研究開発活動(本文)
FY2025|3,355 文字
6 【研究開発活動】(1)基本方針当社グループは、企業理念で掲げている「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、社会の変化やお客様のニーズを的確にとらえ、コアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術、生産技術)を駆使した製品の研究開発を進めています。高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することで、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境の保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。特に研究開発では、『中期経営計画2026』において“Bearings & Beyond”を掲げ、既存製品の商品力強化と新商品の創出・新事業の拡大に取り組んでいます。 (2)研究開発の状況①コアテクノロジーカーボンニュートラル社会の実現に向けた低摩擦や小型・軽量化、電動化に伴う高速性や静音性、水素などの特殊環境下も含めた耐久性など、高度化する要求にスピーディに応えていくために、リアルデジタルツイン(注)やオープンイノベーションを活用してコアテクノロジーの強化に取り組んでいます。これらの取り組みの具体的な成果の一つとして、2023年に世界で初めて確立した「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測技術」を2024年に実用化しました。転がり軸受の寿命計算パラメータである基本動定格荷重を向上させることで、基本定格寿命を最大2倍に延長しました。これにより当社軸受の長寿命性能を機械設計に生かして、より高負荷環境下での使用が可能となります。また、小型・軽量な軸受への置き換えも可能となり、軸受や軸受が組み込まれる製品の小型化により製造過程の省エネルギーに繋がるだけでなく、軸受の小型化に伴うフリクション低減により製品使用過程でもCO2排出量の削減に貢献します。さらに、従来の枠組みを超えた連携として東京科学大学と2023年に設立した「NSKトライボロジー協働研究拠点」では、学士課程から博士課程の学生や研究者と協働して潤滑・材料・力学分野でのトライボロジー現象解明の研究を進めています。2024年は学会発表や論文投稿などを通じて研究成果を積極的に発信し、本研究からの卒業生も輩出しました。潤滑の研究に関しては、潤滑メカニズムに関する様々な理論式の導出から潤滑理論を構築することを進めています。これらを通して、軸受の最適設計や寿命予測に関する技術を強化します。(注)リアルな現象を再現して詳細に把握し、そのカラクリを推理してデジタル上にモデル化することにより、リ アルとデジタルの両面から目に見えない本質を理解し、エンジニアの創造性を高め、既成概念を打ち破るよ うなソリューションを生み出すことを目指す当社独自の取り組み。 事業別の技術開発の状況は以下のとおりです。 ②産業機械事業産業機械の電動化・自動化による生産性向上、状態監視や予知保全から補修・再利用までを組み合わせた循環型社会やカーボンニュートラルなど、持続可能な社会を実現する製品やサービスを開発しています。生産性向上に関しては、電力消費量が少ないグリース潤滑方式を用いた工作機械主軸用軸受において軸受の交換頻度と軸受交換後の慣らし運転時間を削減する精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド™」を開発しました。新開発の「ころ案内保持器」により、グリース寿命を最大60%向上、許容回転数を最大20%向上させるとともにグリース性能を安定させるための慣らし運転時間を1/3に短縮しました。また工作機械の高い位置決め精度と省エネルギーの両立を可能とする工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix™」を開発しました。当社の解析技術でボールと溝の接触状態を解明し内部仕様を最適化したことで、寸法を維持したまま剛性を下げることなくボールねじ駆動時のフリクションを低減し、CO2排出量を従来比で最大50%削減することに成功しました。 状態監視に関しては、IoT/DXの進展に伴い一般産業機械でもニーズが高まる中、風力発電や石油化学などの重要インフラで培った診断技術を活かし、従来のワイヤレス型に加えて有線システムとのクラウド連携を開始しました。一般産業機械においてもより高度な状態監視を求めるお客様向けに、当社の高度診断AIと診断エキスパートによる状態監視ソリューションの提供を可能としました。また状態監視で得られたデータを活用して余寿命診断を含めた予知保全サービスへと拡大させ、製品販売後の点検や補修・交換までの製品ライフサイクル全体を最適にするProduct Lifecycle Management(PLM)モデルの確立に取り組んでいます。この取り組みの中で鉱山設備向けにおいては、業界初となる軸受のリコンディショニングに対応した「高負荷容量大形円すいころ軸受」を開発しました。従来比最大2倍の長寿命を達成しつつ、従来不可能であった内輪ところ・保持器を分離可能にしたことで軸受の点検・補修を可能とし、メンテナンスコストの削減やCO2排出量の削減に貢献します。風力発電機向けにおいては、安定稼働とメンテナンス頻度削減に貢献する「風力発電機主軸用高信頼性自動調心ころ軸受」を開発しました。当社のコアテクノロジーを活用した長寿命材料、高硬度被膜、高負荷容量化を適用し、軸受の耐久性を大幅に向上させました。状態監視ソリューションと併せてお客様に提案し、風力発電機の補修市場向けビジネスを拡大します。これら製品ライフサイクル全体での価値提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。上記に加え新事業への挑戦においては、医師の働き方改革に伴う看護師らの負担軽減に貢献するロボットの実用化が評価され、「医療従事者にも患者にも嬉しい搬送アシストロボット MOOVO™(ムーボ)」が「2024年“超”モノづくり部品大賞」において「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。そのほか、再生・細胞医療分野の発展に向けたトップランナー企業と協創の結果、新たな3D細胞製品の商業生産を可能とする技術の開発に成功しました。 ③自動車事業自動車の電動化や自動化の進展、モビリティとしての多様化も進む中、自動車の環境性能、安全性、快適性の向上に貢献する製品・技術の開発に全方位で取り組んでいます。環境性能に関しては、自動車の更なる航続距離延長に貢献する「低フリクションハブユニット軸受」を開発しました。独自のトライボロジー技術や解析技術を駆使し、シール形状、シールグリース、摺動面加工技術を新開発したことで耐泥水性を落とさずに従来比40%減となる業界最高水準の低フリクションを実現しました。また、自動車をはじめ産業機械で使用される電動アクチュエータの小型化や消費電力低減に貢献する「ロッキングクラッチ」を開発しました。これは入力軸からの回転は伝達し、出力軸からの回転は遮断する新たな機構を持つパワーフロー制御クラッチで、当社が長年培ってきた摩擦コントロール技術により電力を必要とせずに高い伝達効率と確実なロック機能を両立します。そのほか、eAxleやハイブリッドシステムなど様々な駆動ユニットの小型・軽量化や電費向上に貢献する「電動車向け小型・軽量化深溝玉軸受」を開発しました。軸受内部諸元の改良に加えて新開発の幅狭保持器を採用することで、強度・耐久性を落とさずに従来比38%の幅寸法の短縮と51%の軽量化をし、25%のフリクション低減も実現しました。安全性、快適性に関しては、自動車向けに限らず様々なアクチュエータやe-Bikeの駆動ユニットなどにも適用可能な、磁歪式トルクセンサの実用モデル(第3世代センサ)を開発しました。自動車向け製品の研究開発ノウハウを生かして信頼性、小型、低コストの3つを同時に実現させたトルクセンサにより制御性を向上させ、様々なモビリティの故障予知や快適性の向上、航続距離の延長に貢献します。 当連結会計年度の当社グループにおける継続事業の研究開発費は16,251百万円であり、その内訳は、産業機械事業9,868百万円、自動車事業6,079百万円、その他302百万円です。
FY2023|3,731 文字
6 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念の中で掲げている「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、社会の変化やお客様の新たなニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)と生産技術を駆使した製品開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。自動車産業をはじめとする産業全般における電動化・自動化・デジタル化などの技術革新は急激に進み、企業として取り組むべき課題は拡大を続けています。さらには、カーボンニュートラル、人権の尊重、少子高齢化問題への取り組みなど企業の社会的責任の重要性は増し、経営環境は急速に変化しています。こうした環境下においても、当社グループは企業理念のもと、技術革新の進展や地球環境負荷の低減に対する取り組みを成長の機会と捉え、技術・製品・サービスを通じ、高い品質と信頼で応えていきます。すなわち、トライボロジーとデジタルの融合による価値創出で、持続可能な社会の発展に貢献し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。特に研究開発では、『中期経営計画2026』において“Bearings & Beyond”を掲げ、既存製品の商品力強化と、新商品・新事業の拡大に取り組んでいます。 (2) 研究開発の状況コアテクノロジー当社コアテクノロジーの一つであるトライボロジー技術においては、「転動体強化による転がり軸受の高機能化技術」がトライボロジーに関する実用技術として評価され、「2021年度日本トライボロジー学会技術賞」を受賞しました。さらに、オープンイノベーションによる技術革新を進めるため、当分野で権威ある日本国内の大学と研究拠点の設置に向けた協定を締結しました。今後、両者の強みを掛け合わせて革新的な技術開発を行う体制・研究環境を整えます。加えて、高度な基礎研究を推進できる人材の育成にも取り組んでいきます。また、材料技術においては、「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測技術」を世界で初めて確立しました。これは、超音波探傷による非破壊検査法の一種であるMicro-UT法を、鋼材中の非金属介在物の大きさや量の測定に実用化し、併せて、リアルデジタルツイン(注)や大学との共同研究を通じて、軸受の寿命を左右する“はくり(剥離)”の発生メカニズムを解明したものです。これにより当社軸受が有する長寿命性能を活かす機械設計が可能となり、機械のメンテナンス頻度の低減や軸受サイズダウンによる機械の小型化などを通し、省資源・省エネルギー化、及びカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 (注)リアルな現象を再現して詳細に把握し、そのカラクリを推理してデジタル上にモデル化することにより、リアルとデジタルの両面から目に見えない本質を理解し、エンジニアの創造性を高め、既成概念を打ち破るようなソリューションを生み出すことを目指す当社独自の取り組み。 事業別の技術開発の状況は以下のとおりです。 産業機械事業電動化・自動化によるモノづくりの生産性向上の実現、状態監視や予知保全にとどまらず補修や再利用までを組み合わせた循環型社会の実現、カーボンニュートラルの実現などが求められる中、当社グループは、これらのニーズに貢献する製品やサービスを開発しています。モノづくりの生産性向上に関しては、「次世代高精度工作機械用ボールねじ」を開発し、加工の高精度化や金型加工面の高品位化によって、加工面の磨き作業の短縮や廃止に貢献します。また、マシニングセンタなどにおけるチタンや複合材料などの難削材への対応のために、高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受「ロバストダイナTM シリーズ Jタイプ」を開発しました。加工時間の短縮や、メンテナンスフリー化などによる長期安定稼働に貢献します。さらに、高度な自動化など未来のモノづくりに向けて、ボールねじ送り系の状態安定化機構「NSK Feed Drive AdjusterTM」を開発しました。発熱など環境変化の影響を受けにくくする独自の機構を持つことで、一貫した加工の精度と品質が得られ、人の経験にもとづいた加工条件の調整などを排除することを可能にします。状態監視や予知保全に関しては、工作機械業界や鉄道業界へ「ワイヤレス振動診断器」の導入を開始しています。当社独自の診断アルゴリズムを使った設備状態の監視サービスにより、工作機械業界での予知保全の実現に向けた新しい価値の提供や、鉄道車両運行の安全・安心に貢献します。さらに、軸受メーカーの知見を活かした軸受の修復・再利用サービスと組み合わせることで、循環型社会の実現に貢献していきます。カーボンニュートラルの実現に関しては、高速マシニングセンタの主軸に用いられる精密軸受を対象に、耐焼付き性向上グリース「ロバストガードTM」を開発しました。これにより圧縮エア使用のために多くの電力を必要としたオイルエア潤滑に代わり、圧縮エアを必要としないグリース潤滑を可能とし、工作機械の消費電力削減に貢献します。また、射出成形機やプレス機などの駆動方式が、油圧式からモーターとボールねじを使用した電動式へと切替わりつつあります。ボールねじの需要増加が見込まれる中、当社ではボールねじの内部部品である保持ピースに世界で初めて、環境に優しいバイオマスプラスチックを適用した「バイオマスプラスチック保持ピース NSK S1TM」を開発しました。上記に加えて新事業への挑戦として、医療分野では、昨年に続き神奈川県の「令和4年度新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」に参加し、搬送アシストロボットで実際に患者を搬送する導入実証を行いました。現場の声を活かして開発を進め、人とロボットが協働する社会の早期実現に貢献します。また、世界的に注目が集まる再生医療領域に対し、当社のメカトロ技術・精密位置決め技術などを活かし、トップランナー企業と協創することで、再生医療の実用化・高度化に貢献していきます。今後一層高度化する産業機械市場のニーズに応え、『変わる 超える』の新商品を提案し続けます。 自動車事業電動化や自動化が進展する中、当社グループは、「走る」「曲がる」「止まる」に関する自動車の技術革新に対応し、省エネルギー化、安全性、快適性を実現する製品・技術の開発に全方位で取り組んでいます。「走る」に関しては、EVをはじめとする電動車普及に伴い、軸受内部に発生する放電によって軸受性能が低下する「電食」が課題の一つになっています。モーターの高出力化や駆動電圧の高電圧化により、電食発生リスクが高まることに対し「耐電食ソリューション」を拡充しました。電気を通さない技術として、一般的な対策であるセラミック玉軸受に加え、絶縁皮膜軸受や樹脂モールド軸受をラインナップに加えました。一方、軸受以外の経路に電気を通す技術として、冷却油潤滑環境下でも使用可能な導電ブラシを開発しました。また、新開発の保持器、及び耐焼付き性に優れるグリースを採用した超高速回転玉軸受を「人とくるまのテクノロジー展2022」に出展しました。耐電食ソリューションの拡充と、超高速回転化への対応により、駆動モーターの高出力化や小型化による電動車の航続距離の延伸、信頼性向上に貢献していきます。さらに、当社の要素技術を高めるために、当社製品が使われるユニット全体を視野に入れて研究開発を進めています。「セレクタブルワンウェイクラッチ」や「電動シフトアクチュエータ」など当社独自の機構に、世界最高水準の高速回転軸受を組み合わせることで、トランスミッション構造の簡素化や滑らかな変速制御の実現へ貢献します。「曲がる」に関しては、「高出力シングルピニオン電動パワーステアリング」のさらなる改良を進め、より多くの車種に対応し省エネルギーに貢献します。さらに、ステアバイワイヤシステムにおける「操舵反力装置」や「タイヤ転舵装置」で、自動運転や運転支援に貢献していきます。これらも「人とくるまのテクノロジー展2022」に出展しました。「止まる」に関しては、「電動ブレーキアクチュエータ用循環溝一体ボールねじ」の改良・ラインナップ拡大を進めています。軸受とナットを一体化し、さらにボールの循環経路をナット内径面に冷間鍛造で直接成形することで、小型・軽量化と高い信頼性を実現し、自動運転や法規制に伴う衝突被害軽減ブレーキの採用拡大に貢献しています。この他、軸受の摩擦低減、軽量化、長寿命化などのコア技術を通して、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していきます。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で19,839百万円であり、その内訳は、産業機械事業6,934百万円、自動車事業11,502百万円、その他1,402百万円です。
FY2022|2,381 文字
5 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念の中で掲げている「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、社会の変化やお客様の新たなニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)と生産技術を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。産業全般における技術革新は急激に進み、AIやIoTの開発及び実用化、自動車産業における電動化・自動化など、企業として取り組むべき課題は拡大を続けています。さらには、カーボンニュートラルへの取り組みなど企業の社会的責任の重要性は増し、経営環境は急速に変化しています。こうした環境下においても、当社グループは企業理念のもと、トライボロジーとデジタルの融合による価値創出で、持続可能な社会の発展に貢献し、社会から必要とされ信頼される企業を目指していきます。特に研究開発では、MTP2026において“Bearings & Beyond”を掲げ、既存製品の商品力強化と、新商品・新事業の拡大を目指します。 (2) 研究開発の状況 産業機械事業「電動化・自動化」による一層の生産性の向上、技術サービスを通じて信頼性向上に貢献する「予知保全技術」、「カーボンニュートラルの実現」などが求められる中、当社グループは、これらのニーズに貢献する製品やサービスを開発しています。電動化・自動化に関しては、電動射出成型機やサーボプレス機などの加工設備は、より複雑な形状の部品への対応や更なる生産性向上が求められています。これに伴い、ボールねじの単位時間あたりの走行距離が延びるため、「高負荷駆動用ボールねじ向け長寿命化技術」を開発し、長寿命化ニーズに対応しました。予知保全技術に関しては、技術サービスを通じた信頼性向上のため、設備の状態をその場で測定・診断でき、安定稼働と保全の効率化に貢献する「ワイヤレス振動診断器」を商品化しました。カーボンニュートラルの実現に関しては、軸受のライフサイクル全体におけるCO2排出量削減のために、世界で初めて100%植物由来の耐熱バイオマスプラスチックを保持器に適用し、「バイオマスプラスチック保持器搭載 深溝玉軸受」をエアコンファンモータ用軸受として開発しました。さらに、人とロボットが協働する社会の実現に向けて、ロボット用アクチュエータ製品・技術の開発にも取り組んでいます。サービスロボットが、全方向へ滑らかに移動することを可能にする「アクティブキャスタ」や、生産現場の協働ロボットが、人に優しく安全・安心に稼働するために、衝突を高精度に検出して衝突力を緩和する「協働ロボット用アクチュエータ」を開発しました。また、神奈川県の「令和3年度新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」に参加し、医療従事者の負担を軽減可能な搬送アシストロボットの開発を進めています。医療分野に関しては、他にも遠隔医療の実現に貢献するために、技師の滑らかな検査装置操作を精密に再現する「球面パラレルリンクアクチュエータ」を開発し、世界初の心臓超音波検査ロボットに搭載されました。今後一層高度化する産業機械市場のニーズに応えるため、総合開発力の向上を目指し、軸受製品と直動製品の国内開発拠点を統合しました。 自動車事業電動化やEV化、そして自動化が進展する中、当社グループは、「走る」「曲がる」「止まる」に関する自動車の技術革新に対応し、省エネルギー、安全性、快適性を実現する製品・技術の開発に全方位で取り組んでいます。「走る」に関しては、当社の要素技術をさらに高めるために、当社製品が使われるユニット全体を視野に入れて研究をしています。モータの高速化・小型化を可能にしたトラクションドライブ減速機、磁歪式トルクセンサ、電動シフトアクチュエータなど当社独自の機構に世界最高レベルの高速回転軸受を組み合わせることで滑らかな変速と航続距離延伸を実現する「シームレス 2スピード eアクスル コンセプト(Gen2)」をコンセプトモデルとして、「人とくるまのテクノロジー展2021」と「上海モーターショー2021」に出展しました。「曲がる」に関しては、世界的なカーメーカーとの協業により開発した高出力シングルピニオン電動パワーステアリングの知見を活かし、さらなる改良やラインナップ拡充の開発を進めています。また、自動運転を視野に入れ、ステアバイワイヤシステムの開発を進めており、システムの中で大きな要素となる「操舵反力装置」「タイヤ転舵装置」を開発し、これらについても「人とくるまのテクノロジー展2021」に出展しました。「止まる」に関しては、世界各国で実用化が進む自動運転や法規制に伴う自動ブレーキの採用拡大の中、より多くのお客様からのニーズに応えるため「電動ブレーキアクチュエータ用循環溝一体ボールねじ」のラインナップ拡充を進めています。なお、本製品は、世界で初めて循環部を冷間鍛造で一体成形し、さらに周辺部品を統合することで大幅なコンパクト化を実現したことが評価され、「2021年“超”モノづくり部品大賞」において「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。この他、軸受の摩擦低減、高速回転化、軽量化などのコア技術を通して、電動化や自動化に貢献する開発を推進しています。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で19,175百万円であり、その内訳は、産業機械事業5,680百万円、自動車事業12,528百万円、その他965百万円です。
FY2021|1,793 文字
5 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)と生産技術を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業当社グループは、産業機械の高機能化、環境負荷低減、信頼性向上や省メンテナンス化に貢献する製品やサービスを開発しています。マシニングセンタ用などの工作機械用軸受として、難削材の加工やメンテナンスフリー化のニーズに対応した「高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受ロバストダイナ™」を開発しました。また、新型保持器を適用した「高信頼性単列円筒ころ軸受技術」を開発し、グリース潤滑で使用する際の慣らし運転時間の短縮と、オイルエア潤滑で使用する際の温度上昇の低減を実現しました。どちらも工作機械の安定稼働と生産性向上に貢献します。リニアガイド製品においては、軸受開発で培った独自の熱処理技術であるTF(タフ)化処理を適用した「NSKリニアガイド™長寿命シリーズ DH・DS型」を開発しました。従来比2倍の長寿命を実現し、小型・軽量化、低摩擦化により省エネルギー化に貢献します。この他、機械要素部品の状態監視・診断ソフトウェアとして、ACOUS NAVI™ (アコースナビ)を開発し、2つのアプリケーション(ACOUS NAVI for Bearings、ACOUS NAVI for Ball Screws)を製品化しました。損傷や劣化の予兆を捉えて診断することで機械トラブルの拡大を未然に防ぎ、お客様の予知保全の取り組みに貢献します。 自動車事業当社グループは、自動車の技術革新に対応し、省エネルギー、安全性、快適性の向上に貢献する製品を開発しています。軸受の保持器を極限まで軽量化するために、トポロジー最適化技術と軸受シミュレーション技術を駆使し、従来比3割増の高速回転に耐える世界最高速、電動車駆動モータ用「高速回転玉軸受Gen3」を開発しました。これにより、EV駆動モータの高速回転化による小型・軽量化と高出力化を可能とし、航続距離延長や車内スペース確保などの快適性の向上に貢献します。また、グリースに使用されている基油の低粘度化と増ちょう剤の最適化によって、回転に伴うグリースの抵抗を低減した「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」を開発しました。信頼性を維持しつつ、軸受内部フリクションを従来比30%低減することで、電動車の航続距離延長やCO2排出量削減に貢献します。この他、世界初となる、自動車の駆動軸トルクを磁気で計測する「非接触式トルクセンサ」を開発しました。非接触式のシンプルな構造を実現し、従来困難とされていた量産車への駆動軸用トルクセンサの搭載を可能としました。自動車の状態をリアルタイムで検知することで、高度な制御を可能にし、電燃費改善に貢献します。故障や異常の検知への活用も可能で、安全性の向上にも貢献します。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で16,820百万円であり、その内訳は、産業機械事業4,975百万円、自動車事業10,980百万円、その他864百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・安定稼働と生産性向上に貢献する「高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受ロバストダイナ™」・安定稼働と生産性向上に貢献する「工作機械スピンドル用高信頼性単列円筒ころ軸受技術」・省エネルギー化に貢献する「NSKリニアガイド™長寿命シリーズ DH・DS型」・予知保全の取り組みに貢献する、状態監視・診断アプリケーション「ACOUS NAVI™」 (自動車事業)・航続距離延長、快適性の向上に貢献する、電動車駆動モータ用「高速回転玉軸受Gen3」・電動車の航続距離延長やCO2排出量削減に貢献する「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」・自動車の電燃費改善に貢献する、駆動軸用「非接触式トルクセンサ」
FY2020|1,730 文字
5 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)と生産技術を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業当社グループは、産業機械の高機能化、環境負荷低減、信頼性向上や省メンテナンス化に貢献する製品を開発しています。鉄道向けには、駆動装置特有の過酷な環境下でも長期間使用でき、取り扱いが容易な「高信頼性 鉄道駆動装置用軸受」を開発し、鉄道車両のライフサイクルコストの削減や駆動装置の省メンテナンス化に貢献します。また、スマートファクトリー化に向けて、機械のさらなる省メンテナンス化と消費電力低減を実現するため、当社従来製品比2倍の潤滑油供給能力によって寿命を伸ばし、摩擦力を20%低減した「NSKリニアガイド™用潤滑ユニットNSK K1-L」を開発しました。さらには、昇降と回転用の2つのモータを縦型に配置したコンパクトな「ロッド型 昇降-回転アクチュエータ」を開発しました。狭いスペースでの自在な搬送などのアクチュエーションを可能にし、生産設備の省スペース化と、これによる生産性の向上に貢献します。今後の労働人口の減少や生活様式の変化を見据えて、自動走行システムに用いる小型軽量な「ダイレクトドライブ車輪ユニット」を開発しました。それをロボットの台車に組み込み、静かで安全に移動することで人々の生活に溶け込み、その活躍の場が広がることが期待されています。 自動車事業当社グループは、自動車の技術革新に対応し、省エネルギー、安全性、快適性の向上に貢献する製品を開発しています。モータの小型軽量化、高出力化に貢献するため、当社従来製品比2.5倍の回転速度で運転可能な、世界最高速の「電動車駆動モータ用高速回転玉軸受」を開発しました。また、モータ走行時など潤滑油の供給が潤沢でない状態で発生し易い焼付きを防止するため、潤滑機能を高めた「電動車用希薄潤滑環境向け円すいころ軸受」を開発し、電動システムの小型軽量化にも貢献します。さらには、電動アクチュエータ及び車載モータ向けに、専用の潤滑油を採用した「耐摩耗深溝玉軸受」を開発しました。この他、電子制御技術を活用した「商用車用ステアバイワイヤシステム」を開発しました。大型トラックの自動運転にも繋がり、ドライバーの負担を軽減し、安全・安心に貢献することが可能です。また、普及が進む自動ブレーキ向けに開発した「電動ブレーキ用ボールねじ」は、応答性と信頼性に優れています。ラインナップの拡充により、グローバルに採用が拡大し、国内工場で生産体制を増強しました。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で18,265百万円であり、その内訳は、産業機械事業3,674百万円、自動車事業13,866百万円、その他725百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・鉄道駆動装置のライフサイクルコストの削減とメンテナンス性を高めた「高信頼性 鉄道駆動装置用軸受」・産業機械の省メンテナンス化と消費電力低減に貢献する「NSKリニアガイド™用潤滑ユニットNSK K1-L」・生産設備の効率向上に貢献する「ロッド型 昇降-回転アクチュエータ」・移動型ロボットを実現する台車型「ダイレクトドライブ車輪ユニット」 (自動車事業)・モータの小型軽量化、高出力化に貢献する「電動車駆動モータ用高速回転玉軸受」・電動システムの小型軽量化を実現する「電動車用 希薄潤滑環境向け円すいころ軸受」・車載モータの信頼性を高める「耐摩耗深溝玉軸受」・大型トラックの自動運転にも繋がる「商用車用ステアバイワイヤシステム」・自動ブレーキの普及に貢献する「電動ブレーキ用ボールねじ」のラインナップ拡充
FY2019|2,134 文字
5 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、省エネルギー、CO2排出量削減など地球環境保全を図るとともに、安全・安心な社会の実現に貢献します。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、産業機械の消費電力低減、CO2削減、メンテナンスコスト削減、信頼性向上に貢献する製品を開発しています。世界の消費電力量の約4割を占めるモータの効率向上による省エネを実現するため、回転時のグリースの攪拌抵抗を減らした「高効率モータ用軸受」を開発しました。製鉄設備の過酷な環境で使用される圧延機ワークロールにおいては、密封設計や水浸入時の影響を最小化したグリースを採用した「長寿命・耐水グリース密封型四列円すいころ軸受」の開発により長寿命化を実現し、設備の稼働率向上、メンテナンスコストの削減に貢献します。高効率・高精度化が進む工作機械においては、ボールねじの転走面に世界で初めて表面改質技術を採用した「高精度・長寿命ボールねじ」の開発により、位置決め精度寿命の長期化を実現し、生産性の向上やメンテナンスフリー化に貢献します。NSKのメカトロ技術を適用した製品として、ボールねじ式の「鉄道車両向け動揺防止アクチュエータ」を開発し、鉄道車両の乗り心地向上と高速化の両立に貢献しています。製造業ではIoTへの取組みが進み、其々の機械が相互に協調・連携して最適な状態で稼動することにより生産性向上や製品の品質向上などが図られています。状態監視・診断ソフトウェア「ACOUS NAVITM」は、機械の性能を左右する重要な要素である軸受、ボールねじ、リニアガイドの稼動状態を監視し、異常の有無を早期に診断する事で、機械トラブルの拡大を未然に防ぎ、生産性向上に貢献します。 自動車事業当社グループは、自動車の省燃費、省電費、軽量化、安全性向上に貢献する製品開発を行っています。自動車の電動化への対応として、転動体への特殊加工により、潤滑が希薄な過酷環境下での耐久性向上と、低速回転域の低フリクション化を可能とした電動車変速機向け円すいころ軸受「NSK LCubeⅡTM」を開発し、電動車の燃費・電費向上に貢献します。EVにおいては車両動力性能向上や航続距離延伸のため従来の減速機から2段変速機へ置き換える動きがあります。その変速をスムーズに行うため、軸と非接触で小型化・高応答性を実現した「EV変速機用トルクセンサ」を開発しました。これはEVのみならず既存変速機の効率向上にも貢献します。その他にも、直動式電動アクチュエータにボールねじと共に使用する要素技術として「ロック機構」を開発しました。これにより、モータの消費電力を節約することができます。安全性向上と快適性を両立させる製品として、軽量化を図り、振動剛性アップによる快適性の向上を実現した、新たな衝突エネルギー吸収機構の「樹脂ピン式内部収縮ステアリングコラム」を開発しました。また、高度運転支援システム(ADAS)や自動運転による高機能化に対応するため、「次世代ステアリング制御ソフトウェア」を開発しました。コラムタイプ電動パワーステアリングをはじめ、次世代ステア・バイ・ワイヤシステムにいたるまで、多様化するステアリング製品で、快適、安心な操舵感を提供する事が可能です。更なる安全性向上技術として、自動車のサスペンションに取り付ける「積載荷重センサ」を開発しました。小型商用車の過積載の防止や、将来実用化が期待される自動運転車の状態監視などに利用できます。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で19,023百万円であり、その内訳は、産業機械事業3,812百万円、自動車事業14,909百万円、その他301百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・ 軸受の損失を6割低減する「高効率モータ用軸受」・ 過酷な使用環境に適応する圧延機ワークロール用「長寿命・耐水グリース密封型四列円すいころ軸受」・ 表面改質技術で磨耗を低減する「高精度・長寿命ボールねじ」・ 鉄道車両の乗り心地向上と高速化の両立に貢献する「鉄道車両向け動揺防止アクチュエータ」・ 状態監視・診断ソフトウェア「ACOUS NAVITM」 (自動車事業)・ 電動車の燃費・電費向上に貢献する変速機向け円すいころ軸受「NSK LCubeⅡTM」・ 電動車の走行性能と電費の改善に貢献する「EV変速機用トルクセンサ」・ ボールねじアクチュエータの消費電力削減に貢献する「ロック機構」・ 安全性を向上させた「樹脂ピン式内部収縮ステアリングコラム」・ 多様なステアリング製品に対応可能な「次世代ステアリング制御ソフトウエア」・ 自動車の過積載防止に貢献する「積載荷重センサ」
FY2018|1,796 文字
5 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、省エネルギー、CO2排出抑制など地球環境保全を図るとともに、安全・安心な社会の実現に貢献します。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、産業機械の効率改善に役立つ製品を開発しています。周囲からの異物侵入を防ぐ密封性と機械効率を向上させる低フリクションを両立させた深溝玉軸受用「低フリクション高密封シール」を開発し、信頼性の向上と共に、大幅な省エネの実現に貢献しています。高効率・高精度化が進む工作機械においては、ナットサイズのコンパクト化要求が高い欧州向けにドイツ工業規格(DIN)に準拠した、高速性と静音性の向上及び安定した作動特性を可能にする「欧州工作機械向け高速・静音こま式ボールねじ」を開発しました。また、生産性向上を目指す「インダストリー4.0」の動きに対応するため、工作機械用精密軸受を対象とした2次元コード軸受情報取得アプリを開発しました。これにより、お客様に製品情報を提供し、その生産や設計の効率向上に貢献すると共に、模造品対策強化として軸受の真贋判定を可能にしています。NSKのメカトロ技術を適用した製品として、一つのボディで二つの独立した回転運動を出力する「2軸一体型モータ」では、コンパクト化のニーズに応え、従来開発品に対して体積および設置面積の半減を実現しました。 自動車事業当社グループは、自動車の省燃費、省電費、小型軽量、安全性向上に貢献する製品開発を行っています。自動車の環境対応が進む中、ピックアップトラックや大型SUV、商用車などの車両でも燃費低減が重要な課題となっており、ハブ軸受のユニット化と低フリクション技術を適用した「高機能円すいころハブユニット軸受」を開発し、省燃費と信頼性向上に貢献します。また、新たな熱処理技術を開発することで、標準的なISO規格鋼で長寿命を可能にした、自動車用変速機向け「長寿命転がり軸受」を開発しました。これによりグローバルでの鋼材調達を容易にすると共に、軸受の小型軽量化を可能にし、省燃費・省電費に貢献しています。自動車の電動化への対応として、「静音スラストニードル軸受」を開発し、電気自動車(以下、EV)やプラグインハイブリッド車のモータ走行時の静音性向上に貢献しています。充電1回あたりの航続距離が短いという、EVの課題を解決するため、当社は東京大学や東洋電機製造株式会社と共同で、インホイールモータで走行する車両に道路から直接ワイヤレス給電する技術を開発し、世界で初めて実証実験に成功しました。また、全く新しいコーナーモジュールである「バリオリンク サスペンション」は、ボールねじで伸縮する複数のサスペンションアームで構成され、自動車の動きをコントロールし、高度な安全性、快適性を実現します。当社グループは、開発で得た知見に基づき、車両のみならずインフラを含め、自動車の電動化及び自動運転に最適なシステムの探索を進め、その構成部品の商品化を目指します。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で170億59百万円であり、その内訳は、産業機械事業35億32百万円、自動車事業132億22百万円、その他3億5百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・ 深溝玉軸受用「低フリクション高密封シール」・ 「欧州工作機械向け高速・静音こま式ボールねじ」・ 工作機械用精密軸受情報取得アプリ・ 「2軸一体型モータ」の小型化 (自動車事業)・ ピックアップトラックや大型SUV、商用車などの自動車向け「高機能円すいころハブユニット軸受」・ 自動車用変速機向け「長寿命転がり軸受」・ 自動車の電動化ニーズを支える 「静音スラストニードル軸受」・ 世界初 道路からインホイールモータへの走行中ワイヤレス給電に成功・ 自動車の動きをコントロールする「バリオリンク サスペンション」
FY2017|1,994 文字
6 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)を駆使した製品や技術の開発を進めています。これらの開発活動を通して、高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することにより、省エネルギー、CO2排出抑制など地球環境保全を図るとともに、安全・安心な社会の実現に貢献します。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、産業機械の効率改善に役立つ製品を開発しています。例えば、樹脂成形用射出成形機は、ボールねじを用い電動化することによりCO2排出量を半減させることができます。射出成形機の成形サイクルアップと高推力支持を実現する「高負荷駆動用2倍寿命ボールねじ S-HTFシリーズ」を開発し、成形機の効率向上に貢献しています。高効率・高精度化が進む工作機械においては、ボールねじとサポート軸受の組合せを最適化することにより低発熱・低トルクを実現した「低発熱ボールねじ駆動ユニット」、グリース潤滑下での高速回転・高精度を実現した「新保持器SURSAVE™ 採用工作機械用超高速アンギュラ玉軸受」、切削液に対しての耐久性を向上させた「高防塵アンダーシール付ローラガイドRAシリーズ」を開発しました。解析技術を適用した製品として、機械設備の予知保全技術を実現する軸受異常診断装置「Bearing Doctor BD-2」を開発し、産業機械のスマート化に貢献します。また、視覚障がい者等を誘導する「ガイダンスロボット LIGHBOT™ 」は、安全に関する国際規格ISO13482認証を取得し、病院において実用化されています。通院する視覚障がい者や高齢者の利便性を高めるとともに、外来案内の負担軽減に貢献することが期待されます。 自動車事業自動車分野では、自動車の省燃費、省電費、小型軽量、安全性向上に貢献する製品開発を行っています。 当社グループは製品の耐久性向上や低フリクション化を追及し、エンジン車の省燃費実現の鍵を握る変速機(トランスミッション)の高効率化に貢献します。変速機向け「超長寿命ニードルローラ軸受」では、ローラ表面に設けた微細なディンプルとローラ表層の高硬度化により、摩耗抑制と耐久性向上(疲労寿命従来比2倍)を実現しました。「第6世代低フリクション円すいころ軸受」では、ころ頭部等の摺動面の表面の粗さを改良することにより、低速回転時におけるフリクションを平均20%低減させました。また、EV、PHEVなどへの対応として、独自構造(2モータ、高効率変速機等)を採用した「変速機付きホイールハブモータ」を世界で初めて開発し、実験車両搭載による実証試験に成功しました。当社グループは、開発で得た知見に基づき、省電費化(航続距離延伸)に貢献する最適な構成部品の探索と商品化を目指します。急速に普及している電動パワーステアリング(EPS)においては、より一層の安全性・快適性向上への貢献が求められています。当社グループは独自の冷間成形技術を用い、EPS用部品の安全・信頼性向上と軽量化を実現する「EPS用シャフト冷間成形技術」を開発しました。本加工法を中小型車向けEPSに投入し、グローバルにEPS拡販を図って行きます。 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で138億58百万円であり、その内訳は、産業機械事業35億5百万円、自動車事業100億42百万円、その他3億11百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・ 産業機械用 高機能標準軸受「NSK HPS™ 大形自動調心ころ軸受」のサイズ拡大・ 新保持器SURSAVE™ 採用工作機械用超高速アンギュラ玉軸受・ 事務機向け「高防塵低摩擦損失軸受」・ 研削加工用 超高速グリース潤滑スピンドル・ 「Bearing Doctor BD-2」・ 短納期で対応可能な「Premium Lead Time」受注生産ボールねじ・ 高負荷駆動用 2倍寿命ボールねじ S-HTFシリーズ・ 低発熱ボールねじ駆動ユニット・ 高防塵アンダーシール付ローラガイド RAシリーズ・ 改良型マニピュレーションシステム・「ガイダンスロボット LIGHBOT™ 」の病院での実用化開始 (自動車事業)・ 世界初、変速機付きホイールハブモータの実証試験・ 自動車用変速機向けハウジング摩耗防止「固体潤滑被膜付き軸受」・ 自動車用変速機向け「超長寿命ニードルローラ軸受」・ 自動車用変速機向け「第6世代低フリクション円すいころ軸受」・ 世界初、「電動パワーステアリング用シャフト冷間成形技術」
FY2016|1,957 文字
6 【研究開発活動】(1) 基本方針当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦、潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)を駆使した製品や技術の開発を進めています。 (2) 研究開発の成果 産業機械事業産業機械分野では、幅広い産業の多様な用途に対し、環境負荷低減、省エネ化、安全性向上が求められています。当社グループでは、これらニーズに対応できる製品を開発し、社会・産業界の要求に応えています。軸受製品としては、需要が拡大している水素・天然ガス用液化ガスポンプ向けに使用可能な新セラミック玉軸受「spaceaCRYO™(クライオ) 」、空調・冷凍設備等の省エネ化のために採用が拡大しているインバータモータにおいて軸受の電食を防止する「インバータモータ用絶縁軸受」などを開発しました。精密機器関連製品では、電動駆動化が進んでいる射出成形機やプレス機向けに、型締め力3,000トン級設備まで対応可能な「世界最大級の負荷容量を持つ超大型ボールねじ」を開発しました。これにより、大型設備まで電動化が可能となり、設備の省エネ化、油圧廃止による耐火安全性や環境性能の向上に貢献します。一方、NSKのメカトロ技術を適用した製品として、広範囲を高速で非接触検出可能な「近接覚センサ」を開発しました。ロボットと人の安全な協働環境を実現させるセンサとしての活用が期待されます。また、NSKのモータ技術を活用して、二つの異なる動作を同一筐体内で実現する「2軸一体型モータ」を開発しました。これにより、生産設備の小型化・省スペース化が可能となります。 自動車事業自動車の環境対応(効率向上、省燃費化)、安全性向上、あるいは過酷環境対応のため、自動車向け製品にはさらなる高機能化が要求されています。例えば、省燃費化を狙ったダウンサイジングエンジン普及に伴い、エンジン補機ベルト用プーリーが小径化されます。そのため、ベルト張力を調整するアイドラ・テンショナ用軸受においては、プーリー小径化に伴う高速化への対応が必要になります。一方、今後需要が伸びる新興国市場は道路環境が過酷であるため、水やダストなどへの耐性が必要となります。当社グループでは、独自のシール技術を用い、高速性と高密封性を兼ね備えたアイドラ・テンショナ用「高速高密封シール付き玉軸受」を開発し、自動車の省燃費化と信頼性向上に貢献します。急速に搭載が拡大している電動パワーステアリング(EPS)には、自動車の省燃費化はもとより、より一層の安全性・快適性の向上に貢献することが求められています。当社グループでは、チルト式コラムタイプEPSのラインナップの一つとして「世界最軽量※電動パワーステアリング」を開発しました。本製品はギヤボックスの小型化により軽量化するとともに、始動時のトルクセンサ自動点検機能を改良することにより安全・信頼性を向上させました。当社グループでは、人がクルマと一体感を感じられるステアリングを理想とし、開発を進めています。※当社調べ 当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で111億55百万円であり、その内訳は、産業機械事業31億5百万円、自動車事業77億32百万円、その他3億17百万円です。 なお、主な成果は次のとおりです。(産業機械事業)・ 液化ガスポンプ用高機能新セラミック玉軸受 「spaceaCRYO™(クライオ)」・ 一般産業機械向け「インバータモータ用絶縁軸受」・ 小型高吸引力掃除機向け「超高速回転モータ用玉軸受」・ 射出成形機・大型プレス機向け「世界最大級の負荷容量を持つ超大型ボールねじ」・ 「高機能 精密位置決めテーブル」・ 自動車・半導体製造装置等の電動化用「タフキャリア™ 左右ねじシリーズ」・ 対象物の広範囲・高速検出が可能な「近接覚センサ」・ 多軸アクチュエータ用「2軸一体型モータ」、「一体型 昇降-回転アクチュエータ (Z-θアクチュエータ)」 ・ 改良型「ナビゲーション機能付き障害物回避先導ロボットLIGHBOT™ (ライボット)」 (自動車事業)・ 自動車エンジン ベルト アイドラ・テンショナ用「高速高密封シール付き玉軸受」・ 自動変速機向け遊星歯車機構用「世界最小ころ スラストニードル軸受」・ 自動車エンジン ファンクラッチ用「高密封シール付き玉軸受」・ ハイブリッドカー・電気自動車向け「次世代クリープフリー軸受」・ 「アクティブオンセンタリング制御搭載 電動パワーステアリング」・ 「世界最軽量 電動パワーステアリング」・ 「アドバンスドアシストステアリングⅡ」