事業の概要
- 多角的な素材事業: 三井金属は、機能材料、金属、モビリティ、その他の4つの主要事業部門を通じて収益を上げています。銅箔や電子材料用金属粉などの高機能素材から、亜鉛、鉛、銅といった非鉄金属の製造・販売、自動車部品、さらには産業プラントエンジニアリングまで、幅広い製品とサービスを提供し、多様な産業の基盤を支えることで安定的な収益構造を構築しています。
- グローバルなサプライチェーン: 同社は日本国内だけでなく、子会社72社、関連会社12社(2025年3月31日現在)からなる広範な関係会社ネットワークを世界中に展開しています。これにより、原材料の調達から製造、販売までをグローバルに行い、各地域の市場ニーズに対応しながら事業を展開することで、国際的な競争力を維持し収益機会を最大化しています。
- 技術とリサイクルによる価値創造: 機能材料分野では、キャリア付極薄銅箔や高周波基板用電解銅箔など、高い技術力を要する製品でトップシェアを誇ります。また、金属事業では資源リサイクルにも注力し、持続可能な社会への貢献と同時に、資源の安定確保とコスト削減を図っています。これらの技術力と環境への配慮が、同社のビジネスモデルの重要な柱となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 機能材料事業: この部門では、キャリア付極薄銅箔やプリント配線板用電解銅箔、電子材料用金属粉、電池材料、スパッタリングターゲット、セラミックス製品などの製造・販売を行っています。主に電子部品や半導体、電池関連の市場向けに高機能な素材を提供しており、2025年3月期の売上高は1,463.47億円と、同社の中核を担う事業の一つです。
- 金属事業: 亜鉛、鉛、銅、金、銀といった非鉄金属の製造・販売に加え、資源リサイクル事業も展開しています。これらの金属は、建設、自動車、電子機器など幅広い産業で利用される基幹材料です。2025年3月期の売上高は2,474.16億円と、同社で最も大きな売上を誇り、国際的な金属相場や為替変動の影響を受けやすい特性があります。
- モビリティ事業: 排ガス浄化触媒、自動車用ドアロック、ダイカスト製品、粉末冶金製品など、主に自動車関連の製品の製造・販売を行っています。自動車の環境性能向上や安全性、軽量化に貢献する部品を提供しており、2025年3月期の売上高は2,036.33億円です。自動車産業の動向や環境規制の変化が事業に影響を与える可能性があります。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| EngineeredMaterialsSector | 事業 | 1,463 | − | − |
| MetalsSector | 事業 | 2,474 | − | − |
| MobilityReportableSegment | 事業 | 2,036 | − | − |
| OtherBusinessSectorReportableSegment | 地域 | 941 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社(当社、子会社72社及び関連会社12社(2025年3月31日現在)により構成)においては、機能材料、金属、モビリティ、その他の事業の4部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっております。各事業における当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 (機能材料)当部門においては、銅箔(キャリア付極薄銅箔、プリント配線板用電解銅箔等)、機能粉(電子材料用金属粉、酸化タンタル等)、電池材料(水素吸蔵合金等)、スパッタリングターゲット(ITO等)、セラミックス製品の製造・販売等を行っております。[主な関係会社]日本イットリウム㈱、台湾銅箔股份有限公司、Mitsui Copper Foil(Malaysia)Sdn.Bhd.、三井銅箔(香港)有限公司、三井銅箔(蘇州)有限公司、台湾特格股份有限公司、三井金属特種陶瓷(蘇州)有限公司、三井金属貿易(上海)有限公司 (金属)当部門においては、亜鉛、鉛、銅、金、銀の製造・販売、資源リサイクル事業等を行っております。[主な関係会社]神岡鉱業㈱、彦島製錬㈱、三池製錬㈱、八戸製錬㈱、㈱産業公害・医学研究所、三井串木野鉱山㈱、日比製煉㈱、日比共同製錬㈱、三井金属リサイクル㈱、Compania Minera Santa Luisa S.A.、奥会津地熱㈱、三井金属資源開発㈱、上海三井鑫云貴稀金属循環利用有限公司、エム・エスジンク㈱、パンパシフィック・カッパー㈱、Compania Minera Quechua S.A. (モビリティ)当部門においては、排ガス浄化触媒、自動車用ドアロック、ダイカスト製品、粉末冶金製品の製造・販売等を行っております。[主な関係会社]Mitsui Kinzoku Components India Private Limited、三井金属(珠海)環境技術有限公司、PT. Mitsui Kinzoku Catalysts Jakarta、Mitsui Kinzoku Catalysts Vietnam Co.,Ltd.、Mitsui Kinzoku Catalysts(Thailand)Co.,Ltd.、Mitsui Kinzoku Catalysts America,Inc.、三井金属アクト㈱、GECOM Corp.、MITSUI KINZOKU ACT MEXICANA, S.A. de C.V.、Mitsui Siam Components Co.,Ltd.、Mitsui Components Europe Ltd.、広東三井汽車配件有限公司、無錫大昌機械工業有限公司、三井金属愛科特(上海)管理有限公司、Automotive Components Technology India Private Limited、PT. Mitsui Kinzoku ACT Indonesia,、三井金属ダイカスト㈱、九州精密機器㈱ (その他の事業)当部門においては、伸銅品、パーライト製品の製造・販売、各種産業プラントエンジニアリング等を行っております。[主な関係会社]三井金属(上海)企業管理有限公司、三井金属パーライト㈱、三井金属商事㈱、日本メサライト工業㈱、三井金属計測機工㈱、三谷伸銅㈱、三井研削砥石㈱、Mitsui Grinding Technology (Thailand)Co.,Ltd.、三井金属ユアソフト㈱、三井金属スタッフサービス㈱、三井金属エンジニアリング㈱、三井住友金属鉱山伸銅㈱、㈱ナカボーテック、吉野川電線㈱、パウダーテック㈱ <事業系統図>以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 機能材料セグメントにトップシェア製品を多く有するが、金属相場や為替変動の影響を受ける。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 キャリア付極薄銅箔や高周波基板用電解銅箔等、トップシェア製品を多く有する技術力。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:感染症の大規模流行 / 大規模自然災害 / 情報セキュリティ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
三井金属は、長年にわたり培ってきた非鉄金属分野における高度な加工技術やノウハウを無形資産として有している。特に、特殊電解銅箔や高機能材料分野での技術力は、競合他社との差別化要因となり得るが、特許などの明確な保護範囲は限定的である。
スイッチングコスト★★☆☆☆
顧客は、三井金属の製品(例:電解銅箔)を基盤とした製造プロセスを構築している場合が多く、仕様変更やサプライヤー変更には一定のコストやリスクが伴う。しかし、代替材料や競合製品への移行可能性もゼロではないため、スイッチング・コストは中程度と評価。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
非鉄金属の製造・販売事業は、基本的に個別の取引であり、ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるネットワーク効果は期待できない。
コスト優位★★★☆☆
非鉄金属の精錬・加工においては、規模の経済や効率的な生産プロセスがコスト競争力に直結する。三井金属は、長年の操業で培った生産ノウハウや、一部原料調達における交渉力などがコスト優位性の源泉となり得る。ただし、原料価格の変動リスクは大きい。
規模の経済★★★★☆
非鉄金属業界は、設備投資が巨額になりやすく、一定以上の生産規模を持つ企業がコスト競争力や技術開発力で優位に立つ傾向がある。三井金属は、銅箔、亜鉛、アルミなどの分野で一定の生産規模を有しており、業界内での地位は確立されている。
- 高機能素材の技術優位性: 機能材料セグメントでは、キャリア付極薄銅箔や高周波基板用電解銅箔といった、高度な技術を要する製品で高い市場シェアを保持しています。これらの製品は、スマートフォンやデータセンターなど、最先端の電子機器に不可欠であり、独自の技術とノウハウが競争優位の源泉となっています。
- 非鉄金属の安定供給とリサイクル: 亜鉛、鉛、銅、金、銀といった非鉄金属の製造・販売に加え、資源リサイクル事業も手掛けています。これにより、原材料の安定的な調達と供給網を確保し、市場の変動リスクを軽減しています。また、リサイクル事業は環境負荷低減にも貢献し、持続可能性への取り組みが評価される可能性があります。
- 多様な産業への貢献とグローバル展開: モビリティ分野では排ガス浄化触媒や自動車用ドアロックなど、自動車産業に不可欠な製品を提供しています。また、その他の事業では伸銅品や産業プラントエンジニアリングなど、幅広い産業を支えています。これらの多角的な事業展開と、世界各地に広がる生産・販売拠点が、特定の市場変動に左右されにくい強固な事業基盤を形成しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。 (2) 対処すべき課題■中期経営計画「22中計」の振り返り当社グループでは、パーパスに基づく「統合思考経営(注)1」、「両利きの経営(注)2」を基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)を実現するため、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」に取り組んでまいりました。具体的には、「社会的価値の向上」においては、カーボンニュートラルへ向けたCO2排出量削減のための施策を推進しました。また、人的資本経営に向け、ジョブ型人事制度の導入や処遇の改善、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなど抜本的な改革を実施しました。加えて、当社は監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行し、意思決定の迅速化を図るとともに、取締役会による監督機能を強化いたしました。「経済的価値の向上」においては、事業ポートフォリオの動的管理を進め、子会社株式の売却やモビリティ事業本部の解消を決定するなど大規模な事業再編に取り組んでまいりました。これらの取り組みは概ね期待どおりの成果を上げ、「社会的価値の向上」については「なでしこ銘柄(注)3」に選定されるとともに、「経済的価値の向上」については「22中計」の最終年度である2024年度は損益及び財務指標ともに原計画を達成し、過去最高益となりました。 ■新中期経営計画「25中計」へこの「22中計」に続く2025年度を初年度とする新中期経営計画「25中計」では、「22中計」で掲げたパーパス及び全社ビジョン(2030年のありたい姿)を確実なものとするため、現行施策のアップデート及び追加施策を実行してまいります。 「社会的価値の向上」については、その取り組みの一つであるカーボンニュートラルの実現に向け、中長期目標の達成に向けた案件創出と実行の取り組みを推進するとともに、今後は、排出量取引制度への対応やScope3への取り組みについての活動も進めてまいります。人的資本経営では、全社ビジョン(2030年のありたい姿)へ向けて従業員の行動変容を促すべく、2025年4月よりバリュー(行動指針)を制定し、人事制度と連動した運用を開始しました。さらに、人材戦略を構成する仕組み(働きがい改革、HRBP(注)4による人材アロケーションなど)の定着と企業価値向上への貢献を進めてまいります。また、ガバナンス強化としては、執行役員制度の雇用型から委任型への変更等を行い、全社戦略遂行の促進としては、業績報酬へのROIC指標の追加導入、当社第100期定時株主総会においてご承認いただくことを前提として、監査等委員である取締役及び社外取締役への勤務継続要件型譲渡制限付株式報酬制度の導入等を行います。 「経済的価値の向上」については、資本効率を意識した経営として、全社のROIC(投下資本利益率)の向上を図るべく、事業別WACC(加重平均資本コスト)及び事業別ROIC目標(ROICスプレッド(注)5)を運用し、“大胆施策(注)6”を実行することによりポートフォリオマネージメントを強化するとともに、以下の重点施策を実行してまいります。 ・機能材料部門2030年のありたい姿実現に向けて、既存事業の価値最大化を追求しつつ、グローバルシェアNo.1機能材料を連続的に生み出す事業体への変革を実行します。主要施策として、抜本的なキャッシュ創出と大胆な資源投入からなる社外の知見を活用したプロジェクトに取り組みます。さらに、日本イットリウム株式会社と機能性粉体事業部の一部を統合したレアマテリアル事業部を創設し、一体感の醸成とシナジー創出を実現します。また、機能性コーティングの事業化に向けた体制強化を図ります。これらの取り組みにより、新たな本部体制で相互のシナジーを活かした価値拡大を目指します。 ・金属部門循環型社会実現に向けて高まるリサイクルニーズに応えるべく、当社グループが保有する多様なプロセスを活かした高度なリサイクル製錬ネットワークの追求及び低炭素エネルギーを活用し、カーボンニュートラル実現に不可欠な金属素材の提供に引き続き取り組んでまいります。また、CO2排出量削減については、工程改善・省エネ等の様々な取り組みにより2030年度の当社目標である2013年度比38%削減は達成の見通しです。 ・事業創造本部引き続き新たな事業を「持続的」に創造するために、「事業機会の探索力強化」、「研究開発力の強化」、「基盤の強化」という3つの戦略を掲げ、研究開発と市場共創を軸にした価値創造に取り組みます。全固体電池向け固体電解質(A-SOLiD®)及び電極材料、次世代半導体チップ実装用キャリア(HRDP®)に続く事業化推進テーマとして、環境・エネルギー領域のテーマである多孔体事業の事業化推進を図り、タイムリーに投資と人員の投入を行ってまいります。 ・経営企画本部更なるポートフォリオマネージメントの強化とともに、バイサイドM&Aとして予算枠240億円を設定した上で11名体制に増員し、新たに社外専門家を含めたインナーサークル型の活動を加速してまいります。 当社は、当社第100期定時株主総会においてご承認いただくことを前提として、2025年10月から商号を三井金属株式会社とします。現在の業容をより明確に反映するとともに、これまで以上に一体となって「人類への貢献」と「環境との貢献」を両立する統合思考経営を実践し、ステークホルダーの皆様と共に地球を笑顔にすることを目指してまいります。 (注)1 統合思考経営:「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」を統合して持続可能な価値を創造する経営アプローチ。2 両利きの経営:「既存事業の効率化と絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。3 なでしこ銘柄:経済産業省と東京証券取引所が共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を紹介する制度。令和6年度は「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」を両輪で進める企業を選定。4 HRBP:Human Resource Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。5 ROICスプレッド:ROIC(投下資本利益率)からWACC(加重平均資本コスト)を差し引いた値。6 大胆施策:社外の知見を活用した「漸次的ではなく非線形な成長への変化」を実現する施策。 ■当社子会社における品質不適切行為について2025年4月4日付当社ウェブサイトにて公表した「三井金属パーライト株式会社製パーライト製品に関する不適切な行為及び当該行為に関する特別調査委員会による調査結果並びに当社の今後の取り組みについて」にありますとおり、当社子会社において製品の検査成績表のデータの書き換え等の不適切行為が判明いたしました。当社は、本件不適切行為が行われていたことを深く反省し、グループ一丸となって再発防止策に取り組み、信頼回復に努めてまいります。 〔目標とする経営指標〕これらの取り組みを実行することにより、25中計期間及び2030年度においては、以下の財務目標の達成を目指してまいります。 25中計2025年度2027年度2030年度売上高(億円)6,5006,5007,300経常利益(億円)4107001,000フリーキャッシュ・フロー(億円)210480840ROE(自己資本当期純利益率)(%)4.314.014.0ROIC(%)6.211.014.0 主な前提諸元 2025年度2027年度亜鉛LME価格($/t)2,8002,800為替(円/US$)145145 上記の財務目標につきましては、2025年5月21日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の目標数値と異なる場合があります。中期経営計画「25中計」の詳細につきましては、当社ホームページのIR・投資家情報に、2025年5月21日付で掲載されております「中期経営計画「25中計」策定のお知らせ」をご参照下さい。https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=UUc%2b7P6vL4o%3d&tabid=100&mid=1060&TabModule819=0
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。 (2) 対処すべき課題■中期経営計画「22中計」の振り返り当社グループでは、パーパスに基づく「統合思考経営(注)1」、「両利きの経営(注)2」を基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)を実現するため、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」に取り組んでまいりました。具体的には、「社会的価値の向上」においては、カーボンニュートラルへ向けたCO2排出量削減のための施策を推進しました。また、人的資本経営に向け、ジョブ型人事制度の導入や処遇の改善、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなど抜本的な改革を実施しました。加えて、当社は監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行し、意思決定の迅速化を図るとともに、取締役会による監督機能を強化いたしました。「経済的価値の向上」においては、事業ポートフォリオの動的管理を進め、子会社株式の売却やモビリティ事業本部の解消を決定するなど大規模な事業再編に取り組んでまいりました。これらの取り組みは概ね期待どおりの成果を上げ、「社会的価値の向上」については「なでしこ銘柄(注)3」に選定されるとともに、「経済的価値の向上」については「22中計」の最終年度である2024年度は損益及び財務指標ともに原計画を達成し、過去最高益となりました。 ■新中期経営計画「25中計」へこの「22中計」に続く2025年度を初年度とする新中期経営計画「25中計」では、「22中計」で掲げたパーパス及び全社ビジョン(2030年のありたい姿)を確実なものとするため、現行施策のアップデート及び追加施策を実行してまいります。 「社会的価値の向上」については、その取り組みの一つであるカーボンニュートラルの実現に向け、中長期目標の達成に向けた案件創出と実行の取り組みを推進するとともに、今後は、排出量取引制度への対応やScope3への取り組みについての活動も進めてまいります。人的資本経営では、全社ビジョン(2030年のありたい姿)へ向けて従業員の行動変容を促すべく、2025年4月よりバリュー(行動指針)を制定し、人事制度と連動した運用を開始しました。さらに、人材戦略を構成する仕組み(働きがい改革、HRBP(注)4による人材アロケーションなど)の定着と企業価値向上への貢献を進めてまいります。また、ガバナンス強化としては、執行役員制度の雇用型から委任型への変更等を行い、全社戦略遂行の促進としては、業績報酬へのROIC指標の追加導入、当社第100期定時株主総会においてご承認いただくことを前提として、監査等委員である取締役及び社外取締役への勤務継続要件型譲渡制限付株式報酬制度の導入等を行います。 「経済的価値の向上」については、資本効率を意識した経営として、全社のROIC(投下資本利益率)の向上を図るべく、事業別WACC(加重平均資本コスト)及び事業別ROIC目標(ROICスプレッド(注)5)を運用し、“大胆施策(注)6”を実行することによりポートフォリオマネージメントを強化するとともに、以下の重点施策を実行してまいります。 ・機能材料部門2030年のありたい姿実現に向けて、既存事業の価値最大化を追求しつつ、グローバルシェアNo.1機能材料を連続的に生み出す事業体への変革を実行します。主要施策として、抜本的なキャッシュ創出と大胆な資源投入からなる社外の知見を活用したプロジェクトに取り組みます。さらに、日本イットリウム株式会社と機能性粉体事業部の一部を統合したレアマテリアル事業部を創設し、一体感の醸成とシナジー創出を実現します。また、機能性コーティングの事業化に向けた体制強化を図ります。これらの取り組みにより、新たな本部体制で相互のシナジーを活かした価値拡大を目指します。 ・金属部門循環型社会実現に向けて高まるリサイクルニーズに応えるべく、当社グループが保有する多様なプロセスを活かした高度なリサイクル製錬ネットワークの追求及び低炭素エネルギーを活用し、カーボンニュートラル実現に不可欠な金属素材の提供に引き続き取り組んでまいります。また、CO2排出量削減については、工程改善・省エネ等の様々な取り組みにより2030年度の当社目標である2013年度比38%削減は達成の見通しです。 ・事業創造本部引き続き新たな事業を「持続的」に創造するために、「事業機会の探索力強化」、「研究開発力の強化」、「基盤の強化」という3つの戦略を掲げ、研究開発と市場共創を軸にした価値創造に取り組みます。全固体電池向け固体電解質(A-SOLiD®)及び電極材料、次世代半導体チップ実装用キャリア(HRDP®)に続く事業化推進テーマとして、環境・エネルギー領域のテーマである多孔体事業の事業化推進を図り、タイムリーに投資と人員の投入を行ってまいります。 ・経営企画本部更なるポートフォリオマネージメントの強化とともに、バイサイドM&Aとして予算枠240億円を設定した上で11名体制に増員し、新たに社外専門家を含めたインナーサークル型の活動を加速してまいります。 当社は、当社第100期定時株主総会においてご承認いただくことを前提として、2025年10月から商号を三井金属株式会社とします。現在の業容をより明確に反映するとともに、これまで以上に一体となって「人類への貢献」と「環境との貢献」を両立する統合思考経営を実践し、ステークホルダーの皆様と共に地球を笑顔にすることを目指してまいります。 (注)1 統合思考経営:「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」を統合して持続可能な価値を創造する経営アプローチ。2 両利きの経営:「既存事業の効率化と絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。3 なでしこ銘柄:経済産業省と東京証券取引所が共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を紹介する制度。令和6年度は「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」を両輪で進める企業を選定。4 HRBP:Human Resource Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。5 ROICスプレッド:ROIC(投下資本利益率)からWACC(加重平均資本コスト)を差し引いた値。6 大胆施策:社外の知見を活用した「漸次的ではなく非線形な成長への変化」を実現する施策。 ■当社子会社における品質不適切行為について2025年4月4日付当社ウェブサイトにて公表した「三井金属パーライト株式会社製パーライト製品に関する不適切な行為及び当該行為に関する特別調査委員会による調査結果並びに当社の今後の取り組みについて」にありますとおり、当社子会社において製品の検査成績表のデータの書き換え等の不適切行為が判明いたしました。当社は、本件不適切行為が行われていたことを深く反省し、グループ一丸となって再発防止策に取り組み、信頼回復に努めてまいります。 〔目標とする経営指標〕これらの取り組みを実行することにより、25中計期間及び2030年度においては、以下の財務目標の達成を目指してまいります。 25中計2025年度2027年度2030年度売上高(億円)6,5006,5007,300経常利益(億円)4107001,000フリーキャッシュ・フロー(億円)210480840ROE(自己資本当期純利益率)(%)4.314.014.0ROIC(%)6.211.014.0 主な前提諸元 2025年度2027年度亜鉛LME価格($/t)2,8002,800為替(円/US$)145145 上記の財務目標につきましては、2025年5月21日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の目標数値と異なる場合があります。中期経営計画「25中計」の詳細につきましては、当社ホームページのIR・投資家情報に、2025年5月21日付で掲載されております「中期経営計画「25中計」策定のお知らせ」をご参照下さい。https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=UUc%2b7P6vL4o%3d&tabid=100&mid=1060&TabModule819=0
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。(1) 経営成績の状況当連結会計年度の国内経済は、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費や設備投資の持ち直し等を背景に緩やかに回復しました。また、世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や米中関係及び中東における地政学的リスクの高まりに加え、中国では不動産市場や個人消費の低迷により景気減速の動きが見られたものの、米国経済が堅調な所得環境と個人消費を背景に底堅く推移したこと等から、全体としては緩やかな回復基調となりました。一方、足下では米国の保護主義的な通商政策の影響により、金融市場に不安定な動きがみられる等、国内外の景気の下振れが懸念されております。 当社グループを取り巻く環境としては、非鉄金属相場は概ね堅調に推移し、亜鉛、銅及びインジウムの平均価格は前連結会計年度に比べ上昇しましたが、パラジウム及びロジウムの平均価格は下落しました。また、為替相場は一時的に円高が進行する局面はあったものの、概ね円安基調で推移しました。また、半導体市場が回復基調となり、半導体関連製品の販売量が増加した一方で、国内の自動車メーカーの生産停止や中国の日系自動車メーカーが減産したことにより自動車関連製品の販売量が減少しました。 当社グループは、パーパスを基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)である「マテリアルの知恵で“未来”に貢献する、事業創発カンパニー。」を実現するため、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」に取り組んでまいりました。「22中計」の最終年度である2024年度は次期中期経営計画へ繋ぐ準備期間として、各部門において「経済的価値の向上」と「社会的価値の向上」を両立した統合思考経営を実践することで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の仕組みを構築し、成長し続けるための重点施策を実施いたしました。 機能材料部門では、高性能通信インフラ機器向け需要の伸長が見込まれる高周波基板用電解銅箔の生産体制を増強しました。また、素材の長寿命化、高機能化に貢献するため機能性コーティング事業を開始しました。金属部門では、循環型社会の進展に伴うリサイクルニーズの高まりに貢献するため、製錬ネットワークを活用した有価金属の回収やリサイクル原料の処理を強化しております。モビリティ部門では、ICTを活用した生産性向上や新規製品拡販に注力しましたが、急速な事業環境の悪化やシナジー効果はダイカスト事業における子会社の統合効果など一部に留まったため、事業本部の解消を決定しました。なお、2025年4月1日付で触媒事業を機能材料部門へ、それ以外の事業をその他の事業部門へ移管しております。事業創造本部では、次世代の蓄電池として期待されている全固体電池向け固体電解質(A-SOLiD®)の初期量産工場の新設を決定しました。また、既存事業領域及び新規事業領域において事業シナジーが見込まれる国内外の有望なベンチャー企業を投資対象とするコーポレートベンチャーキャピタル2号ファンドをSBIインベストメント株式会社と共同設立しました。これらの各部門での施策に加えて、事業ポートフォリオの動的管理に伴うベストオーナー探索により一部の子会社の株式を、資本効率を意識した経営の強化の一環として政策保有株式の一部をそれぞれ売却しました。 この結果、売上高は前連結会計年度に比べ、656億円(10.2%)増加の7,123億円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ、機能材料部門の主要製品の販売量が増加したことに加え、亜鉛等の非鉄金属相場の上昇や、為替相場が円安基調で推移したこと、また相場の変動に伴う在庫要因が好転したこと等から、430億円(135.8%)増加の747億円となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ、受取配当金が68億円減少したことに加え、為替差損益が53億円減少したことがあったものの、営業利益が430億円増加したことにより、318億円(71.7%)増加の764億円となりました。特別損益においては、政策保有株式の縮減による投資有価証券売却益93億円等を計上しました。加えて、税金費用及び非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ、386億円(148.8%)増加の646億円となりました。 当連結会計年度のセグメント別の概況機能材料セグメント (金額:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高1,2401,53429323.7経常利益(セグメント利益)1642528753.5 〔銅箔〕キャリア付極薄銅箔は、半導体パッケージ基板やスマートフォン用マザーボード向けの需要が回復したことから販売量は増加しました。プリント配線板用電解銅箔は、AIサーバー用途を中心とした通信インフラ向け多層基板の需要が堅調であったことから販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。 〔機能粉〕電子材料用金属粉は、積層セラミックコンデンサ向けの需要が堅調であったことから販売量は増加しました。高純度酸化タンタルは、在庫調整が一巡したことにより、スマートフォン向けの需要が回復したことから販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。 〔電池材料〕水素吸蔵合金は、自動車メーカーのハイブリッド車の生産が堅調であったことから販売量は増加したものの、リチウムイオン電池用のマンガン酸リチウムは、海外向けの需要が低調であったことから販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。 〔スパッタリングターゲット〕主力のディスプレイ用スパッタリングターゲットは、台湾向け需要が低調であったことから販売量は減少したものの、主要原料であるインジウムの価格が上昇したことから販売価格は上昇しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。 以上の結果、当部門の売上高は前連結会計年度に比べ、主要製品の販売量が増加したこと等から、293億円(23.7%)増加の1,534億円となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ、主要製品の販売量が増加したことや円安が進行したことに加え、インジウム価格の変動に伴う在庫要因が好転したこと等により、87億円(53.5%)増加の252億円となりました。 金属セグメント (金額:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高2,4682,94848019.5経常利益(セグメント利益)160444283176.6 〔亜鉛〕国内の亜鉛メッキ鋼板向けは、自動車生産の落ち込みや人手不足に伴う建築需要の停滞により販売量は減少したものの、亜鉛のLME(ロンドン金属取引所)平均価格が前連結会計年度に比べ上昇したことや為替相場が円安基調で推移したことから、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。 〔鉛〕国内の鉛蓄電池向け需要は、自動車生産の落ち込みにより低調であったことから販売量は減少し、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。 〔金・銀〕金・銀ともに国内価格は上昇したことから、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。 以上の結果、当部門の売上高は前連結会計年度に比べ、亜鉛及び鉛の販売量は減少したものの、亜鉛のLME(ロンドン金属取引所)平均価格が上昇したこと等から、480億円(19.5%)増加の2,948億円となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ、日韓共同製錬株式会社からの受取配当金が剥落したものの、亜鉛等の非鉄金属相場は上昇し、為替相場は円安基調で推移したこと、加えて相場の変動に伴う在庫要因が好転したこと等により、283億円(176.6%)増加の444億円となりました。 モビリティセグメント (金額:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高2,1832,049△134△6.2経常利益(セグメント利益)1121463430.3 〔排ガス浄化触媒〕二輪車向け排ガス浄化触媒は、インド向け需要が堅調であったことから販売量は増加しました。四輪車向け排ガス浄化触媒は、中国の日系自動車メーカーが減産したことから販売量は減少しました。また、主要原料であるパラジウム及びロジウムの平均価格が下落したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。 〔自動車用ドアロック〕主要製品であるサイドドアラッチは、国内では自動車メーカーの生産停止により、中国及びタイでは日系自動車メーカーが減産したことから販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。 以上の結果、当部門の売上高は前連結会計年度に比べ、二輪車向け排ガス浄化触媒の販売量は増加したものの、主要原料であるパラジウム及びロジウムの平均価格が下落したこと、加えて自動車用ドアラッチの販売量が減少したこと等から、134億円(6.2%)減少の2,049億円となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ、営業外為替差損益が減少したものの、パラジウム及びロジウムの価格変動に伴う在庫要因が改善したこと等により、34億円(30.3%)増加の146億円となりました。 その他の事業セグメント (金額:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高1,1321,230988.7経常利益(セグメント利益)3128△2△9.2 〔各種産業プラントエンジニアリング〕国内の非鉄金属関連分野の受注が減少したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。 一方、国内の子会社によるリサイクル原料の取扱高が増加したこと等から、当部門の売上高は前連結会計年度に比べ、98億円(8.7%)増加の1,230億円となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ、持分法による投資利益が増加したものの、子会社株式の一部を期中に第三者へ譲渡したこと等から、2億円(9.2%)減少の28億円となりました。 主要な品目等の生産実績の当連結会計年度の推移は、次のとおりであります。セグメント品目単位第1第2第3第4累計四半期四半期四半期四半期機能材料銅箔生産量千t455520金属亜鉛生産量千t55465558216鉛生産量千t1616171868モビリティ自動車部品生産金額億円203202209196811 * 亜鉛:共同製錬については当社シェア分 (2) 財政状態の状況資産合計は、前連結会計年度末に比べ173億円増加の6,579億円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ375億円減少の3,170億円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ548億円増加の3,408億円となりました。 以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ6.9ポイント上昇の50.4%となりました。なお、財政状態の詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ①財政状態の状況」に記載しております。 (3) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ13億円収入増加の766億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ140億円支出減少の208億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ70億円支出増加の436億円の支出となりました。 以上の結果、為替換算差額等を含めた現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ119億円増加の444億円となりました。なお、キャッシュ・フローの詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績及び受注状況当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、セグメントごとの生産実績及び受注状況を正確に把握することは困難なため、主要な品目等についてのみ「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」において、各セグメントに関連付けて記載しております。 (2) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)機能材料153,45123.7金属294,82319.5モビリティ204,911△6.2その他の事業123,0898.7調整額△63,931 合計712,34410.2 (注) セグメント間の取引については、各セグメントに含めて表示しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。その作成にあたっての重要な会計方針・見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 (2) 経営成績の分析① 売上高当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、656億円(10.2%)増加の7,123億円となりました。なお、各セグメント及び主要製品別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ② 営業利益機能材料セグメントの営業利益は、前連結会計年度に比べ、主要製品の販売量が増加したことや円安が進行したことに加え、インジウム価格の変動に伴う在庫要因が好転したこと等により、100億円(65.4%)増加の255億円となりました。金属セグメントの営業利益は、前連結会計年度に比べ、亜鉛等の非鉄金属相場は上昇し、為替相場は円安基調で推移したことに加え、相場の変動に伴う在庫要因が好転したこと等により、353億円(556.1%)増加の416億円となりました。モビリティセグメントの営業利益は、前連結会計年度に比べ、パラジウム及びロジウムの価格変動に伴う在庫要因が改善したこと等により、59億円(58.3%)増加の161億円となりました。その他の事業セグメントの営業利益は、前連結会計年度に比べ、子会社株式の一部を期中に第三者へ譲渡したこと等により、5億円(37.3%)減少の9億円となりました。この結果、セグメントの調整額を加味した営業利益は、前連結会計年度に比べ、430億円(135.8%)増加の747億円となりました。 ③ 経常利益当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ、受取配当金が68億円減少したことに加え、為替差損益が53億円減少したことがあったものの、営業利益が430億円増加したこと等により、318億円(71.7%)増加の764億円となりました。なお、各セグメント別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析① 財政状態の状況資産合計は、有形固定資産78億円等の減少があったものの、棚卸資産140億円、現金及び預金119億円等の増加により、前連結会計年度末に比べ173億円増加の6,579億円となりました。負債合計は、長・短借入金及びコマーシャル・ペーパー残高346億円等の減少があったことから、前連結会計年度末に比べ375億円減少の3,170億円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益646億円等の増加に加え、剰余金の配当91億円、その他有価証券評価差額金51億円等の減少があり、前連結会計年度末に比べ548億円増加の3,408億円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ6.9ポイント上昇の50.4%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益807億円、減価償却費331億円等の増加要因に対し、棚卸資産の増加161億円、法人税等の支払額113億円等の減少要因を差し引いた結果、前連結会計年度に比べ13億円収入増加の766億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入98億円等の増加要因に対し、有形固定資産の取得による支出289億円等の減少要因を差し引いた結果、前連結会計年度に比べ140億円支出減少の208億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長・短借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少327億円及び配当金の支払額91億円等から、前連結会計年度に比べ70億円支出増加の436億円の支出となりました。以上の結果、為替換算差額等を含めた現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ119億円増加の444億円となりました。 ③ 財政状態及びキャッシュ・フロー指標のトレンド回次第96期第97期第98期第99期第100期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月自己資本比率(%)33.437.640.143.550.4時価ベースの自己資本比率(%)36.930.029.142.037.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)9.03.75.12.72.2インタレスト・カバレッジ・レシオ16.332.521.829.929.6 (注)自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分)/総資産時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/支払利息※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーを対象としております。支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社は、安定した経営を行う上で急激な市況変動や為替・非鉄金属相場の変動等に備えるため、一定の手元流動性を確保しております。一方、事業創造、機能材料を中心とした積極的な投資に加え、経済的価値とともに社会的価値の向上を目指す投資を計画しており、これらの投資等のための所要資金は、主に自己資金を充当することとしておりますが、金融情勢や金利水準などを考慮しながら、資金需要に応じた調達に努めております。手元流動性確保の手段としましては、短期社債(電子コマーシャル・ペーパー)発行枠500億円を設定しているほか、250億円を限度とした長期コミットメントライン契約を取引金融機関とシンジケーション形式により締結しております。なお、キャッシュ・マネジメント・システム等によりグループ全体の資金効率の向上に努めております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (6) 経営成績に重要な影響を与える要因について「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 感染症の大規模流行リスク: 感染症が大規模に流行した場合、当社グループやサプライチェーンの従業員に感染が拡大し、事業活動が制限される可能性があります。これにより、生産や物流に支障が生じ、経営成績に重要な影響を与える恐れがあります。BCP(事業継続計画)の実施により、人命保護と早期復旧を目指しています。
- 大規模自然災害リスク: 地震や気候変動による大規模な台風、集中豪雨などの自然災害は、従業員、生産設備、サプライチェーンに被害をもたらす可能性があります。これにより、調達、生産、製品販売に支障が生じ、経営成績に重要な影響を与える恐れがあります。BCPの継続的な改善を通じて、リスク低減を図っています。
- 相場・為替変動リスク: 亜鉛、鉛、銅などの非鉄金属価格は国際市場の需給や投機的取引により変動し、為替レートも円高に振れると、輸入原料価格や製錬収入、輸出収入に影響を与えます。これらの相場・為替変動が長期化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。商品先渡取引や為替予約取引を活用し、リスクヘッジを行っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。なお、2025年4月1日付で実施した組織再編を踏まえて記載しております。 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)は、様々な要因によって、重要な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、経営成績等やビジネスモデル、長期的価値創造に直接影響を与え、事業の継続や企業の存続を脅かす可能性のあるリスクを特定しております。また、リスクへの対応力を向上させるため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組み、対応策を検討し実施しております。 分類区分リスクの内容・対応策等顕在化した場合に緊急性の高いリスク感染症の大規模流行感染症の大規模流行のリスクが顕在化した場合、当社グループやサプライチェーンの従業員に感染が拡大する恐れがあります。また、国や地域ごとの緊急事態宣言等により、サプライチェーンや当社グループの事業活動が制限を受ける可能性があり、感染症の大規模流行のリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります 。当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。当社グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、感染症の大規模流行に係るリスクの低減を図っております。大規模自然災害地震や、気候変動の進行による大規模な台風、集中豪雨の発生により、大規模自然災害のリスクが全世界的に増大しております。大規模自然災害のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生する恐れがあります。これらの被害により当社グループの調達、生産、製品販売に支障が生じ、大規模自然災害のリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。当社グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、大規模自然災害に係るリスクの低減を図っております。情報セキュリティ当社グループでは、顧客等のステークホルダー及び当社グループの機密情報を含む事業活動に伴う様々な情報を保持・管理しております。サイバー攻撃や関係者の故意又は過失等により、これらの情報の漏洩、改ざん、消失が起きた場合、顧客や社会からの信用を失うだけでなく、事業活動の停止、多額の損害賠償の請求や訴訟の恐れがあります。結果として、情報セキュリティに係るリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループでは、ICTを活用し機密情報を統一的に管理し、ICTセキュリティ規則の遵守及び運用しているシステムのリスクアセスメントや提携先との秘密保持契約締結により、情報セキュリティに係るリスクの低減を図っております。また、国内外の事業所・関係会社における機密情報の管理体制の構築及び構築された体制の運用状況の監査を定期的に実施し、機密情報の管理状況をモニタリングしております。加えて、国際情勢の変化やICT技術の進歩に伴い、想定していなかった新たなリスクが日々脅威として増え続けているとも認識しており、事前予防もさることながら、「新しいリスクは発生するもの」という認識の下で、緊急時にできる限り迅速・的確に対応するべくSOC(Security Operation Center:サイバー攻撃の検出・分析・対策を行なう組織)やCSIRT(Computer Security Incident Response Team:セキュリティインシデントが発生した際の対応専門組織)の継続的な強化を図っております。 分類区分リスクの内容・対応策等財務リスク相場変動亜鉛、鉛、銅等の非鉄金属の価格はロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場で決定されます(以下、LME相場等)。LME相場等は国際的な需給バランス、世界の政治経済の状況や投機的取引等の影響を受けて変動します。LME相場等が著しく低下し、さらに、その状態が長期間続いた場合には、相場変動リスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。相場変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引を利用することで、相場変動リスクの影響の低減を図っております。為替変動亜鉛精鉱等の輸入原料価格や、非鉄金属地金の国内価格は、米ドル建てのLME相場等を基準に決定され、当社グループが製錬事業から得る製錬収入(マージン)も、実質的に米ドル建てとなっております。また、機能材料分野他の製品等の輸出から得られる収入も、外国通貨建てとなっております。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、その期間が長期間にわたって継続した場合には、為替変動リスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。為替変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて為替予約取引を利用することで、為替変動リスクの影響の低減を図っております。資金調達安定的な資金調達を図るため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項が付されております。当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、資金調達リスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、資金調達リスクの低減を図っております。年金資産運用従業員に対する退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、年金資産運用のリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。年金資産の運用については、運用機関から意見を聴取した上で、分散投資を前提に政策的資産構成割合を策定しております。また、運用状況を定期的にモニタリングし、年金資産の運用方針(運用期間及び運用割合)の見直しを行い、年金資産運用のリスクの低減を図っております。セグメントにおけるリスク機能材料セグメント機能材料セグメントでは、キャリア付き極薄銅箔や高周波基板用電解銅箔等、トップシェア製品を多く有しておりますが、金属相場の変動(高騰)や為替相場の急激な変動が原料調達や販売等の面での懸念材料となっております。加えて、競合品の採用や代替技術の台頭によるシェアの減少等のリスクもあり当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、環境意識の高まりに伴うリサイクル原料への切替やCO2排出量削減、低CO2排出量の製品(環境貢献製品)上市対応等を進めることを顧客より要請される機会が増え、営業経営成績に重要な影響を与える可能性がございます。これらのリスクや懸念による影響を最小限にすべく、ハイエンド品の開発や、マーケティング強化、顧客や第三者機関からの情報収集を通じての市場動向のモニタリングを行うことや、知的財産の取得、最適なプライシング、生産性や品質の向上に繋がる施策の実施等の対策を講じつつ、代替技術のモニタリング等も継続して実施してまいります。金属セグメント金属セグメントは、上記「財務リスク」に記載のとおり、相場変動及び為替変動のリスクを有しており、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引・為替予約取引を利用することで、変動リスクの影響の低減を図っております。また、ロシア・ウクライナ情勢を背景として石油・石炭・LNG・電力等エネルギーコストが急騰しており、さらに、近年のカーボンニュートラル実現に向けた世界的な趨勢の下、当セグメントとしても化石燃料の使用削減への取り組みが急務となっております。これらのリスクに対し、一部実施している排出係数が小さい電力会社・電力契約への切替に加え、CO2低減製品・SDGsに貢献する製品の提供等による新たな価格政策、再生可能エネルギー・CO2フリー電力購入等を両輪として新たに検討し、対応して参りたいと考えております。さらに、環境意識の高まりに伴う世界的なリサイクル原料市場の拡大を背景に、製錬ネットワークに銅製錬のプロセスを有機的に繋げたことで、多種多様なリサイクル原料の獲得及び増処理を推進している一方で、生産設備の老朽化や増処理に伴う設備への高負荷操業の継続、新規原料の処理等に起因する、設備故障を含む操業トラブルが発生するリスクがあり、結果として、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループでは、日々の設備保全とともに、中長期的視点において適切なタイミングでの設備投資や工程改善を通じて操業リスクの低減と安定操業に努めております。さらに、亜鉛製錬事業においては、東邦亜鉛株式会社の事業再編に伴い当社とDOWAメタルマイン株式会社の二社体制となることを踏まえ、一層の安定操業・安定供給の維持に努めてまいります。 分類区分リスクの内容・対応策等セグメント横断的リスク製品の品質当社グループの製品は、電子機器や自動車等に幅広く利用されており、品質問題が発生した場合、バリューチェーンの広範囲に影響を及ぼす可能性があります。例えば、機能材料では、銅箔の様に携帯電話や様々な電気電子機器の配線材料・部品材料として使われる製品が多く、その特性不良がクレーム等につながる可能性があり、また、自動車用の部品、材料について、当社製品の品質に欠陥があった場合には、重大事故の発生や大規模リコールにつながる恐れがあります。当社グループでは、2024年10月、当社子会社の三井金属パーライト社において、品質不適切事案が発覚いたしました。社外取締役と弁護士から成る特別調査委員会を設置し、調査した結果を2025年4月に公表しました。今後こうしたことを二度と繰り返さないように、三井金属パーライト社はもちろんのこと、グループ全体として再発防止対策を講じてまいります。品質に関するコンプライアンスを確保するため、従来の、(新規事業を含む)事業分野の業態に合わせた品質保証体制の構築や、品質マネジメントシステムに基づいた品質管理などに加え、全階層での品質コンプライアンス教育、品質保証ガイドラインの改善・運用強化、検査データのデジタル化・システム化や、監査機能の強化、法令順守徹底、守れる規格の締結とその順守などについて、国内外に展開してまいります。第三者との提携当社グループは、将来の成長商品、成長事業となる新事業の継続的創出を図っております。この一環として、当社と事業シナジーが見込まれる国内外の有望なベンチャー等の第三者との間で共同開発、戦略的提携、事業買収等を行う可能性があります。第三者との提携において、提携先での技術開発の遅れ及び技術優位性の低下、提携先財務状況の悪化により、当社の新事業創出が困難となる、また、提携先へ出資をしていた場合は、これらの状況により減損リスクが生じる恐れもあります。結果として、第三者との提携に係るリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループでは、適切なデュー・ディリジェンスによる提携先の選定、また当社の経営ノウハウ、技術、人材等の活用により、第三者との提携に係るリスクの低減を図っております。カントリーリスク当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、サプライチェーンも国内外に拡がっております。拠点所在国・地域及び事業関連国・地域での「紛争」、政治状況の不安定化(テロやクーデターを含む)、加えて各国の政策転換や保護主義強化の動き等、カントリーリスクが当社製品の売上の減少やコストの増加に繋がり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。今般のトランプ相互関税については、現在のところ影響を完全に見通せている訳ではありませんが、顧客の減産による販売不振や、自社の製品販売及び原材料の調達におけるコストの増加等、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、外務省等行政発信情報、顧客企業及びサプライヤー企業からの情報、民間シンクタンク情報、各種報道による情報の評価分析を行っております。当社グループの事業活動が影響を受ける可能性のある事象をモニタリングし、カントリーリスクによる影響の低減を図っております。労働力の不足日本国内において、生産年齢人口減少に伴う採用競争の激化、及び今後見込まれる定年退職者の増加により、当社グループの労働力不足に係るリスクが当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。当社グループでは優秀な人材を確保するため、採用を強化するとともに、年齢に関わらず、活躍し続けられる会社を目指して、定年年齢の引き上げを行っております。そして、多くの方が当社グループを選択しいきいきと働いてもらえる会社となるために、多様な人材が働きやすく働きがいのある職場環境を整え、キャリア開発支援や教育を継続的に実施しております。また、昨年に引き続きベースアップも実現いたしました。さらに、ICT導入等により生産性の向上を図り、労働力不足に係るリスクの低減に努めております。 分類区分リスクの内容・対応策等経営成績等に影響を与えうるESGリスク(注1)環境当社グループは「環境と調和した事業活動」をマテリアリティとして取り上げ、気候変動対応を含みます環境全般を対象に各国の政策や法規制の強化による影響、対応遅れによるレピュテーション低下、気候変動に係る物理的影響、自然資本の毀損を共通のリスクとして揚げております。「環境」を構成する各項目につきましては、以下の通りリスクの把握と低減に向けた取り組みを進めております。①温室効果ガス排出及びエネルギー管理当社グループが位置する非鉄金属業界は、「エネルギー使用に伴う温室効果ガスの排出」が相対的に多く、現在、各国・地域が温室効果ガス排出規制に係る法規制が進められているため、温室効果ガス排出のコスト化や化石燃料調達に対する賦課金の導入等により、コストが増大することが想定されます。また、温室効果ガス削減の進展に伴う顧客ニーズの変化も想定され、関連する問い合わせも増加しております。そこで、エネルギー調達と温室効果ガス排出抑制のコストを考慮しながら、適切な対応に努めております。加えて、気候変動に係る情報開示についてもIFRSやSSBJにより制定されたサステナビリティ開示基準に則した適切な時期での開示に向けた準備に着手しております。②水の管理水の管理については、規制基準に沿って、排水量とその水質の適正な管理目標を設定し、汚染を起こさないよう対応策の実施を徹底しております。加えて水ストレスが高い地域を中心に、取水量削減のための目標を設定し取水量削減に取り組んでおります。➂廃棄物と有害物質の管理また、廃棄物と有害物質については、廃棄物量とPRTR法に基づく届け出対象物質の排出量について、削減目標を定め、取り組みを進めております。廃プラスチックへの対応もプラスチック資源循環法に基づき、目標を設定し削減に取り組んでおります。また、リサイクル原料の使用率向上にも取り組んでおります。④生物多様性への影響生物多様性への影響については、各拠点の課題と取り組みの状況を収集し、具体的なアクションプランの作成に取り組んでおります。これらの取り組みにより、環境リスクの低減を図っております。また、今後はLEAPアプローチに沿った分析・評価を行い、事業が自然に与えるリスク・機会を把握しTNFDに則した情報開示を行うことで、企業価値向上につなげていく予定です。社会当社グループは、ESG項目の内、社会リスクとして、「人権」、「安全衛生」、「公正な事業慣行」を特定しております。①人権当社グループの事業やサプライチェーンにおいて、特に鉱業特有の人権リスクや、鉱物サプライチェーン上の人権リスクがあると認識しております。人権侵害が発覚した場合、調達や生産への影響だけではなく、当社グループのレピュテーションリスクにもつながり、結果として、人権リスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対し、当社グループは、人権方針と人権基準に基づき、各対象に対し人権デュー・ディリジェンスを行っております。社内については、各拠点での人権デュー・ディリジェンスの実施、また、特に外国人労働者の人権尊重について課題調査及び是正措置に取り組んでおります。加えて人権尊重に係るグループ全体のルールを検討するとともに社内の教育を実施し対応を進めております。サプライチェーンについては、調達方針を定め、サプライヤーデュー・ディリジェンスを実施しております。デュー・ディリジェンスでは、リスク評価を実施しリスクが高いと評価された人材派遣会社等の非生産材サプライヤー含む重要サプライヤーに対し調査を行っております。課題が特定されたサプライヤーにはエンゲージメントを行い改善を実施いただき、人権リスクの低減を図っております。地域コミュニティ(鉱山地域含む)については、操業中の鉱山に対し、鉱山事業に係る自己評価アンケートを実施しております。 分類区分リスクの内容・対応策等経営成績等に影響を与えうるESGリスク(注1)社会②安全衛生当社の作業従事者には安全や衛生に係る労働災害が発生するリスクがあります。特に重篤な労働災害は人的損失、操業停止、行政指導等につながることから、安全衛生に係るリスクが当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。労働安全衛生を管理するために、主要拠点では、ISO45001を取得し、労働安全衛生マネジメントシステムに基づきPDCAを回し、レベルアップを図っております。また、作業従事者に対し、安全衛生の関連法規やルールの遵守・危険感受性を高めるための研修、非常時に備えた訓練、個別作業ごとの保護具や工具の使用等についてトレーニングを実施し、安全衛生に係るリスクの低減を図っております。③公正な事業慣行当社グループ内や政治、行政、サプライヤー等ステークホルダーとの間で、贈収賄や反競争的行為といった不正な行為が発生した場合、ペナルティやレピュテーションリスクにつながり当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、各国法制も情勢により変化することから、グローバルな事業展開をする中において、より感度を上げて対応していく必要があると認識しております。当社グループは、公正な事業慣行を徹底する施策として、役員や従業員を対象に研修を継続実施し、各拠点において、競合他社等との接触機会のモニタリング、サプライヤーとの関係を含めた法務監査を行っており、また、海外拠点を中心に、順次、サプライヤーとの贈収賄禁止協定書の締結を進め、公正な事業慣行に係るリスクの低減を図っております。ガバナンス当社グループは、ESG項目の内、ガバナンスリスクとして、「コーポレート・ガバナンス」、「コンプライアンス」を特定しております。当社グループは、持続的に企業価値を高めるために、コーポレート・ガバナンスの仕組みや機能を規律づけ、ガバナンスの実効性が強化されるよう改善を図っております。しかしながら、将来的に、事業・外部環境の変化等により不測の事態が発生した場合、ガバナンスの実効性が低下する恐れがあります。ガバナンスの実効性の低下は、法令違反等のコンプライアンスのリスクにつながる可能性もあり、訴訟やレピュテーションリスクが生じる恐れがあります。結果として、ガバナンスリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。ガバナンスの実効性を確保するため、コーポレートガバナンス・コードを踏まえたモニタリング機能の強化により、2024年6月より移行した監査等委員会設置会社に適した、取締役会を中心としたガバナンス機能の確立・向上を図っております。また、当社グループの全員が共有すべき価値観及び行動のあり方を示す規範である「行動規範」を制定し、「コンプライアンスガイドブック」によりその周知を行っております。これらを活用し、国内外全ての役員や従業員を対象としたコンプライアンス研修等によりコンプライアンス実践意識を浸透させるとともに、部門間、拠点間の情報共有体制を強化し、グループ全体でのガバナンスリスクの低減を図っております。 (注)1.当社グループの持続可能性を実現するために、サステナビリティに関するマテリアリティを特定し取り組みを進めております。マテリアリティの内、特に当社グループの経営成績等に影響を与えうる項目を、ESGリスクと区分しております。