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FY2025|13,296 文字
3 【事業等のリスク】文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1)リスクと危機の管理体制花王グループ中期経営計画「K27」では、基本方針として、1.持続可能な社会に欠かせない企業になる、2.投資して強くなる事業への変革、3.社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。気候変動や国際情勢の変化等を背景に、社会・経済環境の不確実性は一層増しています。また、グローバルでの事業展開の進展や事業ポートフォリオの見直しが進む中で、事業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しています。こうしたリスクの変化に対して迅速かつ適切に対応することが求められています。このような事業環境に対して、当社グループは、次のようなリスクと危機の管理を進めています。リスクとは経営目標の達成や事業活動の遂行に対し、不確かさがもたらす影響のことです。内部統制委員会の下の関連委員会の一つであるリスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、脅威をもたらす「リスク」並びにリスクが顕在化した状態である「危機」の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。リスクと危機の管理活動は、経営会議が定期的(年1回)及び必要に応じて適時確認し、取締役会が承認しています。内部統制委員会はリスクと危機の管理状況をモニタリングし、管理の有効性を確認しています。詳細については「第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクのうち、特に重要な14の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。また、少なくとも半期に一度、その時の事業環境の変化を踏まえた主要リスクの見直し(追加等の検討)を行っています。なお、「主要リスク」については、主管部門が対策方針を策定し、進捗管理を行っています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」としてテーマを決めて取り組んでいます。コーポレートリスクのテーマは、年1回、社内リスク調査の結果分析、外部環境の分析、経営幹部ヒアリングをもとに、リスク・危機管理委員会で検討を行い、経営会議でリスクテーマとリスクオーナー(各リスクテーマの責任者:執行役員)を決定しています。リスクオーナーは対策チームを立ち上げて、対応計画の策定、リスクのモニタリング、並びにリスク顕在化時の対応を実施し、年4回開催するリスク・危機管理委員会が進捗管理を行っています。リスクと危機の管理活動のプロセスこれら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性があるリスクです。なお、主要リスクの記載順は重要性を反映しており、当連結会計年度末における認識です。記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 (2)主要リスク14の主要リスクのうち、「コーポレートリスク」として取り組んでいるものについては○を表示しています。また、主要リスクのリスク評価(影響・蓋然性の認識)の変化を対前期で三段階(上昇、状態が変わらない、低下)で示しています。主要リスクの名称コーポレートリスク としての取り組みリスク評価の変化大地震・自然災害・事故〇デジタルトラスト〇 地政学〇原材料調達 市場・競争環境の変化 製品等の品質〇コンプライアンス 人財確保〇パンデミック〇 社会課題への対応 レピュテーション〇為替変動 事業投資 訴訟 リスク評価(影響、蓋然性の認識)の変化:上昇:状態が変わらない:低下 大地震・自然災害・事故 (背景)化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求はますます高まってきています。 (リスクと影響) ・大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市 場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重 大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 (対応)火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するために社内監査に加えて外部機関による定期的な評価を通じて保安力の強化に努めています。大地震、大型台風、洪水等をはじめとする自然災害の発生を想定した対応体制の整備、設備対応並びに社員の教育・啓発、定期訓練を行い、緊急事態に備えています。コーポレートリスクテーマ「大地震・自然災害・BCP対応」として、日本の長期操業停止を想定した首都直下地震、南海トラフ地震、富士山噴火等に対する影響分析と対応検討を進めています。また、海外拠点のBCP強化に取り組んでいます。 デジタルトラスト (背景)当社グループは、ITやAIを活用した事業運営や業務の効率化を進めるとともに、SNSや様々なデータを活かしたビジネスを展開しています。こうしたデジタル技術の普及に伴い、生活者/顧客/従業員が安心してデジタル環境を利用できる“デジタルトラスト”の確立が重要です。デジタル化の進展に伴い、様々な情報資産を扱う中で、その適切な保護は不可欠です。当社では、研究開発・生産・マーケティング・販売等に関する機密情報や多くのお客様の個人情報等を取り扱っており、情報セキュリティポリシーに基づき、情報資産の保護を徹底しています。加えて、主要システムの安定稼働及び事業継続の観点から、サイバー攻撃等への対策強化に取り組んでいます。 (リスクと影響) ・ランサムウェアや標的型メール等によるサイバー攻撃は多様化・巧妙化しています。これらのサイバー攻撃によ り、当社グループの社内システムが影響を受け、事業活動が一時的に停止又は遅延する可能性があります。ま た、当社グループが保有する機密情報や個人情報等が不正に取得される・漏えいするリスクがあります。 ・取引先や委託先等がサイバー攻撃を受けた場合にも、その影響が当社グループに及ぶおそれがあります。 これらの事象が発生した場合、システム停止等による事業活動の中断、復旧対応や損害賠償等の費用の発生、並 びに社会的信用の低下が生じる可能性があります。その結果、目標とする売上高及び利益を確保できず、当社グ ループの経営成績、財政状態及び企業価値に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、人的・組織的対策及び技術的対策を組み合わせ、サイバーセキュリティの継続的な強化に取り組んでいます。人的・組織的対策として、日本及び海外の情報セキュリティ委員会を通じ、当社グループ全体で規程・ルール及び推進体制を整備し、啓発活動や教育等を進めています。技術的対策として、セキュリティ強化に関するロードマップに基づき、アクセス制御・認証(多要素認証等)、監視・検知、脆弱性管理等の対策を強化しています。加えて、ランサムウェア等に備え、隔離(オフライン)環境へのバックアップ取得及び復旧計画を整備し、事業継続性の確保に努めています。サプライチェーンのセキュリティリスクを把握し低減するため、サプライヤー・製造委託先等を対象にセキュリティ対策状況の確認を実施しています。その結果を踏まえ、必要に応じて改善に向けた働きかけを行うなど、サプライチェーン全体としてのセキュリティの強化に取り組んでいます。また、インシデント対応に関する手順を整備し、発生時に迅速かつ適切に対応できる体制の強化に取り組んでいます。重大なインシデントに備え、サイバー保険にも加入しています。重要なリスクや対応状況については、経営層に定期的に報告しています。なお「サイバー攻撃対応」は、コーポレートリスクテーマとして取り組んでいます。機密情報/個人情報保護ならびにAIやSNS活用に伴うリスク対策の強化を加えたデジタルトラスト全般を確立することを目指しています。 地政学 (背景)当社グループが事業展開している複数の国・地域において地政学リスクが高い状態にあります。また、原材料調達を実施している国・地域においても、地政学リスクが高まる可能性があります。 (リスクと影響) ・地政学リスクが高まっている国・地域において、政治的・社会的情勢の不安定化、外交関係の緊迫化、そして、 紛争等により、事業を取り巻く環境が悪化し、人的被害の発生、サプライチェーンの寸断による操業の一時停 止、生活者の購買行動の変化が発生した場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)地政学リスクが高まっている国・地域においてリスクシナリオを作成し、特に注意すべき国・地域に対しては、対応体制を整備し、政治的・社会的状況をモニタリングしています。社員の安全確保に関するガイドラインを策定し、また、原材料調達等のサプライチェーン寸断に伴う事業への影響を確認してサプライチェーンネットワークの強化を進めています。なお、「地政学リスク対応」は、コーポレートリスクテーマとして取り組んでいます。 原材料調達 (背景) 当社グループで使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。 また、原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性 保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企 業としての社会的責任を果たしていく必要があります。 (リスクと影響) ・原材料の市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。 ・原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需給の変動等によ る市況の急激な変化や、サプライヤーのトラブル発生により製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標と する売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。 ・サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社 グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 (対応) 当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁等の施策を行い、その影響の軽減を図っ ています。安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンド サプライヤーの確保を進めています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行い、リスクの低減を 進めています。 一方、持続可能で責任ある調達の実践に向けて、“お取引先とのESG推進活動”ガイドラインを公表し、サプライ チェーン上での人権保護や環境保全の確認を進めています。特にリスクの高いサプライチェーンをハイリスクサプ ライチェーンと定義し、本質的な課題解決に向けて、サプライヤー並びにNGOとの連携の下、取り組んでいます。ま た、原材料の使用量削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。 Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反ゼロに向けた監査体制の整備、 CDPサプライチェーンプログラムの取り組み、また、"お取引先に求めるパートナーシップ要件”ガイドラインを定 め、サプライヤーとの連携を強化しています。 ハイリスクサプライチェーンとして位置づけているパーム油の持続可能な調達を目指し、インドネシアの小規模 農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと 協働で実施しています。 これらの取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。 市場・競争環境の変化 (背景) 「日本を起点としたビジネスモデル」から、「グローバルを軸とするビジネスモデル」への転換を進めています。 ヘルスビューティケア・化粧品事業を中心に、注力ブランドへ経営資源を重点的に配分することで、グローバルに おける競争力の強化を図っています。一方、グローバル市場では、グローバル大手企業による積極的なブランド投 資や新興・地場メーカーの台頭により、競争環境は一層激化しています。 また、顧客のブランドや商品に対する認知・購買・推奨に至るまでのカスタマージャーニーにおける接点は、デ ジタルを中心としたものへと大きく変化し、広告宣伝をしっかりとターゲットにリーチできるメディア戦略がより 重要になってきています。さらに、各国・地域ごとに市場構造や競争環境は異なり、中国市場における需要変動や ASEAN市場での中間層拡大等、事業環境は引き続き変化しています。こうした状況の下、事業ポートフォリオやブラ ンド戦略に加え、取引先との共創を通じた販売・流通のあり方についても、各地域の特性を踏まえた柔軟かつ迅速 な対応が求められています。 (リスクと影響) ・デジタルを起点とした顧客接点の変化によりカスタマージャーニーは大きく変化・多様化し、従来のマスメディ アではリーチできない生活者が増えてきています。更には、プライバシー規制の強化やデジタルプラットフォー ム(EC・SNS等)による顧客データへのアクセス制約、並びにEC/D2C等を中心としたチャネル構造の急速な変化 により、顧客ニーズや購買行動の変化を十分かつタイムリーに把握することが困難となり、その結果、それらを 商品開発、マーケティング等に的確に反映できず、ブランド競争力の低下につながる可能性があります。 ・各国・地域ごとに異なる市場特性、競争環境が急激に変化し、事業ポートフォリオやブランド戦略、販売・流通 の見直しが適切かつタイムリーに行えない場合、事業計画を達成できない可能性があります。 (対応)こうした激化する市場・競争環境の変化に対応するため、注力すべき事業・ブランドを明確化し、経営資源を重点的に配分しています。注力ブランドを軸として、グローバル全体でのブランド一体運営体制の整備を進めることで、ブランド価値の一貫性を確保しつつ、各市場における競争力の向上に取り組んでいます。顧客起点の考え方に基づき、多様化したカスタマージャーニーに対して効果的かつ効率的なコミュニケーション戦略を立案するとともに、社内ナレッジの蓄積を推進しています。さらに、顧客データや市場情報を活用した顧客理解の高度化を進め、顧客ニーズや購買行動の変化を的確かつ迅速に把握し、その知見をマーケティング・販売活動や製品・サービスの改善へ反映することで、ブランド価値の向上を図っています。事業戦略や販売・流通のあり方について、事業とエリアの視点を組み合わせた意思決定により、地域特性に応じた見直しと経営資源配分の最適化を柔軟かつ迅速に進めて行くことを目指しています。 製品等の品質 (背景)当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された生活者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原材料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した生活者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。社会においては、生活者の品質価値の多様化、化学物質の安全性への懸念や環境問題への意識の高まり、さらには、企業の透明性を促す情報開示要求等の変化が起こっており、また、クロスボーダーのモノづくりや商流がグローバルに進展しています。一方、各国・地域は、持続可能な社会や生活者保護の強化を目指して、新たな法規制の枠組み作りに動き出しています。そのような中、当社グループは、市場の多様化と価値観の変化を機会と捉え、新規技術開発に挑戦し、新規分野への事業展開も計画しています。 (リスクと影響) ・重大な品質問題の発生はブランドの問題だけではなく当社グループ全体の信用低下につながる可能性がありま す。また、新たな安全性や環境問題の発生や各国・地域の急激な法規制の変更に対して適切かつ迅速に対応でき ない場合には、タイムリーな商品提供機会を失う可能性があります。 (対応)当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、品質と安全性を確認しています。発売後には、生活者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。化学物質の安全性懸念や環境問題に対する要求に先回りした商品開発の推進、積極的な情報開示による品質保証活動の見える化とステークホルダーとのコミュニケーション強化に取り組んでいます。さらには、各国・地域の新たな法規制に対する影響分析、法規制への適合性を迅速に確認できるシステムの構築に取り組んでいます。また、コーポレートリスクテーマ「重大品質問題対応」として、品質問題により重篤な被害が生じた場合に被害を最小化するための全社対応の強化と、重大品質問題発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。 コンプライアンス (背景)事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、知的財産、環境保全、保安防災、労働安全、化学物質管理、取引管理、情報開示等の法規制等に対する企業の取り組みの強化が求められています。 (リスクと影響) ・世界的競争が激化する中で、差別化、販売スケジュールや製品納期の順守、業績目標達成等の圧力により不正リ スクが高まることが懸念されます。 ・在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッドワークが普及し、働き方の多様化が進む中で、職場での接点が減少 しています。加えて、コンプライアンスに対する過剰な警戒が職場のコミュニケーションを希薄化させ、人間関 係や職場環境に悪影響を及ぼすことがあり、ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクが増加する可 能性があります。 ・当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及 び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応) 当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクについては、トップメッセージやケーススタディ等を通じて気づきを与えています。さらに、職場での相互理解を深めるための取り組みとして、対話促進活動「対話フェス」も行っています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 人財確保 (背景)当社グループの「グローバル・シャープトップ」戦略を支える重要テーマは、最大の強みであり資産でもある「人財」の活力最大化です。しかし、グローバルでの人財の獲得競争は激化しており、また、個人のキャリアや働き方に対する価値観がこれまで以上に多様化しています。 (リスクと影響) ・大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーとなる 人財の獲得と育成が推進できない場合には、中期経営計画「K27」の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)社員活力の最大化に向けて、多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が、大きな挑戦と国や地域、組織を超えた共創により、能力と個性を最大限に発揮するための取り組みを推進しています。多様な人財が集い、活躍できる場を整備(フレキシブルな働き方の推進、DE&I推進、社内公募制度等)することで、人財獲得においての優位性を維持できると考えています。また、自学共生の機会の提供(業務を通した経験の拡大、DX等の先端教育を自律的に学べるプログラムの導入等)や自律的なキャリア形成を促進することで社員のさらなる成長が期待できます。これらの取り組みに加えて、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営については、コーポレートリスクテーマとしても認識し、経営トップをメンバーとする人財企画委員会で毎月議論し、推進しています。 パンデミック (背景)感染症を取り巻く環境は常に変化しており、耐性菌による治療困難な感染症の再拡大を含む新興・再興感染症の出現により、パンデミックの発生が引き続き懸念されています。こうした感染症は拡大の時期や規模を予測しにくいことから、平時から有事を想定した準備や対応策を整えておくことが重要です。 (リスクと影響) ・パンデミックが発生すると、当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生やロックダウン等に より、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。 ・パンデミックにより外出等の日常生活ができなくなると購買行動にも変化をもたらし、化粧品市場等が縮小する 可能性があります。このような事態が発生した場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性が あります。 ・パンデミックにより社員の日常生活が制限され、出社制限や感染予防策の必要、医療へのアクセス制限等が生じ る可能性があります。これにより、社員の健康管理や就労継続に影響が生じ、当社グループの事業活動の安定的 な運営が困難となる可能性があります。 (対応)コーポレートリスクテーマ「パンデミック対応」として、新型コロナウイルス感染症時の経験もふまえ、ガイドラインの改訂や各国行動計画の策定・更新、備蓄品の見直し等を通じて、社員の安全確保と事業継続の両立を図る体制整備を進めています。 社会課題への対応 (背景) 気候変動、プラスチックごみ問題、水資源の枯渇、生物多様性の損失、有害化学物質による汚染、原材料調達を含 むバリューチェーン全体における環境や人権問題、そして、高齢化社会の進行や衛生問題等の社会課題の増大は、健 康、安全、環境等に対する生活者の意識を高め、エシカル消費の潮流やサステナビリティに対する顧客ニーズの高ま りをもたらしています。 これら社会課題の解決に向けて、中期経営計画「K27」とESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)を統合的に推 進しています。原材料の調達から生産、製品の使用、廃棄に至るあらゆる段階でのイノベーションを目指すととも に、社会・環境の両視点から花王が優先的に取り組むべき19の重点取り組みテーマについて目標(KPI)を設定し、 全社全部門が取り組み、社会のサステナビリティへの貢献を目指すと同時に、活動内容を積極的にステークホルダー に開示し透明性の高いエンゲージメントに努めています。 (リスクと影響) ・社会課題の解決に向けた取り組みが目標に対して不十分である、あるいは不十分と見なされた場合、製品やサー ビスを生活者や顧客に受け入れていただけず、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。 ・KLPでコミットメントしたKPIの進捗状況を十分に示せないと、「グリーンウォッシュ」※1 と捉えられる等企業 価値の低下につながる可能性があります。一方、グリーンウォッシュを恐れ、積極的なESGに関する情報開示や発 信を控えると、「グリーンハッシング」※2 として、社会、顧客からの信頼低下のリスクにもつながります。 ・気候変動については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言へ の取組)」で示した「主な事業リスクと機会」に記載している移行リスク(炭素税の導入・引上げ、プラスチッ ク規制の導入、エネルギー価格の上昇、原材料価格の上昇)と物理リスク(異常気象の激甚化)があります。 ・バリューチェーン全体での人権侵害や人権への配慮不足と見なされた場合、社会、顧客からの信頼低下を招き、 事業活動に支障をきたす可能性があります。 ・化学物質に関する規制変更に対して適切かつ迅速に対応できない場合、事業活動への影響だけでなく、社会、顧 客からの信頼低下を招くリスクがあります。 ・サステナビリティに関する情報開示は、日本をはじめグローバル各国・地域で法令や規制等に基づく開示の義務 化が進んでおり、これら法規制を遵守できないと取引機会の損失、企業価値の低下につながる可能性がありま す。 (対応) 事業の成長と社会への貢献の両輪の実現を目指して、ESGコミッティのもとに、重点的に取り組むべきテーマを推 進する4つのESGステアリングコミッティを発足させ、ガバナンス体制を強化しています。ESGステアリングコミッテ ィは「脱炭素」「プラスチック包装容器」「人権・DE&I」「化学物質管理」からなり、テーマごとに執行役員クラス の責任者を置いています。テーマに関する機会とリスクを社会・環境・事業インパクトの面から分析・把握し、対応 計画を立案・推進することで、“ESGよきモノづくり”の実施を確実に進めています。 気候変動に関する対応は、上記ガバナンス体制の下で実施しており、各リスクへの対応策は、「2 サステナビリ ティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)」で示した「主な事業リスクと機会」 の「花王の対応状況」に記載しています。人権を尊重するため、バリューチェーン上のリスクアセスメントを実施し、人権リスクと悪影響を特定・優先順位付け・予防・軽減するとともに、従業員の意識向上と対応プロセスの強化を図っています。 サステナビリティに関する情報開示については、必要な情報を正確に迅速に収集できる体制づくりを進め、事業展 開国の法規制を遵守しています。 ※1 グリーンウォッシュ企業が、製品やサービスについて、環境及びサステナビリティに関する特徴を誇張もしくは大げさに主張したり、それらに関する活動について十分な根拠なく訴求すること。※2 グリーンハッシング企業が、グリーンウォッシュを恐れ、自社の環境に関する取り組みや気候変動対策についての開示や発信を控えること。 レピュテーション (背景)ソーシャルメディアの発展により、企業と生活者のコミュニケーションは多様化し、情報が迅速かつ広範囲に伝わる環境が一般化しています。当社グループにおいても、ソーシャルメディアを活用した多様なマーケティング活動を通じて、生活者とのエンゲージメントの向上を図っています。企業は、エンゲージメント機会を拡大できる一方で、レピュテーション(評判・信用)の形成に関わるリスクが顕在化しやすい状況にあります。 (リスクと影響) ・当社グループは、様々な情報発信やマーケティング活動を行っていますが、これらの活動において不適切又は不 用意な表現が使用された場合、ソーシャルメディア等を通じてネガティブな評判や誤解が拡散され、ブランド価 値や企業の信用を損なう可能性があります。 ・また、事業活動には様々なリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合には、当該リスクそのもの への対応に加え、当該リスクに起因して生じるレピュテーションリスクへの対応も必要となります。顕在化した リスクへの対応や、レピュテーションリスクへの対応が不十分である場合には、ソーシャルメディア等を通じて 企業の対応や姿勢が厳しく評価され、ブランド価値や企業の信用に悪影響を及ぼす可能性があります。 (対応) 当社グループでは、広告等における不適切な表現を防止するため、ESG等の観点を踏まえた事前チェック体制を整 備するとともに、社内教育を実施しています。また、ソーシャルメディアのモニタリングを通じて、リスクの早期発 見に努めています。さらに、リスクが顕在化した場合には、正確な情報や当社グループの考え方・姿勢を適時適切に 公表することで、レピュテーションの維持に努めています。なお、「レピュテーションリスク対応」は、コーポレー トリスクテーマとして取り組んでいます。 為替変動 (背景)為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。 (リスクと影響) ・当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影 響を及ぼす可能性があります。 (対応)外国通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。 事業投資 (背景)当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長やサステナビリティのために積極的な設備投資、M&A等を進めています。これら投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。 (リスクと影響) ・投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、計画との乖離等により期待される効果 が生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理 により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、重要な投資に対して、期待される効果が計画から大きく乖離していないかを四半期決算毎に確認し、経営会議で報告しています。乖離した場合には、関係部門が必要に応じて今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 訴訟 (背景)当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。 (リスクと影響) ・当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、訴 訟等が提起された場合、その動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能 性があります。 (対応)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、当社グループ各国の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。 (3)主要リスクの中期経営計画「K27」との関連性 14の主要リスクのうち、「原材料調達」、「市場・競争環境の変化」、「製品等の品質」、「人財確保」、「社会課題への対応」、「事業投資」を中期経営計画「K27」との関連性が特に大きいリスクと認識して対応しています。
FY2024|12,505 文字
3 【事業等のリスク】文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1)リスクと危機の管理体制花王グループ中期経営計画「K27」では、基本方針として、1.持続可能な社会に欠かせない企業になる、2.投資して強くなる事業への変革、3.社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。気候変動をはじめとする環境問題や人権問題、高齢化社会の進行等の社会課題はますます深刻化するとともに、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの継続等、事業環境は不透明な状況が続いています。また、事業がグローバルに拡大し、様々な分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、次のようなリスクと危機の管理を進めています。リスクとは経営目標の達成や事業活動の遂行に対し、不確かさがもたらす影響のことです。内部統制委員会の下の関連委員会の一つであるリスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、脅威をもたらす「リスク」並びにリスクが顕在化した状態である「危機」の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。リスクと危機の管理活動は、経営会議で定期的(年1回)及び適時確認し、取締役会が承認しています。内部統制委員会はリスクと危機の管理状況をモニタリングし、管理の有効性を確認しています。詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な14の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。また、少なくとも半期に一度、その時の事業環境の変化を踏まえた主要リスクの見直し(追加等の検討)を行っています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」としてテーマを決めて取り組んでいます。コーポレートリスクのテーマは、年1回、社内リスク調査の結果分析、外部環境の分析、経営幹部ヒアリングをもとに、リスク・危機管理委員会で検討を行い、経営会議でリスクテーマとリスクオーナー(責任者:執行役員)を決定しています。リスクオーナーは対策チームを立ち上げて検討を進め、年4回開催するリスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。リスクと危機の管理活動のプロセスこれら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性があるリスクです。なお、主要リスクの記載順は重要性を反映しており、当連結会計年度末における認識です。記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 (2)主要リスク14の主要リスクのうち、「コーポレートリスク」として取り組んでいるものについては○を表示しています。また、主要リスクのリスク評価(影響・蓋然性の認識)の変化を対前期で三段階(上昇、状態が変わらない、低下)で示しています。 主要リスクの名称コーポレートリスクとしての取り組みリスク評価の変化原材料調達 大地震・自然災害・事故○地政学○情報セキュリティ○社会課題への対応○製品等の品質○レピュテーション○パンデミック○人財確保 流通環境の変化 事業投資 コンプライアンス 為替変動 訴訟 リスク評価(影響、蓋然性の認識)の変化:上昇:状態が変わらない:低下 原材料調達 (背景)当社グループで使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。また、原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。 (リスクと影響)・原材料の市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。・原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需給の変動等による市況の急激な変化や、サプライヤーのトラブル発生により製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。・サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 (対応)当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁等の施策を行い、その影響の軽減を図っています。安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの確保を進めています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行い、リスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達の実践に向けて、“お取引先とのESG推進活動”ガイドラインを公表し、サプライチェーン上での人権保護や環境保全の確認を進めています。特にリスクの高いサプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと定義し、本質的な課題解決に向けて、サプライヤー並びにNGOとの連携の下、取り組んでいます。また、原材料の使用量削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反ゼロに向けた監査体制の整備、CDPサプライチェーンプログラムの取り組み、また、“お取引先に求めるパートナーシップ要件”ガイドラインを定め、サプライヤーとの連携を強化しています。ハイリスクサプライチェーンとして位置づけているパーム油の持続可能な調達を目指し、インドネシアの小規模農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと協働で実施しています。これらの取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。 大地震・自然災害・事故 (背景)化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求はますます高まってきています。 (リスクと影響)・大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。・当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 (対応)火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するために社内監査に加えて外部機関による定期的な評価を通じて保安力の強化に努めています。大地震、大型台風、洪水等をはじめとする自然災害の発生を想定した対応体制の整備、設備対応並びに社員の教育・啓発、定期訓練を行い、緊急事態に備えています。コーポレートリスクとして、日本の長期操業停止を想定した首都直下地震、南海トラフ地震、富士山噴火等に対する影響分析と対応検討を進めています。また、海外拠点のBCP強化に取り組んでいます。 地政学 (背景)当社グループが事業展開している欧州や東アジアにおいて地政学リスクの高い状態が続いています。また、原材料調達を実施している国・地域においても地政学リスクが高まる可能性があります。 (リスクと影響)・地政学リスクの高まっている国・地域において、政治的・社会的情勢の不安定化、外交関係の緊迫化、そして、紛争等により、事業を取り巻く環境が悪化し、人的被害の発生、サプライチェーンの寸断による操業の一時停止、生活者の購買行動の変化が発生した場合、当社グループが目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)地政学リスクの高まっている国・地域においてリスクシナリオを作成し、特に注意すべき国・地域に対しては、対応体制を整備し、政治的・社会的状況をモニタリングしています。社員の安全確保に関するガイドラインを策定し、また、原材料調達等のサプライチェーン寸断に伴う事業への影響を確認してサプライチェーンネットワークの強化を進めています。なお、「地政学」は、コーポレートリスクとして取り組んでいます。 情報セキュリティ (背景)当社グループは、ITやAIを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報及びハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。 (リスクと影響)・サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)情報セキュリティの人的・組織的対策としては、日本と海外の情報セキュリティ委員会が花王グループ全体で規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)やSOC(Security Operation Center)を整備し、インシデント発生時の対応体制を強化しています。技術的対策としては、セキュリティ対策の戦略ロードマップを作成し、これに沿ってセキュリティ対策の強化を実施し、定期的に経営会議や監査役に報告を行っています。また、サプライチェーンのセキュリティリスクを把握するためにサードパーティ・ロジスティックス、サプライヤー、製造委託先のセキュリティ対策のヒアリングを実施しています。重大なインシデントに備えサイバー保険への加入も行っています。新事業においても顧客・委託先・協業先等の取引先とTSや個人情報(RNA等の個人関連データを含む)の扱いについて契約で取決めを行い、さらに取扱いや運用のルールを作成し情報管理の徹底を図っています。なお、コーポレートリスクとしてサイバー攻撃対応に取り組んでいます。 社会課題への対応 (背景)気候変動、プラスチックごみ問題、水資源の枯渇、生物多様性の損失、有害化学物質による汚染、原材料調達を含むバリューチェーン全体における環境や人権問題、そして、高齢化社会の進行や衛生問題等の社会課題の増大は、環境や健康等に対する生活者の意識を高め、エシカル消費の潮流やサステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。これら社会課題の解決に向けて、中期経営計画「K27」を実行するとともに、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)を推進しています。原材料の調達から生産、製品の使用、廃棄に至るあらゆる段階でのイノベーションを目指すとともに、社会・環境の両視点から花王が優先的に取り組むべき19の重点取り組みテーマについて目標を設定し、全社全部門がそれぞれの役割の中で取り組んでいます。それらの推進並びに進捗管理を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指すと同時に、活動内容を積極的にステークホルダーに開示し透明性の高いエンゲージメントに努めています。 (リスクと影響)・社会課題の解決に向けた取り組みが目標に対して不十分である、あるいは不十分と見なされた場合、製品やサービスを生活者や顧客に受け入れていただけず、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。・KLPでコミットメントしたKPIの進捗状況を十分に示せないと、「グリーンウォッシュ」※1 と捉えられる等企業価値の低下につながる可能性があります。一方、グリーンウォッシュを恐れ、積極的なESGに関する情報開示や発信を控えると、「グリーンハッシング」※2 として、社会、顧客からの信頼低下のリスクにもつながります。・気候変動については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)」で示した「主な事業リスクと機会」に記載している移行リスク(炭素税の導入・引上げ、プラスチック規制の導入、エネルギー価格の上昇、原材料価格の上昇)と物理リスク(異常気象の激甚化)があります。・人権侵害や人権への配慮不足と見なされた場合、バリューチェーンの維持等の事業活動に支障をきたす可能性があります。・化学物質に関する規制変更に対して適切かつ迅速に対応できない場合、事業活動への影響だけでなく、社会、顧客からの信頼低下を招くリスクがあります。 (対応)事業の成長と社会への貢献の両輪の実現を目指して、ESGコミッティのもとに、重点的に取り組むべきテーマを推進する4つのESGステアリングコミッティを発足させ、ガバナンス体制を強化しています。ESGステアリングコミッティは「脱炭素」「プラスチック包装容器」「人権・DE&I」「化学物質管理」からなり、テーマごとに役員クラスの責任者を置いています。テーマに関する機会とリスクを社会・環境・事業インパクトの面から分析・把握し、対応計画を立案、推進することで、“ESGよきモノづくり”の実施を確実に進めています。気候変動に関する対応は、上記ガバナンス体制の下で実施しており、各リスクへの対応策は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)」で示した「主な事業リスクと機会」の「花王の対応状況」に記載しています。人権侵害ゼロに向けて、バリューチェーン上のリスクアセスメントを実施し、リスクを把握し対応を進めるとともに、社員に対して人権問題に関する啓発を行っています。また、コーポレートリスクとして、社会課題への取り組みに対するステークホルダー等の評価・要請をグローバルで把握することで、レピュテーションリスクの低減に取り組んでいます。 ※1 グリーンウォッシュ企業が、製品やサービスについて、環境及びサステナビリティに関する特徴を誇張もしくは大げさに主張したり、それらに関する活動について十分な根拠なく訴求すること。※2 グリーンハッシング企業が、グリーンウォッシュを恐れ、自社の環境に関する取り組みや気候変動対策についての開示や発信を控えること。 製品等の品質 (背景)当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された生活者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原材料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した生活者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。社会においては、生活者の品質価値の多様化、化学物質の安全性への懸念や環境問題への意識の高まり、さらには、企業の透明性を促す情報開示要求等の変化が起こっており、また、クロスボーダーのモノづくりや商流がグローバルに進展しています。一方、各国・地域は、持続可能な社会や生活者保護の強化を目指して、新たな法規制の枠組み作りに動き出しています。そのような中、当社グループは、市場の多様化と価値観の変化を機会と捉え、新規技術開発に挑戦し、新規分野への事業展開も計画しています。 (リスクと影響)・重大な品質問題の発生はブランドの問題だけではなく当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。また、新たな安全性や環境問題の発生や各国・地域の急激な法規制の変更に対して適切かつ迅速に対応できない場合には、タイムリーな商品提供機会を失う可能性があります。 (対応)当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、品質と安全性を確認しています。発売後には、生活者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。化学物質の安全性懸念や環境問題に対する要求に先回りした商品開発の推進、積極的な情報開示による品質保証活動の見える化とステークホルダーとのコミュニケーション強化に取り組んでいます。さらには、各国・地域の新たな法規制に対する影響分析、法規制への適合性を迅速に確認できるシステムの構築に取り組んでいます。また、コーポレートリスクとして、品質問題により重篤な被害が生じた場合に被害を最小化するための全社対応の強化と、重大品質問題発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。 レピュテーション (背景)ソーシャルメディアの発展と普及により、個人や企業のコミュニケーション手法は多様化し、迅速かつ広範囲に情報を伝えることが可能となりました。企業はソーシャルメディアを通じた、多様なマーケティング活動で、生活者とのエンゲージメントを高められる一方で、ネガティブな情報や誤解も瞬時に広がるため、企業やブランドの評判を損なう「レピュテーションリスク」に注意を払う必要があります。レピュテーションリスクは企業に財務的、非財務的損失を及ぼす可能性があります。 (リスクと影響)・当社グループでは、様々な情報発信やマーケティング活動を行っています。しかし、これらの活動で使用された不適切、又は不用意な表現に対してネガティブな評判や誤解がソーシャルメディア等を通じて拡散されると、レピュテーションリスクとなり、ブランドの価値や企業の信用を損なう可能性があります。・事業活動には様々なリスクが伴います。これらのリスクが顕在化した場合、ソーシャルメディアを通じて企業の対応や姿勢が問われることがあります。顕在化したリスクへの対応に加えて、レピュテーションリスクにも対応が必要であり、適切な対応ができない場合、ブランドの価値や企業の信用を損なう可能性があります。 (対応)当社グループでは、広告等の不適切な表現を防止するために、ESG等の観点を踏まえた事前チェックを行う体制を整備し、社内教育にも力を入れています。また、国内外におけるソーシャルメディアのモニタリングによるリスクの早期発見にも努めています。そして、リスクが顕在化した際には正しい情報や企業姿勢を公表することで、当社グループのレピュテーション(評判・信用)の維持に努めています。レピュテーションリスク対応は、コーポレートリスクとして取り組んでいます。 パンデミック (背景)新型コロナウイルス感染症は、エンデミック※ となり一般の感染予防対応となりましたが、今後も耐性菌による抗生物質が効かない感染症の再来等、新興再興感染症によるパンデミックの発生が危惧されています。 (リスクと影響)・パンデミックが発生すると、当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生やロックダウン等により、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。・パンデミックにより外出等の日常生活ができなくなると購買行動にも変化をもたらし、化粧品市場等が縮小する可能性があります。このような事態が発生した場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。 (対応)パンデミックへの対応強化をコーポレートリスクとした上で、新型コロナウイルス感染症時の経験もふまえ、ガイドラインを改訂し、各国行動計画の策定や備蓄品の見直し等を進めています。 ※ エンデミック(特定感染)一定の地域に一定の罹患率又は一定の季節で日常的に繰り返し発生すること。 人財確保 (背景)当社グループの「グローバル・シャープトップ」戦略を支える重要テーマは、最大の強みであり資産でもある「人財」の活力最大化です。しかし、グローバルでの人財の獲得競争は激化しており、また、個人のキャリアや働き方に対する価値観がこれまで以上に多様化しています。 (リスクと影響)・大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーとなる人財の獲得と育成が推進できない場合には、中期経営計画「K27」の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)社員活力の最大化に向けて、多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が、大きな挑戦と国や地域、組織を超えた共創により、能力と個性を最大限に発揮するための取り組みを推進しています。多様な人財が集い、活躍できる場を整備(フレキシブルな働き方の推進、DE&I推進、社内公募制度等)することで、人財獲得においての優位性を維持できると考えています。また、自学共生の機会の提供(業務を通した経験の拡大、DX等の先端教育を自律的に学べるプログラムの導入等)や自律的なキャリア形成を促進することで社員のさらなる成長が期待できます。これらの取り組みに加えて、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人財企画委員会で毎月議論し、推進しています。 流通環境の変化 (背景)近年、デジタルツールの急速な進化やソーシャルメディアの普及に伴い、流通環境や生活者の購買行動はめまぐるしく変化しています。大手ECプラットフォームやメーカー直販ECをはじめ、ソーシャルコマース※1 やライブコマース※2 等新たなECチャネルが拡大したことで、流通は一段と多様化・複雑化しています。また、リアル店舗とECをシームレスにつなぐOMO※3 が進展し、生活者はこれまで以上に高い利便性とパーソナライズされた購買体験を求めるようになりました。物流に関しては、ドライバー不足や燃料費高騰により、物流コストの増加が顕在化しています。さらに、ドライバー不足対策を目的とした物流効率化法の改正により、ドライバーの荷待ち・荷役時間の短縮やトラックの積載率向上等、荷主として物流効率化に取り組むことが求められています。 (リスクと影響)・流通環境や購買行動の多様化・複雑化に十分対応できない場合、当社グループの販売・マーケティング活動が制約され、目標とする売上高、市場シェア、利益の達成が困難になる可能性があります。・物流環境の変化に適切に対応できない場合、配送の滞りや、物流コストの大幅な増加等、当社グループの事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。 (対応)こうした環境変化に対応するため、当社グループではEC専業企業との連携や流通業とのOMO推進、自社によるライブコマースの実施等、生活者の購買行動の変化に合わせた取り組みを進めています。併せて、SNS上の花王公式アカウント「花王トクトクニュース」を活用した会員獲得を積極的に推進した結果、2024年は830万人(前年比2.2倍)まで拡大しました。会員への情報発信やキャンペーンを通じて店頭への送客を図り、流通業各社との共創を強化しています。さらに、生活者と直接つながる双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」を展開し、生活者に役立つ信頼性の高い情報提供や、「花王公式オンラインショップ」及び、製品やより良いサービスを生活者と共創する「My Kaoメンバーサロン」等を運営しています。これらのダイレクトコミュニケーションを通じ、多様化する流通環境や膨大な情報が溢れる状況下でも、利便性向上だけでなく、花王ブランドへの信頼とロイヤリティ向上につながる活動を継続しています。物流に関しては、国土交通省や経済産業省等が進める「ホワイト物流」推進運動に賛同し、物流効率化や生産性向上に取り組んでいます。自社での取り組みに加え、流通業や他メーカー、物流事業者とも連携し、トラック待機時間削減等のドライバーの作業環境改善、物流平準化、積載率向上等、持続可能な物流体制の構築を目指しています。 ※1 ソーシャルコマースSNS等を通じて商品・サービスを販売するEC形態。※2 ライブコマースインターネット上で動画をライブ配信し、視聴者とやり取りしながら販売するEC形態。※3 OMO(Online Merges with Offline)オンラインとオフラインの垣根をなくし、シームレスな購買体験を提供する手法。 事業投資 (背景)当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長やサステナビリティのために積極的な設備投資、M&A等を進めています。これら投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。 (リスクと影響)・投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、計画との乖離等により期待される効果が生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、重要な投資に対して、期待される効果が計画から大きく乖離していないかを四半期決算毎に確認し、経営会議で報告しています。乖離した場合には、関係部門が必要に応じて今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 コンプライアンス (背景)事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、知的財産、環境保全、保安防災、労働安全、化学物質管理、取引管理、情報開示等の法規制等に対する企業の取り組みの強化が求められています。 (リスクと影響)・世界的競争が激化する中で、差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成等の圧力により不正リスクが高まることが懸念されます。・在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッドワークが普及し、働き方の多様化が進む中で、職場での接点が減少しています。加えて、コンプライアンスに対する過剰な警戒が職場のコミュニケーションを希薄化させ、人間関係や職場環境に悪影響を及ぼすことがあり、ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクが増加する可能性があります。・当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクについては、ケーススタディ等を通じて気づきを与えています。さらに、職場での相互理解を深めるための取り組みとして、対話促進活動「対話フェス」も行っています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 為替変動 (背景)為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。 (リスクと影響)・当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)外国通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。 訴訟 (背景)当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。 (リスクと影響)・当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、訴訟等が提起された場合、その動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、当社グループ各国の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。 (3)主要リスクの中期経営計画「K27」との関連性14の主要リスクのうち、「原材料調達」、「社会課題への対応」、「製品等の品質」、「人財確保」、「流通環境の変化」、「事業投資」を中期経営計画「K27」との関連性が特に大きいリスクと認識して対応しています。
FY2023|12,644 文字
3 【事業等のリスク】(1)リスクと危機の管理体制花王グループ中期経営計画「K27」では、基本方針として、1.持続可能な社会に欠かせない企業になる、2.投資して強くなる事業への変革、3.社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。気候変動をはじめとする環境問題や人権問題、高齢化社会の進行等の社会課題はますます深刻化するとともに、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの継続等、事業環境は不透明な状況が続いています。また、事業がグローバルに拡大し、様々な分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、次のようなリスクと危機の管理を進めています。リスクとは経営目標の達成や事業活動の遂行に対し、不確かさがもたらす影響のことです。内部統制委員会の下の関連委員会の一つであるリスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、脅威をもたらす「リスク」並びにリスクが顕在化した状態である「危機」の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。リスクと危機の管理活動は、経営会議が定期的(年1回)及び適時確認し、取締役会が承認しています。内部統制委員会はリスクと危機の管理状況をモニタリングし、管理の有効性を確認しています。詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な次の15の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。また、少なくとも四半期に一度、その時の事業環境の変化を踏まえた主要リスクの見直し(追加等の検討)を行っています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」としてテーマを決めて取り組んでいます。コーポレートリスクのテーマは、年1回、社内リスク調査の結果分析、外部環境の分析、経営幹部ヒアリングをもとに、リスク・危機管理委員会で検討を行い、経営会議でリスクテーマとリスクオーナー(各リスクテーマの責任者:執行役員)を決定しています。リスクオーナーは対策チームを立ち上げて検討を進め、年4回開催するリスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。リスクと危機の管理活動のプロセスこれら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性があるリスクです。なお、主要リスクの記載順は重要性を反映しており、当連結会計年度末における認識です。記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 (2)主要リスク15の主要リスクのうち、「コーポレートリスク」として取り組んでいるものについて表示(〇)しています。また、主要リスクのリスク評価(影響・蓋然性の認識)の変化を対前期で三段階(上昇、状態が変わらない、低下)で示します。 主要リスクの名称コーポレートリスクとしての取り組みリスク評価の変化原材料調達 社会課題への対応○地政学○大地震・自然災害・事故○製品等の品質○情報セキュリティ○レピュテーション○パンデミック○流通環境の変化 海外事業 事業投資 コンプライアンス 人財確保 為替変動 訴訟 リスク評価(影響、蓋然性の認識)の変化:上昇:状態が変わらない:低下 原材料調達 (背景)当社グループで使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。また、原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。 (リスクと影響)・原材料の市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。・原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需給の変動等による市況の急激な変化や、サプライヤーのトラブル発生により製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。・サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 (対応)当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁等の施策を行い、その影響の軽減を図っています。安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの育成を実施しています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行い、リスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達の実践に向けて、“お取引先とのESG推進活動”ガイドラインを公表し、サプライチェーン上での人権保護や環境保全の確認を進めています。特にリスクの高いサプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと定義し、本質的な課題解決に向けて、サプライヤー並びにNGOとの連携の下、取り組んでいます。また、原材料の使用量削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反ゼロに向けた監査体制の整備、CDPサプライチェーンプログラムの取り組み、また、“お取引先に求めるパートナーシップ要件”ガイドラインを定め、サプライヤーとの連携を強化しています。ハイリスクサプライチェーンとして位置づけているパーム油の持続可能な調達を目指し、インドネシアの小規模農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと協働で実施しています。これらの取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。 社会課題への対応 (背景)気候変動、プラスチックごみ問題、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境問題、サプライチェーン上の人権問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流やサステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。これら社会課題の解決に向けて、中期経営計画「K27」を実行するとともに、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)を推進しています。原材料の調達から生産、製品の使用、廃棄に至るあらゆる段階でのイノベーションを目指すとともに、社会・環境の両視点から花王が優先的に取り組むべき19の重点取り組みテーマについて目標を設定し、全社全部門がそれぞれの役割の中で取り組んでいます。それらの推進並びに進捗管理を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指すと同時に、活動内容を積極的にステークホルダーに開示しエンゲージメントをすることに努めています。 (リスクと影響)・社会課題の解決に向けた取り組みが目標に対して不十分である、あるいは不十分と見なされた場合、製品やサービスを消費者や顧客に受け入れていただけず、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。・KLPでコミットメントしたKPIの進捗状況を十分に示せないと、「グリーンウォッシュ」※1と捉えられる等企業価値の低下につながる可能性があります。・気候変動については、※2に記載している移行リスク(炭素税の導入・引き上げ、プラスチック規制の導入、原材料価格の上昇、生物多様性の保全)と物理的リスク(自然災害)があります。・人権侵害や人権への配慮不足は、サプライチェーンの維持等の事業活動に支障をきたす可能性があります。 (対応)KLPと事業のより一層の一体化を目指して、ESGコミッティのもとに、重点的に取り組むべきテーマを推進する4つのESGステアリングコミッティを2022年4月に発足させ、ガバナンス体制を強化しました。ESGステアリングコミッティは「脱炭素」「プラスチック包装容器」「人権・DE&I」「化学物質管理」からなり、各テーマごとに役員クラスの責任者を置き、それぞれのテーマに関する機会とリスクを社会・環境・事業インパクトの面から分析・把握し、計画を立案、推進することで、ESGよきモノづくりの実施を確実に行い、社会課題解決と事業成長の両立を目指します。気候変動に関する対応は、上記ガバナンス体制の下で実施しており、各リスクへの対応策は、※2で示した移行リスクと物理的リスクの「花王グループの戦略」に記載しています。人権侵害ゼロに向けて、サプライチェーン上のリスクアセスメントを定期的に実施して、リスクを把握し対応を進めるとともに、社員に対して人権問題に関する啓発を行っています。また、コーポレートリスクとして、社会課題への取り組みに対するステークホルダー等の評価をグローバルで把握することで、レピュテーションリスクの低減に取り組んでいます。 ※1 グリーンウォッシュ企業が、製品やサービスについて、環境及びサステナビリティに関する特徴を誇張もしくは大げさに主張したり、それらに関する活動について十分な根拠なく訴求すること。※2 詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)」を参照ください。 地政学 (背景)当社グループが事業展開している欧州や東アジアにおいて地政学リスクの高い状態が続いています。また、原材料調達を実施している国・地域においても地政学リスクが高まる可能性があります。 (リスクと影響)・地政学リスクの高まっている国・地域において、政治的・社会的情勢の不安定化、外交関係の緊迫化、そして、紛争等により、事業を取り巻く環境が悪化し、人的被害の発生、サプライチェーンの寸断による操業の一時停止、生活者の購買行動の変化が発生した場合、当社グループが目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)地政学リスクの高まっている国・地域においてリスクシナリオを作成し、特に注意すべき国・地域に対しては、対応体制を整備し、政治的・社会的状況をモニタリングしています。社員の安全確保に関するガイドラインを策定し、また、原材料調達等のサプライチェーン寸断に伴う事業への影響を確認してサプライチェーンネットワークの強化を進めています。なお、「地政学」は、コーポレートリスクとして取り組んでいます。 大地震・自然災害・事故 (背景)化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求はますます高まってきています。 (リスクと影響)・大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。・当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 (対応)火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するために社内監査に加えて外部機関による定期的な評価を通じて保安力の強化に努めています。大地震、大型台風、洪水等を初めとする自然災害の発生を想定した対応体制の整備、設備対応並びに社員の教育・啓発、定期訓練を行い、緊急事態に備えています。コーポレートリスクとして、日本の長期操業停止を想定した首都直下地震、南海トラフ地震、富士山噴火等に対する影響分析と対応検討を進めています。また、海外拠点のBCP強化に取り組んでいます。 製品等の品質 (背景)当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された消費者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原材料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した消費者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。市場においては、消費者の品質価値の多様化、化学物質の安全性への懸念や環境問題への意識の高まり、さらには、企業の透明性を促す情報開示要求等の変化が起こっており、また、ボーダレス化の進展によるグローバルな商品流通が増加しています。そのような中、各国・地域は、持続可能な社会や消費者保護の強化を目指して、新たな法規制の枠組み作りに動き出しています。一方、当社グループは、市場の多様化と価値観の変化を機会と捉え、新規技術開発に挑戦し、新規分野への事業展開も計画しています。 (リスクと影響)・重大な品質問題の発生はブランドの問題だけではなく当社グループ全体の信用低下につながる可能性があり、また新たな安全性や環境問題の発生や各国・地域の急激な法規制の変更に対して適切かつ迅速に対応できない場合には、タイムリーな商品提供機会を失う可能性があります。 (対応)当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、品質と安全性を確認しています。発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。化学物質の安全性懸念や環境問題に対する要求に先回りした商品開発の推進、積極的な情報開示による品質保証活動の見える化とステークホルダーとのコミュニケーション強化に取り組んでいます。さらには、各国・地域の新たな法規制に対する影響分析、法規制への適合性を迅速に確認できるシステムの構築に取り組んでいます。また、コーポレートリスクとして、品質問題により重篤な被害が生じた場合に被害を最小化するための全社対応の強化と、重大品質問題発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。 情報セキュリティ (背景)当社グループは、ITを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報及びハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。 (リスクと影響)・サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)情報セキュリティの人的・組織的対策としては、日本と海外の情報セキュリティ委員会が花王グループ全体で規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、SOC(Security Operation Center)の整備等のインシデント発生時の対応体制を強化しています。技術的対策としては、セキュリティ対策の戦略ロードマップを作成し、これに沿ってセキュリティ対策の強化を実施し、定期的に経営会議や監査役に報告を行っています。また、サプライチェーンのセキュリティリスクを把握するために過去にサードパーティ・ロジスティックス、サプライヤー、製造委託先のセキュリティ対策のヒアリングを実施しています。重大なインシデントに備えサイバー保険への加入も行っています。新事業においても顧客・委託先・協業先等の取引先とTSや個人情報(RNA等の個人関連データを含む)の扱いについて契約で取決めを行い、さらに取扱いや運用のルールを作成し情報管理の徹底を図っています。なお、「情報セキュリティ」は、コーポレートリスクとして取り組んでいます。 レピュテーション (背景)ソーシャルメディアの発展と普及は、個人による情報発信とその拡散を容易にし、生活者同士又は生活者と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能としました。ソーシャルメディアによる情報発信の中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散されることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、財務的、又は非財務的な損失を被る「レピュテーションリスク」の増加が懸念されています。 (リスクと影響)・当社グループにおいても、ソーシャルメディアを用いた様々な情報発信やブランドのマーケティング活動は年々増加しており、それらの活動で使用された不適切、又は不用意な表現に対する批判的な評価等がSNS等を通じて拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を著しく低下させる可能性があります。 (対応)当社グループでは、ESGの観点を含め、広告の不適切表現を防止する対策として、事前チェック体制の整備と社内教育に取り組んでいます。また、国内外におけるソーシャルメディアのモニタリングを行い、早期のリスク発見にも努めており、事業及びブランドの活動に悪影響を及ぼすレピュテーションリスク事象が発生した場合は、迅速に対応すると同時に、必要に応じて適切なタイミングで、情報や企業姿勢を公表する等、当社グループのレピュテーション(評判・信用)の維持に努めています。なお、「レピュテーション」は、コーポレートリスクとして取り組んでいます。 パンデミック (背景)新型コロナウイルス感染症は、病原性が低いとされるオミクロン株が主流となり、多くの人が自然感染あるいはワクチン接種で免疫を獲得したことによってエンデミック対応に移行しています。しかしながら、引き続き感染力の高い変異ウイルスの出現に注意が必要です。一方、人口増加や環境破壊による病原体を保有する動物とヒトとの接触頻度の増加による新たなウイルスによる感染症の流行、耐性菌による抗生物質が効かない感染症の再来等、新興再興感染症によるパンデミックの発生が危惧されています。 (リスクと影響)・パンデミックが発生すると、当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生やロックダウン等により、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。・パンデミックにより外出等の日常生活ができなくなると購買行動にも変化をもたらし、化粧品市場等が縮小する可能性があります。・このような事態が発生した場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。 (対応)新型コロナウイルス感染症への対応は、エンデミック対応に移行したため、緊急事態対策本部(本部長:代表取締役社長執行役員)を解散し、引き続き変異ウイルスの影響をモニタリングしています。また、コーポレートリスクとして「パンデミック対応」に取り組み、新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応を踏まえて、次のパンデミックに備えて初動対応を強化するために、ガイドライン、行動計画、備蓄品等の見直しを進めています。 流通環境の変化 (背景)デジタルツールの発展や普及とSNSの影響で、流通環境と購買行動は年々変化が見られます。大手Eコマース(EC)プラットフォームやメーカー直販ECでの購買行動の日常化に加え、ソーシャルコマース※1、ライブコマース※2といった新たなECチャネルも年々増加し、流通環境は一層多様化しています。また、リアル店舗とECのシームレスな購買(OMO※3)が進み、生活者はより利便性が高くパーソナライズされた購買体験を求めるようになりました。物流に関しては、物量増に伴うドライバー不足やガソリン等燃料費の高騰によって、物流コストの増加が顕在化しており、また、働き方改革関連法に伴うドライバーの時間外労働の上限規制が、2024年から物流業界にも適用されることもあり、大きな環境変化が見込まれます。 (リスクと影響)・流通環境と購買行動の多様化・複雑化に対し適切な販売・マーケティング活動を展開できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。・物流環境の変化に適切に対応できない場合、配送の滞りや、物流コストの大幅な増加等、当社グループの事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。 (対応)こうした環境の変化を受け、当社グループではEC専業企業との取り組み、リアル流通とのOMOへの取り組みや自社によるライブコマースの推進等、生活者の購買行動変化への対応を進めています。また、SNS花王公式アカウント「花王トクトクニュース」の積極的な会員獲得を推進しており、2023年は380万人まで拡大しました。会員への情報発信やキャンペーンを通じた店頭への送客等を行い、流通業との共創を進めています。さらに、生活者と直接つながる双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」を新たに立ち上げ、生活者に役立つ鮮度や信頼性の高い情報の発信や、利便性を重視した花王公式オンラインショップ、資源循環型社会の実現に貢献するアウトレットモールを運営しています。これら生活者とのダイレクトコミュニケーションを通じ、様々な流通環境の変化や多様な情報があふれる中でも、生活者にとっての利便性向上はもとより、花王に対する信頼性やロイヤリティ向上等につながる活動を進めています。物流に関しては、国土交通省や経済産業省等が進める「ホワイト物流」推進運動に参加し、物流効率化や生産性向上に取り組んでいます。自社での取り組みに加え、流通業や他メーカー、物流事業者とも連携して、トラック待機時間削減等のドライバー作業環境改善、物流平準化、積載率向上等、持続可能な物流体制の構築を目指しています。 ※1 ソーシャルコマースSNSに商品を購入できる機能を追加した販売チャネルの1つ。※2 ライブコマースインターネットでの動画ライブ配信で商品紹介と物販を組み合わせた販売手法。※3 OMO(Online Merges with Offline)オンラインとオフラインの両者を融合させる販売戦略。 海外事業 (背景)当社グループは、成長戦略のひとつとして海外事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想されるアジア等の強化を重視しています。 (リスクと影響)・新型コロナウイルス感染症の影響以外にも、各国における経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢、急激な法規制・税制の変更、模倣品の氾濫、レピュテーションリスク※等が発生する可能性があります。これらの影響により事業計画に大幅な遅れが生じた場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応)当社グループでは、生産・販売国の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国法規制の情報を日々収集し、必要な対応を行っています。特に各国の環境関連規制の強化、製品の安全性・品質関連規制の強化、また、輸出入関連規制の変更の当社グループへの影響に注視しています。一方、模倣品等の知的財産権の侵害については、特にアジア地域を中心とした模倣品対策に注力しており、消費者・顧客に安心して製品を使用していただけるよう取り組んでいます。 ※ 「レピュテーション」を参照。 事業投資 (背景)当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長やESGのために積極的な設備投資、M&A等を進めています。これら投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。 (リスクと影響)・投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、計画との乖離等により期待される効果が生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、重要な投資に対して、期待される効果が計画から大きく乖離していないかを四半期決算毎に確認し、経営会議で報告しています。乖離した場合には、関係部門が必要に応じて今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 コンプライアンス (背景)事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、知的財産、環境保全、保安防災、労働安全、化学物質管理、取引管理、情報開示等の法規制等に対する企業の取り組みの強化が求められています。 (リスクと影響)・世界的競争が激化する中で、差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成等の圧力により不正リスクが高まることが懸念されます。・コロナ禍を契機とした在宅勤務と出社を組み合わせた新しい働き方・ハイブリッドワークが当たり前となり、働く意識や働き方への希望はこれまで以上に個別・多様化の傾向を強くしており、ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクが増加する可能性があります。・当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクについては、ケーススタディ等を通じて気づきを与えています。さらに、職場での相互理解を深めるための取り組みとして、対話促進活動「対話フェス」も行っています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 人財確保 (背景)当社グループは、経営計画を実行する上で、多様な人財が挑戦・共創できる場の創出に努めています。しかし、グローバルでの競争激化により、企業には変化に柔軟に対応していく変革力が従来に増して求められています。また、個人のキャリアや働き方に対する価値観がこれまで以上に多様化し、社会全体で人財の流動化がより一層進んでいます。 (リスクと影響)・大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーとなる人財の獲得と育成が推進できない場合には、中期経営計画「K27」の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループで最も重要な資産は「人財」であるという認識のもと、社員活力の最大化に向けて、多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が、大きな挑戦と国や地域、組織を超えた共創により、能力と個性を最大限に発揮するための取り組みを推進しています。多様な人財が集い、活躍できる場を整備(フレキシブルな働き方の推進、DE&I推進、社内公募制度等)することで、人財獲得においての優位性を維持できると考えております。また、自学共生の機会の提供(業務を通した経験の拡大、DX等の先端教育を自律的に学べるプログラムの導入等)や自律的なキャリア形成を促進することで社員のさらなる成長が期待できます。これらの取り組みに加えて、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人財企画委員会で毎月議論し、推進しています。 為替変動 (背景)為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。 (リスクと影響)・当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)外国通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。 訴訟 (背景)当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。 (リスクと影響)・当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、訴訟等が提起された場合、その動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、当社グループ各国の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。 (3)主要リスクの中期経営計画「K27」との関連性15の主要リスクのうち、「原材料調達」、「社会課題への対応」、「製品等の品質」、「流通環境の変化」、「海外事業」、「事業投資」、「人財確保」を中期経営計画「K27」との関連性が特に大きいリスクと認識して対応しています。
FY2022|13,144 文字
3 【事業等のリスク】(1)リスクと危機の管理体制花王グループ中期経営計画「K25」では、Vision(ビジョン)を、「持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path」と定めて、3つの目的(1)持続可能な社会に欠かせない企業になる、(2)投資して強くなる事業への変革、(3)社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。新型コロナウイルス感染症の世界的流行、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの顕在化等、事業環境は不透明な状況が続いています。また、事業がグローバルに拡大し、様々な分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、次のようなリスクと危機の管理を進めています。当社グループは、経営目標の達成や事業活動に悪影響を与える可能性を「リスク」、このリスクが顕在化した状態を「危機」と定義し、内部統制委員会の下の関連委員会の一つであるリスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、リスクと危機の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。リスクと危機の管理活動は、経営会議が定期的(年1回)及び適時確認し、取締役会が承認しています。内部統制委員会はリスクと危機の管理状況をモニタリングし、管理の有効性を確認しています。詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。持続的な利益ある発展と社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な次の15の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」としてテーマを決めて取り組んでいます。コーポレートリスクのテーマは、年1回、社内リスク調査の結果分析、外部環境の分析、経営幹部ヒアリングをもとに、リスク・危機管理委員会で検討を行い、経営会議でリスクテーマとリスクオーナー(各リスクテーマの責任者:執行役員)を決定しています。リスクオーナーは対策チームを立ち上げて検討を進め、年4回開催するリスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。(主なコーポレートリスクのテーマと対応を「主な取り組み」に記載しています。)リスクと危機の管理活動のプロセスこれら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性があるリスクです。なお、主要リスクの記載順は重要性を反映しており、当連結会計年度末における認識です。記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 (2)主要リスクの内容と主な取り組み主要リスクの内容主な取り組み原材料調達に関するリスク(背景)当社グループで使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。また、原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。 (リスクと影響)原材料の市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。また、原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需給の変動等による市況の急激な変化や、サプライヤーのトラブル発生により製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。また、サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 (対応策)当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁等の施策を行い、その影響の軽減を図っています。安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの育成を実施しています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行いリスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達の実践に向けて、“サプライチェーンにおけるESG推進ガイドライン”を公表し、サプライチェーン上での人権保護や環境保全の確認を進めています。特にリスクの高いサプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと定義し、本質的な課題解決に向けて、サプライヤー並びにNGOとの連携の下、取り組んでいます。また、原材料の使用量削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反ゼロに向けた監査体制の整備、CDPサプライチェーンプログラム等の取り組みを通じてサプライヤーとの連携を強化しており、さらに、パーム油の持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、インドネシアの小規模農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと協働で実施しています。これら取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。社会課題への対応に関するリスク(背景)気候変動、プラスチックごみ問題、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境・人権の問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流やサステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。特に、気候変動は重要な課題であると認識しています※1。これら社会課題の解決に向けて、当社グループは、「環境問題」「高齢化」「パンデミック」「多様化の影響」を花王が重視する社会課題として定め、中期経営計画「K25」を実行するとともに、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)を推進しています。原材料の調達から生産、製品の使用、廃棄に至るあらゆる段階でのイノベーションを目指すとともに、社会・環境の両視点から花王が優先的に取り組むべき19の重点取り組みテーマについて野心的な目標を設定し、全社全部門がそれぞれの役割の中で取り組んでいます。それらの推進並びに進捗管理を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指すと同時に、活動内容を積極的にステークホルダーに開示しエンゲージメントをすることに努めています。 (リスクと影響)こうした社会課題の解決に向けた取り組みが目標に対して不十分である、あるいは不十分と見なされた場合、製品やサービスを消費者や顧客に受け入れていただけず、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。また、KLPでコミットメントしたKPIの進捗状況を十分に示せないと、「ウォッシュ」※2と捉えられる等企業価値の低下につながる可能性があります。上記リスクに加え、気候変動については、※1に記載している移行リスク(炭素税の導入・引き上げ、プラスチック規制の導入、原材料価格の上昇、生物多様性の保全)と物理的リスク(自然災害)があります。 (対応策)KLPと事業のより一層の一体化を目指して、ESGコミッティのもとに、重点的に取り組むべきテーマを推進する4つのESGステアリングコミッティを2022年4月に発足させ、ガバナンス体制を強化しました。ESGステアリングコミッティは「脱炭素」「プラスチック包装容器」「人権・DE&I」「化学物質管理」からなり、各テーマごとに役員クラスの責任者を置き、それぞれのテーマに関する機会とリスクを社会・環境・事業インパクトの面から分析・把握し、計画を立案、推進することで、ESGよきモノづくりの実施を確実に行い、社会課題解決と事業成長の両立を目指します。気候変動に関する対応は、上記ガバナンス体制の下で実施しており、各リスクへの対応策は、※1で示した移行リスクと物理的リスクの「花王グループの戦略」に記載しています。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)社外ステークホルダーコミュニケーションNPO/NGO等との対話を通じて、社会からの要請をグローバルで収集し、その動向を的確に把握することで、KLP推進に際するリスク回避に活かしています。 ※1 詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)」を参照ください。※2 ウォッシュ企業が、製品やサービスについて、環境及びサステナビリティに関する特徴を誇張もしくは大げさに主張したり、それらに関する活動について十分な根拠なく訴求すること。 主要リスクの内容主な取り組み地政学リスクに関するリスク(背景)ロシア・ウクライナ問題等により、当社グループが事業展開している欧州や東アジアにおいて地政学リスクが著しく高まっています。また、原材料調達を実施している国・地域においても地政学リスクが高まる可能性があります。 (リスクと影響)これら国・地域において、政治的・社会的情勢の不安定化や外交関係の緊迫化、紛争等により事業環境が悪化し、当社グループの企業活動に対して、人的被害の発生、サプライチェーンの寸断による操業の一時停止や国・地域間の対立に伴う消費者の購買行動の変化が発生した場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応策)地政学リスクの高い国・地域において、リスクシナリオを作成し、特に注意すべき国・地域に対しては、対応体制を整備し、政治的・社会的状況をモニタリングする等して、対応の強化を進めています。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)地政学リスク対応当期、「地政学リスク対応」をコーポレートリスクテーマに選定しました。社員の安全確保、原材料調達等のサプライチェーンネットワークの確保、レピュテーション対応を中心に対応強化を進めていきます。パンデミックに関するリスク(背景)新型コロナウイルス感染症の拡大は、長期にわたって世界の人々の暮らしに大きな影響をもたらしました。新型コロナウイルス感染症は、病原性が一定程度低いとされるオミクロン株が流行の主流となり、また、多くの人が自然感染あるいはワクチン接種で免疫を獲得したことによって、収束の兆しが見えてきました。しかしながら、地域によっては感染拡大を繰り返しており、また、感染力の高い変異ウイルスの出現等、引き続き不透明な状況が続いています。一方、人口増加、環境破壊、病原体を保有する動物とヒトとの接触頻度の増加等により、今後、新たなウイルス等による大規模なパンデミックの発生頻度が高まることが危惧されています。 (リスクと影響)新型コロナウイルスの変異ウイルスや、新たなウイルス等の発生により、感染急拡大や、重症者が著しく増加するような事態が生じると、当社グループ拠点やサプライチェーン上での集団感染(クラスター)の発生、ロックダウン等により、操業の一時中断、製品・サービス提供への支障が生じる可能性があります。また、外出自粛等日常生活ができなくなることで購買行動に変化をもたらし、化粧品市場等が縮小する可能性があります。このような事態が発生した場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。 (対応策)緊急事態対策本部会議(本部長:代表取締役社長執行役員)を開催し、社員と家族の安全確保、事業活動の継続を中心に、次のような対応を実施しました。・社員と家族に対するワクチン接種の推進・感染拡大国や地域では、特に生活必需品については政府・自治体と連携する等して生産活動を継続・ウイルスの特性の変化と感染状況、各国の規制緩和等を踏まえた勤務体制、働き方の見直し(業務特性に応じたハイブリッド勤務の実施、海外出張規制の緩和等) (主なコーポレートリスクのテーマと対応)パンデミック対応新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応を踏まえて、次のパンデミックに備えたガイドライン、行動計画の見直しを進めています。大地震・自然災害・事故に関するリスク(背景)化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求はますます高まってきています。 (リスクと影響)大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 (対応策)火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するために保安力を強化する取り組みを行っています。自然災害を想定した設備対応と定期訓練を行い、緊急事態に備えています。事故、災害の発生に対しては、緊急事態連絡網を通じてグローバルで把握する仕組みを構築しています。また、首都圏での地震により本社が被災することを想定して、東日本・西日本それぞれに対策組織を整えており、通信手段を強化し、代表取締役社長執行役員等を本部長とする緊急事態対策本部を即時に立ち上げ、人命を第一とした対応計画、事業継続計画(BCP)が実行できるよう、対応の強化を進めています。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)大地震・自然災害・BCP対応近年の気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害に対して、各拠点の水害リスク調査に基づいたハード面ソフト面の対策強化を行うとともに、社員とその家族を守るための防災教育を行いました。また、日本における長期操業停止を想定したBCP策定や、海外拠点のBCP強化に取り組んでいます。 主要リスクの内容主な取り組み製品等の品質に関するリスク(背景)当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された消費者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した消費者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。市場においては、消費者の品質価値の多様化、化学物質の安全性への懸念や環境問題への意識の高まり、さらには、企業の透明性を促す情報開示要求等の変化が起こっており、また、ボーダレス化の進展によるグローバルな商品流通が増加しています。そのような中、各国・地域は、持続可能な社会や消費者保護の強化を目指して、新たな法規制の枠組み作りに動き出しています。一方、当社グループは、市場の多様化と価値観の変化を機会と捉え、新規技術開発に挑戦し、新規分野への事業展開も計画しています。 (リスクと影響)重大な品質問題の発生、新たな安全性や環境問題の発生や各国・地域の急激な法規制の変更に対して適切かつ迅速に対応できない場合、当該ブランドの問題だけではなく、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。 (対応策)当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、品質と安全性を確認しています。発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。また、化学物質の安全性懸念や環境問題に対する要求に先回りした商品開発の推進、積極的な情報開示による品質保証活動の見える化とステークホルダーとのコミュニケーション強化に取り組んでいます。さらには、各国・地域の新たな法規制に対する影響分析、法規制への適合性を迅速に確認できるシステムの構築に取り組んでいます。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)重大品質問題対応品質問題により重篤な被害が生じた場合に被害を最小化するための全社対応の強化と、重大品質問題発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。 情報セキュリティに関するリスク(背景)当社グループは、ITを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報及びハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。 (リスクと影響)サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 (対応策)情報セキュリティの人的・組織的対策としては、日本と海外の情報セキュリティ委員会が花王グループ全体で規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、インシデント発生時の対応体制の強化を進めています。技術的対策としては、セキュリティ対策の戦略ロードマップを作成し、これに沿ってセキュリティ対策の強化を実施し、定期的に経営会議や監査役に報告を行っています。また、サプライチェーンのセキュリティリスクを把握するためにサプライヤーのセキュリティ対策のヒアリングの実施や重大なインシデントに備えサイバー保険への加入も行っています。新事業においても顧客・委託先・協業先等の取引先とTSや個人情報(RNA等の個人関連データを含む)の扱いについて契約で取決めを行い、さらに取扱いや運用のルールを作成し情報管理の徹底を図っています。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)サイバー攻撃・個人情報保護対応花王グループ全体のセキュリティ対策の強化とインシデント発生時の対応手順の明確化を実施しています。また、花王グループ全体のTS・個人情報・情報セキュリティの保護活動の強化を進めています。 主要リスクの内容主な取り組みレピュテーションに関するリスク(背景)ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の広がりは、個人による情報発信とその拡散を容易にし、生活者同士又は生活者と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能としました。SNS等を通じた情報発信の中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散されることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、財務的、又は非財務的な損失を被る「レピュテーションリスク」の増加が懸念されています。 (リスクと影響)当社グループにおいても、SNSを含むデジタルメディアを用いた様々な情報発信やブランドのマーケティング活動は年々増加しており、それらの活動で使用された不適切、又は不用意な表現に対する批判的な評価等がSNS等を通じて拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を著しく低下させる可能性があります。 (対応策)当社グループでは、ESGの観点を含め、広告及びSNS活用時の不適切表現を防止する対策として、事前チェック体制の整備と社内教育に取り組んでいます。また、国内外におけるSNS等のモニタリングを行い、早期のリスク発見にも努めており、事業及びブランドの活動に悪影響を及ぼすレピュテーションリスク事象が発生した場合は、迅速に対応すると同時に、必要に応じて適切なタイミングで、情報や企業姿勢を公表する等、当社グループのレピュテーション(評判・信用)の維持に努めています。 (主なコーポレートリスクのテーマと対応)レピュテーションリスク対応上記の取り組みを進め、より早い段階でリスクを発見できるよう、特にSNS等のモニタリング体制を強化し、レピュテーションリスク発生時の緊急対応体制のさらなる強化を進めています。流通環境の変化に関するリスク(背景)スマートフォンやSNSのさらなる普及に伴い、デジタルを日常的に活用した購買行動へ、よりシフトしています。Eコマースの伸長は継続しており、ソーシャルコマース※1やクイックコマース※2等、あらたな購買チャネルも派生、一方でリアル流通もOMO※3の推進や業態を越えた合併・連携等を進めており、当社グループの流通経路はより多様化・複雑化が進んでいます。物流に関しては、物量増に伴うドライバー不足やガソリン等燃料費の高騰によって、物流コストの増加が顕在化しており、また、働き方改革関連法に伴うドライバーの時間外労働の上限規制が、2024年から物流業界にも適用されることもあり、大きな環境変化が見込まれます。 (リスクと影響)流通経路の多様化・複雑化に対し適切な販売活動を展開できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。物流環境の変化に適切に対応できない場合、配送の滞りや、物流コストの大幅な増加等、当社グループの事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。 ※1 ソーシャルコマースSNSに商品を購入できる機能を追加した販売チャネルの1つ※2 クイックコマース注文から配達まで短時間で届ける仕組みを備えたEコマース※3 OMO(Online Merges with Offline)オンラインとオフラインの両者を融合させる販売戦略 (対応策)こうした変化を受け、当社グループではEコマース専業企業との取り組みを強化するとともに、リアル流通とのOMOへの取り組み、新興企業との連携等も進めています。また、SNSでの花王公式アカウント会員の積極的な獲得を推進しており、「花王トクトクニュース」の登録者数は、2021年の20万人から2022年は212万人まで拡大しました。会員への情報発信やキャンペーンを通じた店頭への送客等、生活者とのダイレクトコミュニケーションを行うと同時に流通業との共創を進める、といった新しいマーケティングにチャレンジし、ロイヤルカスタマーづくりを進めています。化粧品分野においても、オンラインカウンセリングの充実や、ライブコマース※4等のソーシャルメディアの積極的活用を進めており、D2C※5を推進しています。物流に関しては、国土交通省や経済産業省等が進めるホワイト物流推進運動を流通業とともに行っています。流通業のホワイト物流に対する意識が年々向上している環境下において、一過性のコスト対応ではなく、他メーカーや他ベンダーとの連携を含めて、積載率向上や物流平準化といった課題に対して取り組むことで、持続可能な物流体制の構築を目指しています。 ※4 ライブコマースインターネットでの動画ライブ配信で商品紹介と物販を組み合わせた販売手法※5 D2C(Direct to Consumer)自社のEコマースサイトで直接消費者に販売するビジネスモデル 主要リスクの内容主な取り組み海外事業に関するリスク(背景)当社グループは、成長戦略のひとつとして海外事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想されるアジア等の強化を重視しています。 (リスクと影響)しかしながら、事業を進める上で、新型コロナウイルス感染症の影響以外にも、各国における経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢、急激な法規制・税制の変更、模倣品の氾濫、レピュテーションリスク※等が発生する可能性があります。これらの影響により事業計画に大幅な遅れが生じた場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 ※ 「レピュテーションに関するリスク」を参照 (対応策)当社グループでは、生産・販売国の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国法規制の情報を日々収集し、必要な対応を行っています。特に各国の環境関連規制の強化、製品の安全性・品質関連規制の強化、また、輸出入関連規制の変更の当社グループへの影響に注視しています。一方、模倣品等の知的財産権の侵害については、特にアジア地域を中心とした模倣品対策に注力しており、消費者・顧客に安心して製品を使用して頂けるよう取り組んでいます。 事業投資に関するリスク(背景)当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長やESGのために積極的な設備投資、M&A等を進めています。これら投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。 (リスクと影響)投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、計画との乖離等により期待される効果が生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)当社グループは、重要な投資に対して、期待される効果が計画から大きく乖離していないかを四半期決算毎に確認し、経営会議で報告しています。乖離した場合には、関係部門が必要に応じて今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 コンプライアンスに関するリスク(背景)当社グループは、事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、保安、環境保全、化学物質管理、会計基準や税法、労務、取引管理等の様々な法規制の適用を受けています。 (リスクと影響)世界的競争が激化する中で、製品の差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成の圧力等に関連した不正を働く誘因がますます高まることが懸念されます。また、世代間又は社員の多様化による価値観の相違、コロナ禍によりもたらされたリモートワーク等の働き方の急激な変化によるコミュニケーションのすれ違い等により、ハラスメントや労務管理上のコンプライアンスリスクが増加する可能性があります。当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。多様化による価値観の相違やコミュニケーションのすれ違い等によるコンプライアンスリスクについては、ケーススタディ等を通じて気づきを与えています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 主要リスクの内容主な取り組み人財確保に関するリスク(背景)当社グループは、経営計画を実行する上で、多様な人財が挑戦・共創できる場の創出に努めています。現在は、グローバルでの競争激化や日本における超高齢化社会の到来といった潮流に加え、新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、従来に増して変化に柔軟に対応していく変革力が求められています。また、個人のキャリアや働き方に対する価値観がこれまで以上に多様化し、人財の流動化が社会全体でより一層進むと考えられます。 (リスクと影響)大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーの確保と育成が推進できない場合には、新事業・新製品開発におけるイノベーションの加速、中期経営計画「K25」の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)当社グループで最も重要な資産は「人財」であるという認識のもと、社員活力の最大化に向けて、多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が、大きな挑戦と部門や国、組織を超えた共創により、能力と個性を最大限に発揮するための取り組みを推進しています。2021年より全員チャレンジと社内外での連携・共創強化を目的としOKRを導入しました。また、グローバル人財情報システムの活用や、様々な社員意識調査・アンケートの実施による組織力の向上、グローバル共通の等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーによる人財マネジネントや健康増進プログラム、柔軟で多様な就業環境と制度の整備等を実施しています。これらの取り組みに加えて、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人財企画委員会で毎月議論し、推進しています。為替変動に関するリスク(背景)為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。 (リスクと影響)当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)外国通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。訴訟に関するリスク(背景)当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。 (リスクと影響)当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、訴訟等が提起された場合、その動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、各国の関係会社の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。 (3)主要リスクの中期経営計画「K25」との関連性15の主要リスクの内、「原材料調達に関するリスク」、「社会課題への対応に関するリスク」、「製品等の品質に関するリスク」、「流通環境の変化に関するリスク」、「海外事業に関するリスク」、「事業投資に関するリスク」、「人財確保に関するリスク」を中期経営計画「K25」との関連性が特に大きいリスクと認識して対応しています。
FY2021|11,489 文字
2 【事業等のリスク】花王グループ中期経営計画「K25」では、Vision(ビジョン)を、「持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path」と定めて、3つの目的(1)持続可能な社会に欠かせない企業になる、(2)投資して強くなる事業への変革、(3)社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化し、事業環境は不透明な状況が続いています。また、事業がグローバルに拡大し、様々な分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、次のようなリスクと危機の管理を進めています。当社グループは、経営目標の達成や事業活動に悪影響を与える可能性を「リスク」、このリスクが顕在化した状態を「危機」と定義し、リスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、リスクと危機の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。持続的な利益ある発展と社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な次の14の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」と定めて、年1回、社内外のリスク分析と経営陣へのヒアリングを基に、経営会議でリスクテーマと各テーマ対応の責任者(執行役員)を選定し、リスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。また、リスクと危機の管理活動について、定期的(年1回)及び適時、経営会議及び取締役会に報告しています。(★主なコーポレートリスクのテーマと対応を「主な取り組み」に記載しています。)これら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性をもつリスクであり、当連結会計年度末における認識です。なお、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 主要リスクの内容主な取り組み新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会・経済活動や世界の人々の暮らしに引き続き大きな影響をもたらしています。世界各国でワクチン接種が進むものの、変異ウイルスの拡大もあり、経営環境は依然として不透明な状況が続いています。新型コロナウイルス感染症の拡大の長期化は、生活者の衛生に対する意識の変化や、外出自粛やマスク着用の常態化に伴うメイク等に対する価値観の変化、また、Eコマース利用の急増等の消費行動の変化をもたらしています。このような中で、当社グループの主要市場である日本のトイレタリー市場は、繰り返される感染症の再拡大や昨年発生した需要拡大の反動により、本格的な回復には至っていません。また、化粧品市場は、各地で続いた緊急事態宣言の影響が大きく、回復の力強さは見られない状況にあります。以上の環境下における、新型コロナウイルス感染症の拡大と生活者の変化に伴うリスクは次のようなものがあり、適切な対応ができない場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。・感染力の高い変異ウイルスの影響等による、当社グループ拠点やサプライチェーン上での集団感染(クラスター)の発生、又は、国や自治体からの要請に伴う、操業の一時中断や製品・サービス提供への支障・リモートワークができない業務が原因となる商品開発や発売計画の遅れ・感染再拡大や長期化による、化粧品市場等の回復の遅れ・生活者の意識や価値観の変化、消費行動の変化への対応不足による競争力の低下 新型コロナウイルス感染症への対応として、緊急事態対策本部会議(本部長:代表取締役社長執行役員)を開催して、社員と家族の安全確保、事業活動の継続を中心に、次のような対応を実施しました。・国や自治体の方針、又は、感染状況に応じた勤務体制、働き方(リモートワーク・在宅勤務の推進、出張制限、研修・イベント・見学の制限等)を「危機管理措置」として実施・社員と家族における感染者・濃厚接触者等の状況を把握し、対象者のケアとクラスター発生防止対策の実施・社員と家族に対するワクチンの職域接種の実施・感染拡大国や地域における、感染防止対策の強化と、当社グループ会社間の連携による事業継続活動の実施・業務のデジタル化の一層の推進と、リモートワーク等の新しい働き方に対する会社制度の見直しまた、事業戦略として、コアブランドへの集中投資や新しい生活様式に対応するデジタル化の推進、Eコマースの強化等に取り組みました。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<パンデミック>新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、次のパンデミックに備えたガイドライン、行動計画の見直しを進めました。社会的課題への対応に関するリスク当社グループのコンシューマープロダクツ事業、ケミカル事業は、景気変動や消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。海洋プラスチックごみ問題、気候変動、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境・人権の問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会的課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流や、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。そして、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、この傾向を一層高めています。こうした社会的課題に関する生活者の意識や顧客ニーズの変化に対して、適切な製品やサービスを提供できない場合、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。また、社会的課題への取り組みが不十分と見なされた場合、企業価値の低下につながる可能性があります。 当社グループは、事業戦略にESG視点を融合させた、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)の下で、原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るあらゆる段階での技術革新によるイノベーションと、当社グループメンバー全員がその目的や内容を正しく理解し、それぞれの役割と責任を果たすためのKLP推進活動を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指しています。そして、この成果を早期に示せるよう、しっかり取り組むと同時に、これら取り組みを積極的にステークホルダーに示すことに努めています。コンシューマープロダクツ事業においては、生活者との接点である各「ブランド」を通じて、対応すべき社会的課題を明確にし、モノ発想ではなく、生活価値視点でのマーケティングである『Life Value Solution Marketing』を推進しています。商品設計の段階から社会・環境に配慮した『ESGよきモノづくり』で、当社グループの持てる資産の最大化を行うことで、生活者のより豊かな暮らしと、社会のサステナビリティへの貢献に取り組んでいます。ケミカル事業においては、ケミカルの技術革新を通じて社会的課題の解決に貢献し、顧客ニーズの変化や技術の高度化に対応しています。サステナブルで特徴ある油脂誘導体等の開発を強化し、情報材料・機能材料事業でも、さらなる環境負荷低減に導くソリューションを提供していきます。 主要リスクの内容主な取り組み流通環境の変化に関するリスクコロナ禍で加速したEコマースの伸長は継続しており、さらに、ソーシャルコマース※1やクイックコマース※2等、あらたな購買チャネルも派生しています。一方で、リアル流通もOMO※3の推進や、業態を越えた合併や統合等、個々の戦略のもとに、環境変化への対応を進めています。このような流通環境の変化やスピードに対して、適切な販売活動を展開できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。物流に関しては、物量増に伴う、ドライバー不足やコストの増加が顕在化しており、また、働き方改革関連法に伴うドライバーの時間外労働の上限規制が、2024年から物流業界にも適用されることもあり、大きな環境変化が見込まれます。このような環境変化に適切に対応できない場合、配送の滞りや、物流コストの大幅な増加等、当社グループの活動にも影響を及ぼす可能性があると捉えています。※1 ソーシャルコマースSNSに商品を購入できる機能を追加した販売チャネルの1つ※2 クイックコマース注文から配達まで短時間で届ける仕組みを備えたEコマース※3 OMO(Online Merges with Offline)オンラインとオフラインの両者を融合させる販売戦略 当社グループは、こうした環境変化を受け、Eコマース専業企業との取り組みを強化するとともに、リアル流通とのOMOへの取り組み、クイックコマース等新興企業との連携等、積極的な対応を進めています。また、SNSの花王アカウント会員獲得も精力的に進めており、会員様へのダイレクトな情報発信や、キャンペーンを通した店頭への送客等、新しいアプローチにも取り組んでいます。化粧品分野においては、オンラインカウンセリングの充実や、ライブコマース※4等のソーシャルメディアの積極活用も含め、D2C※5を推進していきます。物流に関しては、国土交通省や経済産業省等が進める、ホワイト物流推進運動を、流通業とともに進めております。一過性のコスト対応ではなく、他メーカーや他ベンダーとの連携を含めて、持続可能な物流体制の構築を目指して取り組んでいきます。※4 ライブコマースインターネットでの動画ライブ配信で商品紹介と物販を組み合わせた販売手法※5 D2C(Direct to Consumer)自社のEコマースサイトで直接消費者に販売するビジネスモデル海外事業に関するリスク当社グループは、成長戦略のひとつとして海外事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想されるアジア等の強化を重視しています。しかしながら、事業を進める上で、新型コロナウイルス感染症の影響以外にも、各国の経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢、小売店・代理店等の取引先との問題、急激な法規制・税制の変更、模倣品の氾濫、レピュテーションリスク※等が発生する可能性があり、これらの影響により事業計画に大幅な遅れが生じた場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。※「レピュテーションに関するリスク」を参照 当社グループでは、生産・販売国の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国法規制の情報を日々収集し、必要な対応を行っています。特に各国の環境関連規制の強化、製品の安全性・品質関連規制の強化、また、輸出入関連規制の変更の当社グループへの影響に注視しています。一方、模倣品等の知的財産権の侵害については、特にアジア地域を中心とした模倣品対策に注力しており、消費者・顧客に安心して製品を使用して頂けるよう取り組んでいます。事業投資に関するリスク当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長のために積極的な設備投資やM&Aを進めています。これら成長投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、業績計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、重要な投資に対して、四半期決算毎に業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、経営会議で報告しています。必要に応じて、関係部門は、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 主要リスクの内容主な取り組み製品品質に関するリスク当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された生活者・顧客の生活を豊かにする“よきモノづくり”です。原料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した生活者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。しかしながら、重大な製品事故や、製品に対する安全性や環境問題への懸念が生じた場合、当該ブランドの問題だけではなく、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。コロナ禍における衛生関連商品に対する誤った使用方法の流布や、高齢者による製品事故リスクの高い状態が継続しています。また、各国法規制の変更や、安全性・環境問題の解決及び製品の成分や安全性等の透明性に対する要求が高まっています。特に、商品流通のボーダレス化の進展による販売エリアの拡大は、多地域での法適合性に関するリスクがあります。 当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しています。発売後には、各国消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等を一元的に集約し、当社グループ内で共有することにより、さらなる品質向上に努めています。さらに、品質保証に関するリスクの変化への対応として、正しい使用方法の伝達のため、製品Q&A等の情報発信の充実、ユニバーサルデザインの推進と多言語情報提供等による、多様な顧客への商品満足度の向上を図ります。また、各国法規制や安全性・環境問題に対する要求を先回りした代替技術の開発による競争力の確保、品質保証活動の見える化と全ステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼性向上、そして、グローバル品質保証活動の深化として、迅速に各国法規制への適合性を確認できるシステムの構築等に取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<重大品質問題発生時のリスク>品質問題により重大な被害が生じた場合の全社対応の強化と、重大品質問題発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。大地震・自然災害・事故に関するリスク化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求は、ますます高まってきています。大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するために保安力を強化する取り組みを行なっています。自然災害を想定した設備対応と定期訓練を行い、緊急事態に備えています。事故、災害の発生に対しては、緊急事態連絡網を通じてグローバルで把握する仕組みを構築しています。また、首都圏での地震により本社が被災することを想定して、東日本・西日本それぞれに対策組織を整えており、通信手段を強化し、代表取締役社長執行役員等を本部長とする緊急事態対策本部を即時に立ち上げ、人命を第一とした対応計画、事業継続計画(BCP)が実行できるよう、対応の強化を進めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<大地震・自然災害>近年の気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害に対して、各拠点の水害リスク調査を行い、ハード面ソフト面の対策強化を行うとともに、社員に向けてハザードマップや避難に関する防災教育を行いました。また、大地震等に対する緊急事態対応訓練、通信手段の強化、BCP訓練を通して対応の強化を進めました。情報セキュリティに関するリスク当社グループは、ITを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報及びハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 情報セキュリティの人的・組織的対策としては、グローバルで規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、インシデント発生時の対応体制の強化を進めています。技術的対策としては、情報セキュリティ委員会が実施すべきセキュリティ対策の方針を決定し、ウイルス対策ソフト導入、ソフトウェア更新による脆弱性解消、不正アクセス防止、メールのなりすまし防止等の対策を実施しています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<サイバー攻撃・個人情報保護に関するリスク>インシデント発生時の対応フローの作成や訓練を実施しています。また、グローバルでの情報セキュリティと個人情報保護の体制強化を進めています。 主要リスクの内容主な取り組みレピュテーションに関するリスクグローバルでのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の広がりは、生活者同士又は生活者と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能としました。また、コロナ禍での外出自粛といった生活の中で、年代性別等を問わず、幅広い人々が膨大な「情報」と「繋がり」を求めてSNSを利用するようになってきています。しかし、SNSのコメントの中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散されることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、財務的、又は非財務的な損失を被る「レピュテーションリスク」の増加が懸念されています。当社グループにおいても、SNSを用いた様々な情報発信やブランドのマーケティング活動は今後も増えていくことが想定され、当社グループの広告等における不適切な表現が、SNS等を通じて拡散された場合や、事業活動やブランドイメージへの批判的な評価や誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を低下させる可能性があります。 当社グループでは、ESGの観点を含め、広告及びSNS活用時の不適切表現を防止する対策として、事前チェック体制の整備と社内教育に取り組んでいます。また、国内外におけるSNS等のモニタリングを行い、早期のリスク発見にも努めており、事業及びブランドの活動に悪影響を及ぼすレピュテーションリスク事象が発生した場合は、迅速に対応すると同時に、必要に応じて適切なタイミングで、情報や企業姿勢を公表する等、当社グループのレピュテーション(評判・信用)の維持に努めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<レピュテーションリスク>上記の取り組みを進め、より早い段階でリスクを発見できるよう、特にSNS等のモニタリング体制を強化し、レピュテーションリスク発生時の緊急対応体制のさらなる強化を進めました。<デジタルメディア活用に伴うリスク>広告等での不適切表現やステルスマーケティング等のレピュテーションリスクにつながるリスクに対して、継続して社外のSNS検定や社内教育を実施し、予知予防活動を強化しました。原材料調達に関するリスク当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。また、当社グループの製品で使用している原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需要の急激な変化やサプライヤーのトラブル発生により、製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。一方、当社グループの原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。しかしながら、サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を行い、その影響の軽減を図っています。また、安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの育成を実施しています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行いリスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達の実践に向けて、今回新たに、“サプライチェーンにおけるESG推進ガイドライン”を公表し、サプライチェーン上での人権保護や環境保全の確認を進めています。特にリスクの高いサプライチェーンをハイリスクサプライチェーンと定義し、本質的な課題解決に向けて、サプライヤー並びにNGOとの連携の下、取り組んでいます。また、原材料の使用量削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反ゼロに向けた監査体制の整備、CDPサプライチェーンプログラム等の取り組みを通じてサプライヤーとの連携を強化しており、さらに、パーム油の持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、インドネシアの小規模農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと協働で実施しています。これら取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。コンプライアンスに関するリスク当社グループは、事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、保安、環境保全、化学物質管理、会計基準や税法、労務、取引管理等の様々な法規制の適用を受けています。世界的競争が激化する中で、製品の差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成の圧力等に関連した不正を働く誘因がますます高まることが懸念されます。また、世代間の価値観の相違や社員の多様化により、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。また、重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 主要リスクの内容主な取り組み人財確保に関するリスク当社グループは、経営計画を実行する上で、多様な人財が挑戦・共創できる場の創出に努めています。現在は、グローバルでの競争激化や日本における超高齢化社会の到来といった潮流に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により従来に増して変化に柔軟に対応していく変革力が求められています。また、個人のキャリアや働き方に対する価値観がこれまで以上に多様化し、人財の流動化が社会全体でより一層進むと考えられます。このような状況の中、大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーの確保と育成が推進できない場合には、新事業・新製品開発におけるイノベーションの加速、中期経営計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループで最も重要な資産は「人財」であるという認識のもと、社員活力の最大化に向けて、多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が、大きな挑戦と部門や国、組織を超えた共創により、能力と個性を最大限に発揮するための取り組みを推進しています。2021年より全員チャレンジと社内外での連携・共創強化を目的としOKRを導入しました。また、グローバル人財情報システムの活用や、様々な社員意識調査・アンケートの実施による組織力の向上、グローバル共通の等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーによる人財マネジネントや健康増進プログラム、柔軟で多様な就業環境と制度の整備等を実施しています。これらの取り組みに加えて、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人財企画委員会で毎月議論し、推進しています。為替変動に関するリスク当社グループは、海外でも事業活動を進めており、為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 外国通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。訴訟に関するリスク当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。訴訟等の動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、各国の関係会社の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。
FY2020|11,635 文字
2 【事業等のリスク】当社グループは、消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足ある、豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティに貢献することを使命としています。そして、花王グループ中期経営計画「K25」では、Vision(ビジョン)を「豊かな持続的社会への道を歩む Sustainability as the only path」と定めて、3つの目的(1)持続的社会に欠かせない企業になる、(2)投資して強くなる事業への変革、(3)社員活力の最大化を掲げて取り組んでいます。詳細については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。新型コロナウイルス感染症の世界的流行、市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動等、事業環境は不透明な状況が続いています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、生活者の環境、健康、衛生等に関する意識の変化や、それに伴う消費行動の変化をもたらしています。また、事業がグローバルに拡大し、様々な分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、ESGを経営の根幹に据え、本質研究をさらに深化させ、社会にインパクトを与えるようなレベルのイノベーションを積極的に提案することで、人、社会、地球に貢献しながら利益ある成長を目指すために、次のようなリスクと危機の管理を進めています。当社グループでは、経営目標・事業活動に悪影響を与える可能性を「リスク」、このリスクが顕在化した状態を「危機」と定義し、リスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、リスクと危機の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。持続的な利益ある成長と、事業活動を通じた社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な次の14の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」と定めて、年1回、社内外のリスク分析と経営陣へのヒアリングを基に、経営会議でリスクテーマと各テーマ対応の責任者(執行役員)を選定し、リスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。(★主なコーポレートリスクのテーマと対応を「主な取り組み」に記載しています。)これら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性をもつリスクであり、当連結会計年度末における認識です。なお、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 主要リスクの内容主な取り組み新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、原材料調達や製造、物流等の停滞や、各国・地域で行われている出入国制限や、外出制限及び店舗閉鎖等により消費が減退する等、世界経済に大きな影響を及ぼしています。そして、この新型コロナウイルス感染症は、多くの国において第二波、第三波と流行が繰り返されており、ワクチン等の確立による収束及び世界経済の回復には年単位の時間を要し、不透明な事業環境が続くことが予想されています。このような中で、当社グループの主要市場である日本において、化粧品市場は、インバウンド需要の大幅な減少や外出自粛等の影響を受け、前年を大きく下回る一方、トイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)市場は、衛生関連製品の需要拡大により伸長しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、生活者の衛生に対する意識の変化や、外出自粛やマスク着用の常態化に伴うメイク等に対する価値観の変化、また、Eコマース利用の急増等の消費行動の変化をもたらしています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大と生活者の変化に伴うリスクは次のようなものがあり、適切な対応ができない場合、目標とする売上高、利益から大きな乖離が生じる可能性があります。・当社グループ拠点やサプライチェーン上での集団感染(クラスター)発生による、操業の一時中断、製品・サービス提供への支障・感染再拡大や長期化による、リモートワークができない業務が原因となる商品開発や発売計画の遅れ・感染再拡大や長期化による、化粧品事業等の回復の遅れ・生活者の意識や価値観の変化、消費行動の変化への対応が不十分 新型コロナウイルス感染症への対応として、緊急事態対策本部会議(本部長:代表取締役 社長執行役員)を開催し、①従業員と家族の安全確保、②事業活動の継続、③社会への貢献に関する全社方針を決定し、次のような対応を実施しました。また、これら対応は取締役会に報告されています。①従業員と家族の安全確保・政府や自治体の方針、国や地域の感染状況に応じた勤務体制、働き方(リモートワーク・在宅勤務の推進、出張制限、研修・イベント・見学の制限等)を「危機管理措置」として実施・従業員と家族における感染者・濃厚接触者等の状況を把握し、対象者のケアとクラスター発生防止対策を実施・「感染症リスクアセスメントプロジェクト」を発足し、職場と家庭における感染防止対策の強化②事業活動の継続・サプライチェーンの維持のため、原材料調達活動に加えて、生産現場では一段高い感染対策を実施し、委託先等にも展開・リモートワークのための情報システムの強化と業務のデジタル化の推進・新しい働き方に向けた会社制度の見直し・コロナ禍における事業戦略の策定と実行(化粧品事業への対応は「流通環境の変化に関するリスク」の主な取り組みに記載)③社会への貢献・清潔と暮らしの安心を実現する衛生関連製品の継続的供給・アルコール消毒液を、これまでの20倍に増産して緊急を要する医療機関や高齢者施設等に優先的に供給・ウェブサイトを通じて、専門家や花王の知見に基づく生活に関わる衛生関連情報を提供。また、衛生関連研究者、医療従事者、教育機関の保健師等の方向けに、論文等の専門的知見に基づく感染防止策を含む幅広い情報を提供・感染抑制能を持つVHH抗体の取得等、新型コロナウイルス感染症の治療薬や診断薬の開発への貢献★主なコーポレートリスクのテーマと対応<パンデミック>新型インフルエンザ等の世界的流行に対して検討を進めてきたガイドライン、行動計画を新型コロナウイルス感染症に適用し、上記対策を実践しました。社会的課題への対応に関するリスク当社グループのコンシューマープロダクツ事業、ケミカル事業は、景気変動や消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。海洋プラスチックごみ問題、気候変動、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境・人権の問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会的課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流や、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。そして、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、この傾向を一層高めています。こうした社会的課題に関する生活者の意識や顧客ニーズの変化に対して、適切な製品やサービスを提供できない場合、競争力を落とし、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。また、社会的課題への取り組みが不十分と見なされた場合、企業価値の低下につながる可能性があります。 当社グループは、事業戦略にESG視点を融合させた、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)の下で、原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るあらゆる段階での技術革新によるイノベーションと、当社グループメンバー全員がその目的や内容を正しく理解し、それぞれの役割と責任を果たすためのKLP推進活動を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指しています。そして、この成果を早期に示せるよう、しっかり取り組むと同時に、これら取り組みを積極的にステークホルダーに示すことに努めています。コンシューマープロダクツ事業においては、生活者との接点である各「ブランド」を通じて、対応すべき社会的課題を明確にし、商品設計の段階から社会・環境に配慮し、当社グループの持てる資産の最大化を行うことで、生活者のより豊かな暮らしと、社会のサステナビリティへの貢献に取り組んでいます。ケミカル事業においては、ケミカルの技術革新を通じて社会的課題の解決に貢献し、顧客ニーズの変化や技術の高度化に対応しています。サステナブルで特徴ある油脂誘導体等の開発を強化し、情報材料・機能材料事業では、さらなる環境負荷低減を目指し、よりカスタマイズされた画期的な製品開発を進めています。 主要リスクの内容主な取り組み流通環境の変化に関するリスク当社グループを取り巻く流通環境は大きく変化しています。Eコマースの伸長はコロナ禍で加速するとともに、リアル流通もネットとの融合や業態を越えた合併や統合等、個々の戦略のもとに環境変化への対応を進めています。このような流通環境の変化やスピードに対して、適切な販売活動を展開できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。また、今回の新型コロナウイルス感染症による市場環境の変化も、流通業に大きな影響を与えています。インバウンド需要の消滅や化粧品市場の縮小への対応が不十分な場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。 当社グループは、Eコマースへの積極対応を進めており、Eコマース利用者に支持される商品、サービスを展開し、デジタルマーケティング活動を進化させています。今後は、さらにDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるとともに、D2C※等新たな取り組みも推進していきます。また、化粧品でのオンラインカウンセリングやライブコマース等、非接触での化粧品ニーズへの対応や、拡大する衛生関連需要への対応等も、各流通と共創しながら取り組みを進めています。※ D2C(Direct to Consumer)自社のEコマースサイトで直接消費者に販売するビジネスモデル海外事業に関するリスク当社グループは、成長戦略のひとつとして海外事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想されるアジア等の強化を重視しています。しかしながら、事業を進める上で、新型コロナウイルス感染症の影響以外にも、各国の経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢、小売店・代理店等の取引先との問題、急激な法規制・税制の変更、模倣品の氾濫、レピュテーションリスク※等が発生する可能性があり、これらの影響により事業計画に大幅な遅れが生じた場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。※「レピュテーションに関するリスク」を参照 当社グループでは、生産・販売国の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国法規制の情報を日々収集し、必要な対応を行っています。特に各国の環境関連規制の強化、製品の安全性・品質関連規制の強化、また、輸出入関連規制の変更の当社グループへの影響に注視しています。一方、模倣品等の知的財産権の侵害については、特にアジア地域を中心とした模倣品対策に注力しており、消費者・顧客に安心して製品を使用して頂けるよう取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<海外環境法規制に関するリスク>海外における法規制変更の中でも、特に環境法規制変更に適応できず、事業、操業停止に至るリスクに注目し、中国における急激な環境法規制変更が、現地工場や主要サプライヤーに及ぼす影響に対して、外部専門機関を用いたモニタリングと対応体制の強化を行いました。事業投資に関するリスク当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長のために積極的な設備投資やM&Aを進めています。これら成長投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、業績計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、重要な投資に対して、四半期決算毎に業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、経営会議で報告しています。必要に応じて、関係部門は、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 主要リスクの内容主な取り組み製品品質に関するリスク当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された消費者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した消費者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。しかしながら、重大な製品事故や、製品に対する安全性や環境問題への懸念が生じた場合、当該ブランドの問題だけではなく、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。コロナ禍における衛生関連商品に対する誤った使用方法の流布や、高齢者による製品事故リスクが高まっています。また、各国法規制の変化や、安全性・環境問題の解決及び製品の成分や安全性等の透明性に対する要求の高まりがあります。そして、グローバル化に伴う国際的な商品の流通は増加しており、品質保証活動及び消費者対応が不十分となる可能性があります。 当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しています。発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。さらに、品質保証に関するリスクの変化への対応として、正しい使用方法の伝達のため、製品Q&A等の情報発信の充実、ユニバーサルデザインの推進と多言語情報提供等による、多様な顧客への商品満足度の向上、各国法規制や安全性・環境問題に対する要求を先回りした代替技術の開発による競争力の確保、品質保証活動の見える化と全ステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼性向上、そして、グローバル品質保証活動の深化として、迅速に各国法規制への適合性を確認できるシステムの構築、国を超えて消費者の声を一元的に集約する仕組みの導入等に取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<重大品質問題発生時のリスク>品質問題により重篤な被害が生じた場合の全社対応の強化と、発生防止に向けた社内啓発の強化を進めています。大地震・自然災害・事故に関するリスク化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業への安全操業に対する要求は、ますます高まってきています。大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害により、従業員、設備、サプライチェーン等の被害で、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの工場で、火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 火災、爆発及び化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するとともに、自然災害を想定した設備対応と定期訓練を行い、緊急事態に備えています。事故、災害の発生に対しては、緊急事態連絡網を通じてグローバルで把握する仕組みを構築しています。また、首都圏での地震により本社が被災することを想定して、東日本・西日本それぞれに対策組織を整えており、代表取締役 社長執行役員等を本部長とする緊急事態対策本部を即時に立ち上げ、人命を第一とした対応計画、事業継続計画(BCP)が実行できるよう、対応の強化を進めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<大地震・自然災害>近年の気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害に対して、各拠点の水害リスク調査を行い、ハード面ソフト面の対策強化を行うとともに、社員に向けてハザードマップや避難に関する防災教育を行いました。また、大地震等に対する緊急事態対応訓練、BCP訓練を通して、対応の強化を進めました。情報セキュリティに関するリスク当社グループは、ITを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報及びハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 情報セキュリティの人的・組織的対策としては、グローバルで規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、インシデント発生時の対応体制の強化を進めています。技術的対策としては、情報セキュリティ委員会が実施すべきセキュリティ対策の方針を決定し、ウイルス対策ソフト導入、ソフトウェア更新による脆弱性解消、不正アクセス防止、メールのなりすまし防止等の対策を実施しています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<サイバー攻撃・個人情報保護に関するリスク>インシデント発生時の対応フローの作成や訓練を実施しています。また、グローバルでの情報セキュリティと個人情報保護の体制強化を進めています。 主要リスクの内容主な取り組みレピュテーションに関するリスクグローバルでのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の広がりは、生活者同士又は生活者と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能としました。また、コロナ禍での外出自粛といった生活の中で、年代性別等を問わず、幅広い人々が膨大な「情報」と「繋がり」を求めてSNSを利用するようになってきています。しかし、SNSのコメントの中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散されることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、財務的、又は非財務的な損失を被る「レピュテーションリスク」の増加が懸念されています。当社グループにおいても、SNSを用いた様々な情報発信やブランドのマーケティング活動は今後も増えていくことが想定され、当社グループの広告等における不適切な表現が、SNS等を通じて拡散された場合や、事業活動やブランドイメージへの批判的な評価や誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を低下させる可能性があります。 当社グループでは、ESGの観点を含め、広告及びSNS活用時の不適切表現を防止する対策として、事前チェック体制の整備と社内教育に取り組んでいます。また、国内外におけるSNS等のモニタリングを行い、早期のリスク発見にも努めており、事業及びブランドの活動に悪影響を及ぼすレピュテーションリスク事象が発生した場合は、迅速に対応すると同時に、必要に応じて適切なタイミングで、情報や企業姿勢を公表する等、当社グループのレピュテーション(評判・信用)の維持に努めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<レピュテーションリスク>SNS等のモニタリング体制と、レピュテーションリスク発生時の緊急対応体制のさらなる強化を進めています。<デジタルメディア活用に伴うリスク>広告等での不適切表現やステルスマーケティング等のレピュテーションリスクにつながるリスクに対して、事前のチェック体制と社内教育の強化、ガイドライン等の見直しを行い、また、ブランド価値の向上と維持に向けた広告配信ツールの整備を進めました。原材料調達に関するリスク当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。また、当社グループの製品で使用している原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需要の急激な変化やサプライヤーのトラブル発生により、製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。一方、当社グループの原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。しかしながら、サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を行い、その影響の軽減を図っています。また、安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの育成を実施しています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行いリスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達に関わるリスクに対応していくために、社会面では「花王人権方針」に基づく人権デュー・ディリジェンスを実施し、「調達先ガイドライン」に基づくサプライヤーのリスクアセスメントを実施しています。環境面では「原材料調達ガイドライン」に基づいた持続可能なパーム油、紙・パルプの調達を推進しています。中長期的には、原材料の徹底的な使用量の削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。また、Sedexによるサプライヤーのモニタリング、サプライヤーのコンプライアンス違反削減に向けた監査体制の整備、CDPサプライチェーンプログラム等の取り組みを通じてサプライヤーとの連携を強化しています。さらに、2020年からは、パーム油の持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、インドネシアの小規模農園に対し、「生産性向上と持続可能なパーム油に対する認証取得を支援するプログラム」を現地のパートナーと協働で開始しました。これら取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに公開しています。コンプライアンスに関するリスク当社グループは、事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、保安、環境保全、化学物質管理、会計基準や税法、労務、取引管理等の様々な法規制の適用を受けています。世界的競争が激化する中で、製品の差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成の圧力等に関連した不正を働く誘因がますます高まることが懸念されます。また、世代間の価値観の相違や社員の多様化により、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループ及び委託先等が重篤なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。また、重篤なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。また、重篤なコンプライアンス違反を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。 主要リスクの内容主な取り組み人財確保に関するリスク当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めています。一方で、デジタル革命や一部の国の少子高齢化の到来、ESG経営の推進といった潮流の中で、雇用情勢や必要となる専門性、働き方の価値観等が大きく変わりつつあります。また、新型コロナウイルス感染症は人々の価値観や働き方等の面にも大きく影響を及ぼしています。大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーの確保・育成・配置が計画的に推進できない場合には、事業活動の停滞等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループで最も重要な資産は人財であるという認識のもと、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人事委員会で議論し、推進しています。また、社員一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、大きな活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限活かすことを目指して、グローバル人財情報システムの活用や、社員意識調査による組織力の向上、グローバル共通の等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーによる人財マネジネントや健康増進プログラム等を実施しています。社員活力の最大化に向けて、社員が意欲的に挑戦する風土の醸成や多様な働き方をさらに進めていきます。為替変動に関するリスク当社グループは、海外でも事業活動を進めており、為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 外貨通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。訴訟に関するリスク当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。訴訟等の動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、各国の関係会社の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。
FY2019|9,490 文字
2 【事業等のリスク】「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当連結会計年度に係る有価証券報告書から適用しています。 当社グループは、消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足ある、豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティに貢献することを使命としています。しかしながら、当社グループの事業環境は、市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動等、不透明な状況が続いています。生活者の環境や健康等に関する意識の変化やそれに伴う購買意識の変化、さらには高齢化社会の進行や衛生等の社会的課題も増大しています。また、事業がグローバルに拡大し、さまざまな分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。このような事業環境に対して、当社グループは、ESGを経営の根幹に据え、本質研究を更に深化させ、社会にインパクトを与えるようなレベルのイノベーションを積極的に提案することで、人、社会、地球に貢献しながら利益ある成長を目指しています。また、次のようなリスクと危機の管理を進めています。当社グループでは、経営目標・事業活動に悪影響を与える可能性を「リスク」、このリスクが顕在化した状態を「危機」と定義し、リスク・危機管理委員会が、「リスク及び危機管理に関する基本方針」に基づいて、リスクと危機の管理体制と活動方針を定めています。そして、部門、子会社、関連会社は、この活動方針に基づいて、リスクを把握、評価し、対応策を策定、実行することでリスクを管理しています。また、危機発生時には、緊急事態のレベルに応じた対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害、損害の最小化を図ります。当社グループでは、持続的な利益ある成長と、事業活動を通じた社会のサステナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、特に重要な次の13の主要リスクを、リスク・危機管理委員会、経営会議の審議の下で選定しています。そして、これら主要リスクの中で、経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクを「コーポレートリスク」と定めて、年1回、社内外のリスク分析と経営陣へのヒアリングを基に、経営会議でリスクテーマと各テーマ対応の責任者(執行役員)の見直しを行い、リスク・危機管理委員会で進捗管理を行っています。(★主なコーポレートリスクのテーマと対応を「主な取り組み」に記載しています。)これら主要リスクは、5年以内に顕在化する可能性をもつリスクであり、当連結会計年度末における認識です。なお、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。 主要リスクの内容主な取り組み社会的課題への対応に関するリスク当社グループのコンシューマープロダクツ事業、ケミカル事業は、景気変動や消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。海洋プラスチックごみ問題、気候変動、水資源の枯渇、原材料調達に関する環境・人権の問題、そして、高齢化社会の進行や衛生等の社会的課題の増大は、生活者の環境や健康等に対する意識を高め、エシカル消費の潮流や、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりをもたらしています。こうした社会的課題に関する生活者の意識や顧客ニーズの変化に対して、適切な製品やサービスを提供できない場合、競争力を落とし、目標とする売上高、市場シェアが得られない可能性があります。また、社会的課題への取り組みが不十分と見なされた場合、企業価値の低下につながる可能性があります。 当社グループは、事業戦略にESG視点を融合させた、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(KLP)の下で、原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るあらゆる段階での技術革新によるイノベーションと、当社グループメンバー全員がその目的や内容を正しく理解し、それぞれの役割と責任を果たすためのKLP推進活動を通じて、社会のサステナビリティへの貢献を目指しています。そして、この成果を早期に示せるよう、しっかり取り組むと同時に、これら取り組みを積極的にステークホルダーに示すことに努めています。コンシューマープロダクツ事業においては、生活者との接点である各「ブランド」を通じて、対応すべき社会的課題を明確にし、商品設計の段階から社会・環境に配慮し、当社グループの持てる資産の最大化を行うことで、生活者のより豊かな暮らしと、社会のサステナビリティへの貢献の両立に取り組んでいます。ケミカル事業においては、ケミカル技術の革新を通じて社会的課題の解決に貢献し、顧客ニーズの変化や技術の高度化に対応しています。サステナブルで特徴ある油脂誘導体等の開発を強化し、情報材料・機能材料事業では、更なる環境負荷低減を目指し、よりカスタマイズされた画期的な製品開発を進めています。流通環境の変化に関するリスク当社グループを取り巻く流通環境は大きく変化しています。Eコマースはグローバルで大きく伸長しており、小売業は合併や統合による寡占化が進行し、店舗・商品戦略をより差別化させる傾向にあります。このような流通環境の変化やスピードに対して、適切な販売活動を展開できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。また、小売業の店舗拡大やEコマースの伸長等に伴い、トラック配送の数量や回数が増加しています。ドライバー不足や高齢化が進む中、労働環境の悪化や商品を適時適切に運べないリスクが高まっています。このような流通環境の変化に対して、健全なサプライチェーンを構築できない場合、目標とする売上高、市場シェア、利益が得られない可能性があります。 当社グループは、Eコマースへの積極対応を進めており、Eコマース利用者に支持される商品、サービスを展開し、デジタルマーケティング活動を進化させています。また、各流通業のニーズに対してカスタマイズした施策や店頭活動の提案を進めると共に、ネットとリアルがシナジーを発揮できるビジネスモデルの構築に取り組んでいます。一方、物流問題に関しては、納品リードタイムの改善や1台当たりの積載率の向上等、サプライチェーン全体で様々なステークホルダーと連携して、ホワイト物流の実現に向けて取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<流通環境の変化>グローバルで展開するデジタル・プラットフォーマーとのコラボレーションに向けた活動を推進しました。海外事業に関するリスク当社グループは、成長戦略のひとつとして海外事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想されるアジア等の強化を重視しております。しかしながら、事業を進める上で、経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢、小売店・代理店等の取引先との問題、法規制・税制の変更、模倣品の氾濫、レピュテーションリスク※等が生じることで、事業計画の大幅な遅れが生じた場合、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。※ 「レピュテーションに関するリスク」を参照 当社グループでは、生産・販売国の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国法規制の情報を日々収集し、必要な対応を行っています。特に各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制の強化、また、輸出入関連規制の変更の当社グループへの影響に注視しています。一方、模倣品等の知的財産権の侵害については、特にアジア地域を中心とした模倣品対策に注力しており、消費者・顧客に安心して製品を使用して頂けるよう取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<アジア事業に関するリスク>アジア各国の法規制強化に早期に対応するための体制強化を重要テーマの一つとして進めました。 主要リスクの内容主な取り組み事業投資に関するリスク当社グループは、企業価値と相関関係の高いEVAによる投資判断のもと、事業成長のために積極的な設備投資やM&Aを進めています。これら成長投資を今後も進めるとともに、継続的なEVA改善を通して企業価値の向上に努めていきます。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、業績計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、設備投資により計上した有形固定資産や、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損処理により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、重要な投資に対して、四半期決算毎に業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、経営会議で報告しています。必要に応じて、関係部門は、今後の方向性や業績改善の為の対策を検討しています。製品品質に関するリスク当社グループの品質保証活動の基本は、「花王ウェイ」で示された消費者・顧客起点の心を込めた“よきモノづくり”です。原料から研究開発、生産、輸送、販売までのすべての段階において、徹底した消費者・顧客視点で、高いレベルで製品の安全性を追求し、絶えざる品質向上に努めています。しかしながら、外部環境の変化による品質保証に関するリスクとしては、各国法規制の変化や安全性・環境問題の解決に対する要求の高まり、高齢化や訪日・在日外国人の増加による製品事故リスクの高まり、製品の成分や安全性等の透明性に対する要求の高まり、グローバル化に伴うサプライチェーンの多様化による品質保証活動の脆弱化や消費者対応力の低下があります。重大な製品事故や、製品に対する安全性や環境問題への懸念が生じた場合、当該ブランドの問題だけではなく、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。 当社グループでは、製品関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って、設計、製造を行っています。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しています。発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めています。さらに、品質保証に関するリスクの変化への対応としては、各国法規制や安全性・環境問題に対する要求を先回りした、代替技術の開発による競争力の確保、ユニバーサルデザインの推進と訪日・在日外国人への多言語情報提供等による商品満足度の向上、品質保証活動の見える化と全ステークホルダーとのコミュニケーションによる、消費者・顧客と社会からの信頼性向上、そして、グローバル品質保証活動の深化に取り組んでいます。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<製品の品質問題への対応>重大品質問題発生時の対応と発生防止のための社内啓発の強化を進めています。大地震・自然災害・事故等に関するリスク化学プラントでの事故や、自然災害が多く発生している昨今、大規模化学プラントを有する企業に対する安全操業への要求は、ますます高まってきています。このため、当社グループの工場で、周辺地域に影響する大きな事故の発生や、大地震、気候変更に伴う自然災害、感染症の蔓延等による操業停止で、市場への製品供給に支障をきたした場合、経営成績に重大な影響を及ぼし、社会の信用を失う可能性があります。 火災、爆発および化学物質漏えいを防止し、安全で安定な操業を維持するとともに、自然災害を想定した設備対応と定期訓練を行ない、緊急事態に備えています。事故・災害の発生に対しては、緊急事態連絡網を通じてグローバルで把握するしくみを構築しています。また、首都圏での地震により本社が被災することを想定して、東日本・西日本それぞれに対策組織を整えており、社長を本部長とする緊急事態対策本部を即時に立ち上げ、人命を第一とした対応計画、事業継続計画(BCP)が実行できるよう、対応の強化を進めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<大地震・自然災害>気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害に対して、ハード面、ソフト面の対策の強化を行いました。また、大地震に対する緊急事態対応訓練、BCP訓練を通して、対応の強化を進めました。<パンデミック>新型インフルエンザ等の感染拡大に対して、グローバルで迅速に対応できる体制を再構築し、人命第一に発症者対応等の詳細な行動計画の作成と準備を進めました。 主要リスクの内容主な取り組み情報セキュリティに関するリスク当社グループは、ITを活用して事業や業務を効率的に進めるとともに、データを活用したビジネスを進めています。研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報(トレードシークレット(TS))を保有し、また、販売促進活動、会員サイト運営やEコマースを進める上で、多くのお客様の個人情報を保有しています。当社グループは、情報セキュリティポリシーのもと、TS・個人情報およびハードウェア・ソフトウェア・各種データファイル等の情報資産の保護を目的とした情報セキュリティの強化を図っています。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報や個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、信用の低下や、目標とする売上高、利益が得られない可能性があります。 情報セキュリティの人的・組織的対策としては、グローバルで規程や体制を整備し、PDCAサイクル(啓発活動、自己点検、改善目標の設定)によるTS・個人情報・情報セキュリティの保護推進活動を実施しています。また、インシデント発生時の対応体制の強化を進めています。技術的対策としては、情報セキュリティ委員会が実施すべきセキュリティ対策の方針を決定し、ウイルス対策ソフト導入、ソフトウェア更新による脆弱性解消、不正アクセス防止、メールのなりすまし防止等の対策を実施しています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<個人情報保護>インシデント発生時の対応フローの作成や訓練を実施しています。また、グローバルでの情報セキュリティと個人情報保護の体制強化を進めています。レピュテーションに関するリスクグローバルでのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)活用の急速な広がりは、生活者同士または生活者と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能とし、当社グループにおいても、SNS等を用いたマーケティング活動を進めています。一方、SNSを通じた情報は急速に拡散される可能性があり、コントロールが難しい側面を持ちます。当社グループの広告等における不適切な表現等がSNSを通じて拡散した場合、また、当社グループの事業活動やブランドイメージについて、批判的な評価や誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や信用が低下する可能性があります。※ レピュテーションリスク:企業に対する批判的な評価や評判が広まることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、損失を被るリスク 当社グループでは、ESGの観点から、広告及びSNS活用時の不適切表現防止等の社内教育に取り組んでいます。また、グローバルでSNSを含む外部情報のモニタリングを行い、早期のリスク発見に努めています。また、レピュテーション(評判)に悪影響を及ばす事象が発生した場合は、対象事象に迅速に対応すると同時に、必要に応じて適切な情報や企業姿勢等を公表することで、当社グループのレピュテーションの維持に努めています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<レピュテーションリスク>外部情報のモニタリング体制を整えて、レピュテーションリスク発生時の緊急対応体制の強化を進めています。<デジタルメディア活用に伴うリスク>広告等での不適切表現やステルスマーケティング等のレピュテーションリスクにつながるリスクに対して、ガイドラインの制定や社内教育等を進めています。原材料調達に関するリスク当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気、地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。市場価格に急激な変動が生じた場合、目標とする利益が得られない可能性があります。また、当社グループの製品で使用している原材料には、調達上希少な原材料も一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあります。需要の急激な変化やサプライヤーのトラブル発生により、製品の市場への供給に支障をきたした場合、目標とする売上高、利益が得られないだけでなく、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。一方、当社グループの原材料はパーム油や紙・パルプ等の自然資本に大きく依存しており、省資源、地球温暖化防止、生物多様性保全等の環境側面、安全・衛生、労働環境、人権等の社会側面に十分配慮し、持続可能な調達を実現することで、企業としての社会的責任を果たしていく必要があります。しかしながら、サプライチェーン上の何らかの理由で、持続可能で責任ある調達への取り組みが不十分と見なされた場合、当社グループのブランドイメージ、信用の低下につながる可能性があります。 当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を行い、その影響の軽減を図っています。また、安定調達に関わるリスクに対しては、主力サプライヤーでの設備増強と、リスク分散のためのセカンドサプライヤーの育成を実施しています。また、サプライヤーとの契約見直しや協働を積極的に行いリスク低減を進めています。一方、持続可能で責任ある調達に関わるリスクに対応していくために、社会面では「花王人権方針」に基づく人権デュー・ディリジェンスを実施し、「調達先ガイドライン」に基づくサプライヤーのリスクアセスメントを実施しています。環境面では「原材料調達ガイドライン」に基づいた持続可能なパーム油、紙・パルプの調達を推進しています。中長期的には、原材料の徹底的な使用量の削減や、非可食バイオマス由来の原材料等への転換にも取り組んでいます。また、Sedexによるサプライヤーのモニタリング、CDPサプライチェーンプログラム等の取り組みを通じてサプライヤーとの連携を強化しています。そして、これら取り組みを積極的かつ透明性をもってステークホルダーに示すことに努めています。 主要リスクの内容主な取り組み為替変動に関するリスク当社グループは、海外でも事業活動を進めており、為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。当社グループの機能通貨である円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 外貨通貨建て取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、経営成績に与える影響を軽減しています。なお、投機的なデリバティブ取引は行っていません。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、必要に応じて経営陣指示のもと、関係部門は事業への影響を軽減する対策を検討しています。★主なコーポレートリスクのテーマと対応<為替変動>為替変動リスクの構造と対応を検証し、今後の対応の方向性を確認しました。コンプライアンスに関するリスク当社グループは、事業活動を行う上で、製品の品質・安全性、保安、環境保全、化学物質管理、会計基準や税法、労務、取引管理等の様々な法規制の適用を受けています。世界的競争が激化する中で、製品の差別化、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成の圧力等に関連した不正を働く誘因がますます高まることが懸念されます。また、世代間の価値観の相違や社員の多様化により、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループ及び委託先等が重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「正道を歩む」(法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行う)をコンプライアンスの原点と位置づけ、すべてのステークホルダーの支持と信頼にこたえていくための指針とし、行動規範である「花王ビジネスコンダクトガイドライン」の継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応等の活動を進めています。また、重大なコンプライアンスリスクの低減にフォーカスした活動として、事業に適用される法令遵守推進を計画的に実施し、特に重要な法令についてはその実施状況をコンプライアンス委員会がモニタリングしています。また、不正を発見した場合、すぐに経営陣に報告され適切な対応を行えるよう、風通しの良い職場の実現を目指した活動を推進しています。人財確保に関するリスク当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めています。一方で、デジタル革命や一部の国の少子高齢化の到来、ESG経営の推進といった潮流の中で、雇用情勢や必要となる専門性、働き方の価値観等が大きく変わりつつあります。大きな環境の変化を先取りし、各分野で必要とする高度な専門性を持つ人財や、変化を先導するリーダーの確保・育成・配置が計画的に推進できない場合には、事業活動の停滞等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループで最も重要な資産は人財であるという認識のもと、持続的な成長を支える人財の配置・育成や効果的な組織運営について、経営トップをメンバーとする人事委員会で議論し、推進しています。また、社員一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、大きな活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限活かすことを目指して、グローバル人財情報システムの活用や、社員意識調査による組織力の向上、グローバル共通の等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーによる人財マネジネントや健康増進プログラム等を実施しています。訴訟に関するリスク当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。訴訟等の動向によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、安全・安心な製品の提供、知的財産権の適正な取得・使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。また、グローバルで、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築するとともに、各国の関係会社の担当者及び弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しています。
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2【事業等のリスク】企業が事業を遂行している限り、様々なリスクが伴います。当社グループにおいては、リスクを把握、評価し、必要な対応策を策定、実行する等してリスクを適切に管理しております。また、リスクが顕在化した際には、対策組織を立ち上げ、迅速な対応を行うことで被害、損害をできるかぎり小さくするよう努めております。しかし、以下のような主要リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、以下の主要リスクは当社グループにおける全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらは投資家の判断に影響を与える可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)コンシューマープロダクツ事業①消費者ニーズの変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、各国市場の景気変動や消費者の価値観の変化により影響を受けます。当事業は消費者ニーズの変化を捉え、当社グループのモノづくりの総合力を活用し、環境・健康・高齢化・衛生等を切り口とした商品の高付加価値化やサービスの提供に取り組み、ブランド価値を維持向上させております。しかしながら、この事業活動には様々な要因による不確実性が伴うため、消費者ニーズの変化に対応した商品やサービスを提供できず、ブランド価値を落とした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②流通の変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、市場での流通業の合併や統合による新たな企業グループ化の進展、新たな流通チャネルの出現、拡大等の流通構造の変化により影響を受けます。当事業は、このような流通構造の変化に対した販売活動を推進し、新たな提案をしております。しかしながら、この事業活動には様々な要因による不確実性が伴うため、流通構造の変化に対応した販売活動や新たな提案ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)ケミカル事業 当社グループのケミカル事業は、顧客の需要動向や原材料価格の変動等により影響を受けます。当事業はコスト削減、製品への価格対応を図り、さらに、顧客ニーズに合った製品の高付加価値化、環境に配慮した製品の研究開発を進め、提供しております。しかしながら、この事業活動には様々な要因による不確実性が伴うため、顧客のニーズに合った製品の提供や原材料価格の変動等への対応ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業買収、業務提携、合弁事業等 当社グループは事業買収、業務提携、合弁事業等を実施する可能性があります。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定します。しかしながら、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴うため、当初の期待していた効果が出せない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外事業展開 当社グループは、成長戦略のひとつとしてアジア、欧米市場等での事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想される国々での事業の強化を重視しております。しかしながら、事業を進める上で、経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢が生じる、競合との競争の激化、コスト管理が十分できない、小売店・代理店等の取引先との関係に問題が発生する等、様々な要因による不確実性が伴い、事業の強化ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)原材料の調達 当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原材料の市場価格は、地政学的リスクや需給バランス、異常気象、為替の変動等の影響を受けます。当社グループは原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を図り、その影響を軽減しております。また、天然油脂原料に関しては、非可食原料の高度有効利用の研究による代替原料の開発にも取り組んでおります。しかしながら、予想を超えて市場価格に急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)品質管理 当社グループ商品の品質管理については、消費者・顧客の視点に立ち、関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って設計、製造を行っております。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しております。また発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望等をくみ上げ、さらなる品質向上に努めております。しかしながら、予想を超える重大な品質トラブル又は新たな科学的知見により商品の安全と安心に対する懸念等が発生した場合には、当該ブランドの問題だけではなく、他のブランドや当社グループ全体の信用の低下にもつながり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)大規模地震や気候変動等に伴う自然災害及び事故等への対応 当社グループは、地震をはじめとする自然災害に対して、生産工場及び主要な事業拠点を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)の策定を行っており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、大規模地震や気候変動に伴う自然災害等により、原材料の確保、生産の継続等に問題が生じて商品の市場への供給に支障をきたした場合、また、震災等に伴う経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、生産工場の爆発・火災事故、情報・制御システムの障害、原材料購入先のトラブル、電力や水等の社会インフラの機能不全、有害物質による環境汚染、感染症の蔓延、テロ、政変、暴動等が発生し、商品の市場への供給に支障をきたした場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (8)為替の変動 外国通貨建ての取引については為替相場の変動による影響を受けますが、外貨預金口座を通じての決済、為替予約取引や通貨スワップ取引等により為替変動リスクをヘッジすることにしており、経営成績に与える影響を軽減しております。なお、投機的なデリバティブ取引は行っておりません。しかしながら、在外連結子会社の財務諸表の各項目は円換算するため、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受けます。 (9)繰延税金資産や減損処理の影響 当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形資産や企業買収の際に生じたのれん、繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)人財の確保 当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めております。消費者の方々に支持される“よきモノづくり”を目指すために、研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する高度な専門性を持った人財が不可欠であります。しかしながら、雇用情勢の変動等により、必要な人財を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)法規制等の遵守と対応 当社グループは、事業活動を行う上で、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連等の様々な法規制の適用を受けております。また、今後は気候変動の緩和のための各国の政策や法規制強化への対応が必要となります。当社グループは、コンプライアンス体制等を構築し、遵守や対応に努めておりますが、当社グループ及び委託先等が重大な法令違反を起こした場合は、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその対応のために投資が必要になる等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報管理 当社グループは、研究開発、生産、マーケティング、販売等に関する機密情報や、商品開発、販売促進等に用いる多くのお客様の個人情報を保有しております。当社グループでは、情報取扱いガイドラインによる情報管理を徹底し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルスへの感染等により、保有する機密情報・個人情報が漏洩した場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (13)訴訟の提起 当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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4【事業等のリスク】企業が事業を遂行している限り、さまざまなリスクが伴います。当社グループにおいては、リスクを把握、評価し、必要な対応策を策定、実行するなどしてリスクを適切に管理しています。また、リスクが顕在化した際には、対策組織を立ち上げ、迅速な対応を行うことで被害、損害をできるかぎり小さくするよう努めております。しかし、以下のような主要リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、以下の主要リスクは当社グループにおける全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらは投資家の判断に影響を与える可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)コンシューマープロダクツ事業①消費者ニーズの変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、各国市場の景気変動や消費者の価値観の変化により影響を受けます。当事業は消費者ニーズの変化を捉え、当社グループのモノづくりの総合力を活用し、環境・健康・高齢化・衛生などを切り口とした商品の高付加価値化やサービスの提供に取り組み、ブランド価値を維持向上させております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、消費者ニーズの変化に対応した商品やサービスを提供できず、ブランド価値を落とした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②流通の変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、市場での流通業の合併や統合による新たな企業グループ化の進展、新たな流通チャネルの出現、拡大などの流通構造の変化により影響を受けます。当事業は、このような流通構造の変化に対した販売活動を推進し、新たな提案をしております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、流通構造の変化に対応した販売活動や新たな提案ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)ケミカル事業 当社グループのケミカル事業は、顧客の需要動向や原材料価格の変動などにより影響を受けます。当事業はコスト削減、製品への価格対応を図り、さらに、顧客ニーズに合った製品の高付加価値化、環境に配慮した製品の研究開発を進め、提供しております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、顧客のニーズに合った製品の提供や原材料価格の変動などへの対応ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業買収、業務提携、合弁事業など 当社グループは事業買収、業務提携、合弁事業などを実施する可能性があります。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定します。しかしながら、事業活動には予想できないさまざまな不確実性が伴うため、当初の期待していた効果が出せない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外事業展開 当社グループは、成長戦略のひとつとしてアジア、欧米市場などでの事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想される国々での事業の強化を重視しております。しかしながら、事業を進める上で、経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢が生じる、競合との競争の激化、コスト管理が十分できない、小売店・代理店などの取引先との関係に問題が発生するなど、さまざまな要因による不確実性が伴い、事業の強化ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)原材料の調達 当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原材料の市場価格は、地政学的リスクや需給バランス、異常気象、為替の変動などの影響を受けます。当社グループは原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を図り、その影響を軽減しております。また、天然油脂原料に関しては、非可食原料の高度有効利用の研究による代替原料の開発にも取り組んでいます。しかしながら、予想を超えて市場価格に急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)品質管理 当社グループ商品の品質管理につきましては、消費者・顧客の視点に立ち、関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って設計、製造を行っております。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しております。また発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望などをくみ上げ、さらなる品質向上に努めております。しかしながら、予想を超える重大な品質トラブルまたは新たな科学的知見により商品の安全と安心に対する懸念などが発生した場合には、当該ブランドの問題だけではなく、他のブランドや当社グループ全体の信用の低下にもつながり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)自然災害・事故などへの対応 当社グループは、地震をはじめとする自然災害に対して、生産工場及び主要な事業拠点を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)の策定を行っており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、予想を超える規模の地震やそれにより派生した災害が発生し、原材料の確保、生産の継続などに問題が生じて商品の市場への供給に支障をきたした場合、また、震災に伴う経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、生産工場の爆発・火災事故、情報・制御システムの障害、原材料購入先のトラブル、電力や水などの社会インフラの機能不全、有害物質による環境汚染、感染症の蔓延、テロ、政変、暴動などが発生し、商品の市場への供給に支障をきたした場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (8)為替の変動 外国通貨建ての取引については為替相場の変動による影響を受けますが、外貨預金口座を通じての決済、為替予約取引や通貨スワップ取引などにより為替変動リスクをヘッジすることにしており、経営成績に与える影響を軽減しております。なお、投機的なデリバティブ取引は行っておりません。しかしながら、在外連結子会社の財務諸表の各項目は円換算するため、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受けます。 (9)繰延税金資産や減損処理の影響 当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形資産や企業買収の際に生じたのれん、繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)人財の確保 当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めております。消費者の方々に支持される“よきモノづくり”をめざすために、研究開発、生産、マーケティング、販売などに関する高度な専門性を持った人財が不可欠です。しかしながら、雇用情勢の変動などにより、必要な人財を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)法規制の遵守 当社グループは、事業活動を行う上で、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連などの様々な法規制の適用を受けています。当社グループは、コンプライアンス体制を構築し、遵守に努めておりますが、当社グループ及び委託先などが重大な法令違反を起こした場合は、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその対応のために投資が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報管理 当社グループは、研究開発、生産、マーケティング、販売などに関する機密情報や、商品開発、販売促進などに用いる多くのお客様の個人情報を保有しております。当社グループでは、情報取扱いガイドラインによる情報管理を徹底し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルスへの感染などにより、保有する機密情報・個人情報が漏洩した場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (13)訴訟の提起 当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟などを受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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4【事業等のリスク】企業が事業を遂行している限り、さまざまなリスクが伴います。当社グループにおいては、リスクを把握、評価し、必要な対応策を策定、実行するなどしてリスクを適切に管理しています。また、リスクが顕在化した際には、対策組織を立ち上げ、迅速な対応を行うことで被害、損害をできるかぎり小さくするよう努めております。しかし、以下のような主要リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、以下の主要リスクは当社グループにおける全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらは投資家の判断に影響を与える可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2017年3月21日)現在において当社が判断したものであります。 (1)コンシューマープロダクツ事業①消費者ニーズの変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、各国市場の景気変動や消費者の価値観の変化により影響を受けます。当事業は消費者ニーズの変化を捉え、当社グループのモノづくりの総合力を活用し、環境・健康・高齢化・衛生などを切り口とした商品の高付加価値化やサービスの提供に取り組み、ブランド価値を維持向上させております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、消費者ニーズの変化に対応した商品やサービスを提供できず、ブランド価値を落とした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②流通の変化への対応 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、市場での流通業の合併や統合による新たな企業グループ化の進展、新たな流通チャネルの出現、拡大などの流通構造の変化により影響を受けます。当事業は、このような流通構造の変化に対した販売活動を推進し、新たな提案をしております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、流通構造の変化に対応した販売活動や新たな提案ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)ケミカル事業 当社グループのケミカル事業は、顧客の需要動向や原材料価格の変動などにより影響を受けます。当事業はコスト削減、製品への価格対応を図り、さらに、顧客ニーズに合った製品の高付加価値化、環境に配慮した製品の研究開発を進め、提供しております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、顧客のニーズに合った製品の提供や原材料価格の変動などへの対応ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業買収、業務提携、合弁事業など 当社グループは事業買収、業務提携、合弁事業などを実施する可能性があります。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定します。しかしながら、事業活動には予想できないさまざまな不確実性が伴うため、当初の期待していた効果が出せない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外事業展開 当社グループは、成長戦略のひとつとしてアジア、欧米市場などでの事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想される国々での事業の強化を重視しております。しかしながら、事業を進める上で、経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢が生じる、競合との競争の激化、コスト管理が十分できない、小売店・代理店などの取引先との関係に問題が発生するなど、さまざまな要因による不確実性が伴い、事業の強化ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)原材料の調達 当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原材料の市況価格は、地政学的リスクや需給バランス、異常気象、為替の変動などの影響を受けます。当社グループは原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を図り、その影響を軽減しております。また、天然油脂原料に関しては、非可食原料の高度有効利用の研究による代替原料の開発にも取り組んでいます。しかしながら、予想を超えて市況価格に急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)品質管理 当社グループ商品の品質管理につきましては、消費者・顧客の視点に立ち、関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って設計、製造を行っております。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しております。また発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望などをくみ上げ、さらなる品質向上に努めております。しかしながら、予想を超える重大な品質トラブルまたは新たな科学的知見により商品の安全と安心に対する懸念などが発生した場合には、当該ブランドの問題だけではなく、他のブランドや当社グループ全体の信用の低下にもつながり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)自然災害・事故などへの対応 当社グループは、地震をはじめとする自然災害に対して、生産工場及び主要な事業拠点を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)の策定を行っており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、予想を超える規模の地震やそれにより派生した災害が発生し、原材料の確保、生産の継続などに問題が生じて商品の市場への供給に支障をきたした場合、また、震災に伴う経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、生産工場の爆発・火災事故、情報システム障害、原材料購入先のトラブル、電力や水などの社会インフラの機能不全、有害物質による環境汚染、感染症の蔓延、テロ、政変、暴動などが発生し、商品の市場への供給に支障をきたした場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (8)為替の変動 外国通貨建ての取引については為替相場の変動による影響を受けますが、外貨預金口座を通じての決済、為替予約取引や通貨スワップ取引などにより為替変動リスクをヘッジすることにしており、経営成績に与える影響を軽減しております。なお、投機的なデリバティブ取引は行っておりません。しかしながら、在外連結子会社の財務諸表の各項目は円換算するため、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受けます。 (9)繰延税金資産や減損処理の影響 当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形資産や企業買収の際に生じたのれん、繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)人財の確保 当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めております。消費者の方々に支持される“よきモノづくり”をめざすために、研究開発、生産技術、マーケティング、販売活動など高度な専門性を持った人財が不可欠です。しかしながら、雇用情勢の変動などにより、必要な人財を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)法規制の遵守 当社グループは、事業活動を行う上で、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連などの様々な法規制の適用を受けています。当社グループは、コンプライアンス体制を構築し、遵守に努めておりますが、当社グループだけでなく委託先などが重大な法令違反を起こした場合は、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその対応のために投資が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報管理 当社グループは、研究開発、生産、マーケティング、販売などに関する機密情報や、商品開発、販売促進などに用いる多くのお客様の個人情報を保有しております。当社グループでは、情報取扱いガイドラインによる情報管理を徹底し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルスへの感染などにより、保有する機密情報・個人情報が漏洩した場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (13)訴訟の提起 当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟などを受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。