事業の概要
- 研究開発型医療機器メーカー大研医器は、麻酔関連と病院内感染防止関連の医療機器を自社で企画開発、製造、販売しています。医療現場の医師や看護師のニーズを直接聞き取り、独創的な技術で製品化することを基本理念としています。これにより、海外製品に依存しがちな国内医療現場に、日本ならではのきめ細やかな製品を提供しています。
- 一貫生産体制基礎研究から製品開発、製造、品質管理(ISO規格EN ISO 13485:2016準拠)まで、全ての工程を自社で行っています。これにより、製品の品質と安全性を高いレベルで維持し、医療現場からの信頼を得ています。また、生産技術や品質管理においても国際的な基準を満たしており、安定した製品供給を可能にしています。
- 医療現場第一主義欧米メーカーが主導する医療機器業界において、同社は医療現場の小さな声にも耳を傾け、それを製品開発に反映させることを重視しています。例えば、使い捨ての吸引器や、患者自身で痛みをコントロールできる注入器など、現場の課題解決に直結する製品を提供することで、医療の質向上に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 吸引器関連製品病院内感染防止を目的とした非電動式の真空吸引器を扱っています。手術室や集中治療室、病棟などで、血液や体液を吸引する際に使用されます。従来ガラス製だった容器が、感染予防の観点からプラスチック製の使い捨て容器に置き換わってきており、主力製品の「フィットフィックス」や「キューインポット」がこれに該当します。売上比率は全体の60%以上を占める主要事業です。
- 注入器関連製品麻酔関連の製品で、手術後の痛みを軽減するために局所麻酔剤や鎮痛剤を微量かつ持続的に投与する加圧式医薬品注入器です。電気を使用せず軽量で携帯可能なため、患者のQOL向上に貢献しています。主な製品には、大気圧を利用する「シリンジェクター」やバルーンの収縮力を利用する「バルーンジェクター」、患者自身で鎮痛をコントロールできる「PCA装置」などがあります。
- 電動ポンプ関連製品麻酔関連のME機器(医用電気機器)で、極めて微量の薬液を精密に制御しながら持続的に投与するために使用されます。高精度な薬液投与が求められる手術室や集中治療室で使われる「シリンジポンプ」や、輸液バッグから薬液を投与する「輸液ポンプ」などがあり、高度な医療現場を支える製品群です。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社は、研究開発型医療機器メーカーとして、主に麻酔関連・病院内感染防止関連製品の企画開発・製造販売を行っております。なお、当社には、親会社、子会社、関連会社及びその他の関係会社はありません。 当社の製品開発の特徴は、麻酔関連・病院内感染防止関連の医師、看護師及び臨床工学技士を中心とした医療現場のニーズを開発担当者が直接聞き、特許を含め独創的な技術を駆使して製品化することを基本理念としていることであります。国内の医療機関の多くが、欧米メーカーを中心とした輸入医療機器に依存しており、この欧米主導の医療機器業界において、当社は医療現場第一主義に徹し、現場の小さな声も拾い上げ、製品化することに注力しております。 また、当社は基礎研究・製品開発から製造にいたるまで、基本的にすべて当社で行っており、量産に係わる生産技術・品質管理においてもISO規格(EN ISO 13485:2016)に基づき管理運営しております。 当社は、単一セグメントのため、当社製品を5つの製品群に分類し、それぞれの事業の内容を以下に記載いたします。 (1)吸引器関連 病院内感染防止関連の製品であり、手術室、集中治療室、病棟等において医療配管設備を吸引源とし、血液、組織液、唾液等の体液や体液を含んだ排液を吸引する非電動式の真空吸引器であります。従来はガラス製の吸引容器が使用されており、洗浄、再使用されておりましたが、感染予防の観点から近年プラスチック製のディスポーザブル(使い捨て)容器に置き換わってきております。(主な製品)フィットフィックス 蓋部分とボトル部分から構成されるプラスチック製の凝固剤一体型の密閉容器であり、排液量が比較的多い、手術室、集中治療室等で使用いたします。蓋部分に凝固剤があらかじめ充填されており、蓋部分を押すことにより凝固剤が投下され、蓋を開けることなく排液を凝固することができます。容器ごと焼却処分をするため、排液に接触することなく、排液からの感染を防止しております。手術の規模によっては、数個のフィットフィックスを連結して使用いたします。 キューインポット 本体とディスポーザブルであるプラスチック製のライナー(袋)で構成され、排液量が比較的少ない病棟等で使用いたします。ライナーには凝固剤が入っており、吸引した排液を固めることができます。使用したライナーは、排液に接触することなく、そのまま焼却処分ができるため、病棟での感染症対策として利用されております。 (2)注入器関連 麻酔関連の製品であり、主に手術後の痛みを軽減する目的でカテーテル(医療用の細いチューブ)等に接続し、局所麻酔剤や鎮痛剤を微量、持続的に投与するために使用する加圧式医薬品注入器であります。 一般的に病院施設内で使用されますが、一部では医師の管理指導のもと、在宅でも使用されております。本製品は電気を使用せず軽量で携帯ができ、局所麻酔剤や鎮痛剤を投与できるため、患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)向上を考慮しております。(主な製品)シリンジェクター 加圧方式に大気圧を利用した注入器であり、一定速度で薬液を注入いたします。 バルーンジェクター 加圧方式にバルーン(風船)の収縮力を利用した注入器であり、一定速度で薬液を注入いたします。比較的大容量の薬液を投与する際に使用いたします。 PCA装置 シリンジェクター及びバルーンジェクターに付属させて使用する装置であります。PCA(Patient Control Analgesia:患者自身による鎮痛法)装置を付属させた場合、患者自身の操作により一定範囲内で注入量を操作し、鎮痛のコントロールを行います。 エイミー 予め設定された流量又は投与量に従って持続投与、間欠投与又はボーラス投与を行う輸液ポンプであり、スマートフォンのアプリケーションを用いて術後疼痛管理を行います。(3)電動ポンプ関連 麻酔関連の製品であり、極めて微量の薬液を精密に制御しながら持続的に投与するために使用するME機器(医用電気機器)であります。(主な製品)シリンジポンプ 医薬品を充填したシリンジ(注射器)の押し子を制御することによって精密かつ持続的に医薬品を投与する機器であります。シリンジポンプは薬液投与の制御が高精度であるため、手術室や集中治療室等で使用いたします。 輸液ポンプ 医薬品を充填した輸液バッグやバイアル(医薬品容器)に輸液セットを接続し、その輸液セットのチューブをしごくことによって医薬品を投与する機器であります。輸液ポンプは、集中治療室や病棟等で使用いたします。 (4)手洗い設備関連 手洗い水装置関連の製品であり、手術室、集中治療室、病棟等において医療従事者の衛生的な手洗いに使用される設備装置であります。(主な製品)ステリキープⅡ 水道配管設備に接続設置し、フィルター等で濾過を行い、手洗い用の無菌水又は殺菌水を供給する装置であります。 ワイペル 滅菌済みのディスポーザブルタオルであり、摩擦による脱落繊維がほとんど無く、繊維が手に残らず安全面を考慮した製品であります。 (5)その他 上述の4つの製品群に分類されない製品であります。(主な製品)ブレスウォーム 手術室やその他処置室で患者の身体の一部を保護するために使用される不織布オイフで、吸湿発熱繊維(アクリレート系繊維)を配合することにより保温性を高めた製品であります。 気管支ブロッカーチューブ 胸部外科手術を行う際の分離肺換気を目的に使用されるカテーテルであり、先端に設置されたカフ(風船)を気管支内で膨張、閉塞させることで分離肺換気を行うものであります。 ダブルルーメン気管支チューブ 呼吸器外科手術などの際に分離肺換気を目的に使用されるチューブであります。 ディスポーザブル パルプシステム 従来、院内におけるポータブルトイレでの汚物処理は、プラスチック容器を洗浄・消毒して使い回しておりましたが、この容器を使い捨てにし、廃棄処理を容易にすることで、医療従事者や患者に衛生的で快適な医療環境を提供するシステムであります。 主要製品の取引関連図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 国策としての医療費抑制政策により償還価格が低下傾向にあり、販売価格も連動して低下傾向にあるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 医療機器の開発、製造及び販売には医薬品医療機器法による許認可が必要であり、参入障壁が高い。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:製品開発の進度に係るリスク / 製品の販売価格引下げに伴うリスク / 法的規制に伴うリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
大研医器は、医療機器分野における長年の実績と、特定のニッチ市場での認知度を持つ。特に、麻酔器や人工呼吸器関連の消耗品、医療ガス供給システムなどの分野で、医療機関からの信頼を得ていると考えられる。しかし、特許やブランド力が決定的な競争優位となるほどのレベルには至っていない可能性が高い。
スイッチングコスト★★★☆☆
医療機器、特に生命維持に関わる分野では、機器の入れ替えや消耗品の変更には、安全性、有効性、トレーニング、規制当局の承認など、多くのハードルが存在する。一度導入されたシステムや消耗品からの乗り換えは、医療機関にとって時間的、コスト的、そしてリスク的な負担が大きいため、一定のスイッチング・コストが働く可能性がある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
大研医器の事業モデルにおいて、ネットワーク効果が競争優位の源泉となっているという明確な証拠はない。製品の利用者が増えることで、製品自体の価値が向上するようなプラットフォーム型のビジネスではない。
コスト優位★☆☆☆☆
医療機器業界全体として、製造コストの低減努力は行われていると考えられるが、大研医器が他社と比較して構造的に著しく低いコストで生産・提供できるような、明確なコスト優位性を示す情報は現時点では確認できない。
規模の経済★★☆☆☆
大研医器は、特定の医療機器分野で一定のシェアを持つと考えられるが、業界全体を支配するような規模の経済性や、寡占市場を形成するほどの圧倒的な市場シェアを有しているとは考えにくい。ニッチ市場での一定の地位は確保している可能性がある。
- 医療現場のニーズを直接反映医師や看護師、臨床工学技士といった医療現場の専門家から直接ニーズをヒアリングし、製品開発に活かしています。これにより、現場の課題を解決する独創的で実用性の高い医療機器を生み出しており、欧米メーカーにはないきめ細やかな製品提供が強みとなっています。
- 独創的な技術と特許医療現場のニーズに基づき、特許を含む独創的な技術を駆使して製品化しています。例えば、凝固剤一体型の密閉容器「フィットフィックス」や、大気圧・バルーンの収縮力を利用した注入器「シリンジェクター」「バルーンジェクター」など、独自の技術で他社との差別化を図っています。
- 一貫した品質管理体制基礎研究から製品開発、製造、品質管理まで全て自社で行い、ISO規格(EN ISO 13485:2016)に基づいた厳格な管理運営をしています。これにより、高品質で安全性の高い医療機器を安定的に供給できる体制を確立しており、医療機関からの信頼獲得につながっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は、「我々は現在の医療を見つめ明日の医療の創造を通して社会に貢献します。」という企業理念の下に、新しい医療の世界を切り開くべく未知なる技術と価値ある製品開発に全知全能を傾けております。 一.私たちは医療現場と協力し常に新しい医療機器の開発と需要の創造に努めます。 二.私たちは一人ひとりが不可能を可能にできるよう挑戦的に仕事にあたります。 三.私たちは社会人として又企業人として全人格的な成長を通して企業の発展のため励みます。 以上の基本方針3項目を掲げて当社事業運営の目的としており、全役職員が徹底実行し、医療を進化させ社会貢献できるよう日々取り組んでおります。また、当社製品ブランド名であるクーデック(COOPDECH)はクーデターバイテクノロジーという意味を持つ造語であり、独創の技術でドラスティックな医療革命を目指すという想いを表現しております。安易に時流に乗らず、常に新しい可能性に挑戦し続け、人が誰もやらない、しかも人類の生命に関する極めて価値の高い仕事を、当社の研究開発製品を通して形にしていきたいと考えております。 (2)中長期的な会社の経営戦略 当社の研究開発の特徴は、麻酔・手術室関連の医師、看護師及び臨床工学技士を中心とした医療現場の潜在ニーズをできるだけ同じ目線で開発担当者が捉えるように努め、特許を含め独創的な技術を駆使して製品化することを基本理念としていることであります。また、当社は研究・開発から製造・販売に至るまで、基本的に全て一貫して行っており、量産に係わる生産技術・品質管理においてもISO規格(EN ISO 13485:2016)に基づき管理運営しております。今後とも現場第一主義を貫き、革新性・安全性を担保した新製品を確実に上市できる体制を維持強化してまいります。 以上のことを今後も継続させていきつつ、既存のトップラインの製品については更なるシェア向上を目指し、また、価格競争が激しい海外市場でも拡販でき、かつ新たな領域への進出を可能にする新製品の研究開発を進め、飛躍的な業績及び企業価値の拡大をできるだけ早い時期に実現させていく所存であります。 (3)目標とする経営指標 当社は、医療機器製造と医療機器販売が事業のほとんどであるため、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に計るための有用な指標であると考えております。 新製品開発においては、ターゲットとする売上高総利益率を一律に定め、増加する研究開発費等の将来の成長に向けた投資を抑えることなく、会社全体として売上高経常利益率20%を念頭においた経営戦略の検討、活動を基本としております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 今後の当社を取り巻く経営環境につきましては、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足による医療人材確保等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきている中で、国内外のメーカーとの価格競争及び原材料価格の高騰や円安進展による仕入価格の高騰等により、引き続き厳しい状況で推移するものと思われます。 このような状況のもと、当社の営業・技術・製造が一体となって、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるよう市場競争力を高め、さらなる業績の向上、企業価値の増大に向けて邁進するとともに、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでまいります。また当社が対処すべき課題として以下のことに取り組んでまいります。 ① 既存製品の拡充・新製品の開発とその拡販 当社は、国内市場のマーケットリーダーとして「サクションの大研(吸引器…フィットフィックス、キューインポット)」、「ポンプの大研(注入器…シリンジェクター、バルーンジェクター)」のイメージをより一層定着させるとともに、独創的な製品の研究開発活動をさらに強化し、最先端医療を支える当社のイメージを確立するよう取り組んでおります。 中長期的な成長戦略として注力している「マイクロポンプ関連製品」の第1弾となる、「クーデックエイミーPCA」は、注入器の次世代製品であり、ポンプの大研医器として注入器分野でのさらなる医療現場のイノベーションを創出することを期待しております。医療現場からの評価が高く、急性期の術後疼痛緩和から無痛分娩や在宅分野まで着実に売上を伸ばし、普及が進んでおります。 今後も「クーデックエイミーPCA」に続く「マイクロポンプ関連製品」の早期開発、早期上市を実現することで新たな市場開拓、市場創出を推進し、新たな事業の柱へと育成してまいります。② 海外販売の拡充 当社の売上はそのほとんどを国内販売に依存しており、海外売上高の割合は、2025年3月期において3.2%となっております。国内だけでなく「世界で戦える競争力のもった医療機器メーカー」への変遷を掲げる中で、「クーデックエイミーPCA」の海外での拡販に向けた体制準備につきましては、欧州への展開を最優先事項として進めており、欧州での販売に向けた有力パートナーとの強固な関係性を維持しながら、遅れておりますMDR(欧州医療機器規則)の認証取得に向けた取り組みを推進、強化しております。 今後も海外市場における製品ラインアップ及び販売網の拡充に努め、海外での競争力をより一層高めていけるよう取り組みます。③ サプライチェーンの更なる高度化 インフレ局面における原材料価格の高騰や2024年度までの円安の進展による為替変動に伴う製品・原材料等の仕入価格の上昇が顕著となっている中、製造コストの低減を図っていくことが大きな経営課題となっております。2024年度から生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めるべく取り組んでおります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫量の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め継続的に取り組んでおります。④ 優秀な人材の確保、教育の強化 当社の企業価値は個々の従業員から創出されるものです。当社の競争力を高めるため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に活用すると同時に、人材育成として教育・研修プログラムの刷新を実施し、優秀な人材の確保に取り組んでおります。 加えて、従業員の給与水準の向上及び効率的な働き方を実践するなど、競争力確保のための人的投資強化施策を積極的に実施しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は、「我々は現在の医療を見つめ明日の医療の創造を通して社会に貢献します。」という企業理念の下に、新しい医療の世界を切り開くべく未知なる技術と価値ある製品開発に全知全能を傾けております。 一.私たちは医療現場と協力し常に新しい医療機器の開発と需要の創造に努めます。 二.私たちは一人ひとりが不可能を可能にできるよう挑戦的に仕事にあたります。 三.私たちは社会人として又企業人として全人格的な成長を通して企業の発展のため励みます。 以上の基本方針3項目を掲げて当社事業運営の目的としており、全役職員が徹底実行し、医療を進化させ社会貢献できるよう日々取り組んでおります。また、当社製品ブランド名であるクーデック(COOPDECH)はクーデターバイテクノロジーという意味を持つ造語であり、独創の技術でドラスティックな医療革命を目指すという想いを表現しております。安易に時流に乗らず、常に新しい可能性に挑戦し続け、人が誰もやらない、しかも人類の生命に関する極めて価値の高い仕事を、当社の研究開発製品を通して形にしていきたいと考えております。 (2)中長期的な会社の経営戦略 当社の研究開発の特徴は、麻酔・手術室関連の医師、看護師及び臨床工学技士を中心とした医療現場の潜在ニーズをできるだけ同じ目線で開発担当者が捉えるように努め、特許を含め独創的な技術を駆使して製品化することを基本理念としていることであります。また、当社は研究・開発から製造・販売に至るまで、基本的に全て一貫して行っており、量産に係わる生産技術・品質管理においてもISO規格(EN ISO 13485:2016)に基づき管理運営しております。今後とも現場第一主義を貫き、革新性・安全性を担保した新製品を確実に上市できる体制を維持強化してまいります。 以上のことを今後も継続させていきつつ、既存のトップラインの製品については更なるシェア向上を目指し、また、価格競争が激しい海外市場でも拡販でき、かつ新たな領域への進出を可能にする新製品の研究開発を進め、飛躍的な業績及び企業価値の拡大をできるだけ早い時期に実現させていく所存であります。 (3)目標とする経営指標 当社は、医療機器製造と医療機器販売が事業のほとんどであるため、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に計るための有用な指標であると考えております。 新製品開発においては、ターゲットとする売上高総利益率を一律に定め、増加する研究開発費等の将来の成長に向けた投資を抑えることなく、会社全体として売上高経常利益率20%を念頭においた経営戦略の検討、活動を基本としております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 今後の当社を取り巻く経営環境につきましては、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足による医療人材確保等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきている中で、国内外のメーカーとの価格競争及び原材料価格の高騰や円安進展による仕入価格の高騰等により、引き続き厳しい状況で推移するものと思われます。 このような状況のもと、当社の営業・技術・製造が一体となって、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるよう市場競争力を高め、さらなる業績の向上、企業価値の増大に向けて邁進するとともに、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでまいります。また当社が対処すべき課題として以下のことに取り組んでまいります。 ① 既存製品の拡充・新製品の開発とその拡販 当社は、国内市場のマーケットリーダーとして「サクションの大研(吸引器…フィットフィックス、キューインポット)」、「ポンプの大研(注入器…シリンジェクター、バルーンジェクター)」のイメージをより一層定着させるとともに、独創的な製品の研究開発活動をさらに強化し、最先端医療を支える当社のイメージを確立するよう取り組んでおります。 中長期的な成長戦略として注力している「マイクロポンプ関連製品」の第1弾となる、「クーデックエイミーPCA」は、注入器の次世代製品であり、ポンプの大研医器として注入器分野でのさらなる医療現場のイノベーションを創出することを期待しております。医療現場からの評価が高く、急性期の術後疼痛緩和から無痛分娩や在宅分野まで着実に売上を伸ばし、普及が進んでおります。 今後も「クーデックエイミーPCA」に続く「マイクロポンプ関連製品」の早期開発、早期上市を実現することで新たな市場開拓、市場創出を推進し、新たな事業の柱へと育成してまいります。② 海外販売の拡充 当社の売上はそのほとんどを国内販売に依存しており、海外売上高の割合は、2025年3月期において3.2%となっております。国内だけでなく「世界で戦える競争力のもった医療機器メーカー」への変遷を掲げる中で、「クーデックエイミーPCA」の海外での拡販に向けた体制準備につきましては、欧州への展開を最優先事項として進めており、欧州での販売に向けた有力パートナーとの強固な関係性を維持しながら、遅れておりますMDR(欧州医療機器規則)の認証取得に向けた取り組みを推進、強化しております。 今後も海外市場における製品ラインアップ及び販売網の拡充に努め、海外での競争力をより一層高めていけるよう取り組みます。③ サプライチェーンの更なる高度化 インフレ局面における原材料価格の高騰や2024年度までの円安の進展による為替変動に伴う製品・原材料等の仕入価格の上昇が顕著となっている中、製造コストの低減を図っていくことが大きな経営課題となっております。2024年度から生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めるべく取り組んでおります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫量の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め継続的に取り組んでおります。④ 優秀な人材の確保、教育の強化 当社の企業価値は個々の従業員から創出されるものです。当社の競争力を高めるため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に活用すると同時に、人材育成として教育・研修プログラムの刷新を実施し、優秀な人材の確保に取り組んでおります。 加えて、従業員の給与水準の向上及び効率的な働き方を実践するなど、競争力確保のための人的投資強化施策を積極的に実施しております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資の持ち直しが見られ、緩やかながら景気の回復基調が続きました。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。 また、当社を取り巻く事業環境は、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供給体制が望まれております。 このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。 これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。 b.経営成績 当事業年度の経営成績については、次のとおりです。 売上高 9,951百万円 (前期比増減 201百万円増 (前期比 2.1%増) ) 営業利益 1,512百万円 (前期比増減 69百万円増 (前期比 4.8%増) ) 経常利益 1,510百万円 (前期比増減 60百万円増 (前期比 4.1%増) ) 当期純利益 1,097百万円 (前期比増減 109百万円増 (前期比 11.0%増) ) なお、経常利益の前事業年度との増減内容は次のとおりです。 販売数量の増加等による売上総利益の増加 +174百万円 その他製造原価増減等による売上総利益の減少 △59百万円 販管費等の増加による減少 △55百万円 ② キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社の事業は、医療機器等の製造販売及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社の製品群別に記載しております。a.生産実績当事業年度における生産実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。製品群生産高(千円)前期比(%)吸引器関連3,695,729+9.2注入器関連1,458,278+0.9電動ポンプ関連76,647△59.1手洗い設備関連255,970△5.1その他238,431△2.7合計5,725,056+3.5(注)金額は、製造原価により算定しております。 b.受注実績当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績当事業年度における販売実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。製品群販売高(千円)前期比(%)吸引器関連6,396,049+3.3注入器関連2,216,644+5.3電動ポンプ関連218,003△17.0手洗い設備関連618,127△8.9その他502,874△2.0合計9,951,701+2.1 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 このうち重要な会計上の見積りとして「変動対価(売上取引に係る未確定の値引額)の額の見積り」があります。当社の顧客が当社製品をユーザーに販売した後、値引の請求を当社が受ける場合がありますが、同一製品であっても顧客がどのユーザーに販売するかによって値引額は変動することとなります。そのため、事業年度末において顧客からユーザーへの販売がまだ行われておらず、顧客からの値引請求額が未確定の部分について、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分であり、変動対価に該当します。当社は、当該変動対価の額を見積り、売上高に反映させています。なお、顧客が保有する製品をどのユーザーに販売するかは事業年度末時点で未確定であることから、顧客が過去実績と同一の販売比率でユーザーに販売するという仮定の下、主要な顧客や製品群ごとの過去一定期間の実績値引率に基づいて、変動対価の額を見積っております。 その他の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.経営成績等1)財政状態(資産合計) 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。 流動資産は、前事業年度末に比べて254百万円増加し、6,985百万円となりました。これは主として、原材料が27百万円、受取手形が24百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が256百万円、電子記録債権が21百万円、仕掛品が21百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 固定資産は、前事業年度末に比べて79百万円減少し、4,196百万円となりました。これは主として、有形固定資産が55百万円、投資その他の資産が23百万円それぞれ減少したこと等によるものです。 (負債合計) 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。 流動負債は、前事業年度末に比べて509百万円減少し、2,829百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が90百万円増加したものの、短期借入金が360百万円、電子記録債務が117百万円、未払金が72百万円それぞれ減少したこと等によるものです。 固定負債は、前事業年度末に比べ191百万円増加し、835百万円となりました。これは主として、長期借入金が194百万円増加したこと等によるものです。 (純資産合計) 純資産は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。これは主として、当期純利益を1,097百万円計上し、配当金を603百万円支払ったことによる利益剰余金の差引増加等によるものです。 2)経営成績(売上高) 売上高は、9,951百万円(前年同期比2.1%増)となりました。これは主として、キューインポット(吸引器関連)及びクーデックエイミーPCA(注入器関連)の販売が好調に推移したこと等によるものです。 (営業利益) 営業利益は、1,512百万円(前年同期比4.8%増)となりました。これは主として、原油価格高騰や急激な為替変動によるコスト上昇要因があるものの、売上高の増加により売上総利益が増加したこと等によるものです。 (経常利益) 経常利益は、1,510百万円(前年同期比4.1%増)となりました。これは主として、営業利益が増加したこと等によるものです。 (当期純利益) 当期純利益は、1,097百万円(前年同期比11.0%増)となりました。これは主として、経常利益が増加したこと等によるものです。 3)キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により得られた資金は1,120百万円(前期比434百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益を1,508百万円、減価償却費を232百万円それぞれ計上したものの、法人税等を443百万円支払ったこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は168百万円(前期比0百万円減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得により、166百万円支出したこと等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により使用した資金は696百万円(前期比467百万円減)となりました。これは主として、配当金を612百万円支払い、長期借入金の返済額として464百万円支出したこと等によるものです。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社の経営に影響を与える大きな要因として、医療費抑制政策をはじめとする国による社会保障政策への動向があります。医療費の抑制に加え、医療現場における感染症への対応、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、国内外メーカーとの競争激化等により、当社の経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。 このような状況の中、当社の強みである医療現場と密着した製品開発、営業活動にもとづく新たな医療サービスを提供できる独創的な新製品開発と生み出された新製品の販売推進により他社の追随を許さないトップメーカーとしての地位の確保と新市場創出、開拓を推進してまいります。 当社の主力製品の状況は次のとおりです。 (吸引器関連) 主に手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスについては、1990年の発売から30年超が経過しておりますが、手術件数の伸びとともに、販売数量も増加する傾向にあります。しかしながら、医療費抑制政策等による医療機関の経営環境の変化から競合他社との競争が激化しており、販売単価の下落が顕著になっております。 当社は、吸引器の国内トップシェアメーカーとして現状の市場環境の変化に対応するべく、医療現場のニーズに合致した現行フィットフィックスの後継機種となる次世代吸引器の開発を進め、現在、複数の医療施設でのマーケットトライアルを実施しており、評価結果を受けて迅速に市場投入を実施してまいります。 次に、病棟で使用されるキューインポットについては、院内感染防止と看護師の業務負荷軽減を目的として急速に普及が進んでおります。 当社は手術室で培ったノウハウをもとに300床以上の急性期の大手病院への納入から始まり、現在では300床未満の中小病院、さらには慢性期の病院への展開にも注力しております。特に、院内感染防止等の観点からニーズは非常に高く、300床未満の中小病院、慢性期の病院への納入が顕著に増加しており、今後も伸びが期待できる市場環境にあります。 このような状況のもと、当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微なものとなり、徹底した感染症の防止策が講じられながらも、正常化した安定的な医療が提供されております。これにより、手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスの販売量が堅調に推移したこと、病棟用の吸引器であるキューインポットの販売が好調に推移したことにより、吸引器関連の年間売上は6,396百万円となりました(前期比3.3%増)。 引き続き、競合他社との競争は厳しく、販売単価下落の影響はあるものの、フィットフィックスの堅調な伸びと病棟で使用されるキューインポットの拡販、市場拡大に注力することで増収確保に向けた取組を進めております。 (注入器関連) 手術後の疼痛管理目的で使用されるディスポーザブル持続注入器であるシリンジェクター、バルーンジェクターについては、麻酔手技の変化と医療経済性の観点から医療現場のニーズに変化が見られます。 医療現場のニーズ変化に対応すべく、製品ラインナップ強化に向けてマイクロポンプを使用したより流量精度が高く、医療従事者が管理しやすい持続注入器の新製品開発を進め、完成した新製品「クーデックエイミーPCA」について拡販を進めてまいりました。当初想定していた急性期の医療機関での需要に加えて、在宅市場などをはじめとして多方面からの引き合いも引き続き増加してきており、そのポテンシャルは当社事業領域拡大の余地を大きく含んでおります。 このような状況のもと、当事業年度におきましては、吸引器と同様に手術件数が堅調に推移したことに加えて、新製品の「クーデックエイミーPCA」の好調な販売推移により、注入器関連の年間売上は2,216百万円となりました(前期比5.3%増)。 差別化された圧倒的な製品力とトップシェアメーカーである営業力を発揮し、新製品の拡販に注力し、市場シェアのさらなる拡大を進め、増収確保に向けた取組を進めております。 上記に記載した主力製品が当社事業の大半を占めるため、その売上進展及びその収益性が当社の営業利益、経常利益、当期純利益に大きく影響することとなります。 当社といたしましては、医療に従事するメーカーとして人命の安全を確保しながらも製品の安定供給を果たすための生産・供給体制の構築を経営課題と認識し、取り組んでおります。 また、「医療現場第一主義」の研究開発型メーカーとして当社の特徴でもある独創的な製品を開発し、供給することにより医療現場が抱える課題解決を図っていくことを第一に考えながら、新製品については、国内のみならず海外での販売拡大を目指し、海外販売比率を高めることで事業規模の拡大とさらなる経営基盤の強化・確立を図ってまいります。 c.資本の財源及び資金の流動性(資金需要) 当社の事業活動における運転資金需要につきましては、製品を製造するための国内外の仕入先からの部材仕入、製造経費、営業管理費や荷造運賃などの販売費及び一般管理費があります。 設備資金需要につきましては、製品製造にあたっての設備の維持・金型の更新投資や新製品開発にあたっての設備や金型の新規投資があります。さらには、インフラとして生産効率や事務効率の向上を目的とした投資等があります。 (財務政策) 当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。基本的に、経常的な設備投資については、減価償却費の範囲内にとどめ、一定程度のキャッシュポジションを維持した上で余剰資金については有利子負債の削減に充当しております。 また、過度に金利変動リスクに晒されないよう短期借入と長期借入のバランスを図りつつ、タイミングをみて長期借入へシフトするなど、資金調達コストの低減・安定にも努めております。 d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に図るための有用な指標であると考えております。当事業年度における「売上高総利益率」は、41.2%(前期比0.4ポイント好転)であります。また、「売上高経常利益率」については、15.2%(前期比0.3ポイント好転)であります。 主要2指標の好転の主要因は、主力製品の堅調な売れ行きと新製品(特にクーデックエイミーPCA)の販売が好調に推移していることが売上総利益率の改善に繋がりました。 売上高経常利益率の改善につきましては、売上総利益が増加したこと等の影響によります。 当該経営目標数値の達成に向けた計画骨子として、下記3点の重点施策を実施してまいります。 1.既存事業の成長 病棟用吸引器であるキューインポットのさらなる拡販に取り組んでまいります。 引き続き、急性期病院から慢性期病院への拡販を積極展開し、潜在市場への普及拡大を図ります。 2.サプライチェーンの高度化 生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めてまいります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め、粗利益増加、粗利率の改善を図ります。 3.中長期的成長エンジンとなるマイクロポンプ関連製品の投入と開発 マイクロポンプ関連製品の第1弾製品として上市した「クーデックエイミーPCA」の拡販を進めてまいります。 当社の主戦場である急性期の医療機関への拡販に本腰を置きながらも潜在的にニーズの高い在宅市場やクリニックへの展開も積極的に推進してまいります。 さらには、マイクロポンプをキーデバイスとした注入器分野での派生商品の開発にも着手しており、早期上市、拡販に向けた取り組みを進めております。 当社といたしましては、医療現場のニーズを汲み取った改良品の上市や既存製品の拡販により競争力強化を図ること、新製品の上市により新たな事業の柱を創出することにより、特定製品に依存した収益構造からの脱却を図り、売上高総利益率の改善に努めるとともに、生産効率の改善や固定費削減にも取り組み収益性の改善に努めてまいります。
事業リスク
- 製品開発の遅延新技術や新製品の開発に注力していますが、市場や技術動向の変化により、期待通りの新製品が開発できない可能性があります。これにより、事業成長の機会を逃し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。開発テーマの選択と集中、進捗の厳格なチェックでリスク低減を図っています。
- 販売価格の低下圧力国策による医療費抑制政策や、複数の医療機関による共同購買の増加により、医療機器の販売価格が低下する傾向にあります。原価低減や業務効率化を進めていますが、効果が限定的であれば、収益性が圧迫され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 特定製品への依存主力製品である吸引器関連製品(フィットフィックスなど)の売上比率が全体の60%を超えており、特定の製品群への依存度が高い状況です。この製品群で価格競争が激化したり、需要が減少したりした場合、会社の業績や事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)製品開発の進度に係るリスク 当社は、新技術や新製品の開発を目指し、研究開発投資や設備投資を行っておりますが、様々な環境動向等により、当社の事業成長を可能にする新製品研究開発の対応不足が生じると、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクが生じる可能性については、研究開発テーマの新規性や進歩性の程度による部分が大きいと考えますが、数ある開発テーマの中から現場ニーズと製品コンセプト、想定される投資採算などから開発テーマの選択と集中を慎重に検討実施し、製品開発過程の常時見直しと進行テーマの各フェーズにおけるチェック・確認機能の強化に取り組み、当社の開発リソースを最大限有効に活用できるよう取り組んでおります。 (2)製品の販売価格引下げに伴うリスク 国策としての医療費抑制政策によって償還価格(病院が特定保険医療材料を使用した場合に、国に対して請求する価格)は低下傾向にあり、医療機器販売業者による医療機関への販売価格もこれに連動し、低下傾向にあります。また、複数の医療機関の購買をまとめ上げた共同購買体制等もあり、医療機関のメーカーに対する販売価格下落圧力は強まっております。 当社において、原価低減や業務効率全般にわたっての改善を進めておりますが、効果が限定される場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対する対応策として、製品の市場動向、競合他社の状況、行政の動向等当社を取り巻く経営環境に関する情報を的確かつ早期にキャッチアップし、中長期的な視点から次世代製品開発に反映することを前提に、当社の強みである医療現場のニーズを汲み取った独創性の高い医療機器の開発、提供を強化、推進してまいります。 (3)法的規制に伴うリスク 当社が行っております医療機器の開発、製造及び販売については、国内では医薬品医療機器法により規制を受けますが、改正法が2014年11月に施行され、品質管理、安全管理体制の一層の強化と充実が求められております。 これまで当社は医薬品医療機器法に係る許認可の否認や承認の取消しを受けたことはありませんが、医薬品医療機器法第75条においては当該取消事由が定められており、何らかの理由により当該取消事由が生じた場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 許可の種類有効期限関連する法令取消等となる事由第一種医療機器製造販売業許可2030年3月医薬品医療機器法第75条に該当した場合の取消又は更新漏れ医療機器製造業登録2030年3月〃〃高度管理医療機器等販売業許可2026年10月~2031年3月〃〃医療機器修理業許可2025年5月~2029年10月〃〃 なお、欧州市場へ輸出するにはMDD/MDR(欧州医療機器指令/規則)の要求事項を満たす必要があり、米国市場へはFDA(連邦食品・医薬品・化粧品法)の要求事項を満たす必要があります。当社は輸出先国の法律に係る許認可の否認や承認の取消しを受けたことはありませんが、法規制等が変更、強化された場合は当社の業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 当社の海外売上比率は、2025年3月期において3.2%であり、海外における法規制のリスクが当社の現状の業績に与える影響は小さいものと考えます。しかしながら、今後は、海外売上比率を高めていくことを中長期の成長の柱としておりますことから、海外市場の規制要求対応を含め海外拡販体制強化のための人員確保、育成に努め、中長期の事業拡大につなげてまいります。 (4)製品の安全性に係るリスク 当社は、高度な技術を要する医療機器を取り扱っており、品質管理の充実に常に努めておりますが、様々な要因による不良品発生や医療現場での不適切な取扱いの可能性を完全に否定することはできません。医療事故等が発生した場合には製造物責任によって係争等に発展する可能性があり、また製造工程での不具合発生により、自主回収を行う可能性があります。その場合は、特別的な損失として自主回収関連費用が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社の責に帰すべき事由による賠償責任の発生に対しましては、生産物賠償責任保険に加入することでそのリスクの軽減を図っております。 (5)特定製品への依存に係るリスク 当社の主力製品であるフィットフィックスを中心とした吸引器関連製品の売上比率が全体の60%を超えてきており、過度な価格競争による販売価格低下等により、当社の業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。吸引器関連の売上高及び売上比率は、2024年3月期 6,190百万円(63.5%)、2025年3月期 6,396百万円(64.3%)であります。 このため、当社の収益性は、より一層厳しさの増す医療機関の経営環境と特定製品への依存度の高い商品構成に起因した主力製品の販売単価下落に大きく影響を受けるリスクがあります。 ただし、吸引器関連でも病棟向けのキューインポットなど今後も高い成長性が見込まれるものもあり、中長期的には「マイクロポンプ関連製品」をはじめとしたラインナップ拡充に加え、大きな伸びしろとなりうる海外販売の拡大に向けた製品開発、体制準備を強力に進めることで収益構造の改善を図ってまいります。 (6)知的財産権に係るリスク 当社は研究開発に注力しており、知的財産権の確保並びに他社による知的所有権への侵害防止に努めておりますが、係争に発展する可能性を完全には否定できず、その場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、医療機器の製造販売には許可や承認を必要とし、比較的参入障壁が高い業界ではありますが、さらに競合他社を排除するため、当社は、自社開発製品を知的財産権で保護しております。医療現場と密接な関係を築き営業活動を行っておりますが、権利満了に伴う新規参入により競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 医療機関の医療事故に対する意識が非常に高いことから、総じて医療機器の商品サイクルは長くなっております。当社のトップライン製品につきましては、特許切れ以降も引き続き医療現場では高い評価を頂いておりますが、価格競争の点からも、当社といたしましては、信頼を得ている顧客を維持し、さらに満足度を高めるため、新たな特許を織り込んだ新製品開発を進めることで、権利満了による影響を最小化するよう努めております。 (7)人材確保、育成に係るリスク 医療現場の顧客満足度を高めていくためには、顧客の業務及び先進技術に関する専門知識を常に習得・蓄積する必要があり、事業推進に必要な人材を適時適切に確保し育成・活用できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 こうした課題に対処するため、当社は、従業員の給与水準の向上及び効率的な働き方を実践するなど、競争力確保のための人的投資強化施策を積極的に実施しております。働くうえで一層魅力的な企業となり、企業文化の継承力と創造性を併せ持った人材を育成して適所に配置することに努めてまいります。 (8)製造拠点の集中、自然災害に係るリスク 当社が販売している注入器関連製品は主に大阪府和泉市の当社アセンブリーセンターにて製造しております。製造工場が地震や火災等の災害を被った場合、生産設備の機能停止による製造停止、修繕費用発生等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製造委託先の業績悪化等サプライチェーンの崩壊により、生産に支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社といたしましては、複数社の購買体制、複数生産拠点体制を基本とし、リスクとコストのバランスを図りながら、最大限リスク低減を図れるよう取り組んでおります。 (9)感染症蔓延に関するリスク 医療現場においては、感染防止対策を徹底しながら医療提供体制の確保に最善の努力が継続される中、今後新型コロナウィルスの新たな変異株の出現やその他未知の感染症の出現等により、深刻な医療逼迫の状況が生じる可能性があり、そのような状況が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、事業継続計画(BCP)の策定、安全在庫の確保など、従業員の安全と医療機器の安定供給のための体制整備に努め、最大限リスク低減を図れるよう取り組んでおります。 (10)為替相場の変動に伴うリスク 輸出による製品販売、輸入仕入取引においては、外貨建取引を行う場合もあり、為替相場の変動リスクがあります。現時点において、当社の海外売上比率は3.2%であり為替変動の影響は限定的でありますが、今後輸出取引が増えると為替リスクが高まる可能性があります。また、輸入仕入取引についても、その大部分が円建ての取引のため為替変動の影響は限定的でありますが、円安を主因として海外サプライヤーからの仕入価格の値上げ要求が高まることにより調達コストが高騰し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 為替変動リスクに関しましては、為替リスク管理規程を整備し、適切なリスクヘッジの検討ができる体制を構築し、為替予約等によりリスク低減できる環境を整えております。また、仕入価格の高騰については、サプライチェーンの高度化、生産効率化等、原価低減活動により、調達コストの削減の取り組みを進めております。 (11)ITセキュリティに係るリスク 当社では、生産管理、販売管理、会計や決済業務、開発設計など主要な業務について、ITを活用しております。外部からのサイバー攻撃等により、サービスの停止や、機密情報等の情報漏洩等が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、文書・情報管理に関する規定を整備し、情報セキュリティに関する各種インフラ整備や社員教育等を行うことにより、情報セキュリティを強化し、リスク低減を図っております。