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サカタインクス(4633)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 主力は印刷インキ事業
    サカタインクスは、主にフレキソインキ、グラビアインキ、オフセットインキなど、様々な種類の印刷インキを生産・販売しています。これらのインキは、新聞や雑誌、パッケージなど、私たちの身の回りにある多くの印刷物に利用されており、同社の売上の大部分を占める基幹事業です。日本だけでなく、アジア、米州、欧州といった世界各地で事業を展開し、グローバルに収益を上げています。
  • 印刷用機材の提供
    印刷インキ事業と並行して、印刷製版用の材料や関連機器の仕入れ・販売も行っています。これは、印刷工程全体をサポートする「トータルソリューション」の一環として提供されており、顧客の印刷ニーズに幅広く対応することで、インキ販売との相乗効果を生み出しています。主に日本市場向けに展開されており、印刷インキ・機材(日本)セグメントに含まれています。
  • 機能性材料で多角化
    インクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液、機能性コーティング剤といった高付加価値な機能性材料の生産・販売も手掛けています。これらの製品は、ディスプレイや電子部品など、より高度な技術を要する分野で利用されており、同社の技術力を活かした新たな収益源となっています。日本、アジア、米州、欧州の各市場で展開され、事業の多角化を推進しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 印刷インキ・機材(日本)
    日本市場における印刷インキの生産・販売と、印刷製版用材料・関連機器の仕入れ・販売を担うセグメントです。売上高は493.18億円、営業利益は14.36億円で、国内の印刷業界を支える基盤事業となっています。印刷工程全般のトータルソリューションを提供し、顧客ニーズに応えています。
  • 印刷インキ(アジア)
    アジア地域での印刷インキ事業を展開するセグメントです。売上高は560.08億円、営業利益は69.13億円と、同社の中で最も高い営業利益を上げており、成長著しいアジア市場が収益の柱となっています。パッケージ用インキを中心に、経済成長と人口増加が見込まれる地域で事業を拡大しています。
  • 印刷インキ(米州)
    米州地域における印刷インキ事業を担うセグメントです。売上高は1011.17億円と最も大きく、営業利益は52.85億円です。北米を中心に消費が旺盛な市場で、パッケージ用インキの販売が売上の大半を占めています。生活に密着したエッセンシャルビジネスとして、景気変動の影響を受けにくい安定した収益源となっています。
2025-12 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PrintingInksAndGraphicArtsMaterialsJapan 地域 493 14 2.9%
PrintingInksAsia 地域 560 69 12.3%
PrintingInksAmericas 地域 1,011 53 5.2%
PrintingInksEurope 地域 209 1 0.3%
DigitalAndSpecialtyProducts 事業 203 24 11.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|722 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社(サカタインクス株式会社)、子会社31社及び関連会社8社により構成されております。当社グループの事業内容及びセグメント情報との関連は次の通りであります。 (印刷インキ事業)当事業では、主として日本、アジア、米州及び欧州の各市場向けにフレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ、新聞インキ、及びオフセットインキ等の生産・販売を行っております。当事業については、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「印刷インキ・機材(日本)」、「印刷インキ(アジア)」、「印刷インキ(米州)」及び「印刷インキ(欧州)」の4つを報告セグメントとしております。 (印刷用機材事業)当事業では、主として日本市場向けに印刷製版用材料及び印刷製版関連機器の仕入・販売を行っております。当事業については、当社が印刷工程全般を対象としたトータルソリューションの提供を行っており、印刷インキ事業と一体的に管理しているため、報告セグメント「印刷インキ・機材(日本)」に含めております。 (機能性材料事業)当事業では、主として日本、アジア、米州及び欧州の各市場向けにインクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液及び機能性コーティング剤の生産・販売を行っております。当事業については、報告セグメント「機能性材料」としております。 (その他の事業)主として日本市場向けに化成品の仕入・販売、ディスプレイサービスの生産・販売及びブランド保護ソリューションの仕入・販売を行っております。これらはセグメント情報において「その他」としております。 以上の企業集団の状況について、事業系統図を示すと次の通りであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原材料価格高騰時に調達先の拡大や長期契約で影響緩和を図る一方、価格競争激化のリスクも認識。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
樹脂合成技術や分散・加工技術、環境配慮型製品の開発、知的財産権の取得・活用
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:気候変動 / 自然災害・事故等 / 原材料市況等の影響と調達活動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

インキ分野における長年の実績と一定のブランド認知はあるものの、特許や独自技術による明確な優位性は限定的。特定の顧客との関係性は存在するが、それが排他的なものではない。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

印刷会社はインキの品質や供給安定性を重視するため、一度採用されたインキメーカーからの乗り換えには一定のコストやリスクが伴う。しかし、競合インキメーカーも多く、乗り換え障壁はそれほど高くない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

インキ事業にはネットワーク効果は基本的に存在しない。ユーザーが増えることでインキの価値が向上する仕組みはない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

大量生産によるスケールメリットはある程度期待できるが、原材料価格の変動や競合他社との価格競争により、構造的なコスト優位性を確立しているとは言い難い。特定の製造プロセスにおける効率化の余地はある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

印刷インキ業界において、国内大手の一角を占める規模を持つ。これにより、一定の購買力や生産効率を発揮できる。しかし、グローバル市場ではさらに巨大な競合も存在する。

  • グローバルな事業展開
    サカタインクスは、米州、アジア、欧州など世界20を超える国と地域に拠点を持ち、連結売上高の70%以上を海外で稼いでいます。特に、成長が見込まれるアジアや中南米、北米市場に注力しており、特定の地域経済の変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いています。これにより、広範な顧客層に製品を供給できる強みがあります。
  • 地産地消型ビジネスモデル
    海外での事業展開においては、基本的に現地で原材料を調達し、生産し、販売する「地産地消型」のビジネスモデルを採用しています。この戦略により、輸出入に伴う為替変動の影響を比較的軽微に抑えることができ、また、各地域のニーズに合わせた迅速な製品供給が可能となります。これにより、サプライチェーンの安定性とコスト効率を高めています。
  • 多様な製品と技術力
    印刷インキだけでなく、インクジェットインキやトナー、カラーフィルター用顔料分散液などの機能性材料も手掛けています。これは、同社が持つ化学技術と研究開発力を活かしたもので、幅広い産業分野に製品を提供できる強みとなります。特に環境規制が厳しい欧州の動向を注視し、将来の規制に先回りした環境配慮型製品の開発にも取り組んでおり、技術的な優位性を維持しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を存在意義と定めており、技術力、情報力を駆使し、競争力と独自性を有したグローバルインキメーカーとして20を超える国と地域に展開しています。また、新規市場の開拓や既存の事業分野を越えた新規事業の創出など“新たな挑戦”と社内改革の実現を積極的に推進してまいります。さらに、当社グループは世界全体の共通アジェンダとなった“SDGs”にうたわれている、地球環境をはじめとした様々な社会課題にも取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献していきながら、ESG経営を実践してまいります。 (2)事業環境認識近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、次の通り認識しております。当期については2024年に引き続き、原油をはじめとした資源価格の低下によってインフレ圧力が緩和される一方で、ウクライナとロシアの問題や中東情勢の不安定化などの地政学リスクや長引く中国経済の停滞、そしてアメリカのトランプ大統領による通商関税政策などが世界経済に影響を与えました。さらに欧州を中心とした気候変動対策としての環境規制が強化されたことなどもあり、世界経済がますます不安定になる要素が多い年となりました。日本においては、円安による原材料高やインフレによる人件費、物流費の上昇が続くなか、人口減少による労働力不足や国内市場の縮小、さらに経済成長の停滞による消費活動の減退が懸念されており、国内構造の転換とグローバルリスク対応の両面で、新たな戦略と変化に対応した柔軟性が求められる局面が続いています。このようななか、印刷インキ関連事業については、デジタル化の加速により、紙媒体の情報メディア向け製商品の需要が先進国を中心に、さらに減少していくことが見込まれるものの、主力のパッケージ関連の印刷インキは、食品、飲料及び衛生用品などの生活必需品の供給を支える事業であることから、世界の経済成長や人口の増加とともに、需要は中長期的に増加していくものと予想されます。機能性材料事業については、競合他社との競争が年々厳しくなりつつあるものの、インクジェットを中心としたデジタル印刷の用途拡大や、デジタルデバイスの高度化に伴う画像表示材料の高品質化などにより、市場は今後も拡大すると見込んでいます。 *国内の少子高齢化の進行による人口動態の変化・労働力人口の減少・国内市場の縮小・経済成長の停滞 *国内・海外での市場・競争環境変化・情報メディアのデジタル化によるインキ需要の低迷・新興国市場における競争の激化・脱プラスチックやリサイクルなど環境対応ニーズの変化と高まり *デジタル化によるバリューチェーンの変化・デジタル媒体の大幅な増加・印刷の多様化・カスタマイズ化・小ロット化 *環境問題・社会課題への対応・長期的なサステナビリティへの配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり・資源制約・原料価格高騰リスクの高まり・ESG投資の影響力増大 (3)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2030年の達成を目標とする長期ビジョンを2021年に策定し、それに基づいて事業活動を推進しています。 1896年の創業から130年目を迎え、これまで着実に成長してまいりました。一方で、近年はデジタルメディアの急激な普及や気候変動をはじめとした環境対策の必要性がより一層高まるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、今後さらに非連続的な変化が起こりうる状況にあります。 このような事業環境の変化の中で、当社グループが社会から求められる企業として持続的に成長していくためには、柔軟性を持ち、長期的な視点に立って、将来のあるべき姿と、そこに至る道筋や施策を策定し、常にグループ全体でそれらを共有・推進していくことが重要です。サステナブルな社会の実現に貢献するため、様々な社会課題の解決に向けた社会の一翼を担いつつ、当社グループのさらなる発展を果たしてまいります。 長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の概要1.企業理念ビジネステーマ 『ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造』存在意義    『人々の暮らしを快適にする情報文化の創造』 2.ビジョン“Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life”~あなたと、つくる、価値ある、あした~新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業 3.戦略の方向性*地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化・地球環境と人々の豊かで健康的な生活の向上に貢献し、世界が目指すサステナブルな社会の一翼を担う・当社マテリアリティに対する各取組方針の実施を通じて、持続可能な社会の実現に貢献 *印刷インキ事業・機能性材料事業の拡大・主力のパッケージ印刷分野を中心に、より一層の環境経営を推進(印刷インキ)・社会トレンドを捉えた高付加価値製品をグローバルに展開(機能性材料) *新しい事業領域への挑戦・ターゲット領域『事業発展領域』、『エレクトロニクス&エネルギー』『バイオベース・脱石化材料』、『ヘルスケア』 4.変革プロジェクト*グローバル連結経営のさらなる強化*ステークホルダーとの関係強化*人財育成の強化・組織風土の改革 5.ESG・サステナビリティへの取り組み重要課題(マテリアリティ)と目指す社会 *持続可能な地球環境を維持するための活動>>>地球環境を保護し、人々に安全と健康を*安心・安全な製品の供給>>>快適さ、利便性とともに、循環型社会の実現を*研究開発・技術力の強化>>>豊かな生活、新しいライフスタイルの創造を*コーポレートガバナンス、コンプライアンスの強化>>>ステークホルダーとの良好な信頼関係を*人権の尊重、DEIBの推進>>>人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を 『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ※)』の概要 1.基本方針基盤構築の期間として取り組んだ前中期経営計画(CCC-Ⅰ)に続き、当社グループの長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』をバックキャスティングし、事業拡大・収益力強化に取り組む3年間として『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)』(以下、中計)を2024年2月に策定しました。長期ビジョンにおける戦略の方向性として、「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」としており、それに基づいた事業活動を進めてまいります。「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」においては、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸としたサステナブルな製品の積極展開をグループ全体で推進するとともに、デジタル化にともなう事業環境の変化に対応した事業構造改革を進めてまいります。また、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料における拡販と新分野への展開などを行ってまいります。「新しい事業領域への挑戦」では、基盤構築の期間で実施したさまざまなアプローチの成果に基づいて、事業化の可能性が高い製品・サービスを具現化し、収益につなげていく期間としています。その具現化の手段として、研究開発をさらに進めるとともに、当社の技術やサービスとの親和性が高い有望な技術を持つ企業や団体とのオープンイノベーションを進め、新しい製品やビジネスモデルの提案を加速させていきます。また、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」については、環境に配慮したサステナビリティ製品の展開や気候変動に対応した事業活動でのさまざまな取り組み、持続的な発展を実現するための基盤となる人的資本政策、適正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築を推進してまいります。そしてこれらの取り組みは、資本コストや株価を意識した経営を基本とし、収益力強化や成長戦略への投資と株主還元に対する資本の最適配分に加え、資本コストの低減を進めるとともに、IR活動を通じて当社グループの成長ストーリーの実効性の実現性をステークホルダーの皆様に理解していただくことで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。これらのさまざまな取り組み施策を当社グループ全体で着実に実行することにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、事業拡大と収益力の強化を実現し、ステークホルダーの皆様からより一層の信頼を得られるように、長期ビジョン実現と中期経営計画の目標達成に向け、邁進してまいります。 (※)CCC-Ⅱ :今中計を長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の「第二期・フェーズ2」とし、長期ビジョンのキャッチフレーズ「Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life」の頭文字からCCC-Ⅱと表記いたしました。 2.連結目標数値 2023年実績2026年計画伸長率売上高2,283億円2,700億円18.3%営業利益113億円180億円59.3%経常利益136億円190億円39.7%親会社株主に帰属する当期純利益74億円127億円71.6%(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。 3.連結経営指標ROE 10%以上 4.セグメント別計画(単位:億円) 売上高営業利益2023年実績2026年計画伸長率2023年実績2026年計画伸長率印刷インキ・機材(日本)5215301.7%5295.8倍印刷インキ(アジア)52466727.3%43430.0%印刷インキ(米州)78592818.2%434914.0%印刷インキ(欧州)1952128.7%△75-機能性材料16824445.2%18442.4倍その他15320030.7%4184.5倍調整額△64△81-6△8-合計2,2832,70018.3%11318059.3%(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。 5.財務・資本政策総投資額 400億円うち、将来成長に向けた戦略的投資150億円 株主還元 積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得目標:総還元性向50%以上
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を存在意義と定めており、技術力、情報力を駆使し、競争力と独自性を有したグローバルインキメーカーとして20を超える国と地域に展開しています。また、新規市場の開拓や既存の事業分野を越えた新規事業の創出など“新たな挑戦”と社内改革の実現を積極的に推進してまいります。さらに、当社グループは世界全体の共通アジェンダとなった“SDGs”にうたわれている、地球環境をはじめとした様々な社会課題にも取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献していきながら、ESG経営を実践してまいります。 (2)事業環境認識近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、次の通り認識しております。当期については2024年に引き続き、原油をはじめとした資源価格の低下によってインフレ圧力が緩和される一方で、ウクライナとロシアの問題や中東情勢の不安定化などの地政学リスクや長引く中国経済の停滞、そしてアメリカのトランプ大統領による通商関税政策などが世界経済に影響を与えました。さらに欧州を中心とした気候変動対策としての環境規制が強化されたことなどもあり、世界経済がますます不安定になる要素が多い年となりました。日本においては、円安による原材料高やインフレによる人件費、物流費の上昇が続くなか、人口減少による労働力不足や国内市場の縮小、さらに経済成長の停滞による消費活動の減退が懸念されており、国内構造の転換とグローバルリスク対応の両面で、新たな戦略と変化に対応した柔軟性が求められる局面が続いています。このようななか、印刷インキ関連事業については、デジタル化の加速により、紙媒体の情報メディア向け製商品の需要が先進国を中心に、さらに減少していくことが見込まれるものの、主力のパッケージ関連の印刷インキは、食品、飲料及び衛生用品などの生活必需品の供給を支える事業であることから、世界の経済成長や人口の増加とともに、需要は中長期的に増加していくものと予想されます。機能性材料事業については、競合他社との競争が年々厳しくなりつつあるものの、インクジェットを中心としたデジタル印刷の用途拡大や、デジタルデバイスの高度化に伴う画像表示材料の高品質化などにより、市場は今後も拡大すると見込んでいます。 *国内の少子高齢化の進行による人口動態の変化・労働力人口の減少・国内市場の縮小・経済成長の停滞 *国内・海外での市場・競争環境変化・情報メディアのデジタル化によるインキ需要の低迷・新興国市場における競争の激化・脱プラスチックやリサイクルなど環境対応ニーズの変化と高まり *デジタル化によるバリューチェーンの変化・デジタル媒体の大幅な増加・印刷の多様化・カスタマイズ化・小ロット化 *環境問題・社会課題への対応・長期的なサステナビリティへの配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり・資源制約・原料価格高騰リスクの高まり・ESG投資の影響力増大 (3)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2030年の達成を目標とする長期ビジョンを2021年に策定し、それに基づいて事業活動を推進しています。 1896年の創業から130年目を迎え、これまで着実に成長してまいりました。一方で、近年はデジタルメディアの急激な普及や気候変動をはじめとした環境対策の必要性がより一層高まるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、今後さらに非連続的な変化が起こりうる状況にあります。 このような事業環境の変化の中で、当社グループが社会から求められる企業として持続的に成長していくためには、柔軟性を持ち、長期的な視点に立って、将来のあるべき姿と、そこに至る道筋や施策を策定し、常にグループ全体でそれらを共有・推進していくことが重要です。サステナブルな社会の実現に貢献するため、様々な社会課題の解決に向けた社会の一翼を担いつつ、当社グループのさらなる発展を果たしてまいります。 長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の概要1.企業理念ビジネステーマ 『ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造』存在意義    『人々の暮らしを快適にする情報文化の創造』 2.ビジョン“Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life”~あなたと、つくる、価値ある、あした~新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業 3.戦略の方向性*地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化・地球環境と人々の豊かで健康的な生活の向上に貢献し、世界が目指すサステナブルな社会の一翼を担う・当社マテリアリティに対する各取組方針の実施を通じて、持続可能な社会の実現に貢献 *印刷インキ事業・機能性材料事業の拡大・主力のパッケージ印刷分野を中心に、より一層の環境経営を推進(印刷インキ)・社会トレンドを捉えた高付加価値製品をグローバルに展開(機能性材料) *新しい事業領域への挑戦・ターゲット領域『事業発展領域』、『エレクトロニクス&エネルギー』『バイオベース・脱石化材料』、『ヘルスケア』 4.変革プロジェクト*グローバル連結経営のさらなる強化*ステークホルダーとの関係強化*人財育成の強化・組織風土の改革 5.ESG・サステナビリティへの取り組み重要課題(マテリアリティ)と目指す社会 *持続可能な地球環境を維持するための活動>>>地球環境を保護し、人々に安全と健康を*安心・安全な製品の供給>>>快適さ、利便性とともに、循環型社会の実現を*研究開発・技術力の強化>>>豊かな生活、新しいライフスタイルの創造を*コーポレートガバナンス、コンプライアンスの強化>>>ステークホルダーとの良好な信頼関係を*人権の尊重、DEIBの推進>>>人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を 『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ※)』の概要 1.基本方針基盤構築の期間として取り組んだ前中期経営計画(CCC-Ⅰ)に続き、当社グループの長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』をバックキャスティングし、事業拡大・収益力強化に取り組む3年間として『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)』(以下、中計)を2024年2月に策定しました。長期ビジョンにおける戦略の方向性として、「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」としており、それに基づいた事業活動を進めてまいります。「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」においては、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸としたサステナブルな製品の積極展開をグループ全体で推進するとともに、デジタル化にともなう事業環境の変化に対応した事業構造改革を進めてまいります。また、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料における拡販と新分野への展開などを行ってまいります。「新しい事業領域への挑戦」では、基盤構築の期間で実施したさまざまなアプローチの成果に基づいて、事業化の可能性が高い製品・サービスを具現化し、収益につなげていく期間としています。その具現化の手段として、研究開発をさらに進めるとともに、当社の技術やサービスとの親和性が高い有望な技術を持つ企業や団体とのオープンイノベーションを進め、新しい製品やビジネスモデルの提案を加速させていきます。また、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」については、環境に配慮したサステナビリティ製品の展開や気候変動に対応した事業活動でのさまざまな取り組み、持続的な発展を実現するための基盤となる人的資本政策、適正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築を推進してまいります。そしてこれらの取り組みは、資本コストや株価を意識した経営を基本とし、収益力強化や成長戦略への投資と株主還元に対する資本の最適配分に加え、資本コストの低減を進めるとともに、IR活動を通じて当社グループの成長ストーリーの実効性の実現性をステークホルダーの皆様に理解していただくことで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。これらのさまざまな取り組み施策を当社グループ全体で着実に実行することにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、事業拡大と収益力の強化を実現し、ステークホルダーの皆様からより一層の信頼を得られるように、長期ビジョン実現と中期経営計画の目標達成に向け、邁進してまいります。 (※)CCC-Ⅱ :今中計を長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の「第二期・フェーズ2」とし、長期ビジョンのキャッチフレーズ「Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life」の頭文字からCCC-Ⅱと表記いたしました。 2.連結目標数値 2023年実績2026年計画伸長率売上高2,283億円2,700億円18.3%営業利益113億円180億円59.3%経常利益136億円190億円39.7%親会社株主に帰属する当期純利益74億円127億円71.6%(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。 3.連結経営指標ROE 10%以上 4.セグメント別計画(単位:億円) 売上高営業利益2023年実績2026年計画伸長率2023年実績2026年計画伸長率印刷インキ・機材(日本)5215301.7%5295.8倍印刷インキ(アジア)52466727.3%43430.0%印刷インキ(米州)78592818.2%434914.0%印刷インキ(欧州)1952128.7%△75-機能性材料16824445.2%18442.4倍その他15320030.7%4184.5倍調整額△64△81-6△8-合計2,2832,70018.3%11318059.3%(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。 5.財務・資本政策総投資額 400億円うち、将来成長に向けた戦略的投資150億円 株主還元 積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得目標:総還元性向50%以上
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績当連結会計年度の世界経済は、中東情勢の緊迫化などによる地政学リスクの高止まりに加え、米国の通商政策とその不確実性が世界へ波及し、先行きの景気減速懸念が続いた一年となりました。一方で、各国でインフレ圧力の低下が進んだことや個人消費の持ち直しが下支えとなり、全体としては底堅い成長を維持しました。米国では、通商政策の影響による企業活動の抑制や先行き不透明感から、個人消費や設備投資は慎重な動きが続きました。また、関税の影響が企業収益や物価に徐々に表れるなど、景気回復のペースは鈍化しました。欧州では、所得環境の改善やインフレ圧力の低下を背景に個人消費が回復し、製造業の一部に弱さは残るものの、緩やかな持ち直しが続きました。アジアでは、中国では不動産市場の停滞により景気は伸び悩んでいるものの、全体としては堅調に推移しました。ただし域内においてもインド、ベトナムなどは好調な一方、タイでは内需の低迷が続くなど国によって景気の強弱が分かれる結果となりました。日本では、所得環境の改善が続くなか、食料品価格を中心とした物価の高止まりが消費の重荷となったものの、物価上昇率の鈍化もあり、景気は緩やかな回復基調を維持しました。このような状況の中で、本年度は2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるための事業拡大・収益力強化フェーズである『中期経営計画2026 (CCC-Ⅱ)』の2年目であり、グループの事業拡大・収益力強化に向けて、ボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸にサステナブルな製品の積極展開を推進しました。特にパッケージ分野では、人口増加と経済発展により中間層が拡大する成長地域での拡販を続けるとともに、グローバルアカウント向け戦略製品の拡充・拡販や地域連携による購買・生産・物流の効率化などグローバル連結経営を推進しました。機能性材料事業では、従来製品の拡販に加え、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料においてもより高品質製品の拡販などに取り組みました。売上高は、米州で販売が好調であったことや機能性材料の販売が比較的好調であったことに加え、前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことなどもあり、2,576億6千8百万円(前期比4.9%増加)となりました。利益面では、人件費や諸経費が増加したものの、販売数量の増加による増収効果に加え、海外では原材料価格が安定的に推移し収益性の改善が続いたことなどから営業利益は152億2千6百万円(前期比15.7%増加)となりました。経常利益は153億6千4百万円(前期比19.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益を計上したことなどから116億9百万円(前期比28.9%増加)となりました。 (参考)USドルの期中平均為替レート 第1四半期連結会計期間第2四半期連結会計期間第3四半期連結会計期間第4四半期連結会計期間連結会計年度2025年12月期152.60円144.59円147.48円154.15円149.71円2024年12月期148.61円155.88円149.38円152.44円151.58円(注)連結会計年度の期中平均為替レートは、1月~12月の単純平均レートを記載しております。 セグメントの業績を示すと、次の通りであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行っております。これに伴い、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の費用配分方法に基づき作成したものを記載しております。(単位:百万円) 売上高営業利益前期当期増減額増減率(※)実質前期当期増減額増減率印刷インキ・機材(日本)52,80650,248△2,558△4.8%△4.8%9271,43650854.9%印刷インキ(アジア)58,28156,173△2,108△3.6%△1.7%5,7476,9131,16620.3%印刷インキ(米州)87,863101,86013,99715.9%17.5%4,4745,28581018.1%印刷インキ(欧州)21,44721,5781310.6%△2.5%6664△2△3.0%機能性材料19,40520,3759695.0%4.8%2,6662,429△236△8.9%報告セグメント計239,805250,23610,4314.3%5.1%13,88116,1292,24716.2%その他12,73114,0311,29910.2%10.2%1802709050.0%調整額△6,965△6,599366--△900△1,172△272-合計245,570257,66812,0974.9%5.7%13,16115,2262,06415.7%(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率 印刷インキ・機材(日本)日用品、食品、飲料など多くのアイテムでの値上げが常態化し、家計の節約志向による消費マインドの低迷が続きました。パッケージ関連ではグラビアインキ、フレキソインキともにやや低調に推移したものの前期を上回りました。印刷情報関連では、デジタル化の影響による市場の構造的な縮小に加え、収益性改善のためオフセットインキでは不採算品目の削減を進めた影響などにより前期を下回りました。このような状況のなか、販売数量は減少したものの、販売価格の改定効果が寄与したことにより、印刷インキ全体では前期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料では不採算品目の取り扱いを縮小している影響などにより前期を大きく下回りました。これらの結果、売上高は502億4千8百万円(前期比4.8%減少)となりました。利益面では、人件費が増加した影響はあったものの、販売価格の改定効果などにより収益性が改善したことから、営業利益は14億3千6百万円(前期比54.9%増加)となりました。 印刷インキ(アジア)米国の通商政策の影響が域内の経済成長を押し下げるなか、主力であるパッケージ関連のグラビアインキはベトナムで販売が比較的堅調に推移したものの、全体的にはやや伸び悩みました。印刷情報関連では、インドで販売が堅調に推移しました。売上高は、上半期の販売がやや低調であったことや前第2四半期に中国の子会社を持分譲渡により連結除外した影響に加え、為替換算の影響もあったことから、561億7千3百万円(前期比3.6%減少)となりました。利益面では、連結除外の影響はあったものの、原材料価格が安定的に推移しているなかで経費の増加も抑制されたことなどから、営業利益は69億1千3百万円(前期比20.3%増加)となりました。 印刷インキ(米州)米国での通商政策による影響は限定的であるなか、主力のパッケージ関連では、北米では需要の緩やかな回復が続いていることに加え、ブラジルなど南米でも拡販が進んだこともあり、フレキソインキ及びグラビアインキの販売は好調に推移しました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要拡大が続いているという背景に加え、南米でも順調に拡販が進んでおり、販売は堅調に推移しました。印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小はあるもののUVインキなどの販売が堅調であったこともあり前期を上回りました。売上高は、為替換算の影響があったものの、販売数量が増加したことや前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことに加え、関税コスト分の調整を含む販売価格の改定効果などから、1,018億6千万円(前期比15.9%増加)となりました。利益面では、人件費や諸経費の増加の影響などがあったものの、販売数量が増加したことや販売価格の改定効果に加え、新規連結の影響があったことなどから、営業利益は52億8千5百万円(前期比18.1%増加)となりました。 印刷インキ(欧州)パッケージ関連では第2四半期で販売がやや落ち込んだものの比較的堅調に推移し、メタルインキも主要顧客向けで販売が堅調に推移しました。売上高は、全体としては第2四半期で販売がやや落ち込んだ影響があったものの、アジア、米州セグメントとは異なり現地通貨高による為替換算の影響があったことなどから、215億7千8百万円(前期比0.6%増加)となりました。利益面では、原材料価格は安定的に推移したものの、販売がやや伸び悩んだことや前第1四半期は一部製品で特需があったことの反動などから、営業利益は6千4百万円(前期比3.0%減少)となりました。 機能性材料インクジェットインキは販売が堅調だったこともあり前期を上回りました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルメーカーにおける稼働率の持ち直しの動きにより販売が回復したことなどから前期を上回りました。トナーは海外で順調に拡販が進んだことなどにより前期を上回りました。これらの結果、売上高は203億7千5百万円(前期比5.0%増加)となりました。利益面では、販売は増加したものの、諸経費が増加したことなどから、営業利益は24億2千9百万円(前期比8.9%減少)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)印刷インキ・機材(日本)34,5872.1印刷インキ(アジア)54,113△5.2印刷インキ(米州)95,10010.2印刷インキ(欧州)23,0143.9機能性材料16,6060.5その他8836.1合計224,3063.5(注)生産金額については期中平均販売価格により表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ② 受注実績印刷用インキの生産は主として見込生産によっております。小口ロットのものについて受注生産を行っているものもありますが、特に受注高及び受注残高として示すほどのものはありません。③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)印刷インキ・機材(日本)49,318△4.7印刷インキ(アジア)56,008△3.6印刷インキ(米州)101,11716.3印刷インキ(欧州)20,8612.3機能性材料20,3315.0その他10,02910.9合計257,6684.9(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。 (2)財政状態当連結会計年度末の総資産は、売上債権が減少したことや政策保有株式縮減の方針に基づき投資有価証券の売却を進めたことなどに加え、前期末に比べて為替が円高となった影響を受けたものの、現金及び預金や有形固定資産などが増加したことにより、前連結会計年度末比43億9千4百万円(2.0%)増加の2,258億6千4百万円となりました。負債は、借入金や仕入債務が減少したことに加え、為替換算の影響を受けたことなどから前連結会計年度末比29億4百万円(2.8%)減少の993億4千4百万円となりました。純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末比72億9千8百万円(6.1%)増加の1,265億1千9百万円となりました。 (3)キャッシュ・フロー当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の増加や法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前当期純利益、減価償却費などにより、170億5百万円の資金の増加となりました。前連結会計年度に比べ81億1百万円の増加となりましたが、主な要因は、税金等調整前当期純利益や運転資本の増減額の影響によるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入はあったものの、有形固定資産の取得による支出などがあったことにより、44億8千5百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度は148億4千6百万円の資金の減少でしたが、資金の減少の金額が縮小した主な要因は、投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、前連結会計年度は事業譲受による支出が存在したことであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の減少や配当金の支払に加え、自己株式の取得などがあったことにより、99億7千5百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度は42億1千4百万円の資金の増加でしたが、資金の増加から資金の減少へ転じた主な要因は、借入金の残高が減少したことや配当金の支払額が増加したことであります。以上に加え、連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として1億2千8百万円を計上した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は187億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ41億9千8百万円の増加となりました。 キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次の通りであります。 2021年12月期2022年12月期2023年12月期2024年12月期2025年12月期自己資本比率(%)51.848.650.950.752.8時価ベースの自己資本比率(%)34.829.635.039.151.5キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)2.45.61.74.12.0インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)32.49.020.310.916.0(注)自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 資本の財源及び資金の流動性は、次の通りであります。当社グループでは運転資金や事業投資、株主還元等のための資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。外部借入のうち、短期借入は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入は主に事業投資に係る資金調達であります。内部資金に関しては営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。また外部借入に関しては短期・長期借入の他に、当社においては運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行2行と30億円の特定融資枠契約を締結しております。重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画(1)重要な設備の新設等」をご参照ください。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。 (5)経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 (6)目標とする経営指標との比較当連結会計年度と「中期経営計画2026 CCC-Ⅱ」の最終期との比較は、次の通りであります。 中期経営計画CCC-Ⅱ2024年実績当連結会計年度中期経営計画CCC-Ⅱ2026年計画比較売上高(億円)2,4552,5762,700△123営業利益(億円)131152180△27経常利益(億円)128153190△36親会社株主に帰属する当期純利益(億円)90116127△10ROE8.5%10.0%10.0%以上- 「中期経営計画2026 CCC-Ⅱ(以下「計画」という。)」の2年目である当連結会計年度につきましては、売上高は米州で販売が好調であったことや機能性材料の販売が比較的好調であったことに加え、前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことや計画算定時に比べ円安で推移したことによる為替換算の影響などもあり、計画の達成に向けて順調に推移いたしました。各段階利益につきましては、人件費や諸経費が増加したものの、販売数量の増加による増収効果に加え、海外では原材料価格が安定的に推移し収益性の改善が続いたことなどから計画の達成に向けて順調に推移いたしました。ROEにつきましては、政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益を特別利益として計上したこともあり目標となる10.0%以上を達成いたしました。

事業リスク

  • 原材料価格と為替変動リスク
    印刷インキの主要原材料は石油化学製品に依存しているため、原油価格や為替相場の急激な変動は、製品の製造コストに直接影響し、業績を悪化させる可能性があります。また、原材料の供給国での災害や規制変更、需給悪化も調達コストの上昇や安定供給の困難さにつながり、収益性を圧迫する恐れがあります。
  • 自然災害・事故・感染症のリスク
    大規模な地震や自然災害、工場での事故、感染症の世界的流行などが発生した場合、生産拠点や事業所が被害を受け、事業活動が中断・縮小する可能性があります。これにより、製品の供給が滞り、売上減少や復旧費用が発生することで、会社の業績や財務状況に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
  • 海外事業固有のリスク
    連結売上高の70%以上を海外で稼ぐ同社にとって、進出先の国・地域における政情不安、経済悪化、自然災害、感染症、商習慣や法規制の違い、インフレによるコスト高騰、価格競争激化などは、事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、不安定な地域での事業展開は、従業員の安全や資産保全のリスクも伴います。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,909 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、社会に広く使用される製品・商品を安定的かつ安全に供給することを企業の社会的使命と捉え、責任ある行動を常に心がけています。当社グループを取り巻く事業環境には、さまざまな潜在的リスクが存在しており、これらのリスクの発生および顕在化の可能性を常に認識しています。平常時からリスクの抑制や回避に取り組むとともに、万が一リスクが顕在化した場合には、社会・地域・株主・顧客・仕入先・社員など、あらゆるステークホルダーへの損害と、業績や財務状況に与える影響を最小限にとどめるべく、阻害要因の除去および軽減に、迅速かつ的確な対応を行います。こうしたリスク管理の実践を通じて、当社グループは事業の継続性と安定的な成長を確保し、社会的責任を果たす企業としての信頼性向上に努めています。また、財務や経営戦略に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定・評価し、適切に対応するための体制を整えています。このプロセスは、代表取締役社長執行役員を委員長、全取締役をメンバーとする「サステナビリティ委員会」が統括しています。その下部組織である各種専門委員会では、グループ全体のリスクを把握し、対応策を審議・統合することで、全社的なリスク管理を実現しています。具体的には「リスク管理規程」に基づき、サステナビリティ委員会の下部組織の一つである「リスク・コンプライアンス委員会」がリスクの把握、対応策の検討、モニタリング、定期的な評価を行い、その結果をサステナビリティ委員会で審議する体制を構築しています。緊急事態が発生した際には、「緊急事態対応規定」に則り、安全確保を最優先とし、役員・社員が一丸となって損失の最小化、損害の復旧、再発防止に取り組みます。 (1)気候変動について当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会を経営上の最重要課題であると捉え、事業に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループはTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言のフレームワークに基づき、気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を進めております。気候変動についての事業等のリスクは、参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応 ②戦略」に記載しております。 (2)自然災害・事故等について大規模な地震やその他の自然災害、事故、感染症の蔓延等により、当社グループの各事業所、製造拠点が被害にあった場合、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされた場合、または一部の製商品の需要が著しく減少した場合には、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、上記に起因して電力や原材料の供給不足などが発生し、サプライチェーンに大きな障害が生じた場合には生産活動の制限により、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、安全・防災に関する専任部署を設置し、これらリスクを低減すべくグローバルBCP体制の構築に取り組んでおります。事業環境に与える影響への対応につきましては、「(4)事業環境の変化について」及び参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。また、原材料の供給不足に伴う影響及び製造拠点の被害に伴う影響への対応につきましては、「(3)原材料市況等の影響と調達活動について」及び「(5)海外への事業展開について」をご参照ください。 (3)原材料市況等の影響と調達活動について当社グループの主要販売製品である印刷インキなどの原材料は、石油化学製品への依存度が高いため、原油価格及び為替相場に異常な変動が生じた場合などには、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料を製造している国において、自然災害・事故あるいは法律又は規制の予期しない変更などが生じ、安定調達が困難になるリスクや、需給関係の悪化に伴う相場の異常な変動が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。ロシアのウクライナ侵攻に起因する原燃料の価格高騰、中国における環境規制の強化などに伴い、原材料価格が上昇するリスクを事業環境に照らして認識しております。国内では物流の2024年問題対応、海外では紅海危機によるスエズ運河からアフリカ喜望峰経由迂回による輸送コストの値上がりは調達コストに影響します。当社グループでは原材料の価格動向に注意を払うとともに調達先の拡大や長期契約の締結等により、原材料の価格変動リスクの影響を緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるように努めております。また、現地法人相互での互換化を進めており、複数購買やグローバル調達等も進めることで当社グループ全体における原材料費の低減や安定調達を図っております。さらには、当社グループの「調達基本方針」を定め、公正・公平で誠実な調達活動を通じ、サプライチェーン全体に関わる地球環境の保護・保全、資源保護や、労働安全性、人権など社会へ配慮し、企業としての社会的責任を果たします。全ての調達取引先は、より良い製品・商品・サービスを提供するための大切なパートナーと認識し、相互信頼を築きつつ共存共栄と持続可能な社会の実現を目指してまいります。 (4)事業環境の変化について近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、「国内における少子高齢化の進行など人口動態の変化」、「国内・海外での市場・競争環境変化」、「デジタル化によるバリューチェーンの変化」、「環境問題・社会課題への対応」を認識しております。その変化による影響に対して、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」、「印刷インキ、機能性材料事業の拡大」、「新しい事業領域への挑戦」を戦略の方向性とし、対応してまいります。詳細は、参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 (5)海外への事業展開について当社グループは、米州をはじめアジア、欧州などの世界各国にグローバル展開しており、連結売上高における海外売上比率は70%を超えております。とくに、今後の成長地域として人口の増加と経済成長が見込める、アジアや中南米、中東、アフリカ地域と、消費が旺盛で市場が大きい北米地域での販売拡大に注力しています。当社の海外ビジネスは、パッケージ用インキの販売が売上のほとんどを占めています。パッケージは加工食品を中心に、衛生用品や生活雑貨などの、生活に密着したエッセンシャルビジネスであり、耐久消費財に比べると景気の影響を受けにくい産業です。また、当社のビジネスは基本的に現地で原材料を調達、生産、販売する地産地消型ビジネスであるため、輸出入における為替影響は比較的軽微であり、決算期における海外現地法人の業績を日本円に換算する際の影響がほとんどです。当社ビジネスにおける海外での不測のリスクについては、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済情勢の悪化、自然災害の発生、感染症の拡大、商習慣、労使関係や文化の相違、その他さまざまな政府規制等の可能性があり、事業環境が大きく変化する場合は、当社グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。通常起こりうるリスクとしては、インフレなどに伴う原材料費・人件費・物流費の高騰、価格競争の激化などがあります。対策としては、政情が不安定な国・地域に対しては拠点進出ではなく、輸出での対応とすることにより、現地従業員及び駐在員の安全並びに生産設備など現地資産の保全が危うくなるリスクを回避しております。また、当社はBCP体制を整えており、アジア、米州、欧州を中心に世界20を超える国と地域に拠点を展開し、何らかの要因で特定の国・地域において生産に支障をきたした場合は、拠点間での生産・販売協力をすることにより収益の機会を逃すことなく、またグローバルに展開する顧客に対しても安定して供給できることで競合社に対する優位性を保持しています。そのほか、印刷インキは化学品であるため各国の化学品や環境に対する規制を受けることで、従来の材料が使えなくなることもありますが、当社は環境・品質に関わる専門部署を設け、とくに環境規制で先行する欧州地域の動向を注視するとともに、将来予測される規制に先回りした環境配慮型製品の開発を強みとすることで、化学製品に対する環境規制をチャンスととらえ、ビジネスと環境対策の両立の実現に取り組んでいます。 (6)サイバーセキュリティについて当社グループでは、情報資産の保護と安全なIT環境の維持を重要な経営課題と位置づけ、サイバーセキュリティ対策の強化を継続的に進めております。近年は、生成AIを含む先進技術の活用が広がる一方で、新たな情報セキュリティリスクも顕在化しており、従来型のサイバー攻撃に加えて、AIの誤用や情報漏洩など多面的なリスクへの対応が必要となっています。当社グループが保有・管理する技術情報、営業秘密、個人情報等について、不正アクセス、マルウェア感染、ランサムウェア等の攻撃が発生した場合、業績や財政状態への影響に加え、社会的信用の毀損や事業継続への支障など、重大な影響が生じる可能性があります。これらのリスクに対し、マルウェア対策、ゼロトラスト・セキュリティの導入、アクセス制御の強化などの技術的・組織的な対策を講じております。また、標的型攻撃メール訓練や情報セキュリティ教育を全社員に継続的に実施し、人的リスクの低減に努めています。生成AIの活用に伴うリスクとしては、機密情報の誤入力による情報漏洩、生成物の不正確性による業務判断への影響、第三者の知的財産権侵害の可能性、不適切な内容生成による企業イメージの毀損などが挙げられます。当社グループでは、社内ガイドラインの整備、利用範囲の明確化、教育・啓発活動等を通じて、適切な管理とリスク抑制に努めております。また、近年はサプライチェーン全体を対象としたサイバー攻撃が増加し、サプライヤーや委託先の情報管理体制が当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性が高まっています。サプライヤーが保有する当社関連情報の漏洩、委託先システムの脆弱性悪用、クラウドサービス提供者のインシデント等が発生した場合、情報資産の毀損や業務停止、社会的信用の低下などが生じるおそれがあります。これらに対し、契約における情報セキュリティ要件の明確化、取引開始時および継続的なセキュリティ評価、外部サービス利用時のリスクアセスメントを実施しています。重要情報を取り扱うサプライヤーに対しては、必要に応じて対策状況の確認や改善要請を行い、サプライチェーン全体のセキュリティ水準向上に取り組んでおります。さらに、情報資産管理の継続的な改善を目的として ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の構築を進め、ISO/IEC 27001 認証の取得に向けて取り組みを推進しております。これらの施策を通じ、サイバーセキュリティに関するリスクの低減と、万一インシデントが発生した際の迅速な対応体制の整備に努めております。 (7)知的財産について当社グループでは、第三者の知的財産権を尊重し、侵害回避のための調査・対策を講じておりますが、権利の解釈や見解の相違等により、他社から使用差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。その場合、製品開発や販売、技術供与の中断、損害賠償の発生等により、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、不測の事態により技術情報やノウハウが漏洩した場合、競合他社による模倣品・類似品の流通を招き、当社グループの競争力や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社グループでは、事業活動において創出される技術やノウハウの保護を目的に、知的財産権の取得・活用に努めております。また、グローバルビジネスの拡大に伴い、主要国における特許・商標の出願及び権利化を推進し、これにより海外市場における戦略製品の拡販に大きく寄与しています。さらに、研究管理部が知的財産戦略の一環として社員教育・訓練を担い、知的財産リテラシーの向上を図ることで、リスクの低減に取り組んでおります。 (8)品質・製造物責任について当社グループの製品における品質不適合や製造過程における欠陥、不正、偽装は、顧客満足度の低下のみならず、製品回収・賠償請求・行政処分等の法的責任を招来し、事業の適正な運営、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは専門部署を設置し、製品の品質保証を総合的に推進しています。需要先からの信頼及び販売数量の維持向上を目的として、サステナビリティ委員会のもとに品質委員会を設置し、設計、開発、製造、貯蔵、輸送、販売等の事業活動において体系的な品質保証の活動を行っています。また、社内外での品質監査、分析、フィードバックによる情報共有の実施や合否自動判定の導入による品質保証度の向上等製品の品質維持向上に取り組んでおります。グローバル品質体制の拡充にも努めており、品質や環境に対する海外の規制に対して現地法人をサポートし、海外拠点も含めた製品の品質向上や不良品発生率の低減、コストの抑制を推進し、顧客満足度や信頼性の向上に努めています。 (9)法規制について当社グループは、米州をはじめアジア、欧州などの20を超える国と地域に事業拠点を展開し、世界60以上の国と地域に製品を販売しており、世界各国の多様な法規制の適用を受けております。国ごとに異なる法令体系や行政規制は、コンプライアンス確保における大きな課題になり得ると認識しております。法規制に対する適切な対応が遅延した場合、罰金や制裁措置、業務停止命令など業績、財政状態への影響のみならず将来における事業の円滑な運営にも影響を及ぼす可能性があります。また、役職員による法令違反行為は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージの著しい毀損に繋がりかねないものと認識しております。当社グループでは、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、競争法にとどまらず、腐敗防止の観点から方針を明らかにするなど、各種法令の遵守の推進に関する取り組みを進めるとともに、有事も想定し、グループグローバルベースでの内部通報制度も導入を開始しました。さらに、スピークアップポリシーを制定し、早期段階でのコンプライアンス事案の報告・相談を奨励しております。また、アジア統括会社の設置や東南アジア現地法人等における外部専門家が提供する法規制情報の活用開始等、海外現地法人との密接な連携を深めることで各種法規制への対応を図っております。今後とも内外環境変化に適切に対応し、法規制への対応も含むコンプライアンス対応を深化させることとしております。 (10)人財確保について先進国を中心とした少子化による採用市場の競争激化や労働環境の多様化に伴い、必要な人財を確保し続けることが困難となる可能性があります。また、多様化する労働環境への対応の遅れや従業員満足度の低下により優秀人財の流出が頻発した場合、組織のノウハウ蓄積や生産性の低下を招き、経営基盤の弱体化を引き起こす可能性があります。当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値を創出する源泉を「人財」と位置付け、社員一人ひとりの人格・個性・多様性を尊重し、やりがいと誇りを持って挑戦できる組織風土の醸成と社内環境の整備を推進しております。具体的には、社員が自らの意思で他部署の業務に挑戦できる機会を提供する「キャリア公募制度」、「キャリアチャレンジ制度」、「インターン公募制度」、「インターンチャレンジ制度」の4つの制度を導入しており、社員が自身のキャリアを主体的に考え、選択肢を広げられる環境づくりを進めています。また、部門を越えた社員同士の交流の促進や、ワークとライフ双方を充実し社員の多様な生き方・働き方を実現するため、たとえば2025年には大阪本社を移転して1フロアに統合し、ABWを採用する等、様々な施策を実施しております。優秀な人財の獲得に向けては、キャリア採用を強化するとともに、国内での強化のみならず、グローバル人財獲得のため海外からインターン実習に来た学生の採用を行う等、あらゆるバックボーンを持つ人財が活躍できるように取り組んでおります。 (11)人権について当社グループの事業活動に伴い、当社グループが意図しない形で人権課題に対して負の影響を生じさせる可能性があります。具体的には、当社グループのサプライチェーン上における労働環境や管理体制の不備により、労働者の尊厳侵害や社会的信用の低下、訴訟提起を招来し、事業の適正な運営、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「世界人権宣言」や「国連グローバル・コンパクトの10原則」など、人権にかかわる国際規範を支持、尊重し、国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき「サカタインクスグループ人権方針」を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。また、人権デュー・デリジェンスのプロセスを通じて潜在的な人権リスクを特定・評価するとともに、当社の事業活動によって影響を受けるさまざまなステークホルダーの人権を尊重するため、それらのリスク低減に向けた取り組みを行っております。さらには、「(3)原材料市況等の影響と調達活動について」に記載の通り、当社グループは「調達基本方針」を定め、公正・公平で誠実な調達活動を通じ、サプライチェーン全体における人権にも配慮し、企業としての社会的責任を果たします。 (12)買収戦略について当社グループは、新たな成長機会の創出およびポートフォリオマネジメントの強化を図ることを目的として、国内外を問わずM&Aやスタートアップとの共創に向けた投資等を積極的に推進しております。これらの施策は、当社グループの競争力および持続的成長に資するものと考えております。しかし、事業環境の変化や投資判断時に想定した前提との乖離により、一部または全部の投資額を回収できない、または撤退に伴う追加の評価損・費用が発生する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらリスクを低減すべく、M&A・投資の実行は、経営ルールに定める責任権限に基づき経営審議会・取締役会等の経営会議体にて適切な議論・決定を経て実行しています。具体的には、長期ビジョン目標に基づいたM&A・投資候補の探索・評価、対象企業の財務内容や契約内容の確認等の事前審査・デュー・デリジェンスを行い、リスクを事前に洗い出し、対策を講じています。投資実施後は、買収会社については他のグループ企業と同様に経営成績を定期的に測定し、当初計画に対する進捗状況をモニターのうえ、必要に応じて適切な対策を講じています。 上記は、当社グループの事業に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

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