研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 18 |
| 2024-03 | - | 4 |
| 2023-03 | - | 2 |
| 2022-03 | - | 4 |
| 2021-03 | - | 6 |
研究開発活動(本文)
FY2025|2,927 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発費総額は90百万円であり、既存事業である補修・補強事業の拡張や新たな成長分野となる防災関連・環境課題への対応に関する技術開発に取り組んでいます。 (1)補修・補強事業 ①亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術 当グループでは、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究により、鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果を有する「亜硝酸リチウム」を用いた「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化し、技術の普及と発展に努めています。 本技術は、劣化したコンクリート構造物に対して、亜硝酸リチウム水溶液を内部圧入することで、これまで不可能とされてきたASRの劣化進行を根本的に抑制し、かつ塩害や中性化に対しても、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋を防錆処理することができます。現時点で本工法に対抗し得る類似技術は実用化されていないため、今後もこの分野において高いシェアを維持できると考えます。 本技術は、港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。現在は、全国的に増加している老朽化した道路橋の床版に対して、交通を規制することなく床版下面から施工を行う補修方法の実用化を進めています。 本技術の発展を通じて、更新(床版取替)に代わる新たな選択肢を提案し、既存の道路橋床版の維持管理の合理化に貢献します。 ②改質材を用いたコンクリート強度回復技術当グループでは、山口大学との共同研究により、火害やASR等により劣化したコンクリートの強度を回復させる「改質材」を開発し、内部圧入技術を応用したコンクリート構造物の補修方法を確立しました。火害を模した大型供試体での実証実験では、劣化の程度によっては受熱前の90%以上まで強度が回復することを確認しています。今後は、実構造物への適用に向けて管理基準の整備等、更なる検討を進めます。本技術により、解体・再構築等の大規模な対策を講じることなく、劣化したコンクリート構造物の性能を改善することができます。本技術の開発を通じて、社会環境・地球環境の両側面の環境影響を低減した構造物の維持管理に貢献します。 ③既設構造物に対するプレストレス補強技術当グループでは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に追加配置した緊張材によりプレストレスを与えて外観を変えることなく補強する技術「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本技術は、橋梁下部工の耐震補強の他、建築構造物の改築や、港湾施設の補強(部材一体化)等、多様な用途に採用されています。本技術により、コンクリート部材を拡幅・増設する際にプレストレスを与えることで、接続用に追加配置する鉄筋を減らし躯体への削孔本数を少なくすることができるうえ、コンクリートのひび割れを抑制できるため効果的に構造物の耐久性を向上できます。また、従来の補強工法の課題である既設部材の増厚・重量増加や土中構造物での大規模な掘削を最小化でき、経済性向上(約11%)や工程短縮(約28%)が見込めます。現在は、床版等の薄肉部材や厳しい腐食環境下にある構造物の改築に適用するため、構造のコンパクト化と非鉄緊張材の適用検討を進めており、さらなる販路拡大を目指します。本技術の開発を通じて、様々な構造物の効率的な機能向上を図り、社会的な要請に貢献します。 ④床版取替工事の合理化技術当グループは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。本技術は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版同士の接合部に専用材料を充てんするだけで鉄筋配置を省略した世界初の画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1割以上短縮することが可能となります。近年では、床版取替工事での採用も進み、2024年度末までに7橋へ適用されました。今後も3橋に適用が予定されており、さらなる販路拡大が期待されています。また、ずれ止めが多数配置される鋼合成桁橋の床版更新では、既設床版の撤去において、従来手はつりやウォータージェットによるコンクリートはつりを伴うことが多く、工程の長期化や高コストが課題となっていました。これに対して、コンクリートカッターを使用した合理的な工法「K-SLASH工法」を開発しました。本技術は、従来方法と比較して工事期間を20%程度短縮することが可能となります。2023年度は1橋に適用し実工事での適用性を確認しました。今後も高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、社会的ニーズに応えていきます。今後も高速道路の大規模更新事業等において、これらの技術適用に取り組み、更なる工事の効率化を図ります。 (2)防災分野・環境課題への対応 ①コンクリート二次製品を活用した防災・災害復旧技術当グループは、得意分野であるコンクリート製品の製造技術を生かし、キッコウ・ジャパン社との共同開発により、簡易施工の土留め壁「ロックフレーム工法」を実用化しました。本工法は、コンクリート二次製品の格子状フレームに石材を密に詰め、フレームと石材を一体化した「もたれ式擁壁」です。従来工法と比較して、技能者の減少が著しい石積みの技能に左右されることのない空石積みの特長を活かし、排水性にすぐれ、環境にやさしい、擁壁や護岸を簡易に構築する技術であり、施工が簡易なことから、法面・斜面の防災対策のみならず災害復旧等にも適した工法です。本工法を適用することで、従来技術と比較し現場工程の短縮(約40%)に加えて、コンクリート使用量の削減に伴うCO2削減(約54%)に貢献できます。今後、フレームのラインナップ拡充による工法の適用拡大を図り、販路拡大を目指します。本技術の実用化を通じて激甚化する災害への対応と環境負荷低減(CO2削減)に貢献します。 ②非鉄材料を用いたコンクリート二次製品当グループは、非鉄・非磁性など鉄筋にはない特徴を有する連続繊維材を利用した高耐久な床版の開発を進めています。腐食リスクを排除したミニマムメンテナンスのコンクリート製品を適用することで、維持管理に伴う二酸化炭素の排出抑制や省力化に寄与します。また、建設時の二酸化炭素の排出を抑制するため、セメントを高炉スラグ微粉末等の副産物で置換したコンクリートを使用した土木製品が実用化されているなか、このようなコンクリートは低アルカリとなり、その内部に配置される鉄筋が腐食し易い環境となります。その対策として、腐食リスクがない連続繊維材を組み合わせることで、環境に配慮した高耐久な構造物の構築も可能になります。環境負荷低減に向けた取り組みを継続的に行い、持続可能な社会の実現に貢献します。
FY2024|3,410 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発費総額は71百万円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術 我が国の社会資本を支えるコンクリート構造物は老朽化の一途を辿っており、特に、塩害や中性化による鉄筋腐食やASRによるコンクリートの異常膨張など、深刻なコンクリート構造物の劣化に対する効果的な補修技術の開発が急務とされてきました。そのような社会状況の中、当グループでは鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果を有する「亜硝酸リチウム」という材料の性質に一早く着目し、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究により「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化し、技術の普及に努めています。「ASRリチウム工法」は、ASRにより劣化したコンクリート構造物全体に亜硝酸リチウムを内部圧入することで、これまで不可能とされてきたASRの劣化進行を根本的に抑制することができます。現時点で本工法に対抗し得る類似技術は実用化されていないため、今後もこの分野において高いシェアを維持できると考えます。「リハビリカプセル工法」は、塩害や中性化により劣化したコンクリート内部の鉄筋付近に亜硝酸リチウムを内部圧入することで、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋防錆処理することができます。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、本工法を使えば電気防食工法より安価に補修することが可能となります。さらに,老朽化した道路橋床版の補修では、床版下側からの施工が可能であるため,道路規制等の社会的な影響を抑えながら構造物の長寿命化が可能となります。近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。今後は、施工方法の合理化を図るとともに、当技術を応用し劣化したコンクリートの強度回復に繋がる技術開発に着手していきます。(2)既設構造物の内部補強技術我が国の社会インフラは、高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが懸念されています。また供用されるなかで、ニーズの変化により更新や改築・増築の必要に迫られた構造物や、頻発する地震に対する補強が必要な構造物が数多く存在します。しかし、それらの構造物を全て更新するためには多額の費用を必要とするため、既存構造物を使いながら補強や増改築が可能な技術への需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に追加配置した緊張材によりプレストレスを与えて外観を変えることなく補強する「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本工法は、コンクリートのひび割れを抑制できるため構造物の耐久性を向上できます。また、本工法を適用することで、従来の補強工法の課題である既設部材の増厚・重量増加や土中構造物での大規模な掘削を最少化でき、経済性向上(約11%)や工程短縮(約28%)が見込めます。今後は、床版等の薄肉部材や厳しい腐食環境下での構造物の機能と耐久性を向上等に適用するために、非鉄緊張材の適用検討を進め、さらなる販路拡大を目指します。(3)老朽化した橋梁床版の更新技術近年、社会インフラの老朽化に伴い、高速道路橋の鉄筋コンクリート床版をプレキャストプレストレストコンクリート床版へ取り替える事業(大規模更新事業)が本格化しています。この事業においては、供用中の道路の交通規制を伴うことから、急速施工が求められます。このような社会ニーズに対応するため、当グループでは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。本工法は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版同士の接合部に専用材料を充てんするだけで鉄筋配置を省略した世界初の画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1割以上短縮することが可能となります。近年では、床版取替工事での採用も進み,2023年度は1橋に適用され,2024年度以降は5橋で適用が予定されており、さらなる販路拡大が期待されています。また、ずれ止めが多数配置される鋼合成桁橋の床版更新では、既設床版の撤去において、従来手はつりやウォータージェットによるコンクリートはつりを伴うことが多く、工程の長期化や高コストが課題となっていました。これに対して、当グループでは、コンクリートカッターを使用した合理的な工法「K-SLASH工法」を開発しました。本工法では、施工の合理化により、従来方法と比較して工事期間を20%程度短縮することが可能となります。2023年度は1橋に適用され,その効果を発揮しました。今後も高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、社会的ニーズに応えていきます。(4)コンクリート二次製品を活用した防災・災害復旧技術近年、我が国では大地震、豪雨、土砂災害などの自然災害が全国的に激甚化、頻発化している傾向にあり、これに対する社会インフラの整備、維持、早期復旧への対応が急務となっています。このような社会ニーズに対応するため、当グループの得意分野であるコンクリート製品の製造技術を生かし、キッコウ・ジャパン社との共同開発により、簡易施工の土留め壁「ロックフレーム工法(S型)」を実用化しました。「ロックフレーム工法(S型)」は、コンクリート二次製品の格子状フレームに石材を密に詰め、フレームと石材を一体化した「もたれ式擁壁」です。従来工法と比較して、技能者の減少が著しい石積みの技能に左右されることのない空石積みの特長を活かし、排水性にすぐれ、環境にやさしい、擁壁や護岸を簡易に構築する技術であり、施工が簡易なことから、法面・斜面の災害復旧等にも適した工法です。本工法を適用することで、従来技術と比較し現場工程の短縮(約40%)に加えて、コンクリート使用量の削減に伴うCO2削減(約54%)に貢献できます。今後、フレームのラインナップ拡充による工法の適用拡大を図り、販路拡大を目指します。(5)建設工事における生産性向上技術・環境負荷低減建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムやICTを活用したコンクリート打設管理およびプレストレス導入管理システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めています。また、政府において2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことが宣言され、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を抑制することが世界的に求められています。当グループでは、セメント製造時に多くの二酸化炭素が排出されることに着目し、副産物である高炉スラグ微粉末でセメントを置換した二酸化炭素排出量低減コンクリートを使用した土木製品を実用化しています。今後、置換率の増加等、さらなる環境負荷低減に向けた研究を進めてまいります。
FY2023|3,259 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発費総額は56百万円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術我が国の社会資本を支えるコンクリート構造物は老朽化の一途を辿っており、特に、塩害や中性化による鉄筋腐食やASRによるコンクリートの異常膨張など、深刻なコンクリート構造物の劣化に対する効果的な補修技術の開発が急務とされてきました。そのような社会状況の中、当グループは鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果を有する「亜硝酸リチウム」という材料の性質に一早く着目し、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究により「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化し、技術の普及に努めています。「ASRリチウム工法」は、ASRにより劣化したコンクリート構造物全体に亜硝酸リチウムを内部圧入する工法であり、これまで不可能とされてASRの劣化進行を根本的に抑制することができます。現時点でASRリチウム工法に対抗し得る類似工法は実用化されておらず、今後もこの分野で高いシェアを維持できると考えます。「リハビリカプセル工法」は、塩害や中性化により劣化したコンクリート内部の鉄筋付近に亜硝酸リチウムを内部圧入する技術であり、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋防錆処理することができます。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、本工法を使えば電気防食工法より安価に補修することが可能となります。さらに,老朽化した道路橋床版の補修では、床版下側からの施工が可能であるため,道路規制等の社会的な影響を抑えながら構造物の長寿命化が可能となります。近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。(2)既設構造物の内部補強技術我が国の社会インフラは、高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが懸念されています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。しかし、それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置した緊張材にプレストレスを与えて補強する「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本工法は、一般的なコンクリート補強工法とは異なり、補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。近年では、橋梁下部工や建築部材の補強工事にも採用され、さらなる発展が期待されています。今後は、緊張材のラインナップを充実させ、床版等の薄肉部材や腐食環境下にある部材等への適用拡大を図り、さらなる販路拡大を目指します。(3)老朽化した橋梁床版の更新技術近年、社会インフラの老朽化に伴い、高速道路橋の鉄筋コンクリート床版をプレキャストプレストレストコンクリート床版へ取り替える事業(大規模更新事業)が本格化しています。この事業においては、供用中の道路の交通規制を伴うことから、急速施工が求められます。このような社会ニーズに対応するため、当グループでは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。「ELSS Joint」は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版間に低剛性の専用材料を充てんするだけで床版同士を半剛接合するという世界初の画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1 割以上短縮することが可能となります。「ELSS Joint」は床版取替工事での採用も進んでおり,2023年度は1橋,2024年度は4橋の施工を行う予定です。また、ずれ止めが多数配置される鋼合成桁橋の床版更新では、既設床版の撤去において、従来手はつりやウォータージェットによるコンクリートはつりを伴うことが多く、工程の長期化や高コストが過大となっていました。これに対して、当グループでは、コンクリートカッターを使用した合理的な工法「K-SLASH工法」を開発し、実用化に向けた研究を進めています。本工法では、施工の合理化により、従来方法と比較して工事期間を20%程度短縮することが可能となります。今後、高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、社会的ニーズに応えていきます。 (4)コンクリート二次製品を活用した防災・災害復旧技術近年、我が国では大地震、豪雨、土砂災害などの自然災害が全国的に激甚化、頻発化している傾向にあり、これに対する社会インフラの整備、維持、早期復旧への対応が急務となっています。このような社会ニーズに対応するため、当グループの得意分野であるコンクリート製品の製造技術を生かし、キッコウ・ジャパン社との共同開発により、簡易施工の土留め壁「ロックフレーム工法(S型)」を実用化しました。「ロックフレーム工法(S型)」は、コンクリート二次製品の格子状フレームに石材を密に詰め、フレームと石材を一体化した「もたれ式擁壁」です。従来工法と比較して、技能者の減少が著しい石積みの技能に左右されることのない空石積みの特長を活かし、排水性にすぐれ、環境にやさしい、擁壁や護岸を簡易に構築する技術であり、施工が簡易なことから、法面・斜面の災害復旧等にも適した工法です。今後、フレームのラインナップ拡充による工法の適用拡大を図り、販路拡大を目指します。(5)建設工事における生産性向上技術・環境負荷低減建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムやICTを活用したコンクリート打設管理およびプレストレス導入管理システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めています。また、政府において2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことが宣言され、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を抑制することが世界的に求められています。当グループでは、セメント製造時に多くの二酸化炭素が排出されることに着目し、副産物である高炉スラグ微粉末でセメントを置換した二酸化炭素排出量低減コンクリートを使用した土木製品を実用化しています。今後、置換率の増加等、さらなる環境負荷低減に向けた研究を進めています。
FY2022|3,043 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発費総額は93百万円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術我が国の社会資本を支えるコンクリート構造物は老朽化の一途を辿っており、特に、塩害や中性化による鉄筋腐食やASRによるコンクリートの異常膨張など、深刻なコンクリート構造物の劣化に対する効果的な補修技術の開発が急務とされてきました。そのような社会状況の中、当グループは鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果を有する「亜硝酸リチウム」という材料の性質に一早く着目し、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究により「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化し、技術の普及に努めています。「ASRリチウム工法」は、ASRにより劣化したコンクリート構造物全体に亜硝酸リチウムを内部圧入する工法であり、これまで不可能とされていたASRの劣化進行を根本的に抑制することができます。現時点でASRリチウム工法に対抗し得る類似工法は実用化されておらず、今後もこの分野で高いシェアを維持できると考えます。「リハビリカプセル工法」は、塩害や中性化により劣化したコンクリート内部の鉄筋付近に亜硝酸リチウムを内部圧入する技術であり、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋防錆処理することができます。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、本工法を使えば電気防食工法より安価に補修することが可能となり、採用件数が増加傾向にあります。近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。(2)既設構造物の内部補強技術我が国の社会インフラは、高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが懸念されています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。しかし、それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置した緊張材にプレストレスを与えて補強する「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本工法は、一般的なコンクリート補強工法とは異なり、補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。近年では、橋梁下部工の補強工事にも採用され、さらなる発展が期待されています。今後は、適用緊張材のラインナップ充実や床版等の薄肉部材への適用拡大を図り、さらなる販路拡大を目指します。 (3)老朽化した橋梁床版の更新技術近年、社会インフラの老朽化に伴い、高速道路橋の鉄筋コンクリート床版をプレキャストプレストレストコンクリート床版へ取り替える事業(大規模更新事業)が本格化しています。この事業においては、供用中の道路の交通規制を伴うことから、急速施工が求められます。このような社会ニーズに対応するため、当グループでは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。「ELSS Joint」は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版間に低剛性の専用材料を充てんするだけで床版相互を半剛接合するという画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1 割以上短縮することが可能となります。また、合成桁橋における既設床版の撤去においては、従来ウォータージェットによるコンクリートはつりを伴うことが多く、工程の長期化や高コストが過大となっていました。これに対して、当グループでは、コンクリートカッターを使用した合理的な工法に関する特許を取得し、実用化に向けた研究を進めています。今後、高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、販路拡大を目指します。(4)コンクリート二次製品を活用した防災・災害復旧技術近年、我が国では大地震、豪雨、土砂災害などの自然災害が全国的に激甚化、頻発化している傾向にあり、これに対する社会インフラの整備、維持、早期復旧への対応が急務となっています。このような社会ニーズに対応するため、当グループの得意分野であるコンクリート製品の製造技術を生かし、キッコウ・ジャパン社との共同開発により、簡易施工の土留め壁「ロックフレーム工法(S型)」を実用化しました。「ロックフレーム工法(S型)」は、コンクリート二次製品の格子状フレームに石材を密に詰め、フレームと石材を一体化した「もたれ式擁壁」です。従来工法と比較して、技能者の減少が著しい石積みの技能に左右されることのない空石積みの特長を活かし、排水性にすぐれ、環境にやさしい、擁壁や護岸を簡易に構築する技術であり、施工が簡易なことから、法面・斜面の災害復旧等にも適した工法です。今後、フレームのラインナップ拡充による工法の適用拡大を図るとともに、公的技術認定の取得に向けた取組みを推進し、販路拡大を目指します。(5)建設工事における生産性向上技術・環境負荷低減建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムやICTを活用したコンクリート打設管理およびプレストレス導入管理システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めています。また、政府において2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことが宣言され、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を抑制することが世界的に求められています。当グループでは、セメント製造時に多くの二酸化炭素が排出されることに着目し、セメントの50%を副産物である高炉スラグ微粉末に置き換えた「中流動コンクリート」の特性に関する研究を行い、工場製品への積極的な採用を進めています。
FY2021|2,682 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発費総額は52百万円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術我が国の社会資本を支えるコンクリート構造物は老朽化の一途を辿っており、特に、塩害や中性化による鉄筋腐食やASRによるコンクリートの異常膨張など、深刻なコンクリート構造物の劣化に対する効果的な補修技術の開発が急務とされてきました。そのような社会状況の中、当グループは鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果を有する「亜硝酸リチウム」という材料の性質に一早く着目し、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究により「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化し、技術の普及に努めています。「ASRリチウム工法」は、ASRにより劣化したコンクリート構造物全体に亜硝酸リチウムを内部圧入する工法であり、これまで不可能とされてASRの劣化進行を根本的に抑制することができます。現時点でASRリチウム工法に対抗し得る類似工法は実用化されておらず、今後もこの分野で高いシェアを維持できると考えます。「リハビリカプセル工法」は、塩害や中性化により劣化したコンクリート内部の鉄筋付近に亜硝酸リチウムを内部圧入する技術であり、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋防錆処理することができます。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、本工法を使えば電気防食工法より安価に補修することが可能となり、採用件数が増加傾向にあります。近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。(2)既設構造物の内部補強技術我が国の社会インフラは、高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが懸念されています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。しかし、それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置した緊張材にプレストレスを与えて補強する「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本工法は、一般的なコンクリート補強工法とは異なり、補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。近年では、橋梁下部工の補強工事にも採用され、さらなる発展が期待されています。今後は、適用緊張材のラインナップ充実により用途の拡大を図り、さらなる販路拡大を目指します。 (3)老朽化した橋梁床版の更新技術近年、社会インフラの老朽化に伴い、高速道路橋の鉄筋コンクリート床版をプレキャストプレストレストコンクリート床版へ取り替える事業(大規模更新事業)が本格化しています。この事業においては、供用中の道路の交通規制を伴うことから、急速施工が求められます。このような社会ニーズに対応するため、当グループでは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。「ELSS Joint」は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版間に低剛性の専用材料を充てんするだけで床版相互を半剛接合するという画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1割以上短縮することが可能となります。今後、高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、販路拡大を目指します。(4)コンクリート二次製品を活用した防災・災害復旧技術近年、我が国では大地震、豪雨、土砂災害などの自然災害が全国的に激甚化、頻発化している傾向にあり、これに対する社会インフラの整備、維持、早期復旧への対応が急務となっています。このような社会ニーズに対応するため、当グループの得意分野であるコンクリート製品の製造技術を生かし、キッコウ・ジャパン社との共同開発により、簡易施工の土留め壁「ロックフレーム工法(S型)」を実用化しました。「ロックフレーム工法(S型)」は、コンクリート二次製品の格子状フレームに石材を密に詰め、フレームと石材を一体化した「もたれ式擁壁」です。従来工法と比較して、技能者の減少が著しい石積みの技能に左右されることのない空石積みの特長を活かし、排水性にすぐれ、環境にやさしい、擁壁や護岸を簡易に構築する技術であり、施工が簡易なことから、法面・斜面の災害復旧等にも適した工法です。今後、フレームのラインナップ拡充による工法の適用拡大を図るとともに、公的技術認定の取得に向けた取組みを推進し、販路拡大を目指します。(5)建設工事における生産性向上技術建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムや無線LANを活用したプレストレス導入管理システムおよびモバイル方式の自動計測・通信システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めています。
FY2020|2,704 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度における研究開発費総額は51百万円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。 (1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の長寿命化技術我が国の社会資本を支えるコンクリート構造物は老朽化の一途を辿っており、それらを長寿命化する技術が不可欠であると言えます。特に、塩害や中性化による鉄筋腐食やASRによるコンクリートの異常膨張など、深刻なコンクリート構造物の劣化に対する効果的な補修技術の開発が急務とされてきました。そのような社会状況の中、当グループは「亜硝酸リチウム」という材料の性質に一早く着目し、亜硝酸リチウムによる鉄筋防錆効果およびASR膨張抑制効果に関する研究を、京都大学をはじめ多数の大学との共同研究として推進し、「ASRリチウム工法」および「リハビリカプセル工法」というコンクリート補修技術を開発、実用化しました。「ASRリチウム工法」は、ASRにより劣化したコンクリート構造物全体に亜硝酸リチウムを内部圧入する工法であり、これまで不可能とされてASRの劣化進行を根本的に抑制することができます。現時点でASRリチウム工法に対抗し得る類似工法は実用化されておらず、今後もこの分野で高いシェアを維持できると考えます。「リハビリカプセル工法」は、塩害や中性化により劣化したコンクリート内部の鉄筋付近に亜硝酸リチウムを内部圧入する技術であり、コンクリート中の鉄筋をはつり出すことなく確実に鉄筋防錆処理することができます。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、本工法を使えば電気防食工法より安価に補修することが可能となり、採用件数が増加傾向にあります。近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。(2)既設構造物の内部補強技術我が国の社会インフラは、高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが見込まれています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。しかし、それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置した緊張材にプレストレスを与えて補強する「K-PREX工法」を開発し実用化しました。本工法は、一般的なコンクリート補強工法とは異なり、補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。近年では、橋梁下部工の補強工事にも採用され、さらなる発展が期待されています。今後は、適用緊張材のラインナップ充実により用途の拡大を図るとともに、公的技術認定の取得に向けた取組みを推進し、さらなる販路拡大を目指します。(3)継手部の配筋を省いた新しいプレキャスト床版継手技術近年、社会インフラの老朽化に伴い、高速道路橋の鉄筋コンクリート床版をプレキャストプレストレストコンクリート床版へ取り替える事業(大規模更新事業)が本格化しています。この事業においては、供用中の道路の交通規制を伴うことから、急速施工が求められます。このような社会ニーズに対応するため、当グループでは、日鉄エンジニアリング社との共同開発により、更新工事(既設橋梁の床版取替)における交通規制期間の短縮や施工の合理化・省力化が図れるプレキャスト床版の接合工法「ELSS Joint」を実用化しました。「ELSS Joint」は、従来のような鉄筋を用いた継手工法とは異なり、プレキャスト床版間に低剛性の専用材料を充てんするだけで床版相互を半剛接合するという画期的な工法であり、従来工法と比較して、労働生産性は14%程度向上し、交通規制期間を1 割以上短縮することが可能となります。今後、高速道路の大規模更新事業での採用に向けた取組みを推進し、販路拡大を目指します。(4)産業副産物を活用したPC桁製造時の環境負荷低減技術石炭火力発電所から排出される産業副産物であるフライアッシュは、セメント原料、コンクリート製品、土工材等に利用されていますが、その利用量は決して多くはなく、環境負荷低減のためにさらなる有効利用が望まれています。一方、フライアッシュを混和したコンクリートは、コンクリートが緻密になり耐久性が向上することはよく知られています。このような環境負荷低減や構造物の高耐久化といった社会的要請に応えるため、当グループの江津工場の近隣にある中国電力三隅発電所から排出されるフライアッシュをセメントの部分代替品として活用したプレストレストコンクリート桁(PC桁)の実用化し、実橋に採用されました。このような活動に加え、製鉄所で銑鉄を製造する際に排出される高炉スラグをコンクリートの細骨材(砂)の代替材料として利用する研究にも着手しており、産業副産物の有効活用技術のさらなる高度化を目指します。 (5)建設工事における生産性向上技術建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムや無線LANを活用したプレストレス導入管理システムおよびモバイル方式の自動計測・通信システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めています。
FY2019|2,226 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度における研究開発費総額は43,735千円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(建設事業)(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の延命化技術 「ASRリチウム工法」は、コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制する亜硝酸リチウムという材料を、同反応により劣化したコンクリート構造物に専用の高圧注入機を用いて内部圧入する工法です。本工法は、これまで不可能とされてきたアルカリシリカ反応を根本的に抑制する画期的なものであり、これにより同反応による再劣化を繰り返していたコンクリート構造物の延命化を図ることができるようになりました。亜硝酸リチウムはアルカリシリカ反応を抑制する効果だけでなく、塩害や中性化による鉄筋腐食を抑制する効果もあるため、この効果に着目し、塩害、中性化対策およびそれらとアルカリシリカ反応が複合して劣化したコンクリート構造物への適用を目指して研究を進め、「リハビリカプセル工法」として実用化しました。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、施工費が非常に高いことや、防食電流の通電による陽イオン集積に起因してアルカリシリカ反応を促進することから、適用に制約がありました。しかし、亜硝酸リチウムを使えば、電気防食工法より安価で、複合劣化にも効果のある画期的な塩害補修工法となります。ASRリチウム工法に加え、リハビリカプセル工法の施工実績も増加しており、近年では港湾分野での大規模補修工事、NEXCOや阪神高速道路での大規模更新事業にも採用され、さらなる販路拡大が期待されています。(2)産業副産物を活用したPC桁製造時の環境負荷低減技術 石炭火力発電所から排出される産業副産物であるフライアッシュは、セメント原料、コンクリート製品、土工材等に利用されていますが、その利用量は決して多くはなく、環境負荷低減のためにさらなる有効利用が望まれています。一方、フライアッシュを混和したコンクリートは、コンクリートが緻密になり耐久性が向上することはよく知られています。このような環境負荷低減や構造物の高耐久化といった社会的要請に応えるため、当グループの江津工場の近隣にある中国電力三隅発電所から排出されるフライアッシュをセメントの部分代替品として活用したプレストレストコンクリート桁(PC桁)の実用化しました。このような活動に加え、製鉄所で銑鉄を製造する際に排出される高炉スラグをコンクリートの細骨材(砂)の代替材料として利用する研究にも着手しており、産業副産物の有効活用技術のさらなる高度化を目指します。(3)既設構造物の内部補強技術 わが国の社会インフラは高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが見込まれています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当グループは、得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置したPC鋼材にプレストレスを与えて補強する工法を開発し実用化し実施工へ適用しました。この工法は一般的なコンクリート補強工法とは異なり補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。今後は実施工による経験を活かして作業効率を高める検討や管理手法の洗練化に関する研究を行うとともに、適用できるPC鋼材のラインナップ充実による拡販や公的技術認定の取得に向けた取組みを推進します。(4)建設工事における生産性向上技術 建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン運搬管理システムや無線LANを活用したプレストレス導入管理システムおよびモバイル方式の自動計測・通信システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めるとともに、プレキャスト部材の合理化継手構造や鋼・コンクリート複合床版といった独自技術の開発にも着手し、時流に即した情報化施工の洗練化、独自技術による優位性の確保に向けて、広範な活動を継続しています
FY2018|2,288 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度における研究開発費総額は36,647千円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(建設事業)(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の延命化技術 「ASRリチウム工法」は、コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制する亜硝酸リチウムという材料を、同反応により劣化したコンクリート構造物に専用の高圧注入機を用いて内部圧入する工法です。本工法は、これまで不可能とされてきたアルカリシリカ反応を根本的に抑制する画期的なものであり、これにより同反応による再劣化を繰り返していたコンクリート構造物の延命化を図ることができるようになりました。亜硝酸リチウムはアルカリシリカ反応を抑制する効果だけでなく、塩害や中性化による鉄筋腐食を抑制する効果もあるため、この効果に着目し、塩害、中性化対策およびそれらとアルカリシリカ反応が複合して劣化したコンクリート構造物への適用を目指して研究を進め、「リハビリカプセル工法」として実用化しました。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、施工費が非常に高いことや、防食電流の通電による陽イオン集積に起因してアルカリシリカ反応を促進することから、適用に制約がありました。しかし、亜硝酸リチウムを使えば、電気防食工法より安価で、複合劣化にも効果のある画期的な塩害補修工法となります。ASRリチウム工法に加え、リハビリカプセル工法の施工実績も増加しておりますが、現在はさらに工法のコスト競争力を高めるべく、安価な圧入装置の新規開発やより簡便な亜硝酸リチウムの内部浸透方法を研究しており、引き続き、新たな浸透工法の実用化に向けた開発を推進します。(2)産業副産物を活用したPC桁製造時の環境負荷低減技術 電力の安定供給に大きな役割を担っている石炭火力発電所では、微粉砕した石炭をボイラ内で燃焼させ発電させる際、多量の石炭灰(フライアッシュ)が排出されます。産業副産物であるフライアッシュは、セメント原料、コンクリート製品、土工材等に利用されていますが、その利用量は決して多くはなく、環境負荷低減のためにさらなる有効利用が望まれています。一方、フライアッシュを混和したコンクリートは、コンクリートが緻密になり耐久性が向上することはよく知られています。このような環境負荷低減や構造物の高耐久化といった社会的要請に応えるため、自社江津工場の近隣にある中国電力三隅発電所から排出されるフライアッシュをセメントの部分代替品として活用したプレストレストコンクリート桁(PC桁)の実用化を進めています。このような活動に加え、製鉄所で銑鉄を製造する際に排出される高炉スラグをコンクリートの細骨材(砂)の代替材料として利用する研究にも着手しており、産業副産物の有効活用技術のさらなる高度化を目指します。(3)既設構造物の内部補強技術 わが国の社会インフラは高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが見込まれています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。そこで当社は、自社の得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置したPC鋼材にプレストレスを与えて補強する工法を開発し実用化しました。この工法は一般的なコンクリート補強工法とは異なり補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。今後は実施工による経験を活かして作業効率を高める検討や管理手法の洗練化に関する研究を行うとともに、適用できるPC鋼材の種類や径などのラインナップ充実による拡販や公的技術認定の取得に向けた取組みを推進します。(4)建設工事における生産性向上技術 建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当社においても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン打設管理システムやモバイル方式の自動計測・通信システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めるとともに、プレキャスト部材の合理化継手構造や鋼・コンクリート複合床版といった独自技術の開発にも着手し、時流に即した情報化施工の洗練化、独自技術による優位性の確保に向けて、広範な活動を継続しています。
FY2017|2,299 文字
6【研究開発活動】 当連結会計年度における研究開発費総額は37,772千円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(建設事業)(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の延命化技術 「ASRリチウム工法」は、コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制する亜硝酸リチウムという材料を、同反応により劣化したコンクリート構造物に専用の高圧注入機を用いて内部圧入する工法です。本工法は、これまで不可能とされてきたアルカリシリカ反応を根本的に抑制する画期的なものであり、これにより同反応による再劣化を繰り返していたコンクリート構造物の延命化を図ることができるようになりました。 亜硝酸リチウムはアルカリシリカ反応を抑制する効果だけでなく、塩害や中性化による鉄筋腐食を抑制する効果もあるため、この効果に着目し、塩害、中性化対策及びそれらとアルカリシリカ反応が複合して劣化したコンクリート構造物への適用を目指して研究を進め、「リハビリカプセル工法」として実用化しました。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、施工費が非常に高いことや、防食電流の通電による陽イオン集積に起因してアルカリシリカ反応を促進することから、適用に制約がありました。しかし、亜硝酸リチウムを使えば、電気防食工法より安価で、複合劣化にも効果のある画期的な塩害補修工法となります。ASRリチウム工法に加え、リハビリカプセル工法の施工実績も増加しておりますが、現在はさらに工法のコスト競争力を高めるべく、安価な圧入装置の新規開発やより簡便な亜硝酸リチウムの内部浸透方法を研究しており、引き続き、新たな浸透工法の実用化に向けた開発を推進します。(2)産業副産物を活用したPC桁製造時の環境負荷低減技術 電力の安定供給に大きな役割を担っている石炭火力発電所では、微粉砕した石炭をボイラ内で燃焼させ発電させる際、多量の石炭灰(フライアッシュ)が排出されます。産業副産物であるフライアッシュは、セメント原料、コンクリート製品、土工材等に利用されていますが、その利用量は決して多くはなく、環境負荷低減のためにさらなる有効利用が望まれています。一方、フライアッシュを混和したコンクリートは、コンクリートが緻密になり耐久性が向上することはよく知られています。このような環境負荷低減や構造物の高耐久化といった社会的要請に応えるため、極東興和㈱江津工場の近隣にある中国電力三隅発電所から排出されるフライアッシュをセメントの部分代替品として活用したプレストレストコンクリート桁(PC桁)の実用化を進めています。このような活動に加え、今年度より、製鉄所で銑鉄を製造する際に排出される高炉スラグをコンクリートの細骨材(砂)の代替材料として利用する研究にも着手し、産業副産物の有効活用技術のさらなる高度化を目指します。(3)既設構造物の内部補強技術 わが国の社会インフラは高度経済成長期に大量に建設されたことから、供用年数が一般的な耐用年数の50年を超過し、老朽化した構造物が今後益々増加することが見込まれています。また建設から年数が過ぎ、その間のニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて見直された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多く存在します。それら既存の構造物を新たに構築するには多額の費用を必要とするため、今ある構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術に対する需要が高まっています。 そこで当社グループの得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを応用して、既存構造物の部材内部に固定配置したPC鋼材にプレストレスを与えて補強する工法を開発し実用化しました。この工法は一般的なコンクリート補強工法とは異なり補強部材外周に補強材を設置する必要がないことから、施工条件の厳しい既存構造物の補強ニーズに応えることができます。今後は実施工による経験を活かして作業効率を高める検討や管理手法の洗練化に関する研究を行うとともに、適用できるPC鋼材の種類や径などのラインナップ充実による拡販や公的技術認定の取得に向けた取組みを推進します。(4)建設工事における生産性向上技術 建設業では、他の産業に比べて技能者の高齢化が急速に進行しており、将来的に社会資本を維持するために必要な担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。このような現状に対応するため、ICT(情報通信技術)や規格の標準化等で建設現場のプロセスの最適化を図る活動「i-Construction」(アイ・コンストラクション)が国土交通省で推進される等、官民をあげた取組みが活発になっており、当社グループにおいても、建設工事の省力化やプレキャスト製品の合理化といった生産性向上に資する技術導入や新規開発を進めています。その一例として、コンピュータ上で作成した橋梁の三次元モデルを施工計画・施工管理に利用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる情報管理技術、コンクリート工事におけるGPS(全地球測位システム)方式の生コン打設管理システムやモバイル方式の自動計測・通信システム等、様々な建設ICTを橋梁工事に導入し、施工管理業務の高度化・省力化を進めるとともに、プレキャスト部材の合理化継手構造や鋼・コンクリート複合床版といった独自技術の開発にも着手し、時流に即した情報化施工の洗練化、独自技術による優位性の確保に向けて、広範な活動を継続しています。
FY2016|2,005 文字
6【研究開発活動】 当連結会計年度における研究開発費総額は28,297千円であり、全額が建設事業に係るものであります。なお、主な内容は次のとおりであります。(建設事業)(1)亜硝酸リチウムを活用したコンクリート構造物の延命化技術 「ASRリチウム工法」は、コンクリートのアルカリ骨材反応を抑制する亜硝酸リチウムという材料を、同反応により劣化したコンクリート構造物に専用の高圧注入機を用いて内部圧入する工法です。本工法は、これまで不可能とされてきたアルカリ骨材反応を根本的に抑制する画期的なものであり、これにより同反応により劣化したコンクリート構造物の延命化を図ることができるようになりました。 亜硝酸リチウムはアルカリ骨材反応を抑制する効果だけでなく、塩害による鉄筋腐食を抑制する効果もあるため、この効果に着目し、塩害および塩害とアルカリ骨材反応が複合して劣化したコンクリート構造物への適用を目指して研究を進め、「リハビリカプセル工法」として実用化しました。これまで塩害補修の決め手は電気防食工法と言われてきましたが、施工費が非常に高いことや、防食電流の通電による陽イオン集積に起因してアルカリ骨材反応を促進することから、適用に制約がありました。しかし、亜硝酸リチウムを使えば、電気防食工法より安価で、複合劣化にも効果のある画期的な塩害補修工法となります。ASRリチウム工法に加え、リハビリカプセル工法の施工実績も増加しておりますが、現在はさらに工法のコスト競争力を高めるべく安価で簡便な亜硝酸リチウムの内部浸透方法を研究しており、引き続き、新たな浸透工法の実用化に向けた開発を推進します。(2)フライアッシュを活用したPC桁製造による環境改善技術 電力の安定供給に大きな役割を担っている石炭火力発電所では、微粉砕した石炭をボイラ内で燃焼させ発電させる際、多量の石炭灰(フライアッシュ)が排出されます。産業副産物であるフライアッシュは、セメント原料、コンクリート製品、土工材等に利用されていますが、その利用量は決して多くはなく、環境負荷低減のためにさらなる有効利用が望まれています。一方、フライアッシュを混和したコンクリートは、セメントの水和反応により生成する水酸化カルシウムとフライアッシュとの反応(ポゾラン反応)により、コンクリートが緻密になり耐久性が向上することはよく知られています。このような環境負荷低減や構造物の高耐久化といった社会的要請に応えるため、今年度は、自社江津工場の近隣にある中国電力三隅発電所から排出されるフライアッシュをセメントの部分代替品として活用したプレストレストコンクリート桁の実用化を目指します。(3)既設構造物の内部補強技術 わが国の社会インフラは高度経済成長期に大量に建設されたため、一般的な構造物の耐用年数と言われている50年を経過した構造物が今度増加することになります。またニーズの変化によって更新の必要に迫られた構造物や、昨今の地震被害を踏まえて改正された新しい耐震規準に適合しない構造物も数多くあります。それら既存の構造物を新たに再構築するには多額の費用を必要とするため、既存構造物を使いながら補強や改築をすることができる技術への需要が高まっています。 そこで、当社グループの得意分野であるプレストレストコンクリート技術のノウハウを活かして、既存構造物の部材内部に配置したPC鋼材にプレストレスを与えて補強する技術の開発を進めています。この技術は部材内部から補強することができるため、これまでの補強技術に必要であった部材外周への補強材設置が不要となる利点があることから、さまざまな制約条件のある既存構造物に対する補強ニーズに応えることができるようになります。これまでの研究により工法実用化の見通しがついたため、今年度は試験施工等を通じて実構造物への適用性確認を行なうとともに、プレストレスの大容量化に向けた研究や管理手法の洗練化に関する研究、公的技術認定の取得に向けた取り組みを推進します。(4)建設工事における品質・安全性向上技術 近年、総合評価方式入札における技術提案や受注した工事の計画・施工において、発注者の様々な要求に的確に応えることが求められ、とりわけ、構造物の品質向上や安全施工に資する創意工夫・新技術導入は、今や建設事業の持続的な発展に必要不可欠なものとなっています。このような建設業界の動向に対応するため、コンクリートの製造・充填・養生に関する技術、プレストレス導入やグラウト充填の信頼性を高めるための技術、施工時の安全性向上技術等、発注者・請負者が共有する重要なテーマについて、様々な独自技術の開発に取り組んでいます。今年度も、技術開発活動を継続し、そこで得られた成果の現場導入を推進することにより、建設工事の安定受注と施工の高度化を目指します。