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ステラファーマ(4888)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

医薬品 医薬品

事業の概要

  • BNCT治療薬の開発・販売
    ステラファーマは、がん細胞だけを狙って破壊する放射線治療「BNCT」に使うホウ素薬剤「ステボロニン®」の研究開発、製造、販売を行っています。この薬剤は、がん細胞に集積する性質を持ち、中性子線を当てることでがん細胞を選択的に破壊します。現在は、切除不能な頭頸部がんの治療薬として承認されており、提携病院で治療が実施され、医薬品卸売業者を通じて収益を得ています。
  • 適応疾患の拡大と普及
    主力製品であるステボロニン®の適用範囲を、再発悪性神経膠腫や再発高悪性度髄膜腫など、他のがん種にも広げるための研究開発と臨床試験を進めています。また、BNCTは医薬品と医療機器(中性子発生装置)を組み合わせた治療法であるため、加速器メーカーと協力し、BNCT自体の認知度向上と中性子発生装置の普及にも力を入れることで、収益の拡大を目指しています。
  • コンビネーションプロダクト
    BNCTは、同社のホウ素薬剤と、住友重機械工業などが開発する中性子発生装置という医療機器を組み合わせて初めて成り立つ治療法です。この「コンビネーションプロダクト」というビジネスモデルにより、薬剤だけでなく、治療システム全体の普及が収益拡大の鍵となります。現在、総合南東北病院と大阪医科薬科大学病院の2施設で治療が実施されています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • BNCT用ホウ素薬剤事業
    ステラファーマの主要な事業は、がん治療法であるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に用いられるホウ素薬剤「ステボロニン®」の開発、製造、販売です。この薬剤は、がん細胞に選択的に集積し、中性子線を照射することでがん細胞を破壊します。現在は切除不能な頭頸部がんの治療薬として承認されており、これが現在の主な収益源となっています。
  • 適応疾患拡大に向けた開発パイプライン
    現在、ステボロニン®の適用範囲を広げるための開発パイプラインとして、再発悪性神経膠腫(脳腫瘍の一種)と再発高悪性度髄膜腫(脳を覆う膜のがん)を対象とした臨床試験を進めています。これらの疾患への承認取得を目指し、将来的な事業拡大の柱と位置づけています。
  • コンビネーション治療の普及事業
    BNCTは、ホウ素薬剤と中性子発生装置という医療機器を組み合わせて行う治療法です。そのため、薬剤の販売だけでなく、中性子発生装置の普及とBNCT自体の認知度向上も重要な事業活動です。加速器メーカーと協力し、より多くの医療機関でBNCTが導入されるよう推進することで、薬剤の販売機会を増やし、事業全体の成長を目指しています。
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FY2025|8,457 文字
3【事業の内容】 当社は、企業理念として『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』を掲げ、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針としております。 当社は、この企業理念に基づき、がん患者に対する新たな治療の選択肢としてBNCTを実用化するため、創業以来、BNCT用ホウ素薬剤の研究及び開発に取り組んでまいりました。 (1)事業の特徴① BNCTの医療技術 BNCTとは、ホウ素の安定同位体であるB-10(天然ホウ素に約20%含まれる)とエネルギーの小さな熱中性子の核分裂反応を利用して、がん細胞を選択的に破壊する放射線治療の一つの手法であります。 ホウ素の安定同位体であるB-10の原子核はエネルギーの低い低速の中性子(熱中性子)をよく吸収し、直ちにヘリウム原子核(4He核(α粒子))とリチウム原子核(7Li核)に分裂します。これら原子核は細胞を破壊する能力が非常に大きい一方で、影響を及ぼす範囲が4~9ミクロン(μm)と極めて短く、また、熱中性子自体の細胞破壊能力は小さいため、B-10を含む物質が、がん細胞に選択的に集積し、そこに熱中性子が照射されると、そのがん細胞は選択的に破壊されます。この原理に基づいて考案された医療技術がBNCTであります。 BNCTは、その特徴として、『がん細胞を選択的に破壊』することができる治療法であることから、がん細胞と入り組む正常組織への影響が少なく、術後のQOL(Quality Of Life/生活の質)も従来の治療に比べて良好であることが期待されます。 [BNCTの治療イメージ] ② ビジネスモデルについて 当社は、2020年3月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌※1を効能・効果として、ステボロニン®の医薬品製造販売承認を取得しました。それに伴い、既に加速器を設置しております総合南東北病院、大阪医科薬科大学病院の2つの医療施設においてBNCTによる治療が実施されており、医薬品卸売業者を介した自販モデルによる収益化を実現しております。 今後も加速器メーカーとの共同でステボロニン®の適応拡大に向けた研究開発及び臨床試験を継続していくと同時に、当社の製品は加速器メーカーとのコンビネーションプロダクトをベースとしていることから、BNCTの認知度向上と加速器の普及に向けた事業展開も並行的に進めることで、収益拡大を実現していくビジネスモデルであります。 (2)開発品の特徴① 開発品の概要について当社が、開発、製造及び販売するステボロニン®(開発品名:SPM-011)は、厚生労働省の実施する先駆け審査指定制度※2の対象品目に指定されており、2020年3月にBNCT用ホウ素薬剤として世界初となる医薬品製造販売承認を取得しております。BNCTは、その性質上、中性子の発生装置となる医療機器と医薬品を組み合わせた治療法であり、患部に高い選択性で集積し、かつ効果的な反応が得られるホウ素薬剤が必要となります。 [ステボロニン®点滴静注バッグ 9000 mg/300 mL]② 開発品の作用機序について 天然ホウ素には、中性子数の異なるホウ素10(B-10)とホウ素11(B-11)の2種類が存在し、B-10は約20%の割合で存在しています。BNCTにおいて核分裂反応を起こすホウ素はB-10のみであるため、効果的なホウ素薬剤とするためには、B-10を高純度に濃縮し、より多く含有する製剤を作る必要があります。 当社の開発品であるステボロニン®は、この高純度(99%以上)B-10を含む「ボロファラン(10B)※3」を原薬として製造しております。ボロファラン(10B)は、必須アミノ酸であるフェニルアラニン※4又はチロシン※5と構造が似ているため、がん細胞特有のアミノ酸トランスポーターであるLAT-1※6を介してアミノ酸要求性の高いがん細胞に取り込まれます。これにより、がん細胞に選択的にB-10が集積し、かつ中性子線を照射した際により大きな効果を得ることが可能となります。 [ボロファラン(10B)の構造式とがん細胞への取込みの作用機序]   ③ 開発品の競争優位性について B-10を高純度(99%以上)に濃縮する技術は、ステラケミファ株式会社が国内で唯一(世界でも2社のみ)保有しているものと認識しております。 当社は、高純度(99%以上)まで濃縮されたB-10を原料として、原薬「ボロファラン(10B)」を製造し、さらにステボロニン®に製剤加工しております。原料についてはステラケミファ株式会社との間で独占期間を定めた取引基本契約を締結し、安定的に原料供給を受ける調達体制をとっております。また製剤処方にかかる特許権を複数取得しており、今後も周辺特許の申請を積極的に行っていく方針であります。ステボロニン®は臨床研究において従来使用されていたフルクトース製剤に比べ安定性に優れ、さらに36ヶ月という長期の品質有効期間を保ち、治療毎に製剤を調製する必要もなく、また「医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMPgrade)」に適合した製剤でもあります。 この特徴に加え、当社における長年の研究開発期間と相当程度の投資は後発事業者にとっては大きな参入障壁になると考えております。また当社の開発品であるBNCT用ホウ素薬剤「SPM-011」は、厚生労働省の実施する先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、2020年3月にステボロニン®として医薬品製造販売承認を取得したことは、後発事業者が同制度の対象品目に指定されるには治療薬の画期性が要件として求められるため参入障壁になると考えられることから、当社の競争優位性は一定程度維持できると認識しております。 この競争優位性を維持しながら、ステボロニン®を「世界初、日本発」の医薬品として、治療を待つ患者様に一日でも早くお届けできることを目標として事業を推進してまいります。 [ステボロニン®の製造フロー] (3)開発パイプライン 当社は、BNCT用ホウ素薬剤の適応疾患の拡大を開発テーマとして、適応疾患別に開発パイプラインを構成しております。当事業年度末現在までの開発パイプラインの対象疾患並びにそのスケジュールについては次のとおりです。 ① SPM-011[対象疾患:再発悪性神経膠腫※7] 再発悪性神経膠腫については、日本国内において2015年12月に第Ⅱ相臨床試験の治験届を提出し、2017年4月には厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定され、2020年7月に治験終了届を提出いたしました。当該治験の主要評価項目は、BNCT施術後1年後における生存割合とし、安全性及び有効性について評価しております。その結果、再発膠芽腫24例の1年生存率が79.2%となり、試験開始前の設定期待値60%を超える結果となりました。当該試験結果をもって、先駆け審査指定制度の枠組みにおいて独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)と一部変更申請に向けた協議を行っておりましたが、学校法人大阪医科薬科大学が提案する再発膠芽腫患者を対象としたBNCTの無作為化非盲検比較試験※8に関する研究開発課題が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)が公募していた「令和7年度『革新的がん医療実用化研究事業』」に採択されたことを受け、当該第Ⅲ相医師主導治験に協力することで、その治験を踏まえて承認申請を目指す開発方針に変更することといたしました。また、初発への展開については、別途、国立大学法人筑波大学(以下「筑波大学」という。)が実施している第Ⅰ相医師主導治験※9に協力することで進めてまいります。 なお、2024年9月に再発悪性神経膠腫を対象として、厚生労働省より希少疾病用医薬品※10の指定を受けております。 ② SPM-011[対象疾患:再発高悪性度髄膜腫※11] 大阪医科薬科大学病院において、医師主導治験として実施していた第Ⅱ相臨床試験は2024年2月に全例の主要評価に関する観察が終了いたしました。本試験は、AMEDの支援を受けて実施されたものであり、加速器を用いたBNCTとしては世界初のランダム化比較試験※12になります。この度、当社がホウ素薬剤として開発中のボロファラン(10B)(開発コード:SPM-011)を使用したBNCTによる再発高悪性度髄膜腫を対象とした第Ⅱ相医師主導臨床試験の結果に関する演題が2025年5月30日から6月3日まで米国イリノイ州シカゴにて開催される米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology : ASCO) 2025年次総会において、ポスターセッションに採択されました。なお、ASCOは年に1回開催されるがん治療に関する世界最高峰の学会であります。 なお、2024年9月に再発髄膜腫を対象として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けております。 ③ SPM-011[対象疾患:悪性黒色腫※13及び血管肉腫※14] 2022年11月に血管肉腫を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験を開始し、2024年12月に完了いたしました。なお、血管肉腫に関しては、希少疾病医薬品の指定に向けて厚生労働省と協議を進めた結果、2023年12月に「切除不能な皮膚血管肉腫」を対象として同指定を受けております。引き続き血管肉腫を優先的に開発することとしながら、悪性黒色腫の開発は第Ⅰ相臨床試験で対象とした疾患から適応を広げることも含めて検討していく予定であります。 なお、本試験は㈱CICSが開発した加速器中性子捕捉療法装置「CICS-1」を用い、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院において実施しております。④ SPM-011[対象疾患:初発膠芽腫※15] 筑波大学において、医師主導治験として初発膠芽腫を対象とした国内第Ⅰ相試験が2024年1月に開始されました。本試験の主目的は、初発膠芽腫を対象にしたBNCTの安全性及び忍容性を評価することで、最大18症例を目標に非盲検、非対照試験で行われます。 対象は、WHO2016分類におけるIDH-wild type膠芽腫で、組織学的診断がつき、術後になお画像評価病変を有する初発膠芽腫の患者様であります。これまでSPM-011を用いたBNCTの臨床試験は、放射線治療歴のある患者様が中心でしたが、本試験では、初めて全ての患者様で放射線治療歴がない患者様を対象とした試験となります。さらに本試験では、BNCT施行後に膠芽腫の標準治療であるⅩ線とテモゾロミドを組み合わせた治療を受ける試験デザインとなり、SPM-011を用いたBNCTの臨床試験では、初めて他治療との組み合わせを前提とした試験デザインとなります。 なお、本試験は筑波大学が開発した加速器中性子捕捉療法装置「iBNCT」を用いて実施しております。 ⑤ SPM-011[対象疾患:胸部悪性腫瘍※16] SPM-011の胸部悪性腫瘍への適応拡大のため、2024年6月に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の治験計画届をPMDAに提出いたしました。この治験を進めるにあたり、国立研究開発法人国立がん研究センター、住友重機械工業㈱並びに㈱CICSと胸部固形悪性腫瘍患者に対する第Ⅰ/Ⅱ相バスケット試験※17に係る契約を締結しております。本治験は、BNCTとして世界初となる胸部に発生する複数の癌を対象にした治験になります。中性子が照射される正常組織を共通化する事で複数の癌をグループ化できたことから、個別の癌に対する治験をそれぞれ実施する場合と比較して開発期間が短縮されることを期待しております。あわせて、BNCTの施行前に[18F]FBPA-PET※18検査によるBNCTの適否判定を組み込むことで、将来において患者様にあわせた最適な治療を検討することが可能になるものと期待しております。  開発パイプラインは、治験実績及び臨床研究データを吟味した上で、BNCTの効果が高いと想定される疾患を慎重に選定し、ステボロニン®の更なる適応拡大を図ります。 (4)事業戦略 当社は、BNCTの医療技術を軸に加速器メーカーと共同でステボロニン®の適応拡大に向けた研究開発及び臨床試験を実施し、開発パイプラインの拡充を進めてまいります。またステボロニン®の医薬品製造販売承認を取得したことに伴い、国内ではBNCTによる医療技術や治療実績の認知度向上と加速器の普及を目指して事業を展開してまいります。認知度の向上に向けては医療施設や大学等の研究機関への訪問活動を通じてステボロニン®の有効性や安全性に係る医療情報の提供を充実させていくとともに、学会や講演会を通じて、より効果的な事業活動を展開してまいります。 海外では日本で承認を得た疾患を対象に、米国、欧州及びアジアを中心に承認取得を目指すとともに、各国のレギュレーションに通じた製薬企業等との連携によるアライアンスモデルを計画しており、パートナー企業の選定に取り組んでまいります。そして、特に成長が見込まれる海外のオンコロジー領域におけるステボロニン®の適応拡大は当社における重要な成長戦略と位置づけ、経営資源の重点配分を行ってまいります。  当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであり、事業の系統図は下記のとおりです。 (5)開発戦略 当社では、研究開発拠点であるさかい創薬研究センターでステボロニン®の適応拡大等に向けた研究開発に取り組んでおります。またBNCTの拡張戦略として、[18F]-FBPA-PETに使用するPET薬剤の開発についても加速器メーカーと共同で取り組んでおります。[18F]-FBPA-PETは核医学検査の一つで、BNCTの有効成分であるボロファラン(10B)をPET核種である18Fで標識化することで、腫瘍の位置や範囲を画像として得ることができるだけでなく、ホウ素薬剤が腫瘍にどの程度取り込まれているかを検知することでBNCTの有効性をあらかじめ確認することが期待できます。 今後、BNCTの適応疾患の拡大を図る上で、[18F]-FBPA-PETの開発は重要な役割を担っております。 <語句説明>※1「頭頸部癌」 頭頸部とは、脳の下側の顔面から鎖骨までの部分を指し、頭頸部癌とは、この範囲に含まれる鼻、口、のど、上あご、下あご、耳等にできるがんのことです。頭頸部癌は全てのがんの約5%程度と考えられており、がんが発生する部位の種類が多く、発生原因、治療法、予後が異なることが特徴とされています。頭頸部には人間が生きる上で必要な器官が集中しており、その機能を温存できる治療法の確立が求められています。 ※2「先駆け審査指定制度」  一定の要件を満たす新薬等について、厚生労働省が、開発の比較的早期の段階から薬事承認に係る相談・審査 等において優先的な取扱いを行う制度です。具体的には、「①治療薬の画期性、②対象疾患の重篤性、③対象疾 患にかかる極めて高い有効性、④世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思」の4つの要件を満たす画期的 な新薬等を開発段階で対象品目に指定し、新たに整備された相談の枠組みを優先的に適用し、かつ優先審査を適 用することにより、審査期間を6ヶ月(通常は12ヶ月)まで短縮することを目指すものとされています。  なお、先駆け審査指定制度においては、対象品目の指定時に予定される効能又は効果も指定されることから、 製造販売承認取得後に適応疾患を拡大する際には同制度の対象外となります。当社は、再発悪性神経膠腫と切除 不能な局所再発頭頸部癌並びに局所進行頭頸部癌(非扁平上皮癌)について、対象品目の指定を受けています。 ※3「ボロファラン(10B)」 「4-ボロノ-L-フェニルアラニン(L-BPA)」と呼ばれるホウ素化合物であり、分子内にホウ素原子を一つ持っています。 ※4「フェニルアラニン」 タンパク質を構成するアミノ酸で、食品中のタンパク質に多く含まれている必須アミノ酸の一つです。 ※5「チロシン」 タンパク質を構成するアミノ酸で、動物の体内ではフェニルアラニンから合成されます。 ※6「LAT-1」 L-type amino acid transporter-1(L型アミノ酸トランスポーター1)の略称です。 細胞の増殖等に必要なアミノ酸の輸送に関わるタンパク質をアミノ酸トランスポーターと呼びます。アミノ酸トランスポーターは正常細胞にも存在しますが、LAT-1は多くのがん細胞に選択的かつ高発現するアミノ酸トランスポーターであり、フェニルアラニンやチロシンを輸送します。 ※7「悪性神経膠腫」 神経膠腫とは、脳に発生する悪性腫瘍で原発性脳腫瘍の約30%を占めます。神経膠腫は、その悪性度によって4段階(グレードⅠ~Ⅳ)に分類され、中でもグレードⅢ~Ⅳに分類される悪性度が高い神経膠腫を悪性神経膠腫と呼びます。 ※8「無作為化非盲検比較試験」 無作為化非盲検比較試験とは対象者を無作為に2つ以上の群に分け、一方には従来の治療法を、もう一方には新規の治療法を行い、事後の健康状態を観察し、比較することで治療法などの効果を検証するものであるが、被験者がどの治療群に割付けられたかについては、試験に関わっている医師等の医療関係者、被験者、解析者等に知られている試験です。 ※9「医師主導治験」 医師主導治験とは、製薬企業等と同様に医師自ら治験を企画・立案し、治験計画届を提出して実施する治験を指します。 ※10「希少疾病用医薬品」 厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、又は、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される、医療上の必要性が高いこと、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があること、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。希少疾病用医薬品の指定を受けると、製造販売承認審査手続きにおける優先審査、国からの研究開発費の助成が受けられるなどの優遇措置が付与されます。 ※11「高悪性度髄膜腫」 髄膜とは脳と脊髄を保護している薄い組織層で、髄膜腫とはその内側の層の一つにできるがんのことです。髄膜腫は良性であることが多く、高悪性度髄膜腫は希少疾患である一方で、再発や転移を起こしやすい、治りにくい腫瘍の一つです。 ※12「ランダム化比較試験」 ランダム化比較試験とは対象者を無作為(ランダム)に2つ以上の群に分け、一方には従来の治療法を、もう一方には新規の治療法を行い、事後の健康状態を観察し、比較することで治療法などの効果を検証する試験です。 ※13「悪性黒色腫」 悪性黒色腫は皮膚がんの一つで、単に黒色腫又はメラノーマと呼ばれることもあります。皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞で、表皮の基底層に分布しているメラノサイト又は母斑細胞が悪性化した腫瘍と考えられています。 ※14「血管肉腫」 血管肉腫とは、血管の内皮細胞から発生するがんのことです。体のいたるところにできる可能性があり、皮膚に生じることが多いがんです。 ※15「膠芽腫」 神経膠腫のうち、悪性度が高い神経膠腫を悪性神経膠腫と呼び、特にグレードⅣの神経膠腫を膠芽腫と呼びます。膠芽腫を含む悪性神経膠腫は、現在なお治療が困難な疾患とされています。 ※16「胸部悪性腫瘍」 甲状腺より下、横隔膜より上に存在する悪性腫瘍であり、乳癌・非小細胞性肺癌・食道癌・悪性胸膜中皮腫などを対象としています。 ※17「バスケット試験」 単一の治療法を用いた複数の疾患を対象とした試験であり、通常特定の遺伝子異常等を有するがんの患者集団で複数のがん腫に対して横断的に薬剤の臨床評価を実施する試験です。現在計画しているバスケット試験では、SPM-011の取り込みの期待ができる複数のがん腫を横断的に評価する計画です。 ※18「[18F]FBPA-PET」 BNCTに使用するホウ素化合物L-4ボロノフェニルアラニン(BPA)の標的腫瘍内への選択的ホウ素集積量を測定する[18F]FBPA(2-フルオロ-4-ボロノフェニルアラニン)を用いたPET検査です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
世界初のBNCT用ホウ素薬剤として承認されているが、薬価改定リスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
BNCT用ホウ素薬剤として世界初の医薬品製造販売承認を取得しており、薬事関連法規による規制がある。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:研究開発の不確実性 / 副作用及び製造物責任 / 医薬品業界特有の競合関係
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 2 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ステラファーマは、中枢神経系疾患領域に特化した医薬品開発を行うバイオベンチャーである。独自の創薬プラットフォームとパイプラインが知的財産として無形資産となりうるが、現時点では上市製品がなく、特許の有効性や競争優位性は確立されていない。研究開発の成功が鍵となる。

スイッチングコスト☆☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

医薬品開発段階の企業であり、現時点では製品・サービスを提供していないため、顧客のスイッチング・コストは発生しない。将来的に製品が上市された場合、医師や患者の処方・使用習慣がスイッチング・コストとなりうる可能性はある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

バイオベンチャーであり、現時点ではネットワーク効果を生み出すようなプラットフォームやサービスを展開していない。研究開発の成果が将来的に提携などを通じて間接的なネットワーク効果を生む可能性は否定できない。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

医薬品開発は研究開発費が先行し、製造コストや販売コストは上市後に発生する。現時点ではコスト優位性を確立できる段階ではなく、むしろ高額な研究開発費が負担となっている。

規模の経済☆☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

バイオベンチャーであり、事業規模はまだ小さく、業界全体における効率規模の優位性を享受できる段階ではない。今後の事業拡大や提携次第で規模の経済が働く可能性はある。

  • 世界初のBNCT用ホウ素薬剤
    ステラファーマが開発・販売するステボロニン®は、BNCT用ホウ素薬剤として世界で初めて医薬品製造販売承認を取得しました。これは厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象品目にも指定されており、画期的な治療薬としての地位を確立しています。この「世界初」という実績は、後発企業に対する大きな参入障壁となります。
  • 高純度B-10濃縮技術の独占的確保
    BNCTに不可欠な高純度(99%以上)のホウ素10(B-10)を濃縮する技術は、関連会社のステラケミファ株式会社が国内で唯一、世界でも2社しか保有していません。ステラファーマはこのステラケミファから原料を独占的に供給される契約を結んでおり、安定した原料調達と他社に対する技術的優位性を確保しています。
  • 特許と長期安定性
    ステボロニン®の製剤処方に関する複数の特許権を保有しており、今後も周辺特許の取得を積極的に進める方針です。また、臨床研究で従来の製剤よりも安定性に優れ、36ヶ月という長期の品質有効期間を持つことが確認されています。これにより、治療現場での利便性が高く、品質管理の基準(GMPgrade)にも適合しているため、製品としての信頼性が高いです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

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有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 企業理念『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』  当社は、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針としております。 この企業理念を実現するため、当社は会社設立時よりBNCTの実用化に取り組んでおり、がん患者へ新たな医療の選択肢を提供することを、経営の基本方針としております。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、新規医薬品の上市を目指して研究開発を先行して行う、いわゆるバイオベンチャー企業であり、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得いたしました。また同年5月からステボロニン®の販売を開始しております。 当面の経営上の目標は、新たな医療としてBNCTの認知度を向上させることによる上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴い事業基盤を確立させることであります。 従って、当社は、ROEのような利益を基準とした経営指標を目標とせず、売上高の増加割合すなわちBNCTの実施症例数の伸長を目標の達成状況を判断するための主要な経営指標として事業活動を推進しております。 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社は、国内では適応疾患の拡大を図り、さらに米国、欧州及びアジアを中心にグローバルに事業を展開し、新たながん治療の選択肢として各国にステボロニン®を提供することを中長期の経営戦略としております。 適応拡大については、未だ有効な標準的治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ、いわゆる「アンメットメディカルニーズ」の分野での適応拡大を目指し、CSRの観点からも社会に貢献していく方針であります。 また、海外展開においては、グローバルの製薬企業等をはじめとしたパートナー企業との連携を深め、海外案件の早期実現を目指してまいります。 (4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社が属する製薬業界は、国内における市場規模は横ばいで推移しつつも、がん患者数はなだらかな増加傾向を示しております。高齢化社会を迎えている日本では、医療費の増加とともに今後も一定の市場規模を維持していくことが予測されます。 また、海外では世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模での気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化等、製薬業界を取り巻く外部環境は急速に変化しておりますが、当社が属するがん治療の分野においては、新薬承認及びオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の増加等により米国を始めとした主要な市場での伸長が予測されております。 がん治療の分野においては、新薬の研究開発が盛んに行われており、潜在的な競合相手に先行するためには、開発から承認に至るまで開発計画を遅延することなく迅速に進める必要があります。 このような経営環境の下、当社は、当事業年度よりスタートした「中期経営計画2027」において「BNCT医薬品の世界でフロントランナーであり続ける」を目指す姿として掲げ、世界で初めてBNCT医薬品の薬事承認を取得した企業としてBNCTを広く普及させるために、以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。 ① 適応疾患の拡大 当社は、2020年3月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、「ステボロニン®」の製造販売承認を取得するに至りました。頭頸部癌以外では、再発高悪性度髄膜腫、血管肉腫については「中期経営計画2027」において目標として掲げた2025年度での承認申請を目指して取り組んでまいります。また、胸部悪性腫瘍については、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の治験計画届をPMDAに2024年6月に提出いたしましたが、この治験を進めるにあたり、国立研究開発法人国立がん研究センター、住友重機械工業㈱ならびに㈱CICSと胸部固形悪性腫瘍患者に対する第Ⅰ/Ⅱ相バスケット試験に係る契約の締結をいたしました。 本治験は、BNCTとして世界初となる胸部に発生する複数の癌を対象にした治験になります。中性子が照射される正常組織を共通化することで複数の癌をグループ化できたことから、個別の癌に対する治験をそれぞれ実施する場合と比較して開発期間が短縮されることを期待しております。あわせて、BNCTの施行前に[18F]FBPA-PET検査によるBNCTの適否判定を組み込むことで、将来において患者様に最適な治療を検討することが可能になるものと考えております。 また、再発悪性神経膠腫については、初発への適応拡大を視野に検討を進めてまいりましたが、学校法人大阪医科薬科大学が提案する再発膠芽腫患者を対象としたBNCTの無作為化非盲検比較試験に関する研究開発課題がAMEDに2025年3月に採択されたことを受け、当該第Ⅲ相医師主導治験に協力することで、その治験を踏まえて承認申請を目指す開発方針に変更することといたしました。なお、初発への展開については、別途、筑波大学が実施している第Ⅰ相医師主導治験に協力することで進めてまいります。 当社はこれらの疾患の患者様にBNCTという新たな治療の選択肢を一日でも早くお届けできるように、早期の承認取得を目指して取り組んでまいります。 ② 海外展開の推進 日本で承認を得た製剤をアジア及び欧米市場にいち早く供給し、BNCT市場を拡大することで世の中に貢献していきたいと考えております。 2024年11月に米国バイオテクノロジー企業であるTAE LIFE SCIENCES US, LLCと欧米における臨床試験の実施を含めた共同開発及び商業化の基本合意の契約を締結いたしました。開発地域については欧米を最初の対象とし両社合意のもと、順次対象国を広げていくこととし、対象疾患についても頭頸部癌に続いて日本で治験を実施している疾患なども視野に入れ、今後両社で協議のうえBNCTの中長期を見据え、事業拡大を目指して取り組んでまいります。 また、中国・海南島医療特区への「ステボロニン®」の初回出荷を2025年3月に行いましたが、2025年下半期には海南島医療特区のBNCTセンターでの治療が開始される予定であります。当特区での円滑な治療開始を支援し、実績を積み上げていくことで、中国本土申請向け開発の足がかりをつくれるように取り組んでまいります。 ③ 新規パイプラインの拡充 医薬品事業においては、開発パイプラインの充実度が将来の利益貢献に大きく影響することから、新規パイプラインの拡充が重要となります。これまでBNCTでは安全かつ有効に中性子が到達できる深さには制限があり、体表面から最大で6~8cmの深さまでの腫瘍の治療に限定されておりましたが、より深い部分にある腫瘍への適応を目指して、学校法人藤田学園、Atransen Pharma㈱、住友重機械工業㈱、㈱フジタとBNCTによる深部腫瘍治療の研究開発を推進するための覚書を2024年12月に締結し、BNCTの更なる進化のため、深部腫瘍治療の研究開発の取り組みを開始いたしました。 引き続き、がん治療の可能性を広げることができるように研究開発に取り組んでまいります。 ④ 財務体質の強化 当社のビジネスモデル上、開発パイプラインが上市され収益化するまでに多額の研究開発費用が先行して発生することから、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローがマイナスとなる可能性があります。2022年12月に発行した「第三者割当による第4回新株予約権」は2024年7月をもって全ての権利行使が完了いたしました。しかしながら、当初予定していた資金調達額に至らなかったことから、実際の調達額に応じた資金使途の見直しを実施するとともに、㈱三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとして、金融機関3行が参加するシンジケートローン契約を2025年2月に締結いたしました。 引き続き、研究開発活動を適切にコントロールし、製造・管理コストの削減に努め、早期の黒字化を目指すとともに、更なる財務体質の強化に努めてまいります。 ⑤ 優秀な人材の獲得及び育成 当社は企業理念の実現に向けて、持続可能な医療の実現を目指す上で‘人’を最重要な資産であると位置づけ、従業員一人ひとりが持続的な価値創造の原動力であると考えております。 当社は、小規模な組織で事業運営を行っておりますが、今後グローバルに事業を展開していくためには、製薬業界に通じた経験や知見等を有する優秀な人材を採用し、営業体制、開発体制及び管理体制を整備していくことが重要であると認識しております。あわせて、社内教育も重視し、導入教育や継続教育を含む教育研修を実施してまいります。 今後も企業と従業員がともに成長していくことができる体制の構築に取り組み、組織力のさらなる向上を図ってまいります。 ⑥ 安定供給の維持・確保 当社は、治療を必要とする患者様のもとに高品質な医薬品を確実にそして安定的に供給することが医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つであると考えております。医薬品は、その効能を有効かつ安全に発揮するよう設計されています。開発された医薬品の品質を設計どおりに生産で再現させ、信頼性の高い製品を安定的に供給するために、当社は厳格な基準による製造管理・品質管理を行い、これからも品質向上・安定供給に努めてまいります。あわせて、需要予測の精査及び適正在庫の確保を通じて、安定供給の維持・向上を図っておりますが、棚卸資産のうち、特に原材料については代替品の調達が困難となっていることから、災害時においても安定供給を維持できるように、長期保管が可能な中間体などの形で相当期間分の販売に対応できる在庫数量を確保しております。また、原材料のセカンドソース化にも引き続き取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針 企業理念『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』  当社は、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針としております。 この企業理念を実現するため、当社は会社設立時よりBNCTの実用化に取り組んでおり、がん患者へ新たな医療の選択肢を提供することを、経営の基本方針としております。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、新規医薬品の上市を目指して研究開発を先行して行う、いわゆるバイオベンチャー企業であり、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得いたしました。また同年5月からステボロニン®の販売を開始しております。 当面の経営上の目標は、新たな医療としてBNCTの認知度を向上させることによる上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴い事業基盤を確立させることであります。 従って、当社は、ROEのような利益を基準とした経営指標を目標とせず、売上高の増加割合すなわちBNCTの実施症例数の伸長を目標の達成状況を判断するための主要な経営指標として事業活動を推進しております。 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社は、国内では適応疾患の拡大を図り、さらに米国、欧州及びアジアを中心にグローバルに事業を展開し、新たながん治療の選択肢として各国にステボロニン®を提供することを中長期の経営戦略としております。 適応拡大については、未だ有効な標準的治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ、いわゆる「アンメットメディカルニーズ」の分野での適応拡大を目指し、CSRの観点からも社会に貢献していく方針であります。 また、海外展開においては、グローバルの製薬企業等をはじめとしたパートナー企業との連携を深め、海外案件の早期実現を目指してまいります。 (4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社が属する製薬業界は、国内における市場規模は横ばいで推移しつつも、がん患者数はなだらかな増加傾向を示しております。高齢化社会を迎えている日本では、医療費の増加とともに今後も一定の市場規模を維持していくことが予測されます。 また、海外では世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模での気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化等、製薬業界を取り巻く外部環境は急速に変化しておりますが、当社が属するがん治療の分野においては、新薬承認及びオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の増加等により米国を始めとした主要な市場での伸長が予測されております。 がん治療の分野においては、新薬の研究開発が盛んに行われており、潜在的な競合相手に先行するためには、開発から承認に至るまで開発計画を遅延することなく迅速に進める必要があります。 このような経営環境の下、当社は、当事業年度よりスタートした「中期経営計画2027」において「BNCT医薬品の世界でフロントランナーであり続ける」を目指す姿として掲げ、世界で初めてBNCT医薬品の薬事承認を取得した企業としてBNCTを広く普及させるために、以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。 ① 適応疾患の拡大 当社は、2020年3月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、「ステボロニン®」の製造販売承認を取得するに至りました。頭頸部癌以外では、再発高悪性度髄膜腫、血管肉腫については「中期経営計画2027」において目標として掲げた2025年度での承認申請を目指して取り組んでまいります。また、胸部悪性腫瘍については、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の治験計画届をPMDAに2024年6月に提出いたしましたが、この治験を進めるにあたり、国立研究開発法人国立がん研究センター、住友重機械工業㈱ならびに㈱CICSと胸部固形悪性腫瘍患者に対する第Ⅰ/Ⅱ相バスケット試験に係る契約の締結をいたしました。 本治験は、BNCTとして世界初となる胸部に発生する複数の癌を対象にした治験になります。中性子が照射される正常組織を共通化することで複数の癌をグループ化できたことから、個別の癌に対する治験をそれぞれ実施する場合と比較して開発期間が短縮されることを期待しております。あわせて、BNCTの施行前に[18F]FBPA-PET検査によるBNCTの適否判定を組み込むことで、将来において患者様に最適な治療を検討することが可能になるものと考えております。 また、再発悪性神経膠腫については、初発への適応拡大を視野に検討を進めてまいりましたが、学校法人大阪医科薬科大学が提案する再発膠芽腫患者を対象としたBNCTの無作為化非盲検比較試験に関する研究開発課題がAMEDに2025年3月に採択されたことを受け、当該第Ⅲ相医師主導治験に協力することで、その治験を踏まえて承認申請を目指す開発方針に変更することといたしました。なお、初発への展開については、別途、筑波大学が実施している第Ⅰ相医師主導治験に協力することで進めてまいります。 当社はこれらの疾患の患者様にBNCTという新たな治療の選択肢を一日でも早くお届けできるように、早期の承認取得を目指して取り組んでまいります。 ② 海外展開の推進 日本で承認を得た製剤をアジア及び欧米市場にいち早く供給し、BNCT市場を拡大することで世の中に貢献していきたいと考えております。 2024年11月に米国バイオテクノロジー企業であるTAE LIFE SCIENCES US, LLCと欧米における臨床試験の実施を含めた共同開発及び商業化の基本合意の契約を締結いたしました。開発地域については欧米を最初の対象とし両社合意のもと、順次対象国を広げていくこととし、対象疾患についても頭頸部癌に続いて日本で治験を実施している疾患なども視野に入れ、今後両社で協議のうえBNCTの中長期を見据え、事業拡大を目指して取り組んでまいります。 また、中国・海南島医療特区への「ステボロニン®」の初回出荷を2025年3月に行いましたが、2025年下半期には海南島医療特区のBNCTセンターでの治療が開始される予定であります。当特区での円滑な治療開始を支援し、実績を積み上げていくことで、中国本土申請向け開発の足がかりをつくれるように取り組んでまいります。 ③ 新規パイプラインの拡充 医薬品事業においては、開発パイプラインの充実度が将来の利益貢献に大きく影響することから、新規パイプラインの拡充が重要となります。これまでBNCTでは安全かつ有効に中性子が到達できる深さには制限があり、体表面から最大で6~8cmの深さまでの腫瘍の治療に限定されておりましたが、より深い部分にある腫瘍への適応を目指して、学校法人藤田学園、Atransen Pharma㈱、住友重機械工業㈱、㈱フジタとBNCTによる深部腫瘍治療の研究開発を推進するための覚書を2024年12月に締結し、BNCTの更なる進化のため、深部腫瘍治療の研究開発の取り組みを開始いたしました。 引き続き、がん治療の可能性を広げることができるように研究開発に取り組んでまいります。 ④ 財務体質の強化 当社のビジネスモデル上、開発パイプラインが上市され収益化するまでに多額の研究開発費用が先行して発生することから、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローがマイナスとなる可能性があります。2022年12月に発行した「第三者割当による第4回新株予約権」は2024年7月をもって全ての権利行使が完了いたしました。しかしながら、当初予定していた資金調達額に至らなかったことから、実際の調達額に応じた資金使途の見直しを実施するとともに、㈱三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとして、金融機関3行が参加するシンジケートローン契約を2025年2月に締結いたしました。 引き続き、研究開発活動を適切にコントロールし、製造・管理コストの削減に努め、早期の黒字化を目指すとともに、更なる財務体質の強化に努めてまいります。 ⑤ 優秀な人材の獲得及び育成 当社は企業理念の実現に向けて、持続可能な医療の実現を目指す上で‘人’を最重要な資産であると位置づけ、従業員一人ひとりが持続的な価値創造の原動力であると考えております。 当社は、小規模な組織で事業運営を行っておりますが、今後グローバルに事業を展開していくためには、製薬業界に通じた経験や知見等を有する優秀な人材を採用し、営業体制、開発体制及び管理体制を整備していくことが重要であると認識しております。あわせて、社内教育も重視し、導入教育や継続教育を含む教育研修を実施してまいります。 今後も企業と従業員がともに成長していくことができる体制の構築に取り組み、組織力のさらなる向上を図ってまいります。 ⑥ 安定供給の維持・確保 当社は、治療を必要とする患者様のもとに高品質な医薬品を確実にそして安定的に供給することが医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つであると考えております。医薬品は、その効能を有効かつ安全に発揮するよう設計されています。開発された医薬品の品質を設計どおりに生産で再現させ、信頼性の高い製品を安定的に供給するために、当社は厳格な基準による製造管理・品質管理を行い、これからも品質向上・安定供給に努めてまいります。あわせて、需要予測の精査及び適正在庫の確保を通じて、安定供給の維持・向上を図っておりますが、棚卸資産のうち、特に原材料については代替品の調達が困難となっていることから、災害時においても安定供給を維持できるように、長期保管が可能な中間体などの形で相当期間分の販売に対応できる在庫数量を確保しております。また、原材料のセカンドソース化にも引き続き取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産)当事業年度末における流動資産は5,243,479千円となり、前事業年度末に比べ1,614,187千円増加いたしました。これは、現金及び預金が1,153,767千円、売掛金が638,438千円、仕掛品が95,833千円、製品が18,694千円増加した一方で、有価証券が300,943千円減少したことが主な要因であります。固定資産は173,625千円となり、前事業年度末に比べ17,705千円減少いたしました。これは、有形固定資産が15,006千円、無形固定資産が3,287千円減少したことが主な要因であります。この結果、総資産は、5,417,104千円となり、前事業年度末に比べ1,596,482千円増加いたしました。 (負債)当事業年度末における流動負債は390,444千円となり、前事業年度末に比べ65,155千円減少いたしました。これは、未払法人税等が4,222千円が増加した一方で、買掛金が52,976千円、未払金が18,899千円減少したことが主な要因であります。固定負債は1,819,175千円となり、前事業年度末に比べ831,164千円増加いたしました。これは、預り保証金が1,000,000千円増加した一方で、長期借入金が165,152千円、長期未払金が12,636千円減少したことが要因であります。この結果、負債合計は、2,209,619千円となり、前事業年度末に比べ766,009千円増加いたしました。 (純資産)当事業年度末における純資産は3,207,485千円となり、前事業年度末に比べ830,473千円増加いたしました。これは、新株予約権の行使による新株の発行により資本金と資本準備金がそれぞれ476,549千円、当社従業員を割当先とする譲渡制限付株式制度の導入による新株の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ12,586千円増加した一方で、当期純損失140,811千円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は59.2%(前事業年度末は62.0%)となりました。 ② 経営成績の状況 当事業年度における国内の医薬品業界は高齢化の進展による医療費の抑制、後発医薬品の普及や薬価制度の改定による薬価引き下げ等により、厳しい事業環境の中で推移いたしました。  このような事業環境のもと、当社は「中期経営計画2027」を当事業年度からスタートしましたが、初年度にあたる当事業年度において、売上高、営業利益は目標値を上回ることができました。あわせて、将来のBNCTの業容拡大を見据え、短期的な視点のみならず中長期的な視点で取り組みを進めました。 まず、開発パイプラインについて、血管肉腫は、第Ⅱ相臨床試験の主要評価に関する90日間の観察期間が完了いたしました。また、再発悪性神経膠腫ならびに再発髄膜腫を対象として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けました。次に、胸部悪性腫瘍については、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の治験計画届をPMDAに提出いたしました。この治験を進めるにあたり、国立研究開発法人国立がん研究センター、住友重機械工業㈱ならびに㈱CICSと胸部固形悪性腫瘍患者に対する第Ⅰ/Ⅱ相バスケット試験に係る契約の締結を行っております。 加えて、BNCTの更なる進化のため、より深い部分にある腫瘍への適応を目指して、学校法人藤田学園、Atransen Pharma㈱、住友重機械工業㈱、㈱フジタとBNCTによる深部腫瘍治療の研究開発を推進するための覚書を締結いたしました。  海外展開の活動として、米国バイオテクノロジー企業であるTAE LIFE SCIENCES US, LLCと欧米における臨床試験の実施を含めた共同開発および商業化の基本合意の契約を締結いたしました。開発地域については欧米を最初の対象とし両社合意のもと、順次対象国を広げていくこととし、対象疾患についても頭頸部癌に続いて日本で治療を実施している疾患なども視野に入れ、今後両社で協議のうえでBNCTの事業拡大を目指してまいります。 そして、当事業年度における短期的な事業活動としては、中国・海南島医療特区へのBNCT用ホウ素医薬品「ステボロニン®」の初回出荷を行い、第4四半期だけでみますと初の黒字化を達成し、経営成績に大きく貢献いたしました。 財政面においては2022年12月に発行した「第三者割当による第4回新株予約権」が2024年7月をもって全ての権利行使が完了いたしました。しかしながら、当初予定していた資金調達額に至らなかったことから、㈱三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとして、金融機関3行が参加するシンジケートローン契約を締結いたしました。  以上の結果、当事業年度の経営成績としては、売上高は海外向売上高の計上により、961,058千円(前事業年度比256.6%増)と大幅な増収となりました。利益面では増収要因に加えて、海外展開の本格的な活動が翌事業年度に持ち越しになったことなどにより、研究開発費をはじめとした販管費の減少もあり、営業損失は90,246千円(前事業年度の営業損失は760,300千円)となりました。経常損失は、シンジケートローン契約の締結により、アレンジメントフィー45,000千円が発生したこともあり、137,869千円(前事業年度の経常損失は760,208千円)、当期純損失は140,811千円(前事業年度の当期純損失は763,749千円)となりました。  なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,161,471千円(前事業年度末は2,012,233千円)となり、前事業年度末に比べ1,149,238千円増加いたしました。 当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は140,408千円(前年同期は876,837千円の支出)となりました。これは主に、アレンジメントフィーの計上45,000千円、減価償却費の計上34,723千円、預り保証金が1,000,000千円増加した一方で、税引前当期純損失137,869千円を計上、売上債権が638,438千円増加、棚卸資産が114,472千円増加、仕入債務が52,976千円減少したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において投資活動の結果獲得した資金は287,576千円(前年同期は9,010千円の支出)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入300,000千円となった一方で、有形固定資産の取得による支出3,913千円、無形固定資産の取得による支出8,500千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は721,253千円(前年同期は228,353千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入730,500千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入941,828千円があった一方で、長期借入金の返済による支出946,520千円があったことによるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績当社は、医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。a.生産実績事業部門の名称当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)医薬品事業1,080,184218.3(注)金額は販売価格によっております。 b.受注実績事業部門の名称当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)医薬品事業629,969---(注)当社は、前事業年度までは市場動向の予測に基づく見込み生産による国内販売のみを行っておりましたが、   当事業年度より受注生産による海外販売を開始しております。 c.販売実績事業部門の名称当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)医薬品事業961,058356.6 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社エス・ディ・コラボ269,491100.0331,08934.5PENGBO(HAINAN)MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.--629,96965.5 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。 ③ 資本の財源及び資金の流動性 当社の運転資金は、新株式の発行と金融機関からの借入であります。当事業年度末における現金及び現金同等物は3,161,471千円であり、充分な流動性を確保しております。当社は、研究開発投資が資金需要の大部分を占めており、今後も継続して研究開発投資を実施する方針であります。必要な資金につきましては、自己資金のほか、新株式の発行や金融機関からの借入等により、資金調達を行う方針であります。 ④ 経営戦略の現状と見通し 当社の経営上の目標は、BNCTの認知度の向上と上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴う事業基盤の確立であります。そこでBNCTの実施症例数の伸長に基づく月次売上高(ステボロニン®の受注数量)を上記目標の達成状況を判断するための主要な経営指標としております。 当事業年度の月次売上高の推移は次のとおりとなっております。(単位:千円)売上高4月5月6月7月8月9月年間累計23,09915,39923,09946,19823,09938,498961,05810月11月12月1月2月3月15,399-69,297-38,498668,467 今後もBNCTの認知度の向上と上市後の安定的な収益獲得が実現できるよう経営資源を重点的に配分してまいります。 ⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。 ⑥ 経営者の問題意識と今後の方針 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

事業リスク

  • 研究開発の不確実性
    医薬品の開発は、基礎研究から承認取得まで非常に長い期間と多額の費用がかかりますが、その成功確率は低いという特性があります。臨床試験の結果次第では、開発が遅れたり中止になったりする可能性があり、その場合、会社の財政状態や業績に大きな影響を与える可能性があります。また、規制当局の審査や法改正によって計画変更を余儀なくされることもあります。
  • 副作用と製造物責任
    医薬品は、臨床試験では発見されなかった予期せぬ副作用が、上市後に発現する可能性があります。重篤な副作用や死亡例が発生した場合、製品の回収や販売中止、薬害訴訟、製造物責任賠償などにつながり、会社のブランドイメージを損ねるだけでなく、財政状態や業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。保険に加入していても、補償範囲を超えるリスクは存在します。
  • 薬事規制と医療保険制度
    医薬品業界は、研究、開発、製造、販売の全段階で各国の薬事関連法規や医療保険制度による厳しい規制を受けています。これらの法令に違反した場合、許認可が取り消され、医薬品の回収や製造販売の中止を求められる可能性があります。また、医療費抑制策として定期的な薬価引き下げが行われる傾向にあるため、想定通りの薬価が得られず、会社の財政状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
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FY2025|10,109 文字
3【事業等のリスク】 当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社が必ずしも事業上の重要なリスクであると認識していない事項も含まれておりますが、投資判断上若しくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。 当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針でありますが、その対策の成否には不確実性を伴うため、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えます。また、当社の事業は、これら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載は投資判断のためのリスクを全て網羅するものではありません。 当社は、医薬品等の開発、製造及び販売を行っておりますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究開発費用を要し、全ての開発が成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有するバイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する記載は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)医薬品等の研究開発事業及び医薬品業界に関するリスク ① 研究開発の不確実性について 適応疾患の拡大を含む医薬品等の研究開発は、一般的に基礎研究から承認取得まで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要となります。その一方で、新規医薬品の安全性及び有効性の評価は臨床試験による検証を要し、その成功の可能性は、他の産業と比較して相対的に低いものとされております。 従って、新規医薬品の開発過程においては、臨床試験の結果等に起因して開発が遅延し又は中止となる場合があることから、研究開発活動の将来性は不確実性を伴っております。 新規医薬品の開発は、製薬企業のほか、臨床試験を実施する医師及び医療機関、各国の薬事関連法規等に基づき承認権限を有する規制当局の三者によって実施されます。製薬企業が策定した臨床試験計画等について、臨床試験を実施する医師の見解あるいは医療機関における意思決定等の内容によっては、計画の変更を余儀なくされる場合があります。また、承認取得には厳格な審査を受ける必要があり、審査過程において規制当局からの要望又は指導等により、計画の変更を余儀なくされる場合があります。また、医薬品業界を規制する医薬品医療機器等法や他の関連法令の改定により、計画の変更を余儀なくされる場合があります。これらの要因により、開発が遅延し又は中止となる場合があり、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 副作用及び製造物責任について 医薬品は、臨床試験段階から上市後まで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。医薬品の安全性は、非臨床試験及び臨床試験において十分に検討されますが、少数例での臨床試験では検出されなかった発現頻度の低い副作用が当該医薬品の上市後において検出される可能性があります。 当社では、これらの副作用発生による補償又は賠償に対応するために、想定し得る範囲で治験保険あるいは製造物責任保険に加入又は加入を予定しておりますが、保険契約でカバーされる補償の範囲を超えた賠償責任を問われる可能性は否定できません。また、重篤な副作用や死亡例の発現は、製品及び企業のイメージ・ブランドを損ねることとなり、当該製品以外の事業への影響が生じる可能性があります。重篤な副作用や死亡例の発現により、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償及び他の事業への影響等が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 医薬品業界特有の競合関係について 医薬品の開発は、国際的な巨大企業からバイオベンチャー企業まで国内外の数多くの企業又は研究機関等により、激しい競争環境の下で行われております。当社の開発パイプラインは、特に競争が激しいとされるがん治療の分野であり、新薬等の研究成果あるいはその開発結果によっては、当社開発品の優位性が低下する可能性があります。従って、新薬等の開発、上市又は上市後の販売における競争結果により、当社の製品開発や販売計画等の事業計画が計画どおりに進捗しない場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 薬事関連法規及び医療保険制度による規制について 当社の属する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事関連法規、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けており、国内における医薬品の製造販売に関しては、以下の許認可を取得しております。当社は、当該許認可を受けるための関連法規及び諸条件の遵守に努めており、当事業年度末現在において当該許認可が取り消しとなる事由は発生していないものと認識しております。しかし、法令違反等により当該許認可が取り消された場合には、医薬品の回収又は製造及び販売を中止することを求められる可能性があります。このような事象が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、適応疾患の拡大を含む医薬品の開発には、相当規模の研究開発投資と長い歳月を必要としますが、安全性、有効性及び品質に関する十分なデータが得られず、規制当局が医薬品としての有用性を認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、日本国内では医療費の増加により、定期的な薬価引下げ等の医療費抑制のための施策が実施される傾向にあり、薬価改定等で想定している保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。(主たる許認可の状況)許認可の名称所轄官庁等有効期限主な許認可等の取消事由第一種医薬品製造販売業許可(医薬品医療機器等法第12条)大阪府2028年6月(5年ごとの更新)薬事関連法規に関する法令若しくはこれに基づく処分等に違反する行為があったとき又は役員等が欠格条項に該当したときは許可の取り消し(医薬品医療機器等法第75条第1項) (2)事業遂行上のリスク ① 販売体制及び販売計画について 当社は自社販売モデルを採用しておりますが、中性子発生装置の設置状況の進捗や想定する患者数の見積りの精度により実績と計画に相違が生じる可能性があります。また、BNCTは臨床研究として実施した症例数を含めても、その治療実績数は限定的であります。BNCTによる治療が適した症例の数及びその施術数は未知であることに起因し、販売計画が想定どおりに進捗しない可能性もあります。 これらの場合には、当社の棚卸資産及び固定資産の収益性の低下に伴う評価損及び減損損失の計上等が検討され、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社はBNCTの適応疾患の拡大を計画しておりますが、適応疾患の拡大が想定どおりに進捗しない場合においても、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② BNCT事業の特異性について 当社が開発するBNCTは、ホウ素薬剤を投与した患者に中性子線を照射することで効果を得るものであり、医薬品と医療機器の双方を使用するコンビネーションプロダクトによる治療法となります。医療機器については、住友重機械工業株式会社において、医療機関に設置可能な小型加速器が開発され、当社と共同で世界初となるBNCTの臨床試験を実施し、2020年3月に製造販売承認を取得されております。また、同社以外においても中性子発生装置の研究開発が進められておりますが、将来、中性子発生装置の研究開発や製造販売の遅延又はその他の何らかの事由の発生により、医療機関への機器の設置が進まない場合や、医療機関に設置された中性子発生装置に不具合が生じた場合等においては、医療機関でのBNCTによる治療が制限され、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 仕入先に対する依存度について 当社開発品である「ステボロニン®」の原薬ボロファラン(10B)の製造には、その原材料となるホウ素の安定同位体であるB-10を高純度まで濃縮する必要があり、当社は、唯一その技術を国内で有しているステラケミファ株式会社から独占的に仕入れを行っております。 原材料の代替性の確保のため、新たな研究開発をおこなう、相当期間分の販売に対応できる在庫数量を保有するなどの検討をして取り組んでおりますが、現状においては、当該原材料は代替性が無いものであり、将来、災害等を含む何らかの事由の発生により、同社との関係で取引や生産が停止した場合は、当社における「ステボロニン®」の製造販売が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、同社との原材料の仕入取引に関して、医療用途に限定した独占的取引基本契約を締結しておりますが、同契約の有効期間は医薬品製造販売承認取得日から10年間(以後、1年間ごとに特段の意思表示がない限りは自動的に継続)であります。10年経過以降、同契約の解除又は独占権が付与されない場合、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 製造委託について 当社開発品である「ステボロニン®」の製造については、外部の製造委託企業と良好な関係を保ちながら、品質管理及び安定供給に努めております。 しかしながら、万が一、製造委託企業が災害等に見舞われ、製造設備への被害等不測の事態が発生した場合や、製造委託企業の生産管理及び品質管理体制の不備を原因とした製造ラインの休止や法令違反に伴う営業停止処分がなされた場合は製品の品質や安定供給等に支障をきたし、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、製造委託企業の経営破綻や法令違反に伴う営業許可の取消処分がなされた場合は、当社は製造委託企業の変更を余儀なくされ、代替企業の選定から製造、検証及び医薬品の一部変更承認申請まで一定の期間を要することから、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 海外展開について 当社は、米国、欧州及びアジアを中心とした海外市場への展開を計画しております。海外市場への展開においては、適切なパートナー企業との提携が想定どおりに進まない可能性や、提携先での製造や販売に支障が生じる可能性があるほか、法令や規制の変更、政情不安、経済動向の不確実性、税制の変更や解釈の多様性、為替相場の変動、商習慣の相違等に直面する場合があり、これらに伴うコンプライアンスに関する問題の発生を含め、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 会社組織についてイ.小規模組織及び少数の事業推進者への依存 当社は、当事業年度末現在、取締役7名及び従業員43名の小規模な組織であり、現在の内部管理体制は組織規模に応じたものとなっております。今後、業容の拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針ですが、体制の整備が予定どおりに進捗しない可能性があります。 また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ロ.社歴について 当社は、2007年6月に設立された社歴の浅い企業であります。従って、当社の過去の業績から当社の将来の業績等を推測することは難しい状況にあります。また、企業として未経験のトラブル等が発生する可能性は否定できず、それへの組織としての対応能力については、未知のリスクがあります。 ⑦ 知的財産権について 当社は、研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利のみであると認識しております。当社は、製剤処方にかかる特許権を複数取得又は出願しており、今後も周辺特許の出願を積極的に行っていく方針であります。しかしながら、出願中の特許が登録に至らない、又はその一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社が所有又は使用許諾を受けた知的財産権に比して優位な知的財産権が第三者によって産み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の紛争の可能性を完全に回避することは困難であり、これらの事象が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社では他社の知的財産権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しております。しかしながら、当社のようなバイオベンチャー企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 訴訟等について 当社は、当事業年度末現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、そのような事態が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 重要な契約等について 当社の重要な契約等は、「5 重要な契約等」に記載のとおりです。事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更等何らかの事由により契約が終了する場合、契約の履行に支障が生じる場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 情報管理について 当社は、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの機密情報の外部への流出を防止するため、セキュリティシステムを継続的にアップデートするとともに、情報管理に関する社員教育を実施し、機密情報へのアクセス管理等の管理体制についても強化を図っております。しかしながら、何らかの事由により機密情報が流出する可能性は存在し、そのような事態が生じた場合は、社会的信用の失墜を招き、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (3)業績等に関するリスク ① 財務状況について 当社は、適応疾患の拡大を含む医薬品の研究開発を先行して行う、いわゆるバイオベンチャー企業であります。医薬品の研究開発には多額の先行投資を要し、その投資資金回収にかかる期間も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、バイオベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、当期純損失が先行して計上され、一般的に繰越利益剰余金がマイナスとなる傾向にあります。 当社は、開発パイプラインを進捗させるとともに、製品上市後の利益計上及び利益拡大を目指しております。しかしながら、開発計画及び販売計画が計画どおりに進捗しない場合には、将来において当期純利益を計上する時期が遅延する可能性もあります。また、計画どおりに当期純利益を計上できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期も遅延し、配当による株主還元の実施時期が遅れる可能性があります。 ② 業績見通しについて 当社は、事業年度ごとに業績予想を公表しております。しかしながら、経営環境の変化及び上記の不確実性等に伴う予測不可能な要因により、業績予想や目標を期限内に達成すること、また目標を維持することが困難になる可能性があります。 ③ 資金繰りについて 当社は、研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなる可能性があります。 このため、当社製品の上市後も安定的な収益源が確保されるまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 ④ 有利子負債について当社の借入金には、財務制限条項が設定されております。取引銀行との間では良好な関係を築いておりますが、同条項に抵触した場合には、期限の利益の喪失により、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、当社の総資産に対する有利子負債合計の構成は、2023年3月期25.3%、2024年3月期24.4%、2025年3月期14.2%であり、有利子負債の構成比は減少しております。 今後、事業規模の拡大に伴い借入金が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化等により、計画どおり資金調達ができない場合においても当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 借入金に係る財務制限条項についての詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表」の注記事項をご参照下さい。 また、有利子負債合計の構成についての詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表⑤附属明細表 借入金等明細表」をご参照下さい。 ⑤ 調達資金の使途について 上場時の公募増資等により調達する予定の資金は、「ステボロニン®」の適応疾患の拡大のための国内外における研究開発資金、長期借入金の返済原資並びに事業運営及び開発のために必要な人件費等に充当する計画であります。ただし、研究開発活動等の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益には結びつかない可能性があります。 また、がん治療の分野においては、外部環境が急速に変化する可能性があります。新薬の上市の動向、法令等の改正、当社の研究開発活動の進捗状況及び結果によっては、上記の資金使途以外の事象に資金を充当する可能性があります。 ⑥ 新株発行による資金調達について 当社は、医薬品のバイオベンチャー企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑦ 当社取締役及び従業員に対する新株予約権について 当社は、当社取締役及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を高めるほか、優秀な人材を確保するための施策として、ストック・オプション制度を採用しております。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役及び従業員に対して、新株予約権の付与を行っております。 当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は34,034,100株、当社取締役及び従業員に対する新株予約権による潜在株式数は888,800株(発行済株式総数に対する割合2.61%)であり、これらの新株予約権の権利が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑧ 配当政策 医薬品の研究開発には多額の先行投資が必要であり、その投資回収までの期間も長期に及ぶ傾向にあり、当社においても繰越利益剰余金がマイナスとなっております。 2025年3月期においては、会社法の規定上、配当可能額がありませんが、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、製品上市後、医薬品事業の収益力が安定し、継続的に当期純利益が計上され、相当の財政状態になった場合は、配当による利益還元の実施を検討したいと考えておりますが、予測不可能な要因による経営環境の変化や研究開発計画の遅延等により想定どおりに配当を実施できない可能性があります。 (4)大株主(ステラケミファ株式会社)との関係について ① 資本関係について ステラケミファ㈱(以下「同社」という。)は、当事業年度末現在、当社議決権の33.65%を所有する大株主であります。当社は同社の100%子会社として設立されましたが、現在は同社の関連会社に該当しております。 ② 同社との取引関係について 当社が開発している医薬品の主となる原材料は、ホウ素の安定同位体であるB-10を高純度まで濃縮する必要があり、唯一その技術を国内で有している同社から独占的に仕入を行っております。当該原材料は代替品が無いものであり、取引の合理性及び取引条件の妥当性を慎重に検討したうえで、今後も継続的に取引を行う方針であります。 ③ 同社との取引条件について 当社と同社は「②同社との取引関係について」に記載しております原材料の仕入取引に関して、医療用途に限定した独占的取引基本契約を締結しております。同契約の有効期間は、医薬品製造販売承認の取得日から10年間(以後、1年間ごとに特段の意思表示がない限りは自動的に継続)であります。なお、同契約においては、①同契約又は同契約に基づく個別契約に定める個別の条項に違反し、催告しても是正されなかった場合、②反社会的勢力の排除に係る条項に違反した場合、③破産手続、民事再生手続又は会社更生手続開始の申し立てがあった場合、④手形や小切手の不渡り処分を受けた場合、⑤合併(存続会社となる場合を除く)、会社分割、事業全部若しくは重要な一部の譲渡又は解散を決議した場合、⑥監督官庁より営業許可若しくは営業登録の取消処分を受けた場合、⑦その他財政状態が著しく悪化したと認められる相当の事由がある場合は、相互に同契約及び同契約に基づく個別契約の一部又は全部を解除できることとなっております。当社は、当事業年度末現在において同契約の継続に支障をきたす要因は存在しておりません。 同契約において定められている取引価格については、第三者間で通常行われる取引に準じ、製造原価に適正な利益率を付加して、取引価格を決定しております。取引価格の基礎となる製造原価(直接費)は、設備投資にかかる減価償却費及びメンテナンス費用等の固定費が大部分を占めております。同契約においては、経済情勢の変動又は製造原価の大幅な変動等があった場合には取引価格が変更できる旨定めておりますが、取引価格の改定時に同社の恣意性が働かないようにするため、取引価格の改定は大規模な設備投資が追加的に必要になった場合等に限定しており、その場合には当社に対し数値的根拠の開示及び改定後の取引価格についての当社の承諾が必要な旨を定めております。さらに、当社の業容拡大に応じ、取引量が増加した場合には、一定の値引きが行われる旨を定めております。なお、取引価格については、監査等委員会及び取締役会で慎重に検討のうえ、適切な水準で決定しております。 また、当社のホウ素製剤に使用している同社の原材料が売上原価に占める構成割合は相対的に低く、取引価格の改定が及ぼす影響は限定的であります。今後の取引においても第三者取引に準じた公正な取引価格及び取引条件を継続する旨、同社から意見表明を得ております。 ④ 同社からの独立性の確保について 当社と同社との間に競合関係はなく、同社からの出向者はおらず、原材料取引以外に当社の事業活動に影響を与えるものはありません。 当社の経営判断については、同社の承認を必要とする事項はなく、当社が独自に検討したうえで決定し、独立性は確保していると認識しております。 現在、同社との関係について大きな変更を想定しておりませんが、将来において、同社との関係に大きな変化が生じた場合は、当社の経営に影響を及ぼす可能性があります。

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