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メディアリンクス(6659)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

メディアリンクスは、放送用ネットワークのインフラ機器・システムを開発・販売するファブレスメーカーです。テレビ放送の高品位映像を、放送局間や部署間でIPネットワークで伝送するための機器やシステムを提供しています。機器単体の販売だけでなく、ソフトウェア、設置工事、保守サービスを組み合わせたシステム構築も手掛けています。主な顧客は通信事業者やテレビ放送局で、通信事業者に販売された場合は、通信事業者がその機器を使ってテレビ放送局に映像伝送サービスを提供します。製品開発では、最終的な視聴者が受けるサービスを想定して仕様を決定しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

メディアリンクスグループは、株式会社メディアリンクスと2つの海外子会社(米国法人MEDIA LINKS, INC.、オーストラリア法人ML AU PTY LTD)で構成されており、主に映像通信機器のメーカーとして事業を行っています。この事業以外に事業の種類がないため、事業セグメントは分類されていません。アジア営業部、米国子会社、オーストラリア子会社がそれぞれ販売地域を担当し、海外子会社は販売チャンネルの構築や保守サポート、各国のニーズに合わせた製品カスタマイズ情報の収集も行っています。これにより、グローバルな顧客ニーズや市場動向を把握し、新製品開発に貢献しています。

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FY2025|2,917 文字
3【事業の内容】(1) 事業の内容当社グループは、当社(株式会社メディアリンクス)と、子会社2社(米国法人であるMEDIA LINKS, INC.およびオーストラリア法人であるML AU PTY LTD)により構成され、主に放送用ネットワークのインフラを形成するための機器・システムを開発・販売するファブレスメーカー(製造設備を自社で保有せず、外部へ製造委託する業務形態をとるメーカー)です。テレビ放送で使用される高品位映像素材を放送事業者の拠点間あるいは拠点内部の部署間をIPで結ぶネットワークを実現するための機器およびシステムなどを開発・販売しています。また、機器単独の販売だけではなく、ソフトウエア、設置工事、保守サービスなどを組み合わせたシステム構築事業も展開しています。当社は主として機器やシステムを通信事業者またはテレビ放送局に対して販売しています。通信事業者に販売した場合、通信事業者は当社の機器やシステムと自社の回線設備などを用いてテレビ放送局に対して映像伝送サービスを提供しています。製品開発においては、実際に使用する通信事業者や放送局のみならず、さらにその先の顧客が受けるサービスを想定して製品の仕様を決定しています。なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類していません。 (2) 製品の主な特徴当社の製品は、放送用映像伝送に特化した機能を有しています。放送では映像が途切れることはあってはならないことであり、放送事業で使われるインフラ機器には絶対の信頼性と安定性が求められます。同時に、ネットワークで伝送される映像素材の品質は劣化させてはならず、伝送遅延も最小限となるよう求められます。以前の汎用通信機器では放送局が求める高い要求に応えることができませんでしたが、当社の製品は、効率性の高いIP通信の技術をベースにしながら、放送事業で必要とされる厳しい要件をクリアできる性能を実現しました。そのことにより、当社製品はサッカーのワールドカップやオリンピックのような世界中の人々が注目するスポーツイベントの映像伝送装置や欧州や米国などの国を代表するトップ企業の重要な放送用基幹インフラを形成する機器として採用されています。また、放送と通信双方の要素技術を蓄積してきた実績が評価され、近年脚光を浴びているスポーツ中継などを放送局でコントロールするリモートプロダクションや放送局内IP化についても、当社製品が採用されています。 (3) 製品開発について当社グループの製品開発は、設計開発部門、マーケティング部門との連携で行われています。開発テーマはマーケットニーズや外部環境の変化などから、潜在的なニーズやウォンツ(注1)を探り、今後のマーケット環境を考慮しながらロードマップを描いています。当社は、設立当初より放送局で使用される映像機器の開発を行いながら、一方で通信の要素技術も獲得してきました。これら双方の要素技術を再構築することにより放送と通信の技術を融合させた製品の実現や高機能化など製品の付加価値の向上に寄与しています。また新規開発製品の開発期間の短縮に注力し、スピードある製品開発による新市場へのいち早い製品投入に努めています。ただし、新しいインフラ構築に関わる製品開発には、2~3年かかることが一般的です。新規技術の獲得につきましては、将来を見越した上で必要になりそうな要素技術の獲得に努めています。(注1) ウォンツ:顧客の顕在化されたニーズに反応するだけではまだ不十分と考える当社は、顧客が本当に欲するものをウォンツと謳っています。 (4) 生産体制について当社グループは市場や顧客のニーズに対しタイムリーに製品を生産し、コスト削減やスピード化を図るため、工場などの製造設備の資産や人員を自社で持たず、外部に委託するファブレスという事業形態を採っています。製造委託先は1社だけではなく、3社以上との提携を基本と考えています。この製造委託先の一貫生産と検査体制により、1台から数千台までの幅広い生産に対応できる体制を確立しています。 (5) 品質管理体制について当社の製品は、一瞬の事故もあってはならない放送事業に使用される装置で、放送局や通信事業者施設において長期にわたりインフラを形成するものであり、高度な品質が要求されます。設計開発における設計品質はISO9001(品質マネジメントシステム)をベースとした管理体制に基づき、設計品質を維持管理しています。製品の品質に関しては、委託する工場に依存するのではなく、自社の基準を定め、どこの工場で生産されたものであっても一定の品質を保持できる管理体制を確立しています。製造委託先では、品質はもとより環境に関しての配慮がされていることを選定基準とし、ISO14001(環境マネジメントシステム)を取得している工場を当社グループの製造委託先に位置づけています。(6)販売および保守サポート体制について当社製品の販売は当社及び子会社2社(米国法人であるMEDIA LINKS, INC.およびオーストラリア法人であるML AU PTY LTD)で行っています。販売部門は、機器やシステムの販売を行うだけでなく、市場、顧客のニーズを素早くキャッチし、設計開発部門にフィードバックを行い、新製品開発のレスポンスの高速化に努めています。また、メーカーとして、保守体制やお客様のサポート体制の確立と各種情報の一元化を目指しています。当社販売部門は、アジア営業部、子会社のMEDIA LINKS, INC.、ML AU PTY LTDが、それぞれ販売地域を担当しています。子会社は、海外各国の諸事情に対応し、代理店などの販売チャンネルを構築し、海外販売における営業拠点・保守サポート拠点となっています。同時に、それぞれの国に適応した製品を開発するために必要なカスタマイズ、製品仕様等の情報を収集する役割も担っています。日本国内だけでは把握しきれない世界における情報が、子会社のマーケティング活動・販売活動により当社グループ内で共有化され、ワールドワイドでの顧客ニーズや市場動向、新製品動向等が把握でき、当社グループの新製品企画開発に大きく貢献しています。 (事業の系統図) (注1) 国内海外部品メーカーより仕入れた部品は、当社より製造委託先へ支給され、当社製品の製造に使用されます。(注2) 販売部門及び販売子会社が収集したマーケティング情報と設計開発部門が収集した技術情報により、両者によって行われる会議において、製品化の実現可能性、実現時期等が検討されます。販売部門及び販売子会社は本検討内容による技術的な背景を踏まえ顧客に対し新製品や新ビジネスの提案を行い営業活動に反映させており、設計開発部門は必要技術の習得に生かしています。当社グループの顧客への提案力を強化するとともに設計開発部門の強化につながる販売部門及び販売子会社の情報収集は当社グループにおいて重要な位置付けです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
放送用ネットワークインフラのIP伝送分野で技術的優位性を持つが、参入企業増加で優位性が薄れているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
放送用映像伝送に特化した機能、高い信頼性と安定性、伝送遅延の最小化を実現する技術。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 軽い(資本不要)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:継続企業の前提に関する重要な不確実性 / 特定顧客への高い依存度 / 安定収益源の確保の難しさ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

メディアリンクスは特定の強力なブランド、特許ポートフォリオ、または規制ライセンスによる明確な無形資産の優位性を示唆する情報は現時点で見当たらない。事業内容も汎用的な部品・機器の取り扱いが中心と見られる。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

特定の顧客との継続的な取引関係や、カスタマイズされたソリューション提供による一定のスイッチング・コストは存在する可能性がある。しかし、顧客が容易に代替品に移行できる可能性も否定できず、その強度は限定的と推測される。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

メディアリンクスの事業モデルは、ユーザー数の増加がサービスの価値を高めるネットワーク効果を生み出す構造とは考えにくい。BtoBの部品・機器供給が中心であり、プラットフォーム型ビジネスではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

特定の製造プロセスやサプライチェーンにおける効率化によるコスト優位性の兆候は薄い。汎用品の取り扱いが多く、価格競争に晒される可能性があり、構造的なコスト優位性は限定的と推測される。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

電気機器業界において、メディアリンクスが突出した市場シェアや規模の経済による優位性を持っているとは断定しにくい。一定の事業規模は持つものの、業界全体で見ると最適規模の少数寡占を形成するほどの力はない可能性が高い。

同社の製品は、放送用映像伝送に特化しており、途切れない映像、高い信頼性、安定性、低遅延、高品質をIP通信技術で実現しています。これにより、ワールドカップやオリンピックなどの大規模スポーツイベントや、欧米の主要放送インフラに採用されています。放送と通信双方の技術を蓄積してきた実績があり、リモートプロダクションや放送局内IP化といった新しいニーズにも対応できる点が強みです。また、製造設備を持たないファブレス形態により、市場ニーズへの迅速な対応とコスト削減を実現し、複数の製造委託先との提携で安定した生産体制を確保しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「技術革新のリーダーとして、高い信頼性が要求されるメディアサービスをIPにより配信する技術を提供し、世界中のお客様の生活基盤を支える」ことを経営の基本方針としています。これを実現するため当社グループは、IPによる映像伝送領域を基本市場と定め、お客様に高度な技術に支えられた付加価値の高い商品・サービスを提供します。そのため、グローバルで一本化されたマーケティング、営業、開発、生産、管理などの機能別組織を整備し、迅速な意思決定により、継続的に社会に貢献してまいります。 (2)経営環境 すでに世の中の様々な分野で通信ネットワークはIP化されており、放送用ネットワーク・放送局内設備においても完全IP化とはいかないまでも、IPを使用した設備更新が進んでおります。ここ数年の状況は、各国の4Kその他高解像度信号配信の需要増加や新型コロナウィルス感染症による影響で放送番組、スポーツイベントの制作において、リモートプロダクションへの移行が主流になっています。リモートプロダクションでは、制作・編集・配信をシームレスにIPネットワーク、クラウド上で実現するための検討が一層進んでいます。また同時に、放送のIP化を目指す放送局、放送機器メーカー、通信事業者、ネットワーク機器メーカーによる伝送方式・制御方式の標準化が進行しており、新たな競合企業も数多く参入しております。 (3)経営戦略等 当社は、市場の初期段階におけるIP化の流れの中で、国内外の主要通信事業者・放送局向けのIP化に尽力してまいりました。既に10年以上に渡り製品の供給、技術・保守サポートの提供を続けております。今後導入後10年が経過している設備の更新需要に対してシームレスな更新を可能とする新製品を提供してまいります。また、世界各国で知名度はあるものの、顧客数が極めて限定的であるため、今後は日本・米国の新規顧客の開拓とヨーロッパ・中南米での市場開拓を進めることでビジネスの成長を図ってまいります。 当社グループは、この分野におけるIP化のさらなる発展をめざし、「お客様のニーズに合わせて独創的な技術で開発したより高度なソリューションを顧客に提供する」というビジョンを掲げ、事業を展開してまいります。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが目標とする経営指標は、売上高の長期的なトレンドと売上総利益率です。事業の特性として、顧客の需要変動が大きいため、月次や四半期の数値は大きく変動することがありますが、長期的な視点で着実に成長することが重要だと考えています。また、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 前述の「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略等」を実現するための当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と施策は以下のように考えております。 ① 特定顧客への依存度の低減 近年、当社グループの売上高において、海外の大口顧客向けの販売が大きく貢献しています。当社業績は、大口顧客の案件進捗状況に強く影響される状況が継続しています。 特定の大口顧客との取引が将来にわたって継続拡大が見込まれる場合は、その大口顧客からの要望に応えるために当社グループの人材や資金を優先的に投入することは合理的ですが、過度に依存することはリスクもあります。そのため、特定の大口顧客との良好な関係は維持しつつ、営業力の強化に加え、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により新規顧客を獲得することで、特定顧客への依存を相対的に低くすることが、当社グループが取り組むべき課題だと考えています。 ② 既存顧客への拡販と新規顧客の獲得 既存顧客に対しては、定期的な設備更新需要及びリモートプロダクションや4K放送の拡大需要に応えるため、新製品の開発・販売を行い、拡販を目指します。 また、北米においては営業力を強化し、新規顧客開拓を進めてまいります。その他の地域においては、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により、積極的に当社製品及びソリューションを提案し、販売地域を拡大し、新規顧客の獲得を目指します。 ③ ソフトウエア開発力の強化 当社グループは、放送用通信ネットワークで使われる装置を主要な販売製品としており、さまざまな機能はハードウエアに実装されています。今後は機能をハードウエアから切り離し、ソフトウエアとして提供する割合を増やすことを目指しています。ハードウエアは基本機能に絞り込んだ形にして共通化を進め、コストを抑えることで顧客の初期投資負担を減らします。当社の機器を含んで管理するソフトウエア(Equipment Management System)を開発して統合ソリューションを提供していきます。 ④ グローバルな販売チャネル網の構築 日本、米国では、自社スタッフによる直販体制が主になっていますが、今後広くグローバルに顧客層を広げてゆくためには、有効な販売チャネル網を構築することは不可欠です。新規顧客の獲得を目指しているアジア各国や欧州各国には、信頼できる販売代理店の協力を必要とします。各国の業界事情に精通し、有力顧客との接点を持ちながら、当社グループの製品やサービスを有効活用できる技術力を持った代理店を市場ごとに獲得することが求められています。 同時に当社から各代理店への技術指導や教育など、きめ細かなチャネルサポートを提供することも重要だと考えています。 ⑤ 競争力のある新製品開発への投資継続 当社グループの競争力は技術力であります。その技術力を保ち続けるためには、新たな技術を積極的に取り込みながら、製品開発のスピードを向上させ、新たなビジネス環境で効果を発揮できる高付加価値製品を絶えず市場に供給し続ける必要があります。そのために研究開発への投資は継続して行ってまいります。 ⑥ 保守・サポート体制の充実 当社グループは、単に製品を販売するだけではなく、システムインテグレーション、保守サポート、IP化への移行に関連した技術支援及び運用支援などのプロフェッショナルサービスを提供することで、収益機会の増大を図っています。特に、製品販売後の保守やサポート業務は、顧客との接点拡大や安定的な収益源につながることから、今後も業務の拡大に努めてまいります。 ⑦ 組織・人事について 当社グループ内の組織ごとに責任と権限を明確化すると共に適切な権限委譲を推進し、業務のスピード化を図ります。特に、組織としての強化を目指し、各組織の管理職のレベルアップを促します。グローバルに広がる各組織、各従業員間の情報共有と連携の基盤を作り、スムーズな意思疎通を図り、自律的な改善活動を恒常的に展開させ、業務の効率化を継続推進できる組織作りが重要であると考えています。 従業員各人については、それぞれのキャリア形成を考慮した目標設定、評価、フィードバックを適切に行うとともに、特にグローバル展開に際しては、グループ内の共通言語である英語の習得を本社内の日本人従業員全員に求め、グループ内全従業員のコミュニケーションが円滑に進められるよう取り組んでいます。 ⑧ 生産体制の強化 当社グループは、自社生産工場を有しない生産体制(ファブレス型)を採っているため、その柔軟性を生かし、多様なニーズに随時対応できる体制を確立します。そのうえで、地政学リスクや急激な為替変動、災害や不測の事態にも対応できるようグローバル規模で柔軟な生産体制を整備する必要があります。 各生産委託先の生産技術力の標準化を進めながら、同時に部品調達力やコスト競争力の強化を図ります。また、顧客までの納期の短縮を目指したサプライチェーンの改善にも取り組んでいます。 ⑨ 品質管理体制の強化 当社グループの製品は、放送局や通信事業者が長期にわたり放送のインフラを形成するための機器であり、通信時及び放送時に中断等の不具合が起こらないための高度な品質が要求されるものです。 多層的な設計レビュー、生産委託先の教育・指導の徹底、出荷前検査、出荷後の顧客サポートを通して、設計から出荷後に至るまで、トータルな品質管理体制の強化を図っています。 ⑩ 財務基盤の安定化 現在当社グループは継続的な営業損失及びキャッシュフローのマイナスが発生しており、財務基盤が不安定な状態となっております。そのため、以下の対応策を講じて財務基盤の安定化に取り組んでまいります。ア.収益力の向上既存顧客の設備更新需要の喚起を行い、また、新製品の提案活動による顧客基盤の拡充を図ります。イ.販売費及び一般管理費の削減販売費及び一般管理費の見直しを継続的に行い徹底的なコスト削減を実施します。ウ.研究開発費効率化内製化による外注費の削減、外注先の再検討を行い研究開発の効率化を進めます。エ.資本政策 現時点で実行可能な手段は第18回新株予約権の発行による資金調達方法に限定されておりますので、業績の改善を図りながら、新たな資金調達の手段を検討してまいりますが、様々な要因に影響されるため、実施可能性やその時期、金額等を予測することは困難です。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「技術革新のリーダーとして、高い信頼性が要求されるメディアサービスをIPにより配信する技術を提供し、世界中のお客様の生活基盤を支える」ことを経営の基本方針としています。これを実現するため当社グループは、IPによる映像伝送領域を基本市場と定め、お客様に高度な技術に支えられた付加価値の高い商品・サービスを提供します。そのため、グローバルで一本化されたマーケティング、営業、開発、生産、管理などの機能別組織を整備し、迅速な意思決定により、継続的に社会に貢献してまいります。 (2)経営環境 すでに世の中の様々な分野で通信ネットワークはIP化されており、放送用ネットワーク・放送局内設備においても完全IP化とはいかないまでも、IPを使用した設備更新が進んでおります。ここ数年の状況は、各国の4Kその他高解像度信号配信の需要増加や新型コロナウィルス感染症による影響で放送番組、スポーツイベントの制作において、リモートプロダクションへの移行が主流になっています。リモートプロダクションでは、制作・編集・配信をシームレスにIPネットワーク、クラウド上で実現するための検討が一層進んでいます。また同時に、放送のIP化を目指す放送局、放送機器メーカー、通信事業者、ネットワーク機器メーカーによる伝送方式・制御方式の標準化が進行しており、新たな競合企業も数多く参入しております。 (3)経営戦略等 当社は、市場の初期段階におけるIP化の流れの中で、国内外の主要通信事業者・放送局向けのIP化に尽力してまいりました。既に10年以上に渡り製品の供給、技術・保守サポートの提供を続けております。今後導入後10年が経過している設備の更新需要に対してシームレスな更新を可能とする新製品を提供してまいります。また、世界各国で知名度はあるものの、顧客数が極めて限定的であるため、今後は日本・米国の新規顧客の開拓とヨーロッパ・中南米での市場開拓を進めることでビジネスの成長を図ってまいります。 当社グループは、この分野におけるIP化のさらなる発展をめざし、「お客様のニーズに合わせて独創的な技術で開発したより高度なソリューションを顧客に提供する」というビジョンを掲げ、事業を展開してまいります。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが目標とする経営指標は、売上高の長期的なトレンドと売上総利益率です。事業の特性として、顧客の需要変動が大きいため、月次や四半期の数値は大きく変動することがありますが、長期的な視点で着実に成長することが重要だと考えています。また、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 前述の「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略等」を実現するための当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と施策は以下のように考えております。 ① 特定顧客への依存度の低減 近年、当社グループの売上高において、海外の大口顧客向けの販売が大きく貢献しています。当社業績は、大口顧客の案件進捗状況に強く影響される状況が継続しています。 特定の大口顧客との取引が将来にわたって継続拡大が見込まれる場合は、その大口顧客からの要望に応えるために当社グループの人材や資金を優先的に投入することは合理的ですが、過度に依存することはリスクもあります。そのため、特定の大口顧客との良好な関係は維持しつつ、営業力の強化に加え、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により新規顧客を獲得することで、特定顧客への依存を相対的に低くすることが、当社グループが取り組むべき課題だと考えています。 ② 既存顧客への拡販と新規顧客の獲得 既存顧客に対しては、定期的な設備更新需要及びリモートプロダクションや4K放送の拡大需要に応えるため、新製品の開発・販売を行い、拡販を目指します。 また、北米においては営業力を強化し、新規顧客開拓を進めてまいります。その他の地域においては、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により、積極的に当社製品及びソリューションを提案し、販売地域を拡大し、新規顧客の獲得を目指します。 ③ ソフトウエア開発力の強化 当社グループは、放送用通信ネットワークで使われる装置を主要な販売製品としており、さまざまな機能はハードウエアに実装されています。今後は機能をハードウエアから切り離し、ソフトウエアとして提供する割合を増やすことを目指しています。ハードウエアは基本機能に絞り込んだ形にして共通化を進め、コストを抑えることで顧客の初期投資負担を減らします。当社の機器を含んで管理するソフトウエア(Equipment Management System)を開発して統合ソリューションを提供していきます。 ④ グローバルな販売チャネル網の構築 日本、米国では、自社スタッフによる直販体制が主になっていますが、今後広くグローバルに顧客層を広げてゆくためには、有効な販売チャネル網を構築することは不可欠です。新規顧客の獲得を目指しているアジア各国や欧州各国には、信頼できる販売代理店の協力を必要とします。各国の業界事情に精通し、有力顧客との接点を持ちながら、当社グループの製品やサービスを有効活用できる技術力を持った代理店を市場ごとに獲得することが求められています。 同時に当社から各代理店への技術指導や教育など、きめ細かなチャネルサポートを提供することも重要だと考えています。 ⑤ 競争力のある新製品開発への投資継続 当社グループの競争力は技術力であります。その技術力を保ち続けるためには、新たな技術を積極的に取り込みながら、製品開発のスピードを向上させ、新たなビジネス環境で効果を発揮できる高付加価値製品を絶えず市場に供給し続ける必要があります。そのために研究開発への投資は継続して行ってまいります。 ⑥ 保守・サポート体制の充実 当社グループは、単に製品を販売するだけではなく、システムインテグレーション、保守サポート、IP化への移行に関連した技術支援及び運用支援などのプロフェッショナルサービスを提供することで、収益機会の増大を図っています。特に、製品販売後の保守やサポート業務は、顧客との接点拡大や安定的な収益源につながることから、今後も業務の拡大に努めてまいります。 ⑦ 組織・人事について 当社グループ内の組織ごとに責任と権限を明確化すると共に適切な権限委譲を推進し、業務のスピード化を図ります。特に、組織としての強化を目指し、各組織の管理職のレベルアップを促します。グローバルに広がる各組織、各従業員間の情報共有と連携の基盤を作り、スムーズな意思疎通を図り、自律的な改善活動を恒常的に展開させ、業務の効率化を継続推進できる組織作りが重要であると考えています。 従業員各人については、それぞれのキャリア形成を考慮した目標設定、評価、フィードバックを適切に行うとともに、特にグローバル展開に際しては、グループ内の共通言語である英語の習得を本社内の日本人従業員全員に求め、グループ内全従業員のコミュニケーションが円滑に進められるよう取り組んでいます。 ⑧ 生産体制の強化 当社グループは、自社生産工場を有しない生産体制(ファブレス型)を採っているため、その柔軟性を生かし、多様なニーズに随時対応できる体制を確立します。そのうえで、地政学リスクや急激な為替変動、災害や不測の事態にも対応できるようグローバル規模で柔軟な生産体制を整備する必要があります。 各生産委託先の生産技術力の標準化を進めながら、同時に部品調達力やコスト競争力の強化を図ります。また、顧客までの納期の短縮を目指したサプライチェーンの改善にも取り組んでいます。 ⑨ 品質管理体制の強化 当社グループの製品は、放送局や通信事業者が長期にわたり放送のインフラを形成するための機器であり、通信時及び放送時に中断等の不具合が起こらないための高度な品質が要求されるものです。 多層的な設計レビュー、生産委託先の教育・指導の徹底、出荷前検査、出荷後の顧客サポートを通して、設計から出荷後に至るまで、トータルな品質管理体制の強化を図っています。 ⑩ 財務基盤の安定化 現在当社グループは継続的な営業損失及びキャッシュフローのマイナスが発生しており、財務基盤が不安定な状態となっております。そのため、以下の対応策を講じて財務基盤の安定化に取り組んでまいります。ア.収益力の向上既存顧客の設備更新需要の喚起を行い、また、新製品の提案活動による顧客基盤の拡充を図ります。イ.販売費及び一般管理費の削減販売費及び一般管理費の見直しを継続的に行い徹底的なコスト削減を実施します。ウ.研究開発費効率化内製化による外注費の削減、外注先の再検討を行い研究開発の効率化を進めます。エ.資本政策 現時点で実行可能な手段は第18回新株予約権の発行による資金調達方法に限定されておりますので、業績の改善を図りながら、新たな資金調達の手段を検討してまいりますが、様々な要因に影響されるため、実施可能性やその時期、金額等を予測することは困難です。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要はつぎのとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、国内消費の回復やインバウンド需要の拡大もあり緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢を巡る地政学的リスクの長期化、アメリカの通商政策の動向、資源価格・原材料価格の高騰や物価の上昇、為替相場の大きな変動など、依然として先行きは極めて不透明な状況が続いております。このような状況の下、当社グループは米国及びアジアを中心に事業展開を進めました。 アジア市場は、日本において通信事業者のネットワーク更新プロジェクトを受注したことに加えて、韓国での放送局向け案件や中国のスポーツイベント向け案件の売上があった影響で、前年同期に比べ増収となりました。一方で米州市場は、前年同期に比べ大幅な減収となりました。これは前年同期にあったような大型プロジェクトが当期にはなかったこと、主要取引先である大手通信事業者での当社新製品の検証作業の大幅な遅れに加えて、米国の通商政策に起因する各社の設備投資判断の遅れや凍結が発生したこと等による影響です。オーストラリア市場は、メンテナンスサポートサービスに加えて機器の売上もあったため、前年同期と比べて増収となりました。EMEA市場では、ヨーロッパの3カ国において小規模な売上を計上したのに加え、ドイツのスポーツリーグ向け案件の売上を計上いたしました。 この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,790百万円(前連結会計年度比10.3%減)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が1,760百万円(同14.9%減)、その他が1,030百万円(同1.3%減)となりました。海外売上高比率は、前期の71.8%から60.6%へと減少しました。利益面においては、売上総利益率は56.0%、売上総利益は1,562百万円(同20.1%減)となりました。 経費面では、販売費及び一般管理費は、2,085百万円(同1.7%減)となりました。 損益面では、営業損失は523百万円(前連結会計年度は営業損失165百万円)、経常損失は523百万円(前連結会計年度は経常損失187百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、562百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失243百万円)となりました。なお、当社グループは、映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類していません。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ597百万円減少し、351百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果減少した資金は765百万円(前連結会計年度は418百万円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失559百万円の計上、仕入債務の減少301百万円、売上債権の増加72百万円によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果減少した資金は90百万円(前連結会計年度は123百万円の減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出89百万円によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果増加した資金は268百万円(前連結会計年度は986百万円の増加)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出371百万円、株式の発行による収入341百万円、社債の発行による収入300百万円によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。製品種類の名称生産高(千円)前年同期比(%)ハードウエア製品1,916,892△38.4合計1,916,892△38.4(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。製品種類の名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)ハードウエア製品1,789,039△15.389,67248.8メンテナンス・サポート544,795△26.7331,714△20.5その他311,779△42.227,039△76.4合計2,645,613△22.1448,425△24.3 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。製品種類の名称販売高(千円)前年同期比(%)ハードウエア製品1,759,618△14.9メンテナンス・サポート630,5935.8その他399,545△10.8合計2,789,756△10.3(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先 前連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)AT&T Corporation1,637,40252.6834,55429.9ユニアデックス株式会社8,5400.3531,25119.0Telstra Corporation Limited280,6119.0336,27212.1エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社376,12312.1152,1315.5 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 1)財政状態  (資産) 当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ676百万円減少し、3,668百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金の減少597百万円によるものです。 (負債)当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ435百万円減少し、1,225百万円となりました。主な変動要因は、買掛金の減少301百万円、1年内償還予定の社債の増加300百万円、長期借入金の減少292百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少79百万円によるものです。(純資産)当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ242百万円減少し、2,443百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純損失562百万円の計上による利益剰余金の減少、資本金の増加171百万円、資本剰余金の増加171百万円によるものです。  2)経営成績(売上高) 当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,790百万円(前連結会計年度比10.3%減)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が1,760百万円(同14.9%減)、その他が1,030百万円(同1.3%減)となりました。海外売上高比率は、前期の71.8%から60.6%へと減少しました。(売上総利益) 当連結会計年度における、売上総利益率は56.0%、売上総利益は1,562百万円(同20.1%減)となりました。(販売費及び一般管理費) 経費面では、販売費及び一般管理費は、2,085百万円(同1.7%減)となりました。(営業損益) 当連結会計年度における営業損失は523百万円(前連結会計年度は営業損失165百万円)となりました。(経常損益) 当連結会計年度における経常損失は523百万円(前連結会計年度は経常損失187百万円)となりました。(親会社株主に帰属する当期純損益) 上記の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、562百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失243百万円)となりました。  ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループのキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。 主な資金需要は、製品製造のための材料及び外注加工費の支払のほか、製品開発のための研究開発費であります。 資金需要には、内部資金、金融機関からの借入及び第三者割当による新株予約権並びに社債の発行により対応しております。また、グループ内の資金の効率化を目的としグループ間で融資を行っております。  ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき実施しております。 詳細につきましては、「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。当連結会計年度におきましては、売上総利益率は前連結会計年度の62.9%に比べ6.9ポイント減少し、56.0%となりました。

事業リスク

同社は6期連続で営業損失、経常損失、純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義が生じています。売上高が特定の顧客に大きく依存しているため、その顧客の投資方針変更や競争力低下が業績に影響を与える可能性があります。また、インフラ機器の性質上、一度導入されると次の更新まで需要が発生しにくく、安定的な収益源の確保が課題です。IP伝送分野の競争激化や、市場の需要変動、特定製品シリーズ(MD8000シリーズ)への高い依存度もリスクです。さらに、ファブレス生産体制において、製造委託先の問題や部材調達の困難が生じた場合、生産能力に影響が出る可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,308 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 継続企業の前提に関する事項 当社グループは、当連結会計年度において、営業損失523百万円、経常損失523百万円、親会社株主に帰属する当期純損失562百万円を計上致しました。これにより6期連続して営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上することとなりました。取引金融機関からは、業績の安定化が図れるまでは新たな融資の検討は困難であるという見解を提示されております。 以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。当社グループでは、これらの状況を解消するため、以下の対応策を実施してまいります。 ア.収益力の向上 当社は2023年4月に新製品「Xscend®」の発売を開始し、既存顧客の設備更新需要に対してこの新製品「Xscend®」の提案を行い、既に複数社に向けて納品しております。 本年度開催されたパリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会の中継でも新製品「Xscend®」が採用されており、このような世界的なスポーツイベントでの採用実績をもとに、米州市場、EMEA市場の潜在的な新規顧客に対して積極的に新製品「Xscend®」の営業活動を進め、今後各地域における顧客基盤を拡充してまいります。 イ.販売費及び一般管理費の削減 販売費及び一般管理費の見直しを継続的に行い徹底的なコスト削減を実施します。 具体的には、社内リソース配分を適正化することによって人件費の削減を図り、また、最適な輸送手段、タイミングの選択、輸送業者の見直しを行うことにより輸送費の削減を図るとともに、役員報酬の削減、旅費交通費の効率化も継続して実施してまいります。 ウ.研究開発費効率化 内製化による外注費の削減、外注先の再検討を行い研究開発の効率化を進めます。 具体的には、開発部門でのリソース配分の見直しによって、従来外注していた業務の内製化による費用削減、外注先の再検討によって、外注費の単価の低減と効率化を継続的に進めることにより、今後も、研究開発費の効率化を実施してまいります。 エ.資本政策等 第18回新株予約権の発行による資金調達を行うことにより、運転資金を確保すると同時に新製品Xscend®追加開発を加速させ、将来的な収益確保を実現してまいります。  上記施策の確実な実施により、当社グループの経営基盤を強化してまいりますが、原材料価格の高騰や、地政学的リスクおよび米国通商政策の影響が解消される時期は、未だ不透明であることから、今後の売上高や営業キャッシュ・フローに及ぼす影響の程度や期間については不確実性があります。また、これらの対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。  (2) 特定顧客への高い依存度について現在、当社グループの売上高は、特定の顧客への依存度が高いレベルで推移しています。既存の大口顧客からの要望に応え続けることで、その顧客との継続的な取引拡大につなげることは重要であり、そのために社内リソースを既存の大口顧客の案件に重点的に配分することは合理的です。その結果として、全体の売上増加につながっているという実績はありますが、その一方で過度の依存はリスクを高めます。その顧客の設備投資方針や投資計画が変更されたり、購買方針が変更されたり、顧客の競争力が失われたりした場合は、当社グループの売上高が大幅に減少する可能性があります。 (3) 安定収益源の確保について当社グループが提供する機器およびシステムは、通信や放送のインフラを構成するものです。その設備は、一度導入されると、次回の更新まで大きな需要は発生しません。その更新頻度は、通信事業者の場合で4~5年に1回、放送事業者の場合は8~10年に1回です。従って、ひとつのユーザーから大きな受注を獲得した場合、同じユーザーから継続して同じ機器やシステムに対して大きな受注が発生することは期待できません。安定的な業績を達成するためには、常に新規の設備導入および更新需要の発生するユーザーを継続的に確保する必要があります。一度販売した装置やシステムに係る継続的な保守料収入は、安定収益源のひとつになると考え、その拡大を図っていますが、現状では売上全体に占める割合はまだ限定的です。そのため、当社グループの売上は新規の機器およびシステム販売に依存する部分が大きく、当社グループが常に新たな需要を継続的に獲得できない場合は、当社グループの売上は減少する可能性があります。 (4) 競争環境の変化について当社グループは放送用ネットワークインフラにおけるIP伝送分野において技術的な優位性を持っており、同分野における世界の主要顧客からの採用実績でも他社を上回っていると考えています。近年、放送用ネットワークインフラでIP伝送関連のニーズが高まり、市場が拡大する中で、IP伝送分野への参入企業が増加しています。また、映像をIPを利用して伝送する規格が世界的に標準化されたことにより、参入障壁も低くなっています。このように激しさを増す競争環境において、当社グループが技術面その他において優位性を失うことがあれば、当社グループの業績に影響を受ける場合があります。 (5) 市場の需要動向の変動について当社グループは、主に放送事業者、通信会社を顧客としていますが、近年のインターネット経由のコンテンツ配信事業者の新規参入により、顧客の事業環境が大きく変化しており、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。 また、顧客が、事業を展開する各国における法令、行政当局による指導、その他の規制を受ける場合があり、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。 さらに、映像伝送にかかわる新たな規格が次々に定められており、当社グループの製品がそれぞれの規格に適合できない場合は、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。 (6) 特定製品シリーズへの高い依存度について当社グループの売上は、IP伝送装置MD8000シリーズへの依存度が高い状況が続いています。MD8000シリーズは、放送用映像のIP伝送装置として、様々な環境に適応した高機能な製品で、世界中の先進的ユーザーへの納入実績も多く、現時点において性能面では他社製品に対して優位性を保っていますが、さまざまな企業が放送用映像のIP伝送事業に参入しており、その優位性は徐々に薄れてきております。そのため当社グループは、MD8000シリーズの後継機種として開発を進めてきた新機種「Xscend®」の販売を開始致しました。しかし、他社の革新的な技術開発や新製品投入等の事象が発生した場合には、当社グループの売上高が影響を受ける可能性があります。 (7) 生産体制について当社グループの製品の生産についてはすべてを外部に委託するファブレス型のビジネスモデルを採用しています。複数の生産委託先に製品の生産を委託することにより、外部環境の変化への機敏な対応を可能とし、多額の資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を進めています。生産委託先は1社だけではなく、3社以上を基本としています。また、生産委託先への定期的な工場監査を実施しております。 しかし、複数の生産委託先を適切に確保できなかった場合や、安定的な部材調達が困難になった場合、生産委託先において、経営悪化、品質問題、火災事故等が発生することで、製品の生産に支障をきたした場合は、充分な製品生産能力を確保することができなくなり、業績等が影響を受ける可能性があります。 (8) 開発技術について当社グループは、潜在的な市場ニーズや顧客ニーズを探り、付加価値の高い製品を開発し、適切な時期に市場に提供していくことが責務であると考えています。しかし、当社グループが取り扱う製品分野では、急速な技術革新が進んでいます。その性質から、製品の開発と市場への投入プロセスは不確実なものであり、以下をはじめとした様々なリスクが含まれており、これらの要因が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。① 急激な技術の進歩、規格・標準の変化により、当社が開発する製品が市場が求める通信方式や放送方式等  に適合できない可能性があること。② 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社製品が陳腐化する可能性があること。③ 新製品・新技術を開発したとしても、市場から支持されるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保  証がないこと。④ 新製品・新技術の開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できる保証がないこと。 (9) 特許について当社グループは研究開発を主体としたファブレス企業であり、知的財産権の保護を図ることは重要な問題と認識し、特許事務所との連携を強化することにより、当社グループの技術・製品を保護するための特許等の出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底的に行うことにより他社の権利侵害の防止に努めています。 当社グループはこれまでに技術・製品に関して、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しています。しかし、当社グループの技術・製品に関連する知的財産権が第三者に成立した場合または当社グループの認識していない技術・製品に関する知的財産権が既に存在した場合においては、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームを提起されないとは限らず、このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (10) 部品調達について当社製品の製造には、特定の半導体やその他の電子部品の使用が重要になる場合が多くあります。その半導体メーカーや電子部品メーカーの意向により、特定の半導体または電子部品の入手が困難になり当社製品の製造に支障をきたしたり、納期が長期化することで顧客の要望に応えられなくなったりする可能性があります。 (11) 製品について当社グループは、社内で確立した厳しい品質管理基準に従って製品を製造しております。しかしながら、製品の欠陥による製造物賠償責任をはじめとした顧客からの賠償請求が発生する可能性があります。製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険で賠償請求額を担保できない可能性があります。賠償責任を負うような製品の欠陥が生じた場合、多額のコストや当社グループの信用低下が当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (12) 為替の変動について当社グループでは、海外での事業活動の割合が高くなっています。これに伴って、USドルやオーストラリアドル、ユーロ等の外貨建て取引が発生しております。このため、外貨建て決済の際に為替変動の影響を受ける可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対して、為替マリー等の対策を行っておりますが、これらにより為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品は日本国内で製造されており、製造原価の多くは日本円で構成されております。そのため、海外市場における競争力は、日本円の為替変動の影響を受けます。 (13) 人材の確保・育成について当社グループは、人材戦略を事業における最重要課題のひとつとして捉えています。特に、製品開発や海外展開の軸となる十分な知識、技術、語学力とノウハウを有する人材の確保・育成が不可欠であるという認識に立っています。当社グループは、優秀な人材を確保するため、また現在在籍している人材が退職又は転職するなどのケースを最小限に抑えるため、必要な人事体系の構築及び教育体制の充実に努めています。しかしながら、将来優秀な技術者が退職したり、優秀な人材を確保できなかったりした場合、当社グループの業務に支障が生じる可能性があります。 (14) 海外展開について当社グループは市場機会を拡げるため、積極的に海外展開を進めています。しかしながら、こうした海外市場への事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。① 予測しない法律・規制の変更② 人材の採用と確保の難しさ③ テロ、戦争等の地政学的リスク④ 国・地域におけるその他の経済的、社会的及び政治的リスク

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