5574

ABEJA(5574)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • AI導入支援と運用
    ABEJAは、企業がAIを業務に導入し、その後の運用までを一貫して支援する「デジタルプラットフォーム事業」を展開しています。特に、企業の基幹業務(ミッションクリティカル業務)にAIを組み込むための「ABEJA Platform」というシステムを提供し、AIの導入から運用までをサポートすることで収益を得ています。これは、製造業におけるEMS(受託生産サービス)のように、顧客のAI活用を包括的に請け負うビジネスモデルです。
  • トランスフォーメーションとオペレーション
    事業は大きく「トランスフォーメーション領域」と「オペレーション領域」に分かれています。トランスフォーメーション領域では、AIの導入支援や周辺サービスの提供を行い、顧客のビジネスプロセスをAIで変革します。オペレーション領域では、導入されたAIシステムと人が協力して運用を行うことで、継続的な価値創出を支援し、ここから継続的な収益を得る構造です。
  • デジタル版EMSモデル
    ABEJAは、300社以上のAI導入支援で培った豊富なノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせてコンサルティングからABEJA Platform上での運用までを一括で支援する「デジタル版EMS」として機能します。顧客は自社でAI人材を抱えることなく、ABEJAの最先端技術とノウハウを活用できるため、効率的なAI導入と運用が可能となり、これがABEJAの収益源となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • デジタルプラットフォーム事業
    ABEJAの事業は「デジタルプラットフォーム事業」の単一セグメントで構成されています。これは、AIの導入支援から運用までを一貫して提供する中核事業であり、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進するための基盤となる「ABEJA Platform」を中心に展開しています。
  • トランスフォーメーション領域
    この領域では、顧客企業へのAI導入支援と、それに伴うコンサルティングやシステム構築などの周辺サービスを提供します。顧客の既存ビジネスプロセスをAIによって変革し、新たな価値を創出することが主な目的であり、AI導入の初期段階における収益源となります。
  • オペレーション領域
    トランスフォーメーション領域で構築されたAIシステムを、人とAIが協調しながら運用していくフェーズを指します。この領域では、継続的なAIの改善や最適化、安定稼働のサポートを行い、長期的な顧客関係を構築することで、安定した継続的な収益を確保する重要な役割を担っています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,124 文字
3【事業の内容】(1)企業理念 当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行っております。 また、当社は一般社団法人日本ディープラーニング協会の設立を支援し、正会員としてディープラーニングをはじめとしたAI技術の普及に取り組むとともに、最先端技術の動向把握や先進的な取組事例の創出に努めております。 2019年3月には約5,200名が参加した自社リアルカンファレンス「ABEJA SIX 2019」を、2020年5月、2022年7月には自社オンラインカンファレンス「デジタルトランスフォーメーション2020」、「ABEJA SIX 2022」を開催しており、マーケットの醸成、AIに関するリテラシーの向上、IT人材の育成を推進しております。 (2)事業概要 当社は、デジタルプラットフォーム事業の単一セグメントとなります。ABEJA Platformを核に事業展開しており、AIの導入支援と周辺サービスの提供を行う「トランスフォーメーション領域」と、その後の人とAIの協調による運用を行う「オペレーション領域」に区分しております。 これらを含めた当社の事業全体像は図1のとおりであります。 図1:当社の事業全体像 デジタルプラットフォーム事業として展開する当社のビジネスモデルは、EMS(Electronics Manufacturing Service)に近い形態となります。当社は、これまでの多種多様な業界・業態300社以上のAI導入を支援する上で培ったナレッジ(EMSにおける製造プロセスノウハウ)を活かし、顧客のニーズにあわせ、ABEJA Platformを核にデジタル版EMSとして、コンサルティングからABEJA Platform上でのオペレーションまでを一括支援しております。顧客はこのデジタル版EMSを採用することで、ABEJA Platformの最先端の技術・ノウハウを活用することができます。当社の事業を製造業に例えた場合のイメージは図2のとおりであります。 図2:当社の事業を製造業に例えたイメージ図(デジタル版EMS) トランスフォーメーション領域で設計し、ABEJA Platform上に構築したビジネスプロセスを、オペレーション領域で運用する事業モデルとなります。このため、運用におけるフィードバックがビジネスプロセスの精度向上やオペレーションの高度化に結びつくなど、2領域は密接に連携しております。 ① ABEJA Platforma.ABEJA Platform概要 ABEJA Platformは、ミッションクリティカル業務における堅牢で安定的な基幹システムとアプリケーション群であり、生成AIをはじめとする最先端技術を人とAIの協調により運用するプラットフォームとなります(図3)。 ABEJA Platformは、大きく6つのレイヤーで構成されております。顧客企業は必要なデータをABEJA Platformに蓄積することにより、コンピューティングリソースの管理やセキュリティを担保した環境の中で、データ加工等を行い、当該データとAIを組み合わせることにより、ミッションクリティカル業務におけるアプリケーションを構築し、人とAIの協調によって運用することができます。 図3:ABEJA Platform また、ABEJA Platformの強みとして、数多くの導入・運用実績から安定した品質を素早く提供できる点などが挙げられます。ABEJA Platformにおけるコア技術については、特許(「機械学習又は推論のための計算機システム及び方法(PCT/JP2018/3824)」)を取得しており、競合他社への牽制、優位性の一要素になっているものと考えております。また、2023年5月には、「ABEJA LLM Series」をリリースし、生成AI、特にLLMとその周辺領域の機能・技術の提供を開始しております。 ABEJA Platformの強み開発速度の向上・早期運用開始・既に実装されたモジュールを即座に提供することが可能高い品質安定性・過去の案件で実際に使われ、品質安定性について個別の検証を必要としないテスト済みのモジュールを利用可能最先端の技術をいつでも利用可能・最新のMLライブラリ、最新技術を用いたMLモデルなど、常に最新で最適な技術を利用可能AutoMLをベースに本番適用・AutoMLをベースに本番適用できる先進的なシステム運用コスト・負荷の低減・フルマネージドサービスとして提供されているため、MLエンジニア以外の運用人員が不要堅牢なセキュリティ・医療、金融、自治体でも実績のある高いセキュリティ・システムダウンが大規模事故につながるような案件での実装経験 b.ABEJA Platform上でのHuman in the Loopの仕組みについて 従来、AIを活用した運用を行うためには、PoC(Proof of Concept:実証実験)を繰り返し行い、AIの精度を継続的に向上させていました。しかし、企業にとってPoC期間は投資期間であり、精度の保証が難しいAIの開発において、継続して投資の意思決定を行うことがボトルネックとなる等、PoCに留まっている企業の割合は63%にものぼります(出所:アクセンチュアニュースリリース「アクセンチュア最新調査―AI活用において、60%以上の企業が概念実証に留まる」2022年6月23日)。 一方で、ABEJA Platform上で、Human in the Loopの仕組みを利用することにより、PoCを行わず、初期からAIを導入・運用することが可能となります(図4)。 図4:導入プロセスの比較  当社の提供するHuman in the Loopとは、ABEJA Platform上にビジネスプロセスの運用ノウハウや知識をデータとして蓄積するとともに、人が判断や意思決定を補うことで効率的にAIを構築していく仕組みとなります。例えばデータ量が少なく、AIが効果的に学習することができない、高い精度を発揮できない初期段階においても、人が補うことでAIの運用サイクルを成立させることができ、人とAIの協調(人とAIの相互補完)により、当初より実運用を可能としています。また、最終的には、AIが全体のプロセスに導入されることで、AIによる改善を行うことが可能となり、オペレーションの高度化を実現することができます。 具体的には次のステップにより、ABEJA Platform上でHuman in the Loopの仕組みを実現しております(図5)。 図5:ABEJA PlatformにおけるHuman in the Loopの仕組み  図5におけるABEJA Platformの導入と運用について、ステップ2で人が行うビジネスプロセスにABEJA Platformを導入することで、人とAIが協調してオペレーションを実行する環境が創出されます。これにより、運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積できるようになります。当該環境のもと、日々のオペレーションにより、運用ノウハウや知識のデータ蓄積と活用が進み、ビジネスプロセスのAI化が進んでいきます。また、ステップ4では人とAIが協調しながらオペレーションの高度化を実現、ステップ5まで進むとAIが全体を改善するフェーズに入ります。 ステップ状況ステップ1(取組前) 人が実行・人が、リアル空間で、ビジネスプロセスを行っている・運用ノウハウや知識は個々人等に分散ステップ2 人が実行・人が行うビジネスプロセスに、ABEJA Platformを導入・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積されるステップ3 人が実行・AIが支援・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている・ABEJA Platformに徐々に蓄積される運用ノウハウや知識がデータとして活用され、AIが支援、人の負荷が軽減される・日々のビジネスプロセスにより、データの蓄積と、ABEJA Platformでの活用が進み、さらにAIの支援内容が高度化するステップ4 AIが実行・人が支援・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている・人が支援(監督・監査)しており、負荷がさらに軽減される・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformで活用され、さらに実行内容が高度化するステップ5 AIが実行・AIが改善・人が支援・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている・AIが様々なビジネスプロセスに導入されており、全体の改善を行うことが可能となる・人が支援(監督・監査)しており、最終的な改善の意思決定などの重要事項は人とAIが協調して行う  具体的なHuman in the Loopの仕組みを利用した取組事例として、プラント事業者において工場内配管の腐食度の定常的な検査・モニタリングにAIを活用し、人とAIが協調しながらAIが成長する仕組みを構築しております(図6)。 図6:Human in the Loopの仕組みを利用した具体例  上記のHuman in the Loop(人とAIの協調)を共通の枠組みとして、LLMとその周辺機能の社会実装及びAIロボティクスへの適用を進めています。 c.LLMと周辺領域の機能・技術 当社は、LLMの社会実装において、ミッションクリティカル業務への導入、コスト対精度の両立、データガバナンス・安全性などを重視し、大規模・中規模基盤モデルの構築及びその周辺領域の高度化を注力領域としています。2024年以降は、経済産業省が立ち上げたGENIACの枠組みの下、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する事業に継続して採択されています。これらの研究開発の成果は順次ABEJA Platformに展開しています。 d.AIロボティクス 当社は、LLMの判断結果を現場オペレーションに反映・実行するAIロボティクスを戦略領域に位置付けています。現場の安全・品質の向上、人手不足・技能継承の支援、社会インフラの安定運用といった社会的要請を踏まえ、オープンな外部連携を通じて社会実装を段階的に進めています。また、この取り組みの一環として、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)に正会員として加入し、同領域のデータプラットフォームに関する研究開発にも参画しています。 e.適用領域の拡大について AI、特にディープラーニングは日進月歩の技術進化を辿っており、画像認識から自然言語コミュニケーションや意思決定支援に至るまで適用領域が拡大する中、当社の提供サービスの適用領域も広がっております。また、AIロボティクスの展開により、デジタル空間に加えリアル空間(フィールドオペレーション)へ拡張しています。 f.取組範囲の拡大について 一顧客において、単一のビジネスプロセスから、複数のビジネスプロセスに取組範囲を広げることにより、重層的に顧客企業のAI導入を推進できます。ABEJA Platformに蓄積済みの連携データを再活用することで、サービス提供の速度を上げていくことが可能となります(図7)。 図7:重層的なデジタルトランスフォーメーションの推進 ② トランスフォーメーション領域とオペレーション領域 a.トランスフォーメーション領域 顧客ニーズに対応したABEJA Platformの導入支援とその周辺サービスを提供しており、仕組みづくり・構築フェーズに位置づけられます。なお、仕組みづくり・構築は段階的に進めていくため、多くの収入はフロー型(都度契約)の契約となりますが、一方で長期間にわたる計画的なプロセスとなるため、継続顧客の割合は高くなっております。   ・エンタープライズ企業の継続顧客からの売上比率(注) 88.8%(2025年8月期)(注)エンタープライズ企業の継続顧客からの売上比率は、既存顧客(前事業年度に売上が発生したエンタープライズ顧客)の当事業年度の売上高/エンタープライズ顧客の当事業年度の総売上高。 導入支援にあたっては、経営レベル、全社レベルのビジョンの策定・共有から、ビジョンを具現化するためのプランニング、ビジネスプロセスにあわせたABEJA Platformの導入を伴走型で支援しております。 また、当社では顧客企業のAI研修等を通じて、企業内のデジタル人材の育成も推進しております。  b.オペレーション領域 ABEJA Platform上で人とAIの協調による運用を行う運用フェーズに位置づけられます。このため、主な収入はストック型の継続収入となります。 現状では、小売業、不動産業、製造業、金融業などが対象となり、複数の業界にわたってABEJA Platform上で人とAIの協調による運用を行っております。 また、オペレーション領域主体の具体例として、ABEJA Platform上に構築したABEJA Insight for Retailを、小売業中心に提供しております。ABEJA Insight for Retailでは、店舗に設置したカメラなどデバイスを通して消費者の動線分析や年代・性別の推定を行い、入店から購買に至る消費者行動をデータとして可視化・数値化することで、店舗の課題を客観的に把握し、運営の改善に繋げることが可能となります。  c.具体例 具体的な取組事例は以下のとおりとなります。 顧客業種取組内容想定する効果小売販売データに基づく販売在庫の自動発注最適化システムの構築・運用食品サプライチェーンの最適化プラント画像データに基づきプラントインフラの定期的検査・モニタリングを行うシステムの構築・運用保守人員の削減製造業トラブル等のデータに基づき対処方法を選定するシステムの構築・運用トラブル対応コストの削減電力稼働データに基づく電力需要予測システムの構築・運用電力量の効率的コントロール医療画像データに基づく疾患検出システムの構築・運用予防医療と関連疾患の早期発見介護介護データに基づく被介護者の自立支援システムの構築・運用介護従事者の効率性向上、サービス品質向上金融アンダーライティング(引受業務)の高度化を行うための支援引受工数削減、リスクマネジメントの高度化、収益向上情報購入データに基づくコンテンツレコメンドシステムの構築・運用利用者の利便性の向上、購入率の向上不動産ハイブリッドワーク(オフィス出社とリモートワーク)下における情報・コミュニケーション格差が発生しないためのオフィス環境の構築・運用入居者ターゲットの拡充中間流通効率化のためにDX化すべきオペレーションを予測するシステムの構築・運用中間工数の削減  d.ABEJA Platformと2領域の連携 当社では、トランスフォーメーション領域とオペレーション領域で得た知見を基盤であるABEJA Platformに還元するとともに、2つの領域間でも相互に連携をとる、シナジー効果の高い事業モデルとなっております。2領域で獲得した知見をABEJA Platformに蓄積することで、継続的な効率化や安定性の向上、ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスなどの改善を行っております(図8)。 図8:ABEJA Platformと2領域の連携 [事業系統図] 用語集用語内容デジタルトランスフォーメーション(DX)データとデジタル技術を活用することで製品・サービス・ビジネスモデルの変革を行い、新たな競争優位性を作り出すこと。人工知能(Artificial Intelligence/AI)人工知能。学習・推論・認識・判断などの人の知能的な作業・活動を行う人工的な仕組み。機械学習(Machine Learning/ML)コンピュータが、大量のデータから反復的に学習することでルールやパターンを見つけ出し、それをもとに分類や予測を行うアルゴリズムやモデルの総称。深層学習(Deep Learning/DL)機械学習の一種。人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層にしたアルゴリズムの総称。従来は人が行っていたデータから潜在的な特徴を抽出する作業をコンピュータが行うことが特徴。生成AI(Generative AI/GAI)学習データをもとに、テキストや画像など新たなデータを生成するAI(人工知能)のこと。大規模言語モデル(Large Language Model/LLM)巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された大規模言語モデルのこと。AIロボティクスAIとロボット工学の融合により、AIの判断結果をロボットの実世界での行動に反映する社会実装領域。フィジカルAIの枠組みに含まれる。Human in the Loop(HITL)段階的に運用ノウハウや知識データを蓄積し、人とAIが協調してオペレーションする環境を創出する仕組み。EMS(Electronics Manufacturing Service)電子機器をはじめとした他社の製品の製造を請け負うサービスのこと。EMSは、規模の経済を働かせ製造コストを抑えるといったモデルで拡大、近年では請け負う製品領域が多様化しており、また、サービス領域も製造のみならず設計、保守運用に拡がりを見せている。PoC(Proof of Concept/実証実験)構想、企画したシステムが意図した結果を生み出すかを確認するために、AIの精度などの不確実性が高い部分に絞り実験的に検証すること。AutoML(Automated Machine Learning)データ収集、データの加工、モデルの生成などの機械学習のプロセスを自動化する技術や手法、概念のこと。BaaS(Backend as a Service)アプリケーションのバックエンド機能を提供するクラウドサービス。ABEJAでは、属性推定や需要予測等のAIを、一定程度の精度が担保された状態で予め準備し、顧客が簡単に利用できるように提供。RAG(Retrieval Augmented Generation)LLMにプロンプトを入力すると、そのプロンプトをもとに外部データから関連する部分を取り出し、それを元に回答を生成する方法のこと。Agentプロンプトで入力した内容をもとにLLMが必要なアクションを考え、コンピュータ上でそのアクションを実行する機能のこと。Fine-tuning既に学習済みのモデルに、特定の用途を見据えて再学習を行うこと。事前学習 (Pre-Training)モデルに基本的な言語能力や語彙、知識を習得させるために自己教師あり学習を行う手法のこと。事後学習 (Post-Training)Pre-Trainingしたモデルを、ユーザが使いやすい応答をするように追加で学習を行うこと。ガードレールLLMの入力と出力を監視するアルゴリズムのこと。アノテーションAIが学習する教師データ(正解データ、ラベル)を作成するため、画像やテキストなどのデータに関連する情報を注釈として付与する作業のこと。ユーザーインターフェース(UI)ユーザーがサービスを利用する際に触れる操作画面や操作方法などの、ユーザーとサービスの接点を指す。ユーザーエクスペリエンス(UX)製品やサービスを通して、ユーザーが感じる使いやすさや印象といったユーザー体験のこと。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
多種多様な業界・業態300社以上のAI導入支援で培ったナレッジとABEJA Platformの最先端技術・ノウハウを活用できる点。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
ABEJA Platformの開発・導入・運用ノウハウ、AI導入支援実績、最先端技術の継続的な開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 軽い(資本不要)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 低い
会社が挙げる主要リスク:デジタルトランスフォーメーション関連市場、AI市場の成長鈍化 / 競合激化による顧客獲得・維持の困難化 / 市場動向に適した技術やビジネスモデルを創出できないリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 1 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

現時点では、ABEJAが保有する特許、ブランド、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な情報は開示されておらず、無形資産による競争優位性は確認できません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

ABEJAのAIプラットフォームは、顧客のデータ分析基盤に組み込まれる可能性があり、一度導入すると他社への移行には一定の手間やコストが発生する可能性があります。しかし、その規模や影響力はまだ限定的と見られます。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

現時点では、ABEJAのサービスにおいて、ユーザー数の増加がサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果が明確に観察される状況ではありません。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

ABEJAのビジネスモデルにおいて、競合他社と比較して構造的に低コストで製品やサービスを提供できる優位性は現時点では確認されていません。

規模の経済☆☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

ABEJAは比較的新しい企業であり、情報通信業の中でも特定のニッチ市場に特化している可能性があり、業界規模に対して最適な少数寡占を形成しているとは言えません。

  • 豊富な導入実績とノウハウ
    ABEJAは300社以上の多種多様な業界・業態へのAI導入実績があり、これにより培われた豊富なナレッジ(知識やノウハウ)が強みです。この実績は、顧客がAI導入を検討する際の信頼性につながり、また、過去の経験から得られた知見は、新たな顧客への提案やシステム構築の効率化に貢献し、競合他社に対する優位性を確立しています。
  • 特許技術と最先端技術
    ABEJA Platformのコア技術は「機械学習又は推論のための計算機システム及び方法」として特許を取得しており、これが競合他社への牽制となり、技術的な優位性の一要素となっています。さらに、生成AIやLLM(大規模言語モデル)といった最先端技術をいち早く取り入れ、「ABEJA LLM Series」をリリースするなど、常に最新技術を提供できる体制も強みです。
  • Human in the Loopの仕組み
    ABEJA Platformは「Human in the Loop(人が介在するAI運用)」の仕組みを提供しており、AIの精度が低い初期段階からでも人が補完することで実運用を可能にします。これにより、従来のAI導入で課題となっていたPoC(実証実験)期間を短縮し、早期にAIを導入・運用できるため、顧客は迅速にAIの恩恵を受けられ、ABEJAは早期の収益化と顧客満足度向上につなげています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、テクノロジーの産業界への社会実装を支援することにより、産業横断的なイノベーションを創出し、社会に貢献し続けることを目指しております。どのような素晴らしいテクノロジーであっても、それが社会に実装されていない場合は価値を見出すことはできない、という背景に基づいております。 そのため、当社は「テクノプレナーシップ」(進化するテクノロジーを用いて(Technology)、どのような社会を実現していくかを問い続ける姿勢(Liberal Arts)、そしてこの円環を推進する力(Entrepreneurship)の造語)を行動精神とし、「テクノロジーの力で産業構造を変革する」というミッション、「イノベーションで世界を変える」というビジョンのもと、事業活動に取り組んでおり、これらの活動が企業価値の最大化につながると考えております。 図1:テクノプレナーシップ概念図 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は中長期的な企業価値の向上を図るため、デジタルプラットフォーム事業における「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」のビジネスを成長させるとともに、2領域で得た知見を事業基盤であるABEJA Platformに蓄積し、継続的に強化・発展するサイクルを形成することが重要と考えております。このため、当社は顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。 (3)経営環境 当社が創業した2012年は、AI、機械学習の研究分野において、ディープラーニングが登場し大きなブレークスルーが起きた年であり、それまでと比べ、AIを活用できる事業領域が大幅に拡大したといわれております。 産業界においては、「第4次産業革命」と呼ばれるAI、IoT、ビッグデータ、ロボットの活用が成長戦略の中核として捉えられるようになり、労働力が減少する市場において、生産性の向上や技術の継承、ビジネスモデル自体の変革を目的として、デジタルトランスフォーメーションの推進が重要なテーマとして掲げられております。 足元、LLM活用は企業ごとにトライアルや業務内の個人利用から業務組込みまで段階差はあるものの、需要は堅調に推移しています。LLM活用の重心は「単発の個別業務・個人利用」から「業務の中核」へ移行しつつあり、デジタル空間での取り組みは深化・拡大しています。 こうした潮流のもと、当社はこれまでミッションクリティカル業務に対し、業務構造を踏まえたAI導入を積み上げてきました。中核業務でのLLM導入が進む深化・拡大局面において、この蓄積は当社の競争優位として一層の価値を発揮できると考えております。 加えて、当社はLLMの知見をAIロボティクスへ展開する取り組みを強化しています。この取り組みを背景に当社は加入する一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)を通じて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に向けたデータプラットフォームに係る開発」に参画しています。AIロボティクスは、ディープラーニングやLLMによるデジタル側の意思決定を実世界での行動へ接続することで、AIの適用領域をデジタル空間からリアル空間(フィールドオペレーション)へ広げる次の成長領域と捉えています。 また、研究開発は当社の技術的優位の源泉であるため、中長期の競争力確保に向け、重点領域を定め、継続的に推進していきます。現在は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ロングコンテキスト対応基盤モデルとAIエージェント構築に関する研究開発」(2025年7月採択、2026年2月まで実施予定)や、小型LLMの高精度化、AIロボティクス適用等も並行して推進しています。 全体としては、良好な事業環境のもとでLLMは深化・拡大局面にあり、AIロボティクスにより事業領域はリアル空間まで拡張されていきます。このような中、当社はエンタープライズ案件と公的プロジェクトを並行して推進し、LLMを成長ドライバーに据え、AIロボティクスを次の柱として育成してまいります。 なお、当社は「ABEJA Platform」を中心とした「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」において、様々な段階・ニーズの企業に対してサービス提供を行っており、一気通貫型で顧客を長期的に支援したいと考えております。個々のサービスを単独で比較した場合、コンサルティングファームやシステムインテグレータなどの競合は存在しますが、当社は一気通貫型の「ABEJA Platform」とそれに紐づく実装ノウハウを有しており、上流から下流まで一元的にサービス提供できる強みがあり、当該観点から参入障壁は高いと考えております。 (4)経営戦略 当社は今後も拡大を続けるデジタルトランスフォーメーション市場の中で、さらなる事業成長を目指すため、ABEJA Platformの技術力・導入実績、テクノプレナーシップに基づく優秀な人材等の強みを背景に経営戦略を立案しております。 ① 生成AI、LLMと周辺領域、AIロボティクス 足元では生成AI、特にLLMの技術進化は顕著で、適用領域も拡大しており、当社ではよりミッションクリティカル性の高い業務へのAI導入が進むと見込んでおりました。現状はこの見立てに沿って推移していることから、引き続き、LLMとその周辺領域の機能・技術を注力領域としております。 基盤モデルにつきましては、LLMの社会実装を意識しますと、コスト対精度が重要になることから、当社は特定タスクに特化したコストパフォーマンスの高い大規模・中規模基盤モデルを注力領域としております。現状、経済産業省「GENIAC」に採択されるなど、当社は大規模・中規模基盤モデルの構築実績と技術力を有しており、今後も継続的な研究開発を進めてまいります。 また、基盤モデル単体とは別に、社会実装には周辺領域の機能・技術(AIエージェント、データベースとの連携、ユーザーとの連携、ガードレール、プライバシー保護等)が重要となります。周辺領域の機能・技術についてはABEJA Platformに搭載し、顧客企業の利用も進んでおりますが、基盤モデルの進化に適応していくため、継続して研究開発を行ってまいります。 加えて、次の戦略領域として、当社の事業領域の拡張にもつながるAIロボティクスの実装・利活用に向けた取り組みを進めていきます。 これら取り組みと、これまでABEJA Platformに搭載してきたHuman in the Loopなどの当社の強みを組み合わせて提供することにより、より付加価値の高いサービスを提供できると考えております。 ② ABEJA Platformの拡充 デジタルトランスフォーメーションやAI導入の進展に伴い、企業の抱える課題やニーズは多様化・複雑化することが見込まれます。当社はABEJA Platformの機能追加と、既存機能の改善を継続的に行い、多様化する顧客ニーズに対応し、提供価値の向上を図ってまいります。 ③ 顧客基盤の拡大と深耕、ミッションクリティカル業務におけるサービス提供の拡大 今後も国内デジタルトランスフォーメーション市場の拡大は見込まれており、当社の一層の成長・拡大の機会が存在しております。当社はこれまでの実績から得た知見を推進力として、新規顧客の獲得(顧客基盤の拡大)、既存顧客との取引関係の多様化(深耕)を図り、収益基盤の拡大を目指してまいります。また、技術の適用領域が拡大していることから、よりミッションクリティカル性が高い業務へのAI導入を実現してまいります。 ④ 人材の採用、育成とカルチャーの醸成 今後の市場拡大と当社の業容拡大に向けて、継続的に優秀な人材を採用、育成し、組織力の強化を図ることが重要と認識しております。当社の魅力である「最先端技術を活用した案件が多数あること」、「実運用を目指す思想とノウハウを有していること」、「技術に対する意識が高く、職種の垣根なく幅広い経験を積めるCDO輩出集団であること」を発信、アピールすることにより、人材の獲得につなげてまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社はこのような経営環境等を踏まえ、さらなる事業成長を支えるため、以下の課題につき、優先的に対処してまいります。 ① 人材の採用・育成 当社は顧客ニーズの多様化、生成AI(特にLLM)及びAIロボティクス並びにそれらの周辺領域の機能・技術の進化に迅速に対応するため、多様な経歴、専門性を持つ「テクノプレナー人材」の確保、育成が必要と考えております。当社の企業理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくため、積極的な採用活動を進めるとともに、働きやすく自己研鑽できる環境・仕組みの整備に取り組んでまいります。 ② 認知度の向上 当社はこれまで自社カンファレンスの開催、広報活動、技術ブログの発信、研究開発活動の公開、マーケティング活動等を通じて、認知度の向上に取り組んでまいりました。今後も、より一層の当社及び当社サービスの認知度向上のため、これらの施策を推進し、人材の採用や新規顧客獲得につなげてまいります。 ③ システムの安定性強化 当社はインターネットを介したサービス提供を行っているため、当該システムを安定的に稼働させることが重要と考えております。そのために、サーバー設備の強化や、システム安定稼働のための人員確保等に努めてまいります。 ④ 情報管理体制の強化 当社はシステム運用やサービス提供の過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティに関する社内規程に基づき管理を徹底しております。また、当社は2018年にプライバシーマークを取得、2025年にISMS認証(ISO/IEC27001)を取得しております。今後も社内教育やシステムの整備等に継続して取り組んでまいります。 ⑤ 内部管理体制の強化 当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理の観点から、内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、コーポレート機能を充実させ、経営の公平性・透明性の確保に向け、内部統制の整備・運用を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。 ⑥ 財務の充実と非連続的成長を支える資金の確保 当社は今後の事業拡大に伴う人材採用及び継続的な研究開発などに加え、非連続的成長を目的とした戦略的M&Aの実行に備え、財務の充実と安定化を進めていくことが重要と考えております。今後も多様な資金調達手法を検討し、長期的な成長の実現に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、テクノロジーの産業界への社会実装を支援することにより、産業横断的なイノベーションを創出し、社会に貢献し続けることを目指しております。どのような素晴らしいテクノロジーであっても、それが社会に実装されていない場合は価値を見出すことはできない、という背景に基づいております。 そのため、当社は「テクノプレナーシップ」(進化するテクノロジーを用いて(Technology)、どのような社会を実現していくかを問い続ける姿勢(Liberal Arts)、そしてこの円環を推進する力(Entrepreneurship)の造語)を行動精神とし、「テクノロジーの力で産業構造を変革する」というミッション、「イノベーションで世界を変える」というビジョンのもと、事業活動に取り組んでおり、これらの活動が企業価値の最大化につながると考えております。 図1:テクノプレナーシップ概念図 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は中長期的な企業価値の向上を図るため、デジタルプラットフォーム事業における「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」のビジネスを成長させるとともに、2領域で得た知見を事業基盤であるABEJA Platformに蓄積し、継続的に強化・発展するサイクルを形成することが重要と考えております。このため、当社は顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。 (3)経営環境 当社が創業した2012年は、AI、機械学習の研究分野において、ディープラーニングが登場し大きなブレークスルーが起きた年であり、それまでと比べ、AIを活用できる事業領域が大幅に拡大したといわれております。 産業界においては、「第4次産業革命」と呼ばれるAI、IoT、ビッグデータ、ロボットの活用が成長戦略の中核として捉えられるようになり、労働力が減少する市場において、生産性の向上や技術の継承、ビジネスモデル自体の変革を目的として、デジタルトランスフォーメーションの推進が重要なテーマとして掲げられております。 足元、LLM活用は企業ごとにトライアルや業務内の個人利用から業務組込みまで段階差はあるものの、需要は堅調に推移しています。LLM活用の重心は「単発の個別業務・個人利用」から「業務の中核」へ移行しつつあり、デジタル空間での取り組みは深化・拡大しています。 こうした潮流のもと、当社はこれまでミッションクリティカル業務に対し、業務構造を踏まえたAI導入を積み上げてきました。中核業務でのLLM導入が進む深化・拡大局面において、この蓄積は当社の競争優位として一層の価値を発揮できると考えております。 加えて、当社はLLMの知見をAIロボティクスへ展開する取り組みを強化しています。この取り組みを背景に当社は加入する一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)を通じて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に向けたデータプラットフォームに係る開発」に参画しています。AIロボティクスは、ディープラーニングやLLMによるデジタル側の意思決定を実世界での行動へ接続することで、AIの適用領域をデジタル空間からリアル空間(フィールドオペレーション)へ広げる次の成長領域と捉えています。 また、研究開発は当社の技術的優位の源泉であるため、中長期の競争力確保に向け、重点領域を定め、継続的に推進していきます。現在は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ロングコンテキスト対応基盤モデルとAIエージェント構築に関する研究開発」(2025年7月採択、2026年2月まで実施予定)や、小型LLMの高精度化、AIロボティクス適用等も並行して推進しています。 全体としては、良好な事業環境のもとでLLMは深化・拡大局面にあり、AIロボティクスにより事業領域はリアル空間まで拡張されていきます。このような中、当社はエンタープライズ案件と公的プロジェクトを並行して推進し、LLMを成長ドライバーに据え、AIロボティクスを次の柱として育成してまいります。 なお、当社は「ABEJA Platform」を中心とした「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」において、様々な段階・ニーズの企業に対してサービス提供を行っており、一気通貫型で顧客を長期的に支援したいと考えております。個々のサービスを単独で比較した場合、コンサルティングファームやシステムインテグレータなどの競合は存在しますが、当社は一気通貫型の「ABEJA Platform」とそれに紐づく実装ノウハウを有しており、上流から下流まで一元的にサービス提供できる強みがあり、当該観点から参入障壁は高いと考えております。 (4)経営戦略 当社は今後も拡大を続けるデジタルトランスフォーメーション市場の中で、さらなる事業成長を目指すため、ABEJA Platformの技術力・導入実績、テクノプレナーシップに基づく優秀な人材等の強みを背景に経営戦略を立案しております。 ① 生成AI、LLMと周辺領域、AIロボティクス 足元では生成AI、特にLLMの技術進化は顕著で、適用領域も拡大しており、当社ではよりミッションクリティカル性の高い業務へのAI導入が進むと見込んでおりました。現状はこの見立てに沿って推移していることから、引き続き、LLMとその周辺領域の機能・技術を注力領域としております。 基盤モデルにつきましては、LLMの社会実装を意識しますと、コスト対精度が重要になることから、当社は特定タスクに特化したコストパフォーマンスの高い大規模・中規模基盤モデルを注力領域としております。現状、経済産業省「GENIAC」に採択されるなど、当社は大規模・中規模基盤モデルの構築実績と技術力を有しており、今後も継続的な研究開発を進めてまいります。 また、基盤モデル単体とは別に、社会実装には周辺領域の機能・技術(AIエージェント、データベースとの連携、ユーザーとの連携、ガードレール、プライバシー保護等)が重要となります。周辺領域の機能・技術についてはABEJA Platformに搭載し、顧客企業の利用も進んでおりますが、基盤モデルの進化に適応していくため、継続して研究開発を行ってまいります。 加えて、次の戦略領域として、当社の事業領域の拡張にもつながるAIロボティクスの実装・利活用に向けた取り組みを進めていきます。 これら取り組みと、これまでABEJA Platformに搭載してきたHuman in the Loopなどの当社の強みを組み合わせて提供することにより、より付加価値の高いサービスを提供できると考えております。 ② ABEJA Platformの拡充 デジタルトランスフォーメーションやAI導入の進展に伴い、企業の抱える課題やニーズは多様化・複雑化することが見込まれます。当社はABEJA Platformの機能追加と、既存機能の改善を継続的に行い、多様化する顧客ニーズに対応し、提供価値の向上を図ってまいります。 ③ 顧客基盤の拡大と深耕、ミッションクリティカル業務におけるサービス提供の拡大 今後も国内デジタルトランスフォーメーション市場の拡大は見込まれており、当社の一層の成長・拡大の機会が存在しております。当社はこれまでの実績から得た知見を推進力として、新規顧客の獲得(顧客基盤の拡大)、既存顧客との取引関係の多様化(深耕)を図り、収益基盤の拡大を目指してまいります。また、技術の適用領域が拡大していることから、よりミッションクリティカル性が高い業務へのAI導入を実現してまいります。 ④ 人材の採用、育成とカルチャーの醸成 今後の市場拡大と当社の業容拡大に向けて、継続的に優秀な人材を採用、育成し、組織力の強化を図ることが重要と認識しております。当社の魅力である「最先端技術を活用した案件が多数あること」、「実運用を目指す思想とノウハウを有していること」、「技術に対する意識が高く、職種の垣根なく幅広い経験を積めるCDO輩出集団であること」を発信、アピールすることにより、人材の獲得につなげてまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社はこのような経営環境等を踏まえ、さらなる事業成長を支えるため、以下の課題につき、優先的に対処してまいります。 ① 人材の採用・育成 当社は顧客ニーズの多様化、生成AI(特にLLM)及びAIロボティクス並びにそれらの周辺領域の機能・技術の進化に迅速に対応するため、多様な経歴、専門性を持つ「テクノプレナー人材」の確保、育成が必要と考えております。当社の企業理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくため、積極的な採用活動を進めるとともに、働きやすく自己研鑽できる環境・仕組みの整備に取り組んでまいります。 ② 認知度の向上 当社はこれまで自社カンファレンスの開催、広報活動、技術ブログの発信、研究開発活動の公開、マーケティング活動等を通じて、認知度の向上に取り組んでまいりました。今後も、より一層の当社及び当社サービスの認知度向上のため、これらの施策を推進し、人材の採用や新規顧客獲得につなげてまいります。 ③ システムの安定性強化 当社はインターネットを介したサービス提供を行っているため、当該システムを安定的に稼働させることが重要と考えております。そのために、サーバー設備の強化や、システム安定稼働のための人員確保等に努めてまいります。 ④ 情報管理体制の強化 当社はシステム運用やサービス提供の過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティに関する社内規程に基づき管理を徹底しております。また、当社は2018年にプライバシーマークを取得、2025年にISMS認証(ISO/IEC27001)を取得しております。今後も社内教育やシステムの整備等に継続して取り組んでまいります。 ⑤ 内部管理体制の強化 当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理の観点から、内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、コーポレート機能を充実させ、経営の公平性・透明性の確保に向け、内部統制の整備・運用を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。 ⑥ 財務の充実と非連続的成長を支える資金の確保 当社は今後の事業拡大に伴う人材採用及び継続的な研究開発などに加え、非連続的成長を目的とした戦略的M&Aの実行に備え、財務の充実と安定化を進めていくことが重要と考えております。今後も多様な資金調達手法を検討し、長期的な成長の実現に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。 ① 経営成績の状況 当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、テクノロジーの産業界への社会実装を支援することにより、産業横断的なイノベーションの創出を目指しています。その実現に向け、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行っております。 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、国内景気には緩やかな回復の動きがみられます。一方で物価上昇、米国の政策動向、為替動向、ウクライナ・中東情勢等の影響により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。 当社の事業環境におきましては、ビジネスプロセスのデジタル化や既存のビジネスモデルを変える新たな試み、大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)等の生成AIへの関心・利活用は広がりをみせ、企業のIT投資意欲は引き続き強い状況にあります。今後は少子高齢化に伴う労働生産人口の減少等を背景に、LLMの利活用に加え、AIロボティクスの検討・適用も着実に広がっていくものと捉えております。 このような環境のもと、当社はミッションクリティカル業務における堅牢で安定的な基盤システムとアプリケーション群であるABEJA Platformを提供し、生成AIをはじめとする最先端技術による運用を「人とAIの協調」により実装してまいりました。 当事業年度はエンタープライズ案件と公的プロジェクトを並行して推進し、社会実装の加速に取り組みました。研究開発では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の枠組みで、高精度な小型LLMを構築し、コスト対精度におけるブレークスルーを確認しています。また、2025年3月に一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)に加入するなど、AIロボティクスへの取り組みを強化しています。LLMの知見をロボティクスに展開することで、当社の事業領域はデジタル空間からリアル空間のフィールドオペレーションへ拡大していきます。組織面では、主要アカウントのレビュー体制強化、小規模チーム運営によるマネジメント品質の向上、ミドルマネジメントの育成等が取引の量と質の両面を押し上げました。その結果、課題としていた「リソース拡大(人件費)と売上拡大のバランス」は改善傾向にあります。 こうした取り組みにより、当事業年度は増収増益となりました。売上高は各四半期とも前年同期を上回り、主にLLM案件が成長を牽引しました。売上総利益率は前事業年度を下回ったものの、戦略的案件への取り組みに伴う想定内の水準です。販管費の伸びは売上高の伸びを下回り、営業利益も増加しました。 以上より、当事業年度の経営成績は、売上高3,585,409千円(前期比29.6%増)、営業利益445,886千円(前期比53.6%増)、経常利益451,978千円(前期比57.7%増)、当期純利益448,268千円(前期比105.0%増)となりました。 なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ② 財政状態の状況 (資産) 当事業年度末の資産合計は5,318,174千円となり、前事業年度末に比べ1,078,355千円増加いたしました。これは主に未収入金の回収により現金及び預金が1,717,107千円増加したこと、公的プロジェクトに関する助成金の回収により未収入金が684,118千円減少したこと等によるものです。 (負債) 当事業年度末の負債合計は、846,438千円となり、前事業年度末に比べ504,679千円増加いたしました。これは主に契約負債が132,447千円増加したこと、未払消費税等が118,037千円増加したこと、未払法人税等が72,373千円増加したこと等によるものであります。 (純資産) 当事業年度末の純資産の残高は、4,471,736千円となり、前事業年度末に比べ573,675千円増加いたしました。これは主に新株予約権行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ63,654千円増加したことに加え、当期純利益を448,268千円計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,717,107千円増加し、当事業年度末には4,586,017千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により得られた資金は、1,621,241千円となりました(前事業年度は760,011千円の支出)。これは主に税引前当期純利益451,978千円の計上、公的プロジェクトに関する助成金の回収による未収入金の減少額684,118千円等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は、28,412千円となりました(前事業年度は28,569千円の支出)。これは主に有形固定資産の取得による支出15,928千円及び差入保証金の差入による支出12,484千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により得られた資金は、124,278千円となりました(前事業年度は116,955千円の収入)。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入124,550千円等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。b.受注実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。c.販売実績 販売実績を領域別に示すと以下のとおりであります。なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。領域の名称前事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)当事業年度(自 2024年9月1日 至 2025年8月31日)金額(千円)前年同期比(%)割合(%)金額(千円)前年同期比(%)割合(%)トランスフォーメーション領域2,104,35092.876.12,746,630130.576.6オペレーション領域661,901130.623.9838,779126.723.4合計2,766,25199.7100.03,585,409129.6100.0  (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。相手先前事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)当事業年度(自 2024年9月1日 至 2025年8月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)さくらインターネット株式会社--615,20517.2SOMPOホールディングス株式会社565,37620.4461,58012.9味の素株式会社311,27811.3-- (注)前事業年度及び当事業年度のいずれかが10%未満の場合、記載を省略し、「-」表示しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社における重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。 ③ 財政状態の分析 財政状態の分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。 ④ キャッシュ・フローの分析 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性 当社における主な資金需要は、継続的なサービス提供のための開発・研究に関する費用や人件費、人員獲得のための採用費、当社の認知度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。 ⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制、その他の様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。 ⑦ 経営者の問題意識と今後の方針に関して 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 ⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容 当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。 当事業年度における売上高は3,585,409千円(前事業年度2,766,251千円)、前期比29.6%増となりました。内訳として、トランスフォーメーション領域は30.5%増、オペレーション領域は26.7%増となり、バランスよく伸長しております。さらに、年間取引額5,000万円以上の取引先も41.7%増となり、取引規模の拡大が進みました。加えて、新規・既存双方で取引ボリュームが増加し、継続顧客比率も上昇しました。当該拡大の主な要因は以下のとおりです。・需要面:LLM需要の高まりを背景に、顧客課題の把握から提案・案件化・拡大へ適切に繋げられたこと。・技術面:NEDOの枠組みで推進した研究開発において、当社小型LLMが一部ベンチマークで良好な結果を示し、その成果の公表が案件化の促進に寄与したこと。 ・組織面:主要アカウントのレビュー体制強化、小規模チーム運営によるマネジメント品質の向上、ミドルマネジメントの育成等が取引の量と質の双方を押し上げたこと。 これら成長の原動力はLLM案件であり、売上高に占める構成比は前期の20%超から今期は50%超へ上昇しました。量的拡大に加え、取引の大口化・継続化・新規開拓が進み、質的向上にもつながっております。 この結果、営業利益は445,886千円(前事業年度290,341千円)、前期比53.6%増となりました。今後の各指標の向上の施策については前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

事業リスク

  • 市場成長の鈍化と競争激化
    デジタルトランスフォーメーションやAI市場は今後も拡大が期待されますが、景気変動や新技術への投資状況によっては成長ペースが鈍化する可能性があります。また、市場が未成熟なため新規参入が増え、価格競争が激化するリスクがあり、これがABEJAの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 技術革新への対応遅れ
    AI関連産業は技術革新のスピードが非常に速く、ビジネスモデルも急速に変化します。ABEJAが市場の動向に適した新技術や新サービスを継続的に開発できない場合、競争力を失い、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。これにより、ABEJAの経営成績や財政状態に大きな影響が出る可能性があります。
  • システム障害とセキュリティ
    ABEJAの事業はインターネット通信網やクラウドサービス(GCP、AWSなど)に依存しているため、自然災害、システム過負荷、サイバー攻撃などによりシステム障害が発生した場合、サービス提供が不可能になる可能性があります。これにより、顧客からの損害賠償請求や企業の信頼性低下を招き、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,473 文字
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。また、リスクの発生可能性、発生時期及び影響度についても、当社が判断したものであり不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)事業環境に関するリスク① デジタルトランスフォーメーション関連市場、AI市場の動向(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大) 今後、多様な産業においてデジタルトランスフォーメーションへの取り組み、AI導入が一層進展し、当社事業が属する市場は拡大を続けるものと見込んでおります。当社では、市場の動向を調査しその兆候を経営に反映させるとともに、顧客基盤の拡充を図っておりますが、企業の景気動向による影響やその他の各種新技術に対する投資を受け、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場が成熟していないため、新規参入の増加等による価格競争の激化等が起こった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 競合環境(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社が提供している関連サービスについては、他業種大手企業から高度に専門化した新興企業に至るまで、様々な企業による新規参入が多く見受けられ、類似のサービスを提供している会社も複数存在しております。これらの会社が当社と同様のサービスへ参入し競争が激化した場合は、当社の期待どおりに顧客を獲得・維持できないことも考えられます。当社は、早い段階から「ABEJA Platform」への戦略的な投資を実行し、AI導入実績について他社に先駆けて積み上げることによって、他社との差別化・競争優位性の確立に努めておりますが、他社との競合環境の変化によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術・ビジネスモデルへの対応(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)当社が事業を展開しているデジタルトランスフォーメーション関連産業は、市場が未成熟であり、グローバル市場において技術革新のスピードやビジネスモデルの移り変わりが早いため、当社では新技術及び新サービスの開発を継続的に行うとともに、優秀な人材の確保に取り組んでおります。しかしながら、今後何らかの事由によって当社が市場の動向に適した技術やビジネスモデルを創出できない場合、当社のサービスが市場での競争力を失い、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 当社のビジネスモデルについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)顧客企業に対してABEJA Platformの導入やインテグレーション(システム連携や実際の現場への施工)を行う場合、顧客企業の現行システムの状況などによってプロジェクト進捗が遅延する可能性がございます。当社では、ABEJA Platformの導入やインテグレーションを簡易化する追加機能開発、コンサルティングフレームワークの充実により、負荷を軽減させる取り組みを行っておりますが、当社の想定を上回る顧客企業数において進捗遅延や想定を超える期間を要した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ AIロボティクスの社会実装について(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社はAIロボティクスを戦略領域として推進しています。リアル空間での社会実装に際しては、安全・製造物責任、情報系・制御系のセキュリティ、調達・保守、人材・体制等の要因により、立上げ遅延・追加コスト・一時的な運用停止が生じるおそれがあります。当社は受入基準の標準化、責任分界の明確化、監視・冗長化、体制強化等により低減を図りますが、これらの要因が顕在化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 事業の拡大について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社では、今後の成長機会の創出に向けて、既存の顧客企業及び見込み顧客企業のニーズを前提とした新機能の開発等を実施しております。また、収益源の多角化の観点から、現在の事業領域と異なる分野にも進出する可能性があります。当社では、収益見通しを吟味した上でこれらの取り組みについて進めておりますが、開発遅延や、現在の事業領域と異なる分野に進出した場合において、当該分野における収益化が進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また当社は、非連続的な成長を含む自社の成長のため、M&Aや資本業務提携は有効な手段の一つと考えております。M&Aや資本業務提携の実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等について事前調査を行い、リスクを検討した上で進めてまいりますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査によって把握できなかった問題が生じた場合や、事業計画が予定どおり進捗しない場合には、株式やのれんの減損処理を行う等、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ システム障害等(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しているため、自然災害や事故等により通信ネットワークが遮断された場合や、システムへの一時的な過負荷によって当社のサーバーが停止した場合には、サービスを提供することが不可能となる若しくはサービスの提供に支障を与える可能性があります。また、「ABEJA Platform」はGCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)等のクラウド上で運営されているため、何らかの事情で当該クラウドサービスに障害等が発生した場合には、サービスを提供することが不可能となる可能性があります。さらに、現場側機器(ロボット・センサー・エッジ端末)や通信遮断等に起因する停止リスクが増える可能性があります。当社としましては、データのバックアップ、データセンターへの分散配置などによってトラブルへの備えをしておりますが、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等やその他当社の想定していない事象の発生によりクラウドサービスの稼働が停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカー等の侵入、その他の不具合によりシステム障害が生じた場合、一時的なサービス提供の停止及びそのことに伴う当社のサービスに対するレピュテーションの悪化や顧客からの損害賠償請求などが想定され、結果として当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 先行投資から得られる効果が期待どおりに実現しないリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社において、先行的に研究開発費、広告宣伝費、人件費を投下し、研究開発と顧客企業獲得を進めることが必要であります。今後も、収益性の向上に努めながらも、事業成長のための投資を継続する方針です。しかしながら、予期せぬ経営環境の変化、追加開発の必要性やその他の理由により、これらの先行投資が想定どおりの成果につながらなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。 ⑨ 大規模な自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業体制に関するリスク① 優秀な人材の確保及び育成(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社が今後更なる事業の拡大に対応するためには、優秀な人材の採用・育成が重要であります。具体的には、生成AI(特にLLM)のエンジニアやデータサイエンティストに加え、AIロボティクス関連の人材が必要であり、当社はこれらの人材の獲得・定着・育成に積極的に取り組んでおります。しかしながら、高度な技術を持つ人材の獲得競争は激化しており、事業規模の拡大に応じた社内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず必要な人材を確保することができない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 内部管理体制(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに法令遵守の徹底が必要と認識しております。そのため、当社では内部管理体制の強化に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特定の人物への依存(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社の代表取締役CEOであります岡田陽介は、創業者であると同時に最高経営責任者として経営戦略、事業戦略等、当社の業務に関しての専門的な知識を有し、重要な役割を果たしております。当社では、他役員や社員への情報共有や権限委譲を進めるなど、代表取締役CEOに過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により代表取締役CEOが当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。④ 機密情報や個人情報に関わる情報管理及びプライバシー権の保護(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社は、その業務の性格上、顧客側で保有している機密情報や個人情報に触れる場合があります。具体的には顧客の販売データ等の機密情報、顔認証に用いる画像データ等の個人情報を扱っております。情報の取扱いについては、情報セキュリティに関する規程、個人情報保護規程等を整備するとともに、プライバシーマーク及びISMS認証(ISO/IEC 27001)を取得することによって、適切な運用に努めております。しかしながら、このような対策にも関わらず当社の人的オペレーションのミス等、その他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社が損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ コンプライアンス体制(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに適宜研修を実施し、周知徹底を図っております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 小規模組織であること(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制になっております。当社では、今後の業務拡大に対応するため、人員の増強や内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、何らかの事由でこれらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 業績変動について(発生可能性:中~大、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社の事業の中には、案件ベースで受注をし、成果物の提出とサービスの提供完了をもって収益認識をしているものがあるため、案件によっては数か月分の稼働に対する売上高が1か月にまとまって計上されることがあります。当社では、各月の売上が平準化するよう努めていますが、個別案件によっては売上高が非連続となる場合や、案件の進行が遅れることで売上高の計上タイミングが想定より遅くなる場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、これにより四半期・月次ごとに業績が変動し、期間分析が困難となる可能性があります。 ⑧ プロジェクト管理について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)当社は、品質・コスト・進捗などに対するプロジェクト管理体制を整備・強化しておりますが、当初想定した以上の開発工数の増加及び機能改善などにより、当初見積ったコストを上回り採算が悪化することがあります。また、納入及び売上の確定後における瑕疵補修などによって追加費用が発生することもあり、これらのことにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ SOMPOホールディングス株式会社及びSOMPO Light Vortex株式会社との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)a.資本的関係 当事業年度末現在、SOMPO Light Vortex株式会社(以下「SOMPO Light Vortex」)は当社の議決権の17.37%を保有しており、当社のその他の関係会社になります。また、SOMPO Light Vortexの100%親会社は、SOMPOホールディングス株式会社(以下「SOMPOホールディングス」)となります。b.役員派遣 当社社外取締役1名は、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexからの派遣役員となります。c.承認等 当社には、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexの事前承認又は事前報告を必要とする取引や業務は存在しません。d.取引関係 当社とSOMPOホールディングスは、2021年4月にデジタルトランスフォーメーション推進等を目的とし、業務提携基本契約を締結しました。当社の売上高に占めるSOMPOホールディングス向けの売上高は、2025年8月期において12.9%であります。なお、SOMPOホールディングスとの取引にあたっては、当社の関連当事者取引管理規程に則り適切に実施しております。 当社は、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexと良好な関係を維持しておりますが、今後も新規顧客の開拓を実施し、特定の取引先への依存度を低減させる方針です。しかしながら、当面は特定の取引先への依存が高い水準で推移することが考えられ、この間に同社の事業戦略方針の転換等により、同社との関係に変化が生じ受注が減少した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 特定の取引先への依存について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の売上高に占めるさくらインターネット株式会社向けの売上高は、2025年8月期において17.2%であります。同社の代表取締役社長 最高経営責任者である田中邦裕氏は、当社の社外取締役であり、また同社は当社の株主であります。同社との取引にあたっては、会社法その他の関係法令及び当社の関連当事者取引管理規程に則り適切に実施しており、良好な取引関係にあります。現時点において取引関係に支障をきたす事象は生じておりませんが、今後は依存度の低減に向け、他の既存顧客との取引拡大や新規顧客の開拓を進め、リスク低減に努めてまいります。もっとも、何らかの理由により、同社との取引関係が継続困難となる、又は取引が大幅に減少する場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)法的規制に関するリスク① 法的規制・制度動向による影響(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)現在、日本国内においてインターネットに関連する主要な法規制は電気通信事業法となっておりますが、インターネット上の情報流通のあり方についても様々な議論がなされている段階であります。また、AI倫理やAIロボティクス等に関する法令・指針(ガイドラインを含む)・業界規範等についても、今後、制定又は改定される可能性があります。当社では、これらの制定・改定について事前に事業に及ぼす影響や対応策等を検討しておりますが、追加的な対応が必要となり事業が制約を受ける場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社における第三者の知的財産権侵害の可能性については、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握はその性質上困難であります。このため、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性があります。その結果、損害賠償請求や知的財産権の使用に係る対価の支払い等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 訴訟等(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)当社では、当事業年度末現在において業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。また、当社は法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を整備しております。しかしながら、当社及び当社の役員、従業員による法令違反の有無にかかわらず、予期せぬ訴訟等が発生する可能性があります。係る訴訟等が発生した場合は、その内容によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)その他のリスク① ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:低)当社は役職員等に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブ等を目的として、ストック・オプション(新株予約権)を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は714,100株であり、発行済株式総数である9,764,800株の7.31%に相当しております。 ② 配当政策(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を経営の重要課題として認識しております。しかしながら、当社は、成長過程にあると考えており、内部留保の充実及び事業拡大のための投資等に充当することが、株主に対する利益還元につながると考えております。将来的には、事業環境及び財政状態を勘案しながら、株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。 ③ 税務上の繰越欠損金、繰延税金資産について(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)当社は、当事業年度末現在、税務上の繰越欠損金が3,697百万円存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、又は期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税の負担が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また当社は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しています。しかしながら、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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