5 【研究開発活動】当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業385,563千円、検査事業130,276千円、両セグメント共通46,854千円、合計562,694千円となりました。なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。 (1) 研究開発体制について 2019年12月31日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の41.9%に当たります。 (2) 研究開発並びにビジネス活動について当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。 ① 医薬品事業1)がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)に関する活動当社はビジネス面において、2019年4月8日に中外製薬とテロメライシンに関する独占的ライセンス契約及び資本提携契約を締結しました。本契約により、日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンスと、中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション権を中外製薬へ付与しました。今後、テロメライシンの臨床試験において一定の効果が確認され、中外製薬が独占的オプション権を行使した場合には、本ライセンス総額は500億円以上になります。さらに、テロメライシンの上市後は、売上額に応じた販売ロイヤリティを、ライセンス契約総額とは別に受領します。 本契約の契約一時金として2019年4月に5.5億円を受領しました。更に、2019年12月に第1回マイルストーンを達成し、追加で5億円が売上高に計上されています。 またビジネス活動に加え、現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がんPhase1企業治験、ii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase1医師主導治験、iii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、iv)肝細胞がんPhase1企業治験の4つの臨床試験が同時に進行しています。また、新たに米国で放射線化学療法を併用した食道がんPhase1臨床試験や抗PD-1抗体と放射線療法を併用した頭頸部がんPhase2臨床試験を開始するための準備が進められています。更に、乳がんを対象とした非臨床試験も進行しています。 上記i)の「放射線併用食道がんPhase1企業治験」に先行して岡山大学で実施された「放射線併用医師主導臨床研究」は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者様を対象に、テロメライシンの放射線治療併用における安全性及び有効性の評価を既に完了し、2018年7月に神戸で開催された日本臨床腫瘍学会で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原俊義教授グループにより「テロメライシンを投与した部位での治療効果は13例中8例でCR (Complete Response:完全奏効)であり、重篤な有害事象は認められなかった。」と発表されました。また、2019年4月に米国アトランタで開催されたアメリカ癌学会(AACR:American Association for Cancer Research)でも、同内容についてプレナリーセッションで討議がなされました。 一方、上記i)の「放射線併用食道がんPhase1企業治験」は、効果安全性評価委員会により2019年9月にPhase1企業治験での安全性の評価が完了しました。今後開始される食道がんに対する放射線を併用したPhase2臨床試験は、ライセンス先である中外製薬がコスト負担して臨床開発が進みます。 また、2019年4月には、厚生労働省の定める「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されました。これにより、PMDAへの承認申請前相談が可能となり優先的な取り扱いを受けることができるようになりました。 上記ii)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用して食道がんを中心に開発を進めている「各種固形がん抗PD-1抗体併用Phase1医師主導治験」は2017年12月に投与が開始され、既にPhase1aの投与が完了し、Phase1bに移行しています。この中間成績は、2019年3月に米国アトランタで開催されたAACRや2019年11月開催の日本バイオセラピィ学会で発表され、テロメライシンの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用における安全性が示されました。また、一次評価としての予備的な有効性評価では、9例中3例で全身での部分寛解(PR)が得られたと報告されました。 上記iii)の米国コーネル大学での「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」においては、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最大37例に投与が行われる予定で、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。また、本治験の実施計画は、2019年6月に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)で発表されました。 上記iv)の肝細胞がんPhase1企業治験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設として単回・反復投与を含めPhase1の最終段階が進行しています。 また、米国で放射線化学療法を併用した食道がんPhase1臨床試験や抗PD-1抗体と放射線療法を併用した頭頸部がんPhase2臨床試験を開始するための準備が進められています。更に、乳がんを対象とした非臨床試験が進行しています。 当社が中国・香港・マカオでのテロメライシンの研究・開発・製造・販売権を付与したハンルイ社は、テロメライシンのGMP製造を確立し、2019年10月にPre-INDを実施するなど中国政府(NMPA: National Medical Products Administration)への治験申請に向けた準備を行っています。 2)次世代テロメライシン(OBP-702)に関する活動腫瘍溶解遺伝子治療OBP-702は、がん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬やハンルイ社に導出済みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、岡山大学藤原教授の研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けてOBP-702の非臨床試験を進め、2019年3月に米国アトランタで開催されたAACRや2019年11月開催の日本バイオセラピィ学会にて複数の非臨床試験結果が報告されました。当社は岡山大学から委託を受けて、OBP-702の製造法並びに品質試験法の開発検討を進めています。今後、研究開発を促進させ、2022年までに臨床試験開始を目指します。 3)その他の医薬品事業に関する活動2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、2015年5月に他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としたPhase1臨床試験の投与を米国で開始しました。しかし、コホート3の段階で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応については、2018年7月に京都府立医科大学の眼科研究グループと特許出願を行っており、共同研究を進めています。今後、眼科領域内のターゲットとする疾患を検討していく方針です。 新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げて開発パートナーを模索していますが、依然としてHIVマーケットが過飽和状態であり新規ライセンスの可能性は非常に低下しています。今後、新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、Yale大学へOBP-601の権利を返還し、当社経営資源を有効に活用するために、パイプラインの選択と集中を進めていきます。 B型肝炎ウイルス(HBV)に対する抗ウイルス薬プロジェクトであるOBP-AI-004は、新規化合物の創出に向けて鹿児島大学の抗ウイルス薬研究グループと共同研究を進めていきます。 医薬品事業における臨床試験の状況は以下の通りです。 開発コード商標又は名称適応疾患開発地域開発ステージOBP-301テロメライシンⓇ(がんのウイルス療法)食道がん放射線併用日本Phase2(準備中)食道がん(固形がん)抗PD-1抗体併用日本Phase1食道がん放射線並びに化学療法併用米国Phase1(準備中)胃がん・胃食道接合部がん抗PD-1抗体併用米国Phase2頭頸部がん抗PD-1抗体並びに放射線併用米国Phase2(準備中)肝細胞がん韓国・台湾Phase1OBP-801HDAC阻害剤各種固形がん米国Phase1OBP-601センサブシン(抗HIV剤)HIV感染症欧米他Phase2b(終了) ② 検査事業がん検査薬テロメスキャンは、順天堂大学と血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)の肺がん領域での臨床応用の検討を継続していきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)では、米国の大学や研究機関との共同研究を進めています。 今後もがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社や大学・研究機関へ積極的に提案し、日本・中国・欧州での新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャン販売の拡大を目指していきます。
FY2018|4,055 文字
5 【研究開発活動】当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業420,634千円、検査事業150,728千円、両セグメント共通34,459千円、合計605,822千円となりました。なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。 (1) 研究開発体制について 平成30年12月31日現在、研究開発部門は17名在籍しておりこれは総従業員数の51.5%に当たります。 (2) 研究開発並びにビジネス活動について当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びに積極的なビジネス活動を進めました。 ① 医薬品事業1)がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)に関する活動現在、がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)は、i)放射線併用食道がん医師主導臨床研究、ii)放射線併用食道がんPhaseⅠ企業治験、iii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がん医師主導治験、iv)メラノーマPhaseⅡ並びにv)肝細胞がんPhaseⅠ、の5つの臨床試験が同時に進行しています。 上記i)の外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンⓇの放射線治療併用における安全性及び有効性を評価する「放射線併用食道がん医師主導臨床研究」は既に完了しており、平成30年7月に神戸で開催された日本臨床腫瘍学会で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原俊義教授グループにより「原発巣の治療効果は13例中8例でCR (Complete Response:完全奏功)であり、重篤な有害事象は生じていない。」という発表がされました。 「放射線併用食道がん医師主導臨床研究」と同じ疾患を対象とした、上記ii)の「放射線併用食道がんPhase Ⅰ企業治験」は、平成30年3月に効果安全性評価委員会より低用量群でのテロメライシンⓇの安全性確認がなされ、高用量群での投与が進行しています。本治験の実施施設は岡山大学病院と国立がん研究センター東病院で、最大9例まで投与を行う予定です。本試験の終了予定時期が遅延していますが、Phase Ⅱ臨床試験へ速やかに移行するために、平成30年7月には国内の食道がん専門医と研究会を開催し、Phase Ⅱ臨床試験の試験実施計画書骨子についての詳細な打合せを行いました。また、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)とPhase Ⅱ臨床試験に関する治験相談を行い、当社の方針がPMDAに認められました。 上記iii)の食道がんを中心とする各種固形がんに対して免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用する「各種固形がん抗PD-1抗体併用医師主導治験」は平成29年12月に投与が開始され、本治験の実施計画は、平成30年6月に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)で発表されました。本治験では、進行性又は転移性固形がん患者を対象に安全性・忍容性等の評価検討を最大19例まで行います。 上記iv)のメラノーマPhase Ⅱ臨床試験においては、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。本治験では、切除不能又は転移性メラノーマ患者を対象とし、テロメライシンⓇの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としています。治験実施施設は、Atlantic Health System等米国の複数施設で最大50例まで進める計画ですが、本臨床試験は予想以上の競合状態にあり、症例組入れが当初計画より大幅に遅れています。この環境は今後も継続することが見込まれており、少数例での評価を行うことも検討しています。 v)の肝細胞がんPhase Ⅰ臨床試験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設として単回・反復投与を含め17例への投与を行いました。Phase Ⅰ臨床試験の終了予定時期は遅れていますが、平成31年度中に本治験を終了させる予定です。 上記に加えて、米国コーネル大学を中心に胃がん/胃食道接合部がんを対象とした抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の医師主導治験開始に向けて、平成30年8月に米国FDAへ治験(Phase Ⅱ)申請書類を提出し同年12月に承認を得ました。平成31年1月には、コーネル大学と医師主導治験契約を締結しています。さらに、当社が中国でのテロメライシンⓇの研究・開発・製造・販売権を付与したハンルイ社(江蘇恒瑞医薬股份有限公司、中国)は、中国政府(CFDA)への治験申請に向けた準備を行っています。 知的財産権の点からは、平成30年5月に英国のStabilitech Biopharma Limited(本社:英国 以下「スタビリテック社」)と、テロメライシンⓇの保存安定製剤のための技術導入を目的としたライセンス契約を締結しました。スタビリテック社のウイルス保存安定化技術を用いることにより、これまで実現できなかったテロメライシンⓇ取扱いの簡易性・簡便性向上を実現させると共に、テロメライシンⓇ製剤の特許保護期間が最長で2031年3月まで延長されることになります。 今後も、食道がん領域のテロメライシンⓇ臨床データを日本・米国で更に幅広く積み上げることで、他の「がんのウイルス療法」と対象疾患の差別化を図ります。また、テロメライシンⓇのプレゼンスを高めるため、平成30年8月にボストン(米国)で開催されたがん免疫治療サミットや平成30年9月に大阪で開催された日本癌学会など国内外の学会で積極的な学会発表を続けました。当社は、大手製薬会社とテロメライシンⓇ(OBP-301)の新規ライセンス契約を締結すべく活動を強化してゆきます。 2)その他の医薬品事業に関する活動 アステラス製薬から導入したHDAC阻害剤OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としてPhase Ⅰ臨床試験を行っていますが、コホート3の段階で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が6例中2例で発生したため、新規患者の組入れを中断し、他の薬剤との併用など今後別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、新規適応領域として眼科領域への適応について、京都府立医科大学眼科の研究グループとの共同研究が進行し、平成30年7月には特許出願を行いました。 新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げて開発パートナーを模索していますが、依然としてHIVマーケットが過飽和状態であり新規ライセンスの可能性は非常に低下しています。新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、Yale大学へのOBP-601権利返還を検討した上で、パイプラインの選択と集中を進めていきます。 その他に、新しいシーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に取り組んでいます。平成30年2月に、新規腫瘍溶解アデノウイルス開発に特化した米バイオベンチャーUnleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国以下「アンリーシュ社」)へ資本参加いたしました。また、Precision Virologics Inc.(米国)に資本参加いたしました。遺伝子改変アデノウイルスのパイプラインを有する上記2社との関係をより強固なものとし、当社が国内外で研究開発を推進しているテロメライシンⓇをはじめとする「遺伝子改変アデノウイルス」のプラットフォームを拡大し、「がんと重症感染症」パイプラインを推進し、将来的なビジネスチャンス拡大につなげていきたいと考えています。 医薬品事業における臨床試験の状況は以下の通りです。 開発コード商標又は名称適応疾患開発地域開発ステージOBP-301テロメライシンⓇ(がんのウイルス療法)食道がん放射線併用日本Phase I胃がん/胃食道接合部がん抗PD-1抗体併用米国Phase II メラノーマ(皮膚がん)米国Phase II肝細胞がん韓国・台湾Phase I各種固形がん抗PD-1抗体併用日本Phase I食道がん放射線併用日本臨床研究(終了)OBP-801HDAC阻害剤各種固形がん米国Phase IOBP-601センサブシン(抗HIV剤)HIV感染症欧米他Phase IIb(終了) ② 検査事業がん検査薬テロメスキャンは、血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)領域では、島根大学と婦人科がん領域における共同研究契約を締結しました。子宮頚がん・肺がん・すい臓がんを主たる開発テーマとし、検査系の簡素化を行います。また、平成29年11月に順天堂大学と締結した共同研究では、肺がん領域で既存腫瘍マーカーとテロメスキャンが検出したCTCのシナジー効果の確認を目指していきます。 北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)では、アカデミアとの共同研究を開始するための準備を開始しています。さらに、Wonik Cube Corp.(韓国)は韓国でのCTC検査承認取得を目指し、テロメスキャンの臨床試験開始に向けた準備を進めています。なお、平成30年7月にOBP-1101(テロメスキャンF35)に関する出願特許が、欧州で特許登録されました。今後もがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社やアカデミアへ積極的に提案し、日本・中国・欧州での新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャン販売の拡大を目指していきます。
FY2017|2,752 文字
6 【研究開発活動】当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業452,738千円、検査事業89,805千円、両セグメント共通27,997千円、合計570,541千円となりました。なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。 (1) 研究開発体制について平成29年12月31日現在、研究開発部門は14名在籍しておりこれは総従業員数の43.8%に当たります。 (2) 研究開発活動について当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。 ① 医薬品事業1)テロメライシンⓇ(OBP-301)に関する活動がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)は、①放射線併用食道がんPhase Ⅰ、②メラノーマPhase Ⅱ、③肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ、④抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がん医師主導治験、⑤放射線併用食道がん医師主導臨床研究の、5つの臨床試験が同時に進行しています。放射線併用食道がんPhase Ⅰ臨床試験は、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。本治験では、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンⓇの放射線治療併用における安全性及び有効性を評価します。治験実施施設は岡山大学病院と国立がん研究センター東病院の2施設で、最大12例まで投与を行う予定です。 メラノーマPhase Ⅱ臨床試験は、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。本治験では、切除不能または転移性メラノーマ患者を対象とし、テロメライシンⓇの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としており、治験実施施設はAtlantic Health Systemなど米国の複数施設で進める計画です。 肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験は、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設として単回投与12例への投与が完了し、平成29年7月に反復投与を開始し平成30年内の終了を予定しています。 食道がんを中心とする各種固形がんに対して抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用する医師主導治験は、平成29年12月に被験者への投与が開始されました。本治験では、進行性又は転移性固形がん患者を対象に安全性・忍容性などの評価検討を最大28例で行います。 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授研究グループによる放射線併用食道がんPhaseⅠ臨床試験と同じ疾患を対象としたテロメライシンⓇと放射線併用の医師主導臨床研究も進行しており、藤原俊義教授の研究グループは、平成29年7月開催の日本消化器外科学会、日本臨床腫瘍学会、日本遺伝子細胞治療学会でその試験の中間成績の発表をしました。本臨床研究は平成30年内の終了を予定しています。ビジネス面では、メディジェン社とテロメライシンⓇの戦略的アライアンスに関する契約を改定し、肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験を継続するとともに、新たに食道がん及びメラノーマの共同開発権をメディジェン社へ付与し、メディジェン社からテロメライシンⓇの開発に応じた開発協力金を受領しました。また、中国ライセンス契約を締結したハンルイ社から平成29年12月に第1回マイルストーンフィーを受領しました。さらに、ハンルイ社による中国国内でのテロメライシンⓇの開発方針についてCFDA(China Food and Drug Administration)との交渉が開始されました。なお、平成29年10月にCFDAは海外データの受入れを正式に発表しています。 2)その他の医薬品事業に関する活動 アステラス製薬より導入した新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としてPhase I臨床試験が進行中です。更に、効能追加として眼科用製剤の開発について、京都府立医科大学眼科の研究グループと共同研究を進行すると共に、幅広い適応追加を検討しています。 新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げ、開発パートナーを模索しています。 その他に、新規B型肝炎治療薬・次世代テロメライシン候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に積極的に取り組んでいます。 医薬品事業における臨床試験の状況は以下の通りです。 開発コード商標又は名称適応疾患開発地域開発ステージOBP-301テロメライシン®(がんのウイルス療法)放射線併用食道がん日本Phase Iメラノーマ(皮膚がんの一種)米国Phase II肝細胞がん韓国・台湾Phase I/II抗PD-1抗体併用各種固形がん日本Phase I放射線併用食道がん日本臨床研究OBP-801エピジェネティックがん治療薬各種固形がん米国Phase IOBP-601センサブシン(HIV感染症治療薬)HIV感染症欧米他Phase IIb(終了) ② 検査事業がん検査薬テロメスキャンは、従来の血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)に加えて、腹腔内のがん細胞から拡散したがん細胞(PTC: Peritoneal Tumor Cells)の検出法に開発領域を拡げています。現在、膵臓がん患者の腹腔洗浄液を用いた腹腔内遊離がん細胞(PTC)を検出して、膵臓がんの腹腔内転移と患者の予後を予想する方法を検討しています。血中循環がん細胞領域では、順天堂大学とCTC検査システムの自動化と臨床的応用を拡大するための共同研究を開始しました。また、Liquid Biotech USA, Inc.(本社:米国)へ北米エリアの権利を許諾し、肺がんを中心とした臨床的応用を検討しています。さらに、ウォニックキューブ社(本社:韓国)は韓国でのCTC検査承認取得を目指し、テロメスキャンのパイロット製造準備を進めています。ビジネス面では、ディサイフィラ社(本社:米国)へCTC検査薬テロメスキャンを販売しました。同社は、テロメスキャンを用いたCTC測定を、新規分子標的抗がん剤の臨床試験における副次的有効性評価項目の一つに位置付けています。また、平成29年3月には韓国の権利を導出したウォニックキューブ社からマイルストーンフィーを受領しています。今後も、血液や腹腔洗浄液に含まれるがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社やアカデミアへ積極的に提案し、新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャンの販売を拡大させていく計画です。
FY2016|2,046 文字
6【研究開発活動】当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業336,773千円、検査事業9,725千円、両セグメント共通14,370 千円、合計360,869千円となりました。なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。 (1) 研究開発体制について平成28年12月31日現在、研究開発部門は15名在籍しておりこれは総従業員数の44%に当たります。 (2) 研究開発活動について当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。 ① 医薬品事業腫瘍溶解ウイルスのOBP-301 (テロメライシンⓇ)につきましては、平成28年8月30日にアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)に切除不能または転移性悪性黒色腫(メラノーマ)を対象としたPhaseII臨床試験の臨床試験実施計画書(プロトコール)が承認され、現在米国において被験者登録準備を開始しています。本試験は、テロメライシンの腫瘍内投与における有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としています。また、本試験結果をもとに、今後、免疫チェックポイント阻害剤との併用試験の実施も検討する予定です。平成20年3月にMedigen Biotechnology Corp.(台湾)と締結いたしました戦略的アライアンス契約に基づく肝臓がんを対象としたPhase I/II臨床試験は、データ安全性モニタリング委員会(DSMB:Data & Safety MonitoringBoard)より、肝臓がんを対象とした最高投与量群での忍容性が確認されたとの報告を受領したことを受け、FDAに対してさらに高い投与量群に関するプロトコール修正を申請し承認されました。現在、台湾と韓国にて被験者登録を開始しています。国内においては、平成25年12月から岡山大学による食道がんを対象とした医師主導の臨床研究が進んでいます。同時に食道がんを対象とした放射線療法やチェックポイント阻害剤等のがん免疫療法剤との併用効果を確認するための臨床試験の治験申請準備を行っています。さらに、平成28年11月にHengrui社(中国)と中国エリアのライセンス契約を締結し、Hengrui社による中国での本剤の研究開発が開始されました。平成21年10月にアステラス製薬株式会社より導入いたしました新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801につきましては、Karmanos Cancer Center(米国ミシガン州)において、他の治療法に抵抗性を示す進行性の固形がん患者を対象とするPhase I臨床試験が進行中です。新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)につきましては、LBR Regulatory and Clinical Consulting Services,Inc.(米国)との間で締結致しましたオプション契約に基づき、Phase III臨床試験の実施方針を検討して参りましたが、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げることと致しました。一方、市場ニーズが見込める可能性がある新規徐放製剤の開発を武庫川女子大学薬学部と進めています。その他、テロメライシン次世代候補品・新規B型肝炎治療薬候補品・新規抗癌剤候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミア等との共同研究に積極的に取り組んでいます。 医薬品事業における主なパイプラインは以下の通りです。開発コード商標又は名称適応疾患開発地域開発ステージOBP-301テロメライシン®(腫瘍溶解ウイルス)各種固形がん米国Phase I(終了)肝臓がん台湾・韓国Phase I/II食道がん日本臨床研究メラノーマ米国Phase IIOBP-601センサブシン(HIV感染症治療薬)HIV感染症欧米他Phase IIb(終了)OBP-801エピジェネティックがん治療薬各種固形がん米国Phase I ② 検査事業テロメスキャンⓇを用いた血中循環がん細胞(CTC)検査として、各種がん患者を対象とした臨床研究を進めるとともに、全国のクリニックを対象に自由診療の範囲での受託検査を行っています。さらに、医療機関および製薬企業への検査用ウイルス販売も推進しています。北米においては、ペンシルベニア大学による研究成果商業化を目的に設立されたLiquid Bio社による北米での承認取得を目指した開発が進捗しています。韓国においては、WONIK CUBE Corp.(韓国)による韓国での承認取得を目指した開発が進められると共に、韓国国内でのテロメスキャンGMP製造を目指して韓国における製造実施権を追加許諾しています。さらに、Deciphera社(米国)は、開発中の新規分子標的抗がん剤の臨床試験において、副次的な有効性評価項目の一つとしてCTC検査を位置付けており、当社は引き続き同社に対するウイルス販売を行っています。