研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 200 |
| 2024-03 | - | 271 |
| 2023-03 | - | 205 |
| 2022-03 | - | 148 |
| 2021-03 | - | 113 |
研究開発活動(本文)
FY2025|9,868 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、ヤマハが目指すものとして「世界中の人々のこころ豊かなくらしの実現」を、企業理念として「感動を・ともに・創る」を掲げています。これを支えるために、製品とサービス分野で新たな価値を創出するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術を中心に、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、◆ アコースティック技術とデジタル技術の融合でヤマハならではの新たな製品を生み出す◆ LTV戦略を加速、外部連携・UGC(User Generated Content)等を活用し音楽生活をより愉しむためのサービスを展開◆ 豊かな感性に裏打ちされた先進的な技術で新たな感動体験を創造をテーマに研究開発を進めました。 「ヤマハならではの新たな製品を生み出す」では、未利用材を鍵盤に活用した電子ピアノTORCH「T01」(トーチ ティーゼロワン)を開発しました。当社は、木材をはじめとする自然素材を製品に用いており、楽器製造に欠かせない希少木材を未来に向けて守り、サステナブルな森をつくる「おとの森」活動に取り組んでいます。この活動から誕生した木のぬくもりを感じられる電子ピアノがTORCH「T01」です。鍵盤には、クラリネットやオーボエなどの木管楽器の材料に欠かせない希少木材グラナディラの未利用材を使用しています。粉砕したグラナディラを高比率で含む鍵盤は、木材の色味を生かした黒色で、時間を経るごとに変化が生まれます。外装では、環境負荷の軽減に配慮して通常使用しているポリ塩化ビニルシートの使用を控え、木材の特長や質感を生かすため、天然オイルによる手仕上げや当社独自のレーザー技術による加工を行いました。また、椅子の座面にはヒノキを含む素材を使用しています。本製品のブランド名「TORCH」は「たいまつ」を意味します。音・音楽を愛する人たちに楽器とともに過ごす時間のあたたかさを愉しんでいただきたい、楽器や音楽文化の灯(ともしび)となり未来を明るく照らしていきたい、という想いを込めて命名しました。今回の製品開発により得られた知見や技術は、次世代の楽器づくりにも応用し、新しい価値を創造していきます。 「音楽生活をより愉しむためのサービスを展開」では、自社保有の研究開発技術をAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)の形にした「Yamaha Music Connect API」を事業者向けに提供を開始しました。当社の主要事業である楽器や音響機器などの製品・ソフト開発で蓄積した多様な技術を広く公開し、それらを音・音楽およびその周辺領域でモノ・コトを創造しようとされている多くの人たちに活用していただくことで、当社の既存事業以外の幅広いお客様に、新たな顧客体験を提供していきます。「Yamaha Music Connect API」は、当社技術をAPIの形で提供するサービス群です。当社が音・音楽を通して長年培ってきた技術とMIDIや楽譜変換などの楽譜制作に関連する技術をウェブAPIとして公開します。公開するAPIに関しては、今後も新たな技術開発を加速し魅力的なAPIのラインアップを拡充していく予定です。今後もさまざまなパートナーとの協業を通じて新たなソリューションを提供し、日常生活からビジネスまで、お客様が抱えているさまざまな音・音楽に関する課題解決を目指します。 「新たな感動体験を創造」では、演奏者の声でバスドラムが鳴るシステム「VXD」の開発に取り組んでいます。VXDの開発が始まったのは、「RADWIMPS」のドラマーで現在はミュージシャンズ・ジストニアにより演奏活動を休止している山口智史氏が、慶應義塾大学に所属して自身の症状を研究する中で「声でバスドラムを鳴らせないか」と思い付き、ヤマハに声をかけていただいたことがきっかけです。山口氏の要望に沿って音声信号処理やReal Sound Viewingの技術を組み合わせながらVXDの試作機が完成し、お客様と未来の音楽・楽器を一緒に考えるイベント「Future Tech Week」にて山口氏の演奏とともに初公開しました。このステージは単なる技術公開の場ではなく、家族や友人、音楽関係者など、これまで支えてくれた人たちに向けて、山口氏が活動停止後初めてドラム演奏を届ける特別な場でもありました。今後もこのような新たな感動体験を生み出すべく、さまざまなチャレンジを続けてまいります。 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器・音響事業本部、及びYamaha Guitar Group,Inc.の開発担当部門、音響機器事業については当社楽器・音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発担当部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発担当部門、全社横断のR&Dについては当社研究開発統括部が担う形で構成しております。 各セグメントにおける研究開発費の金額は以下の通りであります。 セグメントの名称研究開発費(百万円)楽器11,793音響機器10,818その他4,365合計26,977 当社グループの当連結会計年度末における特許及び実用新案の合計所有件数は2,012件であります。 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 (1) 楽器事業当セグメントでは、幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。 ピアノ関連では、ベーゼンドルファーの限定モデル「The Great Wave off Kanagawa(神奈川沖浪裏)」を開発しました。このピアノは葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」をモチーフにした全世界16台限定のモデルで、ピアノの屋根の内側に描かれています。プルシアンブルーの色彩テーマを継承し、赤色の署名やシリアルナンバー入りの真鍮プレートが特徴です。ベースとなるベーゼンドルファーの人気モデル「214VC」同様、オーストリアの職人が丁寧に作り込んだピアノです。このピアノは、2025年日本国際博覧会オーストリアパビリオンに展示されています。 電子楽器関連では、電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」の新製品として「CLP-800シリーズ」を開発しました。新開発の音源チップにより、ピアノの音質と表現力が向上しました。グランドピアノ内部の物理的な挙動をシミュレーションするアルゴリズムを導入し、多彩な音色変化を再現する「グランド・エクスプレッション・モデリング」が進化しました。また、新音響システムでは、音を全方位に広く拡散するディフューザーやホーン構造を採用し、グランドピアノのような立体的な響きを再現します。さらに、新「グランドタッチペダル」と改良された鍵盤により、ペダル操作感と演奏性が向上しました。デザインも一新され、グランドピアノの前に座っているような感覚で演奏できます。全モデルに搭載されたBluetooth®機能により、スマートデバイス内のオーディオデータを楽器のスピーカーから再生したり、当社の無料アプリ「スマートピアニスト」を活用し、ピアノ練習を幅広くサポートしたりすることができます。また、バイノーラルサンプリングや聴覚保護機能も搭載し、快適な演奏体験を提供します。また、電子キーボード「PSRシリーズ」の新製品「PSR-SX920」「PSR-SX720」(国内未発売)を開発しました。「PSR-SX920」「PSR-SX720」は、SXシリーズ初の技術、Super Articulation2(S.Art2)を搭載しました。S.Art2により、自然な楽器のアーティキュレーション(音と音のつなぎ方や切り方で、旋律に表情やニュアンスを与える演奏技法)を再現し、表現力豊かでリアルな楽器の特性をパフォーマンスに反映させることができます。さらに、初搭載となるSuper Articulation Plus Voices(S.Art+)により、ボタン一つで異なる楽器のアーティキュレーションを切り替えることが可能です。新しい無料アプリ「EXPANSION EXPLORER」は、アレンジャーワークステーションの体験を最大限に高めるツールです。iOS、Android™、Windows、Macで、お気に入りの拡張コンテンツに素早くアクセス、検索し、プレビューすることができます。カスタマイズされたおすすめ機能と簡単な管理で、新しいコンテンツの発見とインストールがこれまで以上に簡単になりました。Yamaha Music Connectサービスでは、好きな楽曲を本物のアーティストと一緒に演奏しているかのような臨場感を味わいながら練習やセッションを楽しむことができる音楽アプリ「Extrack」および、AI合奏を楽しめるmacOS版アプリケーション「piano evoce β」を開発しました。「Extrack」は音源分離機能を用いて、楽曲データをボーカル、ギター、ベース、ドラムなどの各楽器パートに分離し、音量調整やミュートが可能です。これにより、自分が演奏する楽器の音だけを聴いて耳コピをしたり、他のパートと一緒に演奏したりすることができます。また、コード解析機能によって、楽曲のコード進行を自動解析・表示し、楽曲の再生と同期してリアルタイムでコードを表示します。さらに、再生速度変更機能やキー変更機能、A-Bリピート機能などが搭載されており、テンポを落として細かいフレーズの練習をしたり、歌いやすいキーに簡単に移調したりすることができます。演奏者の視点で使いやすさを徹底的に追求し、最先端技術を誰もが気軽に楽しめるアプリにまとめました。「piano evoce β」は、ユーザーが電子ピアノやキーボードを演奏すると、それに合わせてボーカルパートが追従再生される機能を提供します。Mac内に保存された楽曲のコードを解析し、アプリケーション上に演奏コードを表示します。ユーザーは鍵盤楽器とMacを接続し、楽曲データを選択すると、AI合奏技術により演奏に合わせてボーカルパートが追従再生され、自宅で気軽に合奏気分を味わうことができます。 管弦打楽器関連では、ジャンルの枠を超えてより自由な演奏を可能にするオールラウンダーモデルトランペット「YTR-8335RC」を開発しました。「YTR-8335RC」は、奏者のニーズを満たす画期的な仕様を盛り込んだ、幅広い表現力と高い演奏性を兼ね備えるカスタムモデルです。2枚取りで作られるベルは、細い部分(ベルステム)の板厚は薄くし、先端は厚みをもたせることで密度のあるパワフルなサウンドと快適な吹奏感を両立します。さらに、2枚取りベルとして初めてフレンチビードを採用し、奏者への音のフィードバック効果を増しています。「Xeno」 Artistモデルと同様の軽量化タイプのマウスピースレシーバーとリバース式抜差管の組み合わせにより、反応が良くスムースな吹奏感を生み出しているのに加えて、ヤマハトランペットとして初めて「脱着式主管支柱」を採用しました。吹奏感や音色を自由に変化させられるので、ジャンルやその時々のシーン、好みに応じた使い分けが可能になります。一体型バルブケーシングのボトムには、超軽量のフォスファーブロンズ製キャップを採用し、高音域における艶やかで力強く芯のある響きをもたらします。ジャンルやシチュエーションの枠を超え、自由な演奏をもたらすオールラウンダーなトランペットです。 また、ギター関連では3種の新しいモデルを開発しました。新たな演奏体験を提供する「TransAcoustic」技術搭載ギターの第2世代モデルであるトランスアコースティックギター「TAG3 C」は、従来のトランスアコースティックギターの機能をさらに進化させ、ギター本体はパワフルなストロークに応えるドレッドノートスタイルで、表板にシトカスプルース(単板)、側裏板にマホガニー(単板)を採用したカッタウェイモデルです。改良したアクチュエーターをさらに1基増設(計2基)したことにより、今まで以上に高品位なエフェクト音と新機能「ルーパー」を実現しました。エフェクトは、従来の「リバーブ」「コーラス」に「ディレイ」を加えた3種類が使用可能です。「ルーパー」は、演奏を本体で録音・ループ再生できるもので、フレーズを重ねながら演奏もできるので、プレーヤーの創作意欲を掻き立てます。専用アプリ「TAG Remote」を使えば、エフェクトの音質調整なども可能です。さらに、Bluetooth®機能も新搭載しており、スマートデバイスと接続すれば、本体からオーディオ再生もできます。「TAG3 C」は、音楽の創作プロセスである「聴く」「弾く」「創る」をギター1本で実現します。また、アコースティックギターのフラッグシップモデルのコンサートスタイルとしてアコースティックギター「FS9」を開発しました。2023年5月発売の「FG9」同様、歌の伴奏としてアコースティックギターを使用するシンガーソングライターの表現力の追求のために、妥協なく開発したフラッグシップモデルです。パワフルなストロークに応えるドレッドノートスタイルの「FG9」に対し、「FS9」はコンパクトなコンサートスタイルで、特に指弾きに最適なギターです。表板には希少木材「アディロンダック・スプルース」を採用し、音の太さと明瞭さを両立したサウンドを実現しています。裏板は従来のFSボディシェイプよりも厚さを増し、ボディ全体から発する音の力強さを強化し、シンガーソングライターに理想の表現力を提供します。さらに、634mmのスケールを採用し、やや丸みを持たせたV字ネック形状と合わせ、抜群の演奏性も実現しています。ステージのプレーヤーを引き立てるシンプルさとフラッグシップらしい高級感を兼ね備えたデザインも特長です。さらに、アコースティックギターのフラッグシップモデルにラインアップ追加したエレクトリックアコースティックギター「FG9 X」「FS9 X」を開発しました。シンガーソングライターの表現力の追求のために妥協なく開発した「FG9」「FS9」をベースにしています。ピックアップシステムには、従来のピックアップでは拾うことができなかったギターの音成分を集音する3Wayピックアップシステム「Atmosfeel(アトモスフィール)」を採用しました。これにより、ステージ上でもアンプを通して、ギターの自然な生音を表現できるようになりました。シンガーソングライターに理想の表現力を提供する「FG9」「FS9」のありのままのサウンドをラインアウトすることで、奏者に新たな演奏体験をもたらします。 なお、フィンガードラムパッド「FGDP-50/FGDP-30」とコンサート「だれでも第九」が、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。また、エレキギターのコンセプトモデル「アップサイクリングギター」と、ヤマハ発動機株式会社と当社が共同制作した体験型インスタレーション「e-plegona(エプレゴナ)」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞デザインコンセプト2024」を、電子ピアノ クラビノーバ「CSP-295」が、「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2024」をそれぞれ受賞しました。Red Dotデザイン賞は2011年から14年連続での受賞となりました。さらに、当社の技術成果である「FM音源の実用化と普及」が、一般社団法人電気学会の第18回電気技術顕彰「でんきの礎」として顕彰されました。 (2) 音響機器事業当セグメントでは、社会の変化にも対応しながら、多様なニーズに応える商品を開発しております。 音楽制作・配信機器関連では、ステージ用途や楽曲制作・ライブ配信向けのダイナミックマイクロフォン「YDMシリーズ」を開発しました。「YDM707」は、広い周波数帯域を捉え、音を拾う方向を絞ることで正面の音源にフォーカスし、不要な背景音を拾いにくいスーパーカーディオイド型のマイクロフォンカプセルを採用しています。「YDM505」「YDM505S」は、力強い中高域を持ち、ハンドマイクで使用する際もマイク位置の調整などのしやすい、やや広めの指向性を持つカーディオイド型を採用しています。これら「YDMシリーズ」は、カスタム設計のマイクロフォンカプセルを搭載することで、精確でクリアなサウンドを実現し、クリエーターの意図した“声”を支えます。Steinberg Media Technologies GmbHは、業務用デジタル・オーディオ・ワークステーションソフトウェア「Nuendo 14」を開発しました。「Nuendo 14」は、映画やテレビなどで背景音を自動的に減衰させることで台詞の明瞭度を向上させるABA(Adaptive Background Attenuation)機能や、ワークフローを革新する多言語対応のAIを駆使したADR(Automated Dialogue Replacement)音声テキスト変換機能といった30以上の新機能により、ポストプロダクションやゲームオーディオ制作のワークフローをアップグレードし、業界の新たなスタンダードを確立します。 業務用音響機器関連では、当社デジタルミキサーやプロセッサーとの組み合わせに最適なI/Oラック「Rio3224-D3」「Rio1608-D3」を開発しました。「Rio3224-D3」「Rio1608-D3」は、ユーザーからの要望の多かったヘッドホン端子でのモニター機能に対応するとともに、前モデルから消費電力を16%削減し、空冷経路の再設計によりファン騒音を低減し、静音性が大きく向上しました。音質面では、より低いノイズレベルとより広いダイナミックレンジを実現し、空冷経路の再設計によりファン騒音を低減し、静音性が大きく向上することで、アーティストやサウンドエンジニアが意図したサウンドを聴き手に届けることをサポートします。プロオーディオ製品を使用した音響システムの設計、制御、管理を行う統合プラットフォームソフトウェア「ProVisionaireシリーズ」のラインアップとして、音響設備を提案する法人・個人のためのWebブラウザベースのルームプランニングソフトウェア「ProVisionaire Plan」を開発しました。「ProVisionaire Plan」は、遠隔会議用システム「ADECIA(アデシア)」に対応し、会議室のサイズや要件を入力するだけで、最適なマイクロフォンやスピーカーの機器リストやレイアウト図、3Dグラフィックを自動作成、音響の専門知識を必要とせず誰でも簡単に会議音響設備の設計・提案が可能となります。様々なニーズに柔軟に応えるべく今後もさらなるアップデートを予定しています。 ネットワーク技術分野では、遠隔会議用システム「ADECIA(アデシア)」の拡充ラインナップにDante/PoE対応天井設置型のスピーカーシステム「VXC2P」を開発し、音響とネットワークを組み合わせたソリューションを強化しました。「VXC2P」は、Dante/PoEに対応し、音声信号の伝送と電力供給を1本のLANケーブルで行えます。160°の広い指向角度を持ち、従来のラインアレイスピーカー「VXL1-16P」と選び分けることで、近年ニーズが高まっている「部屋を分けて使う」「広く使う」といったレイアウト変更が可能な会議室にも柔軟に対応します。さらに、室内のマイクロフォンと組み合わせ天井から音を届ける補助拡声用途としても活用でき大規模な部屋でも「話者の声が通りづらい」「後方席に声が届きにくい」といった課題を解決します。 なお、ライブストリーミングマイクロフォン「AG01」とヘッドホン「YH-5000SE」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2024」を受賞しました。さらに、ヘッドホン「YH-5000SE」は、「アジアデザイン賞2024」で「Bronze Award(銅賞)」を受賞しました。また、ハイエンドヘッドホンアンプ 「HA-L7A」が、ドイツのデザイン賞「iFデザインアワード2025」を受賞しました。「SoundUD」対応サービス「おもてなしガイド」が、総務省「情報アクセシビリティ好事例2023」に選定されました。「情報アクセシビリティ好事例2023」は、総務省が新たな取り組みとして情報アクセシビリティに優れた事例を選定するもので、同サービスが緊急時での聴覚障害者や外国人などへのスマートフォンを介した有効な情報伝達手段であることや、当社が同対象者との共同実証やコンソーシアムと協働した社会実装に取り組んでいることなどが評価されました。 (3) その他の事業電子デバイス事業関連では、AIを活用した革新的な車室音響最適化技術「Music:AI」を開発しました。「Music:AI」は3つの技術で構成されています。「for Cabin」では、AIが車種ごとに異なる車室空間の音響特性に合わせた最適な音響パラメータを短時間で導き出し、今まで到達できなかった音質の追求を実現します。「for Music」では、AIが楽曲に合わせた音響パラメータをリアルタイムで最適化します。ドライバーの音質調整操作を不要にすることで安全運転にも貢献します。「for Person」では、AIとのインタラクションを通して一人一人の好みに合わせた音響パラメータを提供し、パーソナライズされた音響を提供します。「Music:AI」により、従来の手法では困難だった高度な音響最適化を実現することで、これまでにない音楽体験を提案します。また、三菱自動車工業株式会社と共同開発したヤマハブランドオーディオが、クロスオーバーSUV「アウトランダー」の新モデルに採用されました。最上級グレードには「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」(12スピーカー)が、その他のグレードには「Dynamic Sound Yamaha Premium」(8スピーカー)が搭載されます。「アウトランダー」の商品コンセプトである「威風堂堂」を体現する音響空間を目指し、躍動感があり太く歯切れのよい低域と透明感のある美しい中高域によりアーティストが目の前にいるようなリアルで臨場感のあふれるサウンドを実現します。「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」では、スピーカーに高性能のオリジナル振動板・磁気回路を使用しています。さらに、お客様の好みや気分に応じて選べる4つのサウンドタイプを用意するなど最高の音楽体験を提供します。 ゴルフ事業関連では、独自の新技術を搭載したゴルフクラブ「INPRES DRIVESTAR」とレディースモデル「INPRES DRIVESTAR For Ladies」を開発しました。ドライバーは、三菱ケミカルとの共同開発による革新的な「OCTA ANGLE CARBON FACE」を採用しました。従来の4軸や6軸を超える8軸積層カーボンフェースは、広範囲における強度が向上したことでフェースのどの部分で打っても高い初速を可能にします。さらに、軽量カーボンクラウンとフェースによって生じた余剰重量を重心設計に利用し、安定したショットを支援する「Counterweight System」を導入しました。アイアンでは、「3Point Resonance Technology」による反発効率の最大化と、高い強度と粘り強さを持つ新素材「X37」を採用した精密鋳造による1.1mmの極薄ソールの相乗効果により、打点の反発性能を向上させています。
FY2024|9,015 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、ヤマハが目指すものとして「世界中の人々のこころ豊かなくらしの実現」を、企業理念として「感動 を・ともに・創る」を掲げています。これを支えるために、製品とサービス分野で新たな価値を創出するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術を中心に、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、◆ アコースティック技術とデジタル技術の融合でヤマハならではの新たな製品を生み出す◆ LTV戦略を加速、外部連携・UGC(User Generated Content)等を活用し音楽生活をより愉しむためのサービスを展開◆ 豊かな感性に裏打ちされた先進的な技術で新たな感動体験を創造をテーマに研究開発を進めました。 「ヤマハならではの新たな製品を生み出す」では、フィンガードラムパッド「FGDP-50」「FGDP-30」とミュージックプロダクションスタジオ「SEQTRAK(シークトラック)」を開発しました。フィンガードラムパッド「FGDP-50」「FGDP-30」は、本格的なドラム演奏を、指を使って手軽に楽しむことができる新開発の楽器です。軽量コンパクトなボディにスピーカーや音源、充電式リチウムイオンバッテリーを搭載し、時間や場所を選ばずに演奏をお楽しみいただけます。「SEQTRAK」は、音楽制作からパフォーマンスを行うために必要な機能を一台に集約した製品です。思い描いたアイデアを逃さず、いつでも、どこでも音楽を制作でき、パワフルなパフォーマンス機能が聴衆との一体感を生み出します。 「音楽生活をより愉しむためのサービスを展開」では、「TransVox」を開発いたしました。「TransVox」は、歌声の分析・合成とAIに関係する最新技術を駆使し、人の歌声を別人の歌声にリアルタイム変換する技術です。この技術を活用し、2022年に有名歌手とコラボレーションした「なりきりマイク」を展開し、多くのメディアに連日取り上げられるなど大きな反響をいただきました。さらに、男性アーティストの声に挑戦、かつ2音声の同時変換(デュエット機能)への対応にも相性がよいアーティストということから、有名男性アーティストグループとコラボレーションしました。彼らの楽曲をAIに学習させ、4オクターブのツインボーカルの声色の特徴を細部まで把握し、リアルタイムで両名の音声を忠実に再現することを実現しました。また、「TransVox」を活用して制作したAIボイスチェンジャーを使用し、静岡県イメージキャラクターが「しゃべれる」ようにする取り組みに協力しました。 「新たな感動体験を創造」では、「だれでもピアノ」の技術を活用した「だれでも第九」を実施いたしました。「だれでも第九」では、「ピアノを弾きたい」という熱い想いを持ちながらも障がいのために難しさを抱える3名が、「だれでもピアノ」のピアニスト(だれでもピアニスト)としてオーケストラと合唱団と共演するという夢のステージに挑戦しました。演奏会終了後、会場は大きな感動に包まれました。この演奏会の実現のため、当社は「だれでもピアノ」の技術に加えて「超・低遅延発音」をはじめとした技術を開発しました。さらに、3名のピアニストそれぞれがオーケストラ・合唱の中で輝き、等しくベストを尽くせるよう、ピアニストそれぞれの弾き方や動きの特徴を踏まえた技術も追加しました。 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器・音響事業本部、及びYamaha Guitar Group,Inc.の開発担当部門、音響機器事業については当社楽器・音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発担当部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発担当部門、全社横断のR&Dについては当社研究開発統括部が担う形で構成しております。 各セグメントにおける研究開発費の金額は以下の通りであります。 セグメントの名称研究開発費(百万円)楽器11,582音響機器10,654その他4,667合計26,903 当社グループの当連結会計年度末における特許及び実用新案の合計所有件数は2,035件であります。当社は、英国・クラリベイト社による「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2024~世界の革新的な企業トップ100社~」に選出されました。当社の選出は7度目となり、今回初めて発表されたランキングにおいて、82位にランクインしました。当社は、評価基準のなかの「影響力」「成功率」「地理的投資」「希少性」の4つの要素のうち、「成功率」「地理的投資」「希少性」が特に高く評価されました。 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 (1) 楽器事業当セグメントでは、幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。 ピアノ関連では、アコースティックピアノならではの音やタッチ感はそのままに、デジタル技術との融合により音量調節や消音が可能な「トランスアコースティックピアノ」に、コンパクトなアップライトピアノ「bシリーズ」向けの「TC3」タイプを開発いたしました。「TC3」タイプは「bシリーズ」専用のトランスデューサーを搭載し、アコースティックピアノならではの豊かな響きのまま音量調整が可能です。また、愛着のあるピアノをずっと大切に、いつでも演奏できるよう、ご愛用のピアノに消音機能を追加するサイレントピアノ後付けユニット「RSC3 シリーズ」と、お手持ちのサイレントユニットの機能・性能を最新のものにアップグレードするサイレントピアノアップグレードユニット「VSH3 シリーズ」を開発いたしました。「RSC3シリーズ」は1965年以降に製造されたほとんどのヤマハ アップライトピアノに、「VSH3 シリーズ」はこれまでに製造されたほとんどのヤマハ サイレントピアノに取り付けが可能です。これにより、ライフスタイルの変化にあわせて「もっと長く・深くピアノ演奏を楽しみたい」というニーズに寄り添い、長期に渡るピアノライフをサポートします。 管弦打楽器関連では、金管楽器用消音システム「サイレントブラス」の新ラインアップ「SBJシリーズ」を開発しました。「サイレントブラス」は、金管楽器の演奏音をささやき声程度に軽減する「ピックアップミュート」(消音器)と、小さくした演奏音を普段の演奏音のようにイヤホンなどで聴くことができる「パーソナルスタジオ」(ヘッドホンアンプ)からなる金管楽器用消音システムです。およそ10年ぶりにモデルチェンジした新モデルの「パーソナルスタジオSTJ」に搭載される心地よい響きを実現する当社独自のデジタル音響技術「Brass Resonance Modeling(TM)(ブラス・レゾナンス・モデリング)」がさらに進化し、従来モデルに比べて、より自然な音色で演奏できるよう音質が向上し、さまざまな音響環境を再現できる無段階のリバーブコントロールが新たに備わりました。さらに、演奏音をプレーヤー自身の席(プレーヤーモード)、もしくは客席(オーディエンスモード)で聴いているかのような音空間を再現する2つのサウンドモードを実装し、個人練習や演奏の録音などのシーンに最適な音空間を提供します。 また、フィンガードラムパッド「FGDP-50」「FGDP-30」を開発いたしました。「FGDP-50」「FGDP-30」のパッドは、人間工学に基づき、フィンガードラムの演奏に最適となるようレイアウトされており、フィンガードラムの初心者から経験者まで、最高のパフォーマンスを引き出します。パッドの硬さや感度もフィンガードラムの演奏に最適化されており、繊細な強弱の表現はもちろん、フラムやロールといったドラム特有の奏法による表現をも可能にします。当社の電子ドラム「DTXシリーズ」で好評なアコースティックドラムサウンドをフィンガードラム用にチューニングして搭載したほか、新たにデザインしたエレクトロニックサウンドも多数搭載しました。あらゆる音楽ジャンルに応え、フィンガードラムの経験者だけでなく、DJや楽曲制作者、ドラマーなど様々なお客様にフィンガードラムの演奏を楽しんでいただけます。 ギター関連では、アコースティックギターの新製品として、「FG9」を開発いたしました。「FG9」は、歌の伴奏としてアコースティックギターを使用するシンガーソングライターの表現力の追求のために、妥協なく開発したドレッドノートスタイルのハイエンドモデルです。表板には、「アディロンダック・スプルース」をヤマハで初めて採用し、力強い音量と明瞭さを両立しました。裏板は厚さを増したことで、ボディ全体から発する音の力強さを強化し、シンガーソングライターに理想の表現力を提供します。ステージのプレーヤーを引き立てるシンプルさとハイエンドらしい高級感を兼ね備えたデザインも特長です。また、エレキギターの新商品として「Pacifica Professional」「Pacifica Standard Plus」を開発しました。これまでの「Pacificaシリーズ」をさらに進化させ、理想のサウンドを表現したいギタリストのために設計された新モデルです。当社独自の科学的設計プロセス「アコースティック・デザイン」による新しいボディ構造とRupert Neve Designs社と共同開発した新ピックアップ「Reflectone(リフレクトーン)」により、低音の力強さと高音のきらびやかさを併せ持つバランスの取れた音色を実現しました。 電子楽器関連では、デジタル楽器の新製品として、ヤマハ ミュージックシンセサイザー「MONTAGE」の後継シリーズとなる「MONTAGE Mシリーズ」(「MONTAGE M6」「MONTAGE M7」「MONTAGE M8x」)を開発いたしました。音源システム「Motion Control Synthesis Engine(モーション・コントロール・シンセシス・エンジン)」の核となる「ハイブリッド音源」に、新たにアナログシンセサイザーの微細な振る舞いまでを全てデジタルで完全再現したバーチャルアナログ音源「AN-X」を搭載しました。デジタルシンセサイザーならではの表現力を持つ「FM-X」、アコースティック楽器のリアリティーを持つ「AWM2」と合わせて、3つのサウンドエンジンで音の表現力を大幅に強化しました。ユーザーインターフェースの中心には、旧シリーズ同様、視認性・操作性に優れたタッチパネルを配置した他、新たにセカンド・ディスプレイを左上に配置。オシレーターやフィルター、エンベロープ・ジェネレーターなどシンセサイザーの重要なパラメーターに瞬時にアクセスできるようになり、素早いサウンドエディットを実現しました。また、「MONTAGE M8x」には、当社として初めて88鍵ポリフォニックアフタータッチ対応鍵盤を搭載し、プレーヤーの表現力をより高い次元に引き上げます。また、ミュージックプロダクションスタジオ「SEQTRAK」を開発いたしました。「SEQTRAK」本体は、ドラムマシン、シンセサイザー&サンプラー、サウンドデザイン&エフェクターを操作できる3つのユーザーインターフェースで構成されています。さまざまな楽器の音色や効果音など2,000種類以上もの豊富なプリセットや、直感的でシームレスな音楽制作を可能にする独自のユーザーインターフェースとシーケンサーが、クリエイターの創造性を解き放ちます。サウンドエンジンには、アコースティック楽器からシンセサイザーまで多彩な音色を再現・合成する「AWM2」音源と、個性的なデジタルサウンドを生み出す「FM」音源を搭載。多様なエフェクトと組み合わせたり、専用アプリケーションを用いたディープなエディットでオリジナルサウンドを作成できます。さらに、軽量コンパクトなボディにスピーカーやマイク、音源、充電式リチウムイオンバッテリーを搭載しているため、時間や場所を選ばず音楽制作と演奏をお楽しみいただけます。電子ピアノをより楽しめるアプリの「Smart Pianist」も進化を続けています。当連結会計年度のバージョンアップでは、「オーディオ トゥー スコア」機能を進化させました。「オーディオ トゥー スコア」機能とは、楽曲のオーディオデータからコード進行を解析し、自動で伴奏譜を生成するものです。従来は、伴奏譜生成時に伴奏パターン(4つ打ちやアルペジオなど)をユーザーが指定する必要がありました。新バージョンでは、原曲の伴奏パターンの特徴を抽出する学習モデルを開発し、曲の雰囲気に合った伴奏パターンでの伴奏譜を自動生成できるようになりました。また、PDF楽譜のインポートや、楽譜上で弾いている箇所がハイライトされる機能なども追加し、練習からポピュラー曲の演奏まで、幅広いニーズに応えています。カジュアル管楽器「Venova」は、令和5年度全国発明表彰において「特許庁長官賞」を受賞いたしました。さらに、「Venova YVS-140」は、アメリカ・インダストリアル・デザイナー協会が主催する国際的なデザイン賞「インターナショナル・デザイン・エクセレンス賞(IDEA 2023)」で銀賞を受賞いたしました。また、電子ピアノ クラビノーバ「CSP-295」と、エレキギターのコンセプトモデル「アップサイクリングギター」は、「iFデザイナワード2024」を受賞いたしました。ステージキーボード「CK61」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。 (2) 音響機器事業当セグメントでは、社会の変化にも対応しながら、多様なニーズに応える商品を開発しております。 ホームシアター・オーディオ関連では、当社初のハイエンド ヘッドホンアンプ「HA-L7A」を開発いたしました。およそ70年に渡り培ってきたHiFiコンポーネントの高音質技術とAVレシーバーの音場創生技術を融合し、アーティストが込めた想いの全てを表現し人の感情を動かす音=「TRUE SOUND」に徹底してこだわり、音を作り上げました。特許技術「フローティング&バランス・パワーアンプ」をヘッドホンアンプ用に最適化し、ESS社製のDAC「ES9038PRO」をはじめ高剛性コンストラクションや2つのトロイダルトランスの搭載など数々の高音質技術を実装しています。さらに、コンテンツに合せて最適な音場が選べる「サウンドフィールド」モードも搭載しました。 業務用音響機器関連では、軽量・コンパクトなデジタルミキシングコンソール「DM3」「DM3 Standard」と、拡張性の高いオールインワンのデジタルミキシングコンソール「DM7」「DM7 Compact」を開発いたしました。「DM3」「DM3 Standard」は、ライブなどのイベント会場や、様々な固定設備、スタジオや自宅での録音や音楽制作・配信に至るまで幅広い用途に対応するデジタルミキシングコンソールです。最大96kHzのサンプリングレートに対応し、高品位な18種類のエフェクトを2系統搭載、豊富なプリセットによる短時間でのセットアップのサポート、9インチのタッチスクリーンによるシンプルで直感的な操作性など卓越した性能を、軽量・コンパクトな筐体に凝縮しています。「DM7」「DM7 Compact」は、ライブなどのイベント会場や、劇場・放送・音楽制作スタジオなどの固定設備に最適なデジタルミキシングコンソールです。豊富な入出力端子を備え、最大96kHzのサンプリングレートや、多チャンネルを1本のケーブルで伝送可能なオーディオネットワーク規格「Dante」に対応しました。ゲインをリアルタイムで最適化し自然な音量制御を実現する「Dan Dugan オートマチックミキサー」を標準装備し、台本のないスピーチなどでもハウリングを抑制したミキシングも可能です。さらに、1台の「DM7」「DM7 Compact」を2台の別々のミキサーのように機能させる「Split Mode」や準備の時間を短縮できる「Assist」機能を新たに搭載しました。 音楽制作・配信機器関連では、配信やコンテンツ制作、テレワークでの遠隔コミュニケーションに適したUSBマイクロフォン「YCM01U」を開発いたしました。「YCM01U」は、USB Type-Cに対応し、PCやiOSデバイスと接続して使用するUSBマイクロフォンです。マイク後部からの不要な環境ノイズを抑制し明瞭な声を届けるカーディオイド型の指向特性を採用し、シンプルな操作で音量調節も行えます。また、ゲームストリーミングオーディオミキサーのコンパクトモデル「ZG02」を開発いたしました。2022年にゲームプレイ動画の配信やボイスチャットを使ったオンラインゲームのプレイに最適なインターフェースとして開発した「ZG01」と同様に、独立した各ツマミによる直感的な操作を採用し、独自の音声処理技術も搭載しました。接続端子や操作部を厳選したことで「ZG01」よりコンパクトになりました。さらに、当社と Steinberg Media Technologies GmbH は、USBオーディオインターフェース「IXO シリーズ」を共同開発いたしました。「IXOシリーズ」は、軽量・コンパクトな筐体で持ち運びしやすく、場所を選ばず音楽制作やレコーディングが可能な、iPad/iPhone/Mac/Windowsで動作する24bit/192kHz対応のUSBオーディオインターフェースのエントリーモデル「IXO12」「IXO22」を中心としたシリーズです。両モデルとも2in/2outの入出力を備え、高品位なマイクプリアンプを「IXO12」は1基、「IXO22」では2基搭載しています。また、マイクや楽器とPC上の音源をミックスして配信できる「ループバック機能」も搭載しています。 ネットワーク機器関連では、多拠点ネットワークを構築するためのセンタールーターに最適な10ギガアクセスVPNルーター「RTX3510」を開発いたしました。「RTX3510」は、従来モデルである「RTX3500」「RTX5000」の多対地VPN収容という特長を継承しつつ、10ギガビットに対応したセンター用のVPNルーターです。現在普及しつつある10ギガビット光回線を使った高速インターネット接続や、10ギガビットに対応したスイッチなどと接続しLAN/WANの高速化を実現します。 なお、ヘッドホン「YH-L700A」「YH-E700B」「YH-5000SE」とビデオコラボレーションシステム「CS-800/CS-500」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。中でもヘッドホン「YH-L700A」は、特に高い評価を得たデザインに与えられる「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。また、完全ワイヤレスBluetoothイヤホン「TW-E7B」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2023」を受賞いたしました。また、ヘッドホン「YH-5000SE」は、「iFデザイナワード2024」を受賞いたしました。さらに、当社は株式会社 日経BPによる「日経コンピュータ 2024年3月7日号 パートナー満足度調査 2024ネットワーク機器部門」において2年連続で第1位を獲得しました。 (3) その他の事業電子デバイス事業関連では、ヤマハブランドの車載オーディオシステムが三菱自動車工業株式会社に採用されました。当社は、三菱自動車工業株式会社との協業を通じて、ヤマハブランドの車載オーディオシステムが搭載される車種の音響デザインを担当します。2社で共同開発したオーディオシステム「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」を搭載した車両が、第30回インドネシア国際オートショーで世界初披露されました。また、車載用ツイーターユニットおよびスコーカーユニットが、トヨタ自動車株式会社の最上級モデルとなる「新型センチュリー」に採用されました。今回開発した車載用スピーカーユニットは、ポリプロピレン樹脂とZYLON(R)繊維を独自の配合比で組み合わせた「ZPP振動板」を搭載しています。「ZPP振動板」は、反応速度と減衰率を両立した理想的な特性を持ち、ボーカルの歌声や、ピアノやバイオリンなど中高域の楽器の音を忠実に再現します。 ゴルフ事業関連では、全てのアスリートゴルファーのパフォーマンスを引き出すゴルフクラブとして誕生した新モデル「RMX VD」を開発いたしました。ドライバーは、アスリートゴルファーの志向に合わせた、特徴の違う3タイプのヘッドを用意しています。それらに共通する新テクノロジーとして、飛びの三要素(ボール初速・打ち出し角・スピン量)を最適化する「Bull's-eye Face」を搭載しました。また、ゴルファーがより最適なロフト選択・打ち出し角の調整ができるようロフト可変幅を±2度まで拡大した新スリーブを採用し、最大飛距離を引き出します。アイアンは、ツアープロからのフィードバックを受けて形状・重心などすべてを刷新した「RMX VD/R」、飛距離、安定性、形状を高いバランスで備えるツアー系ディスタンスアイアン「RMX VD/M」、4,000g・cm²の大慣性モーメントに驚きの飛距離性能をプラスした「RMX VD/X」のラインアップを開発いたしました。
FY2023|7,347 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、ヤマハが目指すものとして「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を、企業理念として「感動 を・ともに・創る」を掲げています。これを支えるために、「製品」と「サービス」分野で新たな価値を創出するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術を中心に、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、「アコースティック技術とデジタル技術の融合でヤマハならではの新たな製品を生み出す」、「LTV戦略を加速、外部連携・UGC(User Generated Content)等を活用し音楽生活をより愉しむためのサービスを展開」、「先進的な技術と豊かな感性で新たな感動体験を創造」をテーマに研究開発を進めました。「ヤマハならではの新たな製品を生み出す」では、「トランスアコースティックピアノ」と「サイレントピアノ」の新モデルを開発いたしました。「音楽生活をより愉しむためのサービスを展開」では、BGM作成アプリ「AmBeat」を開発いたしました。「新たな感動体験を創造」では、AI技術を用いた新合成エンジン「VOCALOID:AI」を搭載したVOCALOIDの新バージョン「VOCALOID6」を開発いたしました。当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group,Inc.の開発部門、音響事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断のR&Dについては当社研究開発統括部が担う形で構成しております。当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は25,057百万円であります。 (1) 楽器事業当セグメントでは、幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。ピアノ関連では、アコースティックピアノならではの音やタッチ感はそのままに、デジタル技術との融合により音量調節や消音が可能な「トランスアコースティックピアノ」と「サイレントピアノ」の新モデルを開発いたしました。「トランスアコースティックピアノ」、「サイレントピアノ」は、アコースティックピアノでの演奏体験に加えて、大きな音が出せない環境でも快適に演奏を楽しんでいただけるピアノです。新たに開発した「トランスアコースティックピアノTA3」、「サイレントピアノSH3」は、新開発の「アーティキュレーション・センサーシステム」を搭載し、ピアノ本来のタッチ感を損なう事なく、演奏者が思い描く細やかなニュアンスの表現を正確に検出し、忠実に再現することができます。また、独自の音源技術により、タッチの細かな違いで音色の変化を弾き分けられ、より本格的な演奏表現が可能となりました。その他、BluetoothⓇ(AUDIO/MIDI)がすべての機種に搭載され、当社のアプリ「スマートピアニスト」とのスムーズな連携により、快適な演奏体験を提供します。管弦打楽器関連では、フリューゲルホルンの新製品として、「YFH-8310Z」と「YFH-8315G」を開発しました。新しいフリューゲルホルンでは、新設計のバルブケーシングを採用して剛性を高め、奏者が吹き込む息を管体がしっかり支え、効率良く音に変換することで、粒立ちの良い音を実現しています。また、ピストンの仕組みが違うトランペットと、バルブケーシングで吹奏感や音色の方向性を揃えることで、トランペットとフリューゲルホルンの持ち替えもスムーズに行えます。チューニングで抜き差しするリードパイプを固定するためのスクリューは、「YFH-8310Z」は真鍮、「YFH-8315G」はフォスファーブロンズと異なる材料を使い、形状もサイズも異なっており、2つのモデルの個性を際立たせる要素の一つになっています。 電子楽器関連では、演奏性・可搬性に優れたライブパフォーマンス向けステージキーボードの新シリーズとして、「CK61」「CK88」を開発しました。ステージキーボードとしては、高品位なピアノサウンドが特徴のステージピアノ「CPシリーズ」や、オルガン音源・FM音源も搭載したステージキーボード「YCシリーズ」が、多くのアーティストのステージで認められてきました。新たに開発した「CK61」「CK88」は「CPシリーズ」と「YCシリーズ」のエッセンスを受け継いだ新シリーズで、ライブで活躍する300種類以上の多彩な音色を搭載し、直感的な操作で、素早くサウンドメイキングができるOne-to-Oneインターフェースも備えています。当社のステージキーボードとして初めてスピーカーを内蔵しているため、本体1台でマイクと接続して弾き語りをしたり、デバイスとBluetoothⓇ接続してオーディオを再生しながら演奏したりすることも可能です。軽量ボディで可搬性にも優れ、電池でも駆動することから、ステージからストリートまで多彩なシーンで演奏をお楽しみいただけます。また、新開発のAI合成エンジンがナチュラルで豊かな表現力のある歌声を実現する、バーチャルボーカル制作の総合ソリューションを提供するソフトウェア「VOCALOID6」を開発しました。イメージにあった歌声をいつでも簡単に作り出すことが可能な「VOCALOID」を用いて制作された楽曲は「ボカロ曲」と呼ばれ、新世代の音楽として全世界のリスナーから支持され、高い人気を誇っています。4年ぶりの新バージョンとなった本製品では、AI技術を用いた新合成エンジン「VOCALOID:AI」を搭載し、よりナチュラルで表現力豊かな歌声合成を実現しました。アクセントやビブラートといった歌唱表現を素早く調整できる編集ツールを採用したほか、豊かな表現を生み出す制作手法である「ダブリング」や「ハモリ」を瞬時に作る機能を追加しました。VOCALOID:AI対応のVOCALOID6専用ボイスバンクでは、クリエイター自身の歌唱データを基に歌い方や歌詞を再現できたり、一つのボイスバンクで日本語や英語を織り交ぜた歌詞を流暢な発音で歌わせたりできるようになりました。言葉の壁を越えた作曲活動やボーカルパートの新たな制作方法を提案することで、クリエイターの制作意欲を後押しします。なお、カジュアル管楽器Venova「YVS-120/YVS-140」が「iFデザインアワード2022」を、更に「YVS-140」は「アジアデザイン賞2022」の大賞を受賞いたしました。さらに、歌声合成技術/ソフトウェア「VOCALOID」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2022年度グッドデザイン賞」において、長年にわたり生活者に支持され続ける優れたデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しました。 楽器事業の研究開発費は10,382百万円であります。 (2) 音響機器事業当セグメントでは、社会の変化にも対応しながら、多様なニーズに応える商品を開発しております。ホームシアター・オーディオ関連では、「5000シリーズ」の名を冠する、独自の「オルソダイナミックドライバー」を搭載したフラッグシップヘッドホン「YH-5000SE」を開発しました。アーティストが音楽に込めた想いの全てを表現し人の感情を動かす音 = TRUE SOUNDを実現するために、音の正確性を追求した「オルソダイナミックドライバー」、繊細かつ、しなやかな広帯域表現を叶える大容量ハウジング、音楽の躍動感をありのままに再現する超軽量薄型ダイヤフラム、音の密度感と開放感の両立を可能にした日本製圧延平畳織ステンレスフィルターなど、当社が考える最高の技術、最適なマテリアルを集結しました。音・音楽の多様な製品を手掛けるオーディオブランドであるヤマハのフラッグシップヘッドホンとして、ハイグレードなリスニングを追求されるお客様に、心深く残る特別な音楽体験を提供します。業務用音響機器関連では、96kHzの高分解能を実現し、最大256chの入出力に拡張可能な音響空間を創造するシグナルプロセッサー「DME7」を開発しました。「DME7」は、劇場やコンサート会場などの音質が重要視されサウンドシステム設計者が音響をデザインするシーンにおいて、高度な音の演出表現を実現し上質な音響体験を提供するシグナルプロセッサーのフラッグシップモデルです。豊富なDSPコンポーネントを標準搭載し、それらを組み合わせて自在に配置することで、用途に合わせて柔軟にシステムを構築できるフリーコンフィグレーション方式を採用しています。サンプリング周波数は96kHzの高分解能を実現し、標準で64chのDante入出力、拡張キット「DSEK-DME-DX64」を適用することで、最大256chの入出力に対応します。さらに、新たなシステムのデザイン機能を追加した、設置環境や運用方法にあわせたコントロールパネルの作成や、機器のリモートコントロール、モニタリングが可能なアプリケーションソフトウェア「ProVisionaireシリーズ」によるシステム全体の制御にも対応しています。また、ポータブルPAシステムの新モデルとして、バッテリー駆動に対応し、5chミキサーと多彩なエフェクトを搭載したワンボックス型のオールインワンPAシステム「STAGEPAS 200」を開発しました。「STAGEPAS 200」は、30センチ・ワンボックス型のコンパクトな筐体に高い音質・クラス最大級の音圧を実現したスピーカーとアンプ、本格的なミキシング機能を持つミキサーに加え、シンプルな操作性を備えた、小規模なライブや各種イベントでの音楽やスピーチの拡声に最適なポータブルPAシステムです。シリーズで初めてバッテリー駆動による最大10時間の連続稼働に対応し、電源のない場所でも使用できます。音楽制作機器・ソフトウェア関連では、直感的な操作と独自の音声処理で没入感の高いゲーム・ボイスチャット体験を提供する、ゲームストリーミングミキサー「ZG01」を開発しました。「ZG01」は、PCやゲーム機、スマートフォンマイク・ヘッドセットを接続し、独立した各ツマミによる直感的な操作によって、各入力音源の音量を瞬時に調節しながらボイスチャットやゲーム配信が行える、ゲーム配信・ボイスチャット用の小型ミキサーです。ゲームのサラウンドサウンドをヘッドホンで体験できる「ZG SURROUND」や、プレイ場面やプレイスタイルに最適な音質へ補正する「FOCUS MODE/EQ」、快適なボイスチャット体験を提供する「3D CHAT SPACE」などの独自の音声処理を搭載。さらにプレイヤー本人が体験するこれらの音響効果は配信視聴者にもそのまま届け、没入感を共有することもできます。また、動画や写真をアップロードするだけで、イメージに合うオリジナルBGMを自動生成するBGM生成アプリ「AmBeat」を開発しました。「AmBeat」は、動画や写真のデータをアプリ上にアップロードするだけで、そのビジュアルコンテンツのイメージやシチュエーションにマッチした音楽を自動で作成するアプリです。イメージと音楽の結び付けには、ヒトの感覚や感性を言語化して科学的に分析する独自の「感性研究」の成果を応用しています。さらに、自動作成されたBGMを、アプリの画面での簡単な操作で自由にアレンジすることも可能です。できあがったBGM付きの動画や写真は、音楽付きの思い出として保存したり、SNSなどで投稿したりして活用いただけます。 ネットワーク機器関連では、業務用のVPNルーター「RTXシリーズ」で好評な機能を継承・強化し、新たに10ギガビットにも対応した10ギガアクセスVPNルーター「RTX1300」を開発しました。近年、テレワークやWeb会議が普及してきていることに加え、ウェビナーやオンライン研修などデータ量の大きいコンテンツを利用するユーザーが増えたことで、社内のネットワークに流れるトラフィックが急増しています。それに伴い、Wi-Fi 6対応の無線LANアクセスポイントや10ギガビット/マルチギガビット対応のスイッチが配備され、LANの高速化が進んでいますが、WAN側の高速化は未対応の拠点が多いという課題があります。その解決のために、中規模ネットワークにおけるWANの高速化を実現するルーターへの需要が高まっています。「RTX1300」は、「RTXシリーズ」の好評な機能を継承・強化しつつ、急増するトラフィックに耐えうるハードウェア性能を持ったVPNルーターです。10ギガビットに対応したコンボポート(LANポートとSFP+スロット)を2ポート搭載しており、現在普及しつつある10ギガビット光回線を使った高速インターネット接続が可能です。また、10ギガビット/マルチギガビット対応のスイッチやWi-Fi 6に対応した無線LANアクセスポイントと組み合わせることで、LAN/WAN両方の高速化を実現します。なお、ヘッドホン「YH-L700A」が、国際的なデザイン賞「iFデザインアワード2022」と「アジアデザイン賞2022」の「Gold Award(金賞)」を受賞しました。また、ライブストリーミングUSBマイクロフォン「AG01」、業務用インターホンシステム「スマホでインターホンpowered by SoundUD」、当社がUSEN-NEX GROUPの株式会社USENと共同で取り組む業務用アナウンスシステム「音と文字で伝わる「SoundUDの多言語アナウンスシステム」」の3件が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。中でも「SoundUD多言語アナウンスシステム」は、特に高い評価を得たデザインに与えられる「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。また、「スマホでインターホン powered by SoundUD」および「SoundUDトリガーパネル」が、一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催する「IAUD国際デザイン賞2022」において、インタラクションデザイン部門の金賞を受賞しました。また、リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が、革新的な優れたサービスを表彰する「第4回 日本サービス大賞」(主催:公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会)において「優秀賞」を受賞しました。 音響機器事業の研究開発費は10,283百万円であります。 (3) その他の事業電子デバイス事業関連では、立体音響の圧倒的な没入感を車の全シートで楽しめる技術を開発し、量産に先駆けて自動車メーカーに向けたデモを開始しました。自動運転やインターネット常時接続などの変革により、自動車は今まで以上に快適なプライベート空間に変化していくはずです。また、リモートコミュニケーションの進化は、「メタバース」のキーワードと共に、デジタル空間の体験の機会が今後さらに広がることを示唆しています。移動手段からセカンドリビングへと車が進化する中で、エンターテインメントで新しいサウンド体験を実現する提案の一つが、マルチチャンネルを生かしたオーディオ体験です。近年、Dolby Atmos等に対応した、立体音響を体験できる映像・楽曲コンテンツの配信サービスが普及してきました。従来のステレオ2チャンネルのコンテンツと異なり、これらのコンテンツには空間を積極的に活用した立体表現が盛り込まれており、様々な方向から音が聴こえてきます。このコンテンツはオーディオコンポーネントやヘッドホンで楽しむことができますが、音の反射や共鳴が顕著で複雑な形状をした車室内では、製作者の狙いを精度高く再現することが困難なうえ、リスニングポイントが限定される問題がありました。今回開発した技術を使うことで、全てのシートで立体音響の圧倒的な没入感を体感することができます。ゴルフ事業関連では、「inpres」の新シリーズとして、「inpres DRIVESTAR」を開発しました。「inpres DRIVESTAR」は、独自技術による圧倒的な飛びと直進性を実現しながら、シャープで構えやすい正統派のヘッド形状を両立した「inpres」の新シリーズです。アベレージゴルファーから上級者まで幅広い層をターゲットとする一方で、プロゴルファーもその性能と感性を認めています。ドライバーは、独自の「BOOSTBOX」によるボール初速アップと、ウェイトを最適に配置する「COUNTERWEIGHT SYSTEM」によるルール限界クラスの横慣性モーメントが、圧倒的な飛びと直進性を生み出します。アイアンは、飛びの最大効率化を実現する「3POINT RESONANCE TECHNOLOGY」の搭載と、高い強度を持つステンレス系新素材「X37」を採用した精密鋳造による1.1mmの極薄ソールとの相乗効果で打点の反発性能をアップさせました。また、キャビティ部に46gものタングステンを搭載した低重心設計による高弾道も実現しています。これらの性能を搭載しながら、アイアンらしい形状も両立させた、飛距離性能も形状も妥協しない革新的アイアンです。 その他の事業の研究開発費は4,392百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,184件であります。
FY2022|8,243 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げています。これを支えるために、「技術×感性(ヤマハらしさ)」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、「本質×革新」を追求するために、「飽くなき表現力の向上」、「感性を科学する」、「イノベーションの創出」、「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。「飽くなき表現力の向上」では、当社グランドピアノのフラッグシップである「CFX」の新モデルを開発いたしました。「感性を科学する」では、ギターを始めとする楽器事業領域、スピーカー等の音響機器事業領域から、ゴルフの打音まで、幅広い分野で技術の蓄積が進みました。「イノベーションの創出」では、当社が保有する様々な技術の融合により、世界初の言葉をメロディーにのせて会話するロボット「Charlie」を開発いたしました。「AIによる技術革新」では、当社が参加した「だれでもピアノ」や「Dear Glenn」等の取り組みが高い評価をいただきました。当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。当連結会計年度におけるセグメントごとの主な成果は次のとおりであります。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,032百万円であります。 (1) 楽器事業当セグメントでは、アコースティック技術やデジタル・エレクトロニクス技術など幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。ピアノ関連では、2010年に発売したコンサートグランドピアノ「CFX」の次世代モデルを開発しました。新しい「CFX」では、「私と、響き合う。」を製品のコンセプトに掲げ、「演奏者がピアノと一体になり、意のままに謳い奏でる」ことのできるピアノを目指しました。一体感のある演奏を実現する新たな設計思想「ユニボディコンセプト」のもと、「CFX」に適した独自の木材改質技術「A.R.E.」技術を用いて木材の内部応力を開放させると同時に、含水率を下げることで振動減衰を抑制した曲練支柱(まげねりしちゅう)により、打弦した時に生じる伝達エネルギーのロスを最小限に抑えました。また、剛性を最適化しかつ軽量化を実現した新たなリブ形状と飾り輪の配列を採用したフレームにより開放的な響きを、新たな湾曲構造(クラウン)を採用することで響き・伸び・太さのある中低音を、さらに響棒の幅、高さ、えぐり位置を変更した響板により、幅広いダイナミックレンジを実現しました。そのほか、各パーツの素材や構造、加工方法を最適化しました。管弦打楽器関連では、電子ドラム「DTX Drums」の新製品として、「DTX10シリーズ」「DTX8シリーズ」を開発しました。今回開発した「DTX10シリーズ」および「DTX8シリーズ」は、ドラマーが求める理想のアコースティックサウンドと演奏感、デザイン、そして利便性とその操作性を徹底的に追求した電子ドラムのハイエンドモデルです。音質や表現力を最大限に追求し、トップドラマーが著名なスタジオで録音した本物のドラムサウンドに加え、そのスタジオでのみ生まれる音の広がりや空気感といったアンビエンスも録音、搭載しました。自宅での練習だけでなく、レコーディングやライブパフォーマンスにも最適な高い演奏性と機能性を持ち合わせ、無料アプリ「Rec'n'Share」を活用することで昨今ニーズが拡大しているSNSへの演奏動画投稿を簡単に行うこともできます。 また、サイレントベースの新商品として、「SLB300PRO」を開発しました。当社が開発した「サイレントベース」は、2000年の発売以来、演奏性、可搬性やステージでの使い勝手の良さが評価され、プロの演奏者・ハイエンドアマチュアによるステージ演奏、レコーディングや音楽制作などに幅広く使用されています。「SLB300PRO」は、限りなくアコースティックベースに近い音質、演奏感を実現した「SLB300」をさらに進化させ、上質なジャズシーンに相応しいプレミアムな外観、仕様そして性能を実現したハイエンドモデルです。当社独自の、アコースティック楽器の共鳴胴による響きをリアルタイムで再現する「SRT(Studio Response Technology)パワードシステム」に加え、弦の振動を伝達するブリッジには以前に限定モデルとして販売した「SLB200LTD」で好評だった木材改質技術「A.R.E.」技術を採用し、アコースティック楽器と錯覚するような高品質なサウンドを実現しました。ギター関連では、エレキギター「REVSTAR(レヴスター)シリーズ」の新製品を開発しました。新しい「REVSTARシリーズ」は、ヨーロッパの街中を疾走するカフェレーサーのコンセプトはそのままに、現代ギタリストのニーズに応える音、デザイン、演奏感を追求し、6年ぶりにフルモデルチェンジした製品です。全てのモデルに「アコースティック・デザイン」をもとにしたチェンバー加工を採用したことにより、鳴りの向上、軽量化、重量バランスの最適化を実現しています。また、Yamaha Guitar Group, Inc.が Line 6 ブランドのギターアンプ新製品「Catalyst(カタリスト)シリーズ」を開発しました。Line 6 ブランドのギターアンプは、その卓越したモデリング技術による高品位なギターアンプモデルとエフェクトから、世界中の多くのギタリストに愛用されてきました。新たに開発した「Catalystシリーズ」は、世界中のミュージシャンから高い評価を得ている同社独自のサウンド開発技術「HXサウンド・デザイン技術」を駆使し、ピュアなクリーンからモダンなハイゲインまで、6種類のオリジナル・アンプ・サウンドを搭載しています。 電子楽器関連では、電子キーボード「PSRシリーズ」の新製品として、「PSR-E473」を開発しました。「PSR-E473」では、音源LSIとソフトウェアを新規に開発し、プロモデルさながらのサウンドクオリティを実現しました。高品位な820音色と290種類のスタイル(自動伴奏)、さらに53種類のエフェクトを搭載しています。ギターのスクラッチノイズなど楽器固有の奏法による演奏音をリアルに再現する「スーパーアーティキュレーションライトボイス」も搭載し、より本格的な表現を楽しむことができます。 また、これまでの楽器の枠を超えた新商品として、世界初となる、言葉をメロディーにのせて会話するコミュニケーションロボット「Charlie」を開発しました。「Charlie」は、言葉をメロディーにのせてユーザーとコミュニケーションをとる、「うたロボ」です。当社が持つボーカロイド技術や自動作曲技術等を活用し、ユーザーが話しかけると、「おはよう」や「ありがとう」等の言葉はもちろん、日常での相談事や雑談等もミュージカルのようにメロディーにのせて返答します。歌で返答することによって、ユーザーの気持ちをリラックスさせ、心を温めるようなコミュニケーションができるのが特長で、日常生活に「聴く」「演奏する」以外の「音楽との新しい関わり方」をもたらします。 なお、デジタルサックス「YDS-150」が「Red Dotデザイン賞」の最高賞である「Best of the Best」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の最高賞である「Grand Award」を、ギターアンプ「THR-Ⅱ」が「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2021」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の「Gold Award」を、カジュアル管楽器「Venova YVS-120/YVS-140」が、「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2022」を、当社がデザインを手掛けたギタースツール「solo(ソロ)」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、「AIを用いた技術革新」により、当社が、AIと人間の共創を追求するため取り組んだプロジェクト「Dear Glenn」が、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」において、「エンターテインメントライオンズ・フォー・ミュージック」部門の「シルバー」を、当社と国立大学法人東京藝術大学COI拠点が共同開発した自動伴奏追従機能付きのピアノ「だれでもピアノ」が、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取り組みを表彰する「STI for SDGs」アワードで文部科学大臣賞を受賞しました。 楽器事業の研究開発費は9,837百万円であります。 (2) 音響機器事業当セグメントでは、遠隔コミュニケーションの多様化など社会の変化にも対応しながら、幅広いニーズに応える商品を開発しております。AV機器関連では、AVレシーバー「AVENTAGE(アベンタージュ)」の上位モデル「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」を開発しました。「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」は、約3年の開発期間をかけ筐体・回路構成を一新、最新鋭パーツを投入することによりオーディオの本質=音を妥協なく追求し、新世代のAVエンターテイメントを圧倒的なクオリティで楽しむことができるモデルです。制振性能を高めたAVENTAGEの象徴である「5番目の脚」をはじめ、自然な音場再現を実現したヤマハ独自のサラウンド機能「SURROUND:AI(サラウンド エーアイ)」を搭載し、3Dサラウンドフォーマット 「AURO-3D」にも新たに対応しました。また、イヤホンの新モデルとして、完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホン「TW-E5B」を開発しました。当社のメカ・音響技術を存分に盛り込んだ筐体設計、耳への装着性を高めながら音の劣化を抑えるハウジングデザインなどにより、アーティストの想いや演奏をより身近に感じることのできる音体験「TRUE SOUND」を実現しています。さらに小さな音量でも情報量を損なわずにバランスを最適化する耳にやさしい独自機能「リスニングケア」も搭載しました。業務用音響機器関連では、SR用パワードスピーカーシステム「DHRシリーズ」およびパッシブスピーカーシステム「CHRシリーズ」を開発しました。「DHRシリーズ」は、業務用スピーカーとして手頃な価格帯でありながら、キャビネットには「DZRシリーズ」「CZRシリーズ」と同じ木製合板を使用し、塗装には優れた耐傷性を誇るポリウレア塗装を採用しています。また、メインスピーカー用途に最適な15インチモデル「DHR15」やフロアモニター用途に最適な12インチモデル「DHR12M」、固定設備やユーティリティ用途に最適な10インチモデル「DHR10」など、多様な用途や設置状況に応じて最適化した3モデルをラインアップしています。「CHRシリーズ」は、「DHRシリーズ」とエンクロージャーや主要コンポーネントを共通仕様にしたパッシブSRラウドスピーカーです。「DHRシリーズ」と同様に、15/12/10インチユニットを搭載した3モデルをラインアップしています。また、電子楽器のモニターに最適なコンパクトサイズのパワードモニタースピーカー 「MS101-4」を開発しました。今回開発した「MS101-4」は、フロントパネルにマイク入力(コンボジャック)を搭載し、コンパクトなバスレフ型キャビネットに4インチのフルレンジスピーカーを採用した、電子楽器のモニターとして最適なパワードモニタースピーカーの新モデルです。バスレフポートを背面に配置したことや、軽量な素材を採用したことで、前モデル「MS101-3」からコンパクト化(筐体高さ21.4cm→19.6cm)および軽量化(質量2.5kg→2.1kg)しています。さらに、刷新したパワーアンプにより定格出力30W(前モデルは10W)、最大出力音圧レベル115dB SPLを実現しています。また、Dante・USB対応のI/Oラック「RUio16-D」を開発しました。「RUio16-D」は、コンパクトなハーフラックサイズの筐体に、Dante対応の16イン16アウトやWindows/macOSに対応するUSB、2系統のアナログ入出力、ヘッドホン端子を備えたインターフェースです。PCとUSB接続し、同梱されたVSTプラグイン用ホストソフトウェア「VST Rack Pro」を通じて、当社「QLシリーズ」などのDante対応のデジタルミキサーへ簡単にVSTプラグインの機能を追加することができます。アナログ入力も搭載しているので、アナログミキサーやマイクなども接続が可能です。ソフトウェア上で安定したプラグイン環境を自由に構築・レイアウトができる「VST Rack Pro」と、コンパクトかつマルチなインターフェース「RUio16-D」を組み合わせて、ライブ会場で使用されるハイクラスのデジタルミキサーにもVSTプラグインを追加することで、アーティストがレコーディング時に使用するVSTプラグインを、ライブでも再現することができます。音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg Media Technologies GmbHが「Cubase(キューベース)12」を開発しました。「Cubase 12」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。今回のバージョンアップでは、新たなライセンスシステム「Steinberg Licensing」の導入により、ドングルにとらわれないライセンス管理が出来るようになったほか、サードパーティMIDIコントローラーとの連携強化やオーディオワープ機能の向上など、より快適なワークフローの実現を可能とするアップデートが多数施されています。 ネットワーク機器関連では、インテリジェントL2スイッチ「SWX2320シリーズ」とスタンダードL3スイッチ「SWX3220シリーズ」を開発しました。今回開発したインテリジェントL2スイッチ「SWX2320-16MT」「SWX2322P-16MT」は、「SWX2310シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートとPoE++ (IEEE 802.3bt) 給電に対応したモデルです。今後導入が進むWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応した無線LANアクセスポイントへの給電、高速なLANポートを搭載したアクセススイッチの収容など、中規模ネットワークのフロアスイッチとして活用することができます。また、スタンダードL3スイッチ「SWX3220-16MT」「SWX3220-16TMs」は、「SWX3200シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートを搭載したモデルです。従来のLANポートを多数搭載したモデルに加え、SFP/SFP+スロットを多数搭載したモデルを揃えたことで、収容距離と収容数に合わせたモデルを選ぶことができ、中規模ネットワークのコアスイッチ、ディストリビューションスイッチとして活用することができます。両シリーズとも、当社初となる10ギガビット/マルチギガビット対応で、高速・大容量が望まれる中規模の基幹ネットワーク増強に最適です。音声コミュニケーション機器関連では、遠隔会議用ワンスストップソリューション「ADECIA」の新ラインアップとして、テーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」を開発しました。「RM-TT」は、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」やDante/PoE対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」、PoE給電対応のネットワークスイッチ「SWR2311P-10G」と組み合わせることで、快適かつ簡単な遠隔会議を可能にする「ADECIA Tabletop Solution」を提供します。従来のシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」に加え、コンパクトでありながら話者の声を逃さず収音する有線方式のテーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」が、会議室のレイアウト変更や会議参加人数を考慮した効率的な会議運用など、多様化する遠隔会議スタイルにより柔軟に対応します。「RM-TT」は、マイク本体とPoEスイッチとLANケーブルで接続するだけで机上へ簡単に設置することができ、天井への「RM-CG」の設置が難しい会議室でも導入が可能です。加えて、「ADECIA」ソリューションの特長の一つである、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」を組み合わせた簡単自動設定・自動音響調整機能を使用することで、会議様式に合ったマイクロフォンを選びつつ、設置・調整に必要とされてきた音響に関する知識や経験が少ない場合でも、調整時間の最小化を実現します。なお、ワイヤレスヘッドホン「YH-L700A」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2022」を、リモート応援システム「Remote Cheerer」が「CEATEC AWARD 2021」において「デジタルトランスフォーメーション(DX)部門 グランプリ」を、次世代ライブビューイング「Distance Viewing」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。 音響機器事業の研究開発費は10,236百万円であります。 (3) その他の事業 電子デバイス事業関連では、開発した「車載向けヤマハブランドスピーカーシステム」が吉利汽車(Greely)の「ZEEKR 001」に採用され、自動車市場へのデビューを果たしました。楽器の音が輝きを放つ、いつも聴いている曲なのに新しい発見がある、フルカスタムで開発したヤマハのサウンドシステムが、「ZEEKR 001」の切り開くドライビング体験を華やかに彩ります。 ゴルフ事業関連では、「RMX(リミックス)」の新モデルとして、これまでの常識を覆す性能やテクノロジーを搭載した「RMX VD(リミックス ブイディー)」シリーズを開発しました。ドライバーは、すべてのゴルファーがスクエアなインパクトを実現できる、慣性モーメントの変わらない世界初の弾道調整「RMX VDウェイトシステム」を搭載しました。アイアンは、革新的な形状により業界最大級の横慣性モーメント4,000g・cm²を実現し、飛距離ロス・方向ブレが激減する「RMX VD 40」や、ツアープロが求めるスピン性能と飛距離・安定性を両立した「RMX VD」などをラインアップしています。さらに、フェアウェイウッドは飛距離向上のための高機能素材を採用し、ボール初速が飛躍的に向上しています。 その他の事業の研究開発費は3,959百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,298件であります。
FY2021|7,181 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げています。これを支えるために、「技術×感性(ヤマハらしさ)」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。 当連結会計年度は、「本質×革新」を追求するために、「飽くなき表現力の向上」、「感性を科学する」、「イノベーションの創出」、「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,189百万円であります。 1 楽器事業 ピアノ関連では、プレミアムピアノづくりのノウハウを受け継いだグランドピアノの上位モデル「C3X espressivo」を開発しました。「C3X espressivo」は、音色や音量を演奏者のイメージどおりに変化させられることを目指して開発したモデルです。プレミアムピアノ「SXシリーズ」の開発を通して培った最新の技術やノウハウを、家庭に置きやすいサイズながら低音から高音までバランスのとれた豊かな響きに定評のあるグランドピアノ「C3X」に応用し、さらに丁寧に緻密な仕上げ作業を施すことで、演奏者が思い描く演奏表現に存分に応える高い表現力を実現しました。また、当社の自動演奏機能付きピアノ「Disklavier(ディスクラビア)」を用いて、フライブルク音楽大学(ドイツ・フライブルク)が実施した入学試験に協力しました。ドイツと日本、中国をインターネットで接続して、遠隔地からでもピアノ演奏の実技試験を受けることができるリモート入学試験をサポートしました。今回の実技試験は、ヤマハホール(日本)、グループ会社現地オフィス(中国)、フライブルク音楽大学(ドイツ)に設置した「Disklavier」をそれぞれネットワークで接続して、日本と中国の受験者による演奏を、遠く離れたドイツのピアノで忠実に再現し、それを試験官が評価する方法で実施しました。 管弦打楽器関連では、バリトンサクソフォンの新製品として、「YBS-82」を開発しました。「YBS-82」は当社バリトンサクソフォンで初のフラグシップモデルとなる「カスタムモデル」で、日本を代表するサクソフォン奏者の協力のもと、音色・音程、重量バランスなど細部にわたり検証をおこない、理想の響きと高い操作性を実現しました。また、デジタル管楽器の新製品として、デジタルサックス「YDS-150」を開発しました。「YDS-150」は、サクソフォンの本格的な表現力をそのままに静音化を実現した、気軽に演奏を楽しんでいただける全く新しい管楽器です。息を吹き込むだけですぐに音を出すことができ、息の圧力により繊細な音量や音色の変化をつけることができるので、管楽器初心者から経験者まで奏者の表現したいことに応えてくれます。また、電子ドラムの新製品として、「DTX6シリーズ」を開発しました。サウンドとユーザーインターフェースを刷新し、定評のある「DTX-PAD」を標準装備、キックパッドやラックシステムを新たに開発し、楽しみながら上達できる練習機能も豊富に搭載しています。 ギター関連では、エレキギターの新製品として、「PACIFICA 612VIIX」「PACIFICA 612VIIFMX」を開発しました。「PACIFICA 612VIIX」「PACIFICA 612VIIFMX」は、ボディにアルダー材、ネックにメイプル材、指板にはローズウッドを採用し、フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッキングのピックアップを搭載した「PACIFICAシリーズ」の上位モデルです。3つのピックアップはもちろんのこと、トレモロユニット、コイルタップスイッチなど、各所に高品質なパーツを搭載し、ひとつひとつ丁寧に作り上げています。また、ギターアンプの新製品として、「THR30IIA Wireless」を開発しました。「THR30IIA Wireless」は、現代におけるアコースティック・ギタリストのニーズに応える音、デザイン、機能性を徹底的に追求したギターアンプです。「THR30II Wireless」のワイヤレス機能、外観を引き継ぎながら、アコースティックギターに最適なサウンドを刷新し、マイク入力端子をはじめとする弾き語りのニーズにマッチする機能を新たに搭載しました。 電子楽器関連では、電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」CLPシリーズの新製品として、「CLP-700シリーズ」を開発しました。「CLP-700シリーズ」は、グランドピアノの多彩な音色変化を再現する最新技術「グランド・エクスプレッション・モデリング」と、グランドピアノの音像や音場をリアルに再現する最新の音響技術「グランド・アコースティック・イメージング」により、高い表現力と臨場感のある響きを実現しています。さらに、ヤマハのコンサートグランドピアノ「CFX」とベーゼンドルファーの「インペリアル」から新たにサンプリングした音源を搭載しているほか、ピアノの原型である古楽器フォルテピアノの音色を当社の電子ピアノとして初めて搭載し、さまざまな演奏表現を楽しんでいただけます。また、ステージキーボードの新製品として、「YC61」を開発しました。「YC61」は、アナログ機器の特性を忠実に再現する「VCM(Virtual Circuitry Modeling)」技術を元に開発した「VCMオルガン音源」、80年代を象徴するサウンドである「FM音源」、リアルな響きが高い評価を受けている「AWM2音源」を搭載し、ステージキーボーディストが求める音質に高い次元で応えます。特にオルガンサウンドは、アナログ回路を高精度にモデリングすることで、トーンホイールオルガンやロータリースピーカー特有の「音の飽和感」や「温かみ」などを再現しています。鍵盤にはグリッサンド奏法や高速連打に最適なセミウェイテッド ウォーターフォール鍵盤を搭載しました。 その他の楽器事業関連では、「離れていても音でつながる」リモート合奏サービス「SYNCROOM(シンクルーム)」を正式にスタートしました。「SYNCROOM」は、インターネット回線を介して、複数のユーザー同士(最大5拠点)でリモート合奏が楽しめるサービスです。一般的なリモート会議システムやIP電話は、通話や会議を想定して設計されており、一定の音声の遅れが生じることから、高いリアルタイム性が要求される合奏には適していません。そこで「SYNCROOM」は、当社独自の技術によってインターネット回線を介したオーディオデータの双方向送受信の遅れを極小化し、遠隔地間でも快適なオンラインセッションが楽しめるサービスを実現しました。 なお、ステージピアノ「CP88」とショルダーキーボード 「sonogenic SHS-500」が「German Design Award 2021」を受賞しました。「sonogenic SHS-500」は「アジアデザイン賞 2020」で「Silver Award」も受賞しました。また、歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」は、「第9回技術経営・イノベーション大賞」(主催:一般社団法人科学技術と経済の会)の「選考委員特別賞」を、リモート合奏サービス「SYNCROOM」は、「2020年日経優秀製品・サービス賞」において「最優秀賞」を受賞しました。 楽器事業の研究開発費は9,730百万円であります。 2 音響機器事業 AV機器関連では、サウンドバーの新製品として「SR-C20A」を開発しました。「SR-C20A」は、当社史上最小となる横幅60cmのコンパクトボディでテレビやパソコンの前にも手軽に設置でき、リビングやプライベートルーム、寝室など、幅広いシーンで活躍するサウンドバーです。人の声やナレーションを聴きやすくする「クリアボイス」や低音を増強する「バスエクステンション」機能をはじめ、当社独自チューニングのサラウンド技術により、テレビの音をより聴きやすくグレードアップし、大型テレビにもマッチする豊かな低音と臨場感が楽しめます。また、好評の「リスニングケア」を搭載し、装着性、接続安定性をさらに高めた完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホンの新モデル「TW-E3B」を開発しました。ハウジングサイズを25%コンパクト化したデザインで耳へのフィット感、装着性を向上し、低域高域ともによりクリアな音質を実現するともに、ワイヤレス接続の安定性も向上しました。 業務用音響機器関連では、大規模ライブや設備音響、放送などでミキシングやエフェクトなどの音声信号処理などを行う、デジタルミキシングシステムの新ラインアップ「RIVAGE PM5」「RIVAGE PM3」のコアコンポーネントとなるコントロールサーフェス「CS-R5」「CS-R3」およびDSPエンジン「DSP-RX-EX」「DSP-RX」を開発しました。「RIVAGE PM5」「RIVAGE PM3」は、フラッグシップ「RIVAGE PMシリーズ」を拡張する新たなシステムです。“ステージで鳴っている音をありのままに取り込み、そこからさまざまな色付けを行う”という音質コンセプトや機能はそのままに、直感的な操作性や軽量・コンパクト化を追求しています。「CS-R5」は、シリーズで初めて3面のディスプレイを搭載し、筐体の奥行きを643mmに抑えてタッチパネルを操作者に近づけたことで、快適なタッチ操作と広いサイトラインを実現しました。「CS-R3」は、重量38kg、幅1,145mmとシリーズで最も軽量・コンパクトな筐体を持ち、設置場所に制限のある会場やモニター用途に最適なモデルです。また、DSPエンジンには既発売の「DSP-R10」に加え、288Mono入力搭載の「DSP-RX-EX」と120Mono入力搭載の「DSP-RX」の2モデルをラインアップ追加しました。 音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg社の新製品として、「Cubase 11」を開発しました。「Cubase 11」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。ワンクリックでのスライス機能などが追加されたサンプラートラックや、キーエディターへのスケール表示機能の搭載に加え、ダイナミックEQ(「Cubase Pro」のみ)などのさまざまな機能やプラグインが追加されています。 ネットワーク機器関連では、中小企業ネットワークに必要なセキュリティーを1台で提供するUTMアプライアンス「UTX100」「UTX200」を開発しました。「UTX100」「UTX200」では、セキュリティー黎明期よりネットワークセキュリティー専業ベンダーとしてグローバルにビジネスを展開しているCheck Point Software Technologies Ltd.との協業により、世界最高レベルのセキュリティー機能を提供しています。ヤマハルーターの配下に本製品を追加することで、企業ネットワークのセキュリティーレベルを大きく向上させることが可能です。また、Wi-Fi 6対応・トライバンド搭載、最大500台の端末を接続可能な無線LANアクセスポイントの最上位モデル「WLX413」を開発しました。「WLX413」は、大規模なオフィスや学校、ホテルなどに向けて、高速、多数端末接続、広範囲なワイヤレス環境を提供する無線LANアクセスポイントです。本体内蔵コントローラーによるオンプレミス(自社運用)型管理に加え、独自のクラウド型ネットワーク統合管理サービス「YNO」にも対応し、複数拠点の無線LANの一括管理も行えます。 音声コミュニケーション機器関連では、遠隔会議用サウンドソリューション「ADECIA」を開発しました。「ADECIA」は、当社が長年培ってきた音を原点とする音声処理技術とネットワーク市場における経験を駆使し、新開発したシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」と専用プロセッサー「RM-CR」を中心としたシステムです。Dante/PoE対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」とPoE給電対応のネットワークスイッチ「SWRシリーズ」を組み合わせることで、音とネットワークの技術の相乗効果を発揮する遠隔コミュニケーションのワンストップサウンドソリューションを実現し、多様な遠隔会議スタイルをサポートします。 その他音響機器関連では、リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD(リモートチアラー パワード バイ サウンドユーディー)」を開発しました。「Remote Cheerer powered by SoundUD」は、試合展開に合わせてスマートフォン専用サイトの「応援ボタン」をタップした人数に応じて、スタジアム内に設置したスピーカーから歓声や拍手の音を流すことができるシステムです。「ケガや病気で入院中の子ども達、子育てなどで多忙な方、障がいや高齢などさまざまな理由でスタジアムに足を運ぶことができないサポーターが、スタジアムにいるサポーターと一緒に応援できるよう、その声援を現場に届けたい」との想いから開発されました。昨今の新型コロナウイルスの感染再拡大に備える状況下にあって、ソーシャルディスタンスを保ち、新しい生活様式に対応しながら応援を楽しめる技術としても高い注目を集めています。また、アーティストの迫力のあるライブパフォーマンスを忠実に記録し、ステージ上にバーチャル再現する次世代ライブビューイング「Distance Viewing(ディスタンス・ビューイング)」を開発しました。「Distance Viewing」は、ライブ時の迫力あふれる音を完全再現しながら、大型スクリーンを用いた等身大映像と、ライブさながらの照明演出などで、ライブパフォーマンスをステージ上によみがえらせます。「Distance Viewing」を導入することによって、会場でのバーチャルライブが可能になるほか、オンライン配信でもファンに存分に楽しんでいただけます。 なお、リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が「2020年度グッドデザイン賞」を、遠隔会議用スピーカーフォン「YVC-330」がインターネットテクノロジーのイベントである「Interop Online」で「Best of Show Award」を受賞しました。 音響機器事業の研究開発費は10,820百万円であります。 3 その他の事業 電子デバイス事業関連では、開発した「車載向けヤマハブランドスピーカーシステム」が上海汽車グループMGの新型「MG5」の上位グレードに搭載される純正品として採用されました。当社は、“音楽が生まれた瞬間の感動を届けたい”という想いのもと「CLOSER TO THE ARTIST」 をユーザー体験として掲げ、車載向けブランドオーディオ事業を展開しています。高音質スピーカーユニットを提供するだけでなく、音響チューニングにヤマハのエンジニアが参画することで、信号処理にもヤマハのこだわりを反映させています。 ゴルフ事業関連では、“手にするだけでプラス2番手の飛び”をさらに進化させた“ぶっ飛び”に加え、“超まっすぐ”を実現したゴルフクラブ「inpres UD+2(インプレス・ユーディープラスツー)」シリーズの2021年モデルを開発しました。ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティでは、フェース周辺の剛性を高めてエネルギーロスを防ぎ、ボール初速を上げる新テクノロジー「SPEEDBOX(スピードボックス)」を搭載しました。さらに同重量帯クラブの中でも最高クラスの重心角と慣性モーメントにより、“つかまって”“曲がらない”方向安定性も実現しています。アイアンは、フェースとソールの薄肉化による初速アップと、フェース裏面に5本のリブを配置することで高い打ち出しを実現する「SPEED RIBFACE(スピード リブフェース)」を新搭載し、“ぶっ飛び”と“高弾道”を同時に実現しました。 その他の事業の研究開発費は3,637百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,508件であります。
FY2020|7,248 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「感動を・ともに・創る / 私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げています。これを支えるために、ヤマハの強みである「技術×感性」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。 当連結会計年度は、「本質×革新」の追求により製品・サービスの付加価値を向上するために、「飽くなき表現力の向上」「感性を科学する」「イノベーションの創出」「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,814百万円であります。 1 楽器事業 ピアノ関連では、サイレントピアノ後付けユニット「RSC2シリーズ」を開発しました。「RSC2シリーズ」は、音源を刷新し、世界的に評価されている当社のコンサートグランドピアノ「CFX」とベーゼンドルファー社のフラッグシップモデル「インペリアル」をサンプリングした音源を新たに搭載しました。「CFX」音源では、ヘッドホン着用時でも立体感のある自然な音を楽しめる「バイノーラルサンプリング」を採用し、豊かな音を自然な感覚で演奏することが可能です。また、当社の無料アプリ「スマートピアニスト」と連携させて各種機能をスマートデバイス上で操作できるなど、利便性が向上しました。「RSC2シリーズ」は、昭和40年代以降に製造された殆どの国内向けヤマハアップライトピアノに取り付けできます。 管弦打楽器関連では、管楽器の新製品として、「Alto Venova(アルト ヴェノーヴァ)」を開発しました。カジュアル管楽器「Venova」は、管楽器の本格的な演奏感や表現力をより気軽に、より身近に楽しんでいただける、まったく新しいタイプのアコースティック管楽器です。「Alto Venova」は、2017年に発売したソプラノ音域を奏でられる「Venova」の手軽さはそのままに、初めての人でもより演奏をし易く、落ち着いた音色を奏でることができるアルト音域のモデルです。また、革新的進化を遂げた新世代のサイレントベース「SLB300」を開発しました。ヤマハ独自の「SRTパワードシステム」によりコントラバスのボディ共鳴音をシミュレートし、エレクトリック楽器でありながらアコースティック楽器のような自然な響きとレスポンスを再現したモデルです。ステージ上で通常のコントラバスを演奏するには、煩雑な音響セッティングが必要な上、ハウリングの心配もありますが、「SLB300」はケーブルを挿すだけで、コントラバスの理想の音色で演奏することができます。また、「ハイブリッドシェル構造」を採用したシステムドラムス「ライブカスタム ハイブリッドオーク」を開発しました。「ライブカスタム ハイブリッドオーク」は、2013年に発売した「ライブカスタム」のパフォーマンス性能を進化させた新モデルです。ライブ環境でのパフォーマンスをさらに追求するため、バスドラムには新たに開発した「ベースエンハンスメントウェイト」を搭載し、低音域がより強化された芯のある太いバスドラムサウンドを実現しました。シェルフィニッシュには日本の伝統的な木材加工方法である「浮造り“UZUKURI”」を採用し、オーク材特有の木目を強調する独特かつ高級感のある仕上げとしました。なお、「エレクトリックバイオリンの意匠」が、「令和元年度全国発明表彰」の第一表彰区分の特別賞「日本弁理士会会長賞」を、また、受賞発明の実施等に関し「発明実施功績賞」を受賞しました。 ギター関連では、アコースティックギター「FG/FS Red Labelシリーズ」を開発しました。「歌のためのアコースティックギター」というコンセプトの元、50余年で培った設計ノウハウと最新の音響解析シミュレーションや木材改質技術などの最新テクノロジーを掛け合わせ、歌を引き立たせる暖かく豊かな音色を実現しました。ピックアップシステムを搭載したモデルでは、従来のピックアップでは難しいとされていた弦の振動、ボディの振動、胴内の響きの全てを余すことなく集音する新システムを開発、ステージ上でもアンプを通してギターの自然な生音を表現することで歌を引き立たせる新たなエレクトリック・アコースティックサウンドを実現しました。また、アコースティックギター「STORIA」を開発しました。「STORIAシリーズ」は、「ギターを演奏してみたい、自分のそばにギターを置いておきたい」というニーズに応え、ギターをもっと身近なものとして感じて頂けるよう弾きやすさと個々のライフスタイルに馴染むデザインを追求した新シリーズです。また、ギターアンプ 「THR-IIシリーズ」を開発しました。2011年に発売した「THRシリーズ」は、ステージやスタジオを離れてもいつでもギターを弾いていたいギタリストのニーズを満たすデスクトップアンプとして既存のギターアンプとは異なるユースケースに着目して新たな市場を切り拓き、今では世界中の数多くのギタリストに愛用されているギターアンプです。第二世代となる「THR-IIシリーズ」は、音、デザイン、機能性のあらゆる角度から仕様を見つめ直し、新たな価値を盛り込んでモデルチェンジした製品となります。大型ステージアンプでも小型練習用アンプでもなく、ギター演奏を楽しむ時間を豊かにする「第3のアンプ」として、今後も世界中のギタリストの期待に応えて行きます。なお、アコースティックギター「STORIA」が「2019年度グッドデザイン賞」とドイツのデザイン賞「iFデザインアワード」を受賞し、ギタースツール「solo」がドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2020」を受賞しました。 電子楽器関連では、電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」の新製品として、「CVP-800シリーズ」を開発しました。アコースティックピアノに近い弾き心地を実現する「GrandTouch(グランドタッチ)鍵盤」や、ヤマハのコンサートグランドピアノ「CFX」とベーゼンドルファーのフラッグシップモデル「インペリアル」からサンプリングした最新のピアノ音源を搭載し、ピアノとしての基本性能が向上しています。さらに、細部までリアルに再現した豊富な楽器音色やさまざまな「スタイル(自動伴奏)」によって、臨場感のあるアンサンブル演奏を体験できます。BLUETOOTHオーディオや当社の無料アプリ「スマートピアニスト」にも新たに対応し、より多彩な楽しみ方を可能にしました。また、電子キーボード「Remie(PSS-E30)」「PSS-A50」を開発しました。「Remie(PSS-E30)」は、初めてキーボードを購入される方やお子様にも最適なモデルで、リアルな楽器の音色のほか、動物の鳴き声などの多彩な効果音と、家族みんなで音と親しめる音当てクイズモードを搭載し、音楽に対する興味や好奇心を刺激します。「PSS-A50」はアルペジエーターや音を多彩に変化させるモーションエフェクトを搭載し、パフォーマンスからレコーディング、音楽制作でも活用できる高機能モデルです。表情豊かな演奏が可能なタッチレスポンス機能付き鍵盤を備え、簡単な操作でクリエイティブな演奏を楽しめます。なお、ステージピアノ「CP88/CP73」が「2019年度グッドデザイン賞」、「アジアデザイン賞2019」の「Silver Award」、「iFデザインアワード」と「Red Dot デザイン賞 プロダクトデザイン2020」を、ショルダーキーボード 「sonogenic SHS-500」が「iFデザインアワード」と「Red Dot デザイン賞 プロダクトデザイン2020」を受賞しました。 楽器事業の研究開発費は9,802百万円であります。 2 音響機器事業 AV機器関連では、フロントサラウンドシステム 「YAS-209」を開発しました。「YAS-209」は、ネットワーク機能・音声操作用マイクを搭載することにより、音声コントロールや「Spotify」「Amazon Music」といった音楽配信サービスにも対応した2ユニットタイプのフロントサラウンドシステムです。専用アプリ「Sound Bar Controller」での操作をはじめ、今回新たに「Amazon Alexa」による音声での本体操作にも対応しました。さらに、バーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」の対応により、前方・左右・後方だけでなく、高さ方向の音場も感じることができる臨場感溢れるサウンドを再現します。また、完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホン「TW-E3A」、BLUETOOTHイヤホン「EP-E30A」を開発しました。「TW-E3A」「EP-E30A」では、ヤマハならではの「音・音楽のリアリティー表現」として、音量に応じて音のバランスを最適化して、耳への負担も抑えるヤマハの独自技術「リスニングケア」を搭載しました。音質やスタイルにこだわりを持つ人をメインターゲットに、ヤマハならではの「音・音楽のリアリティー表現」「感動の音楽体験」を提供してまいります。 業務用音響機器関連では、NEXO社の新製品として、スピーカーシステム「GEO M12」を開発しました。「GEO M12」は、幅70cmというコンパクトな筐体に12インチのLF(低域)スピーカーユニットを収め、NEXO社の持つテクノロジーを凝縮した、2wayフルレンジキャビネットの「GEOシリーズ」のフラグシップモデルとなるラインアレイタイプのスピーカーです。また、パワーアンプリファイアー「PCシリーズD/DIモデル」を開発しました。「PCシリーズ D/DIモデル」は、従来のアンプに求められてきた高い出力、高い音質、高い安定性などの基本性能に加えて、近年ニーズが高まっている豊富な信号処理能力、標準化しつつあるオーディオネットワーク規格「Dante」への対応をはじめ、独自のインプットマトリクス機能までを搭載した新世代のパワーアンプリファイアーです。また、ポータブルPAシステム「STAGEPAS 1K」を開発しました。「STAGEPAS 1K」は、「いつでも、どこでも、ステージに」をコンセプトとする「STAGEPASシリーズ」で実現してきた性能と利便性をさらにブラッシュアップし、高い音質・音圧と軽量・コンパクトなキャビネット設計、本格的なミキシング機能とシンプルな操作性といった、ポータブルPAシステムに求められる、相反するニーズを高い次元で両立しました。また、音場支援システム「AFC4」を開発しました。「AFC」は、空間が建築物として持っている固有の音響特性を活かしつつ、室内の響きを豊かにするソリューションです。音源自体にリバーブを付加して音の印象を変化させる手法とは異なり、空間自体の音の広がりをコントロールすることで、楽器や声の自然な聞こえ方を保ちながら、残響時間・音量感を変化させることができます。最新モデルの「AFC4」では、96kHzに対応したプロセッシング能力と多彩な調整機能を備え、これまで以上に質の高いイマーシブな空間演出を実現します。 音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg社の新製品として、「Nuendo 10」を開発しました。「Nuendo 10」は、ポストプロダクション、ゲームオーディオなどの映像用音響制作に特化した業務用DAWソフトウェアの最新バージョンです。今回は、ロケ収録した映像の音声をリファレンスとして、同時録音した音声ファイル群から読み込み可能な「フィールドレコーダーインポート」機能や、ビデオトラックの編集点を検出する「ビデオカットディテクション」機能を搭載し、映像制作における音響効果用の機能を強化しました。また、ユーザーインターフェースやワークフローに改良を加えるなど、ポストプロダクションにおける業務効率も飛躍的に向上しています。 ネットワーク機器関連では、スピーチプライバシーシステム 「VSP-2」を開発しました。会話の中に含まれる個人情報(スピーチプライバシー)について配慮を求める社会的ニーズの高まりを受けて、当社は2011年に、主に薬局や病院などの小規模エリアやパーソナルスペースに向けて、スピーチプライバシーシステムの初代モデルとなる「VSP-1」を発売しました。一方で、オフィスでもマスキングのニーズが高まっており、「VSP-2」は、そのようなオフィス環境にも導入しやすいように、音源となるアンプと音を発するスピーカーを分離させたセパレート型を採用することで、壁や天井へスピーカーを柔軟に設置可能とし、さらに、今回新たに搭載した情報マスキング音の調整機能により、遮音性能不足の会議室やオープンな打合せスペースなど、設置環境にあわせた最適なマスキング環境を実現します。また、インテリジェントL2スイッチ「SWX2310シリーズ」を開発しました。「SWX2310シリーズ」は、2015年発売の「SWX2300シリーズ」の後継として、主に中規模以上のネットワークでスイッチ間の中継を行うフロアスイッチとしての利用を見込み、新たにGbE LANポートを48ポート搭載した「SWX2310-52GT」をラインアップへ追加しました。新機能として、医療、文教(教育施設)ネットワークでの利用が多いダイナミックVLANを利用した認証機能に対応し、中規模以上のネットワークを利用するお客様へ「より安心・安全なネットワーク」を提供します。加えて、全モデルでネットワークの可視化機能「LANマップLight」を搭載し、スイッチのWeb GUIを通じてLANの状態を一目で確認することで、SOHOや中小企業などIT専任者がいない環境でも簡単に確認や設定をすることができます。 音声コミュニケーション機器関連では、ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-330」を開発しました。「YVC-330」は、チームコラボレーションに重心をおいた働き方やオフィス空間の変化に対応し、騒がしいオープンスペースから小・中規模の会議室まで、オフィスのあらゆるシチュエーションで快適な遠隔会話体験を実現するスピーカーフォンです。新たに開発した音声信号処理技術「SoundCap」により、会話を妨げるような周囲の環境音が多く存在するオープンスペースでも、雑音を抑制することで発話者の声を明瞭に相手側に届け、快適な遠隔会議を実現します。また、オープンスペースでの遠隔会議が開催可能になることで、会議室の確保が難しい場合でも、オフィス内のどこからでも遠隔地にいる相手とのチームコラボレーションを可能にします。 音響機器事業の研究開発費は11,135百万円であります。 3 その他の事業 FA機器事業関連では、ヤマハファインテック株式会社が高周波特性測定装置「MP502/MP502-A」を開発しました。近年、5G通信サービスの開始・普及に伴い、電子回路基板市場において高周波信号対応の回路基板生産が増加しており、それら基板にはより優れた周波数特性が求められます。従来の基板の周波数特性検査はテストクーポンを用いた抜き取り検査により実施されてきました。「MP502/MP502-A」は、市販のベクトル・ネットワーク・アナライザを組み合わせることで、実製品パターンの高周波特性を高速・高精度で検査することができる新しい装置です。 ゴルフ事業関連では、ゴルフクラブ「RMX(リミックス)」2020年モデルを開発しました。すべてのクラブにおいて、飛距離を重視した上で性能を徹底的に追求し、大型ヘッドの採用(ドライバー)やソール形状の見直し(フェアウェイウッド・ユーティリティ)、素材・製造方法の変更(アイアン)など、従来モデルから大幅な改良を加えました。ボール初速を最大限高めるため、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティに、新テクノロジー「BOOSTRING(ブーストリング)」を搭載し、飛距離アップを実現しています。アイアンは、軟鉄鍛造の限定モデル「RMX 020」と、クロムモリブデン鋼による一体鋳造を採用した「RMX 120」、反発性能向上によって飛びが進化した「RMX 220」の3種類を揃えています。その他の事業の研究開発費は3,877百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,515件であります。
FY2019|6,701 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、「感動を・ともに・創る / 私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げています。これを支えるために、これまでに蓄積してきた「音と人が関わる技術」をコア技術と定め、更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、素材・解析、センシング、メカトロニクス、音源、信号処理、ネットワーク、感性評価等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。 当連結会計年度は、「音・音楽・ネットワーク・デバイス」を強化分野とし、特に「良い音」を科学的に理解し、実際の楽器・音響機器設計に適用できるよう研究開発を進めました。また、物理モデル、音楽解析、歌唱合成などの技術の高度化と、ネットワーク時代に対応した高音質の伝送技術や無線接続に関連する技術開発も進めています。 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,926百万円であります。 1 楽器事業 アコースティック楽器関連では、「トランスアコースティックピアノ TA2」と「サイレントピアノ SH2、SC2」を開発しました。音質面では、ベーゼンドルファー「インペリアル」をサンプリングした音源を新たに搭載したほか、ヘッドフォン使用時でも自然な演奏体験を実現する音響技術「バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)」を採用したことで、さらに豊かな音と響きでの演奏が可能となりました。また「TA2」では、トランスデューサーを軽量化し、従来モデルよりクリアな高音の響きを実現しています。機能面では、一部のモデルでBLUETOOTHオーディオ接続に対応しました。当社が開発した無料アプリ「スマートピアニスト」との連携により、音色の切り替えや録音などの各種機能をスマートデバイス上で簡単に操作できます。また、管楽器の新製品として、軽やかな吹奏感と柔らかく太い音色を実現したカスタムテナーバストロンボーン「YSL-823G」を開発しました。カスタムモデルながら二枚取りゴールドブラス製薄肉ベルを搭載するなど、非常に軽量化された作りとなっています。その結果、楽器の反応性が向上し明瞭な発音性を実現しています。また、シンプルであたたかみを感じさせるデザインの大人向けピアニカ「P-37E」を開発しました。現行の同音域ピアニカ「P-37D」の機構をベースとしながら、「P-37E」は、レスポンスの良さ、強弱のコントロールのしやすさはそのままに、倍音のバランスを整えることでまろやかで芯のあるメロウな音色となっています。なお、2017年発売のカジュアル管楽器「Venova」は、「2017年度グッドデザイン大賞」に続き、「アジアデザイン賞2018」の上位賞である「Grand Award with Special Mention」、ドイツのデザイン賞「German Design Award 2019」を受賞し、「Winner」に選出されました。また、「トランスアコースティックピアノ TA2」は、「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。 ギター・ドラム関連では、「トランスアコースティック」技術搭載ギターの新モデルとして、「CG-TA」「CSF-TA」を開発しました。微妙なタッチや、音のニュアンス、強弱の差によって多彩な音色を表現するナイロン弦の魅力を、トランスアコースティック機能が一層引き立て、普段はスチール弦を弾いている方々にも、サウンドバリエーションを拡げる1本としてご愛用いただけるモデルです。また、エレキギター「PACIFICAシリーズ」の上位モデルとして、市場ニーズの高いピックアップコンフィグレーションモデル「PACIFICA612VⅡFM」を開発しました。本製品は、フロントとセンターにシングルコイルを、リアにハムバッキングのピックアップを搭載した「PACIFICAシリーズ」のフラッグシップモデルです。また、シェル材にメイプルを採用し明るく華やかな広がりのある音質と表現力豊かなサウンドを実現したドラムス「ツアーカスタム」を開発しました。新たに開発したインバースダイナフープによりナチュラルな倍音をコントロールすることで、シェル素材が持つ本来のサウンドキャラクターをより引き出します。また、アンプモデラー/プロファイラー使用ギタリスト向けのLine 6ブランドのアクティブ・ギタースピーカー・システム「Powercab 112シリーズ」を開発しました。ギター用スピーカーの迫力とダイナミックなレスポンスを、PA用スピーカーに匹敵するワイドなレンジで実現しました。 電子楽器関連では、プレーヤーの最高のパフォーマンスを引き出す次世代ステージピアノ「CP88」「CP73」を開発しました。アコースティックピアノの音色には、コンサートグランドピアノ「CFX」からサンプリングしたものに加え、ベーゼンドルファー「インペリアル」、使い込まれたアップライトピアノのサウンドが特長の「U1」などの音色も搭載しており、演奏する音楽ジャンルや用途に応じて使い分けることができます。さらに、数々の名曲で使われてきた「CP80」をはじめ、1970年代からシーンを彩ってきた数々のビンテージエレクトリックピアノの音色を搭載しています。機能面では、新たに開発したステージ演奏に求められるあらゆる操作をシンプルに実現できるユーザーインターフェースを採用しています。また、若者に新たな楽器の楽しみ方を提案する新ブランド「sonogenic」の製品として、ショルダースタイルの電子キーボード「SHS-500」を開発しました。鍵盤楽器を演奏したことがない方でもすぐに楽しさを実感できる、コンパクトなショルダーキーボードです。無料アプリ「Chord Tracker」と連動させて使用する「JAM機能」を使うと、スマートデバイスに保存している楽曲のコード進行にマッチする音が自動的に鍵盤に割り当てられ、お気に入りの曲と自由にセッションを楽しむことができます。また、歌詞とメロディーを入力するだけでバーチャルシンガーによる歌声制作が楽しめるソフトウェア「VOCALOID」の新バージョンである「VOCALOID5」を開発しました。4年ぶりの新バージョンとなった本製品では、さらに多くのクリエイターにバーチャルシンガーによる音楽を取り入れていただきたいという思いから、歌詞とメロディーをゼロから創作する従来の制作フローに加えて、大量に用意されたプリセットフレーズやオーディオをドラッグ&ドロップするだけで歌のベースが出来上がる新しい製作フローを採用しました。歌唱表現の調整も、分かりやすくビジュアル化されたアイコンを選択するだけで、より素早くダイレクトにクリエイターの感性を反映出来るようになりました。なお、デジタルワークステーション「Genos」が「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2018」を、電子ピアノ 「クラビノーバ CSPシリーズ」が「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2019」を、ボーカロイドキーボード「VKB-100」、電子ピアノ「P-121」「P-125」「P-515」が「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、ボーカロイドキーボード「VKB-100」は、グッドデザイン大賞や特別賞の候補で、特に優れたデザインに与えられる「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。楽器事業の研究開発費は9,415百万円であります。 2 音響機器事業 オーディオ関連では、ヤマハのオーディオ技術を集大成した「C-5000」、及び「M-5000」を開発しました。「C-5000」「M-5000」は、楽器製造からコンサートホールの設計まで、さまざまな分野で音と音楽に深く関わってきた総合力を背景に、当社がこれまで蓄積してきた独自のオーディオ技術を集大成したフラッグシップHiFiセパレートアンプです。フォノ端子を含む全音声入力からスピーカー出力までの全段完全バランス伝送をはじめ、パラレルMOS-FET出力段を装備したフローティング&バランス・パワーアンプ、すべてのオーディオ回路をチャンネルごとにワンボード化して背中合わせに配置し、信号経路を最短化するブックマッチ・コンストラクションなど、最新の開発成果と独創的なノウハウを結集しました。また、ホームシアター再生の理想を追求したフラッグシップモデル「AVENTAGEセパレートシリーズ」として、「CX-A5200」、及び「MX-A5200」を開発しました。「CX-A5200」は、最適な音場効果をリアルタイムに創出する革新的サラウンド体験「SURROUND:AI」や最新の高性能D/Aコンバーターの搭載など、パフォーマンスと使用感覚の両面を最新の技術・デバイスによってアップデートしました。「MX-A5200」は、多彩なスピーカーアサインを可能にするチャンネルセレクターに加えて、新たにBRIDGE出力モードも装備するなど、システム構成の自由度をいっそう高めました。また、アナログとデジタルの融合で、新しい音楽スタイルを提案するネットワークターンテーブル「MusicCast VINYL 500」を開発しました。高剛性キャビネットに加え、駆動方式には高い回転安定性を実現するベルトドライブ方式を採用し、さらに剛性に優れたストレートトーンアームを採用するなど、高品位な音でレコード再生が楽しめる優れた基本性能を搭載しました。さらに、ヤマハ独自のワイヤレスネットワーク機能「MusicCast」に対応し、レコードの音を他の「MusicCast」対応機器にワイヤレスで飛ばして再生したり、アナログとデジタルの融合により、新しい音楽ライフを提案するターンテーブルです。また、「MusicCast」に対応した機器において、Amazonが提供するクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」に対応し、快適な音声操作を実現するための「MusicCastスマートホーム」スキルを開発しました。Amazonが販売するスマートスピーカー「Amazon Echo」に搭載された音声サービス「Alexa」を使用し、「MusicCast」対応機器の音声操作を実現するためのインターフェースです。電源のオン/オフ、音量調整などの基本動作を、シンプルかつ直感的な言葉で「Alexa」に対し話しかけるだけで「MusicCast」対応機器を操作することが可能になります。なお、プレミアムブックシェルフスピーカー「NS-5000」、ワイヤレスストリーミングプリアンプ「WXC-50」が、ドイツのデザイン賞「German Design Award 2019」を受賞し、ともに優秀な作品に贈られる「Winner」に選出されました。 業務用音響機器関連では、スピーカーシステム「VXLシリーズ」を開発しました。「VXLシリーズ」は、会議室やホテルの宴会場などにおいて、明瞭な拡声・音楽再生を実現するラインアレイ形式のスピーカーです。ドライバーにネオジム磁石を贅沢に使用した3.75cmフルレンジユニットを採用し、幅54mmのスリムな形状を実現することで、音声明瞭度が求められながらも設置スペースに制限の多い、オフィス内の会議室やプレゼンテーションルーム、ホテルの宴会場などへ導入しやすくなっています。また、高度な信号処理能力と大出力アンプを、コンパクトなサイズで実現したNEXO社のパワードデジタルTDコントローラー「NXAMPmk2」を開発しました。音声信号の入出力部は、32bit/96kHz対応のA/D・D/Aコンバーターを採用し、幅広い帯域で高品位なサウンドを実現しています。プロセッシング部には、高い信号処理能力を持ったDSPを搭載し、NEXO社スピーカー全モデルに対応するとともに、アンプ出力の電圧・電流などを監視し、システム全体を安全に駆動しながらスピーカーの能力を最大限まで引き出します。さらに、パワーアンプ部は、最新のClass Dアンプを採用し、2U(高さ8.8センチ)とコンパクトな筐体サイズでありながら、高い出力が可能です。また、プロの音楽制作環境にも対応する音質と機能を備えたフラッグシップモデル、スタインバーグオーディオインターフェース「AXR4T」を開発しました。最大32bit/384kHz録音再生可能なA/D・D/Aコンバーターや4基のフロントハイブリットマイクプリアンプ、レイテンシーフリーのシステムを構築する28×24マトリクスミキサーを搭載しています。また、使いやすさを重視し、クリエイティブで快適な音楽制作環境を実現したスタインバーグソフトウェア「Cubase 10」を開発しました。1989年に「Cubase」を発売して以来スタインバーグ社が培ってきた技術を集結し、より強力なDAWソフトウェアとして進化しました。本製品では、ワークフローの改善、エフェクトの追加、プラグインの再設計、ユーザビリティの向上などを実現しています。 情報通信機器関連では、DanteネットワークとPoEシステムをサポートしたL2スイッチ「SWR2311P-10G」を開発しました。Audinate社が開発し世界的に活用されているデジタルオーディオネットワーク規格「Dante」に対応し、設定・監視・管理・運用を簡単に行え、より安定したネットワークの構築を実現します。また、時間や場所にとらわれない快適な遠隔コミュニケーションをポータブルサイズで実現するユニファイドコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-200」を開発しました。マイク、スピーカーに加え音声信号処理を内蔵し、遠隔会議が利用可能なパソコンやスマートフォン、タブレットに接続するだけで、すぐに打ち合わせたいタイミングからアイディアを生み出すためのディスカッションまで、まるで同僚とオフィスで会話しているようなクリアで快適な会話を実現します。音響機器事業の研究開発費は11,127百万円であります。 3 その他の事業 電子デバイス事業関連では、ロシアや欧州で義務化された緊急通報システムの自動車への搭載に対応した車載通話モジュールを開発しました。これまで培ってきた信号処理技術を活用する事で、緊急時に求められるクリアな通話品質を実現しています。 ゴルフ事業関連では、ボール初速のアップによる、さらなる飛びに加え、やさしさも追求した「inpres UD+2(インプレス・ユーディープラスツー)」シリーズの2019年モデルを開発しました。「inpres UD+2 ドライバー」「inpres UD+2 フェアウェイウッド/ユーティリティ」では、フェースをシャフト軸から遠ざけてヘッドターンのエネルギーがより大きく伝わるようにした「ヘッドターンエネルギー構造」を新たに取り入れることでボール初速がアップしました。更に、シャフト先端部におもりを配置し、インパクト時の無駄な動きを抑える「チップウェイトテクノロジー」を「inpres UD+2 アイアン」を含むすべてのクラブでシリーズ採用したことで、ボール初速だけでなく最適な打ち出し角度・スピン量も実現し、飛びにさらなる磨きをかけています。その他の事業の研究開発費は4,384百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,638件であります。
FY2018|6,425 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「感動を・ともに・創る」をコーポレートスローガンに掲げ、「私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづける」を企業理念に掲げています。これを支えるために、これまでに蓄積してきた「音と人が関わる技術」をコア技術と定め、更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、素材・解析、センシング、メカトロニクス、音源、信号処理、ネットワーク、感性評価等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、「音・音楽・ネットワーク・デバイス」を強化分野とし、特に「良い音」を科学的に理解し、実際の楽器・音響機器設計に適用できるよう研究開発を進めました。また、物理モデル、音楽解析、歌唱合成などの技術の高度化と、ネットワーク時代に対応した高音質の伝送技術や無線接続に関連する技術開発も進めています。当社グループの研究開発体制は、楽器・音響機器事業については当社楽器・音響事業本部の開発部門、及び当社の連結子会社であるLine 6,Inc.、NEXO S.A.、Revolabs,Inc.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及び当社の連結子会社であるヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&D、新規事業については当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は247億97百万円であります。 1 楽器事業アコースティック楽器関連では、グランドピアノのハイグレードモデルの新製品として、「SXシリーズ」を開発しました。本製品では、当社の弦楽器などに採用されてきた独自技術「A.R.E.™(Acoustic Resonance Enhancement)」を、ピアノに初めて導入しました。製材後長期間を経た木材と同様の変化を生むこの技術を、曲練支柱(曲線部分の支柱)の木材に用いることで、新品であっても、あたかも長年大切に使い込まれたピアノのような深みのある豊かな音の響きを生み出します。また、管楽器の新製品として、リコーダーのようなやさしい指づかいやメンテナンスのしやすさによって気軽に始められ、なおかつサクソフォンのような表情豊かな演奏を楽しめるカジュアル管楽器「Venova™(ヴェノーヴァ)」を開発しました。「Venova™」では、円筒管を分岐させた「分岐管構造」と蛇行形状による、今までにない独自のデザインを採用しています。「分岐管構造」によってサクソフォンなどの円錐形管楽器の音響特性を円筒管で実現することができるため、コンパクトなボディサイズながら広がりのある音色を奏でることができます。なおエレクトリックバイオリン「YEV」は、「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2017」、「German Design Award 2018(Winnerに選出)」、「アジアデザイン賞2017(最高賞)」を、「Venova™」は、「2017年度グッドデザイン賞(ベスト100に選出)」、「2017年度グッドデザイン大賞」を受賞しました。「グッドデザイン大賞」の受賞は、当社では初めてとなります。ギター・ドラム関連では、エレクトリックアコースティックギター「Aシリーズ」の新製品を開発しました。新開発のピックアップシステムを搭載し、ステージ演奏やレコーディングに適した自然なサウンドを簡単に得られるのに加え、ブレイシング(響棒配置)の刷新などによってギター本体の生音の向上も実現しています。また、簡単なセッティングでアコースティックドラムを高音質で収音・録音できるエレクトロニックアコースティックドラムモジュール「EAD10」を開発しました。「EAD10」は、音源部のメインユニットと、マイクとトリガーが一体となったセンサーユニットから構成されます。アコースティックドラムのバスドラムにセンサーユニットを装着することで、高品質なアコースティックドラムの収音やエフェクトによる音色加工が簡単にできます。また、Line 6,Inc.では、マルチエフェクト・ペダル「HX Effects」を開発しました。「HX Effects」は、好評のギター・プロセッサー「Helix™」シリーズのHelix™ハードウェアに搭載されている100種類以上のエフェクトを、コンパクトな筐体に搭載したモデルです。なお「REVSTAR™」は、「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2017(最高賞「Best of the Best」に選出)」、「2017年度グッドデザイン賞」、「German Design Award 2018(Winnerに選出)」を受賞しました。電子楽器関連では、グランドピアノに迫る演奏感と弾き心地を追求した電子ピアノ「Clavinova™ (クラビノーバ) CLP-600シリーズ」を開発しました。「CLP-600シリーズ」は、アクション機構を大幅刷新した新鍵盤「GrandTouch™鍵盤」を搭載し、強音から弱音まで幅広く表現できるだけでなく、鍵盤の奥の部分のタッチ感まで向上させ、アコースティックピアノにより近づいた弾き心地を実現しました。また、オーディオ音源からその曲のコード進行を読み取って、ピアノ用の譜面(伴奏譜)を自動作成する世界初の機能「オーディオ トゥー スコア機能」を活用した「Clavinova™ CSPシリーズ」を開発しました。当社が独自に開発した専用アプリ「スマートピアニスト」をダウンロードしたスマートデバイス(スマートフォンやタブレットなど)とピアノ本体を連携させることで、デバイス内に保存したどんな楽曲でも即座に40種類のピアノ譜を自動的に作成できます。また、歌を演奏する楽器「ボーカロイド™キーボード VKB-100」を開発しました。当社が開発した、歌詞とメロディーを入力するだけで、コンピューター上で人工の歌声を作り出すことが出来る歌声合成技術およびその応用ソフトウェアである「VOCALOID™」によって実現した、リアルタイムに歌詞を歌わせて演奏を楽しむキーボードです。なお、「STAGEA™ ELC-02」は、「2017年度グッドデザイン賞」を、「Genos™」は、「iFデザインアワード2018」で最高賞である「iFゴールドアワード」を、「reface™」は、「German Design Award 2018(Winnerに選出)」を受賞しました。新規事業関連では、ナビに従ってスマホで撮影するだけでプロが仕上げる動画制作サービス「tollite™(トリテ)」を開発しました。「tollite™」は、テンプレートを選んでナビに従ってスマートフォンで撮影するだけで、本格的な企業動画を誰でも簡単に制作できます。また、「Smart Education System」の新商品として、ICTで“合唱”の授業・練習に新しいかたちを提供するデジタル音楽教材「合唱練習」を開発しました。「合唱練習」は、合唱の授業や合唱コンクールの練習を効率化し、生徒の主体的な学びをサポートします。パソコンやタブレットで画面を操作しながら練習を進めることができ、デジタル教材ならではの便利な練習機能と専門家による発声法解説や実演映像によって、合唱の授業・練習を効果的にサポートします。なお、「ボーカロイド教育版を用いた音楽教育法」は、「2017年度グッドデザイン賞(ベスト100に選出)」、「グッドデザイン特別賞(未来づくり)」を受賞しました。研究開発費は88億56百万円であります。 2 音響機器事業オーディオ関連では、新たなバーチャル3Dサラウンド技術に世界で初めて対応したフロントサラウンドシステム「YAS-107」「YAS-207」を開発しました。「YAS-107」「YAS-207」は、薄型テレビの前に手軽に置けて、テレビ番組・映画などを迫力ある音質で再生できるフロントサラウンドシステムです。最新のバーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」に対応し、前方・左右・後方に加え、高さ方向の音場も再現する3Dサラウンド技術により、映像に音声が一体化し、映画や音楽での没入感がより向上します。また、上級ネットワークレシーバー「R-N803」を開発しました。「R-N803」は、ハイレゾ音源からアナログレコードまで、さまざまなデジタル/アナログオーディオソースを高音質再生する2chステレオ仕様の上級ネットワークレシーバーです。当社HiFiオーディオ製品として初めて、当社のホームシアター製品向けに開発された視聴環境最適化システム「YPAO™(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer)」を用いた自動音質補正機能を搭載することで、室内の音響特性や接続するスピーカーの性能などに応じた実使用状態での音質向上を実現しました。加えて、Bluetooth®オーディオ送受信機能やWi-Fi、モバイル端末と専用アプリを使って本機のワイヤレス操作や家庭内での音楽コンテンツのシェアを実現する「MusicCast™」への対応など、お手持ちのモバイル端末を活用した快適な使い勝手も追求しています。なお、2016年に発売を開始したプレミアムブックシェルフスピーカー「NS-5000」は、「iFデザインアワード2018」を受賞しました。業務用音響機器関連では、当社のラインアップで最もコンパクトなスピーカーシステム「VXS1MLB」「VXS1MLW」を開発しました。「VXS1MLB」「VXS1MLW」は、レストラン・アパレルショップ・ホテルなど、さまざまなシーンで心地よいBGM再生を実現するスピーカーシステムです。手のひらにのるコンパクトなサイズでありながら高品位な音楽再生を実現するのはもちろん、別売のマウントアダプターを利用することで、天井埋込みや照明レール取り付けなど空間のインテリアに合わせたさまざまな設置方法に対応しています。また、デジタルミキシングシステムのフラッグシップモデル「RIVAGE PM10」の直下に位置する新ラインアップ「RIVAGE PM7」を開発しました。システムの中核を成すデジタルミキシングコンソール「CSD-R7」は、「RIVAGE PM10」の音質や操作性を維持しつつ、新たにDSP エンジンを内蔵することで、可搬性とスペース効率を高めたシステム構築を、リーズナブルなコストで実現しました。また、「いつでも、どこでも、ステージに」 というコンセプトで企画・開発され国内外で高い評価を得ている、オールインワンタイプのPAシステムSTAGEPAS™シリーズの後継機種「STAGEPAS™ 400BT」「STAGEPAS™ 600BT」を開発しました。従来モデルで評価の高い、高品位デジタルリバーブ、フィードバックサプレッサー、マスターイコライザーなど、ライブやイベントで便利な機能に加え、新たにBluetooth®オーディオ再生に対応したことでワイヤレス音楽再生が可能となり、演奏中やイベント会場での自由度が飛躍的に向上します。また、Steinberg Media Technologies GmbHでは、業務用DAW(Digital Audio Workstation)「Nuendo™ 8」を開発しました。「Nuendo™ 8」は、映画、CM、番組、ゲームでの音響効果制作において定評のある機能群の進化に加え、新たなビデオエンジンも搭載しています。さらに業界賞の受賞歴もある、Audiokinetic社のゲーム開発用インタラクディブオーディオミドルウェア「Wwise™(ワイズ)」との連携機能も強化し、ゲームオーディオ制作のワークフローを大幅に効率化します。情報通信機器関連では、当社初となるL3スイッチ「SWX3100-10G」「SWX3200-28GT」「SWX3200-52GT」を開発しました。「SWX3100-10G」は、LAN内のパケット転送に必要なスタティックルーティング機能を搭載した、小規模ネットワーク向けのモデルです。「SWX3200-28GT」「SWX3200-52GT」は、ダイナミックルーティングや初搭載の「スタック機能」による冗長化、10GのSFP+スロットなど、大規模ネットワークで必要な機能を搭載しています。また、快適な遠隔コミュニケーションを実現する「YVC-1000」の「Skype for Business」向けマイクロソフト社認定モデル「YVC-1000MS」を開発しました。マイクロソフト社の提供する法人向けのコミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business」専用の音質チューニングやマイクミュート連動などの仕様調整を行うことで、「Skype for Business」と組み合わせて使用するのに最適な音声コミュニケーションデバイスとしてマイクロソフト社の認定を得ています。「YVC-1000MS」は、「Skype for Business」の発着信時の操作ができる「コールボタン」を搭載し、マウスなどの操作をせずに着信や通話終了を行うことも出来ます。また、少人数向け会議室(ハドルルーム)に最適なオールインワンデバイス「CS-700AV」を開発しました。「CS-700AV」は、広帯域オーディオと高品質カメラが一体型となったビデオサウンドコラボレーションシステムです。なお、卓上音声会議システム/スピーカーフォン市場における高い成長性やシェアが評価され、フロスト&サリバン社の「2016ベストプラクティスアワード」を受賞しました。研究開発費は114億18百万円であります。 3 その他の事業ヤマハファインテック株式会社では、デスクトップ型超音波スキャナ「SST-102」を開発しました。空中超音波で内部欠陥を見える化し、リチウムイオン電池タブ溶着の性能評価やコネクタ類の圧着不良検査に威力を発揮します。 ゴルフ事業関連では、ボール初速と直進安定性がさらにアップした「RMX™(リミックス)」シリーズ2018年モデルを開発しました。2018年モデルの「RMX™」は、常に進化を目指すゴルファーに向けて、ドライバー・フェアウェイウッド・ユーティリティ・アイアンの全てのクラブにおいて、今の自分を超える結果を提供します。研究開発費は45億23百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は4,087件であります。 (注) ・ Bluetoothは、Bluetooth SIG, Inc.の商標です。・ Wwiseは、Audiokinetic社の商標です。・ A.R.E.、Venova、REVSTAR、Clavinova、GrandTouch、ボーカロイド、VOCALOID、STAGEA、Genos、reface、 tollite、YPAO、MusicCast、STAGEPAS、RMXは、当社の商標です。 ・ Helixは、Line 6,Inc.の商標です。・ Nuendoは、Steinberg Media Technologies GmbHの商標です。・ その他のすべての商標は、該当する各所有者の所有物です。
FY2017|7,183 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「感動を・ともに・創る」をコーポレートスローガンに掲げ、「私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづける」を企業理念に掲げています。これを支えるために、これまでに蓄積してきた「音と人が関わる技術」をコア技術と定め、更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、素材・解析、センシング、メカトロニクス、音源、信号処理、ネットワーク、感性評価等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。当連結会計年度は、「音・音楽・ネットワーク・デバイス」を強化分野とし、特に「良い音」を科学的に理解し、実際の楽器・音響機器設計に適用できるよう研究開発を進めました。また、物理モデル、音楽解析、歌唱合成などの技術の高度化と、ネットワーク時代に対応した高音質の伝送技術や無線接続に関連する技術開発も進めています。当社グループの研究開発体制は、楽器・音響機器事業については当社楽器・音響開発本部、及び当社の連結子会社であるLine 6,Inc.、NEXO S.A.、Revolabs,Inc.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及び当社の連結子会社であるヤマハファインテック(株)の開発部門、全社横断的R&D、新規事業については当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は244億15百万円であります。 1 楽器事業アコースティック楽器関連では、自動演奏機能付きアコースティックピアノの新製品として、「Disklavier ENSPIRE」を開発しました。「Disklavier」は、アコースティックピアノとして演奏できるだけでなく、当社独自の高精度デジタル制御システムで、鍵盤やペダルの動きを正確に再現する自動演奏機能を搭載した、ハイブリッドピアノです。500曲のバラエティ豊かな自動演奏のピアノ曲データを内蔵し、従来のアンサンブル伴奏データに加えて、今回、オーディオ音源も再生できる機能を初搭載しました。プロモデルでは、弱いタッチの連打を高精度に再生できる世界初の技術「ハンマーセンサーフィードバック」により、より繊細な音の表現も可能となりました。また、斬新で美しく立体的なデザインを採用したエレクトリックバイオリン「YEV104」「YEV105」を開発しました。当社ならではの高い木材加工技術により、表と裏に連続性のあるメビウスの輪のようなフレームラインが特徴的なデザイン性の高い造形を実現しました。どの角度からでも美しく見える立体的な形状で、ステージ映えするデザインとなっています。なお、バイオマス由来樹脂製リコーダー「YRE-401/402B、YRA-48B、YRSA-402B」は、「2016年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)を受賞しました。また、エレクトリックバイオリン「YEVシリーズ」は、「2016年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)と「iFデザインアワード」の最高賞「iFゴールドアワード」(主催:インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF))を受賞しました。「iFゴールドアワード」の受賞は、当社では初めてとなります。ギター関連では、ギターの生音に、アンプを使わずにリバーブなどのエフェクトを直接かけられる「トランスアコースティックギター」を開発しました。2015年3月に発売開始した「トランスアコースティックピアノ」に搭載している、電気信号を振動に変換してアコースティック楽器と同じ発音方式で響かせる当社独自の技術「TransAcoustic」を応用した新しいギターです。弦などの振動を電気信号に変換してエフェクト処理し、ギター内部に搭載した「加振器」に伝え、ギターのボディを振動させることによってエフェクト音が生まれます。実音とエフェクト音が一体となってギター全体で響くことで、自然で心地よい響きを得られます。これにより、当社のエレクトロニクス分野とアコースティック分野のノウハウを掛け合わせた、新しい演奏体験を実現しました。また、新たな発想で開発した個性的なエレキギター「REVSTARシリーズ」を開発しました。ヤマハエレキギターの代表的モデルである「SGシリーズ」の面影を残しつつ、カスタムバイクを連想させる個性的なデザインになっています。さらに、独自開発のピックアップを搭載したことで、粘りのある骨太のサウンドを持ちながらキレのあるエッジ感も実現したほか、新設計のネックジョイント形状とボディ形状により、高い演奏性を持ち合わせています。なお、エレキギター「REVSTARシリーズ」は、「iFデザインアワード」(主催:インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF))を受賞しました。電子楽器関連では、新音源システムにより高い表現力を実現したミュージックシンセサイザー「モンタージュ」を開発しました。「モンタージュ」は、画期的な音色コントロールにより今までにない新しい音楽表現を可能とする、次世代のフラッグシップシンセサイザーです。新しい音源システム「Motion Control Synthesis Engine」を搭載し、滑らかでダイナミックな演奏表現を実現しました。またプレイヤーのニュアンスを繊細に表現する高品位な鍵盤や最大128種類のパラメーターを一気に変化させることができる、革新的なコントローラー「Super Knob」を含む高い操作性を実現するユーザーインターフェースなどが、プレイヤーの創造性を引き出します。また、グランドピアノの音とタッチにこだわった電子ピアノのベーシックモデル「ARIUS YDP-163/YDP-143」を開発しました。「YDP-163/YDP-143」は、ヤマハのコンサートグランドピアノからサンプリングした「リアル・グランド・エクスプレッション(RGE)スタンダードII音源」や、グランドピアノのタッチ感に近づいた「グレードハンマー3(GH3)鍵盤」(「YDP-163」のみ)の採用により、さらに本格的な音と弾き心地をお楽しみいただけるようになりました。また、ヘッドフォン着用時でも、自然な聴き心地で演奏ができる「ステレオフォニックオプティマイザー」や、スマートフォンやタブレットの画面で楽器の機能を簡単に操作できるアプリケーション「Digital Piano Controller」との連携により、演奏時の快適性や利便性が向上しました。なお、電子ピアノクラビノーバ「CLP-585」は、「German Design Award 2017」(主催:ドイツデザイン評議会)において「Special Mention」に選出されました。新規事業関連では、当社の技術とノウハウを凝縮したICT音楽教育ソリューション「Smart Education System」を開発しました。「ボーカロイド教育版」は、当社が開発した歌声合成技術「VOCALOID」(ボーカロイド)を小中学校の音楽授業を想定し改良したもので、思い浮かんだ歌詞やメロディーを入力して、試行錯誤を重ねながら直感的な操作で曲をつくることができる音楽ソフト形式のデジタル教材です。なお、「おもてなしガイド」は、「2016年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)のグッドデザイン・ベスト100に選出され、さらに「IAUDアウォード2016」(主催:一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD))において金賞を受賞しました。本アウォードの受賞は、当社としては今回が初めてとなります。研究開発費は87億28百万円であります。 2 音響機器事業オーディオ関連では、当社のスピーカー技術を集大成したフラッグシップモデルのブックシェルフスピーカー「NS-5000」を開発しました。「NS-5000」は、従来のスピーカー設計の枠に捉われない新概念の技術と素材に挑戦し、これからのHiFiスピーカーの理想を指し示す新たな標準器として開発したフラッグシップ3ウェイブックシェルフスピーカーです。ベリリウムに匹敵する音速(音の伝播速度)を実現する新開発の振動板素材をツィーター/ミッドレンジ/ウーファーのすべてに採用して全帯域の音色を統一するとともに、筐体にも最新の研究成果を投入することで定在波の解消と無共振化を徹底しました。音のカラーレーション(色付け)や特定のサウンドキャラクターを排除した心地良さとリアリティ、そして究極的なS/N感を備えた次世代のナチュラルサウンドを実現しました。また、ハイレゾ音源をはじめとするネットワーク音源やアナログ音源など、さまざまな音楽コンテンツを高音質で快適に楽しめる「MusicCast」対応のネットワークオーディオコンポ「WXA-50/WXC-50」を開発しました。「WXA-50/WXC-50」は、ネットワークオーディオ再生やWi-Fi及びBluetoothを利用したワイヤレス音楽再生、対応機器間での音楽コンテンツの配信・共有・リンク再生をひとつのアプリで行える当社独自の「MusicCast」などに対応したネットワークオーディオコンポです。当社のHiFiオーディオやハイグレードAVレシーバー「AVENTAGE」シリーズの開発で培った高音質技術を横幅214mm×パネル高さ42mm(脚部除く)のコンパクトなボディに凝縮するとともに、圧縮音源を魅力的なサウンドで再現するミュージックエンハンサー、小音量再生時にも正確なサウンドバランスが得られるボリュームアダプティブEQなども採用し、ハイレゾ音源を含むさまざまな音楽コンテンツを高音質かつ快適に楽しむことができます。なお、ブックシェルフスピーカー「NS-5000」とデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-2700」は、「2016年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)を受賞しました。業務用音響機器関連では、高い出力性能と優れた信号処理能力を備えたDSP搭載型高音質パワーアンプ「PXシリーズ」を開発しました。カスタムLSIを使用した新規設計のクラスDエンジンを搭載、1チップに必要な機能を凝縮したシンプルな構成にすることで軽量化と高信頼性を両立しました。また、高性能DSPと信号処理におけるノウハウの融合による柔軟なプロセッシングにより、使用するスピーカーに最適な設定を施すコンフィグウィザードやヤマハスピーカーに最適なチューニングのプリセット群など、簡易な操作でスピーカーを保護しながら最大限のパワーをスピーカーに提供します。また、コンパクトなラックマウントタイプのデジタルミキサー「TF-RACK」を開発しました。「TF-RACK」は、2015年6月に発売した「TFシリーズ」(TF5/TF3/TF1)に追加となるコンパクトなラックマウント型モデルです。革新的な操作性で熟練のエンジニアからミキシングを学び始めたオペレーターまで幅広いユーザー層から好評を得ている「TFシリーズ」の特長を継承しながら、EIA規格19インチ標準ラックにマウントできるコンパクトな3Uサイズを実現しました。タッチパネルによる直感的なユーザーインターフェース「TouchFlow Operation」などにより、スペースに制限がある会場や演目においても直感的かつスムーズな操作性を提供し、可搬性にも優れるため素早いセッティングと快適なオペレーションを行うことが可能です。また、Steinberg Media Technologies GmbHは、 オーケストラなどの楽譜を効率よく快適に作成でき、美しい印刷が可能なソフトウェア「Dorico」を開発しました。「Dorico」は、Steinberg社で初となる本格的な楽譜作成ソフトウェアです。直感的なワークフローと美しい楽譜印刷により、作曲・編曲・演奏に集中することができます。シンプルで無駄のないユーザーインターフェース、ショートカットキーによる入力と編集、強力なページレイアウト機能、複数の楽曲・楽章を一元管理できる「フロー」により、効率よく快適に楽譜を作成できます。なお、商業空間向け音響機器「MA/PAシリーズ」「VXSシリーズ/VXSシリーズFモデル」「VXCシリーズ/VXCシリーズFモデル」は、「2016年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)を受賞しました。情報通信機器関連では、クラウド型のネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer(YNO)」を開発しました。YNOは、当社が発売したネットワーク機器をクラウドから監視・管理することのできる統合管理環境を提供するサービスです。中小規模ネットワークを中心に展開してきたヤマハネットワーク機器製品では、管理する機器が広範囲に広がっているなどの理由から、監視・管理のシステム構築に踏み出せなかったケースも多く存在しています。YNOをご利用いただくことで、これらの機器の監視・管理の負担を少なくし、より効率よく、さらにはトラブルにも強い機器管理を実現いたします。YNOは、ネットワーク機器の情報を、すべてクラウド上で管理します。これにより、設定情報を持ち歩くことなく、安全に一元管理できます。さらに、複数の機器設定を変更するなどの作業も、YNOのWeb管理画面上で簡単に行えますので、ネットワーク機器を管理される方の負担を大きく軽減いたします。また、管理負荷を軽減する「ネットワークの見える化」に対応したスイッチ「SWX2100-24G」「SWX2100-5PoE」「SWX2100-10PoE」を開発しました。「SWX2100-24G」は、基本機能に特化したスイッチでありながら*SFPポートを搭載し、階層や建屋をまたがるLANを構成できるモデルとして、安定したネットワークを構築できるコストメリットの高いL2スイッチです。「SWX2100-5PoE」「SWX2100-10PoE」はVLAN機能などを必要としないIPカメラ専用ネットワークでPoE給電を可能にするモデルとして、安定したネットワークを構築できるコストメリットの高いL2スイッチです。研究開発費は114億47百万円であります。*SFP:Small Form Factor Pluggableの略。光ファイバーを通信機器に接続する光トランシーバーの規格。 3 その他の事業電子デバイス事業関連では、補聴器向けの磁気スイッチ「YAS540(MSW2)」を開発しました。高感度、高S/N比の磁気センサー素子を採用し、0.9Vでの動作を実現しました。補聴器では、携帯電話使用モードへの自動切り替え機能が増加しており、小型、低電圧駆動、低消費電力で携帯電話スピーカーの接近検知が可能です。また、ヤマハファインテック株式会社では、水素トレースガス生成装置「YMHN-500」を開発しました。純水から4%のトレースガスを生成します。ボンベ交換が不要になり、より手軽に安全に、水素を用いたリークテストを行う事ができ、低コスト化にも貢献します。ゴルフ事業関連では、プラス2番手テクノロジーを搭載したゴルフクラブ「inpres UD+2」と女性専用設計のやさしさをプラスした「inpres UD+2 LADIES」を開発しました。「inpres UD+2」は、2014年の発売以来、アイアンの常識を超える飛距離でご好評をいただいている「inpres RMX UD+2アイアン」の革新的な技術、プラス2番手テクノロジーをさらに進化させ、シリーズとして生まれ変わった、新生「inpres」シリーズの最初のモデルとなるゴルフクラブです。ドライバー・フェアウェイウッド・ユーティリティ・アイアンのすべてのクラブにおいて、プラス2番手テクノロジーの3要素である「ルール限界に迫る反発性能」「スーパー重心設計」「高初速ロフト設計」を搭載しています。新生「inpres」は、合理的に飛距離を伸ばしたいスマートゴルファーに向けて、明らかな飛びを提供することをコンセプトとして生まれたシリーズです。研究開発費は42億40百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は4,681件であります。 (注)・ iPhone、iPadは、Apple Inc.の商標です。・ Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの商標です。・ Bluetoothは、Bluetooth SIG, Inc.の商標です。・ Disklavier、Disklavier ENSPIRE、TransAcoustic、REVSTAR、Montage、ARIUS、VOCALOID、MusicCast、AVENTAGE、Yamaha Network Organizer(YNO)、inpres、RMX、UD+2は、当社の商標です。・ Doricoは、Steinberg Media Technologies GmbHの商標です。
FY2016|5,879 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「感動を・ともに・創る」をコーポレートスローガンに掲げ、「音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづける」を企業理念に掲げております。これを支えるために、これまでに蓄積してきた「音・音楽」に関する技術群をコア技術と定め、更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、物理音響、音源、音声及び音響信号処理、音楽情報処理、素材、解析、電子デバイス、オペレーティングシステム、通信、ネットワークと、音の入口から出口まで、さらには音の多目的利用と大きく広がっております。 当連結会計年度は、「音・音楽・ネットワーク・デバイス」を強化分野とし、特に「良い音」を科学的に理解し、実際の楽器・音響機器設計に適用できるよう研究開発を進めました。また、物理モデル、音楽解析、歌唱合成などの技術の高度化と、ネットワーク時代に対応した高音質の伝送技術や無線接続に関連する技術開発も進めております。 当社グループの研究開発体制は、楽器・音響機器事業については当社の楽器・音響開発本部及び当社の連結子会社であるLine 6,Inc.、NEXO S.A.、Revolabs,Inc.、Steinberg Media Technologies GmbHの開発部門、電子部品事業については当社の半導体事業部の開発部門、その他の事業については当社のゴルフHS事業部及び当社の連結子会社であるヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社の技術本部研究開発統括部、新規事業創出については当社の事業開発部が担う形で構成しております。当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は247億93百万円であります。 1 楽器事業 アコースティック楽器関連では、トランスアコースティック™技術を搭載した、ハイブリッドピアノ「トランスアコースティック™ピアノ」の新製品として、アップライトピアノ「YUS1SHTA」「YUS3SHTA」「YUS5SHTA」、グランドピアノ「C1X-SHTA」「C3X-SHTA」を開発しました。電子音の情報を振動に変換してピアノ本体の響板に伝えるトランスデューサ―(加振器)を搭載しており、響板の振動に弦の共鳴効果が加わることで、電子音がピアノ全体から豊かに自然な響きで広がります。アコースティックピアノでありながら音量調整が可能であり、内蔵された多彩な音色の電子音とアコースティックピアノの音を重ねたレイヤー演奏が楽しめます。外部のオーディオデバイスとの接続により、響板をスピーカー代わりにしてオーディオリスニングを楽しんだり、趣味やシーンに合わせて幅広く楽しむことが可能です。なお「サイレントブラス™」とグランドピアノ「CX」シリーズは各々、「German Design Award 2016」(ドイツデザイン賞)の「Winner」と「Special Mention」に選出されました。また「サイレントブラス™」の意匠は、平成27年度全国発明表彰(主催:公益社団法人 発明協会)の特別賞「朝日新聞発明賞」を受賞しました。 ギター関連では、Line 6,Inc.が、ギター・ワイヤレス・システム「Relay G60」「Relay G75」を開発しました。定評のあるLine6社のデジタル・ワイヤレス・テクノロジーにより、高音質でクリアな音色と低レイテンシーを実現し、ワイヤレスでありながら、ケーブルを繋いだサウンドと同じ様な感覚で演奏することを可能にしました。またレシーバーは、複数のトランスミッターをサポートしており、多種多様なセットアップ、トランスミッターの追加、楽器の持ち替えなどに簡単に対応することが可能です。 電子楽器関連では、コンパクトシンセサイザー「reface」シリーズ「reface CS」「reface DX」「reface CP」「reface YC」を開発しました。当社がこれまで発売し好評を博してきたシンセサイザーやキーボードを現代風にアレンジし、本格的な演奏性とコンパクトな筐体を両立させた新たなキーボードです。それぞれの名前には、アレンジの基にした名器のシリーズ名を冠しました。4機種それぞれに特色ある高品質の音源を搭載し、レコーディングユースやステージユースにも対応する本格的な演奏性を実現しているほか、音の強弱を弾き分けることができる新開発のコンパクトな鍵盤「HQ mini」を搭載し、幅広い表現が可能です。さらに、スピーカー内蔵で乾電池駆動も可能なため、どこでも気軽に本格的な演奏を楽しむことができます。なお「reface」は、「2015年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)の「グッドデザイン・ベスト100」に選出されると共に、ドイツの「Red Dotデザイン賞2016」(主催:ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター)において「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2016」を受賞しました。またクラビノーバ「CLP」シリーズは、「第9回キッズデザイン賞」(主催:キッズデザイン協議会)の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞しました。 音楽ソフト関連では、「Unity」向けソフトウェア開発キット「VOCALOID SDK for Unity」を開発しました。「Unity」は、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社が提供する世界で極めて高いシェアを誇るゲームエンジンであり、その上で、当社の歌声合成技術「VOCALOID™」を利用したインタラクティブコンテンツを開発することが可能になりました。開発者は、使い慣れた「Unity」の開発環境からシームレスに「VOCALOID™」の機能が利用可能で、マルチプラットフォームに対応しております。同時に「Unity」のオフィシャルキャラクター「ユニティちゃん」が持つ世界観を表現するために開発したオリジナルボイス「Unityランタイム版VOCALOID Library unity-chan!」も、同時提供しました。研究開発費は92億91百万円であります。 2 音響機器事業オーディオ関連では、無線通信を使い、家庭内の複数の部屋に設置したオーディオ機器で、Hi-Fiやホームシアターサウンドの音楽を共有して、手軽に楽しめる機能である「MusicCast®」を開発しました。既存の家庭内Wi-Fiネットワークを使い、ストリーミングサービスやインターネットラジオ、サーバーやスマートフォンに保存された好きな音楽を、家の何処にいても、シームレスに再生し楽しむことができます。AppleやAndroidのスマートフォンやタブレット端末で動作する専用の無料アプリ「MusicCast CONTROLLER」でMusicCast®対応機器を操作して、コンテンツを検索し再生させることができます。今後当社は、AVレシーバー、無線スピーカー、サウンドバー、Hi-Fiコンポーネント、パワードスピーカーなどMusicCast®対応機器を拡大させていき、ホームシアター・オーディオの楽しみ方を広げていきます。また、臨場感あふれるサラウンド再生をワンボディで実現するデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP」シリーズの新製品として最上級モデル「YSP-5600」を開発しました。最新の3DサラウンドフォーマットであるDolby Atmosにサウンドバーとして世界で初めて対応し、さらにDTS:Xにも対応しました。ハイトチャンネルのための垂直ビーム専用アレイスピーカーを含む、YSP史上最多となる44個のアレイスピーカーと2個のウーファーからなるスピーカー構成を採用することで、最大7.1.2ch相当のリアル3Dサラウンド再生を実現しました。なおライティングオーディオシステム「Relit LSX-70/LSX-170」は、「2015年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)の「グッドデザイン・ベスト100」に選出されると共に、「アジアデザイン賞2015」(主催:香港デザインセンター)の「プロダクト/工業デザイン」部門において「DFA銅賞」を受賞しました。またデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-1600」は、「2015年度グッドデザイン賞」の「グッドデザイン賞」を受賞しました。 業務用音響機器関連では、新世代フラッグシップモデルとなるデジタル・ミキシング・システム「RIVAGE PM10」を発売しました。「RIVAGE PM10」は、長年に渡るデジタルミキサー開発の歴史の中で培ってきた技術の集大成であるだけでなく、さらに最新の技術を取り入れ、コンポーネントの組み合わせによるシステム構築の柔軟性と膨大なミキシング能力を備えた新世代フラッグシップとなるデジタル・ミキシング・システムです。観客数数百人・数千人規模のホールコンサートから数万人を超える大規模コンサートまで、複雑なセッティングの再現を要する演劇から開会式やセレモニーといった大規模イベントまで、様々な分野・環境に対応しており、伝統のナチュラルサウンドを極めたアナログ部と独自のモデリング技術VCMテクノロジーでさらに進化を遂げたデジタル部から成る新開発の「ハイブリッドマイクプリアンプ」により音作りのバリエーションを大きく広げました。また、革新的な操作性を提供する新世代の小型デジタルミキシングコンソール「TFシリーズ」を開発しました。タッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェイスを核とする新開発の操作体系「TouchFlow Operation」により、初心者から経験豊富なエンジニアまで幅広く快適なオペレーションを提供します。当社のハイエンドレコーディング機器で定評のあるD-PREマイクアンプを搭載し、プロフェッショナルな要求に応える音質を実現しました。さらに、ライブレコーディングへの対応やiPadなどデジタルデバイスとの連携といった機能と拡張性を備え、小型デジタルミキサーの活躍するシーンをこれまで以上に大きく広げました。 情報通信機器関連では、Revolabs,Inc.が開発した、USBスピーカーフォン「FLX UC 500」の日本国内での販売を開始しました。設備音響業界最高レベルのRevolabs社の技術を活かして開発され、中会議室向け高性能マイクスピーカーを搭載し、PCを中心とした6人程度のWeb会議などでの利用に最適な、ユニファイドコミュニケーションのためのマイクスピーカーです。音声帯域幅が広く聞き取りやすいスピーカーや、360度どこからでも広範囲の周波数を集音できるマイク、さらにエコーキャンセラー機能等の優れた音声処理技術の組み合わせにより、遠隔コミュニケーションに適した高音質を実現しました。研究開発費は114億61百万円であります。 3 電子部品事業 モバイル市場向けの地磁気センサーにて、3軸磁気センサーと周辺回路、I2Cインターフェイス回路を1パッケージに集積した、世界最小クラスのLSI「YAS539(MS-3S)」を開発しました。高感度、高S/N比の磁気センサー素子を採用し、センサーブリッジの低電圧化を実現しました。これにより、1.8Vでの単一電源動作が可能となり、測定完了後の自動パワーダウン機能などの特徴により、世界最高水準の低消費電力を実現しました。機能面では、連続測定モード、低消費電力と低ノイズを選択可能な平均化フィルターを搭載し、使用環境に合わせ、より柔軟な磁気測定を行うことを可能としました。またLSI内部には、出荷検査時に個々に測定された補正データを保持しており、これらを使って簡単に高精度な磁気測定が可能です。研究開発費は21億62百万円であります。 4 その他の事業ゴルフ用品では、ゴルフクラブ「RMX®(リミックス)」シリーズの2016年モデルのドライバー「RMXドライバー」を開発しました。“たわみ”のヘッドと“しなり”のシャフトを組み合わせて、飛距離性能を進化させております。“たわみ”で飛ばす「スーパーデュアル弾力ボディ」のヘッド性能だけで最大プラス6.4ヤードを実現し、「シンメトリック構造」と「アルティメットフェース」でオフセンターヒット時に強さを発揮しております。また自分に合うドライバーをつくることができるように、好みの弾道・打感で選べるヘッド2モデルと、スイングスタイルに合わせられるカスタムシャフト4モデルをラインアップしました。 FA機器では、水素漏れを高速・高感度で検出する、卓上スニファー式水素ディテクタ「YHLD-100」を開発しました。容器や配管の機密性をチェックするためのトレース(追跡)ガスとして利用する水素は、現在主流のヘリウムに比べてガス自体のコストが安く、設備費も大幅に抑制できると期待されております。独自に開発したMEMS(微小電気機械システム)水素センサーを、世界で初めて搭載することにより、低濃度(0.5ppm)から高濃度(13,000ppm=1.3%)までの広いダイナミックレンジと、1秒以内の高速応答(1,000ppmにおける)を実現しております。今後はディテクタ-のラインナップ拡充に加えて、水素社会発展に伴い拡大する市場(水素ステーション、燃料電池、水素発電など)への用途開拓も進めていきます。研究開発費は18億79百万円であります。 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は5,176件であります。 (注)・ iPadは、Apple Inc.の登録商標です。・ Androidは、Google Inc.の登録商標です。・ Unityおよび関連の製品名は、Unity Technologies及びその子会社の商標です。・ Dolby Atmosは、Dolby Laboratories, Inc.の登録商標です。・ DTS:Xは、DTS,Inc.の登録商標です。・ トランスアコースティック、サイレントブラス、VOCALOID、MusicCast、RMXは当社の登録商標です。