7201

日産自動車(7201)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

輸送用機器 自動車・輸送機

事業の概要

  • 自動車製造販売
    日産自動車グループは、自動車とそれに付随する部品の製造・販売を主要な事業としています。世界中の工場で車を生産し、約160の国や地域で販売することで収益を得ています。多様な車種を開発・提供し、グローバル市場での存在感を確立しています。
  • 販売金融事業
    自動車の販売を促進するため、顧客や販売店に対してローンやリースなどの金融サービスを提供しています。これにより、顧客は日産車を購入しやすくなり、結果として自動車販売台数の増加に貢献しています。この金融サービス自体も、金利収入などを通じてグループの重要な収益源となっています。
  • グローバル経営体制
    日産は「グローバル日産本社」を設置し、世界的な視点から各事業への資源配分を決定し、グループ全体の事業を管理しています。また、地域ごとのマネジメントと研究開発、購買、生産といった機能軸を統合した組織で運営されており、効率的な事業展開と市場ニーズへの迅速な対応を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 自動車事業
    日産グループの主要な事業であり、自動車本体とその部品の製造・販売を行っています。最新年度の売上高は約11兆4378億円ですが、営業利益は約-2679億円と赤字を計上しており、事業構造改革やコスト削減が課題となっている可能性があります。
  • 販売金融事業
    自動車販売を支援するために、顧客や販売店にローンやリースなどの金融サービスを提供しています。この事業は最新年度で約1兆1953億円の売上高を計上し、約2856億円の営業利益を上げており、グループ全体の収益に大きく貢献する稼ぎ頭となっています。
  • セグメント間取引消去
    グループ内の異なる事業セグメント間で行われる取引を相殺するための調整項目です。売上高は約-2743億円、営業利益は約521億円と記載されており、グループ全体の財務状況を正確に把握するために必要な会計処理の一部です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
AutomobileReportableSegment 事業 114,379 -2,680 -2.3%
SalesFinancingReportableSegment 事業 11,954 2,856 23.9%
EliminationOfInterSegmentTransactions 事業 -2,743 521 -19.0%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|412 文字
3 【事業の内容】当社グループは当社と当社の子会社、関連会社及び当社のその他の関係会社で構成され、自動車及び部品の製造と販売を主な事業内容とし、さらに上記事業における販売活動を支援するために販売金融事業を行っている。当社グループは世界的な本社機能として「グローバル日産本社」を設置し、各事業への資源配分を決定するとともに、グループ全体の事業を管理している。また、当社グループは4つの地域のマネジメント・コミッティによる地域管理と研究・開発、購買、生産といった機能軸による地域を越えた活動を有機的に統合した組織(グローバル日産グループ)により運営されている。当社グループの構成図は以下のとおりである。  * 連結子会社** 持分法適用会社 ・上記の他に*日産トレーデイング㈱、*日産ネットワークホールディングス㈱他の関係会社がある。・また上記のうち、国内証券市場に上場している連結子会社は以下のとおりである。 日産車体㈱…東京

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
自動車業界は世界的に非常に厳しい状況と不確実な競争に直面しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
電動化、自動運転化、コネクティビティ機能の強化、安全面の強化、モビリティサービス等の新技術開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:世界経済や景気の急激な変動 / 自動車市場における急激な変動 / 金融市場に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日産ブランドは世界的に認知されているが、近年は品質問題やリコール、経営危機の影響でブランド価値が低下傾向にある。特許やIPは自動車業界全体で激しい競争下にあり、突出した優位性は見出しにくい。EV技術への投資は進めているものの、現時点では他社との明確な差別化要因とはなっていない。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

既存顧客は日産車への愛着やディーラー網との関係性から一定のスイッチング・コストが存在する。しかし、EVシフトや新興メーカーの台頭により、顧客の選択肢は広がりつつあり、乗り換えのハードルは低下傾向にある。特に、サブスクリプションモデルの普及はスイッチング・コストをさらに低下させる可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

自動車製造業において、直接的なネットワーク効果は限定的である。プラットフォーム共有や部品共通化による効率化はあるが、ユーザー間のネットワーク効果は発生しない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

ルノー・日産・三菱アライアンスによる部品共通化や生産効率化でコスト削減努力は行われている。しかし、グローバルなサプライチェーンの複雑化や原材料価格の高騰、EV開発への巨額投資により、構造的なコスト優位性を確立するには至っていない。他社も同様の取り組みを進めており、競争環境は厳しい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

日産自動車は世界有数の自動車メーカーであり、生産規模と販売網において大きなスケールメリットを有している。グローバルな生産拠点と広範なディーラー網は、規模の経済を活かした効率的な事業運営を可能にしている。この規模は、研究開発投資や新技術導入における競争力を支える基盤となっている。

  • グローバルな生産・販売網
    日産自動車は世界13の市場で完成車を生産し、約160の市場で販売する広範なグローバルネットワークを持っています。これにより、特定の地域経済の変動リスクを分散し、多様な市場の需要に対応できる柔軟性を持っています。生産の現地化は為替変動リスクの軽減にも寄与しています。
  • 販売金融による支援
    自動車販売を強力にサポートする販売金融事業を展開しています。これにより、顧客は日産車を購入しやすくなり、販売台数の増加に繋がります。また、金融サービス自体も安定した収益源となり、グループ全体の収益基盤を強化しています。
  • 技術開発への注力
    自動車業界がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やSDV(ソフトウェア定義車両)といった技術革新に直面する中で、日産も技術開発・商品開発に注力しています。これにより、将来の市場変化に対応し、競争力を維持・向上させるための基盤を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針及び経営戦略等当社グループは、「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」というコーポレートパーパスを定めた。これは長年にわたり掲げてきた企業ビジョン「人々の生活を豊かに」を踏まえ、創業以来大切にしてきた“他がやらぬことをやる”という精神を引き継ぎながら、日産は何のために存在するか、どのように役割を果たすのか、企業としての存在意義を明確化したものである。そして、サプライヤーや販売会社の皆様との関係をさらに強化し、共にビジネスモデルを発展させていく。グローバルなあらゆる事業活動を通じて企業として成長し、経済的に貢献すると同時に、世界をリードする自動車メーカーとして、社会が直面する課題の解決に貢献することも私たちの使命である。日産は、お客さま、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを大切に思い、将来にわたって価値ある持続可能なモビリティの提供に努める。さらに、持続可能な社会の発展に貢献し、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会を目指し、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目標としている。この目標に向け、2021年11月には、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表し、2030年度に向けて、当社が進むべき道を示した。2023年度には、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び2030年度までの社会性の取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。日産は事業を通じてサステナビリティ課題の解決に取り組むことで、社会に価値を提供していく。2024年度の当社の状況は、(2) 2024年度の経営環境及び主要な経営指標に記載のとおり、厳しい市場環境に加え、コスト競争力やブランド力などの当社固有の課題によっても厳しいものとなった。このような状況下で、2024年11月以降、今後のビジネス環境の変化にも柔軟かつ機敏に対応できる「スリムで強靭な事業構造」に再構築するための緊急対策として「ターンアラウンド」の取り組みを計画し、進めてきた。そして、2025年4月から新たなマネジメント体制に移行し、当社の新しい経営陣は、「ターンアラウンド」を含む主要な取り組みを慎重に再検討し、2025年5月には、確実に業績を回復させるためのさらなる取り組みである日産経営再建計画「Re:Nissan」を発表した。「Re:Nissan」は、コスト削減、戦略の再定義、パートナーシップの強化を柱とした現実的な実行計画で、2024年度の実績比で、固定費と変動費を計5,000億円削減し、2026年度までに自動車事業における営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化を目指す。 <変動費の削減>2026年度までに2,500億円の変動費の削減を目指す(2024年度実績比)・エンジニアリングとコスト効率の向上TdC (Total delivered Cost) トランスフォーメーションチーフの下に各部門から集められた約300人のエキスパートで構成するTdC改革オフィスを設置し、コストに関する意思決定を行う。先行開発や2026年度以降の商品開発に、開発期間を短縮するプロセスを迅速に適用することで、商品の投入を遅らせることなく、開発に関わる3,000人の従業員を一時的に配置転換し、コスト削減活動に集中的に取り組む。<固定費の削減>2026年度までに2,500億円の固定費の削減を目指す(2024年度実績比)・生産の再編と効率化車両生産工場を2027年度までに17から10の工場に統合し、パワートレイン工場についても見直しを行う。これにより、配置転換や生産シフトの調整に加え、設備投資も削減することで、固定費を削減する。北九州市におけるLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリー新工場の建設中止も本取り組みの一部である。・人員の削減2024年度から2027年度にかけて計20,000人の人員削減を行う(生産部門、一般管理部門、契約社員も含むR&D部門の直接員と間接員)。販売費と一般管理費においても、シェアードサービスの範囲を拡大し、マーケティングの効率向上を推進する。・開発の刷新エンジニアリングコストの削減や開発スピードの向上を図るため、開発のプロセスを刷新する。グローバルでR&Dのリソースの合理化を通じて、平均の労務費単価を20%削減することを目指す。部品種類を70%削減するとともに、プラットフォームの統合と最適化を進め、プラットフォームの数を2035年度までに現在の13から7に減少させる。また、リードモデルの開発期間を37ヶ月、後続モデルの開発期間を30ヶ月へと大幅に短縮する取り組みを進めている。 <市場戦略と商品戦略の再定義>商品戦略は市場とブランドに焦点を当てて再構築する。革新的な取り組みを加速し、お客さまにより魅力的な商品を届ける。強化される商品ポートフォリオは、HEARTBEATモデルを中心とした3つのカテゴリーで構成される。HEARTBEATモデルは日産のDNAを体現し、コアモデルは台数と収益を重視し、成長モデルは将来の成長に貢献する。これに加えて、パートナーシップモデルが補完する。市場戦略では米国、日本、中国、欧州、中東、メキシコを主要市場として位置付け、他の市場についてはそれぞれの市場要件にあわせたアプローチを行う。その中で、中国・メキシコを輸出拠点として活用する。また、アライアンスパートナーや中国でのパートナーシップを活用してラインアップの拡充を進める。<パートナーシップの強化>当社はパートナーと協働して商品ポートフォリオを補完し、各市場で固有のニーズに応えるモデルを提供する。アライアンスパートナーであるルノー及び三菱自動車工業株式会社とOEM供給等のプロジェクトを継続する。また、本田技研工業株式会社とは、三菱自動車工業株式会社とともに、自動車の知能化・電動化における戦略的パートナーシップの枠組みにおける連携を継続する。 (2) 2024年度の経営環境及び主要な経営指標2024年度は、グローバル自動車市場において、販売競争の激化、急激な為替変動及びインフレーションの影響を受ける厳しい環境が続いた。特に、米国市場では、メキシコからの輸入に対する25%の関税に対する懸念から業界全体の在庫及び販売奨励金が増加傾向であった。米国の現在の政権の関税政策は、日々状況が変わり先行きを見通すことが非常に困難である上に、それに対する各国の対抗措置も重なり、当社にも大きな影響を与えている。中国市場では、バッテリーEV、プラグインハイブリッド車などの新エネルギー車への長期にわたる急激なシフトと、販売競争激化の状況が続いた。さらに、当社固有の課題によっても厳しい状況となった。販売計画が達成できない状況が続き、一般管理費を中心に固定費が増加しているほか、インフレーション、取引先に対する補償費用の発生などにより変動費も増加した。また、モデルミックスの悪化、在庫削減や競争環境に対応するためのインセンティブの増加も収益を圧迫している。また、米国のように、変化するお客さまのニーズに対応した電動車をタイムリーに提供できないことも大きな課題である。その結果、当社グループの当期の経営成績は下記のとおりとなった。当社グループのグローバル小売台数は前年度比2.8%減の334万6千台となり、売上高は12兆6,332億円と前連結会計年度に比べ525億円(0.4%)の減収となった。営業利益は698億円と前連結会計年度に比べ4,989億円(87.7%)の減益となった。また、2025年3月末時点の当社株価は、前年比37.7%減の378円70銭、PBRは0.27倍であった。当社は、2024年4月に発行済株式総数(自己株式を除く)の2.5%の自己株式を取得し、同月にその全株式を消却、また2024年10月に発行済株式総数(自己株式を除く)の5%の自己株式を取得し、同月にその全株式を消却することで、1,393億円の株主還元を実施した。当社は、株主還元と資本効率の向上、財務パフォーマンスの継続的改善、将来の成長のための財務柔軟性の維持に取り組んでいる。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当連結会計年度における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。 ・元会長らの不正行為に関連した事項当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。2019年9月9日以降、当有価証券報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。 A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。・2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに充てた。・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社であるNissan-Mitsubishi B.V.(以下「NMBV」)から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。 B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEOリザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEOリザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。 金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。その後、2020年2月27日付で金融庁長官から24億2,489万5,000円の課徴金納付命令の決定の送達を受けた。 2022年3月3日、当社は東京地方裁判所から金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)により、罰金2億円に処するとの有罪判決を受けた。当社は、当社に対する当該判決を厳粛に受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事項を慎重に検討した結果、当該判決に対する控訴を行わないことを決定した。その後、当社及び検察官のいずれも刑事訴訟法が定める控訴期間内に控訴しなかったため、当該判決は確定した。上記課徴金に関して、金融商品取引法第185条の8第6項の規定に基づき、当該刑事裁判の判決による罰金額である2億円を控除し、課徴金の総額を22億2,489万5,000円に変更する処分が2022年4月26日付で行われた。当該課徴金については、すでに全額納付済である。 また、ゴーン氏がNMBV及び他の当社の子会社に対してアムステルダム地方裁判所に提起した不当解雇訴訟において、NMBVは、ゴーン氏がNMBVから不正に着服した資金の返還を求めゴーン氏に対し反対請求を提起した。アムステルダム地方裁判所は、2021年5月20日に出された判決においてゴーン氏の請求を棄却し、ゴーン氏に対し約500万ユーロの返還を命じたが、ゴーン氏は2021年8月20日に控訴状をアムステルダム高等裁判所に提出した。その後NMBVが提出した交差控訴及び防御の結果、2022年8月23日にアムステルダム高等裁判所による判決が出され、ゴーン氏の請求は大部分が棄却されるとともに、ゴーン氏に対し約420万ユーロの返還が命じられた。上告期限の経過により判決は確定した。 ゴーン氏による会社資金の不正使用により購入された住居の一部については、売却が完了している。 当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また日本国内においても、2020年2月12日にゴーン氏に対し、2022年1月19日に当社元代表取締役ケリー氏に対し、損害賠償請求訴訟を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏らの法令違反や不正行為によって被った損害の回復のため法的措置を含めた必要な対応をとっていく方針である。 指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。 ・公正取引委員会からの勧告に関連した事項2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、当該事業者から割戻金を受け取った行為の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の違反と判断されたものである。本勧告において下請代金の減額に該当すると判断された割戻金の総額は、2021年1月から2023年4月までの約30億円である。当社は、本勧告の対象下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用自体も廃止した。当社は、本勧告を大変重く受け止めている。サプライヤーの皆様との強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない。法令の遵守状況についての定期的な点検、並びに役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施などを通じて、法令遵守体制を強化するとともに、再発防止策の徹底に取り組み、取引適正化を図っており、2025年3月5日に改善報告書を公正取引委員会に提出した。取引先との関係を強化し、双方に価値を創造し、法令遵守の徹底のための更なる取り組みの一環として、法令違反の疑いなどがある場合に、取引先から匿名で意見を集約するホットラインを外部に設置している。さらに、モノづくり部門、並びに、関連部署の担当者からなる社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を新設した。このチームは、積極的に取引先のもとに足を運び、懸念事項を正しく理解し、頂いた声を速やかに社内にフィードバックして、必要な対応を迅速に講じることができるようにしている。各部署の通常窓口に加え、2つのルートを設けることで、取引先の状況把握、法令遵守の徹底を図っている。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針及び経営戦略等当社グループは、「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」というコーポレートパーパスを定めた。これは長年にわたり掲げてきた企業ビジョン「人々の生活を豊かに」を踏まえ、創業以来大切にしてきた“他がやらぬことをやる”という精神を引き継ぎながら、日産は何のために存在するか、どのように役割を果たすのか、企業としての存在意義を明確化したものである。そして、サプライヤーや販売会社の皆様との関係をさらに強化し、共にビジネスモデルを発展させていく。グローバルなあらゆる事業活動を通じて企業として成長し、経済的に貢献すると同時に、世界をリードする自動車メーカーとして、社会が直面する課題の解決に貢献することも私たちの使命である。日産は、お客さま、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを大切に思い、将来にわたって価値ある持続可能なモビリティの提供に努める。さらに、持続可能な社会の発展に貢献し、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会を目指し、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目標としている。この目標に向け、2021年11月には、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表し、2030年度に向けて、当社が進むべき道を示した。2023年度には、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び2030年度までの社会性の取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。日産は事業を通じてサステナビリティ課題の解決に取り組むことで、社会に価値を提供していく。2024年度の当社の状況は、(2) 2024年度の経営環境及び主要な経営指標に記載のとおり、厳しい市場環境に加え、コスト競争力やブランド力などの当社固有の課題によっても厳しいものとなった。このような状況下で、2024年11月以降、今後のビジネス環境の変化にも柔軟かつ機敏に対応できる「スリムで強靭な事業構造」に再構築するための緊急対策として「ターンアラウンド」の取り組みを計画し、進めてきた。そして、2025年4月から新たなマネジメント体制に移行し、当社の新しい経営陣は、「ターンアラウンド」を含む主要な取り組みを慎重に再検討し、2025年5月には、確実に業績を回復させるためのさらなる取り組みである日産経営再建計画「Re:Nissan」を発表した。「Re:Nissan」は、コスト削減、戦略の再定義、パートナーシップの強化を柱とした現実的な実行計画で、2024年度の実績比で、固定費と変動費を計5,000億円削減し、2026年度までに自動車事業における営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化を目指す。 <変動費の削減>2026年度までに2,500億円の変動費の削減を目指す(2024年度実績比)・エンジニアリングとコスト効率の向上TdC (Total delivered Cost) トランスフォーメーションチーフの下に各部門から集められた約300人のエキスパートで構成するTdC改革オフィスを設置し、コストに関する意思決定を行う。先行開発や2026年度以降の商品開発に、開発期間を短縮するプロセスを迅速に適用することで、商品の投入を遅らせることなく、開発に関わる3,000人の従業員を一時的に配置転換し、コスト削減活動に集中的に取り組む。<固定費の削減>2026年度までに2,500億円の固定費の削減を目指す(2024年度実績比)・生産の再編と効率化車両生産工場を2027年度までに17から10の工場に統合し、パワートレイン工場についても見直しを行う。これにより、配置転換や生産シフトの調整に加え、設備投資も削減することで、固定費を削減する。北九州市におけるLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリー新工場の建設中止も本取り組みの一部である。・人員の削減2024年度から2027年度にかけて計20,000人の人員削減を行う(生産部門、一般管理部門、契約社員も含むR&D部門の直接員と間接員)。販売費と一般管理費においても、シェアードサービスの範囲を拡大し、マーケティングの効率向上を推進する。・開発の刷新エンジニアリングコストの削減や開発スピードの向上を図るため、開発のプロセスを刷新する。グローバルでR&Dのリソースの合理化を通じて、平均の労務費単価を20%削減することを目指す。部品種類を70%削減するとともに、プラットフォームの統合と最適化を進め、プラットフォームの数を2035年度までに現在の13から7に減少させる。また、リードモデルの開発期間を37ヶ月、後続モデルの開発期間を30ヶ月へと大幅に短縮する取り組みを進めている。 <市場戦略と商品戦略の再定義>商品戦略は市場とブランドに焦点を当てて再構築する。革新的な取り組みを加速し、お客さまにより魅力的な商品を届ける。強化される商品ポートフォリオは、HEARTBEATモデルを中心とした3つのカテゴリーで構成される。HEARTBEATモデルは日産のDNAを体現し、コアモデルは台数と収益を重視し、成長モデルは将来の成長に貢献する。これに加えて、パートナーシップモデルが補完する。市場戦略では米国、日本、中国、欧州、中東、メキシコを主要市場として位置付け、他の市場についてはそれぞれの市場要件にあわせたアプローチを行う。その中で、中国・メキシコを輸出拠点として活用する。また、アライアンスパートナーや中国でのパートナーシップを活用してラインアップの拡充を進める。<パートナーシップの強化>当社はパートナーと協働して商品ポートフォリオを補完し、各市場で固有のニーズに応えるモデルを提供する。アライアンスパートナーであるルノー及び三菱自動車工業株式会社とOEM供給等のプロジェクトを継続する。また、本田技研工業株式会社とは、三菱自動車工業株式会社とともに、自動車の知能化・電動化における戦略的パートナーシップの枠組みにおける連携を継続する。 (2) 2024年度の経営環境及び主要な経営指標2024年度は、グローバル自動車市場において、販売競争の激化、急激な為替変動及びインフレーションの影響を受ける厳しい環境が続いた。特に、米国市場では、メキシコからの輸入に対する25%の関税に対する懸念から業界全体の在庫及び販売奨励金が増加傾向であった。米国の現在の政権の関税政策は、日々状況が変わり先行きを見通すことが非常に困難である上に、それに対する各国の対抗措置も重なり、当社にも大きな影響を与えている。中国市場では、バッテリーEV、プラグインハイブリッド車などの新エネルギー車への長期にわたる急激なシフトと、販売競争激化の状況が続いた。さらに、当社固有の課題によっても厳しい状況となった。販売計画が達成できない状況が続き、一般管理費を中心に固定費が増加しているほか、インフレーション、取引先に対する補償費用の発生などにより変動費も増加した。また、モデルミックスの悪化、在庫削減や競争環境に対応するためのインセンティブの増加も収益を圧迫している。また、米国のように、変化するお客さまのニーズに対応した電動車をタイムリーに提供できないことも大きな課題である。その結果、当社グループの当期の経営成績は下記のとおりとなった。当社グループのグローバル小売台数は前年度比2.8%減の334万6千台となり、売上高は12兆6,332億円と前連結会計年度に比べ525億円(0.4%)の減収となった。営業利益は698億円と前連結会計年度に比べ4,989億円(87.7%)の減益となった。また、2025年3月末時点の当社株価は、前年比37.7%減の378円70銭、PBRは0.27倍であった。当社は、2024年4月に発行済株式総数(自己株式を除く)の2.5%の自己株式を取得し、同月にその全株式を消却、また2024年10月に発行済株式総数(自己株式を除く)の5%の自己株式を取得し、同月にその全株式を消却することで、1,393億円の株主還元を実施した。当社は、株主還元と資本効率の向上、財務パフォーマンスの継続的改善、将来の成長のための財務柔軟性の維持に取り組んでいる。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当連結会計年度における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。 ・元会長らの不正行為に関連した事項当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。2019年9月9日以降、当有価証券報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。 A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。・2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに充てた。・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社であるNissan-Mitsubishi B.V.(以下「NMBV」)から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。 B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEOリザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEOリザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。 金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。その後、2020年2月27日付で金融庁長官から24億2,489万5,000円の課徴金納付命令の決定の送達を受けた。 2022年3月3日、当社は東京地方裁判所から金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)により、罰金2億円に処するとの有罪判決を受けた。当社は、当社に対する当該判決を厳粛に受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事項を慎重に検討した結果、当該判決に対する控訴を行わないことを決定した。その後、当社及び検察官のいずれも刑事訴訟法が定める控訴期間内に控訴しなかったため、当該判決は確定した。上記課徴金に関して、金融商品取引法第185条の8第6項の規定に基づき、当該刑事裁判の判決による罰金額である2億円を控除し、課徴金の総額を22億2,489万5,000円に変更する処分が2022年4月26日付で行われた。当該課徴金については、すでに全額納付済である。 また、ゴーン氏がNMBV及び他の当社の子会社に対してアムステルダム地方裁判所に提起した不当解雇訴訟において、NMBVは、ゴーン氏がNMBVから不正に着服した資金の返還を求めゴーン氏に対し反対請求を提起した。アムステルダム地方裁判所は、2021年5月20日に出された判決においてゴーン氏の請求を棄却し、ゴーン氏に対し約500万ユーロの返還を命じたが、ゴーン氏は2021年8月20日に控訴状をアムステルダム高等裁判所に提出した。その後NMBVが提出した交差控訴及び防御の結果、2022年8月23日にアムステルダム高等裁判所による判決が出され、ゴーン氏の請求は大部分が棄却されるとともに、ゴーン氏に対し約420万ユーロの返還が命じられた。上告期限の経過により判決は確定した。 ゴーン氏による会社資金の不正使用により購入された住居の一部については、売却が完了している。 当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また日本国内においても、2020年2月12日にゴーン氏に対し、2022年1月19日に当社元代表取締役ケリー氏に対し、損害賠償請求訴訟を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏らの法令違反や不正行為によって被った損害の回復のため法的措置を含めた必要な対応をとっていく方針である。 指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。 ・公正取引委員会からの勧告に関連した事項2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、当該事業者から割戻金を受け取った行為の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の違反と判断されたものである。本勧告において下請代金の減額に該当すると判断された割戻金の総額は、2021年1月から2023年4月までの約30億円である。当社は、本勧告の対象下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用自体も廃止した。当社は、本勧告を大変重く受け止めている。サプライヤーの皆様との強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない。法令の遵守状況についての定期的な点検、並びに役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施などを通じて、法令遵守体制を強化するとともに、再発防止策の徹底に取り組み、取引適正化を図っており、2025年3月5日に改善報告書を公正取引委員会に提出した。取引先との関係を強化し、双方に価値を創造し、法令遵守の徹底のための更なる取り組みの一環として、法令違反の疑いなどがある場合に、取引先から匿名で意見を集約するホットラインを外部に設置している。さらに、モノづくり部門、並びに、関連部署の担当者からなる社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を新設した。このチームは、積極的に取引先のもとに足を運び、懸念事項を正しく理解し、頂いた声を速やかに社内にフィードバックして、必要な対応を迅速に講じることができるようにしている。各部署の通常窓口に加え、2つのルートを設けることで、取引先の状況把握、法令遵守の徹底を図っている。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりである。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度のグローバル全体需要は前連結会計年度に比べ3.3%増の8,730万台となった。当社グループのグローバル小売台数は前連結会計年度に比べ2.8%減の334万6千台となった。売上高は12兆6,332億円となり、前連結会計年度に比べ525億円(0.4%)の減収となった。営業利益は698億円となり、前連結会計年度に比べ4,989億円(87.7%)の減益となった。営業外損益は1,404億円の利益となり、前連結会計年度に比べ69億円の増益となった。経常利益は2,102億円となり、前連結会計年度に比べ4,920億円(70.1%)の減益となった。特別損益は6,238億円の損失となり、前連結会計年度に比べ5,209億円の悪化となった。税金等調整前当期純損失は4,136億円となり、前連結会計年度に比べ1兆128億円の悪化となった。親会社株主に帰属する当期純損失は6,709億円となり、前連結会計年度に比べ1兆975億円の悪化となった。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により7,537億円増加、投資活動により9,712億円減少、財務活動により2,633億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により256億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し713億円(3.4%)増加の2兆1,975億円となった。 ③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績会社所在地生産台数(台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本724,838641,348△83,490△11.5% 米  国605,652500,434△105,218△17.4% メキシコ607,089664,56157,4729.5% 英  国325,458276,336△49,122△15.1% タ  イ93,60563,435△30,170△32.2% インド124,627152,01727,39022.0% 南アフリカ25,13610,425△14,711△58.5% ブラジル58,76161,1712,4104.1% アルゼンチン29,64617,698△11,948△40.3% エジプト12,08421,1549,07075.1%合計2,606,8962,408,579△198,317△7.6% (注) 台数集約期間は2024年4月から2025年3月までである。 b.受注状況当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。 c.販売実績(小売り)仕向地販売台数(小売台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日本 484,195460,868△23,327△4.8% 北米 1,262,1101,303,23641,1263.3% 内、米国915,712938,35822,6462.5% 欧州 361,372350,957△10,415△2.9% アジア910,055793,425△116,630△12.8% 内、中国793,768696,631△97,137△12.2% その他 424,525437,76213,2373.1%合計 3,442,2573,346,248△96,009△2.8% (注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2024年1月から2024年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2024年4月から2025年3月までである。2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれる。 d.販売実績(連結売上)仕向地販売台数(連結売上台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本 473,517438,659△34,858△7.4% 北  米 1,340,5871,302,898△37,689△2.8% 内、米国977,028911,819△65,209△6.7% 欧  州 363,926336,862△27,064△7.4% アジア153,669132,262△21,407△13.9% 内、中国8210△821△100.0% その他 453,915445,911△8,004△1.8%合計 2,785,6142,656,592△129,022△4.6% (注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2024年1月から2024年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2024年4月から2025年3月までである。2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれない。 (2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであり、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものである。 ① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。連結財務諸表を作成するにあたって、重要な見積りは以下のとおりである。なお、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の適用に伴い、翌連結会計年度に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5[経理の状況]の1[連結財務諸表等]の(重要な会計上の見積り)に記載している。 a.製品保証引当金当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、類似の費用特性を有する製品グループごとに保証経過期間における発生費用総額に対して、過去実績に基づく保証期間内の費用発生パターンを見積もり、引当金を算定している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、研究開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用の発生パターンの実績が見積りと乖離した場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。b.退職給付費用当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率、退職率及び死亡率などの年金数理計算上の基礎率及び年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されている。ただし、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外子会社においては、年金資産の期待運用収益率ではなく、利息純額として年金数理計算上の割引率と同じ指標が用いられている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度における経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討結果は、次のとおりである。(業績)a.売上高連結売上高は前連結会計年度に対し525億円(0.4%)減少し、12兆6,332億円となった。これは主に、為替変動による増益影響はあったものの、販売台数の減少によるものである。b.営業利益連結営業利益は698億円となり、売上高営業利益率は0.6%となった。前連結会計年度の5,687億円の利益に対し4,989億円(87.7%)の減益となった。これは主に、販売台数の減少、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。c.営業外損益連結営業外損益は1,404億円の利益となり、前連結会計年度の1,334億円の利益に対し、69億円の増益となった。d.特別損益連結特別損益は6,238億円の損失となり、前連結会計年度の1,029億円の損失に対し、5,209億円の悪化となった。これは主に、減損損失及びリストラクチャリング費用の計上によるものである。e.法人税等法人税等は2,465億円となり、968億円(64.7%)の増加となった。f.親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純損失は6,709億円となり、前連結会計年度に比べ1兆975億円の悪化となった。 (事業セグメント)a.自動車事業当社グループのグローバル小売台数は334万6千台となり、前連結会計年度に比べ9万6千台(2.8%)の減少となった。日本国内では前連結会計年度に比べ4.8%減の46万1千台、メキシコとカナダを含む北米では前連結会計年度に比べ3.3%増の130万3千台、欧州では前連結会計年度に比べ2.9%減の35万1千台、中国では前連結会計年度に比べ12.2%減の69万7千台、その他地域では前連結会計年度に比べ1.2%減の53万5千台となった。自動車事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は11兆6,455億円となり、前連結会計年度に比べ1,370億円(1.2%)の減収となった。営業損失は2,680億円となり、前連結会計年度に比べ4,896億円の悪化となった。これは主に、販売台数の減少、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。なお、当連結会計年度におけるセグメント間の取引消去額を含む自動車事業の営業損失は2,158億円となった。 b.販売金融事業販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1兆2,621億円となり、前連結会計年度に比べ1,003億円(8.6%)の増収となった。営業利益は2,856億円となり、前連結会計年度に比べ231億円(7.5%)の減益となった。これは主に、為替変動による増益影響はあったものの、クレジットロスの正常化及び金利上昇に伴う資金調達コストの増加によるものである。 (地域セグメント)a.日本日本国内市場の全体需要は前連結会計年度に比べ1.0%増加し458万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ4.8%減の46万1千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.6ポイント減の10.1%となった。この結果、日本地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は4兆8,581億円と、前連結会計年度に比べ898億円(1.8%)の減収となった。営業利益は1,337億円となり、前連結会計年度に比べ256億円(23.7%)の増益となった。これは主に、国内販売及び輸出台数の減少はあったものの、為替変動の影響によるものである。b.北米メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前連結会計年度に比べ3.0%増加し1,936万台となり、当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ3.3%増の130万3千台となった。一方で、北米地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は7兆1,669億円と、前連結会計年度に比べ1,124億円(1.5%)の減収となった。営業損失は383億円となり、前連結会計年度に比べ3,728億円の悪化となった。これは主に、モノづくりコストの減少はあったものの、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。米国市場の全体需要は前連結会計年度に比べ2.2%増加し1,602万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ2.5%増の93万8千台となり、市場占有率は前年同水準の5.9%となった。c.欧州ロシアを含む欧州市場の全体需要は前連結会計年度に比べ4.7%増加し1,712万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ2.9%減の35万1千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント減の2.0%となった。この結果、欧州地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆7,886億円と、前連結会計年度に比べ819億円(4.4%)の減収となった。営業損失は988億円となり、前連結会計年度に比べ814億円の悪化となった。これは主に、モノづくりコストの減少はあったものの、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。d.アジアアジア市場の小売台数(中国を除く)は前連結会計年度に比べ16.8%減の9万7千台となった。アジア地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆6,475億円と、前連結会計年度に比べ397億円(2.5%)の増収となった。営業利益は573億円となり、前連結会計年度に比べ519億円(47.6%)の減益となった。これは主に、タイの輸出台数の減少及び中国における販売金融事業の収益悪化によるものである。中国市場の全体需要は、前連結会計年度に比べ1.6%増加し2,514万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ12.2%減の69万7千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.4ポイント減の2.8%となった。これは主に、価格競争の激化及びICE車から新エネルギー車へのシフトが加速したことによるものである。なお、合弁会社である東風汽車有限公司の業績は、持分法による投資損益として営業外損益に計上している。 e.その他大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等における当社グループの小売台数は、前連結会計年度に比べ3.1%増の43万8千台となった。中南米市場の小売台数は前連結会計年度に比べ0.1%減の16万7千台、中東市場の小売台数は前連結会計年度に比べ11.1%増の16万9千台、南アフリカ等のアフリカ市場の小売台数は前連結会計年度に比べ0.6%減の5万4千台となった。大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆5,447億円と、前連結会計年度に比べ300億円(2.0%)の増収となった。営業利益は25億円となり、前連結会計年度に比べ248億円(91.0%)の減益となった。これは主に、為替変動の影響及び新車の立ち上げ費用によるものである。 (資本の財源及び資金の流動性についての分析)当社グループは、グローバルに展開するグループ会社の資金状況を当社にて一括管理し、グループの資金効率を高めている。当社グループの資金需要としては、自動車事業における研究開発費及び設備投資と、販売金融事業における金融資産の取得原資などがある。これらの必要資金を安定的に確保するため、運転資金効率の改善を含めた自動車事業の営業キャッシュ・フローの向上やグループ内の余剰資金の活用により、内部資金を最大限に利用している。また、外部調達としては、銀行借入やコマーシャル・ペーパー及び社債の発行のほか、販売金融事業ではリースを含む保有金融債権の流動化も行い、各地域での金融市場の特性や状況に応じて調達手法を最適に組み合わせることで、低コストでの資金調達を実現している。なお、研究開発費及び設備投資については、電動化、モビリティ革新、グローバルなエコシステムの構築といった重点分野に集中して投入している。また、販売金融事業における自動車ローンや自動車リースを中心とした金融資産の取得については、常に資産の質を重視して管理している。株主への配当については、収益及びキャッシュ・フロー等の状況を総合的に勘案し決定している。流動性について、当社グループは、継続的な事業運営のための資金調達や満期債務の返済に加えて、地政学的リスクや金融市場の想定外の変化にも対応できるよう、常に十分な流動性の確保を図っている。2025年度の自動車事業における満期債務は合計7,083億円あり、金融市場の状況に応じて適切なリファイナンス手段を検討する。2025年3月末の自動車事業のネットキャッシュは1兆4,984億円と潤沢であるものの、様々なマーケット変化に対応すべく、当社グループは従来から世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、販売金融事業による資産担保コマーシャル・ペーパー発行枠を含む未使用のコミットメントラインとして2025年3月末時点で2兆1,125億円を自動車事業と販売金融事業を合わせたグループ全体で保有している。また、2025年3月末時点での自動車事業における手元資金は2兆1,598億円である。これらにより当社グループの流動性は十分に高い水準にあると考えている。販売金融事業は一貫して利益をあげており、親会社の自動車事業へ配当を分配している。2024年度には、販売金融事業は3,261億円の配当を自動車事業へ分配しており、2020年度から2023年度までの累計配当額は8,067億円となっている。当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付及びマーケット環境によっている。ムーディーズ(Moody's)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)及び格付投資情報センター(R&I)による2025年6月6日時点での当社の長期信用無担保格付は以下のとおりである。これら国内外格付機関によって当社の長期信用無担保格付が引き下げられているものの、当社グループは銀行借入や社債等に加えて、長期信用無担保格付の引き下げに左右されにくい資金調達手段であるリースを含む保有金融債権の流動化を通じた資金調達も検討している。なお、これらの格付は当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。また、当社グループの無担保金融債務やコミットメントラインについて、格付の見直しにより強制的に返済の必要が生じたり新たな借入が制限される条件が付されているものはない。 Moody'sS&PFitch RatingsR&I長期格付Ba2BBBBA- なお、当社グループは、事業の中核と位置付けているサステナビリティの推進に必要となる資金を調達するため、2022年7月にサステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定し、フレームワークに基づき2022年度に資金調達を行った。また、本フレームワークは2024年7月に更新されている。本フレームワークを通じて調達した資金は、バッテリーを含む電動車の開発や生産、EVエコシステム・スマートシティの実現に向けた技術開発やインフラ整備、より安全で持続可能なモビリティの開発など、幅広い取り組みに使用されている。 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は以下のとおりである。 営業活動営業活動による収入は7,537億円となり、前連結会計年度の9,609億円の収入に比べて2,072億円減少した。これは主として、運転資本の改善があった一方で、自動車事業の収益の減少によるものである。投資活動投資活動による支出は9,712億円となり、前連結会計年度の8,127億円の支出に比べて1,586億円増加した。これは主として、設備投資が増加したことによるものである。財務活動財務活動による収入は2,633億円となり、前連結会計年度の1,316億円の支出に比べて3,948億円の収入の増加となった。これは主として、短期借入金による資金調達が増加したことによるものである。なお、当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュフローは前連結会計年度に比べ5,658億円悪化し、2,428億円のマイナスとなった。また、当連結会計年度末における自動車事業のネットキャッシュは1兆4,984億円となり、前連結会計年度末から476億円減少した。 セグメント別の内訳は以下のとおりである。前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー698,060262,839960,899投資活動によるキャッシュ・フロー△375,028△437,636△812,664小計:フリーキャッシュフロー323,032△174,797148,235財務活動によるキャッシュ・フロー△298,193166,642△131,551 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー157,456596,231753,687投資活動によるキャッシュ・フロー△400,272△570,955△971,227小計:フリーキャッシュフロー△242,81625,276△217,540財務活動によるキャッシュ・フロー365,016△101,765263,251 対前年度増減(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー△540,604333,392△207,212投資活動によるキャッシュ・フロー△25,244△133,319△158,563小計:フリーキャッシュフロー△565,848200,073△365,775財務活動によるキャッシュ・フロー663,209△268,407394,802

事業リスク

  • 世界経済の変動
    日本、中国、北米、ヨーロッパといった主要市場の経済状況や景気動向は、日産車の需要に大きな影響を与えます。関税政策の変更、インフレーション、地政学リスク、パンデミックなど予測不能な経済変動が発生した場合、自動車販売の減少や生産コストの増加により、日産グループの業績や財務状況が悪化する可能性があります。
  • 自動車市場の構造変化
    自動車業界は電動化の進展、CASE/SDVといった技術革新により、従来のビジネスモデルが大きく変革しています。ソフトウェアが車の付加価値の中心となることで、ハードウェア開発の強みが相対的に低下する可能性があります。これらの変化への対応が遅れた場合、競争力を失い、業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 為替レートの変動
    日産は多くの国で生産・販売を行っており、連結財務諸表は日本円で表示されます。そのため、円高は海外での収益を円換算した際に目減りさせ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、生産地域の通貨価値上昇は生産コストを押し上げ、競争力低下に繋がるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|12,582 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものである。 1.世界経済や景気の急激な変動(1) 経済状況当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況の影響を強く受けている。従って、日本、中国、北米、ヨーロッパなど、当社グループの主要な市場における経済や景気動向、各国の関税政策・インフレーション・市況変動とそれに伴う需要の変動については可能な限り正確な予測に努め必要な対策を行っている。しかしながら、第2次トランプ政権による関税政策は、日々状況が変わり先行きを見通すことが非常に困難であり、また、世界同時不況やパンデミック、複雑化する地政学リスクなど予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (2) 資源エネルギー情勢原油、天然ガス、再生エネルギー等の価格高騰など資源やエネルギー情勢の急激な変化により当社グループの製品・サービスに対する需要も大きく変動する。ガソリン価格が上昇すれば燃費の良い製品に需要がシフトすることが予測され、更に上昇すれば全体の需要は低下することも予測される。鉄、アルミ、樹脂といった従来の自動車の原材料に加えて、リチウム、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウムといった希少金属の価格に予測を超えた急激な変動がある時は、業績の悪化や機会損失の発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 2.自動車市場における急激な変動自動車業界は、世界的に非常に厳しい状況と不確実な競争に直面している。また、第2次トランプ政権による関税政策など、事業環境は大きく変化している。このような外部環境の中で、当社グループもその競争に打ち勝つべく、お客様のニーズにあった製品・サービスを素早く提供できるように技術開発・商品開発や販売戦略において努力している。しかしながら、お客様ニーズに合う製品・サービスをタイムリーに提供できなかった場合や、環境や市場の変化への対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 例えば、成熟市場では人口の減少や少子高齢化の進行により需要が減退したり変化したりする一方で、新興市場では大きく需要が増える可能性もある。これらはビジネスチャンスとして当社グループに有利な結果をもたらす可能性もある一方、特定商品や特定地域への過度な依存が発生し、次なる変化への対応が十分に行われない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 また、車両の電動化が進み、各国での温室ガス排出に対する規制が強化されており、カーボンニュートラルに向けたライフサイクルでの取り組みが必須となってきている。これらの社会・環境要請に対応する取り組みが遅れた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 さらに、CASE(Connected, Autonomous, Shared, and Electric)やSDV(Software Defined Vehicle)などの技術革新が進むことにより、今後、カーシェアリング、ライドシェアリング、ロボットタクシーといった業態が普及し、「自動車メーカーがハードウエアとしてのクルマを製造・販売し、お客様はそのクルマを購入・所有・使用する」という従来のビジネスモデルが大きく変革していくことが想定される。また、自動車の付加価値の中心がハードウエアとしてのクルマの性能から、ソフトウエアの活用によるお客様へのサービス・体験の提供へ移ることが想定される。その結果、ソフトウエアの部分での魅力が他社との差異化のポイントとなり、予てより当社の強みであったクルマというハードウエアを開発・量産するというノウハウや専門性がそれ程の付加価値を生まないものとなっていく可能性もある。また、新技術の開発という点では、各国、メーカー共に激しい競争状態にあり、開発費負担の増大、車両コストの増加等により、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。これらの自動車市場の変化に対して、可能な限り的確な予測に努め必要な対策を行っているが、我々の想定を超えた速度や範囲で変革が起き、そのような変化に対して十分に対応できない場合には、我々は競争相手に対して優位性を保つことができず、競争力を失う可能性もある。 3.金融市場に係るリスク(1) 為替レートの変動当社グループは世界13の市場で完成車の生産を行い、およそ160の市場で販売をしている。原材料や部品、サービスの調達も多くの国で行っている。当社の連結財務諸表は日本円で表示するため、一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、反対に円安は好影響をもたらすことになる。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値が上昇した場合、それらの地域の生産コストを押し上げ、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性がある。当社グループでは、為替変動リスクを軽減するための根本的な対策として、生産の現地化や、原材料及び部品の外貨建てによる購入等の対応を行っている。しかしながら、為替リスクを完全に取り除くことは不可能であるため、想定を超えた変動が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (2) 通貨、金利並びにコモディティ価格のリスクヘッジ市場金利の上昇及びコモディティ価格の上昇は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは外貨建債権債務の為替変動のリスク回避、変動金利で調達した有利子負債の金利変動リスク回避及び、コモディティの価格変動リスク回避を目的として、デリバティブ取引を行うことがある。こうしたデリバティブ取引によりリスクを回避することができる一方で、為替変動、金利変動、コモディティ価格の変動によってもたらされる利益を享受できないという可能性もある。 (3) 有価証券の価格変動当社グループは、戦略的な理由や取引関係維持、キャッシュマネジメント等の理由により市場性のある有価証券を保有する場合があり、それらの有価証券の価格変動リスクを負っている。このため株価や債券価格の変動は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (4) 資金の流動性金融市場では通常の想定を超える環境変化が発生する場合がある。また、リクイディティ・リスクは国内外の格付機関による格付の引き下げによっても増加する。そのような事態に対処するため、当社グループでは十分な資金の流動性を確保できるよう社内規定を整備し、内部資金の蓄積や金融機関とのコミットメントライン、調達手段や調達地域の多様化等、あらゆる資金捻出・調達ソースの確保に取り組んでいる。また、当社グループは自動車事業において未使用のコミットメントラインや十分な手元資金を維持することにより、これらのリスクを低減させている。販売金融事業では、リースを含む保有金融債権の流動化も行いながら必要資金を十分に確保している。昨今、国内外の格付機関によって当社の長期信用無担保格付が引き下げられているものの、当社グループは銀行借入や社債等に加えて、長期信用無担保格付の引き下げに左右されにくい資金調達手段であるリースを含む保有金融債権のさらなる流動化を通じた資金調達も検討している。しかしながら市場環境に予期せぬ大規模な変化が発生した場合や国内外の格付機関によるさらなる格付の引き下げによっては、当初計画どおりの資金調達に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。 (5) 販売金融事業のリスク販売金融事業は消費者、法人顧客及び販売店に金融ソリューションを提供することにより、これら顧客による日産車の購入又は販売活動に資するものであり、当社グループにとって重要なビジネスのひとつである。販売金融事業は、徹底したリスク管理により適正な収益水準と健全な財務状態を維持しながら自動車販売をサポートしている。しかし、顧客に金融ソリューションを提供するため、販売金融事業は、金利リスク、信用リスク、残存価格変動リスク等のリスクにさらされている。これらのリスク要因が適切に管理されていないと当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。これらのリスクを軽減するため、販売金融事業は健全なポリシーとリスクマネジメントフレームワークを導入している。金利リスクの場合、当社グループは徹底した資産負債管理により期間と資産負債利率の不一致(固定金利対変動金利)の最小化、及び市場金利の変動に対するエクスポージャーの最小化に努めている。しかしながら、販売金融事業は国内外の格付機関による格付の引き下げ及びマクロ経済状況等の外部要因による金利コスト上昇の影響を受ける。信用リスクは、審査から回収までのサイクル全体に対して管理されている。審査において販売金融事業は、厳格な与信審査ポリシーに従い、顧客の支払能力、支払履歴、資産状況、適切な担保価値及び融資条件を勘案したうえで与信判断を行っている。与信期間中又は支払延滞があった場合、潜在的な損失を最小限に抑えるために綿密な回収戦略が実施される。残存価格変動リスクについては、当社グループは独立第三者による評価金額と過去の中古車価格の統計分析結果を基準に、部門横断的なチームにより適切な残存価値設定を行っている。また、新車販売のための販売インセンティブの適切なレベル及び施策を管理、適切なフリート販売台数の維持管理及び認定中古車の販売促進によるブランド価値構築を通じて日産車の将来的市場価値を高める戦略により、残存価格変動リスクの軽減に努めている。 (6) 取引先の信用等のリスク当社グループは販売会社、金融機関、サプライヤーなど様々な地域の数多くの取引先と取引を行っており、取引先の債務不履行などが発生するリスクにさらされている。当社グループは、これらの取引先の財務情報をもとに継続的な評価を行うことで、かかるリスクを削減するよう努めている。しかしながら、世界的な経済危機をきっかけにした、販売会社、金融機関及びサプライヤーの経営破たんのような予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループの主要サプライヤーであるマレリホールディングス株式会社は、2022年6月の民事再生法に基づく民事再生手続開始を申し立て以降、再建に向けた取り組みを進めている。2025年6月には、米国のデラウェア州連邦破産裁判所にて債権者の合意の下、連邦破産法第11条の手続きを開始し、以後引き続き、再建へ向けた取り組みを進めているが、かかるサプライヤーの債務不履行など信用リスクが顕在化するなどにより、かかるサプライヤーからの供給の停止、遅延又は不足による当社グループの操業の停止、生産の遅延又は減少、もしくは財務的負担の増加やコストの上昇が生じる可能性があり、当社グループの業績と財務状況に大きな負の影響を及ぼす可能性がある。 (7) 退職給付費用及び債務当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。 4.事業戦略や競争力維持に係るリスク(1) 国際的活動及び海外進出に関するリスク当社グループは世界13の市場で完成車の生産を行い、およそ160の市場で販売を行っている。海外市場への事業進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討も十分行っているが、アメリカ・中国及び中東をはじめとする不透明な世界情勢など進出した先で予期しないリスクあるいは想定を超えるリスクが顕在化した場合には計画どおりの操業度や収益性を実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。・ 政治的又は経済的要因・ 法律又は規制の変更・ 法人税、関税その他税制の変更及び移転価格税制等の国際税務問題による影響・ ストライキ等の労働争議・ 優秀な人材の採用と定着の難しさ・ テロ、戦争、クーデター、デモ、暴動、大規模自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱 (2) 研究開発活動当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはならない。この目的のため当社グループは、将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、電動化、自動運転化、コネクティビティ機能の強化、安全面の強化、モビリティサービス等にかかわる新技術の開発に投資している。しかし、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (3) 他企業との提携等当社グループは、「Nissan Ambition 2030」の達成に向けて、CASE(Connected, Autonomous, Shared, and Electric)やSDV(Software Defined Vehicle)などの技術革新に対応しより高い競争力を短期間で獲得するために、また現在の厳しい経営状況を考慮して、優れた技術・サービスを有する他の企業と戦略的に提携することがある。将来に想定されるビジネスモデルの変革も見据え、従来の自動車業界の企業との提携のみならず、業界の枠を超えた、異業種企業との戦略的な提携等の可能性も含まれる。しかしながら、当該分野の市場環境や技術動向の変化、提携先との活動の進捗状況によっては予定した成果を享受できない可能性もあり、その結果当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (4) 製品・サービスの品質当社グループは、優れた品質の製品・サービスを提供するため、開発・製造から販売・サービスまできめ細かい管理体制を敷き最善の努力を傾けている。しかしながら、より高い付加価値を提案するための新技術の採用は、それが十分に吟味されたものであっても、後に製造物責任や製品リコールなど予期せぬ品質に係る問題を惹起することがある。また、今後自動運転技術が発展し、かつ広く普及していった場合は、運転者の関与の希薄化に伴い、より製造者側の責任が問われるようになることも想定される。製造物責任については賠償原資を確保するため一定の限度額までは保険に加入しているが、必ずしもすべての損害が保険でカバーされるとは限らない。またお客様の安全のため実施したリコールが大規模なものになった場合には多額のコストが発生するだけでなく、ブランドイメージが低下する等、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (5) 気候変動によるリスク気候変動に影響を与えると言われている温室効果ガスは、2015年に採択されたパリ協定にてできるだけ早い時期にピークアウトすること、また、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)1.5℃特別報告書では、遅くとも2050年までにはネットゼロとすることが必要とされ、国の政策や企業の取り組みが増加している。当社グループは、事業活動やクルマによって生じる環境への依存と負荷を自然が吸収可能なレベルに抑え、豊かな自然資産を次世代に引き継ぐことを究極のゴールとしている。この実現に向け、クルマの原材料の調達から輸送、走行時などバリューチェーン各段階での排出量削減をサプライヤーと共に取り組んでおり、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム」でグローバルKPIと目標値を設定し、年次成果を公表している。特に自動車のバリューチェーン全体に占めるクルマの使用時に排出されるCO2量は、企業活動に伴う排出量に比較して著しく多く、全体の80%以上を占めている。よって、企業活動のみならずクルマの使用時についても、継続した削減が重要となる。2021年1月には、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの実現と、2030年代早期より主要市場に投入する新型車をすべて電動車とすることを目指すと発表した。環境対応と社会的価値の創出に向けて、活動を具体化させていく所存である。また、気候変動のような不確実な将来事象に起因するリスクと機会に対して、複数のシナリオでの変化を評価し、レジリエントな戦略とすることが重要と認識している。このシナリオ分析の実施によって明確になったインパクトを鑑みた戦略構築を行っている。 2024年3月には、リスクと機会への対策と、カーボンニュートラル実現に向けた一層の取り組み拡大をまとめた「ニッサン・グリーンプログラム2030」を発表。最も排出量の多いクルマの使用時については、2030年までに新車1台当たりのCO2排出量を2018年比で50%削減することを目標にしている。(日本、米国、欧州、中国の新車を対象)。シナリオ分析と合わせ、詳細は2025年7月末に当社企業サイトに掲載するサステナビリティデータブック2025や、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]にて紹介している。しかしながら社会全体の気候変動対策が遅れた場合、カーボンプライシングの導入や国境炭素税などの脱炭素社会へのさらなる政策や法規制、研究開発業務の増加、市場需要や企業評判の変化による移行リスクや、異常気象災害の増加や海面の上昇などの物理的リスクにより、それぞれのリスクに対応するコスト増とクルマの販売成績の低下によって財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (6) 環境や社会課題に関する規制、企業の社会的責任自動車業界は、排出ガス基準、CO2/燃費基準、騒音、化学物質管理、リサイクル、水資源、環境や安全性、人権等に係る様々な規制の影響を受けており、これらの規制はより一層厳格になってきている。当社はこれらの法規を遵守するだけでなく、さらに企業の社会的責任として、「ニッサン・グリーンプログラム2030」「ニッサン・ソーシャルプログラム2030」を掲げ、環境と社会課題に対する取り組みを加速している。法規や社会的な要請の高まりに伴い、対応のための開発や投資の費用負担は増加している。仮に、規制や社会的責任への対応が不十分と判断された場合には、リコール、認証の取り消し、罰金、社会的信用やブランドイメージが低下する等、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、上記取り組みを行ったとしても、株主やお客様等のステークホルダーから、他社との比較において優位性を持たないと評価された場合には株価や販売に負の影響を及ぼし、その結果当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (7) 重要な訴訟等当社グループが事業活動を進めていく中で、様々な訴訟が起きることがある。それら訴訟については、当社グループ側の主張又は予測と異なる結果となるリスクは避けられず、場合によっては当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (8) 知的財産保護当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを保持している。これらの知的財産は今後の当社グループの発展に不可欠なものであり、当社グループは専門の部署を設け知的財産を保護しているが、第三者が当社グループの知的財産を侵害した製品を製造・販売することを、すべて防止できない可能性がある。 (9) 優秀な人財の確保当社グループでは人財はモノづくりをはじめとする競争力の源泉であり、最も重要な資産と考えている。「Nissan Ambition 2030」で掲げた目標及びそれを実現するための人材戦略については、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]にて述べたとおり、人財育成の投資や評価報酬制度の充実にも力を入れている。しかしながら優秀な人財確保のための競争は厳しく、計画どおりに採用や定着化が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性がある。 (10) コンプライアンス、レピュテーション2017年に発生した、当社国内車両製造工場における完成検査に係る不適切取扱いの案件を受けて、当社は再発防止に向けた取り組みを進めてきた。特に、完成検査トレーサビリティシステムの導入、経営会議メンバーの工場訪問などによる風通しの良い職場づくり、コンプライアンス意識向上のためのコンプライアンスイベントの開催やコンプライアンス教育など、完成検査問題の風化を防止するための取り組みを継続して実施している。一方、2018年から2019年にかけて、当社の元代表取締役による不正行為を受けて、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年6月、東京証券取引所に一連の問題の経緯とその改善措置を記載した「改善報告書」を提出し、2020年1月には改善措置の実施状況及び運用状況を「改善状況報告書」として同取引所に提出した。2023年11月に規制当局の承認を受け、新たなアライアンス契約が発効した。これに伴い、独占禁止法等の遵守と抵触防止の活動にも、継続して取り組んでいく。また、2024年3月に当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受け、2025年3月に「改善報告書」を提出した。勧告においては、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、受け取った割戻金の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に抵触すると判断されたものである。当社は、下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用も廃止した。当社は、法の遵守状況についての定期的な点検体制の強化、役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施など、法令遵守体制の強化を行うとともに、再発防止策の徹底ならびに今後の取引適正化に全社的に取り組んでいく。当社は引き続き、ガバナンスの改善、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めている。しかしながらコンプライアンスの問題は全ての従業員、全ての役員のあらゆる行動にかかわっており、会社全体でコンプライアンスの重要性を明確に認識するとともにその実効性を担保するための環境を整備し、一人一人がコンプライアンスの重要性を本当の意味で理解し、常に意識して行動することが定着しない限りは案件の発生を完全に防止することは困難である。もし求められるガバナンスを十分に実現できなかったり、再び重大なコンプライアンス違反の発生を許したりした場合には、当社グループの社会的信用及びブランドや製品に対する信頼は失われ、当社グループの業績に極めて大きな影響を与える可能性がある。2020年より、国連の「国際腐敗防止デー」が設けられた12月に「日産エシックス・デー」を開催し、全地域の従業員を対象として業務に関する行動を振り返り、日産の価値観をいかに日々の業務において実践できるかについて全社的な振り返りを行っている。さらに守るべき法令やルールは年々増加している一方で企業の社会的責任に対する社会の期待や要求も増大している。仮に、企業の社会的責任に照らして不適切な行為を行ったのが2次3次以降のサプライヤーや販売者であったり、あるいは当社グループが想定した販売ルート以外で流通した製品に関連するものであっても、当社グループ自身が社会的責任を追及され、対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 5.事業の継続(1) 大規模災害日本を本拠とする当社グループとして、地理的リスクについては地震(津波)・水害(台風・洪水)リスクを重点管理すべきリスクと位置付けている。地震リスクについて当社グループでは、地震リスクマネジメントに関する基本方針を設定するとともに、主要な経営会議メンバーで構成されるグローバルベースの災害対策組織を設置している。また、工場などの建屋や設備などの耐震補強も積極的に推進している。なお、火山の噴火についても地震対策の中で対策を講じるべく検討を推進している。しかし、想定を超えた大規模な地震により大きな損害が発生し、操業を中断せざるを得ないような場合は、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。さらに、地震(津波)、昨今急増している水害(台風・洪水)並びにパンデミックについても、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備、停電時に電気自動車の電池を非常用電源として活用する仕組みの構築等を行っているが、想定を超えた規模で発生した場合などは当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨や2019年の台風15号・19号等の災害を契機として、下記のような従来想定していなかった様々なリスクも顕在化した。・ 計画停電の実施や長期にわたる電力不足により、工場の操業が大きく制限されるリスク・ 原子力発電所からの放射能汚染による立入制限や避難指示により、対象地域内の工場やサプライヤーが復旧又は操業できないリスク・ 放射能汚染を理由とする、部品・製品の受け入れ制限や遅延のリスク、及び風評による売れ行き低下のリスク・ 「南海トラフ巨大地震」等で想定される、従来の高さと範囲を大きく超える津波のリスク・ 日本国内各地に数多く存在する活断層型の地震によりサプライヤーが被災し、工場の操業が大きく制限されるリスク・ 台風・豪雨(突風)により大きな被害となる土砂崩れや広範囲での停電当社グループではこれら顕在化した問題に対しても一つ一つ対策を検討・実行し、問題解決の努力を続けているが、当社グループだけでは対応できない問題も多く、また、対応のためのコストも発生するため、業績や財務状況に対する影響は避けられない可能性がある。 (2) 原材料及び部品の購入当社グループは事業の構造上、多数の取引先から原材料や部品及びサービスを購入している。また、電動化の拡大や新技術の導入に伴い、産出量が少ない、又は産出が特定の国や地域に限られる希少金属の使用も増えており、結果として需給バランスの急激な変動などによる原材料の価格高騰や供給ひっ迫、災害、パンデミック、又は人権侵害などの発覚、産出国における政情の変化や昨今の突然の輸出規制等のリスクにさらされている。当社グループでは、これらのリスクを最小化するため、サプライヤーと連携した事業継続計画(BCP)レベル向上の活動や、代替サプライヤーの検討、サプライチェーン全体での在庫の確保など、購入品の安定的な供給体制強化に継続的に取り組んでいる。しかし予期せぬ市況状況の変化が起こった場合は、必要な原材料・部品等を継続的・安定的に確保できなくなる可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (3) 特定サプライヤーへの依存より高い品質や技術をより競争力ある価格で調達しようとすると、発注が特定のサプライヤーに集中せざるを得ないことがある。また、特別な技術や生産工程を要するものについてはそもそも提供できるサプライヤーが限定されることもある。例えば、世界的な半導体供給のひっ迫は当社グループの生産計画に対して大きな影響を与えうる。当社グループでは、リスクを最小化するため、2次3次以降のサプライヤーを含めた代替サプライヤーの検討、サプライチェーン全体での在庫の確保、業界としての安定調達の取組みへの参画、半導体サプライヤーとの長期供給契約など、サプライチェーンの見直しと強化に継続的に取り組んでいるが、予期せぬ事由によりサプライヤーからの供給が停止したり、遅延や不足が生じた時は、当社グループの操業も停止し、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループの主要サプライヤーであるマレリホールディングス株式会社は、2022年6月の民事再生法に基づく民事再生手続開始を申し立て以降、再建に向けた取り組みを進めている。2025年6月には、米国のデラウェア州連邦破産裁判所にて債権者の合意の下、連邦破産法第11条の手続きを開始し、以後引き続き、再建へ向けた取り組みを進めているが、かかるサプライヤーからの供給の停止、遅延又は不足による当社グループの操業の停止、生産の遅延又は減少、もしくは財務的負担の増加やコストの上昇が生じる可能性があり、当社グループの業績と財務状況に大きな負の影響を及ぼす可能性がある。 (4) 情報システムに係るリスク当社グループのほとんど全ての業務は情報システムに依存しており、システムやネットワークも年々複雑化高度化している。今や、これらシステムネットワークのサービス無くしては業務の遂行は到底不可能である。この状況に対して大規模な自然災害、火災、停電等の事故は引き続き当該システムに対して脅威であり、更にコンピュータウイルスへの感染やより巧妙化しているサイバー攻撃など人為的な脅威も急激に高まっている。当社グループではそれらのリスクに備え事業継続計画(BCP)の策定、システム及びインフラの老朽化更新、サイバーセキュリティ対策の向上等、ハード面・ソフト面両方にわたる様々な対策を実施している。しかしながら、想定を超える災害の発生、サイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏えい等のインシデントを引き起こす可能性、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性(サプライヤーに起因する影響も含む)もある。その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

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