9104

商船三井(9104)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

海運業 運輸・物流

事業の概要

商船三井グループは、世界中で海運業を中心に事業を展開しています。主な収益源は、鉄鉱石などを運ぶドライバルク船、原油やLNGを運ぶエネルギー輸送船、自動車やコンテナを運ぶ製品輸送船の運航です。これらに加え、不動産賃貸、フェリー・クルーズ、曳船業、燃料販売などの関連事業も手掛けており、多岐にわたる海上輸送と関連サービスで収益を上げています。世界中に広がるネットワークと多様な船隊を強みとしています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

商船三井グループの事業は、主に6つのセグメントで構成されています。ドライバルク事業は鉄鉱石や穀物などを運ぶ海上輸送、エネルギー事業は原油やLNGなどのエネルギー資源を運ぶ海上輸送が中心です。製品輸送事業は自動車専用船やコンテナ船による輸送、および総合物流ソリューションを提供しています。ウェルビーイングライフ事業は不動産賃貸やフェリー・クルーズ事業、関連事業は曳船や燃料販売など、その他は船舶管理や金融、情報サービスなどを手掛けています。売上高ではエネルギー事業と製品輸送事業(自動車船・ターミナル・物流)が特に大きく、グループの主要な収益源となっています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
DryBulkBusiness 地域 4,000
EnergyBusiness 地域 5,715
Containerships 事業 593
CarCarriesTerminalAndLogistics 事業 5,567
RealEstateBusiness 地域 434
FerriesAndCoastalRoRoShipsCruiseBusinesses 地域 714
AssociatedBusinesses 地域 537
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,309 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社及び連結対象会社579社(うち、連結子会社447社、持分法適用会社132社)からなり、海運業を中心にグローバルな事業展開を図っております。当社グループの事業は、ドライバルク事業、エネルギー事業、製品輸送事業、ウェルビーイングライフ事業、関連事業及びその他の6セグメントに分類されており、それぞれの事業の概要及び主要関係会社は以下のとおりです。事業区分事業の概要主要関係会社(無印:連結子会社)(※印:持分法適用関連会社)ドライバルク事業当社並びに関係会社を通じて、ドライバルク船を保有、運航し、世界的な規模で海上貨物輸送を行っております。商船三井ドライバルク㈱、MOL CAPE (SINGAPORE) PTE. LTD.、GEARBULK HOLDING AG 他 83社 計 86社エネルギー事業当社並びに関係会社を通じて、油送船、海洋事業・LNG船等の不定期専用船を保有、運航し、世界的な規模で海上貨物輸送などの事業を行っております。MOL CHEMICAL TANKERS PTE. LTD.、MOL ENERGIA PTE. LTD.、㈱北拓、※旭タンカー㈱、※三井海洋開発㈱ 他 269社 計 274社製品輸送事業当社並びに関係会社を通じて、自動車専用船を保有、運航し、世界的な規模で海上貨物輸送を行っております。また、コンテナ船の保有、運航、コンテナターミナルの運営、航空・海上フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管及び重量物輸送などの「トータル・物流ソリューション」を提供しております。㈱宇徳、国際コンテナ輸送㈱、商船港運㈱、商船三井ロジスティクス㈱、日産専用船㈱、㈱ジャパンエキスプレス、MOL CONSOLIDATION SERVICE LTD.、※日本コンセプト㈱、※OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD. 他 138社 計 147社ウェルビーイングライフ事業関係会社を通じて、土地建物賃貸事業及びビル管理事業を始めとする不動産事業、主として太平洋沿海及び瀬戸内海での旅客及び貨物輸送事業、クルーズ事業を行っております。ダイビル㈱、商船三井興産㈱、㈱商船三井さんふらわあ、㈱ブルーシーネットワーク、商船三井クルーズ㈱、エムオーツーリスト㈱、※㈱名門大洋フェリー 他 32社 計 39社関連事業関係会社を通じて、曳船業、商社事業(燃料・舶用資材・機械販売等)などを営んでおります。日本栄船㈱、グリーン海事㈱、グリーンシッピング㈱、商船三井テクノトレード㈱ 他 10社 計 14社その他油送船とLNG船を除く船舶の船舶管理業、グループの資金調達等の金融業、情報サービス業、経理代行業、海事コンサルティング業などを営んでおります。MOLマリン&エンジニアリング㈱、MOLシップマネージメント㈱、MOL TREASURY MANAGEMENT PTE. LTD.、MOLアカウンティングパートナーズ㈱、MOLビジネスサポート㈱、商船三井システムズ㈱ 他 13社 計 19社 合計 579社 なお、事業系統図を示すと次のとおりです。[事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
中長期契約の獲得を推進し、市況変動リスクを低減しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
約800隻の多様な船舶や洋上設備を保有・運航し、世界的な規模で海上貨物輸送を行っている。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:運航・操業リスク / サイバーセキュリティリスク / 災害・感染症リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

商船三井は長年の歴史と実績を持つ海運会社であり、一定のブランド認知度は存在する。しかし、特許や独自のIPによる競争優位性は限定的であり、無形資産による明確なモートは弱い。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

海運業界では、顧客(荷主)と船会社の間の長期契約や、特定の航路・輸送ニーズへの対応実績が、乗り換えの障壁となる場合がある。しかし、運賃やサービス内容で代替可能な側面も大きく、スイッチング・コストは限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

海運業は、プラットフォーム型ビジネスではないため、ネットワーク効果は基本的に存在しない。船舶の利用者は荷主であり、荷主が増えることで船会社のサービス価値が直接的に向上するわけではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

商船三井は、大規模な運航ネットワーク、効率的な船舶管理、燃料調達における交渉力などを通じて、一定のコスト優位性を構築している。特に、コンテナ船事業におけるスケールメリットはコスト削減に寄与。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

商船三井は、日本郵船、川崎汽船と共に日本の大手海運会社であり、世界でも有数の規模を誇る。特にコンテナ船事業においては、世界的なアライアンスへの参加や大規模船隊の運用により、効率規模の経済を享受しており、寡占的な市場構造の中で優位性を確立している。

商船三井は、約800隻の多様な船舶と洋上設備を保有・運航し、世界的な規模で海上貨物輸送を行うことで、広範な顧客ニーズに対応できる点が強みです。長年の経験と実績に基づく安全運航体制、そして事故発生時の保険付保により、リスクを軽減し安定的な事業継続を図っています。また、海運市況変動リスクに対しては、金融機関のリスク管理手法を応用した「アセットリスクコントロール」を導入し、自己資本との比較でリスク量を適切に管理することで、財務の安定性を保っています。これにより、大規模な投資を伴う海運事業において、他社との競争優位性を確立しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、商船三井グループの企業理念、グループビジョン、価値観・行動規範(MOL CHARTS)を以下のとおり設定しています。 脱炭素化を始めとする環境意識の高まりや、企業として社会のサステナビリティに貢献することへの期待が高まるなか、輸送にとどまらない事業領域への拡大やそれに伴う価値観の変化を反映し、更なる成長を実現するために、社会における当社グループの存在意義、目指す姿、及び価値観を確認したものです。 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、優先的に対処すべき課題として、2023年度に策定したグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に掲げた、2035年度のありたい姿(グループビジョン)実現に取り組んでいます。  「BLUE ACTION 2035」においては、長期的な戦略に基づき、社会課題や環境面からも受容できる、持続的な成長の実現をめざすサステナビリティ経営を推進しています。企業理念・MOL CHARTSの精神に沿って「BLUE ACTION 2035」に取り組むことで、サステナビリティ課題を解決し、更には企業価値の向上、最終的にはグループビジョンの実現へと繋げていく計画です。  「BLUE ACTION 2035」では、ゴールまでの期間を3年+5年+5年の3フェーズに分けて中間目標を設定しています。グループビジョン実現へ向けて、毎年Core KPIをモニタリングしながらアクションプランを更新しています。 <BLUE ACTION 2035における主要なテーマ> BLUE ACTION 2035では3つの主要戦略とサステナビリティ課題への取組のうち、最重点5項目(環境、安全、人財、DX、ガバナンス)を中心に据えています。3つの主要戦略の要点は以下のとおりです。最重点5項目については、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ① ポートフォリオ戦略(後述の<BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ>も併せてご参照ください。)・事業別ROA目標を設定し、個別投資採算基準もそれに沿ったものとする。利益規模だけでなく資本効率の改善を図り、全体としてROA資本コストを上回るROAを達成すべく、高リターンを期待する市況享受型事業に継続投資する一方、相対的に低リターンながら安定収益型である事業への投資の傾斜を高める。・IFRS(国際財務報告基準)の早期適用に取り組む。・効率的なポートフォリオ変革のため、スピード感を持ってM&Aを推進する。 ② 地域戦略・事業ポートフォリオ変革を支えるグローバルな事業推進体制へ移行する。・地域部門主導のM&A、非海運を中心とした新規事業開発を促進する。 ③ 環境戦略(3つの主要戦略のうちの1つ、且つサステナビリティ課題「環境」への取組)・環境ビジョン2.2(2023年4月に更新)の下、環境への取組をリードする存在であり続ける。・クリーンエネルギーの導入について、2020年代のネットゼロ・エミッション外航船の就航に向けた準備を進める。・燃料需要家としてクリーン燃料調達に取り組むとともに、そこでの多様なパートナーシップを活かしてサプライチェーンに参画し、海運業界におけるクリーン燃料サプライチェーンの構築を後押しする。  2024年度は、3つの主要戦略(ポートフォリオ戦略・環境戦略・地域戦略)のうち、ポートフォリオ戦略では2035年度に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、当初計画を上回るペースで投資を積み上げ、エネルギー事業や製品輸送事業を中心に安定収益型及び非海運事業のアセット比率を増やしました。環境戦略では、環境ビジョン2.2のアクションプランに沿って、2050年におけるグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成に向けた取り組みを継続しています。地域戦略では、前述した2つの戦略(ポートフォリオ戦略、環境戦略)を各地域でも力強く推進するため、地域ごとの重点事業領域特定を進めました。 <BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ> 当社は、グループビジョンを実現するためのメインシナリオとして事業ポートフォリオ変革を進めており、以下2点を実現させる計画です。 •海運市況軟調時でも黒字を維持できる事業ポートフォリオへの変革 •成長投資の積上げと株主の期待に応える利回り(ROE 9~10%)の両立  これらを達成するため、2035年度時点で「税引前利益 4,000億円/総資産 7.5兆円」と「市況享受型:安定収益型= 40:60 のアセット比率」の目標ポートフォリオ構成を設定し、リバランス計画を策定しています。 海運市況と損益の相関性が高い市況享受型事業において海運好況時には高リターンを得る一方、安定収益型事業の比重をより高め、海運市況軟調時でも黒字を確保することを目指します。安定収益型事業では、海運の長期契約のみならず、海運業と市況サイクルが異なる非海運事業もさらに成長させていきます。 <BLUE ACTION 2035 Phase 1の具体的なアクションプラン> 各事業本部の2035年に向けた方向性とPhase 1(2023~2025年度)のアクションプランは以下のとおりです。 ドライバルク事業2035年に向けた方向性:貨物構成の変化に対応しつつ市況エクスポージャーを戦略的に取って、好況時には高リターンを獲得する。Phase 1の具体的なアクションプラン:・脱炭素・低炭素化社会の進展により創出される新規貨物・拡大が見込まれる既存貨 物の輸送需要取り込み(バイオ燃料、穀物、肥料、スクラップ鉄など)・世界経済のサプライチェーン・トレードパターンの変化に対応するグローバルな営 業ネットワーク整備・貨物需要・トレードパターン・船腹需給の変化に適切に対応するためのインテリジ ェンス機能の強化・GHG排出削減に寄与する環境対応船整備の強化・高いリターンを実現するための市況エクスポージャー許容度の引き上げエネルギー事業2035年に向けた方向性:エネルギーシフトの大きな流れに積極的に対応し、Green Transformationをリードする存在であり続ける。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪タンカー・ケミカル船≫・Methanex社との提携なども活かした、船舶燃料としてのクリーンメタノールの調 達、事業機会の獲得・代替燃料船隊による脱炭素ソリューションの提供≪液化ガス船≫・今後の需要増を見据えLNG船の中短期契約向け船隊を整備、一定の範囲内で市況リ スクテイクを進める・LPG・アンモニア船隊の整備 ≪海洋事業・洋上風力発電≫・欧州中心に広がる見通しのCCUS事業(二酸化炭素回収・貯留)への参画・台湾・日本での洋上風力発電への参画実績を積み上げ、周辺事業を取り込む製品輸送事業2035年に向けた方向性:コンテナ船・自動車船の競争優位を磨く一方、物流への積極投資で非海運分野での成長を遂げる。Phase 1の具体的なアクションプラン:≪コンテナ船≫・ONE発足を通じて獲得した規模のメリットの維持・拡大・環境・デジタル戦略を柱とする更なる優位性の構築≪自動車船≫・環境への対応をリードし顧客の評価を高め、パートナーとして選ばれる存在に・増加する中国・インド発ビジネスでの優位性構築≪物流≫・宇徳・商船三井ロジスティクスをコアと位置づけ、両社を中心に成長を図る・海外M&Aによる事業拡大ウェルビーイングライフ事業2035年に向けた方向性:不動産・フェリーに加えクルーズなどの多彩な事業群を形成し、非海運分野の柱に育てる。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪不動産≫・国内:アセットタイプの拡充、再開発・街づくりに取り組む・海外:ベトナム・豪州の事業拡大に加え、東南アジア諸国・インドへ進出 ≪フェリー≫・経営統合(商船三井さんふらわあ設立)のメリット最大化・貨物・旅客それぞれのマーケティング強化 ≪クルーズ≫・新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」の設立、新規投入船のサービス開始・国内顧客に加え、インバウンドを中心に海外顧客の基盤を拡大 <BLUE ACTION 2035の定量目標(利益計画・財務計画・投資計画・株主還元策)>① 利益計画  利益計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。② 財務計画・投資計画  財務計画・投資計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。③ 株主還元策  株主還元策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。 <コンプライアンス上の対処すべき課題> コンプライアンス上の対処すべき課題・取組については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況 ④業務の適正を確保するための体制の概要」をご参照ください。 <アドバイザリーボード> 経営戦略およびリスク管理の観点で優先度の高い分野について社外の有識者から意見を得ることを目的とし、2024年4月から社長のもとにアドバイザリーボードを設置しています。今年度は以下5名の有識者を選任しました。 氏名主な経歴専門分野石井 菜穂子氏東京大学グローバルコモンズ担当総長特使未来ビジョン研究センター特任教授、グローバル・コモンズ・センター ダイレクターサステナビリティ江藤 名保子氏学習院大学法学部教授地政学上月 豊久氏前・駐ロシア日本国特命全権大使地政学的場 大輔氏デジタル・ブレイン・イネーブルメント株式会社 代表取締役DX小柴 満信氏Cdots合同会社 Co-Founder技術経営
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、商船三井グループの企業理念、グループビジョン、価値観・行動規範(MOL CHARTS)を以下のとおり設定しています。 脱炭素化を始めとする環境意識の高まりや、企業として社会のサステナビリティに貢献することへの期待が高まるなか、輸送にとどまらない事業領域への拡大やそれに伴う価値観の変化を反映し、更なる成長を実現するために、社会における当社グループの存在意義、目指す姿、及び価値観を確認したものです。 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、優先的に対処すべき課題として、2023年度に策定したグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に掲げた、2035年度のありたい姿(グループビジョン)実現に取り組んでいます。  「BLUE ACTION 2035」においては、長期的な戦略に基づき、社会課題や環境面からも受容できる、持続的な成長の実現をめざすサステナビリティ経営を推進しています。企業理念・MOL CHARTSの精神に沿って「BLUE ACTION 2035」に取り組むことで、サステナビリティ課題を解決し、更には企業価値の向上、最終的にはグループビジョンの実現へと繋げていく計画です。  「BLUE ACTION 2035」では、ゴールまでの期間を3年+5年+5年の3フェーズに分けて中間目標を設定しています。グループビジョン実現へ向けて、毎年Core KPIをモニタリングしながらアクションプランを更新しています。 <BLUE ACTION 2035における主要なテーマ> BLUE ACTION 2035では3つの主要戦略とサステナビリティ課題への取組のうち、最重点5項目(環境、安全、人財、DX、ガバナンス)を中心に据えています。3つの主要戦略の要点は以下のとおりです。最重点5項目については、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ① ポートフォリオ戦略(後述の<BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ>も併せてご参照ください。)・事業別ROA目標を設定し、個別投資採算基準もそれに沿ったものとする。利益規模だけでなく資本効率の改善を図り、全体としてROA資本コストを上回るROAを達成すべく、高リターンを期待する市況享受型事業に継続投資する一方、相対的に低リターンながら安定収益型である事業への投資の傾斜を高める。・IFRS(国際財務報告基準)の早期適用に取り組む。・効率的なポートフォリオ変革のため、スピード感を持ってM&Aを推進する。 ② 地域戦略・事業ポートフォリオ変革を支えるグローバルな事業推進体制へ移行する。・地域部門主導のM&A、非海運を中心とした新規事業開発を促進する。 ③ 環境戦略(3つの主要戦略のうちの1つ、且つサステナビリティ課題「環境」への取組)・環境ビジョン2.2(2023年4月に更新)の下、環境への取組をリードする存在であり続ける。・クリーンエネルギーの導入について、2020年代のネットゼロ・エミッション外航船の就航に向けた準備を進める。・燃料需要家としてクリーン燃料調達に取り組むとともに、そこでの多様なパートナーシップを活かしてサプライチェーンに参画し、海運業界におけるクリーン燃料サプライチェーンの構築を後押しする。  2024年度は、3つの主要戦略(ポートフォリオ戦略・環境戦略・地域戦略)のうち、ポートフォリオ戦略では2035年度に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、当初計画を上回るペースで投資を積み上げ、エネルギー事業や製品輸送事業を中心に安定収益型及び非海運事業のアセット比率を増やしました。環境戦略では、環境ビジョン2.2のアクションプランに沿って、2050年におけるグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成に向けた取り組みを継続しています。地域戦略では、前述した2つの戦略(ポートフォリオ戦略、環境戦略)を各地域でも力強く推進するため、地域ごとの重点事業領域特定を進めました。 <BLUE ACTION 2035で目指す事業ポートフォリオ> 当社は、グループビジョンを実現するためのメインシナリオとして事業ポートフォリオ変革を進めており、以下2点を実現させる計画です。 •海運市況軟調時でも黒字を維持できる事業ポートフォリオへの変革 •成長投資の積上げと株主の期待に応える利回り(ROE 9~10%)の両立  これらを達成するため、2035年度時点で「税引前利益 4,000億円/総資産 7.5兆円」と「市況享受型:安定収益型= 40:60 のアセット比率」の目標ポートフォリオ構成を設定し、リバランス計画を策定しています。 海運市況と損益の相関性が高い市況享受型事業において海運好況時には高リターンを得る一方、安定収益型事業の比重をより高め、海運市況軟調時でも黒字を確保することを目指します。安定収益型事業では、海運の長期契約のみならず、海運業と市況サイクルが異なる非海運事業もさらに成長させていきます。 <BLUE ACTION 2035 Phase 1の具体的なアクションプラン> 各事業本部の2035年に向けた方向性とPhase 1(2023~2025年度)のアクションプランは以下のとおりです。 ドライバルク事業2035年に向けた方向性:貨物構成の変化に対応しつつ市況エクスポージャーを戦略的に取って、好況時には高リターンを獲得する。Phase 1の具体的なアクションプラン:・脱炭素・低炭素化社会の進展により創出される新規貨物・拡大が見込まれる既存貨 物の輸送需要取り込み(バイオ燃料、穀物、肥料、スクラップ鉄など)・世界経済のサプライチェーン・トレードパターンの変化に対応するグローバルな営 業ネットワーク整備・貨物需要・トレードパターン・船腹需給の変化に適切に対応するためのインテリジ ェンス機能の強化・GHG排出削減に寄与する環境対応船整備の強化・高いリターンを実現するための市況エクスポージャー許容度の引き上げエネルギー事業2035年に向けた方向性:エネルギーシフトの大きな流れに積極的に対応し、Green Transformationをリードする存在であり続ける。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪タンカー・ケミカル船≫・Methanex社との提携なども活かした、船舶燃料としてのクリーンメタノールの調 達、事業機会の獲得・代替燃料船隊による脱炭素ソリューションの提供≪液化ガス船≫・今後の需要増を見据えLNG船の中短期契約向け船隊を整備、一定の範囲内で市況リ スクテイクを進める・LPG・アンモニア船隊の整備 ≪海洋事業・洋上風力発電≫・欧州中心に広がる見通しのCCUS事業(二酸化炭素回収・貯留)への参画・台湾・日本での洋上風力発電への参画実績を積み上げ、周辺事業を取り込む製品輸送事業2035年に向けた方向性:コンテナ船・自動車船の競争優位を磨く一方、物流への積極投資で非海運分野での成長を遂げる。Phase 1の具体的なアクションプラン:≪コンテナ船≫・ONE発足を通じて獲得した規模のメリットの維持・拡大・環境・デジタル戦略を柱とする更なる優位性の構築≪自動車船≫・環境への対応をリードし顧客の評価を高め、パートナーとして選ばれる存在に・増加する中国・インド発ビジネスでの優位性構築≪物流≫・宇徳・商船三井ロジスティクスをコアと位置づけ、両社を中心に成長を図る・海外M&Aによる事業拡大ウェルビーイングライフ事業2035年に向けた方向性:不動産・フェリーに加えクルーズなどの多彩な事業群を形成し、非海運分野の柱に育てる。Phase 1の具体的なアクションプラン: ≪不動産≫・国内:アセットタイプの拡充、再開発・街づくりに取り組む・海外:ベトナム・豪州の事業拡大に加え、東南アジア諸国・インドへ進出 ≪フェリー≫・経営統合(商船三井さんふらわあ設立)のメリット最大化・貨物・旅客それぞれのマーケティング強化 ≪クルーズ≫・新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」の設立、新規投入船のサービス開始・国内顧客に加え、インバウンドを中心に海外顧客の基盤を拡大 <BLUE ACTION 2035の定量目標(利益計画・財務計画・投資計画・株主還元策)>① 利益計画  利益計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。② 財務計画・投資計画  財務計画・投資計画については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。③ 株主還元策  株主還元策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。 <コンプライアンス上の対処すべき課題> コンプライアンス上の対処すべき課題・取組については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況 ④業務の適正を確保するための体制の概要」をご参照ください。 <アドバイザリーボード> 経営戦略およびリスク管理の観点で優先度の高い分野について社外の有識者から意見を得ることを目的とし、2024年4月から社長のもとにアドバイザリーボードを設置しています。今年度は以下5名の有識者を選任しました。 氏名主な経歴専門分野石井 菜穂子氏東京大学グローバルコモンズ担当総長特使未来ビジョン研究センター特任教授、グローバル・コモンズ・センター ダイレクターサステナビリティ江藤 名保子氏学習院大学法学部教授地政学上月 豊久氏前・駐ロシア日本国特命全権大使地政学的場 大輔氏デジタル・ブレイン・イネーブルメント株式会社 代表取締役DX小柴 満信氏Cdots合同会社 Co-Founder技術経営
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減額/増減率売上高(億円)16,27917,7541,475 / 9.1%営業損益(億円)1,0311,508477 / 46.3%経常損益(億円)2,5894,1971,607 / 62.1%親会社株主に帰属する当期純損益(億円)2,6164,2541,638 / 62.6%為替レート\143.43/US$\152.79/US$\9.36/US$船舶燃料油価格 ※US$621/MTUS$603/MT△US$17/MT※平均補油価格(全油種)  当期の対ドル平均為替レートは、前期比\9.36/US$円安の\152.79/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$17/MT下落し、US$603/MTとなりました。  当期の業績につきましては、売上高1兆7,754億円、営業損益1,508億円、経常損益4,197億円、親会社株主に帰属する当期純損益は4,254億円となりました。  売上高は、エネルギー事業また製品輸送事業のうち自動車船事業等の貢献や円安の影響等により前期比で増収となりました。なお、2024年3月より連結子会社としたFairfield Chemical Carriers Pte. Ltd.も増収に大きく貢献しました。 経常損益では、ドライバルク事業が前期比で減益となったものの、コンテナ船事業を中心に製品輸送事業、エネルギー事業の好業績等により前期比で増益となりました。 親会社株主に帰属する当期純損益には、段階取得に係る差益及び投資有価証券売却益並びに減損損失等が含まれますが、主として経常損益の改善により前期比で増益となりました。  セグメントごとの売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下のとおりです。上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)セグメントの名称前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減額/増減率ドライバルク事業3,9554,00044 / 1.1%372139△232 / △62.5%エネルギー事業4,3785,7151,336 / 30.5%6691,036367 / 55.0%製品輸送事業6,1876,159△28 / △0.5%1,2553,0291,773 / 141.3% うち、コンテナ船事業56359329 / 5.2%5152,1761,660 / 322.4%ウェルビーイングライフ事業1,0461,147100 / 9.6%9081△9 / △10.3% うち、不動産事業40843425 / 6.3%8610923 / 26.7%関連事業49153645 / 9.2%2925△3 / △12.6%その他218194△23 / △10.7%436△36 / △84.2%(注)「売上高」は外部顧客に対する売上高を表示しております。 ① ドライバルク事業 ケープサイズの市況は、上半期は西豪州・ブラジルの鉄鉱石出荷や西アフリカのボーキサイト出荷が堅調で、概ね底堅く推移しました。下半期は、12月から2月にかけてのブラジルの雨季による鉄鉱石出荷の停滞に伴い、船腹需給が緩和したことで一時低迷しましたが、3月以降は出荷量の増加と共に回復基調となりました。 パナマックス以下の市況は、上半期は石炭・穀物の底堅い出荷に加え、中国からの鋼材の旺盛な荷動きに支えられ堅調に推移しました。下半期は、パナマ運河の滞船が解消し船腹の稼働率が上がったこと、中国国内需要の低迷、水域間の需給バランス悪化により低調なマーケットが続いたものの、年明け以降は南米穀物の好調な出荷も伴い、市況は回復基調となりました。 ドライバルク事業全体としては、上期に好況を維持したケープサイズ市況による改善効果はありましたが、前年度計上した貸倒引当金の戻し入れによる利益が剥落した影響という特殊要因もあり、前期比で減益となりました。 ② エネルギー事業<タンカー> 原油船は、限定的な新造船供給や地政学的リスクの高まりを受けたプラス要因と、中国の需要減少やOPECプラスの生産調整等のマイナス要因が打ち消し合い、前期比並みの市況で底堅く推移しましたが、機をとらえた輸送契約の更改により収益性が向上しました。 石油製品船は、中国内需の落ち込みを起因として、製油所の稼働低下に伴う石油製品生産量の減少から中国積み市況への影響はあったものの、米国や中東出しの輸送需要が継続したこと、また限定的な新造船供給により市況は堅調に推移しました。 LPG船は、米国及び中東からの輸出は堅調だったものの、パナマ運河の混雑緩和によるトンマイル減少で、市況は前期比でやや軟化しました。斯かる中、新造船の竣工、契約更改等により前期比で増益となりました。 ケミカル船においては中東情勢を背景に多くの船社が喜望峰経由の航路を選択しているためトンマイルが伸長し、好市況が続きました。加えて、当社100%子会社のMOL Chemical Tankers Pte. Ltd.が2024年3月に株式を取得し、連結子会社としたFairfield Chemical Carriers Pte. Ltd.も増益に貢献しました。 このような事業環境下、タンカー事業全体としては前期比で増益となりました。 <オフショア> FPSO事業においては、三井海洋開発㈱の持分法適用化に伴う株式再評価による、持分法による投資利益の計上もあり、前期比で増益となりました。 <液化ガス> LNG船事業は、既存の長期貸船契約や新造船竣工に伴い安定的な利益を確保しましたが、管理船の入渠等による一時的な費用増により前期比で減益となりました。 LNGインフラ事業は、新規プロジェクトの開始や既存プロジェクトの安定操業により、前期比で増益となりました。 ③ 製品輸送事業<コンテナ船> 新造船大量竣工による船腹供給量の増加が見られましたが、喜望峰経由の輸送による供給制約や欧米航路の力強い荷動きにより引き締まった需給環境が続き、スポット運賃市況も高水準で推移しました。その結果、当社持分法適用会社であるOcean Network Express Pte. Ltd.においても前期比で大幅な増益となりました。 <自動車船> 完成車輸送需要は堅調に推移し、港湾混雑の発生や紅海の避航継続による影響を受けたものの、運航効率の向上や為替の影響等により、前期比で増益となりました。 <その他製品輸送> 港湾事業においては、国内コンテナターミナル事業の取扱量は概ね堅調に推移しました。一方、ロジスティクス事業は、荷動きの回復により航空・海上貨物の取扱量が増加したものの、競争の激化に加え仕入れ価格の上昇により前期比で減益となりました。 ④ ウェルビーイングライフ事業<不動産事業> 当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱の業績が堅調に推移し、持分法適用会社の増加に伴う持分法による投資利益の計上等により前期比で増益となりました。 <フェリー・内航RORO船> ㈱商船三井さんふらわあにおいては、急激なコストインフレ影響を受けながらも、貨物事業はモーダルシフトの進行により積高が前期比で大幅に増加しました。旅客事業も好調で、5年ぶりにコロナ禍前の乗船客数まで回復し、前期比で増益となりました。 <クルーズ事業> 堅調な旅行需要を捉え、利用客数は好調であったものの、MITSUI OCEAN FUJI就航に向けた費用が先行し、前期比で減益となりました。 ⑤ 関連事業 曳船事業及び商社事業を含む関連事業は前期比で減益となりました。 ⑥ その他 その他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、金融業等がありますが、前期比で減益となりました。 (2)生産、受注及び販売の実績 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したとおり、6つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社ごとに異なっているため、それらをセグメントごとに金額、数量で示しておりません。セグメントの売上高セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)前期比(%)ドライバルク事業400,015101.1%エネルギー事業571,531130.5%製品輸送事業615,96699.5% うち、コンテナ船事業59,310105.2%ウェルビーイングライフ事業114,772109.6% うち、不動産事業43,404106.3%関連事業53,695109.2%その他19,48989.3%合 計1,775,470109.1% (3)財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,623億円増加し、4兆9,844億円となりました。これは主に船舶が増加したことによるものです。 負債は、前連結会計年度末に比べ5,077億円増加し、2兆2,602億円となりました。これは主に長期借入金が増加したことによるものです。 純資産は、前連結会計年度末に比べ3,545億円増加し、2兆7,242億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、3.2ポイント低下し、53.9%となりました。 なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。 (4)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、404億円増加し、1,559億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が4,527億円となったこと等により、3,604億円(前期3,142億円)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により、△4,508億円(前期△3,528億円)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入等により、1,170億円(前期497億円)となりました。 なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。 (5)財務戦略 2023年3月に策定した経営計画「BLUE ACTION 2035」において、海運不況時でも黒字を維持できる事業ポートフォリオへの変革に取り組み、着実に利益を積み上げる計画です。Phase 1と位置づけております2023~2025年度の3年間で、2025年4月の最新見通しでは約18,750億円の事業投資を計画しております。事業投資では、財務規律を維持する方針を基本とし、成長投資を実行する過程でのネットギアリングレシオの一時的な上昇は最小限に抑え、ネットギアリングレシオ0.9~1.0を目安にコントロールします。(有利子負債額はIFRS導入後に織り込むべき将来傭船料などオフバランス資産(約9,000億円)を含んだものを想定。なお、本数値は当社が一定の想定の下に試算した概算値で、IFRSを正式に適用した場合の算出値とは相違する可能性があります)。 ① 資金調達の方針 当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。 また、金利変動リスクや為替変動リスク等を把握し、過度に市場リスクに晒されないように、金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、金利固定化比率や借入通貨構成をリスク許容範囲に収めるようにしております。 ② 資金調達の多様性 当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。 直接調達については、2024年度には新規の国内普通社債発行を実施しており、2024年5月に266億円、2025年1月に180億円を発行しました。 2025年3月末の国内普通社債発行残高は886億円、劣後特約付社債発行残高は500億円となっております。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2025年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「A」、日本格付研究所(JCR)「A+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)「Ba1」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-1」/「J-1」を取得しております。 当社は社債発行残高の上限として2,000億円の社債発行登録、CP発行枠として1,500億円を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする間接調達により、運転資金や設備資金の需要に迅速に対応できるものと考えております。 更に、安定的な経常運転資金枠の確保・緊急時の流動性補完を目的に国内金融機関から円建て及び米ドル建てのコミットメントラインを設定しており、資金の流動性確保に努めております。 当社の環境戦略を資金調達の面から支えるESGファイナンスについては、2024年4月にシンジケーション方式トランジション・リンク・ローン、2024年9月にトランジション・リンク・ローンを組成しております。 ③ 資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、各事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては、船舶への投資に加え、非海運事業の拡大方針に則った不動産・物流設備・フェリー等への投資があり、当連結会計年度中に4,536億円の設備投資を実施しました。 ④ グループ資金の効率化 当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。 (6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。・契約損失引当金 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。・固定資産の減損 当社グループは、資産又は資産グループが使用されている事業の経営環境及び営業活動から生ずる損益等から減損の兆候判定を行っており、減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により減損の兆候及び認識の判定の前提となる事業計画等が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。・貸倒引当金 当社グループは、売上債権及び貸付金等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。 (7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 当期の業績は、コンテナ船事業、自動車船事業、ケミカル船事業の好市況に支えられ、経常利益4,197億円、税金等調整前当期純利益4,527億円を達成し、グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 1 最終年度である2025年度の利益目標として定めた、税引前当期純利益2,400億円を前倒しで達成する結果となりました。 ドライバルク事業は、長期契約による利益貢献がありつつも中国内需の低迷等により市況が低迷し、また、前期に計上した貸倒引当金の戻し入れによる利益の剥落の影響もあり、前期比で減益となりました。エネルギー事業は、タンカー・LNG船・FPSOの各事業での長期契約による安定収益に加え、限定的な新造船供給や地政学リスクの影響に伴うトンマイルの伸長により市況が堅調に推移し、特にケミカル船事業において高水準の市況を享受し、前期比で増益となりました。コンテナ船事業は、喜望峰ルートの長期化、港湾混雑、コンテナ不足により、船腹・コンテナ需給が逼迫し運賃市況が高水準で推移した結果、前期比で大幅増益となりました。自動車船事業は、完成車輸送需要が堅調に推移した結果、通年で好市況を享受し、前期比で増益となりました。不動産事業は、既存物件の賃貸収入に加え、持分法適用会社における投資利益の計上により、前期比で増益となりました。フェリー・内航RORO船事業は、貨物輸送が前期比で増加し、旅客輸送もコロナ禍前の乗船客数に達したことから、前期比で増益となりました。 2025年度は、コンテナ船事業・自動車船事業・ケミカル船事業の市況がピークアウトし、米国の関税政策によりインフレ進行・世界経済停滞が懸念される中、荷動きの弱含みと円高影響を見込み、前期比で減益を見込んでいます。ロシア・ウクライナや中東情勢等の地政学的緊張の継続を始めとして当社グループを取り巻く事業環境の不確実性は引き続き高いですが、「BLUE ACTION 2035」に基づき、グローバルな社会インフラ事業への飛躍に向けて邁進します。  経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、「BLUE ACTION 2035」で掲げるCore KPI・利益計画・投資計画・財務計画は以下のとおりです。 <Core KPI> グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」では、その目標の達成状況を判断するための指標(Core KPI)として、3つの財務KPI・5つの非財務KPIを設定しています。 <利益計画> BLUE ACTION 2035」では2035年度4,000億円という利益目標を設定しており、Phase 1(2023~2025年度)の期間では経営計画で掲げた目標を堅持する方針としています。なお、将来的な国際財務報告基準(IFRS)の適用を想定し、利益目標の数値は税引前当期純利益(*)としています。(*)日本会計基準を前提に算出しており、国際財務報告基準(IFRS)を適用した場合の算出値とは相違する可能性があります。 <投資計画> 「BLUE ACTION 2035」では、2023~2035年度の累計で約3.8兆円の投資を想定しています。うち、Phase 1(2023~2025年度)の3年間では総額13,400億円の投資(*)計画を設定しており、これまで、この投資計画を超過する累計18,750億円の投資に目途が付いております。その中でも、当社及び世界のGHG排出量削減に貢献する環境投資については9,590億円を意思決定しています。(*)いずれも対象期間中に発生する投資キャッシュアウト額を示す。 <財務計画> 2024年度の業績とONEが計画する特別配当を反映することで、3年間累計の営業キャッシュ・フローが当初計画比で約2,500億円上振れする見込みです。あわせて、外部資金調達と資産入替を進め、追加の投資と株主還元の実施を進めます。 また、当社の株主還元方針は、積上げた利益で積極投資を行い、利益を拡大し、企業価値を高めていく従来の方向性から変更はありません。Phase 1(2023~2025年度)では配当性向30%、1株当たりの最低保証配当額を150円とする方針を維持し、海運市況サイクルが低位を推移するときでも配当額が過小となることを防ぎつつ安定配当に努めます。  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

事業リスク

商船三井グループは、運航・操業における事故リスクを抱えており、衝突、座礁、火災、油濁事故などが船体や環境に重大な損害を与える可能性があります。また、情報システムへの依存度が高いため、サイバー攻撃やシステム障害といったICTインシデントが発生した場合、事業活動に大きな影響が出る恐れがあります。さらに、大規模な災害や感染症の発生は、船舶の運航や従業員の活動を制限し、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、同社は各種対策本部やBCP(事業継続計画)を整備し、対応力を強化しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|9,228 文字
3【事業等のリスク】<リスク管理に関する基本的な考え方> 世界中で幅広く事業を展開する当社グループは、様々なリスクに晒されています。下表のとおり、当社グループの事業が晒される主要なリスクを、管理手法に基づき「エマージングリスク」、「業務遂行上のリスク」に分類し、種別ごとに担当部門を置き、管理規程やガイドライン等に従って、リスク量の把握やヘッジによるエクスポージャーの削減、保険付保等によるリスク移転を含めたリスク低減策を講じています。各担当部門によるリスク管理の状況は定期的に経営会議(重要なものについては、取締役会)に報告され、情報の一元管理と必要な判断・対応が行われています。また、新規の投資判断を含む重要な意思決定にあたっては、予め専任の社内審査部門にてリスクの洗い出しを行い、必要に応じて起案する各担当部門によるアセスメントを経て、意思決定プロセスに入ります。意思決定の内容・重要性に応じて、経営会議の下部機関として6つの委員会(「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 当社のコーポレート・ガバナンス体制」をご参照)を設け、事前審議をおこなうことにより、リスクの掘り下げや論点整理がなされます。また、最重要案件については、経営会議における慎重な審議を経て取締役会に付議され、リスク管理を重視した判断を行っています。 <リスク管理の高度化に向けた施策> 当社事業に影響を与える外部環境の変化のうち、発生確率や影響度合いを定量的に把握できないものを「エマージングリスク」と定義しています。近年、エマージングリスクへの対応はリスク管理の点で重要性が高まっており、エマージングリスクを全社横断的に管理し、取締役会が対応策を意思決定する仕組みを導入することを目指しています。2021年度から全社リスクマッピングに向けた検討を開始し、2022年度以降はエマージングリスク・業務遂行上のリスクそれぞれの管理手法の確立に向けて取締役会での議論を行っています。  当社グループの事業リターンの主な源泉でもある海運市況変動に伴う資産価値の変動リスクに対しては、2014年からアセットリスクコントロールと呼ぶ仕組みを導入し、バリューアットリスク(VaR)に基づくリスク量に対して自己資本が十分な水準にあることを検証する形でリスクの定量評価を行い、半年に一度、取締役会と経営会議に報告し監督を受けています。 更に、オペレーション、事業継続(BCP)、コンプライアンス等に係わるリスクに対する管理体制の高度化も続けています。2020年7月26日にモーリシャス沖で発生した当社がチャーターするドライバルク船WAKASHIO号の油濁事故を踏まえ、当社又は当社グループ全体の事業活動に対して甚大な影響を及ぼしうる事象(クライシス)が発生した場合に迅速に対策を講じる体制(クライシス対策本部)を整備しました。事業継続と企業価値維持を図るべく、社会的インパクトを考慮しつつ当社グループ一丸の対応を実施するものです。 その他にも当社は、重大海難事故を含む海難事故、地震等の災害や感染症及び重大ICTインシデント等が生じた場合には、それぞれ関連する規程に基づき、事業継続を含む早期復旧・再開を図るための組織として各対策本部を設置して適切に対処する体制を整えています。これら各対策本部の枠組みにとどまらないクライシスと判断する場合には、上述のクライシス対策本部を設置します。 また、2021年からグループ会社を対象に重要リスクの洗い出しとその評価を定期的に行うリスクアセスメントを開始しています。 <エマージングリスク管理の考え方> 重要なリスクシナリオとして特定されたものについて、取締役会は経営の基本方針に則り、直近の兆候情報と専門家の見解を踏まえ、当社事業への影響、及び当社が取り得る対応策について議論を行います。また、エマージングリスクを事業機会としても認識し、経営計画や事業戦略策定の為の十分な議論を取締役会と執行役員が行います。 <アセットリスクコントロールの考え方> 金融機関で幅広く利用されているリスク管理手法を海運業向けに応用したもので、保有アセットに対して同時に相当程度のストレスシナリオを適用し、それが一定期間継続した場合に想定される最大の損失額を計算し、その総額を総リスク量と見做して、自己資本との比較で過大とならないように管理するものです。本枠組みにおいては、アセット毎の市況が異なるタイミングで変動することによる分散効果を考慮している他、カントリーリスクや顧客信用リスク、グループ会社の事業リスクも加味して、適切にリスク量を計測できる仕組みを構築しています。 <主要なリスクの概要と対応策>1.経営計画・投資計画の進捗に影響を与えうるリスク項目 当社グループは、海運事業を中心として当社グループが強みを持つ分野に経営資源を重点的に投入していますが、以下に記載する各種リスクによって、投資した事業が想定通りに進展せず、投下資金の回収不能、損失発生、及び計画した利益が上がらないなどの可能性があります。 新規の投資決定にあたっては、投資の意義・目的を明確にした上で、各種リスクの発現可能性・影響度を認識・測定し、投下資金に対する利回りが期待収益率を上回る蓋然性を評価し、選別を行っています。しかしながら、投資評価の段階で案件の選別を厳格に行ったとしても、期待した通りの利益が上がらない可能性を完全に排除することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (1)運航・操業リスク 約800隻の多様な船舶や洋上設備を運航・操業し、海運業を中心とした様々な社会インフラを提供する当社にとって、衝突・座礁・火災といった事故による船体・積み荷・乗組員への損害や損傷、貨物油や燃料油流出による環境汚染(油濁)は最も重大なリスクの一つです。当社は事故を未然に防ぐため、保有船・傭船の区別に関わらず、安全運航本部と各事業本部、船主(傭船の場合)、及び船舶管理会社との緊密な連携のもと、乗組員に対する教育・指導や、安全を担保する船体仕様の整備などソフト面・ハード面で様々な対策を講じています。また、海賊やテロの危険に対しても、十分な訓練、緻密な運航ルール設定、陸上からのサポート、必要な設備の設置など、様々な備えを行っています。 なお、最善を尽くした上でも避けきれない事故によって当社自身もしくは関係者に損害が発生した場合においても、業績に大きな影響を受けることを回避するため、また十分な補償原資を確保するため、必要な金額の各種保険(賠償責任保険・船体保険・戦争保険・不稼働損失保険)を付保し、備えとしています。 また、レピュテーションリスクを抑えるため、事故発生時のメディア対応や情報発信について、年に一度重大海難対応訓練を実施しているほか、必要に応じメディアコンサルタントを起用しています。 (2)サイバーセキュリティリスク 当社グループの事業及び業務は、情報システムに大きく依存しており、重大ICTインシデント(ICTシステム障害、サイバー攻撃、自然災害、オペレーションミス等を起因として発生または発生の可能性があるセキュリティ・プライバシーの侵害及び当社グループの信頼低下等)が発生した場合には、当社グループの事業が大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは「重大ICTインシデント対策本部規程」及び「重大ICTインシデント対応ガイドライン」において、グループ共通のインシデントレベルの判断基準、インシデントレベルに応じた対応方針を定めています。重大なICTインシデントが発生した場合には、対策本部が設置され、ステークホルダー(株主、顧客、メディアなど)への報告・説明、技術的・法的対応等を速やかかつ組織的に実施し、当社グループの利益、ブランド、信用を著しく損なう事態の発生を防ぐ体制としています。 (3)災害・感染症リスク 大規模な災害や感染症等は当社グループ運航船の乗組員のみならず、陸上で勤務する従業員の活動を制限し、当社グループの持続的な事業活動に大きく影響が及ぶことが想定されます。 大規模な地震等の災害発生時にも船舶等の運航・操業を維持し、サプライチェーンを支える社会的役割を果たすため、当社はBCPマニュアルを定め、サテライトオフィスやシステムのバックアップ体制を整備しています。災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、より実効性を高めています。 また、災害や感染症の流行に際して、船舶等と役職員の安全を最優先に確保し、事業の中核である「海上運送サービス」の提供継続と、万が一それが中断した場合に早期復旧を図ることを目的に、事業継続計画(BCP)を策定しています。また本社役職員全員にノート型PCを配布することにより、クラウド型ツール等を活用してリモート環境から勤務可能な就労体制を整備しています。 (4)グループガバナンスリスク 当社はグループの経営戦略上特に重要なグループ会社である商船三井ドライバルク株式会社、MOL Chemical Tankers Pte. Ltd.、株式会社宇徳、商船三井ロジスティクス株式会社、ダイビル株式会社、株式会社商船三井さんふらわあ、商船三井クルーズ株式会社、商船三井マリテックス株式会社をはじめ、子会社、関連会社を有しております。当社グループとしての企業価値の向上と業務の適正を確保する体制を整備しておりますが、子会社の統治が十分に機能せず、発生したインシデントの対応の遅れなどが生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、2023年度から「チーフ・オフィサー制」を整備して、当社グループのコーポレート機能を横断的に統括し、一体的かつ戦略的な取り組みを強力に支援する体制に移行しました。各チーフ・オフィサーは、社長(CEO)の権限と責任の一部について委任を受け、特定の横断的機能において、当社(本社)のみならず当社グループ全体を指揮・統制することをその任務としています。 また、2022年度から国内外グループ会社に対するリスクアセスメントを導入しました。各グループ会社のセルフアセスメントを通じ、各社及び本社管理担当部署がリスクの所在・内容を把握し、また本社経営陣及びコーポレート部門がグループ全体のリスクについて把握することで、それぞれがより実効的なリスク管理体制の構築を行うための基礎資料とすることを目的としています。 (5)人権に関わるリスク、バリューチェーンにおける各種リスク 当社グループにおける全てのバリューチェーンにおいては、人権・安全・環境面等、バリューチェーン全体の持続可能性に関する様々なリスクが存在します。特に、あらゆる形での差別・長時間労働・ハラスメント・強制労働・児童労働等の人権に関わるリスクは社会的な関心事となっていることから、それらの発現は当社グループの企業価値の毀損につながる恐れがあります。 このため、当社グループでは、サステナビリティ課題「“Governance” 事業を支えるガバナンス・コンプライアンス」内に「人権尊重」と「責任ある調達」を掲げ、関連する取り組みを強化しています。当社グループでは「商船三井グループ人権方針」、「商船三井グループ調達基本方針」、及び「取引先調達ガイドライン」を整備しており、当社グループとしての「人権尊重」への姿勢を改めて社内外に示すとともに、人権・安全・環境等に配慮した持続可能なバリューチェーン構築のため、取引先を含む、多様なステークホルダーから理解・協力が得られるような内容としています。 また、社内方針整備のみならず、バリューチェーンマネジメントの仕組み構築も推進しています。以下に示す各ステップのとおり、人権デューデリジェンスを包含したバリューチェーンのモニタリングスキームの立案・実装を進め、環境・人権・ガバナンス関連のリスクについて実態の把握及び解消に努めます。これらは適時適切に効果の検証と情報の開示を行うことにより、ステークホルダーへの説明責任を果たします。 (6)海運市況・顧客信用・カントリーリスク 当社は以下の考え方の下、海運市況・顧客信用・カントリーリスク管理を行っています。・市況リスク 中長期契約を前提としない船舶等に投資する場合、貸船料・運賃等が市況によって左右される可能性があります。当社グループは、将来的な需給バランスの見通しを注意深く精査し、同リスクの低減を図っています。加えて市況変動パターンが異なる幅広い種類の船舶や海運関連事業を手掛けるとともに、海洋事業、洋上風力発電事業、物流事業、或いは不動産事業といった非海運事業への積極投資を掲げるポートフォリオ戦略によって、事業ごとの市況リスクを分散しています。また、期中リスクの低減については、例えばケープサイズバルカーやVLCCといった船種において、FFA(運賃先物取引)をヘッジ手段として活用することにより、既に進行中の事業年度における市況エクスポージャーを削減し、損益とリスクの安定化を図っています。・顧客信用リスク 顧客の信用不安により、貸船料・運賃等を回収できない、又は減額を求められるリスクがあります。当社グループは、国内外の信用力の高いお客様との中長期契約獲得を積極的に推し進めることで同リスクの低減を図っています。また、融資においては、融資先の信用状態の悪化に伴う貸倒引当金の計上等により、当社の業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。このため、融資先の財務状況等は定期的にモニタリングする体制としております。・カントリーリスク 重要リスクの見込まれる国・地域別の投下資本全体(関連資産総額)について、「アセットリスクコントロール」(前述)と同様に、半年に一度、取締役会、及び経営会議にて定期的に把握する体制としています。 なお、現時点において地政学リスクが発現しているロシア関連の事業については、LNG船15隻、コンデンセートタンカー1隻が貸船契約に従事中、もしくは貸船契約開始前の状態にあります。この内、砕氷機能を有する、LNG船3隻及びコンデンセートタンカー1隻(合計投資額約1,032億円(*))の貸船契約について、当社は欧米の制裁強化に対応し、必要な措置を講じています。契約スキームの変更を要さないものも含めた砕氷機能を有する等特殊仕様の7隻(合計投資額約1,652億円(**))は他事業への転用が難しいため、万一契約が継続できない状況になった場合、関係先への船舶の売却など最大限の対策を講じるものの、資産価値が減少する可能性があります。(*)当連結会計年度末投資残高575億円及び今後投資予定の457億円の合計であり、関連会社保有分は当社持分相当を含めて算出している。(**)当連結会計年度末投資残高1,194億円及び今後投資予定の457億円の合計であり、関連会社保有分は当社持分相当を含めて算出している。なお、いずれの隻数も関連会社保有分を含めた隻数。 各数値(金額)は単位未満を切り捨てて記載している。 (7)為替・金利・燃料油価格変動リスク・為替 外航海運業においては、収入のほとんどが米ドル建てであるのに対し、日米の金利水準なども踏まえて費用や借入の一部を円建てとしているため、為替リスクを負っています。当社は財務部門を通じた将来的な金融環境の見通しを踏まえ、必要に応じて費用のドル化やドル借入によりエクスポージャーを限定し、その上で期中に機動的な為替ヘッジも行うことで、更なるリスク低減に努めています。・金利 当社グループでは、船舶等の新規建造や更新、不動産の購入のために継続的な設備投資を行っていますが、長期の設備資金調達時には、固定金利借入や金利スワップを活用することで金利変動リスクを回避することを原則としています。・燃料油価格 燃料油は船舶運航費用の大きな部分を占めることから、かつてその価格変動は当社グループの損益に多大な影響を及ぼしていました。しかしながら、現在では中長期契約の大部分に燃料油価格変動リスクをお客様にご負担いただく条項が含まれているほか、短期契約においても、その時々の燃料油価格に基づく運賃提示を行うか、一定の算式によって燃料油価格変動を運賃に反映する契約としています。それでも残る限られたエクスポージャーに関しても、燃料油先物取引を活用してリスク量の縮減に努めており、燃料油価格変動による損益影響は今では極めて限定的となっています。 (8)気候変動リスク 地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げに繋がる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社にとって、公的規制等による費用増大や輸送需要の構造的減少などの形で事業環境を大きく変える可能性があります。 当社グループはこうした流れに即して「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において2050年までのGHGネットゼロ・エミッション目標を掲げ、その達成に向けてロードマップを策定・公表し、クリーン代替燃料や省エネ技術の導入、効率運航の深度化等を進めています。また、代替燃料輸送や低・脱炭素化に資するソリューションを開発・提供することにより、脱炭素化の流れを新たな需要喚起に繋げ、ビジネスチャンスとしていきます。当社グループが負う気候変動リスクの全体像や対処方針については、TCFDの枠組みを活用し、その詳細を開示しています。 (9)技術革新・公的規制 当社グループは、技術革新による陳腐化、又は公的規制の変更等により、保有資産の価値低下に伴う損失を計上する可能性があります。また、保有資産価値低下に伴う売却や傭船・リース契約の中途解約を行う場合があり、その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。・技術革新 当社グループの主たる事業分野である外航海運業では、投資対象となる船舶等資産の保有期間は通常20年~30年にも及ぶものとなります。デジタル技術や代替燃料に関する技術が急速な発展を遂げている中、当社グループが保有する資産の陳腐化、或いは競争力の低下等が生じる可能性があります。また、技術革新に対応するために、設備投資等の負担が増加する可能性があり、かかる場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、このような技術革新の動向を捉えて、国内外造船所や外部研究機関との密な連携をはじめ、社内でも先進的な技術開発を行うことで、新規技術の評価・検証を実施し事業展開に活用しています。・公的規制 外航海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。また、その他の事業分野も含め、事業を展開する各国において、事業・投資の許可をはじめ、運送、通商、独占禁止、租税、為替規制、環境、各種安全確保等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためには費用が発生しており、また、これらの規制が変更された場合、もしくは新たな規制等が導入された場合には、新たな費用が発生する可能性があります。加えて、当社グループは、これらの規制の遵守体制を構築し、運用状況について情報収集を行っておりますが、関係当局による調査の対象となることや、その調査の結果によっては処分や処罰を受けることがあります。 (10)コンプライアンスリスク 当社グループにおいて、各種ハラスメント、贈賄、独禁法・競争法違反、インサイダー取引等のコンプライアンス関連のリスクは、時に巨額の損害賠償請求につながる恐れがあり、当社グループの持続的な事業活動に大きく影響が及ぶことが想定されます。・コンプライアンス実現に向けた取り組み 当社は、2014年に公正取引委員会から、特定自動車運送業務の取引に関連して独占禁止法第3条に違反する行為があったと認定されました。当社グループでは、コンプライアンス遵守が企業活動の大前提であることを役職員一人ひとりが深く心に刻み、日々の業務において適切な判断を下せるよう、規範とすべき行動基準を定めたコンプライアンス規程を整備し、継続的な研修によりその徹底を図っています。また、コンプライアンス委員会を3カ月ごとに開催し、グループ内のコンプライアンス事案を審議、違反案件への対応を行っているほか、事例の件数や内容を社内に公開することにより、役職員の意識向上を促しています。・コンプライアンス相談窓口 当社グループでは、当社及び当社グループの役職員、派遣社員が日本語・英語で利用することのできるコンプライアンス社内・社外相談窓口を設置しています。社外相談窓口については社外の弁護士がその任にあたり、受け付けた報告・相談をコンプライアンス委員会事務局に伝えるとともに、それ以降も報告・相談者と会社間の連絡を取り次ぎます。いずれの窓口においても報告・相談者の秘密は厳守されるとともに、調査協力者も含めて、不利益な処遇がなされないことが保証されています。更に、当社Webサイトにおいて、国内外取引先など一般外部からのコンプライアンスに関する問い合わせも受け付けています。・独禁法遵守及び腐敗防止への取り組み 当社グループでは、独禁法遵守行動指針及び贈賄等防止規程、加えてより具体的なガイドラインである「DO!s &DON’T!sガイド」等を作成し、各種研修を通じて国内外における法規制の概要と留意点を全従業員に周知することにより、独禁法遵守及び腐敗防止の徹底に努めています。  なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 また、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。加えて、将来の予測等に関する記述は、現時点で入手された情報に基づき合理的と判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されております。従って、実際の業績は、見通しと異なる結果となる可能性があります。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 商船三井 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →