研究開発活動(本文)
FY2025|8,473 文字
6 【研究開発活動】当社グループが取り組んでいる研究開発の対象となる技術分野は「建設事業(建築)」、「建設事業(土木)」及び「不動産事業等」のいずれにも適用可能である基礎的な技術開発を含むため、研究開発活動の状況は、建築・土木・不動産事業等のセグメントを分けずに記載しております。 研究開発活動は、全社的な技術戦略方針に基づき、以下に示す7つの技術分野を対象としております。「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」はVISION2030の達成に向け策定した長期経営計画にて示した、3つの提供価値に関連する技術、「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」は当社の基盤となる技術の革新につながる研究・技術の開発分野となります。 ① 脱炭素:コンクリート材料、木造建築、IoTセンサ活用の空調制御、建築資材のCO2排出量算定② 廃棄物ゼロ:先送り材料、廃棄物選別ロボット、BIMを活用した部材製作③ 防災・減災:構造ヘルスモニタリング、耐震、グリーンインフラ、インフラ点検、維持管理④ まちづくり:Building OS、生物多様性評価⑤ 品質向上:検査支援システム、騒音対策、コンクリート材料、室内快適性⑥ 生産性向上:混合構造、トンネル施工省力化、PCa化、杭/基礎⑦ 安全性向上:トンネル安全管理、VOC汚染対策 研究活動の手段の一つとして、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携も積極的に進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、産学連携に関する包括契約を複数の大学と締結しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,236百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)「人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」を開始当社と東京都市大学は、建築物に適用する「人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」の共同研究を開始しました。本共同研究開発では、ロボットが動作しやすいロボットフレンドリー環境となる建築構造物を設計・実装する社会実装技術を開発します。近年、建設現場の労働力不足を補う手段として、また、完成した建物で働く人の生産性向上やウェルネスの向上を目的にロボット導入への関心が高まっています。しかし、いずれの場合も、ロボットが動作しやすい環境ではないため、ロボット導入が思うように進んでいません。そこで当社と東京都市大学は、2023年度より内閣府が主導して取り組んでいる「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の技術開発プロジェクトに「住宅・ビル等の人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」を共同提案し、この度、委託先として採択されました。当社は、本プロジェクトで培ったロボットフレンドリー環境の設計・実装技術を活用し、建物の新しい価値を提供してまいります。 (2) 環境配慮型コンクリート(CELBIC-RA)の国土交通大臣認定取得当社と㈱東京テクノ、武蔵野土木工業㈱は、環境配慮型コンクリート(CELBIC-RA)の国土交通大臣認定(MCON-4762)を取得いたしました。CELBIC-RA(Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete -Recycled Aggregate)は、普通ポルトランドセメントの70%を高炉スラグ微粉末に置き換えて使用するとともに、製造~保管の過程でCO2を吸収・固定したリサイクル材の再生骨材を使用するため、「低炭素性」と「資源循環性」を兼ね備えた環境配慮型コンクリートとなっています。普通ポルトランドセメントを使用した同一強度のコンクリートと比較して、CO2排出量を70%以上削減することが可能です。CELBIC-RAは、場所打ち杭や基礎及び居室に接しない地下躯体、CFT造の鋼管充填コンクリート等に適用することが可能で、東京都及び神奈川県の一部を除くエリアに供給することができます。 (3)省力化・設計合理化した杭頭接合工法「JUPITA」※1が(一財)ベターリビング一般評定を取得当社は、場所打ちコンクリート杭工法の杭頭処理の省力化・設計の合理化を目的とする杭頭接合工法「JUPITA」を開発し、このたび(一財)ベターリビングの一般評定を取得しました。「JUPITA」は、杭頭から突出する鉄筋を著しく減少させることで杭頭処理の作業を短縮化できます。また杭径を減少させることができるため、掘削土量とコンクリート使用量を削減できます。さらに余盛部分を削孔や打撃で除去する際に発生する騒音振動が軽減され、環境負荷の低減を図ることができます。今後、「JUPITA」を集合住宅・事務所ビルなどに適用し、建築工事でのさらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。※1 「JUPITA」は東急建設㈱の登録商標です。(商標登録第6718961号) (4)場所打ちコンクリート杭への高強度鉄筋の適用設計手法に関して(一財)ベターリビング一般評定を取得当社と共同開発会社※2は、主筋に高強度鉄筋を使用した場所打ちコンクリート杭の設計手法に関して、このたび(一財)ベターリビングの一般評定を取得しました。本設計手法は、場所打ちコンクリート杭の主筋に高強度鉄筋を使用することで杭耐力が向上するだけでなく、杭径を最小限に抑えることで掘削土量とコンクリート使用量が削減され、コストと環境負荷の低減に寄与します。また、鉄筋本数の削減に伴いコンクリート充填性が確保され、施工品質が向上するなど多くのメリットが期待できます。今後、当社と共同開発会社は、本技術の実物件への適用を推進し、幅広い活用を目指してまいります。※2 ㈱安藤・間、㈱奥村組、佐藤工業㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱の8社 (5)PPCaボックスカルバートが「土木学会技術開発賞」受賞当社は、(公社)土木学会が主催する「令和5年度土木学会賞」において、「部分プレキャスト部材を用いたボックスカルバートの構築工法(PPCaボックスカルバート)の開発」※3が評価され、土木学会技術開発賞を受賞しました。PPCa(パーシャルプレキャスト)ボックスカルバートは、側壁及び頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。本工法はR2国道246号渋谷駅周辺地下道工事にて初適用となり、「4Dシミュレーション※4を用いたPPCa(パーシャルプレキャスト)ボックスカルバートの施工」の取り組みが評価され、国土交通省主催の「令和5年度 インフラDX大賞」にて、i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム会員の取組部門の優秀賞も受賞しています。当社はこれからも、DX推進施策との親和性の高い本工法を用いてコンクリート工事に関わる技能労働者や建設技術者の生産性を向上し、建設業界全体の課題解決に取り組んでまいります。※3 「PPCaボックスカルバート」は東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6453626号)※4 「4Dシミュレーション」は、BIM/CIMのほかに、ゲームエンジンを用いたVRと3D モデルに時間軸を加えた、4Dモデルの試験施工や重機の動きのシミュレーションです。 (6)省CO2・省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始当社と東京理科大学は、共同で研究開発した省CO2・省力化コンクリート(以下、開発コンクリート)で「根固めブロック」※5を製作し(製作協力:日本コーケン㈱)、災害への備えとして根固めブロックを備蓄する屋外の環境において、CO2固定能力を検証する現場実証試験を2024年12月から開始しました。今回の現場実証試験では、外気温や雨、湿度の影響を受ける実際の河川備蓄環境下(荒川下流河川事務所の管理地内)で、開発コンクリートにより製作した根固めブロックのCO2固定能力を長期にわたり把握します。これまでは室内での促進実験や屋外での短期間の検証を行い、施工コストやCO2排出量・吸収量の試算を行ってまいりました。その結果、根固めブロックの硬化品質は従来のコンクリートと同等以上でありながら、製作時のCO2排出量は51%削減され、製作時間は52%短縮しました。また、屋外での短期間の検証では、大気中のCO2を吸着固定する速度が従来の9倍に増加する結果となりました。製作後もCO2が固定化されるため、災害に備えながらCO2削減による環境貢献が可能となります。当社は環境負荷軽減材料の開発と社会実装・実用化に取り組み、開発コンクリートの一般土木構造物への適用と普及促進を図ってまいります。なお本実証試験は、国土交通省関東地方整備局が実施する「大学等研究機関とのマッチング」※6の一環として取り組んだものです。※5 「根固めブロック」は、河川や海岸を流水や波から護るため設置するコンクリートブロックです。※6 「大学等研究機関とのマッチング」は、国土交通省関東地方整備局による、建設現場の生産性向上のための「i-Construction」を推進する「技術(シーズ)マッチング」助成制度です。 (7)生コン打設管理技術「バイブトレーサー」を開発当社と㈱計測リサーチコンサルタントは、生コンの打設作業時にバイブレーターの平面位置と深さをリアルタイムで計測する装置、「バイブトレーサー」※7を共同開発し、擁壁コンクリート工事で初適用しました。コンクリート打設工事では、作業時にバイブレーターが正しい位置と深さで使用されていない場合、締固め不足による品質不良が生じる恐れがあります。この作業はこれまで作業員の感覚によって行われていたため、バイブレーターの締固め位置をリアルタイムに計測‧記録し、その位置をタブレット等で正確に把握することで、品質と生産性の向上を目指しました。本技術は、バイブレーターのホース部分に取り付けた「バイブトレーサー」の球形マーカ―を、周囲に設置した複数台のモーションキャプチャカメラで感知することで位置情報を特定するとともに、レーザー距離計を用いてバイブレーターの締固め位置を取得し、その位置情報と締固め時間をリアルタイムで3次元的に確認する技術です。これにより、擁壁コンクリート工事をはじめとする様々なコンクリート打設工事において、さらなる品質確保及び生産性向上に貢献します。※7 「バイブトレーサー」は、東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6893831号) (8)里地里山遊閑地の湿地化による雨水貯留機能と生物多様性に関する評価を検証近年、地球温暖化の緩和、防災・減災、生物多様性の保全や、SDGsに沿った環境と経済の好循環等に資するまちづくりにおいてグリーンインフラの重要性が増していることを踏まえ、当社は2024年2月27日に生物多様性指針を策定・公開しています。この指針に即した実証事業である「里地里山遊閑地の湿地化による雨水貯留機能と生物多様性に関する評価」は、国土交通省「グリーンインフラ創出促進事業」に採択され、グリーンインフラの生物多様性への影響について検証する手法(環境DNA分析等を用いた生物調査等)の提案や、生物多様性の保全・回復と生物資源の持続可能な利用の推進・効果検証に加え、温暖化による気象現象の極端化に伴って注目されている、雨水流出抑制機能の検証を実施しました。当社は2030年度を最終年度とする長期経営計画において、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を戦略の軸としています。グリーンインフラはいずれの提供価値にも寄与する技術であり、今後も生物多様性保全技術を導入・促進し、気候変動とその影響に立ち向かうため、今後も様々な社会課題の解決に取り組んでまいります。 (9)省エネルギー・脱炭素に貢献するフリークーリングによる新冷却システムの提供開始当社とMDI㈱は、共同で研究開発した「(仮称)データセンター向け空冷サーバー及び液冷サーバーハイブリット冷却システム」において、従来のフリークーリング(中間期・冬期など外気温度が低い場合に、冷凍機を使用せず冷却塔を冷却装置として利用するシステム)に比べて約30%のエネルギー削減とデータセンターのエネルギー指標PUE※8値1.21を達成しました。AI技術などの飛躍的発展により、データセンターにてコンピューターサーバーが設置される空間の熱密度が著しく増大しています。また、異常気象の影響等により、冷却に必要なエネルギーが増大しています。こうした状況下において両社は、熱交換効率を高めた熱交換器と、冷却性能を高めた冷却塔とを組み合わせたフリークーリングを主とするシステムを開発し、フリークーリング期間を長くすることにより冷却装置の稼働を抑える実施検証をおこない、大幅なエネルギー削減効果を確認しました。今後当社は、次世代データセンターの省エネルギー・脱炭素に貢献する新しいフリークーリングシステムの提供を開始いたします。また、データセンター向けの冷却システムに加え、年間空調が求められる製造工場向けや、製造エリア毎の暑熱対策へも新しいフリークーリングシステムを提案することにより、省エネルギー・脱炭素に貢献してまいります。※8 データセンターやサーバールームのエネルギー効率を示す指標の一つであります。米国環境保護庁(EPA)、データセンターの省電力化を推進する業界団体「The Green Grid」なども奨励する指標であります。一般に電力効率が悪いデータセンターはPUEが2.0以上であると言われています。一般的なデータセンターで1.5~2.0程度であります。効率が良いとされるのは1.5よりも小さな数値の場合であります。「データセンター業におけるベンチマーク制度」においては、PUEl.4以下が目標水準と言われています。 (10)打ち分け不要な耐震スリット材を開発当社、㈱JSP、㈱クギンは、既存の「J-スリット」※9と補強材に「トラストデッキ」※10を組合せ、コンクリート打設時に打ち分け不要な耐震スリット材(以下、本スリット)を開発、特許を取得し、自社開発の建物である(仮称)宇田川町42計画新築工事に初適用し、有効性を確認しました。鉄筋コンクリート造建築物に広く用いられている耐震スリットは、地震発生時に柱や壁などの損傷を防ぎ、建物の安全性を確保する役割を担っています。従来の耐震スリットは、打設するコンクリートの耐力を踏まえ、1.0m~1.5m程度の高さでの打ち分けが必要でした。今回、従来の垂直スリット材に加え、補強材(トラストデッキ)と中間支持材により打設時の側圧を支持することにより、打設時における垂直スリット材の変形を抑制可能な、高耐力・高剛性なスリットの開発を行いました。本スリットにより、一般的な階高の柱と雑壁がそれぞれ一度に打ち上げ可能となり、打設管理の効率化やコンクリートの品質向上(打ち重ねによる不良低減、表面の色むら抑制等)効果があります。当社は、本スリットの適用を積極的に進め、建物の品質向上及び施工生産性向上に引き続き努めてまいります。※9 ㈱JSPが製造販売を行うスリット材。本スリットには垂直スリットMTタイプを使用しています。※10 ㈱クギンが製造販売を行う鉄筋トラス付きデッキ。垂直スリットの幅に応じて切断加工したものを本スリットの補強材として使用しています。トラストデッキは㈱クギンの登録商標です。 (11)廃棄物ゼロを目指した「リユース屋上緑化システム」を共同開発当社と東急リニューアル㈱は、「リユース屋上緑化システム」を共同開発しました。この「リユース屋上緑化システム」は、東急リニューアル㈱が既に販売している屋上緑化システム「クラピア屋上緑化」の飛散養生材にリユース材を活用することで、廃棄物削減を実現する緑化システムです。リユース材には、不要になった麻袋を活用しており、㈱土と野菜と連携し、MOAIプロジェクト(環境・循環をテーマに人と人が繋がりそのコミュニティを活用して、新たなテクノロジーを掛け合わせ地域課題を解決する)にて取り組み中の「麻袋循環プロジェクト」の一環として実施しています。近年、ヒートアイランド現象の緩和や省エネルギー効果を目的に、建物の屋上を緑化することが増えてきています。高層建築の屋上緑化ではポット植えをする場合、通常、植物が土の表面を十分に被覆するまでの間はネット等による飛散対策が行われます。植物が全面を覆うと飛散養生は不要になるため、ネットの撤去が必要となりますが、本システムでは天然繊維でできていて時間が経つと土に還る麻袋を活用するため、撤去の必要がありません。また、麻袋はコーヒー豆の運搬などに用いられますが、一度の使用で殆どが廃棄処分されています。本システムを採用することで、従前では廃棄されていた麻袋をそのままリユースすることが可能となり、業界の垣根を越えた取り組みとして廃棄物削減だけでなく、循環型社会の実現に貢献します。本システムは、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」に向けたソリューションのひとつとなります。今後さらに、東急建設グループの連携を強化させ、気候変動やそれらを含むSDGsなどの社会課題解決に向け、技術開発を加速してまいります。今後、両社では、従来の「クラピア屋上緑化」に加えて、環境に配慮したシステムの販売を積極的に進めてまいります。 (12)中高層木造建築構法「P&UA構法」※11による11階建て事務所のモデルプランで(一財)日本建築センターの構造評定を取得当社が参画する「P&UA構法共同技術開発グループ」※12は、本構法を用いた二方向ラーメン架構に、耐力壁を併用した11階建て事務所のモデルプランで、(一財)日本建築センターの構造評定を2024年10月11日に取得しました。評定を取得したモデルプランは、半剛接仕様のラーメン架構の仕口に用いる「GIUA」、「シアリング・コッター耐力壁」、「ローリング・コッター耐力壁」、梁に設けるスリーブ付き継手やラーメン架構の梁端仕口に用いる「炭素繊維によるせん断補強」などP&UA構法の4つの要素技術を採用することで、高耐力・高剛性・高靭性の構造性能を実現しました。これにより壁が少なく広い空間を有する中高層木造建物を建設することが可能となります。なお、本構法は耐力壁を用いない二方向純ラーメン架構にも適用できます。※11 Panel&Unbonded Anchorの略称※12 技術開発者:㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計、東急建設㈱、東レ建設㈱、 戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱ 共同研究者・協力者:京都大学 五十田教授、近畿大学 松本教授、広島県立総合技術研究所林業技術センター他13社。 (13)使用済み紙おむつを活用したオーガニック培養土の生産の事業化に向けた共同研究及び実証実験の開始当社、㈱ムスカ(以下、ムスカ)及びトータルケア・システム㈱(以下、トータルケア・システム)は、使用済み紙おむつ由来の素材を活用したオーガニック培養土等の生産(以下、本事業案)について、事業化に向けた共同研究を行っております。本事業案は、使用済み紙おむつを原材料としてオーガニック培養土や緑化基盤材の生産について研究を行い、事業化を目標としております。これまで当社内で検討を進めていましたが、このたび昆虫を活用した有機廃棄物処理技術を有するムスカ、及び使用済み紙おむつのリサイクル技術を有するトータルケア・システムと、両社の知見を活用した共同研究を開始いたしました。事業化に向け、使用済み紙おむつを水溶化処理し発生する汚泥を、イエバエによる処理技術の活用により有機肥料に再資源化する技術の研究を共同で行います。一般的にオーガニック培養土や緑化基盤材の原料となる有機肥料の生成には6ヶ月程度の期間が必要ですが、本事業案は人工養殖したイエバエを活用することで生成期間を約7日まで大幅に短縮する効果が見込まれております。本事業案で生産したオーガニック培養土による植物育成の実証実験も開始しており、育成状況が通常の培養土と同等程度であることを確認しております。今後については、本事業案を2026年度に事業化することを目標としております。実証実験の結果を活かし、商業施設など建築物の屋上緑化や河川・鉄道法面緑化への適用を視野に入れ、引き続き事業化に向けて検討を進めてまいります。
FY2024|5,801 文字
6 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、「VISION2030」の達成に向け策定した「長期経営計画“To zero, from zero.”」の中で示した、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」に関連する技術ならびに、技術革新による「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」につながる技術の開発と実用化を、技術戦略基本方針に基づき推進しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.脱炭素 ・コンクリート材料・木造建築・IoTセンサ活用の空調制御・建築資材のCO2排出量算定 2.廃棄物ゼロ ・先送り材料・廃棄物選別ロボット・BIMを活用した部材制作3.防災・減災 ・構造ヘルスモニタリング・耐震・グリーンインフラ・インフラ点検・維持管理 4.まちづくり ・Building OS・生物多様性評価 5.品質向上 ・検査支援システム・騒音対策・コンクリート材料・室内快適性 6.生産性向上 ・混合構造・トンネル施工省力化・PCa化・杭/基礎 7.安全性向上 ・トンネル安全管理・VOC汚染対策 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、複数の大学と産学連携に関する包括契約を締結しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,109百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)建物デジタルプラットフォーム「Building OS」を大阪大学と共同開発し、技術研究所で実証当社は、建物運用段階における環境価値や建物利用者の生産性向上に貢献する「Building OS(以下「当システム」)」を大阪大学大学院工学研究科と共同で開発し、当社技術研究所の管理研究棟でWebブラウザ上でのデジタルプラットフォーム構築を実証しました。当システムは、照明や空調などといった建物全体の設備を統合的に一元管理する建物OS(Operat-ing System)と呼ばれる技術の一つです。今回の実証により、BIMをプラットフォームとした環境負荷低減の取り組みを加速させるとともに、建物環境の改善を通じた建物利用者の快適な生活環境づくりに貢献してまいります。さらに、当システムを起点とした建物管理に係る新たなサービスの事業化を目指します。 (2)BIMモデルと熱流体解析シミュレーターの連携手法を共同開発当社は、中立でオープンなBIMモデルの仕様であるIndustry Foundation Cla-sses(以下「IFC」)※1と熱流体解析などを行う数値流体力学(computational f-luid dynamics(以下「CFD」)※2)シミュレーターを連携させる手法を大阪大学大学院工学研究科と共同で開発しました。今回開発したのは、IFCファイルからCFDに必要な情報を抽出する仕組みです。ISOで標準化されている国際規格のIFCを活用することで、特定のBIMモデル作成ソフトウエアに依存せずにCFDと連携することが可能となります。今後、この手法を「Building OS※3」に組み込むことで、例えば30分後の室内環境の状態を予測して先読み的に空調を制御するなど、これまで困難であった室内環境制御と解決な生活環境づくりを目指してまいります。※1 「IFC」は、BIMソフトウエア間における建物情報のデータ共有を容易にする中立でオープンなデータモデルのファイル形式です。※2 「CFD」は、コンピューターを用いて流体の運動方程式を解き、熱流体解析などを行う数値流体力学です。※3 「Building OS」は、当社と大阪大学大学院工学研究科が2023年4月に共同開発した建物OSです。 (3)ドローンの屋内飛行時における安定化技術を開発当社と東京都市大学は、ドローンが上壁(橋桁や天井などの構造物)近傍での飛行時に制御不能となることを予防し飛行を安定化させる新技術を開発しました。近年、ドローンの更なる普及を妨げる原因の一つとして、上壁近傍を飛行する際に、急激な推力上昇が生じドローンが上壁に衝突、損傷・墜落するという問題があります。今回、この問題を解消するため、新たに圧力回復孔を設けたプロペラを開発し、これにより上壁近傍の推力上昇を従来に比べ約20%抑制することを可能としました。また、プロペラは比較的単純な構造でできており、既存ドローンへの適用が容易なことから、小型のドローンだけでなく、さまざまな大きさのドローンへの応用も可能です。今後は、屋内や構造物に近接する場所でのドローンによる点検・軽作業へのドローン活用促進に寄与してまいります。 (4)天井裏などの狭所空間で安定かつ長時間飛行が可能な「天井吸着移動型ドローン」を開発当社は東京都市大学と共同で、天井効果を利用することで、建築物の天井裏やピットなどの狭所空間で従来型のドローンよりも安定かつ長時間飛行が可能な「天井吸着移動型ドローン」を開発しました。これまで、建築物の天井裏やピットなどの狭所空間では、ドローン近傍の上下に存在する壁面とプロペラ気流の干渉によって安定した飛行が難しいことから、需要に反してドローンの利用が活発ではありませんでした。限定的ながら狭所空間向けに手のひらサイズの「マイクロドローン」が実用化されていますが、飛行時の最大積載量が小さくバッテリー容量が不足しているため、作業員の代替として十分な調査・検査時間を確保できない問題を抱えています。今回この問題を解決するために、ドローンが天井に吸着して強く作用する天井効果による気流反転を利用することで、機体下部に壁面が存在する場合に吹き降ろし気流で上昇力が増大する効果(地面効果)をキャンセルし、これにより、上下壁に囲まれ狭所空間での安定飛行と気流乱れの抑制、および飛行時間の長時間化を実現しました。今後、本研究成果を屋内外の構造物近傍で飛行するドローンに活用してまいります。 (5)スマートフォンで「配筋自動検査システム」を実現当社は、建設会社3社(北野建設㈱、佐藤工業㈱、㈱ピーエス三菱)と共同で、スマートフォンまたはタブレット端末などの汎用品とマーカーのみで配筋検査が可能な、土木現場用の「配筋自動検査システム」を開発しました。本システムは、検査箇所に設置した十字マーカーをスマートフォンやタブレット端末で撮影するだけで配筋検査が可能です。そのため、作業足場上等の狭隘な作業スペースで配筋写真を撮影することが多く、検査の資機材を必要最小限にとどめたいといった土木現場の要望に応えるものとなっています。また本システムでは配筋写真がサーバに送信されるため、撮影後のデータ処理と同時に結果帳票を遠隔立ち合いしている監督職員とも事前準備せずに共有することが可能になり、業務効率の改善と品質確保の両立に貢献します。今後、共同開発企業各社の現場で試行導入し、計測精度や業務効率の改善効果を確認しつつ、人とシステムの二重チェックによってヒューマンエラーの防止に貢献してまいります。 (6)コンクリートの締固めを補助する「締固め管理センサ」を開発当社と㈱小川優機製作所は、コンクリート打設工事における締固め作業を補助する締固め管理センサを共同開発し、深礎杭コンクリート工事で初適用しました。コンクリート打設工事では、バイブレータを挿入し、振動させることによりコンクリートの強度や耐久性を損ねる空洞を除去する締固めを行いますが、締固めの時間や加振位置などについて、個人差のある打設工の感覚や経験値に依るといった課題がありました。本技術は、専用の距離計によってコンクリート表面から「締固め管理センサ」までの距離を測定し、目標とする挿入深さに到達した時点から締固めに必要な時間を正確にカウントすることで、コンクリートの締固めに必要な適正な深さと時間を"見える化"し、個人差のある感覚や経験値によらず、コンクリート打設工事の品質向上と生産性向上に貢献できます。今後も独自技術である「締固め管理センサ」をコンクリート工事のDXにつなげ、さらなる品質確保および合理化・省力化に活用してまいります。 (7)雨庭・バイオスウェルによる雨水流出抑制量の設計手法の確立当社は、国土交通省が推進する「グリーンインフラ創出促進事業」に2023年3月に採択された、「大型商業施設における雨庭・バイオスウェルの雨水流出抑制効果のモニタリング」技術について、雨庭・バイオスウェルによる雨水流出抑制技術の効果を検証しました。雨庭・バイオスウェルは敷地内に降った雨を集め一時的に貯留し、地中にゆっくりと浸透させる機能を持つ施設の1つです。本検証の結果、設計段階において雨水浸透量制御の精度が向上し、高品質なグリーンインフラ施設を提案することが可能となりました。近年、地球温暖化の緩和、防災・減災、生物多様性の保全、SDGsに沿った環境と経済の好循環等に資するまちづくりにおいてもグリーンインフラの重要性が増しており、当社は2024年2月27日に生物多様性指針を策定・公開しています。また、グリーンインフラは当社が掲げる3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」のいずれにも寄与する技術であり、本技術を用いることで気候変動やそれらを含むSDGsなどの社会課題解決に取り組んでまいります。 (8)BIMプラットフォームの開発当社は、長期経営計画の中で競争優位の源泉としてデジタル技術(DX戦略)を推進することを戦略の1つに掲げております。その取り組みの1つとしてBIMをデジタルデータベースと捉え積算システムに連携させることによる「BIM積算連携」、もう1つにCO2算出システムに連携させることによる「BIM-CO2連携」を推進してまいりました。2022年にリリースした「建築BIM積算連携」に続き、「設備BIM積算連携」開発にも着手し、試行・改善を行っております。これにより積算業務の省力化はもちろん、設計変更時のコスト算出が容易になり、精度の高い建設コストの見積を圧倒的なスピードでお客様へご提案することができるようになります。2024年度内には試行~改善が終了し、2025年度からは実務での利用が可能となります。東急建設が掲げる3つの提供価値に向けた取り組みの1つとして、設計BIMデータを活用したCO2排出量算定も行っています。設計BIMデータが持つ資材数量をBIMデジタルデータベースから算出し、2022年にリリースした『積み上げ式CO2排出量算定シート』に連携させることでCO2排出量の算定が可能となります。今後も東急建設は設計BIMデータの利活用を限定された範囲に留めず、様々なデータ活用へ展開させていきます。 (9)TQ-ComeWall-東急建設式合成地下RC壁工法-を開発当社は、山留め壁のH形鋼を鉄筋コンクリート造の地下外壁とシヤコネクタ(頭付きスタッド・鉄筋スタッド)で一体化して土圧・水圧といった側圧に抵抗する合成壁工法「TQ-ComeWall-東急建設式合成地下RC壁工法-」※4(以下、本工法)を開発し、2023年11月に(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第23-20号)を取得しました。本工法は、従来は仮設構造物として使用されてきた山留め壁のH形鋼を本体構造物として有効活用することで、RC壁の壁厚や鉄筋量の削減による現場での省力化と生産性向上、建設時のCO2排出量の削減・コストの低減・さらに地下空間の有効面積の拡大などを意図して開発された工法です。合成壁の施工状況を考慮した頭付きスタッドの実験を独自に行い、そのデータをもとに設計時に使用する各種構造性能を評価し、より合理的・経済的な設計を可能としています。本工法は、建物規模に関わらず地下外壁がRC造で、山留め壁がソイルセメント壁または親杭横矢板壁であれば採用することができます。都市部の掘削深度の深い建物の地下外壁や、ドライエリアや免震ピットの擁壁など、地下外壁の壁厚や鉄筋量が側圧によって決定する場合に採用すると効果的です。今後、当社では省力化と生産性向上・CO2排出量の削減・コストの低減を達成するために、本工法を積極的に採用していきます。※4 「TQ-ComeWall-」は東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6789667号) (10)SB-Joint(鉄骨柱梁接合部省力化工法)の建築技術性能証明を取得当社は、鉄骨造建築物の柱梁接合部の省力化技術「SB-Joint※5」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第23-07号)を取得しました(特許出願中)。本技術は、鉄骨造建築物の柱梁接合部において通しダイアフラムとブラケットのフランジを1枚の鋼板で構成することで、在来工法で必要であった両者の完全溶込み溶接の撤廃を実現しました。SB-Jointでは、在来工法と比較して鉄骨加工・検査工程の低減によって製作工程の省力化が図れるとともに、ショートブラケット化によって製作工場から現場への輸送効率の向上も期待できます。また、柱と通しダイアフラムの完全溶込み溶接はロボットによる自動化が普及していることから、「SB-Joint」を採用することでさらなる省力化が期待できます。今後当社は、「SB-Joint」を設計・施工案件を主とした物流施設・大型物販施設・生産施設などの鉄骨造建築物に適用を図り、建築工事における更なる生産性向上に取り組んでまいります。※5「SB-Joint」は、東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6682912号) なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2023|5,621 文字
6 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、「VISION2030」の達成に向け策定した「長期経営計画“To zero, from zero.”」の中で示した、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」に関連する技術ならびに、技術革新による「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」につながる技術の開発と実用化を、技術戦略基本方針に基づき推進しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.脱炭素 ・コンクリート材料・木造建築・IoTセンサ活用の空調制御・建築資材のCO2排出量算定 2.廃棄物ゼロ ・先送り材料・廃棄物選別ロボット 3.防災・減災 ・構造ヘルスモニタリング・耐震・グリーンインフラ・インフラ点検・維持管理 4.まちづくり ・Building OS・生物多様性評価 5.品質向上 ・検査支援システム・騒音対策・コンクリート材料・室内快適性 6.生産性向上 ・混合構造・トンネル施工省力化・PCa化・杭/基礎・BIMを活用した部材製作 7.安全性向上 ・トンネル安全管理・VOC汚染対策 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、複数の大学と産学連携に関する包括契約を締結しております。当連結会計年度における研究開発費は、1,177百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)電気炉酸化スラグ細骨材を使用した環境配慮型コンクリート「E-PEC」でJIS認証を取得当社は、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」と共同で、電気炉酸化スラグ細骨材を用いた環境配慮型コンクリート「E-PEC」でJIS認証を取得しました。「E-PEC」は、天然資源である砕砂等の代替材として電気炉酸化スラグ細骨材を使用することで、骨材天然資源の保護に貢献します。また、強度を確保した上でセメント使用量を低減できるため、CO2の削減(最大約10%)にも貢献する環境配慮型コンクリート(資源保護・低炭素)であります。さらに、電気炉酸化スラグ細骨材の粒子形状は球形であることから、コンクリートの流動性が向上し施工性が改善することに加え、単位水量も低減できるため乾燥収縮によるひび割れの低減や中性化の抑制等の高耐久化が望めます。建物の部位ごとに要求される施工性や耐久性に応じた最適な骨材使用率を調整することで、最適なコンクリート品質の確保を可能としております。「E-PEC」は、環境配慮性に加え、施工性や耐久性にも優れており複数のメリットがあることから、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」において、当社以外の建設会社でも採用できるように供給を開始する予定です。当社は「脱炭素」「廃棄物ゼロ」の実現に向けて、「E-PEC」の社内活用を推進すると共に、同技術の業界普及を目指してまいります。 (2)「トンネル工事の多量湧水対応注入技術」の開発当社と㈱カテックスは、多量湧水が想定される断層破砕帯や河川近接施工等におけるトンネル工事での多量湧水に対応する注入技術を開発いたしました。これにより、切羽からの多量湧水による掘削中断・遅延を回避し、地山注入改良時の施工性改善に加え、環境にも配慮した確実な地山改良効果が期待できます。本技術は、ゴム膨張型のパッカー部分と止水ウレタンが滲出する布製パッカー部分との2段階構成により、先受け鋼管内に予め設置する注入管(インサートホース)をパッカーの外側に配置しても、注入機能とパッカー機能が両立するため、口元の止水性が発揮できます。また、本技術を用いることで、湧水とともに注入材が流出することを抑制できるため、河川の汚染防止及び地山改良効果の向上が期待できます。本技術を用いた実証実験では、長尺鋼管先受け工の注入作業時に、250L/min./孔の多量湧水が生じた条件において、注入材の流出を抑制するとともに地山改良効果、止水・減水効果を確認いたしました。なお、本技術は、「パッカー及びそれを用いた地山補強工法」として2022年5月に特許を取得しております。また、湧水を制御しながら止水ウレタンを注入する製品の販売は、「H2パッカー工法」として2023年4月から㈱カテックスより販売を開始しております。 (3) 「トンネル全断面点検システム(iTOREL:アイトーレル)」の社会実装を推進当社が開発したトンネル全断面点検システム「iTOREL」は、これまで人が行っていたトンネル点検に代わり、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニット、打音検査ユニットによって、定量的かつ経時的な変化も把握可能な点検データが取得できるだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることで、点検業務の効率化・高度化が可能となるシステムです。千葉県内の国道127号勝岩トンネルで行った現場試行では、点検作業に必要な人数が最大4割削減、帳票作成などの内業時間が18.5%削減可能であることを確認しました。また、本システムの実用性が評価され、国土交通省関東地方整備局の「現場ニーズと技術シーズのマッチング」において、標準化推進技術に指定され、第10回ロボット大賞では優秀賞(社会インフラ・災害対応・消防分野)を受賞しました。今後、当社がお客様への提供価値の1つとして掲げる「防災・減災」の取り組みの一環として、トンネル点検を実施する企業と連携して、トンネル全断面点検システム「iTOREL」の社会実装を進めてまいります。 (4) PPCa(Partial PreCast)ボックスカルバートをR2国道246号渋谷駅周辺地下道工事に初適用当社と旭コンクリート工業㈱が共同開発した「PPCa ボックスカルバート」(※)は、側壁および頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。本工法では、部分的にユニット化したプレキャスト部材のみを工場で製作し、現場でコンクリート打設することで施工機械の制約内で施工を行うことを可能としました。現場での型枠・支保工を大幅に削減することができ、従来の現場打ちと比較し、内空7.0m・内高5.2m・延長10m のボックスカルバートの場合、約35%の工期短縮が可能となりました。本工法は、2021年6月に先端建設技術・技術審査証明を取得後、R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事(以下、本工事)にて初適用となりました。本工事は、渋谷駅西口から桜丘方面の歩行者・車両の利便性向上のため、国道246号の直下に地下車路、地下歩道を構築するものです。このうち、地下車路の約22mにおいてボックスカルバートを構築しました。今後、地下歩道の約25mのボックスカルバートの構築においても、本工法による施工を計画しております。※「PPCa ボックスカルバート」は、旭コンクリート工業㈱と当社の登録商標です。(登録商標第6453626号) (5)杭施工におけるコンクリート打設管理装置を開発当社は、杭施工において、デジタル技術を活用したコンクリート打設管理装置を開発し、場所打ちコンクリート杭の品質確保に必要なコンクリート天端高さの計測業務を効率化しました。当装置は、先端に錘を付けたワイヤーや自動巻取り装置などで構成され、打設中のコンクリートの天端高さを随時自動計測します。当装置により、計測されたデータがリアルタイムで遠隔地にも共有されることから、複数人によるチェックを現地で行う必要がなくなり、事務所や店社からのリモート管理が可能となります。さらに、これまでは技能労働者による目視・手作業を頼りに行ってきた管理業務が自動化されたことにより、経験が浅くても計測ができるようになりました。今後当社では、より直感的に打設状況が分かるようなウェブアプリの開発を進め、それを用いた現場実証を進めてまいります。当社は、今後も品質管理を重視し、デジタル技術などの最新技術を取り入れた業務改善に取り組んでまいります。 (6)設計初期段階でのエネルギーシミュレーションツール「TC-BES」を開発当社は、建築物のライフサイクル全体を通じたエネルギーマネジメント/CO2削減へのファーストステップとして、BIMを活用した新たなエネルギーシミュレーションツール「TC-BES(Tokyu Construction-Building Energy Simulator)」を開発しました。2022年度より開始した試験導入の結果を踏まえ改善を行い、2023年度より実案件での試行を開始します。2021年4月の「建築物省エネ法」改正など、脱炭素社会に向けた取り組みが推進される中、建設業が取り組むCO2削減対策の一つとしてZEB普及が挙げられますが、その実現に向けては、設計初期段階で建築物のエネルギー消費量低減に関する検討を行う必要があります。当社は、設計初期段階における一次エネルギー消費量を含む、各種エネルギー消費量低減のケーススタディーを、複数案比較・改善可能なシミュレーションツールの開発を行いました。本ツールは、BIMから生成したエネルギーモデルと、当社が過去に携わったZEB案件のデータベースを利用し、「Open Studio」(エネルギー消費性能計算プログラム)にて解析を行う一連のフローを自動化することで、短時間で簡易に最適なZEB提案をすることが可能となります。当社では、「長期経営計画“To zero, from zero.”」で、「3つの提供価値」のひとつに「脱炭素」を、また「競争優位の源泉」では「デジタル技術」を掲げております。本取組は、その両領域、建築事業の脱炭素・デジタルシフトを加速させるためのものであり、今後お客様のニーズに即した最適なZEBを迅速に提案してまいります。 (7)中高層木造建築構法「P&UA構法」が日本建築センターの個別評定を取得当社が参加する、「P&UA構法共同技術開発グループ(※)」による本構法を用いて作成した木造10階建て共同住宅のモデルプランが、一般社団法人日本建築センターの評定を2022年10月14日に取得しました。本構法は、一方向ラーメン構造と耐力壁を木造で架構するもので、新たに開発した「GIUA」と「シアリングコッター耐力壁」を用いることで、高耐力・高剛性・高靭性を実現します。「GIUA」(㈱市浦ハウジング&プランニングによる特許出願済)は、中大規模木造で一般的な接合構法であるGIR(Glued-in Rod)に、鋼棒をあえて接着させないアンボンド部分を設けた接合構法であります。工場での施工となるため、現場施工の省力化が図れます。「シアリングコッター耐力壁」(㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計による特許出願済)は、木質パネルを上下に並べ、パネル間に設けた切り込みにL型の鋼材(コッター)を組み合わせ差し込んで接続した耐力壁で、優れた変形性能とエネルギー吸収性能を有しております。2030 年を目標とする東急建設グループの長期経営計画では、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を3つの提供価値として、経営の軸に定めています。そのうち「脱炭素」については、中大規模木造木質建築を推進することを戦略の一つに掲げ、木造木質ブランド「モクタス」を展開しております。本構法は、中大規模木造建築物の設計施工を推進するうえで必要な技術であり、「モクタス」ブランドのラインナップに加えることで、さらなる展開を進めてまいります。当社は、今後お客様の期待にお応えできるよう、本構法の採用実績を積むとともに、他の建物用途への展開も視野に入れ取り組んでまいります。※技術開発者:東急建設㈱、㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計、戸田建設㈱、東レ建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱ 共同研究者・協力者:京都大学 五十田教授、近畿大学 松本准教授、広島県立総合技術研究所林業技術センター他9社 (8)「モクタス WOOD(準耐火)はり」が国土交通大臣認定を取得当社は、木造準耐火構造技術である「モクタスWOOD(※)(準耐火)はり」の1時間準耐火構造及び、75分準耐火構造の大臣認定(大臣認定番号 QF060BM-0010 及び QF075BM-0010-1)を取得いたしました。本技術は、木質荷重支持部材に耐火被覆(燃えしろ)として木質被覆材を張る(木(モク)に木(モク)を足す(タス))ことで構成された木製のはり(梁)で、2020年8月に1時間準耐火構造の大臣認定を取得した「モクタスWOOD(準耐火)柱」に続く技術です。また、木質被覆材は特殊な処理をせず一般的な木材が使用できるため、納期が早く安価であります。今回の認定により、準耐火建築物において、柱はりに本技術を使用することで木現し(もくあらわし)の空間をご提供できることとなりました。なお、本技術は特許第7119151号として認められております。当社は、木の心地よさを広く社会に伝えるとともに、今後も、脱炭素社会実現に向けて取り組んでまいります。※「モクタスWOOD」は、東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6566919号) なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2022|5,479 文字
5 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、「VISION2030」の達成に向け策定した「長期経営計画“To zero, from zero.”」の中で示した、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」に関連する技術ならびに、技術革新による品質向上・生産性向上・安全性向上につながる技術の開発と実用化を目指しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.脱炭素 ・コンクリート材料・木造建築・建物運用管理・建築資材のCO2排出量算定 2.廃棄物ゼロ ・先送り材料・廃棄物選別ロボット 3.防災・減災 ・構造ヘルスモニタリング・グリーンインフラ・耐震補強・インフラ点検・維持管理 4.品質向上 ・検査支援システム・騒音対策・コンクリート材料・室内快適性 5.生産性向上 ・位置特定技術・トンネル施工・PCa化・杭/基礎・BIMを活用した部材製作 6.安全性向上 ・トンネル安全管理・VOC汚染対策 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。特に、東京都市大学とは産学連携に関する包括契約を締結しており、2021年度は4テーマの共同研究を実施しました。当連結会計年度における研究開発費は、1,308百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)1時間準耐火構造の大臣認定を取得した「木被覆木製柱」を開発当社は、実大試験体の加熱試験によって、「木被覆木製柱」(特許出願中)の国土交通大臣認定(1時間準耐火構造)を取得しました。今回開発した「木被覆木製柱」は、木質荷重支持部材に耐火被覆(燃えしろ)として木質被覆材を張ることで構成された木製柱です。本技術により木の温かみを感じられる「木現し」の準耐火柱の提供が可能となりました。 従来、木造で準耐火建築物を建てる場合、木質荷重支持部材を石膏ボードなどの不燃材で被覆する方法や工場へ製作を特注する大断面集成材(燃えしろ設計)を用いる方法が一般的でしたが、木の温かみが損なわれ、コストも高くなっていました。今回開発した「木被覆木製柱」では、耐火被覆(燃えしろ)として木質被覆材を張ることで「木現し」を実現し、木質荷重支持部材は一般の流通材でも使用可能なため工期短縮・コストダウンにつながります。当社は、今回開発した技術を中大規模木造建築ブランド「モクタス」へ積極的に投入し、企業ビジョン「VISION2030」に掲げた脱炭素社会の実現に貢献します。 (2)PPCa(Partial PreCast)ボックスカルバートが先端建設技術・技術審査証明を取得当社と旭コンクリート工業㈱が共同開発した「PPCaボックスカルバート」(商標出願中)が、(一財)先端建設技術センターより先端建設技術・技術審査証明(技審証第202101号)を取得しました。PPCaボックスカルバートは、側壁および頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。本工法では、部分的にユニット化したプレキャスト部材のみを工場で製作し、現場でコンクリート打設することで施工機械の制約内で施工を行うことを可能としました。現場での型枠・支保工を大幅に削減することができ、従来の現場打ちと比較し、内空7.0m・内高5.2m・延長10m のボックスカルバートの場合、約35%の工期短縮が可能となりました。近年、建設業における労働者不足が顕在化しており、建設現場の生産性向上が喫緊の課題となっております。今後、大型ボックスカルバート構築工事に本工法を活用するとともに、建設現場の更なる生産性向上に取り組んでまいります。 (3)建設作業や工場等から発生する低周波音に有効な軽量防音パネルを共同開発当社は、旭機工㈱、松陽産業㈱と、加圧膜を利用した軽量な防音パネル「(仮称)低周波音用・軽量防音パネル」を共同開発し、当社施工のトンネル掘削工事現場に試験適用しました。本パネルは、鋼板に加圧膜と金網等の軽量な剛性材を組み合わせユニット化することで、低周波音対策でこれまで使用されてきたコンクリートパネルと比べて同程度の遮音効果を確保しながら、重量を6分の1程度まで軽量化し、施工性を大きく高めることを可能としました。従来、低周波音対策では、コンクリートパネルなどで防音材の重量を大きくする対応をしてきましたが、コスト増加や施工性の悪さというデメリットが生じておりました。今後、建設現場や工場に設置された発電機の防音対策等での実績を増やしながら、都市部で発生するさまざまな騒音対策への活用も視野に展開していく予定であります。 (4)先送りモルタルの代替材「サスタル」を開発・初適用当社は、コンクリート工事のポンプ圧送に必要な先送りモルタルに替わる環境負荷低減型先送り材「サスタル」を開発し、(仮称)銀座5丁目プロジェクト新築工事(建物名:CURAGINZA)に初適用しました。環境負荷低減型先送り材「サスタル」は、高炉スラグ微粉末および電気炉酸化スラグ細骨材を主成分にしており、従来使用されていた生コン工場で製造される先送りモルタルに比べて、材料の製造に起因して発生するCO2を70%以上削減しつつ、他産業から排出される副産物を90%(重量比)以上再利用した環境負荷の低減に大きく貢献する技術です。「サスタル」は、市販化も予定しており、多くの建設現場に普及させることで、本製品を通じて環境負荷低減に貢献してまいります。 (5)配筋検査システムをゼネコン21 社とPLTが共同研究開発当社を含むゼネコン21社(文末参照)とプライム ライフ テクノロジーズ㈱(以下「PLT」という。)は、2020年9月に共同研究開発契約を結び、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」の開発を進めております。本システムは専用カメラで撮影し、検査部位の鉄筋の本数、鉄筋径、間隔、配置を立体的に捉えて認識する仕組みとなっています。当社を含むゼネコン21社とPLTは2022年度に建設現場にて実証実験を行い、検査業務時間の60%削減と2023年度からの本格運用を目指します。当社とPLT以外の共同研究参画会社は次の通りです。青木あすなろ建設㈱、㈱淺沼組、㈱安藤・間、㈱奥村組、北野建設㈱、㈱熊谷組、五洋建設㈱、佐藤工業㈱、大末建設㈱、髙松建設㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、飛島建設㈱、西松建設㈱、日本国土開発㈱、㈱長谷工コーポレーション、㈱ピーエス三菱、㈱松村組、村本建設㈱、矢作建設工業㈱ (6)「バイオスティミュレーション」技術の開発当社は、VOC(揮発性有機化合物)汚染地下水に対する特殊薬剤を用いた「バイオスティミュレーション」(※)技術を開発いたしました。本技術は、塩素系のVOCを対象とした「バイオスティミュレーション」の課題(浄化期間、適用性等)に対し、既存の薬剤に加えて微生物生育環境を早期に醸成させる補助薬剤を添加することで浄化短縮を実現し、地下水中に阻害物質がある場合、従来技術と比較して20~40%の浄化期間の短縮を確認いたしました。また、土壌を対象とした浄化工法のCO2排出量は、補助薬剤を添加した特殊薬剤を用いた浄化では、一般的な浄化工法である掘削除去工事と比較して約88%のCO2排出量削減が可能と試算いたしました。今後、土壌地下水汚染の原位置浄化が求められる事業に対して、環境に配慮したより効率的な土壌地下水汚染対策技術を提供してまいります。※「バイオスティミュレーション」:汚染地域に元々生息している土着微生物を“活性化”して、汚染物質の分解を促進させようという手法 (7)「トンネル点検システム(iTOREL:アイトーレル)」の現場試行の実施当社は、2014年から2018年度にかけて実施された内閣府「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で開発したトンネル全断面点検・診断システム「iTOREL」の現場試行を実施いたしました。本システムは、これまで人が行っていたトンネル点検に代わり、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニット、打音検査ユニットによって、定量的かつ経時的な変化も把握可能な点検データが取得できるだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることで、点検業務の効率化・高度化が可能となります。今回の現場試行の結果、従来の方法に比べて、点検作業の人員が最大4割削減、帳票作成などの内業時間が18.5%削減可能であることを確認いたしました。今後、トンネル点検を実施する企業と連携しながら実用化を進め、当社の目指すお客様への提供価値の1つとして掲げる「防災・減災」の取り組みの一環として、トンネル点検システム「iTOREL」の社会実装に努めてまいります。 (8)BIMを活用したPCa部材製造における鉄筋の自動加工システムを実証当社は、PCa(プレキャストコンクリート)部材製造の生産性向上に向け、バルコニー板のBIMモデル作成から鉄筋加工までのフロー自動化を目指したプロトタイプシステムを実案件で2022年2月に実証いたしました。今回の実証は、当社設計施工案件において、当社標準PCaバルコニー板の一部を対象に、BIMモデルへの鉄筋データの自動生成、PCa製造図面の自動作成、鉄筋自動加工機への連携を図った製造を行いました。その結果、PCa製造図面の自動作成や鉄筋加工手間の削減を実現し、生産性向上と省力化が可能となることを確認しました。また、PCa活用は材料ロスの削減にも繋がり、当社の目指す3つの提供価値の1つ「廃棄物ゼロ」にも貢献いたします。さらに、当社の「長期経営計画“To zero, from zero.”」で「競争優位の源泉」の1つとして掲げている「デジタル技術」の領域において、今回の実証を機に「PCa製作の自動化」を推進し、BIMによるプラットフォームの構築とそれによる建築事業のデジタルシフトを加速させてまいります。このシステムは、今回の実証を経て2022年度中に更に改良すると共に、柱・梁等の構造部材での実用化に向けた開発フェーズへと進めてまいります。 (9)積み上げ式による建築資材のCO2排出量算定ツールを開発当社のサプライチェーンで多くを占める、建築資材に係るCO2排出量について、従来よりも精度が高く、かつ即時に算出できる独自のツール「積み上げ式CO2排出量算定シート」を開発いたしました。当社が受注した建築工事(新築)において、お客様のご要望に応じ算定結果を提供しております。本ツールは、見積段階で精度の高いCO2排出量が把握できるため、低炭素型資材の採用などが促進されCO2排出量削減に寄与するものと考えております。今後の建物建設における脱炭素の動向を踏まえつつ、お客様のご要望に合わせ「積み上げ式CO2排出量算定シート」のカテゴリ拡大および精度向上を行い、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 (10)最新技術を活用した高品質・低コストのクリーンルーム「TQ-MaPS(Tokyu Making Purified System)」提供開始HACCP(※)の義務化により、全ての食品製造事業者は、HACCPに基づいた衛生管理が求められることとなりました。それに伴い、製造空間の清浄度や温湿度、室圧を高い精度で維持する事が重要となります。そこで当社では2020年12月に、クリーンルームの低コスト化実証実験施設を新設いたしました。本施設では、様々な条件にあわせてクリーンルーム内で発生する粉塵や発熱を再現し、最適な風量の設定や処理能力の検証が可能となります。また、クリーンルーム内の循環空気の吸込位置やバランスを変更し、現存する実証実験施設では難しかった、壁・床等さまざまな空気循環経路の再現も可能です。これらにより、お客様の使用状況に近い空間を再現でき、高精度な予測・検証が可能となりました。今回提供を開始する「TQ-MaPS」は、本施設でのさまざまな実証実験に基づき、新たな技術を導入し開発した高品質・低コストのクリーンルームです。排水口を兼ねた床吸込口の採用により、清浄度の低い空気をより効率的にクリーンルーム外に排出し、クリーンルーム内の空気の清浄度を従来以上に高めることで、清潔で安全なクリーンルームの設置が可能となります。また、コスト面では、循環空気風量の低減が可能となるため、イニシャルコスト、ランニングコストともに低コスト化を実現しております。※ HACCP(ハサップ):食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2021|5,500 文字
5 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、社会課題の把握と抽出を行い、SDGs(持続可能な開発目標)において当社が優先して取り組む重要な社会課題のうち、安全で安心・快適なまちづくりへの貢献、技術革新による生産プロセスの効率性向上、省資源・省エネルギーの推進につながる技術の開発を目指します。また、施工品質向上技術、環境技術等受注確保につながる技術の実用化も目指しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.安心安全 ・維持管理技術・災害対策技術(地震、洪水等)・施工自動化システム 2.生産性向上 ・建築構造・省力化技術・通信技術・土壌浄化促進技術・検査支援システム ・ICTロボット技術・シミュレーション技術 3.環境負荷低減 ・脱炭素技術・ZEB(Net Zero Energy Building)・グリーンインフラ ・木材の積極利用技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。特に、東京都市大学とは産学連携に関する包括契約を締結しており、2020年度は4テーマの共同研究を実施しました。当連結会計年度における研究開発費は、1,039百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)木造建築最高レベルの高遮音二重床システム「SQサイレンス50」(※1)を共同開発当社、ナイス㈱、淡路技建㈱の3社は、床衝撃音遮断性能の確保が難しいとされてきた木質系建築に適用できる高遮音二重床システム「SQサイレンス50」を共同で開発しました。木質系建築における従来の床の遮音対策には、床を重厚化させることや防振装置などを利用する事例がありましたが、これらの対策は材料費や施工手間の増加によってコストが上昇するのみならず、建物自重の増加によって耐震性に影響を及ぼす可能性もあるため、必ずしも有効な対策とは言えませんでした。本システムは木製床板の振動特性に着目した遮音機構を採用することで、重量アップや特殊な部材を使用せずに、木造建築最高レベルの重量床衝撃音遮断性能LH-50(※2)の遮音性能を実現しました。 また、本システムは、このたび「ウッドデザイン賞2020」(※3)の「ソーシャルデザイン部門(建築・空間・建材・部材分野)」を受賞しました。※1 「SQサイレンス」は、当社、ナイス㈱、淡路技建㈱が共同で商標出願済(商願2020-113168)※2 LH-50:JIS A 1418-2に定める『衝撃力特性(1)を持つ標準重量衝撃源(タイヤ)』による重量床衝撃音遮断性能で、「生活実感」が「小さく聞こえる」に相当。※3 ウッドデザイン賞:木材利用の促進が図られることを目的に、木で暮らしと社会を豊かにするモノ・コトを表彰し、国内外に発信するための林野庁による顕彰制度。 (2)CELBIC(環境配慮型BFコンクリート)ゼネコン13社で建設材料技術性能証明を取得当社を含むCELBIC研究会13社(文末参照)は、普通ポルトランドセメントに対して10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末を使用したコンクリート「CELBIC-環境配慮型BFコンクリート-」について、一般財団法人 日本建築総合試験所より2021年2月22日付けで、建設材料技術性能証明(GBRC材料証明 第20-04号)を取得しました。 CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。またCELBICは、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能であり、CELBIC研究会に参加の13社において施工することが可能です。 当社はCELBICを2021年3月着工の店舗・オフィスの複合ビル新築工事に適用することを提案し、その結果、業界で初めてCELBICが採用されました。本工事では、建物全体に打設されるコンクリートの製造に伴う建築時の総CO2排出量の約40%程度の削減が見込まれ、環境配慮設計による物件運用時の総CO2排出量削減とともに、当該建物のライフサイクルCO2に対し幅広く貢献する効果が得られます。 当社以外のCELBIC研究会参画会社は次の通りです。青木あすなろ建設㈱、㈱淺沼組、㈱安藤・間、㈱奥村組、㈱熊谷組、㈱鴻池組、五洋建設㈱、㈱錢高組、鉄建建設㈱、東洋建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、矢作建設工業㈱ (3)建設廃棄物を自動で選別するロボットを共同開発当社と石坂産業㈱は、建設副産物の中間処理プラントにおいて、建設廃棄物の自動選別を行う「廃棄物選別ロボット」を共同開発しました。 中間処理プラントにおける分別・再資源化において、様々なものが混在している建設混合廃棄物は特に選別自動化が難しく、ベルトコンベアを流れる廃棄物を人の手によって選別しているのが一般的であります。また、粉塵などが舞う過酷な作業環境であり、将来的な就労者不足が建設副産物の再資源化の停滞や廃棄物処理費の高騰に繋がると予想されています。本ロボットは、石坂産業㈱の知見、ノウハウ及び当社の廃棄物選別技術をベースに、深層学習(ディープラーニング)による画像解析技術を用いることで選別作業の自動化を実現するもので、既存の中間処理プラントの手選別ラインに設置することも可能であります。 現在、石坂産業㈱のプラントにおいてロボット2台体制での実用化を開始しており、実際のラインで得られたデータをもとに改良を重ね、引き続き開発を進めてまいります。 (4)「配筋検査システム」共同研究開発における「配筋チェック機能」の現場試行を開始当社を含むゼネコン21社(文末参照)は、施工現場の生産性を向上させるため、AIおよび画像解析を応用した「配筋検査システム」の共同研究開発を2019年4月から進めています。 本研究開発では、配筋工事の施工管理を支援する「配筋チェック機能」と、配筋検査の業務効率を改善する「配筋検査機能」の2つの機能を兼ね備えた統合システムの実現を目指しています。 今回、タブレット端末を用いた「配筋チェック機能」の現場試行を実施した結果、多様な施工環境において迅速かつ正確な配筋チェック機能の実現に一定の目途が立ちました。今後も現場試行を繰り返し実施し、より汎用性の高い機能の開発を引き続き進めてまいります。 当社以外の共同研究参画会社は次の通りです。青木あすなろ建設㈱、㈱淺沼組、㈱安藤・間、㈱奥村組、北野建設㈱、㈱熊谷組、五洋建設㈱、佐藤工業㈱、大末建設㈱、髙松建設㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、飛島建設㈱、西松建設㈱、日本国土開発㈱、㈱長谷工コーポレーション、㈱ピーエス三菱、㈱松村組、村本建設㈱、矢作建設工業㈱ (5)コンクリート舗装のひび割れ補修材「CRACK REPAIR」を共同開発当社と世紀東急工業㈱は、道路のコンクリート舗装に発生するひび割れの補修材「CRACK REPAIR(クラックリペア )」を共同開発しました。 道路のコンクリート舗装は、アスファルト舗装に比べ高耐久でライフサイクルコスト(LCC)の低減が可能であること、また自動車の低燃費に貢献し、路面温度の上昇を伴わないことから環境面でも注目を集めています。しかし、従来のコンクリート舗装の補修工法は、コンクリート片の飛散等の安全面や、入念な準備工を必要とするなど施工手間・時間を多く要することに課題がありました。 本補修材は、水のような極低粘度のポリウレタン系の薬液を使用することでひび割れの深部まで注入することができるため、ひび割れの拡大と割れたコンクリート片の飛散を防止することができ、さらには注入開始から道路の通行が可能となるまで約1時間となることから、安全性の確保と施工時間の短縮を実現しております。 今後は本技術を両社の事業において活用し、インフラ整備の長寿命化と環境に配慮した社会の実現に貢献してまいります。 (6)「トンネル粉じん測定システム」の導入開始当社は、マック㈱、㈱東宏と共同で、山岳トンネル工事の安全管理を効率的に実施する「トンネル粉じん測定システム」を開発しました。 本システムは、山岳トンネル工事で発生する粉じんがじん肺の原因となるため、作業環境を良好に維持する観点から「ずい道等建設工事における粉じん対策に対するガイドライン」(2021年4月1日施行)が改正されたことに合わせて開発した、長時間の粉じん濃度測定および膨大な量のデータ整理・周知を自動化できる支援ツールです。 当社が既に開発・展開している「切羽監視責任者支援システム」や「入坑管理システム」等の既存システムと連携することで、山岳トンネル工事の安全管理のさらなる向上を進めてまいります。 (7)グリーンインフラと生物多様性の取り組みの推進当社は、技術研究所の敷地内に設置している集中豪雨の雨水保全等を目的としたグリーンインフラの実証実験施設で、昆虫や鳥類が生息する周辺緑地との中継地としての生態系ネットワークの形成の確認や、ヘイケボタルの累代飼育の成功などにより、多様な昆虫や鳥類の生息を可能にする生物多様性の保全効果を確認しました。 近年、都市部における集中豪雨が頻発する中で、自然環境が持つ機能(防災・減災、生物の生息空間など)を活用したグリーンインフラが推進されており、雨水を「貯める」、「使う」、「自然に還す」、生き物が「棲む」、「育つ」をキーワードに、都市型集中豪雨対策と、環境保全の技術を検証してまいりました。 今後、本取り組みで得られたグリーンインフラ技術を用いて、都市部における防災・減災の提案や環境保全活動を進めるとともに、脱炭素社会に向けて貢献してまいります。 (8)クリーンルームの実証実験施設を構築2021年6月よりすべての食品事業者にHACCP(※)に沿った衛生管理の実施が義務付けられることとなりました。これに伴い、顧客の衛生管理に対する意識が益々高まることが予想されます。 当社はクリーンルームの構築について、顧客毎に異なる清浄度等の要求スペックに細やかに対応する為に、当社技術研究所内に清浄度や温湿度等を遠隔にてモニタリングが可能な実証実験施設を構築いたしました。これにより、顧客の求める性能とコストの最適なバランスが取れたシステムの提案を目指します。 本施設では、エアロゾル発生装置による発塵、機器による計測を行い、清浄度クラス毎に必要な処理風量等を把握します。これらの計測を自社で行うことにより、性能、コスト両面から最適な清浄度空間を実現するシステムを提案することが可能になります。また、食品工場等に適した吸込み口をはじめ、イニシャルコスト、ランニングコストに優れた、顧客の要求水準を満たす性能を実現します。加えて、発熱による影響や食品工場等を想定し、ウエットエリアや室圧を考慮したシステムの空間清浄能力についても計測します。 今後は年間を通じて、最適な湿度管理が可能な技術提案や、アフターコロナ時代に求められる換気システム、食品工場ならびにバイオクリーンルームにて求められるコンタミネーション防止技術について取り組んでまいります。 ※ HACCP(ハサップ):食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法 (9)外壁タイル工事の接着剤張り工法における下地調整記録支援システムを確立 当社は、外壁タイル工事の有機系接着剤張り工法において、下地調整の計測から記録を支援する「コンクリート表面評価システム」(特許出願済)を開発いたしました。 これまで、建物の外壁タイルの定期調査報告において、竣工後10年毎に「全面打診検査」等を行うこととされていましたが、接着剤張り工法を採用した場合に、一定の条件を満たすことでより労力の少ない「引張接着試験」の採用が認められました。しかし、この条件を満たすために必要な下地調整の計測・記録において、人による従来の手法では正確性確保の難しさや記録作成に多くの時間と労力を要することに課題がありました。 本システムは、3Dスキャナを用いて下地面精度を計測し、記録をデータ化することで先の条件を満たし、業務の効率化と品質確保を実現します。今後はAR等の活用により、記録データをタブレット端末等で可視化させ、作業効率をより向上させる手法を研究してまいります。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2020|3,772 文字
5 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、社会課題の把握と抽出を行い、SDGs(持続可能な開発目標)において当社が優先して取り組む重要な社会課題のうち、安全で安心・快適なまちづくりへの貢献、技術革新による生産プロセスの効率性向上、省資源・省エネルギーの推進につながる技術の開発を目指します。また、施工品質向上技術、環境技術等受注確保につながる技術の実用化も目指しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.安心安全 ・維持管理技術・災害対策技術(地震、洪水等)・施工自動化システム 2.生産性向上 ・建築構造・省力化技術・通信技術・土壌浄化促進技術・検査支援システム ・ICTロボット技術・シミュレーション技術 3.環境負荷低減 ・資源再利用・ZEB(Zero Energy Building)・グリーンインフラ ・木材の積極利用技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。特に、東京都市大学とは産学連携に関する包括契約を締結しており、2019年度は7テーマの共同研究を実施しました。当連結会計年度における研究開発費は、1,014百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)災害対策・事業継続ソリューション「Dr.BC・プッシュ」のサービス提供開始当社と富士電機㈱が開発し、東急リニューアル㈱がサービス提供する構造見守りサービス「4D-Doctor」、イッツ・コミュニケーションズ㈱が提供する防災・生活情報サービス「テレビ・プッシュ」、東急ファシリティサービス㈱が提供する「BCビルマネジメント」の3サービスを組み合わせた、災害対策から発災後の事業継続を一括サポートするサービス「Dr.BC・プッシュ」の提供を2019年9月より開始いたしました。本サービスは、新築の建物のみならず、既存の建物に対しても導入可能で、「平常時」、「地震等発生時」、「復旧時」の3つの時間軸でサポートを行い、施設の安心・安全を高めることができます。 (2)「トンネル全断面点検・診断システム」の活用を開始「トンネル全断面点検・診断システム」は、2014年から2018年度にかけて実施された内閣府「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」において、東京大学、湘南工科大学、東京理科大学、㈱小川優機製作所及び㈱菊池製作所と共同開発したシステムです。本システムは、道路を跨ぐ形でトンネル内を走行することにより、自動車等の通行を妨げることなく点検を行うことができ、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることができます。2019年4月にはIAM(インフラアセットマネジメント)を推進する組織を立ち上げており、社会インフラの効率的維持管理技術の実用化を推進するため、本システムの活用を開始しております。 (3)建設現場用搬送ロボットの実証実験を開始当社とTHK㈱は、建設現場の資機材搬送を自動化するロボットを共同開発中であり、商用化を目指して実証実験を進めております。建設現場では、人手不足に加えて、狭い通路や段差等が資機材搬送の生産性を阻害しています。そこで当社とTHK㈱は、作業効率を約30%向上させることを目指して、段差や粉じんのある環境での資機材搬送作業を自動化し、作業環境に合わせて即座に経路変更が可能な建設現場用搬送ロボットの共同開発を進めております。本ロボットは、プログラミングの知識がない現場作業者でも、搬送経路の設定が素早く簡単にできるTHK㈱独自の自立移動制御システム「SIGNAS」を搭載しています。既に実際の建設現場で、本ロボットが台車に載せた1トンの資機材を牽引しながら鉄板の段差を乗り越え、物の配置等が変化しても安定して走行できることを実証実験で確認しております。当社とTHK㈱は本ロボットの改善を進め、建設現場の生産性向上へ貢献してまいります。 (4)人工知能画像解析を応用した「配筋検査システム」の共同研究開発を開始当社を含む総合建設会社20社(文末参照)は、AI及び画像解析を応用した「配筋検査システム」の共同研究開発契約を締結し、2019年4月より約2年間にわたる研究開発を進めています。本研究開発では、施工管理者の習熟度によらない効率的かつ正確な配筋検査と、建設現場での適切な配筋施工を支援するシステムの開発を目指しています。 本研究開発では、配筋施工支援を目的とするタブレット端末を用いた「配筋チェック機能」、及び検査効率改善を目的とする特殊カメラ等を用いた「配筋検査機能」の2つの機能を統合したシステム開発を目指します。2020年度には「配筋チェック機能」の現場試行を開始いたします。 当社以外の共同研究参画会社は次の通りです。青木あすなろ建設㈱、㈱淺沼組、㈱安藤・間、㈱奥村組、北野建設㈱、㈱熊谷組、五洋建設㈱、佐藤工業㈱、大末建設㈱、髙松建設㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、飛島建設㈱、西松建設㈱、日本国土開発㈱、㈱長谷工コーポレーション、㈱ピーエス三菱、㈱松村組、矢作建設工業㈱ (5)グリーンインフラ実証施設において雨水貯留・流出抑制効果と環境保全効果を確認当社は、2018年3月に技術研究所内に設置したグリーンインフラ実証施設(約120㎡)において約2年間のデータ計測を行い、自然環境が有する多様な機能と、雨水を活用したビオトープ(水辺の生息空間)でのホタルの生息を確認しました。本施設では、雨水の貯留量と施設で消費する水収支や生物生息空間としての基礎実験データ等を収集し、グリーンインフラ施設としての効果を検証しています。検証の結果、集中豪雨時に雨水の浸透を促進させるとともに、雨水を貯留して流出を抑制する効果があること、また貯留した雨水を有効活用したビオトープを創出し、暑熱緩和対策としても有効であることを確認しました。今後、都市部でのグリーンインフラ施設の設置提案や開発案件における環境保全への活用を進めてまいります。 (6)「運搬最適化シミュレーター」の開発当社は、土砂運搬作業の最適化を支援する「運搬最適化シミュレーター」を開発しました。本システムは、当社独自のICTとして全国の現場に展開している「KenkiNavi」(GPS搭載型の建設機械ナビシステム)の稼働データと連携することで、現場や捨場付近の渋滞緩和、1日の運搬回数増加による生産性向上等に関わる最適な運搬車両の台数、間隔、運搬ルートを決定する際の支援ツールです。 2019年度は、本システムの有効性を確認するために首都圏の2現場で検証した結果、現場と捨場の到達時間が、シミュレーションと実際の時刻差で数分内に収まっていることを確認しました。今後は、様々な現場に適用し、土砂運搬作業で渋滞を回避するルートを見つけ出したり、現場や捨場付近での待機台数を低減したりするなど、スムーズな運搬作業の意思決定支援ツールとして展開していきます。 (7)「Teshub X(テシュブ エックス)」(都市河川監視システム)の適用範囲拡大当社は、中央大学と共同で、異常気象に伴う安全・安心技術として「Teshub X」(都市河川監視システム)を開発し、適用範囲拡大を図っています。 本システムは、気象レーダーの情報から得られた降雨予測値を入力値として数時間後までの河川水位を予測するクラウドシステムです。2017年に本システムを開発し、既に、渋谷ストリームにおける渋谷川の河川監視システムに導入されています。2019年度からは、渋谷川と比較して流域が広く、かつ潮汐や高潮等の影響を受けやすい臨海部の都市河川への適用を目指して技術改良を進めています。技術改良したシステムが実用化できれば、近年増加傾向にある都市型水害の被害軽減ツールとして適用範囲が拡大できます。 (8)外装施工の生産性向上を図る「外装下地ユニット工法」を確立 当社は、大型物流倉庫等の外装に多く採用されるサンドイッチパネルの下地胴縁の施工方法において、施工効率を向上させた「外装下地ユニット工法」を確立しました(特許出願済)。 本工法は、サンドイッチパネルの下地となる胴縁を精度管理した状態で数本まとめてユニット組みした上で、その精度を維持したまま取り付けることが可能となります。2019年3月及び11月に試験施工を行い、従来の精度維持しない地組方法と比較して、生産性向上と品質確保を実現しました。 また、本工法では外装のサンドイッチパネル表面のばたつきが低減され、意匠だけでなく漏水事象等も低減されます。2020年度には本工法を大型物流倉庫の建築工事において採用予定です。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2019|3,397 文字
5 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 [建設事業]研究開発活動については、社会課題の把握と抽出を行い、SDGs(持続可能な開発目標)において当社が優先して取り組む重要な社会課題のうち、安全で安心・快適なまちづくりへの貢献、技術革新による生産プロセスの効率性向上、施工品質向上技術、省資源・省エネルギーの推進に基づく環境技術等受注確保につながる技術を開発し、実用化を目指しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 1.安心安全 ・維持管理技術・災害対策技術(地震、洪水等)・施工自動化システム 2.生産性向上 ・建築構造・省力化技術・通信技術・土壌浄化促進技術・検査支援システム ・ICTロボット技術・シミュレーション技術 3.環境負荷低減 ・資源再利用・ZEB(Zero Energy Building)・グリーンインフラ ・木造建築多様化技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。特に、東京都市大学とは産学連携に関する包括契約を締結しており、2018年度は12テーマの共同研究を実施しました。当連結会計年度における研究開発費は、1,084百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)ZEB提案モデルとしての技術研究所ゼロ・エネルギー・ビル化改修完成築25年を経過した自社技術研究所をZEB(Zero Energy Building)化する改修工事が2018年5月に完成しました。「外部熱負荷の徹底低減」「独自のトリプルハイブリット熱源」「先進的な水素利用」を技術的テーマとし、国内トップレベルの73%のエネルギー削減を実現し、2017年度にはBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)において「ZEB Ready」の認証を取得しました。導入した二酸化炭素を排出しない自立型水素エネルギー供給システムは、民間事業としては国内初の取り組みで、太陽光発電と組み合わせた画期的なシステムであります。また、空調や照明を改良することで、省エネと同時に、オフィス空間の快適性と働く人の業務の効率性の向上も目指しています。今後は、運用データを順次蓄積し運用での改善を行い、ZEB技術の提案に活用していきます。 (2)グリーンインフラ実証施設の設置当社は、自然環境が有する機能を活用して、防災・減災、生物多様性の保全等、持続可能な地域づくりを推進するグリーンインフラの実証施設を技術研究所敷地内に設置しました。 本施設は約120㎡(9.5m×12.5m)の敷地に、雨水の貯留槽・浸透促進設備と、貯留水循環型ビオトープを構築し、雨水を「貯める」「使う」「自然に還す」、生き物が「棲む」「育つ」をキーワードに、ホタルが生息できる水辺を創出しながら、グリーンインフラによる環境保全と防災・減災効果について実証を行います。 本施設では都市型集中豪雨対策(雨水流出抑制)と、環境保全技術開発(雨水の有効活用と自然に還す循環促進、動植物生育環境の創出)を主眼としており、収集したデータをもとに段階的に改良を加え、環境意識の高まりから今後さらなる活用が期待されているグリーンインフラの要素技術の高度化を進めてまいります。 (3)規格流通木材を利用し低コスト・短工期で木造中空間を創出する「連続斜め梁構法」を確立 当社は、ナイス㈱との共同研究により、木造建築において、6mの規格流通材を利用し8.19mスパンの木造中空間を創出する構法の実証に成功しました。 当社が培ったゼネコンとしての総合的知見と、ナイス㈱の木材流通企業としての専門的知見により、高価格・長納期の特注材を用いず、材料調達のしやすい規格流通材による木造中空間創出構法「連続斜め梁構法」を確立しました。本構法は、一般社団法人日本木造住宅産業協会が公表している提案(木造軸組工法による大スパン架構の提案(2012年5月))を実証したものです。この成果により、中大規模木造建築領域において優れたコストパフォーマンスと材料調達納期短縮を実現することが可能となります。 (4)地震波加振実験による「高減衰制震構造システム」の性能実証当社と東京都市大学は、油圧ダンパーと積層ゴム支承を組み合わせた「高減衰制震構造システム」について、2018年8月、実在建物の約4分の1スケールモデルを用いた振動台公開実験を行い、従来のパッシブ型制震構造を大きく上回る性能があることを実証しました。 本構造システムの基礎技術である東京都市大学西村教授の発明による「部分免震構造」は、これまで小型振動台実験によってその減衰性能が学術的に評価されていましたが、今回、当社技術研究所の大型振動台において、過去の代表的な被害地震3種類の地震波加振実験を行った結果、実在建物の合理的な構造システムとして、実用化できる性能が確認されました。 (5)「繊維植込みシートを用いたタイル張付けモルタルの剥落防止工法」の建築技術性能証明取得当社、㈱淺沼組、㈱鴻池組、佐藤工業㈱、西武建設㈱、大末建設㈱、東亜建設工業㈱、東洋建設㈱、㈱松村組の建設9社は、タイル剥落防止工法「繊維植込みシートを用いたタイル張付けモルタルの剥落防止工法」の建築技術性能証明を2018年8月に共同で取得しました。 本工法は、コンクリート躯体表面に植え込まれた繊維が、タイル張付けモルタル層あるいは不陸調整材の層と絡み合った状態に形成されることで、境界面に剥離が生じてもタイルを含む張付け材料の自重に対して容易には剥落しない状態が構築できます。 (6)人通孔等の大開孔設置時でも梁の高さを抑える基礎梁補強工法「(仮称)RECT-HOLE」の構造性能 評価を取得当社は、人通孔等の大開孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁の強度を保ちながら、梁せい(高さ)を抑える工法「(仮称)RECT-HOLE」を開発し、日本ERI㈱の構造性能評価を取得しました。これまで当社施工の6物件に本工法を適用しその成果を実証しました。 鉄筋コンクリート造の基礎梁に設備点検用の人通孔を設置する場合、構造規定で基礎梁のせいを開孔径の3倍以上とすることが求められていますが、本構法は、開孔周囲を補強し、構造上必要とされる所定の耐力、変形性能を確保しながら、基礎梁のせいを開孔径の2倍にまで低減可能な基礎梁補強工法で、これにより、基礎部の掘削土量だけでなくコンクリートや型枠等の数量が低減でき、コスト削減、工期短縮を実現しました。 (7)「地盤改良リアルタイム施工管理システム」の開発当社と㈱テノックスは、深層混合処理工法による地盤改良工事を対象に施工位置と施工機械の攪拌混合回数や固化材添加量等の施工情報をリアルタイムに一元管理できるシステムを共同開発し、当社施工現場に導入しました。 この「地盤改良リアルタイム施工管理システム」は、施工の元請会社が主体的に管理する施工位置情報と地盤改良の専門工事会社が主体的に管理する施工情報をリアルタイムに連携することで、工事進捗や施工状況をどこでも複眼的に把握することが可能となり、早期の問題発見や迅速な対応を実現します。また、施工位置の誘導作業や帳票整理等の作業を大幅に削減できるため、施工現場の働き方改革にも貢献します。 (8)あらゆる方向に移動可能な「PC桁運搬台車」の開発 当社は、独自技術(特許「重負荷車輪の構造」)である硬質ゴムタイヤを装着した重量物運搬台車に、アウトリガーと横移動フレームを加え、直線だけでなくカーブや横方向等あらゆる方向に移動ができる「PC桁運搬台車」を開発しました。これにより、PC桁による高架化工事で、家屋が密集し借地可能な用地が限られている狭あいな敷地において、最大27tのPC桁セグメントを所定の位置に運搬することを可能としました。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われておりません。
FY2018|4,071 文字
5 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりである。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載している。 [建設事業]研究開発活動については、受注確保と施工品質向上のため、現場の目線に立ち、技術部門が連携協働し、当社ビジョンと中期経営計画を踏まえ、技術優位性とコスト優位性のある開発技術の早期実用化を目指した。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めた。 1.施工技術 ・省力化技術 ・工期短縮技術 ・ICTロボット技術 ・総合評価対応技術 ・環境対策技術 2.鉄道建設 ・人工地盤技術 ・周辺環境対策技術 ・空間利用技術 ・維持管理技術 ・長寿命化技術 ・LCC(Life Cycle Cost)算定技術 3.安全安心強靭化 ・延命化技術 ・災害対策技術(地震、洪水等) 4.快適空間 ・室内環境技術 ・高齢者対応技術 5.環境共生 ・省エネ技術 ・ZEB(Zero Energy Building)・地球温暖化防止技術 ・汚染対策技術 6.街づくり ・多摩田園都市再開発のための都市計画技術 ・ストック活用技術 ・木造建築多様化技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めている。特に、東京都市大学とは平成18年に結んだ産学連携に関する包括契約を改正し、8テーマの共同研究を実施した。当連結会計年度における研究開発費は、971百万円である。 主な研究開発成果は次のとおりである。 (1)建物のモニタリング状況の見える化システム「4D-Doctor」の開発当社と富士電機㈱は、平常時から大地震時までの建物のモニタリング状況を見える化し、建物の健全性を診断する構造ヘルスモニタリングシステム「4D-Doctor(フォーディードクター)」を共同開発した。 現在、高層複合オフィスビル(東京都渋谷区)1棟、超高層オフィスビル(大阪府大阪市)1棟、東急建設技術研究所(神奈川県相模原市)内の建物2棟と富士電機東京工場(東京都日野市)内の建物1棟に「4D-Doctor」を導入し、①地震時BCP支援、②中長期の建物更新検討、③耐震補強前後における補強効果の検証、④将来発生する可能性のある地震に対する被害想定等の防災ソリューション事業に資する実証試験を行っている。 システム導入提案だけでなく、システム運用に関するサポートや災害時における人的支援も視野に入れ、システム導入後も顧客の防災力向上につながる、地域防災マネジメントとしての展開を目指している。今後、東急グループ各社との連携を通じて顧客からの要望を組み込んだシステム開発を継続し、新たな防災ネットワークの価値創造に努めていく。 (2)「掘削土砂定量供給装置」の開発当社は、掘削土砂処理の効率化を実現する「掘削土砂定量供給装置」を開発し、当社施工の「渋谷駅南街区プロジェクト(渋谷ストリーム)新築工事」に導入し、工期短縮を実現した。 現在、旧東急東横線渋谷駅の線路跡地とその周辺敷地では、高さ約180m、地上35階、地下4階建ての大規模複合施設「渋谷ストリーム」(床面積約116,300㎡)の新築工事を行っている。従来、地上躯体を構築しながら同時に地下掘削を行う建築工事では、掘削土砂を地上に揚重する開口部の設置場所が制限されるため、効率的な土砂運搬が困難であった。 開発した「掘削土砂定量供給装置」は、掘削土砂をクレーン(クラムシェルバケット)からベルトコンベアへ連続的に受け渡す装置で、揚重及び搬出場所の制限を受けても掘削土砂を効率的に運搬し、クレーンの性能を最大限に発揮しながらの土砂運搬を可能とした。 (3)ZEB提案のモデルとした技術研究所に水素エネルギー供給システム「H2One™」を導入当社は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の実証リニューアルモデルとして、平成28年8月から技術研究所管理研究棟のZEB化改修に取り組んでいる。 今年度は、自立型水素エネルギー供給システム(㈱東芝製「H2One™」)を導入した。太陽光発電の電力を利用し、二酸化炭素を排出しない水素製造・貯蔵・利用発電システムで、オフィスビルとしては初導入である。平成30年2月から再生可能エネルギーを含めたエネルギー需給等の運用データを順次蓄積し、来るべき水素社会にも対応可能なZEB技術の提案に活用していく。 今回の技術研究所管理研究棟のZEB化改修によって、一次消費エネルギーは基準オフィスビルに比べて40%程度になり、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)において「ZEB Ready」の認証を受けた。 (4)気象庁提供のオープンデータを活用した「都市河川監視システム」を開発当社は、中央大学と共同で、ゲリラ豪雨等の都市型水害に対して、気象庁が提供している観測・解析データ(オープンデータ)を活用した「都市河川監視システム」を開発し、今年度から実証試験に着手した。 実証試験は、渋谷川を挟んだ渋谷再開発の建設現場で行っている。今回開発したシステムの主な特長は、高解像度降水ナウキャストから得られる降雨予測情報をもとに、①クラウド上で洪水解析を行い5分毎に1時間後までの河川水位を予測すること、②対象流域を250mメッシュで細かく分割した予測を行い、ゲリラ豪雨のような局地的集中豪雨にも対応できることである。また、ウェブ画面上で河川水位の変化を「見える化」することで、パソコンやタブレットを使って遠隔地の関係者と情報を共有することもできる。 本システムで予測した河川水位が管理値を超過する場合は、工事関係者にアラートメールが一斉に発信され、更に、現場に設置した回転灯が作動することで、工事現場では迅速な緊急時体制をとることができる。 年々増加している豪雨に対応した防災・減災の技術は、今以上に必要となる。当社では、本システムを活用して豪雨災害に強い現場管理を目指す。 (5)「大開孔基礎梁工法」を開発当社、清水建設㈱、㈱鴻池組、㈱錢高組、コーリョー建販㈱は、鉄筋コンクリート造の基礎梁に経済的に開孔(貫通孔)を設けるための工法「大開孔基礎梁工法」を開発し、一般財団法人日本建築総合試験所から、建築技術性能証明を取得した。 鉄筋コンクリート造建物の基礎梁に点検用の人通孔(通常径600㎜~750㎜)等を設置する場合、一般的には「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」を適用し、通常、梁せい(高さ)を開孔径の3倍以上とする必要がある。 本工法は、簡易に施工できるコーリョー建販㈱製の開孔補強金物「ダイヤレン」を使うと共に、開孔周囲を補強する補強筋(開孔上下、孔際、水平)を配筋することで、開孔に対し2.5倍の基礎梁せいでも、構造上必要な耐力を確保することができた。本工法の採用により、基礎部の掘削土量や基礎梁コンクリート量の削減が可能となり、経済的な施工を実現できる。 (6)「TQ-MIX構法」に耐震ブレースを付加し適用範囲を拡大当社は、「TQ-MIX構法」(柱RC梁S造)の適用範囲改定を一般財団法人日本建築総合試験所に申請し、建築技術性能証明を取得した。 改定に際しては、十字形柱梁接合部試験体、ブレース付十字形柱梁接合部試験体の加力実験を実施するとともに詳細なコンピューターシミュレーション(FEM解析)を併用して、検証を実施した。改定により、これまで純ラーメン構造に限定されていた「TQ-MIX構法」に耐震ブレースを付加した設計・施工が可能となった。また、柱幅と梁せいの比率に関する規定を改定したことで、物流施設等の床荷重が大きく梁スパンも長い案件において、従来よりも柱幅を小径化することが可能となり、構造性能を損なうことなくより経済的な施工を可能にした。 (7)FILM工法用防水シートの導水性能向上当社と藤森工業㈱、フジモリ産業㈱は、FILM工法(背面平滑型トンネルライニング工法)用防水シートの導水性能を向上させた製品を共同開発した。 従来のトンネル工事における覆工コンクリート裏面排水は、ホースや排水マット等の裏面排水材を用い、裏面排水工まで線状に排水材を配置して導水する。今回の開発製品は、防水シートの裏面緩衝材を目的別に3層構造(固着層、導水層、面導水層)とすることで導水性能を向上し、湧水量が比較的多い区間で効果を発揮する。垂直方向の導水性は充填材の有無に関わらず従来と同程度、面内方向は従来品に比べ約50倍の導水性能がある。 (8)トンネル点検システムの実証実験を施工現場で実施当社は、国立研究所開発法人新エネルギー・産業開発機構(NEDO)より戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術の研究・開発を委託され、当社を研究代表者として東京大学、湘南工科大学と共同開発中の「トンネル全断面点検・診断システム」の実証実験を当社施工のトンネル工事で行った。 本システムはトンネル内の道路を跨ぐ形で移動できるため、自動車等の通行を妨げることなく点検を行うことを目標としている。本システムは、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニットと打音検査ユニットを併用することにより定量的かつ、経時的な変化を点検データとして取得できるだけでなく、更に帳票作成までの作業を効率化することが期待されている。 実証実験では、点検作業の手順や、取得した点検データの解析時間等について検証を行い、また、現地で具体的に説明を行った。今後は、既設トンネルの定期点検だけでなく竣工前検査でも本システムの活用について検討を進める予定である。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われていない。
FY2017|4,056 文字
6 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりである。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載している。 [建設事業]研究開発活動については、受注確保と施工品質向上のため、現場の目線に立ち、技術部門が連携協働し、当社ビジョンと中期経営計画を踏まえ、技術優位性とコスト優位性のある開発技術の早期実用化を目指した。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めた。 1.施工技術 ・省力化技術 ・工期短縮技術 ・解体技術 ・ICTロボット技術 ・総合評価対応技術 ・環境対策技術 2.鉄道建設 ・人工地盤技術 ・周辺環境対策技術 ・空間利用技術 ・維持管理技術 ・長寿命化技術 ・LCC(Life Cycle Cost)算定技術 3.安全安心強靭化 ・延命化技術 ・災害対策技術(地震、洪水等) 4.快適空間 ・室内環境技術 ・高齢者対応技術 5.環境共生 ・省エネ技術 ・ZEB(Zero Energy Building) ・ZEH(Zero Energy House) ・地球温暖化防止技術 ・汚染対策技術 6.街づくり ・多摩田園都市再開発のための都市計画技術 ・ストック活用技術 ・木造建築多様化技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めている。当連結会計年度における研究開発費は、997百万円である。 主な研究開発成果は次のとおりである。 (1) 「CBパネル工法」の開発「CBパネル工法(Combination Panel)」は、当社と㈱ホクコン、公益財団法人鉄道総合技術研究所が共同で開発した高架橋等の柱部材の耐震補強工法である。本工法は、プレキャストパネルを埋設型枠として既設柱の周囲に配置し、既設柱との隙間に高強度繊維補強モルタルを充填して一体化させる工法である。従来のRC巻立て工法と比べ補強鉄筋の組立と型枠支保工の設置作業を省略することで施工の効率化を図り、短期施工を実現した。更に、従来の鋼板巻立て工法では困難であった狭隘部の施工、人力のみでの施工を可能にし、溶接等の専門技能も不要とした。プレキャストパネルは、酸素や塩分等の劣化因子の浸透を抑制するため、補強後の耐久性にも優れている。本工法は、既に実工事で採用され、平成29年3月までに柱148本を施工した。 (2) 資機材搬入・揚重管理支援システム(現場情報共有システム)の開発当社と福井コンピュータ㈱は、資機材搬入・揚重管理支援システム「DandALL(ダンドール)」を共同開発した。本システムは、現場に資機材を搬入する車両やクレーンによる揚重作業のスケジュールを一元管理するシステムで、工事関係者が持つスマートフォンやタブレット端末でリアルタイムに資機材搬入情報を共有できる。これにより、工事現場の物流のジャスト・イン・タイム化を実現し、搬入待ち・揚重待ちといった「手待ちのムダ」が削減できる。本システムは、大規模再開発工事等7作業所で採用している。 (3) 地震災害時BCP活動拠点の安全性評価に関する研究当社と富士電機㈱は、地震災害後における建物被災度の自動判定、拠点建物の安全性を即時判断する「4D-Doctor(フォーディードクター)」を共同開発した。 「4D-Doctor」は、当社が提案する被災度判定アルゴリズムと、富士電機㈱が開発したMEMS型加速度計「感振センサ」による観測体制を融合させたシステムである。センサは各階に設置する必要がなく、建物ゆれの特徴を把握できる階を選定し観測することで、より少ない観測点情報から建物の被災度を判定できる。地震災害後に判定結果を即時にシステム画面に表示するほか、メールにより関係者に情報発信する。建物の微小な揺れを正確に検出できる「感振センサ」の特長を活かし、平常時における建物の固有周期をモニタリングし、地震時だけにとどまらない建物の健康状態までの見える化を実現したシステムとして、商品化に向けて取組んでいる。 (4) 「Two-tone Beam工法」の建築技術性能証明取得本技術は、プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物において床スラブを現場打ちとする場合に用いられる鉄筋コンクリート造ハーフプレキャスト梁において、現場打設部のコンクリート強度を梁断面下部のプレキャスト造部分のコンクリート強度よりも低強度とする工法である。 この工法を採用することで、床スラブ収縮ひび割れを低減するとともに、現場打ちコンクリート施工を容易とし、コストダウンが可能となる。 本技術は平成20年に開発を完了しているが、実施工と普及を目指すため、蓄積データを活用し、建築技術性能証明を平成29年3月に取得した。 (5) 自然由来重金属含有細粒土の浄化技術(特殊鉄粉を用いた洗浄・吸着処理により汚染土壌・汚泥を削減する技術)を開発当社は、掘削後の汚染土を特殊鉄粉により浄化処理することで汚染土を無害化・減量化する技術を開発し、実用化の目処をつけた。近年、東京外かく環状道路やリニア新幹線の建設、大規模再開発等により、砒素やふっ素等の自然由来重金属含有土が大量に発生する状況になってきており、これを効率よく浄化できる技術のニーズが高まっている。本技術は、従来の分級・洗浄技術に、鉄粉吸着処理と洗浄水のpH調整を組み合わせ、砒素やふっ素等の自然由来重金属含有土の浄化処理を行うものである。今後、工事やプラントへの導入による実用化を図り、自然由来を含めた重金属含有土の効率的な処理を実現し、合理的で環境にやさしい施工方法を確立する。 (6) ZEB提案のモデルとして技術研究所の改修に着手当社が提案する「ZEB(Zero Energy Building)」のモデルとして、技術研究所オフィス棟(神奈川県相模原市)のZEB改修に取組んでいる。改修するオフィス棟は平成4年に竣工し、築25年を経過した地下1階、地上5階、延床面積約3,000㎡の建物である。改修は建物を使用しながらの工事で、平成28年8月から開始しており、平成29年度に完了する予定である。 技術研究所では、平成23年度に導入したBEMS(Building Energy Management System)によりエネルギー消費量を見える化し、運用による省エネルギーを図ってきた。また、同時期に省エネと快適性を両立する独自開発の空調・照明制御技術を執務室の一部に導入し、その効果を実証してきた(RECOffice:リコフィス)。 今回のZEB改修では、これらの知見を踏まえ改良した独自技術を導入するほか、外壁や窓の断熱・遮熱性能を強化するとともに、LED照明やセンサー制御等、照明・空調の高効率化技術を導入する予定である。さらに、太陽光発電や今後の水素社会を見据えた水素利用技術等の創エネ・蓄エネ技術を導入予定である。 オフィス棟の一次エネルギー削減率は、暫定目標として平成28年度は一般的なオフィスビル(財団法人省エネルギーセンター「オフィスビルの省エネルギー」規模別エネルギー消費原単位から設定)と比べて68%削減、平成29年度にはIoT技術導入も視野に入れ82%以上の削減を設定し、既存建物のZEB改修としてはわが国でトップレベルの削減率を目指す。 なお、本改修工事の一部は、「平成28年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に採択されている。 (7) 天井耐震化技術当社と八潮建材工業㈱は、建築基準法施行令が定める特定天井への適用を意図した天井耐震化技術の実用化を本格化させている。本技術は、鋼製下地在来工法天井にブレースを組んで耐震化を図るシステムであり、4本のブレースの下端を集約して鋼製下地の格点と接合する専用耐震金具と、その近傍のクリップの補強金物及びブレース上端接合部によって構成される。法令により定められた試験・評価の方法に則した天井ユニット試験による性能検証を重ねた結果、効率よく地震力を分散し、中地震時に部材が損傷しないことを実証した。本システムは現在、非特定天井の自主耐震化工事において設計・施工実績を重ねており、今後量産を進め、特定天井への適用を本格化する予定である。 (8) JAXA「液体を使わない建設資材の現地生産技術の研究」の共同研究を実施当社と東京都市大学、日東製網㈱は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で「月面における建設資材の現地生産技術」の研究を行った。月面上で微小隕石や放射線から基地を守るための建設資材を、セメントや水がほとんどない現地で製造するシステム・技術を構築することを目標とし、当社が全体システムの提案・構築を担当した。当社が開発済みの月面土のう工法「ルナー・テキスタイル工法」を軸に、研究中の生産技術をプラスして新たな建設資材の生産を目指したものである。 (9) 「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の研究・開発戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術の研究・開発を、国立研究開発法人新エネルギー・産業開発機構(NEDO)より委託され、平成26年度より5年間の予定で、当社を研究代表者として東京大学、湘南工科大学と共同で「トンネル全断面点検・診断システムの開発」を実施している。また、東北大学を研究代表者とする「橋梁の打音検査ならびに近接目視を代替する飛行ロボットシステム」の研究にも参画している。いずれのプロジェクトも、老朽化が進むインフラの点検技術として各界から注目されている。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われていない。
FY2016|3,090 文字
6 【研究開発活動】セグメントごとの研究開発は次のとおりである。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載している。 [建設事業]研究開発活動については、受注確保と施工品質向上のため、現場の目線に立ち、技術部門が連携協働し、当社ビジョンと中期経営計画を踏まえ、重点事業分野と基盤技術分野を中心に技術優位性とコスト優位性のある開発技術の早期実用化を目指した。当連結会計年度においては、以下を重点技術分野として、研究開発を進めた。① 重点事業分野 渋谷再開発事業 ・掘削土揚重技術 ・近接施工管理等の総合管理システム ・資機材搬入揚重管理支援システム② 基盤技術分野 Ⅰ.施工技術 ・省力化技術 ・工期短縮技術 ・解体技術 ・ICTロボット技術 ・総合評価対応技術 ・環境対策技術 Ⅱ.鉄道建設 ・人工地盤技術 ・周辺環境対策技術 ・空間利用技術 ・維持管理技術 ・LCC(Life Cycle Cost)算定技術 Ⅲ.安全安心強靭化 ・延命化技術 ・災害対策技術(地震、洪水等) Ⅳ.快適空間 ・室内環境技術 ・高齢者対応技術 Ⅴ.環境共生 ・省エネ技術 ・ZEB(Zero Energy Building) ・ZEH(Zero Energy House) ・汚染対策技術 Ⅵ.街づくり ・多摩田園都市再開発のための都市計画技術 ・ストック活用技術 ・木造建築多様化技術 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めている。当連結会計年度における研究開発費は、699百万円である。 主な研究開発成果は次のとおりである。 (1) CBパネル工法の開発CBパネル工法(Combination Panel)は、当社と㈱ホクコン、公益財団法人鉄道総合技術研究所が共同で開発した高架橋等の柱部材の耐震補強工法である。本工法は、プレキャストパネルを埋設型枠として既設柱の周囲に配置し、既設柱との隙間に高強度繊維補強モルタルを充填して一体化させる工法である。従来のRC巻立て工法と比べ補強鉄筋の組立と型枠支保工の設置作業を省略することで工期短縮を実現した。更に、従来の鋼板巻立て工法では困難であった狭隘部の施工、人力のみでの施工を可能にし、溶接等の専門技能も不要とした。プレキャストパネルは、酸素や塩分等の劣化因子の浸透を抑制するため、補強後の耐久性にも優れている。本工法は、既に実工事で採用され、平成27年度中には柱64本の施工実績がある。 (2) エアフレームを利用した覆工コンクリート打設養生システムの開発当社はカンボウプラス㈱と共同で、鋼材・重機が不要、人力のみで1日で設置できる風船タイプのフレームを用いた山岳トンネルの覆工養生システムを開発し、鹿児島県知覧トンネルにシステムを適用、コンクリートの長期的な耐久性向上に有効であることを確認した。施工性・安全性が飛躍的に向上し、また、本システムと覆工コンクリートの間にミストを1日2回送り込むことで打設直後の覆工コンクリートを湿潤状態に保つことができる。その結果、コンクリート表層の緻密性が向上し、耐久性の高い覆工コンクリートになることを確認した。現在施工中のトンネル工事件数が増大する中で、本システムの本格的な適用拡大を図る。 (3) 資機材搬入・揚重管理支援システム(現場情報共有システム)の開発当社と福井コンピュータ㈱は、資機材搬入・揚重管理支援システム「DandALL(ダンドール)」を共同開発した。本システムは、現場に資機材を搬入する車両やクレーンによる揚重作業のスケジュールを一元管理するシステムで、工事関係者が持つスマートフォンやタブレット端末でリアルタイムに資機材搬入情報を共有できる。これにより、工事現場の物流のジャスト・イン・タイム化を実現し、搬入待ち・揚重待ちといった「手待ちのムダ」が削減できる。 (4) 建築分野ICT活用による調査・点検システムの開発建物全体の劣化状態をウォークスルーによる外観目視のみで調査し、定性的な劣化判定を行う一次劣化診断の作業性向上を目的に、現地調査結果を簡易に効率よく報告書にまとめるソフト「建築劣化診断報告書作成システム」のプロトタイプを開発した。開発したソフトにより、デジタルカメラで撮影した現地調査情報をもとに、事務所のパソコンで建物診断報告書の作成作業を効率化できる。 (5) IoTによる建設機械の二酸化炭素排出量モニタリングシステム実証試験に着手建設現場のスマート化に向けて、IoT(Internet of Things)による「建設機械の二酸化炭素排出量モニタリングシステム」の実証試験に着手した。本システムは、建設機械に小型な「マシン・コミュニケーション機器」を取り付け、データを集積・分析することで建設機械の稼働状況や二酸化炭素排出量をタブレット端末、パソコン、スマートフォンで可視化し、重機等の実効燃費の改善による二酸化炭素排出量削減や、環境負荷低減の評価ツールとして活用できる。 (6) 地震観測を活用した地震災害時の建物継続使用可否判断システムの検証を前進当社と富士電機㈱が共同開発中の地震観測を活用した地震災害時の建物継続使用可否判断システムを当社の本社部門が入居する建物で継続観測を実施している。更に超高層建築物対応システムを当社の大阪支店が入居する超高層建物へ設置し平成28年1月より観測を開始した。BCP活動の拠点としての建物継続使用可否判断システムの有効性を検証中で実用化に向けた取り組みを進める。 (7) 「TQ-MIX構法」の技術審査証明取得「TQ-MIX構法」は柱をRC造、梁をS造で架構を構築する混合構法であり、合理的な構造を実現する生産技術、省力化工法である。本構法は、実施工と普及を目指し、技術審査証明を平成27年12月に取得した。 (8) 耐震・遮音天井システムの研究・開発当社と八潮建材工業㈱は、平成25年8月の建築基準法施行令の一部改正を機に、天井の耐震性に求められる基準として「中地震時に損傷しないこと」が制定されたことに合わせ、既に実用化している鋼製下地在来工法天井の耐震化技術に改良を加えた新システムを開発した。新旧システムとも在来工法天井システムにブレースを組み込んで耐震化を図るものであり、法改正に基づく標準的な試験・評価の方法に即した天井ユニット試験によって新システムの性能を検証した。新システムでは、下端接合部金物を中心とした両側近傍2点のクリップを補強金物で補強することで力の分散が図られている。 (9) 「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の研究・開発戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術の研究・開発を、国立研究開発法人新エネルギー・産業開発機構(NEDO)より委託され、当社を研究代表者として東京大学、湘南工科大学と共同で「トンネル全断面点検・診断システムの開発」を実施している。また、東北大学を研究代表者とする「橋梁の打音検査ならびに近接目視を代替する飛行ロボットシステム」の研究にも参画している。いずれのプロジェクトも、老朽化が進むインフラの点検技術として各界から注目されている。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。 [不動産事業等]研究開発活動は、特段行われていない。