経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄すること」を経営理念として掲げ、設立以来、アナログ半導体に特化し、製品の開発・製造・販売を精力的に行ってまいりました。上記の経営理念に則り、ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との関係を常に意識した、ぶれない経営を実践してまいります。当社はこれまで、高度なIC設計技術と小型パッケージ技術を強みとし、電子機器の超小型・軽量化に貢献してきました。そして、これからも「Powerfully Small!」を製品づくりの目指すべき姿と定め、開発から営業まで電源用ICに特化したアナログ技術のプロ集団として、低消費電力・小型化のための技術と提案能力を磨き、企画・開発・生産・販売・品質・新事業領域にわたってグローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、ワールドワイドに存在感のある企業を目指して事業活動を行ってまいります。子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で稀な半導体生産受託専業会社として、ディスクリート製品を中心にしながら、パワーデバイスの開発にも力を入れ、受託生産の幅を広げてまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、上記の基本方針のもと、永続的な企業価値の向上を図るべく、収益力を確保しつつ戦略的な投資を実行することにより中長期的な競争力及び成長力の向上に取り組んでおります。経営指標としては、売上及び売上総利益、営業利益などの段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を当面の目標とし、更に高めていくための体制を構築してまいります。 (3)事業を行う市場の状況と現状の認識について当社グループの事業領域であるアナログ電源ICの市場は、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)の普及による、あらゆる製品の電子制御化やネットワーク化、自動車の電装化の進展に伴い、今後もグローバルに拡大を続けていく見通しであります。その中で、当社が重点分野と考える産業機器・車載機器の市場においては、市場規模の拡大と同時に、要求される製品及びサービスの性能・品質は、ますます高度化していくことが予想されます。一方で、コンシューマー製品等の市場においては、中華圏等の新興勢力が台頭する中で、価格競争が激化しています。そのため、当社グループでは、これまで培ってきた小型化・省電力化の技術を活かし、重点分野に向けた高付加価値製品の開発・販売に注力しております。また、顧客仕様に基づくウエハの生産・販売の市場は、半導体・電子機器業界の専門化・分業化の流れが進展するにつれて、ますます重要性を高めています。同市場においては技術の進展に合わせて絶え間ない投資を要するとともに、同業他社との競争の中で品質・納期等に対する顧客の要求水準はますます高まる傾向にあります。フェニテックセミコンダクター株式会社は、長期・安定的に製品をお届けすることで、当社を含めた国内外の顧客から高い信頼を得ております。このような事業環境の中で、当社グループが実現していくべき最重要事項は以下のとおりであると認識しております。・ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との適切な関係の構築・経営理念に基づいた中長期的な収益性の向上と継続的な企業価値の向上・経営方針・企業戦略に基づいた適切なリスクテイクと健全な事業運営を実現する環境の整備 (4)優先的に対処すべき課題と当社グループの対応について世界経済は、地政学リスクや世界的なインフレの進行、中国経済の停滞の長期化、アメリカの関税政策の影響などから、経済の先行き不透明感は増しており、当社グループの事業領域である半導体デバイス市場においても、コロナ特需の反動減や世界市場の継続的な低迷により、長期的な在庫調整と需要の停滞が続いております。しかしながら、産業機器の自動化・デジタル化、データセンターなどのITインフラの整備・拡大、自動車の電子化の進展といった傾向は変わらず、中長期的には拡大していく見通しです。また、世界各国による半導体企業への優遇政策、自国生産の推進、当局による規制や関税、各半導体企業による投資競争、開発・製造技術の進展及び新興国、新興企業の新規参入などを背景に、競争環境は一層厳しさを増しつつあります。このような中、当社グループは、様々な状況の変化に対応し、ワールドワイドで確固としたブランドと事業基盤に立脚したグローバル企業となるべく、以下の課題に取り組んでおります。 ・当社グループの強みを活かせる成長性の高い市場として、「産業機器」・「車載機器」・「医療機器」の3市場を集中的に攻略する。・当社グループの技術力及びノウハウを結集し、技術ロードマップに基づいた「強み」の強化と拡張を図り、差別化された特長のある製品を創造する。・当社グループの企画・開発・販売・購買・生産・品質に係るリソースの緊密な連携を図り、低コスト・高品質の製品を安定供給することを通じて、顧客へ提供する付加価値を高める。・戦略的提携を活用して新たな基盤技術や生産技術を積極的に取り込む。 上記の課題に対し着実に成果をあげていくため、2021年度を初年度とし、2025年度を最終年度とする中期経営計画において、「企画」「開発」「生産」「販売」「品質」「新事業領域」の各々について、以下の方針を設定しました。 ①企画当社グループは、産業機器のデジタル化、ITインフラ整備・拡大や自動車の電子化などにより拡大していくと予見される半導体デバイス市場において、脱炭素社会の実現に向け、市場や顧客のニーズの変化を的確にとらえ、マーケット志向で差別化のできる高付加価値な製品を、タイムリーにターゲット市場である産機・車載・医療市場へ投入すべく製品企画を行ってまいります。 ②開発当社グループの企画力や技術優位性を活かした、省電力・小型、低損失な電源ICやパワーデバイスの製品をタイムリーに市場へリリースできるよう継続した製品開発を行ってまいります。これに向け、IT基盤の強化や、提携先企業における製品開発を推進することで、開発担当部門の機動性を高めてまいります。また、戦略的提携先との共同開発や相互OEM供給のほか、重点分野に向けた当社グループの総力を挙げた研究開発等にも取り組むことによって、社内外の最新技術の活用と迅速な市場投入を図ってまいります。 ③生産当社グループは、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくりを両立させるため、子会社のフェニテックセミコンダクター株式会社やTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD及びグループ外の協力工場の双方を活用し、製品の品種・価格・用途及び市場の変化に応じた最適な生産リソースの配分を追求します。当社グループ内においては、シナジー効果を高め、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化、原価低減活動等を通じて協力体制を深め、生産方法や生産管理手法を含めた改良・改善に努め、製品の長期・安定供給体制を維持するための設備投資を実施してまいります。また、グループ外として、協力工場との協業においては、ファブレス形態のメリットを活かしつつ、様々な形で協力関係を強化し、グループ外の先進的な生産技術・ノウハウを製品づくりに活用します。当期において、フェニテックセミコンダクターの設備の一部に減損損失を発生させることとなりましたが、これらの設備は当社の事業拡大に欠かざる投資であり、引き続きこれらの設備を活用し、同業他社に比して安定した需給環境、納期対応の実現と競争力のある製造コストの両立を推進してまいります。 ④販売当社グループは、顧客の要望や製品企画を汲み取りながら、幅広い技術・製品情報の提供を通じて製品販売を促進するソリューション提案営業を基本としております。製品をタイムリーにターゲット市場へ投入するためと、適切な納期対応のため、営業情報の社内へのフィードバックと密な連携を強化してまいります。また、当社グループの事業はワールドワイドで展開されており、これに伴う海外事業の比重はますます拡大する傾向にあります。これに対応するために、海外販売子会社のローカル営業体制の強化、フィールド・アプリケーション・エンジニアの配置・増員による顧客サポート強化、当社グループが保有する顧客基盤、ブランド及び販売ネットワークの効果的な組合せに積極的に取り組んでまいります。 ⑤品質当社グループは、常に顧客の信頼に応えていくため、製品に対して要求される品質の確保に全力で取り組んでまいります。定期的な協力工場監査等を実施するとともに、重点市場を意識した品質保証体制の強化のため、「生産」「開発」「品質」に関わる各部門が密接に協調し、新規技術に対応するための投資も実施いたします。また、当社グループ内で保有する品質管理に関わる技術・設備・ノウハウを持ち寄り、各種の認証制度にも的確に対応した品質管理・保証体制の強化を図ってまいります。 ⑥新事業領域アナログ技術に基盤を置きながら、新たな成長市場への参入を目指して、既存の製品ラインナップにない新しい分野の製品を当社グループの新たな柱に育てていくべく、当社グループ内の研究開発体制を強化するとともに、グループ外の企業・大学・研究機関等との戦略的提携や協業を積極的に推進してまいります。 なお、上記の通り、現行の中期経営計画は2025年度を最終年度としており、本年中には新たな中期経営計画を作成し、皆様にも公開させていただく予定です。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄すること」を経営理念として掲げ、設立以来、アナログ半導体に特化し、製品の開発・製造・販売を精力的に行ってまいりました。上記の経営理念に則り、ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との関係を常に意識した、ぶれない経営を実践してまいります。当社はこれまで、高度なIC設計技術と小型パッケージ技術を強みとし、電子機器の超小型・軽量化に貢献してきました。そして、これからも「Powerfully Small!」を製品づくりの目指すべき姿と定め、開発から営業まで電源用ICに特化したアナログ技術のプロ集団として、低消費電力・小型化のための技術と提案能力を磨き、企画・開発・生産・販売・品質・新事業領域にわたってグローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、ワールドワイドに存在感のある企業を目指して事業活動を行ってまいります。子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で稀な半導体生産受託専業会社として、ディスクリート製品を中心にしながら、パワーデバイスの開発にも力を入れ、受託生産の幅を広げてまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、上記の基本方針のもと、永続的な企業価値の向上を図るべく、収益力を確保しつつ戦略的な投資を実行することにより中長期的な競争力及び成長力の向上に取り組んでおります。経営指標としては、売上及び売上総利益、営業利益などの段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を当面の目標とし、更に高めていくための体制を構築してまいります。 (3)事業を行う市場の状況と現状の認識について当社グループの事業領域であるアナログ電源ICの市場は、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)の普及による、あらゆる製品の電子制御化やネットワーク化、自動車の電装化の進展に伴い、今後もグローバルに拡大を続けていく見通しであります。その中で、当社が重点分野と考える産業機器・車載機器の市場においては、市場規模の拡大と同時に、要求される製品及びサービスの性能・品質は、ますます高度化していくことが予想されます。一方で、コンシューマー製品等の市場においては、中華圏等の新興勢力が台頭する中で、価格競争が激化しています。そのため、当社グループでは、これまで培ってきた小型化・省電力化の技術を活かし、重点分野に向けた高付加価値製品の開発・販売に注力しております。また、顧客仕様に基づくウエハの生産・販売の市場は、半導体・電子機器業界の専門化・分業化の流れが進展するにつれて、ますます重要性を高めています。同市場においては技術の進展に合わせて絶え間ない投資を要するとともに、同業他社との競争の中で品質・納期等に対する顧客の要求水準はますます高まる傾向にあります。フェニテックセミコンダクター株式会社は、長期・安定的に製品をお届けすることで、当社を含めた国内外の顧客から高い信頼を得ております。このような事業環境の中で、当社グループが実現していくべき最重要事項は以下のとおりであると認識しております。・ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との適切な関係の構築・経営理念に基づいた中長期的な収益性の向上と継続的な企業価値の向上・経営方針・企業戦略に基づいた適切なリスクテイクと健全な事業運営を実現する環境の整備 (4)優先的に対処すべき課題と当社グループの対応について世界経済は、地政学リスクや世界的なインフレの進行、中国経済の停滞の長期化、アメリカの関税政策の影響などから、経済の先行き不透明感は増しており、当社グループの事業領域である半導体デバイス市場においても、コロナ特需の反動減や世界市場の継続的な低迷により、長期的な在庫調整と需要の停滞が続いております。しかしながら、産業機器の自動化・デジタル化、データセンターなどのITインフラの整備・拡大、自動車の電子化の進展といった傾向は変わらず、中長期的には拡大していく見通しです。また、世界各国による半導体企業への優遇政策、自国生産の推進、当局による規制や関税、各半導体企業による投資競争、開発・製造技術の進展及び新興国、新興企業の新規参入などを背景に、競争環境は一層厳しさを増しつつあります。このような中、当社グループは、様々な状況の変化に対応し、ワールドワイドで確固としたブランドと事業基盤に立脚したグローバル企業となるべく、以下の課題に取り組んでおります。 ・当社グループの強みを活かせる成長性の高い市場として、「産業機器」・「車載機器」・「医療機器」の3市場を集中的に攻略する。・当社グループの技術力及びノウハウを結集し、技術ロードマップに基づいた「強み」の強化と拡張を図り、差別化された特長のある製品を創造する。・当社グループの企画・開発・販売・購買・生産・品質に係るリソースの緊密な連携を図り、低コスト・高品質の製品を安定供給することを通じて、顧客へ提供する付加価値を高める。・戦略的提携を活用して新たな基盤技術や生産技術を積極的に取り込む。 上記の課題に対し着実に成果をあげていくため、2021年度を初年度とし、2025年度を最終年度とする中期経営計画において、「企画」「開発」「生産」「販売」「品質」「新事業領域」の各々について、以下の方針を設定しました。 ①企画当社グループは、産業機器のデジタル化、ITインフラ整備・拡大や自動車の電子化などにより拡大していくと予見される半導体デバイス市場において、脱炭素社会の実現に向け、市場や顧客のニーズの変化を的確にとらえ、マーケット志向で差別化のできる高付加価値な製品を、タイムリーにターゲット市場である産機・車載・医療市場へ投入すべく製品企画を行ってまいります。 ②開発当社グループの企画力や技術優位性を活かした、省電力・小型、低損失な電源ICやパワーデバイスの製品をタイムリーに市場へリリースできるよう継続した製品開発を行ってまいります。これに向け、IT基盤の強化や、提携先企業における製品開発を推進することで、開発担当部門の機動性を高めてまいります。また、戦略的提携先との共同開発や相互OEM供給のほか、重点分野に向けた当社グループの総力を挙げた研究開発等にも取り組むことによって、社内外の最新技術の活用と迅速な市場投入を図ってまいります。 ③生産当社グループは、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくりを両立させるため、子会社のフェニテックセミコンダクター株式会社やTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD及びグループ外の協力工場の双方を活用し、製品の品種・価格・用途及び市場の変化に応じた最適な生産リソースの配分を追求します。当社グループ内においては、シナジー効果を高め、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化、原価低減活動等を通じて協力体制を深め、生産方法や生産管理手法を含めた改良・改善に努め、製品の長期・安定供給体制を維持するための設備投資を実施してまいります。また、グループ外として、協力工場との協業においては、ファブレス形態のメリットを活かしつつ、様々な形で協力関係を強化し、グループ外の先進的な生産技術・ノウハウを製品づくりに活用します。当期において、フェニテックセミコンダクターの設備の一部に減損損失を発生させることとなりましたが、これらの設備は当社の事業拡大に欠かざる投資であり、引き続きこれらの設備を活用し、同業他社に比して安定した需給環境、納期対応の実現と競争力のある製造コストの両立を推進してまいります。 ④販売当社グループは、顧客の要望や製品企画を汲み取りながら、幅広い技術・製品情報の提供を通じて製品販売を促進するソリューション提案営業を基本としております。製品をタイムリーにターゲット市場へ投入するためと、適切な納期対応のため、営業情報の社内へのフィードバックと密な連携を強化してまいります。また、当社グループの事業はワールドワイドで展開されており、これに伴う海外事業の比重はますます拡大する傾向にあります。これに対応するために、海外販売子会社のローカル営業体制の強化、フィールド・アプリケーション・エンジニアの配置・増員による顧客サポート強化、当社グループが保有する顧客基盤、ブランド及び販売ネットワークの効果的な組合せに積極的に取り組んでまいります。 ⑤品質当社グループは、常に顧客の信頼に応えていくため、製品に対して要求される品質の確保に全力で取り組んでまいります。定期的な協力工場監査等を実施するとともに、重点市場を意識した品質保証体制の強化のため、「生産」「開発」「品質」に関わる各部門が密接に協調し、新規技術に対応するための投資も実施いたします。また、当社グループ内で保有する品質管理に関わる技術・設備・ノウハウを持ち寄り、各種の認証制度にも的確に対応した品質管理・保証体制の強化を図ってまいります。 ⑥新事業領域アナログ技術に基盤を置きながら、新たな成長市場への参入を目指して、既存の製品ラインナップにない新しい分野の製品を当社グループの新たな柱に育てていくべく、当社グループ内の研究開発体制を強化するとともに、グループ外の企業・大学・研究機関等との戦略的提携や協業を積極的に推進してまいります。 なお、上記の通り、現行の中期経営計画は2025年度を最終年度としており、本年中には新たな中期経営計画を作成し、皆様にも公開させていただく予定です。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済および日本経済は、世界的なインフレや欧米での政策金利の高止まりに加え、地政学リスクや中国経済の先行き懸念などの影響から先行き不透明感が続き、景気が低迷しました。当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、AI関連の一部は好調であったものの、長期的な市場の停滞や中国市場の低迷などの影響から、民生機器市場、産業機器市場を中心に幅広い分野で在庫調整と需要の停滞が継続しました。このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。・製品企画・開発部門において、マーケットインの発想に立脚した、差別化のできる高付加価値な汎用製品、及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため、企画・開発活動を進めました。・品質向上とコスト削減を両立させるべく、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと安定供給、納期対応の実現を進めました。・顧客訪問に加え、オンラインも活用しながら、各地域に密着した営業活動を継続し、顧客の要望や製品企画への迅速かつ柔軟な対応と営業基盤の維持に努めました。・製品需要に対しては、将来的な半導体需要に備え、生産力を確保するべく設備投資を実施し、一方で、原材料価格の高騰に対しては、製品販売価格の値上げを進めました。・当社グループのビジネスの成長を加速させるとともに、脱炭素社会へ向け低損失なデバイスとして期待されるパワー半導体分野への製品展開を推進するため、専門組織での取り組みを強化しました。・超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う株式会社ノベルクリスタルテクノロジーに対して出資を行っており、早期の製品化に向け、共同研究開発を進めました。・PANJIT INTERNATIONAL INC社との間で、当社子会社TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD.について、業務提携を目的として当社が保有する持分の全部または一部を譲渡する旨の基本合意書を締結しました。・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。・フェニテックセミコンダクター株式会社においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上に加え、半導体需要の高まりに対応するため、岡山第1工場・鹿児島工場の投資を実施しました。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態(資産の部)当連結会計年度末における資産は336億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億28百万円の減少いたしました。減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が6億66百万円減少したこと、商品及び製品及び仕掛品が合計で8億14百万円減少したこと、減価償却などで有形固定資産及び無形固定資産が合計で10億35百万円減少したことなどによるものです。 (負債の部)当連結会計年度末における負債は162億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億24百万円の増加となりました。増加の主な要因は、設備にかかる未払金の支払いなどにより未払金が11億78百万円減少したものの、運転資金として短期借入金が19億円発生したこと等によるものです。 (純資産の部)当連結会計年度末における純資産は174億円となり、前連結会計年度末に比べ31億52百万円の減少となりました。減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失23億58百万円の計上等があったことによるものであります。この結果、自己資本比率は51.8%となり、1株当たり純資産額は1,616円67銭となりました。 b.経営成績(売上高)当連結会計年度における売上高は239億57百万円(前年同期比7.0%減)となりました。長期的な市況の回復の遅れと在庫調整が続いたこと等が減少の主な要因となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が165億76百万円(前年同期比11.5%減)、アジアが56億15百万円(前年同期比10.3%増)、欧州が12億27百万円(前年同期比15.0%減)、北米が5億38百万円(前年同期比11.7%増)となりました。 (営業利益)営業損失は6億32百万円(前年同期は営業損失17億78百万円)となりました。損失回復の主な要因は、将来の販売予測の回復により棚卸資産の評価減額が減少し、売上原価の戻し入れが発生したことを主因に、売上原価が30億80百万円減少したことによるものであります。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本がセグメント損失8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)、アジアがセグメント利益69百万円(前年同期比58.4%減)、欧州がセグメント利益80百万円(前年同期比37.6%減)、北米がセグメント利益1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。 (経常利益)経常損失は8億20百万円(前年同期は経常損失24億52百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、売上原価の減少などによるものです。 (親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純損失は23億58百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失42億97百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、経常損失の改善や前年同期と比べて減損損失が減少したことなどによるものです。 当連結会計年度において、減損損失が発生しており、ご心配をおかけしております。半導体市場は、2021年3月期から2022年3月期にかけ急激に拡大し、当社も当初は急激に売上を伸ばすことができましたが、2022年3月期の途中からは、生産キャパシティを確保することができないがために売上が頭打ちとなってしまいました。この反省と将来拡大する市場予測を基に、当社は安定供給の確保と生産規模の拡大のため、フェニテックセミコンダクターへの大規模な設備投資を決めました。この設備が当連結会計年度において稼働を開始しましたが、長期的な市況の不振と在庫調整が続くこの受注環境において、固定資産の減損損失の要否を検討した結果、減損損失を計上することとなりました。なお、将来的に半導体市場が拡大していくことは確実視されております。当社としましては、1日でも早く業績を拡大し、損失の回収とさらなる業績向上に努めて参ります。 なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。(製品別の売上高) (単位:百万円) 区 分当連結会計年度前年同期比増減額前年同期比増減率VD1,5791238.5%VR4,34452513.8%DCDC3,770△110△2.8%ディスクリート13,448△1,466△9.8%その他814△867△51.6% 合 計23,957△1,794△7.0%(注)1.製品の内容は次のとおりであります。VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)DCDC…………DC/DCコンバータディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等 (セグメント業績)日本当連結会計年度における売上高は、主に産業機器及び一般民生機器向けの売上が減少したことにより、売上高は165億76百万円(前年同期比11.5%減)、セグメント損失は8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)となりました。 アジア当連結会計年度における売上高は、主にモジュール製品向けが増加しましたが、PC機器向けの売上が減少したことにより、売上高は56億15百万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は69百万円(前年同期比58.4%減)となりました。 欧州当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が減少したことにより、売上高は12億27百万円(前年同期比15.0%減)、セグメント利益は80百万円(前年同期比37.6%減)となりました。 北米当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加しましたが、AV機器向けの売上が減少したことにより、売上高は5億38百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し営業活動によるキャッシュ・フローは14億32百万円収入が増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは7億96百万円支出が減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは22億63百万円収入が減少した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は92億31百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が19億13百万円あったものの、減価償却費が24億68百万円あったこと、減損損失の計上が11億15百万円あったこと、棚卸資産の増減額が10億29百万円あったことなどにより33億59百万円の収入(前年同期比14億32百万円の収入増)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が38億80百万円あったこと等により、37億55百万円の支出(前年同期比7億96百万円の支出減)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の一部返済により長期借入金の返済による支出が23億97百万円あったこと、また配当金の支払額が6億21百万円あったものの、追加借入により短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入の合計が39億円あったこと等により、4億42百万円の収入(前年同期比22億63百万円の収入減)となりました。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%) 日 本 (千円)18,737,125105.6 合 計 (千円)18,737,125105.6(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 b.受注実績当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)日本16,257,700104.34,340,17693.2アジア5,131,634119.51,157,30270.5欧州886,454127.5510,23759.9北米533,435137.7107,24495.8合 計22,809,224108.86,114,96084.2(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%) 日 本 (千円)16,576,78888.5 ア ジ ア (千円)5,615,020110.3 欧 州 (千円)1,227,80285.0 北 米 (千円)538,089111.7 合 計 (千円)23,957,70093.0(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)IXYS Corporation4,195,47616.33,418,54314.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等1)財政状態当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 2)経営成績当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1)概観当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。当連結会計年度の世界半導体市場は、コロナ特需の反動減や中国市場の低迷などの影響から在庫調整と需要の停滞が継続しました。当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られますが、2024年においては上記のような需要減速を背景にアナログICは△6.4%、ディスクリートも△6.4%となりました。当連結会計年度における当社グループはこうした状況を背景に、当社グループの売上高も前年同期比△7.0%と減少いたしました。アクションとしましては、用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、5Gサービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAE(Field Application Engineer)を使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。 当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。 2)日本事業日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の69%を占めています。当連結会計年度における日本経済は、激しい為替相場の変動や物価の高騰、金融政策の動向などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、ほとんどの分野で売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、低調な中でも、コイル一体型のDC/DCコンバータは健闘しております。また、当社が培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーであり、ここに注力して参ります。ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社においても、全ての分野向けの売上が低調となりました。地域別ではアジア市場、特に中華圏の企業がチャイナプラスワン戦略により、ファウンドリを国外に移す流れがあり、同社に受託する案件も増加しています。このように、両社は開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。3)アジア事業当連結会計年度におけるアジア経済は、中国において景気は低迷しながらも、半導体市場においては、前年度より回復したものとみられています。この影響により、当社グループのアジア事業では多くの分野で売上が回復しました。アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。また、各種報道でもありますように、世界各国の政府が、国策として半導体産業強化に力を入れており、中国もこれまで以上に国を挙げて半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。 4)欧州事業当連結会計年度における欧州経済は、インフレが減速し利上げが停止されるような状況にはなりましたが、地政学的リスクは継続するなど、景気回復には至りませんでした。当社グループの欧州事業においては、産業機器分野向けの売上が減少しました。欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えており、注力市場である産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。 5)北米事業当連結会計年度における北米経済は、金利が高止まりする中インフレが緩やかに減速、景気は底堅く推移しました。当社グループの北米事業においては、産業機器分野向けなどの売上が増加しました。北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなったため、ROEは△12.4%となりました。引き続き、売上及び各段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目標としながらも、更に高めていくための体制を構築してまいります。 d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況の分析当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 資本の財源及び資金の流動性a.資金需要当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。 b.財政政策当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。 c.資本政策当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための設備投資・研究開発に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。なお、半導体市場の急激な需要の変化により、与える影響の不確実性が大きく、将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。 a.当社の商品及び製品の評価当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断された棚卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社では、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき、翌期以降一定期間に販売できないと見込まれる商品及び製品を営業循環過程から外れた過剰在庫として識別しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 b.固定資産の減損固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っております。また、減損の兆候がある貸与資産、遊休資産については、個別資産別に減損損失の認識の判定を行っております。 当連結会計年度において、鹿児島工場は半導体市場の長期的な市況の不振と在庫調整が続いたこと等で著しい経営環境の悪化が認められたため減損の兆候があると判断し、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、当該事業について見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回ると判断されたため、資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額の算出に用いた回収可能価額は、正味売却価額により測定しております。建物および土地については、不動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価し、機械装置およびその他動産については、動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価しております。将来の不確実な経済条件の変動により、正味売却価額の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。 c.繰延税金資産の回収可能性当社及び国内の連結子会社における繰延税金資産は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に示される企業の分類を考慮して回収可能性を判断しております。その上で、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等の将来解消見込年度のスケジューリング等に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。 将来の課税所得の見積りは、取締役会等で承認された予算を基礎としており、その主要な仮定は、売上高、売上原価及び経費等の予測であります。 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。