経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)ミッション / ビジョンミッション(私たちの存在意義):深刻化するプロ人材の枯渇を解決し、日本を「課題解決先進国」にする。 当社グループは、建設・IT領域を中心に技術者の派遣事業を展開しております。日本に限らず、先進国の多くは枯渇とも言えるレベルで「プロ人材の不足」に悩まされており、国・産業・企業の隆盛に影響を与える大きな課題と考えております。今日の日本では、少子化に伴う新規就業者数の減少等によってプロ人材は慢性的に不足しており、既存のプロ人材も高齢化が進んでいるため技術の継承も課題となっております。また、かかるプロ人材の不足を補うことが期待されるIT化・デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化についても、建設業をはじめとする多くの産業分野において遅れているのが現状です。当社グループは、このような「プロ人材不足による問題」を解決し、日本を「課題解決の先進国」に押し上げるという強い意志をミッションに込めております。また、「プロ人材」という表現は、専門技術を持つ人材不足の問題解決に事業領域を絞る意図をもっており、この「プロ人材」に焦点を絞っていることが他の人材会社との違いと考えております。 ビジョン(私たちの目指す姿)ITと人材育成の2つの技術をかけ合わせ、プロ人材の減少を補う「生産性を高める業務変革」と「プロ人材の育成と安定供給」を提供・実現する。 「人材育成」の技術は、体系的な専門技術のインプットも大切ですが、それぞれの人の成長段階やタイミングに合わせた感情的なフォローも重要になります。当社グループは、血の通った「人材育成」の組織文化と育成技術を基盤に、各業界で求められる専門知識とビジネススタンスを備えた人材を数多く安定供給していく体制を構築しております。また、当社グループは、顧客企業に対し、「プロ人材が減った少人数体制でも、生産性が高まるような業務変革の支援」もITを用いて提供してまいります。このような業務効率化支援と、プロ人材の安定供給という2つのサービスの掛け算によって、「プロ人材不足による問題」を解決し、各業界や社会の未来に貢献してまいります。 (2)経営環境建設業界においては、公共土木施設・民間建築の老朽化に伴う維持・修繕工事の増加に加え、民間設備投資の持ち直しが進んでいることなどから、今後も底堅い需要が見込まれております。他方、2025年10月現在の建設従事者(採掘含む)の有効求人倍率は5.18倍(注1)と採用環境の厳しさは増しており、加えて建設業界への時間外労働の上限規制が2024年4月に適用されたことから、建設業界における人手不足の問題はより深刻化しています。このような環境下において、技術者派遣に対するニーズは更に高まっていくことが想定されます。また、就業人口不足を補うために、建設現場の生産性向上を目的としたDX導入支援のニーズも高まっております。また、中期的には、建設業界を中心とする顧客環境の変化、規制・政策の影響、労働市場としての人材環境の変化、技術革新の進展を踏まえ、当社グループとして今後の事業機会として、人材不足解消ニーズの拡大、DX・生産性向上支援の需要増加、規制緩和による新市場の可能性、多様な働き方・柔軟な就業ニーズの顕在化があると認識しております。同様に中期的には、採用難・定着率低下、採用費等の原価上昇による収益圧迫、働き方改革・残業規制による制約、DX対応遅れによる競争優位性喪失の虞についても認識しております。(注) 1. 厚生労働省発表「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(パート含む)(2025年11月28日発表) (3)経営戦略①当社グループの強み「採用力の優位性」他業種を含めた幅広い求職者層を母集団として採用活動を行うことができるため、当社グループは未経験者を中心とする採用戦略を推進しています。未経験者採用は応募から入社までのハードルが高いという課題はありますが、大手求人メディア及び人材紹介事業者の活用により大量採用が可能なうえ、経験者採用と比べ採用単価を低く抑えることができるというメリットがあります。採用プロセスでは、応募から書類選考、面談設定まで24時間対応可能な採用自動化ツールを導入して採用の効率化を図る一方で、面接への移行率向上を目的に応募者へのアプローチを見直すなど、採用プロセスの継続的な改善にも取り組んでおります。また、採用チャネルについても、従来からの求人媒体の活用に加えて、自社採用メディア(セコカンNEXT)、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、技術者人材の確保に努めております。以上のように、当社グループでは未経験者に特化して採用活動を行っていることから、経験者のみを対象とする場合と比較して高い人材供給力を発揮できるため、顧客企業からの強い需要に応えることが可能になっています。他方、一定の退職者が生じるため、退職率の低減は当社グループの重要な経営課題と認識しております。 在籍人数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(正社員)(注)21,847(1,604)2,240(1,961)2,696(2,320)3,239(2,875)3,687(3,321)㈱ATJC(注)3195282364404430 (注) 2. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。当月1日から月末までに1日以上在籍していた技術者数であります。括弧内は正社員の技術者数であります。3. ㈱ATJC単体の数値であります。当月1日から月末期間中に1日以上在籍していた技術者数であります。 採用者数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)49181,2621,5591,8051,985㈱ATJC(注)563169186151161 退職者数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)47328851,1251,2841,589㈱ATJC(注)54585111112130 退職率(%) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)427.929.130.229.131.1㈱ATJC(注)518.823.523.922.323.6 (注) 4. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。5. ㈱ATJC単体の数値であります。 「人材育成力による単価向上余地」当社グループは、未経験者を中心に採用を進めていることから、2025年10月末時点の技術者の年齢構成は、29歳以下約66%、30歳~39歳以下約25%、40歳以上約9%と、39歳以下が全体の約91%(注6)となっており、高齢化が進む建設業界に対して若年層の派遣が可能となっております。また当社グループでは、若手人材の育成メソッドを確立し、技術者の経験年次に応じた研修を実施しております。具体的には、未経験者である1年目は基礎技術研修(建設業界の基礎知識や専門用語、社会人スキルの基礎などの研修)、2~3年目には専門技術基本研修(最初のプロジェクト配属で得た経験をベースに、次のプロジェクトに備えた基本技術などの研修)、4~6年目には専門技術実践研修(より専門性の高いプロジェクトを担当しながら一級建築士や施工管理技士等の資格取得を視野に入れた研修)、7年目以降は専門技術研修(建設現場に欠かせない存在としてプロジェクトをけん引するための研修)を行っております。これらにより、技術者はよりレベルの高いプロジェクトにチャレンジすることが可能となり、そこで得られたスキルによって、さらなる成長を実現することができます。以上のように、当社グループのビジネスモデルは若年層中心の技術者派遣と若手人材の育成メソッドをベースに構築されていることから、契約単価を引き上げやすい構造となっております。なお、一人あたりの契約単価、稼働人数、稼働率は以下のとおり推移しております。(注) 6. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象としております。 一人あたり契約単価(千円/月) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(1年目平均)(注)7468(404)471(414)487(441)510(462)519(467)㈱ATJC(注)8、9537524499514524 (注) 7. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。経験者・未経験者を含む全派遣従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。括弧内は1年目の平均値であります。8. ㈱ATJC単体の数値であります。経験者・未経験者を含む派遣又は準委託契約中の従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。9. 未経験者採用人数の増加により、契約単価の低い未経験者の割合が増加したことで、一人あたり契約単価が低下しております。 稼働人数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)101,5941,9222,3512,8173,136㈱ATJC(注)11155214299342362 (注) 10. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象とし、期中平均にて算出しております。11. ㈱ATJC単体の数値であります。派遣又は準委任契約中の従業員数を対象とし、期中平均にて算出しております。 稼働率(%) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション研修中含(注)1289.493.193.892.490.8研修中除(注)1390.895.396.294.292.6㈱ATJC研修中含(注)1487.186.585.687.886.6研修中除(注)1590.894.392.993.992.2 (注) 12. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。 13. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。14. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。15. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。 「建設DX支援基盤」当社グループは、建設テック市場の拡大が期待される中で、建設DX支援を提供する新規人材サービスを確立し、建設業界のDX化をサポートしております。建設業界においては、人手不足や時間外労働削減を背景とした省人化・生産性向上を目的として、ICT技術(例:ドローンによる測量、3次元レーザースキャナによる点群計測、図面管理・情報共有ツールの活用、等)のニーズが高まっております。一方で、建設業界に建設ICT技術に精通した人材はまだ十分ではなく、建設DX推進支援に対する需要は今後高まっていくものと想定しております。当社グループは、建設ICT導入のコンサルティングを実施するコンサルタントや支援員を養成し、複数名により編成したチームより建設DX支援サービスを提供しております。以上のように、当社グループでは顧客の様々なDXニーズに応えるため建設DX支援基盤が整備されており、建設業界の省人化と生産性向上に寄与することが可能になっています。 「職人紹介の優位性」当社グループの中核事業領域である技術者(施工管理等)の派遣に加えて、建設技術職39万人(注16)よりも多くの就業者が存在する職人(建設技能職)303万人(注16)の人材紹介ビジネスを展開しております。なお、労働者派遣法により、土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されております。また、有料職業紹介事業においても、職業安定法で建設業務に就く職業の求職者を紹介することは禁止されておりますが、当社グループでは建設業務有料職業紹介事業許可(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条」)を有する一般社団法人全国建設人材協会を通じて職人(建設技能職)の職業紹介を行っております。建設業務の有料職業紹介事業は認定団体のみ職人の職業紹介が可能であり、一般社団法人全国建設人材協会を含む全国で3団体のみが認定を受けております(注17)。なお、当社グループの株式会社コントラフトは職人(建設技能職)の転職求人情報サイト「ジョブケンワーク」を運営し、一般社団法人全国建設人材協会に求職者情報の提供を行っております。株式会社コントラフト設立以降、プラットフォームの求職者数、求人情報を掲載する企業の登録会員数は順調に増加しております。以上のように、当社グループでは派遣事業で蓄積した求職者の集客ノウハウを活用し、国内で3団体のみが認定されている団体のもとで職人紹介事業を展開することが可能なため、職人不足という課題に対して対応することが可能になっています。(注) 16. 建設技術職・建設技能職:総務省「労働力調査」を基に一般社団法人日本建設業連合会にて算出(2025年5月)17. 2025年4月時点、厚生労働省「建設業務有料職業紹介事業の許可を得た団体」(一般財団法人みやぎ建設総合センター、一般社団法人沖縄県建設業協会、一般社団法人全国建設人材協会の3団体) ②当社グループの中期的な成長戦略「中期経営計画“Change&Growth2030”」当社グループは、2026年10月期を初年度とする5カ年の中期経営計画を策定し2025年12月に公表しております。中期経営計画では「人材とテクノロジーの両輪で建設業界の未来を支える」という基本方針を定め、「建設業界の二大課題である「人材不足」と「生産性向上の遅れ」に正面から取り組み、人材派遣・職人紹介・DXソリューションを通じて建設業界の持続可能な発展に貢献する。社員一人ひとりの成長を支え、スキルを社会に還元することで、建設業界だけでなく日本社会を支える力となる」、ことを掲げております。「2030年に目指す姿」として中期経営計画の最終年度である2030年10月期には、技術者の採用・育成強化により当社グループの技術者在籍人数8,000人、持続的成長と高い資本効率の実現によりグループ連結売上収益500億円、同営業利益50億円、同営業利益率10.0%、ROE20%以上を目標としております。 「4つの成長戦略」人材力と組織機能の強化を通じたコア事業の競争力向上当社グループのコア事業である建設技術者派遣事業の安定成長に向けて、採用(在籍数拡大)、営業(稼働件数の安定確保)、育成/定着支援(定着率改善)の各機能の競争力強化に取り組んでまいります。具体的には、採用において多様な採用手法とブランド強化を通じた採用人数の拡大を推進してまいります。営業においては顧客基盤の拡大・案件数の創出・営業機能の効率化に努めてまいります。育成/定着支援においては成長支援策(技術社員が継続的に成長できる体制の構築を目指したキャリアデザイン支援制度「ゼロプロ成長サイクル」)の拡充と定着率の改善に努めてまいります。 建設現場の生産性向上を支える建設DXの推進建設DX企業との協業推進を図り、当社の技術社員にデジタルスキルを付けることにより、顧客のDX化を推進してまいります。具体的には、建設DX企業との協業推進とエリアを含む事業拡大、DX研修の拡大、BPO事業の立ち上げ、DX事業のブランディング強化に取り組んでまいります。また、ITソリューション事業の株式会社ATJCとのシナジー創出を目的に、株式会社ATJCとして建設領域へ参入し、建設業界のICTニーズに幅広く対応してまいります。 マッチング基盤の強化と進化による職人紹介事業の拡大職人紹介事業の成長加速に向けて、ステークホルダーとのパートナーシップを強化してまいります。また、採用手法の多様化としてダイレクトリクルーティングサービス「職人スカウト事業」も推進してまいります。職人紹介事業で蓄積した地場ゼネコン・専門工事会社等の顧客基盤を活かし、建設技術者派遣事業も開始し建設業界の多様なニーズに応えるサービスを拡充してまいります。 デジタル活用と業務改革による生産性の向上当社グループの生産性向上ならびに収益性向上を目的に、当社グループ内におけるデジタル活用と業務改革を組み合わせることで、事業拡大と生産性向上を同時に実現してまいります。具体的には、コストコントロールをはじめとする持続的な収益性向上に向けた効率化の推進、営業活動の最適化に代表される業務プロセスの最適化、AI活用を含むデジタル施策による生産性向上を進めてまいります。 ③2026年10月期の経営方針中期経営計画の初年度として、成長基盤の構築を推進していきます。売上拡大に向けた成長投資を優先するとともに、経営基盤の整備を実施し、将来の持続的成長に向けた土台の構築を優先してまいります。具体的には、4つの成長戦略である「人材力と組織機能の強化を通じたコア事業の競争力向上」、「建設現場の生産性向上を支える建設DXの推進」、「マッチング基盤の強化と進化による職人紹介事業の拡大」、「デジタル活用と業務改革による生産性の向上」の基盤作りに取り組んでまいります。これらの取り組みを踏まえ、2026年10月期の連結業績予想につきましては、売上収益29,250百万円(前期比21.1%増)、営業利益3,010百万円(前期比6.5%増)、税引前当期利益は2,940百万円(前期比6.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,090百万円(前期比0.1%増)を見込んでおります。なお、2026年10月期の第2四半期(累計)の連結業績予想につきましては、売上収益13,530百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益1,090百万円(前年同期比29.0%減)を見込んでおります。上期については前年同期比で増収を見込む一方で、今後の技術者採用強化に向けて営業や採用部門のスタッフの増強を図ることから営業利益以下の段階利益については減益を見込んでいます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2025年12月に開示した中期経営計画における「2030年に目指す姿」に則り、持続的成長と高い資本効率の実現を掲げ、売上収益と売上収益の成長率、営業利益と営業利益率、ROEを重視しております。また、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用人数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 技術者の確保及び育成技術者人材の確保は当社グループの成長における重要な経営課題であり、「採用者数の拡大」「退職率の低減」「技術者のスキルアップ」の取り組みを通じて、派遣する技術者の規模拡大を図ります。採用者数の拡大施策としては、SNSやWEBでの積極的な情報発信によるブランディング強化、自社採用メディア(セコカンNEXT)の活用、グループ採用による幅広い職種採用、採用フロー見直しによる遷移率の改善、潜在的見込応募者の発掘等を推進してまいります。退職率の低減施策としては、研修中及び配属後のフォロー強化、派遣領域の拡大による技術者の成長機会創出、顧客と技術者の関係性構築支援、退職懸念の早期発見と早期解決体制強化等を推進してまいります。人材育成施策としては、技術者数の増加や派遣領域の拡大に対応するため、各種研修プログラムや資格取得支援制度の拡充等により、技術者の継続成長を支援する「ゼロプロ成長サイクル」を高度化し、定着化とキャリア形成を促進してまいります。以上の施策により、採用者数の拡大と退職率の低減を図り、技術者の確保・育成に努めてまいります。② テクノロジーの普及による省人化テクノロジーの普及により、中期的な工事現場における省人化が進展することで、技術者の人材派遣需要が減少(人数減、業務時間減)する可能性があります。一方では、建設業界へのICT導入による効率化へのニーズが高まっているということでもあり、建設DX企業との協業を含めてICT導入に係る人材供給に取り組んでまいります。③ 法改正への対応(長時間労働の抑制)政府による「働き方改革」のもと、労働時間関連法令の改正や法令違反企業へ新たな罰則が設けられるなど、長時間労働に対する指導・監督が強化されております。また、2024年4月より建設業においても時間外労働時間の上限規制が適用されました。派遣元である当社グループは、派遣先に対して当社グループの派遣技術社員が時間外労働時間の上限規制を超えて時間外労働を行うことがないように、勤怠状況を把握する体制を整備しており、派遣先に対する改善要請など、適切な対応を行っております。④ 財務体質の強化当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し借入を行っており、また、多額ののれんを計上しております。当該のれんは、主に2019年11月に株式会社ワールドコーポレーションの株式を取得したことにより生じたものであります。今後は、事業拡大に伴う運転資金及び投資資金の確保、配当政策、有利子負債とのバランス等を勘案しつつ自己資本の拡充を図ってまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)ミッション / ビジョンミッション(私たちの存在意義):深刻化するプロ人材の枯渇を解決し、日本を「課題解決先進国」にする。 当社グループは、建設・IT領域を中心に技術者の派遣事業を展開しております。日本に限らず、先進国の多くは枯渇とも言えるレベルで「プロ人材の不足」に悩まされており、国・産業・企業の隆盛に影響を与える大きな課題と考えております。今日の日本では、少子化に伴う新規就業者数の減少等によってプロ人材は慢性的に不足しており、既存のプロ人材も高齢化が進んでいるため技術の継承も課題となっております。また、かかるプロ人材の不足を補うことが期待されるIT化・デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化についても、建設業をはじめとする多くの産業分野において遅れているのが現状です。当社グループは、このような「プロ人材不足による問題」を解決し、日本を「課題解決の先進国」に押し上げるという強い意志をミッションに込めております。また、「プロ人材」という表現は、専門技術を持つ人材不足の問題解決に事業領域を絞る意図をもっており、この「プロ人材」に焦点を絞っていることが他の人材会社との違いと考えております。 ビジョン(私たちの目指す姿)ITと人材育成の2つの技術をかけ合わせ、プロ人材の減少を補う「生産性を高める業務変革」と「プロ人材の育成と安定供給」を提供・実現する。 「人材育成」の技術は、体系的な専門技術のインプットも大切ですが、それぞれの人の成長段階やタイミングに合わせた感情的なフォローも重要になります。当社グループは、血の通った「人材育成」の組織文化と育成技術を基盤に、各業界で求められる専門知識とビジネススタンスを備えた人材を数多く安定供給していく体制を構築しております。また、当社グループは、顧客企業に対し、「プロ人材が減った少人数体制でも、生産性が高まるような業務変革の支援」もITを用いて提供してまいります。このような業務効率化支援と、プロ人材の安定供給という2つのサービスの掛け算によって、「プロ人材不足による問題」を解決し、各業界や社会の未来に貢献してまいります。 (2)経営環境建設業界においては、公共土木施設・民間建築の老朽化に伴う維持・修繕工事の増加に加え、民間設備投資の持ち直しが進んでいることなどから、今後も底堅い需要が見込まれております。他方、2025年10月現在の建設従事者(採掘含む)の有効求人倍率は5.18倍(注1)と採用環境の厳しさは増しており、加えて建設業界への時間外労働の上限規制が2024年4月に適用されたことから、建設業界における人手不足の問題はより深刻化しています。このような環境下において、技術者派遣に対するニーズは更に高まっていくことが想定されます。また、就業人口不足を補うために、建設現場の生産性向上を目的としたDX導入支援のニーズも高まっております。また、中期的には、建設業界を中心とする顧客環境の変化、規制・政策の影響、労働市場としての人材環境の変化、技術革新の進展を踏まえ、当社グループとして今後の事業機会として、人材不足解消ニーズの拡大、DX・生産性向上支援の需要増加、規制緩和による新市場の可能性、多様な働き方・柔軟な就業ニーズの顕在化があると認識しております。同様に中期的には、採用難・定着率低下、採用費等の原価上昇による収益圧迫、働き方改革・残業規制による制約、DX対応遅れによる競争優位性喪失の虞についても認識しております。(注) 1. 厚生労働省発表「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(パート含む)(2025年11月28日発表) (3)経営戦略①当社グループの強み「採用力の優位性」他業種を含めた幅広い求職者層を母集団として採用活動を行うことができるため、当社グループは未経験者を中心とする採用戦略を推進しています。未経験者採用は応募から入社までのハードルが高いという課題はありますが、大手求人メディア及び人材紹介事業者の活用により大量採用が可能なうえ、経験者採用と比べ採用単価を低く抑えることができるというメリットがあります。採用プロセスでは、応募から書類選考、面談設定まで24時間対応可能な採用自動化ツールを導入して採用の効率化を図る一方で、面接への移行率向上を目的に応募者へのアプローチを見直すなど、採用プロセスの継続的な改善にも取り組んでおります。また、採用チャネルについても、従来からの求人媒体の活用に加えて、自社採用メディア(セコカンNEXT)、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、技術者人材の確保に努めております。以上のように、当社グループでは未経験者に特化して採用活動を行っていることから、経験者のみを対象とする場合と比較して高い人材供給力を発揮できるため、顧客企業からの強い需要に応えることが可能になっています。他方、一定の退職者が生じるため、退職率の低減は当社グループの重要な経営課題と認識しております。 在籍人数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(正社員)(注)21,847(1,604)2,240(1,961)2,696(2,320)3,239(2,875)3,687(3,321)㈱ATJC(注)3195282364404430 (注) 2. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。当月1日から月末までに1日以上在籍していた技術者数であります。括弧内は正社員の技術者数であります。3. ㈱ATJC単体の数値であります。当月1日から月末期間中に1日以上在籍していた技術者数であります。 採用者数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)49181,2621,5591,8051,985㈱ATJC(注)563169186151161 退職者数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)47328851,1251,2841,589㈱ATJC(注)54585111112130 退職率(%) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)427.929.130.229.131.1㈱ATJC(注)518.823.523.922.323.6 (注) 4. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。5. ㈱ATJC単体の数値であります。 「人材育成力による単価向上余地」当社グループは、未経験者を中心に採用を進めていることから、2025年10月末時点の技術者の年齢構成は、29歳以下約66%、30歳~39歳以下約25%、40歳以上約9%と、39歳以下が全体の約91%(注6)となっており、高齢化が進む建設業界に対して若年層の派遣が可能となっております。また当社グループでは、若手人材の育成メソッドを確立し、技術者の経験年次に応じた研修を実施しております。具体的には、未経験者である1年目は基礎技術研修(建設業界の基礎知識や専門用語、社会人スキルの基礎などの研修)、2~3年目には専門技術基本研修(最初のプロジェクト配属で得た経験をベースに、次のプロジェクトに備えた基本技術などの研修)、4~6年目には専門技術実践研修(より専門性の高いプロジェクトを担当しながら一級建築士や施工管理技士等の資格取得を視野に入れた研修)、7年目以降は専門技術研修(建設現場に欠かせない存在としてプロジェクトをけん引するための研修)を行っております。これらにより、技術者はよりレベルの高いプロジェクトにチャレンジすることが可能となり、そこで得られたスキルによって、さらなる成長を実現することができます。以上のように、当社グループのビジネスモデルは若年層中心の技術者派遣と若手人材の育成メソッドをベースに構築されていることから、契約単価を引き上げやすい構造となっております。なお、一人あたりの契約単価、稼働人数、稼働率は以下のとおり推移しております。(注) 6. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象としております。 一人あたり契約単価(千円/月) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(1年目平均)(注)7468(404)471(414)487(441)510(462)519(467)㈱ATJC(注)8、9537524499514524 (注) 7. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。経験者・未経験者を含む全派遣従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。括弧内は1年目の平均値であります。8. ㈱ATJC単体の数値であります。経験者・未経験者を含む派遣又は準委託契約中の従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。9. 未経験者採用人数の増加により、契約単価の低い未経験者の割合が増加したことで、一人あたり契約単価が低下しております。 稼働人数(人) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション(注)101,5941,9222,3512,8173,136㈱ATJC(注)11155214299342362 (注) 10. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象とし、期中平均にて算出しております。11. ㈱ATJC単体の数値であります。派遣又は準委任契約中の従業員数を対象とし、期中平均にて算出しております。 稼働率(%) 2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期㈱ワールドコーポレーション研修中含(注)1289.493.193.892.490.8研修中除(注)1390.895.396.294.292.6㈱ATJC研修中含(注)1487.186.585.687.886.6研修中除(注)1590.894.392.993.992.2 (注) 12. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。 13. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。14. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。15. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。 「建設DX支援基盤」当社グループは、建設テック市場の拡大が期待される中で、建設DX支援を提供する新規人材サービスを確立し、建設業界のDX化をサポートしております。建設業界においては、人手不足や時間外労働削減を背景とした省人化・生産性向上を目的として、ICT技術(例:ドローンによる測量、3次元レーザースキャナによる点群計測、図面管理・情報共有ツールの活用、等)のニーズが高まっております。一方で、建設業界に建設ICT技術に精通した人材はまだ十分ではなく、建設DX推進支援に対する需要は今後高まっていくものと想定しております。当社グループは、建設ICT導入のコンサルティングを実施するコンサルタントや支援員を養成し、複数名により編成したチームより建設DX支援サービスを提供しております。以上のように、当社グループでは顧客の様々なDXニーズに応えるため建設DX支援基盤が整備されており、建設業界の省人化と生産性向上に寄与することが可能になっています。 「職人紹介の優位性」当社グループの中核事業領域である技術者(施工管理等)の派遣に加えて、建設技術職39万人(注16)よりも多くの就業者が存在する職人(建設技能職)303万人(注16)の人材紹介ビジネスを展開しております。なお、労働者派遣法により、土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されております。また、有料職業紹介事業においても、職業安定法で建設業務に就く職業の求職者を紹介することは禁止されておりますが、当社グループでは建設業務有料職業紹介事業許可(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条」)を有する一般社団法人全国建設人材協会を通じて職人(建設技能職)の職業紹介を行っております。建設業務の有料職業紹介事業は認定団体のみ職人の職業紹介が可能であり、一般社団法人全国建設人材協会を含む全国で3団体のみが認定を受けております(注17)。なお、当社グループの株式会社コントラフトは職人(建設技能職)の転職求人情報サイト「ジョブケンワーク」を運営し、一般社団法人全国建設人材協会に求職者情報の提供を行っております。株式会社コントラフト設立以降、プラットフォームの求職者数、求人情報を掲載する企業の登録会員数は順調に増加しております。以上のように、当社グループでは派遣事業で蓄積した求職者の集客ノウハウを活用し、国内で3団体のみが認定されている団体のもとで職人紹介事業を展開することが可能なため、職人不足という課題に対して対応することが可能になっています。(注) 16. 建設技術職・建設技能職:総務省「労働力調査」を基に一般社団法人日本建設業連合会にて算出(2025年5月)17. 2025年4月時点、厚生労働省「建設業務有料職業紹介事業の許可を得た団体」(一般財団法人みやぎ建設総合センター、一般社団法人沖縄県建設業協会、一般社団法人全国建設人材協会の3団体) ②当社グループの中期的な成長戦略「中期経営計画“Change&Growth2030”」当社グループは、2026年10月期を初年度とする5カ年の中期経営計画を策定し2025年12月に公表しております。中期経営計画では「人材とテクノロジーの両輪で建設業界の未来を支える」という基本方針を定め、「建設業界の二大課題である「人材不足」と「生産性向上の遅れ」に正面から取り組み、人材派遣・職人紹介・DXソリューションを通じて建設業界の持続可能な発展に貢献する。社員一人ひとりの成長を支え、スキルを社会に還元することで、建設業界だけでなく日本社会を支える力となる」、ことを掲げております。「2030年に目指す姿」として中期経営計画の最終年度である2030年10月期には、技術者の採用・育成強化により当社グループの技術者在籍人数8,000人、持続的成長と高い資本効率の実現によりグループ連結売上収益500億円、同営業利益50億円、同営業利益率10.0%、ROE20%以上を目標としております。 「4つの成長戦略」人材力と組織機能の強化を通じたコア事業の競争力向上当社グループのコア事業である建設技術者派遣事業の安定成長に向けて、採用(在籍数拡大)、営業(稼働件数の安定確保)、育成/定着支援(定着率改善)の各機能の競争力強化に取り組んでまいります。具体的には、採用において多様な採用手法とブランド強化を通じた採用人数の拡大を推進してまいります。営業においては顧客基盤の拡大・案件数の創出・営業機能の効率化に努めてまいります。育成/定着支援においては成長支援策(技術社員が継続的に成長できる体制の構築を目指したキャリアデザイン支援制度「ゼロプロ成長サイクル」)の拡充と定着率の改善に努めてまいります。 建設現場の生産性向上を支える建設DXの推進建設DX企業との協業推進を図り、当社の技術社員にデジタルスキルを付けることにより、顧客のDX化を推進してまいります。具体的には、建設DX企業との協業推進とエリアを含む事業拡大、DX研修の拡大、BPO事業の立ち上げ、DX事業のブランディング強化に取り組んでまいります。また、ITソリューション事業の株式会社ATJCとのシナジー創出を目的に、株式会社ATJCとして建設領域へ参入し、建設業界のICTニーズに幅広く対応してまいります。 マッチング基盤の強化と進化による職人紹介事業の拡大職人紹介事業の成長加速に向けて、ステークホルダーとのパートナーシップを強化してまいります。また、採用手法の多様化としてダイレクトリクルーティングサービス「職人スカウト事業」も推進してまいります。職人紹介事業で蓄積した地場ゼネコン・専門工事会社等の顧客基盤を活かし、建設技術者派遣事業も開始し建設業界の多様なニーズに応えるサービスを拡充してまいります。 デジタル活用と業務改革による生産性の向上当社グループの生産性向上ならびに収益性向上を目的に、当社グループ内におけるデジタル活用と業務改革を組み合わせることで、事業拡大と生産性向上を同時に実現してまいります。具体的には、コストコントロールをはじめとする持続的な収益性向上に向けた効率化の推進、営業活動の最適化に代表される業務プロセスの最適化、AI活用を含むデジタル施策による生産性向上を進めてまいります。 ③2026年10月期の経営方針中期経営計画の初年度として、成長基盤の構築を推進していきます。売上拡大に向けた成長投資を優先するとともに、経営基盤の整備を実施し、将来の持続的成長に向けた土台の構築を優先してまいります。具体的には、4つの成長戦略である「人材力と組織機能の強化を通じたコア事業の競争力向上」、「建設現場の生産性向上を支える建設DXの推進」、「マッチング基盤の強化と進化による職人紹介事業の拡大」、「デジタル活用と業務改革による生産性の向上」の基盤作りに取り組んでまいります。これらの取り組みを踏まえ、2026年10月期の連結業績予想につきましては、売上収益29,250百万円(前期比21.1%増)、営業利益3,010百万円(前期比6.5%増)、税引前当期利益は2,940百万円(前期比6.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,090百万円(前期比0.1%増)を見込んでおります。なお、2026年10月期の第2四半期(累計)の連結業績予想につきましては、売上収益13,530百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益1,090百万円(前年同期比29.0%減)を見込んでおります。上期については前年同期比で増収を見込む一方で、今後の技術者採用強化に向けて営業や採用部門のスタッフの増強を図ることから営業利益以下の段階利益については減益を見込んでいます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2025年12月に開示した中期経営計画における「2030年に目指す姿」に則り、持続的成長と高い資本効率の実現を掲げ、売上収益と売上収益の成長率、営業利益と営業利益率、ROEを重視しております。また、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用人数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 技術者の確保及び育成技術者人材の確保は当社グループの成長における重要な経営課題であり、「採用者数の拡大」「退職率の低減」「技術者のスキルアップ」の取り組みを通じて、派遣する技術者の規模拡大を図ります。採用者数の拡大施策としては、SNSやWEBでの積極的な情報発信によるブランディング強化、自社採用メディア(セコカンNEXT)の活用、グループ採用による幅広い職種採用、採用フロー見直しによる遷移率の改善、潜在的見込応募者の発掘等を推進してまいります。退職率の低減施策としては、研修中及び配属後のフォロー強化、派遣領域の拡大による技術者の成長機会創出、顧客と技術者の関係性構築支援、退職懸念の早期発見と早期解決体制強化等を推進してまいります。人材育成施策としては、技術者数の増加や派遣領域の拡大に対応するため、各種研修プログラムや資格取得支援制度の拡充等により、技術者の継続成長を支援する「ゼロプロ成長サイクル」を高度化し、定着化とキャリア形成を促進してまいります。以上の施策により、採用者数の拡大と退職率の低減を図り、技術者の確保・育成に努めてまいります。② テクノロジーの普及による省人化テクノロジーの普及により、中期的な工事現場における省人化が進展することで、技術者の人材派遣需要が減少(人数減、業務時間減)する可能性があります。一方では、建設業界へのICT導入による効率化へのニーズが高まっているということでもあり、建設DX企業との協業を含めてICT導入に係る人材供給に取り組んでまいります。③ 法改正への対応(長時間労働の抑制)政府による「働き方改革」のもと、労働時間関連法令の改正や法令違反企業へ新たな罰則が設けられるなど、長時間労働に対する指導・監督が強化されております。また、2024年4月より建設業においても時間外労働時間の上限規制が適用されました。派遣元である当社グループは、派遣先に対して当社グループの派遣技術社員が時間外労働時間の上限規制を超えて時間外労働を行うことがないように、勤怠状況を把握する体制を整備しており、派遣先に対する改善要請など、適切な対応を行っております。④ 財務体質の強化当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し借入を行っており、また、多額ののれんを計上しております。当該のれんは、主に2019年11月に株式会社ワールドコーポレーションの株式を取得したことにより生じたものであります。今後は、事業拡大に伴う運転資金及び投資資金の確保、配当政策、有利子負債とのバランス等を勘案しつつ自己資本の拡充を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当連結会計年度(2024年11月1日~2025年10月31日)における日本経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待される一方で、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要です。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、国内景気を抑制するリスクとなっています。また、金融資本市場の変動等の影響についても引き続き注意する必要があります。当社グループが主に技術者を派遣する建設業界については、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きがみられたことから、需要は堅調に推移しました。一方で、建設業界は技術者の高齢化と若手人材の不足といった構造的課題を抱えており、人手不足は依然として深刻です。このような背景から、技術者派遣に対するニーズは更に高まっていくことが想定されます。このような環境の下、当社グループの主要事業である建設ソリューション事業では、顧客企業からの強い需要に応えるため、「営業・採用・キャリアデザインの各プロセスの機能強化」、「自社採用メディアの育成強化」、「建設DX支援など新規サービスの展開を加速」を推進しました。これらの取り組みに加えて、ITソリューション事業では、営業力とエンジニアの技術力の双方を高めることで、システム開発における上流工程案件の獲得に向けた営業活動を強化しました。以上の結果、建設ソリューション事業・ITソリューション事業ともに技術者の在籍人数と稼働人数が伸長したことに加え、技術者の契約単価も上昇したことから、当期の連結売上収益は24,158,934千円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。営業利益は、成長投資として技術者の採用を積極的に推進したことによる採用費増加、営業・採用部門の人員増加に努めたことなどから、原価ならびに販売費及び一般管理費が増加した結果、2,827,490千円(同9.1%減)となりました。税引前当期利益は2,758,817千円(同9.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,086,906千円(同4.6%減)となりました。 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。(建設ソリューション事業)建設技術者派遣を展開する株式会社ワールドコーポレーションの当連結会計年度末における技術者の在籍人数は3,687人(前連結会計年度末比448人増加)、となりました。また、当連結会計年度の平均稼働率(研修生除く。)は92.6%(前連結会計年度比1.6%減)と低下しました。また、当連結会計年度の月次平均契約単価については519千円(同9千円増加)となりました。建設ソリューション事業では、営業・採用の機能強化に継続的に取り組みつつ、顧客企業の需要に応えるために技術者の育成に注力しました。営業面では、大型再開発プロジェクト等により人材ニーズが高まる都市部を中心に活動を強化し、既存顧客との関係深化及び新規顧客の開拓を通じて、新規案件の獲得に努めました。その結果、稼働率は想定を下回ったものの、技術者の稼働人数は順調に増加し、増収に寄与しました。採用面では、採用プロセスの見直しと積極的な採用投資が奏功し、当連結会計年度の採用数は計画を超過しました。以上の結果、同事業の売上収益は21,642,990千円(前連結会計年度比11.9%増)、セグメント利益は2,247,237千円(同13.8%減)となりました。 (ITソリューション事業)ITエンジニアの派遣を展開する株式会社ATJCの当連結会計年度末における技術者の在籍人数は430人(前連結会計年度末比26人増加)となりました。また、当連結会計年度の平均稼働率は92.2%(前連結会計年度比1.7%減)に低下しました。当連結会計年度の月次平均契約単価については、524千円(同9千円増加)となりました。ITソリューション事業では、稼働率は想定を下回ったものの、システム開発における上流工程案件の獲得を背景とした契約単価の上昇に加え、稼働人数の増加が業績の成長に寄与しました。以上の結果、同事業の売上収益は2,515,943千円(前連結会計年度比11.2%増)、セグメント利益は135,500千円(同8.4%減)となりました。 ② 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末の流動資産合計は、8,469,466千円(前連結会計年度末比542,895千円増加)であります。これは主に、営業債権が162,033千円増加、現金及び現金同等物が305,526千円増加したことによるものであります。非流動資産合計は16,092,638千円(同401,736千円増加)であります。これは主に、繰延税金資産が173,431千円増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、24,562,104千円(同944,632千円増加)となりました。(負債)当連結会計年度末の流動負債合計は、6,896,983千円(前連結会計年度末比380,041千円増加)であります。これは主に、その他の流動負債が200,607千円増加したことによるものであります。非流動負債合計は、3,186,342千円(同473,537千円減少)であります。これは主に、リース負債が125,000千円増加した一方で、借入金が714,284千円減少したことによるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、10,083,325千円(同93,495千円減少)となりました。(資本)当連結会計年度末の資本合計は、14,478,778千円(前連結会計年度末比1,038,128千円増加)であります。その主な内訳は、剰余金の配当があった一方で親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により、利益剰余金が1,021,611千円増加したことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、4,822,364千円(前連結会計年度末比305,526千円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、獲得した資金は、2,298,494千円(前連結会計年度は2,310,147千円の収入)となりました。これは主に法人所得税の支払額894,778千円があった一方で、税引前当期利益2,758,817千円が計上されたことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は、197,639千円(前連結会計年度は6,375千円の支出)となりました。これは主に、その他の金融資産の取得による支出102,096千円や有形固定資産の取得による支出57,531千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、使用した資金は、1,923,208千円(前連結会計年度は1,870,155千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額1,004,077千円や長期借入金の返済による支出714,284千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。b.受注実績当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。c.販売実績当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)建設ソリューション事業21,642,99011.9ITソリューション事業2,515,94311.2合計24,158,93411.8 (注) セグメント間取引については相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。a. 売上収益売上収益は、24,158,934千円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。売上収益の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b. 売上原価、売上総利益売上原価は、主に売上規模拡大に伴う派遣技術者の人件費の増加等により17,921,289千円(前連結会計年度比14.4%増)となりました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は6,237,644千円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。 c.販売費及び一般管理費、営業利益販売費及び一般管理費につきましては、主に、株式報酬費用が減少した一方で、事業拡大に伴う管理部門の人件費の増加により3,369,697千円(前連結会計年度比18.4%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は2,827,490千円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。 d. 金融収益・金融費用、税引前利益金融収益につきましては、主に受取利息による収益の計上により6,516千円となりました。金融費用につきましては、主に支払利息の計上により75,189千円となりました。この結果、当連結会計年度の税引前当期利益は2,758,817千円(前連結会計年度比9.8%減)となりました。 e.親会社の所有者に帰属する当期利益法人所得税費用671,911千円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,086,906千円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。 当社グループの財政状態の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。資金の流動性については、経理財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。当社グループの主な運転資金需要は、派遣技術者の人件費等であり、設備投資資金としては、営業拠点投資や情報システム投資等であります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本としております。今後は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。 ④ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略」に記載のとおり、当社は売上収益及び営業利益を重視するとともに、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用者数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。 当連結会計年度においては、売上収益24,158,934千円(前連結会計年度比11.8%増)、営業利益2,827,490千円(同9.1%減)となりました。また、当連結会計年度における株式会社ワールドコーポレーションの主要なKPIは、在籍人数3,687人(同13.8%増)、稼働人数3,136人(同11.3%増)、採用者数1,985人(同10.0%増)、退職者数1,589人(同23.8%増)、退職率31.1%(同2.0%増)、稼働率(研修中の従業員を除く)92.6%(同1.6%減)、一人あたり契約単価519千円(同1.8%増)となりました。 前連結会計年度から引き続き、建設業界は人手不足が継続し、技術者人材を派遣する当社グループの役割は大きく、技術者人材の採用・教育の強化に取り組み、在籍人数、稼働人数は順調に拡大し、各種KPIは堅調に推移しており、当連結会計年度における増収増益に寄与しております。 (参考情報)当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA、調整後EBITDA、調整後営業利益を重要な経営指標として認識しており、過去3期間の各指標の推移は以下のとおりであります。(単位:千円) 国際会計基準第3期第4期第5期第6期第7期2021年10月期2022年10月期2023年10月期2024年10月期2025年10月期売上収益12,125,35114,540,62817,994,88121,608,64324,158,934営業利益1,758,2712,039,6452,469,1613,110,9682,827,490+ 減価償却費及びその他償却費229,321237,782244,626261,372285,199+ のれん償却費-----EBITDA1,987,5932,277,4282,713,7883,372,3413,112,689(調整額) + 支払報酬料(注)149,328----調整後EBITDA2,036,9212,277,4282,713,7883,372,3413,112,689営業利益1,758,2712,039,6452,469,1613,110,9682,827,490(調整額) + 支払報酬料(注)149,328---- + 無形資産償却費(注)113,000---- + のれん償却費-----調整後営業利益1,820,5992,039,6452,469,1613,110,9682,827,490 (注) 1. 2021年10月期は、当社によるATJC株式取得、職人の職業紹介関連事業譲受、オフィス・アークス株式取得に係るFAフィー、DD費用、リーガルコスト等を、それぞれ一時費用として調整しております。なお、2022年10月期以降、一時費用が不存在のため調整はありません。