研究開発活動(本文)
FY2025|5,261 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、おいしさ、栄養、健康をはじめ、持続可能な水産資源の追求や、食品加工における卓越した技術・価値の創出等『食』の未来へ新たな価値を提供するため、食品・水産素材に関する基礎研究から、事業化に向けた応用研究・技術開発まで、幅広い領域での研究開発に取り組んでおります。 特に、中期経営計画に掲げている、「イノベーション・エコシステム」を効率的に推進するために、①フードテック領域、②マリンテック領域、③バイオテック領域等の領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,843百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、水産資源事業680百万円、食材流通事業612百万円、加工食品事業329百万円、その他50百万円、全社費用配賦差額169百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 水産資源事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚のエサとなる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しない飼料開発のための昆虫ミールに着目した研究や、魚類の生理機能を活用した飼育方法による生産性の向上等に取り組んでおります。また、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、更に高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮等の自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚さない閉鎖循環型陸上養殖については、山形県遊佐町においてサクラマス陸上養殖実証試験に係る研究開発を進めておりましたが、現在三菱商事株式会社との合弁による「アトランド株式会社」において、アトランティックサーモン陸上養殖の事業化に向けた取り組みを継続中であります。 物流メリットのある都市部近郊の港湾における養殖の可能性を検討し、魚病等の外乱に影響の少ない、閉鎖式海面養殖システムの確立に向けて、川崎重工業株式会社と技術的検証を進めております。 海面養殖においても遺伝子情報を活用した高成長種苗の育種や魚類の生理機能を利用した高成長を目指した取り組み、更には国の定める“みどりの食料システム戦略”における水産施策にのっとり、国立研究開発法人 水産研究・教育機構との完全養殖マグロ育成に関する共同研究を推進し、クロマグロの人工種苗比率100%に向けて研究を進めております。 このように、陸上海面各養殖業において、新しい形態の養殖システムの構築と既存養殖業態の効率化、生産性向上について取り組みを進め、持続可能な養殖業の推進を目指して研究開発を進めていきます。 種苗生産研究では、「株式会社マルハニチロ養殖技術開発センター」にて、2024年度は更なる技術の革新に取り組み、陸上施設内でブリ類の稚魚に大きな被害を与える特定の魚病に罹患していないSPF種苗の作出を行い、種苗導入先への魚病拡散防止と環境保全に取り組みました。主力研究対象魚のブリでは、完全養殖を達成しており、人工授精技術の確立と高成長系統の選抜育種・継代も併用し、養殖の生産性を更に上げていく計画です。 水産・養殖現場では、AI(人工知能)、IoT(Internet of things)、ICT(情報通信技術)を活用して、生産性向上や省力化を目指した取り組みを進めております。それら技術と水産・養殖現場の課題を適切にマッチングさせ、費用対効果がでるような技術開発を行い、これまでにAI画像認識技術を活用した魚の尾数をカウントするシステム「かうんとと」、IoTを利用した養殖向けの環境データモニタリングシステムを実用化しました。現在は、AI画像認識技術とサイトグラスを利用して稚魚を計数する装置の実用化だけではなく、既に実用化している「かうんとと」のバージョンアップ等に取り組んでおります。なお、東京海洋大学が主催する「海洋AIコンソーシアム」に協力機関として参加し、東京海洋大学の行う卓越大学院プログラム、その他の海洋AIに関する教育及び研修に関する支援を行い、インターンシップの学生の受け入れ等を進めております。 食材流通事業 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品等、多様な流通カテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。また、食品の賞味期限を設定し、微生物のリスクを評価するには、製品中の微生物の増殖速度が指標の1つとなり、さまざまな条件下においてデータを取得するには、複数の検体の準備やデータ測定に多大な作業時間と労力を要します。そこで、微生物の増殖に伴い発生する熱量を直接計測する「カロリメトリ―法」を用い、食中毒の原因となるセレウス菌の増殖速度を簡便に算出することで、食品中の微生物リスクを短時間で把握することに成功しました。本研究の発表論文は、2024年公益社団法人日本食品衛生学会より「食品衛生学雑誌第64巻論文賞」を受賞しました。これらの技術は、適切な賞味期限の設定につながり、安全・安心な食の提供、食品ロスの削減や経済負荷・環境負荷の軽減が期待できます。安全・安心な商品の提供に貢献するため、当社グループ内における高度な微生物管理が要求される新商品の開発や生産等につなげてまいります。 生鮮魚の風味、物性の特徴を的確に捉え、重要な品質因子を特定することにより、生鮮魚の品質を高度に制御していく取り組みを進めております。また、保水エビ、定塩鮭等の水産物原料の品質を維持・向上させるため、添加剤の検討や加工処理方法の技術改良を行い、製品品位の向上に取り組んでおります。更に、水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 地球温暖化や海洋環境変化等に起因する水産物の供給量や価格が不安定な状況になっていることを背景に、将来的な水産物の資源枯渇に対応するため、代替食品製造の技術開発を進めております。水産物代替食品の技術開発だけではなく、畜産物代替品の技術開発を社内関連部署と進めており、代替食品の可能性の追求を目指しております。 加工食品事業 食品の見た目、香り、味や食感等の特徴を理化学分析及び官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性等の美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控える等健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。また、当社の取り扱う加工原料の品質を可視化し、良質な素材の提供にむけた取り組みを推進しております。 特定保健用食品は、からだの生理学的機能等に影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品であり、この販売には、食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、2004年に中性脂肪が高めの方を対象にした特定保健用食品「リサーラ」の販売を開始しました。また、日本人の死因で2番目に多い疾患である心血管疾患に着目し、2024年にはDHAとEPAを関与成分とし、心血管疾患に対するリスク低減効果の可能性がある「疾病リスク低減表示特保」として日本で初めて許可を取得したフィッシュソーセージ「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」の発売をいたしました。疾病リスク低減表示特保とは、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に限り、「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」として消費者庁から許可されている食品であり、本製品は、疾病リスク低減表示の個別評価第一号に当たります。 また、機能性表示食品においても、開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、多様な生理活性を有する脂質研究を基に多くの医薬品を創製してきた小野薬品工業株式会社と協業し、エビデンスに基づく機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んでおります。具体的には、当社水産加工現場から排出される未利用資源よりDHAが結合したリン脂質を含むイクラ油を基にしたサプリメントを共同で開発しました。これには睡眠の質を向上させ、あるいは一時的な活気・活力の向上と日中の眠気の軽減に役立つ機能があることを臨床試験で確認し、機能性表示食品として受理され、2022年3月より「レムウェル」(小野薬品ヘルスケア)の販売に至りました。両社は、信頼できるパートナーとして、お互いの知見や事業ノウハウを有効活用し、引き続き脂質のもつ有用な生理活性に着目して、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓し、より多くの方へ生涯にわたる健康をお届けしてまいります。 DHA以外にも、当社が原料調達等での優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、スケソウダラ由来魚肉タンパク質の機能性研究等、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 また、新たな取り組みとして、持続可能な“次世代の魚タンパク”の商業化生産を目指し、2021年8月に細胞培養スタートアップのインテグリカルチャー株式会社と「魚類」の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始しました。同社は、細胞農業(細胞培養)が普及する世界の実現に向けて、培養コストの低価格化と、細胞培養の大規模化技術の開発を行う革新的なスタートアップ企業です。同社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム “CulNet System™”は、これまで牛と家禽の細胞で有効性が確認されており、本研究ではこれらを新たに魚類の細胞にも拡張してまいります。検証に必要な生きた魚(細胞)の提供を当社が担って、研究を推進してまいります。 更に、技術面及び法整備を含めた世界的な事業環境の変化を見据え、2023年8月 UMAMI Bioworks Pte Ltd.(本社:シンガポール)と協業契約を締結し、魚類の細胞培養技術の確立に向けた取り組みを推進いたします。同社は、シンガポールに本社を置くバイオテクノロジー企業で、培養魚の自動生産プラットフォームを構築しております。シンガポールは細胞性食品における法整備の可能性や市場形成の展望が世界的にも有望視されているなか、UMAMI Bioworksは培養魚研究開発においてすでに実用化に近い段階にあり、試食可能な細胞性水産物の開発に成功しております。当社は協業を通じて、UMAMI Bioworksの細胞培養プラットフォームと当社の水産サプライチェーンを活用して、細胞性水産物の普及に向けた取り組みを推進します。 2023年1月からは、細胞性食品(いわゆる「培養肉」)のルール形成を行う団体である一般社団法人日本細胞農業研究機構に参画して活動を進めております。当社は創業以来、良質な魚タンパクの供給を通じて人々の食と健康に貢献してまいりました。魚類細胞性食品の生産技術が実現できれば、世界中で高まる魚需要に対して、持続可能な次世代の魚タンパク質の提供が可能になると考えております。 更に、水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、理科授業の実施等、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2024|5,585 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは「世界においしいしあわせを」お届けするために、おいしさ、栄養、健康をはじめ、持続可能な水産資源の追求や、食品加工における卓越した技術・価値の創出等『食』の未来へ新たな価値を提供するため、食品・水産素材に関する基礎研究から、事業化に向けた応用研究・技術開発まで、幅広い領域での研究開発に取り組んでおります。 特に、中期経営計画に掲げている、「イノベーション・エコシステム」を効率的に推進するために、①フードテック領域、②マリンテック領域、③バイオテック領域等の領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,810百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、水産資源事業1,020百万円、加工食品事業295百万円、食材流通事業332百万円、物流事業50百万円、全社費用配賦差額111百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 水産資源事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚のエサとなる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しない飼料開発のための昆虫ミールに着目した研究や、魚類の生理機能を活用した飼育方法による生産性の向上等に取り組んでおります。また、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、更に高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮等の自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖については、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら、山形県遊佐町において、サクラマス陸上養殖実証試験に係る研究開発を進めておりました。助成研究は2020年度で終了となりましたが、事業化に向けた研究を継続中であり、遺伝子情報を活用した高成長種苗の育種や高密度飼育技術の開発・検討に取り組んでおります。この陸上養殖研究の知見を生かし、2022年10月、三菱商事株式会社との合弁により、富山県入善町でサーモンの陸上養殖事業を行う「アトランド株式会社」の設立に至りました。デジタル技術も活用した陸上におけるサーモンの持続可能で安定的かつ効率的な生産体制の構築、地産地消型ビジネスモデルの実現、低・脱炭素化への貢献を目指し、施設の稼働開始、初出荷に向けて、サクラマスと並行してアトランティックサーモンの飼育試験を山形県遊佐町にて鋭意取り組んでおります。 種苗生産研究では、2020年4月に、増養殖事業部傘下の「南さつま種苗センター」を、中央研究所管轄の新会社として組織変更した「㈱マルハニチロ養殖技術開発センター」の本格稼働により、2023年度は更なる技術の革新に取り組み、陸上施設内でブリ類の稚魚に大きな被害を与える特定の魚病に罹患していないSPF種苗の作出を行い、種苗導入先への魚病拡散防止と環境保全に取り組みました。ブリでは、これまで天然親魚からの採卵でしたが、より養殖に適した人工孵化親魚から採卵して完全養殖を達成しており、高成長系統の選抜育種も併用し、養殖の生産性を更に上げていく予定であります。また、2021年3月に、完全養殖クロマグロ育種改良のための基盤・応用技術の開発に関して、国立研究開発法人水産研究・教育機構と協働していくことで合意し、共同研究を進めております。この取り組みによって、人工種苗を用いたクロマグロ養殖の体質強化と持続的発展に資する技術開発を推進してまいります。 水産・養殖現場では、AI(人工知能)、IoT(Internet of things)、ICT(情報通信技術)を活用して、生産性向上や省力化を目指した取り組みを進めております。それら技術と水産・養殖現場の課題を適切にマッチングさせ、費用対効果が出るような技術開発を行い、AI画像認識技術を活用した魚の尾数をカウントするシステム「かうんとと」、IoTを利用した養殖向けの環境データモニタリングシステムを実用化しております。また、人手で行っている養殖魚へのワクチン接種の省人化のため、ワクチン自動接種機の検討を進め、養殖現場に導入することができました。現在は、AI画像認識技術を利用して稚魚を計数する技術開発、マグロの大きさを測定する技術開発に取り組んでおります。なお、東京海洋大学が主催する「海洋AIコンソーシアム」に協力機関として参加し、東京海洋大学の行う卓越大学院プログラム、その他の海洋AIに関する教育及び研修に関する支援(インターンシップの学生の受け入れ等)を進めております。 エビについては調理後の食感や味を向上させるために浸漬剤による処理を行っており、エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤の開発・実用化を進めております。これら浸漬剤を用いた処理により、素材が持つ美味しさを保ちつつ、品質を向上させることができ、特に食感や色の改良が認められております。これらエビの浸漬に関する技術は、特許を出願、取得しております。更に、浸漬処理の技術は、エビだけではなく、その他の水産物への応用にも取り組んでおります。 魚介類の国内での消費量が減少し続けるなか、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、更に、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 また、水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 加工食品事業 食品の見た目、香り、味や食感等の特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性等の美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控える等健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。 特定保健用食品は、からだの生理学的機能等に影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品であり、この販売には、食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。 当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、2004年に中性脂肪が高めの方を対象にした特定保健用食品「リサーラ」の販売を開始しました。また、日本人の死因で2番目に多い疾患である心血管疾患に着目し、2024年にはDHAとEPAを関与成分とし、心血管疾患に対するリスク低減効果の可能性がある「疾病リスク低減表示特保」として日本で初めて許可を取得したフィッシュソーセージ「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」の発売をいたしました。疾病リスク低減表示特保とは、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に限り、「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」として消費者庁から許可されている食品であり、本製品は、疾病リスク低減表示の個別評価第一号に当たります。また、機能性表示食品においても、開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、多様な生理活性を有する脂質研究を基に多くの医薬品を創製してきた小野薬品工業株式会社と協業し、エビデンスに基づく機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んでおります。具体的には、当社水産加工現場から排出される未利用資源よりDHAが結合したリン脂質を含むイクラ油を基にしたサプリメントを共同で開発しました。これには睡眠の質を向上させ、あるいは一時的な活気・活力の向上と日中の眠気の軽減に役立つ機能があることを臨床試験で確認し、機能性表示食品として受理され、2022年3月より「レムウェル」(小野薬品ヘルスケア)の販売に至りました。両社は、信頼できるパートナーとして、お互いの知見や事業ノウハウを有効活用し、引き続き脂質のもつ有用な生理活性に着目して、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓し、より多くの方へ生涯にわたる健康をお届けしてまいります。 DHA以外に、当社が原料調達等での優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、スケソウダラ由来魚肉タンパク質の機能性研究等、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 また、新たな取り組みとして、持続可能な“次世代の魚タンパク”の商業化生産を目指し、2021年8月に細胞培養スタートアップのインテグリカルチャー株式会社と「魚類」の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始しました。同社は、細胞農業(細胞培養)が普及する世界の実現に向けて、培養コストの低価格化と、細胞培養の大規模化技術の開発を行う革新的なスタートアップ企業です。同社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム “CulNet System™”は、これまで牛と家禽の細胞で有効性が確認されており、本研究ではこれらを新たに魚類の細胞にも拡張してまいります。検証に必要な生きた魚(細胞)の提供を当社が担って、研究を推進してまいります。 更に、技術面及び法整備を含めた世界的な事業環境の変化を見据え、2023年8月 UMAMI Bioworks Pte Ltd.(本社:シンガポール)と協業契約を締結し、魚類の細胞培養技術の確立に向けた取り組みを推進いたします。同社は、シンガポールに本社を置くバイオテクノロジー企業で、培養魚の自動生産プラットフォームを構築しております。シンガポールは細胞性食品における法整備の可能性や市場形成の展望が世界的にも有望視されているなか、UMAMI Bioworksは培養魚研究開発においてすでに実用化に近い段階にあり、試食可能な細胞性水産物の開発に成功しております。当社は今回の協業を通じて、UMAMI Bioworksの細胞培養プラットフォームと当社の水産サプライチェーンを活用して、細胞性水産物の普及に向けた取り組みを推進します。 2023年1月からは、細胞性食品(いわゆる「培養肉」)のルール形成を行う団体である一般社団法人日本細胞農業研究機構に参画して活動を進めております。当社は創業以来、良質な魚タンパクの供給を通じて人々の食と健康に貢献してまいりました。魚類細胞性食品の生産技術が実現できれば、世界中で高まる魚需要に対して、持続可能な次世代の魚タンパク質の提供が可能になると考えております。 食材流通事業 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品等、多様な流通カテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。更に、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めており、「MALDI-TOF MSを用いた食品希釈液からの直接同定方法の開発」について日本農芸化学会2022年度大会で発表し、「トピックス賞」を受賞しました。安全、安心な商品の提供に貢献するため、当社グループ内における高度な微生物管理が要求される新商品の開発や生産等につなげてまいります。 地球温暖化や海洋環境変化等に起因する水産物の供給量や価格が不安定な状況になっていることを背景に、将来的な水産物の資源枯渇に対応するため、代替食品製造の技術開発を進めております。社内関連部署との取り組みとして、代替食品を用いた新商品の開発を進め、大豆たんぱくで作った常温トレー入りの「お魚屋さんの大豆たんぱく」シリーズを立ち上げ、「さけ風フレーク」と「かつお風しぐれ煮フレーク」を量販店の水産売り場にて販売を開始しました。なお、「さけ風フレーク」は1パック(30g)当たり、約5.5gのたんぱく質を含んでおり、実際の鮭を使用したフレークと同程度のたんぱく質量となっております。現在、「お魚屋さんの大豆たんぱく」シリーズ以外にも代替食品の開発を進めており、代替食品の可能性の追求を目指しております。 更に、水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、理科授業の実施等、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2023|4,949 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の生涯の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、研究活動を進めております。 特に、中期経営計画に掲げている、「イノベーション・エコシステム」を効率的に推進するために、①フードテック領域、②マリンテック領域、③バイオテック領域、などの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,652百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、水産資源事業1,008百万円、加工食品事業295百万円、食材流通事業332百万円、物流事業50百万円、全社費用配賦差額△34百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 水産資源事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚のエサとなる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しない低魚粉、低魚油飼料を開発すべく、昆虫ミールに着目した研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料の開発・実用化を手掛け、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、更に高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖については、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら、山形県遊佐町において、サクラマス陸上養殖実証試験に係る研究開発を進めておりました。助成研究は2020年度で終了となりましたが、事業化に向けた研究を継続中であり、更に飼育設備を拡充し、遺伝子情報を活用した高成長種苗の育種や高密度飼育技術の開発・検討に取り組んでまいります。この陸上養殖研究の知見を生かし、2022年10月、三菱商事株式会社との合弁により、富山県入善町でサーモンの陸上養殖事業を行う「アトランド株式会社」の設立に至りました。デジタル技術も活用した陸上におけるサーモンの持続可能で安定的かつ効率的な生産体制の構築、地産地消型ビジネスモデルの実現、低・脱炭素化への貢献を目指し、2025年度の稼働開始、2027年度の初出荷に向け、サクラマスと並行してアトランティックサーモンの飼育試験を山形県遊佐町にてスタートしております。 種苗生産研究では、2020年4月に、増養殖事業部傘下の「南さつま種苗センター」を、中央研究所管轄の新会社として組織変更した「㈱マルハニチロ養殖技術開発センター」の本格稼働により、2022年度はブリ140万尾とカンパチ6.1万尾を生産し、順調に安定生産技術を積み重ねております。ブリでは、これまで天然親魚からの採卵でしたが、より養殖に適した人工孵化第一世代の親魚から採卵して完全養殖を達成しており、高成長系統の選抜育種も併用し、養殖の生産性をさらに上げていく予定であります。また、2021年3月に、完全養殖クロマグロ育種改良のための基盤・応用技術の開発に関して、国立研究開発法人の水産研究・教育機構と協働していくことで合意し、共同研究を進めております。この取り組みによって、人工種苗を用いたクロマグロ養殖の体質強化と持続的発展に資する技術開発を推進してまいります。 水産・養殖現場では、AI(人工知能)やIoT(Internet of things)を活用して、生産性向上や省力化を目指した取り組みを進めております。ICT(情報通信技術)に関する先端技術と水産・養殖現場の課題を適切にマッチングさせ、費用対効果が出るような技術開発、例えば、AIの画像認識技術を活用した魚の尾数をカウントするシステム「かうんとと」の開発、養殖向けの環境データモニタリングシステムの開発など様々な課題に取り組んでいます。また、養殖現場の省力化のために以前より人手で行ってきた養殖魚へのワクチン接種の自動化の検討を進め、ワクチン自動接種機の運用試験を開始しました。さらに、東京海洋大学が主催する「海洋AIコンソーシアム」に協力機関として参加し、東京海洋大学の行う卓越大学院プログラム、その他の海洋AIに関する教育及び研修に関する支援を進めております。 エビは調理後の食感や味を向上させるために浸漬剤による処理を行っており、エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤の開発・実用化を進めております。これら浸漬剤を用いた処理により、素材が持つ美味しさを保ちつつ、品質を向上させることができ、特に食感や色の改良が認められております。これらエビの浸漬に関する技術は、特許を出願、取得しております。さらに、浸漬処理の技術は、エビだけではなく、その他の水産物への応用にも取り組んでおります。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 加工食品事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。 機能性表示食品とは、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものであります。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組んでまいりました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、多様な生理活性を有する脂質研究を基に多くの医薬品を創製してきた小野薬品工業株式会社と当社が協業し、エビデンスに基づく機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んでおります。具体的には、当社水産加工現場から排出される未利用資源よりDHAが結合したリン脂質を含むイクラ油を基にしたサプリメントを共同で開発しました。これには睡眠の質を向上させ、あるいは一時的な活気・活力の向上と日中の眠気の軽減に役立つ機能があることを臨床試験で確認し、機能性表示食品として受理され、2022年3月より「レムウェル」(小野薬品ヘルスケア)の販売に至りました。両社は、信頼できるパートナーとして、お互いの知見や事業ノウハウを有効活用し、引き続き脂質のもつ有用な生理活性に着目して、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓し、より多くの方へ生涯にわたる健康をお届けしてまいります。 DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、スケソウダラ由来魚肉タンパク質の機能性研究など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めており、「MALDI-TOF MSを用いた食品希釈液からの直接同定方法の開発」について日本農芸化学会2022年度大会で発表し、「トピックス賞」を受賞しました。 また、新たな取り組みとして、持続可能な“次世代の魚タンパク”の商業化生産を目指し、2021年8月に細胞培養スタートアップのインテグリカルチャー株式会社と「魚類」の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始しました。同社は、細胞農業(細胞培養)が普及する世界の実現に向けて、培養コストの低価格化と、細胞培養の大規模化技術の開発を行う革新的なスタートアップ企業です。同社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム “CulNet System™”は、これまで牛と家禽の細胞で有効性が確認されており、本研究ではこれらを新たに魚類の細胞にも拡張してまいります。検証に必要な生きた魚(細胞)の提供を当社が担って、研究を推進してまいります。2023年1月からは、細胞性食品(いわゆる「培養肉」)のルール形成を行う団体である一般社団法人日本細胞農業研究機構に参画して活動を進めております。当社は創業以来、良質な魚タンパクの供給を通じて人々の食と健康に貢献して参りました。魚類細胞性食品の生産技術が実現できれば、世界中で高まる魚需要に対して、持続可能な次世代の魚タンパク質の提供が可能になると考えております。 食材流通事業 2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度であります。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに、株式会社ベイシアとの取り組みで、水産売場において中性脂肪を低下させる効果がある機能性表示食品として販売することを検討し、届出が受理され、2021年4月よりベイシア各店での販売に至っております。続く第2弾として、マグロのたたきに含まれるDHA・EPAが規定量以上含まれるように当社の精製魚油を添加した商品設計を行い、2023年4月より中性脂肪を低下させる効果を謳った「新鮮プレミアム 鮪たたき」の販売を開始いたしました。現在、更なる魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。 さらに、水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2022|4,134 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の生涯の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品領域、②水産・養殖領域、③機能性領域、の3つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,647百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、水産資源事業1,064百万円、加工事業596百万円、物流事業20百万円、全社費用配賦差額△34百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 水産資源事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しない低魚粉、低魚油飼料を開発すべく、昆虫ミールに着目した研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料の開発・実用化を手掛け、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖については、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら、山形県遊佐町において、サクラマス陸上養殖実証試験に係る研究開発を進めておりました。助成研究は2020年度で終了となりましたが、事業化に向けた研究を継続中であり、さらに飼育設備を拡充し、遺伝子情報を活用した高成長種苗の育種や高密度飼育技術の開発・検討に取り組んで参ります。 種苗生産研究では、2020年4月に、増養殖事業部傘下の「南さつま種苗センター」を、中央研究所管轄の新会社として組織変更した「㈱マルハニチロ養殖技術開発センター」の本格稼働により、2021年度はブリ111万尾とカンパチ27.6万尾を生産し、順調に安定生産技術を積み重ねております。ブリでは、これまで天然親魚からの採卵でしたが、昨年度から、より養殖に適した人工孵化第一世代の親魚から採卵して完全養殖を達成しており、高成長系統の選抜育種も併用し、養殖の生産性をさらに上げていく予定です。また、2021年3月に、完全養殖クロマグロ育種改良のための基盤・応用技術の開発に関して、国立研究開発法人水産研究・教育機構と協働していくことで合意し、共同研究を開始しました。この取り組みによって、人工種苗を用いたクロマグロ養殖の体質強化と持続的発展に資する技術開発を進めていきます。 水産・養殖現場では、AI(人工知能)やIoT(Internet of things)を活用して、生産性向上や省力化を目指した取り組みを進めております。ICT(情報通信技術)に関する先端技術と水産・養殖現場の課題を適切にマッチングさせ、費用対効果がでるような技術開発、例えば、AIの画像認識技術を活用した魚の尾数をカウントするシステム「かうんとと」の開発、養殖向けの環境データモニタリングシステムの開発など、様々な課題に取り組んでいます。 2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに、株式会社ベイシアとの取組みで、水産売場において中性脂肪を低下させる効果がある機能性表示食品として販売することを検討し、届出が受理され、2021年4月よりベイシア各店での販売に至っております。現在、魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。 エビは調理後の食感や味を向上させるために浸漬剤による処理を行っており、エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤の開発・実用化を進めています。これら浸漬剤を用いた処理により、素材が持つ美味しさを保ちつつ、品質を向上させることができ、特に食感や色の改良が認められております。これらエビの浸漬に関する技術は、特許を出願、取得しております。さらに、浸漬処理の技術は、エビだけではなく、その他の水産物への応用にも取り組んでいます。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。 機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、多様な生理活性を有する脂質研究を基に開発されたプロスタグランジン製剤など、多くの医薬品を創製してきた小野薬品工業株式会社と当社が協業し、エビデンスに基づく機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んでいます。具体的には、当社水産加工現場から排出される未利用資源よりDHAが結合したリン脂質を含むイクラ油を基にしたサプリメントを共同で開発しました。それには睡眠の質あるいは活気・活力の向上に役立つ機能があることを臨床試験で確認し、機能性表示食品として受理されました。両社は、信頼できるパートナーとして、お互いの知見や事業ノウハウを有効活用することで、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓し、より多くの方へ生涯にわたる健康をお届けしてまいります。 DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、スケソウダラ由来魚肉タンパク質の機能性研究など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めております。 また、新たな取り組みとして、持続可能な“次世代の魚タンパク”の商業化生産を目指し、2021年8月に細胞培養スタートアップのインテグリカルチャー株式会社と「魚類」の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始しました。同社は、細胞農業(細胞培養)が普及する世界の実現に向けて、培養コストの低価格化と、細胞培養の大規模化技術の開発を行う革新的なスタートアップ企業です。同社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム “CulNet System™”は、これまで牛と家禽の細胞で有効性が確認されており、本研究ではこれらを新たに魚類の細胞にも拡張します。検証に必要な生きた魚(細胞)の提供をマルハニチロが担って、研究を推進して参ります。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2021|3,443 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,556百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業563百万円、商事事業391百万円、海外事業189百万円、加工事業560百万円、物流事業17百万円、全社費用配賦差額△165百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しないで、大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料の発酵処理、あるいは養殖魚の腸内細菌の活用といった研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料の開発・実用化を手掛け、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖については、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら研究開発を進め、山形県遊佐町で試験中のサクラマスの陸上養殖において、ASC認証※を2020年3月に取得しました。ASC認証サケ基準において陸上養殖での取得は、日本初の事例となります。 種苗生産研究では、2020年4月に、増養殖事業部傘下の「南さつま種苗センター」を、中央研究所管轄の新会社として組織変更した「㈱マルハニチロ養殖技術開発センター」の本格稼働により、大量生産、ゲノム育種などの養殖関連技術の開発と研究に成果を上げております。また、2021年3月に、完全養殖クロマグロ育種改良のための基盤・応用技術の開発に関して、国立研究開発法人水産研究・教育機構と協働していくことで合意しました。この取り組みによって、人工種苗を用いたクロマグロ養殖の体質強化と持続的発展に資する技術開発を進めていきます。 2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに、株式会社ベイシアとの取組みで、水産売場において中性脂肪を低下させる効果がある機能性表示食品として販売することを検討し、届出が受理され、2021年4月よりベイシア各店での販売に至っております。現在、魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。 ※ ASC認証:ASC(Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)による、養殖業に対する認証制度。環境と人にやさしい責任ある養殖業で生産された水産物に認められる証。 商事事業 エビは調理後の食感や味を向上させるために浸漬剤による処理を行っており、エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤の開発・実用化を進めています。これら浸漬剤を用いた処理により、素材が持つ美味しさを保ちつつ、品質を向上させることができ、特に食感や色の改良が認められております。これらエビの浸漬に関する技術は、特許を出願、取得しております。さらに、浸漬処理の技術は、エビだけではなく、その他の水産物への応用にも取り組んでいます。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。 機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、DHAに関しては、さらなる有用な機能の追究や時間栄養学の視点での研究なども行い、健康長寿やクオリティ・オブ・ライフ(QOL)をサポートする素材の研究開発を進めております。 DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、同様にサケ白子に含まれるDNAの肝機能改善効果や血糖値上昇抑制効果等のエビデンス取得、サケ肉に含まれるイミダゾールジペプチドの疲労感軽減効果等のエビデンス取得など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めております。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2020|3,041 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,123百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業83百万円、商事事業431百万円、海外事業226百万円、加工事業638百万円、物流事業17百万円、全社費用配賦差額△273百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しないで、大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料を発酵処理したり、養殖魚の腸内細菌を活用するといった研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。さらに沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖につきましても、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら研究開発を進めており、山形県遊佐町で試験中のサクラマスの陸上養殖において、ASC認証※を2020年3月に取得しました。ASC認証サケ基準において陸上養殖での取得は、日本初の事例となります。 2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。 ※ ASC認証:ASC(Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)による、養殖業に対する認証制度。環境と人にやさしい責任ある養殖業で生産された水産物に認められる証。 商事事業 エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。 また、当社が長年研究・販売に取り組んでいる魚油由来の健康成分DHAには、中性脂肪の低減や認知機能をサポートする機能があり、すでに特定保健用食品あるいは機能性表示食品として販売しておりますが、さらなる有用な機能の追究や時間栄養学の視点での研究なども行い、健康長寿やクオリティ・オブ・ライフ(QOL)をサポートする素材の研究開発を進めております。 前述の機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。 DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ肉に含まれるイミダゾールジペプチドの疲労感軽減効果に基づいた機能性表示食品「サーモンソーセージ」が2019年2月に受理されました。また、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、同様にサケ白子に含まれるDNAの肝機能改善効果や血糖値上昇抑制効果等のエビデンス取得など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めております。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2019|2,425 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,073百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業82百万円、商事事業338百万円、海外事業183百万円、加工事業601百万円、物流事業14百万円、全社費用配賦差額△147百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しないで、大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料を発酵処理したり、養殖魚の腸内細菌を活用するといった研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。さらに沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖につきましても、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら研究開発を進めております。 「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。 商事事業 エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を確立いたしました。 2015年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ肉に含まれるイミダゾールジペプチドの疲労感軽減効果に基づいた機能性表示食品「サーモンソーセージ」が2019年2月に受理されました。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2018|2,075 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は841百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業85百万円、商事事業267百万円、海外事業146百万円、加工事業349百万円、物流事業12百万円、全社費用配賦差額△20百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっています。ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められております。これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としていますが、生鮮食品の各種栄養成分量や機能性関与成分の含量は加工食品に比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっていました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで、平成30年1月に、生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出受理に至りました。 商事事業 エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。 魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。 自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進めております。 平成27年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分に中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分に情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を手掛けてまいります。 サクサクした揚げたて食感の天ぷらをご家庭で、いつでもお手軽に味わっていただけるように、レンジ調理だけで、揚げたてのような食感を楽しむことができる冷凍食品の天ぷらの開発に取り組んでまいりました。その結果、平成29年春季新商品として、「海老天ぷら」、「いか天ぷら」の2品を上市いたしました。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域小学校における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2017|1,890 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の高度(微細)加工、②食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、③微生物制御、④機能性素材開発、⑤環境・自然と調和した水産資源調達技術の5つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は798百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業62百万円、商事事業247百万円、海外事業139百万円、加工事業377百万円、物流事業11百万円、全社費用配賦差額△39百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっています。ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められております。これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 商事事業 エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。 新規食品カテゴリーとして、ロングライフチルド(LLC)商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進め、平成27年4月のLLC商品4種の販売開始に貢献いたしました。更に、その後のLLC新商品の開発にも引き続き携わっております。 また、LLCで培った微生物制御技術を応用して、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品の安全性担保・品位向上へ向けた水平展開を進めております。 平成27年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。 当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、平成29年4月時点で、DHA・EPAを関与成分に中性脂肪を低下させる機能がある食品として7品、DHAを関与成分に情報の記憶をサポートする機能がある食品として5品の合わせて12品について消費者庁に届出を受理されており、そのうちの6品を既に発売しております。 なお、これら12品以外にも現在届出を進めている商品もございますので、受理に向けての対応を順次進めてまいります。それとともに、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を手掛けていきます。 サクサクした揚げたて食感の天ぷらをご家庭で、いつでもお手軽に味わっていただけるように、レンジ調理だけで、揚げたてのような食感を楽しむことができる冷凍食品の天ぷらの開発に取り組んでまいりました。その結果、平成29年春季新商品として、「海老天ぷら」、「いか天ぷら」の2品を上市いたしました。今後、更なる品位向上に努めてまいります。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域小学校における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。
FY2016|1,666 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。 特に、水産・食品分野を中心として、①食品の高度(微細)加工、②食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、③微生物制御、④機能性素材開発、⑤環境・自然と調和した水産資源調達技術の五つの領域に注力いたしました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は738百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業47百万円、商事事業236百万円、海外事業121百万円、加工事業340百万円、物流事業14百万円、全社費用配賦差額△21百万円であります。 主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。 漁業・養殖事業 世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっています。ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められております。これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。 商事事業 エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。 海外事業 水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。 主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。 加工事業 食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。 食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。 新規食品カテゴリーとして、ロングライフチルド(LLC)商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進め、平成27年4月のLLC商品4種の販売開始に貢献いたしました。更に、その後のLLC新商品の開発にも引き続き携わっております。 また、LLCで培った微生物制御技術を応用して、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品の安全性担保・品位向上へ向けた水平展開を進めております。 平成27年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。 当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、平成28年4月時点で、DHA・EPAを関与成分に中性脂肪を低下させる機能がある食品として6品、DHAを関与成分に情報の記憶をサポートする機能がある食品として5品の合わせて11品について消費者庁に届出を受理されており、そのうちの6品を既に発売しております。また、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材について順次検討を進めております。 さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域小学校における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。