経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「精密加工」「精密成形」「光学技術」を技術的な基盤とし、「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」といった成長市場に向けて、社会の維持継続・進歩発展に貢献する商品を供給しております。これらの市場は総じて変化のスピードが速く、世界の競合企業との競争環境は年々厳しさを増しております。併せて、米中間を中心とする貿易摩擦、東欧や中東地域の紛争、資源価格や材料価格の高騰、各国の金利政策やこれに伴う為替の変動等、当社グループを取り巻く事業環境は日々刻々と変化しています。 そうした中で当社グループは、環境の変化を自らの成長の機会に転換し、いかなる事業環境下でも企業価値を向上させることのできる強固な経営基盤を確立するべく、中期経営計画『マスタープラン2022』を遂行中です。『マスタープラン2022』は2022年度を初年度とする5ヶ年の経営計画です。長期的に当社グループが目指す企業像を次のとおり定め、社会課題解決への貢献を通して存在感のある企業グループとなるべく努めてまいります。 ■目指す企業像「社会に必要とされる企業」 ~社会の維持継続/進歩発展に貢献する~ 中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループが目指す企業像を実現するために対処すべき課題として次の4点を認識しております。(1)顧客接点の活性化 当社グループが事業を営む情報通信、エレクトロニクス関連市場は5Gの商用化やAI、IoTの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、今後も中長期的に市場の成長が続くと見込まれております。また、自動車関連市場も、 CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎え、成熟しながらも進化が続く見通しであります。こうした市場の変化は当社グループにとって成長の機会である一方、変化のスピードに遅れを取れば、世界の競合企業にシェアを奪われることとなります。 市場環境の変化を迅速に読み取り、他社に先駆けて的確な対応策を実行していくためには、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを通して、市場に求められるニーズと当社グループが有する技術や製品との接点を把握することが重要です。顧客との接点を担う営業員には、社内の営業会議や社員研修等により最新の情報とスキルをインプットし、個の能力と顧客に提供するサービスの質を高めてまいります。 当社グループの連結売上高のうち、取引金額の上位10社で約60%を占めています(2024年度実績)。こうした重要顧客との取引シェアをさらに拡大していくためには、顧客の経営課題や技術課題を共有し、その解決に向けてともに取り組んでいくことが必要です。当社グループがビジョンに掲げる「ベストパートナー」となるべく、既存顧客との関係性を深めてまいります。 また、新しい顧客と出会う機会を数多く作り出すため、展示会への出展や新聞、雑誌等へのプレスリリース、ホームページ等のメディア等を通して当社グループの技術や製品を積極的に広報すると共に、商社や販売代理店とも連携を強化し、市場での認知度を高めてまいります。並行して新製品、新技術の開発からリリースまでの時間を短縮し、技術、品質、性能の各面で顧客の期待を超えるサービスを提供してまいります。 (2)新製品・新技術開発の加速 当社グループは、創業以来培ってきた精密加工、精密成形、光学技術のコアテクノロジーを活用して、情報通信、自動車、医療・バイオ等の成長市場に向けて商品やサービスを提供しています。中期経営計画『マスタープラン2022』の中では、2026年度末の連結売上高に占める新製品比率を30%以上とする計画を定め、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。 当社グループは、提供する商品やサービスは、顧客の成長を支援し、社会の維持継続や進歩発展に貢献するものでなければならないと考えています。過去には光ディスク成形用金型や光コネクタ研磨機といった、まだ世の中に存在していない新しい技術や製品を開発し、CDやDVD等の光ディスクの普及や、光通信によるインターネット環境の構築に貢献してまいりました。当社が株式会社東海理化様と共同で開発した「型内塗装技術」は、塗装工程を金型内で行うことにより成形品の生産効率を向上し、生産過程で排出する温室効果ガスを約60%削減することができる画期的な技術です。2025年4月、この「型内塗装技術」により成形したステアリングスイッチ構成部品が、トヨタ自動車株式会社様のハイエースに初めて採用されました。新製品・新技術開発を担う技術員は、社会の維持継続や進歩発展に寄与する製品開発を行うために、常に技術力を研鑽するとともに、顧客とのコミュニケーションを通して市場の情報を捉え、その製品開発が社会に役立つ姿を検証しています。 市場にリリースする商品やサービスが社会に大きく貢献するためには、タイミングが極めて重要です。ニーズが成熟し、市場に他社の類似製品が出た後でリリースすることになれば、社会への貢献は限定的な範囲に留まることとなってしまいます。そのため当社グループは、新製品や新技術の各開発案件のターゲットとなる市場や顧客、想定される業績インパクト等、各開発案件の目的とその進捗状況をグループ内で共有しております。開発担当者の意識向上を促しながら、社会に必要とされる最適なタイミングで市場にリリースできるよう、新製品や新技術の開発マネジメントの強化に取り組んでおります。 また当社は、2024年度末時点で国内外に169件の特許を保有しています。特許は他社との差別化を図り、技術的な優位性を担保するうえで重要なツールです。一方、技術内容によっては特許として公開せず、社内にノウハウとして留めておく方が効果的な場合もあります。当社は、2026年度末時点の特許登録件数を2021年度末から30%以上増加させることを目指し、ノウハウとして秘匿する技術情報を戦略的に判断しながら、競合する企業に対して技術的な優位性を確立していく考えです。 (3)ものづくり力の強化 当社グループは、これまで、自動車向けの部品や金型、光コネクタ研磨機等は主に日本で生産し、光コネクタは主に中国で生産しておりました。近年、資源価格や材料価格、人件費の高騰が続いており、製造原価の低減が重要な経営課題となっています。 当社グループでは、十分な収益を確保しながら競争力のある売価を設定できるよう、生産工程の機械化による生産効率の向上に取り組んでいます。当社は、国内子会社の不二電子工業株式会社との共同プロジェクトを2018年に立ち上げ、車載用成形品のバリ取り工程や検査工程の自動機を当社が開発し、不二電子工業に供給してまいりました。今後はAIの活用やIoTの導入も視野に、さらなる生産効率の向上を図っていく計画です。さらに、データセンター向けの光コネクタ「Intelli-Cross Pro」の組立から検査、梱包までを一貫して行う自動組立装置も社内で開発しました。この自動組立装置を用いて日本での量産を開始しており、生産効率の向上と供給体制の多様化を進めています。現在は、一昨年にタイ王国に新設した子会社SEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.においても光コネクタの量産試作を開始しています。BCPの観点からも、コスト競争力のある高品質な製品を、複数の生産拠点から供給できる体制の構築に取り組んでおります。 また当社は、2024年10月に、宮城県に本社を置く株式会社エムジーを連結子会社化いたしました。同社は1970 年の創業以来、射出成形に関わる高度で多様な技術を獲得し、自動車や文具、医療等の市場に向けてプラスチック成形品やプラスチックマグネット成形品を供給しております。同社の秀でた射出成形技術と自動成形技術を当社グループ内に取り込むことで、より幅広い産業領域に向けて高品質で多様な成形品を供給していくことが可能になると考えております。 当連結会計年度には、当社グループの一部の製品に対する需要が急増し、受注から出荷までのリードタイムが通常の2倍から3倍程度に延びる事態が生じました。当社では、複数の事業部門間の需給状況の変化に応じて柔軟な人員体制を組めるよう、従来から製造部門を事業部門から切り離し、独立した組織としております。当連結会計年度においても、社内人員を当該製品の生産ラインに振り向けたほか、部材の調達先を新たに開拓して生産キャパシティを拡大し、リードタイムの短縮に努めました。今後も「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の最適なバランスを実現することで顧客から最も頼られる存在となれるよう、引き続き取り組んでまいります。 (4)経営基盤の強化 永続的な企業価値の成長を実現し、真に社会に必要とされる企業となるためには、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各側面のサステナビリティ活動を通して経営基盤を強化することが重要と考えています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループ全体のサステナビリティ活動を統括する組織として、社長直轄の「サステナビリティ推進室」を設置しております。 環境面においては、『マスタープラン2022』の最終年度となる2026年度に、自社排出量を2020年度比17%削減することを目指し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでおります。当連結会計年度においては、社用車の一部を電気自動車に切り替えたほか、引き続き社内の空調設備やLED照明の更新を行いました。当社が本社を構える千葉県松戸市からは、脱炭素に向けた取り組みを率先して行っている事業者として、2022年12月に「まつど脱炭素社会推進事業所登録制度」の登録を受けています。さらに2023年12月には、松戸市独自のSDGs宣言制度「まつどSDGsキャラバンメンバーシップ制度」に認定・登録されております。 社会面においては、多様な人材が健康に活き活きと働ける環境づくりを目指して、2022年10月に「健康企業宣言」を行いました。当連結会計年度は、ウォーキングイベントを実施したほか、新たに当社オリジナルの「ポイント制度」を導入しました。この「ポイント制度」は、社員自身の健康的なアクションに対する「健康ポイント」と、社員同士が日々の些細な感謝の気持ちを相手に贈る「サンクスポイント」で構成されており、健康増進と社内コミュニケーションの活性化を目的としています。2024年9月には、厚生労働省より子育てサポート企業として認定を受け、「くるみん認定」を取得しました。本年3月には、前年に引き続き、経済産業省と日本健康会議が顕彰する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されております。 企業統治面においては、2016年に監査等委員会設置会社へと移行しました。当連結会計年度末現在、10名の取締役のうち4名の独立社外役員を選任しており、取締役会の監視機能の強化を図っております。また、当社グループの中長期的な業績や株式価値と、取締役報酬との連動性を明確にする目的で、2016年に取締役に対して業績連動型株式報酬制度を導入しております。昨年6月に開催された第52回定時株主総会では23期ぶりに代表取締役が改選となったほか、3名の取締役が新たに選任され、経営体制の刷新を図りました。 当社グループは、中期経営計画『マスタープラン2022』で明確化した方針と施策を遂行することにより、成長の土台となる経営基盤を一層強化し、より幅広い産業領域において永続的に社会の発展に貢献する企業グループとなるべく、引き続き努力してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「精密加工」「精密成形」「光学技術」を技術的な基盤とし、「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」といった成長市場に向けて、社会の維持継続・進歩発展に貢献する商品を供給しております。これらの市場は総じて変化のスピードが速く、世界の競合企業との競争環境は年々厳しさを増しております。併せて、米中間を中心とする貿易摩擦、東欧や中東地域の紛争、資源価格や材料価格の高騰、各国の金利政策やこれに伴う為替の変動等、当社グループを取り巻く事業環境は日々刻々と変化しています。 そうした中で当社グループは、環境の変化を自らの成長の機会に転換し、いかなる事業環境下でも企業価値を向上させることのできる強固な経営基盤を確立するべく、中期経営計画『マスタープラン2022』を遂行中です。『マスタープラン2022』は2022年度を初年度とする5ヶ年の経営計画です。長期的に当社グループが目指す企業像を次のとおり定め、社会課題解決への貢献を通して存在感のある企業グループとなるべく努めてまいります。 ■目指す企業像「社会に必要とされる企業」 ~社会の維持継続/進歩発展に貢献する~ 中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループが目指す企業像を実現するために対処すべき課題として次の4点を認識しております。(1)顧客接点の活性化 当社グループが事業を営む情報通信、エレクトロニクス関連市場は5Gの商用化やAI、IoTの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、今後も中長期的に市場の成長が続くと見込まれております。また、自動車関連市場も、 CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎え、成熟しながらも進化が続く見通しであります。こうした市場の変化は当社グループにとって成長の機会である一方、変化のスピードに遅れを取れば、世界の競合企業にシェアを奪われることとなります。 市場環境の変化を迅速に読み取り、他社に先駆けて的確な対応策を実行していくためには、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを通して、市場に求められるニーズと当社グループが有する技術や製品との接点を把握することが重要です。顧客との接点を担う営業員には、社内の営業会議や社員研修等により最新の情報とスキルをインプットし、個の能力と顧客に提供するサービスの質を高めてまいります。 当社グループの連結売上高のうち、取引金額の上位10社で約60%を占めています(2024年度実績)。こうした重要顧客との取引シェアをさらに拡大していくためには、顧客の経営課題や技術課題を共有し、その解決に向けてともに取り組んでいくことが必要です。当社グループがビジョンに掲げる「ベストパートナー」となるべく、既存顧客との関係性を深めてまいります。 また、新しい顧客と出会う機会を数多く作り出すため、展示会への出展や新聞、雑誌等へのプレスリリース、ホームページ等のメディア等を通して当社グループの技術や製品を積極的に広報すると共に、商社や販売代理店とも連携を強化し、市場での認知度を高めてまいります。並行して新製品、新技術の開発からリリースまでの時間を短縮し、技術、品質、性能の各面で顧客の期待を超えるサービスを提供してまいります。 (2)新製品・新技術開発の加速 当社グループは、創業以来培ってきた精密加工、精密成形、光学技術のコアテクノロジーを活用して、情報通信、自動車、医療・バイオ等の成長市場に向けて商品やサービスを提供しています。中期経営計画『マスタープラン2022』の中では、2026年度末の連結売上高に占める新製品比率を30%以上とする計画を定め、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。 当社グループは、提供する商品やサービスは、顧客の成長を支援し、社会の維持継続や進歩発展に貢献するものでなければならないと考えています。過去には光ディスク成形用金型や光コネクタ研磨機といった、まだ世の中に存在していない新しい技術や製品を開発し、CDやDVD等の光ディスクの普及や、光通信によるインターネット環境の構築に貢献してまいりました。当社が株式会社東海理化様と共同で開発した「型内塗装技術」は、塗装工程を金型内で行うことにより成形品の生産効率を向上し、生産過程で排出する温室効果ガスを約60%削減することができる画期的な技術です。2025年4月、この「型内塗装技術」により成形したステアリングスイッチ構成部品が、トヨタ自動車株式会社様のハイエースに初めて採用されました。新製品・新技術開発を担う技術員は、社会の維持継続や進歩発展に寄与する製品開発を行うために、常に技術力を研鑽するとともに、顧客とのコミュニケーションを通して市場の情報を捉え、その製品開発が社会に役立つ姿を検証しています。 市場にリリースする商品やサービスが社会に大きく貢献するためには、タイミングが極めて重要です。ニーズが成熟し、市場に他社の類似製品が出た後でリリースすることになれば、社会への貢献は限定的な範囲に留まることとなってしまいます。そのため当社グループは、新製品や新技術の各開発案件のターゲットとなる市場や顧客、想定される業績インパクト等、各開発案件の目的とその進捗状況をグループ内で共有しております。開発担当者の意識向上を促しながら、社会に必要とされる最適なタイミングで市場にリリースできるよう、新製品や新技術の開発マネジメントの強化に取り組んでおります。 また当社は、2024年度末時点で国内外に169件の特許を保有しています。特許は他社との差別化を図り、技術的な優位性を担保するうえで重要なツールです。一方、技術内容によっては特許として公開せず、社内にノウハウとして留めておく方が効果的な場合もあります。当社は、2026年度末時点の特許登録件数を2021年度末から30%以上増加させることを目指し、ノウハウとして秘匿する技術情報を戦略的に判断しながら、競合する企業に対して技術的な優位性を確立していく考えです。 (3)ものづくり力の強化 当社グループは、これまで、自動車向けの部品や金型、光コネクタ研磨機等は主に日本で生産し、光コネクタは主に中国で生産しておりました。近年、資源価格や材料価格、人件費の高騰が続いており、製造原価の低減が重要な経営課題となっています。 当社グループでは、十分な収益を確保しながら競争力のある売価を設定できるよう、生産工程の機械化による生産効率の向上に取り組んでいます。当社は、国内子会社の不二電子工業株式会社との共同プロジェクトを2018年に立ち上げ、車載用成形品のバリ取り工程や検査工程の自動機を当社が開発し、不二電子工業に供給してまいりました。今後はAIの活用やIoTの導入も視野に、さらなる生産効率の向上を図っていく計画です。さらに、データセンター向けの光コネクタ「Intelli-Cross Pro」の組立から検査、梱包までを一貫して行う自動組立装置も社内で開発しました。この自動組立装置を用いて日本での量産を開始しており、生産効率の向上と供給体制の多様化を進めています。現在は、一昨年にタイ王国に新設した子会社SEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.においても光コネクタの量産試作を開始しています。BCPの観点からも、コスト競争力のある高品質な製品を、複数の生産拠点から供給できる体制の構築に取り組んでおります。 また当社は、2024年10月に、宮城県に本社を置く株式会社エムジーを連結子会社化いたしました。同社は1970 年の創業以来、射出成形に関わる高度で多様な技術を獲得し、自動車や文具、医療等の市場に向けてプラスチック成形品やプラスチックマグネット成形品を供給しております。同社の秀でた射出成形技術と自動成形技術を当社グループ内に取り込むことで、より幅広い産業領域に向けて高品質で多様な成形品を供給していくことが可能になると考えております。 当連結会計年度には、当社グループの一部の製品に対する需要が急増し、受注から出荷までのリードタイムが通常の2倍から3倍程度に延びる事態が生じました。当社では、複数の事業部門間の需給状況の変化に応じて柔軟な人員体制を組めるよう、従来から製造部門を事業部門から切り離し、独立した組織としております。当連結会計年度においても、社内人員を当該製品の生産ラインに振り向けたほか、部材の調達先を新たに開拓して生産キャパシティを拡大し、リードタイムの短縮に努めました。今後も「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の最適なバランスを実現することで顧客から最も頼られる存在となれるよう、引き続き取り組んでまいります。 (4)経営基盤の強化 永続的な企業価値の成長を実現し、真に社会に必要とされる企業となるためには、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各側面のサステナビリティ活動を通して経営基盤を強化することが重要と考えています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループ全体のサステナビリティ活動を統括する組織として、社長直轄の「サステナビリティ推進室」を設置しております。 環境面においては、『マスタープラン2022』の最終年度となる2026年度に、自社排出量を2020年度比17%削減することを目指し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでおります。当連結会計年度においては、社用車の一部を電気自動車に切り替えたほか、引き続き社内の空調設備やLED照明の更新を行いました。当社が本社を構える千葉県松戸市からは、脱炭素に向けた取り組みを率先して行っている事業者として、2022年12月に「まつど脱炭素社会推進事業所登録制度」の登録を受けています。さらに2023年12月には、松戸市独自のSDGs宣言制度「まつどSDGsキャラバンメンバーシップ制度」に認定・登録されております。 社会面においては、多様な人材が健康に活き活きと働ける環境づくりを目指して、2022年10月に「健康企業宣言」を行いました。当連結会計年度は、ウォーキングイベントを実施したほか、新たに当社オリジナルの「ポイント制度」を導入しました。この「ポイント制度」は、社員自身の健康的なアクションに対する「健康ポイント」と、社員同士が日々の些細な感謝の気持ちを相手に贈る「サンクスポイント」で構成されており、健康増進と社内コミュニケーションの活性化を目的としています。2024年9月には、厚生労働省より子育てサポート企業として認定を受け、「くるみん認定」を取得しました。本年3月には、前年に引き続き、経済産業省と日本健康会議が顕彰する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されております。 企業統治面においては、2016年に監査等委員会設置会社へと移行しました。当連結会計年度末現在、10名の取締役のうち4名の独立社外役員を選任しており、取締役会の監視機能の強化を図っております。また、当社グループの中長期的な業績や株式価値と、取締役報酬との連動性を明確にする目的で、2016年に取締役に対して業績連動型株式報酬制度を導入しております。昨年6月に開催された第52回定時株主総会では23期ぶりに代表取締役が改選となったほか、3名の取締役が新たに選任され、経営体制の刷新を図りました。 当社グループは、中期経営計画『マスタープラン2022』で明確化した方針と施策を遂行することにより、成長の土台となる経営基盤を一層強化し、より幅広い産業領域において永続的に社会の発展に貢献する企業グループとなるべく、引き続き努力してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1)経営成績 当連結会計年度の世界経済は、米中間の対立や東欧、中東地域の紛争、各国の金融政策に伴う為替の変動等を背景に、総じて低い成長に留まりました。米国では、IT関連を中心に企業業績が伸長し、雇用環境や個人消費が堅調に推移しました。インフレは鈍化しつつあり、金融政策は引き締めからやや緩和へと転じることとなりました。欧州は、ウクライナ戦争の長期化や中東情勢の不安定化によるエネルギー価格の高止まりが成長の重石となりました。製造業を中心に企業の投資活動に勢いがなく、消費者マインドの改善には時間を要しています。中国は、電気自動車や産業用ロボット等の高付加価値製品の輸出が堅調に推移したものの、内需の低迷と不動産市場の回復が課題となっており、輸出依存から内需主導への経済構造転換が急務となっています。我が国においては、インバウンド需要の強まりや外需の持ち直しを受けて企業業績が回復傾向にあり、個人の所得環境も改善していますが、食料品を中心に物価が上昇し、個人消費には勢いがありません。今後に向けて、貿易環境の変化や地政学的リスクの動向等、先行きの不透明感は払拭できない状況となっています。 当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、米国の大手IT企業が次世代の生成AIモデルを発表した一方、中国のスタートアップ企業「DeepSeek」が、大幅にコストを抑えた新しい生成AIを市場に投入し、話題を集めました。また、データセンターにおける電力消費の増大が持続可能な社会の実現に向けた課題となる中、その有望な解決策として「光電融合技術」が注目を集め、関連する企業が技術開発を進めました。自動車関連市場においては、年度前半に認証不正問題が発生し、日系自動車メーカーの生産台数が大きく減少しました。また、世界で新エネルギー車(NEV)へのシフトが進む中、中国の自動車メーカーが、南米や欧州、アジア地域等で販売シェアを伸ばすこととなりました。 こうした中で当社グループは、2022年度から取り組み始めた5ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2022』に基づき、「顧客接点の活性化」、「新製品・新技術開発の加速」、「ものづくり力の強化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。 「顧客接点の活性化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信部品とその関連機器、光伝送装置や光電界センサー、レンズ等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、国内外の展示会への出展やホームページの活用、商社や販売代理店との連携等を通じて新しい顧客と出会う機会を数多く作り、商談数を増やすことに注力しました。 「新製品・新技術開発の加速」に向けては、より幅広い領域で社会の進歩発展に貢献できる企業グループとなるべく、引き続き技術力の研鑽に取り組みました。2024年12月には、当社グループの自動化技術の深耕と開発スピードの向上を図る目的で、中国の江蘇省蘇州市に本社を置き、主に自動化機器やスマート製造装置の開発・製造を行っている蘇州安准智能装備有限公司に対し、当社子会社の杭州精工技研有限公司が出資を行いました。 「ものづくり力の強化」に向けては、顧客が求める品質と納期を満たす製品を安定的に供給できるよう、自動化を含めた生産体制の強化や仕入先、外注先との関係強化に努めました。2024年10月には、成形品供給ビジネスのさらなる拡大を目指して、宮城県に本社を置く株式会社エムジーを連結子会社化し、より幅広い射出成形技術と自動成形技術を獲得することができました。 「経営基盤の強化」に向けては、「サステナビリティ推進室」が中心となり、温室効果ガスの排出削減活動や、ペーパーレス化の推進、デジタル化による業務効率の向上等に取り組みました。また当社は2024年9月、かねてより取り組んでいた育児支援に係る活動が評価され、厚生労働省より子育てサポート企業として認定を受け、「くるみん認定」を取得しています。 こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は19,982,809千円(前連結会計年度比26.6%増)となり、当社グループとして過去最高の売上高を記録しました。損益面では、材料費や人件費等、一部の費用が増加したものの、付加価値の高い製品の売上が増加したことにより原価率が大きく改善し、営業利益は2,817,252千円(前連結会計年度比167.7%増)となり、中期経営計画マスタープラン2022で定めた2027年3月期の営業利益目標額25億円を2年前倒しで達成することができました。経常利益は、投資不動産賃貸料や受取利息等の営業外収益を計上した結果2,979,339千円(前連結会計年度比134.7%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、不要資産の売却により特別利益として固定資産売却益を計上した結果2,225,362千円(前連結会計年度比192.4%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。〔精機関連〕 精機関連では、自動車向けや電子機器向けの精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当連結会計年度は、電気自動車の市場拡大を背景に、電気自動車のカーエアコンに搭載されるコンプレッサー用部品やインバーター用部品の売上が増加したものの、国内自動車メーカーの中国市場向けの販売が伸び悩み、各種センサー用部品の売上が減少することとなりました。2024年10月に連結子会社化した株式会社エムジーは、車載用の各種コネクタやボールペン等の事務用部品を量産成形しており、当第4四半期連結会計期間より損益を算入しております。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や射出圧縮成形技術、微細転写技術等を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、顧客と共に新たな精密成形品の量産化に向けた技術課題の解決に取り組みました。 これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は9,200,483千円(前連結会計年度比5.6%増)となり、過去最高となりました。 〔光製品関連〕 光製品関連では、光コネクタ等の光通信用部品や、光通信用部品の製造、検査に使用する機器・装置、超小型樹脂レンズ等の製品を顧客に提供しております。当連結会計年度は、生成AIの普及や5G通信の拡大等を受けて、世界中でデータセンターの新設が活況となり、光コネクタ等の光通信用部品の需要が増大しました。これにより、光コネクタを製造する際に使用する光コネクタ研磨機や検査・測定装置の売上高が大きく増加することとなりました。2024年12月には当社子会社の杭州精工技研有限公司が、中国江蘇省蘇州市に本社を置く光通信用部品メーカー、蘇州安捷訊光電科技股份有限公司と合弁で精工訊捷光電有限公司を設立しました。この合弁会社の設立により、両社で共同して次世代に向けた光通信用部品を開発、量産化して市場に供給していく計画です。また、一昨年タイ王国に設立したSEIKOH GIKEN(THAILAND) Co.,Ltd.では光コネクタの量産試作を進めており、2025年度より出荷を開始します。日本、中国に次ぐ光通信用部品工場として、顧客にさらに安定的に供給できる体制を構築してまいります。 これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は10,782,325千円(前連結会計年度比52.5%増)となり、過去最高となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)精機関連(千円)8,807,275100.9光製品関連(千円)11,576,314170.1合計(千円)20,383,589131.2 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は販売価格によっております。 ② 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)精機関連8,809,60799.71,374,99388.3光製品関連12,570,495175.73,009,833246.4合計21,380,102133.74,384,826157.8 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)精機関連(千円)9,200,483105.6光製品関連(千円)10,782,325152.5合計(千円)19,982,809126.6 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)株式会社デンソー5,046,93932.05,022,44225.1株式会社豊田自動織機2,021,48812.82,202,64211.0 (2)財政状態 当連結会計年度末における総資産の残高は34,383,169千円となり、前連結会計年度末から2,156,895千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。 〔流動資産〕 当連結会計年度末における流動資産の残高は24,042,144千円となり、前連結会計年度末から1,303,701千円増加しました。その主な要因は、受取手形や売掛金が増加したこと等に因ります。 〔固定資産〕 当連結会計年度末における固定資産は10,341,025千円となり、前連結会計年度末から853,193千円増加いたしました。その主な要因は、株式会社エムジーを連結子会社化したことに伴い、建物及び構築物や土地、のれん等が増加したこと等に因ります。 〔流動負債〕 当連結会計年度末における流動負債の残高は4,786,530千円となり、前連結会計年度末から1,360,914千円増加しました。その主な要因は、買掛金や未払法人税等が増加したこと等に因ります。 〔固定負債〕 当連結会計年度末における固定負債の残高は1,452,397千円となり、前連結会計年度末から162,174千円減少しました。その主な要因は、退任した取締役に対して退職慰労金を支払ったことに伴い長期未払金が減少したこと等に因ります。 〔純資産合計〕 当連結会計年度末における純資産の残高は28,144,241千円となり、前連結会計年度末から958,156千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したこと等に因ります。 (3)キャッシュ・フロー 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は7,320,445千円となり、前連結会計年度末から2,254,737千円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 営業活動の結果増加した資金は、3,068,406千円(前連結会計年度は1,797,852千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益3,018,085千円、減価償却費869,864千円、仕入債務の増加額297,559千円等であります。資金減少の主な要因は、売上債権の増加額718,902千円、法人税等の支払額389,512千円等であります。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 投資活動の結果増加した資金は、1,046,813千円(前連結会計年度は1,533,931千円の減少)となりました。投資活動による資金増加の主な要因は、定期預金の払い戻しと預け入れの差額2,287,020千円等であります。資金減少の主な要因は、株式会社エムジーの株式取得による支出698,418千円、有形固定資産の取得による支出526,033千円等であります。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 財務活動の結果減少した資金は、2,013,988千円(前連結会計年度は507,631千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、自己株式の取得による支出1,315,467千円、配当金の支払額784,811千円等であります。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (5)資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。 現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定でありますが、企業価値向上につながる大型のM&A案件等、多額の投資を行う場合は金融機関から資金を借り入れる可能性もあります。