5480

日本冶金工業(5480)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

鉄鋼 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • ステンレス鋼板事業: 日本冶金工業は、ステンレス鋼や耐熱鋼、高ニッケル合金といった特殊な金属の板(薄板、中厚板)、帯(コイル)、鍛鋼品、建材、鋼管、加工品などを製造・加工・販売しています。これらの製品は、高い耐久性や耐食性、耐熱性が求められる様々な産業分野で使われ、同社の主要な収益源となっています。
  • 子会社・関連会社との連携: 当社は18の子会社と2つの関連会社からなる企業集団を形成しており、製造から加工、販売までを一貫して行っています。例えば、ナストーア(株)やナス鋼帯(株)が製造・販売を担い、ナス物産(株)やクリーンメタル(株)が加工・販売を担うことで、グループ全体で効率的な事業運営と顧客ニーズへの対応を実現しています。
  • 多様な製品展開: ステンレス鋼だけでなく、耐熱鋼や高ニッケル合金など、幅広い種類の特殊鋼製品を手掛けています。これにより、自動車、建築、化学プラント、エネルギーなど、多岐にわたる産業の需要に応え、特定の市場変動リスクを分散しながら安定的な収益基盤を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ステンレス鋼板・帯事業: 日本冶金工業の主要事業であり、ステンレス鋼、耐熱鋼、高ニッケル合金の板(薄板、中厚板)・帯(コイル)を製造・販売しています。これらの製品は、その優れた耐食性、耐熱性、強度から、自動車、建築、化学プラント、電子機器など、幅広い産業分野で利用されており、同社の売上の大部分を占める基幹事業です。
  • 鍛鋼品・建材・鋼管事業: ステンレス鋼の鍛鋼品、ステンレス建材、ステンレス鋼管の製造・加工・販売も行っています。鍛鋼品は高い強度と耐久性が求められる部品に、建材は建築物の内外装に、鋼管は流体輸送などに使用され、それぞれ特定の市場ニーズに応える製品群として事業を構成しています。
  • ステンレス加工品事業: ステンレス鋼を素材とした様々な加工品の製造・販売を手掛けています。これは、顧客の具体的な用途や仕様に合わせて製品をカスタマイズする事業であり、付加価値の高い製品を提供することで、多様な顧客層の獲得と収益の安定化に貢献しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|389 文字
3【事業の内容】2025年3月末現在における当社の企業集団は、当社、子会社18社及び関連会社2社により構成されており、その主な事業は、ステンレス鋼板及びその加工品事業であります。なお、当社及び関係会社の位置付けは、次のとおりであります。 〔事業の内容〕当事業においては、ステンレス鋼、耐熱鋼及び高ニッケル合金の板(薄板、中厚板)・帯(コイル)、鍛鋼品、ステンレス建材、ステンレス鋼管、ステンレス加工品等を製造・加工・販売しております。 〔主な関係会社〕(製造・販売)ナストーア(株)、ナス鋼帯(株)、ナスエンジニアリング(株)、ナステック(株)、宮津海陸運輸(株)、NAS TOA(THAILAND)CO.,LTD.、南鋼日邦冶金商貿(南京)有限公司(加工・販売)ナス物産(株)、クリーンメタル(株) 〔事業系統図〕以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
ステンレス特殊鋼業界における供給過剰リスク、競争の激化により影響を受ける
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高機能材の開発・提供、効率的な生産体制の構築、カーボンレスニッケル製錬技術への挑戦
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:製品需給における市場環境の変動リスク / 原材料の価格及び調達環境、為替レートの変動リスク / 設備事故及び労働災害の発生リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

日本冶金工業は特殊鋼の製造・販売を主業としており、特定のブランド力や特許による独占的な優位性は限定的である。汎用品に近い性質を持つ製品も多く、無形資産による競争優位性は低いと考えられる。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

特殊鋼は顧客の仕様要求に合わせて製造される場合が多く、一度採用された材料を変更するには再評価や再設計が必要となるため、一定のスイッチングコストが発生する。しかし、代替材料の選択肢も存在するため、乗り換えを完全に防ぐほどの強固なものではない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業は製造業であり、製品の利用者が増えることで価値が増大するようなネットワーク効果は発生しない。プラットフォームビジネスとは異なり、直接的なネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の操業で培われた製造ノウハウや、特定の原料調達ルートの確保により、一定のコスト競争力を有している可能性がある。特に高付加価値製品においては、効率的な生産体制が強みとなりうる。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

特殊鋼分野において、日本冶金工業は国内有数のメーカーであり、生産規模や技術力において一定の地位を確立している。この規模は、設備投資や研究開発において効率性を生み出し、競合他社に対する優位性となっている。

  • 特殊鋼の製造技術: 日本冶金工業は、ステンレス鋼、耐熱鋼、高ニッケル合金といった特殊な金属の製造において高い技術力を持っています。これらの素材は、一般的な鉄鋼よりも優れた特性を持ち、特定の産業分野で不可欠なため、技術的な優位性が競争力に繋がっています。
  • リサイクル原料の活用: 同社は、ニッケルやクロム、モリブデンといったレアメタルを含む主要原材料の安定調達のため、社会から排出されるリサイクル原料(都市鉱山)の多様化と使用拡大を進めています。これにより、原材料価格の変動リスクを低減し、持続可能な調達体制を構築している点が強みです。
  • 高機能材への注力: 売上の約70%を海外市場に依存する高機能材事業に注力しています。これは、一般的なステンレス鋼よりも高い性能を持つ製品であり、技術力と品質が求められる分野で競争優位を確立しています。これにより、価格競争が激しい一般材市場とは異なる高付加価値市場での成長を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 〔経営の基本方針〕当社グループの事業経営は、創造と効率を両輪として生み出されたすぐれた製品を提供することにより、社会に進歩と充実をもたらすことを理念としております。また、全ての面で国際的水準において優位に立ち、企業価値を高めることで株主を始め皆様の期待に応えることを基本方針としております。 〔経営環境及び会社の対処すべき課題〕当社グループを取り巻く事業環境は、欧州、中東における地政学的リスクや米国の保護主義的な関税政策による世界経済の分断と混乱に加え、中国経済の停滞、東アジアの過剰設備等を背景にしたステンレス一般材の国内市場への流入と定着、国内で急速に顕在化している人手不足による生産・投資案件の遅延等、先行き不透明な状況が続いております。こうした環境の中で当社グループとしては持続可能な成長の実現に向け、「中期経営計画2023」の諸施策を着実に実行し、重要課題に対処してまいります。2025年度上期に開設を予定しているインド現地法人を拠点に、成長著しい同国や中東など周辺地域におけるエネルギー・環境分野向けを中心とした高機能材ニーズを捕捉するとともに、高機能材の拡販に向けた製造技術の開発および効率的な生産体制の構築を図ってまいります。さらに、リサイクル原料使用拡大をはじめとした原料多様化によるコスト競争力強化およびカーボンニュートラル・資源循環型社会実現への貢献を通じて中長期的な企業価値向上に努めてまいります。 〔中長期的な会社の経営戦略〕当社グループは、2023年度を初年度とする3か年計画「中期経営計画2023」を策定いたしました。「中期経営計画2023」の概要1.「中期経営計画2023」での目指す姿「『製品と原料の多様化』を追求し、ニッケル高合金・ステンレス市場におけるトップサプライヤーとして地球の未来に貢献」 2.「中期経営計画2023」の基本戦略①高度化する市場ニーズを追求し新たな価値を生み出す産業素材の開発・提供<主要施策>・成長分野(環境・脱炭素など)、ターゲット市場(中国・インドなど)への高機能材(※)の拡販・中国合弁会社を主軸にアライアンスの深化・拡大による製品アイテムの拡充(鋼種・サイズ)・一般ステンレス事業における輸入材との差別化領域を拡大し安定的な収益基盤維持※ 当社の高機能材はニッケル高合金を中心に一般ステンレスよりも機能性が高いアイテム②技術の優位性を高め市場環境の変化に対応する効率的な生産体制の構築<主要施策>・多様な高機能材の安定的な増産を実現する製造技術の開発・確立・新設設備の最大能力発揮と既存設備の強化による操業安定化・生産性向上・カーボンニュートラルに資する将来の製造技術の優位性確保(カーボンレス・ニッケル製錬など)・原料調達の多様化により継続的なコスト競争力強化③環境変化にも揺らぐことのない持続可能な経営基盤の確立<主要施策>・中長期的な視点での人的資本・研究開発・設備投資計画の立案・実行(年間100億円以上)・DX推進による経営リソースの効率的活用・「信用格付A格」取得を視野に入れた財務基盤の強化・グループ経営プラットフォームの共通化による経営基盤強化 3.「中期経営計画2023」の設備投資計画川崎製造所における高機能材増産対応とカーボンニュートラル関連の戦略投資を中心に設備効率とコスト競争力強化に向けて、年間100億円規模の設備投資を継続してまいります。とりわけ、戦略投資の投資判断に際しては、インターナルカーボンプライスを設定しカーボンニュートラル実現に向けて積極的な設備投資を実行してまいります。但し、設備投資全体の運営としては、優先度や実施時期について市場環境の変化に合わせて適宜見直すとともに、実行段階においては投資案件ごとの精査をおこない投資金額の削減を図るなど効率的かつ効果的な設備投資を実行してまいります。<設備投資金額(3か年合計)>内訳決裁ベース 検収ベース戦略投資 115億円 176億円コーポレート基盤強化(注1) 55億円49億円更新投資90億円77億円グループ会社50億円42億円合計310億円344億円 (参考:減価償却費3か年合計185億円)(注)1.コーポレート基盤強化:研究開発、環境対応、システム関連等 4.「中期経営計画2023」の目標数値「中期経営計画2023」達成目標 2025年度高機能材売上高比率(単体)50%EBITDA(連結)200億円以上ROE(連結)10.0%総還元性向(連結)(注1)35%CO2削減率(2013年度対比単体)(注2)▲46%以上(参考)ネットD/Eレシオ0.5~1.0 (注)1.価値向上の為に戦略設備投資を積極的に行うことで「稼ぐ力」を高めるとともに、株主還元として安定的かつ継続的な配当を実施し、必要に応じて自己株式の取得を機動的に行うなど、総還元性向35%を目指します。2.既に発表していますカーボンニュートラル計画で掲げた2030年度達成目標を前倒しすることにいたしました。 なお、当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた経営戦略・考え方については、「統合報告書2024」の23ページから28ページに経営戦略と進捗状況を、考え方を29ページに開示しております。※統合報告書の詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.nyk.co.jp/sustainability/)をご参照下さい。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 〔経営の基本方針〕当社グループの事業経営は、創造と効率を両輪として生み出されたすぐれた製品を提供することにより、社会に進歩と充実をもたらすことを理念としております。また、全ての面で国際的水準において優位に立ち、企業価値を高めることで株主を始め皆様の期待に応えることを基本方針としております。 〔経営環境及び会社の対処すべき課題〕当社グループを取り巻く事業環境は、欧州、中東における地政学的リスクや米国の保護主義的な関税政策による世界経済の分断と混乱に加え、中国経済の停滞、東アジアの過剰設備等を背景にしたステンレス一般材の国内市場への流入と定着、国内で急速に顕在化している人手不足による生産・投資案件の遅延等、先行き不透明な状況が続いております。こうした環境の中で当社グループとしては持続可能な成長の実現に向け、「中期経営計画2023」の諸施策を着実に実行し、重要課題に対処してまいります。2025年度上期に開設を予定しているインド現地法人を拠点に、成長著しい同国や中東など周辺地域におけるエネルギー・環境分野向けを中心とした高機能材ニーズを捕捉するとともに、高機能材の拡販に向けた製造技術の開発および効率的な生産体制の構築を図ってまいります。さらに、リサイクル原料使用拡大をはじめとした原料多様化によるコスト競争力強化およびカーボンニュートラル・資源循環型社会実現への貢献を通じて中長期的な企業価値向上に努めてまいります。 〔中長期的な会社の経営戦略〕当社グループは、2023年度を初年度とする3か年計画「中期経営計画2023」を策定いたしました。「中期経営計画2023」の概要1.「中期経営計画2023」での目指す姿「『製品と原料の多様化』を追求し、ニッケル高合金・ステンレス市場におけるトップサプライヤーとして地球の未来に貢献」 2.「中期経営計画2023」の基本戦略①高度化する市場ニーズを追求し新たな価値を生み出す産業素材の開発・提供<主要施策>・成長分野(環境・脱炭素など)、ターゲット市場(中国・インドなど)への高機能材(※)の拡販・中国合弁会社を主軸にアライアンスの深化・拡大による製品アイテムの拡充(鋼種・サイズ)・一般ステンレス事業における輸入材との差別化領域を拡大し安定的な収益基盤維持※ 当社の高機能材はニッケル高合金を中心に一般ステンレスよりも機能性が高いアイテム②技術の優位性を高め市場環境の変化に対応する効率的な生産体制の構築<主要施策>・多様な高機能材の安定的な増産を実現する製造技術の開発・確立・新設設備の最大能力発揮と既存設備の強化による操業安定化・生産性向上・カーボンニュートラルに資する将来の製造技術の優位性確保(カーボンレス・ニッケル製錬など)・原料調達の多様化により継続的なコスト競争力強化③環境変化にも揺らぐことのない持続可能な経営基盤の確立<主要施策>・中長期的な視点での人的資本・研究開発・設備投資計画の立案・実行(年間100億円以上)・DX推進による経営リソースの効率的活用・「信用格付A格」取得を視野に入れた財務基盤の強化・グループ経営プラットフォームの共通化による経営基盤強化 3.「中期経営計画2023」の設備投資計画川崎製造所における高機能材増産対応とカーボンニュートラル関連の戦略投資を中心に設備効率とコスト競争力強化に向けて、年間100億円規模の設備投資を継続してまいります。とりわけ、戦略投資の投資判断に際しては、インターナルカーボンプライスを設定しカーボンニュートラル実現に向けて積極的な設備投資を実行してまいります。但し、設備投資全体の運営としては、優先度や実施時期について市場環境の変化に合わせて適宜見直すとともに、実行段階においては投資案件ごとの精査をおこない投資金額の削減を図るなど効率的かつ効果的な設備投資を実行してまいります。<設備投資金額(3か年合計)>内訳決裁ベース 検収ベース戦略投資 115億円 176億円コーポレート基盤強化(注1) 55億円49億円更新投資90億円77億円グループ会社50億円42億円合計310億円344億円 (参考:減価償却費3か年合計185億円)(注)1.コーポレート基盤強化:研究開発、環境対応、システム関連等 4.「中期経営計画2023」の目標数値「中期経営計画2023」達成目標 2025年度高機能材売上高比率(単体)50%EBITDA(連結)200億円以上ROE(連結)10.0%総還元性向(連結)(注1)35%CO2削減率(2013年度対比単体)(注2)▲46%以上(参考)ネットD/Eレシオ0.5~1.0 (注)1.価値向上の為に戦略設備投資を積極的に行うことで「稼ぐ力」を高めるとともに、株主還元として安定的かつ継続的な配当を実施し、必要に応じて自己株式の取得を機動的に行うなど、総還元性向35%を目指します。2.既に発表していますカーボンニュートラル計画で掲げた2030年度達成目標を前倒しすることにいたしました。 なお、当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた経営戦略・考え方については、「統合報告書2024」の23ページから28ページに経営戦略と進捗状況を、考え方を29ページに開示しております。※統合報告書の詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.nyk.co.jp/sustainability/)をご参照下さい。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなど緩やかな回復基調にある一方、物価の上昇、欧州・中東における地政学的リスクの長期化、中国経済停滞に伴う影響など不安定な状況が続きました。ステンレス特殊鋼業界におきましては、自動車等輸送機器分野の需要が堅調に推移いたしましたが、建設分野では人手不足等により案件が遅れ、半導体関連分野の需要回復も遅れるなど力強さを欠く状況が続きました。当社グループの戦略分野である高機能材につきましては、インドでの火力発電所向け排煙脱硫装置をはじめとする環境・エネルギー分野の需要が引き続き堅調に推移し、家電製品向けシーズヒーター材等の耐久消費財分野でも在庫調整からの進展が見られました。一方、中国市場では太陽光発電関連プロジェクトが減速するなど総じて需要は停滞しました。当社グループではこのような外部環境のもと、「中期経営計画2023」で掲げた施策を着実に遂行してまいりました。回復基調にある輸送機器向けや家電製品向け分野ならびに引き続き堅調であるオイル・ガスやカーボンニュートラル関連市場での需要取り込みに注力した結果、販売数量は昨年度比で増加しましたが、高機能材の販売構成の影響等により収益は悪化する状況となりました。その結果、当連結会計年度の販売数量につきましては前年度比12.3%増(高機能材7.3%増、一般材14.1%増)の一方、連結売上高は172,097百万円(前年度比8,244百万円減)となりました。また、利益面につきましては、連結営業利益16,967百万円(前年度比3,044百万円減)、連結経常利益16,200百万円(前年度比2,929百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,579百万円(前年度比1,986百万円減)となりました。 ②財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は217,461百万円となり、前連結会計年度末比2,527百万円減少しております。これは主として機械装置及び運搬具の増加(10,192百万円)、現金及び預金の減少(7,518百万円)、及び建設仮勘定の減少(6,015百万円)によるものであります。当連結会計年度末における負債の額は120,855百万円となり、前連結会計年度末比9,347百万円減少しております。これは主として仕入債務の減少(6,370百万円)及び社債の償還(5,000百万円)によるものであります。当連結会計年度末における純資産の額は96,606百万円となり、前連結会計年度比6,820百万円増加しております。これにより自己資本比率は44.3%となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(16,092百万円)等により、11,041百万円の収入(前連結会計年度比15,783百万円の収入減少)となりました。当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産の取得(11,291百万円)等により、11,389百万円の支出(前連結会計年度比3,470百万円の支出増加)となりました。当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還(5,000百万円)等により、7,394百万円の支出(前連結会計年度比6,923百万円の支出減少)となりました。以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、換算差額を含めて9,369百万円となり、前連結会計年度比7,549百万円減少いたしました。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比増減(%)ステンレス鋼板及びその加工品事業137,8327.0 (注)1.金額は製品製造原価によっております。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。セグメントの名称受注高受注残高金額(百万円)前年同期比増減(%)金額(百万円)前年同期比増減(%)ステンレス鋼板及びその加工品事業168,277△5.121,878△14.9 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比増減(%)ステンレス鋼板及びその加工品事業172,097△4.6 (注)1.主要な販売先はいずれも総販売実績に対する販売実績の割合が10%未満のため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績当連結会計年度の経営成績に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りであります。 ※連結損益計算書概要 単位:百万円、% 当連結会計年度(2025年3月期)前連結会計年度(2024年3月期)前年度対比増減率売上高172,097180,341△8,244△4.6営業利益16,96720,010△3,044△15.2経常利益16,20019,128△2,929△15.3親会社株主に帰属する当期純利益11,57913,565△1,986△14.6   b.財政状態当連結会計年度末時点の資産の状況は、機械装置及び運搬具が10,192百万円増加したこと及び現金及び預金が7,518百万円減少したこと等により、総資産の金額は前年同期比2,527百万円減少の217,461百万円となりました。負債につきましては、仕入債務が6,370百万円減少したこと及び社債が5,000百万円減少したことにより、負債の総額は前年同期比9,347百万円減少の120,855百万円となりました。以上により当連結会計年度末時点における純資産の金額は前年同期比6,820百万円増加の96,606百万円となりました。その結果、当連結会計年度末時点における自己資本比率は44.3%となり、前年同期比で3.6%上昇しました。 ※連結貸借対照表概要 単位:百万円、% 当連結会計年度(2025年3月期)前連結会計年度(2024年3月期)前年度対比増減率現金及び預金9,51617,034△7,518△44.1受取手形及び売掛金26,52026,888△368△1.4棚卸資産62,70864,105△1,397△2.2固定資産115,700108,1467,5547.0その他資産3,0173,817△799△20.9資産合計217,461219,988△2,527△1.1支払手形及び買掛金16,51322,883△6,370△27.8借入金及び社債75,07177,856△2,784△3.6その他負債29,27129,464△193△0.7負債合計120,855130,203△9,347△7.2純資産合計96,60689,7856,8207.6自己資本比率44.340.73.6 (注)「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおり、当連結会計年度より「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等を適用しており、前連結会計年度については遡及適用後の数値を記載しております。 c.キャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(16,092百万円)等により、11,041百万円の収入となり、前年同期比で15,783百万円の収入減少となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産の取得による支出(11,291百万円)等により11,389百万円の支出となり、前年同期比で3,470百万円の支出増加となりました。以上により営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、△348百万円となり、前年同期比で19,253百万円減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還(5,000百万円)、自己株式の取得による支出(1,851百万円)の他、当期中に支払った1株当たり合計200円の配当金の支払による支出(2,852百万円)等により、7,394百万円の支出となり、前年同期比で6,923百万円の支出減少となりました。 ※連結キャッシュ・フロー計算書概要 単位:百万円 当連結会計年度(2025年3月期)前連結会計年度(2024年3月期)前年度対比営業活動によるキャッシュ・フロー11,04126,824△15,783税金等調整前当期純利益16,09219,161△3,069減価償却費5,8305,595235売上債権の増減額(△は増加)368△64432棚卸資産の増減額(△は増加)1,39710,047△8,650仕入債務の増減額(△は減少)△6,3692,334△8,703その他△6,277△10,2493,972投資活動によるキャッシュ・フロー△11,389△7,919△3,470有形・無形固定資産の取得による支出△11,291△8,064△3,227その他△98144△243フリー・キャッシュ・フロー△34818,904△19,253財務活動によるキャッシュ・フロー△7,394△14,3186,923借入金及び社債の純増減額(△は減少)△2,813△8,3145,501配当金の支払額△2,852△3,385533その他△1,730△2,619889現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△7,5494,721△12,270 ②資本の財源及び資金の流動性の状況当社は「中期経営計画2023」の基本戦略の1つである「技術の優位性を高め市場環境の変化に対応する効率的な生産体制の構築」に向けて、戦略的設備投資を実行してまいります。この他、経常的な事業活動の継続にあたり一定の運転資金を必要としておりますが、これらの財源は自己資金・借入金及び社債にて充当する方針です。資金の流動性については、担当部署にて定期的にモニタリングされた資金需要の状況に応じて受取手形の譲渡・割引等による売掛債権の流動化を適宜実施していることに加え、一部の連結子会社との間で構築しているCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を利用することによりグループ全体の資金活用の効率化が図られており、一定の流動性が確保されているものと認識しております。 ③経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況に関する分析・検討内容 経営方針・経営戦略・経営上の目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 「中期経営計画2023」で掲げている数値目標と実績は下表の通りです。 高機能材売上高比率(%)EBITDA(連結)(億円)ROE(連結)(%)総還元性向(連結)(%) CO2削減率(2013年度対比単体)(%)中計目標(注1)50200億円以上10.035▲46%以上2024年度実績4422712.5(注2)30.9(注3)-2023年度実績4925416.035.0▲59.62022年度実績42-27.825.3▲49.2 (注) 1.中計目標は「中期経営計画2023」の最終年度である2025年度における達成目標であります。2.2024年度の総還元性向は、2024年度に実施予定の合計220円の配当に加え、2025年5月9日~2025年5月30日に実施した自己株式取得を加味した数値であります。自己株式取得の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載があります。3.2024年度のCO2削減率は集計中のため記載しておりません。 2024年度実績を踏まえた「中期経営計画2023」の進捗状況についての認識(評価)は以下の通りです。・高機能材売上高比率につきましては、目標値には若干届かなかったものの、一定の評価に値する結果と認識しております。今後も引き続き「中期経営計画2023」に則り、販売力の強化・コストダウン施策を着実に推進していくほか、世界的な需要構造の変化等についても注視しながら、高機能材の拡販を進めてまいります。・財務指標の達成目標(EBITDA・ROE)につきましては、上述の通り一定の成果をあげることができたと評価しております。・総還元性向につきましては、剰余金の配当と自己株式取得により、最終年度における目標達成は可能な状況であると認識しております。・設備投資計画につきましては、中計の施策に従い、高機能材増産対応、カーボンニュートラル関連の課題への対応に資する案件を中心に順次実行しております。 今後につきましては、「中期経営計画2023」において掲げた諸施策を着実に実行し、「『製品と原料の多様化』を追求し、ニッケル高合金・ステンレス市場におけるトップサプライヤーとして地球の未来に貢献」を目指してまいります。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 a.繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性の判断にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 b.退職給付債務の算定当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2.確定給付制度 (5)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。 c.固定資産の減損処理当社グループは事業用資産については各事業単位、遊休資産については個別物件単位に資産のグルーピングを行っております。収益性の低下等により、投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。事業用資産の回収可能価額につきましては正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額となりますが、正味売却価額につきましては主として不動産鑑定評価額、使用価値につきましては割引前将来キャッシュ・フローに基づき算定しております。遊休資産の回収可能価額につきましては、正味売却価額により測定しており、固定資産税評価額を基に算定しております。

事業リスク

  • 市場環境の変動リスク: ステンレス特殊鋼業界では、特に中国をはじめとするアジア地域での生産能力増加により、製品の需給バランスが崩れ、価格が変動する可能性があります。また、国内外の景気動向や取引先の需要、海外の政治・貿易政策、競争激化なども、製品の需要や販売価格に影響を及ぼすリスクがあります。
  • 原材料価格と為替変動リスク: 製品の主要原材料であるニッケル、クロム、モリブデンなどのレアメタルは、国際的な需給や原産国の状況、投機的取引により価格が大きく変動する可能性があります。また、輸出入取引における為替レートの変動も、同社の業績に影響を与えるリスクがあります。
  • 大規模災害・事故のリスク: 同社の主要な製造拠点が川崎製造所に集中しているため、大規模な自然災害(台風、地震など)や感染症の流行、設備事故、労働災害が発生した場合、生産活動が停止し、売上減少や復旧費用発生、顧客への供給不足といった甚大な影響が生じる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,187 文字
3 【事業等のリスク】本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下に記載した事項の他に現時点では予測できない事象が、当社グループの業績及び財政状態、キャッシュ・フローの状況に影響与える可能性があります。また、当社のリスク管理体制の整備状況については「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等」の記載、対応策等については「統合報告書2024」(当社ウェブサイト https://www.nyk.co.jp/sustainability/ に掲載)もあわせてご参照下さい。 1.当社グループは、経営方針、事業戦略にもとづき、市場や経済の環境変化に対応すべくリスクコントロールを行い、事業経営を進めております。これについて、以下を重要なリスクと認識しております。 (1)製品需給における市場環境の変動リスク①ステンレス特殊鋼業界における供給過剰リスクステンレス特殊鋼業界においては、特に中国をはじめとするアジア地域における一般材の生産能力の増加により、需給バランスや製品価格の動向等が影響を受けるリスクがあります。②ステンレス特殊鋼製品の需要及び販売価格動向のリスク当社グループが販売するステンレス特殊鋼製品の需要及び価格動向は、国内の景気動向や取引先の需要動向、海外各地域の政治・貿易施策・経済情勢の変動、国内外メーカーの当該市場への拡大・強化による競争の激化等により影響を受けるリスクがあります。③国際的な鉄鋼貿易を巡る保護主義の台頭及び地政学的リスク国際的な政治、経済情勢の変化や米国を始めとする各国の通商政策の変化に伴い、鉄鋼貿易に係る関税や数量規制等が一部地域で保護主義に向かう動きがあります。また、国際情勢をめぐる地政学的リスクの高まりにより、鉄鋼貿易の需給構造も影響を受けるリスクがあります。当社グループが注力する高機能材は、売上の約70%を海外市場に依存しており、こうした保護主義的な貿易政策の動きや国際的な政情不安により、高機能材の輸出が影響を受けるリスクがあります。以上のような外部環境変化のリスクに対応するため、「中期経営計画2023」に掲げた諸施策を着実に実行することで、当社グループの戦略分野である高機能材事業の拡大、製品ポートフォリオの組み替えによる多様化、事業基盤の強化に努めてまいります。「中期経営計画2023」の詳細につきましては、「第2 事業の状況、1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 〔中長期的な会社の経営戦略〕」をご参照下さい。 (2)原材料の価格及び調達環境、並びに為替レートの変動リスク①レアメタルの価格及び調達環境の変動リスク当社グループ製品の主要な原材料には購入屑の他、ニッケル、クロム、モリブデン等のレアメタルを含み、これらの安定調達のために調達ソースの多様化に努めておりますが、価格及び調達環境については、国際的な需給バランス、原産国の資源ナショナリズム、国際紛争、投機的取引等に起因する相場変動の影響を受けるリスクがあります。当社においては、当社の生産インフラの特徴を生かし、社会から排出されるリサイクル原料(都市鉱山)の多様化と使用拡大を進め、リサイクル原料比率をより一層上げていくことで、上記のリスクにも対応してまいります。②為替レートの変動リスク当社グループは、ステンレス特殊鋼製品の輸出や原材料の輸入等で外貨建て取引を行なっており、為替相場の大幅な変動により影響を受けるリスクがあります。以上のような価格及び為替の相場変動による当社グループの業績への影響は、状況により損益両面を備えておりますが、相場変動リスクをヘッジするため、社内規程である「ヘッジ取引規程」に基づき、必要に応じて商品デリバティブ取引や為替予約取引を利用しております。 (3)設備事故及び労働災害の発生リスク当社グループの主要設備において重大な事故や労働災害が発生した場合、生産活動が停滞するリスクがあります。当社においては、安全衛生活動を組織的、体系的に運用管理する仕組みとしてOSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)を導入して安全衛生レベルの向上に取り組んでおり、働く人全てが健康で安全に働ける職場の形成を目指しております。また、「中期経営計画2023」に掲げた戦略設備投資を実行することにより安定・安全稼働、作業環境改善を図ってまいります。 (4)設備投資に関するリスク当社は「中期経営計画2023」に基づき高機能材増産対応とカーボンニュートラル関連の戦略投資を中心に設備投資を継続してまいります。工事の進捗遅れや操業トラブル等、想定した投資効果を十分に得られなかった場合、当社グループの業績や財政状態が影響を受けるリスクがあります。当該設備投資計画は、今後の経営環境の変化を見据え、経営資源の最適配分をすべく慎重に検討を重ねたものでありますが、遂行過程においても状況変化を的確に捉え、必要な見直しを適切に行ってまいります。 (5)大規模な自然災害等の発生リスク想定を超える大規模な自然災害(台風、地震等)や感染症の流行が発生した場合、当社グループの主要設備の操業停止、主要取引先の被災、物流・通信・情報システムの混乱等によるサプライチェーンの分断が生じるリスクがあります。当社グループが販売する製品の主要な製造拠点は当社川崎製造所内に集中しており、効率的な生産が可能になる等の利点がある反面、同製造所が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、販売収益の大幅な減少や顧客への供給不足、多額の設備復旧費用や外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。上記のような不測の事態に備えBCP(事業継続計画)を作成し、その訓練と見直しを継続的に行うことにより、事業活動への影響を最小限に止めるための取り組みを進めております。また、感染症流行時の対策として、職場での感染防止対策の徹底やテレワーク体制の整備、WEB会議システムの導入等を実施しております。 (6)金融市場及び資金調達環境の変動リスク金利情勢やその他金融市場の変動が当社グループの借入金金利や資金調達コストに影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループの借入金には財務制限条項を付したシンジケート・ローンが含まれており、当社または当社グループの財務状況悪化等により当該財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失するリスクがあります。当社は、金利変動によるリスクをヘッジするため、必要に応じて金利スワップ取引を利用しております。また、ヘッジ取引の利用にあたっては、社内規程である「ヘッジ取引規程」に基づき運用しております。 (7)気候変動への対応リスク当社はエネルギー多消費型産業である鉄鋼業の一員であり、気候変動への対応は経営課題の一つと捉え、2050年度 CO2排出量実質ゼロを目指してロードマップを策定し、施策を着実に実施しています。当社グループとしてもカーボンニュートラルに積極的に取り組んでおりますが、将来的なカーボンプライシングの負担発生、電力や燃料価格の上昇、CO2排出量削減のための設備投資増加、CO2排出量の多い需要分野の縮小や新たな需要の取り込みの遅れ等が生じるリスクがあります。気候変動への取り組みにつきましては、「第2 事業の状況、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、1.気候変動」をご参照下さい。 2.当社グループは、持続的発展が可能な企業であり続けるために、グループ横断的に各部門のリスク認識を定期的にモニタリングしております。このうち以下を重要なリスクとして特定しています。 (1)環境規制に関するリスク当社グループの事業活動は、大気・水質・土壌等の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理等に関して、様々な環境規制を受けており、これらはより厳格に適用される方向にあります。このため、規制遵守に係るコスト増加や環境負荷低減に向けた社会的責任が増加する傾向にあります。当社においては、製造拠点にて環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001/JIS Q 14001の認証を取得しており、同拠点にて策定した環境方針・環境管理計画を達成するための施策に取り組んでおります。また、「中期経営計画2023」に掲げた戦略設備投資を実行することにより環境配慮型の製造所を構築してまいります。 (2)品質保証に関するリスク当社グループが注力する高機能材は、厳しい使用環境下での高い信頼性を求められるものも多く、品質問題が発生した場合は、補償金の支払い、信用失墜による売上減少、品質保証の規格認証の取消し等が生じるリスクがあります。当社においては、JIS Q 9001/ISO 9001及びJIS Q 9100の要求事項に合致した品質マネジメントシステムを確立し、この実施と継続的改善に取り組んでおります。また、品質監査部門によりグループを通じた品質管理体制強化のための方針を定め、監査活動等を通じてグループ全体のレベルアップを図っております。 (3)情報セキュリティに関するリスク当社グループが運用する情報システムや、情報システムが保有する技術情報・経営情報等の社内情報が、外部からのサイバー攻撃や情報システム機器・ネットワーク等の物理的な破壊により、運用停止や社内情報等の流出・逸失の可能性があります。このような事態の発生により、生産・販売等のあらゆる企業活動が制約される他、情報の流出に係る損害賠償金の支払い等が発生するリスクがあります。上記に備えた当社の情報管理体制については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレートガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 Ⅰ内部統制システムに関する基本的な考え方 2.業務の適正を確保するための体制の運用状況 ・上記③については、」をご参照下さい。 (4)人材確保に関するリスク国内の労働人口の減少に伴い、当社グループが必要とする人材の確保が困難になった場合は、長期的に安定した事業活動、組織の活性化や健全な発展を阻害するリスクがあります。当社は異なるバックグラウンドを持つ多様な考え方が組織の健全な発展に資すると考えており、人材育成及び社内環境整備に関する諸施策に取り組むことにより、当社グループの安定的発展を担う人材の育成と定着を図っております。また、人事制度全般を見直し、定年年齢を65歳に引き上げた新人事制度へ移行しております。当社の人材育成及び社内環境整備に関する取り組みにつきましては、「第2 事業の状況、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、2.人的資本」をご参照下さい。 (5)法令違反に関するリスク当社グループの事業は、独占禁止法や下請法、品質・環境保全・安全衛生・産業廃棄物処理等に関連する様々な法令等の適用を受けておりますが、これらの法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループに対する社会的信用の低下や損害賠償金の支払い等が生じるリスクがあります。上記に備えた当社のコンプライアンス体制については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレートガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 Ⅰ内部統制システムに関する基本的な考え方 2.業務の適正を確保するための体制の運用状況 ・上記①及び②については、」をご参照下さい。 (6)人権に関するリスク当社グループ製品の主要な原材料には海外から調達しているものも多く、これらのサプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合、価格及び調達環境の悪化、信用失墜による売上減少等が生じるリスクがあります。また、従業員、取引先に対する不当な差別やハラスメント行為が発生した場合、人材の流出、取引停止、訴訟、組織の活性化や健全な発展の阻害等が生じるリスクがあります。当社グループは人権の尊重が事業活動にとって必要不可欠であることを強く認識しており、当社グループの1人ひとりが人権尊重の取り組みを実践するとともに、当社グループが果たすべき責務を明確にするために、国際的な規範を踏まえた「NASグループ人権方針」を制定しております。サプライチェーンを含むビジネスパートナーに対しても、本方針へのご理解を頂くよう努めてまいります。また、当社は「パートナーシップ構築宣言」を公表し、サプライチェーン全体の共存共栄を目指しております。

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