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三井海洋開発(6269)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 浮体式設備サービス提供
    三井海洋開発グループは、FPSO(浮体式生産・貯蔵・積出設備)やFSO(浮体式貯蔵・積出設備)、TLP(緊張係留式プラットフォーム)といった海洋石油・ガス生産設備に関するサービスを提供しています。これらの設備は、洋上で石油やガスを生産・貯蔵し、タンカーに積み出す機能を持つため、陸上インフラが不要で、大水深海域での開発にも対応できる経済的なソリューションです。
  • EPCIサービス
    設計(Engineering)、調達(Procurement)、建造(Construction)、据付(Installation)を一貫して行うサービスです。同社は自社工場を持たないファブレス企業として、プロジェクトマネジメントに特化し、世界中の専門業者や造船所に外注することで、効率的な設備提供を実現しています。主な顧客は海外の政府系または民間石油・ガス開発会社です。
  • チャーターサービス
    建造したFPSOなどを自社グループの関係会社が保有し、顧客にリース提供するとともに、設備の操業、保守点検、管理を行うオペレーションサービスも合わせて提供する事業です。このサービスは長期契約が特徴で、安定した収益源となります。プロジェクトごとに合弁会社を設立し、資金負担を軽減しながら事業を展開しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • EPCIサービス
    浮体式海洋石油・ガス生産設備(FPSO等)の設計、調達、建造、据付工事を一括で顧客に提供する事業です。同社は自社工場を持たず、プロジェクトマネジメントに特化し、世界中の専門業者や造船所に外注することで、効率的な設備提供を実現しています。主な取引先は海外の政府系または民間石油・ガス開発会社です。
  • チャーター・オペレーションサービス
    FPSOやFSOを自社グループの関係会社が保有し、顧客にリース提供するとともに、洋上での操業、保守点検、管理を行うサービスです。この事業は長期契約が特徴で、安定した収益源となります。プロジェクトごとに合弁会社を設立し、資金負担を軽減しながら事業を展開しています。
  • その他サービス
    建造・引渡し後のFPSO等に対するアフターサービスとして、部品供給やエンジニアリングサポートを提供しています。また、関連会社や共同支配企業へのマネジメントサポートやオペレーションサポートも行い、グループ全体の事業推進を支援しています。これらのサービスは、主要事業を補完し、顧客との長期的な関係構築に貢献しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,067 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社24社及び関連会社21社で構成され、海洋石油・ガス生産の中流領域で利用されるFPSO、FSO及びTLPといった浮体式生産・貯蔵・積出設備のEPCI(※) サービス(設計・調達・建造・据付)、チャーターサービス(リース及びオペレーションサービス)の提供を主な事業としております。主な取引先は海外各国の政府系又は民間石油・ガス開発会社であり、当社グループは以下のようなトータルソリューションを提供しております。(※)EPCI:Engineering、Procurement、Construction and Installationの略 (1) 当社グループの事業分野石油開発事業は、油田の探鉱から始まって開発・生産、精製・販売といった過程に大きく分けられます。石油開発事業においてリスクが高いと考えられる分野は探鉱までであり、当社グループが対象とする開発・生産フェーズは、比較的安定した事業であります。  オイルメジャーに代表される石油開発事業者は、かつてはこうした事業に用いる設備等を自らが建造して所有し、かつ一連のプロセスを直轄しておりましたが、近年では建造とオペレーションを専業会社にアウトソーシングし、所有のみ行う流れにあります。当社グループは石油開発業界におけるこのような趨勢のもと、海外各国の政府系又は民間石油・ガス開発事業者の開発計画に応じて以下のようなサービスを提供しております。サービスの名称内容EPCI浮体式海洋石油・ガス生産設備(FPSO等)の設計・調達・建造・据付工事を受注し、一括で客先に提供。リース、チャーター及びオペレーションリース当社関係会社がFPSO/FSOを保有し、クライアントにリース提供するサービス。オペレーション洋上に据付されたFPSO/FSOを操業し石油・ガスの生産業務及び保守点検、管理を行うサービス。チャーターリースとオペレーションを合わせて提供するもの。その他当社グループが建造し石油・ガス開発事業者へ引渡したFPSO等のアフターサービスとして、部品供給やエンジニアリングサポート等を提供するサービス。関連会社及び共同支配企業に対してマネジメントサポート及びオペレーションサポート等を提供するサービス。 (2) 浮体式海洋石油・ガス生産設備海洋石油・ガス生産設備は、生産設備を搭載するプラットフォームの形態によって固定式と浮体式に大別されます。固定式プラットフォームは、海底にプラットフォームを固定する方式であり、生産設備本体の他に海底パイプライン、陸上の貯蔵タンク及び港湾積出施設等、インフラを建設する必要があります。これに対しFPSOをはじめとする浮体式プラットフォームは、こうしたインフラを必要とせず洋上での工事も少ないため、出油までの工期が短期間で済み、一般的に固定式に比べて経済的であるという利点があります。また、高度な係留技術を利用することによって、固定式では対応できない大水深の海域での石油生産に対応することができます。 固定式浮体式プロセス(一次精製)生産設備上にて処理同左貯蔵陸上に設置されたタンクまでパイプラインを介して送油貯蔵タンクを内蔵しているため送油は不要タンカーへの積出港湾施設から積出洋上で積出 各種の浮体式海洋石油・ガス生産設備のうち、当社グループはFPSO、FSO及びTLPといわれる設備に関連する分野を主としておりますが、これらの概要は以下のとおりであります。 ① FPSO(Floating Production, Storage and Offloading System)FPSOは「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備」といわれる設備であります。石油・ガスの生産、貯蔵及び積出の機能を有し、洋上で石油・ガスを生産し、生産した石油・ガスは設備内のタンクに貯蔵して、港湾設備や陸上タンクを介さずに洋上で輸送タンカーへの積出を行います。構造的にはタンカー船体を基礎とし、原油に含まれる不純物を分離して石油・ガスを生産し、船外に排出する不純物を各国の定める環境基準に適合した状態にするためのプロセスシステム、洋上で船体を一定位置に保持する係留システムを搭載しております。なお、船体は新規に建造する場合のほか、中古タンカーを改造して建造する場合があります。 ② FSO(Floating Storage and Offloading System)FSOは「浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備」といわれる設備であります。構造的にはFPSOと同様に船体を基礎として係留システムを搭載しておりますが、石油・ガスの生産を行うプロセスシステムは有しておりません。石油・ガスの生産機能をもたない、洋上での貯蔵、積出専用の浮体式設備であります。 ③ TLP(Tension Leg Platform)FPSO及びFSOと同様に、TLPも浮体式海洋石油・ガス生産設備の一種で「緊張係留式プラットフォーム」といわれる設備であります。強制的に半潜水させた浮体構造物と海底に打設した基礎杭とをテンドン(Tendon)と呼ばれる鋼管で接続し、強制浮力によって生じる緊張力(Tension)を利用して係留される洋上プラットフォームであります。浅海から大水深海域(水深1,000m超)の開発に適した海洋石油・ガス生産設備として、1980年代から使用されております。 (3) 事業の推進体制と海外関係会社の設立・運営方針等当社は、洋上で安全に石油・ガスを生産し続けるために主にEPCIとオペレーション、チャーター(リース+オペレーション)からなるトータルソリューションをグローバルに提供しております。EPCI事業において、当社は自社の工場や造船所を所有していないファブレス企業として、客先調整から設計、調達、建造、据付、試運転に至るプロジェクトマネジメント業務に特化しております。世界中から適した業者や造船所を選定し、船体の建造や搭載設備の製造、完工した設備の据付は、海外の造船所や専門業者に外注しております。完工・据付後の浮体式生産設備は、客先または当社関係会社に引渡します。FPSO等のリース、チャーター及びオペレーション事業においては、プロジェクトごとに関係会社を設立して運営いたします。これは各プロジェクトの採算管理を明確にする目的のほか、主にこれら事業に係る長期の資金負担を軽減するために、海運会社及び総合商社を中心とするパートナーと合弁で事業を展開するという方針に基づくものであります。従って、チャーター事業を行う場合は、建造したFPSO等は当社グループの関係会社が引渡しを受けて保有し、オペレーションサービスの提供とこれに伴う技術者・操業要員の雇用、安全・環境保全、資機材の調達・輸送及びメンテナンス等のマネジメントも各関係会社において行っております。当社グループは、海外各国の政府系又は民間の石油開発事業者を販売先としているほか、建造工事等における外注先や資材・機器等の仕入先の多くも海外の企業であります。このため、事業上の取引及び資金収支の大半は米ドルを主とした外貨にて行っております。 事業の系統図は、以下のとおりであります。 なお、当連結会計年度における主な建造工事、チャーター及びオペレーションプロジェクトは、以下のとおりであります。プロジェクト名(契約先)操業国契約形態受注年月当年度におけるサービス概況CNR Baobab FPSO(CNR INTERNATIONAL (COTE D’IVOIRE)S.A.R.L.)コートジボワールFPSO建造チャーターオペレーション2003年7月操業中PETROBRAS PRA-1 FSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFSO建造チャーターオペレーション2005年12月操業中JVPC Rang Dong FSO(JAPAN VIETNAM PETROLEUM CO.,LTD.)ベトナムFSO建造チャーターオペレーション2006年7月操業中PETROBRAS Opportunity Oil FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2006年12月操業中BHPB Pyrenees FPSO(BHP BILLITON PETROLEUM PTY LTD.)オーストラリアFPSO建造オペレーション2007年6月操業中PETROBRAS Opportunity Gas #2 FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2008年2月操業中PETROBRAS Tupi Pilot FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2008年8月操業中PETROBRAS Guara FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2010年8月操業中PETROBRAS Cernambi Sul FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2011年9月操業中PETROBRAS Iracema North FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2012年11月操業中OMV Maari FPSO(OMV NEW ZEALAND LTD.)ニュージーランドオペレーション2012年11月操業中TULLOW T.E.N. FPSO(TULLOW GHANA LTD.)ガーナFPSO建造チャーターオペレーション2013年8月操業中PETROBRAS Carioca FPSO(TOTAL E&P DO BRASIL LTDA.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2013年11月操業中PETROBRAS Tartaruga Verde and MesticaFPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2014年12月操業中PETROBRAS Sepia FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2017年10月操業中PETROBRAS Mero Pilot FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2017年12月操業中Eni Mexico Area 1 FPSO(Eni Mexico S. de R.L. de C.V.)メキシコFPSO建造チャーターオペレーション2018年10月操業中PETROBRAS Buzios 5 FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2019年6月操業中PETROBRAS Marlim 1 FPSO(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)ブラジルFPSO建造チャーターオペレーション2019年10月操業中Equinor Bacalhau FPSO(Equinor Brasil Energia Ltda.)ブラジルFPSO建造オペレーション2020年1月操業中Woodside Sangomar FPSO(Woodside Energy (Senegal) B.V.)セネガルFPSO建造オペレーション2020年12月操業中Uaru FPSO(ExxonMobil Guyana) ガイアナFPSO建造オペレーション2023年4月建造工事中FPSO Raia (Equinor Brasil Energia Ltda.)ブラジルFPSO建造オペレーション2023年5月建造工事中FPSO Gato do Mato - Orca(Shell Brasil Petroleo Ltda)ブラジルFPSO建造オペレーション2025年3月建造工事中Hammerhead FPSO(ExxonMobil Guyana)ガイアナFPSO建造オペレーション2025年4月建造工事中

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
顧客との契約で価格変動リスクが一定程度ヘッジされており、為替リスクも低減に努めているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
FPSOの大型化・複雑化に対応する設計・建造能力、高度な係留技術、長年の操業経験
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:不透明な世界情勢による影響 / 原油価格低迷による影響 / アセット・インテグリティの低下
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

特定の技術やノウハウは存在するが、特許などの強力な知的財産権による保護や、ブランド力が突出しているわけではない。過去のプロジェクト実績が信頼につながる側面はあるが、無形資産としての競争優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

海洋開発プロジェクトは、初期投資が巨額で、技術的難易度も高く、顧客(石油・ガス会社など)がサプライヤーを変更する際のスイッチングコストは非常に高い。プロジェクトの長期性や、仕様のカスタマイズ性も乗り換えを困難にする要因。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果はほとんど見られない。事業は個別の大型プロジェクト単位で進行し、顧客基盤の拡大が直接的にサービスの価値を高める構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

大型プラント建設においては、調達力や効率的なプロジェクト管理がコスト競争力に影響するが、業界全体で構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。技術開発や安全対策への投資もコスト要因となる。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

海洋開発というニッチかつ巨大な資本を要する分野において、主要プレイヤーは限られている。同社は世界でも数少ないEPCI(設計・調達・建設・据付)能力を持つ企業の一つであり、一定の規模の経済性は存在する。

  • ファブレスによる効率性
    自社工場や造船所を持たず、設計から据付までのプロジェクトマネジメントに特化することで、世界中の最適な業者や造船所を選定し、効率的かつ柔軟な設備建造・提供が可能です。これにより、特定の建造能力に縛られず、多様なプロジェクトニーズに対応できます。
  • 大水深対応の浮体式技術
    FPSOやFSO、TLPといった浮体式設備は、固定式プラットフォームでは対応が難しい大水深海域での石油・ガス生産を可能にします。陸上インフラが不要で工期が短く、経済的であるという利点があり、海洋油田開発のニーズ拡大に対応する独自の技術的優位性を持っています。
  • 長期契約と安定収益
    FPSO等のリース、チャーター、オペレーションサービスは長期契約が基本であり、安定した収益を期待できるビジネスモデルです。特に、初期のFPSOの経年劣化対応で培ったアセット・インテグリティ維持・強化のノウハウは、長期的な顧客信頼と収益力向上に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが入手している情報に基づいて判断したものであります。(1) 当社を取り巻く事業環境脱炭素に向けた世界的規模の潮流は大きくは変わらず、再生可能エネルギー供給は急伸する見込みですが、一方でAIの需要増加に伴うデータセンター増設等に起因する電力需要増加により世界的なエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガスは今後も世界にとって必要不可欠なエネルギーとしてあり続けると考えております。足元で堅調に推移する石油・ガス需要の下、安定したエネルギー供給を維持することは依然として重要な課題であり、特に当社の競争力を活かせる超大水深及び大水深油田・ガス田は今後も高いニーズが期待され、FPSO事業開発に引き続き注力していく方針であります。また同時に、世界的課題である気候変動に対応する中で、エネルギー・トランジションに対する現実解を積極的に提案・発信し、事業のさらなる展開を進めてまいります。 (2) 中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』当社は、2024年2月に、2024年から始まる3年間を期間とする中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』を発表しました。当社を取り巻く事業環境や加速する世界的な脱炭素の流れを踏まえ、全体としてまず収益力の強化を掲げ、その上で事業面においては、中核事業であるFPSO事業の脱炭素化の推進、新事業の開拓・育成を行い、並行して人的資本を含めた事業基盤の強化を進める計画を策定いたしました。 (3) 中期経営計画2024-2026の進捗当社グループの業績は、各種取組みの効果により中期経営計画策定時の想定を大きく上回って収益力が向上し、中期経営計画の最終年度目標値として掲げた純利益(175百万米ドル)を2024年に2年前倒しで達成しました。事業環境を踏まえて2025年2月に財務目標の見直しを行い、2026年度目標純利益(300百万米ドル)を再設定いたしましたが、2025年度は再設定した純利益も上回り、中期経営計画の2年目として順調に進捗しております。これに加え、FPSO事業の脱炭素化、新規事業の開拓・育成、ガバナンス・内部統制の体制強化を含めた事業基盤の強化に取り組んでおり、残りの中期経営計画期間中に着実に推進していく予定であります。 ① 収益力の強化2023年に受注した2件の大型FPSO建造プロジェクトが当初想定より高い進捗が見込まれることに加え、操業中の既存船の稼働が総じて好調であることや金利収入の増加により、コロナ禍以降の最高益を達成しました。2025年はGato do Matoプロジェクト(ブラジル)とHammerheadプロジェクト(ガイアナ)の2件を受注し、収益力の強化に貢献しております。 また、数年前には一部建造工事における費用超過に加え、ブラジルで稼働するFPSO等の追加修繕費用の発生等により赤字決算が継続した時期もありましたが、本経験で得た教訓を着実に事業運営に反映し取り組むことを徹底しております。同観点から、FPSO事業の建造工事や操業を通じてデータを蓄積し、AIを始めとしたデジタルソリューションの活用を通じて生産性を向上させ、また、契約満了を迎えるFPSOについて滞りなく退役を実現させることでデコミッショニングに関する専門ノウハウを獲得するなど、経験値を活かした新たな付加価値創出及び競争力向上に資する施策も実施しております。また、FPSO事業で得た知見を土台として、外部に向けたデジタルソリューションの提供を拡大させております。今後も優良顧客との関係を一層強化し、引き続き優良な新規案件の受注、並びに、省人化や効率化と安全性向上を両立できるデジタルの力を最大限に活かし、更なるアセット・マネジメントの強化を追求してまいります。② 戦略的な経営資源の配分と獲得当社の優位性や業界内ポジションを改めて整理し、石油・ガス市場動向や気候変動等外部環境を踏まえ、経営資源を優先的に配分するプロジェクトや事業を選別し、また人的資本や外部パートナーシップ等新たな経営資源の戦略的な獲得に向けた取組みを継続して実施しております。③ FPSO脱炭素化の推進将来のFPSO事業のための次世代船の開発を推進し、FPSO事業の脱炭素化に向け、Carbon Capture & Storage (CCS)技術を有する事業者の選定、FPSOへの燃料電池搭載に向けたパイロットプラントの設計・製造に向けた取り組みを開始するなど、脱炭素化に資する新技術の開発や検証を行っております。CCSを始めとする脱炭素化技術や新事業開発に向けて、研究開発活動を促進させてまいります。④ 新事業具現化への布石当社のオフショアの知見と長年の経験に裏打ちされたプロジェクト遂行力を梃子に、フローティングソリューションやデジタルソリューションを活用した新事業開発を加速させ、次世代の収益の柱を確立することにより、持続的な収益基盤の拡大を推進してまいります。また、当社は革新的な研究開発活動を展開しており、2025年1月にFPSOで生産されるガスからアンモニアを製造するブルーアンモニアFPSOの基本設計承認を米国船級協会より取得、2025年7月に陸上での組み立てが容易で迅速な建造・据付を可能とする浮体式洋上風力発電システム「i-TLP™2」(イノベーティブ緊張係留式プラットフォーム)の基本設計承認を米国船級協会から取得、また2025年9月に液化二酸化炭素を洋上で一時的に受け入れ、海底井戸に圧入するFloating Storage & Injection Unit (FSIU)の基本設計承認を米国及びフランス船級協会より取得いたしました。実用化には更なる改良が必要となりますが、持続可能な未来に向けた新事業開発を追求してまいります。⑤ グループコラボレーションとシナジーの深化当社のグローバルデータプラットフォームを通じてデータを収集・構造化し、当社のビジネスライフサイクル全体での活用を促進させております。人的資本経営の更なる推進に向けてワーキンググループを立ち上げ、専門家の知見を活用して当社グループ全体の人材戦略の策定を推進しております。⑥ サステナビリティ・グループガバナンスの向上2025年6月に当社グループが目指す持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた「価値創造ストーリー」を包括的に伝え、当社グループへの理解を深めていただくことを目的として、当社グループ初の統合報告書を発行いたしました。当社のサステナビリティ課題対応の為、サステナビリティ委員会を経営会議の諮問機関として配置し、重要テーマと位置付けた「気候変動」、「人権」、「人的資本・ダイバーシティ」の3分野それぞれのワーキンググループにて、ロードマップを作成しながら具体的な取組みを推進しております。また、当社を取り巻く環境が一層複雑化する中、意思決定の質とスピードを両立させ、グループ全体の規律と自律をバランスよく確保すべく、現場・コーポレート・内部監査の各機能強化・連携により、グループガバナンスの実効性を高めてまいります。 (4) 中期経営計画における定量目標の再設定上述の通り、2025年に中期経営計画の最終年度目標値として再設定した純利益を2025年に再度達成したことから、これらの業績動向を踏まえ、中期経営計画の最終年度である2026年の数値目標を上方修正し、新たな目標値として親会社の所有者に帰属する当期利益:370百万米ドル、調整後EBITDA:450百万米ドルを公表しております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが入手している情報に基づいて判断したものであります。(1) 当社を取り巻く事業環境脱炭素に向けた世界的規模の潮流は大きくは変わらず、再生可能エネルギー供給は急伸する見込みですが、一方でAIの需要増加に伴うデータセンター増設等に起因する電力需要増加により世界的なエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガスは今後も世界にとって必要不可欠なエネルギーとしてあり続けると考えております。足元で堅調に推移する石油・ガス需要の下、安定したエネルギー供給を維持することは依然として重要な課題であり、特に当社の競争力を活かせる超大水深及び大水深油田・ガス田は今後も高いニーズが期待され、FPSO事業開発に引き続き注力していく方針であります。また同時に、世界的課題である気候変動に対応する中で、エネルギー・トランジションに対する現実解を積極的に提案・発信し、事業のさらなる展開を進めてまいります。 (2) 中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』当社は、2024年2月に、2024年から始まる3年間を期間とする中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』を発表しました。当社を取り巻く事業環境や加速する世界的な脱炭素の流れを踏まえ、全体としてまず収益力の強化を掲げ、その上で事業面においては、中核事業であるFPSO事業の脱炭素化の推進、新事業の開拓・育成を行い、並行して人的資本を含めた事業基盤の強化を進める計画を策定いたしました。 (3) 中期経営計画2024-2026の進捗当社グループの業績は、各種取組みの効果により中期経営計画策定時の想定を大きく上回って収益力が向上し、中期経営計画の最終年度目標値として掲げた純利益(175百万米ドル)を2024年に2年前倒しで達成しました。事業環境を踏まえて2025年2月に財務目標の見直しを行い、2026年度目標純利益(300百万米ドル)を再設定いたしましたが、2025年度は再設定した純利益も上回り、中期経営計画の2年目として順調に進捗しております。これに加え、FPSO事業の脱炭素化、新規事業の開拓・育成、ガバナンス・内部統制の体制強化を含めた事業基盤の強化に取り組んでおり、残りの中期経営計画期間中に着実に推進していく予定であります。 ① 収益力の強化2023年に受注した2件の大型FPSO建造プロジェクトが当初想定より高い進捗が見込まれることに加え、操業中の既存船の稼働が総じて好調であることや金利収入の増加により、コロナ禍以降の最高益を達成しました。2025年はGato do Matoプロジェクト(ブラジル)とHammerheadプロジェクト(ガイアナ)の2件を受注し、収益力の強化に貢献しております。 また、数年前には一部建造工事における費用超過に加え、ブラジルで稼働するFPSO等の追加修繕費用の発生等により赤字決算が継続した時期もありましたが、本経験で得た教訓を着実に事業運営に反映し取り組むことを徹底しております。同観点から、FPSO事業の建造工事や操業を通じてデータを蓄積し、AIを始めとしたデジタルソリューションの活用を通じて生産性を向上させ、また、契約満了を迎えるFPSOについて滞りなく退役を実現させることでデコミッショニングに関する専門ノウハウを獲得するなど、経験値を活かした新たな付加価値創出及び競争力向上に資する施策も実施しております。また、FPSO事業で得た知見を土台として、外部に向けたデジタルソリューションの提供を拡大させております。今後も優良顧客との関係を一層強化し、引き続き優良な新規案件の受注、並びに、省人化や効率化と安全性向上を両立できるデジタルの力を最大限に活かし、更なるアセット・マネジメントの強化を追求してまいります。② 戦略的な経営資源の配分と獲得当社の優位性や業界内ポジションを改めて整理し、石油・ガス市場動向や気候変動等外部環境を踏まえ、経営資源を優先的に配分するプロジェクトや事業を選別し、また人的資本や外部パートナーシップ等新たな経営資源の戦略的な獲得に向けた取組みを継続して実施しております。③ FPSO脱炭素化の推進将来のFPSO事業のための次世代船の開発を推進し、FPSO事業の脱炭素化に向け、Carbon Capture & Storage (CCS)技術を有する事業者の選定、FPSOへの燃料電池搭載に向けたパイロットプラントの設計・製造に向けた取り組みを開始するなど、脱炭素化に資する新技術の開発や検証を行っております。CCSを始めとする脱炭素化技術や新事業開発に向けて、研究開発活動を促進させてまいります。④ 新事業具現化への布石当社のオフショアの知見と長年の経験に裏打ちされたプロジェクト遂行力を梃子に、フローティングソリューションやデジタルソリューションを活用した新事業開発を加速させ、次世代の収益の柱を確立することにより、持続的な収益基盤の拡大を推進してまいります。また、当社は革新的な研究開発活動を展開しており、2025年1月にFPSOで生産されるガスからアンモニアを製造するブルーアンモニアFPSOの基本設計承認を米国船級協会より取得、2025年7月に陸上での組み立てが容易で迅速な建造・据付を可能とする浮体式洋上風力発電システム「i-TLP™2」(イノベーティブ緊張係留式プラットフォーム)の基本設計承認を米国船級協会から取得、また2025年9月に液化二酸化炭素を洋上で一時的に受け入れ、海底井戸に圧入するFloating Storage & Injection Unit (FSIU)の基本設計承認を米国及びフランス船級協会より取得いたしました。実用化には更なる改良が必要となりますが、持続可能な未来に向けた新事業開発を追求してまいります。⑤ グループコラボレーションとシナジーの深化当社のグローバルデータプラットフォームを通じてデータを収集・構造化し、当社のビジネスライフサイクル全体での活用を促進させております。人的資本経営の更なる推進に向けてワーキンググループを立ち上げ、専門家の知見を活用して当社グループ全体の人材戦略の策定を推進しております。⑥ サステナビリティ・グループガバナンスの向上2025年6月に当社グループが目指す持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた「価値創造ストーリー」を包括的に伝え、当社グループへの理解を深めていただくことを目的として、当社グループ初の統合報告書を発行いたしました。当社のサステナビリティ課題対応の為、サステナビリティ委員会を経営会議の諮問機関として配置し、重要テーマと位置付けた「気候変動」、「人権」、「人的資本・ダイバーシティ」の3分野それぞれのワーキンググループにて、ロードマップを作成しながら具体的な取組みを推進しております。また、当社を取り巻く環境が一層複雑化する中、意思決定の質とスピードを両立させ、グループ全体の規律と自律をバランスよく確保すべく、現場・コーポレート・内部監査の各機能強化・連携により、グループガバナンスの実効性を高めてまいります。 (4) 中期経営計画における定量目標の再設定上述の通り、2025年に中期経営計画の最終年度目標値として再設定した純利益を2025年に再度達成したことから、これらの業績動向を踏まえ、中期経営計画の最終年度である2026年の数値目標を上方修正し、新たな目標値として親会社の所有者に帰属する当期利益:370百万米ドル、調整後EBITDA:450百万米ドルを公表しております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度における世界経済は、当社グループが事業展開している主要地域ではインフレ率の低下と段階的な利下げが進み、景気は総じて底堅く推移した一方、米国の関税措置、中国の構造調整や中東・東欧をめぐる地政学リスクへの懸念があり、先行き不透明な情勢が続きました。原油価格は、1月に米英によるロシアの石油輸出への制裁強化やEUによる段階的輸入停止計画を背景に一時1バレル80米ドル台まで上昇しました。その後、米国による相互関税の発表等を受け、世界の原油需要減少への懸念が広がり下落に転じ、イラン・イスラエル間の戦闘激化等により一時的に1バレル70米ドル台後半まで上昇する局面があったものの、OPECプラスによる自主的減産の解消、世界経済の減速懸念、米国の増産などを背景に供給過剰見通しが強まり、概ね1バレル50米ドル台後半から70米ドルのレンジで推移しました。脱炭素の流れと並存しつつ、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油ガス田開発は将来的にも十分な埋蔵量が確認され、併せてコスト競争力に優れた領域として継続して進められております。当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトに対する需要も堅調に推移しております。こうした状況のもと、当社グループの当期経営成績は、Shell plc.(本社:英国)の子会社であるShell Brasil Petróleo Ltda社が開発を進めるブラジル沖合Gato do Matoフィールド(現Orcaフィールド)向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注及びExxonMobil Guyana Limited社による南米ガイアナStabroek鉱区Hammerheadフィールド向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注などにより、受注高は9,263,552千米ドル(前年比646.6%増)となり、受注残高についても18,588,729千米ドル(前年比43.6%増)となりました。売上収益及び利益面では、FPSO建造プロジェクトの順調な進捗による売上収益及び売上総利益の計上により、売上収益は4,581,232千米ドル(前年比9.4%増)となり、持分法による投資利益133,695千米ドル(前年比13.2%減)を加えた営業利益は437,607千米ドル(前年比35.5%増)となりました。また、建造工事の前受金による現金及び現金同等物の増加に伴い利息収入が増加したことに加え、持分法適用会社向け貸付金に対する損失評価引当金戻入益を計上したことにより金融収益が増加し、親会社の所有者に帰属する当期利益は360,677千米ドル(前年比63.6%増)となりました。当社グループの事業は、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスの提供を中心としたほぼ単一の事業を展開しているため、セグメント別の事業等の記載は省略しております。 (2) 財政状態について当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物並びに営業債権及びその他の債権の増加により、前連結会計年度末から265,921千米ドル増加し、4,762,572千米ドルとなりました。負債合計は、主に社債及び借入金の減少により、前連結会計年度末から9,653千米ドル減少し、3,288,529千米ドルとなりました。資本合計は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末から275,574千米ドル増加し、1,474,043千米ドルとなりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から73,673千米ドル増加し1,326,950千米ドルとなりました。各キャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて316,854千米ドル減少し、244,035千米ドルの収入となりました。これは主にFPSO等の建造工事に関わる売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、主に持分法で会計処理されている投資の清算による収入13,827千米ドルにより、5,535千米ドルの収入となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出95,626千米ドル及び配当金の支払による支出99,727千米ドルにより、194,243千米ドルの支出となりました。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。(1) 生産実績  当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)金額(千米ドル)前年比(%)当社グループ2,892,982△0.5 (注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事に係る完成工事高であります。2 金額は、販売価格によっております。 (2) 受注実績  当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)受注高(千米ドル)前年比(%)受注残高(千米ドル)前年比(%)当社グループ9,263,552646.618,588,72943.6 (3) 販売実績  当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)金額(千米ドル)前年比(%)当社グループ4,581,2329.4 主な顧客の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。 顧客の名称前連結会計年度当連結会計年度金額(千米ドル)割合(%)金額(千米ドル)割合(%)ExxonMobil Guyana Limited1,378,96432.91,187,95325.9Equinor Energy do Brasil Ltda.1,101,51226.3849,03218.5Shell Brasil Petróleo Ltda.-(注)1-688,09015.0 (注)1 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。2 当社の直接の販売先の主な顧客は上記の記載のとおりですが、当社の持分法適用会社が行うチャーター事業の最大顧客はPetrobras Brasileiro S.A.であり、チャーター事業収入全体の約半分程度を占めております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績に重要な影響を与える要因第2「事業の状況」における1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び3「事業等のリスク」に記載しているとおりであります。 (2) 経営成績に関する分析① 受注の状況Shell plc.(本社:英国)の子会社であるShell Brasil Petróleo Ltda社が開発を進めるブラジル沖合Gato do Matoフィールド(現Orcaフィールド)向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注及びExxonMobil Guyana Limited社による南米ガイアナStabroek鉱区Hammerheadフィールド向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注などにより9,263,552千米ドルの受注高となりました。受注残高は、前連結会計年度末から5,644,394千米ドル増加し、18,588,729千米ドルとなりました。また、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、5,032,394千米ドルとなりました。 ② 売上収益の状況売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により、4,581,232千米ドルとなりました。 ③ 営業損益の状況営業損益は、売上総利益の増加により、437,607千米ドルの営業利益となりました。 ④ 当期損益の状況当期損益は、建造工事の前受金による現金及び現金同等物の増加に伴い利息収入が増加したことに加え、持分法適用会社向け貸付金に対する損失評価引当金戻入益を計上したことにより金融収益が増加し、410,675千米ドルの当期利益となりました。 ⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、360,677千米ドルの利益となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① 資本の財源当社グループの資金の源泉は、主に営業活動からのキャッシュ・フローと外部からの借入となりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを案件毎に管理することで資金効率の向上に努めております。また、当社グループは、「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」によりグループ内で資金融通を行うことで資金効率を高めております。② 建造工事期間における資金負担FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。一方、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと海運会社及び総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには事業会社に対する出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。当社グループは、建造工事期間における必要資金を、主に当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。 ③ 総リスク額の管理当社グループでは、建造工事費用にかかる関係会社での借入金を、チャーター開始後に、プロジェクトファイナンスによる調達へ切り替えております。それによって当社における大型プロジェクトのための長期かつ多額の資金負担と債務保証が不要となり、プロジェクト個々のリスクを軽減する効果をもたらします。当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、海運会社及び総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りを行なっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要性がある会計方針」に記載しております。

事業リスク

  • 世界情勢の不透明性
    海外プロジェクトを中心に事業を展開しているため、経済情勢の急変、地政学リスク、貿易政策、関税強化などが、工事の遅延、資機材調達の困難、現地での労使問題、資金移動の制約、特別な税金・関税の発生などを引き起こし、プロジェクトの採算悪化や業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 原油価格の低迷
    原油価格が長期的に低迷すると、石油開発会社による新規プロジェクト開発が遅延する可能性があります。これにより、当社グループのFPSO等の受注機会が一時的に減少し、業績に影響を与える可能性があります。脱炭素の流れの中でも石油・ガス需要は堅調と見込むものの、市場変動リスクは存在します。
  • アセット・インテグリティの低下
    長期契約のFPSO等の経年劣化により、安全確保のための操業率低下や維持・強化費用の増加が発生するリスクがあります。近年は改善が進み、チャーター期間終了も近づいていますが、引き続きアセットマネジメントの強化が重要です。対応が遅れると、収益力の低下に繋がる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,397 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 <特に重要なリスク> (1) 不透明な世界情勢による影響 当社グループは、海外のプロジェクトを中心に受注し、海外でEPCI事業やチャーター事業、オペレーション事業を行っております。オイルメジャーによる開発案件におけるFPSOの受注機会増強に取り組んでおり、顧客層が拡大するに伴い、工事を行う国や地域によっては、経済情勢の急変に伴う工事従事者の動員及び資機材調達の遅れ、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税等によりプロジェクトの採算が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、昨今の世界情勢による地政学リスクの高まりを踏まえ、経済安全保障、エネルギー安全保障、関税強化、米中摩擦等の観点から当社サプライチェーンに影響し得る要因が様々にありますが、過度に一極集中しないサプライチェーンの構築が必要と認識し、リスク分散のために主要サブコンの多角化を図っております。当該影響は顧客にも及ぶことから、顧客と連携・協力してこれらリスクの低減に努めております。 (2) 原油価格低迷による影響 技術の進歩と共に、海洋油田の探査が超大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備のニーズは拡大しており、また、脱炭素に向けた世界的な潮流は今後も継続する一方でエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガス需要は堅調に推移すると考え、当社は引き続きFPSO事業開発に取り組んでいく方針であります。 しかしながら、原油価格の低迷が長期化するとオイルメジャーによる新規プロジェクト開発が遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。 (3) アセット・インテグリティの低下 当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間が長期にわたり、安定した収入を期待できる事業である一方で、2000年代に受注した初期のFPSOの経年劣化が急速に進み、安全性の確保を最優先で対応した結果、想定外の操業率の低下やアセット・インテグリティの維持・強化費用の負担を余儀なくされておりました。直近の数年間アセット・インテグリティの改善に集中的に取り組んだ結果、初期のFPSOの状況も改善し、また順次チャーター期間の終了を迎えていくことから、このような喫緊の課題は徐々に解決されつつあるものの、引き続き当社グループの最重要課題として捉えており、一層のアセット・マネジメントの強化に努め、収益力の向上に繋げてまいります。 (4) 価格変動リスク ロシアによるウクライナ侵攻や中東地域における衝突、米国新政権の貿易政策の影響等、世界情勢はより不透明性を増し、インフレ、為替等価格変動要因に大きく作用し、当社グループのFPSO事業に負の影響をもたらす可能性があります。これら価格変動リスクは顧客との契約で一定程度ヘッジされており、為替については客先からの入金や主要サプライヤーへの支払いを米ドルにて決済することでリスク低減に努めております。また、資機材の調達先の多様化、要求仕様の標準化による納期短縮、コスト削減を図っております。 (5) 化石燃料需要の減少 先述のとおり、石油・ガス需要は引き続き堅調に推移する見込みですが、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進み、長期的には石油開発企業の化石燃料関連への投資抑制や事業内容の変更により、需要が漸減していく可能性があります。当社グループは中期経営計画の中で、洋上風力発電や代替エネルギー事業における当社独自の浮体式構造及び係留技術の開発を推進することを目標に掲げております。しかしながら、事業環境の変化に対し当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)新規受注におけるリスク 昨今はFPSOの大型化・複雑化により、Hullの新造・改造を問わず、従前より存在する完工遅延・コスト増加・性能未達等のリスク対応の難易度が高まることに加え、建造能力を有する造船所が限定されることによる集中リスクへの対応が一層求められております。また、近年は海外の大手造船所がFPSO設計・建造案件の入札に参加するなど、競争環境が変化してきておりますが、当社は長年に亘り設計・建造から操業までライフサイクル・バリューの最大化に貢献しており、この経験に裏打ちされた専門性を競合優位性のひとつと位置付けております。 <その他の重要なリスク>  (1) 大規模災害について当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、危機発生時の対応体制や対応指針をまとめたグループ危機管理ガイドラインを策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、FPSO等の建造工事、リース、チャーター及びオペレーションといった当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。 (2) 法規制について当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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