研究開発活動(本文)
FY2025|11,864 文字
6 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当社は電動事業のさらなる強化、加速をはかるため、電動事業の強化に向けて2022年4月に発足した事業開発本部をベースとし、電動事業開発本部を発足しました。この本部に、四輪事業に関わる事業戦略機能とEVの商品開発機能、ならびに二輪・パワープロダクツ事業に関わる電動領域の戦略および開発機能を集約し、「電動事業のさらなる加速」とモビリティの拡がりによる「新たな価値創造」の実現をめざしていきます。 当連結会計年度に発生した研究開発支出は、1兆2,106億円となりました。また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、クラッチコントロールを自動制御することで、ライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とした、「Honda E-Clutch」を搭載する、「CB650R E-Clutch」「CBR650R E-Clutch」をタイプ設定し、2024年6月に日本、2024年9月に米国にて発売しました。「Honda E-Clutch」は、発進、変速、停止など、駆動力が変化するシーンで、ライダーのクラッチレバー操作を必要とせず、最適なクラッチコントロールを自動制御することで、違和感のないスムーズなライディングを実現する電子制御技術です。また、ライダーの要求に幅広く対応するため、電子制御によるクラッチコントロール中でも、ライダーがクラッチレバー操作を行えば、通常のマニュアルトランスミッション車と同様、手動によるクラッチコントロールを行えるようにしています。また、「X-ADV」はHonda二輪車として初めて、着色済みのバイオエンジニアリングプラスチックを外装の一部に採用することにより、省資源化や製造工程におけるCO2削減(注1)に寄与しています。加えて、販売店から回収したHonda四輪車の廃棄バンパーや自動車、家電などの製造過程において発生する余分な樹脂をリサイクル材として使用しています。さらに、 2024年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2024」にて発表した「PCX」は、日本をはじめとした先進国やインドネシア、タイなど、グローバルで販売を開始しました。「PCX」にはアバンギャルドで流麗なデザインを採用し、新形状のヘッドライトにはバイファンクション機能付きシグネチャーを搭載しました。さらに、海外のお客様に向けて新たに追加されたデラックスバージョンでは、スマートフォンと接続することで、通話やナビゲーション機能などを利用できるHonda独自のサービス「Honda RoadSync」、5-inch TFTメーター、アップグレードされたサブタンク付きリアサスペンションを搭載し、お客様の幅広いニーズに対応しました。加えて、二輪車として世界で初めて(注2)「電動過給機」付き新型V型3気筒エンジンを搭載したコンセプトモデルを初公開しました。二輪車として世界初の電動過給機を採用し、エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールする事で、低回転からハイ・レスポンスなトルクデザインを実現しています。加えてスペースが限られている二輪車において、自由度高く配置可能な特徴を活かしてマスを集中化し、インタークーラーを必要としない設計を行う事で軽量化にも貢献しています。今後、HondaのFUNモデルへの適用を予定しており、量産化に向け、引き続き開発を行っていきます。「環境負荷ゼロ社会の実現」へ向けた取り組みとして、2040年代には全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしています。この目標を達成するため、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化に取り組んでおり、2024年を電動二輪車のグローバル展開元年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化しています。2024年10月にインドネシアにおいて、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」2個を動力用電源に採用した「CUV e:」、固定式バッテリーを搭載した「ICON e:」の電動二輪パーソナルコミューター2機種を発表しました。「CUV e:」は、Honda独自開発の自社製モーターを採用し、磁気回路と構造の最適化により高効率化を図ることで、航続距離向上に寄与しています。また、バイクとスマートフォンをBluetoothで接続することで、通話やナビゲーション機能などを利用できるHonda独自のサービス、「Honda RoadSync Duo」を装備したタイプも設定しています。「ICON e:」では、後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用し、パワーコントロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、一充電あたりの走行距離50km以上(注3)を実現しました。「CUV e:」と「ICON e:」は、両モデルともインドネシア国内での生産を予定しており、それぞれの地域のニーズに応じて適切な場所で生産をするとともに、インドネシアを皮切りにグローバルに展開していきます。また、電動コミューターのラインアップの強化により、「Honda Mobile Power Pack e:」 搭載モデルのみならず、固定式バッテリー搭載モデルも加わることで、今後もお客様の求めに応じて多様な選択肢を増し、電動二輪車をより身近なものにしていきます。また、2024年11月にインドにおいて、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」2個を動力用電源に採用した「ACTIVA e:」、固定式バッテリーを搭載した「QC1」の電動二輪パーソナルコミューター2機種を発表しました。「ACTIVA e:」は、Honda独自開発の自社製モーターを採用し、定格出力4.2kW、最大出力6.0kW、また磁気回路と構造の最適化により高効率化を図ることで、日常の使い勝手に十分な航続距離102km(注3)を実現しています。さらに、バイクとスマートフォンをBluetooth接続することで、通話やナビゲーション機能などを利用できるHonda独自のサービス、「Honda RoadSync Duo」を装備したタイプも設定しています。「QC1」では、後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用し、定格出力1.2kW、最大出力1.8kW、またパワーコントロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、一充電あたりの航続距離は80km(注3)を実現しています。「ACTIVA e:」と「QC1」は、両モデルともインド国内での生産となり、インド市場で高まる電動モビリティへのニーズに応じて電動コミューターのラインアップを強化していきます。また、インドの主要3都市(ベンガルール、デリー首都圏、ムンバイ)において、ホンダパワーパックエナジーインディアプライベート・リミテッドがバッテリーシェアリングサービス「Honda e:Swap」を展開し、お客様により安心な移動体験を提供します。さらに、2024年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2024」にて、電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept」、「EV Urban Concept」を初公開しました。「EV Fun Concept」では、Hondaの四輪車とパワープロダクツで培ったノウハウと技術を応用し、 「EV Fun Concept」のシステムおよび充電機能を構築しました。加えて、バッテリーは四輪車と同じ規格の急速充電器「CCS2(注4)」に対応し、軽さとのバランスを最適化して、急速充電に対応するとともに、街中での使い勝手に必要十分な航続距離100km以上を想定して開発しており、2025年に投入を予定しています。また、「EV Urban Concept」では、機能を研ぎ澄ますことで生まれる本質的かつ精緻なスタイリングデザインや直感的なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)、ソフトとハードの融合が生み出す新しい体験によって、人や社会と協調・共鳴していく近未来のモビリティの姿を具現化しました。より多くのお客様へ移動の自由を開放するとともに、お客様一人ひとりのモビリティライフの可能性を拡張することをめざします。モータースポーツでも、2024 MFJ全日本トライアル選手権シリーズに、㈱ホンダ・レーシングが運営するワークスチーム(注5)「Team HRC」として、電動トライアルバイク「RTL ELECTRIC」で参戦するなど、新たな電動二輪車レースに挑戦することで、技術の強化を進めていきます。二輪事業に係る研究開発支出は、1,035億円となりました。 (注) 1 塗装の工程がなくなることによりCO2削減に寄与しています2 当社調べ(2024年11月時点)3 当社テスト値4 Combined Charging System Type2の略称、電気自動車急速充電器用コネクターの仕様5 マシンを製造しているメーカーが運営しているチーム (四輪事業)四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、2024年6月に3代目となる新型「FREED」を発売しました。新型「FREED」では、「FREED」ならではの取り回しのしやすいボディーサイズを維持するため、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」搭載による全長の拡大を45mm(注1)に留めました。また、1列目のシート形状を工夫し、ウォークスルーや2列目シートへのアクセス性を向上するなど、さらに使い勝手を高めています。新型「FREED」は、2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)で「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。2024年12月には独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」の次世代技術を公開した「Honda e:HEV事業・技術取材会」を開催しました。「e:HEV」の特性を生かしながら、ドライバーとクルマの一体感を際立たせる「操る喜び」を追求した新機能「Honda S+ Shift」を新たに追加し、2025年に発売予定の「PRELUDE」を皮切りに順次搭載していきます。また、次世代「e:HEV」では、小型・中型それぞれのシステムにおいて、エンジン、ドライブユニットをはじめとする構成部品および制御技術の刷新を行い、環境性能と走行性能のさらなる向上をめざします。「環境負荷ゼロ社会の実現」へ向けた取り組みとして、当社グループは2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%とする目標を掲げ、各地域の市場特性にあわせたEVの投入を進めています。2024年10月に新型軽商用EV「N-VAN e:」を発売しました。「N-VAN e:」は、大容量バッテリーの採用、電動アクスルの小型化、高電圧部品の集中配置による部品占有スペースの最小化などにより、商用ユースに求められる実用航続距離と大容量の荷室空間の両立をめざしました。主な商用ユースの一つである配送業務にも十分対応する一充電走行距離として、WLTCモードで245km(注2)を実現したほか、充電時間は普通充電(6.0kW出力)(注3)で約4.5時間、急速充電(50kW)(注4)で約30分と、利便性も追求しています。さらに、バッテリー冷却・加温システムにより、高温や低温によるバッテリーの性能低下を抑制し、特に冬季における充電時間の短縮と航続距離の向上に寄与します。北米においては、2025年1月に米国ネバダ州ラスベガス市で開催された「CES 2025」において、2026年にグローバル市場への投入を開始するEV「Honda 0 シリーズ」の「Honda 0 SALOON」、「Honda 0 SUV」のプロトタイプを世界初公開するとともに、「Honda 0 シリーズ」に搭載する独自のビークルOS「ASIMO OS」を発表しました。シリーズのフラッグシップである「Honda 0 SALOON」は、新開発のEV専用アーキテクチャーをベースに、「Honda 0 シリーズ」の開発アプローチである「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を具現化する数々の次世代技術を搭載します。「CES 2025」ではその中でも、Hondaが世界で初めて実用化した自動運転(AD)レベル3技術に裏打ちされる信頼性の高い自動運転技術や、「ASIMO OS」によりユーザー一人ひとりに“超・個人最適化”された移動体験など、「Honda 0 SALOON」における“Wise”の一端を紹介しています。「Honda 0 SALOON」の量産モデルは今後、北米市場へ投入し、その後、日本や欧州などグローバルへの展開を予定しています。さらに、「Honda 0 シリーズ」の第1弾となる、中型SUVのプロトタイプ「Honda 0 SUV」は、「Thin, Light, and Wise.」のアプローチをSUVに適用することで、空間の広さを一層拡張し、開放的な視界と自由度の高い広々とした居住空間を実現しました。「ASIMO OS」がもたらす、ユーザー一人ひとりに“超・個人最適化”され、進化し続ける空間価値やデジタルUXを実現するとともに、Honda独自のロボティクス技術で培った、3次元ジャイロセンサーを用いた高精度の姿勢推定と安定化制御などにより、さまざまな路面環境において安心で意のままのダイナミクスを実現します。「Honda 0 SUV」の量産モデルは、今後、北米市場へ投入し、その後日本や欧州などグローバル各地域へ展開していきます。「ASIMO OS」は、ソフトウェアプラットフォームとして、AD(自動運転)/ ADAS(先進運転支援システム)やIVI (In-Vehicle Infotainment:車載インフォテイメント)などのクルマのシステムを制御するECU (Electronic Control Unit)を統合的にコントロールします。この「ASIMO OS」を基盤として車載ソフトウェアを常にアップデートすることで、移動に楽しさや快適性をもたらす空間価値やデジタルUX、人車一体の操る喜びを司るHonda独自のダイナミクス統合制御などの機能やサービスを、車両を販売した後も、OTA(Over The Air)を通じ、ユーザー一人ひとりの嗜好やニーズに合わせて進化させていきます。例えばAD技術において、「Honda 0 シリーズ」では、まず高速道路での渋滞時アイズオフから自動運転技術を搭載し、OTAによる機能アップデートを通じて、運転支援・ADレベル3適用の範囲を拡大していきます。自動運転レベル3では、運転主体が人からクルマへと変わり、映画鑑賞やリモート会議など、これまでにはできなかった「ドライバーによる移動中のセカンドタスク」が可能となります。Hondaは、この技術を進化させることで、「交通事故死者ゼロ」の実現に向けて取り組むとともに、世界に先駆けて全域アイズオフを実現し、移動の新たな可能性を切り開きます。「ASIMO OS」は、「Honda 0 SUV」や「Honda 0 SALOON」の量産モデルを含む、「Honda 0 シリーズ」の各モデルへの搭載を予定しています。Hondaは、これからもカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを推進していきます。四輪事業に係る研究開発支出は、1兆742億円となりました。 (注) 1 3列シートの場合2 一充電走行距離は定められた試験条件での値 WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード3 普通充電は、充電残量警告灯が点灯した時点から、満充電までのおおよその時間4 急速充電は、充電残量警告灯が点火した時点から、充電量80%までのおおよその時間 (パワープロダクツ事業及びその他の事業)パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2025年2月に米国・マイアミで開催された「マイアミ国際ボートショー2025」にて、モデルチェンジした大型船外機「BF250」「BF225」「BF200」「BF150」「BF140」「BF135」「BF115」の7機種を世界初公開しました。機能面においては、操船サポート機能を充実させ、操船用品の拡充として「電子制御リモートコントロールシステム(DBW)新型フラッシュマウントリモコン」と「7インチ大型マルチファンクションディスプレイ」を新たに設定しました。また、人間工学に基づいてデザインされたグリップ形状や、大型ディスプレイにより、直感的な操作を可能としています。加えて、船外機のエンジン回転数や速度に合わせて、あらかじめ設定した船体姿勢へ自動制御することで、より簡単で快適な操船を実現する「トリムサポート機能」や「クルーズコントロール機能」に加え、自動で船外機本体のフルチルトアップ/ダウン(注1)をおこなう「オートマチックチルト機能」を装備するなど、スムーズで快適な航行を実現しています。さらに、新型「BF250」「BF225」「BF200」は、O₂センサーを採用することで空燃比制御の高精度化を実現し、燃費・環境性能をクラストップレベル(注2)だった従来モデルに対してさらに向上させました。また、オイルフィルター交換時、エンジンカバー内へのオイル漏れを防ぐ機構を追加し、メンテナンス時の作業性を高めています。なお、これらの製品は2025年半ばから日本、北米、欧州やアジア地域で順次発売する予定です。船外機以外については、2024年7月にロボット芝刈機/草刈機「Miimo」シリーズの改良モデル「Miimo HRM2500 Live」と「Grass Miimo HRM4000 Live」を発売しました。従来モデルでご好評をいただいている刈取性能、走破性はそのままに、新モデルでは、エリアワイヤーを識別する信号を1種類から4種類に増やし、隣接する複数の作業エリアを識別できるようにしました。これにより、これまで2台以上の「Miimo」シリーズを同時に使用する際に発生していた刈り残しが発生せず、より広範囲の芝刈り・草刈りを手間なく行いたいというニーズに応えました。さらに、2024年10月に米国・ルイビルで開催された「Equip Exposition 2024」にて、電動歩行型芝刈機「HRN」「HRX」「HRC」を発表しました。「HRN」「HRX」「HRC」は空冷ブラシレス電動モーターを搭載しており、モーター内部の主要部品に新鮮な空気を送り込むことで、モーターが低温に保たれ、屋外の厳しい運転条件下でも優れた性能を発揮します。このモーターは高トルクを発揮して回転数を維持するため、きれいで均一なカットが可能であり、中程度の消費電力でありながら、高い出力を実現しています。なお、「HRN」「HRX」「HRC」は2025年の投入を予定しています。また、汎用エンジンについては、2024年10月より単気筒「GX」シリーズのハイエンドモデルとなる「GX430」の生産を開始しました。排気量425cm3の「GX430」は、「GX」シリーズの耐久信頼性と従来の「GX390」との搭載互換性を有するサイズを保ちながら、クラストップクラスの出力性能を実現しました。建機、農機、発電機等の一般搭載用とし、高圧縮比化と吸排気ポート形状の見直しにより現「GX390」比+10%の高出力化を実現しています。さらに、排気量アップによる燃料消費増加を、吸排気システムおよびクーリングファンなどの冷却システムの工夫により、現「GX390」同等レベルにまで抑えました。排ガス規制対応は中国排ガス規制第二段階の認可取得済であり、今後、国内向け日本陸内用内燃機関協会三次規制に適合予定です。加えて、東南アジアや南米、特にタイやフィリピン市場でご好評をいただいているロングテールボート搭載専用仕様としてより高出力タイプを設定しました。「環境負荷ゼロ社会の実現」へ向けた取り組みとして、2025年2月より1年間の予定で、スウェーデンで交換式バッテリー搭載電動二輪車のレンタルおよびシェアリングサービスを展開するGoCimoとスウェーデンのマルメ市においてバッテリーシェアリングサービスの実証実験を実施しています。Hondaが欧州で販売する電動二輪コミューター「EM1 e:」を用いて、マルメ市内3カ所に設置するバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」で、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」のバッテリーシェアリングサービスの検証を行っています。この取り組みを皮切りに、欧州の大都市で法人ユーザー向けを中心にHondaの製品を用いたバッテリーシェアリングサービスを拡大していくことで、欧州における二輪車の電動化促進と、交換式バッテリーの普及をめざし、モビリティの電動化をサポートするとともに、低炭素社会の実現に貢献していきます。航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2024年10月に最新型機「HondaJet Elite II」のオートスロットル機能について、米国連邦航空局(FAA)より認証を取得しました。これにより「HondaJet Elite II」は、ベリーライトジェットカテゴリー内のツインエンジンジェット機として、オートスロットル機能を搭載する世界初のモデルとなります。オートスロットル機能は、パイロットが設定した条件に合わせてエンジンの出力や機体のスピードなどを自動的に調整するシステムです。離陸時から着陸時まで、飛行中のさまざまな状況でシステムによる制御がパイロットのスロットル操作をサポートすることで、パイロットの作業負荷を大きく軽減するとともに、乗客の皆様の搭乗体験をより快適なものとします。今回のFAA認可を受け、まず米国向けの機体にオートスロットル機能が新たに導入されます。また、今後、日本を含む他の国と地域でもオートスロットル機能の導入を検討していきます。また、2025年2月に米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市内の生産工場にて、新型小型ビジネスジェット機「HondaJet Echelon」の型式認定用テスト機の製造を開始しました。今後の「HondaJet Echelon」型式認定用テスト機の製造、および将来の量産開始を見据え、生産工場内に「HondaJet Echelon」専用の生産ライン開設を進めており、2024年末には、各工程で使用する主要設備の搬入を完了しています。さらに、2025年1月には、ASITF(Advanced Systems Integrated Test Facility:システム統合検証施設)内のフライトシミュレーターによる初飛行を行い、飛行制御システムなど、主要な航空機システムの検証を開始しました。今後は、型式認定用テスト機の初飛行および型式証明取得に向けた取り組みを加速していきます。パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、328億円となりました。 (注) 1 船外機を水面から引き上げる、または操船可能な角度に船外機を調整するための操作2 当社調べ(2025年2月時点) 次世代技術分野においては、量産化に向けて独自に研究開発を進めている全固体電池のパイロットラインを、栃木県さくら市の本田技術研究所(栃木Sakura)の敷地内に建設し、2024年11月に初公開しました。パイロットラインの延床面積は約27,400㎡で、電極材の秤量・混練から、塗工、ロールプレス、セルの組み立て、化成、モジュールの組み立てまでの各工程の検証が可能な設備を備えています。従来の液体リチウムイオン電池の製造プロセスをベースにしながら、全固体電池特有の工程となる固体電解質層の緻密化に寄与し連続加工が可能な、ロールプレス方式を採用することで、電極界面との密着性を高めるとともに生産性の向上をめざしています。さらに、正極と負極の一体化を含む一連の組み立てプロセスを集約するとともに高速化することにより、1セルあたりの製造時間の大幅な短縮をめざします。また、作業の安全性や電池性能の確保に必要な低露点環境を最小化する生産管理技術を構築するなど、使用電力をはじめとした間接コスト低減にも取り組んでいます。今後、このパイロットラインで量産プロセスの確立に向けた技術検証を行いながら、並行してバッテリーセルの基本仕様を決定し、2020年代後半に投入する電動モデルへの搭載をめざします。2025年2月に開催された「H2&FC EXPO(春)~第23回 水素・燃料電池展~」にて、2028年3月期に量産開始予定の「次世代燃料電池モジュール」、ならびに2026年に生産開始予定の燃料電池定置電源について、それぞれ仕様およびスペックを世界初公開しました。「次世代燃料電池モジュール」は、ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発した現行モデルの次世代となるモデルで、当社グループが独自に開発した燃料電池モジュールです。定格出力150kWを実現するほか、現行モデルに対して製造コストを半減し、耐久性を2倍以上に向上します。また、容積出力密度(注)を3倍以上に高めて小型化を実現したことで、搭載レイアウトの自由度が向上しています。当社グループは、「次世代燃料電池モジュール」の搭載・適用ドメインや販売地域を拡大していくことで、持続可能なエネルギー社会の実現へのさらなる貢献をめざしていきます。また、2026年に生産開始を予定している燃料電池定置電源は、Hondaの燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」にも搭載されている燃料電池を活用し、工場や事業所などの大型施設向けに水素由来のクリーンな電力を供給する定置型蓄電システムです。冷却システムや内部レイアウトの設計を最適化することでコンパクトなサイズを実現し、お客様の設置環境に柔軟に対応します。加えて、信頼性の高いバックアップ電力を迅速に提供するために、起動から10秒以内に電力の供給を開始する高い応答性をめざしています。当社グループは、本製品を通じてお客様の多様な電力ニーズに対応する電力を供給することはもちろん、製品の導入からアフターサービスまで幅広い支援を行い、お客様の脱炭素化に貢献していきます。 なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。 (注) 単位容積あたりから出力できる電気エネルギー 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で11,800件以上、海外で25,400件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で4,700件以上、海外で10,600件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2024|8,526 文字
6 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当社は電動事業のさらなる強化、加速をはかるため、電動事業の強化に向けて2022年4月に発足した事業開発本部をベースとし、電動事業開発本部を発足しました。この本部に、四輪事業に関わる事業戦略機能と電気自動車(EV)の商品開発機能、ならびに二輪・パワープロダクツ事業に関わる電動領域の戦略および開発機能を集約し、「電動事業のさらなる加速」とモビリティの拡がりによる「新たな価値創造」の実現をめざしていきます。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、9,763億円となりました。また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2023年4月にインドにて、競合他社が高いマーケットシェアを占める地区での攻略を見据えて開発したモーターサイクルである「Shine 100」を発売しました。新エンジン、新フレーム設計によるコスト低減活動を反映し競争力のある価格を実現しています。さらに、モダンなデザインと実用的な仕様装備、お買い得感のある価格でATシェア拡大をめざす、「GIORNO+」をタイにて発売し、インドネシアにおいては「Stylo 160」を発売しました。加えて、二輪車用有段式マニュアルトランスミッションのクラッチコントロールを自動制御することで、ライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とした、「Honda E-Clutch」を世界で初めて(注1)開発しました。「Honda E-Clutch」は、発進、変速、停止など、駆動力が変化するシーンで、ライダーのクラッチレバー操作を必要とせず、最適なクラッチコントロールを自動制御することで違和感のないスムーズなライディングを実現する電子制御技術です。また、ライダーの要求に幅広く対応するため、電子制御によるクラッチコントロール中でも、ライダーがクラッチレバー操作を行えば、通常のマニュアルトランスミッション車と同様、手動によるクラッチコントロールを行えるようにしています。この「Honda E-Clutch」は、軽量コンパクトなシステムで構成されており、既存のエンジンレイアウトを大きく変更することなく車体に搭載できるため、既に発売した「CB650R」や「CBR650R」を皮切りに、趣味性の高いFUNモーターサイクルへ順次適用していきます。また、サウジアラビアで開催されたFIM(注2)世界ラリーレイド選手権の開幕戦で「世界一過酷なモータースポーツ競技」と言われている「ダカールラリー2024」に、「Monster Energy Honda Team」として、ワークスマシン「CRF450 RALLY」で参戦し、2021年以来3年ぶりとなる総合優勝を果たしました。「環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、2040年代にすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することをめざし、2030年における当社グループのグローバルでの電動二輪車の年間販売台数目標を、2022年9月に公表した数値から50万台引き上げた400万台とし、さらに、2030年までに、グローバルで電動モデルを合計約30機種投入していきます。2023年は、「EM1 e:」を、欧州、日本、インドネシアにて発売しました。「EM1 e:」は、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を動力用電源に採用した、原付一種(第一種原動機付自転車)の電動二輪パーソナルコミューターで、Honda国内二輪ラインアップで初めてとなる一般向けの電動二輪車となります。さらに、2024年には「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に出展した「SC e: Concept」をベースとしたモデルを、2025年にはFUN用途に使えるモデルや、プラグイン充電式の電動二輪車をそれぞれ世界各国に投入します。これらのモデルに加えスーパースポーツ、オフロード、Kids向けバイク、ATVなど、電動二輪車のフルラインアップ化への取り組みを加速させていきます。また、モータースポーツでも、電動オフロードバイクの世界戦であるFIM E-Xplorer World Cupに、㈱ホンダ・レーシングが運営するワークスチーム(注3)「Team HRC」として、電動モトクロスバイク「CR ELECTRIC PROTO」で参戦するなど、新たな電動二輪車レースに挑戦することで、技術の強化を進めていきます。二輪事業に係る研究開発支出は、799億円となりました。 (注) 1 当社調べ(2023年10月時点)2 Fédération Internationale de Motocyclisme(国際モーターサイクリズム連盟)の略称3 マシンを製造しているメーカーが運営しているチーム (四輪事業)四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、2023年10月に3代目となる新型「N-BOX」を発売しました。新型「N-BOX」は上質さが感じられるデザインに磨き上げるとともに、広い室内空間はそのままに、開放感のあるすっきりとした視界にすることで運転がしやすく、居心地の良い空間を実現しました。また、お客様がより安心・快適なカーライフを楽しむために新世代コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「Honda CONNECT」をHondaの軽自動車として初めて採用しました。さらに、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備しました。従来機能のほか、近距離衝突軽減ブレーキ、急アクセル抑制機能を新たに追加しました。また、インド生産の新型SUV「WR-V」をインド、日本および南アフリカで発売しました。「WR-V」は、安心と信頼を感じられる力強いデザインとするとともに、クラストップレベル(注1)の荷室空間を実現し、また、すべての人が安心して運転できるダイナミック性能の提供をめざしました。「環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、当社グループは2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%とする目標を掲げ、各地域の市場特性にあわせたEVの投入を進めています。北米においては、新型EV「PROLOGUE」とAcura「ZDX」を2024年に発売しました。「PROLOGUE」と「ZDX」はともに、ゼネラルモーターズ(GM)の「Ultium」バッテリーを搭載したGMとの共同開発モデルであり、カーボンニュートラル実現に向けた北米の電動化戦略を力強く加速させるモデルとなります。2024年1月には、米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたCES 2024において、2026年よりグローバル市場への投入を開始する新たなEV「Honda 0シリーズ」を発表しました。「Honda 0シリーズ」は、グローバルブランドスローガンや電動化方針のもと、大きく変革するHondaを象徴するEVシリーズです。新たなEVシリーズの開発にあたり、「Hondaのクルマづくりの出発点に立ち返り、ゼロから全く新しいEVを創造していく」という決意が込められています。HondaのEV戦略を担う「Honda 0シリーズ」は、“Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)”という新たなEV開発アプローチにより、ゼロからの発想で創り出す、全く新しいEVシリーズです。「Honda 0シリーズ」は、2026年に北米での上市を皮切りに、2030年までに小型から中大型モデルまで、グローバルで7モデルの投入を予定しています。中国においては、2027年までにEVを10機種投入し、2035年までにEV販売比率100%の達成をめざしています。現在展開している「e:N」シリーズに加えて、新型EV「イエ」シリーズを発表し、引き続きEVラインアップを拡充していきます。「イエ」シリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求しました。当社グループのクルマづくりの理念である「M・M思想(注2)」に基づく人を中心としたパッケージングに加え、走行性能においては、中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と、長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに突き詰めました。また、智能化技術においては、先進のAIによるサポートなど、全ての乗員が快適に移動できる空間をめざしています。小型EVについては、2024年秋に日本で発売を予定する軽商用EV「N-VAN e:」を皮切りに、2025年には軽乗用EVモデル、2026年には操る楽しさを際立たせた小型EVなど、小型EVのニーズがある地域に対して順次製品を投入していきます。さらに、「Honda Mobile Power Pack e:」を活用した電動化展開として、2025年度中に「Honda Mobile Power Pack e:」を4個搭載する超小型モビリティを日本へ投入するなど拡充をはかっていきます。また、当社グループは、水素を電気とともに有望なエネルギーキャリアと位置づけており、2024年2月には、2024年夏に日本で発売予定の新型燃料電池車、「CR-V e:FCEV」を世界初公開しました。「CR-V e:FCEV」は、日本の自動車メーカーが発売するモデルとして初めて(注3)、外部から充電可能なプラグイン機能を持つ燃料電池車です。燃料電池車が持つ長い航続距離と水素の充填時間の短さといった特長はそのままに、家庭や外出先で充電できるプラグイン機能を加えることで利便性をさらに高めています。「交通事故死者ゼロ」へ向けた取り組みとしては、2023年11月に、車両周辺の死角をカバーし、交通事故の回避やドライバーの運転負荷の軽減をサポートする全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360+」を発表しました。「Honda SENSING 360+」は、従来の「Honda SENSING 360」の機能に加え、新たにドライバーモニタリングカメラ、高精度地図を採用することでドライバーの状態確認や、車両の制御機能が向上し、ドライバーの運転負荷を軽減させます。これにより、健康起因やヒューマンエラーで発生する事故を抑制し、全ての人が心から安心して自由に移動できることに加え、「積極的に出かけたい」「もっと遠くまで行きたい」と思えるようなクルマの提供をめざします。「Honda SENSING 360+」は、2024年に中国で、「ACCORD」から適用を開始します。その後、グローバルでの展開を予定しています。四輪事業に係る研究開発支出は、8,699億円となりました。 (注) 1 コンパクトSUVクラスにおいて。当社調べ(2023年12月時点)2 マン・マキシマム/メカ・ミニマム思想。人間のためのスペースは最大に、機械のためのスペースは最小限にして、クルマのスペース効率を高めようとする、当社グループのクルマづくりの基本的な考え方3 当社調べ(2024年2月時点) (パワープロダクツ事業及びその他の事業)パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、高い動力性能や優れた経済性でご好評をいただいている4ストローク船外機「BFシリーズ」において最大出力となる350馬力を発揮する、新型船外機「BF350」を、2024年2月に発売しました。「BF350」は、新たに専用設計で開発したV型8気筒エンジンを搭載し、排気量4,952cm3、最大出力350馬力の力強い推進力を発揮するHonda船外機のフラッグシップモデルです。豊かなトルクからもたらされる高い走破性に加え、新設計のクランクシャフトを採用することで、高い静粛性・低振動を実現しています。また、環境にやさしく経済的な船外機をめざし、クラストップレベルの燃費性能(注1)を達成しました。2024年1月には、米国BOATING誌より、最先端技術によりボートオーナーの体験に良い影響を与えた船外機に贈られる「Marine Power Innovation Awards 2023」を受賞しました。「環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとしては、島根県松江市にて、2023年8月から小型船舶用の4kW電動推進機プロトタイプを用いた実証実験を開始しています。今回の実証実験で使用する電動推進機プロトタイプは、当社グループとトーハツ㈱が共同で開発しました。当社グループが出力4kWの電動パワーユニット、トーハツ㈱はギアケースやロアーユニットなどのフレーム領域をそれぞれ担当しており、バッテリーには当社グループの二輪車で使用している交換可能な着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を採用しています。なお、2024年1月からは一般の方の乗船を対象とした実証実験も開始しています。「新たな価値創造」へ向けた取り組みとして、船外機においては、船一艇でのシステム開発に取り組んでいます。2024年2月に米国・マイアミで開催された「Miami International Boat Show 2024」にて、操船者の死角をカバーする「マルチビューカメラシステム」や、操船者が停船スペースを選択し、自動で停船スペースまで移動・停船する「自動着桟システム」、船の陸揚げする牽引トレーラーまで自動で操船し、トレーラーのレールに積載させる「自動トレーラーローディングシステム」など、知能化による技術進化を発表しました。また、船外機以外については、当社グループ初となるバッテリー駆動の自律型電動ゼロターン乗用芝刈り機のプロトタイプ「Honda Autonomous Work Mower(以下「Honda AWM」という。)」を、2023年10月に米国・ケンタッキー州ルイビル市で開催された「Equip Exposition 2023」へ出展しました。「Honda AWM」は、ティーチング&プレイバック機能により、事前に学習したルートに沿って自動で芝刈り作業行います。2024年初めには、米国の大手造園会社との実証実験を終え、今後も企業との実証を重ねる中で、「Honda AWM」の更なる改良をめざします。当社グループはこれからも、「新たな価値創造」へ向けた取り組みを加速していきます。航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2023年10月に米国ネバダ州ラスベガスにて開催された世界最大のビジネス航空機ショー、2023 ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(2023 NBAA-BACE)にて、開発中の新型小型ビジネスジェット機の名称「HondaJet Echelon」を発表しました。「HondaJet Echelon」は、あらゆる面で移動効率を高め、ライトジェット機より上位の機体カテゴリーと同等レベルの飛行体験を提供します。Honda独自の技術である主翼上面エンジン配置、自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体をさらに進化させたことで、乗員・乗客合わせて最大11名が搭乗できます。また、2015年後半から「HondaJet」のデリバリーを開始して以来、2023年度には250機目となるデリバリーを達成しました。「HondaJet」は14カ国・地域で型式証明を取得しており、総飛行時間は21万時間以上を記録し、航空機の信頼指数であるDispatch Reliability(出発信頼度)(注2)において、高い信頼性で業界をリードしています。パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、264億円となりました。 (注) 1 当社調べ(2024年1月時点)2 運行予定時刻から15分以内に出発した割合のこと。航空業界において、飛行機の信頼性の指数として用いられている。 次世代技術分野においては、2023年10月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にて、人と分かり合える独自のAIである協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を搭載し、自動走行技術により、ラストワンマイルを誰でも手軽に自由に移動できる二人乗りの四輪電動モビリティの実証車である「Honda CI-MEV」を出展しました。公共交通機関が無い場所での移動や長距離の歩行が困難な場合など、移動範囲が狭くなりがちな人の生活圏の拡張を実現することをめざしています。また、2024年2月には、「Honda CI」を搭載した「Honda CIマイクロモビリティ」の技術実証実験の一環として、一般向け自動走行技術実証実験を茨城県常総市で開始しました。CIマイクロモビリティを一般のお客様に体験いただき、フィードバックを得ることで、CIの進化、モビリティとしての使い勝手の向上をめざすとともに、2030年頃の実用化を見据えた社会受容性の醸成をはかっていきます。当社グループは、いつでも、どこでも、どこへでも、人とモノの移動を「交通事故ゼロ」・「ストレスフリー」で可能とし、「自由な移動の喜び」を一人ひとりが実感できる社会の実現をめざし、CIマイクロモビリティの技術開発に取り組んでいます。2023年10月には、カナダのトロント・ピアソン空港にて、プラットフォーム型自律移動モビリティ「Honda Autonomous Work Vehicle(以下「Honda AWV」という。)」を活用した実証実験を実施しました。「Honda AWV」は、マッピングと障害物検知機能を活用し、オペレーターによって独自に設定されたルートの自律的な走行や、障害物との衝突を回避するための自動減速・自動停止などを行います。さらに、2024年2月に開催された「WIND EXPO 春 ~第13回 国際 風力発電展~」にて、洋上風力発電のメンテナンスなど水中作業に活用可能な遠隔操作型の無人潜水機「作業用ROV(Remotely Operated Vehicle)コンセプトモデル」を世界初公開しました。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、クリーンエネルギーの創出は重要であり、その中でも洋上風力発電の発電量が今後大きく伸びることが予測されています。当社グループは洋上風力発電施設の施工・メンテナンスに貢献することをめざして、ASIMOをはじめとするロボティクス研究で培った技術を活用した作業用ROVの研究開発を行っています。なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で13,100件以上、海外で26,600件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で4,800件以上、海外で11,900件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2023|7,245 文字
6 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当社はハードとソフトやサービスを融合させた新価値創出の強化をはかるため、事業開発機能とソフトウェア・電動コア技術を集約した事業開発本部を新設しました。従来の二輪、四輪、パワープロダクツといった製品別の事業本部から独立させて1つの組織体制に束ねることで、機動力を高めるとともに、製品間で技術と事業を融合させ、シナジーを強化していきます。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、8,520億円となりました。また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2023年3月にアドベンチャースタイルの大型二輪スポーツモデル「XL750 TRANSALP」を発表しました。新開発の水冷・4ストローク・OHC・4バルブ直列2気筒のエンジンを搭載し、防風性能と空力性能を兼ね備えた機能的な大型ウインドスクリーン、車両の情報を集約し表示する5.0インチTFTフルカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイを採用しました。また、あらかじめ設定された出力特性を選択できる「ライディングモード」や「HSVCS」など各種の先進装備を採用し、ライダーの利便性を高めています。2022年9月に「HAWK 11」を発売しました。経験豊かなベテランライダーを中心としたお客様に、新たな価値観と充実したバイクライフを提案する日本市場向けの大型モーターサイクルになっており、水冷・4ストローク・OHC・直列2気筒1,082cm3エンジンに、6速マニュアルトランスミッションと、ライディングをサポートする電子制御技術を搭載し、ゆったりと走るシーンから、軽快にワインディング走行を楽しむシーンまで、ライダーの充足感を追求した、扱いやすい車体パッケージとしています。また、2023年1月には、アドベンチャースタイルの軽二輪スクーター「ADV160」を発売しました。水冷・4ストローク・4バルブ・156cm3単気筒の新エンジン「eSP+」を搭載し最新の排出ガス規制(注)に対応させることにより、環境にも配慮しています。さらに、2023年2月に発売した大型クルーザーモデル「Rebel 1100T」はロー&ロングなスタイリッシュなデザインと、長距離走行時の快適性に配慮し、ライダーへの走行風をやわらげる大型フロントカウルを採用し快適なロングツーリングに対応したモデルとしています。「地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、2040年代にすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することをめざし、ICE(内燃機関)の進化にも継続的に取り組みながら、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化を加速させていきます。具体的には、2025年までにグローバルで、電動二輪車を合計10モデル以上投入し、2026年に100万台、2030年にHondaの総販売台数の約15%にあたる年間350万台レベルの電動二輪車の販売をめざしていきます。その先駆けとして、2022年11月にイタリア・ミラノで開催されたEICMA 2022において、Hondaが初めてヨーロッパで販売する電動二輪車「EM1 e:」を発表しました。若者向けに手軽で楽しいアーバンライディングを提供します。街中での走行や通学・通勤を、効率よく、静かに、クリーンに走る「EM1 e:」は、現代のニーズやライフスタイルに最適なモデルです。また、電動二輪車の最大市場である中国では、2023年1月に上海で開催されたオンライン発表会において、中国国内のZ世代(ジェネレーションZ)の若い消費者に向けた電動二輪車、「Honda Cub e:」「Dax e:」「ZOOMER e:」の3モデルを発表しました。従来のモデルの特徴的なデザインをモチーフに、先進的な機能・装備などを加えることにより、新しい価値観を提供し、中国の若い消費者にさらなる驚きと選択肢をもたらすことを狙いにしています。二輪事業に係る研究開発支出は、703億円となりました。 (注) 2020年排出ガス規制 (四輪事業)四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、2022年4月に中国においてEV「e:NS1」、同年6月に新型EV「e:NP1」を発売しました。独創、情熱といった当社グループのものづくりのDNAと、最先端の中国の電動化・知能化技術を融合し開発した「e:N」シリーズの第1弾として、「心動 未体験EV」をコンセプトとし、乗る人の心を揺さぶる新しい価値を数多く取り入れました。2022年7月に発売した新型「CIVIC e:HEV」、同年9月に発売した新型「CIVIC TYPE R」が国産車として初めて、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)で「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。ハイブリッドカーである「CIVIC e:HEV」は、洗練されたパワートレインにより、現代的でスマートな走りがしっかり作り上げられたスポーツサルーンとして評価されました。また、「CIVIC TYPE R」は、優れたシャシー性能と空力ボディ、滑らかな回転フィールのVTECターボエンジンにより、街乗りからサーキット走行まで幅広くカバーするパフォーマンスを実現し、ドライバーに素直な感動を与えてくれる点に多くの評価を集めることが出来ました。グローバルでは、新型「CR-V」、新型「ACCORD」を発売しました。パワートレインは1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンに加え、旧型よりさらに進化した2モーター式ハイブリッドシステムを搭載しました。また、安全運転支援システム「Honda SENSING」の機能も刷新し、先進の予防安全技術を提供します。北米においては、2022年12月に新型「PILOT」を発売しました。新型プラットフォームの採用により、室内空間は拡大し、特に3列目シートはゆとりある設計になりました。また、当社グループ初の組み合わせとなる3.5LV6エンジンと10速オートマチックトランスミッションを搭載し、力強い走りを実現しています。また、北米では2022年6月に発売したAcuraブランドの新型「INTEGRA」が、そのスポーティなデザイン、魅力的なドライビング エクスペリエンス、多彩なパッケージ、プレミアム機能が評価され、2023 North American Car, Truck and Utility Vehicle оf the Year Awardsの受賞式において「2023 North American Car оf the Year(2023北米カー・オブ・ザ・イヤー)」を受賞しました。昨年の「CIVIC」に続き、2年連続の受賞になりました。「地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、バッテリー開発と市場変化に合わせたEV製品の投入を進めていきます。バッテリーにおいては、2020年代後半のEV拡大期に合わせ、次世代電池技術に対する、独自開発へのチャレンジに取り組んでいきます。具体的には、㈱GSユアサと高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーの開発に向けて協業を進めていきます。また、半固体電池では、SES AI コーポレーションの出資を通じた共同開発を進めるとともに、全固体電池については、自前開発に向けた研究を進めていきます。EV製品の投入については、現在から2020年代後半までは主要地域ごとの市場特性に合わせた商品を投入していきます。北米では、ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発の中大型クラスEVを2024年に2機種投入します。中国では、HondaブランドEVとなる「e:N」シリーズの開発を更に加速させ、2027年までに10機種を投入します。また、日本においては、2024年中に、軽商用EVの投入を計画しています。そしてEV普及期と想定される2020年代後半以降は、グローバル視点でベストなEVを展開していきます。ハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用した商品を2025年からの投入に向けて、開発を進めています。また、GMとのアライアンスを通じて、従来のガソリン車と同等レベルの競争力を持つ量販価格帯のEVを、2027年以降に北米から投入する計画です。当社グループは電動化へ向けた開発を更に加速していきます。「交通事故死者ゼロ」へ向けた取り組みとしては、2022年12月に「Honda SENSING 360」と「Honda SENSING Elite」の次世代技術を発表しました。「Honda SENSING 360」に次世代技術として、ドライバー異常や周辺環境を検知し事故のリスクを減らすことで、ドライバー運転負荷をさらに軽減する新機能を追加し、2024年よりグローバルで順次適用開始していきます。また、「Honda SENSING Elite」の次世代技術として、Honda独自のAI技術を活用した認知・理解技術により、従来の高速道路に加え一般道路も含めた自宅から目的地までシームレスな移動を支援する技術を新開発しました。これらの技術を2020年代半ばから順次適用開始していきます。四輪事業に係る研究開発支出は、7,541億円となりました。 (パワープロダクツ事業及びその他の事業)パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2022年夏に大型除雪機「HSL2511」を一部改良し発売しました。「HSL2511」は、電子制御燃料噴射装置を採用したエンジンの搭載により、優れた始動・メンテナンス性に加え、高い燃費性能を実現した大型除雪機です。また、Honda独自のオーガ操作支援機能「スマートオーガシステム」の採用で使いやすさとパワフルな除雪能力を両立させたモデルとしてご好評をいただいています。「地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとしては、2022年10月にバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」の販売を開始し、バッテリーシェアリング事業を行う株式会社Gachacoに納品しました。「Honda Power Pack Exchanger e:」は、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を複数同時に充電し、電動二輪車をはじめとする「Honda Mobile Power Pack e:」ユーザーのスムーズなバッテリー交換を可能にするバッテリー交換ステーションです。ユーザーは街の中のステーションで必要な時に充電済みバッテリーにアクセスすることができ、充電時間を待つことなく、効率よく電動モビリティを利用することが可能になります。「新たな価値創造」へ向けた取り組みとしては、より良き社会実現に向けた、QOL(Quality Of Life:生活の質)、QOW(Quality Of Work:仕事の質)向上のためのソリューションシステムの開発を進めています。そのための技術として、作業システムの知能化、IoT化を進化させ、社会課題の解決に寄与する活動を加速させています。2023年3月には米国・ラスベガスで開催された「CONEXPO-CON/AGG 2023」において、プラットフォーム型自律移動モビリティの実験用車両「Hоnda Autonomous Work Vehicle(以下「Honda AWV」という。)」の3代目となるプロトタイプを公開しました。Honda AWVは、CES 2018に出展した「3E-D18」のコンセプトを基に、アタッチメントやツールが追加され、運搬をはじめ、さまざまな作業に活用できるプラットフォームとなっています。なお、Honda AWVはGPSによる位置情報、レーダーやライダーによる障害物検知機能、その他のセンサー類を駆使して自律的に走行します。また、研究開発中の自動芝刈り機のプロトタイプモデル「Honda Autonomous Work Mоwer(以下「Honda AWM」という。)」を、2022年10月に米国・ケンタッキー州ルイビル市で開催された「Equip Exposition 2022」で展示しました。1回目に手動で芝刈り作業ルートを記録することで、自動運転するルートを教示し、2回目以降の作業を自動化する、ティーチング&プレイバック機能だけでなく、障害物を検知して停止する機能も搭載しています。当社グループはこれからも、「新たな価値創造」へ向けた取り組みを加速していきます。航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2022年10月に米国フロリダ州オーランドで開催された世界最大のビジネス航空ショー、ナショナル ビジネス アビエーションにおいて、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の最新型としてアップグレードされた「HondaJet Elite II(以下「Elite II」という。)」を発表しました。Elite IIは、燃料タンクの拡張および最大離陸重量の増加により、航続距離を延長し、より遠くの目的地へ移動することが可能になりました。機体構造の改良においてはグランドスポイラーを主翼に初搭載し、着陸時の機体ハンドリングと安定性を向上させました。また、空の領域における新たな安全技術の取り組みとして、最新の自動化技術であるオートスロットル機能と緊急着陸装置の導入を推進しています。アフターサービスに関しては、高水準のサービスと技術者の専門性が評価され、昨年度に続き、米国連邦航空局(FAA)から最高レベルである「ダイヤモンドレベルAMT賞」を受賞しました。今後もビジネスジェット市場のさらなる活性化へ向けた体制整備に取り組みます。パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、275億円となりました。 次世代技術として、人、機械、社会の共働・共生をサポートする独自のAIである協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を活用した「Honda CIマイクロモビリティ」と活用技術を公開しました。2022年11月から茨城県常総市内の複数エリアにて技術実証実験を順次開始しています。今後、少子高齢化やアフターコロナの社会において、ますますマイクロモビリティによる人とモノの自由な移動ニーズが増加することが予想されます。当社グループは、2030年ごろの実用化を見据えCIマイクロモビリティの技術をさらに進化させることで、「移動と暮らしの進化」と「交通事故ゼロ」を両立する「Honda CIマイクロモビリティ」の実現をめざします。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、製品の電動化の促進のみならず、エネルギーキャリアとしての水素の活用拡大にも積極的に取り組み、水素事業の拡大をめざしていきます。水素事業のコアとなる燃料電池システムのさらなる進化に取り組み、耐久性の向上、コストの削減を進めています。具体的には、燃料電池システム活用のコアドメインを、燃料電池自動車(FCV)、商用車、定置電源、建設機械の4つと定め、他社との協業にも積極的に取り組んでいきます。なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で15,000件以上、海外で27,100件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で5,800件以上、海外で14,200件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2022|5,236 文字
5 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。なお、当社の米国法人 アメリカンホンダモーターカンパニー・インコーポレーテッドは、2021年4月1日付でアメリカの四輪生産関連法人と四輪開発機能の組織変更をしました。これによりホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッドおよびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドはホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーに統合されました。また、二輪分野でもATVやSide-by-Sideなどパワー・スポーツ・プロダクツ(以下「PSP」という。)製品の生産を受け持つホンダオブサウスカロライナマニュファクチュアリング・インコーポレーテッドとホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッドのPSP開発機能はアメリカンホンダモーターカンパニー・インコーポレーテッドのPSP部門に統合されました。これらの組織変更により営業・生産・開発・購買の全ての領域で一体的運営を進化させ、激変する市場環境を見据えてお客様と市場のニーズにより早く対応できる体質を北米でも強化していきます。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、8,040億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2021年4月に「GB350」、2021年7月に「GB350 S」を発売しました。空冷・4ストローク・OHC・単気筒348ccエンジンの心地よい鼓動感と、シンプルでありながら存在感際立つスタイリングが魅力の新型ロードスポーツモデルとしています。また、2021年9月に新エンジンを搭載した「モンキー125」「スーパーカブ C125」を発売しました。新エンジンはロングストローク化を図り圧縮比を高めるなど、最新の排出ガス規制に適合させています。足まわりには、フロントブレーキのロックを抑制し制動時の安心感に寄与する1チャンネルABSを標準装備しました。2022年3月に発売した新型スポーツツアラー「NT1100」は、「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」を標準装備とすることで、安心感のあるライディングを楽しむことを可能とし、「快適性」「多用途性」を高次元でバランスさせ、日常の扱いやすさと長距離走行の快適さを両立したモデルとしています。更に、優れた実用性とスタイリッシュなデザインが好評の原付二種スクーター「リード125」に、新エンジンを搭載するなどモデルチェンジを図り、2022年3月に発売しました。新たに搭載した水冷4バルブ単気筒エンジン「eSP+」は、力強い走りと低燃費を両立するとともに、アイドリングストップ・システムを継続採用することで、環境性能の向上と静粛性にも寄与しています。電動化領域では、「Hоnda e:ビジネスバイク」シリーズ第三弾 新型交換式バッテリーを採用した屋根付き電動三輪スクーター「GYRO CANOPY e:」を2021年10月に発売しました。三輪ならではの特徴を生かした、荷物を積んだ状態での安心感のある走りに加え、雨など天候の影響を受けにくくする大型のウインドスクリーンとルーフを装備しています。動力用電源には、電池容量を増大させた「Honda Mobile Power Pack e:」を2個使用し、一充電あたりの走行距離は77km(30km/h定地走行テスト値)を実現しています。これらの取り組みを通じて、Hondaは、従来のガソリン車のモデルに加え、「Honda e:ビジネスバイク」を含めた選択肢を広げることで、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいきます。二輪事業に係る研究開発支出は、658億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「魅力ある強い商品の為に総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、2021年9月に、新型「CIVIC」を発売しました。デザインは、低重心・水平基調でシンプルかつ流れるようなプロポーションとすることで、一目で魅力が感じられ長く乗り続けたくなるような存在を目指しました。またHonda独自のVTEC TURBOエンジンをさらに磨き上げた俊敏なレスポンスと、高い操縦安定性により、質の高く軽快な走行性能を実現し、さらに先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」にトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)を追加するなど、操る喜びに加え、安心・快適に移動する喜びを体感できる時間を提供しています。その高い先進性、デザイン、安全性能、走行性能、顧客満足度が評価され、北米向け「CIVIC」は、米国ミシガン州デトロイトで開催された2022 North American Car, Truck and Utility Vehicle оf the Year Awardsの受賞式において「2022 North American Car оf the Year(2022北米カー・オブ・ザ・イヤー)」を受賞しました。また、日本においては2020年11月に発売したN-ONEが、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)で「K CARオブ・ザ・イヤー」を受賞しました。日常の街乗りからロングドライブまで、日々の運転のなかで身近に「運転の楽しさ」「操る喜び」を感じられるよう走行性能を磨き上げるとともに、「Honda SENSING」を標準装備とし、あらゆるシーンで快適にクルマを使うために必要な安全性能を追求した結果、高い評価を得ることができました。2022年1月には、新型「STEP WGN」を初公開しました。オンラインで実施したジャパンプレミアイベントでは、グランドコンセプトである「素敵な暮らし」の提供を目指したエクステリア・インテリアを発表したほか、パッケージでは家族の成長に合わせた多彩な使い方ができるよう乗る人が自由に居場所を選べるシートアレンジを採用しました。電動化領域では、2021年10月に「中国電動化戦略発表会」をオンラインで開催し、中国における環境と安全の新たな取り組みを発表するとともに、EVの市販予定モデル2車種とコンセプトモデル3車種を世界初公開しました。中国初のHondaブランドEVとなる「e:N」シリーズは、「Honda SENSING」を適用し、急速な技術革新が進む中国においても電動化への取り組みを加速させます。 四輪事業に係る研究開発支出は、7,081億円となりました。 (ライフクリエーション事業及びその他の事業)ライフクリエーション事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。主な成果として、2022年2月に家庭菜園などでの作業に手軽かつパワフルに対応する新型リアロータリー式小型耕うん機「ラッキーマルチ FU700」を発売しました。196ccのパワフルなエンジンと、牽引力の大きい直径400mmの大径タイヤを搭載し、比較的広い家庭菜園などでも優れた耕うん性能を発揮します。電動化領域においては、2021年6月に㈱小松製作所(以下「コマツ」という。)とHondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を活用したコマツのマイクロショベルの電動化、およびモバイルパワーパックを活用し、土木・建設業界向けバッテリー共用システムの体制構築を目指す共同開発に関する基本合意契約を締結しました。マイクロショベルの電動化により、騒音・排熱を大幅に低減できるほか、“排出ガスゼロ”を実現することで環境への影響を抑え、かつ、屋内外問わずさまざまな作業環境で快適に作業することを可能にします。2021年10月には、新型の着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を用いたインドの電動三輪タクシー(リキシャ)向けのバッテリーシェアリングサービス事業を2022年前半に開始することを発表しました。現在の電動モビリティの「短い航続距離、長い充電時間、高いバッテリーコスト」という3つの課題に対し、バッテリーを交換式とし、シェアリングすることでそれらの課題を解消し、電動化の加速と再生可能エネルギーの活用拡大に貢献していきます。更には、アタッチメントを取り付けることでさまざまな用途に活用できるプラットフォーム型自律移動モビリティの実験用車両「Hоnda Autonomous Work Vehicle(以下「Honda AWV」という。)」を、2022年1月の米国・ラスベガスで行われた建設資材・建設機器の見本市「World оf Concrete 2022」で展示しました。2021年11月には今回展示したHonda AWVを使用し、建設会社Black & Veatch(ブラック・アンド・ビーチ)社と共同で、ニューメキシコ州の大規模太陽光発電施設の建設現場にて実証実験を行いました。当社グループは、これからも米国での実証実験を通じて、Honda AWVを進化させていきます。このように「すべての人に生活の可能性が拡がる喜び」を提供することを目指し、新たな価値の創造に取り組んでいます。航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2021年5月にホンダエアクラフトカンパニー・エル・エル・シー初のオンライン発表会“Innоvation Continues:Elite S”で、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の最新型としてアップグレードされた「HondaJet Elite S」を発表しました。運用性能をさらに拡充し、操縦性を向上させ、またパイロットの操縦負荷を軽減し安全性を向上させるための新技術導入等も行っています。2022年2月には2021年(暦年)小型ジェット機カテゴリーでデリバリー数世界第1位を5年連続で達成し、またアフターサービスに関しても、高水準のサービスと技術者の専門性が評価され、米国連邦航空局(FAA)から最高レベルである「ダイヤモンドレベルAMT賞」を受賞しました。今後もビジネスジェット市場のさらなる活性化へ向けた体制整備に取り組みます。ライフクリエーション事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、299億円となりました。 次世代技術分野においては、カーボンニュートラルの実現に向けた「全固体電池」の開発や、交通事故死者ゼロの実現に向けた「知能化運転支援技術」、「安全・安心ネットワーク技術」の開発などを進めています。さらに、人々の自由時間を創り出し、人が活躍できる時間や空間を拡げるために、「eVTOL」、「アバターロボット」、「宇宙領域へのチャレンジ」といった領域などにも取り組んでいます。なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で17,000件以上、海外で26,600件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で7,600件以上、海外で15,200件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2021|4,947 文字
5 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディ・アメリカズ・インコーポレーテッドを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当連結会計年度より、当社と㈱本田技術研究所のデザインなど一部機能を除く四輪商品開発機能を統合、ならびにホンダエンジニアリング㈱を合併し、営業・生産・開発・購買の各部門が自立した運営体制から、新機種の企画構想・開発・生産立上げと量産の各プロセスの連携を密にして行う体制を構築しています。さらに、㈱本田技術研究所に先進パワーユニット・エネルギー研究所およびデザインセンターを新設しました。先進パワーユニット・エネルギー研究所は二輪・四輪・パワープロダクツ・航空機の先進のパワーユニット・エネルギー技術の研究開発機能を統合することで、Hondaの競争力の源泉であるパワーユニット領域において、幅広い商品・技術を持つHondaの強みを最大限に発揮し、将来に向けた商品価値の向上を目指します。また、デザインセンターは二輪・四輪・ライフクリエーションのデザイン機能を統合することで、商品の枠を超えた一貫したブランドの強化を図ります。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、7,800億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。 主な成果として、2021年1月に「PCX」シリーズの3モデルに、高出力と環境性能を両立させた新設計エンジン「eSP+」を搭載し発売しました。中でも、「PCX e:HEV」では高出力型リチウムイオンバッテリーをエネルギー源としたモーターアシストを組み合わせ、駆動アシストの機能を追加したハイブリッドシステムを採用しました。 また、2020年12月に「Honda e:ビジネスバイク」の展開を開始しました。可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を動力用電源とし、充電済みのモバイルパワーパックに交換することで、充電待機時間なしでの走行を可能としています。その一つである、2021年3月に発売した「GYRO e:」は、三輪車ならではの安心感のある走りに加え、大型の低床リアデッキや後進アシスト機能を採用し、集配業務における操作性を高めています。環境にもユーザーにも優しい「Honda e:ビジネスバイク」シリーズの普及に向けた取り組みを進め、より静かでクリーンな生活環境の提供に寄与していきます。 2021年3月には、軽量かつ低重心で取り回しやすいサイズの車体に、扱いやすい出力特性エンジンを搭載した「Rebel 1100」を発売しました。「Rebel」シリーズ共通のスタイリングイメージはそのままに、乗車時の快適性を確保し、クルーザーモデルでありながらスポーティーな走行を可能としています。力強いトラクション性能とパルス感、高回転域までスムーズに吹け上がるエンジン特性や、好みに合わせ走行フィーリングを選択できるライディングモードを搭載し、操る楽しさを提供しています。 同月、動力性能と利便性を高めた大型クロスオーバーモデル「X-ADV」を発売しました。パワーユニットは、ピストンをはじめとする各部の軽量化や吸排気系の最適化により、最高出力の向上と優れた環境性能を両立しています。さらに、スロットルバイワイヤシステムを新たに採用し、「Rebel 1100」同様にライディングモードが選択可能です。 これら、多品種で少量生産の大型二輪車ならではのアーキテクチャスキームにより、多様で魅力的な商品を効率的にご提供できる体制を構築し、大型モデルの開発に取り組んでいきます。二輪事業に係る研究開発支出は、616億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「魅力ある強い商品の為に総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。 主な成果として、2021年2月に、新型「VEZEL」を世界初公開しました。オンラインで実施したワールドプレミアイベントでは、フルモデルチェンジにあたって全面刷新したエクステリア・インテリアのデザインを発表したほか、新たにHondaの2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」搭載のハイブリッドモデルを追加しました。リニアで心地よい加速感を提供し、3つの走行モードやアクセルオフ時の異なる減速度合いの選択を可能としました。「Honda SENSING」を標準装備とし、車載通信モジュール「Honda CONNECT」によるHonda車初の機能を多数搭載するなど、利便性を向上しながら安全運転支援装備を充実させました。 2020年12月には、ラグジュアリーSUV「MDX」の2022年モデルを発表しました。ライトトラック向けの新開発プラットフォームに、「MDX」初搭載となるダブルウィッシュボーンフロントサスペンションの採用により剛性を高め、3.5L VTEC V6エンジンと10速オートマチックトランスミッションを搭載し、快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを両立しました。 新型電気自動車「Honda e」を、欧州では2020年8月にデリバリー開始、日本では10月に発売しました。Hondaは、“2050年にカーボンニュートラルを実現する”という目標を掲げ、モビリティの電動化を加速させています。「Honda e」は、EVの本質を見つめ、柔軟な発想で未来を見据えてつくりあげたモビリティとして、シンプルでモダンなデザインと、力強くクリーンな走りや取り回しの良さを実現し、多彩な先進機能を搭載しました。Honda車として世界初採用の「ワイドビジョンインストルメントパネル」は、運転席や助手席での自在な操作性やスマートフォン接続によるアプリ利用を可能としたほか、クラウドAIの音声認識と情報提供を行う「Honda パーソナルアシスタント」などの先進技術も搭載しました。駐車支援システム「Honda パーキングパイロット」は、狭い場所でも安心して駐車できるよう、自動運転での駐車を可能としました。建物への給電や電子機器の電源としても利用可能なため、日常利用だけでなく災害時の安心を提供しています。 また、2020年9月には、中国で初となるHondaブランド電気自動車の量産方向性を示すコンセプトモデル「Honda SUV e:concept」を公開しました。次世代の「Honda SENSING」として、認識・予測・判断性能を向上させた安全運転支援システム「全方位ADAS」や先進のコネクテッド機能の搭載により、乗る楽しさを備えたモビリティ価値の提供を目指して開発を進めています。 “2050年 交通事故死者ゼロの実現”という目標のもと、先進安全技術の新たな一歩となる「Honda SENSING Elite」を開発、「LEGEND」へ搭載し、2021年3月に日本で発売しました。「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」は、国土交通省より自動運行装置として型式指定を取得した自動運転レベル3:条件付自動運転車(限定領域)に適合する技術であり、一定の条件下でシステムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能となりました。また、衛星情報等を用いた車内のモニタリングによりドライバーの状態を検知するなど、さまざまな情報を元にメインECUが認知・予測・判断を適切に行い、運転操作を高度に制御することで上質でスムーズな運転操作支援を実現しました。四輪事業に係る研究開発支出は、6,925億円となりました。 (ライフクリエーション事業及びその他の事業)ライフクリエーション事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」との方針に基づき、研究開発活動に取り組んでまいりました。 主な成果として、Honda独自の正弦波インバータを採用した小型軽量で堅牢な業務用蓄電機「LiB-AID E500 for Work」を2020年10月に発売しました。従来モデルの高品位の電気供給や、製品の並列接続による大容量発電可能な拡張性の特徴を活かし、作業現場で求められる堅牢性、紫外線耐性や運搬時の耐衝撃性向上を実現しました。 2021年3月には、「移動」と「暮らし」の可能性を拡げる可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」の活用事例を発表しました。「Honda Mobile Power Pack e: Prototype」は1.3kWh以上の大容量電力の貯蔵するリチウムイオンバッテリーで、さまざまなモビリティや機器の動力源として使うことを想定しています。実証実験で得た意見を反映し、利便性と操作性を高めた外観となっています。「Honda Power Pod e: Prototype」は、非常時の家庭内や屋外での電源利用を目的とした充電・給電器で、2台並列することで長時間運転を可能とします。「Honda Power Storage e: Concept」では、モビリティ用途に適さなくなったモバイルパワーパックの、家庭用蓄電池としての二次利用を提案しました。 2020年8月には災害時における給電不足の問題解決の一助を目指し、トヨタ自動車株式会社の「大容量水素を搭載する燃料電池バス」に、Hondaの「可搬型外部給電器・可搬型バッテリー」を搭載した、移動式発電・給電システム「Moving e」の実証実験計画を発表しました。災害時の電力供給だけでなく、日常的な利用を可能とするフェーズフリーなシステムであることを、自治体や企業に活用いただきながら実証していきます。 このように「すべての人に生活の可能性が拡がる喜び」を提供することを目指し、新たな価値の創造に取り組んでいます。 航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2021年1月に「HondaJet」のロシアにおける型式証明を取得し、初号機の運用を開始しました。同月には、お客様サポート体制強化の一環として各種スペアパーツなどの在庫保管能力の向上等を目的とした、新ハンガーの稼働を開始しております。2020年(暦年)小型ジェット機カテゴリーでデリバリー数世界第1位を4年連続で達成し、全世界で50%以上のシェアを獲得しました。今後もビジネスジェット市場のさらなる活性化へ向けた体制整備に取り組みます。ライフクリエーション事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、258億円となりました。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で17,900件以上、海外で25,200件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で7,300件以上、海外で16,200件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2020|4,613 文字
5 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッドを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、ホンダエンジニアリング㈱およびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当連結会計年度より、当社と㈱本田技術研究所の二輪開発部門を統合し、営業・生産・開発・購買の各部門が自立した運営体制から、新機種の企画構想・開発・生産立上と量産の各プロセスの連携を密にして行う体制を構築しています。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、8,214億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発に取り組んでまいりました。 主な成果として、2019年6月インド市場を代表するモデルとしてHondaの二輪事業の根幹を支えている「Activaシリーズ」に、排ガス新法規「BS6(バラートステージ6)」に対応する環境エンジンeSPをインドモデルで初めて採用しました。さらに吸気ポートに鋳造一体で隔壁を設けて二層構造とし、ポート内の逆流現象を利用することにより、新たな部品を追加することなくタンブル流を生み出す技術を世界で初めて搭載し、PGM-FIやアイドリングストップシステムの採用などと合わせて、従来モデルに対して、燃費性能を10%向上しています。 同じく、2019年6月には新型フレームeSAFを開発し、インドネシア向け「Genio」へ採用しました。新型フレームeSAFは、ハイテン材の使用や、断面形状の最適化などにより、剛性を高めながら従来フレームに対し8%以上の軽量化を実現しました。軽快な走りと優れた乗り心地に寄与しています。なお、この新型フレームeSAFは、他モデルにも順次水平展開の予定です。 このほか、2020年3月には「CBR1000RR-R FIREBLADE」「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」を発売しました。「CBR1000RR-R FIREBLADE」は、初代モデル「CBR900RR」から一貫して追求してきたテーマ“Total Control~操る楽しみの最大化”を継承しながら、さらに進化させた性能をサーキット走行やレースでの使用において存分に発揮させることを目的に、高出力かつよりコントロール性に優れた出力特性のパワーユニットと、操縦性を追求した車体パッケージングを組み合わせ、スポーツライディングをサポートする先進の電子制御技術などを採用したCBRシリーズの最上位モデルです。 2019年12月にはビジネス用電動二輪車「BENLY e:」シリーズを発表しました。「BENLY e:」は、広くてフラットなリアデッキや、狭い場所や傾斜地での切り替えしなどで利便性を高める後進アシスト機能など、集配業務における使い勝手を考慮したビジネス用途向けの電動二輪車で、動力用電源には着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を2個使用しています。「クリーン」で「静か」な電動モビリティならではの優れた環境性能に加え、積載時でも力強くスムーズな発進・登坂性能を発揮します。2020年1月17日から郵便配達業務での使用が開始されています。二輪事業に係る研究開発支出は、836億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「一歩先行く研究所を目指し」、「産業の変革期に際し、意識と行動を変えてゆく」、「2030年のありたき姿の実現に向けて、お客様視点で価値を追求し、質の高い仕事の仕方で、質の高い商品を創造し続ける」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。 主な成果として、2020年2月に新型コンパクトカー「FIT」を発売しました。新型「FIT」は、4つの「心地よさ」を新たな提供価値として掲げ、①安心感のある“心地よい視界”、②前後席ともに長距離ドライブでも疲れにくい快適な“座り心地”、③Honda独創のハイブリッドシステムe:HEVをコンパクトカーとして初めて搭載するなど快適な“乗り心地”、④視線・動線を考え抜いた収納レイアウトの配置や、荷室容量の確保など、快適な移動をサポートする“使い心地”を提供しています。 この新型「FIT」にはHonda車専用車載通信モジュール「Honda CONNECT」を日本初搭載しています。このHonda CONNECTを活用して、お客様のカーライフをより安心、快適にするコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」を開始しました。Honda Total Care プレミアムは、Honda Total Care緊急サポートセンターが進化し、お客様に24時間365日、より安心、安全なサービスを提供します。 2019年8月には新型軽自動車「N-WGN/N-WGN Custom」を発売しました。新型N-WGNでは、ひとりひとりの毎日の暮らしになじみ、誰もが心地よく使え、親しみやすさを感じるクルマを目指しました。エクステリアデザインは、フロントからドア、リアゲートまでハリのあるなめらかな面で構成し、すっきりと見えながら室内の広さを感じさせる箱型のボディーは、円形状のヘッドライトと相まって、暮らしになじむ親しみやすさと安心感を表現しました。荷室は、開口部を下げたことで重い荷物や高さのある荷物を載せやすく、備え付けのボードを使えば上下2段に積み分けることもでき、シーンに合わせた荷室アレンジが可能です。 さらに、2020年2月新型「ACCORD」を日本国内で発売しました。10代目となる新型「ACCORD」は、2018年1月、北米の自動車ジャーナリストによって選ばれる「2018 North American Car of the Year(ノースアメリカン・カー・オブ・ザ・イヤー)」を受賞したほか、2019年1月には、中国で2.3億人の登録ユーザー数を誇るポータルサイト「Sina.com」による「ベスト・ハイブリッドカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、グローバルで高い評価をいただいています。新型「ACCORD」は、クルマの基礎となるプラットフォームから構造を見直し、「ACCORD」として譲れない走りと室内空間は確実に進化させながら、ロー&ワイドでクリーンなデザインを実現しました。パワートレインには、2モーターならではの力強い加速と滑らかな走りを実現するHonda独自のハイブリッドシステムe:HEVを搭載しています。 2019年11月タイにおいてコンパクトセダンの新型「CITY」を世界で初公開しました。5代目となる新型CITYは、これまでご好評をいただいてきた、コンパクトセダンでありながら広々とした室内空間はそのままに、スポーティーでシャープなエクステリアと上質で機能的なインテリアデザインで生まれ変わりました。最新の環境基準に対応しながらも、現行の1.5L自然吸気エンジンをしのぐ力強い走りと、圧倒的な低燃費を両立させました。新型CITYは、タイ国内での発売を皮切りに、今後他の国でも発売を予定しています。四輪事業に係る研究開発支出は、7,072億円となりました。 (ライフクリエーション事業及びその他の事業)ライフクリエーション事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」との方針に基づき、研究開発に取り組んでまいりました。 主な成果として、2019年6月、クラストップレベルの高い動力性能や優れた経済性でご好評いただいている大型4ストローク船外機に新開発の電子制御リモートコントロールシステム(DBW)を搭載したタイプを追加するとともに、DBWを搭載した新型「BF175」を発表しました。新開発のDBWは、Hondaの船外機として初めて採用され、スムーズで確実なシフト操作と、素早く正確なスロットル操作を実現しています。また、最大4基掛けまでの多基搭載時における快適な操作性や、2系統の通信ラインを設けたシステムによる高い信頼性も兼ね備えています。 Hondaは電動モビリティとエネルギーサービスをつなぐことで、自由な移動と再生可能エネルギーの利用拡大への貢献を目指しており、その実現手段の一つである可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を用いたシステムの研究開発に取り組んでいます。「Honda Mobile Power Pack Exchanger」は複数のモバイルパワーパックを同時に充電できる充電ユニットであり、街中で電動小型モビリティ利用者へ交換用モバイルパワーパックを供給し、余剰電力をモバイルパワーパックに蓄電する事で電力利用の効率化に貢献します。また、「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」はモバイルパワーパックとの組み合せにより、モビリティ用途の充電だけでなく、非常時の電源、家庭内での生活に必要な機器電源として利用が可能となります。このように「すべての人に生活の可能性が拡がる喜び」を提供することを目指し、新たな価値の創造に取り組んでいます。 航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。2019年8月に「HondaJet Elite」の中国における型式証明を取得し、12月には中国における初号機の引き渡しを行いました。また、緊急医療搬送用仕様の「HondaJet Elite」を発表し、多目的用途にも応えるHondaJetを実現しました。2019年(暦年)小型ジェット機カテゴリーでデリバリー数世界第1位を3年連続で達成し、全世界で約150機の機体が運用されています。ライフクリエーション事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、305億円となりました。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で18,800件以上、海外で25,500件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で7,200件以上、海外で15,000件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2019|4,093 文字
5 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。そのために、主要な研究開発部門は、子会社として独立し、技術者が自由闊達に研究開発活動を行っています。製品に関する研究開発につきましては、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッド、本田技研科技(中国)有限公司を中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、ホンダエンジニアリング㈱およびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、8,200億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、商品と技術で価値創造を最大化する」を方針として、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、2017年東京モーターショーにて発表した「PCX ELECTRIC」のリース販売を、2018年11月より開始しました。着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を2個使用するなど、一充電あたりの走行距離41kmを可能としています。インドネシアや日本の宮古島での実証実験では、ビジネスユースからパーソナルユースにわたる電動二輪車の利便性の検証と活用状況のデータを収集、今後のさらなる開発に活かし、電動二輪車の普及に向けた取り組みを着実に進めていきます。 2018年9月には、量産二輪車用として世界初のハイブリッドシステムを採用した「PCX HYBRID」を発売しました。エンジンへのモーターによるアシストを行うことで、従来の同クラススクーターを超える機敏なスロットルレスポンスや高い動力性能を実現しました。また、コミューターの実用性に加え、高い趣味性や上質感を有するモデルとして、「Super Cub C125」「Monkey125」を発売しました。2018年9月発売の「Super Cub C125」は、従来からの曲面シルエットに初代モデルを彷彿させる「ユニットステア」を採用するなど、普遍的で気品のあるスタイリングとしながら、構成部品の剛性を高め125ccの動力性能に対応した安心感のある車体挙動を実現しました。2018年7月発売の「Monkey125」は、モンキーならではの愛らしいシルエットを確保しつつ、ホイールベースを1,155mmに設定し、直進安定性、コーナリング時、不整地走行などさまざまな走行状況で楽しめる操縦性能を実現しました。このほか、2019年3月に発売した、ミドルクラスのネイキッドロードスポーツモデル「CB650R」は、従来よりもさらに軽量化とマスの集中化を図るとともに、車体・足回り、パワーユニットの各部を熟成し、新世代CBシリーズのラインナップを充実させています。二輪事業に係る研究開発支出は、851億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「一歩先行く研究所を目指し」、「産業の変革期に際し、意識と行動を変えてゆく」、「2030年のありたき姿の実現に向けて、お客様視点で価値を追求し、質の高い仕事の仕方で、質の高い商品を創造し続ける」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、電動化へ向けた商品の拡充強化や本格的な普及へ向けて、「CLARITY PHEV」を、2018年7月に発売しました。2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」をプラグインハイブリッド車用へ最適化し、バッテリーの高容量化やコンバーターの高出力化などにより、さらに幅広い領域でEV走行が可能になりました。日々の移動をおおむねカバーできるEV走行距離(充電電力使用時走行距離)114.6km(JC08モード)を実現しながら、コンパクト化により床下への搭載を可能にしました。2018年12月発売の「INSIGHT」では、「1.5L DOHC i-VTECエンジン」と「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載し、燃費性能を向上しながら力強い加速と心地良い走りを実現しています。また、軽バンの新基準となることを目指して開発された「N-VAN」を、2018年7月に発売しました。Honda独創のセンタータンクレイアウト採用により、燃料タンクを前席下に配置し荷室を低床化、高さのある荷物も積載可能な空間としながら、軽バン初のセンターピラーレス仕様により積載作業の効率性を高めています。さらに、軽量かつ高強度な素材の配置やドアインピラー構造の採用により衝突安全性能を確保し、2018年度「予防安全性能アセスメント」において最高評価となる「予防安全性能評価 ASV+++」を獲得しました。2018年9月には、中国専用セダンとして2013年に投入した「CRIDER」をフルモデルチェンジしました。ワンクラス上の車格感や居住空間の広さに加え、2020年の中国燃費規制に対応した4.9L/100kmの低燃費を実現することで、セダンとして既存の枠にとらわれない新価値を提供しています。このほか、Hondaを代表するグローバルモデルの一つである「CR-V」を、2年振りとなる日本市場へ向け発売しました。2018年8月発売のガソリンモデルでは高出力ターボエンジンを搭載し、内装を新たに幅広いニーズに対応し、2018年11月発売のハイブリッドモデルには「SPORT HYBRID i-MMD」を採用し、低燃費と力強い走りを両立しつつ、リニアで上質なドライバビリティーも実現しました。両モデルで国内四輪車初となる「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」を採用するなど、あらゆる状況において安心で快適な走りを提供しています。四輪事業に係る研究開発支出は、7,036億円となりました。 (パワープロダクツ事業及びその他の事業)パワープロダクツ事業では、「多様な人々の暮らしと仕事へ質の高い「役立ち」と「喜び」の価値を創造し提供する」との方針に基づき、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果として、Hondaのパワフルで素早い除雪が可能なハイブリッド除雪機シリーズにおいて、各製品に新たな性能が加わり順次発売されました。2018年9月発売の「HSM1590i」には、クラス初の「スマートオーガシステム」により作業中のオーガ操作負荷を軽減、さらに除雪機として初めて「傾斜連動速度コントロール」を採用し除雪時のスリップやスタックを低減することで、深い積雪の中での作業性を向上しています。同9月発売の「HSM1390i(JR)」や「HSM1380i(JR)」ではオーガリセット機能の充実や扱いやすさの向上、2018年7月発売の「HSS1170i」では走行制御の適正化による旋回フィーリングの向上や、発進時の加速をスムーズにしました。また、2018年11月より、「スマート水素ステーション(SHS) 70MPa」の受注を開始しました。Honda独自技術の高圧水電解システム「Power Creator」によるコンパクトな設備ながらも、高圧水電解型の水素ステーションとして世界初となる充填圧力70MPa・製造圧力82MPaを実現しました。動力となるエネルギーからCO2フリーを実現し、低炭素社会・水素社会を目指して取り組みを拡大させていきます。このほか、芝刈機や高圧洗浄機のパワーユニットとしてご好評をいただいている「GCV」シリーズをフルモデルチェンジし、2018年9月より順次発売しました。「GCV145」、「GCV170」、「GCV200」の3モデルを設定し、従来の優れた燃費性能に加え、燃焼技術の向上によりクラス最大の出力・トルクを実現するとともに、始動性向上により一般家庭向け作業機器用パワーユニットとしての使いやすさを追求しています。その他の事業に含まれる航空機エンジンでは、「サステナブルな事業体制を確立し、業界での地位を築く」の方針のもと、「HF120エンジン」の生産やサービス体制の確立・コスト低減を進めてまいりました。航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。「HondaJet」の高性能バージョンである「HondaJet Elite」は、その独自開発技術を引き継ぎながら、複数の最新技術と装備を加えることで、航続距離の延長、離着陸性能の向上、ノイズ低減エンジンインレットがもたらす客室内の静粛性向上、そしてアビオニクスシステムの進化など更に商品競争力を向上させました。2018年(暦年)小型ジェット機カテゴリーでデリバリー数2年連続世界第1位を達成し、12月には日本においても型式証明の取得、デリバリーを開始しました。これまでに9ヵ国の型式証明を取得しており、ディーラー数拡大など販売の強化に取り組んでいます。 パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、312億円となりました。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で21,600件以上、海外で28,000件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で6,800件以上、海外で14,300件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2018|4,397 文字
5 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としております。そのために、主要な研究開発部門は、子会社として独立し、技術者が自由闊達に研究開発活動を行っております。製品に関する研究開発につきましては、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッド、ホンダアールアンドディアジアパシフィックカンパニー・リミテッドを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、ホンダエンジニアリング㈱およびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っております。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、7,307億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、商品と技術で価値創造を最大化する」を方針として、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、2017年10月東京モーターショーにおいて、Honda独自開発の高出力モーターおよび着脱可能な「Honda Mobile Power Pack」を搭載した電動スクーター「PCX ELECTRIC」と、新開発したHonda独自の二輪車用ハイブリッドシステムによる高出力のバッテリーとACGスターターでエンジンをアシストすることで、コンパクトなシステムでありながらトルクフルな走りを実現した「PCX HYBRID」を発表しました。また、生産拠点を中国から日本の熊本製作所に移管しモデルチェンジしたロングセラーモデルの「スーパーカブ50」「スーパーカブ110」を2017年11月に発売しました。外観デザインをレッグシールドからリアフェンダーにつながる滑らかな曲面の構成に一新しました。ボディー両サイドに使い勝手をより高める取り外し可能なサイドカバーを採用したほか、省エネルギーで長寿命なLEDを丸形のヘッドライトに組み込むことで、コンパクトなハンドルまわりを実現するなど、伝統的なスタイリングに先進性も兼ね備えた新世代スーパーカブとしてのアイデンティティーを表現しています。大型モーターサイクル領域では、2018年1月に、40年以上の歴史を持つ「Gold Wing」を17年ぶりに全面刷新し発表しました。モーターサイクルがもつ魅力の原点に立ち返り「走りの高揚感」 「操る楽しさ」を実現するため、快適な乗り心地と軽快なハンドリングを実現するHonda独自の二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションや、三世代目となる走行モード付き7速デュアルクラッチトランスミッションなど、数々の先進装備を採用することで、パッセンジャーとともに最上の感動を共有できるモーターサイクルとなっています。最先端技術の領域では、2017年10月の東京モーターショーにおいて、ロボティクス研究で培ったHonda独自のバランス制御技術を二輪車に応用した実験車「Honda Riding Assist-e」を発表しました。この技術は転倒リスクを軽減し、二輪車のある生活をより安心で楽しいものにすることを目指して開発しました。二輪事業に係る研究開発支出は、794億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「一歩先行く研究所を目指し」、「産業の変革期に際し、意識と行動を変えてゆく」、「2030年のありたき姿の実現に向けて、お客様視点で価値を追求し、質の高い仕事の仕方で、質の高い商品を創造し続ける」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、2018年1月の北米国際自動車ショーにおいて、新世代AcuraモデルとしてAcuraブランドの新たな時代の始まりを示す新型「RDX」のプロトタイプモデルを世界初披露しました。最新のAcuraデザインを全面的に採用し、パワートレインには2.0L直噴VTECターボエンジンと、クラス初となる10速オートマチックトランスミッションを採用しました。四輪駆動力自在制御システムSH-AWDや、新開発の専用プラットフォーム、軽量・高剛性ボディなどとの組合せにより、力強い加速とリニアなハンドリングを実現しています。また、2017年10月に北米で10代目となる新型「Accord」を発売しました。デザイン・パッケージング・走行性能を大幅に刷新し、最新のコネクティビティーと安全運転支援技術を搭載した新世代のミッドサイズセダンを目指して開発しました。パワートレインは、1.5Lと2.0Lの2種類の直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンに加え、第三世代となるハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を用意しました。2.0L直噴ターボエンジンには独自に開発した10速オートマチックトランスミッションを組み合わせ、高い静粛性と燃費性能、V型6気筒3.5Lエンジンを凌駕するトルクを備えた次世代のパワートレインとしています。この「Accord」は2018年北米国際自動車ショーにおいて、「2018 North American Car of the Year」を受賞しました。このほか、日本では新型軽乗用車「N-BOX」を2017年9月に発売しました。先代N-BOXで多くのお客様からご支持いただいている広い室内空間や、存在感のあるデザインは継承しながら、新型ではプラットフォーム、パワートレインを新たに開発しました。安全装備や新採用の助手席スーパースライドシートなどの充実した機能を備えた上で約80kg軽量化し、優れた走行性能・低燃費・乗り心地を実現しました。この「N-BOX」は、日本自動車殿堂カーオブザイヤー、RJCテクノロジーオブザイヤー、日本カー・オブ・ザ・イヤー「スモールモビリティ部門賞」の3つの賞を受賞しました。電動車の開発に関しては、2017年4月のニューヨークオートショーにおいて、「CLARITY PLUG-IN HYBRID」と「CLARITY ELECTRIC」を世界初公開しました。これらは2016年3月に日本で発表した「CLARITY FUEL CELL」と共通のプラットフォームを使用したプラグインハイブリッド車(PHEV)と電気自動車(EV)です。世界で初めて同一プラットフォームにPHEV、EV、燃料電池自動車(FCV)という3種類の電動パワートレインを取り揃え、広く上質な室内空間を誇る5人乗りミドルサイズクラスセダンに新しい価値をもたらします。この「CLARITY」シリーズにより、Hondaが2030年に向けて掲げる「四輪商品ラインアップにおける販売数の3分の2をハイブリッド、およびFCV・バッテリーEVなどの電動車に置き換える」という目標達成に向けて電動化を推進します。四輪事業に係る研究開発支出は、6,250億円となりました。 (パワープロダクツ事業及びその他の事業)パワープロダクツ事業では、「世界中のお客様に「役立ち」と「喜び」を拡大するために、市場に根ざし・未来を見つめ・本質を考える」との方針に基づき、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、2012年欧州で発売以来ご好評いただいている、電動で自走しながら自動で芝を刈り取るロボット芝刈機「Miimo(ミーモ)HRM520」を2017年6月に日本と米国で発売しました。本体、充電ステーション、芝刈り作業範囲を設定するエリアワイヤーの3つで構成され、作業範囲内の芝を自動で刈ります。さらに、充電残量を検知して自ら充電ステーションに戻り、再充電を行う自動充電機能を搭載するなど、芝刈り機能の自動化を実現しています。曜日・時間・エリアを任意に設定することで、お客様のさまざまなニーズに合わせて芝刈り作業を自動で行うことができます。加えて、毎日伸びる芝の先を細かく刈り、芝の根元へ落とすため、集草・廃棄の手間が省け、芝刈りにかけていた労力を大幅に軽減すると共に、刈った芝は肥料となり芝の青さを保たせます。静粛性に優れ、環境にも配慮した芝刈機で、高い作業性能と耐久性を実現しています。また、ハンディータイプ蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」を2017年9月に全国のホンダカーズにて発売しました。Honda独自の正弦波インバーター技術による高品質な電気の供給が可能な最大出力500W(VA)のハンディータイプ蓄電機です。家庭用コンセント、もしくは車のアクセサリーソケットから充電でき、繰り返し使えるリチウムイオン電池を搭載することで、屋内外のさまざまなシーンで活躍するポータブル電源として利用できます。その他の事業に含まれる航空機エンジンでは、「サステナブルな事業体制を確立し、業界での地位を築く」の方針のもと、「HF120エンジン」の生産やサービス体制の確立・コスト低減を進めてまいりました。また、航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。「HondaJet」は造波抵抗を軽減させる主翼上面エンジン配置形態技術、自然層流技術、一体成型による複合材製胴体技術、先進アビオニクスなどを採用することで他社を圧倒する性能、商品性を実現し、2017年暦年には、納入機数が小型ジェット機カテゴリーにおいて世界第1位となりました。さらに2018年1月には中国におけるディーラーが稼動を開始し、同年2月にはフランスのエアタクシーサービス提供会社から16機の受注を受けるなど、多くのお客様から非常に高い評価を受けています。生産につきましては、生産効率の改善に取り組み安定的に月産4機での生産が可能となりました。パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、262億円となりました。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で21,300件以上、海外で27,200件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で6,300件以上、海外で14,200件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2017|3,621 文字
6 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としております。そのために、主要な研究開発部門は、子会社として独立し、技術者が自由闊達に研究開発活動を行っております。製品に関する研究開発につきましては、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッド、ホンダアールアンドディアジアパシフィックカンパニー・リミテッドを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、ホンダエンジニアリング㈱およびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っております。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、6,599億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、お客様に喜んでいただける魅力・環境に優れた商品のタイムリーな提供をめざし、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、まず、中型モーターサイクル領域で、低中回転域での力強さと高回転域までシャープに吹けあがる特性を高次元で両立した新開発の水冷・4ストローク・DOHC4バルブ・直列2気筒エンジンを搭載し、強さとしなやかさを両立させた新設計の車体や新開発のサスペンションを採用した「CBR250RR」をインドネシアおよび日本で発売いたしました。大型モーターサイクル領域では、徹底的な軽量・コンパクト化を図った「CBR1000RR」を欧州、日本、米国などで発売いたしました。新設計のアルミダイキャスト製シートレール、新構造のチタン製マフラーの採用や、車体各部の徹底的な軽量化を追及することによりクラス最軽量の車両重量を実現したほか、出力向上とコントローラブルな特性の両立を追求したパワーユニット、好みに応じて調整できるホンダセレクタブルトルクコントロールやライディングモードなど、「操る楽しみ」をサポートする新たな電子制御技術も採用しております。また、アドベンチャーテイストにあふれるスタイリングと装備に、都市での快適な走行と利便性を高次元で融合させた「X-ADV」を、欧州などで発売いたしました。低回転域から高回転域まで扱いやすい水冷・4ストローク・OHC・4バルブ直列2気筒745ccエンジンに、定評のあるデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を標準装備しております。また、ヤマハ発動機株式会社と、原付一種領域での協業に向けた業務提携について検討を開始いたしました。今後、日本市場向けの50cc原付スクーターのOEM供給や次期50cc原付ビジネススクーターの共同開発・OEM供給、さらには原付一種クラスの電動二輪車普及に向けた協業をめざしてまいります。二輪事業に係る研究開発支出は、743億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「感動を呼ぶ新価値の創造」と「先進グローバル開発」の実現の方針のもと、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、まず、スーパースポーツモデル「NSX」を、米国、カナダ、日本などで発売いたしました。搭載する「SPORT HYBRID SH-AWD」は、ミッドシップを採用した新開発のV型6気筒ツインターボエンジンと、高効率モーターおよび9速DCT、TMU(ツインモーターユニット)などを組み合わせ、四輪の駆動力を電動で制御するハイブリッドシステムです。ボディーは押出成形アルミ材を中心とした複数素材で軽量かつ高剛性を実現し、オールアルミニウム製のサスペンションが、軽快なハンドリングと高速安定性を両立させました。さらにはシーンに合わせ4つのモードから最適な車両特性を選択できる「Integrated Dynamics System(インテグレーテッド ダイナミックス システム)」も搭載しております。 また、モーターやバッテリーなどを新設計することでハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を小型・軽量化し、高出力・高トルク化を図った「Accord」を米国、中国などで発売いたしました。内外装デザインを刷新したほか、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」も標準装備しております。米国では、先行して発売された10代目「Civic」セダン、クーペに続き、5ドアモデルとなる「Civic Hatchback」を発売いたしました。パワートレインは1.5L直噴VTEC TURBOエンジンで、トランスミッションはCVTと6速マニュアルトランスミッションを採用、「Honda SENSING」を搭載しています。このほか北米では、従来の2.4L直噴DOHC i-VTECエンジンに今回初めて1.5L直噴ターボエンジンを加えた「CR-V」も発売しております。トランスミッションは全グレードにCVTを揃え、Honda独自の変速制御「G-Design Shift」を適用いたしました。このほか、日本では、多彩なシートアレンジと広い室内空間を確保した「Freed」、荷室の超低床化で使い勝手を向上させ、車中泊も可能なフラット空間と床下収納を同時に実現した「Freed+」を発売いたしました。「Honda SENSING」の採用に加え、パワートレインはガソリン車が1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンと高効率CVT、ハイブリッド車には「SPORT HYBRID i-DCD」を採用し、いずれも優れた低燃費と力強い走りを両立しています。四輪事業に係る研究開発支出は、5,598億円となりました。 (汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業)汎用パワープロダクツ事業では、「世界中のお客様に「役立ち」と「喜び」を拡大するために、市場に根ざし・未来を見つめ・本質を考える」との方針に基づき、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、大容量内蔵式燃料タンクを採用し長時間運転を可能にした小型4ストローク船外機「BF5」「BF6」を欧州、米国、カナダ、日本などで発売いたしました。操船者に油量低下を伝えるオイルアラート機能や、コンパクト収納できるティラーハンドルなどの高い利便性、リコイルスターター引き荷重の低減と始動性の改善、ワンプッシュストップ機構のエンジン停止スイッチの採用による優れた操作性を兼ね備え、米国では、「IBEX2016イノベーションアワード」、日本では、「日本ボート・オブ・ザ・イヤー2016特別賞」を受賞いたしました。また、Honda独自の正弦波インバーター技術で家庭用電源同等の高品質な電気を安定して供給できる発電機「EG25i/EB2800i/EG2800i」を米国、日本、カナダで発売いたしました。軽量・コンパクト化でかつ高剛性のオープンフレーム型を採用したことで低価格化を実現すると共に、エンジンの振動や外部の衝撃から発電機を保護できるほか、使用機器の消費電力の負荷に合わせてエンジン回転数を自動制御するエコスロットル機能を搭載し、低燃費と騒音低減も実現しております。その他の事業に含まれる航空機エンジンでは、「サステナブルな事業体制を確立し、業界での地位を築く」の方針のもと、「HF120エンジン」の生産やサービス体制の確立、コスト低減を進めてまいりました。2016年には欧州航空安全局から型式認定を取得するなど、欧州での航空機エンジン事業においても新たな一歩を踏み出しております。また、このエンジンを主翼上面に配置し、自然層流翼型、一体成型複合材胴体といった独自技術の採用により、クラス最高水準(注)の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した「HondaJet」は、中南米での受注を開始したほか、ドバイで開催されたビジネス航空ショーで実機を初公開いたしました。汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、256億円となりました。(注) 2017年3月30日現在当社調べ 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で20,500件以上、海外で26,100件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で6,700件以上、海外で13,800件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
FY2016|3,480 文字
6 【研究開発活動】当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としております。そのために、主要な研究開発部門は、子会社として独立し、技術者が自由闊達に研究開発活動を行っております。製品に関する研究開発につきましては、㈱本田技術研究所、ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッド、ホンダアールアンドディアジアパシフィックカンパニー・リミテッドを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、ホンダエンジニアリング㈱およびホンダエンジニアリングノースアメリカ・インコーポレーテッドを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っております。当連結会計年度に発生した研究開発支出は、7,198億円となりました。なお、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。 (二輪事業)二輪事業では、お客様に喜んでいただける魅力・環境に優れた商品のタイムリーな提供を目指し、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、まず、小型モーターサイクル領域で、クラス最高レベルの発進加速性能と、低中速域での性能を充実させ優れた燃費性能を両立した新水冷150cc単気筒エンジンを開発し、インドネシアの新モデル「Sonic150R」に搭載いたしました。またブラジルでは、小型二輪車向けに構造をシンプルにした軽量コンパクトなABSシステムをHonda二輪車として初めて装備した「XRE190」を発売いたしました。大型モーターサイクル領域では、軽量でコンパクトな設計ながら高い性能を発揮する、新開発の水冷・4ストローク・OHC・直列2気筒1000ccエンジンを搭載した「CRF1000L Africa Twin」を欧州、日本などで発売いたしました。新開発したセミダブルクレードルフレームや高性能なサスペンションの採用により、オフロードでの優れた走行性能とオンロードでの機敏なハンドリングを両立した本格的なアドベンチャーモデルです。また、2013年・2014年のFIMロードレース世界選手権のMotoGPクラスで2連覇を達成した競技専用マシン「RC213V」を、量産車と圧倒的な差を持つ軽量化部品や加工精度、高い製作技能を踏襲し、一般公道でも走行可能な仕様に変更した「RC213V-S」を発売いたしました。スクーター領域では、ベトナムで基幹モデルの「Air Blade」に新たにLEDヘッドライトを採用、エンジン改良や車体の軽量化等で燃費性能と静粛性を高めました。 電動化技術につきましては、東京モーターショーで公開した「EV-CUB Concept」をベースにしたコミューターEVの発売に向け、開発を進めております。二輪事業に係る研究開発支出は、767億円となりました。 (四輪事業)四輪事業では、「感動を呼ぶ新価値の創造」と「先進グローバル開発」の実現の方針のもと、技術と商品力、お客様の喜び最優先のものづくりを目指し、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、時代の先端にふさわしい先進的魅力を備えた「Clarity Fuel Cell」を日本で発売いたしました。この燃料電池自動車は、高圧水素貯蔵タンクを搭載し、パワートレインの高効率化や走行エネルギーの低減により、ゼロエミッションビークルで世界トップクラスの一充填走行距離を達成しております。また、1回当たりの水素充填時間は3分程度と、ガソリン車と変わらない使い勝手を実現いたしました。また、セダンタイプのFCVとして世界で初めて5人乗りを実現いたしました。また、新開発の直噴1.5L VTEC TURBOエンジンを採用した新型「Step WGN」、新開発のモーターを適用し、小型軽量化を図りながら高トルク・高出力化を実現した「Odyssey Hybrid」、装備や質感を充実し、さらに商品魅力を高めた「Vezel」を発売いたしました。「Vezel」は、日本以外でも「HR-V」の名称で発売しており、欧州ではガソリンエンジンのほか、1.6L i-DTECディーゼルエンジンを搭載した仕様を展開しております。なお、上記3機種には、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を採用しております。最大市場の北米では、コンパクトクラスの新たなベンチマークを目指して、日米の研究所が共同でデザイン、走行性能、燃費性能、安全性などを一新した10代目の「Civicセダン」を発売いたしました。北米向けHonda車として初となる1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンと、2.0L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを設定し、「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を採用するなど、コンパクトクラスに新たな価値を提供いたしました。北米国際自動車ショーにおいて、10年ぶりに「North American Car of the Year(ノース アメリカン カー オブ ザ イヤー)」を受賞いたしました。電動化技術につきましては、プラグインハイブリッドを今後の電動化の中心と定め発売に向けた開発を、また燃料電池自動車やバッテリーEVといったゼロエミッションビークルについては、普及拡大に向けた開発を進めております。四輪事業に係る研究開発支出は、6,142億円となりました。 (汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業)汎用パワープロダクツ事業では、「世界中のお客様に「役立ち」と「喜び」を拡大するために、市場に根ざし・未来を見つめ・本質を考える」との方針に基づき、研究開発に取り組んでまいりました。主な成果としては、小型耕うん機シリーズ「こまめ(F220)」、「プチな(FG201)」、「サ・ラ・ダ(FF500)」を、外観商品性や車載・運搬性、操作性などの商品力強化を図り、国内安全鑑定新基準に対応した形に改良し、日本で発売いたしました。 また、発電機事業で培ったインバーター技術を応用し、燃料電池自動車からコミュニティや家庭・施設に電力を供給する9kVA可搬型外部給電器「Power Exporter9000」を発売いたしました。このほか、新分野として、ヒューマノイドロボット「ASIMO」の研究開発過程で培った歩行理論をもとに開発した小型軽量な歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」の法人様へのリース販売を開始いたしました。二足歩行理論である倒立振子モデルに基づく、効率的な歩行を誘導する機能を有しており、今後、病院や施設における歩行訓練への活用の本格化を推進してまいります。電動化技術につきましては、芝刈機などの製品、およびOEM向けパワーユニットなど電動化の拡大を積極的に目指し、研究開発を進めております。 その他の事業に含まれる航空機エンジンでは、「サステナブルな事業体制を確立し、業界での地位を築く」の方針のもと、「HF120エンジン」の商品性の改善、およびコスト低減を進めてまいりました。また、このエンジンを主翼上面に配置し、自然層流翼型、一体成型複合材胴体といった独自技術の採用により、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した「HondaJet」は、世界13か国でワールドツアーを行い、日本、欧州、南米でそれぞれ初公開した後、12月に米国連邦航空局(Federal Aviation Administration(フェデラル エイヴィエーション アドミニストレーション))から型式証明を取得し、引き渡しを開始いたしました。汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、288億円となりました。 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で20,900件以上、海外で26,400件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で7,400件以上、海外で14,600件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。