研究開発活動(本文)
FY2025
FY2024
FY2023
FY2022
FY2021
FY2020
FY2019
FY2018
FY2017
FY2016
FY2025|5,347 文字
6 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,931百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業447百万円、機械システム事業284百万円、産業建設資材事業179百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用1,019百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品開発ならびに製造プロセスにおける環境負荷低減技術開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は42.3%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に22.1%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。また、カーボンニュートラルやゼロエミッション実現に向けた取り組みが必須である状況下、気候変動対策も進めております。ダクタイル鉄管製造プロセスの中でも特にCO2排出量の多い溶解プロセスにおいては、燃料として使用している石炭コークスの代替としてバイオマス原料からなるバイオコークスを導入すると共に、地域のゼロエミッションにも貢献すべく廃棄物を有効活用した新たなバイオ燃料開発を進めております。また、水道管路の更新工事にて発生する使用済み撤去管については、ダクタイル鉄管製造時の鉄源材料として有効にリサイクルすることで、資源循環に貢献する技術開発を進めております。今後も、社会の環境負荷低減やサーキュラーエコノミー実現に貢献する技術開発に注力してまいります。 ② 橋梁補修分野の商材拡充ならびにFRP(M)材の再利用に関する研究当社は連続FW成形技術や連続引抜成形技術をコア技術として、水輸送管および電力ケーブル保護管など、インフラ市場向けにFRP製品の製造ならびに販売を行ってきました。橋梁補修分野において上記連続引抜成形技術を活用したFRP製検査路は、既存の鋼製検査路と比べ軽量であるため施工性に優れ、沿岸部の潮風や道路の凍結防止剤等による塩害の影響を受けにくいことから、採用実績も増加傾向にあります。また、緩み止め性能を有するワンサイドで施工可能なFRPボルトを市場投入し、更なる施工性の向上を図ることができました。今後も当該分野で新商材の開発を進めると共に、橋梁補修技術の発展に努めてまいります。さらに、SDGsを考慮した取り組みとして、連続引抜成形法の適用製品の拡大を進めております。当成形法は、他の成形法と比較して電気使用量が少なく、成形時に発生する端材が減少できるなど、現代社会の要求に合致した特長を有しています。加えて、リサイクルを考慮し、熱可塑性樹脂を使用した製品開発にも取り組んでおり、時代や顧客のニーズにマッチした商材開発ならびに技術革新を積極的に進めています。また、インフラで使用されてきたFRP(M)材は販売から50年が経過し、今後、更新事業の発注拡大に伴って廃材が増加すると予想されています。生産活動で排出される端材や副資材を含め、FRP(M)材の再利用に関する研究開発を加速し、新たに設備導入を進めることでプラスチック資源の有効利用に努めてまいります。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。また、近年ではエネルギー負荷の低い、次世代型電極製造プロセスにも採用いただいています。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 ③ 再生骨材製造システムの開発国内の骨材需要は1990 年代中頃をピークに漸減している一方で、高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の老朽化により、大都市部を中心にコンクリート構造物の解体量は増加しております。これらの状況を踏まえて廃コンクリートからコンクリートの原材料となる再生骨材を製造するニーズが高まってきており、特に従来の高品質(Hクラス*1)ではなく中品位(Mクラス*2)を大量に生産できるリサイクルシステムが望まれております。この様な中で当社は2024年8月より共同8社と「省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発」*3に着手しました。当社は再生粗骨材・再生細骨材の製造装置メーカとして本開発事業に参画し、偏心ロータ型磨砕機をコア技術とした再生骨材製造システムの開発に取り組んでおります。2024年度には当社・住吉工場に磨砕機・分級機の試験設備を導入し、各種要素試験を行いながら再生粗骨材・再生細骨材の品質評価、生産システムの検討を進め、実証プラント構築に向けた開発活動を進めております。今後は再生骨材製造システムの実証試験・商用化・事業化を進め、コンクリートに関わる環境負荷低減を目指していきます。 *1 JIS A 5021 コンクリート用骨材再生骨材H*2 JIS A 5022附属書A コンクリート用再生骨材M*3 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の重点課題推進スキームで実施 (コンポジットプロジェクト関連)先進的な繊維強化プラスチック(FRP)の量産成形システムおよび成形品の開発繊維強化プラスチック(FRP)は軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替としてインフラ、モビリティなど様々な分野への適用の検討が進んでおります。FRP材料を構造部材に適用する社会ニーズに応えるためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤として、独自のFRP量産テクノロジーの開発を進めてまいりました。2019年にお客様との共創の場として開設したクリモトコンポジットセンターには、LFTDシステム*4、ハイサイクルRTMシステム*5および構造材料向け引抜成形システムを完備し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。近年では、国土強靱化施策を見据え、従来鉄やアルミ製に依存していたインフラ構造部材に対してFRP構造部材の適用に向けた新たな引抜き成形技術を開発いたしました。成形時の属人化要素を低減し、安定した品質管理を実現するDXの開発にも取り組んでおります。また低コストで部品を製造できるLFTDシステムについては、サーキュラリティを念頭にしたリサイクル繊維や樹脂、成形端材などを活用したSDGs市場向けシステムの開発に取り組んでおります。当社が保有する設備事業の基盤と成形事業の基盤のシナジー化による新しい価値の提案活動を進めながら、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*4 LFTDシステム:原材料である炭素・ガラス繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するFRTP成形システム。*5 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素・ガラス繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)① 磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、オイルの中に鉄微粒子を分散させた機能性流体です。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を用いた高性能デバイスの創製と感触技術分野での用途開発に取り組んでおります。従来はエンターテインメント分野における採用実績がありましたが、今後、市場成長が期待されるハプティクス市場*6や高齢化社会への対応として健康器具分野における優位性確立を目指し、競争力アップのためコストダウンと品質向上に取り組みます。*6 ハプティクス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野のことであり、ここではSoftMRFⓇを使って主に力覚を人工的に与えられる装置をハプティクスデバイスと称しています。 ② 鉛フリー銅合金の開発鉛については従来、鋳造性、切削性、耐圧性や摺動性等を向上する目的で、銅合金に添加され続けてきました。しかし、RoHS指令を始めとする環境規制により、工業製品への鉛の使用が制限されてきています。当社は持続可能な社会の実現に資するため、摺動材用鉛フリー銅合金「BrobeaⓇ」及び水道材用鉛フリー銅合金「クリカシリーズ」を開発し、従来の鉛含有銅合金と同等以上の性能を持つ製品を提供し、拡販に努めております。鉛フリー銅合金のさらなる改良に努めるとともに、製品のラインナップを拡充し、様々な用途に対応することで国内外の市場での拡販を進めます。 ③ マグネシウム合金の開発実用金属中で最も軽量かつ金属としての強さも兼ね備えた素材である一方、汎用のマグネシウム合金は激しい燃焼を起こす危険性があり、かつ耐食性及び耐クリープ性に劣るという問題があります。軽量化による燃費やエネルギー効率の向上により温室効果ガス排出量の削減に貢献するべく、難燃耐熱マグネシウム合金「KEHMAⓇ-HR」を開発いたしました。高温環境でも優れた性能を発揮する特長を活かし、輸送機器の軽量化目的での採用を目指しております。一方、分解性合金「KEHMAⓇ-SL」は、食塩水などの水溶液に浸漬すると自己腐食により速やかに分解する特性を持ち、省工程化等の新たなソリューションの開発に貢献します。マグネシウム合金のさらなる改良と普及に努め、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献いたします。 ④ キャビテーションナノバブル(CNB)の開発地球温暖化や気候変動の影響が深刻化する中、水質改善や水使用効率の向上、ケミカル系材料から自然由来材料の使用へのシフト等、持続的な環境保全が求められる中、当社においては長年蓄積した流体制御技術やキャビテーション*7に関する研究を基盤とし、省エネルギーでキャビテーションを発生する生成器を発明し、水再生装置、環境配慮型の各種原液生成装置及び洗浄装置等を開発いたしました。関係企業や外部組織、学術機関の協力を得て早期の製品化を目指します。*7 キャビテーション:液体内に微細気泡が発生する現象
FY2024|4,169 文字
6 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,667百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業372百万円、機械システム事業262百万円、産業建設資材事業180百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用850百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品開発ならびに製造プロセスにおける環境負荷低減技術開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は42.3%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に22.1%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。また、カーボンニュートラルやゼロエミッション実現に向けた取り組みが必須である状況下、気候変動対策も進めております。ダクタイル鉄管製造プロセスの中でも特にCO2排出量の多い溶解プロセスにおいては、燃料として使用している石炭コークスの代替としてバイオマス原料からなるバイオコークスを導入すると共に、地域のゼロエミッションにも貢献すべく廃棄物を有効活用した新たなバイオ燃料開発を進めております。また、水道管路の更新工事にて発生する使用済み撤去管については、ダクタイル鉄管製造時の鉄源材料として有効にリサイクルすることで、資源循環に貢献する技術開発を進めております。今後も、社会の環境負荷低減やサーキュラーエコノミー実現に貢献する技術開発に注力してまいります。 ②橋梁補修分野の商材拡充ならびにFRP(M)材の再利用に関する研究当社は連続FW成形技術、連続引抜成形技術をコア技術として、水輸送管および電力ケーブル保護管など、インフラ市場向けにFRP製品の製造ならびに販売を行ってきました。近年、橋梁補修分野において上記連続引抜成形技術を活用したFRP製検査路は、既存の鋼製検査路よりも、軽量であるため施工が早く、沿岸部の潮風や道路の凍結防止剤等による塩害の影響を受けにくいことから、採用実績も増加傾向にあります。また、緩み止め機能を保持したワンサイドで施工可能なFRPボルトを市場投入し、施工性の向上を図ることができました。今後も当該分野で新商材の開発を進めると共に、橋梁補修技術の発展に努めてまいります。併せて、連続引抜成形法は他の成形法と比較して電気使用量が少ない、あるいは成形時に発生する端材が減少できるなど、現代社会の要求に合致した特長があり、本成形法による商材開発ならびに技術革新を積極的に進めてまいります。また、インフラで使用されてきたFRP(M)材は販売から50年が経過し、今後、更新事業の発注拡大に伴って廃材が増加すると予想されています。加えて、生産活動で排出される端材や副資材を含め、FRP(M)材の再利用に関する研究開発を加速し、新たに設備導入を進めることでプラスチック資源の有効利用に努めてまいります。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。また、近年ではエネルギー負荷の低い、次世代型電極製造プロセスにも採用いただいています。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替としてインフラ、モビリティなど様々な分野への適用の検討が進んでおります。FRP材料を構造部材に適用する社会ニーズに応えるためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤として、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進めてまいりました。2019年にお客様との共創の場として開設したクリモトコンポジットセンターには、LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2および構造材料向け引抜成形システムを完備し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。近年では、国土強靱化施策を見据え、従来鉄やアルミ製に依存していたインフラ構造部材に対してFRP構造部材の適用に向けた新たな引抜き成形技術を開発いたしました。成形時の属人化要素を低減し、安定した品質管理を実現するDXの開発にも取り組んでおります。また低コストで部品を製造できるCarbon-LFTDシステムについては、サーキュラリティを念頭にしたリサイクル繊維や樹脂、成形端材などを活用したSDGs市場向けシステムの開発に取り組んでおります。当社が保有する設備事業の基盤と成形事業の基盤のシナジー化による新しい価値の提案活動を進めながら、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 LFTDシステム:原材料である炭素・ガラス繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するCFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素・ガラス繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、オイルの中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかった回転系高性能デバイスの創製と感触技術分野での用途開発に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしたSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびeスポーツの部品への採用が実現しました。また、本デバイスを用いた感触提示用ユニットを開発し、感触提示用アプリと組み合わせて、クラウドファンディングの実施などにより国内ニーズの調査を実施いたしました。さらに、米国ラスベガスで開催されている世界最大級のテクノロジー見本市「CESⓇ2024」に出展し、「Innovation Awards」(Gaming & eSports部門)を受賞いたしました。今後、これらの採用実績や市場調査結果をベースにエンターテイメント業界での採用拡大を促進すると共に、産業分野での実用化など適用範囲を拡げ、市場拡大が予想されるハプティクス*3市場における優位性確立とブランド力アップを目指します。また、競争力アップのためコストダウンと品質向上に取り組んでSoftMRFⓇ使用のハプティクスデバイスの標準化と販売を進めていく予定であります。*3 ハプティクス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野のことであり、ここではSoftMRFⓇを使って主に力覚を人工的に与えられる装置をハプティクスデバイスと称しています。
FY2023|3,755 文字
6 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,600百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業368百万円、機械システム事業177百万円、産業建設資材事業163百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用891百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発およびICTを活用した水道管工事管理業務の効率化地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は41.2%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に20.6%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。さらに、昨今の人口減少に伴う水需要量の減少および官民ともに技術者不足、技術の継承といった問題が顕在化しており、これらの課題に対しても業務の効率化に資するICTを活用した水道管工事施工管理システムの開発にも努めてまいりました。具体的には工事現場での情報をスマートフォンやタブレット等の携帯端末に入力することで、工事書類作成の自動化や情報のクラウド上でのリアルタイム共有化により業務の効率化を図り、水道事業運営コストの削減による老朽管路の更新、耐震化の促進に貢献すべく、取り組んでまいります。 ② 橋梁補修分野の商材拡充ならびにFRP(M)材の再利用に関する研究当社は連続引抜成形技術をコア技術として、水及び電力など、インフラ市場向けにFRP製品の製造ならびに販売を行ってきました。近年、橋梁補修分野において上記技術を活用したFRP製検査路を市場投入しそのラインナップを現在も拡充しております。今後もその分野で多くの新商材を開発、さらには橋梁補修技術の発展に努めてまいります。併せて、連続引抜成形法は他の成形法と比較して電気使用量が少ない或いは成形時の端材が少ないなど、現代社会の要求に合致した特長があり、本成形法による商材開発ならびに技術革新を積極的に進めてまいります。また、インフラで使用されてきたFRP(M)材は販売から50年が経過し、今後、更新事業の発注拡大に伴って廃材が増加すると予想されています。加えて、生産活動で排出される端材や副資材を含め、FRP(M)材の再利用に関する研究開発を加速し、新たに設備導入を進めることでプラスチック資源の有効利用に努めてまいります。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しております。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。また、近年ではエネルギー負荷の低い、次世代型電極製造プロセスにも採用いただいております。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を設置し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めてきました。2019年には開発の拠点として新たにクリモトコンポジットセンターを開設し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。また大型成形機を開発し、実際の製品レベル(1.5m×1.5m)で、Carbon-LFTDおよびハイサイクルRTMの大型試作、検証が可能となっております。新規導入設備を有効活用して成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形する CFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて 成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかった回転系高性能デバイスの創製と感触技術分野での用途開発に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびeスポーツの部品への採用が実現しました。また、本デバイスを用いた感触提示用ユニットを開発し、感触提示用アプリと組み合わせて、クラウドファンディングを通じてコンテンツビジネスの可能性を検証しているところです。今後、これらの採用実績をベースにエンターテイメント業界での採用拡大を促進すると共に、産業分野での実用化など適用範囲を広げ、市場拡大が予想されるハプティクス市場における優位性確立とブランド力アップを目指して、流体のバリエーション充実、コストダウンと品質向上を両立させる安定生産技術の開発を進めると同時に、SoftMRFⓇ使用のハプティクスデバイス*の標準化と販売を進めていく予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと 称し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2022|3,605 文字
5 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,529百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業320百万円、機械システム事業196百万円、産業建設資材事業165百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用846百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発およびICTを活用した水道管工事管理業務の効率化地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は40.7%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に19.1%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。さらに、昨今の人口減少に伴う水需要量の減少および官民ともに技術者不足、技術の継承といった問題が顕在化しており、これらの課題に対しても業務の効率化に資するICTを活用した水道管工事施工管理システムの開発にも努めてまいりました。具体的には工事現場での情報をスマートフォンやタブレット等の携帯端末に入力することで、工事書類作成の自動化や情報のクラウド上でのリアルタイム共有化により業務の効率化を図り、水道事業運営コストの削減による老朽管路の更新、耐震化の促進に貢献すべく、取り組んでまいります。 ② FRP(M)材リサイクル設備の導入ならびに橋梁補修分野への新規参入当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管および農業用水管など主にインフラ市場向けにFRP(M)管の製造ならびに販売を行ってきました。しかし、近年、インフラ用配管材は耐用年数を迎える施設が増加し、更新の際に排出される使用済み配管材の再利用技術が求められています。そこで、長年、当社で培った加熱装置及び粉砕装置のノウハウや素材に関する技術力を生かすことで、使用済み配管材や工場内の生産活動で排出される端材等のリサイクル技術を開発し、新たに設備導入を進めFRP(M)材の循環リサイクルを実施してまいります。併せて、橋梁補修分野に関しては引抜成形技術を活用し、軽量性および耐食性に優れた新製品の市場投入を進めてまいります。さらには、腐食環境下でニーズが高いFRTPボルトの開発を加速させ、市場投入を展開致します。* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカーが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を設置し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めてきました。2019年には開発の拠点として新たにクリモトコンポジットセンターを開設し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。また大型成形機を開発し、実際の製品レベル(1.5m×1.5m)で、Carbon-LFTDおよびハイサイクルRTMの大型試作、検証が可能となっております。新規導入設備を有効活用して成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形する CFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかった回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびゲーム機部品への採用が実現しました。今後、これらの採用実績をベースにエンターテイメント業界での採用拡大を促進すると共に、産業分野での実用化など適用範囲を広げ、市場拡大が予想されるハプティクス市場における優位性確立とブランド力アップを目指して、流体のバリエーション充実、コストダウンと品質向上を両立させる安定生産技術の開発を進めると同時に、SoftMRFⓇ使用のハプティクスデバイス*の標準化と販売を進めていく予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2021|3,490 文字
5 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,797百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業314百万円、機械システム事業206百万円、産業建設資材事業157百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用1,119百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発およびICTを活用した水道管工事管理業務の効率化地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は40.9%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に17.6%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」により、事業体様からの多様な要望に応え、市場での拡販を精力的に進めてまいります。さらに、昨今の人口減少に伴う水需要量の減少および官民ともに技術者不足、技術の継承といった問題が顕在化しており、これらの課題に対しても業務の効率化に資するICTを活用した水道管工事施工管理システムの開発にも努めてまいりました。具体的には工事現場での情報をスマートフォンやタブレット等の携帯端末に入力することで、工事書類作成の自動化や情報のクラウド上でのリアルタイム共有化により業務の効率化を図り、水道事業運営コストの削減による老朽管路の更新、耐震化の促進に貢献すべく、取り組んでまいります。 ② インフラ向け更生管の開発、自動車・鉄道分野ならびに橋梁補修分野への新規参入当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管および農業用水管など主にインフラ市場向けにFRP(M)管を販売してきました。しかし、近年インフラ設備は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社は今日まで約50年間培ったFRP製品に関する技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更生工法の開発に注力しております。自動車分野ではコンポジット新製品や生産設備販売ビジネス、また鉄道分野では今までにない高機能なFRP新商材を基軸に事業展開を進めております。併せて、橋梁補修分野に関してはFW成形および引抜成形技術も活用し、軽量性および耐食性に優れた製品展開を進めてまいります。* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取組んでおり、販売実績も得られて参りました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設する予定であります。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を導入し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めてきました。2019年には開発の拠点としてコンポジットセンター新建屋を完成させ、2020年度に大型引抜成形装置を導入し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築中です。また大型成形機HR4-10SPを開発し、実際の製品レベル(1.5m×1.5m)で、Carbon-LFTDおよびハイサイクルRTMの大型試作、検証が可能となりました。新規導入設備を有効活用して成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するCFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびゲーム機部品への採用が実現しました。これらの採用実績をベースに、今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野をはじめ、産業分野での実用化を目指して、流体のバリエーション拡大、コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めていく予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称しここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2020|3,159 文字
5 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,588百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業283百万円、機械システム事業177百万円、産業建設資材事業163百万円であります。主な研究概要とその成果については次の通りであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用963百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は40.3%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に16.3%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(呼び径350mmの追加、全口径75mm~400mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形(E種管)のラインナップにより、事業体様からの多様な要望に応え、市場での拡販を精力的に進めて参ります。さらに喫緊の課題となる中大口径管路の更新事業においても、当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」により売上拡大を図るとともに、昨今、開発された中大口径耐震管US-R方式により工期短縮およびトータルコストの更なる削減を図り、水源から末端に至るトータル的な老朽管路の更新、耐震化に貢献すべく、取り組んで参ります。 ② インフラ向け更生管の開発、自動車・鉄道分野ならびに橋梁補修分野への新規参入当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管および農業用水管など主にインフラ市場向けにFRP(M)管を販売してきました。しかし、近年インフラ設備は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社は今日まで約50年間培ったFRP製品に関する技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更生工法の開発に注力しております。自動車分野ではコンポジット新製品や生産設備販売ビジネス、また鉄道分野では今までにない高機能なFRP新商材を基軸に新規参入を進めております。併せて、橋梁補修分野に関してはFW成形および引抜成形技術も活用し、軽量性および耐食性に優れた製品展開を進めて参ります。* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池電極製造市場へ装置・システム・プラントで積極参入すべくプロジェクトを2011年より立ち上げ活動を推進・継続しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られて参りました。当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めて参ります。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を導入し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めております。2019年11月完成の「新コンポジットセンター」を早期に稼働させて、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するCFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびゲーム機部品への採用が実現しました。これらの採用実績をベースに、今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野をはじめ、産業分野での実用化を目指して、流体のバリエーション拡大、コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めていく予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称しここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2019|3,081 文字
5 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,417百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業271百万円、機械システム事業150百万円、産業建設資材事業129百万円であります。主な研究概要とその成果については次の通りであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用864百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は39.3%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に14.8%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形(75mm~300、400mm)の拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形(E種管)のラインナップにより、事業体様からの多様な要望に応え、市場での拡販を精力的に進めて参ります。さらに喫緊の課題となる中大口径管路の更新事業においても、当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」により売上拡大を図るとともに、昨今、開発された中大口径耐震管US-R方式により工期短縮およびトータルコストの更なる削減を図り、水源から末端に至るトータル的な老朽管路の更新、耐震化に貢献すべく、取り組んで参ります。 ② インフラ向け更生管の開発、自動車・鉄道分野ならびに橋梁補修分野への新規参入当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管および農業用水管など主にインフラ市場向けにFRP(M)管を販売してきました。しかし、近年インフラ新設事業は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社は今日まで約50年間培ったFRP製品に関する技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更生工法の開発に注力しております。自動車分野ではコンポジット新製品や生産設備販売ビジネス、また鉄道分野では不燃性および絶縁性をキーワードにしたFRP新商材を基軸に新規参入を進めております。併せて、橋梁補修分野に関しては引抜成形技術を活用した軽量性及び耐食性に優れた製品展開を進めて参ります。* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。 (産業設備関連)① 二次電池向けプロセス設備の開発自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池電極製造市場へ装置・システム・プラントで積極参入すべくプロジェクトを2011年より立ち上げ活動を推進・継続しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築及びコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取組んでいます。当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めて参ります。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を導入し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めております。現在建築中の「新コンポジットセンター」を早期に稼働させて、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するCFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティへの採用が実現しました。今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野等での実用化を目指して、流体のバリエーション拡大、コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めていく予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称 し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2018|3,478 文字
5 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,516百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業398百万円、機械システム事業116百万円、産業建設資材事業137百万円であります。主な研究概要とその成果については次の通りであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用864百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は39%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に13%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする新型耐震管GX形(75mm~300、400mm)の拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形(E種管)のラインナップにより、事業体様からの多様な要望に応え、市場での拡販を精力的に進めて参ります。さらに喫緊の課題となる中大口径管路の更新事業においても、事業体様のご要望にお応えする形で、このたび当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」を開発しました。当工法は、中大口径更新事業の主力工法となる非開削工法において、既工法より、工期短縮およびトータルコストの削減を図ることが可能であり、水源から末端に至るトータル的な老朽管路の更新、耐震化に貢献すべく、取り組んで参ります。 ② インフラ向け更生管の開発、交通インフラ分野ならびに橋梁補修分野への新規参入当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管及び農業用水管など主にインフラ市場分野向けにFRP(M)管を販売してきました。近年、インフラ新設事業は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社はその分野で培った技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更生工法の開発に注力しております。今後、この分野における製品開発を加速させ、既に市場投入している電力及び通信向け更生材の他、順次新製品を投入していく予定です。交通インフラ分野の自動車関連ではコンポジット新製品や生産設備販売ビジネス、また鉄道関連では不燃性樹脂および絶縁性をキーワードにした新商材を基軸に新規参入を進めております。併せて、橋梁補修分野に関しては引抜成形技術を活用した製品を中心に種々の製品展開を進めて行く予定です。* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。 ③ 軽量鋼管分野、消音分野における開発 軽量鋼管分野においては、既存製品であるスパイラルダクトのカシメ部にシール剤を封入し、リーク低減を実現した「プレミアムスパイラルダクト」を開発、市場に投入しました。今後もコア技術を軸とし、顧客ニーズに対応した付加価値製品の開発に取り組んで参ります。また、消音分野では、道路インフラ更新需要に対応する遮音壁の開発に取り組んで参ります。 (産業設備関連)① 二次電池向けプラント開発当社の長年の粉体装置事業を基盤とし、リチウムイオンを主とする二次電池市場へ装置・システム・プラントで 積極参入すべくプロジェクトを2011年より立ち上げ活動を推進しております。その一環として、営業活動、PR効果促進、技術ノウハウの獲得・構築及び各装置の改良・改善のため、当社住吉工場内に、電池スラリーの混練設備、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を配置した二次電池用のテストセンターを設置しています。信頼性のある高精度供給装置、摩耗に対するコンタミレス等に改良を加えた設備であり、本センターで顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、営業展開を強めております。さらに、最近では中国・欧州を中心に将来の自動車EV化に向けた電池の大容量設備計画が増加するなか、当社提案の連続化スラリープロセスが評価され始めており、営業展開を進めています。加えて、次世代リチウムイオン電池として着目されている全固体電池材料製造プロセスの研究開発にも鋭意取り組んでいます。 ② サーボプレスの応用技術開発当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形へも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。 (コンポジットプロジェクト関連)炭素繊維強化プラスチックのハイサイクル成形システムおよび成形品の開発 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を導入し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めております。各種デモプラントが稼働する「クリモトコンポジットセンター」を有効活用し、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するCFRTP成形システム。*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティへの採用が実現しました。今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野等での実用化を目指して、流体のバリエーション拡大、コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めてまいる予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称 し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2017|2,681 文字
6 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」及び「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,548百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業389百万円、機械システム事業125百万円、産業建設資材事業161百万円であります。主な研究概要とその成果については次の通りであります。なお、研究開発費については、開発部門で行っている各事業部門に配分できない基礎研究費871百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は37%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に13%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする新型耐震管GX形(75mm~300、400mm)の拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体にご採用いただいております。また、当社が開発しましたS50形耐震管(50mm)については横浜市をはじめ多くの事業体に採用され、販売量も増加しております。GX形やS50形は耐震性を有するだけでなく、管外面塗装の耐久性を大幅に向上させております。この高耐久性塗装については長年の知見を活用し、製造コストにも優れた当社独自の塗装システムを開発するに至りました。新たに開発した塗装について本年度から順次GX形管に適用を開始しております。また、老朽管路の更新、耐震化の更なる促進に貢献すべく、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形(E種管)の製造、販売を開始しました。NS形(E種管)のラインナップにより、事業体様からの多様な要望に応え、市場での拡販を精力的に進めてまいります。 ② インフラ向け更新管の開発及び交通インフラ向け新規商材の開発当社は連続FW成形*1技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管及び農業用水管など主にインフラ事業分野向けにFRP(M)管を販売してきました。近年、インフラ新設事業は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社はその分野で培った技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更新管の開発に注力しております。今後、この分野における製品開発を加速させ、既に市場投入している電力及び通信向け更新材の他、順次新製品を投入していく予定です。また道路インフラ分野では、排水機能付き統一型吸音板*2やポリエチレンシース*3、橋梁補修事業等にも注力していきます。更に、交通インフラである自動車及び鉄道に対しては、コンポジット材料の新規参入を進めております。*1 FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。*2 排水機能付き統一型吸音板:交通騒音対策で使用する金属製の吸音板であり、腐食を抑制する付加機能を有 しております。*3 ポリエチレンシース:プレストレストコンクリート橋のPC鋼材を被覆する管で、防食に寄与するポリエチレ ンで構成しております。 (産業設備関連)① 二次電池向けプラント開発当社の長年の粉体装置事業を基盤とし、リチウムイオンを主とする二次電池市場へ装置・システム・プラントで積極参入すべくプロジェクトを5年前より立ち上げこれまで以上に活動を推進しております。その一環として、営業活動、PR効果促進、技術ノウハウの獲得・構築及び各装置の改良・改善のため、当社住吉工場内に、電池スラリーの混練設備、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を配置した二次電池用のテストセンターを設置しております。信頼性のある高精度供給装置、摩耗に対するコンタミレス等に改良を加えた設備であり、本センターで顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、営業展開を強めております。さらに、次世代リチウムイオン電池として着目されている全固体電池材料製造プロセスの研究、営業展開も進めております。 ② 新型プレス C2Pの開発近年の鍛造プレスは、騒音やメンテナンスの問題からクラッチブレーキが乾式から湿式に代わってきております。当社では現在、湿式クラッチブレーキの開発を行っており、それを採用した鍛造プレス及び自由なモーション設定可能なサーボプレスのC2Pシリーズの開発を進めております。また、住吉工場にC2Pプレスの試作機を設置して鍛造の研究開発を行い、営業活動を強めていく予定であります。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性、耐久性及び回転デバイスに封入した際の触感の向上を図ることができます。今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野等での実用化を目指して、流体のバリエーション拡大、コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に、実用デバイスとして下肢装具の関節部に適用、製品化しました。今後適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めてまいる予定であります。* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称 し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
FY2016|2,621 文字
6 【研究開発活動】当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」及び「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は1,474百万円であり、セグメント別の研究開発費は、パイプシステム事業376百万円、機械システム事業152百万円、産業建設資材事業109百万円であります。主な研究概要とその成果については次の通りであります。なお、研究開発費については、開発部門で行っている各事業部門に配分できない基礎研究費835百万円が含まれております。 ~主要研究開発活動~(社会インフラ関連)① 水道管路耐震化に向けた製品の開発地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は36%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率は既に10%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする新型耐震管GX形(75mm~300、400mm)の拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体にご採用いただいております。また、当社が開発しましたS50形耐震管(50mm)については横浜市をはじめ多くの事業体に採用され、販売量も増加しております。GX形やS50形は耐震性を有するだけでなく、管外面塗装の耐久性を大幅に向上させております。この高耐久性塗装については長年の知見を活用し、製造コストにも優れた塗装システムを開発するに至りました。新たに開発した塗装について本年度から順次GX形管に適用を開始し、更なるコストダウンを進めてまいります。一方、昨年度は新たな管路布設工法であります「ハイブリッドシステム工法(HBS工法)」を開発しました。本工法はシールド工法と推進工法の長所を活かし、大幅な工期短縮が可能となります。今年度は新工法のスペックイン活動を精力的に進め、新工法の普及・売上増に努めてまいります。 ② インフラ向け更新管の開発及び交通インフラ向け新規商材の開発当社は連続FW成形*1技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管及び農業用水管など主にインフラ事業分野向けにFRP(M)管を販売してきました。近年、インフラ事業の新設投資は成熟期を迎え、既存設備の更新や長寿命化が課題となっております。そこで、当社はその分野で培った技術力を生かし、施工性に優れ、かつ高耐震性、高強度を有した更新管及び継手の開発に注力しております。今後、この分野における製品開発を加速させ、順次新製品を投入していく予定であり、既に市場投入している電力用可撓継手の他、排水機能付き統一型吸音板*2やポリエチレンシース*3などもあわせて公共インフラ分野に対し、注力していきます。また、自動車を代表とする交通インフラ分野に対しても、コンポジット材料の新規参入を進めております。*1 FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。*2 排水機能付き統一型吸音板:交通騒音対策で使用する金属製の吸音板であり、腐食を抑制する付加機能を有 している。*3 ポリエチレンシース:プレストレスコンクリート橋のPC鋼材を被覆する管で、防食に寄与するポリエチレ ンで構成している。 (産業設備関連)① 二次電池向けプラント開発当社の長年の粉体装置事業を基盤とし、リチウムイオンを主とする二次電池市場へ装置・システム・プラントで積極参入すべくプロジェクトを4年前より立ち上げこれまで以上に活動を推進しております。その一環として、営業活動、PR効果促進、技術ノウハウの獲得・構築及び各装置の改良・改善のため、当社住吉工場内に、電池スラリーの混練設備、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を配置した二次電池用のテストセンターを設置しております。信頼性のある高精度供給装置、摩耗に対するコンタミレス等に改良を加えた設備であり、本センターで顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、営業展開を強めております。 ② 新型プレス C2Pの開発近年の鍛造プレスは、騒音やメンテナンスの問題からクラッチブレーキが乾式から湿式に代わってきております。当社では現在、湿式クラッチブレーキの開発を行っており、それを採用した鍛造プレス及び自由なモーション設定可能なサーボプレスのC2Pシリーズの開発を進めております。また、住吉工場にC2Pプレスの試作機を設置して鍛造の研究開発を行い、営業活動を強めていく予定であります。 (クリモト創造技術研究所関連)磁気粘性流体(MRF)の開発磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴を利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用が少なかったクラッチ、ブレーキ等の回転系デバイスへの採用に向けて取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性、耐久性及び回転デバイスに封入した際の触感の向上を図ることができます。今後、市場拡大が予想されるハプティクスデバイス*関連分野での実用化を目指して、流体の製造コストダウンと安定生産技術の確立を進めると同時に、実用デバイスへの適用を進めており、無線操縦機用デバイスとして製品化しました。今後適用範囲を拡大しSoftMRFⓇの販売を進めてまいる予定であります。*ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称し、 ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。