FY2025|1,746 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、経営ビジョンCompass2030に沿って、以下の3つの挑戦に取り組んでいます。・「CO2ネット・ゼロ」をリード・「価値共創」のエコシステムの構築・LNGバリューチェーンの変革研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費総額は7,206百万円です。主な研究開発活動は、エネルギー・ソリューションセグメントを中心に行われており、当セグメントにおける研究開発費は5,382百万円です。また、ネットワークセグメントにおいてスマート保安関連技術等の研究開発を行っており、当セグメントにおける研究開発費は1,824百万円です。当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりです。 (1) 「CO2ネット・ゼロ」をリード① 王子ホールディングス株式会社、王子製紙株式会社と、王子製紙苫小牧工場における再生可能エネルギー由来のグリーン水素と回収したCO2によるe-methaneの製造に向けた共同検討を開始しました。2030年までに苫小牧工場へ数十m3/h級のe-methane設備の導入を目指すとともに、2030年以降には設備を1,000m3/h級(一般家庭2万世帯分に相当)へ拡大することも見据えています。② ポルトガルで稼働中の浮体式洋上風力発電所「ウインドフロート・アトランティック」を運営するウインドプラス社への投資を行い、浮体式洋上風力発電の操業経験を蓄積し、その中でも、特にデジタルや次世代技術を駆使した先進的なO&M手法の習得を目指します。③ 株式会社加藤鉄工バーナー製作所と共同で、水素燃焼式のパッケージバーナを開発しました。100℃以下から500℃程度まで幅広い温度に対応するパッケージバーナで、天然ガス仕様のものと同様に食品加工、液加熱、乾燥、非鉄金属の熱処理等、さまざまな加熱設備の熱源として活用することが可能です。④ 横浜市と締結した協定に基づき、横浜市北部下水道センターの再生水(下水処理した水をろ過した水)と消化ガス(下水汚泥を処理する工程で発生するバイオガスで、CH4とCO2の混合ガス)をメタネーション実証設備に輸送し、水素およびe-methane製造の原料として利用する共同実証を開始しました。⑤ 薄型軽量太陽光パネルを、接着剤を用いてスレート屋根に設置する新工法を開発しました。スレートは工場等において広く採用されている屋根材で、軽量で耐久性等に優れる一方、耐荷重や施工安全性等の観点から太陽光発電設備の設置難易度が高く、これまで太陽光の導入は進んできませんでしたが、スレート屋根の課題に対応したパネル設置方法を開発し、信頼性の高い新たな施工方法を確立しました。 (2) 「価値共創」のエコシステムの構築① JFEスチール株式会社及び株式会社ガスターと共同で、世界初の遠隔から瞬時に一酸化炭素を検知する高感度な携帯型レーザー式一酸化炭素検知器を開発しました。東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社がすでに実用化している赤外吸収現象を利用した反射式のレーザー式メタン検知器の技術を応用し、一酸化炭素の検知に最適な2.3μm帯の波長のレーザーを使用することで、一酸化炭素の高度な遠隔検知を実現しました。 (3) LNGバリューチェーンの変革① 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における実施予定先に採択されました。本研究開発は、経済産業省が進めるデジタルライフライン全国総合整備計画のインフラ管理DXワーキンググループで検討している取り組みに関連するものです。上下水道・電力・ガス・通信等のインフラ管理事業者は、各々が保有する設備情報を個別に保持し更新管理を行っていましたが、共通のデータ連携システムを開発し、当該システムによって事業者間の業務共通機能に必要なデータセットを提供することで、協調領域として業務の共通化・自動化やリソースの最適活用等を図ります。
FY2024|2,015 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、経営ビジョンCompass2030に沿って、以下の3つの挑戦に取り組んでいます。・「CO2ネット・ゼロ」をリード・「価値共創」のエコシステムの構築・LNGバリューチェーンの変革研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費総額は8,426百万円です。主な研究開発活動は、エネルギー・ソリューションセグメントを中心に行われており、当セグメントにおける研究開発費は7,165百万円です。当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりです。 (1) 「CO2ネット・ゼロ」をリード① 鹿島建設株式会社、日本コンクリート工業株式会社及び横浜市と共同で、都市ガス機器利用時の排気に含まれる低濃度のCO2を吸収・固定化して製造したカーボンネガティブコンクリート「CO2-SUICOM®」を、横浜市立元街小学校に設置した太陽光発電設備の基礎ブロックの一部として導入しました。実用化は、日本初となります。② 株式会社正英製作所と共同で、日本初の水素燃焼が可能な廃熱回収装置内蔵水素バーナを開発しました。従来の廃熱回収装置内蔵の天然ガスバーナは、燃焼用空気を排ガスで予熱することで燃料使用量を約30%削減可能で、アルミ・非鉄金属加工、自動車・自動車部品製造、鉄鋼製造等、高温熱を必要とする様々な製造工程で利用されています。本バーナは、低NOxと安定燃焼を両立しており、水素専焼だけでなく天然ガス専焼も可能です。③ 横浜市、三菱重工業株式会社及び三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社と共同で、ごみ焼却工場の排ガスから分離・回収したCO2を当社のメタネーション実証設備に輸送し、メタネーションの原料として利用する、国内初となる地域連携でのCCU共同実証を開始しました。④ 都市ガス機器利用時の排気に含まれるCO2と水酸化物を反応させ、様々な用途で利用可能な炭酸塩をお客さま先(オンサイト)で製造する日本初の「CO2資源化サービス」を開発しました。製造された炭酸塩は、洗剤や肥料等の製品の原料として利用する等、炭酸塩の利用用途を拡大する取り組みも進めます。⑤ 株式会社クボタ及びクレアトゥラ株式会社と共同で、水田由来のメタン排出削減が期待される水管理手法について、フィリピンにおける普及及び民間JCM(二国間クレジット制度)プロジェクト登録に向けた実証事業に取り組んでいます。クボタの水稲栽培における知見及びネットワーク、クレアトゥラのカーボンクレジット分野におけるプロジェクト開発及びクレジット創出の知見、当社のカーボンクレジット分野の信頼性確保に向けた取り組みにおける知見を活用した3社での価値共創により、ASEAN地域での農業分野における初の民間JCMプロジェクト登録を目指します。⑥ 住友商事株式会社と共同で、大気中のCO2直接回収・貯留(DACCS)について事業可能性調査を始めます。当社が有するDAC(大気中のCO2直接回収)技術やプラントエンジニアリングの知見・ノウハウと住友商事がグローバルに展開するCCS(CO2の地下貯留)を含めた、次世代エネルギービジネスに関するネットワーク・知見をかけ合わせることで、北米をはじめとした貯留適地の選定や国内外のDAC技術評価を行うなど、共同でDACCSの事業可能性検討を推進し、将来に向けた共同事業の創出を目指します。 (2) 「価値共創」のエコシステムの構築① 英国のオクトパスエナジー社が開発したカスタマーサービスシステム「クラーケン」及び分散型エネルギーリソース運用・管理システム「クラーケンフレックス」の導入を開始しました。「クラーケン」により、お客さまニーズに対応した電気料金プランをスピーディーに開発可能となるとともに、オペレーションコストも削減できます。また、「クラーケンフレックス」に自社・他社・お客さまの分散型エネルギーリソースを接続し、発電量等を最適化します。② 機械制御分野における先進的AI技術を有する株式会社エイシングと共に、ビル・工場等の空調熱源のさらなる省エネ運転の実現を目指し、熱源機器の最適制御を実現するAIの開発を開始しました。 (3) LNGバリューチェーンの変革① LNG・電力の取引契約、LNG船、受入基地、発電所などの最適運用を実現すべく、機械学習等を駆使した分析ロジックを開発し、エネルギー需要や価格の予測高度化を図っています。この取り組みなどが認められ、経済産業省及び東京証券取引所が主催する「DX注目企業2023」に選定されました。 また、ネットワークセグメントにおいてスマート保安関連技術等の研究開発を行っており、当セグメントにおける研究開発費は1,260百万円です。
FY2023|1,508 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、経営ビジョンCompass2030に沿って、以下の3つの挑戦に取り組んでいます。・「CO2ネット・ゼロ」をリード・「価値共創」のエコシステムの構築・LNGバリューチェーンの変革研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費総額は7,362百万円です。主な研究開発活動は、エネルギー・ソリューションセグメントを中心に行われており、6,076百万円です。当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりです。 ① 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構および株式会社IHIと共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の「合成メタン製造に係る革新的技術開発」の中で、低温プロセスによる革新的メタン製造技術開発を実施します。② Shell Eastern Petroleum(Pte.)Limitedと脱炭素分野の共同検討に関する覚書を締結し、メタネーションをはじめ、水素、バイオメタン、CCUSなど、さまざまな脱炭素領域において、新たな脱炭素化ソリューションの実現を目指した共同検討を開始します。③ 国立大学法人九州大学およびジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社と、洋上風力発電の風車ウエイク現象(発電量の低下につながる風車下流における風速の低下や風の乱れ)を高精度に再現し、設備利用率向上と故障率低減に寄与するツールの開発を開始しました。なお、本開発は、国立研究開発法人科学技術振興機構が公募する「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)」に前連結会計年度に続き2期連続で採択されました。④ 大阪ガス株式会社、東邦ガス株式会社および三菱商事株式会社と、米国テキサス州・ルイジアナ州における合成メタン(e-methane)の製造および2030年の日本への合成メタン導入開始に向けた共同での詳細検討に着手しました。世界初となる合成メタンの製造規模と国際的なサプライチェーン確立を目指します。⑤ 米国グローバルサーモスタット社に出資し、大気中のCO2を直接回収するDACの実用化を進めます。同社は、独自の固体吸着方式に関する開発を10年以上にわたり行っています。⑥ 米国のスタートアップ企業H2Uテクノロジーズ社と共同で、水素製造のための水電解装置向け低コスト触媒を開発します。同社が有する独自の触媒探索エンジンを用いて、非イリジウム触媒を開発し、安価な水素製造コストの早期達成を目指します。⑦ 株式会社SCREENホールディングスと共同で、水電解用触媒層付き電解質膜の高速量産化技術を確立しました。同社のロールtoロール生産方式を活用し、800cm2超サイズの製作に成功し、所定の電解性能を達成しました。今後更に5,000cm2サイズの量産化を目指します。⑧ 株式会社ヒートエナジーテックと共同で塗装乾燥用水素燃焼式熱風発生バーナを開発、また日工株式会社とアスファルトプラント用水素専焼バーナを開発、サンレー冷熱株式会社と共同で水素専焼ガスタービンコージェネレーションシステム用追焚きバーナを開発しました。水素バーナで課題となるNOxの生成を抑えながら、工場の脱炭素化を実現します。 また、ネットワークセグメントにおいてガススマートメーターシステムの研究開発等を行っており、当事業に係る研究開発費は1,286百万円です。