9505

北陸電力(9505)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気・ガス業 電気・ガス

事業の概要

北陸電力グループは、北陸三県(富山県、石川県、福井県の一部)と岐阜県の一部を主な供給エリアとし、電気の発電・販売を主軸とする企業です。グループ会社は、発電事業、送配電事業、電力設備建設・保守、資機材製造、情報通信事業、不動産管理など多岐にわたる事業を展開し、電力供給に必要なサービスや技術を提供することで収益を上げています。特に、発電・販売事業がグループの中核を担っています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

北陸電力グループの事業セグメントは大きく二つに分けられます。一つは「発電・販売事業」で、主に電気の発電と顧客への販売を担っており、グループの売上の大部分を占める主要な収益源です。もう一つは「送配電事業」で、発電された電気を顧客に届けるための送電線や配電網の運営・管理を行っています。これらのセグメントに加えて、設備保守、資機材製造、情報通信、不動産管理など多角的な事業を展開する子会社・関連会社がグループ全体を支えています。地域構成としては、主に北陸三県と岐阜県の一部に集中しています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PowerGenerationSales 事業 7,164
TransmissionAndDistribution 事業 528
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,873 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び関係会社61社(子会社40社、関連会社21社)で構成されている。当社はその中心として、主に北陸三県[富山県、石川県、福井県(一部を除く)]と岐阜県の一部に電気を供給することを主たる事業としている。当社の関係会社には、発電事業を行い主に当社へ供給している会社をはじめ、北陸域内における一般送配電事業を営んでいる会社、主に電力の供給に必要な設備の建設・補修や資機材の製造を行っている会社、当社が保有する技術等を活用して情報・通信事業を営んでいる会社、更に、当社の事業運営に付随するサービス業務等に携わっている会社がある。 (発電・販売事業)当社子会社 :日本海発電(株)、(株)加賀ふるさとでんき関連会社:黒部川電力(株)、富山共同自家発電(株)、(株)なんとエナジー、 氷見ふるさとエネルギー(株)、入善マリンウィンド(同)、仙台港バイオマスパワー(同)、 越前吉野瀬川水力(同)(送配電事業)子会社 :北陸電力送配電(株)(その他)○ 設備保守及び建設工事(発電・送電・配電・業務設備等の保守・運営・管理、電力設備等の保守及び建設工事の受託・請負)子会社 :北陸プラントサービス(株)、日本海建興(株)、北電テクノサービス(株)、北陸電気工事(株)、 (株)日建、(株)スカルト、(株)蒲原設備工業、中山建設(株)、セブンプライド(株)関連会社:(株)大山ファースト○ 資機材等の製造・販売(コンクリート製品・電力量計・開閉器・変圧器等電力関連資機材・ブラックペレット等の製造・販売)子会社 :日本海コンクリート工業(株)関連会社:北陸計器工業(株)、北陸電機製造(株)、北陸エナジス(株)、 National Carbon Technologies-California,LLC(注1)○ 情報・通信事業(専用通信回線サービス、データ伝送回線サービス、ソフトウェアの開発、データセンター事業、有線テレビ放送サービス)子会社 :北陸通信ネットワーク(株)、(株)パワー・アンド・IT、北電情報システムサービス(株)、 (株)江守情報マネジメント、(株)江守情報コーポレーション、(株)江守情報、 日本ケミカルデータベース(株)、(株)イー・アイ・エル、(株)アイティーエス、 (株)ブレイン、(株)アクセンディ(注2)関連会社:(株)ケーブルテレビ富山○ エネルギー、事業投資、不動産管理、海外電気事業等(エネルギー、事業投資、不動産管理、エネルギーソリューション、環境調査、土木・建築工事の調査・設計、 家庭向け営業業務、シェアードサービス、オフィスサポート業務、農産物の生産など)子会社 :北陸エルネス(株)、北陸電力ビジネス・インベストメント(同)、北電産業(株)、 北電産業小松ビル(同)、ホッコー商事(株)、北陸電力ビズ・エナジーソリューション(株)、 日本海環境サービス(株)、北電技術コンサルタント(株)、(株)北陸電力リビングサービス、 北電パートナーサービス(株)、北陸電力ウィズスマイル(株)、(株)フレデリッシュ、 Hokuriku International Investment,Inc.(注3) Blue・Sky(株)、(株)ジェスコ、PT AWINA RIKUDENKO SOLAR ENGINEERING INDONESIA 関連会社:金沢エナジー(株)、福井都市ガス(株)、F3 Holding company B.V.、F3 O&M Company Ltd、 Formosa Seagull Power Investment Co., Ltd.、北配電業(株)、福電興業(株)、 Sun-eee Pte. Ltd.(注)1.2024年5月31日にNational Carbon Technologies-California,LLCに出資し、関係会社とした。 2024年11月30日にHokuriku International Investment,Inc.に持分を譲渡した。 2.当社子会社の(株)ブレインが2024年11月29日に(株)アクセンディの株式を取得し、連結子会社とした。 2025年4月1日に(株)ブレインが(株)アクセンディを吸収合併した。 3.2024年10月21日にHokuriku International Investment,Inc.を設立し、子会社とした。 当社及び各関係会社の業務を事業系統図で示すと、次のとおりである。○ 事業系統図

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
燃料費調整制度や市場価格調整単価により価格変動を電気料金に反映できるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
電気事業は国の制度変更や脱炭素社会に向けた環境規制強化の影響を強く受けるため。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:原子力発電所の停止長期化や稼働率低下 / 電気事業に関わる制度の変更や環境規制強化 / 経済状況や天候等による販売電力量等の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

規制産業であり、新規参入には経済産業省の許認可が必要。しかし、ブランド力や特許による明確な競争優位性は限定的。地域独占的な側面はあるものの、それが直接的な収益力強化に結びつくかは疑問。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電力自由化により、家庭や一部事業者は電力会社を自由に選択可能になった。しかし、インフラ設備への投資負担や、長年の取引関係から、スイッチングコストは依然として一定程度存在する。特に大規模工場などは切り替えにくい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

電力供給はインフラ事業であり、ネットワーク効果は基本的に見られない。供給網の広がりが直接的な顧客価値向上に繋がるわけではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

地域独占的な電力供給インフラを保有しており、新規参入企業が同等の設備投資を行うことは困難。発電コストや送電コストにおいて、効率的な運用ができれば一定のコスト優位性を維持できる可能性がある。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

北陸地域における電力供給において、ほぼ独占的な地位を確立している。広範な送配電網の維持・管理には巨額の固定費が必要であり、規模の経済が強く働く。この規模が新規参入障壁となっている。

北陸電力グループの優位性は、主に北陸地域における電力供給の安定性と広範な事業展開にあります。長年にわたる電力供給の実績と地域に根差したインフラは、新規参入が困難な高い参入障壁となっています。また、発電から送配電、設備保守、資機材製造、情報通信まで一貫したグループ体制を構築しており、これにより効率的な事業運営と安定した電力供給を可能にしています。さらに、原子力発電所の運営や再生可能エネルギーへの取り組みを通じて、多様な電源構成を維持し、供給安定性を高めています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

事業リスク

北陸電力グループの業績には複数のリスク要因があります。第一に、志賀原子力発電所の新規制基準適合性審査の進捗や原子力政策の見直しにより、発電所の停止長期化や稼働率低下が業績に影響を与える可能性があります。第二に、電力システム改革や脱炭素化に向けた環境規制強化、カーボンプライシング導入などの制度変更が、事業運営コストの増加や収益構造の変化を招く可能性があります。第三に、経済状況や天候、競争状況、感染症流行などによる販売電力量の変動、および燃料価格や卸電力市場価格の変動が、収益に影響を与える可能性があります。最後に、大規模な自然災害や設備トラブルが発生した場合、修繕費用や代替電源調達費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,993 文字
3【事業等のリスク】当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては、以下に記載のとおりである。なお、記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。(1) 原子力を取り巻く状況について①志賀原子力発電所の状況当社は、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故を受け、早期に安全強化策を取りまとめ、実施してきた。引き続き、新規制基準も踏まえた安全性向上施策に関する工事を進めており、2号機については新規制基準への適合性確認審査を受けている。安全性向上施策については、先行他社の審査状況を踏まえ得られた知見・評価を反映しながら2号機の工事を進めており、工事完了時期については、今後の審査や工事の進捗を踏まえて決定する。なお、1号機については引き続き検討を進めていく。また、新規制基準への適合性確認審査の場では、これまで敷地内断層の審査が中心に行われてきたが、2023年3月、敷地内断層は活断層ではないとする当社の評価が認められた。今後も、敷地周辺の断層や地震動、津波などの審査が継続するが、引き続き、先行他社の審査状況及び令和6年能登半島地震による新たな知見を踏まえて新規制基準等に的確に対応し、世界最高水準の安全性を目指していくとともに、安全対策や適合性確認審査の内容を地域の皆さまに適時的確にご説明し、ご理解いただけるよう最大限努力していく。なお、新規制基準への適合性確認審査の進捗や原子力政策・規制の見直し等によって、原子力発電所の停止が長期化する場合や稼働率が低下する場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。②原子力バックエンド事業原子力バックエンド事業については、使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分・原子力施設の廃止措置等に多額の資金と長期にわたる事業期間が必要であり、事業に必要な費用については、国の制度措置等に基づき費用計上・拠出している。具体的には、使用済燃料の再処理及び放射性廃棄物の処分に係る費用については、法令に基づき事業を実施する各機構から通知される拠出金単価を基に、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物の量に応じた金額を拠出している。また、原子力施設の廃止措置に係る費用については、廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う使用済燃料再処理・廃炉推進機構から通知される拠出金額を当機構に拠出している。これらの制度措置等により事業者のリスクは低減されているものの、今後の制度の見直しや将来費用の見積額の変更等がある場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。(2) 電気事業に関わる制度の変更等について電力システム改革については、小売全面自由化や送配電部門の法的分離が実施された。市場取引については、非化石価値取引市場、ベースロード市場、容量市場、需給調整市場での取引が開始されており、2023年度には長期脱炭素電源オークションの取引が開始されている。2025年2月には「地球温暖化対策計画」が閣議決定され、新たに2035年度及び2040年度の温室効果ガス排出削減目標が示された。また、同月閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」と紐づく「2040年度のエネルギー需給見通し」では、温室効果ガス排出削減目標と整合する形で、再生可能エネルギーは4~5割、原子力は2割、火力は3~4割程度とする電源構成が示された。「第7次エネルギー基本計画」では、今後、DXやGXなどの進展により電力需要が増加に転じることが見込まれる中、安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーは主力電源として最大限導入するとともに、原子力は再生可能エネルギーと並び最大限活用していく方針が今回示され、また、火力は安定供給等に重要な役割を担っている電源であり、火力全体で安定供給に必要な発電容量(kW)を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量(kWh)を減らしていくことが示された。2023年5月に成立した「GX推進法」では、将来的なカーボンプライシングの導入が示されており、2025年5月に成立した「改正GX推進法」において、CO2排出量が一定規模以上の事業者は、排出量取引制度への参加と、排出量と同量の排出枠の償却が義務付けられ、政府指針に基づき事業者毎に割り当てられた排出枠が排出量と比べて不足する場合には、排出枠を調達する必要がある。このような当社事業に関連する制度の変更や脱炭素社会の実現に向けた環境規制強化などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社グループとしては「低廉で良質なエネルギーを安定的にお届けする」という社会的使命に変わりはなく、お客さまをはじめステークホルダーの皆さまの視点に立ち、安定供給や更なる経営効率化に不断の努力で取り組むとともに、2021年4月に策定・公表した2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに基づき、電源の脱炭素化及びお客さまや地域のゼロエミッション支援などに取り組んでいく。 (3) 経済状況や天候等による販売電力量等の変動について販売電力量は、経済活動や天候(特に気温)の状況、電力市場における競争状況、企業の海外移転などによる産業空洞化、感染症の流行などによって変動することから、営業収益の増減により当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。また、年間の降雨降雪量の変動により水力発電所の発電量が増減し、火力燃料費等が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。 (4) 燃料価格、卸電力市場価格の変動等について火力燃料は、石炭、原・重油、LNGであり、需給状況や外国為替相場の動向により、火力燃料価格が急激に変動した場合や、調達地域での操業トラブルや政治情勢の変動等により、燃料が円滑に調達できない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、燃料価格の変動については、価格変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られるが、特定小売供給約款の適用を受ける契約には燃料費調整単価に上限が設けられている。また、当社グループは、卸電力取引所を通じ、供給余力を活用した販売や不足時の調達を行っているが、需給状況や燃料価格の動向により、卸電力取引所の市場価格が変動した場合、販売収入や調達費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、卸電力取引所の市場価格の変動については、高圧・特別高圧の契約を対象に価格変動を電気料金に反映させる市場価格調整単価を導入し、業績の変動幅を抑制している。また、燃料・卸電力市場価格動向や自社の需給状況を評価し、燃料・電力デリバティブ取引の活用や販売ポートフォリオの最適化などにより、最大限、収支変動リスクの抑制を図っていく。(5) 金利・物価等の動向について当社グループの有利子負債残高は、当連結会計年度末で1兆1,491億円であり、市場金利や格付の低下等に伴う調達金利の上昇により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債の殆どは中長期的に利率が確定している社債や長期借入金で構成されていることから、金利上昇による業績への影響は限定的と考えられる。また、企業年金資産等の一部は、株価・金利等の変動により時価が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。資機材の調達において、物価・人件費等が変動した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、競争発注の拡大やまとめ発注など調達方法の工夫により、資機材調達価格の低減を図っていく。(6) 自然災害・操業トラブルについて当社グループは、電力供給設備を中心に、多くの設備を保有しており、その保守・保全には万全を期しているが、当社グループの設備及び当社グループが受電している他社の設備において地震・台風等の大規模な自然災害や操業トラブルが発生した場合、修繕費用や代替電源の調達費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、自然災害については、令和6年能登半島地震を踏まえ、被災した設備の早期本格復旧に加え、災害対応力の更なる強化を図っていく。また、操業トラブルについては、適正な設備点検補修を実施するとともに、AI・IoT技術等を活用し、トラブルの未然防止及び早期発見・早期復旧に繋がる対策の強化に努めている。(7) 電気事業以外の事業について当社グループは、これまでカーボンニュートラルに係る事業・サービスや海外事業などを展開している。また、2023年4月に公表した新中期経営計画においても「地域と一体となった脱炭素化の推進」「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」を掲げており、電気事業の枠を超えた事業領域の開拓を進め、挑戦し続けていく。これらの事業については、その将来性や収益性を十分勘案して取り組んでいるが、他業者との競合進展等の市場環境の変化や、国際情勢などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。(8) 企業倫理の遵守等について企業倫理に反した行為やサイバー攻撃による被害が発生した場合、当社グループへの社会的信用の低下や対応に要する費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、「行動規範」や「個人情報保護規程」の制定・遵守に加え、コンプライアンス研修を充実するなど、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているとともに、サイバー攻撃の早期発見・早期復旧するための体制構築など、情報セキュリティ対策の強化に努めている。

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