事業の概要
- JFEグループの全体統括JFEホールディングスは、JFEグループ全体の経営戦略の策定、グループ会社のリスク管理、IR活動、資金調達などを担う、スリムな本社機能を持つ上場会社です。傘下の主要事業会社3社(JFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事)を通じて、多岐にわたる事業を展開しています。
- 鉄鋼製品の製造と販売JFEスチールとその関係会社が主力事業として、鉄鉱石から最終製品までを一貫生産する「銑鋼一貫メーカー」として、熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、厚鋼板、形鋼、鋼管など多種多様な鉄鋼製品を製造・販売しています。これに加え、鋼材加工品や原材料の製造販売、運輸、設備保全などの周辺事業も手掛けています。
- エンジニアリングと商社事業JFEエンジニアリングは、エネルギー、都市環境、鋼構造物、産業機械に関する設計・調達・建設(EPC)や、リサイクル、電力小売などの運営型事業を展開しています。JFE商事は、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属、食品などの仕入れ、加工、販売を行う商社事業を担い、国内外の幅広い製品を取り扱っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 鉄鋼事業JFEスチールが担う主力事業で、熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、厚鋼板、形鋼、鋼管など多岐にわたる鉄鋼製品の製造・販売が中心です。2023年度の売上高は約2兆7154億円と、グループ全体の収益の大部分を占める稼ぎ頭であり、国内外の建設、自動車、産業機械などの幅広い分野に製品を供給しています。
- エンジニアリング事業JFEエンジニアリングが手掛ける事業で、エネルギープラント、ごみ焼却炉などの環境施設、橋梁といった鋼構造物の設計・調達・建設(EPC)が主な内容です。2023年度の売上高は約3913億円で、公共インフラ関連が事業ポートフォリオの過半を占め、国内の経済状況や政策に影響を受けやすい特性があります。
- 商社事業JFE商事が展開する事業で、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品などの仕入れ、加工、販売を行っています。2023年度の売上高は約1兆9079億円と大規模であり、国内外に広がる流通販売網を通じて、JFEグループ内外の多様な顧客に製品やサービスを提供しています。
FY2018 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Steel | 事業 | 27,155 | − | − |
| Engineering | 事業 | 3,913 | − | − |
| Trading | 事業 | 19,079 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社は、JFEグループ全体の経営戦略の策定、グループ会社の経営とリスク管理、グループIR等の対外説明、グループ全体の資金調達等の機能を集約した、グループを代表する上場会社として、スリムなグループ本社機能を担う会社であります。JFEグループは、「JFEスチール㈱」、「JFEエンジニアリング㈱」、「JFE商事㈱」の3つの事業会社により、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制の構築を図っております。なお、セグメント情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しております。また、主な関係会社については、「4 関係会社の状況」に記載しております。 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 (1) 鉄鋼事業JFEスチール㈱およびその関係会社において、銑鋼一貫メーカーとして各種鉄鋼製品の製造・販売を主力事業とし、鋼材加工製品、原材料等の製造・販売、ならびに運輸業および設備保全・工事等の周辺事業を行っております。[主要製品等]鉄鋼製品・半製品(熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、表面処理鋼板、厚鋼板、形鋼、H形鋼、鋼矢板、レール、継目無鋼管、鍛接鋼管、電縫鋼管、角型鋼管、電弧溶接鋼管、電磁鋼板、ステンレス鋼板、棒鋼、線材、鉄粉、スラブ)、チタン製品、鋼材加工製品、化学製品、素形材製品、各種容器類、鉱業・鉱産品、鉄鋼スラグ製品、機能素材、合金鉄、各種耐火物、築炉工事、各種運送事業・倉庫業、土木建築工事、設備管理・建設工事、電気工事、電気通信工事、火力発電、ガス、建設仮設材、不動産、保険代理業、各種サービス業、各種コンピュータシステム、材料分析・解析、環境調査、技術情報調査、知的財産支援等 (2) エンジニアリング事業JFEエンジニアリング㈱およびその関係会社において、エネルギー、都市環境、鋼構造、産業機械等に関するエンジニアリング事業、リサイクル事業および電力小売事業を行っております。[主要製品等]ガス・石油・水道パイプライン、LNG・LPG等各種タンク、太陽光・地熱・バイオマス等再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、使用済みプラスチック等のリサイクルサービス、橋梁・港湾構造物、洋上風力基礎、物流流通システム・エンジン・シールド掘進機・バラスト水処理システム等の産業機械、製銑・製鋼・ミニミル関連設備、EV(電気自動車)急速充電器等 (3) 商社事業JFE商事㈱およびその関係会社において、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売を行っております。[主要取扱製品等]鉄鋼製品(厚鋼板、縞板、熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、電磁鋼板、表面処理鋼板、亜鉛鋼板、ブリキ、鋼管、特殊鋼管、棒鋼、H形鋼、軽量形鋼、一般形鋼、コラム、線材、ステンレス鋼、特殊鋼、スラブ)、溶材、鉄粉、鋼材加工製品、製鉄原材料・資機材、非鉄金属製品、金属スクラップ、高炉スラグ、化学製品、石油製品、紙製品、船舶、バイオマス燃料、土木建築工事、テールアルメ工法、缶詰製品、農畜産物、水産物、半導体製品、不動産等 JFEグループを構成している当社および事業会社ならびに主な関係会社の位置づけは以下のとおりであります。(注) 1 →印は、製品・サービス等の流れを示しております。2 *印は持分法適用関連会社等(共同支配事業含む)、その他は連結子会社であります。3 関係会社の異動については、「4 関係会社の状況」に記載しております。4 鉄鋼事業の連結子会社3社および持分法適用関連会社1社については、商社事業において持分法を適用しております。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 原材料・エネルギー価格の上昇を鋼材価格に反映できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機等の多数の大規模な製造設備が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:経済状況と販売市場環境の変化 / 原料・エネルギーの市場環境変動 / 製造設備・システムの安定操業状況
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
JFEスチールは長年の歴史と技術蓄積を持つが、特定の強力なブランドや特許による独占的優位性は限定的。一部の特殊鋼や高機能素材に関する技術は存在するものの、それが参入障壁として機能するほどの無形資産とは言い難い。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
自動車や建設などの主要顧客は、品質や納期、価格などを総合的に判断してサプライヤーを選定する。特定のJFE製品への依存度は低く、競合他社への乗り換えコストは限定的。ただし、長年の取引関係による一定の慣性はある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
鉄鋼業は製造業であり、プラットフォーム型ビジネスではないため、ネットワーク効果は発生しない。製品の利用者が増えることで価値が増すという構造は存在しない。
コスト優位★★★☆☆
JFEスチールは、規模の経済と生産効率の改善により、国内鉄鋼メーカーの中でもコスト競争力を持つ。高炉メーカーとしての生産体制は効率的であり、原料調達や物流においても一定の最適化が進んでいると考えられる。
規模の経済★★★★★
JFEスチールは日本製鉄と並ぶ国内鉄鋼業界の二大巨頭であり、圧倒的な生産能力と販売網を持つ。国内市場においては寡占状態にあり、業界全体を牽引する規模の経済が競争優位の源泉となっている。
- 銑鋼一貫生産体制JFEスチールは、鉄鉱石から最終製品までを一貫して生産する体制を確立しており、これにより品質管理の徹底や生産効率の向上、コスト競争力の維持に努めています。多様な鉄鋼製品を安定的に供給できる点が強みです。
- 多角的な事業ポートフォリオ鉄鋼事業を核としつつ、エンジニアリング事業や商社事業を展開することで、特定の市場変動リスクを分散し、グループ全体の安定的な収益基盤を構築しています。各事業が相互に連携し、シナジー効果を生み出しています。
- グローバルな事業展開力鉄鋼製品は国内外に広く輸出され、特にアジア地域が主要な輸出先となっています。また、商社事業も国内外に販売網を構築しており、海外成長地域でのパートナーシップを通じた事業拡大も推進しており、グローバルな市場での競争力を有しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針企業理念:JFEグループは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。行動規範:挑戦。柔軟。誠実。パーパス: ・JFEスチール㈱ ねがう未来に、鉄で応える。 ・JFEエンジニアリング㈱ くらしの礎を 創る・担う・つなぐ – Just For the Earth ・JFE商事㈱ 世界をつなぐ。鉄でつなぐ。 (2) 企業構造JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。鉄を中核として、エネルギー技術や資源リサイクル技術等幅広い分野に領域を広げており、世界最高の技術に裏打ちされた3つの事業が生み出し続けるシナジーを、持続可能な社会の構築に向けて更に拡大していきます。 (3) JFEグループの競争力の源泉(鉄鋼事業・商社事業)鉄鋼事業は、世界有数の生産規模と高い技術開発力を有する銑鋼一貫メーカーのJFEスチール㈱を中核としており、お客様や社会の多様なニーズにお応えする鉄鋼製品をグローバルに供給しています。また商社事業は、JFE商事㈱を中核として、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・資機材・船舶から食品・エレクトロニクスまで幅広く取り扱い、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスをグローバルに提供しています。鉄鋼・商社事業の競争優位の源泉は、①お客様のニーズに基づいた最先端の「技術開発力」と、②製造現場で培われてきた「生産」の実力、および③JFEスチール㈱とJFE商事㈱が一体となって長年築いてきた強固なお客様との信頼関係に基づく「販売力」の3つを基礎としています。これらをベースに、お客様のニーズに沿った新たな価値を創造し、最適なソリューションを提供し続けてきました。これらの競争優位性は私たちが長年の努力により積み重ねてきた貴重な財産であり、他社が容易に真似できない持続的成長のドライバーです。 ○新たな価値の創造を可能とする技術開発力(鉄鋼事業)世界各地のお客様の高度なご要望にお応えすることで、業界をリードする技術力を蓄積してきました。幅広い分野での高機能・高品質の商品やサービスの開発と提供を通じて新たな価値を創造し、世界中の産業や社会の発展と人々の生活の進化に貢献しています。また、優れた環境保全・省資源・省エネ技術により、世界で最も低いレベルの環境負荷で鉄鋼製品を生産することができ、その技術を世界各地の環境対策に役立てるとともに、成長の機会として活用しています。 ○製造現場で培われてきた「生産」の実力(鉄鋼事業)JFEスチール㈱の製造現場においては、長年の鉄鋼製品製造で培われてきた質が高く、高い生産性を有する製造技術、知的財産、操業ノウハウ等が無数に蓄積されています。これらに加えて、低CO2での高品質鋼材製造を可能にするGX対応技術、データサイエンス・ロボティクス等のDX技術等が融合した製造実力は、同社固有の競争力の源泉です。なお、内需の減少という事業環境の変化に対応するため、高炉休止による生産効率の維持・向上を実行し、常に国内最適生産体制を構築してまいります。具体的には、現在の粗鋼生産能力2,600万トン(高炉7基体制、仙台製造所電気炉を除く)に対し、2027年度の粗鋼生産能力を2,100万トン程度へスリム化します。また2028年度には西日本製鉄所(倉敷地区)で革新電気炉を稼働させ、高炉5基+電気炉1基体制とします。 ○ニーズへの対応力と安定したお客様基盤(鉄鋼事業・商社事業)長年のお取引による数多くのお客様との双方向のコミュニケーションにより、お客様との信頼関係を構築してきました。お客様との綿密なニーズの摺り合わせや、開発初期段階からの協働等の取り組みを通じて新たな価値を創造し、お客様の課題解決に貢献してきました。結果として、他社が容易に入り込むことができない堅固なお客様基盤を構築しています。 ○JFEグループのグローバル鋼材サプライチェーンマネジメント網(商社事業)JFEスチール㈱と戦略的に連携を取りながら日本、中国、北米、豪州、インド、欧州でグローバル展開する鋼材サプライチェーンマネジメントを構築しています。日本で製造されるJFEスチール材のみならず、鉄鋼事業の海外製造拠点やJFEグループのアライアンス先で製造される鋼材も含めたJFEブランドを、世界各地に製造拠点を展開するお客様へ良質なサービスとともに提供しています。またお客様のニーズに合わせ、スリット等の切断加工製品や、環境規制・省エネを背景に拡大している自動車用モーターコアや高効率変圧器用トランスコア等の鋼材加工部品をグローバルに提供できる体制を整えています。 ○JFEグループの中核商社としての機能(商社事業)変化が激しいグローバル市場においてお客様のニーズを先取りし、中核商社としてJFEグループの全体最適を考えながらトレードビジネスや事業を展開し、お客様への価値貢献を最大化しています。こうした他社にはないグループ全体最適を追求する商社事業モデルを通じ、グローバル市場におけるグループ全体の競争優位性を維持拡大していきます。 (エンジニアリング事業)エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング㈱を中核として、ガス・石油・水道パイプライン、再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、橋梁・港湾構造物等、人々が生活する上で不可欠となるインフラの構築等を行っており、それらのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)に加え、リサイクル・発電事業等の事業運営を展開しています。また数多くの国内支店・営業所、海外現地法人・海外支店を有することでグローバルかつきめ細かな販売ネットワークを構築しており、長年にわたり、官公庁や、大手電力会社・ガス会社等様々な民間企業のお客様へ高度な技術・サービスを提供しています。エンジニアリング事業の競争力の源泉は、時代の変化に対応する先進かつ多種多彩な商品・サービスや、高度なプロジェクト遂行能力、ものづくりのノウハウを強みにした事業運営に至るまでの幅広い事業展開を基礎としています。 ○高度な基盤技術、多種多彩な商品技術造船事業がベースの加工・組立技術と鉄鋼事業がベースの素材・燃焼技術を融合・進化させた高度な技術力を強みとして、エネルギー・環境や橋梁等幅広い分野で事業を展開してきました。とりわけ、世界的な課題となっている地球温暖化に対しても、次世代エネルギーの創出や、高効率発電プラントによるCO2排出量の抑制等、課題解決に向けた技術を数多く保有しており、これらの技術に基づいた新たなビジネスモデルの企画・立案・推進に積極的に取り組んでいます。 ○豊富な実績と多様な人材によるプロジェクト遂行能力エネルギー・環境や橋梁等様々な分野で、設計から引き渡しまで、お客様のニーズに即した高機能・高品質な施設を数多く建設してきました。また、国内最大級の鋼構造物製作工場をはじめとする生産拠点を有しており、高品質・低コストでの製品供給を可能としています。更に、アジア諸国を中心とした海外拠点にグローバルエンジニアリング体制を構築し、一段と競争力を強化しています。 ○ものづくりのノウハウを強みにした事業運営環境・上下水等のプラントを中心として、長きに亘りオペレーション・メンテナンスのノウハウを培い、公共サービス分野で数多くの官民連携事業を手掛けています。また、自らが建設したプラントで、リサイクル事業や再生可能エネルギー発電事業を行い、循環型社会、持続可能な社会の構築に取り組んできました。こうした、ものづくりや運営ノウハウを強みにした官民連携事業やエネルギーサービス事業等の運営型事業領域を更に拡大していきます。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題JFEグループを取り巻く事業環境は、国内における需要の減少や中国材の廉価での輸出拡大による海外市場の混乱等足元の厳しい状況が継続することが見込まれ、更に、保護主義の流れが加速する等、これまで以上に環境悪化のリスクが高まることが想定されます。このような厳しい環境において、「JFEグループの目指す姿」に向かっていくために、「JFEビジョン2035」および「第8次中期経営計画」(対象:2025~2027年度)を策定しました。 <JFEビジョン2035・第8次中期経営計画(収益目標)> [第8次中期経営計画](鉄鋼事業)徹底的に強靭化した国内体制において、競争優位性の源泉であるカーボンニュートラルを含めた革新技術や高付加価値品を生み出し、海外成長地域において優位性のある技術・商品・人材を活かして事業を拡大してまいります。○国内:高付加価値品比率の引き上げと国内生産体制の徹底したスリム化による収益力の向上・高付加価値品の比率向上 JFEスチール㈱の技術力を活かした高性能電磁鋼板や自動車用高張力鋼板、着床式洋上風力発電の基礎構造物用大単重厚板、新エネルギー対応用厚板/シームレスパイプ等の商品を拡販し、輸出汎用品から更に置換していくことで、高付加価値品比率を2024年度実績48%から2027年度60%へ引き上げ、製品トン当たり利益の向上を図っていきます。・国内生産体制の再構築および事業の再編 粗鋼生産能力2,600万トン(高炉7基体制(仙台製造所電気炉除く))に対し、高炉休止により2027年度粗鋼生産能力2,100万トン程度へとスリム化を実施します。2028年度には西日本製鉄所(倉敷地区)にて革新電気炉を稼働させ、高炉5基+電気炉1基体制とします。 ○海外:海外成長地域のトップクラスのパートナーとのインサイダー型事業拡大JSWスチール・リミテッド(インド)、ニューコア・コーポレーション(北米)とのパートナーシップはJFEスチール㈱の強みの一つです。グローバルな成長機会を求め、海外トップクラスのパートナーとのインサイダー型事業を推進します。既存事業での利益拡大に加え、引き続き技術優位性がある分野・領域(電磁鋼板/自動車用鋼板・グリーン鉄源等)の事業に注力し、ポートフォリオの最適化を図るとともに、インドにおける電磁鋼板拡販等の前中期投資案件の早期立ち上げに経営資源を集中させていきます。 (エンジニアリング事業)多様な事業によるポートフォリオを強みとして収益基盤を強化しつつ、「サーキュラーエコノミーの実現」を通じて事業を拡大するとともに気候変動問題の解決を図ってまいります。 (商社事業)国内は数量・案件数に拘り存在感を高め、海外では需要が伸張するエリアにおいてM&Aも含めた加工拠点の増強等によりインサイダー化による現地完結型ビジネスを推進します。 (京浜地区の土地活用)「OHGISHIMA2050」の推進にあたり、公共・公益性の高い土地利用転換を図っております。土地事業では、2027年度での累積事業収支は850億円、2035年度に1,000億円を達成します。加えて、京浜地区の立地と当社グループが持つリソースを活用した新規事業の立上げにより企業価値の向上を図り、2035年度に土地事業(賃貸)および事業利用による利益100億円/年を目指します。 (環境的持続性に向けた取り組み)前中期で経営上の極めて重要な経営課題と位置付けてきた「気候変動問題」を中心に、グループ全体で積極的に取り組んでいきます。 (人財戦略等)当社グループでは変革の時代において「人材こそが企業成長の原動力」であると考えています。今回長期ビジョンの策定においては、その経営戦略の実行・実現に向けて「会社の成長」と「社員の成長」を連動させる施策が必要であるとの認識から、長期的な目線での人財戦略を策定しました。 (コーポレートガバナンス)カーボンニュートラルやDX等、当社事業を取り巻く経営環境が、急激かつ大きく変化していくことが想定される中、2025年度より「監査等委員会設置会社」に移行することとしました。前中期で取り組んできた取締役会の実効性向上・監督機能強化に向けた取り組みを更に進展させ、経営の意思決定の迅速化、取締役会における経営方針や戦略に関する議論の充実、および更なる取締役会の監督機能の強化等を目指します。また、役員報酬に関しても、2025年度に、役員報酬に占める業績連動報酬の比率の向上、ESG報酬として新たな算定指標の追加、株式報酬について株価や株主資本コストを意識した算定指標への変更を実施しました。 なお、JFEエンジニアリング㈱は、同社が2017年6月および2020年6月に沖縄県竹富町と契約した海底送水管更新工事に関して、入札談合等関与行為防止法違反および公契約関係競売入札妨害罪により同社元社員が有罪判決を受けたことから、建設業法に基づき、2025年5月に国土交通省より全国における水道施設工事業に関する営業のうち公共工事に係るものについて、営業停止命令を受けました。本事案を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止策を引き続き実行することにより、早期の信頼回復に努めてまいります。 (DX)当社グループでは「長年蓄積された操業データ・ノウハウ」と「広範な事業領域から生み出される技術」が競争優位性の源泉であると捉えています。前中期に引き続きDXによるビジネス変革と生産プロセス・業務プロセス革新により、強靭な収益基盤構築を目指します。 (財務健全性の確保)第8次中期経営計画期間中のキャッシュアロケーション(3ヵ年総額)は以下のとおりになります。なお、第8次中期経営計画の財務目標としては、Debt/EBITDA倍率およびD/Eレシオを、それぞれ3倍程度、60%程度と設定しました。財務健全性を確保しつつ、成長投資・カーボンニュートラル対応投資と安定的な株主還元を両立させるべく、財務目標を意識した経営を実行してまいります。 (株主還元方針)当社は株主の皆様への利益還元を最重要経営課題の一つと考えており、グループ全体として持続性のある企業体質の確立を図りつつ、積極的に配当を実施していく方針としております。第8次中期経営計画においては、引き続き配当性向30%程度といたしますが、安定的に配当を実施する観点から80円/株を下限とする方針といたします。 (企業価値向上に向けた取り組み)当社は、株価を重要な経営指標の一つとして認識しており、現状当社のPBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回っていることを重要な課題として認識しております。株主資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の安定的な実現、市場からの信頼性を向上させていくことで、企業価値を向上させ、資本市場の評価を高めてまいります。また、社会の持続的発展と人々の安全で快適な暮らしに寄り添う「なくてはならない」存在であり続けることを目指してまいります。 (注) 上記の記載には、2025年5月8日の第8次中期経営計画、決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針企業理念:JFEグループは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。行動規範:挑戦。柔軟。誠実。パーパス: ・JFEスチール㈱ ねがう未来に、鉄で応える。 ・JFEエンジニアリング㈱ くらしの礎を 創る・担う・つなぐ – Just For the Earth ・JFE商事㈱ 世界をつなぐ。鉄でつなぐ。 (2) 企業構造JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。鉄を中核として、エネルギー技術や資源リサイクル技術等幅広い分野に領域を広げており、世界最高の技術に裏打ちされた3つの事業が生み出し続けるシナジーを、持続可能な社会の構築に向けて更に拡大していきます。 (3) JFEグループの競争力の源泉(鉄鋼事業・商社事業)鉄鋼事業は、世界有数の生産規模と高い技術開発力を有する銑鋼一貫メーカーのJFEスチール㈱を中核としており、お客様や社会の多様なニーズにお応えする鉄鋼製品をグローバルに供給しています。また商社事業は、JFE商事㈱を中核として、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・資機材・船舶から食品・エレクトロニクスまで幅広く取り扱い、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスをグローバルに提供しています。鉄鋼・商社事業の競争優位の源泉は、①お客様のニーズに基づいた最先端の「技術開発力」と、②製造現場で培われてきた「生産」の実力、および③JFEスチール㈱とJFE商事㈱が一体となって長年築いてきた強固なお客様との信頼関係に基づく「販売力」の3つを基礎としています。これらをベースに、お客様のニーズに沿った新たな価値を創造し、最適なソリューションを提供し続けてきました。これらの競争優位性は私たちが長年の努力により積み重ねてきた貴重な財産であり、他社が容易に真似できない持続的成長のドライバーです。 ○新たな価値の創造を可能とする技術開発力(鉄鋼事業)世界各地のお客様の高度なご要望にお応えすることで、業界をリードする技術力を蓄積してきました。幅広い分野での高機能・高品質の商品やサービスの開発と提供を通じて新たな価値を創造し、世界中の産業や社会の発展と人々の生活の進化に貢献しています。また、優れた環境保全・省資源・省エネ技術により、世界で最も低いレベルの環境負荷で鉄鋼製品を生産することができ、その技術を世界各地の環境対策に役立てるとともに、成長の機会として活用しています。 ○製造現場で培われてきた「生産」の実力(鉄鋼事業)JFEスチール㈱の製造現場においては、長年の鉄鋼製品製造で培われてきた質が高く、高い生産性を有する製造技術、知的財産、操業ノウハウ等が無数に蓄積されています。これらに加えて、低CO2での高品質鋼材製造を可能にするGX対応技術、データサイエンス・ロボティクス等のDX技術等が融合した製造実力は、同社固有の競争力の源泉です。なお、内需の減少という事業環境の変化に対応するため、高炉休止による生産効率の維持・向上を実行し、常に国内最適生産体制を構築してまいります。具体的には、現在の粗鋼生産能力2,600万トン(高炉7基体制、仙台製造所電気炉を除く)に対し、2027年度の粗鋼生産能力を2,100万トン程度へスリム化します。また2028年度には西日本製鉄所(倉敷地区)で革新電気炉を稼働させ、高炉5基+電気炉1基体制とします。 ○ニーズへの対応力と安定したお客様基盤(鉄鋼事業・商社事業)長年のお取引による数多くのお客様との双方向のコミュニケーションにより、お客様との信頼関係を構築してきました。お客様との綿密なニーズの摺り合わせや、開発初期段階からの協働等の取り組みを通じて新たな価値を創造し、お客様の課題解決に貢献してきました。結果として、他社が容易に入り込むことができない堅固なお客様基盤を構築しています。 ○JFEグループのグローバル鋼材サプライチェーンマネジメント網(商社事業)JFEスチール㈱と戦略的に連携を取りながら日本、中国、北米、豪州、インド、欧州でグローバル展開する鋼材サプライチェーンマネジメントを構築しています。日本で製造されるJFEスチール材のみならず、鉄鋼事業の海外製造拠点やJFEグループのアライアンス先で製造される鋼材も含めたJFEブランドを、世界各地に製造拠点を展開するお客様へ良質なサービスとともに提供しています。またお客様のニーズに合わせ、スリット等の切断加工製品や、環境規制・省エネを背景に拡大している自動車用モーターコアや高効率変圧器用トランスコア等の鋼材加工部品をグローバルに提供できる体制を整えています。 ○JFEグループの中核商社としての機能(商社事業)変化が激しいグローバル市場においてお客様のニーズを先取りし、中核商社としてJFEグループの全体最適を考えながらトレードビジネスや事業を展開し、お客様への価値貢献を最大化しています。こうした他社にはないグループ全体最適を追求する商社事業モデルを通じ、グローバル市場におけるグループ全体の競争優位性を維持拡大していきます。 (エンジニアリング事業)エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング㈱を中核として、ガス・石油・水道パイプライン、再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、橋梁・港湾構造物等、人々が生活する上で不可欠となるインフラの構築等を行っており、それらのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)に加え、リサイクル・発電事業等の事業運営を展開しています。また数多くの国内支店・営業所、海外現地法人・海外支店を有することでグローバルかつきめ細かな販売ネットワークを構築しており、長年にわたり、官公庁や、大手電力会社・ガス会社等様々な民間企業のお客様へ高度な技術・サービスを提供しています。エンジニアリング事業の競争力の源泉は、時代の変化に対応する先進かつ多種多彩な商品・サービスや、高度なプロジェクト遂行能力、ものづくりのノウハウを強みにした事業運営に至るまでの幅広い事業展開を基礎としています。 ○高度な基盤技術、多種多彩な商品技術造船事業がベースの加工・組立技術と鉄鋼事業がベースの素材・燃焼技術を融合・進化させた高度な技術力を強みとして、エネルギー・環境や橋梁等幅広い分野で事業を展開してきました。とりわけ、世界的な課題となっている地球温暖化に対しても、次世代エネルギーの創出や、高効率発電プラントによるCO2排出量の抑制等、課題解決に向けた技術を数多く保有しており、これらの技術に基づいた新たなビジネスモデルの企画・立案・推進に積極的に取り組んでいます。 ○豊富な実績と多様な人材によるプロジェクト遂行能力エネルギー・環境や橋梁等様々な分野で、設計から引き渡しまで、お客様のニーズに即した高機能・高品質な施設を数多く建設してきました。また、国内最大級の鋼構造物製作工場をはじめとする生産拠点を有しており、高品質・低コストでの製品供給を可能としています。更に、アジア諸国を中心とした海外拠点にグローバルエンジニアリング体制を構築し、一段と競争力を強化しています。 ○ものづくりのノウハウを強みにした事業運営環境・上下水等のプラントを中心として、長きに亘りオペレーション・メンテナンスのノウハウを培い、公共サービス分野で数多くの官民連携事業を手掛けています。また、自らが建設したプラントで、リサイクル事業や再生可能エネルギー発電事業を行い、循環型社会、持続可能な社会の構築に取り組んできました。こうした、ものづくりや運営ノウハウを強みにした官民連携事業やエネルギーサービス事業等の運営型事業領域を更に拡大していきます。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題JFEグループを取り巻く事業環境は、国内における需要の減少や中国材の廉価での輸出拡大による海外市場の混乱等足元の厳しい状況が継続することが見込まれ、更に、保護主義の流れが加速する等、これまで以上に環境悪化のリスクが高まることが想定されます。このような厳しい環境において、「JFEグループの目指す姿」に向かっていくために、「JFEビジョン2035」および「第8次中期経営計画」(対象:2025~2027年度)を策定しました。 <JFEビジョン2035・第8次中期経営計画(収益目標)> [第8次中期経営計画](鉄鋼事業)徹底的に強靭化した国内体制において、競争優位性の源泉であるカーボンニュートラルを含めた革新技術や高付加価値品を生み出し、海外成長地域において優位性のある技術・商品・人材を活かして事業を拡大してまいります。○国内:高付加価値品比率の引き上げと国内生産体制の徹底したスリム化による収益力の向上・高付加価値品の比率向上 JFEスチール㈱の技術力を活かした高性能電磁鋼板や自動車用高張力鋼板、着床式洋上風力発電の基礎構造物用大単重厚板、新エネルギー対応用厚板/シームレスパイプ等の商品を拡販し、輸出汎用品から更に置換していくことで、高付加価値品比率を2024年度実績48%から2027年度60%へ引き上げ、製品トン当たり利益の向上を図っていきます。・国内生産体制の再構築および事業の再編 粗鋼生産能力2,600万トン(高炉7基体制(仙台製造所電気炉除く))に対し、高炉休止により2027年度粗鋼生産能力2,100万トン程度へとスリム化を実施します。2028年度には西日本製鉄所(倉敷地区)にて革新電気炉を稼働させ、高炉5基+電気炉1基体制とします。 ○海外:海外成長地域のトップクラスのパートナーとのインサイダー型事業拡大JSWスチール・リミテッド(インド)、ニューコア・コーポレーション(北米)とのパートナーシップはJFEスチール㈱の強みの一つです。グローバルな成長機会を求め、海外トップクラスのパートナーとのインサイダー型事業を推進します。既存事業での利益拡大に加え、引き続き技術優位性がある分野・領域(電磁鋼板/自動車用鋼板・グリーン鉄源等)の事業に注力し、ポートフォリオの最適化を図るとともに、インドにおける電磁鋼板拡販等の前中期投資案件の早期立ち上げに経営資源を集中させていきます。 (エンジニアリング事業)多様な事業によるポートフォリオを強みとして収益基盤を強化しつつ、「サーキュラーエコノミーの実現」を通じて事業を拡大するとともに気候変動問題の解決を図ってまいります。 (商社事業)国内は数量・案件数に拘り存在感を高め、海外では需要が伸張するエリアにおいてM&Aも含めた加工拠点の増強等によりインサイダー化による現地完結型ビジネスを推進します。 (京浜地区の土地活用)「OHGISHIMA2050」の推進にあたり、公共・公益性の高い土地利用転換を図っております。土地事業では、2027年度での累積事業収支は850億円、2035年度に1,000億円を達成します。加えて、京浜地区の立地と当社グループが持つリソースを活用した新規事業の立上げにより企業価値の向上を図り、2035年度に土地事業(賃貸)および事業利用による利益100億円/年を目指します。 (環境的持続性に向けた取り組み)前中期で経営上の極めて重要な経営課題と位置付けてきた「気候変動問題」を中心に、グループ全体で積極的に取り組んでいきます。 (人財戦略等)当社グループでは変革の時代において「人材こそが企業成長の原動力」であると考えています。今回長期ビジョンの策定においては、その経営戦略の実行・実現に向けて「会社の成長」と「社員の成長」を連動させる施策が必要であるとの認識から、長期的な目線での人財戦略を策定しました。 (コーポレートガバナンス)カーボンニュートラルやDX等、当社事業を取り巻く経営環境が、急激かつ大きく変化していくことが想定される中、2025年度より「監査等委員会設置会社」に移行することとしました。前中期で取り組んできた取締役会の実効性向上・監督機能強化に向けた取り組みを更に進展させ、経営の意思決定の迅速化、取締役会における経営方針や戦略に関する議論の充実、および更なる取締役会の監督機能の強化等を目指します。また、役員報酬に関しても、2025年度に、役員報酬に占める業績連動報酬の比率の向上、ESG報酬として新たな算定指標の追加、株式報酬について株価や株主資本コストを意識した算定指標への変更を実施しました。 なお、JFEエンジニアリング㈱は、同社が2017年6月および2020年6月に沖縄県竹富町と契約した海底送水管更新工事に関して、入札談合等関与行為防止法違反および公契約関係競売入札妨害罪により同社元社員が有罪判決を受けたことから、建設業法に基づき、2025年5月に国土交通省より全国における水道施設工事業に関する営業のうち公共工事に係るものについて、営業停止命令を受けました。本事案を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止策を引き続き実行することにより、早期の信頼回復に努めてまいります。 (DX)当社グループでは「長年蓄積された操業データ・ノウハウ」と「広範な事業領域から生み出される技術」が競争優位性の源泉であると捉えています。前中期に引き続きDXによるビジネス変革と生産プロセス・業務プロセス革新により、強靭な収益基盤構築を目指します。 (財務健全性の確保)第8次中期経営計画期間中のキャッシュアロケーション(3ヵ年総額)は以下のとおりになります。なお、第8次中期経営計画の財務目標としては、Debt/EBITDA倍率およびD/Eレシオを、それぞれ3倍程度、60%程度と設定しました。財務健全性を確保しつつ、成長投資・カーボンニュートラル対応投資と安定的な株主還元を両立させるべく、財務目標を意識した経営を実行してまいります。 (株主還元方針)当社は株主の皆様への利益還元を最重要経営課題の一つと考えており、グループ全体として持続性のある企業体質の確立を図りつつ、積極的に配当を実施していく方針としております。第8次中期経営計画においては、引き続き配当性向30%程度といたしますが、安定的に配当を実施する観点から80円/株を下限とする方針といたします。 (企業価値向上に向けた取り組み)当社は、株価を重要な経営指標の一つとして認識しており、現状当社のPBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回っていることを重要な課題として認識しております。株主資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の安定的な実現、市場からの信頼性を向上させていくことで、企業価値を向上させ、資本市場の評価を高めてまいります。また、社会の持続的発展と人々の安全で快適な暮らしに寄り添う「なくてはならない」存在であり続けることを目指してまいります。 (注) 上記の記載には、2025年5月8日の第8次中期経営計画、決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループにおける生産実績については鉄鋼事業の粗鋼生産量を、また受注実績についてはエンジニアリング事業の受注実績・受注残高を記載しております。鉄鋼事業は、特定顧客からの受注については反復循環的に生産しているため、受注実績の記載を省略しております。エンジニアリング事業は、請負工事を中心としているため、生産実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。商社事業は、受注生産形態をとらない製品が多いため、生産実績・受注実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。a.生産実績当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。 セグメントの名称粗鋼生産量(千トン)前期比(%)鉄鋼事業(うちJFEスチール㈱)23,196(21,946)△6.5(△6.4) b.受注実績当連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。 セグメントの名称受注実績(百万円)(※1)前期比(%)(※2)受注残高(百万円)(※1)前期比(%)(※2)エンジニアリング事業579,560△3.2994,468+0.9 (注)1 ※1 自治体等から受託したごみ処理施設等の長期O&M契約について、前連結会計年度以前は単年度の売上収益相当額のみを受注実績に計上しておりましたが、当連結会計年度より、契約時に総額を一括計上する方法へ変更しております。当連結会計年度の受注実績および受注残高を旧計上方法で計算した場合の金額は558,517百万円、603,017百万円であります。2 ※2 前期比は、新計上方法に基づく前連結会計年度の数値および当連結会計年度の数値を比較して算出しております。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。 セグメントの名称販売実績(百万円)前期比(%)鉄鋼事業3,365,191△9.4エンジニアリング事業569,815+5.5商社事業1,438,559△2.6計5,373,566 調整額△513,919―合計4,859,647△6.1 (注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、特に記載のあるものを除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。重要性のある会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」、重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.当連結会計年度の経営成績の分析当連結会計年度の国内および海外経済は、緩やかに持ち直しつつも、中国経済の停滞継続や人手不足の影響等もあり、一部に足踏みがみられました。加えて、物価上昇や、アメリカの通商政策による影響等により、先行きの不透明感が強まっております。このような状況のもと、JFEグループでは、構造改革の完遂、高付加価値品比率の引き上げ、販売価格体系の見直しにより、収益基盤の強化を進めてまいりましたが、国内需要の低迷、中国による周辺国への廉価での輸出拡大により、事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益ともに前連結会計年度に比べ減益となりました。当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。鉄鋼事業は、国内外の需要や海外鋼材市況の低迷等を背景に、当連結会計年度の連結粗鋼生産量は2,320万トンと前連結会計年度と比べ減少しました。売上収益については、販売数量の減少や海外鋼材市況の悪化等を受け、3兆3,651億円と前連結会計年度に比べ3,509億円(9.4%)の減収となりました。セグメント利益については、構造改革の効果発現および継続的な販売価格の改善やコスト削減に取り組んだものの、海外鋼材市況の悪化や販売数量の減少に加え、棚卸資産評価差等の一過性の減益要因等により、前連結会計年度に比べ1,664億円(82.1%)の大幅な減益となる363億円となりました。エンジニアリング事業は、受注済プロジェクトを着実に遂行した結果、売上収益は5,698億円と前連結会計年度に比べ299億円(5.5%)の増収となり過去最高を更新しました。セグメント利益については、洋上風力案件(モノパイル)発注時期遅れ等により、前連結会計年度に比べ50億円(20.5%)の減益となる193億円となりました。商社事業は、2024年5月に買収したスタッドコ・ビルディング・システムズ・US・LLCおよびスタッドコ・コーポレーションからの収益貢献等があったものの、国内建設分野の需要低迷継続等により、売上収益は1兆4,385億円、セグメント利益は479億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ379億円(2.6%)の減収、10億円(2.0%)の減益となりました。以上の結果、当社単体業績等と合わせ、当連結会計年度における連結での売上収益は4兆8,596億円となり、前連結会計年度に比べ3,150億円(6.1%)の減収となりました。事業利益は1,353億円となり、前連結会計年度に比べ1,629億円(54.6%)の減益となりました。税引前利益は1,443億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は918億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ1,240億円(46.2%)、1,056億円(53.5%)の減益となりました。 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが3,789億円の収入(前連結会計年度に比べ収入が1,000億円減少)であったのに対し、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産、無形資産及び投資不動産の取得による支出を中心として2,831億円の支出(前連結会計年度に比べ支出が421億円減少)であったことから、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは957億円の収入(前連結会計年度に比べ収入が580億円減少)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出を中心として、1,574億円の支出(前連結会計年度に比べ支出が1,120億円増加)となりました。この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ638億円減少し、1兆7,664億円となり、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ702億円減少し、1,728億円となりました。なお、有利子負債は、社債、借入金及びリース負債であります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入、製造費用、受注建設工事の費用支払および販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、鉄鋼事業における収益向上、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の戦略投資および製造基盤整備を目的とした設備投資です。運転資金は、主に金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行等により調達しております。投資資金は、自己資金を基本としておりますが、自己資金を上回る資金需要については、金融機関からの長期借入金や社債の発行等で調達しております。当社グループでは、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定することにより、十分な資金の流動性を確保しております。 c.目標とする指標の達成状況当社グループは、2021年5月に公表した第7次中期経営計画(2021~2024年度)の中で、以下の財務・収益目標を掲げ、鉄鋼事業の構造改革の完遂、量から質への転換等の施策を着実に遂行することで、収益基盤の強化を進めてまいりました。しかしながら、想定を大幅に超える鉄鋼の事業環境悪化により、最終年度である2024年度において、主要な財務・収益目標を達成することはできませんでした。一方、インドを中心とした成長マーケットやカーボンニュートラル社会実現に向けたグリーン鋼材等の需要は底堅いとされ、これらの需要を確実に捕捉するため、「第8次中期経営計画」(2025~2027 年度を対象)に基づく取り組みを進めてまいります。(第8次中期経営計画については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。) ■第7次中期経営計画 目標(2024年度)実績(2021年度)(2022年度)(2023年度)(2024年度)グループ全体連結事業利益3,200億円4,164億円2,358億円2,982億円1,353億円親会社の所有者に帰属する当期利益2,200億円2,880億円1,626億円1,974億円918億円ROE10%15.7%7.9%8.6%3.7%Debt/EBITDA倍率3倍程度2.8倍3.7倍3.2倍4.5倍D/Eレシオ70%程度80.8%67.8%58.0%54.3%事業会社鉄鋼事業 ・トン当たり利益10千円/トン14千円/トン7千円/トン10千円/トン2千円/トン・セグメント利益2,300億円3,237億円1,468億円2,027億円363億円エンジニアリング事業 ・セグメント利益350億円260億円134億円243億円193億円・売上収益6,500億円5,082億円5,125億円5,399億円5,698億円商社事業 ・セグメント利益400億円559億円651億円489億円479億円 (注)1 D/Eレシオ:格付け評価上の資本性を持つ負債について、格付け機関の評価により資本に算入しております。2 鉄鋼事業のトン当たり利益:(連結セグメント利益÷単体出荷数量) 目標実績(2021年度)(2022年度)(2023年度)(2024年度)株主還元方針(配当性向)30%程度28.0%28.5%30.9%69.2% なお、当連結会計年度の分析につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。
事業リスク
- 経済状況と市場競争国内市場の少子高齢化による縮小や、世界経済の変動は、鉄鋼製品の販売量や価格に直接影響を及ぼす可能性があります。特に海外市場では、中国の輸出増加や新興国の生産能力拡大により競争が激化しており、関税引き上げなどの輸入規制も業績に影響を与えるリスクがあります。
- 原材料・エネルギー価格変動鉄鉱石、原料炭、電気、天然ガスなどの原材料・エネルギー価格は、世界的な需給変化や国際紛争などにより上昇する傾向にあります。これらのコスト上昇を製品価格に転嫁できない場合、収益性が悪化する可能性があります。また、サプライチェーンの混乱による調達困難も生産に影響を与えかねません。
- 大規模設備の安定操業鉄鋼事業では、高炉や圧延機など大規模な製造設備を多数使用しており、中には老朽化が進んでいるものもあります。これらの設備の故障やトラブルは、生産停止や生産量減少に直結し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。安定操業の維持には継続的な設備投資が不可欠です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。それらのリスク要因のいずれも投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当社グループのリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③経営体制・内部統制体制 c. 内部統制体制・リスク管理体制の整備の状況」に記載しております。 (1)経済状況と販売市場環境(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業) [鉄鋼事業・商社事業]鉄鋼事業・商社事業においては、各製品市場と地域市場において、競合他社との競争に直面しております。国内鋼材販売は、建築・土木、自動車、産業機械、電気機械等各需要分野に広がっており、販売形態も多岐にわたっております。また、これら国内向けに加え、JFEスチール㈱は42%程度(単独・金額ベース)、JFE商事㈱は53%程度(単独・金額ベース・JFEスチール材含む)を海外に輸出しております。主な輸出先はタイ等のASEAN、韓国、中国向けとなっております。従いまして、今後の少子高齢化に伴う国内市場の縮小や、国内およびアジアをはじめとする世界経済の状況等を背景とした国内外の鋼材需給の動向が当社グループの鋼材の販売量や価格に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ海外市場においては、中国の内需減少に伴う輸出の増加や、新興国における鉄鋼生産能力の拡大という構造的な変化により、ますます競争が激化していく可能性があります。また、海外主要国において関税引き上げやアンチダンピング・セーフガード措置等の輸入規制が課せられた場合には、当社グループの輸出取引が制約を受け、業績に影響を及ぼします。一方、当社グループの輸出量が少ない米国、EU等においても、各種輸入規制が行われた結果、その市場から締め出された鋼材が当社グループの主要輸出エリアに還流することにより市場が影響を受け、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の主要国・地域において大規模かつ包括的な関税が賦課されるような場合には、当該国・地域における当社グループの需要家においても事業戦略・運営の変更や生産・販売量の減少が発生することにより、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、2022年にウクライナにおいて発生したような国際的な紛争も、国内外の鋼材需給の動向の変化を通じて当社グループの鋼材の販売量や価格に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、国内外の鋼材需給の変化に対応して生産数量の最適化を図るとともに、長期的な鋼材需給の動向を見据えて設備の統廃合等による最適な生産体制の構築を図ってまいります。この一環として、粗鋼生産能力2,600万トン(高炉7基体制、仙台製造所電気炉を除く)に対し、高炉休止により2027年度の粗鋼生産能力2,100万トン程度へとスリム化を実施します。また2028年度には西日本製鉄所(倉敷地区)で革新(高効率大型)電気炉を稼働させ、高炉5基+電気炉1基体制とします。一方で、当社グループの基幹製鉄所である西日本製鉄所への戦略的な投資を行い、コスト競争力を向上させることで、市場環境が変化しても収益を確保できる体制を整えてまいります。販売面でも新興国ミルに対して技術優位性の高い商品の販売比率の拡大を進め、収益基盤の安定化を図ってまいります。更に、グローバルな成長機会を求め、海外成長地域におけるパートナーとのインサイダー型事業の拡大を進めてまいります。商社事業においては、鉄鋼製品を中心に、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売を行っており、国内外の各製品市場において市場環境の変化に適切に対応できる流通販売網を構築しております。具体的には、国内においては流通再編等を通じ販売力の強化を進めるとともに、基盤強化に必要な設備の更新をタイムリーに進めております。また海外の成長を事業拡大の原動力とし、鉄鋼事業の事業戦略と連携した高付加価値品のサプライチェーンマネジメントの強化に加え、現地完結型事業を強化していきます。また、低・脱炭素社会実現に向けたビジネスとして、バイオマス燃料やスクラップ取引の拡大に加え、廃タイヤ等のリサイクル分野の環境商材に取り組んでいきます。 [エンジニアリング事業]エンジニアリング事業においては、エネルギープラント・ごみ焼却炉等の環境施設・橋梁を中心とした設備のEPC(設計・調達・建設)を行っております。また、DBO(設計・建設・運転)案件における設備の運転保守の受託や、リサイクル・発電・電力小売等の運営型事業を自ら行っております。上記事業のポートフォリオは、公共インフラ(ごみ焼却施設、橋梁等)関連が過半を占めているため、国内経済状況および国・自治体の方針・政策の影響等による国内公共事業の縮小は、応札案件の減少に直結し、その結果、受注高が減少する可能性があります。また、海外についても同様に対象国の経済状況や政策の変化により、受注高が減少する可能性があります。また、プロジェクト遂行にあたり、資機材等の価格が上昇した場合、建設コストが上昇することになります。建設コスト上昇の影響に左右されない競争力を確保するために、技術開発等を進めてまいります。また、長期安定的な収益源として運営型事業を強化してまいります。 (2)原料・エネルギーの市場環境(鉄鋼事業・商社事業) [鉄鋼事業]鋼材の原材料として鉄鉱石、原料炭、合金鉄・非鉄金属・スクラップ等を調達しております。近年これらの原材料の価格は世界的な需給構造変化、主要原産国である豪州・ブラジルにおける自然災害や事故の発生、更には2022年にウクライナにおいて発生したような国際的な紛争等により上昇しており、それを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製鉄プロセスに使用する電気・天然ガス等を購入しておりますが、これらの価格も世界的な需給変化、環境規制強化や国際的な紛争等に起因して上昇しており、それを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更にこれら原材料・エネルギーについて、生産国における自然災害や事故の発生、国際的な紛争、サプライチェーンの混乱等により調達が困難となった場合、当社グループの生産量・販売量の減少を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 これに対しては、安価原料の使用技術を開発し、その使用比率の増加を図ることで原料調達におけるコスト削減とコスト変動の低減を図ってまいります。また、豪州ホワイトヘイブン社ブラックウォーター炭鉱の権益の一部の取得や調達ソースの分散化等により、調達不安定化のリスクの低減を図ってまいります。更に、製鉄所内の発電所等のリフレッシュを計画的に進めることにより、調達エネルギーのコスト削減とコスト変動の低減を図ってまいります。 [商社事業]当社グループ向けに原材料を販売するとともに、当社グループ外への原料販売も行っています。従って、当社グループの活動水準に変化があった場合や、原材料生産国における自然災害や事故の発生、また国際的な紛争、サプライチェーンの混乱等、仕入環境や販売環境に変化があった場合、商社事業の販売量に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、原料調達における低廉化や新たな調達ソースの開発等により、原材料サプライチェーンのリスク低減を図ってまいります。また、当社グループ以外への販路開拓を進め、販売量の維持安定化を進めます。 (3)製造設備・システムの安定操業状況(鉄鋼事業)鉄鋼事業においては、高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機、焼鈍炉、発電所等の多数の大規模な製造設備を用いて鉄鋼製品の生産を行っております。これらの設備の中には稼働後数十年を経て更新時期を迎えたものもあります。持続的な安定生産を実現する国内製造基盤を確立するため、これまでも、集中的な設備投資を計画し、老朽設備の更新を順次進めてまいりましたが、これらの設備において設備・システムトラブルが発生した場合、生産量の減少や修繕コストの増加等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、重要設備の更新投資を計画的に進め、製鉄所の製造実力の強靭化を図ってまいります。2019年度より高炉の操業安定化を中心に高炉付帯設備の劣化対応やDX・AI・IoT技術の活用等による基盤整備投資を実施してきましたが、第8次中期経営計画では全プロセスへの水平展開を進めてまいります。 (4)設備投資効果・事業投資効果の実現状況(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは収益基盤の維持・向上、事業拡大を目指し、多額の設備投資および事業投資を行っております。[設備投資]鉄鋼事業では、安定生産基盤の確立に加え、生産性・コスト競争力の更なる進展のために、国内製造拠点への戦略的な投資を継続しております。東西製鉄所においては、コークス炉の更新、電磁鋼板製造ラインの増強、革新電気炉の導入等を行い、これらの設備の最新鋭化・能力増強を図っておりますが、これらの稼働が遅れた場合や鋼材需要が変化した場合、予定どおりのコスト削減効果や拡販効果が発揮されず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、主要工事の進捗確認を定期的に実施することで、計画的な実施を図っております。また、世界の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の設備投資計画に対して、投資時期や規模等の適切な見直しを行います。 [事業投資]当社グループは、国内投資に加え、海外成長機会を捉えるための事業投資も推進しております。海外各国における政情や経済情勢の変動、合弁相手先企業の状況の変化等の不測の事態により、期待する収益の獲得や投資回収が困難となる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、世界の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の事業投資計画に対して、投資時期や規模等の適切な見直しを行います。また、事業投資の意思決定の過程では、個社・各地域のリスク評価を行い、そのリスクに応じたフォローを行うことで、リスクの管理を図っております。 (5)新製品・新技術の開発状況(鉄鋼事業・エンジニアリング事業)当社グループは、お客様の高度なご要望にお応えすることで、グローバルで戦うことができる技術力を磨いてまいりました。当社グループの収益基盤を維持・向上していくためには、今後も社会に貢献する世界最先端の新製品・新技術の開発、製造ソリューションの提供、新規事業の探索を行っていく必要があります。これらが計画どおり実施できなかった場合や各種環境変化により計画どおりの効果が発揮されなかった場合、新商品の提供機会を逸することによる販売量の減少、十分な付加価値を付与できないことによる収益性の低下、受注機会の逸失等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、鉄鋼事業では自動車・インフラ建材・エネルギー分野を主軸とし、開発の加速化を図ってまいります。また、これまで以上にお客様のご要望を的確にとらえた開発を推進してまいります。例えば、自動車分野では、お客様との交流を深めてEVI(Early Vendor Involvement)を進化させ、先進ハイテンやその利用技術等の先端技術の提案を続けるとともに、建材分野における新たな付加価値をお客様と共に創り出すソリューション提案活動「JFESCRUM®」の展開、鉄づくりを通し長年にわたり培った製造・運営技術を、鉄鋼業に限らず幅広いお客様の課題解決ソリューションとして提供するソリューションビジネス「JFE Resolus®(レゾラス)」を提供することで、鉄の価値創造に努めています。また、エンジニアリング事業ではプラントの自動運転・遠隔監視等、最先端のAI・IoTを活用した技術開発やエネルギーサービス等の新たな商品・サービスの提案を積極的に進めております。更に、当社グループでは、技術開発の進捗状況のフォローを行い、市場環境の変化に応じた開発計画の見直しを適宜実施しております。 (6)品質保証(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは、鉄鋼製品をはじめとした多種多様な製品・サービスをお客様に提供しています。当社グループの製品品質は品質設計・製造部門から独立した品質保証部門により確認し、また、品質保証体制は品質監査部門によりチェックを行うことで保証しておりますが、製品やサービス、品質管理体制等に問題が発生した場合には、補償金の支払いや、社会からの信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 これに対しては、グループ会社を含めて品質管理体制を統括する組織を本社内に設置し、品質不具合の撲滅に向けた体制構築を進めております。お客様へ提供する品質データについては、自動測定・伝送化を一層拡充することで、人為的なミスや改ざんの根絶に努めております。また、鋼材の中間素材の識別管理の強化、品質保証体制の社内診断による強化等により、お客様への異常材の流出の未然防止を図っております。また、エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、調達した建設資材および機器を使用して建設工事を行っており、設備引渡し後も一定期間は契約不適合責任を負っております。建設した設備において、契約不適合責任のある不具合が生じた場合、請負者の責任において改修工事を実施することになり、追加コストが発生する可能性があります。こうしたリスクに対しては、品質保証体制を整備し、調達品および工事の検査によってリスクの軽減を図っております。 (7)受注後の変動リスク(エンジニアリング事業)エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、プロジェクト遂行にあたり、資機材の購入、外注業者の起用を行っており、工期が数年間に及ぶプロジェクトもあります。また、運営型事業では、設備の運転に必要な電気・燃料等を購入しており、運営期間が20年間以上に及ぶ事業もあります。市況・景気変動に伴う建設資材費および外注労務費の変動は建設コストに、電気・燃料費等の変動は運営コストに影響を与え、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、受注前の段階(応札段階)においてリスクの洗い出しを実施し、契約条件への織り込み等の対策を行うことで、受注後の変動リスクの軽減を図っております。更に、受注後においては、プロジェクト経験者による第三者視点でのフォローを実施し、リスクを早期に発見し軽減するよう努めております。 (8)重大な労働災害(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)多様な事業を展開する当社グループの中には、高所作業、高温作業、重量物の運搬、ガス関連設備での作業等災害の発生率が比較的高い作業を行う職場もあります。当社グループは、高齢者や女性を含め、多様な人材が災害を被ることなく安心して働ける作業環境の整備を進めておりますが、万が一生産設備等の重大事故や重大な労働災害が発生した場合には、事業活動が制約を受け、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、各事業会社では重大事故・重大災害の撲滅に努めております。各製鉄所・製造所においては、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格ISO45001の認証を取得し、労働安全衛生マネジメントシステムを継続的かつ効果的に運用していくことで安全衛生水準の向上に努めています。また、作業員が立入禁止区域に入ると警報を発して自動でラインを停止させるAI活用画像認知システムや、ガス濃度や重機との近接をリアルタイムでモニタリングして災害を未然に防ぐシステム等の導入を進めております。 (9)気候変動問題(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは大量のGHG(温室効果ガス)を排出する鉄鋼製造プロセスを有しており、当社グループの気候変動問題への対応は、当社グループの事業の持続性に関わる極めて重要な経営課題と認識しております。当社グループのカーボンニュートラルに向けた取り組みが十分でなかった場合や革新的な技術開発が達成できなかった場合は、コスト競争力を失う、お客様との取引が縮小する、資金調達が困難になる等により、国際的な競争力を失い、当社グループの業績等に多大な影響を及ぼす可能性があります。 これに対して当社グループは、GHG排出量を2013年度比で2030年度に30%以上削減すること、更に2050年にカーボンニュートラル実現を目指すことを経営目標として掲げ、達成に向けて社内の体制を整備し、迅速かつ効率的な推進を図っております。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業として「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトに参画し、高炉における水素還元技術開発、高炉排ガスの低炭素技術開発(カーボンリサイクル高炉、CCU(Carbon Capture and Utilization))、 直接水素還元技術開発、電気炉での不純物除去技術開発等の超革新技術の開発も積極的に進め、2024年12月に直接水素還元技術開発に係る小型試験炉を、2025年2月に電気炉での不純物除去技術開発に係る小型試験炉を立上げて試験を開始しています。その中で、いち早く実装可能な革新電気炉を2027年度に改修時期を迎える高炉の代替プロセスとして導入することを機関決定しました。革新電気炉での高品質・高機能鋼材製造や高炉法でのGHG排出量削減に向け、安定的な直接還元鉄の調達ソースを確保することが必要であり、中東での低炭素還元鉄サプライチェーンを構築すべく,具体的な事業スキームの協議も進めています。加えて、当社グループはGHG排出削減実績量を用いて鉄鋼製造プロセスにおけるGHG排出量を従来の製品より大幅に削減したグリーン鋼材「JGreeX®」の供給を2023年度上期より開始し、既に自動車、造船、橋梁、建築、産業機械、変圧器用等幅広い分野で採用が拡大しております。引き続き、GHG削減価値をサプライチェーン全体で負担する社会分配モデルの実現に向けて取り組んでまいります。一方、これらのカーボンニュートラルプロセスの導入には多大な技術開発費、設備投資費を要し、大幅な製造コストの上昇は不可避であると考えています。国家戦略として、「GX実現に向けた基本方針」や、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律により、脱炭素に向けた技術開発や設備投資に対する長期的かつ継続的な政府の支援がコミットされましたが、他の鉄鋼生産国と同等の支援が得られない場合、更には既に国際的に高い水準にある日本の産業用電力価格が更に上昇する場合は、他国に対して日本の鉄鋼メーカーのコスト競争力が低下し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。カーボンニュートラル実現に向けては、低価格で大量のグリーン水素や国際的に競争力がある安価な非化石電力の調達が必要不可欠となりますが、これらが国際的に競争力のある価格で供給されない場合、環境価値が適切に鋼材価格へ反映されない場合にも当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これらを実行していく上では、グリーン鋼材市場の創出・拡大が必要不可欠であり、優先調達や購入支援、規制的措置等の政策支援が必要と考えております。なお、タクソノミーや炭素国境調整といった政策・制度においては、世界的な保護主義を招く懸念があり、脱炭素への円滑な移行を阻害する恐れがあります。また、グリーン鋼材に関して、国際機関や民間機関を含めて、世界各地で様々な基準や閾値、定義やGHG定量方法の基準が乱立している状況においては、国際的に取引されている鋼材貿易に混乱を引き起こす懸念があります。2024年10月には、(一社)日本鉄鋼連盟の「グリーンスチールに関するガイドライン」を土台として世界鉄鋼協会(The Worldsteel Association)が国際的なガイドラインを定めております。引き続き、グリーン鋼材の削減価値が顧客の製品カーボンフットプリントへ適切に反映されるようガイドラインの改訂を進め、GHGプロトコルやISO等の国際標準化に向けて政府や関係機関とともに議論を深め、排出削減努力を適切に評価し正当な対価をいただける仕組み作りが進むよう、また環境規制が適切な制度として制定されるよう、関係機関に働きかけてまいります。 (10)大規模な自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)大規模な地震・台風等の自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等は、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症のような感染症の大流行により、世界的な移動制限や都市部のロックダウン等が行われ、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、需要産業の生産水準が大幅に低下することにより販売数量が減少し、当社グループの業績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業活動を行っている地域において国際的な紛争等が発生した場合においても、需要産業の生産水準が大幅に低下することにより販売数量が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。更に、大型台風により設備や建屋の損壊や製鉄所の浸水が生じた場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響する可能性があります。あるいは、当社グループの原料の調達先で港湾施設の機能停止により一定期間の生産・出荷停止が生じた場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。近年激甚化する国内の台風や豪雨に対しては、製鉄所内の排水設備の増強等を実施しております。また、原料の主要な調達先である海外での大規模気象災害に対しては、代替調達先の確保、調達ソースの分散、設備能力の増強を図ってまいります。なお、非常事態に対するBCPを策定しており、例えば大規模地震では、津波に対する避難場所の設置や、通信規制・停電等の状況下での全社指揮命令機能の維持、データのバックアップ等の対策を実施しております。また、新たな感染症のリスクに対しては、全従業員の健康と安全を第一に考え、安心して働けるよう、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の柔軟な事業運営や、インフラ構築等の環境整備を進めるとともに対策検討チームを発足させ、迅速な対応をとる体制を構築しております。 (11)他素材との競合(鉄鋼事業・商社事業)当社グループはGHG排出抑制効果の大きいエコプロダクトや環境配慮型技術を販売しております。自動車車体に適用されるハイテンは、アルミニウムや炭素繊維等の他素材と比べコスト優位性を有し、また軽量化にも貢献するため、他素材への置換は限定的と考えますが、他素材の大幅なコストダウンが実現した場合には鋼材需要が減少し、当社グループの業績に影響する可能性があります。これに対しては、継続的なコストダウンや性能向上に努め、他素材への置換を抑止するとともに、樹脂等の軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造等も提案し、鉄と他の素材とを組合せた部材の開発を行い、素材としての持ち味をより引き出し、鉄の需要のすそ野を広げるとともに、軽量化へ貢献していきます。 (12)情報セキュリティ(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは、事業を展開する上で、顧客および取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や改ざん等が無いように、グループ全体で徹底した管理を実行しております。過失や盗難、外部からの攻撃等によりこれらの情報が流出もしくは改ざんされた場合、技術優位性の喪失、損害賠償の発生、社会的な信用失墜等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社グループでは、情報管理の諸規定を制定することで、サイバー攻撃やシステムの不正利用による情報漏洩やシステム障害を防止する対策を実施しております。また、情報セキュリティを中心にITに関する重要課題を審議する「JFEグループ情報セキュリティ委員会」を設置し、そこで決定した方針に基づき、情報セキュリティ施策の立案と実施推進を図る社内チームである「JFE―SIRT」にてグループ全体の情報セキュリティ管理レベルの向上を推進しております。更に、2024年4月にJFEサイバーセキュリティ&ソリューションズ㈱を設立し、セキュリティ人材の獲得、育成およびセキュリティ監視機能の強化を推進しております。 (13)カントリーリスク(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは、成長する海外での需要を捕捉するため、鉄鋼事業・商社事業における現地の鋼材生産・加工ラインへの投資や現地鉄鋼会社との資本提携、エンジニアリング事業における新興国のインフラプロジェクトの受注等、積極的な海外事業展開を推進しております。事業実施地域における政治・経済情勢の変化、テロ・その他の動乱、法改定、大規模自然災害等の不測の事態が発生した場合、生産量の減少、資本提携先とのシナジー効果の減少、法令改定に起因した費用の発生、物流費の増大、連結財政状態計算書に計上したのれんの減損、受注プロジェクトの製造コストの変動等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、事業投融資の審査の過程で各国のリスクに応じた事業のリスク評価を行うことで慎重な投資判断を行うとともに、不測の事態が発生した場合の影響を軽減するために、監視体制の強化、現地での調達ソースの分散化等を図っております。また商社事業では貿易取引を行っており、対象国の状況により輸出入ができなくなるリスクや、外貨事情等により相手国政府が対外送金を停止した場合の代金回収リスクを負う可能性があります。これに対しては貿易保険等を活用しております。 (14)為替レートの変動(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けます。外貨建て取引による外貨の受け取り(製品輸出額等)と外貨の支払い(原材料輸入額等)で相殺されない部分がある場合、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、為替予約等を利用したヘッジ取引を適宜実施しております。円安が進行した場合、円換算の原材料コストの上昇等を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、製品販売価格への反映を図ってまいります。また、円高が進行した場合、自動車等の需要産業の輸出競争力低下による国内鋼材需要が減少すること、および当社グループの製品の海外市況における競争力が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、主に(1)、(5)に記した対応による国内鋼材シェアの確保、および海外の成長地域におけるパートナーとのインサイダー型事業の拡大を進めることで、海外市場環境の変化に柔軟に対応するグローバル供給体制の確立を進めてまいります。 (15)固定資産の価値下落(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは、大規模な鉄鋼製品製造設備等、多くの固定資産を保有しております。当社グループが保有している固定資産について、収益性の低下等に伴い投資額の回収が見込めなくなった場合は、その資産の減損損失の計上を行うことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、主に上記の(1)~(5)、(9)、(11)に記した対応により資産価値の維持向上に努めてまいります。 (16)人材確保・育成および職場環境の整備(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループでは、国内の生産年齢人口の減少に伴い、労働力や有能な人材を確保するための各種施策の強化、人材育成による個々の能力向上、省力化による労働生産性向上に取り組んでおりますが、当社グループおよび当社グループのサプライチェーンを構築する企業において、労働力の確保や人材育成が十分でなかった場合、安定的な生産体制や競争力が損なわれることにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、DEIを経営課題として位置付け、採用ソースを拡大して多様な人材の確保・活用を図るとともに、多様な人材や意見を尊重する企業風土を醸成し、定着率や生産性の向上に努めてまいります。更に、職場環境の改善や各種制度の充実、IT技術の活用による省力化・効率化についても推進して労働力不足に対応してまいります。また、適切な労務管理が行われなかった場合、人材の流出や当社グループの信用の著しい低下につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、適正な労働時間管理や人権啓発研修の実施、ハラスメント相談窓口の設置等により未然防止を図っております。 (17)知的財産の保護(鉄鋼事業・エンジニアリング事業)当社グループは、事業活動に必要な個々の技術や商標の使用権利を保護する目的で、日本および海外諸国において多数の知的財産権を保有しております。当社グループにおいて事業を遂行する際には、当社外で保有されている知的財産権の調査を行い、その侵害を回避する対策をとっておりますが、万一、第三者より当社グループによる知的財産権の侵害を主張された場合、損害賠償金やロイヤリティの支払い、事業差し止め等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が無効化される場合には、対象となる事業の競争力の低下等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される場合や、社内外の情報保持者により知的財産情報が漏洩する場合には、技術・ブランド価値の低下や損害金の回収不履行等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、当社グループは海外を含めて当社外の知的財産権の調査・監視体制を強化することで、その侵害の未然防止を図っております。また、海外地域を重点的に重要技術の権利化を進めるとともに第三者による模倣技術・模倣品の監視体制を強化し、当社グループの知的財産権の侵害の抑止を図っております。更に、情報管理に対する社内教育の拡充、退職者等の守秘義務の管理強化を図っております。 (18)金融市場の変動および資金調達環境の変化(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループの中核である鉄鋼事業は、大規模な設備を有しており、その設備の維持更新に多額の資本を必要とするため、財務健全性の維持が重要です。近年、減価償却費を上回る設備投資を行ってきたことから、有利子負債は高水準で推移しております。そのため金融市場の不安定化や金利上昇、また格付機関による当社信用格付の引下げがあった場合等には、資金調達の制約を受け資金調達コストが増加する可能性があります。これらに対しては、財務管理指標としてDebt/EBITDA倍率やD/Eレシオを用いて、当社グループ全体ならびに各事業会社の財務管理を行っております。また一部の借入金等について、金利スワップを利用したヘッジ取引を実施しております。足元では、有利子負債を削減するため、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善、保有株式の縮減等の資産圧縮および設備投資・投融資の優先順位見直し等を行い、財務健全性の維持に取り組んでおります。 (19)保有株式等の価値変動(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループが保有している株式等の価値が変動した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、上場株式について、その株式保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを原則としており、上場会社株式の売却を進めております。 (20)信用リスク(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループが保有する売上債権について、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このため、徹底した与信管理を行っており、一部リスクの高い取引については信用保険を活用しております。 (21)法令・公的規制(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。これら法令・公的規制が厳格化された場合、(1)、(9)等で述べた影響の他にも、当社グループの事業活動が制約を受けることや対策費用が発生すること等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、内部統制体制の充実を図りこれら法令・公的規制の遵守に努めておりますが、これら規制等を遵守していないと判断された場合、行政処分を課される等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、法令の制定・改廃の検討段階での意見提出を行う等により、法令の適切な制定・改廃に向けた活動を継続してまいります。また、法令の制定・改廃が生じた場合には、当該法令に関する主管部署が業務への影響度を評価し、社内の関係部署に周知する体制を整えております。また、法令テーマ別にコンプライアンス研修を行い、定期的に従業員への周知・徹底を図っております。 (22)サプライチェーンにおける人権の尊重(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループは世界各国から原材料や資機材を調達しておりますが、これらのサプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合、調達や生産への影響に加え、当社グループの信用の毀損につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、人権尊重に関するグループ全体の考え方を示す方針として2018年に「JFEグループ人権基本方針」を定めるとともに、昨今の人権に関する意識や課題の変化を踏まえ、2023年4月に本方針を改正いたしました。各事業会社においては、「調達ガイドライン」や「調達基本方針」「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」等を制定し、人権尊重・法令遵守・環境保全に配慮した購買を行っております。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権デューディリジェンスも開始しており、今後、当社グループにおける人権リスクの特定、是正に向けた取り組みの検討および実行等のプロセスを継続してまいります。 (23)退職給付債務(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。金利の変動、制度資産の公正価値の変動、および退職金制度の変更等があった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (24)持分法適用関連会社の業績悪化当社および連結子会社は、多数の持分法適用関連会社を有しております。持分法適用関連会社の損失は、当社および連結子会社の持分比率に応じて、連結財務諸表に計上されます。また、当社および連結子会社は、持分法適用関連会社の回収可能価額が取得原価または帳簿価額を下回る場合、当該持分法適用関連会社の株式について減損損失を計上しなければならない可能性もあります。なお、当社および連結子会社は、一部の持分法適用関連会社の金銭債務に対して債務保証を行っておりますが、将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、持分法適用関連会社の収益向上の取り組みをモニタリングするとともに、必要な諸施策を実施し、リスク低減に努めております。 なお、現時点では予期できない上記以外の事象の発生により、当社グループの事業活動および業績等が影響を受ける可能性があります。