経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針当社は、2024年10月に新たな経営方針とし「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の制定を行いました。当社は、創業以来「相談されたら断らない」というコーポレートメッセージを経営方針に掲げ、事業を展開してまいりました。1社でも多くの中小企業に対し、M&Aサービスを届けるべく全社一丸で取り組んでおります。当社を取り巻く環境として、中小企業庁の「中小M&A推進計画」に基づくM&A支援機関の登録制度の創設、官民が連携した自主規制団体である「一般社団法人M&A仲介協会」の創設等、M&A業界は進化を求められております。そのような中、持続的・長期的に成長し続ける上で、当社が社会に存在する意義を見つめ直し、企業活動における役職員の道しるべとすべく、経営方針を改定することといたしました。新たな経営方針の体系のもとで、全社一丸となって社会への貢献を続け、今後の持続的成長を確たるものにしてまいります。なお、これまでの「相談されたら断らない」経営方針は「バリュー」を構成する要素として位置づけ継承しております。 ①ミッション「安心して相談できるM&A会社であり続ける」とし、後継者不在・事業の先行きに不安を感じている方等、全ての方が安心して相談ができるよう、手数料体系・業界でのガイドライン遵守・相談を受けるアドバイザーの質の向上を目指してまいります。 ②ビジョン「日本で一番支持されるM&A会社を目指す」とし、相談を受けるM&Aアドバイザーの姿勢、契約後から成約までに向けた迅速な行動、成約率の向上をはかり、ご依頼者・提携者から満足を頂けるM&Aアドバイザリーサービスの提供を目指してまいります。 ③バリュー「相談されたら断らない」「お客様のために」は創業以来の方針とし“規模が小さいから”“赤字企業だから”といって断ることはいたしません。新たに「リーズナブルな手数料」という方針を加えることによって、世の中でM&Aを必要としている全ての事業者に対し、M&Aの依頼を容易にし、1社でも多く企業が抱える事業承継等の経営課題に取り組んでまいります。 (2) 経営環境及び経営戦略①市場の動向総務省統計局が公表している「経済センサス-活動調査 事業所に関する集計及び企業等に関する集計(2021年)」によると日本の企業等の数は約368万社となっております。会社規模別の推計として、中小企業庁が公表している「中小企業の企業数・事業所数(2021年6月時点)」の比率を用いると、中小企業・小規模事業者の数は366万社となります。日本における中小企業・小規模事業者の割合は99.7%以上と推計しております。また株式会社帝国データバンクが行った「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)」によると、全国の後継者不在率は、50.1%であると調査結果が公表されております。同データより2025年時点において、年代別の後継者不在率は60代で35.9%、70代で27.3%、80代以上で22.2%と経営者年齢の高い企業において後継者不在企業が高い比率で一定程度存在しております。また同社が公表している「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2025年1-8月)」によると、同期間の休廃業・解散件数は4万7,078件(前年同期比9.3%増)に達しており、年間では調査開始以来初めて7万件台に到達する勢いで推移しています。特筆すべきは、休廃業した企業のうち直前期の決算が「黒字」であった割合が49.6%と、2016年の集計開始以来初めて50%を下回った点で、これは、かつて危惧された「黒字のままやむを得ず畳む」状況から、原材料高や人件費高騰により「黒字を維持できなくなる前に、余力があるうちに畳む」という、よりシビアな「あきらめ廃業」へとフェーズが移行していることを示唆しています。経営者の平均年齢は71.65歳と依然として高く、事業承継の成否が日本経済の活力を左右する重大な局面が続いています。こうした背景の下、2025年5月30日に事業承継を推進している独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎ支援センター」が発表した資料によると、2024年度の事業引継ぎ成約件数は、2,132件(前年度比105%)と過去最高を更新しました。また、相談件数についても23,540社(前年度比99%)と、高水準を維持しています。潜在的な需要と成約件数には依然として相当な乖離があるため、今後の市場規模はさらに拡大していくものと想定されます。中小企業庁は、後継者不足による事業承継の課題解決を行うため、2015年3月に「事業引継ぎガイドライン」「事業引継ぎハンドブック」を公表し後継者のいない経営者向けにM&Aの活用促進をしております。また経済産業省では、2019年12月に黒字廃業の可能性のある中小企業の技術・雇用等の経営資源を次世代の意欲ある経営者に承継・集約することを目的に、「第三者承継支援総合パッケージ」を取りまとめ、中小企業のM&Aが年間4,000件弱に留まっているのを10年間で60万社の第三者に承継させる目標を掲げております。 以上のことから、全国の中小企業経営者の高齢化が進む一方、事業を引き継ぐ後継者は不在であると考えている経営者の割合は高い水準であり、中小企業においては後継者の不在による事業承継が大きな経営課題であると言えます。その解決策として、事業承継を目的としたM&Aの需要は今後も高まっていくと考えられます。これらの需要に対応する事業者として、2024年10月21日に中小企業庁で公表されたM&A支援機関に登録されている2,758件の事業者が該当します。M&A支援機関10名以下の小規模な事業者が9割以上を占めております。一般的なM&A業務の報酬体系の特徴として、成約してはじめて報酬が得られること、また、成約までに長期間を要することが挙げられます。そのため、成約しても報酬が小さい案件は対象とされにくく、一定の成約報酬を得られる案件に集中する傾向があります。特に、少人数で構成されるM&A事業者は成約実績を積み上げにくいことから、成約までに要する人件費等のコストを上回る収益を少ない成約実績で確保する必要があるため、成約報酬の大きい案件に注力するものと考えております。また、一定規模のM&A業者においては、成約時の単価上昇による売上増・効率性の向上をKPIとしていることが多いため、中小企業の事業承継ニーズには対応しにくいと考えております。 ②案件獲得の特徴当社は、提携先からご依頼者の紹介を受け、新規アドバイザリー契約の獲得を行っております。特に、中小企業を顧客として多く有する金融機関は、中小企業のオーナーから事業承継に関する相談相手として選ばれる傾向にあります。 しかし、金融機関を含む提携先の多くは、自社内のリソース及びノウハウに限りがあり、相談への対応が困難となっております。また、大手のM&A業者に紹介する場合、中小企業にとって成約報酬が高いため、顧客に紹介をしても断られてしまうケースがあります。このため、中小企業に対するM&Aアドバイザリーサービスが十分に提供されていないことが課題とされていました。そこで、主に中小企業に対しM&Aアドバイザリーサービスの提供を行っている当社の経営方針と、提携先の抱える課題が一致したことにより、提携先から当社に対して事業承継の希望を有する中小企業を紹介されております。当社は提携先と良好な提携関係を築くことで、安定的な譲渡希望候補者の紹介を受けることが可能な体制を構築しております。当社の安定的な提携先からの紹介に対する受入れ体制は、新規参入者に対する障壁となり、当社の市場における優位性が高くなると考えております。当社の事業は、提携先と信頼関係を構築することにより、提携先から譲渡希望企業の紹介を受け、新規アドバイザリー契約及び成約組数を積み重ねることで成長しておりますが、新たに提携先から譲渡希望企業の紹介を受ける場合、当社が当該提携先の顧客の紹介先に値するのかについて、特に金融機関は慎重に判断を行うため、提携当初の成約単価は低くなる傾向にあります。成約実績を積むことで信頼関係の構築ができ、相談件数の増加・案件の質向上が見込めます。当社は2021年10月期から金融機関との提携関係に注力し、新たな提携先の拡充・深耕を図っております。 (千円) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期平均成約単価9,4676,3308,9779,5038,707 ③競合優位性事業承継の解決策としてのM&Aは、着手金や成約報酬の金銭的ハードルがあり、中小企業の事業承継が進んでいない理由のひとつです。M&A仲介を行う上場企業を始め、同業においては一定の手数料を得られない案件については、案件の引受ができないこと、また、ご依頼者としても手数料の負担が大きいため、圧倒的な多数を占める中小企業の事業承継案件は見送られております。一方でインターネット上の、M&Aプラットフォームを提供する企業が増え、安価な手数料でM&Aが身近な存在になり、M&Aの検討をしていなかった中小企業にも検討する裾野が広がっております。しかし、ご依頼者自身でM&Aプラットフォームから譲受企業を見つけ、複雑多岐にわたる条件の整理や交渉を行うことは、譲渡契約にあたって不利な条件を締結してしまう可能性が高くなります。そのため、専門的な知識があり、しっかりとアドバイスができるM&Aアドバイザーが必要です。 当社では、多くの中小企業の事業承継ニーズに対応するため、1チームあたり10件以上の案件を同時に進捗させることが可能な体制となっております。原則2人1組のチーム制を採用し、担当チームが提携先や譲渡希望企業のM&Aニーズの発掘、アドバイザリー契約締結から譲渡契約・クロージングまでのM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な一連の業務を一気通貫で担当しております。 (人)人員数2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期M&Aアドバイザー1720263435管理部門23356合計1923293941 M&A業界では、会計及び法律等の高い専門性が要求されるため、M&Aニーズの発掘やアドバイザリー契約締結を行う部門・譲渡契約書作成やクロージングを担う部門等、各フェーズに応じて担当部署を変更する分業制を採用していることが一般的と考えております。しかし、当社のM&Aアドバイザーの場合、中小企業の事業承継に対するM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な業務を一気通貫で担当することで、中小企業のM&Aに必要な知識及び経験の早期習得並びに効率的なM&Aアドバイザリーサービスの提供を可能としております。結果として、多くの案件の成約実績に繋がっているものと考えております。また、当社はM&A経験の有無に関わらず人材採用を行っております。一気通貫で案件に関与することにより、未経験者であっても、半年から1年程度で成約実績を積むことが可能であり、人材の育成及び教育の観点でも早期の戦力化に寄与しております。 2026年10月期においては、獲得した案件に対して成約率を向上させるため、経験豊富な人材の採用と育成を強化してまいります。経験者の採用による早期の戦力化による売上の貢献。未経験者の採用による、今までの固定観念にとらわれることのない新しいアイディアの創出。それぞれの強みを活かし、ともに成長できる組織を目指します。 (3) 対処すべき事業上及び財務上の課題① 信用力の向上ご依頼者はM&Aに様々な不安を抱きながら決断を行い、理想の譲受希望企業を求め、交渉を進めていくためM&Aアドバイザリー事業者を選定する上で、これまでの実績・信用力を重視する傾向があります。そのため、当社が譲渡希望企業から選定されるためには、信用力の向上が必要不可欠であり、そのための体制構築が重要な経営課題と認識しております。信用力の向上のため、内部管理体制及びコンプライアンス体制の整備・充実等を図ってまいります。② 人材の確保・教育の強化当社は、M&Aアドバイザリー事業を持続的に成長させるために、最も重要な経営資源は人的資源であると考えており、多様な人材を継続的に採用、育成することが重要な経営課題であると認識しております。そのため、当社の中期経営計画の重要戦略である人員計画に沿って、採用を行うとともに、教育を実施してまいります。③ 案件の進捗管理当社は、案件管理を行い、その進捗を提携先・ご依頼者に報告し、成約実績を積み上げていくことが当社の信用力向上につながると認識しております。そのため、ご依頼者と合意したスケジュール通りにM&Aを実行する必要があり、案件の進捗管理が重要であると認識しております。そこで、案件の進捗管理においては、担当者による属人的な管理ではなく、組織的な管理が必要と考えております。週次の案件検討会や経営企画室による専門的かつ総合的なサポート等を通じ、徹底したスケジュール管理を実施しております。④ 社内管理体制の強化当社は、積極的な人員採用により組織が拡大していることから、情報漏洩や書類紛失等の当社の信用力に影響する事象を未然に防ぐための体制整備や提供業務の品質標準化等の社内管理体制の強化が必要であると認識しております。この課題を解決すべく、社内規程や業務フローの整備、定期的な内部監査の実施等を通じて、社内体制の強化を行っております。⑤ 提携先の獲得・深耕当社は提携先と良好な提携関係を築き、安定的に譲渡希望候補者の紹介を受けることが事業拡大につながると認識しております。そのため、新たな提携先の獲得及び提携先との関係の深耕に向けた提携先向けのセミナーの実施や案件獲得後の提携先に対する定期的な進捗報告等を行うことで、提携先との良好な関係構築を図っております。⑥ 財務上の課題当社は、現時点において営業活動による安定的なキャッシュ・フローを創出しているため、財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大のため、手元資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や自己資本比率等といった財務の安定性を測る指標のモニタリングを通じて、財務健全性の確保に努めています。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は持続的な成長と企業価値の向上を目標としており、経営指標として売上高及び営業利益を重視しております。売上高を指標とすることは、当社の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。営業利益は、当社のM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な費用を上回って得られる収益性の判断となるためです。より詳細な指標としては、アドバイザリー契約数、M&Aアドバイザー人数、成約組数と認識し管理しております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針当社は、2024年10月に新たな経営方針とし「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の制定を行いました。当社は、創業以来「相談されたら断らない」というコーポレートメッセージを経営方針に掲げ、事業を展開してまいりました。1社でも多くの中小企業に対し、M&Aサービスを届けるべく全社一丸で取り組んでおります。当社を取り巻く環境として、中小企業庁の「中小M&A推進計画」に基づくM&A支援機関の登録制度の創設、官民が連携した自主規制団体である「一般社団法人M&A仲介協会」の創設等、M&A業界は進化を求められております。そのような中、持続的・長期的に成長し続ける上で、当社が社会に存在する意義を見つめ直し、企業活動における役職員の道しるべとすべく、経営方針を改定することといたしました。新たな経営方針の体系のもとで、全社一丸となって社会への貢献を続け、今後の持続的成長を確たるものにしてまいります。なお、これまでの「相談されたら断らない」経営方針は「バリュー」を構成する要素として位置づけ継承しております。 ①ミッション「安心して相談できるM&A会社であり続ける」とし、後継者不在・事業の先行きに不安を感じている方等、全ての方が安心して相談ができるよう、手数料体系・業界でのガイドライン遵守・相談を受けるアドバイザーの質の向上を目指してまいります。 ②ビジョン「日本で一番支持されるM&A会社を目指す」とし、相談を受けるM&Aアドバイザーの姿勢、契約後から成約までに向けた迅速な行動、成約率の向上をはかり、ご依頼者・提携者から満足を頂けるM&Aアドバイザリーサービスの提供を目指してまいります。 ③バリュー「相談されたら断らない」「お客様のために」は創業以来の方針とし“規模が小さいから”“赤字企業だから”といって断ることはいたしません。新たに「リーズナブルな手数料」という方針を加えることによって、世の中でM&Aを必要としている全ての事業者に対し、M&Aの依頼を容易にし、1社でも多く企業が抱える事業承継等の経営課題に取り組んでまいります。 (2) 経営環境及び経営戦略①市場の動向総務省統計局が公表している「経済センサス-活動調査 事業所に関する集計及び企業等に関する集計(2021年)」によると日本の企業等の数は約368万社となっております。会社規模別の推計として、中小企業庁が公表している「中小企業の企業数・事業所数(2021年6月時点)」の比率を用いると、中小企業・小規模事業者の数は366万社となります。日本における中小企業・小規模事業者の割合は99.7%以上と推計しております。また株式会社帝国データバンクが行った「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)」によると、全国の後継者不在率は、50.1%であると調査結果が公表されております。同データより2025年時点において、年代別の後継者不在率は60代で35.9%、70代で27.3%、80代以上で22.2%と経営者年齢の高い企業において後継者不在企業が高い比率で一定程度存在しております。また同社が公表している「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2025年1-8月)」によると、同期間の休廃業・解散件数は4万7,078件(前年同期比9.3%増)に達しており、年間では調査開始以来初めて7万件台に到達する勢いで推移しています。特筆すべきは、休廃業した企業のうち直前期の決算が「黒字」であった割合が49.6%と、2016年の集計開始以来初めて50%を下回った点で、これは、かつて危惧された「黒字のままやむを得ず畳む」状況から、原材料高や人件費高騰により「黒字を維持できなくなる前に、余力があるうちに畳む」という、よりシビアな「あきらめ廃業」へとフェーズが移行していることを示唆しています。経営者の平均年齢は71.65歳と依然として高く、事業承継の成否が日本経済の活力を左右する重大な局面が続いています。こうした背景の下、2025年5月30日に事業承継を推進している独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎ支援センター」が発表した資料によると、2024年度の事業引継ぎ成約件数は、2,132件(前年度比105%)と過去最高を更新しました。また、相談件数についても23,540社(前年度比99%)と、高水準を維持しています。潜在的な需要と成約件数には依然として相当な乖離があるため、今後の市場規模はさらに拡大していくものと想定されます。中小企業庁は、後継者不足による事業承継の課題解決を行うため、2015年3月に「事業引継ぎガイドライン」「事業引継ぎハンドブック」を公表し後継者のいない経営者向けにM&Aの活用促進をしております。また経済産業省では、2019年12月に黒字廃業の可能性のある中小企業の技術・雇用等の経営資源を次世代の意欲ある経営者に承継・集約することを目的に、「第三者承継支援総合パッケージ」を取りまとめ、中小企業のM&Aが年間4,000件弱に留まっているのを10年間で60万社の第三者に承継させる目標を掲げております。 以上のことから、全国の中小企業経営者の高齢化が進む一方、事業を引き継ぐ後継者は不在であると考えている経営者の割合は高い水準であり、中小企業においては後継者の不在による事業承継が大きな経営課題であると言えます。その解決策として、事業承継を目的としたM&Aの需要は今後も高まっていくと考えられます。これらの需要に対応する事業者として、2024年10月21日に中小企業庁で公表されたM&A支援機関に登録されている2,758件の事業者が該当します。M&A支援機関10名以下の小規模な事業者が9割以上を占めております。一般的なM&A業務の報酬体系の特徴として、成約してはじめて報酬が得られること、また、成約までに長期間を要することが挙げられます。そのため、成約しても報酬が小さい案件は対象とされにくく、一定の成約報酬を得られる案件に集中する傾向があります。特に、少人数で構成されるM&A事業者は成約実績を積み上げにくいことから、成約までに要する人件費等のコストを上回る収益を少ない成約実績で確保する必要があるため、成約報酬の大きい案件に注力するものと考えております。また、一定規模のM&A業者においては、成約時の単価上昇による売上増・効率性の向上をKPIとしていることが多いため、中小企業の事業承継ニーズには対応しにくいと考えております。 ②案件獲得の特徴当社は、提携先からご依頼者の紹介を受け、新規アドバイザリー契約の獲得を行っております。特に、中小企業を顧客として多く有する金融機関は、中小企業のオーナーから事業承継に関する相談相手として選ばれる傾向にあります。 しかし、金融機関を含む提携先の多くは、自社内のリソース及びノウハウに限りがあり、相談への対応が困難となっております。また、大手のM&A業者に紹介する場合、中小企業にとって成約報酬が高いため、顧客に紹介をしても断られてしまうケースがあります。このため、中小企業に対するM&Aアドバイザリーサービスが十分に提供されていないことが課題とされていました。そこで、主に中小企業に対しM&Aアドバイザリーサービスの提供を行っている当社の経営方針と、提携先の抱える課題が一致したことにより、提携先から当社に対して事業承継の希望を有する中小企業を紹介されております。当社は提携先と良好な提携関係を築くことで、安定的な譲渡希望候補者の紹介を受けることが可能な体制を構築しております。当社の安定的な提携先からの紹介に対する受入れ体制は、新規参入者に対する障壁となり、当社の市場における優位性が高くなると考えております。当社の事業は、提携先と信頼関係を構築することにより、提携先から譲渡希望企業の紹介を受け、新規アドバイザリー契約及び成約組数を積み重ねることで成長しておりますが、新たに提携先から譲渡希望企業の紹介を受ける場合、当社が当該提携先の顧客の紹介先に値するのかについて、特に金融機関は慎重に判断を行うため、提携当初の成約単価は低くなる傾向にあります。成約実績を積むことで信頼関係の構築ができ、相談件数の増加・案件の質向上が見込めます。当社は2021年10月期から金融機関との提携関係に注力し、新たな提携先の拡充・深耕を図っております。 (千円) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期平均成約単価9,4676,3308,9779,5038,707 ③競合優位性事業承継の解決策としてのM&Aは、着手金や成約報酬の金銭的ハードルがあり、中小企業の事業承継が進んでいない理由のひとつです。M&A仲介を行う上場企業を始め、同業においては一定の手数料を得られない案件については、案件の引受ができないこと、また、ご依頼者としても手数料の負担が大きいため、圧倒的な多数を占める中小企業の事業承継案件は見送られております。一方でインターネット上の、M&Aプラットフォームを提供する企業が増え、安価な手数料でM&Aが身近な存在になり、M&Aの検討をしていなかった中小企業にも検討する裾野が広がっております。しかし、ご依頼者自身でM&Aプラットフォームから譲受企業を見つけ、複雑多岐にわたる条件の整理や交渉を行うことは、譲渡契約にあたって不利な条件を締結してしまう可能性が高くなります。そのため、専門的な知識があり、しっかりとアドバイスができるM&Aアドバイザーが必要です。 当社では、多くの中小企業の事業承継ニーズに対応するため、1チームあたり10件以上の案件を同時に進捗させることが可能な体制となっております。原則2人1組のチーム制を採用し、担当チームが提携先や譲渡希望企業のM&Aニーズの発掘、アドバイザリー契約締結から譲渡契約・クロージングまでのM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な一連の業務を一気通貫で担当しております。 (人)人員数2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期M&Aアドバイザー1720263435管理部門23356合計1923293941 M&A業界では、会計及び法律等の高い専門性が要求されるため、M&Aニーズの発掘やアドバイザリー契約締結を行う部門・譲渡契約書作成やクロージングを担う部門等、各フェーズに応じて担当部署を変更する分業制を採用していることが一般的と考えております。しかし、当社のM&Aアドバイザーの場合、中小企業の事業承継に対するM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な業務を一気通貫で担当することで、中小企業のM&Aに必要な知識及び経験の早期習得並びに効率的なM&Aアドバイザリーサービスの提供を可能としております。結果として、多くの案件の成約実績に繋がっているものと考えております。また、当社はM&A経験の有無に関わらず人材採用を行っております。一気通貫で案件に関与することにより、未経験者であっても、半年から1年程度で成約実績を積むことが可能であり、人材の育成及び教育の観点でも早期の戦力化に寄与しております。 2026年10月期においては、獲得した案件に対して成約率を向上させるため、経験豊富な人材の採用と育成を強化してまいります。経験者の採用による早期の戦力化による売上の貢献。未経験者の採用による、今までの固定観念にとらわれることのない新しいアイディアの創出。それぞれの強みを活かし、ともに成長できる組織を目指します。 (3) 対処すべき事業上及び財務上の課題① 信用力の向上ご依頼者はM&Aに様々な不安を抱きながら決断を行い、理想の譲受希望企業を求め、交渉を進めていくためM&Aアドバイザリー事業者を選定する上で、これまでの実績・信用力を重視する傾向があります。そのため、当社が譲渡希望企業から選定されるためには、信用力の向上が必要不可欠であり、そのための体制構築が重要な経営課題と認識しております。信用力の向上のため、内部管理体制及びコンプライアンス体制の整備・充実等を図ってまいります。② 人材の確保・教育の強化当社は、M&Aアドバイザリー事業を持続的に成長させるために、最も重要な経営資源は人的資源であると考えており、多様な人材を継続的に採用、育成することが重要な経営課題であると認識しております。そのため、当社の中期経営計画の重要戦略である人員計画に沿って、採用を行うとともに、教育を実施してまいります。③ 案件の進捗管理当社は、案件管理を行い、その進捗を提携先・ご依頼者に報告し、成約実績を積み上げていくことが当社の信用力向上につながると認識しております。そのため、ご依頼者と合意したスケジュール通りにM&Aを実行する必要があり、案件の進捗管理が重要であると認識しております。そこで、案件の進捗管理においては、担当者による属人的な管理ではなく、組織的な管理が必要と考えております。週次の案件検討会や経営企画室による専門的かつ総合的なサポート等を通じ、徹底したスケジュール管理を実施しております。④ 社内管理体制の強化当社は、積極的な人員採用により組織が拡大していることから、情報漏洩や書類紛失等の当社の信用力に影響する事象を未然に防ぐための体制整備や提供業務の品質標準化等の社内管理体制の強化が必要であると認識しております。この課題を解決すべく、社内規程や業務フローの整備、定期的な内部監査の実施等を通じて、社内体制の強化を行っております。⑤ 提携先の獲得・深耕当社は提携先と良好な提携関係を築き、安定的に譲渡希望候補者の紹介を受けることが事業拡大につながると認識しております。そのため、新たな提携先の獲得及び提携先との関係の深耕に向けた提携先向けのセミナーの実施や案件獲得後の提携先に対する定期的な進捗報告等を行うことで、提携先との良好な関係構築を図っております。⑥ 財務上の課題当社は、現時点において営業活動による安定的なキャッシュ・フローを創出しているため、財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大のため、手元資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や自己資本比率等といった財務の安定性を測る指標のモニタリングを通じて、財務健全性の確保に努めています。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は持続的な成長と企業価値の向上を目標としており、経営指標として売上高及び営業利益を重視しております。売上高を指標とすることは、当社の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。営業利益は、当社のM&Aアドバイザリーサービスの提供に必要な費用を上回って得られる収益性の判断となるためです。より詳細な指標としては、アドバイザリー契約数、M&Aアドバイザー人数、成約組数と認識し管理しております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という))の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調なインバウンド需要の拡大などを背景に、緩やかな回復基調を維持しております。一方で、不安定な国際情勢、資源価格の高騰に伴う物価上昇の継続、および海外の金融・通商政策の動向などが国内景気に与える影響への懸念が残り、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社の主たる事業領域である中堅・中小企業のM&A市場は、依然として深刻な経営者の高齢化と後継者不在という社会課題を背景に、M&Aによる事業承継を主要な解決手段とするニーズが高まり、中長期的に拡大傾向を維持しております。加えて、近年では、事業承継目的のみならず、企業の新事業創造や成長戦略の実現を目的としたイノベーション型M&Aや、業界再編の手法としてのM&Aが中小企業においても広がりを見せ、市場のすそ野は拡大しております。一方、市場の拡大に伴い、M&A支援の質と透明性の向上が強く求められています。これに対し、政府は「中小M&Aガイドライン」の改訂や「中小M&A専門人材(個人)向けスキルマップ」の公表、また自主規制団体によるルール策定など、官民一体となってM&A市場の健全な発展を促すための環境整備への取り組みを継続しております。このような事業環境下で、当社は、高まりを見せる売却ニーズに的確に対応し、1社でも多くの中堅・中小企業の事業承継を支援するため、戦略的な営業活動を強化いたしました。その結果、金融機関や会計事務所等の提携先との新規開拓が順調に進捗し、これに伴い、アドバイザリー契約数も順調に増加いたしました。また、提携先との連携を一層深め、地域の中小企業におけるM&Aニーズの早期発掘と、質の高い支援実現のため、提携先向けの研修会や勉強会の実施についても引き続き強化を図ってまいりました。当事業年度においては、需要の伸長に対応するべくM&Aアドバイザーを35名(前期34名)とし、新規受託件数は順調に増加した要因もあり、当社の重要指標である成約組数も69組(前期57組)と前事業年度と比較して増加しました。しかしながら、成約組数は増加したものの、売上単価が低い小型案件の割合が高止まりしたことに加え、会社の成長に必要な人材関連に伴うコストが増加しました。今後はマッチングの早期化を図り成約数の増加に取り組むとともに、採用プロセスの抜本的な見直しを実施し、即戦力人材の獲得と教育の強化を図り、さらに提携先の拡充を進めることで、高付加価値案件の創出と抜本的な収益力の改善を目指してまいります。当事業年度における売上高は654,208千円(前期比8.6%増)、営業損失は56,652千円(前期は14,894千円の営業損失)、経常損失は52,623千円(前期は14,575千円の経常損失)、当期純損失は85,055千円(前期は11,524千円の当期純損失)となっております。なお、当社は、M&Aアドバイザリー事業の単一セグメントであるため、セグメントに関する記載は省略しております。 (資産の部)当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較し74,006千円減少し614,231千円となりました。これは、主として、現金及び預金が45,732千円減少、未収還付法人税等が25,509千円減少したことによるものであります。当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較し28,553千円減少し53,959千円となりました。これは、主として、建物附属設備(純額)が10,523千円減少、工具、器具及び備品(純額)が1,042千円減少、繰延税金資産が20,409千円減少したことによるものであります。この結果、総資産は668,190千円となりました。 (負債の部)当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較し15,972千円増加し83,961千円となりました。これは、主として、未払消費税等が10,517千円増加、未払費用が4,625千円増加、未払法人税等が1,301千円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は83,961千円となりました。 (純資産の部)当事業年度末における純資産の残高は前事業年度末と比較して118,531千円減少し、584,229千円となりました。これは、主として、新株予約権の行使に伴う新株式の発行により、資本金が4,850千円、資本準備金が4,850千円増加し、新株予約権が13,745千円増加したものの、自己株式を56,921千円取得し、当期純損失の計上により、利益剰余金が85,055千円減少したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ45,732千円減少いたしました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、増加した資金が7,837千円(前事業年度は118,130千円の減少)となりました。これは主に、税引前当期純損失△64,356千円、減損損失11,732千円、株式報酬費用16,882千円、その他の流動資産の減少額3,485千円、未払費用の増加額4,625千円、その他の流動負債の増加額10,517千円、法人税等の還付額25,165千円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは6,348千円の資金の減少(前事業年度は1,510千円の資金の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,348千円、差入保証金の差入による支出4,000千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは47,221千円の資金の減少(前事業年度は113,197千円の資金の増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出56,921千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入9,700千円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。 b.受注実績当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。 c.販売実績当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称第6期事業年度(自 2024年11月1日至 2025年10月31日)販売高(千円)前期比(%)M&Aアドバイザリー事業654,2088.6合計654,2088.6 (注) 1.当社は、M&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントに関わる記載は省略しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。当社は、財務諸表の基礎となる見積りを過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行ったうえで計上しておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。なお、繰延税金資産や貸倒引当金について、会計上の見積りを行っておりますが、重要な会計上の見積りはありません。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績の分析当社の経営成績等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績に重要な影響を与える要因当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 c.資本の財源及び資金の流動性についての分析当社のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要のうち主なものは、効果的に事業拡大していくための採用費や人件費、新規拠点の設置費用等であります。また、資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フローによって確保しますが、採用費や人件費、新規拠点の設置費用等の目的で資金を確保する必要性が生じた場合には、金融機関からの借入や増資による調達を実施することを基本方針としております。 d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析当社が今後事業を拡大し、継続的な成長を遂げるために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するために、営業基盤を拡充するために必要な人材の採用と育成、内部管理体制の強化を進めることにより、企業価値の持続的な向上に取組んでまいります。第6期事業年度においては、新規提携先の増加及び提携先との取引深耕を行った結果、新規アドバイザリー契約件数は463件(前期は360件)と大幅に増加したものの、成約組数は69組(前期は57組)に留まり、第6期事業年度における売上高は654,208千円(前期比8.6%増)、営業損失は56,652千円(前期は14,894千円の営業損失)となりました。また、M&Aアドバイザリー事業を成長させる重要な経営資源であるM&Aアドバイザー数は35名(前期は34名)となりました。