有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|11,435 文字
3【事業等のリスク】 当社グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするためのBCPや、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。 (1) リスクマネジメント当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントが当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各ユニット及び機能長はリスクオーナーとして、組織の目的・目標の達成に向け、リスクの抽出、リスクアセスメントの実施、対応策の策定・実行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等自律的にリスクマネジメントを推進しております。また、ユニット長及び機能長のリスクマネジメント活動の実務を補佐する役割として、ユニット及び機能内でリスクコーディネーターを選任します。リスクコーディネーターは、自組織のリスクマネジメント活動を推進し、グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントや他のユニット及び機能のリスクコーディネーターと連携してリスクマネジメントを実施します。リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを確認・調整し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議及び取締役会において重大リスクとして特定いたします。なおリスクに関する経営会議の広範な意思決定を補完するため、当社グループのリスクについて集中的な議論を行う会議体として「リスクマネジメントコミッティ(以下「RMC」という。)」を2025年度より設立しました。(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」「リスクマネジメント体制図」参照)。さらに特定した重大リスクごとにリスクオーナーが任命され、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにCEO及びヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントに情報が報告され、適切な対応を図る体制としております。 (2) 事業継続計画(BCP)当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても社会からの要請に応えるために医薬品等の安定供給及び品質確保を可能とする体制、並びに研究開発の継続性を確保できる体制を構築しています。当社グループでは、クライシスの多様化とビジネスのグローバル化に対応するべく、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っています。また、優先して供給する品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等について速やかな供給の実現を目指し、定期的に見直しを行っています。当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員及びその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ等対策行動計画」を2009年より策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。 (3) クライシスマネジメント当社グループのグローバルクライシスマネジメントポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、『第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する』『生命関連企業の一員としての責任を全うする』ことを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(ヘッド オブ グローバル リスクマネジメント)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントとも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。 (4) 重大リスクとして認識している事項重大リスク(Material risk;全社レベルで管理するリスク)はRMCにおいて議論され、経営会議にて承認されます。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて開発計画の変更により、設備投資が過剰となり投資額を回収できない、あるいは過剰在庫が発生し廃棄費用が生じる可能性があります。 当社は、重点領域であるがん領域において、特にエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)とダトロウェイ(一般名:ダトポタマブ デルクステカン Dato-DXd/DS-1062)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、それぞれ2019年3月、2020年7月にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。さらにパトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300)、及びDS-6000(R-DXd)について2023年10月に、MK-6070(DS3280)について2024年8月に米国メルク社と戦略提携を開始しました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、需要に応じた製造体制の構築遅延、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社ではアストラゼネカ社及び米国メルク社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして各種の共同委員会を設置し、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、設備投資面や開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 医薬品の品質問題や副作用に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造販売されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応品質について、安全で高品質の製品を患者さんにお届けし、安心して使用いただくために、GMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及びGDP(Good Distribution Practice: 輸送・保管における医薬品の品質を確保することを目的とした基準)に適合する管理体制を強化し、原材料の調達から保管、医薬品の製造に加え、流通段階も含め一貫した品質保証に取り組んでいます。また、グループ会社の事業所及びビジネスパートナーに対して定期的に監査を行い、適切な品質マネジメント体制の維持・向上及びリスク低減に努めています。安全性について当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。また、米国政権下での輸入関税の変更や各国対抗措置等の急激な政策変更がコストを上昇させ、当社の収益性や競争力に悪影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。米国における輸入関税のリスクに対しては、適時の情報収集により事業への影響可能性の把握に努めるとともに、日米欧等の業界団体等を通じた政府への要望も検討してまいります。また、米国での現地生産の強化の可能性についても検討いたします。 ④ 製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、製品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。また、製造委託先の品質リスク(例えば製造委託先等における品質上の問題発生により製品/治験薬を製造できないリスク)も存在します。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社グループは、行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的なBCPの改善を図っております。また、優先供給品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等の速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また、主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う気象災害や温暖化、生物多様性の喪失等により、医薬品のサプライチェーン寸断、製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、経営成績、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社グループでは、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、国内外の工場で労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の取得を進めており、2024年度は国内全ての工場と中国及びブラジルの工場で認証を取得いたしました。土壌汚染対策については、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等において法的な調査義務がない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに、近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動に伴うリスクについては、シナリオ分析に基づき対策を実施しております。計画規模の洪水で浸水が想定される日本国内の研究所及び生産施設のある事業場については、事業場ごとのリスクアセスメントと水災マニュアルの作成を完了し、諸対策を進めております。その他の気候変動対策についてはサステナビリティ情報に記載したTCFD提言に基づく情報開示をご参照ください。また、パリ協定にも賛同し、2022年度に1.5℃目標に整合した野心的な目標に改め、温室効果ガス削減に取り組んでおります。気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。生物多様性の喪失に関するリスクについては、TNFD提言に基づいて当社の主力製品を対象に、サプライチェーンにおける自然関連リスクの概略評価を行い、重要課題の抽出や地域性分析を実施し、当社ウェブサイトに公開いたしました。重要課題に対する当社グループの取り組み例を示し、追加的な目標設定や対策実施については、ギャップ分析や関係者とのコミュニケーションを行いながら、今後検討を進める予定です。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大や、ジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年7月、同裁判所はエンハーツが当該特許を侵害していること、Seagen Inc.に42百万米ドルの損害が発生したこと、及び当該特許の故意侵害を認定しましたが、損害賠償額は増額しないとする判決を下しました。2023年10月、同裁判所は、上記判決を不服とする当社の申立(post-trial motions)を棄却し、当該判決で決定された42百万ドルの損害賠償額に加え、2022年4月1日からSeagen Inc.の米国特許が満了する2024年11月4日までのエンハーツの米国売上に対する8%のロイヤリティーの支払を命じる一審判決を下しました。2023年11月、当社は、一審判決に対し米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴を提起いたしました。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review)の請求を行っていましたが、2024年1月、米国特許商標庁は、当該米国特許が無効であるとの決定を下しました。2024年5月、Seagen Inc.は米国特許商標庁の決定に対して米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴を提起しました。2024年7月、米国連邦巡回区控訴裁判所は、特許侵害訴訟の控訴審とPGRの控訴審を関連する訴訟として同一の裁判官合議体が審理することを決定しました。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。例えば、米国におけるインフレ抑制法(Inflation Reduction Act、以下「IRA」という。)の改正・拡大及びIRAとは異なる薬価抑制政策の導入(最恵国待遇価格の適用等)は、ADC製品を含む米国における販売に重大な影響を与える可能性があります。・対応 当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売条件を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。米国における最恵国待遇薬価の導入リスクに対しては、適時の情報収集により事業への影響可能性の把握に努めるとともに、日米欧等の業界団体等を通じた政府への要望も検討してまいります。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、グローバル エシックス&コンプライアンス コミッティやホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、毎年、CEOのコンプライアンスメッセージを全社に発信し、コンプライアンス風土醸成を図るとともに、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントがチーフ・コンプライアンス・オフィサーとして、事業活動のモニタリングを実施しております。また、役員や従業員だけでなく取引先等も利用可能なグループ共通のグローバル・ホットラインの適切な運営を通じて、コンプライアンス違反の未然防止や、早期発見に努めております。違反行為が発見された場合には、迅速かつ厳正に是正措置を行うとともに必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制のもと、健全な企業文化の醸成を推進しております。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ 情報セキュリティに関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。マルウェアの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、CDXO(Chief Digital Transformation Officer)がグループ全体の情報・サイバーセキュリティ対策の推進を担い、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理・セキュリティに関するポリシー・ルールを整備しております。情報・サイバーセキュリティに関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウドサービス利用への対応やセキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。また、工場・製造設備・システム(OTシステム)へのセキュリティ対策も重要な課題ととらえ、OTシステムの標準セキュリティ対策と管理体制を設計し、各設備への導入を順次実施しています。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、内部監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 人材に関するリスク・リスク当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人材を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などによりこれらの人材を十分に確保できない場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業目標を達成する上で必要となる人材の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムを始めとする多様なアプローチを活用して人材の育成・確保を図っております。また、グローバルでの人材活用を最大化するため、グローバル共通の人事制度並びに人事情報システムの構築・導入を進めています。さらに、「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進しながら、グローバル共通のエンゲージメントサーベイによる分析・改善施策を実施しております。 (5) エマージング・リスクエマージング・リスク(新しいリスクで、自社に対して今後複数年にわたる影響が起こりうる可能性があり、初期的な検討は開始しているが全容は把握できていないもの。)のモニタリングも行っています。RMCや経営会議での議論を反映して特定のエマージング・リスクから重大リスクやユニットレベルのリスクに評価が変更になる場合もあります。エマージング・リスクとして、以下のリスクのモニタリングを行っております。 AIの利活用に関するリスク・リスク 世界的にAI技術の研究開発及びデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という。)が急速に進展する中、特に創薬研究や開発プロセスにおいてAI、とりわけ生成AIの利活用が不可欠になりつつあります。これらAIの技術革新への対応が遅れた場合、研究開発における優位性の喪失や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、AI技術の利用に関する法規制は国際的に強化される傾向にあります。特にEUにおける「EU AI規制法」等の新たな規制への対応が不十分な場合、制裁金や事業活動の制限等が課される可能性があります。また、AIガバナンス体制の不備により患者さんの健康や生命に悪影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。さらに、その結果として当社グループの社会的信用の低下や損害賠償支払等により、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応これらの様々なリスクシナリオに対して、当社グループはAIによる技術革新を通じた研究開発の加速と全社的なAI利活用に基づくDXの推進を目指した体制の構築を継続しています。また、AI関連規制等の準拠に加えてAIガバナンス体制の構築(グローバルAIガバナンスポリシーの策定、リスク分類に応じたAI開発・運用に関するグローバルガイドラインの整備等)を進めています。
FY2024|9,376 文字
3【事業等のリスク】 当社グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするためのBCPや、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。 (1) リスクマネジメント当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントがリスクマネジメント推進責任者として当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各ユニット・機能においてはそれぞれの責任者が、組織の目的・目標の達成に向け、リスクの抽出、リスクアセスメントの実施、対応策の策定・実行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等自律的にリスクマネジメントを推進しております。リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを確認・調整し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議及び取締役会において重大リスクとして特定いたします(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」参照)。さらに特定した重大リスクごとに担当責任者が任命され、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにリスクマネジメント推進責任者に情報が集約され、CEOに報告される体制としております。 (2) 事業継続計画(BCP)当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても社会からの要請に応えるために医薬品等の安定供給及び品質確保を可能とする体制、並びに研究開発の継続性を確保できる体制を構築しています。当社グループでは、クライシスの多様化とビジネスのグローバル化に対応するべく、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っています。また、優先して供給する品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等について速やかな供給の実現を目指し、定期的に見直しを行っています。 ① サプライチェーンにおけるBCP施策当社グループでは、ビジネスのグローバル化に伴い、原材料等の調達や製品の製造・物流等のサプライチェーンが複雑化する中で、医薬品の安定供給を継続するために必要な設備、在庫、要員、情報システム等の経営資源に対し、予防策の実施、多重性の確保、支援策の確保、代替策の確保の4つの視点からそれぞれ対策を講じています。 ② 新型インフルエンザ行動計画当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員及びその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ行動計画」を2009年より策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。 (3) クライシスマネジメント当社グループのグローバルクライシスマネジメントポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、『第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する』『生命関連企業の一員としての責任を全うする』ことを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(ヘッド オブ グローバル リスクマネジメント)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、リスクマネジメント推進責任者(ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメント)とも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。 (4) 重大リスクとして認識している事項有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、重点領域であるがん領域において、特にエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)とダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、それぞれ2019年3月、2020年7月にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。さらにパトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300)及びDS-6000(R-DXd)について2023年10月に米国メルク社と戦略提携を開始しました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社ではアストラゼネカ社及び米国メルク社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして各種の共同委員会を設置し、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 医薬品の品質問題や副作用に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造販売されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応品質について、安全で高品質の製品を患者さんにお届けし、安心して使用いただくために、GMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及びGDP(Good Distribution Practice: 輸送・保管における医薬品の品質を確保することを目的とした基準)に適合する管理体制を強化し、原材料の調達から保管、医薬品の製造に加え、流通段階も含め一貫した品質保証に取り組んでいます。また、グループ会社の事業所及びビジネスパートナーに対して定期的に監査を行い、適切な品質マネジメント体制の維持・向上及びリスク低減に努めています。安全性について当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。 ④ 製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社は、行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的なBCPの改善を図っております。また、優先供給品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等の速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また、主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う気象災害や温暖化、生物多様性の喪失等により、医薬品のサプライチェーン寸断、製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社グループでは、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等において法的な調査義務がない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに、近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動に伴うリスクについては、シナリオ分析に基づき対策を実施しております。計画規模の洪水で浸水が想定される日本国内の研究所及び生産施設のある事業場については、事業場ごとのリスクアセスメントと水災マニュアルの作成を完了し、諸対策を進めております。その他の気候変動対策についてはサステナビリティ情報に記載したTCFD提言に基づく情報開示をご参照ください。また、パリ協定にも賛同し2022年度に1.5℃目標に整合した野心的な目標に改め、温室効果ガス削減に取り組んでおります。気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。生物多様性の喪失に関するリスクについては、天然化合物由来原料が入手できず生産が停止するリスクは想定されますが、すでに数年分の原料在庫は確保しており影響は限定的と考えております。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大や、ジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年7月、同裁判所はエンハーツが当該特許を侵害していること、Seagen Inc.に42百万米ドルの損害が発生したこと、及び当該特許の故意侵害を認定しましたが、損害賠償額は増額しないとする判決を下しました。2023年10月、同裁判所は、上記判決を不服とする当社の申立(post-trial motions)を棄却し、当該判決で決定された42百万ドルの損害賠償額に加え、2022年4月1日からSeagen Inc.の米国特許が満了する2024年11月4日までのエンハーツの米国売上に対する8%のロイヤリティーの支払を命じる一審判決を下しました。2023年11月、当社は、一審判決に対し米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴を提起いたしました。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review)の請求を行っていましたが、2024年1月、米国特許商標庁は、当該米国特許が無効であるとの決定を下しました。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。・対応当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売条件を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応するよう努めております。また、必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制としております。また、コンプライアンス違反の未然防止策制定、違反があった場合の厳正な対応を通じて、健全な企業文化の醸成を推進しております。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。マルウェアの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、CDXO(Chief Digital Transformation Officer)がグループ全体のDXの戦略立案と推進を担うとともに、機密情報管理、情報セキュリティ対策の推進をCDXOの指示のもと情報管理最高責任者が担い、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理・セキュリティに関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理・セキュリティに関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウドサービス利用への対応やセキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、内部監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 人財に関するリスク・リスク当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人財を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などによりこれらの人財を十分に確保できない場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業目標を達成する上で必要となる人財の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムを始めとする多様なアプローチを活用して人財の育成・確保を図っております。また、グローバル連携を促進するため、グローバル共通の人事制度並びに人事情報システムの構築・導入を進めています。さらに、CEOのコミットメントの下、国・地域の垣根を越えた当社グループ共通の「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進しながら、グローバル共通のエンゲージメントサーベイによる分析・改善施策を実施しております。
FY2023|9,755 文字
3【事業等のリスク】 第一三共グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするためのBCPや、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。 (1) リスクマネジメント当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクがリスクマネジメント推進責任者として当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各ユニットにおいてはユニットの責任者が、組織の目的・目標の達成に向け、リスクの抽出、対応策の策定・実行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等自律的にリスクマネジメントを推進しております。リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを実施し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議及び取締役会において重大リスクとして特定いたします(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」参照)。さらに特定した重大リスクごとに担当責任者が任命され、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにリスクマネジメント推進責任者に情報が集約され、CEOに報告される体制としております。 (2) 事業継続計画(BCP)当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても社会からの要請に応えるために医薬品等の安定供給及び品質確保を可能とする体制、並びに研究開発の継続性を確保できる体制を構築しています。当社グループでは、クライシスの多様化とビジネスのグローバル化に対応するべく、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っています。また、優先して供給する品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等について速やかな供給の実現を目指し、定期的に見直しを行っています。 ① サプライチェーンにおけるBCP施策当社グループでは、ビジネスのグローバル化に伴い、原材料等の調達や製品の製造・物流等のサプライチェーンが複雑化する中で、医薬品の安定供給を継続するために必要な設備、在庫、要員、情報システム等の経営資源に対し、予防策の実施、多重性の確保、支援策の確保、代替策の確保の4つの視点からそれぞれ対策を行っています。 ② 新型インフルエンザ行動計画当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員及びその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ行動計画」を2009年より策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。 (3) クライシスマネジメント当社グループのグローバルクライシスマネジメントポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、『第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する』『生命関連企業の一員としての責任を全うする』ことを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(コンプライアンス・リスク管理部長)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、リスクマネジメント推進責任者(ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスク)とも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。 (4) 重大リスクとして認識している事項有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、重点領域であるがん領域において、特にエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)とダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、それぞれ2019年3月、2020年7月にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社ではアストラゼネカ社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして両社共同でJoint Executive Committeeを設置しており、その傘下で専門領域を担当する複数のSub Committeeと連携して、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 医薬品の副作用や品質問題に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造販売されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応品質について、安全で高品質の製品を患者さんにお届けし、安心して使用いただくために、GMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及びGDP(Good Distribution Practice: 輸送・保管における医薬品の品質を確保することを目的とした基準)に適合する管理体制を強化し、原材料の調達から保管、医薬品の製造に加え、流通段階も含め一貫した品質保証に取り組んでいます。また、グループ会社の事業所及びビジネスパートナーに対して定期的に監査を行い、適切な品質マネジメント体制の維持・向上及びリスク低減に努めています。安全性について当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。 ④ 製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処するべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社は、行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的なBCPの改善を図っております。また、優先供給品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等の速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また、主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う気象災害や温暖化、生物多様性の喪失等により、医薬品のサプライチェーン寸断、製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社グループでは、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等において法的な調査義務がない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに、近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動に伴うリスクについては、シナリオ分析に基づき対策を実施しております。計画規模の洪水で浸水が想定される日本国内の研究所及び生産施設のある事業場については、事業場ごとの水災マニュアルの作成、施設の嵩上げなどの対策を進めており、2023年度中に完了する予定です。その他の気候変動対策についてはサステナビリティ情報に記載したTCFD提言に基づく情報開示をご参照ください。また、パリ協定にも賛同し2022年度に1.5℃目標に整合した野心的な目標に改め、温室効果ガス削減に取り組んでおります。気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。生物多様性の喪失に関するリスクについては、天然化合物由来原料が入手できず生産が停止するリスクは想定されますが、すでに数年分の原料在庫は確保しており影響は限定的と考えております。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大や、ジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関して、当社ADC技術に関する特定の知的財産権の帰属について同社から異議の通知を受けたことから、2019年11月にデラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。一方でSeagen Inc.は、2019年11月に当該異議に関して仲裁を申立て、その後、仲裁の手続きが進行しておりました。2022年8月に仲裁廷がSeagen Inc.の主張を全面的に否定する判断を下したことにより、今後本件に関して経済的便益の流出の可能性はなくなりました。2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年7月、同裁判所はエンハーツが当該特許を侵害していること、Seagen Inc.に42百万米ドルの損害が発生したこと、及び当該特許の故意侵害を認定しましたが、損害賠償額は増額しないとする判決を下しました。また、2022年4月から当該特許が期間満了する2024年11月までの期間の、エンハーツ等の当社ADCの将来売上に対するロイヤリティーの支払について、同裁判所は、まだ判決を下してはおりません。当社は、今回の判決に承服いたしかねますので、判決後の申立て等を行っております。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」という。)の請求を行いました。2023年2月、米国特許商標庁はPGR手続の開始を決定し、現在、当該特許が無効か否かを判断する審理が進んでおります。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。・対応当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売条件を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応するよう努めております。また、必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制としております。また、コンプライアンス違反の未然防止策制定、違反があった場合の厳正な対応を通じて、健全な企業文化の醸成を推進しております。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、CDXOが情報分野におけるグローバルな専門機能の統括責任者としてデータ活用・デジタルテクノロジー活用の統括と推進、情報戦略の策定と実行を担うとともに、機密情報管理、情報セキュリティ対策の推進を情報管理最高責任者が担い、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、監査部門による監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク・リスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかし、実際の課税所得が減少した場合や税制改正等により、回収可能性の見直しを行った結果、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産が減額され、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では、将来の課税所得の見積りに関して、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っており、回収可能性については合理的に判断しております。 ⑬ 人材に関するリスク・リスク当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人材、またデジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人材等を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などによりこれらの人材を十分に確保できない場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業目標を達成する上で必要となる人材の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムを始めとする多様なアプローチを活用して人材の育成・確保を図っております。また、CEOのコミットメントの下、国・地域の垣根を越えた当社グループ共通の「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進し、グローバル共通のエンゲージメント調査による分析・改善施策を実施しております。
FY2022|10,648 文字
2【事業等のリスク】 第一三共グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするための事業継続計画(BCP)や、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大については、事業へ及ぼす影響について評価し、感染拡大防止、事業継続の2つの観点から必要な対策を実施いたしました。現在は感染状況をモニタリングしつつ、感染拡大防止対策を継続しております。 (1) リスクマネジメント当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、最高財務責任者(CFO)がリスクマネジメント推進責任者として当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各ユニットにおいてはユニットの責任者が、組織の目的・目標の達成に向け、リスクの抽出、対応策の策定・実行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等自律的にリスクマネジメントを推進しております。リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを実施し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議及び取締役会において重大リスクとして特定いたします(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」参照)。さらに特定した重大リスクごとに担当責任者が任命され、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにリスクマネジメント推進責任者に情報が集約され、CEOに報告される体制としております。 (2) 事業継続計画(BCP)当社グループは、事業継続へ影響を及ぼす4つの脅威(自然災害、設備事故、新型インフルエンザ・感染症、システム稼働停止)を対象に事業継続計画(BCP)を定め、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。 ① サプライチェーンにおけるBCP施策当社グループでは、東日本大震災での経験を踏まえ、2012年にBCPを刷新し、以降も行政の防災計画改定や社会的要請に基づき、優先して供給する品目や各製造拠点の防災計画を見直す等、脅威が顕在化した際に、より適切に対応できるよう、また、製造や物流の複雑化やグローバル化に耐えうるよう、継続的な改善に努めています。 優先して供給する品目については、多くの患者さんに使用されている薬剤、緊急性のある薬剤、代替品のない薬剤の観点から設定するとともに定期的に見直しを行い、脅威が顕在化した際、必要となる医薬品を継続的かつ適切に供給できる体制を確保しています。BCP施策としては、設備や物流・在庫・要員、情報といった必要な経営資源に対し、予防策の実施、多様性の確保、支援策の確保、代替策の確保の4つの視点からそれぞれ対策を行っています。 ② 新型インフルエンザ行動計画当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員及びその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ行動計画」を2009年より策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。この新型インフルエンザ行動計画では、発生・流行時にも継続が必要な業務を定めるとともに、各業務における発生段階に応じた行動計画を策定しております。今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生においては、本計画に準じた弾力的な対応を図っており、そこから得られる知見をもとに、さらに実効性を高めた行動計画へと見直しを行って参ります。 (3) クライシスマネジメント当社グループのグローバルクライシスマネジメントポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する、生命関連企業の一員としての責任を全うすることを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(総務・調達部長)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、リスクマネジメント推進責任者(CFO)とも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しても、CEOをトップとした「COVID-19緊急対策本部」を中心にさまざまな部所との継続的な連携を通じ、社員の安全はもとより医薬品の安定供給に支障のない対応を図っております。 (4) 重大リスクとして認識している事項有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、重点領域であるがん領域において、特にエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)とダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、それぞれ2019年3月、2020年7月にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社ではアストラゼネカ社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして両社共同でJoint Executive Committeeを設置しており、その傘下で専門領域を担当する複数のSub Committeeと連携して、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 医薬品の副作用や品質問題に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。 ④ 製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす4つの脅威(自然災害、設備事故、新型インフルエンザ・感染症、システム稼働停止)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社は、東日本大震災での経験を踏まえ、2012年にBCPを刷新し、以降も行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っております。また、優先供給品目については、「多くの患者さんに使用されている薬剤」「緊急性のある薬剤」「代替品のない薬剤」等について速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また、主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う気象災害や温暖化等により、医薬品のサプライチェーン寸断、製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社グループでは、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等において法的な調査義務がない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに、近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動対策としては、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標13:気候変動対応」を重要な経営課題の1つとして認識し、気候変動が及ぼす事業活動における「リスクと機会」に関する情報開示を企業へ促すことを目的に策定された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:「TCFD」)の提言に賛同を表明し、シナリオ分析を含む情報開示を実施しました。さらに、2021年10月に公表されたTCFD提言の実施に向けた実務的手引きである「別冊」の改訂と「指標と目標」に関する補助ガイダンスを受け、移行計画の策定に向け、Scope3(その他間接排出量)を含めた温室効果ガス排出量、物理リスク・移行リスクに著しくさらされている資産等の7つの指標と目標の開示方法の検討を開始しております。引き続き、ステークホルダーの要請に応え、TCFDの提言に沿った自主的な気候関連財務情報開示及び気候変動対策に積極的に取り組んで参ります。また、パリ協定にも賛同し「Science Based Targets initiative」からwell below 2℃として承認を受けた温室効果ガス削減目標を設定し取り組んでおり、気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大や、ジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関して、当社ADCに関する特定の知的財産権の帰属について同社から異議の通知を受けたことから、2019年11月にデラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。一方でSeagen Inc.は、2019年11月に当該異議に関して仲裁を申立て、その後、仲裁の手続が進行しております。2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年4月、同裁判所で陪審審理が行われ、エンハーツが当該特許を侵害しているとの陪審評決が下されました。陪審員は、陪審審理に至るまでの期間のSeagen Inc.の損害額が約42百万米ドルであると判断し、また、当該特許の故意侵害があったと認定しました。なお、同裁判所は、まだ判決を下しておらず、今後上記陪審評決の内容や双方の更なる主張等を検討の上判決を下すことになります。一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(PGR)の請求手続を行いましたが、当該PGRの審理を開始しない旨の決定がなされておりました。当該決定を受け、2021年7月、当社らは、米国特許商標庁への再審理請求を行うとともに、同年8月、バージニア州東部地区連邦地方裁判所に行政訴訟を提起しました。そして、2022年4月、米国特許商標庁は上記再審理請求を認め、PGRの開始を決定しました。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。また、コンプライアンス違反の未然防止策制定、違反があった場合の厳正な対応を通じて、健全な企業文化の醸成を推進しております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。・対応当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売条件を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応するよう努めております。また、必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制としております。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、情報分野におけるグローバルな専門機能の統括責任者としてデータ活用・デジタルテクノロジー活用の統括と推進、情報戦略の策定と実行を担うCIO (Chief Information Officer)、機密情報管理、情報セキュリティ対策の推進を担うCISO (Chief Information Security Officer)を任命し、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、監査部門による監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク・リスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかし、実際の課税所得が減少した場合や税制改正等により、回収可能性の見直しを行った結果、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産が減額され、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では、将来の課税所得の見積りに関して、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っており、回収可能性については合理的に判断しております。 ⑬ 人材に関するリスク・リスク当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人材、またデジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人材等を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などによりこれらの人材を十分に確保できない場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業目標を達成する上で必要となる人材の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムを始めとする多様なアプローチを活用して人材の育成・確保を図っております。また、CEOのコミットメントの下、国・地域の垣根を越えた当社グループ共通の「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進し、グローバル共通のエンゲージメント調査による分析・改善施策を実施しております。 ⑭ 新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク・リスク新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自社工場及び国内・海外の製造委託先での従業員の罹患等による要員不足や原材料の納入遅延、並びに製造機能や物流・卸機能の停滞が生じ、結果として生命関連産業の責務である製品安定供給に影響を及ぼす可能性があります。また、世界各国の医療現場が混乱する中で、当社・臨床試験委託先においても影響が生じ、現在進行している臨床試験の遅延やプロトコル逸脱例の発生により、結果的に当社の製品価値が毀損される恐れがあります。・対応当社グループでは、2020年1月30日に対策本部を立ち上げ、中国子会社の状況確認やビジネスにおける影響等の検討を開始いたしました。その後、CEOを本部長とする緊急対策本部を設置し、継続的な状況把握と対策検討を通じて経営レベルでの議論と意思決定を行いました。具体的には、従業員の安全配慮の面から在宅勤務(テレワーク)を中心とした非常時の勤務体制へ移行し、出張・対面での会議・研修・イベント等は原則として中止・延期にするなど、感染拡大防止策を講じました。現在も緊急対策本部を中心に状況の把握、対策検討を継続し、リスクの軽減に努めております。また、生命関連事業に取り組む製薬企業としての責務を果たすべく、ワクチン及び治療薬の研究開発への貢献のほか、医薬品の在庫確保、被験者の安全を最優先した臨床試験の継続等、現在もグローバルで事業継続に向けた対策を継続しております。
FY2021|10,251 文字
2【事業等のリスク】 第一三共グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするための事業継続計画(BCP)や、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大については、事業へ及ぼす影響について評価し、感染拡大防止、事業継続の2つの観点から必要な対策を実施いたしました。現在は感染状況のモニタリングを継続しながら、感染再拡大の可能性を想定した追加施策を検討しております。 (1) リスクマネジメント当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、最高財務責任者(CFO)がリスクマネジメント推進責任者として当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各ユニットにおいてはユニットの責任者が、組織の目的・目標の達成に向け、リスクの抽出、対応策の策定・実行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等自律的にリスクマネジメントを推進しております。リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを実施し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議および取締役会において重大リスクとして特定いたします(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」参照)。さらに特定した重大リスクごとに担当責任者が任命され、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにリスクマネジメント推進責任者に情報が集約され、CEOに報告される体制としております。 (2) 事業継続計画(BCP)当社グループは、事業継続へ影響を及ぼす4つの脅威(自然災害、設備事故、新型インフルエンザ・感染症、システム稼働停止)を対象に事業継続計画(BCP)を定め、有事の際の速やかな業務復旧、ならびに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。 ① サプライチェーンにおけるBCP施策当社グループでは、東日本大震災での経験を踏まえ、2012年にBCPを刷新し、以降も行政の防災計画改定や社会的要請に基づき、優先して供給する品目や各製造拠点の防災計画を見直す等、脅威が顕在化した際に、より適切に対応できるよう継続的な改善を図っております。医薬品の安定供給のため、国内の各生産拠点においては、想定される最大地震の被害に基づく復旧期間の試算により、機能および地域特性に合わせたBCPをそれぞれ作成しております。BCP施策としては、下表に記載の通り、設備や物流・在庫、要員、情報といった必要な経営資源に対し、予防策の実施、多様性の確保、支援策の確保、代替策の確保の4つの視点からそれぞれ対策を行っております。例えば、設備の対策では、建物・設備面の補強を行うとともに、複数拠点の操業、予備電力の確保等を行っております。また、物流・在庫の対策では、優先して供給する品目の予備在庫の確保や分散保管等、事前のリスク軽減策を組み合わせた検討・対応を行っております。さらに、優先して供給する品目については、多くの患者さんに使用されている薬剤、緊急性のある薬剤、代替品のない薬剤の観点から設定するとともに定期的に見直しを行い、脅威が顕在化した際、必要となる医薬品を継続的かつ適切に供給できる体制を確保しております。 ② 新型インフルエンザ行動計画当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員およびその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ行動計画」を2009年より策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。この新型インフルエンザ行動計画では、発生・流行時にも継続が必要な業務を定めるとともに、各業務における発生段階に応じた行動計画を策定しております。今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生においては、本計画に準じた弾力的な対応を図っており、そこから得られる知見をもとに、さらに実効性を高めた行動計画へと見直しを行って参ります。 (3) クライシスマネジメント当社グループのグローバルクライシスマネジメントポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、第一三共グループの社員および関係者の生命や地域社会の安全を確保する、生命関連企業の一員としての責任を全うすることを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEOまたはCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(総務・調達部長)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、リスクマネジメント推進責任者(CFO)とも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しても、CEOをトップとした「COVID-19緊急対策本部」を早期に立ち上げ、さまざまな部所と連携し、社員の安全はもとより医薬品の安定供給に支障のない対応を図っております。 (4) 重大リスクとして認識している事項有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、重点領域であるがん領域において、特にエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)とダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、それぞれ2019年3月、2020年7月にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社ではアストラゼネカ社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして両社共同でJoint Executive Committeeを設置しており、その傘下で専門領域を担当する複数のSub Committeeと連携して、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 医薬品の副作用や品質問題に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。 ④ 製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす4つの脅威(自然災害、設備事故、新型インフルエンザ・感染症、システム稼働停止)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社は、東日本大震災での経験を踏まえ、2012年にBCPを刷新し、以降も行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っております。また、優先供給品目については、「多くの患者さんに使用されている薬剤」「緊急性のある薬剤」「代替品のない薬剤」等について速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う気象災害や温暖化等により、医薬品のサプライチェーン寸断、製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社グループでは、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等において法的な調査義務がない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動対策としては、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標13:気候変動対応」を重要な経営課題の1つとして認識し、気候変動が及ぼす事業活動における「リスクと機会」に関する情報開示を企業へ促すことを目的に策定された気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:「TCFD」)の提言に賛同を表明し、シナリオ分析を含む情報開示を実施しました。引き続き、ステークホルダーの要請に応え、TCFDの提言に沿った自主的な気候関連財務情報開示及び気候変動対策に積極的に取り組んで参ります。また、パリ協定にも賛同し「Science Based Targets initiative」からwell below 2℃として承認を受けた温室効果ガス削減目標を設定し取り組んでおり、気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。特に先進諸国でのジェネリック医薬品拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関して、当社ADCに関する特定の知的財産権の帰属について同社から異議の通知を受けたことから、2019年11月にデラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。一方でSeagen Inc.は、2019年11月に当該異議に関して仲裁を申立て、その後、仲裁の手続きが進行しております。2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部連邦地方裁判所に提起しました。これに対し、2020年11月、当社等は、Seagen Inc.の当該米国特許を侵害していないことを判決で明らかにすることを求めデラウェア州連邦地方裁判所に特許非侵害の確認訴訟を提起いたしました。また、2020年12月、第一三共Inc.等は当該米国特許の無効を米国特許商標庁に申し立てるPGR(Post Grant Review)手続きを行っております。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。また、コンプライアンス違反の未然防止策制定、違反があった場合の厳正な対応を通じて、健全な企業文化の醸成を推進しております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。・対応当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売契約を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底等しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応を実施するよう努めております。また、必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制としております。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、情報分野におけるグローバルな専門機能の統括責任者としてデータ活用・デジタルテクノロジー活用の統括と推進、情報戦略の策定と実行を担うCIO (Chief Information Officer)、機密情報管理、情報セキュリティ対策の推進を担うCISO (Chief Information Security Officer)を任命し、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、監査部門による監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク・リスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかし、実際の課税所得が減少した場合や税制改正等により、回収可能性の見直しを行った結果、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産が減額され、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では、将来の課税所得の見積りに関して、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っており、回収可能性については合理的に判断しております。 ⑬ 人材に関するリスク・リスク当社グループの事業活動を推進し事業目標を達成する上では、高い業務遂行能力を持った人材や各職務に必要な高度な専門性を持った人材、またデジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人材等を採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などにより十分に確保できない場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、事業目標を達成する上で確保が必要となる人材要件を明確に定義し、計画的な採用活動の強化を図るとともに、多様なアプローチを活用して人材確保につなげるように努めております。また、社内教育プログラムの実施を通じて、必要な人材の確保・育成を図っております。 ⑭ 新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク・リスク新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自社工場及び国内・海外の製造委託先での従業員の罹患等による要員不足や原材料の納入遅延、並びに製造機能や物流・卸機能の停滞が生じ、結果として生命関連産業の責務である製品安定供給に影響を及ぼす可能性があります。また、世界各国の医療現場が混乱する中で、当社・臨床試験委託先においても影響が生じ、現在進行している臨床試験の遅延やプロトコル逸脱例の発生により、結果的に当社の製品価値が毀損される恐れがあります。・対応当社グループでは、2020年1月30日に対策本部を立ち上げ、中国子会社の状況確認やビジネスにおける影響等の検討を開始いたしました。その後、CEOを本部長とする緊急対策本部を設置し、継続的な状況把握と対策検討を通じて経営レベルでの議論と意思決定を行いました。具体的には、従業員の安全配慮の面から在宅勤務(テレワーク)を中心とした勤務体制への移行、出張、対面での会議、研修、イベント等は原則、中止・延期にするなど感染拡大防止策を講じるとともに、生命関連事業に取り組む製薬企業としての責務を果たすべく、ワクチン及び治療薬の研究開発への貢献のほか、医薬品の在庫確保、被験者の安全を最優先した臨床試験の継続等、現在もグローバルで事業継続に向けた対策を継続しております。
FY2020|8,456 文字
2【事業等のリスク】 (1) リスクマネジメントの推進体制リスクマネジメントの推進にあたっては、最高財務責任者(CFO)がリスクマネジメント推進責任者として当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制を運営しております。各部門においては部門の責任者が組織の目的・目標の達成に向け、個別リスクに関わる分析・評価、年次対応計画の策定・遂行、組織内でのリスクマネジメントに関わる情報提供・教育・啓発等を行い、自律的にリスクマネジメントを推進しております。 (2) 重大リスクの年次マネジメントサイクル影響度と発生可能性の評価に基づき、企業経営への重大な影響が想定されるリスクを経営会議及び取締役会において特定し(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」参照)、リスクごとに任命された担当責任者が中心となってリスク対応策を立案し(Plan)、関係組織と連携の上、リスク対応策を推進・実行しております(Do)。リスク対応策の進捗状況については、年2回モニタリングを実施し(Check)、必要に応じてリスク対応策の是正・改善を行います(Action)。重大リスク顕在化の予兆が確認された場合は、速やかにリスクマネジメント推進責任者に情報が集約され、適切な対応を図る体制としております。 (3) クライシス発生時の初期対応当社グループでは、2019年4月に改正した第一三共グループ企業行動憲章第9条に「危機管理の徹底」を謳ったことに対応して、第一三共グループクライシスマネジメントポリシーを新たに制定いたしました。本ポリシーでは、企業活動に潜在するリスクのうち、顕在化し緊急な対応が必要な事象、発生可能性が極めて高くなった事象を総称して「クライシス」と定義し、その発生による損失最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、『第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する』『生命関連企業の一員としての責任を全うする』ことを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業の損失を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する。」ことを定めております。各地域・機能及びグループ会社において自律的にクライシスマネジメントを推進するとともに、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、グローバルに機動的な対応を可能とする体制を構築しております。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(総務・調達部長)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、リスクマネジメント推進責任者(CFO)とも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めます。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図ります。 (4) 重大リスクとして認識している事項有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 ① 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク・リスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、重点領域であるがん領域において、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、2019年3月29日にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社はトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)に関して、アストラゼネカ社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして両社共同でJoint Executive Committeeを設置しており、その傘下で専門領域を担当する複数のSub Committeeと連携して、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。 ② 副作用発現等に関するリスク・リスク医薬品は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造されておりますが、品質問題や、予期せぬ副作用発現の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に係る多額の費用が発生する等、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社は、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。 ③ 海外における事業展開に関するリスク・リスク当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。 ④ 事業継続、製造・仕入れに関するリスク・リスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす4つの脅威(自然災害、設備事故、新型インフルエンザ・感染症、システム障害)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。当社は、東日本大震災での経験を踏まえ、2012年にBCPを刷新し、以降も行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的な改善を図っております。また、優先供給品目については、「多くの患者さんに使用されている薬剤」「緊急性のある薬剤」「代替品のない薬剤」等について速やかな供給を実現するべく、定期的に見直しを行っております。特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。 ⑤ 環境、安全に関するリスク・リスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは医薬品を用いた実験、製造、保管管理等に万全を期しておりますが、万一、社内外の人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等、深刻な問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う温暖化や異常気象等により、医薬品の製造コスト上昇等のリスクが顕在化した場合、医薬品の安定供給、財政状態等に悪影響を与える可能性があります。・対応当社では、人体への影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁を防ぐため、化学物質の保管や取扱い方法を厳格に定め、グループの各工場・研究所において法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しております。また、関連法規制に基づく調査義務が発生した場合の的確な対応はもとより、事業所閉鎖・用途の変更等法的な規制を受けない場合でも、法令に準拠した方法で調査を実施しております。 万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策等)を行います。既に浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しております。気候変動対策としては、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標13:気候変動対応」を重要な経営課題の1つとして認識し、気候変動が及ぼす事業活動における「リスクと機会」に関する情報開示を企業へ促すことを目的に策定された気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:以下「TCFD」という。)に製薬企業として日本で初めて賛同を表明しております。引き続き、ステークホルダーの要請に応え、TCFDの提言に沿った自主的な気候関連財務情報開示及び気候変動対策に積極的に取り組んで参ります。また、パリ協定にも賛同し「Science Based Targets initiative(SBTi)」から承認を受けた温室効果ガス削減目標を設定し取り組んでおり、気候変動を含む環境パフォーマンスデータについては、投資判断にも影響する重要指標と捉え、データの信頼性を高めるために第三者保証を取得しております。 ⑥ 知的財産権に関するリスク・リスク当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。特に先進諸国でのジェネリック医薬品拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。・対応当社では、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。 ⑦ 訴訟に関するリスク・リスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社では、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。また、コンプライアンス違反の未然防止策制定、違反があった場合の厳正な対応を通じて、健全な企業文化の醸成を推進しております。当社、第一三共Inc.及び第一三共U.S.ホールディングスInc.並びにAllergan Sales, LLC(旧Forest Laboratories, LLC)及びその関係会社は、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤(米国製品名「ベニカー」等)の服用により、スプルー様腸疾患(重症下痢等を主な症状とする疾患)等が発現したと主張する方々から、米国連邦裁判所及び州裁判所において複数の訴訟を提起されておりましたが、2017年8月1日に原告側と和解契約を締結し、2018年3月30日に和解内容を一部変更する契約を締結いたしました。本和解契約は、本訴訟における原告及び一定の基準を満たす未提訴者の97%以上が和解への参加を表明したことから2018年6月に有効となり、2019年12月に和解金358百万米ドルの支払が全て完了いたしました。そのうち、353百万米ドルは当社グループに対する製造物責任訴訟を補償範囲としている複数の保険契約から支払われております。 ⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク・リスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。・対応当社では、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売契約を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、即時に対応策を検討する体制としております。 ⑨ 法令違反等に関するリスク・リスク当社グループは、グループ企業行動憲章のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底等しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループにおいては、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応を実施するよう努めております。また、必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制としております。第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は、2015年3月期に約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結いたしましたが、2020年3月末に当該協定の期間が満了しました。 ⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク・リスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社は政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。 ⑪ ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク・リスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループは、情報分野におけるグローバルな専門機能の統括責任者としてデータ活用・デジタルテクノロジー活用の統括と推進、情報戦略の策定と実行を担うCIO (Chief Information Officer)、機密情報管理、情報セキュリティ対策の推進を担うCISO (Chief Information Security Officer)を任命し、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、セキュリティシステムの導入等の対応策を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、監査部門による監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。 ⑫ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク・リスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかし、実際の課税所得が減少した場合や税制改正等により、回収可能性の見直しを行った結果、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産が減額され、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループは、将来の課税所得の見積りに関して、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っており、回収可能性については合理的に判断しております。 ⑬ その他のリスク(新型コロナウイルス感染拡大の影響)・リスクその他のリスクとして新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自社工場及び国内・海外の製造委託先での従業員の罹患等による要員不足や原材料の納入遅延、並びに製造機能や物流・卸機能の停滞が生じ、結果として生命関連産業の責務である製品安定供給に影響を及ぼす可能性があります。また、世界各国の医療現場が混乱する中で、当社・臨床試験委託先においても影響が生じ、現在進行している臨床試験の遅延やプロトコル逸脱例の発生により、結果的に当社の製品価値が毀損される恐れがあります。・対応当社では、2020年1月30日に対策本部を立ち上げ、中国子会社の状況確認やビジネスにおける影響等の検討を開始いたしました。さらにWHOによるパンデミック宣言(3月11日)が発せられる前の2月25日よりCEOを本部長とする緊急対策本部を設置し、その後、頻回開催による状況把握と対策検討を通じて経営レベルでの議論と意思決定を行いました。従業員の安全配慮の面から在宅勤務(テレワーク)を中心とした勤務体制への移行、出張、対面での会議、研修、イベント等は原則、中止・延期にするなど感染拡大防止策を講じるとともに、生命関連事業に取り組む製薬企業としての責務を果たすべく、ワクチン及び治療薬の研究開発への貢献のほか、医薬品の在庫確保、披験者の安全を最優先した臨床試験の継続等、現在もグローバルで事業継続に向けた対策を継続しております。
FY2019|5,301 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 (1) 他社競合・ジェネリック医薬品等製品販売に関するリスク当社グループ製品と同領域の他社製品との競合、当社グループ製品の特許切れ後のジェネリック医薬品の参入等は、当社グループの医薬品の売上を減少させる要因となり、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、販売及び技術導出入契約の条件変更・終了等、及び主力品の海外発売国における保険適用等に関する交渉結果等により、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 訴訟に関するリスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社、第一三共Inc.及び第一三共U.S.ホールディングスInc.並びにAllergan Sales, LLC(旧Forest Laboratories, LLC)及びその関係会社は、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤(米国製品名「ベニカー」等)の服用により、スプルー様腸疾患(重症下痢等を主な症状とする疾患)等が発現したと主張する方々から、米国連邦裁判所及び州裁判所において複数の訴訟を提起されておりましたが、2017年8月1日に原告側と和解契約を締結し、2018年3月30日に和解内容を一部変更する契約を締結いたしました。なお、当該訴訟については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 ②訴訟」に記載しております。 (3) 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。 (4) M&A等に関するリスク当社グループは、研究開発等における事業展開の一環として、M&A又は資本提携等を実施することがあります。これらのM&A等にあたり、当社グループはデューデリジェンスを行い、当該M&A等の効果やリスクを算定したり、当社の負担するリスクを限定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、デューデリジェンスにおいて判明しなかった情報等、又は買収後に被買収企業の経営方針、コーポレート・カルチャー、コーポレート・ガバナンス等の相違のために両社の協業が円滑に進まないことに起因して、当該M&A等において期待されていた効果が実現されない可能性や、M&A等に関する契約に基づき相手方に対して補償責任を負う可能性があり、その場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することについて、2014年4月にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間で契約を締結し、2015年3月24日(クロージング日)に完了いたしました。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間の本合併に関する契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.のクロージング日前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、クロージング日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務の履行を求められる可能性があります。なお、当社は取得したサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式を2015年4月にすべて売却しておりますが、上記契約は継続しております。 (5) 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、重点領域であるがん領域について、DS-8201をフラグシップアセットと位置付け、開発の拡大・加速化に取り組んでおり、2019年3月29日にアストラゼネカ社と戦略的提携を開始いたしました。当該品目について、研究開発・上市の遅延等、承認申請の遅延等、期待した有効性・安全性が得られない事象あるいは期待した販売の進捗への支障等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、2014年3月末までに、6ヶ月以内に4,000万人分のワクチンを供給できる体制を構築する計画でありました。しかし、設備設計時の想定より高い投与量が必要であることが開発中に判明し、ワクチン収量向上、設備の改良等の検討に取り組んで参りましたが、当初の事業期限である2014年3月末までに供給体制を整備することができませんでした。また、その後もワクチン収量を向上させるための検討に取り組んで参りましたが、2019年3月末の事業期限までに整備することができず、最終的に構築できた供給能力は2,318万人分となりました。なお、今後交付を受けた助成金の一部を返還するとともに、遅延に関わる遅延損害金をお支払い致しますが、想定する遅延損害金は過年度に計上済みであります。同社は2019年4月1日に当社が吸収合併いたしましたが、当社は、同社のワクチン供給体制の構築に向けた取組みを引き継ぎ、パンデミック発生時に必要な新型インフルエンザワクチンを確実に供給できる体制の維持・管理に努め、与えられた責務を全うすることにより我国の保健衛生の向上に貢献して参ります。 (6) 製造・仕入れに関するリスク製品の一部は、当社グループの工場において独自の技術により製造しており、また、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。医薬品は医薬品医療機器法その他の国内外の法規制等の下で製造しておりますが、品質問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 副作用発現に関するリスク予期していなかった副作用の発現等の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 知的財産に関するリスク当社グループの事業活動が他者の特許等知的財産権に抵触する場合、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの特許等知的財産権を侵害すると考えられる場合は、その保護のため訴訟提起等をする場合があり、それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。特に先進諸国でのジェネリック医薬品拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産に関するリスクが一層増大する可能性があります。 (9) 海外における事業展開に関するリスク当社グループは、医薬品の開発、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制や行政指導等に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 災害等の発生による事業活動に関するリスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境問題に関するリスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは医薬品等の管理には万全を期すべく努めておりますが、万一、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等深刻な環境問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 金融市況及び為替変動に関するリスク株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩を防止するため、情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、セキュリティシステムの導入等の対応策を実施しておりますが、これらの事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14) 財務報告に係る内部統制の整備等に関するリスク当社グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価のための体制整備に努めております。しかし、内部統制が有効に機能しなかった場合、又は財務報告に係る内部統制の不備又は開示すべき重要な不備が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (15) 法令違反等に関するリスク当社グループは、グループ企業行動憲章のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、企業倫理委員会や従業員ホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底等しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は、2015年3月期に約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結し、コンプライアンス研修の実施等により、コンプライアンス体制を強化しております。 (16) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、その結果、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産が減額され、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17) その他のリスクその他のリスクとして、金融危機の発生による資金調達環境の悪化、当社グループ製品の偽造医薬品流通による信頼性低下等が考えられます。これらの事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|4,505 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 (1) 他社競合・ジェネリック医薬品等製品販売に関するリスク当社グループ製品と同領域の他社製品との競合、当社グループ製品の特許切れ後のジェネリック医薬品の参入等は、当社グループの医薬品の売上を減少させる要因となり、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、販売及び技術導出入契約の条件変更・終了等、及び主力品の海外発売国における保険適用等に関する交渉結果等により、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 訴訟に関するリスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社、第一三共Inc.及び第一三共U.S.ホールディングスInc.並びにAllergan Sales, LLC(旧Forest Laboratories, LLC)及びその関係会社は、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤(米国製品名「ベニカー」等)の服用により、スプルー様腸疾患(重症下痢等を主な症状とする疾患)等が発現したと主張する方々から、米国連邦裁判所及び州裁判所において複数の訴訟を提起されておりますが、2017年8月、原告側と和解契約を締結し、2018年3月に和解内容を一部変更する契約を締結しております。なお、当該訴訟については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 ②訴訟」に記載しております。 (3) 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は、2015年3月期に約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結し、コンプライアンス研修の実施等により、コンプライアンス体制を強化しております。 (4) M&A等に関するリスク当社グループは、研究開発等における事業展開の一環として、M&A又は資本提携等を実施することがあります。これらのM&A等にあたり、当社グループはデューデリジェンスを行い、当該M&A等の効果やリスクを算定したり、当社の負担するリスクを限定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、デューデリジェンスにおいて判明しなかった情報等、または買収後に被買収企業の経営方針、コーポレート・カルチャー、コーポレート・ガバナンス等の相違のために両社の協業が円滑に進まないことに起因して、当該M&A等において期待されていた効果が実現されない可能性や、M&A等に関する契約に基づき相手方に対して補償責任を負う可能性があり、その場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することについて、2014年4月にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間で契約を締結し、2015年3月24日(クロージング日)に完了いたしました。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間の本合併に関する契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.のクロージング日前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、クロージング日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務の履行を求められる可能性があります。なお、当社は取得したサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式を2015年4月にすべて売却しておりますが、上記契約は継続しております。 (5) 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、重点領域であるがん領域について、DS-8201をフラグシップアセットと位置づけ、開発の拡大・加速化に取り組んでおりますが、研究開発・上市の遅延あるいは期待した有効性・安全性が得られない事象等が生じた場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、2014年3月末までに、6ヶ月以内に4,000万人分のワクチンを供給できる体制を構築する計画でありましたが、ワクチン抗原の精製過程における収率低下等の要因により、本供給体制を達成できていない状況にあります。製造工程の見直し、工程操作の厳密な管理等により収率改善を図り、本供給体制の構築及び事業完了を目指しております。 (6) 製造・仕入れに関するリスク製品の一部は、当社グループの工場において独自の技術により製造しており、また、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。医薬品は医薬品医療機器法の規制の下で製造しておりますが、品質問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 副作用発現に関するリスク予期していなかった副作用の発現等の問題が発生した場合は、当社グループの医薬品の売上が減少するとともに、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 知的財産に関するリスク当社グループの事業活動が他者の特許等知的財産権に抵触する場合、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの特許等知的財産権を侵害すると考えられる場合は、その保護のため訴訟提起等をする場合があり、それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。特に先進諸国でのジェネリック医薬品拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産に関するリスクが一層増大する可能性があります。 (9) 海外における事業展開に関するリスク当社グループは、医薬品の開発、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 災害等の発生による事業活動に関するリスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境問題に関するリスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは医薬品等の管理には万全を期すべく努めておりますが、万一、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等深刻な環境問題が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 金融市況及び為替変動に関するリスク株式市況の低迷により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、及び機密情報の漏洩を防止するため、情報管理に関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、セキュリティシステムの導入等の対応策を実施しておりますが、これらの事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14) 財務報告に係る内部統制の整備等に関するリスク当社グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価のための体制整備に努めております。しかし、内部統制が有効に機能しなかった場合、または財務報告に係る内部統制の不備又は開示すべき重要な不備が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (15) その他のリスクその他のリスクとして、役職員の不正、金融危機の発生による資金調達環境の悪化、及び当社グループ製品の偽造医薬品流通による信頼性低下等が考えられます。これらの事象が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|3,812 文字
4【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 (1) 特定製品への依存に関するリスク当連結会計年度において、オルメサルタンの売上収益は、当社連結売上収益の22.8%を占めております。オルメサルタンについて、独占販売期間終了後のジェネリック医薬品の市場浸透等により、売上が減少した場合には、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 訴訟に関するリスク当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社、第一三共Inc.及び第一三共U.S.ホールディングスInc.並びにForest Laboratories, LLC(本社:米国ニューヨーク州)及びその関係会社は、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤(米国製品名「ベニカー」等)の服用により、スプルー様腸疾患(重症下痢等を主な症状とする疾患)等が発現したと主張する方々から、米国連邦裁判所及び州裁判所において複数の訴訟を提起されております。上記の訴訟の結果によっては、当社及び当社の連結子会社に損害が生じる可能性がありますが、現時点で金額を合理的に見積ることはできません。 (3) 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は、2015年3月期に約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結し、コンプライアンス研修の実施等により、コンプライアンス体制を強化しております。 (4) 企業買収等に関するリスク当社グループは、研究開発等における事業展開の一環として、企業買収又は資本提携等を実施することがあります。これらの企業買収等にあたり、当社グループはデューデリジェンスを行い、当該企業買収等の効果やリスクを算定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、デューデリジェンスにおいて判明しなかった情報等に起因して、当該企業買収等において期待されていた買収効果が実現されない可能性があり、その場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することについて、2014年4月にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間で契約を締結し、2015年3月24日(クロージング日)に完了いたしました。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間の本合併に関する契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.のクロージング日前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、クロージング日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務の履行を求められる可能性があります。なお、当社は取得したサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式を2015年4月にすべて売却しておりますが、上記契約は継続しております。 (5) 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約条件の変更・解消等が起こった場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、2014年3月末までに、6ヶ月以内に4,000万人分のワクチンを供給できる体制を構築する計画でありましたが、ワクチン抗原の精製過程における収率低下等の要因により、本供給体制を達成できていない状況にあります。製造工程の見直し、工程操作の厳密な管理等により収率改善を図り、本供給体制の構築及び事業完了を目指しております。 (6) 製造・仕入れに関するリスク製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、また、商品及び原材料の一部は特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。医薬品は医薬品医療機器法の規制の下で製造しておりますが、品質問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 副作用発現や他社競合等製品販売に関するリスク予期していなかった副作用の発現、同領域の他社製品との競合や特許切れによるジェネリック医薬品の参入等は、当社グループの医薬品の売上を減少させる要因となり、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。販売及び技術導出入契約の満了、契約条件の変更・解消等が起こった場合、及び主力品の海外発売国における保険適用等に関する交渉結果次第では、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 知的財産に関するリスク当社グループの事業活動が他者の特許等知的財産権に抵触する場合、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの特許等知的財産権を侵害すると考えられる場合は、その保護のため訴訟を提起する場合があり、それらの動向は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。特に先進諸国でのジェネリック医薬品拡大を背景に、訴訟提起を含め、当社グループの知的財産に関するリスクが一層増大する可能性があります。 (9) 海外における事業展開に関するリスク当社グループは、医薬品の開発、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 災害等の発生による事業活動に関するリスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境問題に関するリスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは医薬品等の管理には万全を期しておりますが、万一、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等に関し環境に深刻な影響を与えていると判断された場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 金融市況及び為替変動に関するリスク株式市況の低迷により保有する株式の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) その他のリスクその他のリスクとして、ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止等、機密情報の漏洩や役職員の不正、金融危機の発生による資金調達環境の悪化、及び当社グループ製品の偽造医薬品流通による信頼性低下等が考えられます。これらの事象が発生した場合、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|4,285 文字
4【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。 (1) 特定製品への依存に関するリスク当連結会計年度において、オルメサルタンの売上収益は、当社連結売上収益の28.8%を占めております。オルメサルタンについて、特許の保護期間の満了(当該特許の保護期間は米国では2016年10月まで、日本及び欧州では2017年2月まで)及びその他の要因が発生して売上が減少した場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。 (2) 訴訟に関するリスク公正取引に関する事案の他、事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。当社、第一三共Inc.及び第一三共U.S.ホールディングスInc.並びにForest Laboratories, LLC(本社:米国ニューヨーク州)及びその関係会社は、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤(米国製品名「ベニカー」等)の服用により、スプルー様腸疾患(重症下痢等を主な症状とする疾患)等が発現したと主張する方々から、米国連邦裁判所及び州裁判所において複数の訴訟を提起されております。上記の訴訟の結果によっては、当社及び当社の連結子会社に損害が生じる可能性がありますが、現時点で金額を合理的に見積ることはできません。 (3) 法規制、医療費抑制策等行政動向に関するリスク国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受けることがあります。第一三共Inc.は、主力品のプロモーション活動の一環として行った医師講演施策に関し、米国司法省より調査を受け、同省及びその他政府機関との間で和解に至りました。本和解に基づき、第一三共Inc.は、前連結会計年度に約39百万米ドルの和解金を支払うと共に、保健福祉省監察総監室との間で法令遵守に関する協定(Corporate Integrity Agreement)を締結いたしました。当社グループは、世界各国において今後とも一層厳しく法令遵守の徹底に努めて参ります。 (4) 企業買収等に関するリスク当社は、研究開発等の分野における事業展開の一環として、企業買収又は資本提携等を実施することがあります。これらの企業買収等にあたり、当社は対象会社又は提携相手に関するデューデリジェンスを行い、当該企業買収等で期待できる効果を算定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、デューデリジェンスにおいて判明しなかった情報等に起因して、当該企業買収等において期待されていた買収効果が実現されない可能性があり、その場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.がランバクシー・ラボラトリーズLtd.を吸収合併し、その対価として当社がサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.の株式を受領することについて、2014年4月にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間で契約を締結し、2015年3月24日(クロージング日)に完了いたしました。当社は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.との間の本合併に関する契約に基づき、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.のクロージング日前の品質問題等に関し、米国連邦政府又は州政府に支払う罰金及び損害等が、クロージング日から7年経過するまでの間にサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.等に生じた場合、その63.5%について325百万米ドルを上限として補償する義務の履行を求められる可能性があります。なお、当社は取得したサン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式を2015年4月にすべて売却しておりますが、上記契約は継続しております。 (5) 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約条件の変更・解消等が起こった場合、研究開発の成否に悪影響を及ぼすことがあります。北里第一三共ワクチン㈱は、2011年に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、2014年3月末までに、6ヶ月以内に4,000万人分のワクチンを供給できる体制を構築する計画でありましたが、ワクチン抗原の精製過程における収率低下等の要因により、本供給体制を達成できていない状況にありました。その後の製造工程の見直しによる収率改善により、4,000万人分のワクチン供給体制を構築する見込みであります。 (6) 製造・仕入れに関するリスク製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、また、商品及び原材料の一部には特定の取引先にその供給を依存している品目があります。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。医薬品は医薬品医療機器法の規制の下で製造しておりますが、品質問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。 (7) 副作用発現や他社競合等製品販売に関するリスク予期していなかった副作用の発現、同領域の他社製品との競合や特許切れによる後発品の参入、特に特許切れ後の安価なジェネリック医薬品の発売等は、当社医薬品の売上を減少させる要因となり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。販売及び技術導出入契約の満了、契約条件の変更・解消等が起こった場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。さらに、特許期間内においてもジェネリック医薬品の申請が可能である米国等先進諸国における後発品拡大の影響や、公的保険、民間保険会社との交渉結果次第では、仮に製品として発売されても、研究開発投資に見合う売上・利益を確保できない可能性があります。 (8) 知的財産に関するリスク当社グループの事業活動が他者の特許等知的財産権に抵触する場合、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの特許等知的財産権を侵害すると考えられる場合は、その保護のため訴訟を提起する場合があり、それらの動向は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。とくに先進諸国での後発品拡大を背景に、訴訟提起を含め、当社グループの知的財産に関するリスクが一層増大する可能性があります。 (9) 海外における事業展開に関するリスク当社は、医薬品の開発、販売等の分野で、海外においても積極的に事業を展開しており、このような海外事業においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制に抵触するリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。 (10) 災害等の発生による事業活動に関するリスク地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、2011年3月に発生した東日本大震災での経験を踏まえ、有事の際に速やかな業務復旧を図り、医療体制維持のため医薬品の品質確保と安定供給に努めるべく、事業継続計画(BCP)を刷新いたしました。BCPにおいては、主力品を中心とした事業継続の観点、及び緊急性のある薬剤や代替品のない薬剤といった社会的意義のある薬剤の供給を速やかに実施するという観点から、優先すべき品目の見直しを行いました。また、サプライチェーンにおいては、東日本大震災時の復旧期間を参考にしつつ、地震の発生確率を加味した復旧期間のリスク評価を行い、予防策、支援策、代替策等を適宜更新しております。 (11) 環境問題に関するリスク医薬品の研究、製造の過程等で使われる化学物質のなかには、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれています。当社では医薬品等の管理には万全を期しておりますが、万一、当社グループが、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等に関し環境に深刻な影響を与えていると判断された場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。 (12) 金融市況及び為替変動に関するリスク株式市況の低迷により保有する株式の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。 (13) その他のリスク上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあるリスクとしては、ネットワークウイルス等によるコンピュータシステムの休止、機密情報の漏洩や役職員の不正、株価や金利の変動、資金調達のリスク等が考えられます。