事業等のリスク
同社の研究開発活動は、設立の基盤となった中村祐輔氏の協力に大きく依存しており、協力が得られなくなった場合、事業に影響が出る可能性があります。また、大学や研究機関との共同研究契約の更新が困難になったり、終了したりするリスクも存在します。臨床開発においては、計画通りの進捗や成果が得られない可能性があり、多額の研究開発コストを回収できないリスクがあります。さらに、開発・販売する医薬品や関連事業において、予期せぬ副作用や製造物責任が発生し、業績や信頼性に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
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FY2025|13,037 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という。)を設立いたしました。CPM社に対しては、次世代シーケンス解析サービスを世界的に行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費491百万円を計上しております。今後も、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。なお、現時点においては以下の対応策を実行してまいります。(ⅰ)「がんプレシジョン医療関連事業」への経営資源の集約による経営基盤の安定化(ⅱ)「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」における早期ライセンスアウトの企図及び資金状況にあわせた開発計画の実行(ⅲ)適時適切な資金調達の実施対応策の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2025年3月末現在においては、533件の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社は創業以来、がんに特化した医薬品の研究開発を進めてまいりましたが、当該状況を解消すべく、当社グループは、以下の対応策を実行してまいります。(ⅰ)「がんプレシジョン医療関連事業」への経営資源の集約による経営基盤の安定化(ⅱ)「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」における早期ライセンスアウトの企図及び資金状況にあわせた開発計画の実行(ⅲ)適時適切な資金調達の実施当該状況を解消するための対応策の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。 今後も上記施策を推進し、収益力の向上と財務体質の強化に取り組みますが、これらの対応策は実施中であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。 (10)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域においては、技術革新のスピードが速く、特に現在積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業について、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査の設備投資を実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触する等した場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2025年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は271,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,290,000株であります。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や感染症等が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあり、現時点では特に積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業を推進するため、当面は内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2025年4月10日付の取締役会決議に基づき、2024年4月28日にLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund及びMAP246 Segregated Portfolioを割当先として第三者割当による第37回新株予約権(行使価額修正条項付)計630,000個(63,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2025年4月30日から2028年4月28日までの3年間となっていることから、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
FY2024|13,112 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という。)を設立いたしました。CPM社に対しては、次世代シーケンス解析サービスを世界的に行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費678百万円を計上しております。今後も、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。なお、現時点においては以下の対応策を実行して参ります。(ⅰ)「がんプレシジョン医療関連事業」への経営資源の集約による経営基盤の安定化(ⅱ)「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」における早期ライセンスアウトの企図及び資金状況にあわせた開発計画の実行(ⅲ)適時適切な資金調達の実施対応策の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2024年3月末現在においては、317件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しており、当連結会計年度末においても当該状況が続いていることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社は創業以来、がんに特化した医薬品の研究開発を進めて参りましたが、当該状況を解消すべく、当社グループは、以下の対応策を実行して参ります。(ⅰ)「がんプレシジョン医療関連事業」への経営資源の集約による経営基盤の安定化(ⅱ)「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」における早期ライセンスアウトの企図及び資金状況にあわせた開発計画の実行(ⅲ)適時適切な資金調達の実施当該状況を解消するための対応策の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。 今後も上記施策を推進し、収益力の向上と財務体質の強化に取り組みますが、これらの対応策は実施中であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。 (10)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域においては、技術革新のスピードが速く、特に現在積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業について、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査の設備投資を実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触する等した場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2024年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は217,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,330,000株であります。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や感染症等が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあり、現時点では特に積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業を推進するため、当面は内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2024年4月5日付の取締役会決議に基づき、2024年4月22日にLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund及びMAP246 Segregated Portfolioを割当先として第三者割当による第36回新株予約権(行使価額修正条項付)計540,000個(54,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2024年4月23日から2027年4月22日までの3年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
FY2023|15,807 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立いたしました。CPM社に対しては、次世代シーケンス解析サービスを世界的に行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2023年3月期連結会計年度においては716百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2023年3月末現在においては、848件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を1,117百万円有しております。また、2023年3月24日付の当社取締役会において決議いたしました、Long Corridor Alpha Opportunities Master Fund(以下「LCAO」といいます。)及びMAP246 Segregated Portfolio(以下「MAP246」といいます。)を割当先とする第三者割当による新株式並びに第34回新株予約権及び第35回新株予約権の発行に関し、2023年4月10日に発行金額の総額(LCAO 76,760千円)(MAP246 19,190千円)の払込手続が完了しております。当該資金は、当連結会計年度末現在、割当先より受領済みであります。本件に関する概要は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」のとおりでございます。当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業化に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究を進めて参ります。⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究着手しております。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリを持つことであり、またがんのみならず数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただし、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。なお、2023年1月1日付で本店ならびに研究開発拠点を移転しており、人員配置を見直しての業務効率化等、あらゆるコストの見直し及び削減を継続して強化してまいります。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。 (11)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2023年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は192,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,435,000株であります。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2023年3月24日取締役会決議に基づき、2023年4月10日にLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund及びMAP246 Segregated Portfolioを割当先として第三者割当による第34回新株予約権及び第35回新株予約権(行使価額修正条項付)計380,000個(38,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2023年4月11日から2025年4月10日までの2年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
FY2022|15,465 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立いたしました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。旧Theragen Etex Co., Ltd.)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2022年3月期連結会計年度においては1,730百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2022年3月末現在においては、1,232件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を1,836百万円有しており、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を積極的に実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2022年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は192,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は2,085,000株であります。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 なお、本書提出日現在までに、新型コロナウイルス感染症につきまして、当社グループでは、従業員の安全確保等のためウェブ会議の活用、時差出勤・在宅勤務等の対応策を取っており、事業進捗に与える影響は軽微であります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2021年4月12日取締役会決議に基づき、2021年4月28日に大和証券株式会社を割当先とする行使価額修正条項付第31回新株予約権(第三者割当)350,000個(35,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2021年4月30日から2023年5月1日までの2年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。 (11)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、各提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究や事業化に加えて、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究開発を進めて参ります。⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあります。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただ、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
FY2021|15,721 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立いたしました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。旧Theragen Etex Co., Ltd.)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。 マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。 当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2021年3月期連結会計年度においては1,375百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2021年3月末現在においては、1,208件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を2,899百万円有しており、概ね1.5年分の研究開発費は確保していることから、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を積極的に実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2021年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は176,332,000株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は555,000株であります。 なお、2021年6月11日の取締役会において、2020年6月24日開催の第19回定時株主総会の決議に基づき、当社取締役6名、当社監査役3名、当社従業員66名、社外協力者1名に対する新株予約権19,000個(1,900,000株)の割当を決議しております。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 なお、本書提出日現在までに、新型コロナウイルス感染症につきまして、当社グループでは行政の要請事項を踏まえ、従業員の安全確保等のためウェブ会議の活用、時差出勤・在宅勤務等の対応策を取っており、事業進捗に与える影響は軽微であります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2021年4月12日取締役会決議に基づき、2021年4月28日に大和証券株式会社を割当先とする行使価額修正条項付第31回新株予約権(第三者割当)350,000個(35,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2021年4月30日から2023年5月1日までの2年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。 (11)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対策案① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、各提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究や事業化に加えて、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究開発を進めて参ります。⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあります。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただ、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
FY2020|15,233 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立いたしました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Etex Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TE社」という)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTE社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。 マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。 当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2020年3月期連結会計年度においては1,742百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2020年3月末現在においては、1,152件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を4,713百万円有しており、概ね1.5年分の研究開発費は確保していることから、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)その他のリスク① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を積極的に実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 なお、2020年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は176,332,000株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は955,000株であります。 なお、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 なお、本書提出日現在までに、新型コロナウイルス感染症につきまして、当社グループでは行政の要請事項を踏まえ、従業員の安全確保等のためウェブ会議の活用、時差出勤・在宅勤務等の対応策を取り、今後については社内規程の整備等を検討しているものの、事業進捗に与える影響は軽微であります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。 (11)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対策案① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、各提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究や事業化に加えて、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究開発を進めて参ります。⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあります。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、また日本政府の発令した緊急事態宣言によって、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただ、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
FY2019|13,041 文字
2【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 2010年5月には、フランスでの抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発体制を確立し、開発をより加速、充実させる目的で、現地子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立致しました。なお、フランスでのOTSA101第Ⅰ相臨床試験実施ならびにそれに伴うデータ集積等を含めた一連の手続きが終了したことにともない、同社を解散することを、2019年4月24日の当社取締役会において決議しております。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、CPM社を設立いたしました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTE社が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTE社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行っている腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継させております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。(3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。 マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。 当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2019年3月期連結会計年度においては2,826百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。共同研究費の実績については、2015年3月期は209百万円、2016年3月期は314百万円、2017年3月期は326百万円で、2018年3月期は119百万円、2019年3月期は86百万円であります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2019年3月末現在においては、1,201件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を4,857百万円有しており、概ね1.5年分の研究開発費は確保していることから、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)その他① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を積極的に実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 なお、2019年3月末日現在における当社の発行済株式総数は151,557,400株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,365,000株であります。 なお、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において地震等の大規模な自然災害が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。⑧ 新株予約権(第三者割当)に関するリスクについて 当社は、2018年12月26日取締役会決議に基づき、2019年1月15日に大和証券株式会社を割当先とする行使価額修正条項付第30回新株予約権(第三者割当)293,000個(29,300,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2019年1月16日から2022年1月17日までの3年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
FY2018|12,395 文字
2【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。② 大学や研究機関等との共同研究について(a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、(a)臨床症例に基づいた研究成果であること、(b)LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、(c)遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、(d)特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。(c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 2010年5月には、フランスでの抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発体制を確立し、開発をより加速、充実させる目的で、現地子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立致しました。 また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、CPM社を設立いたしました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTE社が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTE社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行っている腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継させております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がん特異的ペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。 (3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。(4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②の通り、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。 マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。 当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、2018年3月期連結会計年度においては2,931百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がん個別化医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。共同研究費の実績については、2014年3月期は209百万円、2015年3月期は209百万円、2016年3月期は314百万円、2017年3月期は326百万円で、2018年3月期は119百万円であります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社グループにおいては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願してまいりましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2018年3月末現在においては、1,202件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がん個別化医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、①高齢化の進展、②がん診断による早期発見の増加、③分子標的治療薬の登場、及び④がん個別化医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 検査過誤について当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がん個別化医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を6,740百万円有しており、概ね2年分の研究開発費は確保していることから、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)その他① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。③ 設備投資について 当社グループの事業領域である、医薬品の研究開発およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を積極的に実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要なり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 なお、2018年3月末日現在における当社の発行済株式総数は147,032,000株でありますが、これに対して、新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,832,500株であります。 なお、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において地震等の大規模な自然災害が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討してまいりたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。
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4【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。(1)研究開発活動について① 大学との共同研究について(a)共同研究契約について 当社の研究活動においては、自社での研究活動に加えて、シカゴ大学等と共同研究を実施しております。 また、平成13年から平成25年にかけて東京大学医科学研究所との共同研究においては、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中であり、さらに準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 当社は、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、シカゴ大学をはじめとした各大学との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社事業に悪影響を与える可能性があります。 (b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、(a)臨床症例に基づいた研究成果であること、(b)LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、(c)遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、(d)特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。 ② その他の共同研究開発について 当社グループは、創薬を目指した研究や開発をより加速させ、またその分野を拡大する計画であり、公的研究機関やその他企業等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社の想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社において相応の費用負担が生じる可能性があります。 ③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、平成16年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、平成19年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。 また、平成22年5月には、フランスでの抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発体制を確立し、開発をより加速、充実させる目的で、現地子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立致しました。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 臨床開発について 当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 ② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんワクチン、抗体医薬などのように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。 (3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報その他の機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障などにより当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。(4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価は下記②の通り、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。② 収益計上について 当社グループは、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。 マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。 当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。 ③ 研究開発費が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、平成29年3月期連結会計年度においては2,938百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がん個別化医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。 (5)大学との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について 当社は、シカゴ大学をはじめとした各大学(以下、「大学」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社の費用負担については、大学との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費について共同研究費として大学に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっており、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。共同研究費の実績については、平成25年3月期は228百万円、平成26年3月期は209百万円、平成27年3月期は209百万円、平成28年3月期は314百万円、平成29年3月期は326百万円であります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて 当社においては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が同様に当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願してまいりましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実態と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。 ② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、平成29年3月末現在においては、1,274件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び事実認定上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品などの開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 職務発明について 当社が職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は当該発明者に対して特許法第35条第3項に定める相当の対価を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がん個別化医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業など幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、①高齢化の進展、②がん診断による早期発見の増加(長期的治療の増加)及び③分子標的治療薬の登場等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新などが飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。 ② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。また、遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、複数の大学等公的研究機関との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩などにより医薬品の研究開発において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)その他① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。② インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 なお、平成29年3月末日現在における当社の発行済株式総数は147,027,000株でありますが、これに対して、新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は2,427,500株であります。 なお、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。 ③ 自然災害等の発生について 当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において地震等の大規模な自然災害が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止などにより研究や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 ④ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討してまいりたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。 ⑤ 調達資金の使途について 平成25年9月に実施しました公募増資および第三者割当増資により、調達した資金の使途につきましては、医薬開発領域及び創薬研究領域における研究開発費用並びに当該研究開発を実施するために要する人件費等に充当する方針であり、具体的な資金需要の発生までは、安全性の高い金融商品等で運用していく計画であります。 バイオ・テクノロジー業界等の当社を取り巻く外部環境については変化が速いことや、新規参入等により当社グループの事業環境に劇的な変動が生じる可能性があること等から、当社の経営判断として資金について、上記の対象以外に振り向けられる可能性も否定できません。 また、当社グループ事業の性質上、研究開発資金等の多額な資金を必要とするものでありますが、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社は新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。
FY2016|10,031 文字
4 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」及び有価証券報告書等中の「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。(1)研究開発活動について①大学との共同研究について (a)共同研究契約について当社の研究活動においては、自社での研究活動に加えて、シカゴ大学等と共同研究を実施しております。また、平成13年から平成25年にかけて東京大学医科学研究所との共同研究においては、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中であり、さらに準備中の医薬品候補物質を多数有しております。当社は、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、シカゴ大学をはじめとした各大学との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社事業に悪影響を与える可能性があります。 (b)がん関連遺伝子の網羅的解析について当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、(a)臨床症例に基づいた研究成果であること、(b)LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、(c)遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、(d)特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。 ② その他の共同研究開発について当社グループは、創薬を目指した研究や開発をより加速させ、またその分野を拡大する計画であり、公的研究機関やその他企業等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社の想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社において相応の費用負担が生じる可能性があります。 ③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、平成16年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、平成19年9月21日に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を 取得したことにより、当社の子会社となっております。また、平成22年5月には、フランスでの抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発体制を確立し、開発をより加速、充実させる目的で、現地子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立致しました。今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 臨床開発について当社グループは、各提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生たり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 製造物責任のリスクについて当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 副作用に関するリスクについて当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 ② 今後の製薬企業等の事業提携について当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんワクチン、抗体医薬などのように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。 (3)社内体制について① 情報管理に関するリスクについて当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報その他の機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障などにより当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について① 特定の販売先への依存について当社グループの販売先は、製薬企業等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価は下記②の通り、製薬企業との契約による契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。 ② 収益計上について当社グループは、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に一定の権利の付与に対して受取る対価として一括収益計上しており、研究協力金及び開発協力金は製薬企業より契約に基づく研究開発に対する経済的支援として受領するものであり、役務の提供に基づき収益計上しております。マイルストーンは自社あるいは提携先製薬企業における研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成等)に応じて受取る対価、ロイヤリティは製薬企業が医薬品として上市された場合に売上等の一定率を対価として受領するものであり、製薬企業等からの報告等に基づき発生時に収益計上することとしております。当社グループが契約に基づき受領する収益のうち、研究協力金及び開発協力金については、研究及び開発の内容等に応じて複数年に渡り受領することとされておりますが、一部については当該協力金について規定されていないものもあります。また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。 ③ 研究開発費が多額の見通しであることについて当社グループは研究開発型企業として、平成28年3月期連結会計年度においては2,883百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がん個別化医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。 (5)大学との関係について① 共同研究実施に係る費用負担について当社は、シカゴ大学をはじめとした各大学(以下、「大学」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。当該共同研究にかかる当社の費用負担については、大学との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費について共同研究費として大学に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっており、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。共同研究費の実績については、平成24年3月期は169百万円、平成25年3月期は228百万円、平成26年3月期は209百万円、平成27年3月期は209百万円、平成28年3月期は314百万円であります。当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。 ② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて当社においては、徳島大学教授片桐豊雅が当社取締役(非常勤)に就任しているほか、本書提出日現在、各大学・研究機関の研究者(教授)2名が同様に当社顧問として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について① 当社グループの特許に係る方針等についてバイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願してまいりましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実態と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。 ② 出願特許について当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等並びに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、平成28年3月末現在においては、1,527件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び事実認定上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品などの開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④職務発明について当社が職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は当該発明者に対して特許法第35条第3項に定める相当の対価を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて① 業界動向について近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がん個別化医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業など幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、①高齢化の進展、②がん診断による早期発見の増加(長期的治療の増加)及び③分子標的治療薬の登場等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新などが飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。 ② 競合について当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。また、遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新について当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、複数の大学等公的研究機関との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。しかしながら、急激な研究の進歩などにより医薬品の研究開発において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)その他① 研究活動にかかる補助金等について当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。 ② インセンティブの付与について当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。なお、平成28年3月末日現在における当社の発行済株式総数は147,017,000株でありますが、これに対して、新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は2,500,000株であります。なお、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。 ③ 自然災害等の発生について当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において地震等の大規模な自然災害が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止などにより研究や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 ④ 配当政策について当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討してまいりたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。 ⑤ 調達資金の使途について平成25年9月に実施しました公募増資および第三者割当増資により、調達した資金の使途につきましては、医薬開発領域及び創薬研究領域における研究開発費用並びに当該研究開発を実施するために要する人件費等に充当する方針であり、具体的な資金需要の発生までは、安全性の高い金融商品等で運用していく計画であります。バイオ・テクノロジー業界等の当社を取り巻く外部環境については変化が速いことや、新規参入等により当社グループの事業環境に劇的な変動が生じる可能性があること等から、当社の経営判断として資金について、上記の対象以外に振り向けられる可能性も否定できません。また、当社グループ事業の性質上、研究開発資金等の多額な資金を必要とするものでありますが、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社は新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。