進めておりますが、今後は土地を掘削せずに浄化する原位置浄化技術のひとつとして本技術の適用を進めるとともに、塩素化エチレン類の汚染地下水浄化事業に広く展開していく予定であります。 (6)連結子会社における研究開発の主なもの大成ロテック㈱において、舗装の長寿命化技術として「ひび割れとわだち掘れの発生しにくい材料の開発」、維持修繕・メンテナンス技術として「3D電磁波レーダーによる橋梁床版の非破壊探査技術の開発」を行っております。また、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する舗装技術として「フォームドアスファルトを利用した中温化技術の実用化に関する研究」、デング熱などの感染症リスク軽減に関する技術として「虫除け機能を有する舗装の開発」等の研究を行っております。 (建築事業)(1) 高層建物の風騒音に対応した風騒音シミュレーターの開発高層建物のバルコニーの手摺など、外装材に風が作用した際に発生する風騒音問題に対応するための「風騒音シミュレーター」を業界で初めて開発し、技術センターに導入いたしました。本シミュレーターは、音響風洞実験室、暗騒音付加システム、及び風騒音評価システムから構成されており、風速40m/秒の強風条件下でのさまざまな建物の立地環境を加味した風騒音を評価することが可能なため、外装材に起因する風騒音を建物建設前に評価し、対策を講じることが可能となります。今後、建物の設計・施工において、最適な外装材の仕様の提案などを行うとともに、風騒音が発生しない外装材の研究開発を進めてまいります。(2) 床衝撃音実験施設による床仕上材の性能評価手法の開発集合住宅における床衝撃音を再現できる床衝撃音実験施設を技術センターに導入いたしました。本実験施設は、実際の集合住宅と同規模、同構造で造られた振動特性の異なる2種類の実験室を併設し、床衝撃音に対する仕上材の性能、対策効果を比較検証することが可能な業界初の施設であります。これにより、実際の集合住宅に出向いて性能検証を行わなくても、事前に実験室で性能検証し必要な対策を講ずることが可能になります。今後、快適な居住空間を提供するための床衝撃音対策工法の開発を進めるだけでなく、設備機器や鉄道軌道などからの振動により発生する固体伝搬音の低減工法の開発にも活用してまいります。(3) RC造高層住宅用地震対策構法「TASS-Flex® FRAME」の開発鉄筋コンクリート造の高層住宅を対象に、高強度・小断面の柱、梁部材で構築した骨組みに、連層壁とオイルダンパーを組み合わせた新しい地震対策構法を開発いたしました。本技術は、地震の力を受け流すしなやかな骨組と、地震エネルギーを吸収する頑強な連層壁の相乗効果を利用し、建物の地震の揺れを制御いたします。本技術の適用により、長周期・長時間地震動にも優れた耐震性を有する高付加価値な高層住宅の建設が可能となります。今後、既開発の免震・制振システムのラインアップに加え、最適な地震対策構法の提案を積極的に行ってまいります。(4) リニューアル工事で「ZEB Ready」を実現大成札幌ビルのZEB化に向けたリニューアルを完成させ、一次エネルギー消費量を50%以上削減した「ZEB Ready」省エネビルを実現いたしました。「ZEB Ready」は、経済産業省によるZEB新定義に基づくものであり、高効率LED照明、タスク&アンビエント照明方式の採用、人検知センサー情報に基づくT-Zone Saver®照明、及び省エネ状況をリアルタイムで見える化する技術などを採用いたしました。本ビルは経済産業省北海道経済産業局が主催する平成28年度「北国の省エネ・新エネ大賞(北海道経済産業局長表彰)」の〔有効利用部門〕優秀賞を受賞いたしました。今後も当社が進める「市場性のあるZEBの普及」を目標に、さまざまなZEB化技術と計画・評価ツール「T-ZEBシミュレーター®」を活用し、ZEB化を目指す建物の新築・改修を積極的に進めてまいります。(5) 建物内部の浸水リスク評価・診断システム「T-Flood Analyzer」の開発豪雨、洪水、津波などによる建物内部の浸水リスクを短時間で解析・可視化できる評価・診断システム「T-Flood Analyzer」を開発いたしました。建物内への浸水状況を迅速に解析し、BIMデータと連携させることで、さまざまな施設の浸水対策を策定することが可能となります。今後は、水理実験による検証を進め解析精度の向上を図るとともに、各種施設におけるリスクマネジメント提案ツールとして積極的に活用、展開する予定であります。 (土木事業・建築事業共通)(1) T-iROBO®シリーズの展開既に開発した「T-iROBO® UW」(ダムのリニューアル向け水中作業機)、「T-iROBO® Roller」自律型無人化振動ローラー、「T-iROBO® Breaker」(自律型割岩無人化施工システム)に加え、下記のシステムを開発いたしました。今後、当社ではロボット性能の更なる向上を図りながら、建設現場への普及・展開を進めてまいります。(現場溶接ロボットの開発) 柱鉄骨の現場溶接自動化工法「T-iROBO® Welding」を開発いたしました。鋼管柱継手部の溶接作業を対象に、すべての溶接を小型溶接ロボットにより自動で行い、現場溶接作業の省人化、効率化が可能となります。(コンクリート床仕上ロボットの開発) コンクリート床仕上ロボット「T-iROBO® Slab Finisher」を開発いたしました。技能労働者(土間工)の身体負担を軽減し、作業の省人化、効率化が可能となります。今後、物流倉庫やショッピングセンターなど床仕上面積が広範な建物を中心に本ロボットの展開を進めてまいります。(自律型清掃ロボットの開発) 建設現場において自動で清掃を行う自律型清掃ロボット「T-iROBO® Cleaner」を開発いたしました。通常の施工作業に影響を及ぼさない夜間や、作業員がいないエリアを中心に本ロボットを適用することで、清掃作業に係る省人化が可能となります。(臨場型遠隔映像システムの開発) 災害復旧工事など、重機を危険な作業環境下で使用する必要がある場合に、安全な遠隔地から実際に搭乗している感覚で重機を動かすことが可能な臨場型映像システム「T-iROBO® Remote Viewer」を開発いたしました。オペレーターは、ヘッドマウントディスプレイを装着し、遠隔地で無人重機を操縦いたします。今後、災害復旧工事に限らず、遠隔地から安全で効率的な作業が求められる建設現場への展開を図ってまいります。
FY2016|3,361 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本的方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進している。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究開発、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進している。当連結会計年度における研究開発費は109億円である。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりである。 (土木事業)(1) 液状化対策のための解析技術の開発液状化による建物の沈下を簡易に予測する解析手法を開発した。本解析手法は、地層などの地図情報や建物の形状・配置のデータを3次元でモデル化することで、構造物の不同沈下や建物同士の干渉による変状を精度よく短期間で解析でき、より安全で効果的な液状化対策を選定することができる。東日本大震災での戸建住宅の被災事例解析では、住宅の傾斜角や沈下量など実際の被災状況を再現しており、本解析手法の有効性を確認できた。今後は、プラント工場等の液状化対策検討などへの適用を図る。(2) 山岳トンネル工事における前方探査・湧水対策技術の開発山岳トンネル工事において安全な掘削を行うために、トンネルの地山状況や湧水対策効果を事前に定量把握する技術を開発した。トンネル切羽前方探査「T-SPD」は、トンネル穿孔振動を用いて地山を探査するもので、前方500m区間において、崩落の恐れがある不良地山を高精度に把握することが可能となる。「T-WELL_FLO」は、山岳地帯のトンネル工事において高圧・大量湧水が発生すると予測される場合の排水対策として行う水抜きボーリングの圧力損失を考慮した排水効果を解析する手法で、水抜きボーリング孔の数や配置、径・長さなどを最適に計画・設計することができるため、より効果的で安全な排水対策が可能となる。今後は、大土被りの山岳トンネルプロジェクトを対象に適用を図る。(3) 微生物を用いた地下水汚染浄化技術の開発製品評価技術基盤機構(NITE)と共同で、汚染された地下水を微生物を用いて従来方法の半分以下の期間で浄化する技術を開発した。この技術では、有害な塩素化エチレン類を無害化する特殊な細菌を、増殖促進菌と共に培養することにより、増殖速度を従来の倍以上に速めることで脱塩素化を速やかに進行させることが可能となる。今後は、実汚染サイトで浄化効果を確認するとともに1~2年後の実用化を目指す。(4) 既設柱の耐震補強技術の開発グループ会社の成和リニューアルワークス㈱と共同で、柱部材の耐震補強技術「CFパネル工法」を開発した。本工法は、炭素繊維シートをフレキシブルボード(繊維強化セメント板)で挟んだ複合パネルにより既設柱を囲うもので、炭素繊維を柱部材に巻き立てる従来の耐震補強工法と同等の性能を有しており、重機を使用せず少ない現場作業で施工可能で、工期短縮と施工費削減を図ることができる。今後は、工事スペースや作業時間に制約がある地下街や地下鉄、大型重機が使えない場所への適用を図る。(5) 次世代無人化施工システムの開発将来的な人手不足対策や生産性向上を目的として、建設機械を自動制御するシステムを開発した。当システムは、建設機械の操作者が作業目標を設定し、スタートボタンを押すだけで、建設機械に搭載されたセンサー類により周辺状況を建設機械自体が判断しながら作業をするため、遠隔操作も熟練したオペレーターも必要としない、誰でも安全・簡単に操作可能な「次世代の無人化施工システム」である。今後は、技術の更なる高機能化を図るとともに、人の立ち入ることのできない危険区域や災害現場での適用のみならず、ダム、大規模造成工事等への用途拡大を図る。 (6)連結子会社における研究開発の主なもの大成ロテック㈱において、舗装の耐久性向上・維持修繕に関わる技術として「ひび割れとわだち掘れの発生しにくいアスファルト混合物の開発」や環境にやさしい「耐久性の高いひび割れ補修材の開発」、循環型社会の構築へ向けた舗装技術からのアプローチとして「繰り返し再生されたアスファルト混合物の望ましい再生方法の検討」や「CO2排出量の削減を目的とした中温化技術の高度化」、寒冷地の冬季路面対策として車道用凍結抑制舗装技術の開発」や「歩道用の除雪補助機能を有する舗装の開発」、歩行空間の暑熱環境改善技術として「給水型保水性ブロック舗装システムの改良」及びデング熱などの感染症のリスク軽減に関する技術として「虫除け機能を有する舗装の開発」等の研究を行っている。 (建築事業)(1) 「ZEB実証棟」年間エネルギー収支ゼロを達成2014年に技術センター内に建設されたZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟において、都市型の建物としては国内で初めて年間エネルギー収支ゼロを達成した。当社のZEB技術は、エネルギー消費を一般のオフィスビルに比べ75%削減するとともに残り25%を太陽光発電で創出するものであり、2020年の市場投入に向け技術開発を進めている。また、一般ビルのZEB計画を目的として「T-ZEBシミュレーター」を開発し、短期間でエネルギー収支予測及びZEB評価、コスト算出を可能とした。(2) エアカーテンによる清浄空気環境技術の開発空気のカーテンで外部を遮り、屋内の特定の空間のみ空気清浄度を高めるクリーンブース技術「T-Clean Air Wall」を開発した。一定の作業エリアに対し天井外周部から1m/s程度の微風を下方に送るものであり、クリンブース内部はビニルカーテンやガラスで区画する従来のクリーンブースと同等の清浄度を確保できる。また、壁等を設けないため、人や搬送装置の移動動線の妨げといった問題を解消し、高い作業性を確保できる。今後は、電子デバイス製造施設の新築や改修等において、省エネや低コストが求められるような局所クリーン化が必要とされるクリーンルームに対して提案を行うとともに、食品工場、医療施設等さまざまな施設への展開を図る。(3) 土壌細菌による汚染水浄化技術の開発大阪大学・北里大学と共同で、工業廃水に含まれる規制物質「1,4-ジオキサン」を効果的に除去する技術を開発した。従来技術は、エネルギー消費が大きく高コストであったが、大阪大学グループが発見した微生物(D17株)を応用することで、イニシャルコストを8割、ランニングコストを5割低減できる。今後は、多くの化学物質を含む難易度の高い工場廃水の処理実験を進め、化学品工場への導入を目指す。同技術で日本経済新聞社「第25回 日経地球環境技術賞」優秀賞を受賞した。(4) 鉄筋の挿入・定着による既存建物の耐震補強技術の開発既存の鉄筋コンクリート建築物の増改築時において、既設・新設の躯体を一体化させるための鉄筋挿入・定着工法「Post-Head-Anchor(ポスト・ヘッド・アンカー)」を開発した。地震時に発生する引張力を躯体間で確実に伝達することで建築物の耐震性能を大幅に向上させるだけでなく、既存躯体への影響を最小限に抑え、短工期で施工できる。今後は、発電所等の重要施設の地震・津波時対策として、建屋の安定性確保など既設建築物の補強・増設工事への適用を目指すとともに、一般的な建築物の増改築や耐震補強技術として適用を図る。(5) ウェアラブル端末を利用した施工支援技術の開発ICT技術を活用した施工の省力化・省人化技術として、ウェアラブル端末を活用した墨出し測量システム「T-Mark.Navi」を開発した。本システムは、眼鏡型のウェアラブル端末と専用測量機器を連携させウェアラブル端末の画面表示により作業員を目標とする測点まで誘導し、作業員の音声操作により測点の位置を決定するシステムである。これまで2人1組で行っていた測量作業を単独で行うことができ、作業時間も約3割短縮できる。現在、数ヵ所の建設現場で運用を開始している。