研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 478 |
| 2024-03 | - | 354 |
| 2023-03 | - | 366 |
| 2022-03 | - | 302 |
| 2021-03 | - | 337 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,715 文字
6 【研究開発活動】当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』 (注) へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載しています。(注) 患者さんにとって真に重要なアウトカム (治療等による臨床上の成果) を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したもの 当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。(1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現中長期にわたり成長を支える重点戦略製品 (注) に優先的に経営資源を振り向けました。尿路上皮がん治療剤PADCEVや地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAH等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。開発後期段階においては、下記等の多くの進展がありました。・尿路上皮がん治療剤PADCEVのMerck社 (米国) のPD-1阻害剤KEYTRUDA (一般名:ペムブロリズマブ) との併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における一次治療の追加適応としての欧州、日本及び中国における承認取得・地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAYについて、米国における第Ⅲ相GATHER2試験の良好な2年間に渡る投与データの添付文書への追加に関する一部変更承認の取得・胃腺がん及び食道胃接合部腺がん治療剤VYLOYについて、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果とした日本における発売、また、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療に関する欧州及び米国での発売並びに中国における承認取得(注) PADCEV、IZERVAY、VEOZAH、VYLOY、XOSPATA (2025年3月31日現在) 当連結会計年度における主要製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。・前立腺がん治療剤XTANDI (一般名:エンザルタミド)当連結会計年度売上:9,123億円 (前連結会計年度比21.6%増)全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は大きく拡大しました。また米国において、生化学的再発のリスクが高い非転移性去勢感受性前立腺がんの浸透と他の適応症への波及効果が売上伸長に貢献しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。2024年4月 欧州において、サルベージ放射線療法が適応とならない生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加に関して承認を取得しました。2024年7月 中国において、転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加に関して承認を取得しました。 ・尿路上皮がん治療剤PADCEV (一般名:エンホルツマブ ベドチン)当連結会計年度売上:1,641億円 (前連結会計年度比92.2%増)全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は大きく拡大しました。転移性尿路上皮がん患者を対象とした一次治療の承認国が拡大し、各国での市場浸透が売上伸長に貢献しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。2024年8月 中国において、白金製剤を含む化学療法及びPD-1又はPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における単剤療法に関し、承認を取得しました。2024年8月 欧州において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、白金製剤適応の切除不能又は転移性の尿路上皮がん患者の一次治療として適応追加の販売承認を取得しました。2024年9月 日本において、厚生労働省から優先審査品目の指定を受けていた、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、根治切除不能な尿路上皮癌に対する一次治療として、適応追加に関する承認を取得しました。2025年1月 中国において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がんに対する治療法として、適応追加に関する承認を取得しました。 ・地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY (一般名:avacincaptad pegol)当連結会計年度売上:583億円 (前連結会計年度比380.6%増)発売している米国において、売上が大きく拡大しました。承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2024年10月 欧州において、2023年8月に欧州医薬品庁に受理された販売承認申請を取り下げる決定をしました。本決定は、欧州医薬品庁の欧州医薬品委員会との議論の結果に基づきます。現在、主要国で当局との議論を個別に実施中です。2024年11月 米国において、2024年3月に受理された、第Ⅲ相GATHER2試験の良好な2年間に渡る投与データの添付文書への追加に関する一部変更承認申請について、米国食品医薬品局から審査完了報告通知を受領しました。2024年12月 米国において、審査完了報告通知に記載されたフィードバックを明確にするために実施した米国食品医薬品局との協議を経て、一部変更承認を再申請しました。2025年2月 日本において、条件付き承認制度に基づく製造販売承認申請を行いました。2025年2月 米国において、添付文書の一部変更に関する承認を取得しました。今回の添付文書の一部変更により、投与期間の制限の無い投与が可能になりました。 ・閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAH (一般名:fezolinetant)当連結会計年度売上:338億円 (前連結会計年度比363.6%増)発売国の拡大も堅調に推移し、グローバル売上は大きく拡大しました。米国に加えて、2024年1月に発売したエスタブリッシュドマーケットも売上伸長に貢献しました。追加適応症の開発の進捗状況は以下のとおりです。2024年8月 補助内分泌療法中の乳がん患者における血管運動神経症状を対象とした第Ⅲ相HIGHLIGHT1試験の最初の症例への投与を達成しました。2025年4月 中国において、第Ⅱ相試験の最初の症例への投与を達成しました。 ・胃腺がん及び食道胃接合部腺がん治療剤VYLOY (一般名:ゾルベツキシマブ)当連結会計年度売上:122億円2024年6月に日本で発売以降、2025年4月現在で日本、欧州及び米国を含む15か国で発売され、グローバル全体で期待以上に売上が拡大しました。想定を上回るClaudin 18.2検査の普及率が、期待以上の売上伸長に貢献しました。承認取得及び発売の状況は以下のとおりです。2024年6月 日本において、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として発売しました。2024年9月 欧州において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、販売承認を取得しました。2024年10月 米国において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、承認を取得しました。2025年1月 中国において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、承認を取得しました。 ・急性骨髄性白血病治療剤XOSPATA (一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)当連結会計年度売上:680億円 (前連結会計年度比23.4%増)グローバル売上は着実に拡大しました。追加適応症の開発の進捗状況は以下のとおりです。2025年2月 未治療で強力な化学療法不適応の急性骨髄性白血病を対象として、第Ⅱ相段階に移行したことを公表しました。 その他の主要製品の売上は以下のとおりです。・過活動膀胱治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ (一般名:ミラベグロン)当連結会計年度売上:1,700億円 (前連結会計年度比14.2%減)米国における後発品参入の影響で、グローバル売上は減少しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。 2024年8月 欧州において、3歳以上18歳未満の小児における神経因性排尿筋過活動の適応追加の承認を取得しました。 ・免疫抑制剤プログラフ (一般名:タクロリムス水和物)当連結会計年度売上:2,010億円 (前連結会計年度比1.0%減)グローバル売上は前連結会計年度と比べ同水準でした。 上記以外に、医療用医薬品事業に関する以下の取り組みを行いました。2024年4月 子会社であるアステラス B.V. とアステラス ファーマ ヨーロッパ B.V. は、メッペル工場のDelpharm Industrie社 (フランス) への事業譲渡を完了しました。2024年5月 2025年度末をもって、高岡工場における医薬品の生産活動を終了することを公表しました。 (2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ当社は、Focus Areaアプローチという研究開発戦略の下、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチで革新的な製品の創出に取り組んでいます。2025年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus (注) として「がん免疫」「標的タンパク質分解誘導」「遺伝子治療」「再生と視力の維持・回復」の4つを認定しています。一方、2024年4月にPrimary Focus「ミトコンドリア」の解消を、2025年2月には、Primary Focus候補「免疫ホメオスタシス」の解消を公表しました。Focus Areaアプローチ及びPrimary Focusについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」もご確認ください。(注) Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗度の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの 当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。・Primary Focus がん免疫2024年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった抗TSPAN8/抗CD3二重特異性抗体ASP2074の開発を中止したことを公表しました。2024年4月 当社の完全子会社であるザイフォス バイオサイエンシズ Inc.を通じて、Poseida Therapeutics社 (米国) と、両社の革新的な細胞医療プラットフォームを組み合わせた新規convertibleCAR細胞プログラムに関する共同研究及びライセンス契約を締結しました。2024年5月 レプチン-IL-2遺伝子を搭載した全身投与型腫瘍溶解性ウイルスASP1012について、がんを対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2025年2月 CD20陽性B細胞リンパ腫を対象とする細胞医療ASP2802の開発を中止したことを公表しました。 ・Primary Focus 標的タンパク質分解誘導2024年4月 KRAS G12D分解誘導薬ASP4396について、がんを対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2025年4月 KRAS G12D分解誘導薬ASP3082について、膵腺がんにおいてPoC (注) 達成を公表しました。(注) コンセプト検証 ・Primary Focus 遺伝子治療2024年10月 AviadoBio社 (英国) と、前頭側頭型認知症及びその他の適応症を対象とする遺伝子治療プログラムAVB-101の独占的ライセンスを得るオプション契約を締結しました。2024年12月 Sangamo Therapeutics社 (米国) と、中枢神経疾患を対象とする遺伝子治療の開発に向けた新規AAVカプシドを使用するライセンス契約を締結しました。2025年2月 フリードライヒ運動失調症に伴う心筋症を対象とする遺伝子治療薬ASP2016の開発を中止したことを公表しました。2025年4月 遺伝子治療薬AT845について、ポンペ病を対象とする第Ⅱ相段階に移行したことを公表しました。 ・Primary Focus 再生と視力の維持・回復地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性を対象とする細胞医療ASP7317の第Ⅰ相試験が進行中です。 当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。2024年4月 武田薬品工業株式会社と株式会社三井住友銀行との間で、日本発の革新的な医薬品の創出に向けた創薬シーズのインキュベーション (注) を行う合弁会社の設立に関する基本合意契約を締結しました。2024年4月 原発性ミトコンドリアミオパチーを対象として第Ⅱ相段階に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として第Ⅰ相段階にあったPPARδ調節剤ASP0367の開発を中止したことを公表しました。2024年7月 当社の完全子会社であるアステラス インスティテュート フォー リジェネレイティブ メディシン及びユニバーサル セルズ Inc.と、国立大学法人大阪大学が、椎間板変性症に対する多能性幹細胞由来の革新的な軟骨細胞医療プログラムの創出に向けた共同研究契約を締結しました。2024年7月 JAK阻害剤ペフィシチニブについて、関節リウマチを適応症として、中国において承認を取得しました。2024年9月 STING阻害剤ASP5502について、原発性シェーグレン症候群を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2025年3月 株式会社安川電機との間で、汎用ヒト型ロボット「まほろ」を活用した、細胞医療製品の製造プラットフォームの開発及びスタートアップやアカデミアにプラットフォームの提供を行う合弁会社設立に関する合弁契約を締結しました。(注) 起業及び事業の創出をサポートするサービス・活動 (3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展 当社は、医療用医薬品 (Rx) に留まらず、ペイシェントジャーニー (診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン) 全体において、様々な方法で患者さんに「価値」を届けることを目指しています。私たちはこの取り組みをRx+事業と呼んでいます。患者さんが医療従事者と共に治療計画に積極的に参加できるよう、臨床研究や患者視点に基づく利用しやすい技術、ツール、リソースを提供することで、患者自身が自らの健康をより良くコントロールできるよう支援することを目指し、Rx+プログラムの事業化に取り組んでいます。 当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。・デジタルヘルス2024年11月 米国において、2024年9月に米国食品医薬品局から認証を取得した、心不全管理を目的とした非侵襲的なデジタルヘルスDIGITIVAについて、初期販売を開始し、米国の医療団体Desert Oasis Healthcareにて試験的に導入されました。 ・埋め込み型医療機器2024年10月 低活動膀胱を対象とした体内埋め込み型医療機器について、米国食品医薬品局から早期フィージビリティ試験実施の承認を取得したことを公表しました。 (4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化 当連結会計年度における代表的なサステナビリティ向上の取り組みとその結果は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 なお、当連結会計年度の研究開発費は3,277億円 (前連結会計年度比11.4%増)、売上収益研究開発費比率は17.1%となりました。
FY2024|8,507 文字
6 【研究開発活動】当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」 (注) の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載しています。(注) 患者さんにとって真に重要なアウトカム (治療等による臨床上の成果) を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したもの 当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。(1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ及び中長期にわたり成長を支える重点戦略製品 (注) に優先的に経営資源を振り向けました。上市済の製品については、尿路上皮がん治療剤パドセブや急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。開発後期段階においては、尿路上皮がん治療剤パドセブのMerck社 (米国) のPD-1阻害剤KEYTRUDA (一般名:ペムブロリズマブ) との併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における一次治療の追加適応としての米国、欧州及び中国における承認取得、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAHの米国及び欧州における発売、当連結会計年度に行ったIVERIC bio社 (米国) の買収によって獲得した地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAYの米国における発売、CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌治療剤ビロイの日本での承認取得等、多くの進展がありました。(注) パドセブ、ゾスパタ、ビロイ、エベレンゾ、VEOZAH、IZERVAY、AT132 (2024年3月31日現在) 当連結会計年度におけるXTANDI及び重点戦略製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ (一般名:エンザルタミド)当連結会計年度売上:7,505億円 (前連結会計年度比13.5%増)全ての地域で売上が拡大し、為替のプラスの影響を除いても前連結会計年度と比較してグローバルで2桁近く成長しました。米国において、2023年11月に承認を取得した「生化学的再発のリスクが高い非転移性去勢感受性前立腺がん」も売上の拡大に貢献しました。追加適応症の開発の主な進捗状況は以下のとおりです。2023年9月 中国において、転移性ホルモン感受性前立腺がんに対する追加適応に関する承認申請が受理されました。2023年11月 米国において、生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの追加適応に関する承認を取得しました。今回の承認により、XTANDI/イクスタンジは、本適応症において米国食品医薬品局で承認された最初の新規ホルモン療法となりました。2024年4月 欧州において、サルベージ放射線療法が適応とならない生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの追加適応に関する承認を取得しました。 ・尿路上皮がん治療剤パドセブ (一般名:エンホルツマブ ベドチン)当連結会計年度売上:854億円 (前連結会計年度比92.1%増)全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は前連結会計年度と比較して大きく増加しました。米国において、2023年12月に承認を取得した「局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした一次治療としてのKEYTRUDAとの併用療法」での処方が拡大し、売上の伸長に貢献しました。追加適応症の承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年4月 米国において、KEYTRUDAとの併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がんでシスプラチン不適応の患者における一次治療の追加適応に関する迅速承認を取得しました。2023年12月 米国において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における一次治療として、追加適応に関する承認を取得しました。当該承認により、この併用療法は、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者の一次治療における現在の標準治療である白金製剤を含む化学療法に代わる最初の治療選択肢となりました。 2024年1月 欧州において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における一次治療の追加適応に関する承認申請が受理されました。2024年2月 日本において、2024年1月に行った局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者の一次治療を対象としたKEYTRUDAとの併用療法についての追加適応に関する承認申請に対し、優先審査品目の指定を受けました。2024年3月 中国において、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者の一次治療を対象としたKEYTRUDAとの併用療法について、生物学的製剤一部変更承認申請が受理されました。 ・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ (一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)当連結会計年度売上:551億円 (前連結会計年度比18.3%増)発売している全ての地域で売上が拡大しました。追加適応症の開発の進捗状況は以下のとおりです。2024年2月 FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者における造血幹細胞移植後の維持療法を対象とした第Ⅲ相MORPHO試験の結果を受けて、本試験に基づく開発を中止したことを公表しました。 ・CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌治療剤ビロイ (一般名:ゾルベツキシマブ)承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年7月 欧州において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がんの治療薬としての販売承認申請が受理されました。2023年8月 中国において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がんの治療薬としての生物学的製剤承認申請書が受理されました。2024年1月 米国における、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がんの治療薬としての生物学的製剤承認申請について、米国食品医薬品局から、ゾルベツキシマブの医薬品製造受託機関の施設を査察した結果、未解決の指摘事項があるため、審査終了目標日までにゾルベツキシマブを承認できない旨の通知を受領しました。当社は本指摘事項を迅速に解決し、必要とする患者さんへ本治療剤を届けるため、米国食品医薬品局及び医薬品製造受託機関と連携しています。2024年3月 日本において、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として製造販売承認を取得しました。 ・腎性貧血治療剤エベレンゾ (一般名:ロキサデュスタット)当連結会計年度売上:45億円 (前連結会計年度比41.0%増)欧州においては売上が拡大した一方、日本では売上が減少しました。開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年11月 欧州において、小児における慢性腎臓病に伴う貧血を対象として第Ⅲ相試験を開始したことを公表しました。 ・閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAH (一般名:fezolinetant)当連結会計年度売上:73億円 2023年5月の発売以降、売上は拡大しているものの当初の想定を下回りました。承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年5月 米国において、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状の適応に関する承認を取得しました。2023年12月 欧州において、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状の適応に関する販売承認を取得しました。2024年3月 日本において、閉経に伴う血管運動神経症状を有する患者を対象とした第Ⅲ相STARLIGHT2試験の最初の患者への投与を開始しました。2024年4月 補助内分泌療法中の乳がん患者における血管運動神経症状を対象として、第Ⅲ相段階に移行したことを公表しました。 ・地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY (一般名:avacincaptad pegol)当連結会計年度売上:121億円2023年9月の発売以降、売上は想定を上回って拡大しました。承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年8月 米国において、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性の適応に関する承認を取得しました。2023年8月 欧州において、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性の治療薬としての販売承認申請が受理されました。2023年9月 地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性患者を対象とした第Ⅲ相GATHER2試験において、良好な投与後24カ月時点のトップライン結果が得られたことを公表しました。2024年3月 米国において、第Ⅲ相GATHER2試験の良好な2年間に渡る投与データの添付文書への追加に関する一部変更承認申請が受理されました。 また、その他の主要製品の売上は以下のとおりです。・過活動膀胱治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ (一般名:ミラベグロン)当連結会計年度売上:1,981億円 (前連結会計年度比5.0%増)為替のプラスの影響もあり、グローバルの売上は拡大しました。 ・免疫抑制剤プログラフ (一般名:タクロリムス水和物)当連結会計年度売上:2,031億円 (前連結会計年度比2.2%増)為替のプラスの影響もあり、グローバルの売上は拡大しました。 上記以外に、医療用医薬品事業に関する以下の取り組みを行いました。2023年9月 アイルランドのトラリーに無菌製剤の製造ラインを備えた工場を新設することを決定しました。2023年12月 国内営業戦略及び営業体制を見直し、「特別転進支援制度」を実施しました。本制度は2024年3月末に完了しました。2024年4月 子会社であるアステラス B.V. とアステラス ファーマ ヨーロッパ B.V. は、メッペル工場のDelpharm Industrie社 (フランス) への事業譲渡を完了しました。 (2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ当社は、Focus Areaアプローチという研究開発戦略の下、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチで革新的な製品の創出に取り組んでいます。2024年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus (注1) として「遺伝子治療」「がん免疫」「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリア (注2) 」「標的タンパク質分解誘導」の5つを認定しています。(注) 1.Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗度の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの2.2024年4月にミトコンドリアのPrimary Focusとしての認定を解消しました。 当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。・Primary Focus 遺伝子治療2023年5月 Kate Therapeutics社 (米国) との間で、新規のMyoAAVカプシドを介して正常に機能するMTM1遺伝子を送達する前臨床段階の次世代遺伝子治療プログラムの全世界における開発・製造・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。2024年3月 遺伝子治療薬ASP2016について、フリードライヒ運動失調症に伴う心筋症患者を対象とする第Ⅰ相段階に移行しました。 ・Primary Focus がん免疫2023年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった腫瘍溶解性ウイルスASP9801の開発を中止したことを公表しました。2023年4月 急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群を対象として第Ⅱ相段階に、固形がんを対象として第Ⅰ相段階にあった人工アジュバントベクター細胞ASP7517の開発を中止したことを公表しました。2023年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった人工アジュバントベクター細胞ASP0739の開発を中止したことを公表しました。2023年8月 Poseida Therapeutics社 (米国) との間で、がん領域の細胞医療における戦略的投資を含む提携に関する契約を締結しました。2023年10月 レプチン-IL-2遺伝子を搭載した全身投与型腫瘍溶解性ウイルスASP1012が第Ⅰ相段階に移行しました。2023年11月 CD20陽性B細胞リンパ腫を対象とする細胞医療ASP2802が第Ⅰ相段階に移行しました。2023年12月 Elpiscience Biopharma社 (中国) との間で、新規の二重特異性マクロファージ誘導抗体である、ES019及び別の1つのプログラムに関する共同研究及びライセンス契約を締結しました。2024年2月 Kelonia Therapeutics社 (米国) との間で、新規のがん免疫療法プログラムに関する共同研究及びライセンス契約を締結しました。2024年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった抗TSPAN8/抗CD3二重特異性抗体ASP2074の開発を中止したことを公表しました。 ・Primary Focus 再生と視力の維持・回復2023年7月 4D Molecular Therapeutics社 (米国) との間で、同社独自の高い網膜指向性を持つアデノ随伴ウイルスベクターR100を、眼科希少遺伝性疾患における1つの創薬ターゲットに使用するライセンス契約を締結しました。 ・Primary Focus ミトコンドリア2023年4月 鎌状赤血球症を対象として第Ⅰ相段階にあったBACH1阻害薬ASP8731/ML-0207の開発を中止したことを公表しました。2024年4月 原発性ミトコンドリアミオパチーを対象として第Ⅱ相段階に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として第Ⅰ相段階にあったPPARδ調節剤ASP0367の開発を中止したことを公表しました。 ・Primary Focus 標的タンパク質分解誘導2023年6月 Cullgen社 (米国) との間で、革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及び独占的オプション契約を締結しました。2023年7月 ペプチドリーム株式会社との間で、2つの創薬標的に対する新規タンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及びライセンス契約を締結しました。2024年4月 KRAS G12D分解誘導薬ASP4396について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。 当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。2023年4月 国立大学法人 京都大学iPS細胞研究所との間で、ヒト人工多能性幹細胞由来の分化細胞・組織の活用をより一層推進し革新的医療ソリューションを創出するため、第二期共同研究契約を締結しました。2023年4月 感音難聴を対象として第Ⅱ相段階にあったFX-322の開発を中止したことを公表しました。2023年5月 ソニー株式会社との間で、同社が独自開発した高分子材料による、がん領域における新規抗体薬物複合体プラットフォームの創製に向けた共同研究契約を締結しました。2023年8月 米国マサチューセッツ州に、最先端のライフサイエンス拠点を開設することを公表しました。2023年8月 慢性鼓膜穿孔を対象として第Ⅰ相段階にあったASP0598の開発を中止したことを公表しました。2023年10月 三井不動産株式会社が運営する「三井リンクラボ柏の葉1」内に、同社と共に、当社のオープンイノベーションの拠点を開設しました。 2023年10月 BioLabs Global社 (米国) 及び三井不動産株式会社との間で、つくば及び柏の葉におけるライフサイエンスエコシステムの発展に向けた覚書を締結しました。2023年11月 国立大学法人 筑波大学との間で、戦略的パートナーシップに関する確認書を締結しました。2023年11月 ミラベグロンについて、小児における過活動膀胱を対象として第Ⅲ相段階にあった開発を中止したことを公表しました。2023年11月 アルコール使用障害を対象として第Ⅰ相段階にあったGABAB受容体陽性アロステリック修飾物質ASP8062について、開発を中止したことを公表しました。2023年12月 Propella Therapeutics社 (米国) の買収を完了し、同社が前立腺がん治療薬として開発中の次世代アンドロゲン合成阻害薬PRL-02を獲得しました。本買収により、同社は当社の完全子会社となりました。2023年12月 アゾール系抗真菌剤isavuconazoleについて、小児における侵襲性アスペルギルス症及び侵襲性ムーコル症を適応症として、米国で承認を取得しました。2023年12月 Mass General Brigham社 (米国) との間で、戦略的提携に関する契約を締結しました。 (3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展 当社は、医療用医薬品 (Rx) に留まらず、ペイシェントジャーニー (診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン) 全体において、様々な方法で患者さんに「価値」を届けることを目指しています。私たちはこの取り組みをRx+事業と呼んでいます。「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、Rx+プログラムの事業化に鋭意取り組んでいます。 当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。・精密手術をガイドする蛍光造影剤2023年11月 蛍光造影剤ASP5354 (一般名:pudexacianinium chloride) について、第Ⅲ相試験の最初の症例への投与を実施したことを公表しました。2024年2月 ASP5354について、リンパ節マッピングを実施する乳がん及びメラノーマ患者でのリンパ節の可視化・同定を対象として第Ⅱ相段階にあった開発を中止したことを公表しました。 ・モバイルヘルスケアソリューション2023年6月 Eko Health社 (米国) との間で、同社の最新のデジタル聴診器Eko CORE 500及びAIを活用した心血管疾患検出ソフトウェアについてのグローバル供給・ライセンス契約を締結しました。2023年11月 運動支援サービスFit-eNce及びFit-eNce Homeについて、プログラムを中止したことを公表しました。2024年2月 Welldoc社 (米国) と共同で製品化を進めている糖尿病患者を対象とした疾病自己管理支援のためのデジタルヘルス製品であるBlueStarについて、ロシュDCジャパン株式会社の血糖自己測定器アキュチェックガイドMeとの組合せ医療機器 (注) として2型糖尿病患者を対象とする検証的治験において患者組み入れを開始しました。(注) 診断や治療等に必要な医療機器を組み合わせた状態で、薬事手続がなされているもの ・心疾患患者サポートエコシステム2023年12月 使い切りホルター心電計EG Holterの販売を終了しました。 (4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化 2022年度、9つの最重要課題をサステナビリティ向上のための2つの柱としてまとめ、さらに、社会からの要請の高い環境に関して2つの重要課題を加えて、サステナビリティ方針を策定しました。 2023年度、サステナビリティ方針において、より明確な指標をもって2025年度までのコミットメントの進捗を測るため、約50の指標を設定しました。これらの指標は年度計画に反映され、全社的な取り組み事項として実行されます。 当連結会計年度における代表的なサステナビリティ向上の取り組みとその結果は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,942億円 (前連結会計年度比6.5%増)、売上収益研究開発費比率は18.3%となりました。
FY2023|6,830 文字
6 【研究開発活動】当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」 (注) の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載しています。(注) 患者さんにとって真に重要なアウトカム(治療等による臨床上の成果)を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したもの 当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。(1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ及び中長期にわたり成長を支える重点戦略製品 (注) に優先的に経営資源を振り向けました。上市済の製品については、尿路上皮がん治療剤パドセブや急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。開発後期段階においては、fezolinetantの米国及び欧州における承認申請、ゾルベツキシマブの2つの第Ⅲ相試験における主要評価項目達成等、多くの進展がありました。(注) パドセブ、ゾスパタ、ゾルベツキシマブ、エベレンゾ、fezolinetant、AT132 当連結会計年度におけるXTANDI及び重点戦略製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)当連結会計年度売上:6,611億円 (前連結会計年度比23.7%増)全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は前連結会計年度と比較して増加しました。特にエスタブリッシュドマーケット、日本及びインターナショナルマーケットにおいて処方が伸長し、売上の拡大に貢献しました。追加適応症の開発の主な進捗状況は以下のとおりです。2023年3月 転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相China ARCHES試験において、主要評価項目 (前立腺特異抗原増悪までの期間) を達成したことを公表しました。2023年3月 非転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相EMBARK試験において、主要評価項目 (無転移生存期間) を達成したことを公表しました。 ・尿路上皮がん治療剤パドセブ(一般名:エンホルツマブ ベドチン)当連結会計年度売上:444億円 (前連結会計年度比104.4%増)米国において、これまでに承認を取得した適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングを確立したことにより、売上が増加しました。日本においても、推奨治療オプションとしての浸透が進み、新規患者数が大きく増加し、売上が増加しました。また、欧州においては、2022年4月の承認以降、発売国が着実に拡大し、売上の増加に貢献しました。追加適応症の承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2022年4月 欧州において、白金製剤を含む化学療法及びPD-1又はPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における単剤療法に関し、販売承認を取得しました。2023年3月 中国において、PD-1又はPD-L1阻害剤及び白金製剤を含む化学療法による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象として、第Ⅱ相EV-203試験の結果に基づいた生物学的製剤承認申請が受理されました。2023年4月 米国において、本剤とMerck社 (米国) のPD-1阻害剤KEYTRUDA (一般名:ペムブロリズマブ) との併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がんでシスプラチン不適応の患者における一次治療に関し、迅速承認を取得しました。 ・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)当連結会計年度売上:466億円 (前連結会計年度比36.7%増)高いマーケットシェアを獲得している米国や欧州、日本での継続的な成長に加えインターナショナルマーケットでは発売国が増加するなど、全ての地域で売上が増加しました。追加適応症に関する開発の進捗状況は以下のとおりです。2023年3月 FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者における造血幹細胞移植後の維持療法を対象とした第Ⅲ相MORPHO試験に関し、主要評価項目 (無再発生存期間) を達成しなかったことを公表しました。 ・腎性貧血治療剤エベレンゾ(一般名:ロキサデュスタット)当連結会計年度売上:32億円 (前連結会計年度比23.0%増)欧州においては発売国が増加したことに伴い売上が拡大した一方、日本では市場の競合激化の影響を受け売上が減少しました。開発の進捗状況は以下のとおりです。2022年10月 化学療法に伴う貧血を対象として臨床第Ⅱ相段階にあった開発を当社の権利範囲において中止したことを公表しました。 その他の重点戦略製品に関する開発の主な進捗状況は以下のとおりです。・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名)2022年8月 米国において、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした販売承認申請が受理されました。審査終了目標日は2023年2月22日と定められました。2022年9月 閉経に伴う血管運動神経症状を有するアジア在住女性を対象とした第Ⅲ相MOONLIGHT3試験において、長期安全性を裏付ける52週データが得られたことを公表しました。2022年9月 欧州において、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした販売承認申請が受理されました。2023年2月 米国食品医薬品局から、審査終了目標日を延長する旨の通知を受領しました。新たな審査終了目標日は2023年5月22日と定められました。 ・抗Claudin 18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名)2022年11月 胃腺がん及び食道胃接合部腺がんを対象とした第Ⅲ相SPOTLIGHT試験に関し、主要評価項目 (無増悪生存期間) を達成したことを公表しました。2022年12月 胃腺がん及び食道胃接合部腺がんを対象とした第Ⅲ相GLOW試験に関し、主要評価項目 (無増悪生存期間) を達成したことを公表しました。 ・X連鎖性ミオチュブラーミオパチー (XLMTM) 患者を対象とする遺伝子治療薬AT132 (一般名:resamirigene bilparvovec)2021年9月に米国食品医薬品局から発出された臨床試験差し止め通知の解除に向け、当局と協議を行っています。 また、その他の主要製品の売上は以下のとおりです。・過活動膀胱 (OAB) 治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ (一般名:ミラベグロン)当連結会計年度売上:1,886億円 (前連結会計年度比9.5%増)地域ごとに増減はあったものの、グローバルの売上は拡大しました。 ・免疫抑制剤プログラフ (一般名:タクロリムス水和物)当連結会計年度売上:1,988億円 (前連結会計年度比7.2%増)グローバルの売上は増加しました。 上記以外に、医療用医薬品事業に関する以下の取り組みを行いました。2023年1月 キャンディン系抗真菌剤ファンガード (一般名:ミカファンギンナトリウム) に関し、日本を含む全世界での製造販売承認をSandoz社 (スイス) に譲渡する資産譲渡契約を締結しました。 (2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ当社は、Focus Areaアプローチという研究開発戦略の下、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチで革新的な製品の創出に取り組んでいます。2023年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus (注) として「遺伝子治療」「がん免疫」「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリア」「標的タンパク質分解誘導」の5つを認定しています。(注) Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗等の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの 当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。・Primary Focus 遺伝子治療2022年10月 Taysha Gene Therapies社 (米国) との間で、アデノ随伴ウイルス (AAV) を活用した遺伝子治療プログラムに関する戦略的提携についての契約を締結しました。2023年1月 Selecta Biosciences社 (米国) との間で、遅発型ポンペ病患者を対象とする遺伝子治療薬AT845と併用する候補として、次世代免疫グロブリンGプロテアーゼIdeXorkの独占的ライセンス及び開発に関する契約を締結しました。2023年1月 遺伝子治療薬AT845の第Ⅰ/Ⅱ相FORTIS試験に関して、2022年6月に米国食品医薬品局から受領していた臨床試験差し止め指示が解除されました。 ・Primary Focus がん免疫2022年5月 GO Therapeutics社 (米国) との間で、がん免疫療法の新規抗体開発に向けた戦略的共同研究及びライセンス契約を締結しました。2022年6月 Sutro Biopharma社 (米国) との間で、抗体-薬物複合免疫賦活薬の共同研究・開発に関する全世界における戦略的提携及びライセンスに関する契約を締結しました。2022年6月 抗Claudin 18.2/抗CD3二重特異性抗体ASP2138について、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん、膵臓腺がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2023年3月 二重特異性抗体ASP2074について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2023年3月 二重特異性抗体ASP1002について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2023年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった腫瘍溶解性ウイルスASP9801の開発を中止したことを公表しました。2023年4月 急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群を対象として第Ⅱ相段階に、固形がんを対象として第Ⅰ相段階にあった人工アジュバントベクター細胞ASP7517の開発を中止したことを公表しました。2023年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった人工アジュバントベクター細胞ASP0739の開発を中止したことを公表しました。 ・Primary Focus 再生と視力の維持・回復2022年8月 地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性患者を対象とする細胞医療ASP7317の第Ⅰb相試験における症例スクリーニングを再開しました。 ・Primary Focus ミトコンドリア2023年4月 鎌状赤血球症を対象として第Ⅰ相段階にあったBACH1阻害薬ASP8731/ML-0207の開発を中止したことを公表しました。 ・Primary Focus 標的タンパク質分解誘導2022年6月 KRAS G12D分解誘導薬ASP3082について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2023年2月 ASP3082に関し、KRAS G12D変異を有する膵臓腺がん患者を対象とする開発について、米国食品医薬品局からファストトラック指定を取得しました。 当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。2022年4月 国立大学法人 東京大学との間で、革新的な新薬や医療ソリューションの創出を目指し連携協力する戦略的パートナーシップを開始しました。2022年6月 Mogrify社 (英国) との間で、感音難聴の治療薬創出を目指した再生医療に関する共同研究契約を締結しました。2022年7月 米国カリフォルニア州に、最先端の研究所やオフィススペース等を備えたバイオテクノロジー拠点を新設することを公表しました。2022年8月 JAK阻害剤ペフィシチニブ (一般名) に関し、関節リウマチを適応症として、中国において承認申請を行いました。2022年8月 GABAB受容体陽性アロステリック修飾物質ASP8062について、オピオイド使用障害を対象として臨床第Ⅱ相段階にあった開発を中止したことを公表しました。2022年10月 Pantherna Therapeutics社 (ドイツ) との間で、mRNAを用いたダイレクトリプログラミングによる革新的な再生医療プログラムの創出を目指して、技術検証研究に関する新たな契約を締結しました。2023年4月 感音難聴を対象として第Ⅱ相段階にあったFX-322の開発を中止したことを公表しました。 (3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展 当社は、医療用医薬品 (Rx) に留まらず、ペイシェントジャーニー (診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン) 全体において、様々な方法で患者さんに「価値」を届けることを目指しています。私たちはこの取り組みをRx+事業と呼んでいます。「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、Rx+プログラムの事業化に鋭意取り組んでいます。 当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。・精密手術をガイドする蛍光造影剤2022年9月 蛍光造影剤ASP5354 (一般名:pudexacianinium chloride) について、リンパ節マッピングを実施する乳がん及びメラノーマ患者でのリンパ節の可視化・同定を対象とする第Ⅱ相試験の最初の症例への投与を達成しました。 ・心疾患患者サポートエコシステム2022年6月 日東電工株式会社及び株式会社エムハートとの間で締結した、使い切りホルター心電計「EG HolterTM」のパイロット販売に関する契約に基づき、電子商取引サイトを通じてパイロット販売を開始しました。 ・慢性疾患の重症化予防2022年10月 Tribered社 (フィンランド) が開発したスマートフォン向けゲームアプリ「ムーミンムーブ」を通じた歩行習慣や行動に関するデータを取得・解析することについて、北海道及び青森県とそれぞれ提携しました。2022年10月 株式会社バンダイナムコエンターテインメントと共同開発していた運動支援ゲームアプリについて、開発を中止したことを公表しました。 ・埋め込み型医療機器当社の完全子会社であるアイオタ・バイオサイエンシズ社において、2023年度の臨床試験開始を目標として前臨床試験を行っています。 ・モバイルヘルスケアソリューション2023年3月 ロシュDCジャパン株式会社との間で、同社の血糖自己測定器と、当社がWelldoc社 (米国) と共同で日本において製品化を進めている糖尿病治療支援プログラムBlueStarを、組合せ医療機器 (注) として日本で開発・商業化するための契約を締結したことを公表しました。(注) 診断や治療などに必要な医療機器を組み合わせた状態で、薬事手続がなされているもの (4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化 ・サステナビリティ方針の策定2021年度、マテリアリティ・マトリックスの改定により当社と社会の双方にとっての19の重要課題を選定し、そのうち9つを最重要課題 (マテリアリティ) として特定しました。2022年度は、9つの最重要課題をサステナビリティ向上のための2つの柱としてまとめ、さらに、社会からの要請の高い環境に関して2つの重要課題を加えて、サステナビリティ方針を策定しました。サステナビリティ方針では、当社の2025年度までの中期の優先項目と具体的な取り組みを設定しています。 ・サステナビリティ向上の取り組み当連結会計年度における代表的なサステナビリティ向上の取り組みとその結果は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,761億円(前連結会計年度比12.2%増)、売上収益研究開発費比率は18.2%となりました。
FY2022|7,851 文字
5 【研究開発活動】当社は、グローバル企業として全社員が同じ方向を向き、個々人が関わる持続的な成長に向けた様々な取り組みを力強く着実に進展させるため、当社が提供する患者さんの「価値」について、統一した定義付けを行いました。定義した「価値」は、患者さんにとって真に重要なアウトカム(治療等による臨床上の成果)を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したものです。 当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載しています。当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。 (1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジに加え、重点戦略製品(注)の急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタや尿路上皮がん治療剤パドセブ、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。市販後の適応拡大や開発後期の臨床開発については、中長期にわたる持続的な成長を支える重点戦略製品に優先的に経営資源を振り向けました。日本におけるパドセブの承認取得、欧州におけるエベレンゾの承認取得等、多くの進展がありました。(注)ゾスパタ、パドセブ、ゾルベツキシマブ、エベレンゾ、fezolinetant、AT132 当連結会計年度におけるXTANDI及び重点戦略製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。 ・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)さらなるマーケットアクセスの強化と泌尿器科医への一層の浸透に取り組むとともに、発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータを活用して早期ステージの前立腺がん市場における処方の拡大を図り、販売している全ての地域で売上が増加しました。追加適応症の承認取得及び開発の主な進捗状況は以下のとおりです。2021年4月 欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。2021年12月 米国及び欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象として、全生存期間のデータを添付文書に追加することに関する承認申請を行いました。 ・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)急性骨髄性白血病治療の新たな選択肢として、血液内科専門医やがん専門医への浸透、製品認知度向上やFLT3遺伝子変異検査実施率の向上に取り組むなど、マーケットリーダーとしてのポジショニングの確立を図りました。2021年4月の中国における発売や欧州各国における保険償還開始等により、各地域における売上が増加しました。また、追加適応症の承認取得に向けた各開発段階の試験が進行中です。 ・尿路上皮がん治療剤パドセブ(一般名:エンホルツマブ ベドチン)米国において、これまでに承認を取得していた適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングを確立するとともに、当連結会計年度に追加適応症の承認を取得し、新たな患者層への浸透を図り、売上が増加しました。追加適応症の承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。2021年7月 米国において、シスプラチン不適応で治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんへの追加適応に関する承認を取得しました。2021年7月 米国において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんの適応に関する正規承認を取得しました。2021年11月 日本において、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として発売しました。2022年2月 欧州において、白金製剤を含む化学療法及びPD-1又はPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における単剤療法として、販売承認勧告が採択されました。 ・腎性貧血治療剤エベレンゾ(一般名:ロキサデュスタット)日本においては、マーケットシェアの拡大に取り組み、売上が増加しました。追加適応症の取得に向けた開発の進捗状況は以下のとおりです。2021年8月 欧州において、成人の慢性腎臓病に伴う症候性貧血を適応症として承認を取得しました。本剤は、欧州における最初の低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬です。 その他の重点戦略製品に関する開発の主な進捗状況は以下のとおりです。・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名)2021年7月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした第Ⅲ相SKYLIGHT2試験において、本剤の長期使用を支持する52週データが得られたことを公表しました。2021年10月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした第Ⅲ相SKYLIGHT1試験において、本剤の長期使用を支持する52週データが得られたことを公表しました。2022年3月 閉経に伴う血管運動神経症状を有する女性を対象とした長期安全性を評価する第Ⅲ相SKYLIGHT4試験において、子宮内膜に対する影響を評価する主要評価項目を達成し、欧米での承認申請を支持する試験結果が得られたことを公表しました。2022年3月 閉経に伴う血管運動神経症状を有するアジア在住女性を対象とした第Ⅲ相MOONLIGHT1試験において、事前に定義した有効性に関する評価項目が達成されなかったことを公表しました。 ・抗Claudin 18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名)2021年10月 膵臓腺がんを対象とした第Ⅱ相試験に関し、試験規模拡大のためプロトコルを改訂したことを公表しました。 ・X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)患者を対象とする遺伝子治療薬AT132(一般名:resamirigene bilparvovec)2021年4月 米国や欧州等における承認時期の遅延や対象患者層の変更が生じる前提で資産価値の見直しを行った結果、2020年度第4四半期において無形資産の減損損失を計上したことを公表しました。2021年9月 第Ⅰ/Ⅱ相試験(ASPIRO試験)に関し、重篤な有害事象により、米国食品医薬品局から臨床試験差し止め通知を受領しました。 また、その他の主要製品の売上は以下のとおりです。・過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ(一般名:ミラベグロン)主に欧州と日本において伸長し、グローバルの売上は拡大しました。 ・免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス水和物)欧州や中国で伸長した一方で、米国や日本で売上が減少するなど、地域ごとに増減はあったものの、グローバルの売上は増加しました。また、以下の追加適応の承認を取得しました。2021年7月 米国において、成人及び小児の肺移植における拒絶反応の抑制を適応症として、承認を取得しました。 (2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ当社は、「①病態関連性が高いバイオロジー(注1)」「②汎用性のあるモダリティ/テクノロジー(注2)」「③これらバイオロジー、モダリティ/テクノロジーの2つの要素により解決が期待されるアンメットメディカルニーズの高い疾患」の組合せの集合をFocus Areaと定義し、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチを確立しました。2022年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus(注3)として「遺伝子治療」「がん免疫」「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリアバイオロジー」の4つを認定しています。 (注)1.バイオロジー:疾患の原因のより深い理解2.モダリティ/テクノロジー:拡張性のある治療手段・基盤技術3.Primary Focus:Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗等の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの。各Primary Focusの詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」もご参照ください。 当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。・Primary Focus 遺伝子治療2021年11月 Dyno Therapeutics社(米国)との間で、骨格筋及び心筋を対象とする次世代の遺伝子治療用アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの共同研究・開発に関する提携契約を締結しました。2022年2月 遅発型ポンぺ病患者を対象とする遺伝子治療薬AT845の第Ⅰ/Ⅱ相試験(FORTIS試験)における安全性データを、WORLDSymposium 2022の年次総会で発表しました。 ・Primary Focus がん免疫2021年10月 人工アジュバントベクター細胞ASP7517について、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者を対象とする第Ⅱ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2021年11月 DGKζ阻害剤ASP1570について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2021年12月 人工アジュバントベクター細胞ASP7517について、固形がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2021年12月 抗Claudin 18.2/抗CD3二重特異性抗体ASP2138が、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん、膵臓腺がん患者を対象として臨床第Ⅰ相段階に移行しました。2022年1月 人工アジュバントベクター細胞ASP0739について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。 ・Primary Focus 再生と視力の維持・回復地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性患者を対象とする細胞医療ASP7317の第Ⅰ相試験が進行中です。 ・Primary Focus ミトコンドリアバイオロジー2021年6月 選択的PPARδ調節剤ASP0367/MA-0211(一般名:bocidelpar)について、原発性ミトコンドリアミオパチー患者を対象とする第Ⅱ/Ⅲ相試験の最初の症例への投与を達成しました。2021年7月 Minovia社(イスラエル)との間で、ミトコンドリア機能不全に起因する疾患を対象とする細胞医療プログラムの創成に向けて、共同研究・開発及び商業化に関する全世界における戦略的提携及びライセンスに関する契約を締結しました。2022年3月 鎌状赤血球症を対象として開発予定のBACH1阻害剤ASP8731/ML-0207について、安全性及び忍容性を確認する第Ⅰ相試験の最初の被験者への投与を達成しました。 当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。2021年5月 京都大学イノベーションキャピタル株式会社との間で、両社の強みを組み合わせて国立大学発シーズを発掘・起業支援・育成することによる先進的な研究成果の社会実装推進を目指し、包括的な戦略的連携協定を締結したことを公表しました。2021年6月 ピーナッツアレルギーを対象として第Ⅰ相段階にあったDNAワクチンASP0892の開発中止を決定しました。2021年7月 国立大学法人 東北大学との間で、革新的な医療ソリューションの共創を通じて患者さんの価値を継続的に創造するため、包括的産学連携の第二期契約を締結しました。2021年10月 学校法人順天堂 順天堂大学大学院医学研究科内に、共同研究講座「ダイレクトリプログラミング再生医療学講座」を開設しました。2021年11月 Pantherna社(ドイツ)との間で、mRNAを用いた革新的な再生医療プログラムの創出を目指して、技術検証研究に関する契約を締結しました。2022年2月 肺炎球菌を標的とする次世代型ワクチンASP3772について、Affinivax社(米国)との間で、全世界における開発・商業化に関する独占的な権利を同社へ返還することに関する契約を締結しました。2022年2月 ASP3082が、がん患者を対象として臨床第Ⅰ相段階に移行しました。 (3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展 当社がこれまで医療用医薬品(Rx)事業で培ってきた強みをベースに、最先端の医療技術や異分野の先端技術を融合させることで、Patient Journey(注)全体において患者さんに貢献し、かつ単独で利益を生み出せる事業をRx+事業と定義しています。Rx+事業創出の戦略的方向性を示すRx+ Storyに基づき、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、Rx+プログラムの事業化に鋭意取り組んでいます。(注)Patient Journey:患者さんの生活に関わる、診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン全般 当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。・慢性化疾患の重症化予防2021年7月 株式会社エムハートと共同開発したマイホルターⅡの商業化を開始しました。マイホルターⅡは、ホルター型心電図検査のデータを人工知能を用いたアルゴリズムにより解析するプログラムであり、同社が医療関係者に提供するクラウド心電図解析サービスに実装されました。2021年9月 日東電工株式会社及び株式会社エムハートとの間で、心電計による検査サービスに関する基本合意書を締結しました。2021年9月 自宅で科学的根拠に基づいた運動プログラムを実施できる運動支援サービスFit-eNce Homeの試験販売を開始しました。 ・手術・診断精度向上による患者アウトカム最大化2021年11月 腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤ASP5354(一般名:pudexacianinium chloride)の第Ⅱ相試験のトップライン結果を入手しました。安全性と有効性が確認され、第Ⅲ相試験に進むことを支持する結果が得られました。 (4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化 当社は、社会の持続可能性の向上に貢献していくことが事業を継続していく上で重要であると考えています。満たされない医療ニーズに応える医薬品等を創出することをはじめとした事業活動を通じて製薬会社としての責務を果たすことにより、社会の持続可能性の向上に貢献しています。結果として、当社及びその製品に対する社会からの信頼を獲得し、その獲得した信頼が当社の持続可能性も向上させるという、当社のサステナビリティの考え方に基づいて全社で取り組んでいます。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。・保健医療へのアクセス向上当社は、日本国内や世界において適切な治療方法が存在しないことや、貧困、保健システムの不備、保健医療に関する情報不足が理由で、必要な医療を受けることが困難な状態を「保健医療へのアクセス(ATH:Access to Health)」の課題と捉え、その解決に向けた活動を3つのカテゴリーに分類しています。1.新薬ビジネス:当社が革新的な新薬を創出し患者さんに届ける事業そのもの2.アステラス製品の入手可能性の向上:通常の方法ではアステラス製品を入手できない患者さんへのアクセスを向上させる取り組み3.第三者が実施するATH向上に向けた活動の支援 ・気候変動対策当社は、世界の人々の健康に貢献する企業として、持続可能な社会の発展に貢献していくため、地球環境と調和した事業活動に取り組んでいます。その中でも気候変動対策を経営の重要課題と位置づけ、これまで、研究・製造拠点及び主要オフィスでの再生可能エネルギー由来の電力購入や風力発電・バイオマスボイラー・太陽光発電の導入、営業車両のハイブリッド車への切り替え等、積極的な温室効果ガス排出削減策を実施しています。当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)の提言に基づき、当連結会計年度は、気候変動が事業に与えるリスクと機会に関して、複数のシナリオを想定した分析結果を公開しました。当社は、温室効果ガス排出削減目標を見直し、2050年の長期目標としてネットゼロを宣言する方向で現在検討しており、削減に向けた取り組みを強化していきます。 ・マテリアリティ・マトリックスの改定サステナビリティ課題の潮流の変化、経営計画2021との整合性、製薬業界として対応が必須である課題等を考慮し、19の重要課題を特定しました。さらに、「社会及びアステラスにとっての重要性」の観点から、重要課題を3段階に優先順位付けしました。重要課題の中でもアステラスが課題解決に貢献でき、特に重要度が高い社会課題を、最重要課題として9つ特定しました。当社は9つの最重要課題に取り組むことで、ライフサイエンス領域において人々や社会に提供する価値を重視していく「価値」主導型ライフサイエンスイノベーターへの変革を目指し、社会の期待に応える事業活動の強化を図っていきます。加えて、社会の関心度の高い重要課題、例えば「気候変動とエネルギー」に対しても、ネットゼロ宣言の検討等に取り組んでいきます。 ・イノベーションを生み出す人材・組織に向けた取り組み当社は、グローバル化する事業を支えるためにHR Visionを定め、期待する人材像と目指す組織像を明確化しています。当連結会計年度は、国内外のグループ会社をまたいだ機能別組織に対応した人事制度、及びシステムの構築を進め、報酬水準や報酬構造の整備をグローバルで行うとともにジョブポスティング(社内公募)を展開し、世界中のタレントからベストな人材を配置する「適所適材」を進めました。また当社を、よりイノベーティブな組織へと変革するために、経営計画2021にて定めた組織健全性目標の達成に向けた取り組みとして、主に、アステラスで期待されるリーダーシップ像の明確化と、心理的安全性の高い環境の構築に向けたマネジャー研修の実施、部門間で共通の業績目標を設定し組織間のコラボレーションを促進する評価制度の構築を行いました。また同時に、組織のダイバーシティを促進し、多様な人材が生き生きと活躍できる環境の整備に取り組んでいます。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,460億円(前連結会計年度比9.6%増)、売上収益研究開発費比率は19.0%となりました。
FY2021|7,453 文字
5 【研究開発活動】当社は、当連結会計年度を最終年度とする「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+プログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めてきました。 当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。 (1) 製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求主要製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジや過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガに加え、「経営計画2018」の期間中に発売された急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタや尿路上皮がん治療剤PADCEV、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。 ・XTANDI/イクスタンジについては、更なるマーケットアクセスの強化と泌尿器科医への一層の浸透に取り組むとともに、発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータを活用し、より早期ステージの前立腺がんへの浸透を図りました。・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガについては、継続的な疾患啓発活動による市場拡大を目指すとともに、作用機序及び製品特性である有効性と忍容性のバランスを浸透させることにより、第一選択薬としてのポジショニングの確立を図りました。・ゾスパタについては、2018年12月に日本と米国で、2019年11月に欧州で発売するなど、順調に発売国が拡大しました。また、急性骨髄性白血病治療の新たな選択肢として、血液内科専門医/がん専門医への浸透に取り組むとともに、製品認知度向上やFLT3遺伝子変異検査実施率の向上に取り組むなど、マーケットリーダーとしてのポジショニングの確立を図りました。・PADCEVについては、2019年12月に米国で発売され、尿路上皮がんに対する新たな治療選択肢として、早期の市場浸透を図るとともに、承認を取得した適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングの確立を図りました。・エベレンゾについては、 2019年11月に日本で発売し、新たな作用メカニズムの普及を通じた差別化により市場浸透を図るとともに、ファーストインクラスの低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬としてマーケットシェアの拡大に取り組みました。 これらの製品を含む、中長期にわたる持続的な成長を支える重点後期開発品に優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。中国におけるゾスパタの承認取得、日本におけるエベレンゾの追加適応承認取得や、米国におけるPADCEVの適応拡大を目的とした承認申請等、多くの進展がありました。 各重点後期開発品の開発の主な進捗状況は以下のとおりです。・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)2020年5月 日本において、遠隔転移を有する前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。2020年6月 欧州において、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験で得られた全生存期間のデータを添付文書に追加することに関し、承認申請を行いました。2020年10月 米国において、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験で得られた全生存期間のデータを添付文書に追加することに関し、承認を取得しました。2020年11月 中国において、非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。2021年3月 欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がんへの追加適応に関する販売承認勧告が採択されました。 ・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)2020年12月 未治療のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相LACEWING試験において、主要評価項目(全生存期間の延長)が達成されず、当該試験への患者登録を中止しました。2021年1月 中国において、成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病に関し、条件付き承認を取得しました。2021年3月 再発又は難治性のFLT3遺伝子陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相COMMODORE試験の中間解析において、主要評価項目(全生存期間)を達成したことを公表しました。 ・尿路上皮がん治療剤 PADCEV(一般名:エンホルツマブ ベドチン)2020年9月 白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅲ相EV-301試験に関し、化学療法と比較して主要評価項目である全生存期間が統計学的に有意な延長を示したことを発表しました。2020年10月 抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、白金製剤による化学療法未治療かつシスプラチン不適応の局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅱ相EV-201試験コホート2に関し、良好な結果が得られたことを発表しました。2021年2月 米国において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象として、第Ⅲ相EV-301試験の結果に基づき、生物学的製剤一部変更承認を申請しました。2021年2月 米国において、抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、シスプラチン不適応の局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象として、第Ⅱ相EV-201試験コホート2の結果に基づき、生物学的製剤一部変更承認を申請しました。2021年3月 日本において、治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんの治療薬として、製造販売承認を申請しました。2021年3月 欧州において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴がある、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした承認申請が、迅速審査の指定を受けました。 ・腎性貧血治療剤エベレンゾ(一般名:ロキサデュスタット)2020年4月 欧州において、成人の慢性腎臓病に伴う貧血に関する承認申請を行いました。2020年11月 日本において、透析導入前(保存期)の慢性腎臓病に伴う貧血の追加適応に関する承認を取得しました。 ・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名)2021年2月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状患者を対象とした2つの国際共同第Ⅲ相試験(SKYLIGHT 1及びSKYLIGHT 2)において、プラセボ投与群と比較して、統計学的に有意な血管運動神経症状の頻度及び重症度の改善を示し、全ての主要評価項目を達成したことを公表しました。 ・抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名)胃腺がん及び食道胃接合部腺がんを対象とした第Ⅲ相試験並びに膵臓腺がんを対象とした第Ⅱ相試験が進行中です。 その他、以下の承認取得及び承認申請がありました。2020年5月 過活動膀胱治療剤ベシケア(一般名:コハク酸ソリフェナシン)に関し、2歳以上の小児における神経因性膀胱を追加適応症として、米国において承認を取得しました。2020年12月 免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス)に関し、肺移植における拒絶反応の抑制を追加適応症として、米国において承認申請を行いました。2021年3月 過活動膀胱治療剤ミラベトリック(一般名:ミラベグロン)に関し、新剤型である懸濁液用顆粒(経口徐放性製剤)と既存の錠剤(徐放性製剤)について、3歳以上の小児における神経因性排尿筋過活動の追加適応症に関し、米国において承認を取得しました。 また、当連結会計年度において、以下の販売移管等がありました。2020年10月 精神神経用剤/消化性潰瘍用剤ドグマチール(一般名:スルピリド)に関し、日本において、日医工株式会社への製造販売承認の承継及び販売移管をしました。2020年12月 非ステロイド性消炎・鎮痛剤セレコックス(一般名:セレコキシブ)に関し、日本において、ヴィアトリス製薬株式会社と共同で行っていた販促活動を終了しました。また、2021年7月31日をもってセレコックスに係る製造販売承認を当社から同社に承継し、販売を移管する予定です。2021年3月 機能性ディスペプシア治療剤アコファイド(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物)に関し、日本においてゼリア新薬工業株式会社と行っていた共同販促活動を終了し、当社が行っていた流通・販売を同社に移管しました。 Operational Excellenceの更なる追求の取り組みでは、多面的な視点から全ての活動を見直し、ビジネス基盤の強化を図りました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。2020年11月 当社の完全子会社であるアステラス ファーマ テック株式会社及びアステラスグリーンサプライ株式会社を当社が吸収合併することを決定しました(合併期日:2022年4月1日(予定))。2020年11月 クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(一般名:フィダキソマイシン)に関し、欧州、中東、アフリカ及び独立国家共同体の一部地域において、製造販売承認をTillotts Pharma社(スイス)に承継する資産譲渡契約を締結し、対象国・地域における承継を進めています。2021年1月 国内4カ所目の物流拠点となる九州物流センターを、福岡県北九州市に稼働させました。2021年1月 当社の生産子会社であるアステラス ファーマ テック株式会社の焼津技術センター内に、無菌製剤の製造ラインを新設することを決定し、着工しました。2021年1月 当社子会社のアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.が販売していた進行性前立腺がん治療剤エリガード(一般名:リュープロレリン酢酸塩)について、欧州や中東、独立国家共同体、アジア等におけるライセンスをTolmar International社(アイルランド)に返還しました。また、同社から新たにライセンスを受けてエリガードを販売するRecordati Industria Chimica e Farmaceutica社(イタリア)との間で、製造販売承認の承継及び販売移管に関する契約を締結し、対象国・地域における承継及び移管を進めています。 (2) Focus Areaアプローチによる価値創造当社は、Focus Areaアプローチによる価値創造の取り組みとして、3つの構成要素「①病態関連性が高いバイオロジー」「②汎用性のあるモダリティ/テクノロジー」「③これらバイオロジー、モダリティ/テクノロジーの2つの要素により解決が期待されるアンメットメディカルニーズの高い疾患」の組合せの集合をFocus Areaとして定義し、このFocus Areaに独自の専門性とプラットフォームを構築することで、革新的製品の継続的な創出を目指しています。複数の新薬候補が生み出され、リード化合物が臨床段階まで進んだ時に、Primary Focusという、最優先に経営資源を投下する領域として認定しています。2021年3月現在、Primary Focusとして「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリアバイオロジー」「遺伝子治療」「がん免疫」の4つを認定するとともに、新たに「がん原遺伝子変異」「免疫ホメオスタシス」の2つをPrimary Focus候補として認定しています。「遺伝子治療」においてはオーデンテス セラピューティクス Inc.が、「がん免疫」においてはザイフォス バイオサイエンシズ Inc.が、それぞれ中核拠点としてPrimary Focusのさらなる前進に向けて取り組んできました。さらに、2021年4月には、オーデンテス部門の再編を行い、遺伝子治療の領域に特化した研究・製造部門、開発部門、コマーシャル部門(Astellas Gene Therapiesと総称する)を設置しました。 また、各Primary Focusの進捗に加え、もともと独立していたPrimary Focus同士が有機的につながり始めています。各Primary Focusで研究していたモダリティ/テクノロジーが、他のPrimary Focusでも活用されることで、様々なバイオロジーや疾患への展開が進んでいます。 当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。・遺伝子治療2020年12月 米国食品医薬品局の指示により差し止めとなっていたX連鎖性ミオチュブラーミオパチー患者を対象とする遺伝子治療AT132(一般名:resamirigene bilparvovec)の第Ⅰ/Ⅱ相試験(ASPIRO試験)に関し、米国食品医薬品局から差し止め解除の通知を受領しました。2021年3月 2021年4月1日付でオーデンテス部門を再編し、遺伝子治療の中核拠点の役割を担うAstellas Gene Therapiesを設置することを公表しました。 ・再生と視力の維持・回復2020年9月 ピッツバーグ大学(米国)との間で、後眼部疾患の一つである萎縮型加齢黄斑変性の治療に対する開発候補品創出を目的として、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療に関する共同研究を開始したことを公表しました。 ・がん免疫2020年12月 KaliVir Immunotherapeutics社(米国)と、静脈内投与が可能な腫瘍溶解性ウイルス「VET2-L2」及び2番目となる後続の開発候補品の共同研究開発及び商業化に関する、全世界における独占的ライセンス契約を締結しました。 ・ミトコンドリアバイオロジー2020年4月 ミトコンドリア関連疾患を含むアンメットメディカルニーズの高い、加齢に伴う疾患に対する創薬研究に注力するバイオベンチャー企業であるNanna Therapeutics社(英国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。2020年10月 選択的PPARδ調節剤ASP0367/MA-0211に関し、原発性ミトコンドリアミオパチー治療薬としての開発について、米国においてファストトラック指定を受けました。 ・その他2020年4月 ハーバード大学(米国)と、相互に関心のある革新的治療薬及び技術に関する研究開発に向けた戦略的研究提携体制を構築すべく提携したことを公表しました。2020年7月 オピオイド使用障害の治療における追加維持療法を適応として開発中のGABAB受容体陽性アロステリック修飾物質ASP8062の2つの第Ⅰ相試験に関し、米国国立薬物乱用研究所から、これらの試験に対する助成金を獲得しました。2020年9月 国立大学法人東京大学内の、東京大学ライフサイエンス連携研究教育拠点及び東京大学センター・オブ・イノベーションのそれぞれと、革新的な新薬や医療ソリューションの創出を目指して連携協力して行う取り組みに関する協定を締結しました。2020年10月 これまでPrimary Focusに認定してきた「ASIM(抗原特異的免疫調節)バイオロジー」について、プロジェクトを創出する役割を完了したと判断し、次世代免疫調節技術の研究に移行することを公表しました。2021年3月 学校法人同志社 同志社大学及び公立大学法人和歌山県立医科大学のそれぞれと、AI及び統計学を活用した、医薬品開発の意思決定最適化及び患者さん個別の治療効果推定に関する共同研究について、共同研究契約を締結しました。 (3) Rx+プログラムへの挑戦当社は、中長期にわたる持続的な成長を実現していくため、Rx+プログラムに挑戦しています。当社がこれまで医療用医薬品(Rx)事業で培ってきた強みをベースに、最先端の医療技術や異分野の先端技術を融合させることで、Patient Journey全体において患者さんに貢献し、かつ単独で利益を生み出せる事業をRx+事業と定義しています。Rx+事業創出の戦略的方向性を示すRx+ Storyに基づき、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、事業創出活動に鋭意取り組んでいます。 当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。・慢性疾患の重症化予防2020年4月 株式会社バンダイナムコエンターテインメントと、ゲーム性を取り入れた科学的根拠のある運動プログラムの提供を通じて、運動の継続を支援するスマートフォン等向けアプリの共同開発、試験販売等に関する契約を締結したことを公表しました。2020年9月 神奈川県横浜市、公立大学法人横浜市立大学との産官学連携により開発した、科学的根拠に基づいた2型糖尿病患者に対する運動療法のための運動プログラムについて、神奈川県内のフィットネスクラブを通じて、地域限定でサービスを開始しました。・身体・運動機能の補完・代替2020年10月 バイオエレクトロニクス技術に特化し、画期的な極小体内埋め込み型医療機器に関する技術を有するIota Biosciences社(米国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。・手術・診断精度向上による患者アウトカム最大化2020年10月 腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤ASP5354の開発について、米国食品医薬品局からファストトラック指定を受けました。2021年1月 Actinium Pharmaceuticals社(米国)と、診断と治療を組み合わせるセラノスティクス開発への取り組みの一環として、分子標的型放射線治療に関する共同研究を開始したことを公表しました。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,245億円(前連結会計年度比0.1%増)、売上収益研究開発費比率は18.0%となりました。
FY2020|5,023 文字
5 【研究開発活動】当社は、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+TMプログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。製品価値の最大化に向けた取り組みとして、中長期にわたる持続的な成長を支える6つの重点後期開発品にも優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。 ・前立腺がん治療剤 XTANDI/イクスタンジ (一般名:エンザルタミド)2019年7月 欧州及び日本において、転移性去勢感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認申請を行いました。2019年12月 米国において、転移性去勢感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。2020年2月 非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験の全生存期間の最終解析において、アンドロゲン除去療法と本剤の併用投与群はアンドロゲン除去療法とプラセボ併用投与群と比較して、統計学的に有意な全生存期間の延長を示したことを公表しました。2020年3月 中国において、化学療法施行歴のない、アンドロゲン除去療法が無効の、無症状又は軽度の症状を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんを適応症として発売しました。・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ (一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)2019年4月 成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相ADMIRAL試験において、本剤は救援化学療法と比較して、統計学的に有意な全生存期間の延長を示し、主要評価項目を達成したことを公表しました。2019年5月 米国において、第Ⅲ相ADMIRAL試験で得られた全生存期間延長のデータを添付文書に追加することに関し、承認を取得しました。2019年11月 欧州において、成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を適応症として発売しました。・腎性貧血治療剤エベレンゾ (一般名:ロキサデュスタット)2019年11月 日本において、透析施行中の腎性貧血を適応症として発売しました。2020年1月 日本において、保存期(透析導入前)の慢性腎臓病に伴う貧血の追加適応に関する承認申請を行いました。 ・尿路上皮がん治療剤 PADCEV (一般名:エンホルツマブ ベドチン)2019年11月 当社とSeattle Genetics社はMSD International社(スイス)と、本剤と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (遺伝子組換え) (一般名、製品名:キイトルーダ) の併用療法を評価する、未治療の転移性尿路上皮がん患者を対象とした臨床試験に関し、提携契約を締結しました。 2019年12月 米国において、抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、かつ、術前又は術後の補助化学療法として、あるいは局所進行又は転移した状態において白金製剤による治療歴のある、局所進行性又は転移性尿路上皮がんを適応症としてSeattle Genetics社が発売しました。2020年2月 米国において、切除不能な局所進行性又は転移性尿路上皮がんで、シスプラチンベースの化学療法に不適応の患者における、本剤とペムブロリズマブとの併用による一次治療を対象としてブレークスルーセラピー指定を取得しました。・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬 fezolinetant (一般名)2019年8月 更年期に伴う中等度から重度の血管運動神経症状の患者を対象とした国際共同第Ⅲ試験において、最初の患者への投与を開始したことを公表しました。・抗Claudin18.2モノクローナル抗体 ゾルベツキシマブ (一般名)2019年7月 膵臓腺がん患者を対象とした第Ⅱ相試験において、最初の患者への投与を開始したことを公表しました。 その他、日本において、以下の承認取得や新発売がありました。2019年6月 高血圧症/心房細動治療剤ビソノテープ(一般名:ビソプロロール)に関し、頻脈性心房細動を適応症として、追加剤形であるビソノテープ2mgを販売契約先のトーアエイヨー株式会社と発売しました。 2019年6月 前立腺がん治療剤ゴナックス (一般名:デガレリクス酢酸塩) に関し、維持用量を12週間間隔で投与する新たな用法・用量を可能にするため、追加剤形であるゴナックス皮下注用240mgを発売しました。2019年6月 高コレステロール血症治療剤レパーサ (一般名:エボロクマブ (遺伝子組換え) ) に関し、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない家族性高コレステロール血症及び高コレステロール血症の製造販売承認事項一部変更承認を共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(現アムジェン株式会社)が取得しました。2019年7月 関節リウマチ治療剤スマイラフ (一般名:ペフィシチニブ臭化水素酸塩) に関し、既存治療で効果不十分な関節リウマチ (関節の構造的損傷の防止を含む) を適応症として発売しました。 Focus Areaアプローチによる価値創造への取り組みとして、当社は、最先端の科学に基づき、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせを見出し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出を目指しています。これまでにFocus AreaからPrimary Focusとして特定した「再生と視力の維持・回復」「がん免疫」「ASIM (抗原特異的免疫調節) バイオロジー」「ミトコンドリアバイオロジー」に加え、当連結会計年度においては、Audentes Therapeutics社(米国) の買収に伴い、「遺伝子治療」を新たにPrimary Focusと位置づけました。これらのPrimary Focusへ優先的に経営資源を投下し、研究開発に取り組んでいます。当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。 ・がん免疫2019年9月 国立研究開発法人理化学研究所と、人工アジュバントベクター細胞作製のための基盤技術を利用した細胞製剤に関し、全世界における独占的ライセンス契約を締結し、特定のがん抗原を対象に研究開発、商業化するための権利を獲得しました。2019年12月 Xyphos Biosciences社 (米国) を買収し、同社を当社の完全子会社としました。本買収により、同社が有するCAR-細胞療法 (Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体) に関する技術プラットフォームであるACCEL (Advanced Cellular Control through Engineered Ligands) とともに、がん免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得しました。2020年1月 Adaptimmune社 (英国) と、がん患者を対象とした新たな多能性幹細胞由来の他家T細胞医療製品の共同開発及び商業化に関する契約を締結しました。本契約に基づき、同社と、最大3つの標的分子に対して、特異的に作用する新しいT細胞医療製品候補を共同開発します。 2020年3月 CytomX Therapeutics社 (米国) と、CD3 抗原及びがん細胞表面の抗原を標的とした新規の二重特異性 T 細胞誘導抗体について、がん治療を対象とした共同研究開発及び商業化に関する契約を締結しました。これにより、同社が有するProbody技術プラットフォーム及びその技術を用いた独自の二重特異性抗体とCD3 タンパクを活用して、革新的ながん治療薬の創出を目指します。・ASIM (抗原特異的免疫調節) バイオロジー2019年10月 Pandion Therapeutics社 (米国) と、膵臓の自己免疫疾患に対し局所的に作用する免疫調節薬の研究、開発及び商業化を目的とした提携契約を締結しました。これにより、同社が有するバイオ医薬工学及び免疫学に関する専門性と、当社が有する先端的な新薬研究開発力及びグローバルビジネスにおける豊富な経験を活かし、両社による自己免疫疾患治療薬の創出を目指します。・ミトコンドリアバイオロジー2019年10月 開発中のASP1128に関し、米国において、冠動脈バイパス及び/又は冠動脈弁の手術後の中等度から重度の急性腎障害を発症するリスクが高い患者に対する開発について、ファストトラック指定を受けました。 ・遺伝子治療2020年1月 Audentes Therapeutics社を買収し、同社を当社の完全子会社としました。アデノ随伴ウイルスを活用した独自の遺伝子治療薬の技術プラットフォームや治療薬を自前で製造することができる高い能力に加え、現在、第Ⅰ/Ⅱ相臨床開発段階にあるX染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチーを対象とするAT132をはじめ複数の遺伝子治療プログラムを獲得しました。さらに、患者団体や学術的なパートナー等との貴重な人的ネットワークの取り込みによる、遺伝子治療の領域におけるパートナリングやパイプライン拡大の機会創出を目指します。・その他2019年7月 Frequency Therapeutics社 (米国) と、米国を除く全世界における独占的ライセンス契約を締結し、感音難聴を対象としたプログラムであるFX-322の開発及び商業化に関する権利を獲得しました。2019年7月 Affinivax社 (米国) の多重抗原提示システム技術により創製された肺炎球菌ワクチンであるASP3772の第Ⅰ/Ⅱ相試験の第Ⅱ相パートを開始したことを公表しました。2020年3月 国立大学法人岐阜大学と、次世代ファージセラピー技術を応用した細菌感染症治療法の開発を目的として、岐阜大学大学院医学系研究科内に共同研究講座「ファージバイオロジクス研究講座」を開設しました。 当社は、中長期にわたる持続的な成長を実現していくため、Rx+TM (以下「Rx+」) プログラムに挑戦しています。これまで医療用医薬品 (Rx) 事業で培ってきた強みと最先端の医療技術や異分野の技術・知見を融合させることで、新たなヘルスケアソリューションの創出を目指しています。当連結会計年度は、Rx+事業創出における注力領域を示した戦略的方向性としてRx+ StoryTMを策定しました。これにより、Rx+事業創出の活動は広く機会を探索する段階から強固な基盤を確立する段階に移行します。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。2019年8月 公立大学法人横浜市立大学及び国立大学法人東京藝術大学と、ゲーミフィケーションを用いた新たなデジタルヘルスケアソリューションの創出・実用化を目指し、3者間の産学連携のバーチャルな枠組みとして「Health Mock Lab.」を発足しました。2019年9月 iota Biosciences社 (米国) と、極小の体内埋め込み型医療機器を用いた新たな生体センシング及び治療手段の実現を目指し、共同研究開発契約を締結しました。本契約に基づき、アンメットメディカルニーズの高い複数の疾患を対象として、埋め込み型医療機器の詳細な仕様を検討し、前臨床試験を実施します。2019年11月 Welldoc社 (米国) と、デジタルセラピューティクスの開発及び商業化について、戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、同社が開発した糖尿病を対象としたデジタルヘルス製品であるBlueStarを日本及び一部のアジア地域において共同で開発及び商業化する権利と、米国市場における同製品のアクセス拡大に向けて協働する権利を獲得しました。また、糖尿病以外の複数の疾患を対象にデジタルセラピューティクスのグローバルでの開発及び商業化を進めていきます。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,242億円(前連結会計年度比7.4%増)、売上収益研究開発費比率は17.2%となりました。
FY2019|3,416 文字
5【研究開発活動】当社は、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+TMプログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。製品価値の最大化に向けた取り組みの一環として、2020年度以降の成長を支える6つの重点後期開発品に優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。 ・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、追加剤形であるイクスタンジ錠を日本において2018年6月に発売しました。また、第Ⅲ相PROSPER試験のデータに基づき、米国において同年7月に非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応の承認を取得し、欧州において同年10月にハイリスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応の承認を取得しました。このほか、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相ARCHES試験において、画像診断による無増悪生存期間を有意に延長し、主要評価項目を達成しました。・FLT3阻害剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)に関し、「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」の適応症について、日本において2018年9月に、米国において同年11月に、それぞれ承認を取得し、両国において同年12月に発売しました。また、同適応症について欧州において2019年2月に承認申請しました。・経口投与が可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ロキサデュスタット(一般名、開発コード:ASP1517/FG-4592)に関し、透析期の慢性腎臓病に伴う貧血の適応症について、日本において2018年9月に承認申請を行いました。また、欧州での申請に向けた6つの第Ⅲ相試験の全てにおいて、主要評価項目を達成しました。・これらの進展に加え、選択的ニューロキニン3(NK3)受容体拮抗薬fezolinetant(一般名、開発コード:ESN364)に関し、更年期に伴う血管運動神経症状患者を対象とした後期第Ⅱ相試験において、4つの主要評価項目を全て達成したほか、抗体-薬物複合体エンホルツマブ ベドチン(一般名、開発コード:ASG-22ME)に関し、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅱ相試験のうち、白金製剤による化学療法及び免疫チェックポイント阻害剤による治療歴のある患者群において、良好な結果が得られました。また、抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名、開発コード:IMAB362)に関し、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。 その他、日本において、以下の承認取得、新発売等がありました。 ・MSD株式会社が製造販売する選択的DPP-4阻害剤ジャヌビア(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物)と当社が製造販売する選択的SGLT2阻害剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)の配合剤である2型糖尿病治療剤スージャヌ配合錠を2018年5月に発売しました。・高コレステロール血症治療剤レパーサ(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))に関し、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、高コレステロール血症におけるスタチン不耐性患者を対象とした一部変更承認申請を2018年8月に行いました。・便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(一般名:リナクロチド)に関し、「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の追加適応症について、2018年8月に承認を取得しました。・大環状抗菌剤ダフクリア(一般名:フィダキソマイシン)に関し、「感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)」の適応症について、2018年7月に承認を取得し、同年9月に発売しました。・抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ(遺伝子組換え))に関し、「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」の適応症について、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2018年9月に承認を取得したことを受け、同年11月に発売しました。 ・関節リウマチ治療剤シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え))の追加剤形であるシムジア皮下注200mgオートクリックスを2018年11月に発売しました。・2型糖尿病治療剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)に関し、「1型糖尿病」の追加適応症及び用法・用量の追加について、2018年12月に承認を取得しました。・前立腺がん治療剤ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)に関し、維持用量を12週間間隔で投与する用法・用量追加の一部変更承認及びその用法・用量で用いるゴナックス皮下注用240mgの承認(剤形追加)を2019年1月に取得しました。・高血圧症治療剤ビソノテープ(一般名:ビソプロロール)に関し、「頻脈性心房細動」の追加適応症及び追加剤形であるビソノテープ2mgについて、販売契約先のトーアエイヨー株式会社が、2019年1月に承認を取得しました。・ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤イベニティ(一般名:ロモソズマブ(遺伝子組換え))に関し、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」の適応症について、共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2019年1月に承認を取得したことを受け、同年3月に発売しました。・経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤スマイラフ(一般名:ペフィシチニブ臭化水素酸塩)に関し、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の適応症について、2018年5月に承認申請を行い、2019年3月に承認を取得しました。 Focus Areaアプローチによる価値創造における取り組みの一環として、当社は、最先端の科学に基づき、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの組み合わせをアンメットメディカルニーズの高い疾患に応用することで、革新的な医薬品の創出を目指し、多面的な視点から特定した分野に経営資源を投下しています。また、遺伝子治療や細胞医療等の新しいモダリティを活用した複数の開発プログラムの今後の進展と将来の商業化を見据え、設備投資も行っています。日本においては、抗体の原薬製造設備、遺伝子治療や細胞医療の臨床初期治験薬の製造設備の建設に着工しました。米国においては、再生医療・細胞医療分野での研究開発の加速と製造設備の増強に向けた設備投資を行っています。 これらに加え、外部パートナーとの提携機会も活用しながら、イノベーション創出のための投資を行いました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。 ・2018年8月、ケセラ社(英国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。本買収により、当社は緑内障患者の網膜に治療遺伝子を発現させる遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスを活用した遺伝子治療プログラムを獲得しました。・2018年9月、株式会社遺伝子治療研究所と、全世界における独占交渉のオプション契約を締結し、孤発性筋萎縮性側索硬化症を対象とした遺伝子治療プログラムであるGT0001Xの開発及び商業化に関する権利を獲得しました。・2018年11月、ジュベンタス・セラピューティクス社(米国)と、中国を除く全世界における独占的なオプション及びイセンス契約を締結し、便失禁を対象とした遺伝子治療プログラムであるJVS-100の開発及び商業化に関する権利を獲得しました。・2018年12月、がん免疫関連バイオテクノロジー企業であるポテンザ社(米国)について、2015年に締結した独占的共同研究開発契約に基づく同社を買収する独占的オプション権の行使により、同社を当社の完全子会社としました。これにより、臨床段階にある複数の新規がん免疫療法プログラムを獲得しました。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,087億円(前連結会計年度比5.5%減)、売上収益研究開発費比率は16.0%となりました。
FY2018|3,441 文字
5【研究開発活動】当社は、2018年3月期を最終年度とする「経営計画2015-2017」において、「製品価値の最大化」「イノベーションの創出」「Operational Excellenceの追求」の3つを戦略課題として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めてきました。このうち、持続的な成長の源泉となるイノベーションの創出のために、新薬創出力の一層の強化とともに、新たな機会へも積極的に挑戦しました。これまで注力してきた領域に加え、新たな疾患領域である筋疾患や眼科領域、次世代型ワクチンや細胞医療等の新技術や新治療手段に対しても、外部パートナーとの提携機会を活用しながら、イノベーション創出のための投資を行いました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。 ・2017年4月、国立大学法人京都大学と、京都大学内に先端医療の実現を目指すオープンイノベーションの新たなスキームとしてアライアンス・ステーションを開設し、その枠組みの実施基盤として、京都大学大学院医学研究科に先端医療基盤共同研究講座を設置しました。・2017年5月、臨床開発段階のパイプラインの更なる拡充を図るため、オジェダ社(ベルギー)の買収を完了し、当社の完全子会社としました。本買収により、更年期に伴う血管運動神経症状を対象として開発中のNK3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名、開発コード:ESN364)を獲得しました。・2017年5月、国立大学法人東京大学医科学研究所と、コメ型経口ワクチン「MucoRice」を活用した共同研究の対象範囲を、これまでのコレラ、毒素原性大腸菌に加え、ウイルス性腸管下痢症(例:ノロウィルス)にも拡大する契約を締結しました。さらに同年12月には、東京大学医科学研究所、国立大学法人千葉大学、株式会社朝日工業社と、「MucoRice-CTB」の実用化を目指した共同研究契約を締結しました。・2017年10月、田辺三菱製薬株式会社、第一三共株式会社と、オープンイノベーションの一環として、ドラッグリポジショニング化合物ライブラリーを用いた新たな疾患治療薬の探索プログラムJOINUS(ジョイナス)を共同で実施することに合意し、同プログラムを始動しました。・2017年10月、当社の再生医療や細胞医療研究の国際的拠点であるアステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン(米国)が、細胞医療において免疫拒絶を抑えた多能性幹細胞を作製する技術であるユニバーサルドナー細胞技術を有しているユニバーサル セルズ社(米国)と新規の細胞医療について全世界における研究・開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。さらに2018年2月、当社はユニバーサル セルズ社を買収し、当社の完全子会社としました。・未だ有効な治療法が確立されていないミトコンドリア関連疾患領域における共同研究・開発の提携先であったマイトブリッジ社(米国)について、2017年11月、同社との共同研究・開発提携契約に基づき、当社は同社を完全子会社化する独占的オプション権を行使し、2018年1月に同社は当社の完全子会社となりました。・2018年2月、国立大学法人鳥取大学と、免疫賦活遺伝子搭載腫瘍溶解性ウイルスの開発・商業化に関する全世界における独占的ライセンス契約を締結しました。 臨床開発においては、より優先度の高いプロジェクトに経営資源を集中することにより、開発のスピードアップを図っています。 ・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、2017年9月に、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験で、主要評価項目である無転移生存期間の延長が達成されました。本試験のデータに基づき、非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応に関し、欧州及び米国において2018年1月にそれぞれ承認申請を行いました。また、追加剤形として承認申請していたイクスタンジの錠剤に関し、同年2月、「去勢抵抗性前立腺癌」の適応症で日本における承認を取得しました。・選択的FLT3/AXL阻害薬ギルテリチニブ(一般名、開発コード:ASP2215)に関し、2017年7月に米国、2018年1月に欧州、同年3月に日本において、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定をそれぞれ受けました。さらに、米国においては2017年10月に、成人の再発又は難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の治療として、ファストトラック指定を受けました。また、日本及び米国において2018年3月に、同適応症でそれぞれ承認申請を行いました。 その他、当連結会計年度における主な開発の進展は以下のとおりです。 ・MSD株式会社が製造販売する選択的DPP-4阻害剤ジャヌビア(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物)と当社が製造販売する選択的SGLT-2阻害剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)の配合剤であるスージャヌ配合錠に関し、「2型糖尿病」の適応症について、日本において2017年5月にMSD株式会社が承認申請を行い、2018年3月に同社が承認を取得しました。・過活動膀胱(OAB)治療剤コハク酸ソリフェナシン(一般名)5mgへのOAB治療剤ミラベグロン(一般名)の追加併用に関し、米国において2017年6月に承認申請を行いました。・経口大環状抗菌剤フィダキソマイシン(一般名)に関し、感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)の適応症について、日本において2017年7月に承認申請を行いました。・高コレステロール血症治療剤レパーサ(一般名:エボロクマブ)に関し、追加剤形であるレパーサ皮下注420mgオートミニドーザーについて、当社とアムジェン社(米国)の合弁会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、日本において2017年8月に承認を取得しました。・便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(一般名:リナクロチド)に関し、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)の追加適応症について、日本において2017年9月に承認申請を行いました。・前立腺がん治療剤ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)に関し、日本において2017年11月に追加剤形として12週間徐放性製剤の承認申請を行いました。・CD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブ(遺伝子組換え)(一般名、開発コード:AMG103)に関し、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、日本において2018年1月に再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬として承認申請を行いました。・2型糖尿病治療剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)に関し、日本において2018年1月に1型糖尿病の適応追加の承認申請を行いました。・ムスカリン受容体拮抗剤コハク酸ソリフェナシン(一般名、開発コード:YM905)経口懸濁液に関し、2歳から18歳以下の小児患者における神経因性排尿筋過活動の治療薬として、欧州において2018年2月に承認を取得しました。・抗体-薬物複合体enfortumab vedotin(一般名、開発コード:ASG-22ME)に関し、米国において2018年3月に、チェックポイント阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者の治療に対して、ブレークスルーセラピー(重篤な疾患に対する治療薬の開発と審査の迅速化のための制度の適用)指定を受けました。 なお、ファイザー社(米国)と共同で進めていたエンザルタミド(一般名、開発コード:MDV3100)の進行性トリプルネガティブ乳がんを対象とした開発、及び上皮成長因子受容体(EGFR)変異選択的チロシンキナーゼ阻害剤ナコチニブ(一般名、開発コード:ASP8273)の非小細胞肺がんを対象とした開発について、2017年7月にそれぞれ中止を公表しました。また、バイカル社(米国)とのサイトメガロウイルス血症予防ワクチンに関する技術導入契約について、2018年2月に当社が解約権を行使したため、同年8月に終了する予定です。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,208億円(対前連結会計年度比6.1%増)、対売上高研究開発費比率は17.0%となりました。
FY2017|2,478 文字
6【研究開発活動】当社は、2015年5月に公表した3か年の「経営計画2015-2017」において、「製品価値の最大化」「イノベーションの創出」「Operational Excellenceの追求」の3つを戦略課題として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。このうち、持続的な成長の源泉である「イノベーションの創出」に関しては、新薬創出力の一層の強化を図るとともに、新たな機会の獲得に向けて積極的に挑戦しています。2016年12月、がんに対する抗体医薬を開発するバイオ医薬品企業ガニメド ファーマシューティカルズ社(ドイツ)を買収し、当社の連結子会社としました。後期開発段階の抗体プログラムの獲得により、当社の成長を牽引するがん領域フランチャイズの更なる強化を図ります。また、開発パイプラインの一層の拡充を図るため、2017年3月、医薬品企業オジェダ社(ベルギー)の株主との間で、当社がオジェダ社を買収することに合意し、契約を締結しました。同社は臨床第2相試験段階にある開発化合物を含む、複数の低分子化合物プログラムを有しています。 このほか、これまで注力してきた領域に加え、新たな疾患領域である「筋疾患」「眼科」や、次世代型ワクチンや細胞医療等の新技術・新治療手段に対しても、外部パートナーとの提携機会も活用しながら、イノベーション創出のための投資を行っています。当連結会計年度における外部との提携等の主な取り組みは以下のとおりです。 ・2016年4月、国立研究開発法人産業技術総合研究所と、顧みられない熱帯病の寄生原虫症(シャーガス病)の治療のための創薬に関する共同研究契約を締結しました。・2016年5月、第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社と、革新的医薬品の創出の効率化・加速化を目的として、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得・解析するための共同研究契約の締結を公表しました。・2016年6月、東京大学 医科学研究所と、コレラ、毒素原性大腸菌を対象とした経口コメ型ワクチンに関する共同研究契約を締結しました。・2016年7月、サイトキネティックス社(米国)との骨格筋活性化剤に関する提携契約を改定し、提携範囲を拡大しました。本契約改定により、提携範囲に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を加え、今後、ALSも対象に速筋トロポニン活性化剤 CK-2127107(開発コード)の開発を行います。また、サイトキネティックス社の開発する骨格筋活性化剤 tirasemtiv(一般名)の開発及び商業化に関するオプション権を取得しました。更に、次世代骨格筋活性化剤の創出を目的とした共同研究提携を2017年まで延長しました。・2016年7月、エムピーエム キャピタル社(米国)と共同で、デジタルヘルス領域における投資会社ディジテックス パートナーズ社(米国)を設立しました。・2016年12月、シスメックス株式会社及び第一三共株式会社と血中循環がん細胞の解析法構築に関する基本合意書を締結しました。・2017年1月、オーレイション バイオテック社(米国)と、同社が創製し、慢性鼓膜穿孔の治療薬として開発中のAU-935(開発コード)について、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。・2017年2月、アフィニバックス社(米国)と、同社の多重抗原提示システム技術を利用して創製した肺炎球菌起因疾患を対象としたワクチンについて、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。 臨床開発においては、より優先度の高いプロジェクトに経営資源を集中することにより、開発のスピードアップを図っています。当連結会計年度における主な開発の進展は以下のとおりです。 ・セロトニン・ドパミン拮抗剤クエチアピンフマル酸塩(一般名)の徐放錠(開発コード:FK949E)に関し、日本において2016年8月に、双極性障害におけるうつ症状の改善の効能・効果で承認申請をしました。・高リン血症治療剤キックリン(一般名:ビキサロマー)について、追加剤形として申請していた同剤の顆粒製剤に関し、日本において2016年9月に承認を取得しました。・前立腺がん治療剤イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、日本において2016年9月に追加剤形として錠剤の承認申請をしました。・グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト リンゼス(一般名:リナクロチド、開発コード:ASP0456)に関し、「便秘型過敏性腸症候群」の適応症について、日本において2016年12月に承認を取得しました。・ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤ロモソズマブ(一般名、開発コード:AMG 785)に関し、共同開発を行っているアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、日本において、2016年12月に、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療薬として承認申請をしました。 なお、株式会社UMNファーマとの間で2010年9月に締結した、細胞培養インフルエンザワクチンプログラムASP7374及びASP7373の日本での共同開発及び独占的販売に関する共同事業契約について、2017年3月に解約し、共同事業契約に基づいて当社に付与された全ての権利を同社に返還しました。また、当社は、ASP7374の承認申請を取り下げ、ASP7373の開発を中止しました。また、2017年5月、上皮成長因子受容体(EGFR)変異選択的チロシンキナーゼ阻害剤ナコチニブ(一般名、開発コード:ASP8273)に関し、非小細胞肺がん患者を対象に実施していた臨床第3相試験について、本試験の独立データモニタリング委員会の勧告を受けて、試験への患者組み入れを自主的に中止するとともに、ナコチニブの投与を中止することを決定しました。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,081億円(対前連結会計年度比7.8%減)、対売上高研究開発費比率は15.9%となりました。
FY2016|2,833 文字
6【研究開発活動】当社は、2015年5月に公表した3か年の「経営計画2015-2017」において、「製品価値の最大化」「イノベーションの創出」「Operational Excellenceの追求」の3つを戦略課題として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。このうち、「イノベーションの創出」では、新薬創出力を一層強化するとともに、新たな機会へも積極的に挑戦しています。2016年2月、眼科領域における細胞医療の研究開発に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業であるオカタ セラピューティクス社(米国)(注)を買収し、当社の連結子会社としました。今後、同社の治療用細胞創製力と当社の研究開発基盤を融合し、新たな価値の創出を目指します。(注)2016年5月に社名をアステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシンに変更しています。 このほか、イノベーションの獲得に向けて外部パートナーとの提携機会も積極的に活用しています。当連結会計年度における主な外部との提携等の取り組みは以下のとおりです。 ・2015年4月、2型糖尿病治療剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)及び2型糖尿病治療剤ジャヌビア(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物)に関し、MSD株式会社との日本における配合剤の共同開発・販売に関する基本合意について公表しました。・2015年4月、ユニバーシティ オブ テキサス MD アンダーソン キャンサー センター(米国)と、急性骨髄性白血病を対象としたモノクローナル抗体医薬の研究・開発に関するオプション契約を締結しました。・2015年4月、がん免疫関連バイオテクノロジー企業であるポテンザ社(米国)と、がん免疫療法ポートフォリオの構築について、同社を買収するオプションを含む独占的共同研究開発契約を締結しました。・2015年5月、アノキオン社(スイス)の抗原特異的免疫寛容誘導技術を用いた1型糖尿病、セリアック病の治療薬創製を目指して新たにカンヨス社(米国)を設立し、カンヨス社との間で、同社を買収するオプションを含む当該治療薬創製のための研究提携契約を締結しました。・2015年7月、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と、当社が保有するタンパク質複合体構造情報と産総研が持つ高度なIT創薬技術を活用した共同研究を開始しました。・2015年9月、クロモセル社(米国)と、神経障害性疼痛及び他の疼痛の新しい治療薬開発、商業化のライセンス及び提携に関する契約を締結しました。・2015年10月、イミュノミック セラピューティクス社(米国)と、幅広いアレルギー疾患を対象としたLAMP-vax製品について、全世界における独占的なライセンス契約を締結しました。・2015年12月、当社の連結子会社であるアジェンシス Inc.がベリカム社(米国)と、アジェンシス Inc.が開発した前立腺幹細胞抗原(PSCA)抗体を用いたCAR-T細胞等による養子細胞療法について、開発及び商業化の権利をベリカム社に供与する全世界におけるライセンス契約を締結しました。・2016年1月、クリノ株式会社と、遺伝子治療薬AAV-mVChR1(アデノ随伴ウイルス-改変型ボルボックスチャネルロドプシン1)について、網膜色素変性症を適応疾患とした全世界における開発・商業化のライセンス契約を締結しました。・2016年3月、田辺三菱製薬株式会社と両社における創薬研究の更なる加速を目指し、それぞれが保有する化合物ライブラリーの内、交換可能な約25万化合物ずつを相互に交換・利用する提携契約を締結しました。 臨床開発においては、より優先度の高いプロジェクトに経営資源を集中することにより、開発のスピードアップを図っています。当連結会計年度における主な開発の進展は以下のとおりです。 (グローバル開発プロジェクト)・過活動膀胱治療剤ベシケア(一般名:コハク酸ソリフェナシン)に関し、「5歳から18歳の小児における過活動膀胱」の適応症について、2015年9月に欧州において承認申請をしました。・前立腺がん治療剤XTANDI(一般名:エンザルタミド)の錠剤に関し、米国では2016年2月、欧州では2016年3月に承認申請をしました。 (各地域での開発プロジェクト)◇日本・下痢型過敏性腸症候群治療剤イリボー(一般名:ラモセトロン塩酸塩)に関し、2015年5月に効能・効果追加の承認を取得し、男性のみならず女性の下痢型過敏性腸症候群にも本剤の使用ができるようになりました。・成人関節リウマチ治療剤シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル)に関し、2015年5月に効能・効果追加の承認を取得し、抗リウマチ薬による治療歴のない関節リウマチ(注)にも本剤の使用ができるようになりました。(注)関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが、最新のガイドライン等を参照した上で、患者の状態を評価し、本剤の使用の必要性を慎重に判断する必要あり。・高リン血症治療剤キックリン(一般名:ビキサロマー)の顆粒製剤に関し、2015年9月に承認申請をしました。・PCSK9阻害薬レパーサ(一般名:エボロクマブ)に関し、共同開発を行っているアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2016年1月に「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症」(注)に関する適応症について製造販売承認を取得しました。(注)取得した適応症:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症、ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る。(注)保険診療における本剤の使用については、厚生労働省保険局医療課長通知(保医発0419第1号、平成28年4月19日)により、留意事項が付されています。・グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬リナクロチド(一般名、開発コード:ASP0456)に関し、「成人における便秘型過敏性腸症候群」の適応症について、2016年2月に承認申請をしました。・高リン血症治療剤キックリン(一般名:ビキサロマー)に関し、2016年2月に効能・効果追加の承認を取得し、透析期のみならず保存期の慢性腎臓病にも本剤の使用ができるようになりました。 ◇EMEA(欧州・中東・アフリカ)・末梢性神経障害性疼痛治療剤キューテンザ(一般名:カプサイシン)に関し、2015年8月に欧州において効能・効果追加の承認を取得し、非糖尿病性のみならず糖尿病性神経障害に伴う疼痛にも本剤の使用ができるようになりました。 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,257億円(対前連結会計年度比9.2%増)、対売上高研究開発費比率は16.4%となりました。