研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 1,010 |
| 2024-12 | - | 930 |
| 2023-12 | - | 930 |
| 2022-12 | - | 943 |
| 2021-12 | - | 875 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,233 文字
6 【研究開発活動】私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、「未来のいのちを守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを深く理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。これらの取り組みの一環として、紫外線や暑熱環境といった外的ストレスから人の肌を守り、生活者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上に貢献するスキンプロテクション事業への注力を進めました。UVケア製品では、肌上で紫外線防御剤を含む塗膜が均一に形成される設計を基盤とし、肌表面の湿度環境にも着目した日やけ止め「ビオレUV アクアリッチ エアリーホールドクリーム」を開発しました。日常的な環境変化に応じた塗膜挙動を考慮した処方設計により、生活場面において安定した紫外線防御性能と使用感を実現しています。また、塗膜挙動を精緻に制御する技術基盤のもと、紫外線防御性能と使用感の両立を目指した処方設計を推進しました。これらの技術的知見は、海外市場向けの「Bioré UV Aqua Rich(ビオレUV アクアリッチ)」シリーズの開発にも活用されています。汗ケア製品では、暑熱環境における湿度・温度ストレス※を低減し、肌の快適性を向上させる研究を進め、その成果を「ビオレZero」シリーズの製品開発に活用しました。皮膚表面における汗の挙動を詳細に解析することで、汗を素早く乾かす独自技術の開発を推進しています。これらの研究成果は、海外市場においても現地の生活環境や使用実態に応じた製品展開につながっており、インドネシアで展開する「Bioré Breeze DEODORANT(ビオレ ブリーズデオドラント)」にも応用されています。今後も、皮膚科学研究と生活者理解を融合させ、スキンプロテクション分野における技術の高度化と、グローバルな市場ニーズに対応した製品開発を推進することで、人々の健やかで快適な暮らしに貢献してまいります。当社グループ全体で、約2,800名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、611億円(売上高比3.6%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 ※:汗・ベタつきの不快感 グローバルコンシューマーケア事業 〔ハイジーンリビングケア事業〕 人々の生活スタイルや価値観の多様なニーズに応え、清潔で安心して暮らせる生活空間の実現や、誰もが自分 らしく快適に過ごせるための商品・サービスを提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。 ファブリックケア製品及びホームケア製品における研究開発力のさらなる進化と、多様なステークホルダーとの 共創を通じたサステナブルな社会の実現を目的として、12月に和歌山事業場内に「Lifestyle Innovation Center (ライフスタイルイノベーションセンター)」を竣工しました。 ファブリックケア製品では、衣料用洗剤「アタック抗菌EX」シリーズを改良新発売しました。本シリーズの特 長である抗菌※1性能に加え、「アタック抗菌EX」は、花王初の黄ばみ除去成分の新配合により皮脂洗浄力の向上 を図っています。「アタック抗菌EX 部屋干し用」は、高湿度環境の密集干し※2でも、消臭性能を発揮する処方 設計としました。 柔軟仕上げ剤ブランド「ハミングフレア」からは、新剤型の洗たく用香りづけ剤 「ハミングフレア アロマビ ーズ」を発売しました。顆粒に特殊加工を施した「フレグランスポケット製法」により、冷水にも溶けやすく、 洗たく後の溶け残りを抑制します。また、衣類長持ち設計により、洗たく中の色あせ抑制※3にも寄与します。 ホームケア製品では、食器用洗剤 「キュキュット」から、「キュキュット ゴシゴシいらずの泡パック」を発 売しました。酵素パワーin処方により、高い洗浄力を発揮するとともに、シンク内の食器全体を泡で覆うことが できるスプレー設計により、従来のこすり洗い工程の簡略化を可能にしています。その結果、食器洗い時間の約 30%短縮※4、すすぎ時の水量の約20%削減※4に寄与します。 当事業に係る研究開発費は、146億円であります。 ※1:すべての菌の増殖を抑えるわけではありません ※2:干しはじめの洗たく物周辺の環境 ※3:衣類によって効果は異なります ※4:当社手洗い品比。鍋とフライパンを除く標準使用方法で比較 〔ヘルスビューティケア事業〕 世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOLの向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。 スキンケア製品では、「ビオレ」から、「ビオレ ザ ボディ ととのい肌」を発売しました。花王独自の皮脂選択洗浄成分※1を配合し、肌のうるおいに必要な皮脂は残しつつ、不要な皮脂を洗い流す処方設計により、 部位ごとに異なる肌状態を有する「ベタカサまざり肌※2」に対応しています。 ヘアケア製品では、ヘアケア事業変革の新ブランド第三弾として「MEMEME(ミーミーミー)」を発売しました。「ミーミーミー クラッシュジェルトリートメント」は、ジェル剤型を採用し、使用時に手で伸ばすと剤が崩れるように変化し、髪になじみやすくなる設計としています。 パーソナルヘルス製品では、「めぐりズム」から、炭酸※3配合ジェルパック「めぐりズム 貼る炭酸※3シリーズ」として、額・首もと用及び足用の2タイプを発売しました。炭酸※3を含む冷感ジェルシートが肌に密着し、使用中の快適性を高めます。当事業に係る研究開発費は、213億円であります。 ※1:オレフィンC16スルホン酸Na ※2:脂性と乾燥が混在している肌の状態 ※3:起泡剤 〔化粧品事業〕 世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合し、一人ひとりの「美」と「個性」に寄り添う新しい価値創造を目指しております。 カウンセリング化粧品では、「KANEBO(カネボウ)」から、「カネボウ クリーム イン デイII」、「カネボウ クリーム イン ナイトII」を発売しました。肌を乾燥から守る「胎脂」の擬似機能成分「TAISHITM Complex※1」を配合し、朝と夜の肌状態に応じた処方及び塗膜設計としています。 「est(エスト)」では、ベーシックラインとして「エスト ザ ローション EX」、「エスト ザ エマルジョンEX」を発売しました。独自開発成分 「エクトビオシス※2」を配合し、角層内の水分保持機能に着目した保湿設計により、乾燥環境下でもうるおいの持続を図っています。また、植物工場「SMART GARDEN(スマートガーデン)」における独自の栽培・抽出方法で精製された高純度植物エキス※3を含む複合保湿成分を配合しています。 当事業に係る研究開発費は、114億円であります。※1:基剤:長鎖分岐脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 保湿:N‐ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、濃グリセリン※2:保湿:エクトイン、コハク酸ジグリコールグアニジン*、トレハロース、グリセリン *医薬部外品はコハク酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジン※3:SGローマカミツレエキス、SGローズマリーエキス 〔ビジネスコネクティッド事業〕 プロフェッショナルからの高度な衛生ニーズに応えるとともに、高機能な製品開発とモニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を通じて、心身の健康を支え、人々のウェルネス向上に貢献する研究を推進しています。 ヘルスケア分野における研究知見を、情報と商品の両面から生活者に直接提供する新たなブランドとして、「花王ライフケア研究所」を立ち上げ、歩行から姿勢のゆがみを解析するアプリ「my Symmetry(マイシンメトリー)」の提供を開始しました。今後、研究知見の活用を通じた新たな価値創出を目指していきます。 BtoB衛生関連製品では、花王プロフェッショナル・サービス株式会社(KPS)が、介護・医療施設向けに「パワフル消臭ストロング」シリーズを全国発売しました。 本シリーズでは、尿臭や便臭といった施設特有の課題に対応するため、独自の香料技術※1及び防臭技術※2、※3を採用し、施設内の消臭ニーズへの対応を図っています。 当事業に係る研究開発費は、13億円であります。 ※1: 尿臭・便臭をガードする独自香料が悪臭を弱めるとともに、悪臭を取り込み、よい香りに変化させる技術(悪臭ガード ハーモセント技術) ※2:「パワフル消臭ストロング 消臭芳香剤」を除く ※3: 清掃後の対象物に独自の防臭成分が働き、尿臭の発生を防ぐ技術(尿臭ブロッカー) ケミカル事業 油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果を基盤に、顧客やパートナーとの共創を通じて、 環境・社会課題の解決に貢献する特徴あるケミカル製品・ソリューションの創出に取り組んでおります。 油脂製品では、オレオケミカルや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。 機能材料製品では、鉄バクテリア由来の茶褐色汚泥を除去できる産業用除去剤「ルナクリア」を発売し、 インフラメンテナンス分野における作業負荷低減に寄与しています。また、株式会社アイシンと共同開発した常 温防錆洗浄剤「ステイブライト」は、CO2排出量削減効果が評価され、第52回環境賞※において環境大臣賞を受賞 しました。 情報材料製品では、フラックス洗浄剤や半導体用薬剤をはじめとする電子部品用洗浄剤「クリンスルー」 シリーズを展開し、多様な製造工程ニーズに対応した洗浄ソリューションを提供しています。今後も、界面制御 技術と洗浄技術を基盤に、パートナー企業と連携した課題解決提案を強化してまいります。 当事業に係る研究開発費は、127億円であります。 ※:国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援
FY2024|4,164 文字
6 【研究開発活動】私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、「未来のいのちを守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。その一つの取り組みとして、重点事業のひとつであるヘアケア事業の変革をスタートさせました。「髪の生きる力を、人の生きる力へ」という事業ビジョンのもと、ヘアケアブランドのフォーメーションを感情ニーズに基づいて再編し、新ブランドを立ち上げました。休みながら美しく“休息美容”を提案する「melt(メルト)」、花王100年のヘアケア研究からたどり着いた補修成分を配合した「THE ANSWER(ジアンサー)」の2ブランドです。これらの変革を通じ、ヘアケア事業を成長ドライバー事業へと育成強化するとともに、各ブランドにおいて、常に生活者の期待を上回るモノづくりを推進していきます。またケミカル事業においては、ゴムや樹脂製品の製造時に、製品を型枠からスムーズに取り外すための離型剤「ルナフローRA」を発売しました。木材等から得られる繊維をナノレベルまで微細化したバイオマス素材セルロースナノファイバー(CNF)を材料として活用し、優れた離型性が持続することが特徴です。製造工程での作業性向上のみならず、溶剤フリー・フッ素フリーで環境と作業者の両方にやさしい製品設計となっています。今後も、CNFを活用した離型技術を応用し、汚れをつきにくくする製品への展開も視野に入れて、取り組んでまいります。当社グループ全体で、約2,800名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、621億円(売上高比3.8%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 コンシューマープロダクツ事業〔ハイジーン&リビングケア事業〕人々の生活スタイルや価値観の多様なニーズに応え、誰もが安心して快適に暮らせるための清潔・衛生商品を提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。ファブリックケア製品では、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO」シリーズを改良発売しました。ニオイ戻りの原因の一つとなる「バイオフィルム※1」を根本洗浄※2 し、除菌・抗菌洗剤※3 を超えた“無菌レベルの消臭力※4 ”を実現しました。ホームケア製品では、台所用漂白剤「キッチン泡ハイター」の泡のボリュームや持続性を向上させて、密着泡を実現し、1998年の発売以来、27年目で初めて改良※5 発売しました。同時に、密着泡で除菌※6 ・漂白・消臭しながら、使用時の塩素臭を低減した「キッチン泡ハイター 無臭性」を新たに発売しました。サニタリー製品では、生理用品「ロリエ」から、「ロリエ しあわせ素肌 もちふわfit」を新発売しました。からだに自在にフィットする「もちふわクッション」と、おしりのすき間にぴたっとフィットする「V字フィット」 で、やさしいつけ心地でモレにくく、多い日も肌をさらさらに保ちます。当事業に係る研究開発費は、148億円であります。※1:菌が作り出す多糖汚れ。※2:汚れ落ちのメカニズム(根本)から考えた洗浄のこと。※3:当社酸素系漂白剤・除菌洗剤・抗菌洗剤。※4:ニオイ菌がいないレベルで嫌なニオイがしないこと。※5:中身(液)において。※6:すべての菌を除菌するわけではありません。 〔ヘルス&ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。スキンケア製品では、「ビオレ」から、「ビオレZero」を新発売しました。汗を乾かし続ける「高蒸散パウダー」がヴェールのように肌を包み込むことで、さらさら感が長時間持続します。朝、外出前に使用することで、通勤・通学、日中の活動時に汗をかいても快適が続きます。また、蚊による感染症から「未来のいのちを守る」取り組みの一環として、蚊が肌にとどまることを防ぐアンチ・ランディングテクノロジーを備えた「ビオレガード モスブロックセラム」を、シンガポール、マレーシアで新発売しました。引き続き、社会課題の解決に向けた取り組みを推進していきます。ヘアケア製品では、ヘアケア事業改革の一環として既存ブランドの強化も行いました。主力ヘアケアブランド「Essential(エッセンシャル)」において、新たに「Brighten Me Up!<ときめきが世界を変える>」をブランドコンセプトに、「Essential Premium(エッセンシャル プレミアム)」シリーズを新発売、「Essential」のベーシックシリーズの改良発売を行いました。また、年齢に応じた髪の本質ケアを行うブランド「Segreta(セグレタ)」では、「Segreta PREMIER(セグレタ プレミア)」を新発売、既存の「Segreta」ベーシックシリーズは、パッケージデザインを刷新するとともに、洗い流さないトリートメント「セグレタ シアーコート ヘアミスト」「セグレタ スムースフィット ヘアオイル」をラインアップに加え、改良発売しました。パーソナルヘルス製品では、ブランド「めぐりズム」から、花王初の管理医療機器※ 「めぐりズムメディカルアイケアマスク」を一部のECにて先行発売しました。乾燥による目の不快感に対する蒸気温熱の効果について学術研究を進めた結果、管理医療機器としての承認を得ることができました。当事業に係る研究開発費は、221億円であります。※:「医療機器」とは、薬機法第2条第4項で人もしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、又は、人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされる機械器具等であり、政令で定めるものをいいます。その中でも「管理医療機器」は薬機法第2条第6項で適切な管理が必要な医療機器と定められています。 〔ライフケア事業〕高機能な製品開発と、モニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を目指し、心身の健康をサポートし、人々のウェルネスの向上につながる研究を進めています。「皮脂RNAモニタリング※ 」に関連する活動の一環として、株式会社アイスタイルと、ビューティ&ヘルス産業のサステナブルな発展を目的とした「RNA共創コンソーシアム」を共同設立しました。美容健康サービスの「作る」「売る」「選ぶ」ための新基準制定や標準化、ビジネスユースケースの実証、ビジネス連携支援等の活動を推進します。また、株式会社ヘルスケアシステムズ社を通じて、「皮脂RNAモニタリング」技術を用いて皮脂RNAの受託分析を行うサービスを開始しました。皮膚科学、健康科学、医療をはじめとする様々な領域の研究・製品開発への活用が期待できます。当事業に係る研究開発費は、18億円であります。※:肌表面から採取した皮脂中のRNAから、個人の違いだけでなく、加齢や疲労、病気等の体調の変化や、外的ストレスの影響を解析する技術。 〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、「KANEBO」から、リップ「ルージュスターヴァイブラント」を新発売しました。内から湧き上がるような血色感とみずみずしいツヤを纏い、脈打つような生命感のある仕上がりが続きます。また、美容液「カネボウ フュージョニング ソリューション」を新発売しました。肌の凹凸や動きにも追従する、均一でなめらかな浸透膜を形成し、うるおいを閉じ込めて、やわらかくなめらかな肌へ導きます。「キュレル」では、保湿クリーム「キュレル 潤浸保湿 パウダーバーム」を新発売しました。髪の毛やほこり等の不快接触や摩擦から肌を保護するだけではなく、毛穴・凹凸をぼかしてなめらかに整えます。「ソフィーナiP」では、保湿クリーム「ソフィーナiP ゴールデンタイムリペア 深夜浸透クリーム」を新発売しました。就寝前に使用することで夜間に保湿成分が角層細胞まで浸透し、翌朝のもっちりハリツヤ肌へ導きます。当事業に係る研究開発費は、117億円であります。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。佐賀県佐賀市が有する清掃工場から排出されるCO2を回収・精製できる設備を利用し、独自の植物工場「SMART GARDEN (スマートガーデン)」を構築しました。「スマートガーデン」では、使用電力や水使用量において環境負荷を低減しつつ、植物を効率よく栽培することが可能です。さらに、栽培した植物からエキスの抽出まで一気通貫で行い、高純度・高効能な植物エキスを得ることができる成分制御技術を開発しました。油脂製品では、オレオケミカルや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めており、機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発を進めております。情報材料製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナー(LUNATONE)や独自開発のVOCレス設計※ の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を強化していきます。当事業に係る研究開発費は、118億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2023|3,710 文字
6 【研究開発活動】私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、「未来のいのちを守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。そのひとつの取り組みとして、皮脂RNAモニタリング技術※1を活用し、乳幼児の肌バリア状態を把握する郵送検査サービス「ベビウェルチェック」※2を協働企業と共に開始しました。あぶら取りフィルムを肌にあてて皮脂をふき取るだけという侵襲性のない方法で、自宅にいながらにして、皮脂RNAの情報から肌のバリア機能を知ることができ、肌状態に合ったケア情報を受け取れるサービスです。また、産学連携の研究の取り組みにおいても、乳幼児から成人までを対象に、アトピー性皮膚炎の早期発見や症状の評価への活用の可能性を見出しています。今後も、花王の独自技術を様々な分野の検査事業に応用し、新たな事業領域へ挑戦していきます。また、既存事業の強化として、「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト」を発売し、UV製品における新たな価値を提案しました。霧のようなミストが肌を覆い、肌上で素早くジェル状に変化するため、“ぴたっ”と均一にムラなく肌に密着。使い勝手の良さから、外出先でのUVケア習慣という生活者の潜在的なニーズに応え、高く支持されました。私たちは今後も、既存の事業領域において、新たな価値創出を目指してまいります。当社グループ全体で、約2,900名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、626億円(売上高比4.1%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。※1:肌表面から採取した皮脂中のRNAから、個人の違いだけでなく、加齢や疲労、病気等の体調の変化や、外的ストレスの影響を解析する技術。※2:この検査は病気の診断をするものではありません。 コンシューマープロダクツ事業〔ハイジーン&リビングケア事業〕人々の生活スタイルや価値観の多様なニーズに応え、誰もが安心して快適に暮らせるための清潔・衛生商品を提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。ファブリックケア製品では、洗たく機にそのまま入れるだけで使えるスティック形状の衣料用粉末洗剤「アタック ZERO パーフェクトスティック」を新発売しました。洗浄・消臭・抗菌※1等の効果成分を凝縮した発泡パウダーが水に素早く溶け、前洗いなしでも頑固な皮脂汚れを落とすことを実現しました※2。環境面にも配慮し、ハードプラスチック本体容器を使用せず、全サイズをパウチ包装仕様にすることでプラスチック使用量(洗たく1回当たり)を削減しました※3。ホームケア製品では、トイレ用洗剤「トイレマジックリン」シリーズから「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」を新発売しました。へたらず垂れにくい吸着泡が便器内に密着することで汚れを取り込み、トイレブラシによるこすり洗いなしでも便器内をきれいに掃除できます※4。当事業に係る研究開発費は、160億円であります。※1:すべての菌の増殖を抑制するわけではありません。※2:汚れの程度によっては、落ち方がかわることがあります。※3:水量30Lの場合。当社非濃縮液体洗剤本体容器と「アタック ZERO パーフェクトスティック」パウチ包装の比較で約64%削減。※4:こびりついた汚れは落とせません。 〔ヘルス&ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。スキンケア製品では、「ビオレ」から、「ビオレ ザ クレンズ オイルメイク落とし」を新発売しました。製品をつけるだけでメイクが瞬時に浮くため、メイク落としに伴うストレスが低減され、素肌を健やかに保つことを目指します。ヘアケア製品では、「エッセンシャル」の中核ライン「Essential THE BEAUTY(エッセンシャル ザビューティ)」から、「バリアシャンプー」、「バリアコンディショナー」と「うるツヤチャージヘアパック」の3品を新発売しました。シリーズ全品に、天然由来の美髪オイル「18-MEA OIL※1(毛髪保護)」を共通配合。雨の日や乾燥した日も、髪がしなやかに美しくまとまります。パーソナルヘルス製品では、オーラルケアブランド「ピュオーラ」から、「PureOra36500(ピュオーラ サンロクゴマルマル)」シリーズを新発売しました。歯ぐきの抵抗力※2を強化するBGA※3を配合し、ハグキそのものを強くすることで、汚れや菌から歯ぐきを防御し歯周病※4を予防します。当事業に係る研究開発費は、216億円であります。※1:ラノリン脂肪酸。※2:抗炎症作用で汚れや菌からハグキを防御する。※3:抗炎症成分β-グリチルレチン酸。※4:歯肉炎・歯周炎の総称。 〔ライフケア事業〕高機能な製品開発と、モニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を目指し、心身の健康をサポートし、人々のウェルネスの向上につながる研究を進めています。健康飲料の「ヘルシア」から、キリンホールディングス株式会社の免疫ケアブランド「キリン iMUSE」との共創により、「ヘルシア緑茶プラス 免疫ケア」を数量限定で発売しました。茶カテキンがBMIが高めの方の内臓脂肪を減らすのを助け、プラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)が健康な人の免疫機能の維持をサポートします。「内臓脂肪」と「免疫」の両方をケアすることの重要性も啓発し、人々の健康維持に貢献しました。当事業に係る研究開発費は、24億円であります。 〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、「KANEBO」から、美容液ファンデ―ション「カネボウ コンフォートスキン ウェア」を新発売しました。化粧持ちのよさと塗膜のしなやかさを両立し、心地よい使用感で、ふんわりと明るい素肌を表現します。「エスト」では、「エスト セラム ワン」をリニューアルし、シワ改善とシミ予防※1をする、炭酸※2の泡の美容液「エスト セラム ワン アドバンスド」を新発売しました。花王独自の炭酸※2泡技術を採用し、超微細なマイクロ炭酸※2の泡の美容液が肌に密着し、角層最深部まで浸透します。さらに、有効成分ナイアシンアミド配合で、シワ改善とシミ予防※1を可能にしました。当事業に係る研究開発費は、113億円であります。※1:メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ。※2:炭酸ガス(噴射剤)。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、オレオケミカルや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めており、機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発を進めております。そのひとつとして、廃棄されるPET素材を原料に活用したアスファルト改質剤「ニュートラック 6000SMA」を新発売しました。アスファルト舗装では、アスファルトと骨材※1の間に隙間(空隙)が生じることがあります。積雪寒冷地においては、空隙があると内部に浸入した水が凍結融解し、体積の変化が繰り返されることで穴(ポットホール)が発生しやすくなります。この道路課題に対し、骨材とアスファルトの密着性を高めることで、舗装の空隙抑制と耐久性向上を可能にしました。また、バイオマス由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nano Fiber)を用いた複合材料「LUNAFLEX」は、プラスチック製品の物性を向上させ、資源の効率的利用に大きく貢献します。情報材料製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナー(LUNATONE)や独自開発のVOCレス設計※2の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を強化していきます。当事業に係る研究開発費は、115億円であります。※1:道路舗装の材料としてアスファルトとともに使用される砂利や砂。※2:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2022|3,841 文字
6 【研究開発活動】私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、「未来のいのちを守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。そのひとつの取り組みとして、様々な生体データを高精度かつ非侵襲※1で取得し、個人の状態を精確に同定する「プレシジョン・モニタリング」の技術開発と応用展開を進めています。歩行モニタリングでは、歩行動作を詳細に解析する技術の開発や、日常歩行からフレイル※2の進行や認知機能低下の推定等、健康状態の変化をセルフチェックできるツールの開発を進めています。皮脂RNAモニタリングは、肌表面から採取した皮脂中のRNAから、個人の違いだけでなく、加齢や疲労、病気等の体調の変化や、外的ストレスの影響を解析する技術で、協働企業とともに応用・実用化に向けた取り組みを進めています。2022年11月には、化粧品事業から花王初となるプレシジョン・モニタリングのビジネスへの実装化を開始しました。今後、これらのモニタリング技術をはじめ、簡単に入手できるデータから因果関係を割り出すプラットフォームを一般化させることで、的確なソリューションの提供を可能にし、広く社会への貢献を目指してまいります。当社グループ全体で、約3,000名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、606億円(売上高比3.9%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。※1:注射や手術等、皮膚や身体の開口部に器具の挿入を必要としない方法。※2:健康な状態と要介護状態の中間の状態。加齢とともに心身の活力が低下し、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態。 コンシューマープロダクツ事業〔ハイジーン&リビングケア事業〕人々の生活スタイルや価値観の多様なニーズに応え、誰もが安心して快適に暮らせるための清潔・衛生商品を提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。ファブリックケア製品では、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO(ゼロ) 部屋干し」を新発売しました。部屋干しのニオイを根本から無臭化する“部屋干し臭撃退技術”を搭載し、ニオイや黒ずみの発生源となる手強い“菌の隠れ家”にまでアプローチ※1する「アタック ZERO」シリーズの共通特長も備えています。ホームケア製品では、食器用洗剤「キュキュット」シリーズを刷新しました。進化した独自の“ハイブリッド・ウォッシュ技術”によってキュキュット史上、最高の「洗浄力」「泡持ち」「泡切れ」を実現。パワーアップした洗浄力で油汚れを細かく分解し、かつ、しっかりとした泡膜で汚れを包み込み、他の食器へ汚れの再付着も防ぎます※2。サニタリー製品では、生理用品「ロリエ」から、花王の抗菌技術に加え、インドネシアで伝統的に用いられるハーブ「ダンシリ(Daun Sirih)」の成分を配合した抗菌タイプの「ロリエ ナチュラル&クリーン」をインドネシアで新発売しました。当事業に係る研究開発費は、159億円であります。※1:多糖汚れの蓄積を抑える効果。※2:汚れの程度によって、汚れが移る場合があります。 〔ヘルス&ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。スキンケア製品では、「ビオレUV」から快適な使い心地を追求し、使用感を科学した「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトローション」を新発売しました。花王で初めて、UVカット成分をすべてアクアカプセル(寒天ゲル)に閉じ込めることに成功。肌になじませる時は水のように広がり、素早くなじんだ後はパックされたように密着する、変化する使用感を実現しました。ヘアケア製品では、「エッセンシャル」から、髪悩みに応じた新トリートメント「エッセンシャル ザ ビューティ 髪のキメ美容ウォータートリートメント」を発売しました。洗い流さない、ウォータータイプのトリートメントで、新技術「持続型ウォーターヴェール」が髪に密着。ブリーチ等で傷んだ髪も、根元から毛先まで髪のキメがそろった状態に整えます。パーソナルヘルス製品では、「めぐりズム」シリーズより、心地よい蒸気が目もとを温かく包み込む「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」を改良新発売しました。進化した独自開発の新素材を採用し、つけた瞬間のふっくら感と、目もとにあわせて密着するフィット感を実現しました。当事業に係る研究開発費は、209億円であります。 〔ライフケア事業〕高機能な製品開発と、モニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を目指し、心身の健康をサポートし、人々のライフケアの向上につながる研究を進めています。機能性表示食品シリーズ「リファイン」から、2つのサプリメントを流通限定で先行発売しました。「リファイン 動き軽やかサポート」は、ミルクに含まれる希少成分「乳由来スフィンゴミエリン」が、足の筋肉への神経伝達を助け、足の動きとバランス感覚をサポート、「リファイン 脳キレイ」は、「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」が睡眠の質を高め(起きたときの疲労感を減らす)、認知機能の一部である実行機能(状況に応じて適切に注意を切り替える力)をサポートします。当事業に係る研究開発費は、25億円であります。 〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、「トワニー」から、「トワニー ドラマティックメモリー」を発売しました。特殊なポリマーと油剤を組み合わせた世界初※1の成分アプローチを採用。塗膜が収縮することで肌を物理的に引っ張り、シワと頬のふくらみの2要因からなる影を減らすことで、ほうれい線を目立ちにくくします。「エスト」では、洗顔料「エスト クラリファイイング ジェル ウォッシュ」を発売しました。厚みのあるジェルが肌に密着、毛穴に詰まった角栓を分解して落とし、酸化タンパク質を含む古い角質までしっかり洗い流します。さらに、肌をコーティングするエスト先進成分※2を配合し、肌の潤いを守りつつ、なめらかで透明感のある洗い上がりを実現します。「キュレル」では、7月に中国で「キュレル アンチリンクルフェイスクリーム」を発売しました。「セラミド機能成分」と「ショウキョウ(生姜)エキス」を配合し、これらがともに作用することにより、肌の「バリア力」と「潤いと弾力」を同時にケアする、日中研究開発チームが共同開発した中国消費者に向けたキュレルで初めてのエイジングケア商品です。当事業に係る研究開発費は、108億円であります。※1:塗膜収縮成分<(ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマー、ジシロキサン>の組み合わせ。先行技術調査及びMintel社データベース内2022年2月当社調べ。※2:エスト洗顔料内において、CPコンプレックスα(保湿:トコフェロール、ソルビトール)。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、オレオケミカルや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めており、機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発を進めております。そのひとつとして、廃棄されるPET素材を原料とした高耐久アスファルト改質剤「ニュートラック 5000」は、その製品開発の取り組みが一般社団法人「レジリエンスジャパン推進協議会」が実施する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2022」において準グランプリ・金賞を受賞し、次世代に向けた国土強靭化に貢献するものとして高く評価されました。今後も、国内のみならず海外においてもヒトと環境に配慮した「グリーン舗装」の普及・促進に努めていきます。また、バイオマス由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nano Fiber)を用いた複合材料「LUNAFLEX」は、プラスチック製品の物性を向上させ、資源の効率的利用に大きく貢献します。情報材料製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナー(LUNATONE)や独自開発のVOCレス設計※の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を強化していきます。当事業に係る研究開発費は、107億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2021|3,739 文字
5 【研究開発活動】私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、サステナビリティ以外の退路を断ち、「未来の命を守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社は未来に向けて、ESG活動と投資を積極的に行うことで、「豊かな持続的社会」への貢献と会社自体の事業成長を両立させ、最小限の資源で最大の価値をつくり出し、社会に欠かすことのできない会社になることを目指します。そのひとつとして、ケミカル事業では、廃棄されるPET素材(廃PET)を原料とした高耐久アスファルト改質剤「ニュートラック 5000」を展開しています。これは、廃PETをアスファルト道路に生まれ変わらせる取り組みであり、当社が推し進めるアップサイクル事業を実現するものとして、今年度、企業と連携した実装化を強化して進めました。今後この技術をグローバルに展開していくとともに、多くのパートナーとの連携・協働により、新たな価値創出に挑戦していきます。当社グループ全体で、約3,000名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、590億円(売上高比4.2%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 コンシューマープロダクツ事業〔ハイジーン&リビングケア事業〕人々の生活スタイルや価値観の変化に伴う多様なニーズに応え、誰もが安心して快適に暮らせるための清潔・衛生商品を提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。ファブリックケア製品では、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO(ゼロ)」を改良新発売しました。従来の高い洗浄力に加え、繊維の表面を親水化して皮脂汚れを落ちやすくするセンイ改質技術“AC-HEC(エー・シー・ヘック)”の進化により、洗濯中、くすみや黒ずみの原因となる粒子汚れが、より繊維に付着しにくい状態になります。また、「アタック ZERO(ゼロ)」の洗浄基剤である界面活性剤“バイオ IOS(アイ・オー・エス)”の開発技術は、公益社団法人新化学技術推進協会の第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞「経済産業大臣賞」を受賞し、環境課題に取り組む産業技術として高く評価されました。ホームケア製品では、「マジックリン」から浴室用洗剤「バスマジックリン エアジェット」を新発売しました。誰でも省力・簡単・確実に、ミストを浴室全体に塗布できることを目指し、UD 視点※を取り入れた“連射ミスト”ができる新容器を採用しました。また、“速効分解処方”により、これまで手強かった、タンパク質の周りを固体皮脂が覆った残留汚れまで、こすらずに30秒待って流すだけで落とすことができます。「メリーズ」では、「メリーズ 成長の一歩パンツ」を中国で新発売しました。排尿後も、従来品より膨らみにくくスリムな状態を保つ新開発の吸収体を採用し、動きが妨げられにくくなることで、歩きやすい紙おむつを実現しました。併せて、歩行研究知見を活かし、赤ちゃんの歩行発達をスマートフォンで手軽に計測し成長アドバイスを行なうサービスの開発を進めています。当事業に係る研究開発費は、152億円であります。※:当社では、「花王ユニバーサルデザイン指針」を策定し、より多くのお客さまにとって、わかりやすく使いやすい製品をお届けするように努めています。 〔ヘルス&ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。スキンケア製品では、「ビオレUV」から「ビオレUV アクアリッチ ライトアップエッセンス」を発売しました。紫外線をカットしながら、可視光を肌上で全方位に拡散させる「光拡散技術」で、ふんわり輝く自然な透明感を生み出し、実感できる明るさ向上と自然な素肌感の両立を実現しました。ヘアケア製品では、「エッセンシャル」から、新たに「Essential THE BEAUTY (エッセンシャル ザ ビューティ) 髪のキメ美容シリーズ」を発売しました。美しい髪の必須成分「18-MEA (18-メチルエイコサン酸※1」を全てのアイテムに配合するほか、髪1本1本のダメージ補修技術、毛流れの乱れまで整えやすくする技術を採用した新処方により、髪の表面の乱れを整え、キメがそろった美しさへと導きます。パーソナルヘルス製品では、入浴剤「バブ」シリーズより、浴用入浴料「バブ オフロでオフ」を新発売しました。皮脂吸着パウダーと感触向上剤である炭&さっぱり※2成分を配合した「バブ オフロでオフ」が溶け込んだアルカリ湯が、余分な皮脂を流すことで、湯上り後、さらさらとした肌がつづきます。欧米では、「ジョンフリーダ」より「ブルークラッシュ フォー ブルネット ブルー シャンプー・コンディショナー」を発売しました。酸性染料を配合した独自の浸透促進技術により、強くなったオレンジの色みを抑え、一回の洗髪で美しいブルネットの色合いを実現します。当事業に係る研究開発費は、207億円であります。※1:ラノリン脂肪酸(毛髪保護剤)※2:重曹・ソーダ灰 〔ライフケア事業〕高機能な製品開発と、モニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を目指し、心身の健康をサポートし、人々のライフケアの向上につながる研究を進めています。健康飲料の「ヘルシア」から、「高めの血圧を下げるのを助ける」「内臓脂肪を減らす」の2つの機能性を有するコーヒー豆由来クロロゲン酸類を配合したボトル入り飲料「ヘルシア W いいこと巡り茶」を発売しました。機能性表示食品の茶系飲料で日本初※の「高めの血圧」と「内臓脂肪」をダブルで訴求しています。当事業に係る研究開発費は、23億円であります。※:2021年8月機能性表示食品DB茶系飲料として 〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。グローバルメイクブランド「KATE」(ケイト)から、落ちにくいのに、つけたての色がそのまま持続する口紅「ケイト リップモンスター」を発売しました。唇から自然と蒸発する水分を利用して密着ジェル膜に変化させる独自の技術※1により、長時間“つけたての色”が持続します。また、保湿成分配合で、保湿と色持ちを兼ね備えた高発色リップとして、マスク着用下でもメイクの楽しさを提案しております。「ソフィーナ iP」からは、100%炭酸ガスの噴射剤が作り出す泡の洗顔料「ソフィーナiP リニュームースウォッシュ」を発売しました。皮脂や汚れに浸透して浮かすことでより落としやすくする、という新知見を見出しており、濃密な洗浄泡が肌に密着し、くすんで暗く見える肌※2でも、洗うたびうるおって明るく整えます。洗顔後も保湿成分が肌にとどまる「モイストキープ処方」で、つっぱらずしっとりとした肌に洗い上げます。当事業に係る研究開発費は、104億円であります。※1:当社独自の色持ち技術※2:古い角質による ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、高級アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めており、機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発を進めております。そのひとつとして、散布時の水分蒸発を抑え、対象作物以外へ飛散を抑制する機能を新しく加えた、ドローン専用の機能性展着剤「KAO ADJUVANT A-200」を中国で発売しました。この技術は食糧生産性の向上や環境保全につながることが期待されます。バイオマス由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nanofiber)を用いた複合材料「LUNAFLEX(ルナフレックス)」は、プラスチック製品の物性を向上させ、資源の効率的利用に大きく寄与します。スペシャルティケミカルズ製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナーや独自開発のVOCレス設計※の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を進めております。当事業に係る研究開発費は、104億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2020|3,778 文字
5 【研究開発活動】消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社は未来に向けて、地球が生きる場として持続的に保たれること、人が危害から守られて笑顔で暮らせること、社会が持続的に豊かであること、これらのすべてが満たされる経済の確立を目指し、新たな挑戦を始めます。ESG活動と投資を積極的に行うことで、「豊かな持続的社会」への貢献と会社自体の事業成長を両立させ、社会に欠かすことのできない会社になることを目指します。その取り組みのひとつとして、肌上に低粘度のシリコーンオイルを塗布することで、蚊が肌にとどまらず、吸血を阻害できることを明らかにしました。これは、従来の忌避剤(虫よけ)とは異なり、蚊の脚がもつ微細な構造に着目し、肌表面を蚊の嫌う物性に変化させることによって蚊をとまらせなくする新しい着眼点の蚊よけ技術です。蚊は、感染症を媒介することによって、地球上で最も人類の命を奪っている生物です。この技術を応用し、蚊を媒介とした感染症から人々を守ることに貢献していきたいと考えます。当社グループ全体で、約3,100名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、585億円(売上高比4.2%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 コンシューマープロダクツ事業〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、「KANEBO」の主力製品を刷新しました。「カネボウ クリーム イン デイ」は、朝のお手入れに使用することで日中肌をうるおいで満たし、一日の美しさを高める“朝クリーム”です。赤ちゃんの未熟な肌を包む胎脂に着想を得て開発した“ベビーソフトオイル処方”を採用。溶け込むようなテクスチャーで心地よく肌になじみ、日中うるおいが持続します。さらに、SPF20・PA+++で日中の紫外線からも肌を守ります。内面からにじみ出るような自然な艶肌に仕上げるとともに、メイクののりや、もちを高めます。「キュレル」からは、「キュレル ディープモイスチャースプレー」を発売しました。乾燥性敏感肌の方に向けた、肌荒れ・カサつきが気になるときに、いつでもどこでもどこにでもセラミドケア※1ができる保湿スプレーです。セラミド機能成分※2(保湿)をスプレー剤型に配合するために微細化する技術開発に成功し、新たな製法として採用しました。微細化したセラミド機能成分※2 が、肌の奥(角層)まで浸透するミクロモイスチャー処方により、ひと吹きでうるおったやわらかな肌に保ちます。当事業に係る研究開発費は、105億円であります。※1:「セラミド」のはたらきを補い潤いを与える。※2:ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド 〔スキンケア・ヘアケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、革新的な技術と品質により、ユニークで付加価値の高い製品の開発をとおして、多様な価値観やライフスタイルに合わせた最適な美の提案を目指しております。スキンケア製品では、「ビオレガード」から、「ビオレガード薬用消毒スプレーα(アルファ)」を発売しました。手洗いや手指の消毒の重要性やその意識が高まる中、より、衛生的な習慣を重視する方に向けた、エタノール(有効成分)を79.7vol%配合しているスプレータイプの消毒液です。手のひらや指、ツメやシワの間にも、直接スプレーでき、たっぷり使ってもべたつきません。ヘアケア製品では、白髪が気になりはじめる35~49歳に向けた、明るい髪色にこだわった白髪染め「ブローネ Lumiést(ルミエスト)」を発売しました。黒髪を明るくすることに着目し、白髪と黒髪のコントラストを少なくした上で染料を入れる「ブライトアップカラー処方」を採用。髪全体がバランスよく、明るく仕上がります。さらに、花王独自の低臭高感触処方のクリームタイプなので、ヘアカラーの気になるニオイ立ちをおさえ、使用中や使用後の髪の指通りをなめらかにすることができました。当事業に係る研究開発費は、157億円であります。 〔ヒューマンヘルスケア事業〕人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めております。サニタリー製品では、生理用品「ロリエ」から、吸引力を向上させ、より肌あたりをやさしくする改良を施した「ロリエ しあわせ素肌」を改良新発売しました。経血をナプキン内部に引き込む吸引力を高めるために、表面材の不織布の下層部分に改めて着目。当社従来品に比べて125%吸引力を向上することで、より肌が経血でぬれにくくなりました。さらに、「ふんわりタイプ」については、よりやわらかく身体にフィットする形状に改良。これまで以上にふんわりやわらかいつけ心地を実現しています。「メリーズ」では、インドネシアの「メリーズパンツ グッド スキン」において、脚まわりの素材のやわらかさを改良し、大きいサイズも追加発売しました。パーソナルヘルス製品では、炭酸ガスの入浴剤「バブ」シリーズを改良新発売しました。水道水中の塩素を除去し、素肌と同じ弱酸性にすることで、さら湯(水道のお湯)より、もっといたわるお湯質※1に変え、肌をやさしく包み込みます。たっぷり溶け込む炭酸力とからだ全体を包むあったかベール成分※2で、温浴効果を高め、疲労・腰痛・肩こり・冷え症に効きます。当事業に係る研究開発費は、119億円であります。※1:湯ざわり※2:硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム 〔ファブリック&ホームケア事業〕多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでおります。ファブリックケア製品では、衣料用液体洗剤「アタック3X(スリーエックス)」を発売しました。新開発の3X(スリーエックス)洗浄処方で、抗菌※1も、消臭も、洗浄も、これ1本で一気に解決し、24時間、菌の増殖を防ぎ※2 、部屋干しでも生乾き臭をしっかり防ぐとともに、皮脂汚れ・食べ物汚れ・汗臭・くつ下臭もしっかり落とします。ホームケア製品では、「クイックル」から、トイレの床や壁の掃除に便利な住居用ワイパー「クイックルミニワイパー」を発売しました。ミニワイパーのヘッド部分へ、ミシン目にそって半分に切った「トイレクイックル」のシートを装着すれば、すべらせるだけの軽い力で汚れを捕集できます。また、小さいヘッドと短い柄の“コンパクト設計”により、届きにくくて掃除が大変なトイレの床の奥でも、ひざをつかずにラクに掃除ができます。着脱も簡単で、汚れたシートに触れずに捨てられます。当事業に係る研究開発費は、102億円であります。※1:すべての菌を抑えるわけではありません。※2:すべての菌に効果があるわけではありません。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、高級アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物やエネルギー低減に寄与する技術開発を進めています。その成果として、原料に廃PETを用いたポリエステル系アスファルト改質剤の開発に成功し「ニュートラック5000」として販売を開始しました。このアスファルト改質剤を用いると大幅な舗装の長寿命化も可能となります。もう一つの成果として、バイオマス由来の改質セルロースナノファイバー配合樹脂「LUNAFLEX(ルナフレックス)」シリーズを開発しました。これを少量配合することでプラスチック製品の強度や寸法安定性(熱膨張率の低減)を大幅に向上可能となり製品の小型化・軽量化、すなわち資源の効率的利用に大きく寄与できるものと考えています。これら技術により、今後も社会のサステナビリティに貢献してまいります。スペシャルティケミカルズ製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナーや独自開発のVOCレス設計※の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を進めております。当事業に係る研究開発費は、104億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下の ものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2019|4,557 文字
5 【研究開発活動】消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社は、持続的な成長が可能となる基盤構築に向けて、ESG経営に大きく舵を切り、“よきモノづくり”の思想を、“ESG視点でのよきモノづくり(ESGよきモノづくり)”へと高め、研究開発活動においても、環境や社会に配慮した取り組みをより一層強化していきます。ソーシャルイノベーションでは、肌表面に、極細の繊維からなる積層型極薄膜を直接形成する「ファインファイバーテクノロジー」の実用化の第一弾として、「エスト」と「SENSAI」から、化粧品事業領域での応用を開始しました。また、「RNA Monitoring(RNAモニタリング)※1」では、株式会社Preferred Networksと、皮脂RNAから得られたデータに機械学習・深層学習(ディープラーニング)※2等のAI技術を応用して、肌状態にコミットする美容カウンセリングサービスの構築を目指し、実用化に向けた協働プロジェクトを開始しました。当社グループ全体で、約3,100名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、591億円(売上高比3.9%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。※1:日々変動する皮膚状態を反映する遺伝子発現情報「RNA(リボ核酸)」を顔の皮膚から単離し、分析する技術※2:機械が大量のデータから特徴や法則性を自動で抽出する技術。特に深層学習は画像認識・音声認識等の特定タスクにおいて精度を飛躍的に高めています。 コンシューマープロダクツ事業〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、「エスト」が「エスト セラム ワン」「エストG.P. コンディショニングセラム」「エストG.P. エンリッチドセラム」の3種類の美容液による3ステップのケアを提案する商品ラインアップと、コーチングの概念を取り入れたカウンセリングに一新し、“GPサイクルセラムケア”というエイジングケア※1ラインを発売しました。季節や年代とともに変化するお客さまの肌悩みや肌状態に合わせ、9通りから最適な組み合わせが選べ、すべてにエスト先進成分GPサイクルコンプレックス※2を配合しています。保湿成分が角層の最深部まで浸透するだけでなく、合わせて角層全体に行き渡ることで、肌をうるおいで満たします。12月には積層型極薄膜形成技術「ファインファイバーテクノロジー」を実用化した「バイオミメシスヴェール」シリーズ3品を発売しました。「フリープラス」では、グローバル戦略ブランドとしてさらに飛躍すべく、“敏感を愛そう”という新しいメッセージで、日本での育成を強化しました。肌に触れると水状に変わる“摩擦レス”にこだわったみずみずしく軽い使い心地と、べたつかないのにしっかり潤う“高保潤”を実現した「フリープラス ウォータークリーム」を新たに発売しました。9月にはタイへの導入も開始し、今後は、アセアン全域ほか、グローバルでの展開を加速していきます。当事業に係る研究開発費は、106億円であります。※1:年齢に応じたうるおいとハリのお手入れのこと※2:「エスト セラム ワン」:GP サイクルコンプレックスα (保湿:ユズエキス、1,3-プロパンジオール、PEG1540) 「エストG.P. コンディショニングセラム」: GP サイクルコンプレックスβ (保湿:アミジノプロリン、ニンジンエキス、月下香培養エッセンス※3、DPG) 「エストG.P. エンリッチド セラム」:GP サイクルコンプレックスγ (保湿:ローズマリーエキス、フィトスフィンゴシン、月下香培養エッセンス※3、BG) ※3:チューベロース多糖体 〔スキンケア・ヘアケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、革新的な技術と品質により、ユニークで付加価値の高い製品の開発をとおして、多様な価値観やライフスタイルに合わせた最適な美の提案を目指しております。スキンケア製品では、現代人のカサつきがちな肌に、洗いすぎない高潤滑処方の新全身洗浄料「ビオレu ザ ボディ」シリーズを発売しました。“生クリーム泡”が出てくる泡タイプと、手づくりで“シルキー泡”がつくれる液体タイプ、ともに、洗いすぎない「高潤滑処方の泡」を採用し、微細な泡が肌の上をなめらかにすべり、こすらず汚れを吸い上げます。さらに、泡タイプと液体タイプ、それぞれ専用のマイクロファイバーを採用した「肌摩擦感0(ゼロ)発想」の新しい洗浄道具も発売しました。肌の保水力を保って洗い、みずみずしい健康素肌に保ちます。ヘアケア製品では、くせ・うねり髪でも、365日使うたび、扱いやすくなる新シリーズ「エッセンシャル flat」を発売しました。「くせ・うねりメンテナンストリートメント」と「くせ・うねりときほぐしセラム」に配合した“ときほぐし成分※1”が髪内部に浸透します。ドライヤーやアイロンの熱を加えることで髪内部を柔らかくし、扱いやすく、形づけやすくします。また、「くせ・うねりメンテナンスシャンプー」には、ゴワつきの原因の一つである、髪内部のカルシウムを洗浄する“ゴワつき除去成分(洗浄コハク酸※2)”を配合しています。髪のゴワつきの原因を除去し、指通りよく扱いやすくします。当事業に係る研究開発費は、158億円であります。※1:熱を加えた時に髪を柔軟化し、扱いやすくする整髪成分(イソステアリルグリセリル)※2:コハク酸・ラウレス硫酸アンモ二ウム 〔ヒューマンヘルスケア事業〕人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めております。フード&ビバレッジ製品では、「内臓脂肪が気になる方」「血圧が高めの方」「LDLコレステロールが高めの方」それぞれに向けて、粉末タイプの機能性表示食品「ヘルシア」粉末シリーズを発売しました。持ち運びや、家でのストックに便利なスティックタイプで、飲み方もお好みに合わせ、ホットでもアイスでも楽しめ、日々の健康習慣に手軽に取り入れていただけます。サニタリー製品では、生理用品「ロリエ」から、肌あたりをよりやさしくする改良※1を施した「ロリエ しあわせ素肌」を発売しました。ムレ・ヌレ・コスレといった生理中のさまざまな不快感を軽減するため、従来より採用している低刺激設計のふわポコ表面シートや通気性のよいバックシートに加え、新しくナプキンのサイドの部分のやわらかさを向上し、脚まわりのこすれを約20%抑えました※1(当社従来品比)。パーソナルヘルス製品では、歯周トラブルケアを提案する「ピュオーラ」から、大人のお口に潜みやすい菌の老廃物※2(プロテアーゼ)に着目したハミガキ「薬用ピュオーラ GRAN」を発売しました。「菌のかたまり」を分散しやすくするだけでなく、菌の老廃物を含む汚れまで洗浄しやすくし口中を浄化することで、さまざまな症状※3を伴う歯周病を防ぎます。また、新ブランド「sonae」を立ち上げ、飲む「ホットエッセンス」、なめる「炭酸ウォータリングタブレット」、香る「スチームアロマカップ」のラインアップで「sonae ウィルバリア」シリーズを発売しました。花王のこれまでの研究技術を結集し、飲む・なめる・香るという日常生活の中での手軽な行動を通じて、頑張る方の「その日への思い」を応援しています。当事業に係る研究開発費は、121億円であります。※1:「ロリエ しあわせ素肌 超スリムタイプ 軽い日用 羽なし」を除く※2:菌の分泌物であり、お口の中で老廃物として広がり、ネバつきや口臭等の原因になることもある※3:ハグキのハレ・出血/ネバつき/口臭 〔ファブリック&ホームケア事業〕多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生(洗い上がり)が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでおります。ファブリックケア製品では、花王が独自に研究開発した、花王史上最高の洗浄基剤「バイオ IOS」を主成分とする商品の第一弾、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO」を発売しました。衣類がよみがえる「ゼロ洗浄」をめざし、“アタック液体史上最高の洗浄力”を実現しました。さらに、片手に持ってプッシュするだけで、簡単に計量ができる「ワンハンドプッシュ」もラインアップに追加しました。子育て中の方やシニアの方等多様な生活者に使いやすいユニバーサルデザインで、プッシュ回数を変えることで、洗たく物の量に合わせて洗剤量を調整できます。ホームケア製品では、スプレータイプと、シートタイプの2種類を用意した、新しいすまいの除菌シリーズ「クイックル Joan」を発売しました。ノンアルコールで99.9%除菌※ができ、乳酸菌生まれの「発酵乳酸」配合で24時間抗菌※ できます。どちらも素肌と同じ弱酸性なので、赤ちゃんや小さなお子様がいるご家庭でもやさしく使えます。当事業に係る研究開発費は、102億円であります。※:すべての菌を除菌・抗菌するわけではありません。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、油脂アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。また、界面科学をベースに食糧増産技術開発に取り組み、農作物栽培時に使用する農薬の効果増強や量の低減が可能な機能性アジュバント(ドライバー)を発売しました。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物や、エネルギー低減に寄与する技術開発を行い、例えば、超高耐久舗装用ポリマーによる道路補修頻度の低減が可能な技術や、洗浄時のエネルギーを大幅に削減可能な低温鋼板洗浄剤等の開発に取り組んでおります。スペシャルティケミカルズ製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナーや独自開発のVOCレス設計※の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を進めております。当事業に係る研究開発費は、105億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下の ものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2018|3,796 文字
5【研究開発活動】消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行ない、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社は、社会課題に対応すべく、清潔・美・健康、さらには環境分野の研究資産を結集し、技術イノベーションで社会に貢献する取り組みを一層強化しております。研究成果として、“Fine Fiber(ファインファイバー)※1”、“RNA Monitoring (RNAモニタリング)※2”、“Created Color(クリエイティッド カラー)※3”、“Bio IOS(バイオIOS)※4”、“Package RecyCreation(パッケージ リサイクリエーション)※5”の5つの新技術を公開しました。幅広い事業領域で培ってきた研究資産を活用し、産官学等との連携・協働により、新たな価値創出に挑戦していきます。当社グループ全体で、約3,000名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、577億円(売上高比3.8%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。※1:肌表面に、極細の繊維からなる積層型極薄膜を直接形成する技術※2:日々変動する皮膚状態を反映する遺伝子発現情報「RNA(リボ核酸)」を顔の皮脂から単離し、分析する技術※3:より安心して利用でき、より魅力的な発色を実現するカラーリング剤の開発技術※4:アブラヤシの多くを占める果肉部から抽出する油脂を、洗浄用途に適した成分に転換した界面活性剤の技術※5:海洋プラスチックごみゼロ、再生プラスチック100%活用、残液ゼロを目指すエアインフィルムボトルの開発技術 コンシューマープロダクツ事業〔化粧品事業〕世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。カウンセリング化粧品では、カネボウ化粧品より「DEW」からやわらかくもっちりとしたつややかな肌に導く「DEW マッサージクリーム」と新“ハリ美容液”「DEW モイストリフトエッセンス」を発売しました。長年のヒアルロン酸研究とこだわりの“五感設計”を駆使したラインアップにより、スキンケアというプロセスを、特別な体験に変えていくことを提案します。セルフ化粧品では、「ソフィーナ iP」の土台美容液を「ソフィーナ iP ベースケアエッセンス(土台美容液)」として刷新し、日本、香港、台湾、シンガポールで展開した他、「ソフィーナ iP 美活パワームース(土台美容液)」として、中国でも新たに発売しました。従来からの特徴を踏襲しながら、泡をより長く保持できる技術を搭載し、保湿成分を追加した独自の“iPパワー処方EX”を採用し、うるおってやわらかくもちもちした肌へ整えます。また、「ソフィーナ プリマヴィスタ 皮脂くずれ防止化粧下地」を改良しました。テカリ防止機能向上に加え、ファンデーションのとれ・ヨレ防止機能を兼ね備え、気温や湿度の高い日でもテカリのないファンデーションのきれいな仕上がりを持続させます。高機能サンスクリーンブランド「アリィー」では、汗や水だけでなく、摩擦にも強く落ちにくい新機能“フリクションプルーフ”を搭載した「アリィー エクストラUVジェル」をはじめとするラインアップを刷新しました。当事業に係る研究開発費は、105億円であります。 〔スキンケア・ヘアケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、革新的な技術と品質により、ユニークで付加価値の高い製品の開発をとおして、多様な価値観やライフスタイルに合わせた最適な美の提案を目指しております。スキンケア製品では、ふいた瞬間に肌の表面温度を下げることができる「ビオレ 冷シート」を発売しました。花王独自開発の不織布により、多くの冷却ウォーターを含ませ、たっぷり移すことができるため、肌の熱をすばやく蒸散し、肌温度を下げることができます。大判シートなので、一枚で乾かず全身広い範囲をふくことができます。また、「メンズビオレ 洗顔シート」を改良しました。独自開発の“タフテックシート※1”を採用し、顔だけでなく、腕や胸元等上半身までしっかりふくことができるようになりました。ヘアケア製品では、染めても染めてものびてくる白髪の悩みや、ヘアカラーをくり返すことで髪の傷みが気になる方に、100%天然由来の“黒髪メラニンのもと※2”を配合した白髪用染毛料「リライズ 白髪用髪色サーバー」を発売しました。使うたびに、徐々に白髪に自然な黒さを補い、繰り返し使っても髪を傷めません。また、お風呂で使えて簡単です。ヘアサロン専用ブランド「ゴールドウェル」から欧州において、ヘアカラーリング製品「ピュアピグメント」を発売しました。富士フイルム株式会社とドイツのドレスデン工科大学との共同研究により生まれた、非反応型染毛染料“レインボー染料”のテクノロジーを活用し、幅広い色合いと、毛髪の動きや光の当たり方に応じて色が鮮やかに変化する、多次元的な発色を生み出すことを可能にしました。当事業に係る研究開発費は、160億円であります。※1:「破れにくい、乾きにくい、丸まりにくい」タフなシート設計※2:着色成分(ジヒドロキシインドール) 〔ヒューマンヘルスケア事業〕人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めております。フード&ビバレッジ製品では、“脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける”特定保健用食品の許可表示を取得した「ヘルシアウォーター」を改良しました。はちみつを入れすっきりとした後味に仕上げることで、運動時にゴクゴク飲めるようになりました。サニタリー製品では、大人用紙パンツ「リリーフ」から、へそ下丈のローライズ(浅ばき)でファッション性が高く、下着のように使える、超うす型の使いきり吸水パンツ「リリーフ まるで下着1回分 ローライズ」を発売しました。楽しく安心してお出かけができる、新しい提案です。パーソナルヘルス製品では、歯周トラブルが気になる方に向けたブランドの「ピュオーラ」から、特に悩み意識の高い口臭を防止する、泡タイプのハミガキ「薬用ピュオーラ 泡で出てくるハミガキ」を発売しました。泡を舌の上に直接のせるという日本初※の新提案で、きめ細かい泡が舌の上に密着し、殺菌することで口臭を防ぎます。当事業に係る研究開発費は、113億円であります。※:当社調べ(泡を舌にのせる使い方として) 〔ファブリック&ホームケア事業〕多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生(洗い上がり)が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでおります。ファブリックケア製品では、部屋干し中だけでなく、着ている最中までしつこい生乾き臭を徹底防臭する「ハミングファイン 部屋干しEX」を発売しました。部屋干し中の生乾き臭に効果的な防臭成分と、着用中の生乾き臭に効果的な新防臭成分を配合した抗菌防臭Wバリア処方により、部屋干し中はもちろん、着ている最中まで生乾き臭を徹底防臭します。ベトナムでは「アタックデオドラントエクストラ」を発売しました。アセアンの高温多湿な気候に加え、有職女性の増加等を背景にした洗濯頻度の低下等からくる臭い不満に対応するために、抗菌成分を配合し、汗による臭いを24時間抑える価値を提案しております。ホームケア製品では、「バスマジックリン泡立ちスプレー SUPER CLEAN」を発売しました。汚れの原因となる微生物に直接アプローチし、次の発生を防ぐ独自の微生物制御システムを新たに採用して、排水口のヌメリやピンク汚れ、黒カビ等の汚れの発生を防ぎます。当事業に係る研究開発費は、98億円であります。 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。油脂製品では、油脂アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物や、エネルギー低減に寄与する、低温鋼板洗浄剤や鋳造用材料等の開発に取り組んでおります。スペシャルティケミカルズ製品では、独自開発のVOCレス設計※の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)を活用し、印刷分野で実用化を進めております。当事業に係る研究開発費は、102億円であります。※:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
FY2017|2,789 文字
6【研究開発活動】消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行ない、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社と東京理科大学は、お互いに協働することで革新的な技術開発を推進し、教育研究の発展、学術の充実及び研究者の育成に貢献する目的で、産学連携に関する協力協定を締結しました。東京理科大学が持つ有機合成化学や界面科学に関する世界をリードする知見と、当社が持つ化学・材料科学・商品開発のノウハウを融合させることで、イノベーティブな成果を創出する体制を構築し、協働して研究開発を推進することで、人々の健康な暮らしに貢献していきます。当社グループ全体で、約2,900名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、567億円(売上高比3.8%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 コンシューマープロダクツ事業〔ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、新しい機能を生み出す素材や製剤の開発をとおして、健康で美しい素肌や素髪の実現と、多様な生活スタイルに合わせた美容価値の提案を目指しています。カウンセリング化粧品では、「エスト」から「ソフィーナ」の最先端技術を結集した基本ケアラインを発売しました。新しい基本ケアラインを象徴する化粧水は、砂漠を生きる生命※が生み出す成分が持つ保湿力に着目した化粧水で、過酷な乾燥環境でもうるおい続けます。カネボウ化粧品では、「DEW」ブランドを全面的に刷新しました。長年のヒアルロン酸研究とこだわりの“五感設計”を駆使したラインアップにより、スキンケアというプロセスを、特別な体験に変えていく提案を行い、カネボウ化粧品を代表する基幹ブランドの1つとして育成を図ります。スキンケア製品では、デオドラントシリーズ「ビオレ/メンズビオレ 薬用デオドラントZ」を発売しました。“汗殺菌スタミナ技術”を採用し、たくさん汗をかいても、ニオイ菌への殺菌作用が続くので、長時間ニオイ予防を実現しました。さらに“汗瞬間ドライパウダー(基剤)”配合により、べたつかず、さらさら快適素肌が続きます。欧米では、うるおいを閉じ込めて、手間がかからず簡単に色づく「ジャーゲンズ ナチュラルグローウエットスキンモイスチャライザー」を米国にて発売しました。アジアでは、乾燥性敏感肌ケアの「キュレル」から、乾燥による小じわの目立ちやハリのなさが気になる、年齢を重ねた乾燥性敏感肌の方に向けて日本で発売した「キュレル エイジングケアシリーズ」を香港、台湾、タイでも発売しました。日本発の乾燥性敏感肌ブランドとして、より幅広い肌ニーズに対応する品質の良さが支持されています。ヘアケア製品では、「メリットPYUAN(ピュアン)」を刷新しました。汚れを落とすことを一番に考えた「クレンズケアシャンプー」と、フレッシュな香りが生まれ続ける長持ちアロマを配合した「清潔感つづくコンディショナー」で、1日中気持ちよい清潔感が続きます。欧米では、「ジョン・フリーダ」の「シェアブロンド」から、ブロンドヘアをより輝かせ、明るく見せることを実現する新ライン「ブロンド パーフェクティング トリートメント」を発売しました。トリートメントには、富士フイルム株式会社と共同開発を行った“レインボー染料”が導入されています。当事業に係る研究開発費は、250億円であります。※エジプトの塩湖で発見された Halomonas elongata 〔ヒューマンヘルスケア事業〕人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めています。フード&ビバレッジ製品では、“脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける”特定保健用食品の許可表示を取得している「ヘルシア」から、茶葉のうまみと香りを活かした贅沢な味わいをお楽しみいただける「ヘルシア緑茶 うまみ贅沢仕立て」を発売しました。サニタリー製品では、赤ちゃんの肌研究から誕生した「メリーズ」スキンケアシリーズを発売しました。うるおいを守る力が弱い赤ちゃんの繊細な肌に、肌本来がもつセラミドのはたらきに着目して開発したスキンケアシリーズです。パーソナルヘルス製品では、大人の歯のくすみ※ に影響する「光沢」「色」「明るさ」の3つのポイントに着目した「クリアクリーン プレミアム美白ハミガキ」を発売しました。歯の着色汚れはもちろん、沈着汚れまでも除去して、歯本来のツヤと明るさを維持します。当事業に係る研究開発費は、134億円であります。※くすみとは沈着汚れや着色汚れのこと 〔ファブリック&ホームケア事業〕多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生(洗い上がり)が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでいます。ファブリックケア製品では、色柄物にも安心な酸素系衣料用漂白剤「ワイドハイターEXパワー 粉末タイプ」を発売しました。新酵素を配合し洗浄力をアップ※ させ、しみついた黄ばみ・黒ずみを強力に分解します。また、つけ置きすることでさらに洗浄・漂白効果がアップします。ホームケア製品では、便器の汚れを落とすだけでなく、便器をきれいに保ちたいという美観維持ニーズに対応したトイレクリーナー「トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ツヤツヤコートプラス」を発売しました。新開発の超親水化ポリマーのはたらきによりスプレーするだけで汚れをよせつけないコーティングが便器全体に広がり、便器がツヤツヤな仕上がりになります。当事業に係る研究開発費は、87億円であります。※当社従来品「ワイドハイター 粉末タイプ」との比較 ケミカル事業油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでいます。油脂製品では、油脂アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物や、エネルギー低減に寄与する、低温鋼板洗浄剤や鋳造用材料などの開発に取り組んでおります。スペシャルティケミカルズ製品では、環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクなどの技術開発を進めています。当事業に係る研究開発費は、97億円であります。
FY2016|3,000 文字
6【研究開発活動】消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行ない、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。当社が持つ化学・分子生物学・生化学・細胞生物学技術と、理研脳科学総合研究センター(理研BSI)が持つ神経生理学・発生工学・イメージング技術・神経行動学に関する世界最先端の知見の融合による“感性の脳科学”の解明をめざし、理研BSI内に「理研BSI-花王連携センター」を開設しました。互いの持てる潜在的な知識・技術の融合を十分に発揮できる体制を構築して、イノベーティブな成果の創出を図ります。当社グループ全体で、約2,900名が研究開発業務に携わっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、546億円(売上高比3.7%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。 コンシューマープロダクツ事業〔ビューティケア事業〕世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、新しい機能を生み出す素材や製剤の開発をとおして、健康で美しい素肌や素髪の実現と、多様な生活スタイルに合わせた美容価値の提案を目指しています。ビューティケア事業の化粧品の将来に向けた確固たる基盤の構築を加速させるため、小田原事業場内に、新たな研究施設「ビューティリサーチ&イノベーションセンター」を開所しました。カウンセリング化粧品では、「ソフィーナ」ブランドの中核となる基本ケアシリーズを全面刷新しました。全商品に月下香の花びらから約3年かけて培養した成分“月下香培養エッセンス※1(保湿)”を含有する“iTPS複合体※2(保湿)”を配合し、肌表面をなめらかに覆い、乾燥から肌を守ります。カネボウ化粧品では、化粧品事業80年の知見を結集させた新グローバルブランド「KANEBO」を立ち上げ、日本とアジア各国で発売しました。“時間美容”の考え方を取り入れ、スキンケアを軸にメイク、ライフスタイルまでトータルに提案します。スキンケア製品では、なでるような軽い力でも重ねたベースメイクをしっかり落とす「ビオレ メイクとろりん なで落ちジェル」を発売しました。軽い力でもメイクになじむ独自技術“やわらかメルティ処方”を採用し、ゴシゴシこすらなくても、なでるだけで、毛穴の奥に入り込んだメイクまでしっかり落とします。欧米では、オイルフリー処方で、滑らかで柔らかな肌に洗いあげる、毛穴洗浄効果に優れた、粉末、液体の2タイプの洗顔料「ビオレ ベイキングソーダ」を米国にて発売しました。アジアでは、UVから守るだけでなく、肌に刺激を与える大気汚染やほこりからも守る「ビオレUV アンチポリューション ボディーケアセラム」をタイで発売しました。ヘアケア製品では、「エッセンシャル」を刷新し、傷んだキューティクルを補修してなめらかに整えてハンドブローだけで毛先まで毛流れがそろう髪に導く「キューティクルケアシャンプー」と「キューティクルケアコンディショナー」、もろくなったキューティクルの凹凸をうめて補強して補修する新発想のヘアトリートメント「エッセンシャル キューティクルエッセンス」を発売しました。また、ユニバーサルデザインの考え方にもとづく使いやすさと環境配慮を両立した「つめかえ用ラクラクecoパック」を開発し、「エッセンシャル」をはじめとするインバスヘアケア製品に採用、発売しました。欧米では、ご自身の髪色に合わせて自由に色をブレンドすることで仕上がりがカスタマイズできる「ジョンフリーダ ルートブラー カラーブレンディングコンシーラー」を発売しました。コンシーラータイプで、素早く髪の根元の色味を変えることができます。当事業に係る研究開発費は、242億円であります。※1:チューベロース多糖体※2:チューベロース多糖体、ユーカリエキス、ショウキョウ(ショウガ根)エキス、グリセリン 〔ヒューマンヘルスケア事業〕人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めています。“ヒトの健康寿命の延伸に貢献する”という共通テーマのもと、当社は、弘前大学と産学連携の共同研究講座「アクティブライフプロモーション学研究講座」を開設しました。生涯にわたり“動けるからだづくり”を目的として、総合的なヘルスケア研究のさらなる強化、発展をめざします。フード&ビバレッジ製品では、茶カテキン研究の新知見の成果から特定保健用食品では初めてとなる“脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける”許可表示を取得し、「ヘルシア緑茶」を刷新しました。サニタリー製品では、一枚吸収体の吸収機能・柔軟性の向上により快適性を高めた「ロリエ スーパースリムガード」を改良し、中国、タイ、インドネシアにて発売しました。パーソナルヘルス製品では、歯ぐきのハレ、出血、ネバつき、口臭を伴う歯槽膿漏・歯肉炎を防ぐ「ディープクリーン撰 濃密クリーム薬用ハミガキ」を発売しました。独自の濃密クリーム化技術により、歯ぐきにピタッと密着し、すすぎ後も5種の薬用成分※3がとどまって、じっくり深く浸透します。当事業に係る研究開発費は、132億円であります。※3:抗炎症成分、血行促進成分、歯肉炎予防成分、殺菌成分、歯質強化成分 〔ファブリック&ホームケア事業〕多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生(洗い上がり)が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでいます。ファブリックケア製品では、超濃縮タイプの衣料用液体洗剤「ウルトラアタックNeo」を改良しました。独自開発した新酵素がエリ・ソデの密着汚れの原因であるタンパク質をより強力に分解し、頑固なエリ・ソデ汚れに効果を発揮します。ホームケア製品では、スポンジが届かない部分の汚れを一気に落とすスプレータイプの食器用洗剤「キュキュットCLEAR(クリア)泡スプレー」を発売しました。新開発の浸透クラッシュ洗浄技術により、泡がよりスピーディーに汚れの奥に入り、スポンジでこすらなくても汚れをすばやく洗浄できます。当事業に係る研究開発費は、81億円であります。 〔ケミカル事業〕油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでいます。油脂製品では、油脂アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物や、エネルギー低減に寄与する、低温鋼板洗浄剤や鋳造用材料などの開発に取り組んでおります。スペシャルティケミカルズ製品では、これまで培ってきた顔料ナノ分散技術をさらに応用し、軟包装用フィルム基材への印刷に対して、環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクを開発しました。当事業に係る研究開発費は、91億円であります。