経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(経営方針)多くの従業員が働きがいを持てば、その企業は安定的に高い顧客満足度と業績成果を生み出せます。その結果、従業員の更なる成長に向けた教育や福利厚生の充実等に投資が回り、より一層の働きがい(従業員満足)に繋がる好循環サイクル、SPC(サービス・プロフィット・チェーン)が形成されます。当社グループは、顧客企業において、このSPC経営を実現することで、従業員と消費者、消費者と企業、企業と従業員を最適に結び付けるサービスの提供を通じ、「精神的に豊かな社会の創造」に貢献することをミッションとしております。その実践のために「社員第一主義」、「顧客中心主義」、「社会的に価値ある事業を行う」という3つの経営指針を設けており、これらの指針に基づき顧客企業に対して調査からコンサルまでの各種サービスを提供してまいります。 (経営環境)当社グループの顧客であるサービス業を取り巻く経営環境は、新型コロナウィルス感染症によって大きく経営基盤が揺らぎました。5類感染症への移行によって沈静化したものの、その後も原材料価格の高騰と高止まり、長引く実質賃金の低迷による家計消費の伸び悩み、人手不足に伴う人件費の上昇などの新たな要因によって依然として厳しい環境が続いておりますが、価格転嫁がある程度許容され始めたことで、ようやく持ち直しの方向に進みつつあります。当社グループにおいても、コロナ禍における大幅な売上収益の減少、その後の利益率低下などによって厳しい状態が続いておりましたが、顧客企業の価格転嫁の進展に伴い、当社・顧客間での価格および調査条件緩和交渉を進めたことにより、MSRの1レポートあたり売上単価は3期連続で上昇、加えて2026年2月期は主要テーマに「全社収益性改善」を掲げて、AIやLINEの有効活用などに取り組んだ結果、MSRの利益率も回復傾向にあります。一方、サービス業において、店舗での接客サービスの改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に当社のモニター基盤を活用するといったニーズが増えつつあります。加えて、日本の人口構造上人手不足は長期にわたると考えられます。このような環境を踏まえ、「お店のファンを増やし、従業員の働き甲斐にもつながるCS」、さらには「顧客企業のCX改善」、そして「人材の確保・定着に資する従業員エンゲージメント(ES)」といった側面から、当社グループに期待される使命や役割は、より一層大きなものとなるとの認識に立って、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向けて、顧客企業の経営課題解決に繋がる効果的な支援を行ってまいる所存であります。 (経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)当社グループは、企業価値と株主価値の向上を目指し、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、「営業利益率」、「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)」としております。当連結会計年度を含む直近5年間の各指標は以下のとおりとなり、当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較し、売上収益は1.3%増であったものの、「全社収益性改善」の取り組みが奏功し、売上収益に占める原価率が2.2ポイント、販管費率が0.9ポイント低減したことにより、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度と比較し、449,171千円の増益となりました。コロナ禍および物価上昇の影響でROEは目標とする10%以上に届いておりませんが、引き続き売上収益の拡大と利益率の向上に取り組んでまいります。 2022年2月期2023年2月期2024年2月期2025年2月期2026年2月期営業利益率(%)16.414.77.5―9.8親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)(千円)206,510219,691114,366△276,099173,072ROE(%)7.37.53.9―6.2 (注) 2025年2月期の営業利益率及びROEについては、親会社の所有者に帰属する当期損失であるため記載しておりません。 (対処すべき課題)当社グループは、様々な業種への拡大と浸透、従来よりも難度の高い調査への対応力強化によって、基幹サービスである一般消費者(モニター)による顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(以下「MSR」という。)」の着実な成長と共に、店舗における接客サービスの改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に向けた支援内容の進化、およびコロナ禍や物価上昇以前の利益率への回復を目指しております。また、在宅勤務等の大きな労働環境の変化や、人手不足問題によって、従業員エンゲージメントやモチベーション管理、さらには業務の効率化という課題を抱えている顧客企業が数多く存在します。そのような顧客企業の問題解決に資するべく、従業員満足度調査「tenpoket チームアンケート」の提供とともに、離職率低減のためのコンサルティングや採用支援サービスも開始しております。加えて、補助金・助成金採択支援コンサルティングやLINEを活用した店舗集客支援サービスなど新たなニーズへの対応も加速させております。それらの取り組みにより、顧客企業におけるサービスプロフィットチェーン(以下「SPC」という。)経営の実現を支援するとともに、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向け、更なる経営の安定化を進めるべく、以下の6項目について重点的に取り組んでまいります。 (1) サービスの顧客ニーズへの適合度向上顧客ニーズの多様化や海外企業からの調査依頼の増加を背景として、覆面調査に対する要望もさらに複雑化しております。近年は店舗での接客サービス改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に活用したいというニーズも増えてまいりました。高いレポート品質や高難度調査への対応が可能であることが、覆面調査市場における当社グループの優位性になっております。今後もミステリーショッピングリサーチ及びその他、当社グループが提供する各種サービスを、各顧客企業にとって不可欠な存在にしていくことが課題と認識しております。そのため、MSRやtenpoketチームアンケートなどの主力サービスが顧客企業の経営や業務により密接に連携するよう、それらを活用したコンサルティングのノウハウ高度化およびソフトウエアへの開発投資を継続してまいります。また、コロナ禍や物価上昇等によって財務体質が悪化している顧客企業に対して、政府等の補助金・助成金の活用を促すコンサルティングサービスを提供しております。顧客ニーズに対応するべく、支援可能な制度の幅の拡大と各企業に適した補助金の情報提供機能を強化してまいります。2026年2月期において、LINEを活用した店舗の集客支援代行分野のストックビジネス化が進展しております。こうした新サービスに関するノウハウの構築に努め、新たな収益源泉を拡大してまいります。 (2) 成長に伴う人材の確保・教育当社グループは、今後もミステリーショッピングリサーチ事業を中心事業として拡大していくことを志向しており、その支えとなっているものが、主にSPC経営の実現に向けて、MSRやtenpoketチームアンケートを仕組みの中心に据えた経営システムのインフラ構築と定着化に関するコンサルティング・その他(以下「コンサル」という。)であると捉えております。また上記のとおり、並行して積極的にサービスラインアップの拡充・進化を進めております。しかしながら、経営システムのインフラ構築と定着化をトータルコーディネートできる人材の育成には相応の時間がかかる上、新たなビジネスチャンスを生み出し、成長させていくことは簡単ではありません。そうした業務遂行が可能な人材を確保・育成することが重要課題と認識しております。また、MSRの成長に合わせてレポート生産管理を行う人材、サービス提供の礎である自社開発システムを支える人材、調査データの高度な統計解析を担う人材、業務効率化・高度化に向けてAI活用を促進し得る人材の確保・育成も課題となるであろうことが想定されます。そのため、以上のような人材の確保・育成が成長のボトルネックとならないよう、採用の強化に着手しておりますが、今後も顧客ニーズの動向を注視しながら、それに見合った人材確保と適正配置、並びに早期の成長を促す教育及びOJT機会の充実に努めてまいります。 (3) モニターの囲い込みと拡充当社グループは、日本全国に62万人のモニターを保有し、幅広いエリアや属性をカバーしておりますが、一方で顧客ニーズも徐々に多様化しており、それらを満たす将来的なモニターの量の十分性には課題があると考えております。例えば、モニターの少ないエリアに出店しているナショナルチェーン等の調査や、同一モニターが複数回来店できない業種の調査など、以前にはない難度の調査が求められるケースもあります。加えて、国内外の企業から、当社海外子会社拠点以外のエリアでの調査の引き合いが増加しており、その要望に応えるために、海外モニターおよび協力会社ネットワークの拡大も必要と考えております。そのため、今後は効果的な広告宣伝の実施や多言語対応の強化等により当社グループの認知度・信用力向上を図り、登録モニター数の拡大を進める一方、モニターサイトのリニューアル等も含め、調査に応募していただけるモニターの拡充・活性化を進めることで、より多様化が進むであろう顧客ニーズを満たすモニター基盤の形成に努めてまいります。 (4) レポートの品質向上当社グループでは、標準的に1レポート当たり7問程度のフリーアンサー設問を設けており、1問当たり200~300字程度のコメントが記載されるため、全体で1,400~2,100字程度の「お客様の生の声」が届けられますが、自店のサービス向上を念頭に、顧客企業の店舗スタッフが自発的な改善アクションを検討・実行するには、何より正しい評価とその評価理由が明確に伝わるレポートが求められています。今後もより一層有効にレポートを活用いただく上で、レポート品質の向上並びにその担保が引き続いての課題と認識しております。そのため、今後もレポート評価結果に関するモニターへのフィードバック内容の充実、モニター向けレポート作成方法やレポートチェッカー向けレポートメンテナンス方法の周知・教育など、レポート品質の向上並びにその担保に資する仕組みの充実に努めてまいります。 (5) モニター謝礼及びレポート生産コストの適正化物価の上昇に伴って調査に必要な利用金額が増加したことにより、モニターに支払う謝礼が上昇傾向にあります。加えて、物価上昇と人手不足に伴う労務費の上昇はレポート生産にかかるコストの増加につながります。それらの課題に対応し、利益率をコロナ禍以前の状態に回復させていくために、顧客企業との価格転嫁交渉を継続して実施してまいります。適正化を図るために各企業の店舗での利用金額やレポート生産コストの上昇データを示しつつ価格改定を進めるとともに、モニター活性化及び生産性向上のために調査設問数や調査条件の緩和に向けた協議も進めております。加えて、社内でも生産コストの抑制に向けて、AI活用によるレポートチェックコストの低下、LINEとのID連携によるメッセージ配信機能の活用やモニターサイトリニューアルによるモニターアサインコストの低減、生産コストKPIに基づいたマネジメントや教育の充実等、各種生産性向上策を継続してまいります。 (6) 海外事業における顧客基盤の拡大と収益のストック化アジアを中心に海外展開を図る顧客企業からMSRを現地にて実施したいとのニーズに応えるために、2016年に日系企業の進出が著しいタイと台湾にて、各国に進出している日系企業や現地企業からのオーダーに基づき、MSRやコンサルを提供しておりますが、両国での事業展開においては、継続的にMSRを実施できる顧客基盤の拡大と収益のストック化を図っていくことが当面の課題と認識しております。そのため、MSR実施企業に対するコンサルの導入、発掘ルートの多様化による新規案件の増加や人的資源の投下などに取り組んでおります。また、MSR業界のグローバルネットワークであるMSPAへの参画や引き合いの増加などによって、海外子会社だけでなく、海外企業からの日本国内における調査依頼案件も増加しております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(経営方針)多くの従業員が働きがいを持てば、その企業は安定的に高い顧客満足度と業績成果を生み出せます。その結果、従業員の更なる成長に向けた教育や福利厚生の充実等に投資が回り、より一層の働きがい(従業員満足)に繋がる好循環サイクル、SPC(サービス・プロフィット・チェーン)が形成されます。当社グループは、顧客企業において、このSPC経営を実現することで、従業員と消費者、消費者と企業、企業と従業員を最適に結び付けるサービスの提供を通じ、「精神的に豊かな社会の創造」に貢献することをミッションとしております。その実践のために「社員第一主義」、「顧客中心主義」、「社会的に価値ある事業を行う」という3つの経営指針を設けており、これらの指針に基づき顧客企業に対して調査からコンサルまでの各種サービスを提供してまいります。 (経営環境)当社グループの顧客であるサービス業を取り巻く経営環境は、新型コロナウィルス感染症によって大きく経営基盤が揺らぎました。5類感染症への移行によって沈静化したものの、その後も原材料価格の高騰と高止まり、長引く実質賃金の低迷による家計消費の伸び悩み、人手不足に伴う人件費の上昇などの新たな要因によって依然として厳しい環境が続いておりますが、価格転嫁がある程度許容され始めたことで、ようやく持ち直しの方向に進みつつあります。当社グループにおいても、コロナ禍における大幅な売上収益の減少、その後の利益率低下などによって厳しい状態が続いておりましたが、顧客企業の価格転嫁の進展に伴い、当社・顧客間での価格および調査条件緩和交渉を進めたことにより、MSRの1レポートあたり売上単価は3期連続で上昇、加えて2026年2月期は主要テーマに「全社収益性改善」を掲げて、AIやLINEの有効活用などに取り組んだ結果、MSRの利益率も回復傾向にあります。一方、サービス業において、店舗での接客サービスの改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に当社のモニター基盤を活用するといったニーズが増えつつあります。加えて、日本の人口構造上人手不足は長期にわたると考えられます。このような環境を踏まえ、「お店のファンを増やし、従業員の働き甲斐にもつながるCS」、さらには「顧客企業のCX改善」、そして「人材の確保・定着に資する従業員エンゲージメント(ES)」といった側面から、当社グループに期待される使命や役割は、より一層大きなものとなるとの認識に立って、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向けて、顧客企業の経営課題解決に繋がる効果的な支援を行ってまいる所存であります。 (経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)当社グループは、企業価値と株主価値の向上を目指し、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、「営業利益率」、「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)」としております。当連結会計年度を含む直近5年間の各指標は以下のとおりとなり、当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較し、売上収益は1.3%増であったものの、「全社収益性改善」の取り組みが奏功し、売上収益に占める原価率が2.2ポイント、販管費率が0.9ポイント低減したことにより、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度と比較し、449,171千円の増益となりました。コロナ禍および物価上昇の影響でROEは目標とする10%以上に届いておりませんが、引き続き売上収益の拡大と利益率の向上に取り組んでまいります。 2022年2月期2023年2月期2024年2月期2025年2月期2026年2月期営業利益率(%)16.414.77.5―9.8親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)(千円)206,510219,691114,366△276,099173,072ROE(%)7.37.53.9―6.2 (注) 2025年2月期の営業利益率及びROEについては、親会社の所有者に帰属する当期損失であるため記載しておりません。 (対処すべき課題)当社グループは、様々な業種への拡大と浸透、従来よりも難度の高い調査への対応力強化によって、基幹サービスである一般消費者(モニター)による顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(以下「MSR」という。)」の着実な成長と共に、店舗における接客サービスの改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に向けた支援内容の進化、およびコロナ禍や物価上昇以前の利益率への回復を目指しております。また、在宅勤務等の大きな労働環境の変化や、人手不足問題によって、従業員エンゲージメントやモチベーション管理、さらには業務の効率化という課題を抱えている顧客企業が数多く存在します。そのような顧客企業の問題解決に資するべく、従業員満足度調査「tenpoket チームアンケート」の提供とともに、離職率低減のためのコンサルティングや採用支援サービスも開始しております。加えて、補助金・助成金採択支援コンサルティングやLINEを活用した店舗集客支援サービスなど新たなニーズへの対応も加速させております。それらの取り組みにより、顧客企業におけるサービスプロフィットチェーン(以下「SPC」という。)経営の実現を支援するとともに、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向け、更なる経営の安定化を進めるべく、以下の6項目について重点的に取り組んでまいります。 (1) サービスの顧客ニーズへの適合度向上顧客ニーズの多様化や海外企業からの調査依頼の増加を背景として、覆面調査に対する要望もさらに複雑化しております。近年は店舗での接客サービス改善にとどまらず、会社全体のCX向上や企業のブランディング強化に活用したいというニーズも増えてまいりました。高いレポート品質や高難度調査への対応が可能であることが、覆面調査市場における当社グループの優位性になっております。今後もミステリーショッピングリサーチ及びその他、当社グループが提供する各種サービスを、各顧客企業にとって不可欠な存在にしていくことが課題と認識しております。そのため、MSRやtenpoketチームアンケートなどの主力サービスが顧客企業の経営や業務により密接に連携するよう、それらを活用したコンサルティングのノウハウ高度化およびソフトウエアへの開発投資を継続してまいります。また、コロナ禍や物価上昇等によって財務体質が悪化している顧客企業に対して、政府等の補助金・助成金の活用を促すコンサルティングサービスを提供しております。顧客ニーズに対応するべく、支援可能な制度の幅の拡大と各企業に適した補助金の情報提供機能を強化してまいります。2026年2月期において、LINEを活用した店舗の集客支援代行分野のストックビジネス化が進展しております。こうした新サービスに関するノウハウの構築に努め、新たな収益源泉を拡大してまいります。 (2) 成長に伴う人材の確保・教育当社グループは、今後もミステリーショッピングリサーチ事業を中心事業として拡大していくことを志向しており、その支えとなっているものが、主にSPC経営の実現に向けて、MSRやtenpoketチームアンケートを仕組みの中心に据えた経営システムのインフラ構築と定着化に関するコンサルティング・その他(以下「コンサル」という。)であると捉えております。また上記のとおり、並行して積極的にサービスラインアップの拡充・進化を進めております。しかしながら、経営システムのインフラ構築と定着化をトータルコーディネートできる人材の育成には相応の時間がかかる上、新たなビジネスチャンスを生み出し、成長させていくことは簡単ではありません。そうした業務遂行が可能な人材を確保・育成することが重要課題と認識しております。また、MSRの成長に合わせてレポート生産管理を行う人材、サービス提供の礎である自社開発システムを支える人材、調査データの高度な統計解析を担う人材、業務効率化・高度化に向けてAI活用を促進し得る人材の確保・育成も課題となるであろうことが想定されます。そのため、以上のような人材の確保・育成が成長のボトルネックとならないよう、採用の強化に着手しておりますが、今後も顧客ニーズの動向を注視しながら、それに見合った人材確保と適正配置、並びに早期の成長を促す教育及びOJT機会の充実に努めてまいります。 (3) モニターの囲い込みと拡充当社グループは、日本全国に62万人のモニターを保有し、幅広いエリアや属性をカバーしておりますが、一方で顧客ニーズも徐々に多様化しており、それらを満たす将来的なモニターの量の十分性には課題があると考えております。例えば、モニターの少ないエリアに出店しているナショナルチェーン等の調査や、同一モニターが複数回来店できない業種の調査など、以前にはない難度の調査が求められるケースもあります。加えて、国内外の企業から、当社海外子会社拠点以外のエリアでの調査の引き合いが増加しており、その要望に応えるために、海外モニターおよび協力会社ネットワークの拡大も必要と考えております。そのため、今後は効果的な広告宣伝の実施や多言語対応の強化等により当社グループの認知度・信用力向上を図り、登録モニター数の拡大を進める一方、モニターサイトのリニューアル等も含め、調査に応募していただけるモニターの拡充・活性化を進めることで、より多様化が進むであろう顧客ニーズを満たすモニター基盤の形成に努めてまいります。 (4) レポートの品質向上当社グループでは、標準的に1レポート当たり7問程度のフリーアンサー設問を設けており、1問当たり200~300字程度のコメントが記載されるため、全体で1,400~2,100字程度の「お客様の生の声」が届けられますが、自店のサービス向上を念頭に、顧客企業の店舗スタッフが自発的な改善アクションを検討・実行するには、何より正しい評価とその評価理由が明確に伝わるレポートが求められています。今後もより一層有効にレポートを活用いただく上で、レポート品質の向上並びにその担保が引き続いての課題と認識しております。そのため、今後もレポート評価結果に関するモニターへのフィードバック内容の充実、モニター向けレポート作成方法やレポートチェッカー向けレポートメンテナンス方法の周知・教育など、レポート品質の向上並びにその担保に資する仕組みの充実に努めてまいります。 (5) モニター謝礼及びレポート生産コストの適正化物価の上昇に伴って調査に必要な利用金額が増加したことにより、モニターに支払う謝礼が上昇傾向にあります。加えて、物価上昇と人手不足に伴う労務費の上昇はレポート生産にかかるコストの増加につながります。それらの課題に対応し、利益率をコロナ禍以前の状態に回復させていくために、顧客企業との価格転嫁交渉を継続して実施してまいります。適正化を図るために各企業の店舗での利用金額やレポート生産コストの上昇データを示しつつ価格改定を進めるとともに、モニター活性化及び生産性向上のために調査設問数や調査条件の緩和に向けた協議も進めております。加えて、社内でも生産コストの抑制に向けて、AI活用によるレポートチェックコストの低下、LINEとのID連携によるメッセージ配信機能の活用やモニターサイトリニューアルによるモニターアサインコストの低減、生産コストKPIに基づいたマネジメントや教育の充実等、各種生産性向上策を継続してまいります。 (6) 海外事業における顧客基盤の拡大と収益のストック化アジアを中心に海外展開を図る顧客企業からMSRを現地にて実施したいとのニーズに応えるために、2016年に日系企業の進出が著しいタイと台湾にて、各国に進出している日系企業や現地企業からのオーダーに基づき、MSRやコンサルを提供しておりますが、両国での事業展開においては、継続的にMSRを実施できる顧客基盤の拡大と収益のストック化を図っていくことが当面の課題と認識しております。そのため、MSR実施企業に対するコンサルの導入、発掘ルートの多様化による新規案件の増加や人的資源の投下などに取り組んでおります。また、MSR業界のグローバルネットワークであるMSPAへの参画や引き合いの増加などによって、海外子会社だけでなく、海外企業からの日本国内における調査依頼案件も増加しております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇分を引いた実質賃金の長期低迷によって家計消費の伸び悩みが続いていることに加え、企業物価の上昇や人手不足に伴う人件費の上昇などが企業経営を圧迫しており、当社の主要顧客である外食・小売などの内需型サービス産業においては、厳しい環境が続いております。このような環境下、基幹サービスである顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(以下「MSR」という。)」の売上収益は、前連結会計年度と比較し2.8%増、SaaSは18.7%減、コンサルティング・その他(以下「コンサル」という。)は8.1%増となっております。以上の結果、売上収益で1.3%増、売上総利益が8.2%増、営業利益は490百万円増、親会社の所有者に帰属する当期利益は449百万円増となりました。今期の主要テーマに「全社収益性改善」を掲げて、「価格及び条件緩和交渉によるMSR粗利率の回復」「AI活用によるレポートチェックコストの低減」「LINE活用や新モニターサイトの継続的改善に伴うモニターアサインコストの低減」「IT構成などの見直しによるコスト抑制」に取り組んできたことが奏功し、実施プロジェクトの利益率向上、原価抑制が進んだ為、売上収益に比べ、売上総利益が伸長しております。売上面では、MSRは海外関連調査が調査時期ズレによって停滞したものの、国内通常調査が順調に進んだことにより増額しております。SaaSは外食日次決算システムbinoのサービス終了の影響等で減少致しました。注力分野である従業員エンゲージメント調査「チームアンケート」は実施時期ズレにより微減したものの、受注及び期初受注残共に堅調に推移しております。コンサルは若手の成長もあり、通常コンサルが2.4%増、新たな制度への対応によって支援ラインアップを拡充している補助金・助成金支援分野は94.6%増と大きく増額した一方、コストダウン商材の販売終了などによるマイナスも発生。傾注すべきサービス分野の取捨選択を行っております。一方、受注高は上記の通りプロジェクトの利益率を優先したため、前連結会計年度と比較し2.0%減となりましたが、受注高からモニター謝礼および外注費を除いた直接利益受注高は1.5%増、特に粗利率の高いコンサルが9.8%増となりました。生産面では、1レポートあたり生産性の改善を継続・強化することにより、MSRの粗利率が前連結会計年度の43.9%から48.5%へと改善しております。その他、新たに引き合いが生まれている海外エリアにおけるモニター基盤やオペレーションの構築、AIによる生産性向上などの施策を進めております。管理面では、全社を挙げて生産性の向上およびコスト抑制を含めたKPI管理を徹底することによって想定以上の成果を上げており、将来に向けた投資により減価償却費等が増加しているものの、前連結会計年度と比較して売上収益に占める原価率が2.2ポイント減、販売費及び一般管理費率が0.9ポイント減となりました。 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ325,497千円増加し、3,703,773千円となりました。当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ37,103千円減少し、789,294千円となりました。当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末に比べ362,599千円増加し、2,914,480千円となりました。 b.経営成績以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益2,584,946千円(前期比1.3%増)、営業利益252,089千円(前期は237,844千円の営業損失)、税引前利益251,124千円(前期は239,502千円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益173,072千円(前期は276,099千円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。なお、当社グループはミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて451,069千円増加し、1,029,998千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による収入は、405,705千円(前期比1,108千円減)となりました。これは、営業債務及びその他の債務の減少額30,838千円、法人所得税等の支払額51,720千円等があったものの、税引前利益の計上251,124千円、減価償却費及び償却費の計上136,404千円、営業債権及びその他の債権の減少額112,085千円があったこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による支出は、120,289千円(前期比9,845千円減)となりました。これは、無形資産の取得による支出127,160千円等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による収入は、155,043千円(前期は30,382千円の支出)となりました。これは、リース負債の返済による支出33,854千円があったものの、自己株式の処分による収入183,671千円があったこと等によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。 b.受注実績当連結会計年度の受注実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)ミステリーショッピングリサーチ事業2,512,78698.0714,374101.6合計2,512,78698.0714,374101.6 (注) 1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。2.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。3.受注残高には、翌連結会計年度に売上収益となる見込みの金額を記載しております。4.子会社においては、受注から納品までの期間が短いため、上記金額に含めておりません。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。(単位:千円)セグメントの名称金額(千円)前期比(%)ミステリーショッピングリサーチ事業2,584,946101.3合計2,584,946101.3 (注) 1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。2.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。3.主要な販売先については、いずれも100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規則によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び 注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態の分析(資産合計)当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ325,497千円増加し、3,703,773千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ340,108千円増加し、1,428,611千円となりました。これは営業債権及びその他の債権が109,870千円減少したものの、現金及び現金同等物が451,069千円増加したこと等によるものであります。非流動資産は、前連結会計年度末に比べ14,612千円減少し、2,275,162千円となりました。これは主にその他の無形資産が32,943千円増加したものの、有形固定資産が7,207千円、使用権資産が26,114千円、繰延税金資産が8,808千円減少したこと等によるものであります。(負債合計)当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ37,103千円減少し、789,294千円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ11,633千円減少し、766,601千円となりました。これは主に未払法人所得税等が15,910千円増加したものの、営業債務及びその他の債務が26,187千円減少したこと等によるものであります。非流動負債は、前連結会計年度末に比べ25,470千円減少し、22,693千円となりました。これは非流動負債のリース負債が25,549千円減少したこと等によるものであります。(資本合計)当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末に比べ362,599千円増加し、2,914,480千円となりました。これは主に自己株式処分差損の計上に伴い資本剰余金が106,353千円減少したものの、自己株式の処分による自己株式の減少296,175千円、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等による利益剰余金の増加155,827千円があったこと等によるものであります。 b.経営成績の分析(売上収益)売上収益は、2,584,946千円(前期比1.3%増)となりました。MSRは、海外関連調査が調査時期ズレによって停滞したものの、国内通常調査が順調に進んだことにより増額いたしました。SaaSは、外食日次決算システムbinoのサービス終了の影響等で減少いたしましたが、従業員エンゲージメント調査「チームアンケート」については、実施時期ズレにより微減したものの、受注及び期初受注残共に堅調に推移いたしました。コンサルは、通常コンサルが2.4%増、新たな制度への対応によって支援ラインアップを拡充している補助金・助成金支援分野は94.6%増と大きく増額いたしました。(売上原価、売上総利益)売上原価については、1,718,344千円(前期比1.9%減)となりました。今期の主要テーマとして掲げた「全社収益性改善」への取り組みが成果を上げ、実施プロジェクトの原価抑制や生産性向上に進展が見られた結果 、売上収益に占める原価率は、前連結会計年度と比較して2.2ポイント低減いたしました。特にMSRにおいては、1レポートあたり生産性の改善を継続・強化することにより、粗利率が前連結会計年度の43.9%から48.5%へと改善いたしました。この結果、売上総利益は866,602千円(前期比8.2%増)となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費については、636,984千円(前期比2.2%減)となりました。全社を挙げて生産性の向上およびコスト抑制を含めたKPI管理を徹底することによって想定以上の成果を上げており、将来に向けた投資により減価償却費等が増加しているものの、売上収益に占める販管費率は前連結会計期間と比較して0.9ポイント減となりました。 その他の収益は22,471千円発生しており、この結果、営業利益は252,089千円(前期は237,844千円の営業損失)となりました。(親会社の所有者に帰属する当期利益)金融収益は1,627千円、金融費用は2,592千円発生しており、法人所得税費用79,045千円を差し引いた結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は173,072千円(前期は276,099千円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a.キャッシュ・フローの状況の分析当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。当社グループはキャッシュ・フローを重視した財務戦略を進めており、設備投資資金についても投資効率性などを分析した上で、原則として営業活動から得た収入を充当していく方針であります。なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。 前連結会計年度当連結会計年度親会社所有者帰属持分比率(%)76.679.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.40.4インタレスト・カバレッジ・レシオ305.1233.8 (注) 親会社所有者帰属持分比率:(親会社の所有者に帰属する持分)÷(総資産)キャッシュ・フロー対有利子負債比率:(有利子負債)÷(キャッシュ・フロー)インタレスト・カバレッジ・レシオ:(キャッシュ・フロー)÷(利払い)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。4.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 b.資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、モニターに対する謝礼原価やレポートチェックの外注委託費、労務費といった売上原価、人件費や旅費交通費、当社が提供する各種システムのデータサーバ費用等の販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、什器備品や社内利用ソフトウェアの購入費用の他、当社がSaaSとして提供する商品群「tenpoket」のシステム開発費用であります。株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。上記運転資金及び投資資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。当社グループは効率的で安定した運転資金の調達を行うため、主要取引金融機関と総額500,000千円のコミットメントライン契約を締結しており、当該契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は100,000千円であります。また、金融機関から短期借入金による調達を実施しており、短期借入金の当期末残高は50,000千円となりました。加えて、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するとともに、財務基盤の一段の強化を図ることを目的として、金融機関との間で50,000千円の当座貸越契約を締結しております。この契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はなく、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高1,029,998千円と合わせて、資金について十分な手元流動性を確保しているものと認識しております。 (3) 経営成績等に重要な影響を与える要因について当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制、同業他社等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向及び業界動向に注視しつつ、コンサル、生産管理、システム開発、統計解析業務に携わる人材並びに経営管理業務に携わる人材を確保・育成し、事業体制の強化はもとより管理体制の整備を進め、社会及び顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。