研究開発活動(本文)
FY2025|2,577 文字
6 【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に総合エネルギー、産業ガス・機械からマテリアルまでの事業領域を対象として取り組むとともに、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発、さらには脱炭素に向けた新技術開発に注力しました。 当社グループは、兵庫県尼崎市の中央研究所及び岩谷水素技術研究所を中心に研究開発活動を行っております。中央研究所はグループ全体の成長ビジョンを見据え、新事業・新商品の開発に繋がる研究開発に取り組みました。また、お客さまへの技術サービス、当社取扱製品の品質管理、商品開発効率を高めるため、分析を主体とした基盤技術の強化にも取り組みました。 岩谷水素技術研究所では、最新鋭の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いながら、水素ステーション建設コストの低減や保安強化につながる研究開発を進めました。また、液化水素の冷熱を回収するための熱交換器の開発や将来の液化水素ステーションの実用化に向けた充填技術開発を推進しました。さらに、バイオ燃料や水素と二酸化炭素からプロパンなどの炭化水素燃料を合成する研究を進めています。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,589百万円となりました。また、当社の研究開発費は2,134百万円であります。 主な研究開発内容は水素関連で、その金額は434百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業355百万円、産業ガス・機械事業88百万円、マテリアル事業121百万円、その他1,589百万円となっております。その他には、研究開発拠点である当社研究所の共有費用が含まれています。 なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素エネルギー関連) 水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、水素エネルギー社会の実現を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。 具体的には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業に参画し、これまでに液化水素運搬船や受入基地に関するエンジニアリングデータなど様々なデータを蓄積してきました。今後は液化水素運搬船に関する規格の国際標準化と商用時のターミナルの運営費・建設費削減に資するデータ収集を行っていきます。「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、引き続き商用水素ステーションや県内施設に設置される燃料電池への水素ガス供給を行いました。NEDOとの契約は2025年度まで延長となり、水素製造コストを低減するための水素製造設備の運用最適化や水素需給管理の最適化に取り組みます。 大阪・関西万博において、国内初となる水素燃料電池船の旅客運航を開始しました。万博会場までの航路は、大阪の中心地である中之島ゲートからユニバーサル・シティポートを経由し、万博会場の夢洲を繋ぐルートで運航しております。研究所のカーボンニュートラル化を目指して導入した100kW純水素型燃料電池発電設備については順調に稼働しており、研究所のCO2排出量削減に貢献しています。 (総合エネルギー事業) カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの製造技術に関する調査研究を進め、岩谷水素技術研究所にてラボレベルでの基礎技術を確立しました。グリーンLPガスの合成触媒開発を進めており、今後小型製造実証設備での検証を行っていきます。 また、NEDO委託事業として、岩谷水素技術研究所での水素混合LPガスに対するガス機器の安全性検証を完了させ、2025年度に株式会社グリージョンおよび相馬ガス株式会社と共同で、福島県南相馬市の集合住宅にて既存インフラを利用した水素混合LPガスの導管供給の実証試験を行います。 さらに、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、ガスコンロ以外の応用商品や熱電発電素子を使った製品開発を進めています。 (産業ガス・機械事業) 再生医療分野に力点を置き、大阪大学との共同研究で得られた細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究成果を活かし、細胞保管輸送容器や凍結装置の開発を進めました。また、「再生医療・バイオ研究開発拠点」である中央研究所のバイオ研究専用クリーンルームを活用し、細胞構造体(3D細胞)製品への実用化が期待できる新たな凍結技術を確立しました。共同研究先と事業化の検討を進めていきます。 陸上養殖分野における酸素ガスなどの事業拡大に向け、中央研究所に導入した陸上養殖の研究設備を活用し、バナメイエビ養殖における酸素富化効果を確認しました。今後は養殖条件の見極めに加え、センサーやカメラなどデジタル技術を活用した養殖向け飼育システムの開発を行っていきます。 中央研究所で確立した半導体向け重水素ガス製造技術を基に、岩谷瓦斯株式会社三重工場内で稼働させた重水素プラントは順調に稼働しています。更なるプラントの運転効率化、製造ロス削減に寄与する技術開発を行うとともに、新たな付加価値の高い半導体材料ガスの開発を進めています。 溶接・溶断分野では、銅とステンレスの異種金属接合技術を確立しました。高価な銅の使用量削減を目的に、エアコン業界等への提案を進めています。また、電気自動車等の車両軽量化に需要が高まっているアルミダイキャストの溶接技術を開発しました。 (マテリアル事業) 携帯電話やパソコン向けに需要が拡大する積層セラミックコンデンサー(MLCC)に使われるナノニッケルの合成技術開発を推進しました。大手ユーザーにサンプルを出荷し、評価を受けながら品質を高めるとともに、量産移管に向けた自動化や製造コストの削減技術の開発に取り組んでいます。
FY2024|2,437 文字
6 【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に総合エネルギー、産業ガス・機械からマテリアルまでの事業領域を対象として取り組むとともに、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発、さらには脱炭素に向けた新技術開発に注力しました。 研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、新事業・新商品の開発に繋がる研究開発に取り組みました。また、お客さまへの技術サービス、当社取扱製品の品質管理、商品開発効率を高めるため、分析を主体とした基盤技術の強化にも取り組みました。 岩谷水素技術研究所では、最新鋭の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いながら、水素ステーション建設コストの低減や保安強化につながる研究開発を進めました。また、液化水素の冷熱を回収し研究所内建物で利用する技術や将来の液化水素ステーションの実用化に向けた充填技術開発を推進しました。さらに、水素と二酸化炭素からプロパンなどの炭化水素燃料を合成する研究を進めています。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,248百万円となりました。また、当社の研究開発費は1,819百万円であります。 主な研究開発内容は水素関連で、その金額は390百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業331百万円、産業ガス・機械事業78百万円、マテリアル事業146百万円、その他1,301百万円となっております。その他には、研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれています。 なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素エネルギー関連) 水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、水素エネルギー社会の実現を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。 具体的には、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業に参画し、海上輸送実証や海上からの受入基地でのローディングアームの試験などを通じ、液化水素運搬船や受入基地に関するエンジニアリングデータを蓄積しました。「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、NEDOとの契約を2025年度まで延長し、商用水素ステーションや県内施設に設置される燃料電池への供給を継続するとともに、水素需給管理の最適化など水素製造コスト低減に向けた取り組みにも着手しました。 2025年に開催される大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船のデザインや仕様を決定し建造を進めるとともに、船舶用水素ステーションを建設しました。また、日揮ホールディングス株式会社や豊田通商株式会社と共同で、廃プラスチックを原料とした水素製造技術に関する調査を完了し、詳細な事業化の検討を進めました。さらに株式会社大林組と共同で、液化水素冷熱を回収し事務所空調などへ利用する研究開発を進めるとともに、カーボンニュートラル化への取り組みとして、研究所に100kW純水素型燃料電池発電設備を導入し、稼働させました。 (総合エネルギー事業) カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの製造技術に関する調査研究を進め、岩谷水素技術研究所にてラボレベルの基礎技術の確立を進めています。 また、NEDO委託事業として、相馬ガスホールディングス株式会社他と共同で、既存インフラを利用した水素混合LPガスの導管供給の実証試験に向けたF/Sを完了させ、新たに相馬ガス株式会社の事業エリアでの実証試験がNEDO助成事業に採択されました。2024年度中に設備を完成させ、実証試験を開始します。 さらに、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電機能を生かした製品開発を進めています。 (産業ガス・機械事業) 再生医療分野に力点を置き、大阪大学との共同研究講座で得られた細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究成果を活かし、細胞保管輸送容器の開発や凍結装置の開発を進めました。また、「再生医療・バイオ研究開発拠点」である中央研究所のバイオ研究専用クリーンルームを活用し、人工血管を凍結・解凍できることを確認しました。共同研究先と事業化の検討を進めていきます。 陸上養殖分野における酸素ガスなどの事業拡大に向け、中央研究所に導入した陸上養殖の研究設備を活用し、ヒラメ養殖における酸素富化効果を確認しました。今後更に魚種を拡大し、魚種ごとの最適養殖条件を見極めていきます。 中央研究所で確立した半導体向け重水素ガス製造技術を基に、岩谷瓦斯株式会社三重工場内で稼働させた重水素プラントは順調に稼働しており、プラントの運転効率化、製造ロス削減に寄与しています。 溶接・溶断分野では、コータキ精機株式会社と共同で100%の水素ガスを使用して鋼板を切断する水素切断機を開発し商品化するとともに、銅とステンレスの異種金属接合技術を開発しました。 (マテリアル事業) 携帯電話やパソコン向けに需要が拡大する積層セラミックコンデンサー(MLCC)に使われるナノニッケルの合成技術開発を推進しました。大手ユーザーにサンプルを出荷し、評価を受けながら品質を高めるとともに、事業化に向け、自動化による生産量のアップや製造コストの削減技術の開発に取り組んでいます。
FY2023|2,490 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業までの事業領域を対象として取り組むとともに、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発、さらには脱炭素に向けた新技術開発に注力しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、新事業・新商品の開発に繋がる研究開発に取り組みました。また、お客さまへの技術サービス、当社取扱製品の品質管理、商品開発効率を高めるため、分析を主体とした基盤技術の強化にも取り組みました。2021年10月に設立した岩谷水素技術研究所では、最新鋭の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いながら、水素ステーション建設コストの低減や保安強化につながる研究開発を加速しました。また新規開発テーマとして、液化水素の冷熱回収技術や将来の液化水素ステーションの実用化に向けた充填技術開発に着手しました。さらに、水素と二酸化炭素からプロパンなどの炭化水素燃料を合成する研究を進めています。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,056百万円となります。そのうち、当社の研究開発費は1,644百万円であります。主な研究開発内容は水素関連で、その金額は351百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業334百万円、産業ガス・機械事業69百万円、マテリアル事業103百万円、自然産業事業6百万円、その他1,190百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素エネルギー関連)水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、水素エネルギー社会の実現を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。具体的には、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業(HySTRA)に参画し、海上からの受入基地でのローディングアームの試験などを通しエンジニアリングデータを蓄積しました。「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、商用水素ステーションや県内施設に設置されている燃料電池への供給を継続するなどの実証試験に取り組みました。また、バス・トラック等の大型車に対応した水素ガス供給に関わる計量管理技術の開発にも取り組みました。2025年に開催される大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船のデザインや仕様を決定し建造を進めるとともに、船舶用水素ステーションの建設にも着手しました。また、日揮ホールディングス株式会社や豊田通商株式会社と共同で、プラスチックを燃料にして水素を製造する技術の調査を進めました。さらに株式会社大林組と共同で、液化水素冷熱を回収し事務所空調などへ適用する研究開発にも着手しました。 (総合エネルギー事業)カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの製造技術に関する調査研究を進め、岩谷水素技術研究所にてラボ試験に着手しました。また、NEDO委託事業として、相馬ガスホールディングス株式会社他と共同で、既存インフラを利用した水素混合LPガスの導管供給の実証試験に向けたF/Sを完了しました。2023年度は相馬ガス株式会社の事業エリアでの実証試験を目指します。さらに、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電機能を生かした製品開発を進めています。 (産業ガス・機械事業)再生医療分野に力点を置き、大阪大学との共同研究講座で得られた細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究成果を活かし、細胞保管輸送容器の開発や凍結装置の開発を進めました。また、2021年度に「再生医療・バイオ研究開発拠点」として中央研究所内に設置したバイオ研究専用クリーンルームを活用し、細胞保管技術開発を進めています。陸上養殖分野における酸素ガスなどの事業拡大に向け、2023年1月に中央研究所内に陸上養殖の研究設備を導入しました。当社独自で陸上養殖研究を進めることで、自社での知見やノウハウを蓄積し、同分野での提案力強化につなげていきます。中央研究所で確立した半導体向け重水素ガス製造技術を基に、2021年度に岩谷瓦斯株式会社三重工場内に重水素プラントを立ち上げ出荷を開始しました。引き続き効率化やロス削減技術を追求し技術移管を進めます。溶接・溶断分野では、コータキ精機株式会社と共同で水素ガス100%を使用して鋼板を切断する水素切断機を開発し商品化するとともに、銅とステンレスの異種金属接合技術の開発に取り組みました。 (マテリアル事業)携帯電話やパソコン向けに需要が拡大する積層セラミックコンデンサー(MLCC)に使われるナノニッケルの合成技術に取り組み、大手ユーザーにサンプル出荷を行い評価を受けながら品質を高めるとともに、事業化に向け自動化による生産量のアップや製造コストの削減技術を追究しています。 (自然産業事業)当社の扱う冷凍食品中の微生物、残留農薬、抗生物質分析技術の向上に注力しながら、輸入食品の自主管理分析を実施しました。また、株式会社桂精機製作所と共同で農業用ハウス暖房における燃料のLPガス化を進める中で、燃焼排ガス中のCO2を回収し農作物の光合成に利用するシステムの開発に取り組みました。
FY2022|2,561 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業まですべての事業領域を対象として取り組むとともに、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発、さらには脱炭素に向けた新技術開発に注力しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、営業部門との連携を強化しながら新事業・新商品の開発に繋がる研究開発に取り組みました。また、お客さまへの技術サービス、当社取扱製品の品質管理、商品開発効率を高めるため分析を主体とした基盤技術の強化にも力を入れました。中央研究所で開発を進めている水素技術をさらに発展させるために、2021年10月1日、「岩谷水素技術研究所」を設立しました。最先端の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いながら、水素ステーション建設コストの低減や保安強化につながる研究開発を加速しました。さらに、グリーン水素の製造技術や、水素と二酸化炭素からプロパンなどの炭化水素燃料を合成する研究にも着手しました。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,917百万円となります。そのうち、当社の研究開発費は1,627百万円であります。主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は175百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業429百万円、産業ガス・機械事業46百万円、マテリアル事業89百万円、自然産業事業11百万円、その他1,165百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素エネルギー関連)水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、水素エネルギー社会の実現を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。具体的には、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業(HySTRA)に参画し、世界初となる褐炭から製造した水素を液化水素運搬船で日豪間を海上輸送・荷役する実証試験を完遂しました。また、2025年に開催予定の大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船及び船舶用水素ステーションの開発に取り組んでいます。さらに、2020年3月に完成した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、「Power-to-Gas」の実用化技術の確立に向けた取り組みを推進し、東京2020オリンピック・パラリンピックでの聖火燃料として供給するとともに、商用水素ステーションへの供給も開始しました。主な研究開発案件は、①水素ステーションの建設コスト削減と保安技術の強化に繋がる水素適合性材料評価の推進、②水素ステーションにおける水素ガス計量や水素ガス品質の管理技術の開発、③バス・トラック等の大型車に対応した水素ガス供給に関わる計量管理技術の開発、④水素大量消費社会を見据えた液化水素流量計や水素導管供給技術の開発、⑤液化水素燃料FCバス・トラックを見据えた液化水素充填技術の検討、⑥廃プラスチックからの水素製造技術の実用化開発等となります。 (総合エネルギー事業)カーボンニュートラル社会の実現に向けた国の取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの製造技術に関する調査研究を進め、岩谷水素技術研究所にてラボ試験に着手しました。また、NEDO委託事業として、相馬ガスホールディングス株式会社、相馬ガス株式会社と共同で、既存インフラを利用した水素混合LPガスの導管供給の実証試験に向けたF/Sを進めています。さらに、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電機能を生かした試作・評価を進めています。 (産業ガス・機械事業)再生医療分野に力点を置き、大阪大学との共同研究講座で得られた細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究成果を活かし、細胞保管輸送容器の開発や凍結装置の開発を進めました。また、中央研究所内にバイオ研究専用のクリーンルームを設置し、細胞培養設備や凍結保存設備を導入し「再生医療・バイオ研究開発拠点」として研究開発インフラを整えました。中央研究所で確立した重水素ガス製造技術を発展させ、岩谷瓦斯株式会社三重工場内に重水素量産プラントを立ち上げ半導体製造向けを中心に出荷を開始しました。引き続き中央研究所では、製造ロスの削減やガス精製技術の更なる向上に努めるとともに、品質管理体制の強化や海外への重水素ガスの拡販に向け支援しております。また、SDGsの観点から賞味期限の延長を実現するガスを利用した食品鮮度保持技術を追究し、徐々に採用実績を増やしております。 (マテリアル事業)携帯電話やパソコン向けに需要が拡大する積層セラミックコンデンサー(MLCC)に使われるナノニッケルの合成技術に取り組みました。基本的な製造技術や品質評価技術を確立し、大手ユーザー向けにサンプル出荷を開始しました。さとうきびの搾りかすから精製した植物性原料を用いて製造したバイオPET樹脂(低環境負荷PET樹脂)を商品化していますが、現状のPET樹脂成分の植物由来原料比率30%を100%にすることを目指しタイアップ企業と開発に取り組んでいます。 (自然産業事業)当社の扱う食品中の微生物分析、残留農薬分析、抗生物質分析技術を高め品質管理を強化しました。また、イワタニ・ケンボロー株式会社の種豚農場などの家畜糞尿からのバイオガス製造、さらには水素やLPガス合成にも着目し実用化に向け調査を開始しました。
FY2021|2,104 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業まですべての事業領域を対象として取り組んで参りました。なかでも水素エネルギー関連では、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発に注力しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、営業部門との連携を強化しすべての事業分野の核となる新事業・新商品の開発に繋がる技術支援に取り組みました。特に、最先端の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いました。さらに、分析を主体とした基盤技術を強化するとともに、大学や公的研究機関との共同研究やパートナー企業との共同開発を積極的に進め、「技術のイワタニ」としての価値の向上に努めました。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,261百万円となります。そのうち、当社の研究開発費は2,107百万円であります。主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は698百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業225百万円、産業ガス・機械事業51百万円、マテリアル事業57百万円、自然産業事業12百万円、その他1,216百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素エネルギー関連)水素エネルギー関連では、水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、脱炭素を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。具体的には、2025年に開催予定の大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船及び船舶用水素ステーションの開発に向けた検討を開始しました。また、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業(HySTRA)に引き続き参画するとともに、2020年3月に完成した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、「Power-to-Gas」の実用化技術の確立に向けた取り組みを継続しています。主な研究開発案件は、①水素ステーションの建設コスト削減と保安技術の強化に繋がる水素適合性材料評価の推進、②水素ステーションにおける水素ガス計量や水素ガス品質の管理技術の開発、③バス・トラック等の大型車に対応した水素供給に関わる計量管理技術の開発、④水素大量消費社会を見据えた液化水素流量計や水素導管供給技術の開発等となります。 (総合エネルギー事業)カーボンニュートラル社会の実現に向けた国の取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの生産技術に関する調査研究に着手しました。また、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電技術等の要素技術の評価・開発を進めています。 (産業ガス・機械事業)再生医療の分野では、大学との共同研究やパートナー企業とのコラボレーションを通じて、細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究を進め、細胞保管・輸送容器システムの開発に着手しました。中央研究所に設置した重水素ガス製造プラントにおいては、製造ロスの削減やガス精製技術の更なる向上に努めるとともに、品質管理体制を確立しISO9001「品質マネジメントシステム」を取得し、海外への重水素ガスの拡販に寄与しました。また、包装フィルムや包装内のガス成分を制御することで食品の品質保持や賞味期限の延長を実現するMA包装技術を追究し、徐々に実採用に結びついています。 (マテリアル事業)大学との共同で、バイオディーゼル燃料製造時の副生成物であるグリセリンをDHAに変換する触媒を開発しました。未利用グリセリンを活用し化粧品や医農薬中間原料として需要があるDHAの製造にかかる時間及びコストの大幅な削減が期待され、事業化に向けた取り組みを推進します。また、ナノニッケルの合成技術に取り組み、MLCC(積層セラミックコンデンサー)向けにサンプル出荷できる目処をつけました。さらに、ヒートシンクや冷却システムへの採用が期待されるロータス金属(多孔質構造の金属)の量産化に向けた加工技術を確立し市場開拓を進めています。 (自然産業事業)当社の扱う食品中の微生物分析、残留農薬分析、抗生物質分析技術を高め品質管理を強化するとともに、液化窒素を用いた食品の凍結保存技術の優位性を検証し、当社中国での製造委託工場での実用化検討を進めています。
FY2020|2,416 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業まですべての事業領域を対象に取り組みました。なかでも水素エネルギー関連では、前連結会計年度に引き続き水素エネルギー社会の推進、再生可能エネルギー事業の拡大に向けて最新の技術開発に注力しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、当社の技術・商品開発のコントロールタワーとして、すべての事業分野をカバーする新技術・新商品の開発を推進しました。特に、最先端の水素試験研究設備を活用し水素適合性材料や機器の評価を通じて、水素ステーションの建設コストの削減や保安強化に繋がる研究を加速するなど水素のパイオニアとしての地位をより強固なものにしました。さらに、分析を主体とした基盤技術を強化するとともに、オープンイノベーションを前面に掲げ、大学や公的研究機関との共同研究やパートナー企業との共同開発を進め、「技術のイワタニ」としての信用の構築に努めました。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,494百万円となります。そのうち、当社の研究開発費は2,361百万円であります。主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は780百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業248百万円、産業ガス・機械事業11百万円、マテリアル事業82百万円、自然産業事業14百万円、その他1,357百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素関連)水素エネルギー関連では、経済産業省が設置した水素・燃料電池戦略協議会で策定された水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素エネルギーの利用拡大に繋がる水素ステーションの整備や将来の大量消費時代を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築に重点を置き研究開発を推進しました。具体的には、羽田空港に隣接する「HANEDA INNOVATION CITY(羽田空港跡地第1ゾーン)」での建設を始めるなど新たに10ヶ所の水素ステーションの整備に着手しました。また、水素発電の導入による水素大量消費社会の将来を見据え、水素サプライチェーンの構築に不可欠な技術を確立することを目的に、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等の各種研究補助事業(国プロ等)や委託研究に取り組みました。2020年3月には、福島県内に再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設である「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」を完成させました。今後、クリーンで低コストを兼ね備えた水素製造技術の確立を図ります。主な研究開発案件は、①水素ステーションの建設コスト削減と保安技術の強化に繋がる水素適合性材料評価の推進、②水素ステーションにおける水素計量技術や水素ガス品質管理技術に関する研究開発、③日豪褐炭水素プロジェクトにおける液化水素大規模海上輸送サプライチェーン構築に不可欠な要素技術の研究、④水素大量消費社会を見据えた液化水素流量計や水素導管供給技術の開発等となります。 (総合エネルギー事業)当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販につながる商品開発に注力しました。具体的には、LPガスの燃焼・伝熱技術を活用した熱電発電モジュールを組み込んだ発電機能付き暖房器具や、LPガスを燃料とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)を搭載するポータブル発電機等の商品開発を進めました。 (産業ガス・機械事業)2018年度に中央研究所に導入した重水素ガス製造プラントにおいては、製造ロスの削減やガス精製技術を向上させるとともに品質管理体制の確立に努めました。同プラントからは核融合研究やエレクトロニクス分野に向けて出荷を伸ばしました。また、2019年4月に茨城県内に完成した国内最大級のヘリウムセンターでは、これまでに培った高純度充填技術を取り入れ6N(99.9999%)を上回るスペックの超高純度ヘリウムガスの製造が可能となりました。今後、新たなビジネスチャンスの獲得が期待されます。さらに、再生医療分野では、大学の研究機関と共同で細胞保存におけるガスの応用や、細胞保管・輸送技術の開発を推進しました。そのほか溶接技術関連では、新しくレーザー・アークハイブリッド溶接システムを導入しました。現在、自動車、鉄道車両、重電分野をターゲットに、高効率溶接技術の確立を進めています。 (マテリアル事業)環境問題への取り組みとして、揮発性有機化合物(VOC)を分解する触媒に貴金属を使用せずに低コストと高耐久性を実現した新たな触媒を開発しました。今後、浄化装置のフィルターに組み込まれ、装置の導入コストの抑制とメンテナンスコストの削減が期待されます。また、ヒートシンクや冷却システムへの採用を目指し、「ロータス金属(多孔質構造の金属)」の量産化に向けた取り組みを強化しました。具体的には、「ロータス金属」の鋳造技術を有するロータス・サーマル・ソリューション社の技術開発拠点を中央研究所内に移設し、量産技術の確立に向けた共同研究開発をスタートさせました。今後、中央研究所の技術との融合により、加工技術や品質管理技術の実用化を図ります。 (自然産業事業)世界初となるファインバブル水による針葉樹苗木の生育促進技術を開発しました。本技術の採用により、従来2年ほど掛かっていた苗木栽培期間が1年から1年半に短縮することが可能となりました。本技術は林業人口の減少問題の解決に寄与するほか、少花粉スギの植林を促進することにより花粉症対策の健康分野にも貢献できます。
FY2019|2,094 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発は、前年度に引き続き水素エネルギー社会の推進、再生可能エネルギー事業の拡大に向けて最先端の水素技術の確立に注力するとともに、「ガス&エネルギー」を基軸におきながら、当社の基幹事業であるエネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業まで幅広く活動しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、既存の水素試験研究設備を更新するとともに、新たに水素適合性材料評価を行う設備を導入し、独自研究と幅広い製品評価を通じて水素のパイオニアとしての地位の確立に努めました。また、当社の技術・商品開発のコントロールタワーとして、幅広く新技術開発・新商品開発を目に見える形に具現化することにより着実に成果に結びつけることに注力しました。さらに、「技術のイワタニ」としての信用を構築するにあたり、基盤技術を強化し営業部門との連携を通じて技術支援やユーザーニーズへの対応力の向上に取り組みました。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,428百万円となっております。なお、そのうち主なものは当社の2,293百万円であります。主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は779百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業203百万円、産業ガス・機械事業15百万円、マテリアル事業113百万円、自然産業事業14百万円、その他1,301百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素関連)水素エネルギー関連の研究開発は、経済産業省が設置した水素・燃料電池戦略協議会で策定された水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素エネルギーの利用拡大に繋がる水素ステーションの整備並びに水素サプライチェーンの構築に重点を置き推進しました。具体的には、大阪国際空港(伊丹空港)の隣接地等新たに5箇所の水素ステーションの整備に着手しました。水素発電が導入され将来の水素大量消費社会を迎えるにあたり、水素サプライチェーンの構築に向けた技術の確立を目的に、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等の各種研究補助事業(国プロ等)や委託研究に取り組みました。また、9月に開催された福井国体の開会式では、水素ガスを燃焼し炬火を灯す世界初の取り組みに成功しました。水素の炎は目に見えないため、ナトリウムによる炎色反応により黄色の炎を演出しました。主な研究開発案件は、①水素ステーションの建設コスト削減と保安技術の強化に繋がる水素試験研究設備の導入、②水素ステーションにおける水素計量技術や水素ガス品質管理技術に関する研究開発、③日豪褐炭水素プロジェクトにおける液化水素大規模海上輸送サプライチェーン構築に向けた要素技術の研究、④再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素エネルギーシステムの開発における水素の輸送・貯蔵・供給システムの構築、⑤純水素型燃料電池コ・ジェネレーションシステム向けの水素導管供給技術の開発等となります。 (総合エネルギー事業)当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販につながる商品開発に注力しています。具体的には、LPGの燃焼・伝熱技術を活用し熱電発電モジュールと組み合わせたモバイル・バッテリーや固体酸化物形燃料電池(SOFC)を搭載したポータブル発電機等の商品開発を進めています。 (産業ガス・機械事業)新規事業開発の取り組みとして、6月に国内初となる重水素ガスの商業生産及び販売を開始しました。各種ガスのアプリケーション開発として、オゾン濃縮技術を応用し当社が開発した「オゾンブースター」を搭載した半導体製造装置が、米国大手半導体デバイスメーカーに導入されました。また、半導体製造装置のクリーニングガスとして広く利用されている三フッ化塩素ガスについても、大学との共同研究により、半導体や微小電気機械システム(MEMS)の高精度な微細加工技術を開発し大手半導体メーカーに提案しています。溶接技術関連では、当社が開発した窒素と水素の混合ガスから成るアルミナ溶射用新アシストガスを用いた溶射試験を継続し新規商材の開発に取り組みました。 (マテリアル事業)パーム椰子殻(PKS)のバイオマス燃料の取扱い時の課題として取り上げられた異臭問題に対して、消石灰処理を施すことにより有機酸を低減し消臭効果があることを確認しました。今後、実用化を図り消臭技術を確立することにより、バイオマス燃料事業の拡大に繋げます。 (自然産業事業)スギ、ヒノキ等の針葉樹の苗木栽培にファインバブル水を用いると育苗速度が向上することを確認しました。今後、フィールドテストを通じて育苗メカニズムの解明を進めるとともに、品質及び生産性の向上に対する明確な有効性を立証します。また、樹種をカエデやモミジ等の広葉樹にも拡げ、ファインバブル水の有効性を検証します。
FY2018|1,909 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、前年度に引き続き水素エネルギー社会の実現に向けた水素関連技術に注力するとともに、「ガス&エネルギー」を基軸におきながら、当社の基幹事業であるエネルギー、産業ガスからマテリアル、食品事業まで幅広く推進しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は設立5年目を迎え、設備の充実を図りながらますますその機能を高めています。開かれた研究所としてユーザーやパートナー企業、大学等の教育機関・研究機関と広く接点を持ち、応用研究、商品開発を主眼に置き開発を推進するとともに、公的資金の助成事業を有効に活用し、研究開発の効率化やスピードアップに努めました。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19億12百万円となっております。なお、そのうち主なものは当社の17億44百万円であります。主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は5億31百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業1億51百万円、産業ガス・機械事業28百万円、マテリアル事業51百万円、自然産業事業23百万円、その他11億25百万円となっております。その他セグメントが多いのは、研究開発拠点である当社中央研究所の共通費用が含まれるためです。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素関連)水素エネルギー関連の研究開発は、経済産業省が示した水素・燃料電池戦略ロードマップに基づき、水素エネルギーの利活用拡大に繋がるインフラ整備に重点を置き推進しました。具体的には、水素ステーションはもとより、水素発電の本格的な導入に向けた国際水素サプライチェーンの構築、再生可能エネルギー由来の水素となるCO2フリー水素の供給システムの構築を視野に、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等の各種研究補助事業(国プロ等)や委託研究に取り組みました。主な研究開発案件は、①水素ステーションにおける水素計量技術や水素ガス品質管理技術に関する研究開発、②液化水素ポンプを採用する水素ステーション建設のための技術基準策定に関する研究開発(高圧液化水素環境で使用可能な材料研究や高圧液化水素漏洩拡散試験の実施)、③豪州褐炭を利用した液化水素大規模海上輸送サプライチェーン構築に向けた要素技術の研究、④再生可能エネルギーを利用した大規模水素エネルギーシステムの開発における水素の輸送・貯蔵・供給システムの構築、⑤純水素型燃料電池コ・ジェネレーションシステム向けの水素導管供給技術の開発等となります。 (総合エネルギー事業)当社の主力商品であるカセットガスの拡販につながる商品開発に注力しております。具体的には、LPGの燃焼・伝熱技術を深く追究し、燃料電池や熱電発電モジュールとを組み合わせたポータブル発電機などの商品開発を進めています。 (産業ガス・機械事業)各種ガスのアプリケーション開発に注力しました。液化炭酸ガスの新規用途開発として、スノードライアイスを利用した精密洗浄技術を追究し、電子部品向け洗浄装置の製品化につなげました。また、半導体製造装置のクリーニングガスとして広く利用されている三フッ化塩素ガスについても、大学との共同研究により、半導体や微小電気機械システム(MEMS)の高精度な微細加工技術を開発し大手半導体メーカーに提案しています。溶接技術関連では、窒素と水素の混合ガスから成るアルミナ溶射用新アシストガスを開発しました。このガスを用いることにより、プラズマを発生させるためのアークを粉体溶射時に安定的に発生させることができ、緻密な溶射被膜を必要とする自動車のエンジン部品や半導体製造機器等への実用化が期待されます。 (マテリアル事業)パーム椰子殻(PKS)のバイオマス燃料の性状や発熱量を当社独自で効率的に分析・評価できる技術を向上させるとともに、ウッドチップやクルミ殻などPKS代替燃料の開発にも着手し、バイオマス燃料事業の拡大につなげました。また、ナノマテリアル分野では、電子機器や、家電製品・スマートフォンの小型高機能化が求められるなか、新機能材料として注目されているNiナノ粒子の製造販売事業の立ち上げにも技術支援しました。 (自然産業事業)食品中の残留農薬分析、微生物分析技術を高め、輸入冷凍食品や加工食品事業を幅広く支援しました。また、野菜の鮮度保持技術である当社独自の「フレッシュアイ」技術や殺菌技術を深く追究し、より品質の高い冷凍野菜を開発することにより、こと京野菜㈱の戦略的な商品開発に協力しました。
FY2017|1,804 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、前年度に引き続き水素エネルギー社会の実現に向けた水素関連技術に注力するとともに、「ガス&エネルギー」を基軸におきながら、当社の基幹事業であるエネルギー、産業ガスからマテリアル、食品事業まで幅広く推進しました。研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、営業部門と連携し開かれた研究所としてユーザーやパートナー企業と接点を持ちながら、基礎研究から応用研究、商品開発まで行っています。また、大学等との共同研究や公的資金の助成事業を有効活用して、研究開発の効率化や開発スピードの向上に繋げています。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は13億2百万円となっております。なお、そのうち主なものは当社の12億44百万円であります。また、セグメント別としては、総合エネルギー事業6百万円、産業ガス・機械事業3百万円、マテリアル事業53百万円、自然産業事業34百万円、その他12億4百万円(うち、水素関連で1億91百万円)となっております。なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 (水素関連)水素エネルギー関連の研究開発は、水素ステーションや燃料電池技術を中心に、環境省、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等からの委託研究や各種研究補助事業制度(国プロ等)を活用しながら進めております。主な研究開発案件は、①関西国際空港での産業車両用水素インフラを活用した燃料電池フォークリフトの大規模実証試験、②水素ステーションにおける水素計量技術や水素ガス品質管理に関する研究開発、③液化水素ポンプを用いた水素ステーション設置のための技術基準策定に関する研究開発(高圧液化水素環境で使用可能な材料研究や高圧液化水素漏洩拡散試験の実施)、④純水素型燃料電池によるコ・ジェネレーションシステムの開発、⑤豪州褐炭を利用した液化水素大規模海上輸送サプライチェーン構築に向けた要素技術の研究などとなっております。 (総合エネルギー事業)当社の主力商品であるカセットガスを利用した応用商品の開発に注力しております。2015年度に商品化した、世界初となる乾電池も電気コードも不要の「カセットガスファンヒーター:風暖」に続き、カセットガスからの燃焼技術と温度差で起電力を生じる半導体デバイス(熱電発電モジュール)とを組み合わせた発電システムの基礎を確立しました。この技術を活かしてポータブル発電機等の商品化を目指し開発を進めています。 (産業ガス・機械事業)当社オリジナル技術である高濃度オゾンガスによる金属表面改質技術「オゾンパッシベーション」を、大手半導体製造装置メーカーでの標準採用を実現するなど受託事業を伸長させました。また、半導体製造装置のクリーニングガスとして利用されている三フッ化塩素ガスについては、国内外の半導体デバイスメーカーと連携して半導体デバイス製造向けに新たな応用プロセスの開拓に注力しました。溶接技術については、当社がすでに商品化している「ハイドロカット」(水素・エチレン混合の溶断ガス)を用い、住宅用亜鉛メッキ鋼板溶接の前処理技術を確立し、住宅メーカーでの量産化に向けたテストを行っています。産業機器関連としては、すでに商品化しているエリア除電システムを発展させ、心臓部のイオン発生機を空調設備に組み込んだ静電気除去システムを大手空調機器メーカーと共同で商品化しました。埃や浮遊菌を嫌う電子部品や精密部品の生産ラインやバイオ研究設備などに採用実績を伸ばしています。 (マテリアル事業)パーム椰子殻(PKS)やウッドチップなどのバイオマス燃料の性状や発熱量を当社独自で効率的に分析・評価できる技術を確立し、バイオマス燃料事業の拡大に貢献しました。また、そのままでは燃料性に乏しい粗悪な空果房(EFB)について、純度アップなどの加工技術の開発に着手し、PKS代替燃料として早期商品化を目指しています。 (自然産業事業)当社の扱う輸入冷凍食品や加工食品に対する残留農薬分析、微生物分析による品質管理技術や殺菌技術などを高め、食品事業を幅広く支援しました。また、野菜の鮮度保持技術である当社独自の「フレッシュアイ」技術をより深く追究し、新商品開発やこと京都㈱と共同で設立したこと京野菜㈱の工場立ち上げに活用しました。