研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 7 |
| 2024-03 | - | 4 |
| 2023-03 | - | 5 |
| 2022-03 | - | 7 |
| 2021-03 | - | 12 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,976 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術開発・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,413百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 放送システムにおいてMoIP(Media over IP)対応機材の需要が高まるなか、4K/HD放送用カメラ(UNICAM XEシリーズおよびUnicam HDシリーズ)をMoIPシステム対応とするエクステンションユニット「IPX-100」を開発しました。「IPX-100」は2Uハーフラックサイズと小型ながらMoIPゲートウェイ機能およびJPEG-XS機能を搭載し、柔軟なMoIPシステム構築を実現します。また、グローバルシャッター方式の高画質CMOSセンサーを搭載した、3板方式の4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」を開発しました。独自の光学系分離構造により、撮像部分の超小型・軽量化を実現しています。これにより、リモコン雲台に設置してのスタジオ内無人運用や、屋外ハウジングに収容して情報カメラとして運用するなど、高画質を求める幅広い用途への活用を可能としました。 放送映像・音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 4K対応SDI小型ルーティングスイッチャー「UHSM-4020」を開発しました。既に製品リリースしている大型「UHSM-220220」と中型「UHSM-120120」に新たな小型タイプがラインナップに加わり、小規模なシステム構築においても最適なソリューション提供が可能となりました。また、大型、中型の製品と同様にマルチビューワ機能やダウンストリームキー機能を搭載できるため、ルーティング用途のみならず、該当機能に特化した単体製品としての構成も可能になりました。また、4K対応SDIシステム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」の新たなラインナップとして、アナログ映像の分配モジュールや、アナログ/デジタル音声の分配および変換モジュール、デジタル音声のセレクタモジュールを開発しました。この機能モジュールは旧製品「OnePackシリーズ」でも提供して参りましたが、今後は4K対応可能な「OnePackⅡシリーズ」の筐体に集約することで、省スペースかつ低コストのシステム構築のソリューションを提供して参ります。さらに、4K対応SDIビデオスイッチャー「MuPS-5000シリーズ」、およびルーティングスイッチャー「UHSMシリーズ」の新たな機能として、放送システム機器の制御に採用され始めたオープンプロトコル(TSLやEmber+等)対応の外部インターフェースを開発しました。これにより、他社機器との相互通信が容易となり、映像システム構築を行う多くのシステムインテグレーターに向けて、単体販売を強力に推進して参ります。 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。 池上独自のソリューションである ignis(イグニス)の展開を開始しました。ignisは昨年のInter BEE 2024で新発表した、MoIP対応のトータルシステムソリューションの総称となり、システム統合管理ソリューション「ignis mc」と、ソフトウェアベースでメディア信号処理を行う「ignis mp」の2つから構成されます。「ignis mc (Management and Control)」は放送システムの構築から設定・運用・操作そして機器監視までを統一した環境として提供するソリューションです。従来のベースバンドシステムやMoIPとのハイブリッドシステム構築にも対応可能です。また、複数のシステムを統合管理し、放送機器のリソースシェアにも対応しています。「ignis mp (Media Processing Platform)」は汎用サーバ上で映像・音声などのメディア信号処理を行うソフトウェアプラットフォームで、スイッチャ機能やマルチビューワ機能をはじめ、さまざまな機能をソフトウェアで実現しました。複数の映像・音声信号をサーバ上で並列処理することで、従来と同様の番組制作を行うことを実現します。ignis(イグニス)は、「ignis mc」と「ignis mp」を組み合わせることで、ネットワークの特性を活かした柔軟な構成、拡張性、さらに信頼性の高いシステム構築を実現しています。既にMBC南日本放送様よりご発注を頂き、2026年5月に納入の予定です。今後のMoIP需要の増加とお客様からの多様なご要望に応え、ignis(イグニス)によるソリューションを提供して参ります。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 放送局向けFPU受信基地局の更新需要を見込み、ARIB STD-B12規格に対応したTSL装置「PF-912」の開発を行いました。このTSL装置は、従来のARIB STD-B11規格に対応したTSL装置「PF-911」にシリアル伝送機能を追加したもので、本線信号の伝送以外に、多様化されるFPU受信基地局の監視情報も同時に伝送することが可能になります。デジタルFPU/TSLは導入から15年以上が経過し更新時期を迎えており、その更新需要に向け、新規格への対応や性能向上に留まらず、小型化を含む環境負荷低減も目指し製品開発を継続して、各放送局への積極的な販売活動を行って参ります。 (2) 産業システム事業関連 セキュリティー機器関連では、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューション提供のための開発を進めています。 ヘリコプターテレビ電送システム向けに、撮影映像と同期して撮影画角情報を地図上に表示するシステムを開発しました。撮像映像の画角が地図上にマッピングされることで、災害発生時など、迅速な映像位置確認と状況伝達に貢献して参ります。鉄道市場では、メンテナンスで好評を得ている昇降式モニターハウジングの技術をベースに、カメラハウジングやその他の駅構内の機器を対象とした昇降装置の開発を進めました。今後も人々の安全安心を守る監視システムの自動化、高度化、省人化を目指した製品開発を継続して参ります。 メディカル機器関連では、医療現場に求められる映像装置の研究開発を進めています。 好評を得ていましたメディカルデジタルビデオレコーダー「MDR-600HD」の後継機として、「MDR-600HD-A」を開発しました。従来機種の基本機能・性能を継承しつつ、性能面では録画時間を2倍に、機能面ではネットワーク機能を標準搭載とする等のブラッシュアップを図りました。今後とも医療現場の要望に応えた開発を進め貢献して参ります。また、弊社は医療機器の安全および品質確保に向け、既に認証を取得しているISO13485(医療機器に関する品質マネジメントシステム)に加え、IEC62304(医療機器ソフトウェアのライフサイクル)への対応を進めて参りました。今後は本規格対応により、米国や欧州地域での販売強化を促進して参ります。今後も差異化技術を追求し機能・性能の改善を図り、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。 検査機器関連では、客先製品の品質向上に加え、省人化に貢献する検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 国内医薬品市場は3年連続で売上の過去最高額を更新し、医薬品増産に向けた設備投資計画が進んでいます。これに伴い、弊社の錠剤検査能力70万錠/1Hの業界最高水準処理能力を誇る錠剤外観検査装置TIE-10000の需要も高く、納入台数も好調に推移しております。このような状況の中、TIE-10000の更なる利便性強化に向け、リモートメンテナンス機能や運用における支援機能などユーザーサポート面での機能強化を実施いたしました。より幅広いニーズに応えられるよう機能強化を継続し、今後も医薬品の品質向上に貢献して参ります。産業市場では、更なる省力化に向けたソリューションとして、平面枚葉検査装置(PIE-650M)を中核に、検査の前後工程で必要となる検査対象の受け渡しや検査品の仕分けを、ロボットアームにより実現しました。今後も省力化による生産能力の向上に貢献して参ります。また、ケミカル市場向けに、新たに粉体検査装置「POIE-8000CA type i」を開発しました。医薬品向けの末・顆粒剤検査装置「POIE-8000CA」の性能を継承し、粉体に混入した細かな毛髪(φ30μm×3mm以上)や、微細な異物(φ50μm以上)等を検出する能力を実現しています。今後、化粧品を含む化学原料市場への販売促進に向け、関連する展示会をはじめ、訴求活動を開始しております。今後、AI/IoT技術を活用し、さらなる製品価値向上に向け開発を推進して参ります。
FY2024|4,019 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,651百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 HD(2K)から4Kへ、ソフトウエアライセンスによるアップグレード・オプションを備えた、UnicamXEシリーズの新製品「UHK-X600」を開発しました。将来の4K対応へ備えつつ、現行のHD(2K)運用の需要に応え、設備投資を有効活用できる製品として販売強化を図って参ります。更に、従来の弊社HD(2K)カメラの映像処理および機能のブラッシュアップを図った、HD(2K)カメラ「HDK-X500」を開発しました。海外を中心に依然として一定の需要が高いHD(2K)市場に向けて拡販して参ります。また、昨年度オプション機能として開発したMoIP(Media over IP)に関連した機能強化開発を行いました。これにより、スイッチャからのカメラ選択情報を伝えるIP上のタリープロトコル対応はもとより、WEBブラウザ経由でカメラの各種設定が可能になりました。今後、番組のIPリモート制作に寄与して参ります。 放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 この数年継続している地方放送ローカル局のスタジオ更新需要の中で、ビデオスイッチャとして冗長系統となるエマージェンシ―スイッチャの強化を実施しました。システム系統上、通常系となる弊社「MuPS-5000」スイッチャとの連動性の担保を図ることで、通常系障害時に送出系統をエマージェンシ―スイッチャ側にシームレスに切り替え運用継続が可能となり、レジリエンスの高いシステムを実現しました。また、「MuPS-5000」スイッチャの機能強化として、フレームメモリ、マルチビューワについてブラッシュアップ開発を行いました。フレームメモリの強化では画像ファイルの保存時間とロード時間を短縮し運用改善を図りました。さらに、マルチビューワの強化では文字フォントのベクトル化による時計表示の解像度向上、ウィンドウ画像のデザイン向上など、多系統出力できるモニタ機能の視認性改善を図りました。今後もシステム・ソリューションを図り、スタジオ更新需要に応えて参ります。ビデオスイッチャと同時にシステムの中心デバイスであるルータの強化開発として、システムの上位となるアセットマネージメントとのインターフェースプロトコルの整備と、ルータ専用のコントローラとしてGUI(Graphical User Interface)を新規開発しました。前者のインターフェースプロトコルの整備により、他社のシステムインテグレータへの提案力強化が図れ、他社システムへの製品供給の実績に繋がりました。後者のルータ専用コントローラGUIの新規開発では、ルータの操作性向上を図ると共に、ルータ管理情報を運用毎のファイル構造と機能別のライブラリ構造に大別した、ルータ管理の新たなソリューションを確立したことで、キー局への納入実績に繋げました。今後、システム構成製品として単体機器販売を促進して参ります。システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」では、LACP(Link Aggregation Control Protocol)による制御ネットワークの二重化と、異なるセグメント間で制御を実現するVLAN機能を実装しました。Ethernetを介した制御における信頼性と運用性において、放送中継制作システムの品質向上を図りました。今後もシステム機器に求められる新た機能の充実を図り、システム機器の放送中継制作システムへの提案を強化して参ります。 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。 MoIPシステムにおいて効率的で柔軟な映像制作を可能とするため、汎用サーバー機器によるGPU(Graphics Processing Unit)ソフトウエア映像処理技術の開発を進めています。InterBEE2023展示会では、サーバーによるスイッチャ機能の実演として、サーバーで受信した複数のMoIP映像(SMPTE ST.2110方式)を、タブレット端末から端末画面に分割表示された任意の映像を操作することで、ワイプ効果つきの映像切り替等の技術展示を行い、多くの方から高評価を頂きました。現在、ソフトウエア製品化に向け、高度な映像効果を高速で安定的に動作させるための技術開発を進めています。GPUソフトウエアによる映像処理技術は、従来のハードウエア開発を伴う映像機器に比べて開発効率を飛躍的に高めると共に、新たな機能性や付加価値をもたらします。今後、IP化による多用な運用性が求められる放送システムに柔軟に対応できるソリューションを提供して参ります。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 放送局向けに超高精細度テレビジョン(4K・8K)放送番組素材伝送を目的とした新規格ARIB STD-B71に対応した無線伝送装置として、高周波部と制御部が一体型となったFPU送信装置「PF-903」を開発しました。「PF-903」は、最新の4K対応H.265 codecを内蔵することで、超低遅延・高画質伝送を実現し、4K映像のニュース素材伝送やイベント中継用途に加え、ヘリコプター搭載可能な機能を具備したことで、様々な運用形態で活用できるソリューションを提供して参ります。 デジタルFPUは導入から15年以上が経過し更新時期を迎えており、その更新需要に向け、新規格への対応、性能向上に留まらず、小型化を含む環境負荷低減も目指し製品開発を継続して、各放送局への積極的な販売活動を行って参ります。 (2) 産業システム事業関連 セキュリティー機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応した様々なシステム、ソリューション提供のための開発を進めています。 公共施設向けの監視カメラシステム用に、AIを用いた被写体の検知や自動追尾撮影装置を開発しました。これにより、高度な監視システムのソリューション提案が可能となり、監視市場における省人化に貢献して参ります。 鉄道市場では、鉄道車掌用ホーム監視システムにおいて、屋外でも視認性の良い高輝度モニタ「FCM-E1510HD(15型)、FCM-E2470HD(24型)」を製品化しました。当社独自の昇降式ハウジングと合わせて好評を博しています。 今後の労働人口の減少対応に向け、人々の安全安心を守る監視システムの自動化、高度化を目指し製品開発を継続して参ります。 メディカル機器関連では、医療現場に求められる映像装置の研究開発を進めています。 医療用汎用カメラのロングセラー製品「MKC-210HD」の後継機として「MKC-X200」を開発しました。「MKC-X200」は、新たに1/2.8 型カラーCMOSセンサーを採用することで、従来機のF7からF11へと高感度化を実現し、明るく最適な医療用映像を実現しました。また、前機種の超小型・軽量のカメラヘッドのデザインを継承し、顕微鏡下での手術時はもちろん、スペースの限られた病院の手術室や診察室でも、効率的に運用して頂くことが期待できます。 今後も差異化技術を追求し機能性能の改善を図り、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。 検査機器関連では、客先製品の品質向上に加え、省人化に貢献する検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 日本の医薬品市場は、一連の不祥事からGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠した規格・品質を担保する検査装置へのニーズがより高まりました。また一方で、労働人口の減少による人手不足の深刻化により、時短及び自動化の推進も設備検討をする上で大きな要因になりつつあります。 このような状況に対応すべく、錠剤外観検査装置「TIE-10000」の機能強化および利便性向上の開発を継続しています。特に利便性向上においては、オペレータが品種追加をより簡便に行え、セットアップ工程の短縮に向けた、感度調整支援機能を開発しました。さらに、GUIは顧客要望を取込み、継続した改善を行うなど、常に機能向上を続けている点を高く評価を頂いており、医薬品の品質向上に貢献して参ります。 産業市場では、ケミカル市場への参入を目指し、専用の粉体検査装置「POIE-8000CA type i」を開発しました。1画素当たり20μmの分解能を持つ8000画素CMOS RGBラインセンサを4台搭載し、粉体に混入した細かな毛髪(φ30μm×3mm以上)や、微細な異物(φ50μm以上)等を検出する能力を実現し、新たな市場への拡販をして参ります。 今後、AI/IoT技術を活用し、さらなる製品価値向上に向け開発を推進して参ります。
FY2023|4,709 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,588百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 昨年度開発した「UHK-X750」、「UHK-X700」、「CCU-X100」によるHFR(High Frame Rate)撮影機能に加え、オプション機能として、MoIP(Media over IP)インタフェースを実現しました。これにより、外部動画サーバーとカメラ間をIPシステムとして構築することが可能となり、海外を中心としたIPシステム要求への対応が可能となりました。また、ロボットアームを用いたリモートプロダクションシステムR2(Real Remote) SYSTEMにおけるバーチャルシステムとの融合を推進し、11月に幕張メッセで行われたInterBEE2022展示会において、インカメラVFXの実演を行いました。通常、VFXシステムはカメラ位置情報を得るためにVFXスタジオ内にセンサを配置する必要があります。しかし、VFXシステムにR2 SYSTEMを使用することで、カメラ位置情報はR2 SYSTEMから得られることができるため、センサの配置は不要となり、運用が容易になります。今後のバーチャルスタジオへの応用が期待されます。 放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 この数年、地方放送ローカル局のスタジオ更新需要は継続しているものの、放送と共に進化している配信ビジネスによって、コンテンツづくりでは多種多様なフォーマットへ対応の高まりから、システム機器のマルチフォーマット化開発を推進しました。今年度、コンテンツづくりに欠かせない、ビデオスイッチャ「MuPS-5000シリーズ」、ルーティングスイッチャ「UHSMシリーズ」、システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」のシステム3要素すべてのマルチフォーマット化を実現しました。これにより配信は制作者の意図に応じた各種フレームレートを選択することで、放送フォーマットに限定されないコンテンツづくりを可能としました。フレームレートについては2K/4K何れも、59.94fps(Frame Per Second)、50fps、29.97fps、23.98fpsに対応しました。このうち、29.97fps、23.98fpsは映画、ドラマ、音楽制作に必要なフレームレートであるため、ドラマスタジオやイベント制作システムに対しても提案が可能になりました。また、これらのフォーマットは従来、2Kにおいてセグメントフレーム「SF」形式が主流でしたが、昨今はネイティブなプログレッシブ方式の要求も強いため、両方に対応すべく、実現範囲を拡大しました。これにより、キー局様のドラマスタジオや汎用目的のスタジオサブへの機器提供が可能になり納入実績に結びつけました。また、ビデオスイッチャ「MuPS-5000」シリーズの小型スイッチャでは、小型操作卓のブラッシュアップ開発をしました。多系統、多機能化した小型スイッチャの仕様に合わせるべく、小型操作卓の制作操作機能を高め、低コスト化、高訴求力を実現しました。新しいプロセッサと共に、操作系も新たに販売を強化しており、その成果が納入実績となって表れてきました。ビデオスイッチャと同じくシステムキーデバイスであるルーティングスイッチャ「UHSM」シリーズは、地方ローカル局、および中規模クラスのシステム向け製品を開発しました。マトリクスサイズは120×120と大型製品に対し半分近く小型化した製品ですが、池上の特長である映像変換機能、マルチビューワ、ダウンストリームキーヤなどのシステム機能内蔵を継承し、システム構築を効率化できる製品として、今秋からの販売に向け、提案を開始しております。さらに、ルーティングスイッチャをコントロールするGUIを開発し、各種機能操作、管理情報の保存再生機能操作を確立することができ、納入したキー局では利便性が上がり好評を博しています。システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」は、昨年度から継続しラインアップ増強機能としてタイムコードを重畳する機能と、2:1切替器として12G SDI信号をメカリレーで切り替えを実現した、12G SDIリレーモジュールを開発しました。特に12G SDIリレーモジュールは、今後、4K送出のEMG系統切替に展開し、システムのレジリエンス向上に寄与して参ります。その他、映像機器以外として、中継車、或いは小規模ニュース送出システム向けの音声ルータにミキシング機能を搭載した「DAF-040オーディオプロセッサ」を開発しました。新しいI/F規格「MADI」も取り込み、対応力を強化しています。今後、映像システムと共に、音声も複合的に備わった提案も強化して参ります。 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。 MoIPシステム構築のキーデバイスであるIP Media GW(Gateway)を開発しました。IP Media GWは従来の信号方式であるSDI(Serial Digital Interface)信号とIPメディア伝送規格であるSMPTE ST.2110方式の相互変換を行う装置で、MoIPシステム構築に必須のものです。InterBEE2022展示会において自社製ブロードキャストコントローラを用いてスイッチャとIP Media GWを連携させたミニスタジオサブシステムを展示し好評を博しました。また、放送システム機器全ての制御通信方式としてEthernet化(IP化)を進めており、リモートプロダクションと呼ばれる遠隔地からの運用操作にも容易に対応可能になります。これによりMoIPシステムの真価を発揮させ、近い将来にクラウド環境へのシステム構築を見据えた取り組みを進めています。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 放送局向け4K対応FPU装置「PF-900」のFPU受信基地局更新需要への対応に向け、さらなる受信性能向上の開発をしました。受信性能の向上により、アンテナの小型化や送信出力を抑えること(低消費電力化)が可能となり、環境にかかる負担軽減にも貢献して参ります。 (2) 産業システム事業関連セキュリティ機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューション提供のための開発を進めています。 流通監視市場のIP監視システムでは全世界のIP機器との接続を実現するためONVIF対応の製品を提供しています。今年度、従来のONVIFプロトコルProfile-Sを、最新プロトコルのProfile-T対応の開発を行いました。これにより全世界のONVIF対応製品と更に柔軟な接続が行えるようになり、機種、機能の選択肢の幅が増え、様々なニーズに対応したシステム提案が可能となりました。更にIP監視システムで必要不可欠の伝送装置ではH.265コーデック対応を進めており、従来より高画質、ネットワーク負荷を低減した高品質のソリューションを提供して参ります。鉄道市場では、車掌用ホーム監視システムにおいて、定期保守の効率性、安全性を確保した独自の昇降式ハウジングを開発し好評を博しております。今年度、更なる小型、軽量、省メンテナンス化を目指し開発を進めて参りました。今後はこれを製品化し鉄道の安全運転、定時運行に寄与して参ります。 メディカル機器関連では、医療現場に求められる映像装置の研究開発を進めています。 今年度、忠実な色再現性や高感度かつ高画質を追求した小型 HD カメラ「MKC-X300」、および高輝度で忠実な色再現が可能な 27 型液晶モニタ 「MLW-2760C」を開発しました。「MKC-X300」は、小型光学プリズムと1/2.8型CMOSで構成された小型カメラヘッドを実現、手術顕微鏡など限られたスペースに取り付けても操作性が損なわれません。また、汎用モデルでありながらS/N比63dBの高画質を実現しており、16軸方向で独立した色相・彩度の調整が可能なカラーコレクト機能を搭載し忠実に色を再現することができます。「MLW-2760C」は、PIP(Picture In Picture)やPOP(Picture Out Picture)などの2画面表示を可能とし、表示している映像をそのまま出力するMonitor Out機能を実現しました。また、保護パネルと筐体を一体型の構造とすることで防塵防滴性に優れ清掃がしやすい清潔なデザインとし、病院内の感染リスクなどを回避することが期待できます。今後も差異化技術を追求し機能性能の改善を図り、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 医薬市場では、近年の超高齢化社会を背景に、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加や昨今の安定供給問題等により、高速で高精度な医薬品検査を行い、規格・品質を担保する検査装置へのニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。この状況において、今年度は2020年11月に新製品として市場投入した錠剤外観検査装置「TIE-10000」の機能強化および利便性向上の開発を行いました。特に利便性向上では、品質基準シミュレーション機能の強化、オペレータにやさしいユーザーインターフェイス(操作画面の一新)など、さまざまな機能を開発し好評を博しております。さらに、これらの機能を搭載した「TIE-10000」は、医薬以外の市場にも採用いただきました。今後は、AI/IoT技術を活用し、さらなる製品価値向上の開発を推進して参ります。産業市場では、自動検査の要求が一段と増える中、枚葉査装置「PIE-650M」とロボットとの連携による軟性フィルムなどの搬送システムを開発しました。このシステムは連続生産ソリューションニーズを捉えたことで引合いが増えており、今後、他企業との技術アライアンス等も含め、更なる連続生産ソリューションを提供して参ります。
FY2022|5,384 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,685百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 スタジオ番組制作および屋外中継向けに、大型レンズとの組合せ運用に特化した4K/HDカメラ「UHK-X750」を開発しました。本機は従来のポータブルカメラにビルドアップユニットを用いた場合と比較し、大型レンズの装着・セッティングを容易にすることで運用性向上を図るとともに、ビューファインダーをレンズの光軸に近い位置に設置可能な構造とすることで、カメラマンにとって良好なカメラワークを提供します。さらに、屋外運用で重要な砂塵対策として筐体にワンピース構造を採用し、安定した動作を実現しました。また、中継現場での長距離映像伝送を実現すべく、カメラヘッドへの送電能力を強化したカメラコントロールユニット「CCU-X100」の開発も行いました。これにより、「UHK-X750」、「UHK-X700」との組みあわせで幅広い中継制作の運用性向上を提供します。なお、機能向上にも関わらず最新の回路技術を駆使することで3Uラックマウントサイズながら従来機種に比べて軽量化を実現しました。カメラの機能面では「UHK-X700」、「UHK-X750」の映像制作の幅を広げる共通のオプション機能としてHFR(High Frame Rate)撮影機能の開発を行いました。4Kフォーマットで2倍速、HDフォーマットでは8倍速の高速撮影への対応により、スロー再生映像が要求されるスポーツ撮影用途等において威力を発揮します。その他のオプション機能として、MoIP(Media over IP)インタフェースの開発も行いました。放送システムのIP化が進む中で、国際的な標準規格SMPTE ST 2110に準拠し、NMOS IS-04/05に対応しています。このオプション機能であるMoIPインタフェースの実装により、海外を中心にIPシステムへの導入が始まっています。今後、国内でもIP化の要求が進むことが予想されています。 放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 昨今、地方放送ローカル局、末端小規模設備更新の需要増加に応えるべく、ビデオスイッチャ「MuPS-5000」シリーズの大型、中型ラインアップ製品に加え小型ラインアップとして、省スペース、廉価版モデルの開発をしました。本小型スイッチャは従来の小型ジャンルで実績を伸ばしてきた3Uラックマウントサイズを踏襲し、当社独自の回路技術により省スペースながら内蔵エンジンは強力な映像制作機能を搭載しました。これにより4K/2K映像フォーマットのいずれも入出力数は40入力20出力を実現し、4Kでも2Kと同様の映像システム系統が組めるアドバンテージとなっております。さらに、4Kと2K間の解像度、HDR/SDR、色域変換機能を搭載すると共に、サイマルキャスト制作までサポートをしています。さらに、2K映像制作は、従来HDスイッチャの4倍以上の機能搭載を実現し、多系統マルチビューワ出力機能と共に、小規模システムにおける高付加価値の提供を可能にしました。現在見込み生産活動、販売活動に入っており、2022年7月から順次納入開始して参ります。今後、キー局、準キー局のスタジオサブ、大中型中継車システムに納入実績に引き続き、小規模廉価市場に対しても、高い映像制作ソリューションを伴って訴求すると共に、非放送分野の映像制作市場に単体製品として販売を強化して参ります。システム構成時のキーデバイスの一つである周辺機器「OnePackⅡシリーズ」では、映像コンテンツの制作・配信で重要となる映像変換機能として高品質な映像変換を実現した3D LUT(Look Up Table)を開発しました。開発した3D LUTは当社独自の「フィルタ補間方式」により、他社採用のアルゴリズム(三角錐補間、立方体補間等)と比較しバンディングノイズを大幅に低減しました。この3D LUT採用により、単なる計算式による映像方式変換ではなく、例えば、映像制作現場の4K HDR⇔2K SDR変換における各種Logカーブ要求や、ドラマ、映画撮影のグレーディング収録要求など、映像の異なる色空間への変換、或いは色そのものを変換するグレーディング用途への拡大を可能としました。今後は放送ライブ市場にとどまらずドラマ制作市場にも訴求して参ります。その他、放送ライブシステムの運用で重要となるタリー制御システムにおいて、制御ソフトウェアの一新を図り、多系統化、および、従来のドットマトリクス表示器からグラフィック液晶表示パネルへの変更等のリニューアル開発をしました。これにより、ベクトルフォント表示によるデザイン性向上、表示情報の高自由度化など機能性の向上が図られたと共に、放送モニタ棚の新たな提案材料として、SI’erへの販売含め訴求して参ります。 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。 放送市場のIP化の流れの中、放送システムにおいては柔軟なシステム構築と運用性の実現が期待されるMoIP(Media over IP) 方式への感心が高まっており、関連する装置およびソフトウェアの開発を進めております。MoIPの導入にあたっては、映像伝送の既存方式であるSDI(Serial Digital Interface)との混在したシステム構築が欠かせないことから、キーデバイス装置としてSDIとMoIPを相互に変換するIP Media GW(Gateway)の開発を進め、SMPTE ST.2110のメディア伝送規格に準拠し、AMWA NMOSによるシステム制御に対応した機能開発とMoIPモジュールの開発を行いました。現在、2022年度中の製品化に向けて装置の仕上げと接続性検証を継続して参ります。また、MoIPシステム構築の要となるソフトウェアのブロードキャストコントローラ(BC)の基本機能開発を行いました。BCはMoIP機器の管理、メディア間のコネクション制御と管理、通信や装置の状態監視などシステム構築の中核機能を担うものになります。今後はシステムアップからシステム運用に至るGUIを開発して参ります。この他、放送番組内で使用されるテロップ、静止画およびタイトル動画などの映像配信の3Dファイルフォーマットの主流と注目されるglTF(GL Transmission Format)形式に対応した2K/4K送出のソフトウェア機能を開発しました。報道番組をはじめ今後多種多用な番組製作に活用できる技術として期待できます。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 放送局向け4K対応FPU装置「PF-900」のFPU受信基地局更新需要への対応のため、さらなる受信性能向上の開発と、電波受信状況の監視利便性を目指しリアルタイム監視を可能とする受信状況データ伝送機能を開発し追加実装しました。特に後者の機能は、パソコン端末で表示することで、複数のFPU受信装置から送られてきた受信状況データをPC端末で表示することで、同時に監視することを可能とし、オペレータ業務の負担軽減に寄与します。 (2) 産業システム事業関連セキュリティー機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューションの提供を推進しています。 各種環境プラント市場では、システムの中核となるモニタリング制御システムについて新たに「TPC-110」を開発しました。これにより、旧機種の「TPC-100」から、動画性(フレームレート)、解像度の性能アップを図り、現場状況をより明瞭、精細に確認・監視することを可能としました。さらに、クレードル型として無線通信に対応し可搬型としたことで中央制御室からの持ち出し運用も可能となり、利便性の高いプラント監視を可能にしました。また、VMS(Video Management System)への対応を図ったことで他社カメラもサポート可能となりました。これにより、既存の他社システムとの融合、連携が可能となり、映像による遠隔での支援機能の充実と効率的かつ安定したプラント施設の監視・運営のソリューションを提案して参ります。鉄道市場においては、全国的に進む駅のホームドア設置や省人化によるワンマン運転化に向けた安全確認用監視システムのソリューションを提供して参りました。今後とも、無線伝送システムを始めとする装置の開発を進め、安全確認用監視システムの拡張性・利便性向上を図り、プラットホームでの乗客の乗降や列車出発時の安全確保に貢献して参ります。 メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。 内視鏡カメラでは当社独自の画像処理技術によって、手術時の生体内組織の同定・区域特定等をサポートするICG蛍光観察における視認性向上技術、および手術映像の強調機能技術等の開発を行いました。本機能を当社の既存カメラに組込みアップデートすることで様々な手術への応用が可能となることから、OEM供給している医療機器メーカーから好評を博しています。今後とも他社との差異化を図るべく機能改善の開発を継続し、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。また、手術にまつわる手術室、機材管理等の間接業務の効率化にも着目し、間接業務の統括管理システムおよび手術室を想定した制御アプリケーションの開発、さらに、医療従事者の使いやすいGUIなどの開発に取り組んでいます。今後も最先端のデジタル映像技術を駆使し、医療現場に真に求められる新たなソリューションを展開して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 医薬市場では 近年、超高齢化社会の進行と、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加を背景として、より高速で高精度な医薬品検査を行い、品質を担保する検査装置に対するニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。この状況において2020年11月に新製品として市場投入した錠剤外観検査装置「TIE-10000」に対し、2021年度は検査品質向上や生産性向上のソリューションとして、不良検出のシミュレーション機能を開発いたしました。本機能により検査品質基準を効率よく設定でき製品品質の安定化に寄与すると共に、生産ラインへのフィードバック情報としても活用が期待されます。今後は蓄積したAI技術を活用し、さらなる製品価値向上の開発を推進して参ります。また、製品ラインナップとして、生産終了したTIE-9000シリーズでしたが、市場からの強い要望もありをTIE-9000Aシリーズとしてリニューアル開発を行い、2022年3月より市場で稼働開始しています。さらに、錠剤印刷装置のTIE-9000P/4500Pに、錠剤外観検査装置に搭載されている「3D形状欠陥検査機能」と「側面検査機能」を搭載可能とするための開発を行いました。これにより、錠剤印刷装置1台で錠剤への印刷と全数外観検査を実現し、2022年3月にPress Releaseしました。産業市場の自動検査の要求が一段と増える中、枚葉検査装置「PIE-650M」の新機能開発として、フィルム等のコシのない被検査体、いわゆる軟性フィルムの搬送を特殊なチャッキングと搬送構造を開発し、2021年度より市場投入を開始しました。ニーズを捉えたことで引合いが増えており、今後、他企業との技術アライアンス等も含め、更なるソリューションを提供して参ります。人から自動化への流れは速く、検査システムに関してのワンストップソリューションを目指し開発提供して参ります。
FY2021|4,862 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,995百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 様々な撮影用途に対応した4K/HDポータブルカメラ「UHK-X700」を開発いたしました。従来の4Kフォーマット対応カメラは撮像方式がローリングシャッタ方式となっており、動きの速い被写体の撮影で像が歪む現象や、フラッシュなどの短時間に発光する照明下でフラッシュバンドと呼ばれる帯状の明暗が生じる短所がありました。今回開発した4K/HDポータブルカメラ「UHK-X700」では、新開発の4Kイメージセンサを採用することでグローバルシャッタ撮像方式に対応し、これらの課題を解決しました。また、新開発の4Kイメージセンサは高速読み出し機能を備えており、今後、4Kフォーマットで2倍速、HDフォーマットでは8倍速の高速撮影への対応を図って参ります。これにより、スロー再生映像の要求されるスポーツ撮影用途等において機能を発揮すると期待されています。さらに、従来の4KカメラではHDの4倍以上の処理を行うため、映像処理部をカメラ外部のCCU(Camera Control Unit)に配置していましたが、映像処理の最適化を図りカメラ本体内への実装を行いカメラのポータブル化を実現しました。これにより、既存のHDカメラと同様にカメラ単体運用が可能となり、ワイヤレスカメラへの用途など、4K番組制作の効率化に寄与するものと期待されています。加えて、本4K/HDポータブルカメラに接続可能なベースステーション「BSX-100」も、4Kフォーマットへの対応を行いました。これにより、新たな4K/HDポータブルカメラへの接続と従来のUnicamHDシリーズのカメラへの接続互換性を実現し、スタジオシステムのHDから4Kへのスムーズな移行を可能としました。また、今後のサイマル制作対応のための4K/HDの同時出力機能、さらに、システムのIP化対応に向けたMoIPインタフェースへの対応開発を進めており、放送現場へ柔軟なソリューションを提供して参ります。なお、本4K/HDポータブルカメラは、2020年11月にオンライン開催となったInterBEE展示会にて発表し注目を集めました。2021年度に出荷を開始します。 放送映像音声スタジオ機器・システムでは、今年度、以下の開発成果がありました。 主力の映像制作スイッチャ「MuPS-5000」シリーズは、納入開始して2年経過する中で、オプション機能を全て開発完了し、今年度は機能・性能向上のためのファームウエア・ブラッシュアップ開発を行いました。ワークフローを具体化したことが成果となり、大型、中型スイッチャの2ラインアップ製品が、制作/報道スタジオ副調整室設備、或いは大型、中型中継車設備に採用され、次世代4K映像制作からHD映像制作まで、幅広く実績を伸ばしております。 報道系においては、ニュース送出ソリューションに位置付けている「ワンタッチ送出コントローラ」(システムアプリケーション)との連携を新開発する中で、報道スタジオの受注を伸ばして参りました。番組制作系においても、昨今高まりを見せるスタジオゲスト・リモート出演ニーズに対応し、これをサポートする演出効果(座標変換機能)を新開発しました。お客様へのタイムリーなソリューション提案が受注獲得へと結びついております。今後、地方ローカル局の需要が更に高まる中で、小規模映像制作向けに3ラインアップ目の小型製品開発に着手しており、2021年度製品発表計画としております。マスターサブや小型制作中継車への提案、或いは非放送市場として、オンライン授業などの学校需要、競技場映像制作に向けた提案も強化して参ります。制作スイッチャと共に、システムのキーデバイスであるルーティングスイッチャ「UHSM-220220」については、現場での新たな運用、操作性向上を目指し、新たに外部コントロールGUIを開発しました。これにより、マトリクス操作の他に映像変換、スーパープロセス、マルチビューワ操作を可能とし、主戦の映像制作システムのみならず、放送局内の回線システムにも新たに採用されるなど、お客様にルーティングスイッチャの新たな付加価値と運用性を認知して頂いております。この他、制作スイッチャ、ルーティングスイッチャの周辺機能として製品化している「OnePackⅡ周辺機器」シリーズでは、今年度マルチビューワ機能をラインアップとして追加開発しました。小規模なモニタリング機能として、他社にはない周辺機器棚板に内蔵できる差別化のシステム製品となりました。今年度中継車への納入実績をきっかけに、コンパクトな中継制作システムへ訴求して参ります。また、4K/HDサイマルキャスト(同時送出)の具体的提案に向け、これまで色合いが異なるとされてきた両者の方式を改良し、特性近似となる当社独自のソリューションをカメラ製品と共に開発しました。これにより、VE(ビデオエンジニア)のQC(クオリティコントロール)をHDに集約できる独自の提案となり、今後の4Kビジネスを普及していくために、4K/HDの充実した映像制作ソリューションを提案して参ります。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 無線伝送・通信機器では、放送局向けに超高精細度テレビジョン(4K・8K)放送番組素材伝送を目的とした新規格ARIB STD-B71に対応した無線伝送装置として、超小型FPU送信装置「PP-87」を開発しました。この新型FPU送信装置「PP-87」は、最新の4K対応H.265 codecを内蔵し、超低遅延・高画質伝送を実現していることから、ニュース素材伝送やイベント中継等、様々な運用形態への活用が期待できます。デジタルFPU導入から15年以上が経過し、その更新時期を迎えております。当社ではその更新需要に向け、従来の新規格ARIB STD-B71に対応した4K対応FPU装置「PF-900」ならびに新たに開発した小型FPU送信装置「PP-87」を核とし、さらに、HD対応超小型FPU送信装置「PP-97」ならびに「PP-90」も加えて各放送局への積極的な販売活動を行って参ります。 (2) 産業システム事業関連セキュリティ機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズの他、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューションの提供を推進しています。 各種環境プラント市場では、日本全国に点在するプラントの監視映像の統合管理のソリューションを目指し、アナログ方式、IP方式が混在する監視カメラ映像を当社独自のネットワークエンコーダ/デコーダを用いて、監視映像の統合管理を実現した遠隔監視映像システムを構築いたしました。今後も映像をベースとしたソリューションの提供を推進し、映像による遠隔での支援機能の充実と効率的かつ安定したプラント施設の運営に寄与して参ります。また、鉄道市場においてプラットホームの安全確認用監視システムのフルHD化が進む中、フルHDカメラ「ISD-220HD/240HD」 と、ワイドカラーモニタ「FCM-E2460HD」を採用したワンマン運転士用列車監視システムを構築し納入いたしました。本システムは、ワイドカラーモニタを縦型に設置し、HDの精細画像とともに奥行き方向の視認性を確保することで、ワンマン運転士による安全確保の向上を実現しました。 さらに、ホームドア用列車停止位置検知センサーを収納する昇降式ハウジングを開発、納入いたしました。当社が培ってきた昇降式ハウジングのノウハウを最大限に応用した製品であり、ホームドアシステムの安全稼働およびメンテナンス時の安全性の向上に大きく貢献する製品となっています。今後も鉄道運行における安全・安心を支えるため、映像をはじめ様々なノウハウを活用し、多様なニーズに的確に対応したシステムの提案・提供に努めて参ります。セキュリティ分野における監視映像の高画質化、ネットワーク化や多様化するニーズに柔軟に対応するために、これまで培ってきた画像技術・ネットワーク技術を駆使した機器の開発とシステムソリューションの提案力を強化し、引き続き「安心・安全な社会」の構築に貢献して参ります。 メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。 2020年度は、内視鏡カメラをターゲットとした画像処理技術の開発に取り組み、従来の画像処理機能を改良し、医師の負担軽減に貢献できる画像鮮明化機能を開発しました。特に低侵襲性であることから様々な領域で応用されているICG蛍光観察をサポートした画像処理も実現しました。既存のソフトウェアをアップデートすることで、様々な手術へ応用することができ医療機器メーカーから好評を博しています。また、新たな市場への展開として、手術という直接業務の効率向上だけでなく、間接業務を統括して管理できるシステム開発などに取り組んでいます。今後も最先端のデジタル映像技術を駆使し、医療現場に真に求められる新たなソリューションを展開して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 近年、超高齢化社会の進行と、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加を背景として、より高速で高精度な医薬品検査を行い、品質を担保する検査装置に対するニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。この状況において2020年11月に新製品としてTIE-10000錠剤外観検査装置を開発、発表いたしました。TIE-10000は、大量の錠剤を安定的に供給し、高い精度で均等に錠剤を整列する供給・整列部と、当社の搬送技術の粋を結集させた水平ベルト搬送方式を採用したことにより、世界最速となる最大70万錠/時の処理能力を実現しました。搬送速度は、錠剤の特性に合わせて設定できる可変式のため、衝撃に弱い口腔内崩壊錠(OD錠)や転がりやすい錠剤には、その特性に最適な搬送速度に設定することで、安定した搬送を実現しています。また、産業市場では自動車触媒などに用いられるハニカム構造体の目詰まりなどの不具合を自動的に検査する「HIE-111ハニカム構造体検査装置」を日本で初めて製品化しました。今後も検査事業領域拡大に向け、新たな検査手法や技術開発を進めるとともに、他企業との技術アライアンス等も含め、お客様に新たなソリューションを提供して参ります。
FY2020|4,935 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,639百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラ・モニタでは、今年度、以下の開発成果がありました。 撮影システムとして、ロボットアームを用いたリアルリモートカメラシステムの開発をいたしました。リアルリモートカメラシステムは、カメラをロボットアームに搭載して遠隔操作でアームとカメラを制御し、卓越した撮影技術を有したカメラマンと遜色ないカメラワークと、多様化するワークスタイルへの対応を目指したものです。2019年度のInterBEE(国際放送機器展)においては、料理番組の撮影デモンストレーションを行い、多方面から高評価をいただきました。今後、さらなる操作性および動作制御の向上を行い、放送局をはじめとした番組制作のワークフロー向上に貢献して参ります。 また、昨今の自然災害時の状況把握に映像情報の重要性が高まる中、ヘリコプターから超高精細4K映像の空撮に適した光学系分離構造の世界最小4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-F4000」を開発いたしました。「UHL-F4000」は、グローバルシャッターCMOSセンサーを採用し、動きの多いシーンでも歪みのない映像を出力するとともに、独自の画像処理により超高感度カメラとして夜間の撮影も可能にしました。さらに光学系分離によりカメラヘッドを小型化したことで、CCU部を遠隔配置した監視・情報カメラなど、多目的な利用を可能とし、お客様へ今までにない付加価値を提供できるものと考えております。 放送モニタにおいては、国内キー局をはじめ、多くのお客様にご利用いただいているHDモニタ60シリーズならびに放送市場を中心に要求が高まっている4KモニタHQLM-3120W、HQLM-1720WRに対応した、モニタの輝度および色度を自動調整するAuto White Calibration(AWC)ソフトウェアの開発を行いました。このAWCソフトウェアは、主要なカラーアナライザーのプローブに対応しており、お客様自身で輝度・色度を容易に調整することを可能としました。輝度・色度の調整は、特に海外のお客様からの要求が多く、今後のモニタ販売に寄与するものと期待しております。 放送映像音声スタジオ機器・システムでは、今年度、以下の開発成果がありました。 2018年に新開発した4K大型スイッチャ「MuPS-5000」シリーズは、放送局他での4KおよびHDの大型中継設備として、さらに、制作/報道スタジオ、制作中継車などに採用され、運用実績を着実に伸ばしております。本製品は映像システム設備更新需要の中核となる製品として、継続した機能充実開発を実施しており、昨年度の三次元映像効果、入出力の映像変換機能実現に続き、今年度はマルチビューイング機能、静止画動画メモリ機能を追加開発し、ファームウェアを含めた映像制作機能の強化計画を着実に進めております。また、需要が増えているローカル放送局のシステム更新計画に対応するために、中規模システムを想定した小型低価格ラインアップ製品の拡充を図り納入を開始しました。大型システム製品に加え、より提案の幅を広げながら、次世代4K/HD映像システム需要に応えていきます。上記映像制作スイッチャ製品に引き続き、システムの中核を担うもう一つのキー製品として映像ルーティングスイッチャ「UHSM」シリーズをこの度開発製品化しました。4K映像という大容量、高速信号の伝送技術とルーティング技術を新たに開発することで、マトリクスとしては業界最大クラスの220×220(入力数×出力数)サイズを実現し、4K/HDが混在する複数の映像システムで採用されています。MuPS-5000シリーズと共に、当社の放送ソリューションの中核製品として、今後提案を強化して参ります。また上記に加え、中継制作システムの3つ目の重要機能としてのシステム周辺機器「OnePackⅡ」シリーズは、ソフトウェアライセンスによって、各種機能を複合的に組み替えて使用できる、運用フレキシブル製品として、性能、機能強化を継続して参りました。この結果、お客様からの認知度が上がり、納入開始後2年目を迎えて量産体制に入っております。ソフトウェアライセンスを設定する操作系(GUI、ハードウェアリモコン)の開発に力点を置いたことにより、当社のみならず、他社のシステムインテグレートにも採用され、操作環境の開発成果にも繋げることができました。これにより、システム提案に加え、単体製品販売への注力も可能となりました今後、益々高まる映像システムの更新需要に対し、製品の安全安心な放送品質を確立しつつ、4K、HD(2K)の充実した映像制作ソリューションを提案して参ります。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 無線伝送・通信機器では、放送局向けに超高精細度テレビジョン(4K・8K)の伝送を目的とした新規格ARIB STD-B71に対応した無線伝送装置として、新型FPU装置「PF-900」を開発しました。この新型FPU装置「PF-900」は従来の機能に加え4K高画質映像信号伝送を可能にし、さらに消費電力を従来のFPU装置と同等以下、かつ小型・軽量化を実現しました。デジタルFPU装置導入から15年以上経過しており、その更新需要に向け、4K対応新型FPU装置「PF-900」ならびに超小型FPU装置「PP-97」を核として、各放送局への積極的な販売活動を行って参ります。 (2) 産業システム事業関連セキュリティ機器関連では、引き続き高画質化、ネットワーク化が高まる市場ニーズへ対応を推進しています。 従来モデルと同様のHD-SDI出力とHD-VLC™出力を備えつつ、最低被写体感度 カラー時:0.0024lx/F1.4、白黒時:0.00047lx/F1.4と約5倍の高感度化を実現したフルHDカラーカメラ「ISD-240HD」を開発し、2020年度より販売を開始いたします。また、機能面でも同様に、逆光環境での明暗差が激しくなる車両や人の動きに対して黒つぶれや白とびがない自然な映像で捉えることができるワイドダイナミック機能、霧や靄(もや)の環境下でも被写体を捉えるDEFOG機能などを搭載しています。今後とも屋外監視需要の多い、鉄道市場、プラント市場、公共市場を中心に、さらなる高性能・高機能のソリューションを提案して参ります。さらに、お客様からの既存のアナログシステムの更新需要も多いことから、高感度カラーカメラと高倍率ズームレンズを搭載した屋外耐環境型コンビネーションカメラ「PCS-79」を開発、2020年2月より出荷を開始いたしました。防水・耐風性に優れ、高所カメラ、河川監視、港湾監視などさまざまな運用を可能としました。映像出力にアナログコンポジット信号を採用しているため、既存のアナログシステムの更新ソリューションとして販売を推進して参ります。また、IPネットワーク化では、監視システム用フルHD対応ネットワークレコーダ「INR-3500」を開発、販売を開始いたしました。INR-3500は、映像圧縮方式として、JPEG、JPEG2000、H.264、H.265と幅広く対応するとともに、小規模店舗向けのType-1(スタンドアロンタイプ:本体にモニタを接続して記録映像をモニタできる機能を内蔵)と、大規模監視システム向けの記録と配信に特化したType-2(サーバタイプ)の2機種を準備し、様々なシステムへの対応を可能としました。監視映像の高画質化、ネットワーク化のニーズの高まりに対し、最新の画像技術・ネットワーク技術を投入したセキュリティ機器の開発とシステムソリューションの提案を強化し、「安心・安全な社会」の構築に貢献して参ります。 メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。 2019年度は、4Kネイティブ単板カメラ「MKC-X800」を製品化し、高解像度(1800TV本)と低ノイズ(58dB S/N)を実現しました。特に高精細な画質が要求される脳神経手術等への利用を主目的としており、微細手術における医師の負担軽減に寄与するものと期待しています。コントロールユニットの操作部には、タッチパネルLCDを採用し、操作性の向上に加え、機能拡張への対応も容易としました。今後も急速に高度化する微細手術をサポートできるよう、更なる画像鮮明化や負担軽減機能の開発に力を入れています。また、信号処理部のマルチフォーマット・プラットフォーム化を進め、同一ハードウェアで単板4Kカメラ、3板HDカメラ、可視+赤外蛍光観察4板カメラ信号の接続を実現しました。これにより、様々な手術に求められる画質や機能に内蔵モジュールの変更で柔軟に対応することが可能になりました。カメラ単体の販売に留まることなく、プラットフォーム・ハードウェアや各種内蔵モジュールを世界各国の医療機器メーカーにOEM供給し、好評を博しています。また、最先端医療技術の発展に貢献していくため、医療用小型8Kカメラの開発にも力を入れています。2019年度は一般財団法人NHKエンジニアリングシステム様と超小型高解像度センサーを用いた世界最小の医療用8K解像度カメラ「MKC-820NP」を共同開発しました。アスペクト比を1:1とするスクエア(正方)・イメージング技術を開発し、従来比で質量1/3以下、容積1/7以下を実現し、内視鏡カメラを想定した際の手持ち運用を可能にしました。本カメラは2019年5月30日(木)~2019年6月2日(日)の期間でNHK放送技術研究所にて一般公開され、注目を集めました。今後も最先端のデジタル映像技術を駆使し、医療現場に真に求められる新たなソリューションを展開して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 近年、医薬品業界では偽造や調剤ミス、誤飲防止を目的とした錠剤の視認識性向上が求められています。さらに、服薬アドヒアランス向上を図るため、口腔内崩壊錠(OD錠)も増加しています。この様な紛入量の多いOD錠への印刷をする上で、粉の堆積による影響、錠剤表面の粉付着による印刷品位の低下、錠剤の脆さ(割れ・欠け・粉の発生)の課題がありました。本課題にあたり、集塵対策、流体制御、インク、インクジェット制御、ハンドリング強化版のTIE-9000Pを開発し、納入しました。本装置は、生産ラインでの稼働を始めており、お客様から高い評価を得ています。また、小・中規模生産に適した錠剤印刷機TIE-4500Pもリリースしました。新たな市場への展開として、可視光外を含めたソリューションへの展開を目的とした基礎技術開発に取り組んでおります。 今後の検査事業領域拡大に向け、新たな検査手法や技術開発において、他企業とのアライアンス等を積極的に進め、お客様に新たなソリューションを提供して参ります。
FY2019|4,341 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)では、主に製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,776百万円です。 (1) 放送システム事業関連放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。 また、総務省の推進する超高精細映像技術(4K・8K)のロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。 放送用カメラ・モニタでは、今年度、以下の開発成果がありました。 放送カメラでは、放送市場のIP化の流れに応え4Kシステムカメラ「UHK-430」、「UHK-435」の信号インターフェイスとして、SMPTE ST-2110規格に対応し1本のケーブルで4K映像を非圧縮で伝送する25GbE(25 Gigabit Ethernet)のオプションモジュールを開発しました。これにより、従来のベースバンドと同様に非圧縮での4K映像の高画質伝送を可能とし、インターネット技術を用いた映像・音声等の伝送方式MoIP(Media over IP)の活用が進む放送現場に柔軟なソリューションを提供して参ります。 また、4K映像をお天気カメラなど多目的用途で活用できるBOXタイプの4K Multi Purpose Camera「UHL-43」を開発しました。4Kシステムカメラと同じ3板式を採用し、「UHK-430」と同等の画質性能を誇ります。高画質の4K情報カメラ用途はもとより、遠隔スタジオのリモートカメラ等、様々な用途で番組制作の効率化に寄与するものと期待されています。 放送モニタでは、放送市場で要求される4Kモニタの製品を開発しました。マスターモニタとして、高画質、高安定度、さらにHDR(High Dynamic Range)表現に向け通常モニタの約3倍の輝度(最大1000cd/㎡)を実現した「HQLM-3125X」を製品リリースしました。国内キー局をはじめ、多くのお客様から好評を頂いております。また、HD(2K)信号でもHDR対応が進みつつあることから、昨年度製品リリースしたHDモニタ60シリーズ(9型、15型、17型の3サイズ)向けに、HDR信号を表示可能とするオプションソフトウェアを開発しました。特に海外ではHDモニタに対するHDR対応の要求が高く、今後の販売に寄与するものと期待されます。これらカメラおよびモニタ製品は米国放送機器展NAB2019(2019.4、ラスベガス)に出展し注目を集めました。MoIP、HDRの対応で、お客様の幅広い運用に応えていきます。 放送映像音声スタジオ機器・システムでは、今年度、以下の開発成果がありました。 2018年12月にBS、CS放送で4K本放送が開始されました。新開発の4K大型スイッチャ「MuPS-5000」シリーズ、4Kシステム周辺機器「OnePackⅡ」は、放送局の4K最新設備として本放送を支えるとともに、次世代放送設備として実績を積み、今後の4K放送システム構築に寄与して参ります。「MuPS-5000」シリーズは、今後の4K放送に向けた放送局のシステム設備更新需要の中核となる製品として、4K映像制作の充実、4Kシステム運用におけるフレキシビリティを目指し、三次元映像効果機能、入出力の4K/2K映像変換機能の機能強化開発を図りました。さらに、従来のHD(2K)運用に対しても、高い4K処理能力を活かし、従来の4倍~8倍の系統機能を可能とし高付加価値を実現しました。また、4Kシステムを構築する際、システムごとに要求の異なる解像度や色域変換、またHDR変換機能などを柔軟に設定できるシステム周辺機器「OnePackⅡ」を開発しました。ソフトウェアで各機能を実現することで、柔軟性の高い、多系統、多機能複合型の周辺機能をコンパクトに収めることを可能としました。2018年9月から放送局に納入を開始し、小型軽量を活かし、中継車、ヘリコプタなどの省スペース環境での4Kシステム構築に貢献して参ります。今後、地上波デジタル放送開始15年を経て第二次となるHD(2K)システムの更新需要に向け、4K、HD(2K)の充実した映像制作ソリューションを提案して参ります。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 無線伝送・通信機器では、放送局向けに超高精細度テレビジョン(4K・8K)の伝送を目的とした新規格ARIB STD-B71への対応を視野に入れるとともに、新たなIPネットワーク素材信号形態にも対応した無線伝送装置として新型FPU装置「PF-900」を開発しました。この新型FPU装置「PF-900」は4K高画質映像信号とIP素材データの同時伝送を可能にした機能に加え、消費電力を従来のFPU装置と同等以下、かつ小型・軽量化を実現しました。また、1.2GHz帯/2.3GHz帯のデュアルバンド対応・SISO方式超小型FPU装置「PP-90」をベースに、新たに7GHz帯に対応したFPU装置「PP-97」も開発しました。デジタルFPU装置導入から15年以上経過しており更新需要に向け、4K対応新型FPU装置「PF-900」ならびに超小型FPU装置「PP-97」を核として、各放送局様への積極的な販売活動を行って参ります。 (2) 産業システム事業関連セキュリティ機器関連では、市場での高画質化、ネットワーク化のニーズへの対応を引続き進めています。 アナログのメリットを生かしながらフルHD(1920×1080)の映像を撮影・録画できる監視カメラの規格「AHD2.0」に対応した高感度フルHDカラーカメラ「ISD-890」を開発し、販売を開始しました。本製品の投入により、新たにケーブルを布線することなく既設の同軸ケーブルを用いてフルHD監視システムの構築が可能となりました。さらに、アナログコンポジット信号を同時に出力できるため、既存アナログカメラシステムのカメラの入れ替え・更新も対応可能となっています。既存のインフラ設備を無駄にすることなく有効活用することで、コストの抑制や工期の短縮の特長を活かし、鉄道市場、プラント市場、公共市場を中心に販売を推進して参ります。また、IPネットワーク化では、同軸でのIP伝送環境が進みつつあることから、昨年度開発したH.265対応のネットワークカメラ「IPD-210シリーズ」を用いて、既存の監視カメラシステムの敷設同軸ケーブルを活用したIPネットワークカメラシステムのソリューションを開始しました。これにより、新規LANケーブルを敷設する手間とコストを大幅に抑制するとともに、同軸ケーブルによるネットワーク構築と、ネットワークカメラの利便性(1本のケーブルで映像伝送、カメラ制御、PoE(Power over Ethernet)給電)の提供を可能としました。今後の高画質化、監視映像のネットワーク化のニーズの高まりに対し、新設需要のみならず既存のインフラを活用した、様々な設備更新のご要望に最適なソリューションの提供を行って参ります。 メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。 医療用カメラでは、最近の近赤外光による診断に対応すべく、近赤外光と可視光の同時撮影による映像合成メディカルカメラを開発し、製品リリースを行いました。また、医療用4K単板カメラの製品化にあたり、手術中に求められるカメラ操作機能について新たなヒューマンインターフェイスを開発し、2018年11月にドイツのデュッセルドルフで開催された世界最大級の医療機器展示MEDICA 2018に出展を行い注目を集めました。さらに、眼科用途の微細手術の新たなソリューションとして高精細4K映像機器による3D手術顕微鏡カメラシステム(Vigilate〔商標登録〕)を開発しました。このシステムは、医師が顕微鏡を覗き込むことなく、3Dモニタを見ながら手術を行う、「Heads Up Surgery」と呼ばれるシステムで、医師の手術中の姿勢等の負担を軽減し手術の信頼性向上と効率化に寄与することを目指しています。今後も、デジタル映像技術を駆使し微細手術の新たなソリューションを展開して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 医薬市場向け製品である、X線による錠剤内部検査装置「TIE-XR」の製品シリーズとして、昨年末にアメリカで認可されたデジタル錠剤(錠剤の中にチップ部品が内蔵され、服用後、体内で胃液と反応して微弱電波を発信し、体外で電波検知することで服用確認が可能な錠剤)向け検査装置を業界に先駆け開発しました。この装置はデジタル錠剤に内蔵されたチップ部品の有無や、複数チップの混入による不良錠剤の検出を行う装置で、微細な検出精度に対応した新たなX線検査エンジンを開発し実現しました。既存の錠剤検査装置TIE-9000シリーズと併せて、錠剤医薬品市場へ更なるソリューションを提供して参ります。 新たな市場向け検査装置として、産業市場向け枚葉検査装置を開発しました。従来の検査対象は金属箔や高機能フィルム等の連続したシート状のものに限られていましたが、新たにカットされた単体の対象物を高精度(30μm)、高速処理(850MHz)で検査可能にした「PIE-650M」を開発販売しました。本検査装置は当社独自の画像処理エンジンを搭載し、高精度な不良検出を実現するとともに、検査シミュレーション機能による不良検出画像の解析を行うことで生産ラインの不良要因分析に活用されています。本検査装置は生産ラインでの稼働を始めており、お客様から高い評価を得ています。 今後の検査事業領域拡大に向け、新たな検査手法や技術開発において、他企業とのアライアンス等を積極的に進め、お客様に新たなソリューションを提供して参ります。
FY2016|4,742 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、顧客に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。 研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)で、製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、18億74百万円です。 (1)放送システム事業関連放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。 また、総務省の推進する4K・8Kロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。 当連結会計年度では以下の主な成果がありました。 放送カメラでは、4Kシステムカメラ新シリーズ「UNICAM XE」の最初の製品として、2/3型 800万画素(4K)CMOSセンサを搭載した新開発4K 3CMOSシステムカメラ「UHK-430」を製品化しました。また、同時に、3機種のビューファインダ、大型レンズ装着用のシステムエキスパンダやマスターコントロールパネル「MCP-300」などの周辺装置も併せて製品化しました。この「UHK-430」は、3月にドバイで開催されたCABSAT展示会で製品発表し、既存のHD放送用カメラの操作性と運用性を踏襲した4Kシステムカメラとして注目を集めました。「UHK-430」は4KとHD(2K)のサイマル運用が可能なカメラシステムとして、今後4K対応を検討されている放送各社のスタジオや中継車の機器更新需要に対応していきます。 8Kスーパーハイビジョンカメラにおいては、昨年度に日本放送協会(NHK)様と共同開発した第4世代カメラの追加納入を行いました。来るべき東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ分野における運用が期待されます。併せて昨今4K/8Kにおいて映像の表現力向上を目的として標準化されるHDR(High Dynamic Range)の対応を行いました。 現行HDカメラでは、ヘリコプタ搭載用高感度カメラ「HDL-F3000」を開発しました。従来機種とインタフェース等の互換性をとることで、ヘリコプタの防振雲台を大型化する事無く使用可能なため、ヘリコプタ航続距離などの運用面に寄与します。 放送モニタでは、放送市場がHD(2K)から4K、さらに8Kと高精細化が進むことに伴い、表示系ヒューマンインタフェースのモニタの重要性は増しています。当社では従来の運用性を踏襲しつつ、4K、8K時代に求められる新たな機能に対応したモニタの製品開発を進めています。 昨年度は今後、HD(2K)のみならず4K、8K対応の幅広い放送モニタの製品化を見越し、共通プラットフォームの開発を進めました。この開発によりモニタ製品の効率化を図っていきます。さらに、4K、8Kで求められる高色域表現、HDR対応の開発も進めています。 昨年の11月に開催された国際放送機器展に4K対応モニタの参考出展を行い、製品化に向けて幅広いお客様から貴重なご意見を頂きました。これらの貴重なご意見を基に製品化を進めています。 また、8Kスーパーハイビジョンモニタは、まず55型8K LCDパネルを採用し、製品化前の技術検証として8Kスーパーハイビジョンカメラの画質評価および展示会にてデモンストレーション等を実施しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、制作用として小型化の8Kスーパーハイビジョンモニタが望まれており、インタフェース技術、HDR技術を含め、製品化の開発を進めていきます。 放送映像音声スタジオ機器・システムとしては、放送局需要をターゲットとした「MuPS-4000大型スイッチャ」の映像制作機能の高度化を進めました。 2018年の4K BS放送の本放送では、スイッチャに4Kフォーマットの映像制作機能が必要となるため、まずは、4K画面内への映像インポーズ機能を加え、本格的な4K映像制作に対応しました。 また、2K、4K映像を記録・再生できる動画(静止画)ファイル機能を新しく開発しました。任意の映像をリアルタイム送出できる映像制作の新たな機能として提案することで、複数の放送局への納入に繋がりました。 さらに、2016年からの小型SNG中継車の更新需要に向け、大型スイッチャの制作機能(多チャンネルのエフェクタの他、フレームシンクロナイザ、カラーコレクタ、マルチビューワ等)をそのまま踏襲しつつも3Uのラック収納サイズに収めた、省スペース小型スイッチャを新開発しました。 大型から小型システムまで、今後高まるシステム更新需要に向け幅広い映像制作システムの提案をしていきます。 無線伝送・通信機器では、700MHz帯FPUの周波数移行に対応した1.2GHz帯/2.3GHz帯のデユアルバンド対応・SISO方式超小型FPU送信装置「PP-90」を開発し、販売を開始しました。この「PP-90」は、徹底した小型・軽量化を図ることで業界最軽量の約1kgを実現しました。本体には、最新のH.265コーデックを内蔵し、放送番組素材伝送で重要な、超低遅延・高画質映像伝送を実現しています。さらに、5W出力の電力増幅器も同時に開発し小型・高出力での運用が可能なことから、ロードレースのバイクカメラ等で使用されました。「PP-90」は低消費電力化と合わせワイヤレスカメラやイベント中継等、様々な中継形態への活用が期待されています。 また、海外向けFPUとして「PF-531A」を開発し、東南アジア、西アジア、大洋州地域から販売を開始しました。PF-531(国内モデル)の高い耐環境性能(直射日光、雨に強い構造)を継承し、高温・多湿な東南アジア、西アジア、大洋州地域の気候に対応しました。各国により異なる無線周波数帯に対応したユニット類を用意し、積極的な販売活動を行っていきます。 (2)産業システム事業関連セキュリティ機器関連では、市場での高画質化、ネットワーク化のニーズの高まりに対応したフルHDネットワークカメラシリーズの開発を行い、ラインアップの拡充を図りました。 一昨年、フルHDネットワークカメラ「IPD-BX300」(ボックス型)、「IPD-DM300」(ドーム型)とフルHDネットワークレコーダ「INR-1008P/1016P」(PoE対応)を開発し好評を得ました。そこで昨年度はさらに顧客の多様化するニーズに対応すべくフルHDネットワークカメラ5機種、統合ソフトウェア一式を開発し、販売を開始しました。 フルHDネットワークカメラのラインアップとして、屋外ハウジング一体型「IPD-BL300」、耐衝撃屋外ドーム型「IPD-VR300」、屋内パンチルト・ミニドーム型「IPD-PT200」、屋外コンピネーションドーム型「IPD-SP200T」、屋内コンピネーションドーム型「IPD-SP200U」の5機種を追加開発しました。また、カメラ台数の多い大規模システムに対応すべくフルHDネットワークカメラシリーズとネットワークレコーダ2機種を接続し運用することが可能な統合監視ソフトウェア「INR-1000SW」も開発し、多様なご要望に合わせて分割画面表示やマップ表示のカスタマイズなどが行えるソリューションを提供しました。 当社のフルHDネットワークカメラは発売以来、最新のH.264画像圧縮技術による高画質と、複雑なネットワーク設定を排除し簡単設定、操作を実現したことにより、店舗系では大手コンビニエンスストアチェーン2社の推奨メーカーとなりました。その他、フランチャイズチェーン店や量販店、さらに、テナントビル、マンションや老人ホーム向けに多くの受注を獲得しました。特に、老人ホームの案件では、40個所の統合監視としてカメラ総数600台を遠隔監視できる大規模システムを実現しています。 今後は、当社納入実績の多い公共、プラント市場向けに新設や従来型アナログシステムからネットワークカメラシステムへの更新を図るべく、高画像圧縮技術、ハイエンドネットワークカメラ、システム周辺機器の拡充を進め監視ソリューションの高度化を図っていきます。 メディカル機器関連では微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。 手術顕微鏡、術野カメラシステム等、さまざまな場面で活用頂く医療用カメラの高精細最高機種として、高感度4K出力カメラ「MKC-704KHD」と、高解像度4Kカメラ「MKC-750UHD」を製品化しました。 MKC-704KHDは、FULL HD(1920×1080)の4倍の4K映像(3840×2160)を出力し、当社医療用カメラとして最高感度の2000lx/F17(LINE MIX ON)を達成しています。さらに特殊画像補正機能の搭載により、微細部分の表現力、解像感、被写界深度を格段に向上させたことにより、ヘッドアップサージャリーや低照度の眼科手術などの用途に効果を発揮します。MKC-750UHDは、4K(3840×2160)デジタルプロセスの搭載により従来のHD方式(1920×1080)と比較して4倍高精細な映像を実現。限界解像度1600本、S/N56dBの高画質を達成しており、高画質が必要な今後の医療分野に4Kソリューションの入力カメラとして注目を集めています。 MKC-704KHDでは、4K対応の専用手術顕微鏡アダプタを使用することで、ICG、フルオレセイン、5-ALAの高感度高画質による撮影が可能となり、眼科をはじめ、脳神経外科や整形外科など外科分野での活躍も期待されています。 また、高精細の表示機器としてのモニタ開発を進めており、今年度、新型モニタのラインアップを発表し新たなソリューション提案を行っていきます。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 主要製品である錠剤検査装置TIE-9000シリーズでは、昨年度、X線錠剤内部検査装置「TIE-XR」を製品化しました。また、昨年7月のインターフェックスジャパンで錠剤検査装置との連動モデルを発表し、ジェネリック医薬品の大手メーカーに納入実績を得ました。 さらに、患者の高齢化に伴う錠剤医薬品の識別改善の要求に応えて、非接触型のインクジェット錠剤印刷装置「TIE-9000P」の研究開発を進め、同展示会に参考出展し注目を集めました。政府の後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進方針による錠剤医薬品の需要増に応えるべく、検査性能の向上、新機能の研究開発を進め、さらなるソリューションの提供を継続していきます。 一方、平面検査市場では高速搬送による高精度検出に対応する16,000画素850MHz高速ラインカメラの検査機器を開発し、2016年4月の高機能フィルム展にPIE-650平面検査装置として製品発表し販売を始めました。本装置は、すでに大手銅箔メーカーからの受注を獲得し、本年9月納入予定です。今後、業界最速、高解像度の平面検査装置として機能強化を進め、お客様への新たなソリューションを展開していきます。